説明

デジタル同報通信システム及びそれに用いる戸別受信機

【課題】移動可能な戸別受信機を、設置元自治体とは異なる移動先の自治体の親局からの送信波を自動的に受信可能な構成とする。
【解決手段】データ処理部24は、位置情報表示処理部23より受け渡された現在位置の住所データから市町村名を抽出してデータテーブル25を参照し、市町村名に紐付けされた市町村コードを読み出して制御部13へ渡す。制御部13は、データ処理部24より受け渡された市町村コードを保持すると共に、受信部12に周波数のサーチ指示を命令する。受信部12は、周波数サーチを行って現在位置の自治体の親局から送信されている周波数にロックする。制御部13は、この状態で受信部12で受信した親局からの同報通知信号中に含まれる市町村コードが、保持している市町村コードと一致していることを確認した段階で、受信内容を住民に報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデジタル同報通信システム及びそれに用いる戸別受信機に係り、特に住民に所要の情報を伝達するためのデジタル同報通信システム及びそれに用いる戸別受信機に関する。
【背景技術】
【0002】
住民に所要の情報を伝達するためのデジタル同報通信システムは、一般には自治体の庁舎や公共関連機関等に設置されて所要の情報の通報内容を示す呼出信号を所定周波数帯の送信波として送信する親局と、親局から送信された送信波を受信して周波数変換した同報波を送信する中継局と、同報波を受信して同報波の通報内容をスピーカから放音することで、住民に通報内容を知らせる複数の子局とから構成される。
【0003】
上記呼出信号には地域毎の子局を呼び出す市町村コードが含まれている。子局である戸別受信機は受信した同報波に含まれている市町村コードが自局で保持している市町村コードと同じかどうか比較照合し、同じ場合に受信した呼出信号に含まれる通信内容をスピーカを通して住民に報知する(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、デジタル同報通信システムは自治体毎に独立して運用されており、自治体毎に使用する無線周波数が異なり、また、戸別受信機が受信できる周波数は1周波数しか設定することができず、戸別受信機が保持している自治体の市町村コードも市町村毎に異なる固定データである。
【0005】
このため、戸別受信機が移動可能である場合、設置元の自治体(例えば、A市)の庁舎等に設置された親局からの送信波を受信可能な戸別受信機が、設置元の自治体とは異なる移動先の自治体(例えば、B市)にあるときには、移動先の自治体等に設置された親局からの送信波を受信することができない。
【0006】
従って、移動先の自治体で広域災害が発生した場合、移動先の自治体と設置元の自治体との職員間や生活関連機関での情報伝達は、デジタル移動系システムにより可能であるが、移動可能な戸別受信機を持参して災害応援に行く自治体職員にとっては、移動先で戸別受信機を使用できないため、被災地の住民に伝達されている情報を知るすべはなく、テレビ・ラジオを媒体とした、2次的な情報しか知ることができない。
【0007】
そこで、特許文献1記載の同報通信システムは、戸別受信機の設置元自治体の親局から送信された呼出信号を、隣接する自治体の周波数及び市町村コードを利用して隣接する自治体で受信可能な呼出信号に変換して送信する構成が開示されている。この特許文献1記載の同報通信システムでは、戸別受信機の設置元自治体から隣接する自治体の住民に同報が可能である。
【0008】
また、特許文献2には、戸別受信機の選択呼出しを可能とするために各戸別受信機に識別番号を割り当てた無線通信システムにおいて、複数の識別番号候補を記憶部に記憶しておき、スイッチ操作により識別番号候補の中から一つの識別番号候補を自己の識別番号として設定する無線通信システムが開示されている。この無線通信システムでは、個別受信機に割り当てられる識別番号を管理担当者が戸別受信機の設置場所に出向かなくても簡単に変更することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−80645号公報
【特許文献2】特開2006−74470号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】「市町村デジタル同報通信システム」、ARIB STD−86、社団法人 電波産業会
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1記載の同報通信システムでは、戸別受信機が自治体管轄内に設置して移動しないことが前提であり、移動可能な戸別受信機を移動先において移動先の自治体の親局からの送信波を受信可能とすることはできない。
【0012】
また、特許文献2記載の無線通信システムは、戸別受信機が識別番号のみ変更可能であるため、設置元の自治体管轄内でしか効力がなく、移動可能な戸別受信機を移動先において移動先の自治体の親局からの送信波を受信可能とすることはできない。
【0013】
また、仮に戸別受信機の周波数及び市町村コードを変更することで移動先の自治体の親局からの送信波を受信可能とする場合は、構成の変更方法が複雑であり、構成を変更した場合は、今度は応援活動終了後に再度元の周波数及び市町村コードに戻す変更作業を行わなければ、設置元自治体で親局からの送信波を受信することができず、極めて煩雑である。
【0014】
本発明は以上の点に鑑みなされたもので、移動可能な戸別受信機を、設置元自治体とは異なる移動先の自治体の親局からの送信波を自動的に受信可能な構成とし得るデジタル同報通信システム及びそれに用いる戸別受信機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するため、本発明のデジタル同報通信システムは、同期信号又は第1の市町村コードを含む同報通知信号を所定の周波数で無線送信する親局と、親局から無線送信された信号を受信する移動自在な戸別受信機とからなり、
戸別受信機は、現在位置の位置情報を取得する現在位置情報取得手段と、取得された位置情報に応じた第2の市町村コードを取得する市町村コード取得手段と、親局から無線送信された信号を受信する受信周波数をサーチして、その受信周波数を設定された値以上の受信信号が得られる所定の周波数にロックする受信周波数サーチ手段と、受信周波数サーチ手段によりロックされた受信周波数で同期信号を受信し、同期完了と判定する判定手段、同期完了後に受信した同報通知信号に含まれる第1の市町村コードが市町村コード取得手段で取得された第2の市町村コードと一致するか否か比較し、一致したとき、同報通知信号の受信内容を報知する報知手段とを有することを特徴とする。
【0016】
また、上記の目的を達成するため、本発明の戸別受信機は、親局から所定の周波数で無線送信された、同期信号又は第1の市町村コードを含む同報通知信号を受信する移動自在な戸別受信機であって、現在位置の位置情報を取得する現在位置情報取得手段と、取得された位置情報に応じた第2の市町村コードを取得する市町村コード取得手段と、親局から無線送信された信号を受信する受信周波数をサーチして、その受信周波数を設定された値以上の受信信号が得られる所定の周波数にロックする受信周波数サーチ手段と、受信周波数サーチ手段によりロックされた受信周波数で同期信号を受信し、同期完了と判定する判定手段と、同期完了後に受信した同報通知信号に含まれる第1の市町村コードが市町村コード取得手段で取得された第2の市町村コードと一致するか否か比較し、一致したとき同報通知信号の受信内容を報知する報知手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、戸別受信機が設置元の自治体とは異なる自治体に移動した場合でも、その移動先の親局から送信される電波を受信して、移動先の自治体の親局からの送信内容を現在位置付近の住民に報知することができる。また、本発明によれば、移動先から再度設置元の自治体に戸別受信機が戻った場合にも、特段の変更作業を行わなくても、設置元自治体でも親局からの送信波を受信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明のデジタル同報通信システムにおける戸別受信機の一実施形態のブロック図である。
【図2】図1の動作説明用フローチャートである。
【図3】本発明の戸別受信機の他の実施形態のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明になるデジタル同報通信システムにおける戸別受信機の一実施形態のブロック図を示す。図1において、本実施形態の戸別受信機100は、戸別受信部10と位置情報検出部20とから構成され、また移動自在な構成とされている。戸別受信部10と位置情報検出部20とは、コネクタ19とコネクタ28間に接続線で接続されており、分離可能な構成とされているが、通常は両者は接続された状態で一体的に移動する。この戸別受信機100は、図示しない自治体の庁舎などに設置された親局と共に本実施形態の市町村デジタル同報通信システムを構成している。
【0021】
戸別受信部10は、親局から送信された市町村デジタル同報通信システムの電波(送信波)を受信する受信アンテナ11と、受信アンテナ11により受信した電波を受信音声信号に変換する受信部12と、戸別受信部10の全体を統括的に制御する制御部13と、受信音声信号を増幅する音声増幅部14と、受信音声信号を電気−音響変換して音波として空間に放出するスピーカ15と、操作部16と、表示を行う表示部17と、電源部18と、スイッチ18aと、電池部18bとから構成される。
【0022】
制御部13は、受信した市町村デジタル同報通信システムの電波を解析し、その解析結果に基づいて戸別受信部10内の各部を制御する。操作部16は、電源スイッチ、スピーカボリューム等を備えている。表示部17は、例えば発光ダイオード(LED)などで構成され、電源等の動作状態を表示する。電源部18は、例えば電源コンセントからAC100Vの商用交流電源を供給する。電池部18bは、停電時でも電源供給が行えるように乾電池で構成されている。スイッチ18aは、制御部13に供給する電源電圧を、停電時には電源部18からの交流電源に替えて電池部18bからの直流電源に切り替える。
【0023】
位置情報検出部20は、そのコネクタ28が制御部13のコネクタ19と接続線により接続された情報処理部21と、位置情報表示部26とよりなる。情報処理部21は、位置情報収集処理部22、位置情報表示処理部23、データ処理部24、及びデータテーブル25を含んで構成され、受信アンテナ27に接続されている。
【0024】
受信アンテナ27は、例えば公知の全地球測位システム(GPS:Global Positioning System)を構成している人工衛星からのGPS信号を受信する。位置情報収集処理部22は、受信アンテナ27により受信されたGPS信号に基づいて、公知の方法で戸別受信機100の現在位置の緯度及び経度情報を算出し、位置情報として位置情報表示処理部23に供給する。
【0025】
位置情報表示処理部23は、位置情報収集処理部22から供給された位置情報(緯度及び経度情報)に基づいて、地図データ上に現在位置をプロットし、地図データ上にプロットした結果を位置情報表示部26に出力する。また、位置情報表示処理部23は、地図データ上にプロットした結果から住所データを抽出し、データ処理部24に受け渡す。
【0026】
データ処理部24は、位置情報表示処理部23より受け渡された住所データから市町村名を抽出してデータテーブル25を参照し、その市町村名に対応した市町村コードを取得して制御部13に受け渡す。データテーブル25は、予め市町村名に紐付けされた市町村コードをテーブル化して格納しているデータベースである。
【0027】
制御部13は、データ処理部24より受け渡された市町村コードを設定済みの市町村コードに上書きし、市町村デジタル同報通信システム用の受信データとして保持すると共に、受信部12に周波数のサーチ指示を命令する。
【0028】
受信部12は、制御部13から周波数のサーチ指示を受けると周波数サーチを開始し、設定された条件を満たした場合、周波数サーチを中止し、周波数をロックする。受信部12は、ロックされた周波数で、センター設備(親局)からの市町村デジタル同報通信システムの同期信号を受信して同期が確立した場合、制御部13は同期が確立した旨を情報処理部21に通知する。
【0029】
情報処理部21は、位置情報表示部26に同期が確立し、市町村デジタル同報通信システムのデータが受信可能になったことを表示する。戸別受信部10は、この状態でセンター設備(親局)から送信される市町村デジタル同報通信用電波(同報通知信号)を受信アンテナ11にて受信し、受信した同報通知信号に含まれる市町村コードと、保持している市町村コードとが一致した場合、制御部13にて受信した同報通知信号の通知内容を示すデータをアナログ音声信号に変換し、音声増幅部14にて増幅した後、スピーカ15より音声として住民に報知する。
【0030】
位置情報表示部26は、例えばディスプレイで構成される。更には、位置情報表示部26は、情報処理部21のユーザーインターフェースを兼ねるため、タッチパネル付きディスプレイが望ましい。
【0031】
次に、本実施形態の動作について、図2に示すフローチャートを併せ参照して説明する。
【0032】
情報処理部21は、受信アンテナ27により現在位置情報を示すGPS信号を受信したかどうかを監視し(ステップS1)、受信した場合は位置情報収集処理部22によりGPS信号に基づいて戸別受信機100の現在位置の緯度経度情報を取得する(ステップS2)。位置情報表示処理部23は、位置情報収集処理部22にて取得した現在位置の緯度経度情報に基づいて、地図データ上に現在位置をプロットする(ステップS3)。位置情報表示部26は、位置情報表示処理部23によりプロットされた地図データ上の現在位置を表示すると共に動作中であることを表示する(ステップS4)。また、位置情報表示処理部23は、プロットした地図データ上の現在位置の市町村名(住所データ)を地図データから抽出し、データ処理部24に受け渡す(ステップS5)。
【0033】
データ処理部24は、位置情報表示処理部23から受け渡された現在位置の市町村名(住所データ)でデータテーブル25を参照し、データテーブル25に格納されている現在位置の市町村名(住所データ)に紐付けされた市町村コードをデータテーブルから取得する(ステップS6)。続いて、データ処理部24は、取得した市町村コードを設定した市町村デジタル同報通信ステム用受信データを作成し(ステップS7)、作成した市町村デジタル同報通信システム用受信データを制御部13に引き渡す(ステップS8)。
【0034】
制御部13は、市町村デジタル同報通信システム用受信データを保持した後、受信部12に周波数サーチ指示を命令する(ステップS9)。受信部12は、周波数サーチ指示に基づいて、予め設定されている複数の受信周波数のうち、1番目の受信周波数に設定し、その設定した受信周波数で受信信号が設定された入力値以上あるかどうかを判定する(ステップS10)。
【0035】
続いて、受信部12は、受信信号が設定された入力値未満であるときには(ステップS10のN)、所定時間、受信信号が設定された入力値以上あるかを監視する(ステップS11のN、ステップS10)。所定時間、受信信号が設定された入力値未満であるときには(ステップS11のY)、受信部12は、2番目の受信周波数に設定し(ステップS12)、再びその設定した受信周波数で受信信号が設定された入力値以上あるかどうかを判定する(ステップS10)。
【0036】
受信部12は、以下、上記と同様の動作を、設定した受信周波数で設定された入力値以上の受信信号が入力されるまで、受信周波数を切り替えながら繰り返す(周波数サーチを実行する)。受信部12は、設定した受信周波数で設定された入力値以上の受信信号が入力されると(ステップS10のY)、現在の受信周波数をロックする(ステップS13)。
【0037】
続いて、制御部13は、受信部12がロックした受信周波数で、受信アンテナ11からのデジタル同報通信システム用信号中の同期信号を受信したかどうかを所定時間監視する(ステップS14のN、ステップS15のN)。所定時間の間に同期信号を受信できないときには(ステップS15のY)、制御部13は、受信部12の受信周波数を次の周波数に移動して(ステップS16)、再び同期信号の受信を監視する(ステップS14)。
【0038】
所定時間の間に同期信号を受信できたときには(ステップS14のY)、制御部13は、同期確立と判定し、同期が確立した旨を情報処理部21に通知して、同期完了を位置情報表示部26に表示させる(ステップS17)。これにより、戸別受信機100の使用者に動作状況の有無を確認させることができる。
【0039】
同期完了により戸別受信部10は、現在位置の自治体のセンター設備(親局)から送信される市町村デジタル同報通信システムの電波(同報通知信号)を受信可能な状態となる。この状態で、戸別受信部10は、センター設備(親局)から送信される市町村デジタル同報通信システムの電波(同報通知信号)を受信部12で受信して得た受信データを制御部13で解析し、受信同報通知信号に含まれる市町村コードが、ステップS7で作成されステップS8で保持している市町村デジタル同報通信システム用受信データ中の市町村コードに一致するか否かを比較し、一致するとき、受信同報通知信号の通知内容のデータをアナログ音声信号に変換し、そのアナログ音声信号を音声増幅部14にて増幅した後、スピーカ15より音声として住民に報知する。
【0040】
このように、本実施形態によれば、戸別受信機100が設置元の自治体とは異なる自治体に移動した場合でも、戸別受信機100の現在位置情報を収集し、その現在位置情報に応じた市町村コードを自動的に取得すると共に、周波数サーチにより現在位置において受信可能な周波数に自動的に変更するようにしたため、その移動先の自治体のセンター設備(親局)から送信される電波を受信部12で受信することができ、移動先の自治体のセンター設備(親局)からの送信内容を現在位置付近の住民に報知することができる。
【0041】
また、自治体職員等が移動先での応援活動終了後に、再度戸別受信機100と共に設置元の自治体に戻った場合にも、戸別受信機100は上記の市町村コードの変更と周波数の変更とを図2に示したフローチャートのアルゴリズムに従い自動的に行うため、特段の変更作業を行わなくても、設置元自治体でも親局からの送信波を受信することができる。
【0042】
また、本実施形態では、現在位置の位置情報をGPS信号を利用して取得しているので、市町村デジタル同報通信システムを設置している自治体であれば、戸別受信機100を日本全国で使用することができる。
【0043】
また、本実施形態によれば、位置情報を検出する位置情報検出部20と、市町村デジタル同報通信システムの電波を受信する戸別受信部10とは分離可能な構造であるので、戸別受信部10に複数の周波数を設定することができる構成とすることで、位置情報検出部20を付加装置として接続することができる。
【0044】
更に、本実施形態によれば、位置情報を検出し、周波数サーチ終了後に市町村デジタル同報通信システムの電波を受信し、同期確立した場合に、位置情報表示部26に同期完了を表示させるようにしたため、戸別受信機100の使用者に動作状況の有無を確認させることができる。
【0045】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。
【0046】
図3は、本発明になる戸別受信機の他の実施形態のブロック図を示す。本実施形態の戸別受信機110は、無線機30と位置情報検出部40とから構成され、また移動自在な構成とされている移動無線端末装置である。無線機30と位置情報検出部40とは、コネクタ37とコネクタ49間に接続線で接続されており、分離可能な構成とされているが、通常は両者は接続された状態で一体的に移動する。
【0047】
無線機30は、アンテナ31、送受信部32、制御部33、操作部34、表示部35及び電源部36よりなり、図示しない相手側端末と送受信を行う。制御部33は、受信した電波を解析し、その解析結果に基づいて無線機30内の各部を制御する。操作部34は、電源スイッチや各種情報の入力キー等を備えている。表示部35は、例えば発光ダイオード(LED)などで構成され、電源等の動作状態を表示する。電源部36は無線機30内の各部に電源電圧を供給する。
【0048】
位置情報検出部40は、そのコネクタ49が制御部33のコネクタ37と接続線により接続された情報処理部41と、位置情報表示部47とよりなる。情報処理部41は、位置情報収集処理部42、位置情報表示処理部43、データ処理部44、データテーブル45及び信号生成処理部46を含んで構成され、受信アンテナ48に接続されている。位置情報収集処理部42、位置情報表示処理部43は、図1の位置情報収集処理部22、位置情報表示処理部23と同様の動作を行う。
【0049】
データ処理部44は、位置情報表示処理部43より受け渡された位置情報から住所データを抽出し、住所毎に区分されたデータを住所データと紐付けしてデータテーブル45に書き込む。住所毎に区分されたテータとしては、例えば、市町村毎に情報が異なる通信設備の戸別受信機等の無線機端末の呼出番号(ID)等がある。
【0050】
信号生成処理部46は、データテーブル45を参照して無線機端末の呼出番号(ID)を読み出したり、あるいは現在位置の市町村の図書館、消防署などの施設の情報を作成し、位置情報表示部47に表示させる。また、信号生成処理部46は、無線機端末に割り当てられた固有の呼出番号(ID)を、必要に応じて無線機30へ出力する。無線機30は、この無線機端末の呼出番号(ID)を用いて現在位置の無線機端末を呼び出す。
【0051】
このように、本実施形態では、位置情報から住所データに関連した様々なデータを信号生成処理部46により生成して、無線機30や外部装置に出力できるので、現在位置情報を用いて情報を書き換え、制御を可能にするという効果が得られる。
【0052】
なお、本発明は以上の実施形態に限定されるものではなく、例えば位置情報は無線基地局と通信可能な無線部を設け、無線基地局の位置情報から取得するようにすることも可能である。
【符号の説明】
【0053】
10 戸別受信部
11、27、31、48 アンテナ
12 受信部
13 制御部
14 音声増幅部
15 スピーカ
16、34 操作部
17、35 表示部
18、36 電源部
18b 電池部
20、40 位置情報検出部
21、41 情報処理部
22、42 位置情報収集処理部
23、43 位置情報表示処理部
24、44 データ処理部
25、45 データテーブル
26、47 位置情報表示部
30 無線機
32 送受信部
46 信号生成処理部
100、110 戸別受信機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同期信号又は第1の市町村コードを含む同報通知信号を所定の周波数で無線送信する親局と、
前記親局から無線送信された信号を受信する移動自在な戸別受信機とからなり、
前記戸別受信機は、
現在位置の位置情報を取得する現在位置情報取得手段と、
取得された前記位置情報に応じた第2の市町村コードを取得する市町村コード取得手段と、
前記親局から無線送信された信号を受信する受信周波数をサーチして、その受信周波数を設定された値以上の受信信号が得られる前記所定の周波数にロックする受信周波数サーチ手段と、
前記受信周波数サーチ手段によりロックされた受信周波数で前記同期信号を受信し、同期完了と判定する判定手段、
同期完了後に受信した前記同報通知信号に含まれる前記第1の市町村コードが前記市町村コード取得手段で取得された前記第2の市町村コードと一致するか否か比較し、一致したとき、前記同報通知信号の受信内容を報知する報知手段と
を有することを特徴とするデジタル同報通信システム。
【請求項2】
同期信号又は第1の市町村コードを含む同報通知信号を所定の周波数で無線送信する親局と、
前記親局から無線送信された信号を受信する移動自在な戸別受信機とからなり、
前記戸別受信機は、
現在位置の位置情報を取得する現在位置情報取得手段と、
予め住所データと市町村コードとが紐付けされて格納されているデータベースと、
取得された前記位置情報に基づいて現在位置の住所データを抽出し、その住所データに基づいて前記データベースから取得された前記位置情報に応じた第2の市町村コードを取得する市町村コード取得手段と、
前記親局から無線送信された信号を受信する受信周波数をサーチして、その受信周波数を設定された値以上の受信信号が得られる前記所定の周波数にロックする受信周波数サーチ手段と、
前記受信周波数サーチ手段によりロックされた受信周波数で前記同期信号を受信し、同期完了と判定する判定手段と、
同期完了後に受信した前記同報通知信号に含まれる前記第1の市町村コードが前記市町村コード取得手段で取得された前記第2の市町村コードと一致するか否か比較し、一致したとき、前記同報通知信号の受信内容を報知する報知手段と
を有することを特徴とするデジタル同報通信システム。
【請求項3】
前記判定手段は、前記受信周波数サーチ手段によりロックされた受信周波数で前記同期信号を受信できるか否かを監視し、前記同期信号が受信できないときは前記受信周波数を前記ロックされた受信周波数の次の周波数として予め定められた受信周波数に移動して、再び前記同期信号の受信ができるか否かを監視する動作を前記同期信号が受信できるまで繰り返すことを特徴とする請求項1又は2記載のデジタル同報通信システム。
【請求項4】
親局から所定の周波数で無線送信された、同期信号又は第1の市町村コードを含む同報通知信号を受信する移動自在な戸別受信機であって、
現在位置の位置情報を取得する現在位置情報取得手段と、
取得された前記位置情報に応じた第2の市町村コードを取得する市町村コード取得手段と、
前記親局から無線送信された信号を受信する受信周波数をサーチして、その受信周波数を設定された値以上の受信信号が得られる前記所定の周波数にロックする受信周波数サーチ手段と、
前記受信周波数サーチ手段によりロックされた受信周波数で前記同期信号を受信し、同期完了と判定する判定手段と、
同期完了後に受信した前記同報通知信号に含まれる前記第1の市町村コードが前記市町村コード取得手段で取得された前記第2の市町村コードと一致するか否か比較し、一致したとき前記同報通知信号の受信内容を報知する報知手段と
を有することを特徴とする戸別受信機。
【請求項5】
親局から所定の周波数で無線送信された、同期信号又は第1の市町村コードを含む同報通知信号を受信する移動自在な戸別受信機であって、
現在位置の位置情報を取得する現在位置情報取得手段と、
予め住所データと市町村コードとが紐付けされて格納されているデータベースと、
取得された前記位置情報に基づいて現在位置の住所データを抽出し、その住所データに基づいて前記データベースから取得された前記位置情報に応じた第2の市町村コードを取得する市町村コード取得手段と、
前記親局から無線送信された信号を受信する受信周波数をサーチして、その受信周波数を設定された値以上の受信信号が得られる前記所定の周波数にロックする受信周波数サーチ手段と、
前記受信周波数サーチ手段によりロックされた受信周波数で前記同期信号を受信し、同期完了を判定する判定手段と、
同期完了後に受信した前記同報通知信号に含まれる前記第1の市町村コードが前記市町村コード取得手段で取得された前記第2の市町村コードと一致するか否か比較し、一致したとき前記同報通知信号の受信内容を報知する報知手段と
を有することを特徴とする戸別受信機。
【請求項6】
親局から所定の周波数で無線送信された、同期信号又は第1の市町村コードを含む同報通知信号を受信する戸別受信部と、現在位置の位置情報を検出する位置情報検出部とが接続された移動自在な戸別受信機であって、
前記戸別受信部は、
前記親局から無線送信された信号を受信する受信手段と、
前記親局から無線送信された信号を受信する受信周波数をサーチして、その受信周波数を設定された値以上の受信信号が得られる前記所定の周波数にロックする受信周波数サーチ手段と、
前記受信周波数サーチ手段によりロックされた受信周波数で前記同期信号を受信し、同期完了を判定する判定手段と、
同期完了後に受信した前記同報通知信号に含まれる前記第1の市町村コードが前記位置情報検出部で取得された第2の市町村コードと一致するか否か比較し、一致したとき前記同報通知信号の受信内容を報知する報知手段と
を備え、前記位置情報検出部は、
現在位置の位置情報を取得する現在位置情報取得手段と、
取得された前記位置情報に応じた前記第2の市町村コードを取得して、前記判定手段へ出力する市町村コード取得手段と
を備えることを特徴とする戸別受信機。
【請求項7】
前記判定手段は、前記受信周波数サーチ手段によりロックされた受信周波数で前記同期信号を受信できるか否かを監視し、前記同期信号が受信できないときは前記受信周波数を前記ロックされた受信周波数の次の周波数として予め定められた受信周波数に移動して、再び前記同期信号の受信ができるか否かを監視する動作を前記同期信号が受信できるまで繰り返すことを特徴とする請求項4乃至6のうちいずれか一項記載の戸別受信機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−213130(P2010−213130A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−58842(P2009−58842)
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(599161890)NECネットワーク・センサ株式会社 (71)
【Fターム(参考)】