説明

デバイスに物質を供給し且つ充填する方法

【課題】充填プロセスを通じて無菌状態を維持する能力を向上させる。
【解決手段】実質的な層流の下でチャンバのボディをモールディングし、ボディのモールディングと互いに近接して実質的な層流の下で熱可塑性部をモールディングし、熱可塑性部とボディとを室温に冷却する前に、熱可塑性部とボディとを組み立てて常温で無菌シールされるデバイスを形成し、充填部材がデバイスのチャンバと流体連通するように熱可塑性部の貫通領域を充填部材で貫通させ、充填部材を通してデバイスのチャンバに物質を導入し、充填部材を熱可塑性部から引き抜き、所定の波長及びパワーでレーザ照射を熱可塑性部の貫通領域に形成された穿孔の上に伝達し、穿孔を約2秒より短い時間期間で気密シールする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、2003年10月27日に出願された「熱シール可能なキャップを有する薬剤バイアルならびにそのバイアルを充填する装置及び方法」という名称の米国特許出願第10/694,364号の部分継続出願であり、それは、2003年3月21日に出願された同様の名称の同時係属中の米国特許出願第10/393,966号の継続出願であり、それは、2001年2月12日に出願されて現在は2003年8月12日に発行された米国特許第6,604,561号となった同様の名称の米国特許出願第09/781,846号の分割出願であり、これが今度は、2000年2月11日に出願された同様の名称の米国仮特許出願第60/182,139号の優先権を主張する。さらに本出願は、2003年1月28日に出願された同様の名称の米国仮特許出願第60/442,526号及び2003年6月30日に出願された同様の名称の米国仮特許出願第60/484,204号の優先権を主張する。上記の出願及び特許は、本開示の一部として、参照によってここに明示的に援用される。
【0002】
本発明は、キャップ又はストッパを通した針又はシリンジの一時的な導入後にも無菌の薬剤又はその他の物質が維持されなければならない場合に使用される、薬剤又はその他の物質を保管するためのバイアル又はその他のコンテナのための熱シール可能なキャップ又はストッパ、ならびに、そのようなバイアル又はその他のコンテナを充填するための方法に関している。
【背景技術】
【0003】
典型的な薬剤ディスペンサは、ストレジチャンバを規定するボディ、ボディと流体連通している充填開口、及びストレジチャンバの充填後に充填開口をシールしてディスペンサ内の薬剤を気密シールするストッパ又はキャップと、を含む。そのような従来技術のディスペンサを薬剤のような無菌流体又はその他の物質で充填するためには、典型的には、ディスペンサの組み立てられていない部品を、それらの部品をオートクレーブ処理し及び/又は部品をガンマ線照射に露出することによってのようにして、無菌化が必要とされる。無菌化された部品はそれから、無菌充填機の感染予防(aseptic)アイソレータ内で、充填され且つ組み立てられなければならない。いくつかの場合、無菌化された部品は、無菌充填機までの輸送のために、複数のシールされたバッグ又はその他の無菌エンクロージャの中に収納される。他の場合には、無菌化器具が無菌充填機への入り口に置かれる。このタイプの充填機では、全ての部品がアイソレータ内に無菌状態で移され、バイアルのストレジチャンバは流体又はその他の物質で充填され、無菌化されたストッパがバイアルに組み立てられて充填開口をプラグし、バイアル内の流体又はその他の物質を気密シールして、それからクリンプリングがバイアルに組み立てられてストッパをそこへ固定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第4366912号明細書
【特許文献2】米国特許第3424329号明細書
【特許文献3】米国特許第2503147号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そのような従来技術のディスペンサ、ならびにそのようなディスペンサを充填するプロセス及び器具に関連する欠点の一つは、充填プロセスに時間がかかり、且つプロセス及び器具が高価な点である。さらに、充填プロセス及び器具の比較的複雑な性質は、他の点で期待されるよりも多くの欠陥を持って充填されたディスペンサをもたらすことがある。例えば、典型的には、存在する部品と少なくとも同じくらい多くの欠陥原因が存在する。多くの場合、バイアル又はその他のディスペンサを組み立てるための複雑なアセンブリ機械があり、これは、無菌状態に維持されなければならない充填機の感染予防領域内に置かれている。このタイプの機械は、望まれない粒子の顕著な発生源になることがある。さらに、そのようなアイソレータは、バリアエンクロージャ内に無菌空気を維持することを必要とする。閉じたバリアシステムでは、対流が避けられず、且つこれより層流又は実質的な層流を達成することができない。アイソレータの動作が止まると、媒体充填テストが実行されなければならないことがあり、これは数日間ではないにしても数時間は続くことがあり、この器具を使用している製薬又はその他の製品製造者の製品アウトプットにおける反復的な中断及び顕著な減少をもたらすことがある。そのような製造の問題を取り扱うために、政府が課した規制が次第に洗練されてきており、すでに高価なアイソレータ及び同様の充填器具のコストをさらに増加させている。一方、例えば予防薬を含む注射可能薬剤及びワクチンに対する政府の価格コントロールは、そのような多額の財政的投資意欲を削いでいる。したがって、より少ない会社しか無菌充填機へのそのような増加する投資レベルを負担することができず、これにより注射可能薬剤及びワクチンの市場における競争力をさらに低減させるという懸念がある。
【0006】
これら及びその他の懸念を取り扱うために、本願発明者は、最初にキャップをバイアルに組み立てて、組み立てられたキャップ及びバイアルを照射によってのようにして無菌化し、それから、キャップを通した針又は同様の注入部材の挿入によって組み立てられたバイアルを充填し、針を通して無菌化されたバイアルに薬剤を導入することによって、バイアルを製造し且つ充填することが望ましいと決めた。しかし、このアプローチに関連する欠点の一つは、針又は同様の注入部材がキャップを通して挿入され、それから引き抜かれるとき、キャップに小さな穴を残す。キャップの材料は、穴の直径を減らすために弾性を有しており、それゆえに穴は通常は十分に小さく、薬剤の漏れ出しを妨げる。しかし、穴は、典型的には空気又はその他の気体が穴を通ってバイアルの中へと通過することを妨げるほどは小さくなく、したがって、そのような穴は、薬剤が汚染されたり劣化したりすることを可能にすることができる。
【0007】
製薬分野では、空気又はその他の可能性のある汚染物質への露出時に薬剤の劣化を妨げるために、ワクチンのような薬剤に保存剤を添加することが慣習である。しかし、ある保存剤は、患者に望まれない効果をもたらす原因になることが見出されている。したがって、ワクチンを含む多くの薬剤は、保存剤を含んでいない。これらの保存剤を含まない薬剤、及び特に保存剤を含まないワクチンは、キャップが上記のような針穴を有しているバイアル内に収納されていると、汚染及び/又は劣化の対象となる。
【0008】
したがって、従来技術の上述の欠点及び不利益の一つ又は多くを克服することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のデバイスに物質を供給し且つ充填する方法は、実質的な層流の下でチャンバのボディをモールディングするステップと、前記ボディのモールディングと互いに近接して実質的な層流の下で、充填部材によって貫通できる貫通領域を備え貫通領域は所定の波長及びパワーでレーザ照射によってそのなかの穿孔を熱で再気密シール可能である熱可塑性部をモールディングするステップと、前記熱可塑性部と前記ボディとを室温に冷却する前に、前記熱可塑性部と前記ボディとを組み立てて常温で無菌シールされるデバイスを形成するステップと、充填部材が前記デバイスの前記チャンバと流体連通するように前記熱可塑性部の前記貫通領域を前記充填部材で貫通させるステップと、前記充填部材を通して前記デバイスの前記チャンバに物質を導入するステップと、前記充填部材を熱可塑性部から引き抜くステップと、所定の波長及びパワーでレーザ照射を前記熱可塑性部の前記貫通領域に形成された前記穿孔の上に伝達し、前記穿孔を約2秒より短い時間期間で気密シールするステップと、を含む。
【0010】
本発明のデバイスに物質を供給し且つ充填する方法において、組み立てステップは、前記ボディと前記熱可塑性部とを殺菌温度で組み立てることとしても好適であるし、組み立てステップは、組み立て治具を用いて複数の前記熱可塑性部を複数の前記ボディに組み合わせるか、複数の複数の前記ボディを前記熱可塑性部に組み合わせることとしても好適であるし、物質は少なくとも食品、化粧品、医薬品の内の1つであることとしても好適である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の方法の一つの効果は、キャップとロック部材とが充填前にバイアルに固定され、これにより充填プロセスを通じて無菌状態を維持する能力を向上し且つバイアルを無菌環境内で組み立てる必要性を無くすことである。結果として、本発明の方法は、従来技術のバイアル及び充填システムに比べて処理時間及びコストを顕著に低減し、さらに、組み立て及び充填プロセスを通じて無菌性の保証を顕著に増加させる。
【0012】
本発明の他の効果は、以下の詳細な説明及び添付の図面を参照して、容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】薬剤バイアルのための従来技術の端キャップのいくらか模式的な部分分解組立断面図である。
【図2】本発明に用いられる再シール可能なキャップの断面部分分解組立図である。
【図3】図2の再シール可能キャップの断面部分分解組立図であり、バイアルに薬剤を導入するために端キャップを通って挿入された注入針及び又はシリンジ、及び薬剤を充填する間にバイアルを排気するために端キャップを通って挿入された排気針又はシリンジと共に示された図である。
【図4】本発明に用いられる再シール可能なキャップ及びバイアルの他の実施形態の断面図である。
【図5】再シール可能なキャップをバイアルに固定するための図4のクリンプ可能ロック部材の断面図である。
【図6】バイアル内にシールされるべき所定の薬剤と適合する加硫ゴムのような材料からできている、図4の再シール可能なキャップのベース部の断面図である。
【図7】充填針又は同様の器具をそれを通して挿入し且つ取り除いた後にキャップを気密シールするために熱エネルギーの印加に応じて溶融する材料で形成された、図4のキャップの再シール可能部の断面図である。
【図8】図7の再シール可能部の拡大された部分断面図であり、そこを通った針又は同様の器具を受け取る貫通可能部を示す図である。
【図9A】そこを通った充填針又は同様の器具の導入前に直接熱焼灼によってキャップの再シール可能部を無菌化するための、本発明の方法を描いたいくらか模式的な断面連続図である。
【図9B】そこを通った充填針又は同様の器具の導入前に直接熱焼灼によってキャップの再シール可能部を無菌化するための、本発明の方法を描いたいくらか模式的な断面連続図である。
【図9C】そこを通った充填針又は同様の器具の導入前に直接熱焼灼によってキャップの再シール可能部を無菌化するための、本発明の方法を描いたいくらか模式的な断面連続図である。
【図10】そこを通った充填針又は同様の器具の導入前にレーザ焼灼によってキャップの再シール可能部を無菌化するための装置のいくらか模式的な部分断面図である。
【図11】組み立てられたキャップ、バイアル、及びロック部材を所定の薬剤で充填する針のための本発明に用いられる装置のいくらか模式的な部分断面図である。
【図12A】そこからの充填針の引き抜き後に直接熱シールによってキャップの再シール可能部の貫通された領域を気密シールするための、本発明の方法を描いたいくらか模式的な断面連続図である。
【図12B】そこからの充填針の引き抜き後に直接熱シールによってキャップの再シール可能部の貫通された領域を気密シールするための、本発明の方法を描いたいくらか模式的な断面連続図である。
【図12C】そこからの充填針の引き抜き後に直接熱シールによってキャップの再シール可能部の貫通された領域を気密シールするための、本発明の方法を描いたいくらか模式的な断面連続図である。
【図12D】そこからの充填針の引き抜き後に直接熱シールによってキャップの再シール可能部の貫通された領域を気密シールするための、本発明の方法を描いたいくらか模式的な断面連続図である。
【図13A】そこからの充填針の引き抜き後にレーザシールによってキャップの再シール可能部の貫通された領域を気密シールするための、本発明の方法を描いたいくらか模式的な断面連続図である。
【図13B】そこからの充填針の引き抜き後にレーザシールによってキャップの再シール可能部の貫通された領域を気密シールするための、本発明の方法を描いたいくらか模式的な断面連続図である。
【図13C】そこからの充填針の引き抜き後にレーザシールによってキャップの再シール可能部の貫通された領域を気密シールするための、本発明の方法を描いたいくらか模式的な断面連続図である。
【図14】本発明に用いられる再シール可能ストッパを含むバイアルアセンブリの別の実施形態の断面図である。
【図15】本発明に用いられる再シール可能ストッパを含むバイアルアセンブリの別の実施形態の断面図である。
【図16】静脈注射又はその他の無菌物質のためと意図された薬剤の無菌充填のための従来の設備及び方法の図である。
【図17】本発明の他の局面に従った薬剤又はその他の無菌物質の無菌充填の方法の図である。
【図18】本発明に用いられる他の充填機の斜視図である。
【図19】ユーザに充填機の内部へのアクセスを可能にするグローブポートに搭載された一対のグローブと、充填機の無菌又は感染予防された内部へ及び内部から物品を移すための無菌転送ポートに搭載された無菌エンクロージャを規定するバッグとを含む、図18の充填機の斜視図である。
【図20】図18及び図19の充填機のいくらか模式的な斜視図である。
【図21】明瞭化のためにいくつかの部品が取り除かれた図18〜図20の充填機のいくらか模式的な部分断面図である。
【図22】図18〜図20の充填機のバリアの斜視図である。
【図23】明瞭化のためにいくつかの部品が取り除かれた図18〜図20の側面正立図である。
【図24】バリア部無しに描かれた図18〜図20の充填機のインフィードユニット及び充填ユニットの拡大斜視図である。
【図25】バリア部無しに描かれた図18〜図20の充填機のインフィードユニット及び充填ユニットの拡大斜視図である。
【図26A】バリア部無しに描かれた図18〜図20の充填機のインフィードユニット及び充填ユニットの拡大斜視図である。
【図26B】バリア部無しに描かれた図18〜図20の充填機のインフィードユニット及び充填ユニットの拡大斜視図である。
【図27】図26のインフィードユニットの更なる拡大部分斜視図である。
【図28】図27のインフィードユニットの一部の更なる拡大部分斜視図である。
【図28A】インフィードユニット内へ且つ今度は無菌充填機の充填ユニットのターンテーブルの上へのバイアルのトレイのインフィーディングを順に示す、図18〜図20の充填機のインフィードユニットの代替的な実施形態の部分斜視図である。
【図28B】インフィードユニット内へ且つ今度は無菌充填機の充填ユニットのターンテーブルの上へのバイアルのトレイのインフィーディングを順に示す、図18〜図20の充填機のインフィードユニットの代替的な実施形態の部分斜視図である。
【図28C】インフィードユニット内へ且つ今度は無菌充填機の充填ユニットのターンテーブルの上へのバイアルのトレイのインフィーディングを順に示す、図18〜図20の充填機のインフィードユニットの代替的な実施形態の部分斜視図である。
【図28D】インフィードユニット内へ且つ今度は無菌充填機の充填ユニットのターンテーブルの上へのバイアルのトレイのインフィーディングを順に示す、図18〜図20の充填機のインフィードユニットの代替的な実施形態の部分斜視図である。
【図28E】インフィードユニット内へ且つ今度は無菌充填機の充填ユニットのターンテーブルの上へのバイアルのトレイのインフィーディングを順に示す、図18〜図20の充填機のインフィードユニットの代替的な実施形態の部分斜視図である。
【図28F】インフィードユニット内へ且つ今度は無菌充填機の充填ユニットのターンテーブルの上へのバイアルのトレイのインフィーディングを順に示す、図18〜図20の充填機のインフィードユニットの代替的な実施形態の部分斜視図である。
【図28G】インフィードユニット内へ且つ今度は無菌充填機の充填ユニットのターンテーブルの上へのバイアルのトレイのインフィーディングを順に示す、図18〜図20の充填機のインフィードユニットの代替的な実施形態の部分斜視図である。
【図28H】インフィードユニット内へ且つ今度は無菌充填機の充填ユニットのターンテーブルの上へのバイアルのトレイのインフィーディングを順に示す、図18〜図20の充填機のインフィードユニットの代替的な実施形態の部分斜視図である。
【図28I】インフィードユニット内へ且つ今度は無菌充填機の充填ユニットのターンテーブルの上へのバイアルのトレイのインフィーディングを順に示す、図18〜図20の充填機のインフィードユニットの代替的な実施形態の部分斜視図である。
【図29】インフィードユニットへバイアル又はその他のコンテナをロードするために使用され得るトレイ配置の他の実施形態を描く図である。
【図30A】レーザシール及びそこで使用されるIRセンシングマニホールドの一つの実施形態を含む図18〜図20の充填機の充填ユニットの拡大斜視図である。
【図30B】レーザシール及びそこで使用されるIRセンシングマニホールドの一つの実施形態を含む図18〜図20の充填機の充填ユニットの拡大斜視図である。
【図30C】レーザシール及びそこで使用されるIRセンシングマニホールドの一つの実施形態を含む図18〜図20の充填機の充填ユニットの拡大斜視図である。
【図30D】レーザシール及びそこで使用されるIRセンシングマニホールドの一つの実施形態を含む図18〜図20の充填機の充填ユニットの拡大斜視図である。
【図30E】レーザシール及びそこで使用されるIRセンシングマニホールドの一つの実施形態を含む図18〜図20の充填機の充填ユニットの拡大斜視図である。
【図30F】レーザシール及びそこで使用されるIRセンシングマニホールドの一つの実施形態を含む図18〜図20の充填機の充填ユニットの拡大斜視図である。
【図31A】バイアルの上方に間隔を空けられた非駆動位置と、充填ステーション内部に位置してバイアルの再シール可能ストッパのそれぞれの針貫通領域を針が貫通して薬剤又はその他の物質でバイアルの内部チャンバを充填する駆動位置との間の針マニホールドの動きを順に示す、図30A〜図30Fの充填ユニットの針マニホールドの拡大斜視図である。
【図31B】バイアルの上方に間隔を空けられた非駆動位置と、充填ステーション内部に位置してバイアルの再シール可能ストッパのそれぞれの針貫通領域を針が貫通して薬剤又はその他の物質でバイアルの内部チャンバを充填する駆動位置との間の針マニホールドの動きを順に示す、図30A〜図30Fの充填ユニットの針マニホールドの拡大斜視図である。
【図31C】バイアルの上方に間隔を空けられた非駆動位置と、充填ステーション内部に位置してバイアルの再シール可能ストッパのそれぞれの針貫通領域を針が貫通して薬剤又はその他の物質でバイアルの内部チャンバを充填する駆動位置との間の針マニホールドの動きを順に示す、図30A〜図30Fの充填ユニットの針マニホールドの拡大斜視図である。
【図31D】バイアルの上方に間隔を空けられた非駆動位置と、充填ステーション内部に位置してバイアルの再シール可能ストッパのそれぞれの針貫通領域を針が貫通して薬剤又はその他の物質でバイアルの内部チャンバを充填する駆動位置との間の針マニホールドの動きを順に示す、図30A〜図30Fの充填ユニットの針マニホールドの拡大斜視図である。
【図31E】バイアルの上方に間隔を空けられた非駆動位置と、充填ステーション内部に位置してバイアルの再シール可能ストッパのそれぞれの針貫通領域を針が貫通して薬剤又はその他の物質でバイアルの内部チャンバを充填する駆動位置との間の針マニホールドの動きを順に示す、図30A〜図30Fの充填ユニットの針マニホールドの拡大斜視図である。
【図31F】バイアルの上方に間隔を空けられた非駆動位置と、充填ステーション内部に位置してバイアルの再シール可能ストッパのそれぞれの針貫通領域を針が貫通して薬剤又はその他の物質でバイアルの内部チャンバを充填する駆動位置との間の針マニホールドの動きを順に示す、図30A〜図30Fの充填ユニットの針マニホールドの拡大斜視図である。
【図31G】バイアルの上方に間隔を空けられた非駆動位置と、充填ステーション内部に位置してバイアルの再シール可能ストッパのそれぞれの針貫通領域を針が貫通して薬剤又はその他の物質でバイアルの内部チャンバを充填する駆動位置との間の針マニホールドの動きを順に示す、図30A〜図30Fの充填ユニットの針マニホールドの拡大斜視図である。
【図31H】バイアルの上方に間隔を空けられた非駆動位置と、充填ステーション内部に位置してバイアルの再シール可能ストッパのそれぞれの針貫通領域を針が貫通して薬剤又はその他の物質でバイアルの内部チャンバを充填する駆動位置との間の針マニホールドの動きを順に示す、図30A〜図30Fの充填ユニットの針マニホールドの拡大斜視図である。
【図32】図31A〜図31Hの針マニホールドに搭載され得る針の例のさらなる拡大斜視図である。
【図33A】図32の針のある実施形態の図である。
【図33B】図32の針のある実施形態の図である。
【図34】図31A〜図31Hの針マニホールドに搭載され得るペンシルポイントタイプの針の複数の断面図である。
【図35】図31A〜図31Hの針マニホールドに搭載され得る他の針の複数の断面図である。
【図36】図30A〜図30Fのレーザシール及びIRセンスマニホールドの拡大立面図である。
【図37A】図30A〜図30Fのレーザシール及びIRセンスマニホールドにて使用されるレーザ光学及びIRセンサアセンブリのある実施形態の斜視図である。
【図37B】図30A〜図30Fのレーザシール及びIRセンスマニホールドにて使用されるレーザ光学及びIRセンサアセンブリのある実施形態の斜視図である。
【図37C】図30A〜図30Fのレーザシール及びIRセンスマニホールドにて使用されるレーザ光学及びIRセンサアセンブリのある実施形態の斜視図である。
【図37D】図30A〜図30Fのレーザシール及びIRセンスマニホールドにて使用されるレーザ光学及びIRセンサアセンブリのある実施形態の斜視図である。
【図38】第1のスターホイール、ターンテーブル、及び第2のスターホイールを含む、図18〜図20の充填機の充填アセンブリの一部の正立図である。
【図39A】図18〜図20の無菌充填機のインフィードユニット内へコンテナのトレイを挿入するために使用される連続ステップの側面正立図である。
【図39B】図18〜図20の無菌充填機のインフィードユニット内へコンテナのトレイを挿入するために使用される連続ステップの側面正立図である。
【図39C】図18〜図20の無菌充填機のインフィードユニット内へコンテナのトレイを挿入するために使用される連続ステップの側面正立図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1に示すように、薬剤バイエルのための従来技術のキャップは、一般的に参照番号10と指定されている。キャップ10は加硫ゴムベース12を含み、これはバイアル14の開放端の内部にスライド可能に収容されている。バイアル14はガラス又は同様の材料からできており、薬剤を収容するチャンバ16を規定する。アルミのロックリング18がキャップ10及びバイアル14の周囲を取り囲み、所定の場所にクリンプされて、キャップをバイアルにロック可能に接続してシールする。
【0015】
動作において、皮下注射用の針(図示されず)が、チャンバ16の内部に薬剤を配置するために加硫ゴムベースを通って挿入される。ひとたび薬剤が配置されると、針はキャップ10から引き抜かれる。針の挿入に起因する穴は、加硫ゴムの弾性のためにその最大直径からいくらか縮むが、結果としての穴は、典型的には気体又は蒸気が通過できるほど十分に大きく、それによってチャンバ16内に収納されている保存剤を含まない任意の薬剤を危うくする。
【0016】
図2を見ると、熱で再シール可能なキャップ又はストッパが、一般的に参照番号110と示されている。キャップ110は、関連分野の当業者には既知である加硫ゴム又は同様の材料からできていて、ワクチンのような薬剤と接触して又はそうでなければそれへ露出して配置されたその端キャップ又はその部分の製造における使用のために許容可能な弾性ベース112を含んでいる。ベース112は、バイアル114の開放端の内部にスライド可能に収容されるような形状且つ寸法をした下側周囲壁115を規定する。バイアル114はガラス又は同様の材料からできていて、薬剤を収容するためのチャンバ116を規定する。キャップ110のベース112はさらに、やはりバイアル114の開放端の内部にスライド可能に受け取られるような形状且つ寸法をした上側周囲壁117と、周囲壁117の上端から外向きに突出している周辺シーリングフランジ118とを規定する。バイアル114はガラス又はその他の適切な材料からできていて、その上端に周辺フランジ120を規定する。図2及び図3に部分的に分解して示されているように、ベース112の周辺フランジ118は、バイアル114の周辺フランジ120とシーリング的に係合して、キャップとバイアルとの間の界面をシールする。ベース112はさらに、上側周囲壁117の内部に形成された上部リセス122と、周囲壁の上端から内向きに突出している環状リム124とを規定している。
【0017】
再シール可能部材126は、ベース112の上部リセス122の内部に固定されて収容されて、組み立てられたキャップ110を形成する。再シール可能部材126は、上部周辺フランジ128、環状凹部又はリセス130、及び環状リセス130のフランジに対して反対側に位置して且つリセスから外向きに突出しているベース132を規定する。図2及び図3に示されているように、再シール可能部材126の環状リセス130とベース132とは、ベース112の上部リセス122及び環状リム124の内部表面に相補的な寸法及び形状を有する(又はそれらのミラーイメージを規定する)。したがって、再シール可能部材126は、環状リム124が環状リセス130の内部に収容されて、それによってベースの内部に再シール可能部材を固定的に取り付けられるように、上部リセス122の内部に押し付けられ、スナップ留めされ、又はそうでなければ収容される。
【0018】
本発明の一つの実施形態では、再シール可能部材126は、KRATON(登録商標)としてクラトン・ポリマーズ及びGLSコーポレーションによって販売されているポリマ材料とENGAGE(登録商標)又はEXACT(登録商標)としてダウ・ケミカル社によって販売されているポリエチレンのような低密度ポリエチレンとのブレンドのような弾性ポリマ材料からできていて、あるいは、再シール可能ストッパの代替的な実施形態に関連して以下に記述される他の弾性ポリマ材料から形成されることができる。再シール可能部材126の重要な特徴は、それが針、シリンジ、又は同様の注入部材の再シール可能部材への挿入後に、空気を通さないシールを形成するように再シール可能であることである。好ましくは、再シール可能部材は、針によって穴が開けられたエリアを、関連分野の当業者には既知で且つさらに以下に記述される方法で加熱することによって、シールされることができる。上述のブレンドされたポリマの一つの効果は、KRATON(登録商標)自身に比べて、薬剤がポリマに吸収されることができる度合いを最小化することが知られている。
【0019】
上部周辺フランジ136及び下部周辺フランジ138を規定するアルミのロック又はクリンプリング134が、端キャップ110及びバイアル114の上に搭載される。ロックリング134は、関連分野の当業者には既知のタイプであり、端キャップをバイアルに固定して取り付け、ここで記述されるロックリングの機能を実行するために現在既知の又はこの後に既知になる様々な異なるロックリングのいずれの形状又は形態を取り得る。ロックリングの上部及び下部フランジ136及び138はそれぞれ、キャップ及びバイアルの隣接する表面に対してクリンプされるか又はそうでなければ押し付けられ、キャップのシーリングフランジをバイアルに対して押し付けて、それによってキャップとバイアルとの間に流体が通らず及び/又は気体が通らないシールを維持する。
【0020】
図3に示されるように、熱で再シール可能なキャップ110が、バイアルのチャンバ116内に薬剤を分配するために再シール可能部材126及び弾性ベース112を通って挿入された皮下注射用またはその他のタイプの針140とともに示されている。排気針142が同様に、薬剤がバイアル内に置かれるときに気体がバイアル114から脱出することを可能にするために、再シール可能部材126及び弾性ベース112を通って挿入されている。
【0021】
動作において、再シール可能部材126がベース112に挿入され、組み立てられた端キャップ110がバイアル114の開放端の中にスライド可能に挿入される。ロックリング134がそれから所定の位置にクリンプされてキャップ110をバイアルにロックし、キャップとバイアルとの界面に気体を通さないシールを維持する。組み立てられたキャップ110とバイアル114とは、関連技術の当業者には既知の方法でアセンブリをベータ及び/又はガンマ線照射に露出することによってのように、好ましくはそれから無菌化される。薬剤配置針140はそれから、針の自由端がバイアルのチャンバ116内に収容されるまで再シール可能部材126と弾性ベース112とを通って挿入され、それから薬剤をチャンバ内に配置する。排気針142は、液体薬剤がバイアルのチャンバ内に配置されるときに、気体をシールされたバイアルから排出するために、同様に再シール可能部材126と弾性ベース112とを通って挿入される。ひとたび薬剤がバイアルのチャンバ内に配置されると、針140及び142がキャップ110から引き抜かれ、以下にさらに記述されているように、熱又はその他のエネルギー源が、針140及び142によって穴が開けられた再シール可能部材126の部分に印加され、次に穿孔された領域をシールして、バイアル内の薬剤を気密シールする。
【0022】
図4〜図8において、他の再シール可能キャップが、一般的に参照番号210で示されている。再シール可能キャップ又はストッパ210は、本質的に前述のキャップ110と同じであり、したがって、数字「1」の代わりに数字「2」で始まる同様の参照番号が、同様の要素を示すために使われている。図4及び図6に一番よく示されているように、キャップのベース212は、その上側周囲壁217の内側に環状溝230を規定している。図4及び図7に一番よく示されているように、再シール可能部材226は、そのベース232の周状表面に、ベース212の対応する環状溝230の内側に摩擦的に収容されるような寸法を有する環状の凸部又は突起224を規定し、それによって再シール可能部材をベースに固定的に取り付ける。図6に示されているように、ベース212はさらに、その下側周囲壁215の外側部に、お互いに軸方向に間隔を空けた複数の環状の凸部又は突起244を規定し、バイアル214の内壁に摩擦的に係合して、それによってキャップをバイアルの内部に固定して取り付け、キャップとバイアルとの間の気密シールを維持することを容易にする。図7及び図8に一番よく示されているように、再シール可能部材226は、さらに以下に記述されるように、その頂部表面に、充填針又は同様の器具を収容するための円形表面部248をその中に規定する環状の凸部又は突起246を規定する。図5に示されるように、ロック又はクリンプリング234は、その上側部に、再シール可能部材226の環状凸部246をそこを通って収容するための中央開口250を規定する。
【0023】
好ましくは、再シール可能キャップ210とバイアル214とが組み立てられ、ロックリング234が、上述のように且つ図4に示されるように、任意の薬剤又は他の流体をバイアルに導入する前に、所定の位置にクリンプされる。それから、一つ又はそれ以上の空のキャップ/バイアルアセンブリが、本発明者の共通に所有している「物体、転送ポケット、及びエンクロージャを転送する方法」という名称の米国特許第5,186,772号、及び/又は2002年9月10日付けで出願された「無菌アイテムを転送するための転送ポート及び方法」という名称の米国特許出願第10/421,249号の教示に従って、囲まれ、無菌化され、移動され得る。これらの各々は、本開示の一部として明示的に参照によってここに援用される。空のキャップ/バイアルアセンブリは、閉じられた内部バッグ又は「ポケット」の中に置かれ、望まれるならば無菌インディケータが与えられる。それから、内部ポケットは、その周状表面に環状溝を規定するシーリングフレームを含む転送ポケットの中に配置される。転送ポケットは、フレームの表面上に延ばされて、転送ポケットの上に置かれた弾性バンドによって閉じられて、周辺溝の中に収容される。転送ポケットは同様に、その中に無菌インディケータを含み得る。好ましくは、組み立てられた転送及び内部ポケットは「外部」ポケットの中にシールされ、組み立てられたポケットは、ガンマ線照射への露出によるようにして無菌化の対象になり、ポケット及びポケット内部の空のキャップ/バイアルアセンブリを無菌化する。転送ポケットはそれから、無菌化されたアセンブリを汚染することなく、無菌化されたアセンブリを充填システムに貯蔵及び/又は移動するために使われることができる。
【0024】
上述の特許及び特許出願にさらに記述されているように、充填システムは無菌エンクロージャの内部に置かれ、空のバイアルが、外部ポケットを除去し且つ廃棄し、転送ポケットのシーリングフレームをエンクロージャの窓又は転送ポートに接続することによって、エンクロージャの中に導入される。上述の特許及び特許出願にさらに記述されているように、接着性材料が、好ましくはシーリングフレームの上に重畳されて、転送ポケットを充填システムエンクロージャの転送ポケットに固着する。キャップ/バイアルアセンブリの充填システムエンクロージャの中への開放に先立って、バイアル/キャップアセンブリの無菌状態が貯蔵及び転送の間に維持されることを確実にするために、無菌化インディケータが好ましくはチェックされる。上述の特許及び特許出願にさらに記述されているように、フレームの上に位置している転送ポケットの部分がそれから切り取られ、同時にトリミングされた表面に沿って無菌化されて、その上の微生物又は細菌を絶滅させ、且つ内部ポケットが転送ポートを通ってエンクロージャ内に収容されることを可能にする。
【0025】
ひとたびエンクロージャ内に収容されると、内部ポケットが開けられて、空のキャップ/バイアルアセンブリが取り除かれて、無菌エンクロージャ内に置かれた充填機にロードされる。ひとたび充填機内にロードされると、各々の空のキャップ/バイアルアセンブリの再シール可能部材226が、充填プロセスの間に汚染物質がバイアル内に入らないことをさらに確実にするために、再び無菌化され得る。本発明のいくつかの実施形態に従って、再シール可能部材226は、直接熱焼灼又はレーザあるいは他の照射焼灼のいずれかによって、この段階で無菌化される。
【0026】
図9A〜図9Cに示されるように、熱の印加によって再シール可能キャップを焼灼する装置は、一般的に参照番号252によって示されている。装置252は、バイアル支持256の上に搭載されたハウジング254を備えている。バイアルサポート256は、単一のバイアルを保持するように適合され得て、又は好ましくは、複数のバイアルを保持するように適合される。複数のバイアルを保持するように適合された支持の実施形態は、その中にバイアルを収容するチャンネル258と、チャンネルの上端に形成されてバイアルのフランジ220をその上に支持する一対の対向するショルダ260とを規定する。望まれるならば、振動ドライブ(図示されず)がサポート256に駆動的に接続されて、支持を振動させ、それが次にチャンネルを通じて所定の速度でバイアルを動かす。しかし、ここの教示に基づいて関連技術における当業者によって認識され得るように、現時点で既知の又は後に既知になる数多くの異なる駆動システムのいずれかが、充填機を通じてバイアルを動かすために等しく使用され得る。
【0027】
ハウジング254は、ハウジングの自由端に形成されて各ロック部材234の上部フランジ表面236にシーリング的に係合する周辺シーリング表面262を規定する。図9Bに最もよく示されているように、周辺シーリング表面は、ロック部材を通して形成されてキャップの再シール可能部材226の貫通可能領域248を露出する開口250を囲んでいる。好ましくは、周辺シーリング表面262は、ハウジングとキャップとの間に実質的に流体を通さないシールを形成する。加熱表面264は、ハウジングの中央支持266の自由端から外向きに突出し、再シール可能部材の貫通可能表面248に接触して、表面を焼灼する。環状導管268が加熱表面264の周囲の周りに延在して、真空源270に流体連通的に結合され、図面中に矢印で示されているように、導体を通じて空気を焼灼された表面から引き離す。ハウジング254はドライブ源272に駆動的に接続されて、図面中に矢印で示されているように、ハウジングを動かし、これにより加熱表面264を露出された貫通可能表面部248に係合させ且つそこから離す。ここの教示に基づいて関連技術における当業者によって認識され得るように、駆動源272は、空気圧式ドライブ、又はソレノイド駆動、あるいは他のタイプの電気的ドライブのように、ここで記述されたような駆動源の機能を実行する現時点で既知の又は後に既知になる数多くの異なる駆動源のいずれかの形態を取り得る。同様に、加熱源264は数多くの異なる形状及び構成のいずれかの形態を取り得て、また、電気抵抗ヒータ(又は「ホットワイヤ」)によってのように、現時点で既知の又は後に既知になる数多くの異なる方法のいずれかで加熱され得る。しかし、好ましくは、加熱源264は、キャップの貫通可能表面領域248の所望の形状及び輪郭に対応した表面形状及び輪郭を規定する。
【0028】
装置252の動作において、図9Aに典型的に示されているように、各バイアルは最初に、焼灼ステーションの中に、再シール可能部材226の貫通可能表面領域248を加熱表面264に位置合わせして導入される。それから、駆動源272が駆動されて、ハウジング254を、周辺シーリング表面262がそれぞれのロック部材234の上部フランジ表面236とシーリング的に係合し、同時に加熱表面264が再シール可能部材226の露出された貫通可能表面部248に係合するまで、下向きに駆動する。加熱表面264は所定の温度に維持され、露出された表面部を焼灼するのに十分な所定の時間期間の間、露出された表面部248と接触状態に保持される。図7及び図8に示されるような再シール可能部材226の構成の一つの利点は、焼灼プロセスが環状突起246を加熱表面の輪郭に合った輪郭に変形し、これによりオペレータ(あるいは光学的又はその他の自動センシングシステム)が、各キャップが充填前に適切に焼灼されたかどうかを視覚的に判定することを可能にする点である。図9Cに示されているように、露出された表面の焼灼後に、駆動源272が駆動されて、ハウジング254を上向きに動かしてキャップとの係合を外し、別のバイアルがハウジングの下に動かされて、全てのバイアルが焼灼されるまでプロセスが繰り返される。さらに下に述べられるように、図9A〜図9Cの焼灼ステーションを出るときに、バイアルは好ましくはそれから充填ステーションに移動されて、無菌化されたバイアルを迅速に充填する。ダニエル・プイに対して1997年6月24日付けで発行された米国特許第5,641,004号に記述されているように、あるいは以下に実施形態に関して説明されるように、焼灼及び充填ステーションは好ましくは無菌エンクロージャ内部に搭載され、気体の層流がエンクロージャ内を流れて、無菌条件の維持を容易にする。この特許は、本開示の一部として参照によって明示的にここに援用される。
【0029】
本発明のある実施形態では、加熱表面の温度は約250℃〜300℃の範囲内で、サイクル時間(すなわち、その間に加熱表面が再シール可能部材の露出表面248との接触を維持される時間期間)は約1.0〜3.0秒の範囲内である。本発明者は、これらの温度及びサイクル時間が、生物負荷試験において少なくともおよそ6logの低減を達成し得て、それによって表面を効果的に無菌化すると決定している。
【0030】
図10において、再シール可能キャップを焼灼する代替的な装置が、一般的に参照番号274にて示されている。この装置274は、図9A〜図9Cの装置252からは、再シール可能部材の充填エリアを無菌化するために必要とされる熱エネルギーがレーザによって供給される(ここでは「レーザ焼灼」と称される)という点で異なっている。レーザ焼灼装置274は、バイアル/キャップアセンブリの上方に搭載されたスキャンミラー278に光学的に結合されたレーザ又はその他の適切な照射源276を備えている。図10には示されていないが、以下にさらに記述されるように、各バイアルを薬剤で充填する前に再シール可能キャップが連続して急速に焼灼されることを可能にするために、バイアルは好ましくは、図9A〜図9Cに示されるものと同じタイプのサポートの内部に搭載される。
【0031】
本発明のある実施形態では、レーザ276は、商業的に入手可能なCO又はYAGレーザである。COレーザは、約10.6μmの波長で動作する。この波長において、レーザエネルギーの吸収は材料の電気導電率によって支配される。したがって、再シール可能部材226のエラストマ材料のような絶縁材料は、入射エネルギーの大半を吸収して熱エネルギーに変換し、受領表面248を焼灼する。YAGレーザは、約1.06μmの波長で動作する。この波長において、吸収は格子原子によって支配される。これより、イオン化をほとんどしないクリアな又は透明なポリマは、レーザビームに対して透過性を有する。したがって、YAGレーザの使用時には、レーザエネルギーの吸収を増すために、関連技術における当業者には既知の方法で再シール可能部材のエラストマ材料に着色剤を添加することが望ましい。YAGエネルギーの顕著な利点は、再シール可能部材の貫通可能領域の表面層、及びその上のあらゆる微生物、バクテリア、又はその他の汚染物質がプラズマに転換され、影響を受ける表面が急速且つ完全に無菌化されることである。必要であれば、オペレータが不必要なUV照射を受けることを妨げるために、装置のエンクロージャの表面にUV浸透コーティングを施してもよい。
【0032】
本発明者は、約15〜30Wの範囲のビームエネルギーがエラストマ再シール可能部材の表面248を効果的に焼灼するために十分であることを例証している。加えて、生物負荷試験が、約20W又はそれより大きいレーザエネルギーが6.0logの低減を達成し得ることを例証している。これらのエネルギーでは、装置は、約0.5秒のサイクル時間以内で表面248を効果的に焼灼し得る。したがって、本発明のレーザ焼灼方法の顕著な効果は、様々な直接的な熱的方法よりも著しく短いサイクル時間を伴い得る点である。本発明の方法のさらに他の効果は、非接触な方法及び装置の両方が関与し、したがって接触ヘッド又は同様の加熱表面のクリーニングを考える必要が無い点である。
【0033】
図11に移ると、各バイアルの再シール可能部材226の直接熱又はレーザ焼灼の後に、バイアルは充填ステーション280内の支持256の内部へ(振動ドライブによってのようにして)移動される。充填ステーション280は針又は同様の注入部材282を含んでおり、これは、図11に矢印によって示されているように支持256の上方に往復運動可能に、且つそこを通過する各バイアル/キャップアセンブリの再シール可能部材226の貫通可能領域248に軸方向に位置合わせされて搭載される。駆動源284が針280に駆動可能に接続され、針282を往復駆動して各キャップ210と係合させたり外したりさせる。薬剤又はその他の調剤のリザーバ286が針282と流体連通して結合され、所定の薬剤又はその他の調剤を針を通じてバイアル内に導入する。本発明のある実施形態では、針282はそこに複数の流体導管を規定し、これは、図11に矢印によって示されているように所定の薬剤又はその他の調剤をバイアル内に注入するための第1の流体導管288と、所定の薬剤又はその他の調剤によるキャビティの充填前及び/又はその間にバイアルの内部キャビティ216から空気又はその他の気体を排出するために真空源292と流体連通的に結合された第2の流体導管290とを含む。本発明の図示されている実施形態では、針282は「二重管腔」針であり、所定の薬剤又はその他の調剤をバイアル内へ注入するための中央流体導管288と、バイアルの内部キャビティからの置換された空気又はその他の気体を排出するための外側環状流体導管290とを規定している。
【0034】
図12A〜図12Dに示されているように、バイアルを薬剤又はその他の調剤で充填して針282をキャップ210から引き抜いた後に、キャップの貫通された領域は、引き抜かれた針の通路に沿って針穴294を規定する(図12B)。針の引き抜きに際して、キャップの加硫ゴム及び/又は熱可塑性材料は十分に弾性的であり、貫通された領域にてそれ自身で閉じて、それによってバイアルをシールされた状態に維持する。しかし、上述のように、蒸気、気体、及び/又は液体は時間と共に針穴を通過し得て、したがって、各バイアル/キャップアセンブリは、図12Cに典型的に示されるようにシールステーションを通過して、キャップの再シール可能部226を、そこからの針の引き抜き後に迅速に熱シールすることができる。図12Cに典型的に示されているように、加熱部材又は表面264は、充填ステーションの内部に収容されたバイアル/キャップアセンブリの貫通可能領域248の上方に、且つそれと軸方向に位置合わせされて、往復運動可能に搭載される。駆動源272は、加熱部材264に駆動的に接続され、加熱部材を往復駆動させて各キャップの再シール可能部材と係合させたり外したりさせる。図12Cに典型的に示されているように、加熱部材264は十分な温度に維持され、且つ再シール可能部材226の貫通された領域と係合状態に維持されて、エラストマ材料を溶融して針穴294を気密シールする。結果として、図12Dに典型的に示されているように、針穴は再シール可能部材の外側領域から排除されて、それによってキャップとバイアルとの間の気密シールを維持する。
【0035】
ここの教示に基づいて関連分野の当業者によって認識され得るように、図12A〜図12Dの駆動源及び加熱部材/表面は、上述のように数多くの異なる駆動源及び加熱部材の何れかの形態を取り得る。しかし、図12Cに典型的に示されているように、加熱部材264は、充填前にキャップの貫通可能領域を焼灼するための上述の加熱部材/表面よりも小さい幅を規定し得る。加えて、シールのための加熱部材264の温度は、貫通された領域を急速に溶かしてシールするために、上述の加熱部材よりも高くても良い。本発明一つの効果は、ベースが加熱領域をバイアル内の薬剤から熱的に絶縁し、それによってバイアル内の薬剤を焼灼及び熱シールプロセスの間を通して適切な温度範囲内に維持し、それによって薬剤に対する任意の熱的ダメージを避けることである。
【0036】
あるいは、図13A〜図13Cに示されているように、レーザ源276及びスキャンミラー278を使用して、再シール可能部材の貫通された領域294/248を熱シールしても良い。したがって、先に述べたものと同じタイプのレーザ源276及びスキャンミラー278を熱シールステーションにて使用してこの機能を実行してもよく、又はあるいは、以下にさらに説明するように、異なるタイプのレーザシステムを使用しても良い。本発明のある実施形態では、約50WのCOレーザを使用して、再シール可能キャップの直径約0.10インチの領域をシールする。
【0037】
図14は、他のバイアルアセンブリを示す。このバイアルアセンブリは、再シール可能キャップアセンブリ1010とともに、一般的に参照番号1000で示されている。バイアルアセンブリ1000は、所定の薬剤を貯蔵するためのチャンバ1016を規定する円筒形ボディと、スナップオンベース1013と、ネック1014とを有する。キャップ1010は、キャップ又はストッパ部材1012と、キャップ又はロックリング又は部材1050と、スナップオフ・タンパプルーフカバー1040とを備える。キャップのストッパ部材1012は周辺フランジ1018を規定し、これは、貯蔵バイアルのネック1014と係合するように適合され構成されている。ストッパ部材1012は、バイアルボディの内部チャンバ内に所定の薬剤を収納するための第1の主シールを提供する。見ることができるように、バイアルのネック1014は先細の環状突起1017を規定し、これは、上に重なるストッパ材料に軸方向に突出し、それによってストッパとバイアルとの間の気密シールをさらに効果的なものにする。
【0038】
キャップ又はロック部材1050は外周フランジ1052を有し、これはその内側表面の上にショルダ1054を規定する。ショルダ1054は、ネック1014の下側表面1020との係合をインターロックするように適合され構成されている。キャップ1050は、プラスチックのような、比較的フレキシブルな非金属材料からできている。キャップ又はロック部材1050は中央開口を規定し、これは、ストッパ部材1012が針又は同様のドライブによってそこを通ってアクセスされることを可能にする。カバー1040は、ロック部材1050の中央開口に重なり且つロック部材と係合し、それによって露出されたストッパ材料を保護するように構成されている。ここに示されている実施形態では、カバー1040は、プレスフィットによってロック部材1050と係合している。カバー1040はさらに、その下側に先細の環状突起1057を規定し、これは、隣接するストッパ材料にプレスされて係合して、それによってカバー1040とストッパ1012との間の気密シールをより効果的なものにする。好ましくは、カバー1040は、カバーを壊さずにバイアルから取り外すことができず、これよりさらに不正開封防止の特徴を与える。あるいは、不正開封防止の特徴は、カバー1040をロック部材1050に係合するために超音波溶接、接着、又はその他の接続技法を使用して、ひとたび取り外されるとカバー1040がロック部材1050に再係合できないように生成されることができる。
【0039】
図15は、一般的に参照番号1100によって示されたバイアルアセンブリの他の実施形態を示す。バイアル1100は、図14を参照して上記で説明されたバイアルと、多くの点で同様であり、したがって、数字「10」の代わりに数字「11」で始まる同様の参照番号が、同様の構成要素を示すために使用されている。上記で説明されたバイアルと比較したバイアル1100の主な相違点は、ロック部材1110が、バイアルボディのネック1114に、超音波溶接によってのように溶接されている点である。加えて、フリップトップ又はカバー1140が、ロック部材1150に、超音波溶接によってのようにタック溶接されている。ストッパ1112は環状フランジ1118を規定し、バイアルボディのネック1114は、ストッパフランジ1118の片側に突出している先細の環状突起1117を規定し、ロック部材1150はストッパフランジ1118の反対側に突出している他の環状突起1119を規定する。これより、環状突起1117及び1119が連続した環状シーリング表面を規定し、これがストッパとバイアルボディとの間の気体を通さない又は気密シールを効果的なものにすることを容易にする。ネック1114は、その軸面に先細の環状突起1121を規定し、これが、ロック部材1150の下側に規定された対応する環状リセス1123の中に収容される。環状突起1121は、例えば超音波溶接によって、環状リセス1123の内部のロック部材1150に溶融され、それによってロック部材をバイアルボディに固定して取り付ける。加えて、環状溶接は、好ましくはロック部材とバイアルボディとの間に気体を通さない又は気密シールを規定し、バイアルの内部と周囲雰囲気との間の気体を通さない又は気密シールをさらに効果的なものにする。
【0040】
ロック部材1150はさらに、その遠端に、ロック部材1140の下側の内部に形成された対応するリセス1168内に収容される複数の別々の半径方向に延在している突起1166を規定している。これらの突起1166は、リセス1168内部のカバー1140に、例えば超音波溶接によって溶融され、それによってカバー1140とロック部材1150との間の複数の壊れやすい接続を規定する。あるいは、突起1166’はカバーのフランジ1142のベースに形成されてもよく、ロック部材の環状リセス1170内に形成された対応するリセス1168’内に溶融されてもよい。バイアルボディのベースは先細の環状突起1115を規定してもよく、この突起はベース1113に形成された対応する環状リセスの内部に収容されて、例えば超音波溶接によってのようにして、ベースをボディに固定して取り付ける。
【0041】
図14及び図15に描かれたタイプのバイアルアセンブリは、2003年9月3日に出願された「シールされたコンテナ及びそれを製造し且つ充填する方法」という名称の米国特許出願第10/655,455号にさらに詳細に開示されており、これは、本開示の一部としてここに明示的に参照によって援用される。
【0042】
図14及び図15の再シール可能ストッパ及びバイアルアセンブリの一つの効果は、カバー1040、1140が下に位置するロック部材1050、1150に気密シールされ得て、それによってロック部材1050、1150及びカバー1040、1140の内部のストッパ1012、1112を周囲雰囲気に関してシールしてもよい。本発明の好適な実施形態の一つの局面にしたがって、重ね置きされているロック部材とカバーとは、バイアル又はその他のコンテナ内に収納された任意の薬剤又はその他の物質のそれを通っての損失、あるいは、例えば貯蔵、輸送、及び/又は製品貯蔵寿命の間におけるバイアル又はその他のコンテナへの湿気又は蒸気の侵入の防止を容易にするために、再シール可能ストッパ自身の材料に比較して、比較的に堅固な材料、及び/又は湿気及び蒸気の通過に対して比較的高い抵抗を有する材料から形成されることができる。
【0043】
これより、本発明の現時点で好適な実施形態において、各々のシール可能なキャップ110、210、又はストッパ1012、1112は、針で貫通可能でそこを通った針開口を形成する針貫通領域を規定する熱可塑性材料でできており、熱で再シール可能で、所定の波長及びパワーのレーザ照射のそこへの印加によって針開口を気密シールする。各々のキャップ110、210、又はストッパ1012、1112は、(i)その軸方向における所定の壁厚、(ii)所定の波長のレーザ照射を実質的に吸収し且つ照射の所定の壁厚の通過を妨げる所定の色及び透明度、及び(iii)所定の波長及びパワーのレーザ照射が、その針貫通領域に形成された針開口を、所定の時間期間で且つキャップの針貫通領域及び/又はカバー部を焦がすことなく(すなわち、材料の分子構造又は化学的性質に不可逆変化を生じることなく)気密シールさせる所定の色及び透明度、を規定する熱可塑性ボディ126、226、1012、1112を含む。いくつかの実施形態では、所定の時間期間は約2秒であり、好ましくは約1.5秒より短いか又はそれに等しく、最も好ましくは約1秒より短いか又はそれに等しい。これらの実施形態のいくつかでは、レーザ照射の所定の波長は約980nmであり、各レーザの所定のパワーは好ましくは約30ワットより小さく、好ましくは約10ワットより小さいか又はそれに等しく、あるいは約8〜10ワットの範囲内である。また、これらの実施形態のいくつかでは、材料の所定の色はグレーであり、所定の透明度は、ストッパ材料に約0.3重量%〜約0.6重量%の範囲内の量だけ加えられたダークグレーの着色料(又は色素)によって規定される。
【0044】
上述の熱可塑性材料に加えて、熱可塑性材料は、好ましくはKRATON(登録商標)あるいはDYNAFLEX(登録商標) G2706−10000−00又はGLS230−174(ショアA=30)のようなKRATON(登録商標)又はDYNAFLEX(登録商標)のトレードマークのいずれかで販売されている材料のようなスチレンブロックコポリマである第1の材料と、好ましくはEXACT(登録商標)8203又はGLS230−176(ショアA=42)のようなENGAGE(登録商標)あるいはEXACT(登録商標)のトレードマークのいずれかで販売されている材料のようなオレフィンである第2の材料と、のブレンドであってもよい。いくつかの熱可塑性材料では、第1及び第2の材料は、重量比で約50:50から重量比で約90:10の範囲内、最も好ましくは重量比で約90:5(すなわち第1の材料:第2の材料)でブレンドされる。第1の材料自身に対する好適なブレンドの利点は、改良された水分又は蒸気バリア特性、及びこれより改良された製品貯蔵寿命、改善された熱シール性、低減された摩擦係数、改善されたモールド性又はモールド流れ速度、及びヒステリシス損失の低減である。
【0045】
あるいは、再シール可能ストッパの熱可塑性材料は、イリノイ州マックヘンリのGLSコーポレーションによってLC254−071という商品番号で販売されているスチレンブロックコポリマの形態を取り得る。このタイプのスチレンブロックコポリマ化合物は、およそ以下の物理的性質を示す;(i)ショアA硬さ:約28〜29、(ii)比重:約0.89g/cm、(iii)色:およそグレーからダークグレー、(iv)300%係数、流れ方向:約181〜211psi、(v)破壊時の引っ張り応力、流れ方向:約429〜498psi、(vi)破壊時の伸び、流れ方向:約675%〜約708%、及び(vii)破壊強度、流れ方向:約78〜81ポンド重/インチ。
【0046】
これらの熱可塑プラスチックの各々では、熱可塑プラスチックの所定の色及び透明度は約3%の色濃縮物にて供給された(すなわち天然樹脂又はTPEに対して約33:1の濃度比がある)グレー着色剤によって規定される。色濃縮物は約88.83%のキャリア又はベース樹脂を含み、残りは色素であって、この色素はグレーカーボンブラックである。これより、色素は、結果として得られる熱可塑プラスチックの約0.34重量%である。
【0047】
加えて、所望であれば、熱可塑部の針貫通領域を針又はその他の充填部材で貫通する際の粒子の形成を妨げるか又はそうでなければ低減するために、関連分野の当業者に既知のタイプの潤滑剤が、上述の熱可塑性化合物の各々の中に添加され又は含まれても良い。ある熱可塑部、潤滑剤は鉱油であり、スチレンブロックコポリマ又はその他の熱可塑性化合物に、それを針又はその他の充填部材で貫通する際の粒子の形成を妨げるか又は実質的に妨げるために十分な量だけ添加される。他の熱可塑部では、潤滑剤は、ダウ・コーニング・コーポレーションによって「360Medical Fluid,350CST」として販売されている液体シリコーンのようなシリコーン、あるいはシリコーン油であって、スチレンブロックコポリマ又はその他の熱可塑性化合物に、それを針又はその他の充填部材で貫通する際の粒子の形成を妨げるか又は実質的に妨げるために十分な量だけ添加される。あるそのような実施形態では、シリコーン油は、約0.4重量%〜約1重量%の範囲内、及び好ましくは約0.4重量%〜約0.6重量%の範囲内、及び最も好ましくは約0.51重量%〜約0.5重量%の範囲内の量で含まれる。
【0048】
以下にさらに記載されるように、ストッパを貫通する針の構造、針/ストッパ界面で形成される摩擦力、及び/又はストッパを通した針のストロークは、ストッパを針で貫通する際の粒子の形成をさらに低減するか又は実質的に妨げるために、さらに制御されることができる。
【0049】
また、針貫通可能で且つレーザで再シール可能なストッパは、(i)約80重量%から約97重量%(例えば上述のように95重量%)の範囲内の上述のような任意のスチレンブロックコポリマのようなスチレンブロックコポリマ、(ii)約3重量%から約20重量%(例えば上述のように5重量%)の範囲内のエチレンアルファオレフィン、ポリオレフィン、又は上述のようなオレフィンのいずれかのようなオレフィン、(iii)レーザエネルギーを吸収し、その照射を熱に変換し、ストッパ材料を、約2秒よりも短い、より好ましくは約1.5秒よりも短い、且つ最も好ましくは約1秒よりも短い時間期間で、好ましくは針穴の深さの少なくとも約1/3〜約1/2に等しい深さまで溶かすために十分な量だけ添加された色素又は着色剤、及び(iv)ストッパの針貫通の間に針/ストッパ界面での摩擦力を実質的に低減し、それが今度は粒子形成を実質的に妨げるために十分な量だけ添加された、上述のような鉱油、液体シリコーン、又はシリコーン油のような潤滑剤、を備える。
【0050】
本発明の更なる局面によれば、粒子の形成を低減及び/又は排除するための上述のパラメータの一つ又はそれ以上の制御(すなわち、熱可塑性化合物にシリコーン又はその他の潤滑剤を含めること、且つ針の構造、針/ストッパ界面の摩擦の度合い、及び/又はストッパ内での針ストロークを制御すること)に加えて、粒子形成を低減及び/又は排除するために再シール可能ストッパの熱可塑性化合物の差動伸びが選択される。
【0051】
これより、針貫通可能で且つレーザで再シール可能なストッパは、(i)約80重量%から約97重量%の範囲内で且つ第1の伸びを規定する第1の熱可塑性材料、(ii)約3重量%から約20重量%の範囲内で且つ第1の材料の第1の伸びよりも少ない第2の伸びを規定する第2の熱可塑性材料、(iii)レーザエネルギーを吸収し、その照射を熱に変換し、ストッパ材料を、約2秒よりも短い、より好ましくは約1.5秒よりも短い、且つ最も好ましくは約1秒よりも短い時間期間で、好ましくは針穴の深さの少なくとも約1/3〜約1/2に等しい深さまで溶かすために十分な量だけ添加された色素又は着色剤、及び(iv)ストッパの針貫通の間に針/ストッパ界面での摩擦力を実質的に低減し、それが今度は粒子形成を実質的に妨げるために十分な量だけ添加された、上述のような鉱油、液体シリコーン、又はシリコーン油のような潤滑剤、を備える。
【0052】
また、第1の材料は、第2の材料よりも低い融点(又はVicat軟化温度)を規定する。ここで記述される再シール可能なストッパのいくつかでは、第1の材料は上述のようなスチレンブロックコポリマの何れかのようなスチレンブロックコポリマであり、第2の材料は上述のようなエチレンアルファオレフィン、ポリオレフィン、又はオレフィンのいずれかのようなオレフィンである。また、好適な再シール可能なストッパにおいて、第1の材料は、10ポンド重で少なくとも約75%の伸び(すなわち10ポンド重に対して70%の長さの伸び)、好ましくは少なくとも約85%、且つ最も好ましくは少なくとも約90%の伸びを規定し、第2の材料は、10ポンド重で少なくとも約5%の伸び、好ましくは少なくとも約10%、最も好ましくは少なくとも約15%あるいは約15%〜約25%の範囲内の伸びを規定する。上述の材料に関して、10ポンド重における各々の伸びは、およそ以下の通りである;(1)GLS230−176(ショアA=42) 14.35%〜16.42%、(2)Exact8203(ショアA=40) 17.87〜19.43%、(3)GLS230−174(ショアA=30) 81.67%〜83%(約9〜9.5ポンド重)、及び(4)DynaflexG2706(ショアA=30) 76.85%〜104.95%。加えて、Engage8400に対するVicat軟化点又は温度は約41℃であり、Exact8203に対しては約51℃である。
【0053】
さらに以下に記述されるように、本発明に従ってストッパを貫通するために使用される針の現時点で好適な実施形態は、好ましくは円錐状に先細の非コア先端(すなわち「ペンシルポイント」先端)を規定し、断面における先端の内包角は、約15度〜約25度の範囲内、好ましくは約18度〜約22度、最も好ましくは約20度である。スムーズで鋭くとがって次第に増加する針先端角度は、ストッパ貫通時に針穴の比較的滑らかな且つゆるやかな拡張を許容する。さらに、好適な熱可塑性ブレンドのメモリは、針をそこから引き抜くときに実質的に針穴を自身で閉じさせ、これより再シールのためのレーザビームの必要入射面積を減少させ、サイクル時間を減らす。加えて、これは、針の充填とレーザ再シールとの間のバイアル内部の汚染の可能性をさらに低減する。望まれるならば、ストッパ表面はテフロン(登録商標)コートされ得て、あるいはそうでなければ低摩擦材料でコーティングされてさらに摩擦を減らし、これにより針/ストッパ界面での粒子の形成を減らす。針先端はさらに、お互いに対して針の両側に、軸方向に長円の流れ開口を規定する。現時点で好適な実施形態では、針は約15ゲージ(すなわち直径0.072インチ)である。
【0054】
好ましくは、針/ストッパ界面は、その間の摩擦の度合いを低減するように処理されて、針ストローク間の粒子の形成をさらに減らす。本発明のある実施形態では、針はタングステンカーバイドカーボンでコーティングされている。他の実施形態では、針は電解研磨されたステンレス鋼である。別の実施形態では、針はテフロン(登録商標)コートされている(この実施形態は、タングステンカーバイドカーボンでコーティングされた実施形態よりも針/ストッパ界面で大きな摩擦力を生じたけれども)。さらに他の実施形態では、針はチタンコートされて、針/ストッパ界面での摩擦を低減する。さらに、本発明のいくつかの実施形態では、針のストローク深さは、粒子の形成をさらに低減するように設定される。一つのそのような実施形態では、針ストロークの底で、針の流れ開口がストッパの底壁の下方に、それに隣接又は接触して間隔を空けられている(すなわち各々の穴の上流端がストッパの底壁の内側表面に隣接している)。一つのそのような実施形態では、針先端はストッパの底壁の内側表面を越えて、約1〜約5cmの範囲内の深さ、好ましくは約1〜約3cmの範囲内、最も好ましくは約1.5cmの深さまで貫通する。
【0055】
バイアルの各々は、再シール可能ストッパを使用するバイアル又はその他のディスペンサを形成するために現時点で既知の又は後に既知になる様々な異なる材料のいずれかでできていてもよい。例えば、バイアルはガラスでできていたり、ニュージャージー州サミットのティコナ社からTOPAS(登録商標)というトレードマークで販売されている熱可塑性材料のような熱可塑性材料からできていたりする。また、TOPAS(登録商標)材料は、以下の製品コード;5013、5513、6013、6015、及び8007のいずれかで販売されていて、環状オレフィンコポリマ及び/又は環状ポリオレフィンである。
【0056】
ここの教示に基づいて関連分野の当業者には認識されるように、ストッパ及びバイアル又はその他のコンテナを形成するために使用されるポリマ化合物の特定の処方は、収着(吸収及び吸着の両方)及び湿気−蒸気透過(「MVT」)を含む所望の物理特性を達成することが望まれるときには、変えられることができる。例えば、バイアル及び/又はストッパの壁厚は、改良された又はそうでなければ調節されたMVTバリアを提供するために、増加されるか又はそうでなければ調節されることができる。あるいは、又はそのような手段と共に、熱可塑性化合物を形成する成分のブレンドは、バイアル内に収納されるべき特定の製品(単数又は複数)に対する所望の収着レベルを満たすために、及び/又は所望のMVT特性を達成するために、望まれるように変えられ得る。依然としてさらに、溶融可能又は溶融しない材料の複数の層を使用する再シール可能ストッパのこれらの実施形態では、異なる材料の相対厚さは調整されることができて、これが今度はストッパのMVT特性を調整する。また、ここの教示に基づいて関連分野の当業者には認識されるように、上述の数及び材料は例に過ぎず、特定のシステムにて望まれるように又はそうでなければ必要とされるように変更され得る。
【0057】
本発明の好適な実施形態の一つの効果は、キャップ又はストッパの再シール可能部126、226、1012、1112は、チャンバ内への薬剤の蓄積に引き続いて再シールされ得て、それによって、端キャップを、保存剤を含まないワクチンのような保存剤を含まない薬剤とともに使用することに特に適したものにする。したがって、本発明の好適な実施形態のさらなる効果は、薬剤が保存剤を含まず、したがってそのような保存剤の上述の欠点及び不利益を避けることができる点である。
【0058】
本発明の好適な実施形態の他の効果は、再シール可能チャンバ内の薬剤が、バイアルが貯蔵又は輸送されているところの雰囲気における不純物又はその他の要因によって汚染されず、又はそうでなければ影響されない点である。
【0059】
本発明の他の効果は、バイアル内の全ての要素が熱可塑性又はその他のプラスチック材料からモールドされ得て、これにより、従来技術に比較して、顕著により安全、無菌、発熱源フリーのバイアルの製造が容易化されることである。例えば、ストッパ及びバイアルは並んで(あるいはそうでなければ、お互いに接近して)配置された機械によってモールドされることができ、各モールド機械は層流フードの下に配置される(又は両方の機械は同じ層流フードの下に配置される)。それから、ストッパはそれぞれのバイアルに(又はその逆)、モールド後に(及び依然として殺菌温度で熱い間に)迅速に、層流フードの下で、例えば複数のストッパが複数のバイアルボディに係合する(又はその逆)適当なアセンブリ固定具によって、あるいはピック・アンド・プレースロボットによって、組み立てられてシールされる。その結果、シールされたバイアルの内部は、モールドされたときに直ちに無菌且つ発熱源フリーで、実質的に汚染のリスクが無い。ロック部材もまた、この時点で層流フードの下でバイアルボディ及びストッパに組み立てられることができ、あるいは所望であれば後の時点で組み立てられることができる。
【0060】
図16は、皮下注射用に企図された薬剤又はその他の無菌物質の無菌充填のための、従来の設備及び方法1800の図である。この従来の設備及び方法は、充填されるべき薬剤及びコンテナ(例えばバイアル及びキャップ)を受け取る第1のエリア(例えばクラス100,000の倉庫)を使用する。この従来の設備及び方法はさらに、一連の段階的「クリーナ」エリア1802〜1806を使用し、これは、コンテナが無菌化され、充填され、且つシールされるエリア1806(例えばクラス1エリア)を使用する。
【0061】
図17は、本発明の他の局面に従った薬剤の無菌充填のための方法1900の図である。この設備及び方法1900は、薬剤で充填されるべきシールされた無菌のコンテナ(例えばバイアル及びキャップ)のトレイを含む薬剤及びバッグ1907を受け取る第1のエリア(例えばクラス100,000の倉庫)を含む。様々なトレイコンテナ配置が図29A〜図29Cに示されている。この設備及び方法はさらに、一連の段階的「クリーナ」エリア1902〜1904を使用し、これは、この後は時折「無菌充填機」と称される(無菌のシールされたコンテナの)無菌充填のための充填機1910が置かれたエリア1904(例えばクラス100エリア)を含む。コンテナのトレイを収納するバッグ1907は、シールされたバッグ1907を清潔で且つダメージの無い状態に保つことを助けるために、箱1908にパックされて到着しても良い。
【0062】
いくつかの実施形態では、コンテナの各トレイは、一重のバッグ詰めよりもむしろ二重又は三重のバッグ詰めで到着する。コンテナのバッグ詰めされたトレイは、例えばエリア1901で箱から取り出され得る。コンテナのバッグ詰めされたトレイはその後、無菌充填機1910に到着するまで、段階的「クリーナ」エリア1902〜1904を通って運搬される。コンテナのトレイが二重又は三重バッグ詰めされていると、バッグの一つ又は2つが無菌充填機1910への到着前に取り外されても良い。シールされた無菌コンテナのトレイはその後、残りのバッグから無菌充填機1910に移されて、薬剤で充填されて再シールされる。
【0063】
他の実施形態では、コンテナは無菌化される前に到着し、それから設備1900で無菌化され、シールされ、バック詰めされて、それから無菌充填機1910に運搬されて充填及び再シールされる。2つの上記の実施形態のいずれも、シールされた無菌コンテナを運搬するために上述した方法の一つ又はそれ以上を使用し得る。加えて、無菌充填機は、そうでなければここで記述されるように、針貫通、充填、及びレーザ再シールの前に、再シール可能ストッパの少なくとも貫通可能表面を無菌化するために、電子ビーム、レーザ無菌化、及び/又はその他のタイプのプレ無菌化ユニットを使用し得る。
【0064】
図16に示された設備及び方法1800に比較した図17に示された設備及び方法1900の一つの効果は、図17に示された設備及び方法1900が、クラス10エリア1805及びクラス1エリア1806を必要とせずに無菌充填を可能にする点である。
【0065】
図18〜図20は、無菌充填機2010の斜視図である。この無菌充填機2010は、例えば薬剤をキャップ/バイアルアセンブルの上の再シール可能キャップを通して導入し、その後にキャップを再シールするために使用され得る。充填機2010の他の実施形態は、他のタイプのコンテナ(他のタイプのバイアル又はシリンジを含むが、それに限定されるものではない)を充填且つシールするために使用され得て、これは、薬剤、又は例えば化粧品又は食物のような(限定はされない)他の物質(単数又は複数)を有する上記のものと同じ又は異なる再シール可能キャップ又はストッパを有していてもよい。
【0066】
この実施形態では、充填機2010はインフィードユニット2012及び充填ユニット2014を有する。この後にさらに記述されるように、インフィードユニット2012は充填されるべきコンテナ(例えばバイアル、シリンジ、又は他のコンテナ)を受け取り、その後にコンテナを充填ユニット2014に供給し、これが今度はコンテナを充填する。充填機2010によって充填及びシールされるべき複数のコンテナの例が、2015として示されている(図20)。
【0067】
インフィードユニット2012は、インフィードアセンブリ2016及びインフィード支持構造2018を含む。インフィードアセンブリ2016の更なる詳細は、図24、25、26A〜26B、27、及び28A〜28Iに関してこの後に記述される。図20に示されるように、インフィード支持構造2018は、フレーム2020、それにジョイントされた2つのプレート2022、2024、及びフレームに接続可能でその内部を取り囲む(図18及び図19)サイドパネル2025を含む。より具体的には、図20に示されるように、上部プレート2022はフレーム2020の上部にジョイントされている。下部プレート2024はフレーム2020の下部にジョイントされている。上部プレート2022は、インフィードアセンブリ2016を支持する外向きに面した表面2026を有している。下部プレート2024は、それに搭載された脚2028を有している。脚2028は、(図示されている)キャスタ、車輪、又はそれらの組み合わせを含む任意の形態を有し得るが、それらに限定されるものではない。
【0068】
充填ユニット2014は、充填アセンブリ2030及び充填支持構造2032を含む。充填アセンブリ2030の更なる詳細は、図21〜図25、26A〜26B、30A〜30F、及び31A〜31Hに関してこの後に記述される。インフィードユニットの支持構造のように、且つ図20に示されているように、充填アセンブリの支持構造は、フレーム2034、2つのプレート2036、2038、及びそれに接続可能なサイドパネル2039を含む(図18及び図19)。図20に示されるように、上部プレート2036はフレーム2034の上部にジョイントされている。下部プレート2038はフレーム2034の下部にジョイントされている。上部プレート2036は、充填アセンブリ2030を支持する外向きに面した表面2040を有している。下部プレート2038は、それに搭載された脚2042を有している。脚2042は、(図示されている)キャスタ、車輪、又はそれらの組み合わせを含む任意の形態を有し得るが、それらに限定されるものではない。
【0069】
充填機2010はさらに、充填機へ入る及びそこから出て行く動きを制約するバリア2044を含む。この実施形態では、バリア2044は、それによって支持されるフレーム2046及び壁2048(又はパネル)を含む。壁2048の一つ又はそれ以上は、充填機への視程を提供するために、透明又は少なくともいくらか透明であってもよい。そのような場合、透明な壁(単数又は複数)は、充填機内部の任意のレーザからの放射が充填機の近くの人々に偶然に危害を与える可能性を減らすように、特定の波長の透過性を制限するように適合され得る。これは、例えば薄く着色することによって実行され得る。図18及び図28Aに示されるように、インフィードユニットバリア2048は、横方向又は水平方向に向いた層流が、そこを通ってインフィードユニットの感染予防エンクロージャを出て行くことを可能にするために、バリアの各々のパネルに渡ってお互いに間隔を空けられた複数の開口2049を含み得る。
【0070】
バリア2044は、ベース部2049及び上部2051を有するように見られることができる。ベース2049は、支持部材(図示されず)によって支持構造2018、2032に接続されている。上部2051は、ブロワアセンブリ2050、2052を支持する。これらのブロワアセンブリ2050、2052の各々はフィルタ及びファンを含み、フィルタされた空気流を充填機に生成する。このフィルタされた空気流は、バリア2044内部の空気圧をバリア2044の外側の空気圧よりもいくらか大きくする。この圧力差は、充填機2010内への空気流の可能性を最小化する助けとなり、これが今度は、汚染物質が充填機2010の中に入り込む可能性を妨げる(又は少なくとも制限する)助けとなる。いくつかの実施形態では、フィルタは、例えばHEPAフィルタのような高効率フィルタである。
【0071】
バリア2044のベース2049と支持構造2018、2032とは、それらの間にクリアランスを規定するような形状及び寸法を有している。例えば、描かれている実施形態では、クリアランスは、ベースの周囲と支持構造2018、2032の外辺との間の約3インチのギャップの形態である。これらのクリアランス又は排気口は流路を規定し、そこを通ってブロワアセンブリ2050、2052によって供給されたフィルタ済み空気流が充填機2010を出る。バリア2044、ブロワアセンブリ2050、2052、排気口、及びバリア2044の内部に位置する構造は、好ましくは、フィルタ済み空気流が充填機2010を出るまで、(乱流特性に対して)層流特性あるいは少なくとも一般的に層流特性を有する助けとなるように、設計される。層流特性は、汚染物質が排気口を通って充填機械の中に入り込むことを防ぎ、且つ充填機2010に偶然に入り込んだあらゆるほこり又は汚染物質を排除する助けとなり、これによって充填機2010の内部に「清浄な」環境を維持する助けとなる。
【0072】
バリア2044は、一つ又はそれ以上のドア、例えばドア2060を備えており、これはバリア2044内部のエリアにアクセスするために開けられることができる。この実施形態では、ドア2060はロック及びハンドル2062を含み、バリアのフレームにヒンジ2064を介して固着されている。それにもかかわらず、ドア2060を開けることは、汚染物資がバリア2044の外部から充填機2010に入る機会を生成することが認識される。これより、充填機2010の初期セットアップの後は、ドア2060を開けることは一般に望ましくない。この理由から、バリア2044には転送ポート2066及びグローブポート2067〜2069が設けられている。転送ポート2066は、関連分野の当業者には知られたタイプであって、バリア2044のドア2060を開ける必要なく、材料が充填機の中に導入されることを可能にする。例えば、転送ポートは、充填操作の間に、ポンプと針との間の古いチューブを取り除き、新鮮で無菌のチューブをインストールするために使用されることができる。グローブポート2067〜2069は、オペレータが、ドア2060を開ける必要なく充填機2010の内部で操作を実行することを可能にする。例えば、グローブポートは、転送ポート2066の内部ドアを開閉し、充填操作の間に、ポンプと針との間の古いチューブを取り除き、新鮮なチューブをインストールするために使用されることができる。グローブポート2067〜2069には、オペレータが彼又は彼女の手をグローブポートに入れると信号を生成するセンサが設けられても良い。あるいは、光又は他の照射ビーム又はカーテンをグローブポートと充填機の内部部分との間に設けて、グローブの動きをセンシングし、それに応じて、オペレータに警告を出すか又は機械の操作を終了するかのいずれかをすることができる信号を生成してもよい。オペレータの怪我を防ぐために、信号は、オペレータの手がグローブポート2067〜2069から取り出されたとセンサが判定するまで、充填機2010のシャットダウンを開始するために使用されても良い。いくつかの実施形態では、バリア2044は壁2071(図28A)を含み、これはインフィードユニット2012と充填ユニット2014との間の空気流を制限する。
【0073】
充填機2010はさらに、複数のポンプ2070、2072、2074、2076(図20及び図30F)、レーザ源2080、2082、2084、2086の列(図20)、及びIR検出器モジュール2242、2244、2246、2248の列(図36及び図37A〜37D)を含み、これらはこの後にさらに記述される。図18及び図19に示されているように、キャビネット2097がバリア2044の片側に搭載されて、ポンプ、レーザ源、及びそこに搭載されたその他の電子部品又は装置を取り囲む。
【0074】
いくつかの実施形態では、充填機が最初にセットアップされるとき、その後のある選択された時点で、及び/又はそのような霧状充満を必要とする何らかのタイプの出来事の後に、充填機2010の内部を化学物質で霧状に満たして汚染物質の除去を助ける手段が望まれ得る。
【0075】
図24を参照すると、インフィードユニット2012は、バリア2044の外側にある第1の部分2100とバリア2044の内側にある第2の部分2102とを含む。図27及び図28を参照すると、第1の部分2100は、シェルフ2104、クランプ2106、インフィードポート2108、及びハンドル2110を含む。シェルフ2104は、コンテナのバッグ詰めされたトレイを、トレイがインフィードユニットに供給される前に支持するように適合されている。コンテナ2015のトレイの一例は、シェルフ2104の表面上に示されている。蓋がコンテナのトレイの上に示されているが、これは必要ではない。バイアル又は他のコンテナをインフィードユニット2012の中にロードするために使用され得るトレイ配置の他の例は、図29に示されている。見ることができるように、トレイ2107はスタック可能で、各トレイは、バイアルの列をその上に支持するベース壁2109と、お互いに対してベース壁の向かい合う端に垂直に延在している端壁2111とを含む。端壁2111は中空であり、一つのトレイの端壁の上端が他のトレイの端壁の中空ベースの中に収容され得て、バイアルのトレイをスタックする。
【0076】
明瞭化のために、コンテナのトレイの周囲のバッグは図24では示されていない。クランプ2106(図27〜図28)は、コンテナ2105のトレイをインフィードユニットの第1の部分2100からインフィードユニットの第2の部分2102へ、コンテナをバリアの外側からのフィルタされていない空気流に露出することなく輸送する助けとなるように適合されている。インフィードポート2108は、コンテナのトレイを収容するような形状及び寸法を有している。ハンドル2110はロッド2112に接続され、これが今度はインフィードユニットの第2の部分2102に設けられた第1のスイーパアーム2114に接続されている。ハンドルは、(図28に矢印2116によって示されているように)出入りするように動かされることができ、且つ(図28に矢印2118によって示されているように)回転されることができる。いくつかの実施形態では、クランプ2106は、第2の部分2122の片側を、上下にスライドする代わりに上方に回転することによって開けられる。
【0077】
図28に示されているように、クランプ2106は2つのクランプ部2120、2122を含む。スライド可能に接続された部材2124、2126が、第1の部分2120を第2の部分2122に接続する。各部分2120、2122は、それぞれクランピング表面2128、2130を有する。各クランピング表面2128、2130は、一つ又はそれ以上の真空ポート、例えば真空ポート2132を規定する。ポートの真空は、一つ又はそれ以上の真空源(図示されず)に選択的に接続される。
【0078】
図27に示されているように、インフィードユニット2012の第2の部分2102は、第1のステージエリア2136、第2のステージエリア2138、第1のスイーパアーム2114、及び第2のスイーパアーム2115を含む。上述のように、第1のスイーパアーム2114はロッド2112に接続され、これがハンドル2110に接続されている。これより、ハンドル2110を反時計方向に回すと、スイーパアーム2114が垂直位置まで回転する。ハンドル2110を時計方向に回すと、スイーパアーム2114が垂直位置から水平位置まで回転する。ハンドル2110を矢印2116(図28)の方向に出し入れして動かすと、スイーパアーム2114が、第1のステージエリア2136と第2のステージエリア2138との間で前後進運動する。より具体的には、ハンドル2110を内側に(インフィードユニット2012に向かって)押すと、スイーパアーム2114が第1のステージエリア2136から第2のステージエリア2138まで動く。ハンドル2110を外側に(インフィードユニット2012から離れるように)引くと、スイーパアーム2114が第2のステージエリア2138から第1のステージエリア2136まで動く。この実施形態では、コンテナは、例えば図14及び図15に描かれているように、「ディアボロ」形状をしたバイアル/キャップアセンブリである。この形状の一つの効果は、バイアルが一度直立するとかなり安定で、したがって直立状態を保って倒れない点である。
【0079】
インフィードユニット2012の第2の部分2012はさらに、ブロワアセンブリ2139(図22)を含む。ブロワアセンブリ2139は、インフィードユニット2108から出て行くフィルタ済み空気流を提供する。インフィードユニット2102は、好ましくは、フィルタ済み空気流がインフィードポート2108を出るまで、(乱流特性に対して)層流特性あるいは少なくとも一般的に層流特性を有することを確実にする助けとなるように、設計される。上述のように且つ図28Aに示されるように、インフィードユニットの入り口側のバリアパネル2048は、それぞれのパネル中でお互いに対して間隔をあけた複数の開口2049を規定し、層流がそこを通ってインフィードユニットを出て行くことを可能にする。層流特性は、汚染物質がインフィードポート2108を通って充填機の中に入り込むことを防ぎ、且つ充填機2010に偶然に入り込んだあらゆるほこり又は汚染物質を排除する助けとなり、これによって充填機2010の内部に「清浄な」環境を維持する助けとなる。
【0080】
図28A〜28Iに最もよく示されているインフィードユニット2012’の代替的な実施形態では、クランプ2106’の上部部分2030’が、一対のヒンジ2124’によってフレーム2046にピボット的に搭載されている。各クランプ表面2128’、2130’は長手方向に延在している真空スリット2132’(一つのみ示されている)を含み、これは、バッグを収納しているトレイの各々の壁をそれに再シール可能に固定するための真空源に、流体連通して結合されている。これにより、クランプ2106’の第2の部分2122’が第1の部分2120’に向かって且つそこから離れるようにピボット可能になり、クランプを開閉する。
【0081】
図28B〜28Iに示されているように、インフィードユニット2012’はトレイリフタ2141’を含み、これは、第1のステージングエリア2136’のお互いに対して向かい合わせの側に位置する一対の向かい合わせのドライブシャフト2143’に搭載されている。ドライブシャフト2143’は、上昇及び下降位置の間でリフタを動かすサーボドライブのようなドライブ源(図示されず)に、駆動的に接続されている。リフタ2141’は複数の吸引キャップ2145’を含み、これは真空源に流体連通して結合され、且つ下を向いて第1のステージングエリア2136’内部に位置するトレイのカバーに開放可能に係合する。図28B及び図28Cに示されているように、トレイリフタ2141’は、第1のステージングエリア2136’内部に位置するトレイの上方に間隔を空けて置かれた上昇位置(図28B)と、トレイカバーの上部表面に係合してトレイカバーをそこに開放可能に固定する吸引カップ2145’を有する下降位置(図28C)との間で、移動可能である。図28Dに示されているように、リフタ2141’は上向きに上昇位置まで駆動されて、トレイカバーをトレイ及びバイアルから持ち上げて、それによってバイアルをトレイから第2のステージングエリア2138’への取り外しのために露出させる。
【0082】
第1のスイーパアーム2114’はピボット的に搭載され、図28Bに典型的に示されているような下位置と図28Dに典型的に示されているような上位置との間で移動可能である。このスイーパアームは、サーボアクチュエータのような適切な駆動源(図示されず)によって、下及び上位置の間を駆動される。さらに、第1のスイーパアーム2114’は、サーボドライブのような適切な駆動源(図示されず)によって、図28Dに典型的に示されているような後方位置とインフィードポート2108に隣接して間隔を空けて設けられた前進位置(図示されず)との間で水平方向に駆動され、バイアルをトレイから第2のステージングエリア2138’にスイープする。図28Dに示されるように、リフタ2141’がトレイカバーをバイアルから持ち上げた後に、第1のスイーパアーム2114’は上向きにピボットされて、後方位置(図28D)からインフィードユニット2108に隣接した前進位置まで駆動される。それから、図28E〜28Gに示されているように、前進位置において、第1のスイーパアーム2114’は下位置にピボットされ、それから前進位置から後方位置に駆動され、今度はトレイのバイアルを第2のステージングエリアにスイープする。それから、バイアルの全てが第2のステージングエリアに位置すると、第2のスイーパアーム2115’が、図28Gに典型的に示される後方位置から図28Iに示される前進位置に横方向に駆動され、バイアルを第2のステージングエリアからインフィードユニットと充填ユニットとの間に延在するバリア2017の下方に、且つインフィードユニットのターンテーブル2150の上に動かす。
【0083】
再び図24を参照すると、充填ユニット2014は、ターンテーブル2150と4つのスターホイール2152、2154、2156、及び2158とを含む輸送システムを含む。以下にさらに記述されるように、ターンテーブル2150は半時計方向に回転するように適合されている。第1及び第3のスターホイール2152、2156は、時計方向に回転するように適合されている。第2及び第4のスターホイール2154、2158は、反時計方向に回転するように適合されている。充填機2010のこの実施形態によって充填されるコンテナの例は、2015A、2015B、2015C、2015D、2015E、及び2015Fに示されている。
【0084】
図30Aに示されるように、第1のガイド2160がターンテーブル2150の周囲に設けられている。このガイド2160は、コンテナがターンテーブル2150から落ちることを妨げる。第2のガイド2162は、第1のガイドの一部から間隔を空けられて、その間にチャンネル2164を規定する。第3のガイドアセンブリ(図30A参照)は、ターンテーブル2150の上方に配置されてガイド2170、2172(図30A参照)を支持する支持部材2168を含み、ガイド2170、2172は第1及び第2のガイド2160、2162によって規定されるチャンネル2164に向かってコンテナをまとめて進める。
【0085】
第4のガイド2174は、第1のスターホイール2152の周囲に設けられている。第5のガイド2176は、第2のスターホイール2154の周囲に設けられている。第6のガイド2178は、首尾よく充填されてシールされたコンテナを第3のスターホイール2156の周囲から(すなわちそれと連通して)供給されて、輸送する。第7のガイド2180は、首尾よく充填されなかったか又は首尾よくシールされなかったコンテナを第4のスターホイール2158の周囲から(すなわちそれと連通して)供給されて、輸送する。
【0086】
スターホイール2152、2154、2156、2158の各々は、その周囲表面に沿って、コンテナを収容するように適合された複数のリセスを有する。第1のスターホイール2152は、好ましくは鋸歯状の周囲2190を有し、これはコンテナがチャンネル2164から収容されるときにコンテナに対する渋滞の可能性を低減する。図38は、第1のスターホイール2152の実施形態の正面図である。そのような実施形態では、第1のスターホイール2152の周囲は複数の歯、例えば2191、2192を規定する。各々の歯は先細の端、例えば2193、2194を有する。各々の2つの連続した歯は、2つの向かい合う側で、コンテナを収容するように適合されたリセスの各々の一つを取り囲む。例えば、この実施形態では、歯2191、2192はリセス2195を取り囲む。この実施形態では、歯及び/又はリセスは、歯の実質的に上流で先端に隣接する部分が、各々のコンテナが位置するシート2196を規定するような形状を有し及び/又は寸法を有している。この実施形態では、シート2196はコンテナを押す表面を規定する。他の設計もまた、もちろん使用され得る。
【0087】
再び図26Aを参照すると、第3及び第4のスターホイール2156、2158のリセスには真空ポートが設けられ、これは真空源に選択的に接続されて、それによって第3及び第4のスターホイールがコンテナを適切に運ぶことを可能にする。
【0088】
図30A及び図31A〜31Hに最もよく示されているように、針充填マニホールド2200が、第2のスターホイール2154の周囲に沿った第1の位置に設けられている。針充填マニホールド2200は、複数の針、例えば4つの針2202、2204、2206、2208を保持し、これらは薬剤をコンテナに送達するために使用される。針マニホールド2200は駆動的に搭載されていて、各針が移動可能で再シール可能ストッパと係合し且つ係合から外れてストッパを貫通し、バイアル又はその他のコンテナをそこに収納されるべき薬剤又はその他の物質で充填し、それからバイアルの充填時に針を引き抜く。複数の針を設けることは、複数のコンテナを同時に充填することを可能にする。図31A〜31Hに示されているように、針の各々は、各々の針2202,2204、2206、2208をポンプ2070〜2076(図30F)の各々の一つを通って各々の薬剤源(図示されず)に接続するそれぞれのフレキシブルチューブ2212、2214、2216、2218に流れ連通している。薬剤源が充填機2010の内側又は充填機の外側に設けられ得ることに留意されたい。ベローズ2220(図26A)が針又は針マニホールド2200を駆動するシャフトに設けられ、シャフトの可動部をシールする。いくつかの実施形態では、針ストローク長は約1インチであり得る。
【0089】
レーザシール及び赤外(IR)センシングマニホールド2230(図30A、36、37A〜37D参照)が、針充填マニホールド2200の下流の第2のスターホイール2154の周囲に沿った第2の位置に配置される。レーザシール及びIRセンシングマニホールド2230は、簡潔さを確保するために、ある他の図面では示されていない。典型的に図36に示されているように、このマニホールド2230は、複数のIRセンサ(例えば4つのIRセンサ2242、2244、2246、2248)とともに複数のレーザ光学アセンブリ(例えば4つのレーザ光学アセンブリ2232、2234、2236、2238)を保持する。レーザ光学アセンブリは、レーザビームを提供して針充填後にコンテナ上の再シール可能キャップ又はストッパを再シールするように適合されている。複数のレーザ光学アセンブリの各々は、第2のスターホイール2154の周囲に近い各々の位置に搭載され、各々のレーザビームを各々の再シール可能ストッパ上に送って、各々の再シール可能ストッパにおける針開口を熱シールする。レーザ光学アセンブリ2232、2234、2236、2238の各々は、各々の光学アセンブリ2232、2234、2236、2238を各々のレーザ源2080、2082、2084、2086(図20)に接続する各々のファイバ光学ケーブル2233に接続される。複数のファイバ光学アセンブリを設けることは、複数のコンテナを同時に再シールことを可能にする。
【0090】
この実施形態では、複数のIRセンサアセンブリ2242〜2248の各々は、第2のスターホイール2154の周囲に近い各々の位置に搭載されている。示されているように、レーザ源2080〜2086はエンクロージャ2044の外側に搭載され、エンクロージャを開けることなく及び/又はそうでなければ無菌エンクロージャの汚染のリスクなしに、レーザ源の修理及び/又は交換を可能にする。IRセンサ2242〜2248は、レーザシールの間に得られた再シール可能ストッパの針貫通領域の温度を検出し、したがって、ストッパが首尾よく再加熱されて再シールを達成したかどうかを判定するために使用されることができる。IRセンサ2242、2244、2246、2248の各々は、各々のIRセンサモジュール2090、2092、2094、2096(図20)に接続されている。複数のIRセンサを設けることで、無菌充填機2010が複数のコンテナの温度を同時に、例えばそれらが再シールされるときにセンシングすることが可能になる。上述のように、各々のレーザ源は、約980nmの所定の波長のレーザ照射を送達し、各々のレーザの所定のパワーは、好ましくは約30ワットより少なく、好ましくは約10ワットよりも少ないか又は等しく、あるいは約8ワット〜約10ワット範囲内にある。描かれている実施形態では、各々のレーザ源は半導体ダイオードレーザであり、約15ワットで出力を発し、光ファイバケーブルを通じて充填ユニットの内部のバイアルの上方に搭載されている各々のコリメートレンズにファイバ光学的に結合されている。レーザ源をエンクロージャの外側に搭載することの一つの効果は、エンクロージャの内側にアクセスする必要なく、それらを簡単に修理又は交換させることができる点である。
【0091】
キャパシタセンサ(図示せず)がまた、針充填マニホールド2200の下流の第2のスターホイール2154の周囲に沿って設けられ得る。そのようなセンサは、コンテナが何らかの薬剤を受け取ったかどうかをセンシングするために使用されることができる。
【0092】
図39A〜図39Cは、コンテナのトレイをインフィードユニット2012に挿入するために一つの実施形態で使用される連続ステップの側面立面図である。ここで図39A〜図39Cを参照すると、使用時に、コンテナ2105のバック詰めトレイは、シェルフ2104に配置される。クランプ2106、2106’が開けられると、バッグ2107の一端が、開いたクランプを通って且つそこを越えて挿入されて、それによってクランプを越えて延在し且つそれをオーバーハングする部分2109を規定する。バッグの端2109はそれから、第1のクランプ部2120、2120’の表面2128、2128’の上に平坦に置かれるように配置されて、クランプ2106、2106’が閉じられる。クランプ2106、2106’が閉じられると、バッグ2107のオーバーハング部2109は切り取られて廃棄され、真空源が2つのクランプ部2120、2122、2120’、2122’に適用される。クランプ2106、2106’がそれから開けられ、真空ポートに適用された真空のために、バッグの切り取られた端がそれによって開く。これは、真空ポート2132、2132’に適用された真空が、バッグの切り取られた端の底側を第1のクランプ部2120、2120’の表面2128、2128’に開放可能に固定させ、バッグの切り取られた端の頂部側を第2のクランプ部2130、2130’の表面2122、2122’に開放可能に固定させるためである。
【0093】
バッグのクランプ2106、2106’及びカット端2109が開けられると、トレイを、開いたクランプ、インフィードポート2108を通して、第1のステージングエリア2136、2136’まで押すように、力がバッグの他の端を通してトレイ2105に印加される。ブロワ2139(図22)は開いたバッグを無菌空気で充填し、これによりバッグを開けることと無菌トレイ及びバイアルのそこからインフィードユニットへの開放とを容易にする。真空が真空ポート2132から取り除かれ、それによってバッグ2107を開放し、これはそれから廃棄され得る。図39Cに示されているように、クランプの第2の部分2122とインフィードポート2108の頂部を規定している壁とは十分に低く垂れ下がって、トレイの上に位置しているコンテナを収容している上置きトレイ又は蓋が入り込むことをブロックする。あるいは、上置きトレイ又は蓋はインフィードユニットの中に動かされ、リフタが駆動されてトレイカバーを持ち去って、その上のバイアルを露出する。
【0094】
トレイ2105が第1のステージングエリア2136、2136’に置かれた後に、図28B〜28Gを参照して、第1のスイーパアーム2114、2114’が、コンテナをトレイから第2のステージングエリア2138、2138’の中へスライドさせるように駆動される。第1のスイーパアーム2114、2114’は、ハンドル2110を使ってマニュアルで駆動されても、又は上述のように自動で駆動されても良い。図28H及び図28Iを参照して、空のトレイ2105は、その後にインフィードユニット2012、2012’から取り除かれる。コンテナが第2のステージングエリア2138、2138’に置かれた後に、第2のスイーパアーム2115、2115’が、コンテナを充填ユニット2014の中に及びターンテーブル2150の上にスライドするように駆動される。
【0095】
上述のように、この実施形態では、各コンテナは、ベースと、キャップと、ベースとキャップとの間に延在するボディとによって形成される実質的に「ディアボロ」形状を規定したバイアルであり、ベース及びキャップはボディよりも大きい直径又は幅を規定する。ディアボロ形状は、固定又はそうでなければバイアルの充填機2010を通った輸送を容易化し得る。さらに、バイアルの「ディアボロ」形状は、バイアル又はスターホイール又はその他の輸送メカニズムのバイアルのベースを支持するベース表面の必要なしでの輸送を容易化する。加えて、ディアボロ形状は、例えば図31Dに示されるように針充填ステーションにおけるバイアルの支持を容易にし、且つ針によって貫通されるときにバイアルを所定の位置に保持する。
【0096】
コンテナがターンテーブル2150の上に置かれた後に、これらはガイド2170、2172(図30A)によって、ターンテーブルの周囲に向かって及びチャンネル2164の内部で単一ファイル関係にガイドされる。第1のスターホイール2152のリセスは、チャンネル2164からコンテナを収容し、コンテナを時計回りにガイド2174に沿って、典型的には所定の速度で進ませる。
【0097】
コンテナは、ガイド2176の第1の又は入力端に到達すると、第2のスターホイール2154のリセスに転送される。第2のスターホイール2154は、コンテナをガイド2176に沿って輸送する。第2のスターホイール2154は、4箇所でインデックスされて、それから一時的な休止のために停止される。休止の間、針マニホールド2200が、4つの針2202〜2208を針マニホールド2200の下方の4つのコンテナの上の再シール可能ストッパを通って駆動するように、下方に駆動される。その後に薬剤がコンテナに伝達され、マニホールドはそれから上方に駆動されて、それによって4つの針2202〜2208が4つのストッパから引き出される。ある実施形態では、針は最初は所定の低速で引き込まれて、バイアルを「ボトムアップ」充填することを可能にし、それから、バイアルが充填されると、針は比較的により速い速度で引き出されて、針を迅速に取り除いて全体サイクル時間を低減する。他の実施形態では、針のストロークの深さは、粒子の形成を低減する又は妨げるように設定される。一つのそのような実施形態では、針ストロークの最下点では、針の流れ開口は、ストッパの底壁の下にそれに隣接又は接触して、間隔を空けて配置される(すなわち、各穴の上流の端がストッパの底壁の内側表面に隣接する)。一つのそのような実施形態では、針の先端は、ストッパの底壁の内側表面を越えて、約1〜約5cmの範囲内、好ましくは約1〜約3cmの範囲内、且つ最も好ましくは約1.5cmの深さまで貫通する。針ストロークの最下点では、薬剤又はその他の物質が、そこを通ってバイアル内に送達される。それから、所定の量の薬剤又はその他の物質が送達されると、針は引き抜かれる。好ましくは、針及び/又はストッパは、少なくとも針/ストッパ界面における摩擦を低減し、これが今度は粒子の形成をさらに低減するように処理される。後の実施形態では、充填時に針は引き抜かれない。むしろ、針は、上述のような最小限の量だけストッパを貫通し、針を所定の位置、例えばストロークの最下点に保持している間に充填し、それから針は充填後にストッパから引き抜かれる。この実施形態の一つの効果は、針及びストッパ表面の相対運動を低減し、これにより針の貫通及び引き抜きの間の粒子の形成を妨げることを容易にする点である。
【0098】
やはり休止中に、4つのレーザ光学アセンブリ2232〜2238がレーザエネルギーをレーザ及びIRマニホールドの下方の4つのコンテナ上の再シール可能ストッパに伝達して、前記ストッパを再シールする。再シール可能ストッパがレーザエネルギーによって加熱されると、4つのIRセンサ2242〜2248が、各ストッパが再シールを生じるのに十分なだけ加熱されたかどうかを判定するように、各ストッパの温度を検出する。休止後に、プロセスが繰り返される。すなわち、4つのスターホイール2152、2154、2156、2158は他の4箇所でインデックスし、それから再び休止して、次の4つのコンテナが充填され、さらに4つのコンテナがシールされる。
【0099】
再シール後、コンテナは第3のスターホイール2156に移され、これにはそのリセスにおける真空ポートを使用して転送時に各コンテナを保持する。コンテナが首尾よく充填されてシールされると、それから第3のスターホイール2156はそのコンテナをガイド2178に到着するまで輸送し、その点で関連する真空ポートに対する真空が選択的に取り除かれて、コンテナはガイド2178に移される。ガイド2178はコンテナを、首尾よく充填されてシールされたコンテナの収納庫(図示されず)に運ぶ。
【0100】
コンテナが首尾よく充填されずシールされないと、そのときには第3のスターホイール2156はそのコンテナを、コンテナが第4のスターホイール2158に到着するまで輸送し、その点で、関連する真空ポートに対する真空が選択的に取り除かれて、真空が第4のスターホイール2158のそれぞれの真空ポートに印加されて、それによってコンテナは第4のスターホイール2158に移される。第4のスターホイール2158は、そのコンテナをガイド2180に達するまで輸送し、その点で、関連する真空ポートに対する真空が選択的に取り除かれて、コンテナがガイド2180に移され、これがコンテナを、首尾よく充填されずシールされなかったコンテナの収納庫(図示されず)に運ぶ。
【0101】
ターンテーブル2150及び4つのホイール2152、2154、2156、2158は、各々それぞれのドライブシャフトによって駆動される。ドライブシャフトの各々は、シャフトハウジング内に収容されている。例えば、第2のスターホイールに対するドライブシャフトは、シャフトハウジング2270の内部に収容されている。各シャフトハウジングは、充填ユニット2014のプレート2040に固定されたスタンド、例えばスタンド2272と、スタンドに固定された細長い部材、例えば部材2276と、細長い部材と各々のスターホイールとの間のホイール搭載部材、例えば2276とを含む。ハウジングには好ましくは、ほこり、グリース、又はその他の汚染物質がハウジングの内部から充填ステーション2014に入り込む可能性を減らすために、Oリング型シールが設けられることに留意されたい。この実施形態では、Oリングシールは弾性材料、例えばVitonのようなゴム化合物を備えている。
【0102】
ターンテーブル2150のドライブシャフトは、第1の駆動アセンブリ2300(図30B)に駆動的に結合されて駆動される。スターホイールのドライブシャフトは、第2の駆動アセンブリ2302(図30B)に駆動的に結合されて駆動される。特に、駆動アセンブリ2302は、第2のスターホイール2154のドライブシャフトに結合されたギア2304に結合されている。第1及び第3のスターホイール2152及び2156のためのドライブシャフトは、それぞれ第2のスターホイールのためのギア2304から回転式で駆動される。第4のスターホイール2156のためのドライブシャフトは、第3のスターホイール2154のためのギアから駆動される。この構成の一つの効果は、リニアドライブ構成によって達成されるよりも小さい玉突き公差がもたらされる点である。
【0103】
この実施形態では、充填アセンブリ(例えばスターホイール)の構成部品とプレート2040との間の垂直に延在している空間が、これらの構成部品の周囲にフィルタ済みの層状空気流を可能にする。
【0104】
いくつかの実施形態では、針は外側に溝を有し得て、充填時にバイアルからの気体の排気を可能にする。いくつかの他の実施形態では、針は、代わりに、排気を可能にする二重管腔タイプの針であっても良い。
【0105】
針は、現時点で既知の又は後に発見される任意の形状を有し得る。いくつかの実施形態では、針はペンシルポイント型の先端を有する。いくつかの他の実施形態では、針は、矢頭形又はトロカールプロファイル形の先端を有している。いくつかの実施形態では、針及び/又は針の先端の形状は、ストッパの貫通時に粒子(又はくず)の形成を最小化する又は妨げる助けとなり、針の磨耗を最小化し、及び/又はストッパが再シール可能状態を維持することを確実にするように適合され得る。針の幅は、充填速度に影響を与え得る。いくつかの実施形態では、針の形状は、上記の要素の2つ又はそれ以上の間の妥協を示す。いくつかの実施形態では、針をストッパを通して埋め込むために使われる力は、針毎に約2ポンドである。
【0106】
図34及び図35に示されているように、典型的な針2202は、円錐状にとがった非コアの先端(すなわち「ペンシルポイント」端)2203を規定し、断面において先端が内包する角度「A」は、約15度〜約25度の範囲内、好ましくは約18度〜約22度の範囲内、最も好ましくは約20度である。針先端の滑らかで鋭くとがった次第に増加する角度は、ストッパ貫通時に、針穴の比較的滑らかで且つ漸進的な拡大を可能にする。針先端はさらに、2つの軸方向に長円の流れ開口2205を、お互いに針の向かい合う側に規定する。現時点で好適な実施形態では、針は約15ゲージ(すなわち直径0.072インチ)である。しかし、ここの教示に基づいて関連分野の当業者が認識し得るように、この寸法は単なる例であり、所望のように又はそうでなければ用途によって必要とされるように、変えられても良い。
【0107】
図31A及び図34及び図35を参照すると、針マニホールド2200への搭載のためにブッシング2207が各針の胴(シャンク;shank)に搭載される。図31Aに示されているように、針マニホールドは、そこから横方向に延在してお互いに間隔を空けている複数の針マウント2211を規定するベース2209を含む。針クランプ2213は、アライメントピン及び対応するアライメント開口によってベース2209に位置合わせされ、ねじ又は同様の締め具によってベース2209に開放可能に接続可能で、針をマウントに固定的に取り付ける。複数の流れ開口2215は針マウントの間に延在し、針充填の間、針を越え且つ下向きにバイアルを越える層流を可能にする。図31Bに典型的に示されているように、針マニホールド2200は蝶ねじ2201によってドライブプレート2203に開放可能に接続可能で、ドライブプレートは、今度はドライブシャフト2220に固定的に搭載されている。この構成の一つの効果は、針マニホールド(及び関連する充填ライン)が、充填の間に工具なしで、又はそうでなければ単純に蝶ねじを回すことによって要求されるように、簡単に交換されることができる点である。
【0108】
多くの実施形態では、針を再シール可能キャップ又はストッパに押し込み、且つそこから針を引き抜くことによって、熱が生成される。いくつかの実施形態では、針に供給される薬剤(又は他の流体)は、熱を針から運び去り、それによって針を所望の動作温度範囲内に維持する助けとなる。これらの実施形態のいくつかでは、薬剤(又はその他の流体)の針への供給の前に、薬剤が冷却される。これらの実施形態のいくつかでは、充填ステーションが薬剤を、およそ所定の温度に、およそ所定の温度よりも低く、又はおよそ所定の温度範囲内に、維持する。
【0109】
いくつかの実施形態では、第2のアーム2115の動作は自動で駆動される。そのような実施形態のいくつかでは、第2のアームに対する駆動は、例えば、コンテナの全てがトレイから運び去られた時点を検出するために使用され得るセンサからの信号に基づいて、制御され得る。そのような実施形態の他のいくつかでは、第2のアームは、例えばオペレータによって動作されるスイッチによって制御され得る。
【0110】
4つの針、4つのレーザ光学アセンブリ、及び4つのIRセンサを示しているが、充填ステーションはそのようなものに限定されるものではなく、代わりに、いくつかの他の数の針、レーザ光学アセンブリ、及びIRセンサを含み得ることを理解されたい。また、同一の数の針、レーザ光学アセンブリ、及びIRセンサがあるという絶対的な要件はないことも理解されたい。
【0111】
これより、充填機は、所望の数の針を含み得て、又はここで記述した針充填ステーションの機能を実行するために現時点で既知の、又は後に既知になる数多くの異なる方法の何れかにおいて搭載され又は駆動され得る。さらに、充填機2010は、充填機の全体的スループットを増加するか又はそうでなければ調節するために、そこに搭載された複数の針充填ステーションを含み得る。
【0112】
針が単一のマニホールドに搭載されて示されているが、これが必要ないことを理解されたい。例えば、いくつかの実施形態では、各針はバイアル又はその他のコンテナの再シール可能ストッパと係合し且つ係合から外れるように個々に駆動可能であり得る。
【0113】
駆動源は、空気圧ドライブ、あるいはソレノイド駆動又はその他のタイプの電気駆動のような、ここで記述した駆動源の機能を実行するために現時点で既知の、又は後に既知になる、数多くの異なる駆動源の何れかの形態を取り得る。
【0114】
加えて、インフィードユニットは、振動フィードドライブ又は「ピック・アンド・プレース」ロボティックシステムの数多くの異なるタイプのいずれかのような、インフィードユニットの機能を実行するために現時点で既知の、又は後に既知になる数多くの装置の何れかの形態を取り得ることを認識されたい。
【0115】
さらに、輸送システムはターンテーブル及びスターホイールに限定されない。実際、輸送システムは、ここで記述したターンテーブル及び/又はスターホイールの機能を実行するために現時点で既知の、又は後に既知になる、数多くの異なるタイプの輸送又はコンベヤシステムの何れかの形態を取り得る。例えば、輸送システムは、振動フィードドライブの形態を取り得て、又はエンドレスコンベヤベルトの形態を取り得て、これは例えば、コンベヤ上の所定の位置でバイアルを受け取るか又はそうでなければ保持するための、止め具(クリート;cleat)のような複数の受け具(レセプタクル)を含む。輸送システムは、モータ又はその他の適切な駆動源に駆動的に接続され得て、駆動源はコンピュータ又はその他の制御ユニットによって、スタートし、停止し、速度且つそうでなければ輸送システムの充填機のその他の構成要素との協調動作を制御するように制御される。
【0116】
さらに、注入及び射出ユニットは、スターホイールの形態を有する必要はなく、ピック・アンド・プレースロボットの形態、又は、ここで記述したこれらのユニットの機能を実行するために現時点で既知の、又は後に既知になる、数多くのその他の装置の何れかの形態を取り得る。
【0117】
充填ステーションが上述のタイプのバリアシステムに限定されない点を理解されたい。例えば、いくつかの充填ステーションは、外側に排気する代わりに充填ステーションの周囲に空気を通さないシールを提供するバリアを使用する。これらの実施形態のいくつかは、それにもかかわらず、層流特性ありで又はなしで、充填ステーションの内部にフィルタ済み空気流を提供し得る。いくつかの状況では、充填ステーションはバリアを全く必要とせず、むしろ、そのような充填機が置かれるエリアの清浄さに頼ることができてもよい。
【0118】
いくつかの実施形態では、充填機2010はまた、充填ステーションを視覚的に検査する手段も含む。これは、ベータ・バリア窓、及び/又はCCD、ビデオ、又はその他のハウジング内部に搭載されて外部モニタに充填ステーションのイメージを送信するカメラの形態を取り得る。ここの教示に基づいて関連分野の当業者が認識し得るように、これらの特定の装置は例にすぎず、視覚検査を実行する機能を実行するために現時点で既知の、又は後に既知になる、数多くのその他の装置の何れかの形態が使用され得る。いくつかの実施形態では、視覚システムが各レーザシールを検査するために使用される。充填ステーションは、各バイアル又はその他のコンテナの内部の流体又はその他の物質のレベルを検出して、それが正しいレベルまで充填されていることを確実にするレベル検出ステーションと、ラベリングステーションともまた、備え得る。
【0119】
いくつかの実施形態では、ひとたび充填機2010の上にロードされると、バイアル又はその他のコンテナ(又は少なくともその針貫通表面)は、充填及びシールの前に必須の表面の絶対的無菌性をさらに確実にするために、上述のようにレーザ照射によって、あるいは電子ビーム照射によって、再び無菌化される。例えば、いくつかの実施形態では、充填機はさらに電子ビームアセンブリを含み得て、これは、2003年6月19日付けで出願された同時係属中の米国特許出願第10/600,525号、又は、2003年6月19日付けで出願された同時係属中の国際PCT特許出願第PCT/US03/19656号に開示されているような電子ビーム源を備える。これらはどちらも「電子ビームチャンバ内部の針充填ステーションを有する無菌充填機」という名称であり、本開示の一部として、ここに明示的に参照によって援用される。
【0120】
これらの同時係属中の特許出願に記述されているように、電子ビーム源は、ここで記述された電子ビーム源の機能を実行するために現時点で既知の、又は後に既知になる、数多くの異なるタイプの電子ビーム源の何れかの形態を取り得る。電子ビーム照射は、一般的にその低浸透性及び高ドーズレートによって特徴付けられるイオン化エネルギーの形態である。電子は、微生物の再生セルを含む露出された製品との接触時に、様々な化学及び分子結合を変え、したがって電子ビーム照射は、バイアル、シリンジ、及びその他の薬剤又はその他の無菌物質のためのコンテナを無菌化するために特に適している。電子ビーム源は、電気の加速及び変換によって生成される集中した高帯電電子流によって形成される電子ビームを作成する。好ましくは、電子ビームは、針によって貫通される各コンテナの貫通可能表面の上にフォーカスされ、それによってコンテナを薬剤又はその他の物質によって充填する。例えば、上述のような再シール可能ストッパを含むバイアルのようなバイアルの場合には、電子ビームはストッパの上部表面上にフォーカスされ、ストッパの貫通可能表面を、そこを通る充填針の挿入の前に無菌化する。加えて、反射表面がコンベヤのお互いに向かい合わせの側に搭載され得て、電子ビーム、及び/又は反射され散乱された電子をバイアルの側に反射して、バイアルのこれらの表面を無菌化する。あるいは又は、そのような反射表面と組み合わされて、一つより多くの電子ビーム源が使用され得る。このとき、各電子ビーム源は、バイアル又はその他のコンテナのそれぞれの表面又は表面部分の上にフォーカスされ、対象となる各表面エリアの無菌化を確実にする。
【0121】
いくつかの実施形態では、電子ビームの流れ、スキャン幅、位置、及びエネルギー、輸送システムの速さ、及び/又は任意の反射表面の向き及び位置は、バイアルの再シール可能ストッパの上部表面、すなわち、バイアルを充填するために充填針によって貫通される貫通可能領域を規定するストッパの表面に対する生物負荷試験において、少なくとも約3logの低減、好ましくは約6logの低減を達成するように選択される。加えて、追加の警戒手段として、以上の変数の一つ又はそれ以上もまた、好ましくは、バイアルの側部、すなわち、充填の間に針によって貫通されないバイアルの表面に対して、少なくとも約3logの低減を達成するように選択される。しかし、無菌性のこれらの特定のレベルは例にすぎず、無菌化レベルは、所望のように、あるいは、例えばアメリカ合衆国のFDA又は適用可能な無菌性補償レベル(「SAL」)のような適用可能な欧州の基準の下で、特定の製品を有効化するために必要とされるように、設定され得る。電子ビームチャンバ内部での針充填に適合された電子ビームユニットを含む例示的な無菌充填機は、上述の同時係属特許出願に記述されている。さらに、ここの教示に基づいて関連分野の当業者が認識し得るように、そのような電子ビームユニットは、ストッパの少なくとも針貫通領域に、充填の間に針に、及び/又はレーザシールステーションにてバイアル又はバイアルの針貫通領域に、電子ビームを印加するために、無菌充填機2010と組み合わせて使用され得る。
【0122】
反対に述べられない限りは、例えば「備える」「有する」「含む」のような用語、及びその全ての形態は、付加的な要素及び/又は特徴を排除しないように、限度を設定しない(オープンエンドである;open−ended)と解釈される。
【0123】
ここの教示に基づいて関連分野の当業者が認識し得るように、本発明の上述の及びその他の実施形態に対して、添付の請求項に規定されている範囲から逸脱することなく、数多くの変化及び改変をなし得る。例えば、再シール可能部材は、インサートモールドによってのようにしてベースと一体的にモールドされてもよく、再シール可能部材は、ストッパのベースに対して溶融され又はそうでなければ溶かされてもよく、又は、再シール可能部材は連続的にベースにモールドされてもよい。加えて、再シール可能部材は、例えば低密度ポリエチレンを含む数多くの異なる熱可塑性及び/又は弾性材料のいずれかのような、ここで記述された再シール可能部材の機能を実行するために現時点で既知の、又は後に既知になる、数多くの異なる材料の何れかから形成され得る。同様に、ストッパのベースは、上述のような加硫ゴム、又は、バイアル又はその他のコンテナの内部に収容された特定の薬剤又はその他の物質と融和する、又はそうでなければそのための安定なエンクロージャを規定するような、現時点で既知の、又は後に既知になる、数多くの他の材料の何れかから形成され得る。加えて、再シール可能ストッパは、一層より多くの加硫ゴム及び/又は一層より多くの再シール可能材料を含み得る。加えて、焼灼及びシールステーションは、数多くの異なるタイプのレーザ又はその他の光学源又は導電性熱源のいずれかのような、ここで記述された熱源の機能を実行するために現時点で既知の、又は後に既知になる、数多くの異なるタイプの熱源のいずれかを利用し得る。したがって、好適な実施形態のこの詳細な記述は、限定的な意味ではなく、例示的に取られるべきである。
【0124】
[付記1]
参考例の一つの局面は、加硫ゴム又は既知の同様の材料から形成されバイアル内に収納された薬剤に対して安定した環境を提供するベース部と、ベース部に重なっている再シール可能部とを備える薬剤バイアルのための再シール可能なキャップに関している。再シール可能部は、低密度ポリエチレンのような再シール可能なポリマ材料からできていて、薬剤をバイアルの内部に分配するために針又は同様の注入部材で穴を開けられることができる。針の引き抜き時には、再シール可能部の穿孔された領域は熱シールされて、薬剤を収納しているチャンバを気密シールされた状態に維持する。
【0125】
[付記2]
参考例の他の局面は、再シール可能なバイアルを所定の薬剤で充填する装置及び方法に関している。この方法は、バイアルを提供するステップと、熱エネルギーの印加に対して実質的に溶解しないベース部を含み、再シール可能部が、薬剤への露出及びバイアル内の薬剤のシールのために所定の薬剤と適合する再シール可能キャップと、ベース部に重なり熱エネルギーの印加に対して溶融する再シール可能部と、キャップ及びバイアルと係合してキャップをバイアルに固定するロック部材と、を含む。バイアルの薬剤での充填の前に、再シール可能キャップとロック部材とがバイアルに固定されて、それによって実質的に気体を通さないシールがキャップとバイアルとの間に形成される。それから、組み立てられたキャップ、バイアル、及びロック部材は、ベータ又はガンマ線照射への露出によってのようにして無菌化される。針又は同様の注射部材がそれから再シール可能キャップを通じて挿入され、所定の薬剤が針を通ってバイアルの内部に導入される。参考例の一つの実施形態では、針は「二重管腔」針であり、所定の薬剤のそこを通ってバイアル内への導入のためのコア通路と、バイアル内部からの置換された空気又はその他の気体あるいは蒸気の排出のために真空源と流体連通的に結合された環状通路とを規定している。バイアルの薬剤による充填時には、針がキャップから引き抜かれて、十分な熱エネルギーがキャップの再シール可能部の貫通された領域に印加されて、貫通された領域を溶融し、貫通された領域とバイアルの内部との間に実質的に気体を通さないシールを形成する。好ましくは、再シール可能部材の貫通可能領域は、直接熱焼灼あるいはレーザ又はその他の照射焼灼によってのようにして、キャップを通した針の導入に先立って焼灼され、アセンブリ及び充填プロセスを通じた無菌状態を更に確実にする。
【0126】
[付記3]
参考例の他の局面は、再シール可能なストッパ及び前記再シール可能なストッパを含むアセンブリに関しており、これは、コンテナと、所定の物質をコンテナ内にシールする再シール可能ストッパと、ストッパをコンテナに固定するロック部材とを備える。再シール可能なストッパは、その軸方向に所定の壁厚を規定するボディと、針で貫通可能で針開口をそこに形成し且つ熱で再シール可能でレーザ源からの所定の波長及びパワーでのレーザ照射の印加によって針開口を気密シールする針貫通領域とを含む。針貫通領域は所定の色及び不透明度を規定し、(i)所定の波長のレーザ照射を実質的に吸収し且つ照射の所定の壁厚の通過を妨げ、(ii)所定の波長及びパワーのレーザ照射がその針貫通領域に形成された針開口を所定の時間期間で気密シールさせる。アセンブリはさらに、再シール可能なストッパを貫通して物質をストッパを通ってコンテナ内に導入する針と、針に流体連通的に結合されて物質を針を通ってコンテナ内に導入する物質源と、再シール可能なストッパと熱連通的に接続可能で所定の波長及びパワーでレーザ照射を印加するレーザ源と、を含む。
【0127】
[付記4]
参考例の他の局面は、針で貫通可能で針開口をそこに形成し且つ熱で再シール可能で所定の波長及びパワーのレーザ照射の印加によって前記針開口を気密シールする針貫通領域を規定する熱可塑性ストッパに関する。このストッパは、その軸方向に所定の壁厚を規定する熱可塑性ボディを備え、この熱可塑性ボディが、(i)スチレンブロックコポリマと、(ii)オレフィンと、(iii)ボディが所定の波長でレーザ照射を実質的に吸収し且つその所定の壁厚を照射が通過することを実質的に妨げて、約2秒より短い所定の時間期間で針貫通領域に形成された針開口を気密シールすることを可能にする所定の量の顔料と、(iv)針の貫通の間に針とボディとの界面における摩擦力を低減する所定の量の潤滑剤と、を含む。
【0128】
[付記5]
参考例の他の局面は、針で貫通可能で針開口をそこに形成し且つ熱で再シール可能で所定の波長及びパワーのレーザ照射の印加によって前記針開口を気密シールする針貫通領域を規定する熱可塑性ストッパに関する。このストッパは、その軸方向に所定の壁厚を規定する熱可塑性ボディを備え、この熱可塑性ボディが、(i)約80重量%から約97重量%の範囲内の量で且つ第1の伸びを規定する第1のポリマ材料と、(ii)約3重量%から約20重量%の範囲内の量で且つ第1の材料の第1の伸びよりも小さい第2の伸びを規定する第2のポリマ材料と、(iii)ボディが所定の波長でレーザ照射を実質的に吸収し且つその所定の壁厚を照射が通過することを実質的に妨げて、約2秒より短い所定の時間期間でその針貫通領域に形成された針開口を気密シールすることを可能にする量の顔料と、(iv)針の貫通の間に針とボディとの界面における摩擦力を低減する量の潤滑剤と、を含む。
【0129】
[付記6]
参考例の他の局面は、バイアルに所定の薬剤を供給し且つ充填する方法に関しており、この方法は、
(i)針で貫通可能で針開口をそこに形成し且つ熱で再シール可能で所定の波長及びパワーのレーザ照射の印加によって針開口を気密シールする針貫通領域を規定する熱可塑性ストッパを提供するステップであって、ストッパがさらに、その軸方向に所定の壁厚を規定する熱可塑性ボディを備え且つスチレンブロックコポリマとオレフィンとを含む、ステップと、
(ii)熱可塑性ストッパに、ボディが所定の波長でレーザ照射を実質的に吸収し且つその所定の壁厚を照射が通過することを実質的に妨げる所定の量の顔料を提供するステップと、
(iii)ストッパをバイアルの開放端に接続し、ストッパとバイアルとの間にシールされたチャンバを規定するステップと、
(iv)非芯の円錐状先端と、先端に隣接して位置し且つ所定の薬剤のソースと流体連通的に接続可能な少なくとも一つの流れ開口とを規定する針を準備するステップと、
(v)針の流れ開口がバイアルのチャンバと流体連通するように、ストッパの針貫通領域を針の円錐状先端で貫通するステップと、
(vi)針とストッパとの界面に潤滑剤を提供して、それらの間の摩擦力を低減するステップと、
(vii)所定の薬剤を針を通してバイアルのチャンバに導入し、且つ針をストッパから引き抜くステップと、
(viii)所定の波長及びパワーでレーザ照射をストッパの針貫通領域に伝達し、その針貫通領域に形成された針開口を約2秒より短い時間期間で気密シールするステップと、
を包含する。
【0130】
[付記7]
(1)針で貫通可能で針開口をそこに形成し且つ熱で再シール可能で所定の波長及びパワーのレーザ照射の印加によって前記針開口を気密シールする針貫通領域を規定する熱可塑性ストッパであって、前記ストッパが熱可塑性ボディを備え、この熱可塑性ボディが、その軸方向に所定の壁厚を規定し、且つ、(i)スチレンブロックコポリマと、(ii)オレフィンと、(iii)前記ボディが前記所定の波長でレーザ照射を実質的に吸収し且つその前記所定の壁厚を照射が通過することを実質的に妨げて、約2秒より短い所定の時間期間でその前記針貫通領域に形成された針開口を気密シールすることを可能にする所定の量の顔料と、(iv)針の貫通の間に前記針とボディとの界面における摩擦力を低減する所定の量の潤滑剤と、を含む、ストッパ。
(2)前記スチレンブロックコポリマが約80重量%から約97重量%の範囲内である、(1)記載のストッパ。
(3)前記オレフィンが約3重量%から約20重量%の範囲内である、(1)に記載のストッパ。
(4)前記ボディが約90重量%のスチレンブロックコポリマと約5重量%のオレフィンとを含む、(1)に記載のストッパ。
(5)前記スチレンブロックコポリマの前記オレフィンに対する比が、重量比で約50:50から重量比で約90:5の範囲内である、(1)に記載のストッパ。
(6)前記所定の波長が約980nmである、(1)に記載のストッパ。
(7)前記所定のパワーが約30ワットよりも少ない、(1)に記載のストッパ。
(8)前記所定のパワーが約10ワットよりも少ないか又は等しい、(7)に記載のストッパ。
(9)前記顔料がグレーである、(1)に記載のストッパ。
(10)前記顔料の量が約0.3重量%から約0.6重量%の範囲内である、(8)に記載のストッパ。
(11)前記所定の時間期間が約1.5秒よりも短い、(1)に記載のストッパ。
(12)前記ストッパがバイアルストッパである、(1)に記載のストッパ。
(13)前記ストッパがシリンジブランジャの形態である、(1)に記載のストッパ。
(14)前記潤滑剤が、シリコーン、鉱油、及びシリコーンオイルを含むグループから選択される、(1)に記載のストッパ。
(15)前記潤滑剤がシリコーンオイルであり、前記潤滑剤の量が約0.4重量%から約0.6重量%の範囲内である、(1)に記載のストッパ。
(16)前記ストッパを貫通する針と組み合わされ、前記針が、約15度から約25度の範囲内の内角を規定する非芯の円錐状先端を含む、(1)に記載のストッパ。
(17)前記針が、その貫通の間に前記針とストッパとの間の摩擦力を低減するための低摩擦コーティングを含む、(16)に記載のストッパ。
(18)前記低摩擦コーティングが、タングステンカーバイド及びチタンを含むグループから選択される、(17)に記載のストッパ。
(19)針で貫通可能で針開口をそこに形成し且つ熱で再シール可能で所定の波長及びパワーのレーザ照射の印加によって前記針開口を気密シールする針貫通領域を規定する熱可塑性ストッパであって、前記ストッパが熱可塑性ボディを備え、この熱可塑性ボディが、その軸方向に所定の壁厚を規定し、且つ、(i)約80重量%から約97重量%の範囲内の量で且つ第1の伸びを規定する第1のポリマ材料と、(ii)約3重量%から約20重量%の範囲内の量で且つ第1の材料の第1の伸びよりも小さい第2の伸びを規定する第2のポリマ材料と、(iii)前記ボディが前記所定の波長でレーザ照射を実質的に吸収し且つその前記所定の壁厚を照射が通過することを実質的に妨げて、約2秒より短い所定の時間期間でその前記針貫通領域に形成された針開口を気密シールすることを可能にする量の顔料と、(iv)針の貫通の間に前記針とボディとの界面における摩擦力を低減する量の潤滑剤と、を含む、ストッパ。
(20)前記第1の材料が前記第2の材料よりも高い溶融温度を規定する、(19)に記載のストッパ。
(21)前記第1の材料がスチレンブロックコポリマであり、前記第2の材料がオレフィンである、(20)に記載のストッパ。
(22)前記第1の材料が約10ポンドの力で少なくとも約75%の第1の伸びを規定する、(19)に記載のストッパ。
(23)前記第1の材料が約10ポンドの力で約85%から少なくとも約90%の範囲内の第1の伸びを規定する、(22)に記載のストッパ。
(24)前記第2の材料が約10ポンドの力で少なくとも約5%の第2の伸びを規定する、(19)に記載のストッパ。
(25)前記第2の材料が約10ポンドの力で約15%から約25%の範囲内の第2の伸びを規定する、(24)に記載のストッパ。
(26)前記第1の材料がスチレンブロックコポリマである、(19)に記載のストッパ。
(27)前記第2の材料がオレフィンである、(19)に記載のストッパ。
(28)前記第1の材料がスチレンブロックコポリマであり、前記第2の材料がオレフィンであり、前記ボディが約90重量%のスチレンブロックコポリマと約5重量%のオレフィンとを含む、(1)に記載のストッパ。
(29)前記第1の材料がスチレンブロックコポリマであり、前記第2の材料がオレフィンであり、前記スチレンブロックコポリマの前記オレフィンに対する比が重量比で約90:5である、(19)に記載のストッパ。
(30)前記所定の波長が約980nmである、(19)に記載のストッパ。
(31)前記所定のパワーが約30ワットよりも少ない、(19)に記載のストッパ。
(32)前記所定のパワーが約10ワットよりも少ないか又は等しい、(31)に記載のストッパ。
(33)前記顔料がグレーである、(19)に記載のストッパ。
(34)前記顔料の量が約0.3重量%から約0.6重量%の範囲内である、(33)に記載のストッパ。
(35)前記所定の時間期間が約1秒よりも短い、(19)に記載のストッパ。
(36)前記潤滑剤が、シリコーン、鉱油、及びシリコーンオイルを含むグループから選択される、(19)に記載のストッパ。
(37)前記潤滑剤がシリコーンオイルであり、前記潤滑剤の量が約0.4重量%から約0.6重量%の範囲内である、(19)に記載のストッパ。
(38)前記ストッパを貫通する針と組み合わされ、前記針が、約15度から約25度の範囲内の内角を規定する非芯の円錐状先端を含む、(19)に記載のストッパ。
(39)前記針が、その貫通の間に前記針とストッパとの間の摩擦力を低減するための低摩擦外部表面を含む、(38)に記載のストッパ。
(40)前記低摩擦表面が、タングステンカーバイド表面、電解研磨されたステンレス鋼表面、及びチタン表面を含むグループから選択される、(17)に記載のストッパ。
(41)バイアルに所定の薬剤を供給し且つ充填する方法で、
針で貫通可能で針開口をそこに形成し且つ熱で再シール可能で所定の波長及びパワーのレーザ照射の印加によって前記針開口を気密シールする針貫通領域を規定する熱可塑性ストッパを提供するステップであって、前記ストッパがさらに、その軸方向に所定の壁厚を規定する熱可塑性ボディを備え且つスチレンブロックコポリマとオレフィンとを含む、ステップと、
前記熱可塑性ストッパに、前記ボディが前記所定の波長でレーザ照射を実質的に吸収し且つその前記所定の壁厚を照射が通過することを実質的に妨げる所定の量の顔料を提供するステップと、
前記ストッパをバイアルの開放端に接続し、前記ストッパとバイアルとの間にシールされたチャンバを規定するステップと、
非芯の円錐状先端と、前記先端に隣接して位置し前記所定の薬剤の源と流体連通的に接続可能な少なくとも一つの流れ開口とを規定する針を準備するステップと、
前記針の前記流れ開口が前記バイアルの前記チャンバと流体連通するように、ストッパの前記針貫通領域を前記針の円錐状先端で貫通するステップと、
前記針とストッパとの界面に潤滑剤を提供して、それらの間の摩擦力を低減するステップと、
前記所定の薬剤を前記針を通して前記バイアルの前記チャンバに導入し、前記針を前記ストッパから引き抜くステップと、
所定の波長及びパワーでレーザ照射を前記ストッパの前記針貫通領域に伝達し、その前記針貫通領域に形成された前記針開口を約2秒より短い時間期間で気密シールするステップと、
を包含する、方法。
(42)前記潤滑剤を提供するステップが、前記ストッパボディ内に、前記針とボディとの界面における摩擦力を低減する所定の量の潤滑剤を提供するステップを含む、(41に記載の方法。
(43)前記ストッパとバイアルボディとを実質的な層流の元でプラスチックからモールドするステップと、前記ストッパとバイアルボディとを周囲温度まで冷却させる前に前記ストッパとバイアルボディとを組み合わせて、それらの間にシールされた無菌で発熱源を含まないチャンバを形成するステップと、をさらに包含する、(41)に記載の方法。
(44)前記針の表面に、前記ストッパをそれで貫通するステップの前に電子ビーム照射を伝達するステップをさらに包含する、(41)に記載の方法。
(45)前記ストッパに、そのレーザシールの間に電子ビーム照射を伝達するステップをさらに包含する、(41)に記載の方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次のステップを含むデバイスに物質を供給し且つ充填する方法であって、
実質的な層流の下でチャンバのボディをモールディングするステップと、
前記ボディのモールディングと互いに近接して実質的な層流の下で、充填部材によって貫通できる貫通領域を備え貫通領域は所定の波長及びパワーでレーザ照射によってそのなかの穿孔を熱で再気密シール可能である熱可塑性部をモールディングするステップと、
前記熱可塑性部と前記ボディとを室温に冷却する前に、前記熱可塑性部と前記ボディとを組み立てて常温で無菌シールされるデバイスを形成するステップと、
充填部材が前記デバイスの前記チャンバと流体連通するように前記熱可塑性部の前記貫通領域を前記充填部材で貫通させるステップと、
前記充填部材を通して前記デバイスの前記チャンバに物質を導入するステップと、
前記充填部材を熱可塑性部から引き抜くステップと、
所定の波長及びパワーでレーザ照射を前記熱可塑性部の前記貫通領域に形成された前記穿孔の上に伝達し、前記穿孔を約2秒より短い時間期間で気密シールするステップと、
を含む方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
組み立てステップは、前記ボディと前記熱可塑性部とを殺菌温度で組み立てる方法。
【請求項3】
請求項1に記載された方法であって、
組み立てステップは、組み立て治具を用いて複数の前記熱可塑性部を複数の前記ボディに組み合わせるか、複数の複数の前記ボディを前記熱可塑性部に組み合わせる方法。
【請求項4】
請求項1に記載された方法であって、
物質は少なくとも食品、化粧品、医薬品の内の1つである方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図12D】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26A】
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【図26B】
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【図27】
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【図28】
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【図28A】
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【図28B】
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【図28C】
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【図28D】
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【図28E】
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【図28F】
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【図28G】
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【図28H】
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【図28I】
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【図29】
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【図30A】
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【図30B】
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【図30C】
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【図30D】
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【図30E】
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【図30F】
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【図31A】
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【図31B】
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【図31C】
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【図31D】
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【図31E】
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【図31F】
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【図31G】
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【図31H】
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【図32】
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【図33A】
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【図33B】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37A】
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【図37B】
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【図37C】
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【図37D】
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【図38】
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【図39A】
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【図39B】
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【図39C】
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【公開番号】特開2009−149378(P2009−149378A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−70988(P2009−70988)
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【分割の表示】特願2005−518849(P2005−518849)の分割
【原出願日】平成16年1月28日(2004.1.28)
【出願人】(503129855)メディカル・インスティル・テクノロジーズ・インコーポレイテッド (15)
【Fターム(参考)】