説明

デッキクレーンの油圧駆動装置

【課題】デッキクレーンの積荷を降ろす際において油圧モータへの作動油供給路における負圧の発生を回避したデッキクレーンの積荷のずり落ちの発生を防止するとともに、積荷を巻上げた後にコントロール弁により積荷を巻上げ位置に停止する際における油圧脈動によるピーク油圧を緩和して、安全な荷役作業を実現し得る油圧駆動装置を提供する。
【解決手段】油圧モータに直結駆動される巻上装置により積荷を船舶に搭載あるいは積降ろしを行なうデッキクレーンの油圧駆動装置の油圧モータへの作動油供給路に巻上装置の巻上げ、中立、巻降ろしの動作の切換えを行なうコントロール弁を設けるとともに、前記油圧モータ出口の作動油路に接続されパイロット油圧によって前記油圧モータ出口と前記コントロール弁との間の作動油路を開閉するカウンターバランス弁をそなえたデッキクレーンの油圧駆動装置において、前記作動油供給路の前記油圧モータ入口にアキュムレータを設けたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶に設置されて、油圧モータに直結駆動される巻上装置により積荷を船舶に搭載あるいは積降ろしを行なうデッキクレーンに用いられ、油圧ポンプから油圧モータに接続される作動油供給路に巻上装置の巻上げ、中立、巻降ろし動作の切換えを行なうコントロール弁を設けるとともに、油圧モータ出口の作動油路に接続され油圧モータ出口と前記コントロール弁との間の作動油路を開閉するカウンターバランス弁をそなえたデッキクレーンの油圧駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
船舶に設置されて、油圧モータに直結駆動される巻上装置により積荷を船舶に搭載あるいは積降ろしを行なうデッキクレーンは、図5に示すように、直結された2個のタンデム型油圧モータ21,22に直結駆動される巻上装置1により積荷を船舶に搭載あるいは積降ろしを行なう油圧駆動装置を具えている。
かかる油圧駆動装置において、9は油圧ポンプで、オイルタンク10からの作動油を、コントロール弁7及び作動油路12を介して前記油圧モータ21,22に送り込んで該油圧モータ21,22を駆動し、前記巻上装置1を巻上げ、中立、巻降し駆動している。
【0003】
前記コントロール弁7は、通常、手動の3方向切換弁にて構成され、前記油圧モータ21,22に接続される作動油路12への作動油の供給,遮断を切換えることにより、前記巻上装置1の巻上げ、中立、巻降ろしの動作の切換えを行なう。
3,3は前記油圧モータ21,22に対応して設けられたカウンターバランス弁で、該カウンターバランス弁3,3は前記作動油路12の作動油を可変絞り6,6で絞って流量及び圧力を減じたパイロット油圧によって、前記油圧モータ21,22と前記コントロール弁7とを接続する作動油路11あるいは作動油路14bの開閉を行ない、前記巻上装置1の巻上げ、中立、巻降し作動時における作動油圧を所要の油圧に保持せしめている。13,14はそれぞれ前記油圧モータ21,22出口の作動油路、33,330は逆止弁、4はシーケンス弁、8は作動油の圧力調整弁である。
【0004】
かかる油圧駆動装置において、前記コントロール弁7を巻上装置1の巻上げ位置に設定したときには、図5に示すように作動油路12から分岐された作動油を可変絞り6で絞って該カウンターバランス弁3,3に導入し、該該カウンターバランス弁3,3を開いて、前記油圧モータ21,22側とコントロール弁7側とを連通し、巻上げ動作を可能にする。
積荷を巻上げ位置に整定後、コントロール弁7を中立に切換えると、パイロット油圧が遮断されてカウンターバランス弁3,3が閉じ、これにより、油圧モータ21,22側の油圧が一定油圧に保持され、巻上装置1に吊り下げられた積荷は一定高さ位置に保持される。
【0005】
また、特許文献1(特開平9−249387号公報)には、船舶に設置されて、油圧モータに直結駆動される巻上装置により積荷を船舶に搭載あるいは積降ろしを行なうデッキクレーンの油圧駆動装置であって、積荷への吊り索の接続後に安定的にかつ迅速に積荷を保持できるようにした油圧駆動装置が開示されている。
【0006】
【特許文献1】特開平9−249387号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図5に示されるようなカウンターバランス弁3を具えたデッキクレーンの油圧駆動装置にあっては、油圧モータ21,22により巻上装置1が積荷を巻上げた後、該積荷を降ろす際に積荷の自重によって巻上装置1が逆転し油圧モータ21,22がポンプ作用を行なうのに伴ない、該油圧モータ21,22への作動油供給路に負圧が発生し、この負圧によって油圧モータ21,22が空気を吸い込み、作動が不安定になって巻上装置の空回転が発生し、かかる巻上装置の空回転によって積荷の急降下が発生し、デッキクレーンによる安全な荷役作業を阻害する。
【0008】
また、かかる従来技術にあっては、油圧モータ21,22により巻上装置1が積荷を巻上げた後、コントロール弁7を中立に切換えて積荷を巻上げ位置に停止する際に、油圧モータ21,22の出口側に油圧脈動によるピーク油圧が発生し、かかるピーク油圧によって作動油系の作動油漏洩や破損が発生し易い状態となって、安全な荷役作業が阻害され易い。
等の解決すべき課題を有している。
【0009】
本発明はかかる従来技術の課題に鑑み、デッキクレーンの積荷を降ろす際において油圧モータへの作動油供給路における負圧の発生を回避したデッキクレーンの積荷のずり落ちの発生を防止するとともに、積荷を巻上げた後にコントロール弁により積荷を巻上げ位置に停止する際における油圧脈動によるピーク油圧を緩和して、安全な荷役作業を実現し得る油圧駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明はかかる目的を達成するもので、船舶に設置されて、油圧モータに直結駆動される巻上装置により積荷を船舶に搭載あるいは積降ろしを行なうデッキクレーンの油圧駆動装置であって、油圧ポンプから前記油圧モータに接続される作動油供給路に前記巻上装置の巻上げ、中立、巻降ろしの動作の切換えを行なうコントロール弁を設けるとともに、前記油圧モータ出口の作動油路に接続されパイロット油圧によって前記油圧モータ出口と前記コントロール弁との間の作動油路を開閉するカウンターバランス弁をそなえたデッキクレーンの油圧駆動装置において、前記作動油供給路の前記油圧モータ入口にアキュムレータを設けたことを特徴とする(請求項1)。
【0011】
かかる発明によれば、巻上装置を駆動する油圧モータへの作動油供給路の該油圧モータ入口にアキュムレータを設けたので、油圧モータにより巻上装置が積荷を巻上げた後、該積荷を降ろす際に積荷の自重によって巻上装置が逆転し油圧モータがポンプ作用を行なうのに伴ない、前記油圧モータへの作動油供給路に負圧が発生しようとする際に、前記作動油供給路の油圧モータ入口に設けたアキュムレータが作動油供給路内に作動油を供給することによって、ポンプ作用をしている油圧モータの吸入側に作動油が充満され、該油圧モータの吸入側における前記負圧による空気の吸い込みを回避できる。
これにより、巻上装置が積荷を降ろす際における巻上装置の空回転による積荷の急降下の発生を防止できて、デッキクレーンによる安全な荷役作業を保持できる。
【0012】
また本発明は、油圧モータに直結駆動される巻上装置により積荷を船舶に搭載あるいは積降ろしを行なうデッキクレーンの油圧駆動装置であって、油圧ポンプから前記油圧モータに接続される作動油供給路に前記巻上装置の巻上げ、中立、巻降ろしの動作の切換えを行なうコントロール弁を設けるとともに、前記油圧モータ出口の作動油路に接続されパイロット油圧によって前記油圧モータ出口と前記コントロール弁との間の作動油路を開閉するカウンターバランス弁をそなえたデッキクレーンの油圧駆動装置において、前記油圧モータとカウンターバランス弁とを接続する作動油路の該油圧モータ出口にアキュムレータを設けたことを特徴とする(請求項2)。
【0013】
かかる発明において、好ましくは、前記油圧モータを2個直列に連結したタンデム型油圧モータを構成するとともに、前記カウンターバランス弁を該タンデム型油圧モータに対応させて2個設け、前記アキュムレータを前記タンデム型油圧モータの個々と前記2個のカウンターバランス弁とをそれぞれ接続する2個の作動油路にそれぞれ設ける(請求項3)。
【0014】
かかる発明によれば、巻上装置を駆動する油圧モータの作動油出口とカウンターバランス弁との間の作動油路、好ましくは油圧モータを2個直列に連結したタンデム型油圧モータの場合は該タンデム型油圧モータの個々と前記2個のカウンターバランス弁との間の作動油路にアキュムレータを設けたので、油圧モータにより巻上装置が積荷を巻上げた後、コントロール弁を中立に切換えて積荷を巻上げ位置に停止する際に、油圧モータの出口側にピーク油圧が発生しようとするのを、アキュムレータが油圧脈動を吸収することによって、積荷の巻上げ停止位置時での油圧モータの出口側におけるピーク油圧の発生を回避できる。これにより、作動油系の作動油漏洩や破損の発生を防止できるとともに、安全な荷役作業を保持できる。
また、前記のような巻上装置の停止時や積荷の下降時における油圧モータの出口側の圧力変動のエネルギーを、一旦アキュムレータに蓄積して次の巻上げ時の巻上げエネルギーに用いることが可能となり、荷役作業のエネルギー効率が向上する。
【0015】
また、かかる発明において、コントロール弁の制御ポートを中立位置で閉じるように設定するとともに、前記カウンターバランス弁と前記コントロール弁との間の作動油路にアキュムレータを設けるのが好ましい(請求項4)。
このように構成すれば、油圧モータにより巻上装置が積荷を巻上げた後、コントロール弁を中立に切換えたとき該コントロール弁の制御ポートを閉じるように設定したことにより、カウンターバランス弁側に若干の作動油の漏れが生じた場合でも該コントロール弁の制御ポートが閉じているため、積荷の巻上げ停止位置からの積荷の落下を防止できるとともに、前記カウンターバランス弁と前記コントロール弁との間の作動油路にアキュムレータを設けることにより、該作動油路つまりコントロール弁の制御ポートに通じる作動油路の該コントロール弁の切換えに伴う圧力変動を緩和できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、油圧モータへの作動油供給路の該油圧モータ入口にアキュムレータを設けたので、積荷を巻上げ位置から積荷を降ろす際において油圧モータへの作動油供給路に負圧が発生しようとする際に、前記作動油供給路の油圧モータ入口に設けたアキュムレータが作動油供給路内に作動油を供給することによって、該油圧モータの吸入側における前記負圧による空気の吸い込みを回避できる。これにより、巻上装置が積荷を降ろす際における巻上装置の空回転による積荷の急降下の発生を防止できて、デッキクレーンによる安全な荷役作業を保持できる。
【0017】
また本発明によれば、巻上装置を駆動する油圧モータの作動油出口とカウンターバランス弁との間の作動油路にアキュムレータを設けたので、積荷の巻上げ停止位置での油圧モータの出口側におけるピーク油圧の発生を回避できる。これにより、作動油系の作動油漏洩や破損の発生を防止できるとともに、安全な荷役作業を保持できる。
また、巻上装置の停止時や積荷の下降時における油圧モータの出口側の圧力変動のエネルギーを、一旦アキュムレータに蓄積して次の巻上げ時の巻上げエネルギーに用いることが可能となり、荷役作業のエネルギー効率が向上する。
【0018】
また本発明によれば、積荷を巻上げた後コントロール弁を中立に切換えたとき該コントロール弁の制御ポートを閉じるように設定したことにより、コントロール弁の制御ポートが閉じているため積荷の巻上げ停止位置からの積荷の落下を防止できるとともに、カウンターバランス弁と前記コントロール弁との間の作動油路にアキュムレータを設けることにより、コントロール弁の制御ポートに通じる作動油路のコントロール弁の切換えに伴う圧力変動を緩和できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を図に示した実施例を用いて詳細に説明する。但し、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【実施例1】
【0020】
図1は本発明の第1実施例に係るデッキクレーンの油圧駆動装置の系統図である。
積荷を船舶に搭載あるいは積降ろしを行なうデッキクレーンは、直結された2個のタンデム型油圧モータ21,22に直結駆動される巻上装置1を油圧駆動装置で駆動することにより、積荷を船舶への搭載あるいは積降ろしを行なっている。
図1において、9は油圧ポンプ、7はコントロール弁で、該油圧ポンプ9によりオイルタンク10からの作動油を、コントロール弁7及び作動油路12を介して前記油圧モータ21,22に送り込んで該油圧モータ21,22を駆動し、前記巻上装置1を巻上げ、中立、巻降しするように駆動している。
【0021】
前記コントロール弁7は、通常、手動の3方向切換弁にて構成され、前記油圧モータ21,22に接続される作動油路12への作動油の供給,遮断を切換えることにより、前記巻上装置1の巻上げ、中立、巻降ろしの動作の切換えを行なう。
3,3は前記油圧モータ21,22に対応して設けられたカウンターバランス弁で、一方側のカウンターバランス弁3には前記作動油路12から分岐された作動油を可変絞り6で絞って流量及び圧力を減じたパイロット油圧が供給されて、一方側の前記油圧モータ22の作動油出口の油路14aと前記コントロール弁7への油路14bとを連通あるいは遮断する。
また他方側のカウンターバランス弁3には前記作動油路12から分岐された作動油を可変絞り6で絞って流量及び圧力を減じたパイロット油圧が供給されて、他方側の前記油圧モータ21の作動油出口の油路13と前記コントロール弁7への油路11とを連通あるいは遮断する。
【0022】
33,33は前記カウンターバランス弁3,3のバイパス路にそれぞれ設けられた逆止弁、4は前記油圧モータ22の出口油路14と前記コントロール弁7への油路11との連通,遮断を行なうシーケンス弁、330は該出口油路14に設けられた逆止弁、8は油圧ポンプ9出口の作動油の圧力調整弁である。
【0023】
図4はこの第1実施例及び後述する第2〜第3実施例に適用されるカウンターバランス弁の一例を示す縦断面図である。図4において、35は弁ケース、50は該弁ケース35の嵌合孔38内に往復摺動可能に嵌合されたスプール弁、50aは該スプール弁50に下端部に設けられたパイロットピストン、50bは該パイロットピストン50aが臨むパイロット油室である。51は前記スプール弁50の戻しばね、33は逆止弁(図1参照)である。
【0024】
かかるスプール弁式のカウンターバランス弁3を備えた油圧駆動装置において、前記コントロール弁7を巻上装置1の巻上げ位置に設定したときには、図1に示すように作動油路12から分岐された作動油を可変絞り6で絞って流量及び圧力を減じたパイロット油圧が前記パイロット油室50bに導入されてパイロットピストン50aに作用すると、該パイロットピストン50aが上動することによりスプール弁50が開く。これにより前記油通路40と制御油室38及び油通路39とが連通され、前記油圧モータ21,22側とコントロール弁7側とが連通され、巻上げ動作を可能にする。
積荷を巻上げ位置に整定後、コントロール弁7を中立に切換えると、前記パイロット油室50b内へのパイロット油圧が遮断され、前記スプール弁50は戻しばね51のばね力によって下動せしめられて前記油通路40と制御油室38及び油通路39を遮断する。これにより、油圧モータ21,22側の油圧が一定油圧に保持され、巻上装置1に吊り下げられた積荷は一定高さ位置に保持される。
【0025】
本発明の第1実施例においては、前記デッキクレーンの油圧駆動装置において、前記油圧モータ21,22に作動油を供給する作動油路12に負圧吸収用のアキュムレータ25を設置している。
かかる第1実施例によれば、前記コントロール弁7を巻上げ位置に設定して、油圧モータ21,22により巻上装置1が積荷を巻上げた後、コントロール弁7を中立から巻下ろし位置に切換えて、該積荷を降ろす際には積荷の自重によって巻上装置が逆転し油圧モータがポンプ作用を行なう。
【0026】
かかる油圧モータ21,22のポンプ作用によって該油圧モータ21,22への作動油路12に負圧が発生しようとする際に、前記作動油路12の油圧モータ21,22入口に設けたアキュムレータ25が作動油路12内に作動油を供給することによって、ポンプ作用をしている油圧モータ21,22の吸入側に作動油が充満され、該油圧モータ21,22の吸入側における前記負圧による空気の吸い込みを回避できる。
これにより、巻上装置1が積荷を降ろす際における該巻上装置1の空回転による積荷の急降下の発生を防止できて、デッキクレーンによる安全な荷役作業を保持できる。
【実施例2】
【0027】
図2は本発明の第2実施例に係るデッキクレーンの油圧駆動装置の系統図である。
この第2実施例においては、前記油圧モータ21,22の作動油出口とカウンターバランス弁3,3とをそれぞれ接続する2つの作動油路13,14の該油圧モータ出口側にアキュムレータ25a,25bを設けている。
かかる第2実施例において、巻上装置1を駆動する油圧モータ21,22の作動油出口とカウンターバランス弁3,3との間の作動油路13,14にアキュムレータ25a,25bをそれぞれ設けたので、該油圧モータ21,22により巻上装置1が積荷を巻上げた後、コントロール弁7を中立に切換えて積荷を巻上げ位置に停止する際に、カウンターバランス弁3,3の急閉鎖により油圧モータ21,22の出口側に油圧脈動によるピーク油圧が発生し易い状態となる。
【0028】
然るに、かかる第2実施例によれば、油圧モータ21,22の作動油出口側に設けたアキュムレータ25a,25bが前記油圧脈動を吸収することによって、積荷の巻上げ停止位置での油圧モータ21,22の出口側におけるピーク油圧の発生を回避できる。
これにより、作動油系の作動油漏洩や破損の発生を防止できるとともに、安全な荷役作業を保持できる。
また、前記のような巻上装置1の停止時や積荷の下降時における油圧モータ21,22の出口側の圧力変動のエネルギーを、一旦アキュムレータ25a,25bに蓄積して次の巻上げ時の巻上げエネルギーに用いることが可能となり、荷役作業のエネルギー効率が向上する。
その他の構成は前記第1実施例(図1)と同様であり、これと同一の部材は同一の符号で示す。
【実施例3】
【0029】
図3は本発明の第3実施例に係るデッキクレーンの油圧駆動装置の系統図である。
この第3実施例においては、コントロール弁7の制御ポート7aを中立位置で閉じるように設定するとともに、前記カウンターバランス弁3と前記コントロール弁7との間の作動油路18にアキュムレータ25を設けている。
かかる第3実施例によれば、油圧モータ21,22により巻上装置1が積荷を巻上げた後、コントロール弁7を中立に切換えたとき該コントロール弁7の制御ポート7aを閉じるように設定したことにより、カウンターバランス弁3側に若干の作動油の漏れが生じた場合でも該コントロール弁7の制御ポート7aが閉じているため、積荷の巻上げ停止位置からの積荷の落下を防止できるとともに、前記カウンターバランス弁3と前記コントロール弁7との間の作動油路にアキュムレータを設けることにより、該作動油路つまりコントロール弁7の制御ポート7aに通じる作動油路18の該コントロール弁7の切換えに伴う圧力変動を緩和できる。
その他の構成は前記第1実施例(図1)と同様であり、これと同一の部材は同一の符号で示す。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明によれば、デッキクレーンの積荷を降ろす際において油圧モータへの作動油供給路における負圧の発生を回避したデッキクレーンの積荷のずり落ちの発生を防止するとともに、積荷を巻上げた後にコントロール弁により積荷を巻上げ位置に停止する際における油圧脈動によるピーク油圧を緩和して、安全な荷役作業を実現し得る油圧駆動装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第1実施例に係るデッキクレーンの油圧駆動装置の系統図である
【図2】本発明の第2実施例に係るデッキクレーンの油圧駆動装置の系統図である。
【図3】本発明の第3実施例に係るデッキクレーンの油圧駆動装置の系統図である。
【図4】前記第1〜第3実施例に適用されるカウンターバランス弁の一例を示す縦断面図である。
【図5】従来技術に係るデッキクレーンの油圧駆動装置の系統図である。
【符号の説明】
【0032】
1 巻上装置
3 カウンターバランス弁
6 可変絞り
7 コントロール弁
8 圧力調整弁
9 油圧ポンプ
21,22 油圧モータ
25,25a,25b アキュムレータ
33 逆止弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶に設置されて、油圧モータに直結駆動される巻上装置により積荷を船舶に搭載あるいは積降ろしを行なうデッキクレーンの油圧駆動装置であって、油圧ポンプから前記油圧モータに接続される作動油供給路に前記巻上装置の巻上げ、中立、巻降ろしの動作の切換えを行なうコントロール弁を設けるとともに、前記油圧モータ出口の作動油路に接続されパイロット油圧によって前記油圧モータ出口と前記コントロール弁との間の作動油路を開閉するカウンターバランス弁をそなえたデッキクレーンの油圧駆動装置において、前記作動油供給路の前記油圧モータ入口にアキュムレータを設けたことを特徴とするデッキクレーンの油圧駆動装置。
【請求項2】
船舶に設置されて、油圧モータに直結駆動される巻上装置により積荷を船舶に搭載あるいは積降ろしを行なうデッキクレーンの油圧駆動装置であって、油圧ポンプから前記油圧モータに接続される作動油供給路に前記巻上装置の巻上げ、中立、巻降ろしの動作の切換えを行なうコントロール弁を設けるとともに、前記油圧モータ出口の作動油路に接続されパイロット油圧によって前記油圧モータ出口と前記コントロール弁との間の作動油路を開閉するカウンターバランス弁をそなえたデッキクレーンの油圧駆動装置において、前記油圧モータとカウンターバランス弁とを接続する作動油路の該油圧モータ出口にアキュムレータを設けたことを特徴とするデッキクレーンの油圧駆動装置。
【請求項3】
前記油圧モータを2個直列に連結したタンデム型油圧モータを構成するとともに、前記カウンターバランス弁を該タンデム型油圧モータに対応させて2個設け、前記アキュムレータを前記タンデム型油圧モータの個々と前記2個のカウンターバランス弁とをそれぞれ接続する2個の作動油路にそれぞれ設けたことを特徴とする請求項2記載のデッキクレーンの油圧駆動装置。
【請求項4】
前記コントロール弁の制御ポートを中立位置で閉じるように設定するとともに、前記カウンターバランス弁と前記コントロール弁との間の作動油路にアキュムレータを設けたことを特徴とする請求項2及び3のいずれかの項に記載のデッキクレーンの油圧駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−137641(P2007−137641A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−336378(P2005−336378)
【出願日】平成17年11月21日(2005.11.21)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】