説明

デヒドロエピアンドロステロン・ステロイド及び抗ムスカリン薬で呼吸器及び肺の疾患を治療するための組成物、配合物及びキット

製薬組成物又は獣医学組成物が非コルチコステロイド及び/又はこれらの塩、及び抗ムスカリン(抗コリン作用)薬、及び/又は製薬上又は獣医学上許容可能なその塩を含む。組成物は種々の配合物として、またキットの形態で提供される。本発明の生成物は、種々の呼吸器、肺及び悪性疾患の予防又は治療に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
他の関連出願
本発明は、2002年4月22日付けで出願された国際出願第PCT/US02/12552号(EPI-0449)、標題「COMPSITION, FORMULATIONS & KIT FOR TREATMENT OF RESPIRATORY & LUNG DISEASE WITH NON-GLUCOCORTICOID STEROIDS &/OR UBIQUINONE & BRONCHODILATING AGENT(非グルココルチコイド・ステロイド及び/又はユビキノン及び気管支拡張剤で呼吸器及び肺の疾患を治療するための組成、配合物及びキット)」の部分継続である。前記国際出願は、Jonathan W. Nyceによる2001年4月24日付けで出願された米国仮出願第60/286,139号明細書に基づく。
【0002】
発明の分野
本発明は、化学式(I)、(II)、(III)、(IV)及び(V)のデヒドロエピアンドロステロン及びその塩、及び抗ムスカリン受容体薬及び/又はその塩、並びに任意には他の生体活性物質及び配合成分を含む組成物及び配合物に関する。これらの生成物は一般に呼吸器及び肺疾患の治療、及びCOPD、喘息及びアレルギー性鼻炎などの状態の治療に有用である。
【背景技術】
【0003】
背景の説明
呼吸器の病気は、一般の人々に極めて多く発生し、そして或る特定の民族、例えばアフリカ系米国人により多く発生する。いくつかの事例では、これらの病気は炎症を伴う。炎症は肺の状態をさらに悪化させる。慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、アレルギー性鼻炎、及び、妊婦及び未熟児におけるRDSを含む急性呼吸窮迫症候群(ARDS)のような疾患が、先進産業国においてよく見られ、そして米国内だけに関して言えば、これらの疾患は、極めて高い医療費の原因となっている。これらの疾患は最近では、有病率、罹患率及び死亡率に関して、いずれも驚くべき速度で増大している。それにもかかわらず、これらの疾患の根底を成す原因はいまだにあまり理解されていないままである。COPDの特徴は、一般に慢性気管支炎、気腫又はその両方を原因とする気流閉塞である。気腫の特徴は、末端細気管支に対して遠位側の気腔が異常に永久的に拡大することであり、細気管支壁の破壊を伴い、また明らかな線維形成は伴わない。慢性気管支炎の特徴は、連続する2年以上の間に、3か月以上にわたる慢性の咳、粘液生成又はその両方を示すことである。この場合、慢性の咳の他の理由は排除されている。COPDは、中高年が罹患するのが特徴的であり、世界中の罹患率及び死亡率の主要な原因の1つである。米国内では、慢性気管支炎は約千四百万人が罹患し、死因の第4位である。罹患率も死亡率も例えば米国では1982年以来41%だけ上昇しており、1985年には1966年と比べて年齢調節死亡率が71%だけ上昇している。このことは、同じ期間における全ての原因からの年齢調節死亡率(22%)、そして心臓血管疾患からの年齢調節死亡率(45%)が低下しているのとは対照的である。しかしCOPDは、その主因がタバコの煙に晒されることであると考えるならば予防することができる。この疾患は生涯にわたる非喫煙者には稀である。提案される他の病因学的なファクターは、気道の過応答又は過敏性、周囲の空気汚染、及びアレルギーを含む。COPDにおける気流閉塞は普通、喫煙を続ける人々において進行性であり、その結果、早期の障害をもたらし、寿命を短くする。禁煙は肺機能の低下を非喫煙者の値に戻す。多くのCOPD患者は、余生において慢性的に薬剤を使用し、そして増悪中には投与量を増やし、付加的な薬剤を服用することを必要とする。現在利用可能なCOPD治療の中で、抗コリン作用薬、β2アドレナリン作用アゴニスト及び経口ステロイドの投与からは、その進行に関して、短期間の利益は見いだされるが、長期間の効果は見いだされなかった。抗コリン作用薬もβ2アドレナリン作用アゴニストも、またこれら両者の組み合わせも、全てのCOPD患者に効果を及ぼすわけではない。テオフィリンの副作用及び頻繁なモニタリングの必要は、これらの有用性を制限してしまう。抗コリン作用薬が肺機能の低下に影響を与えるという証拠はなく、そして粘液溶解物質は、増悪の頻度を低減しはするものの、肺機能に対して悪影響を及ぼすことが判っている。β2アドレナリン作用アゴニスト、経口コルチコステロイド、及び抗生物質の長期効果はまだ評価されておらず、現時点では、この疾患の進行又は生き残りに影響を与えることが判っているその他の薬物はない。従って、COPDの症状を緩和し、増悪を阻止し、最適な肺機能を維持し、そして日常生活の活動、生活の質を改善するのに利用可能なものは目下のところ極めて少ない。
【0004】
喘息は、気道の可変の、多くの場合可逆的な閉塞という特徴を有する状態である。このプロセスは、肺の炎症、及びいくつかの場合、肺アレルギーと関連する。多くの患者は「喘息発作」と呼ばれる急性発作を有するのに対し、他の患者は慢性状態に苦しめられる。喘息プロセスはいくつかの事例では、過敏性の患者による抗原の吸入によって引き起こされることがある。この状態は一般に「外因性喘息」と呼ばれる。その他の喘息患者は、状態に対する内因性の素因を有している。従ってこの状態は「内因性喘息」と呼ばれ、そしてアデノシン受容体によって媒介される状態、免疫IgE媒介応答によって媒介されるアレルギー状態、及びその他を含む、異なる起源の状態を包含する。全ての喘息は、症状:気管支収縮、肺の炎症及び/又は肺界面活性物質の減少から成る群を有する。喘息の治療には、現在、気管支拡張剤及び抗炎症剤が使用される。最も一般的な抗炎症剤であるコルチコステロイドは、かなりの副作用を有するが、それにもかかわらず広く処方されている。さらに重要なことには、喘息の治療に利用可能な薬物のほとんどは、少数の患者に辛うじて効果的であるにすぎない。
【0005】
急性呼吸窮迫症候群(ARDS)又は硬直肺、ショック肺、ポンプ肺、及び鬱血性アテレクターゼは、肺内部の流体蓄積によって引き起こされると考えられる。このことは肺を硬直させる。この状態は肺を傷つける種々のプロセス、例えば外傷、頭部負傷、ショック、敗血、複数回の輸血、投薬、肺塞栓、重傷の肺炎、煙の吸入、放射線、高い海抜、溺水及びその他によって48時間以内に引き起こされる。一般に、ARDSは医学的な緊急事態として発生し、他の状態によって引き起こされることがある。これらの状態は、直接的又は間接的に血管が流体を肺内に「漏らす」ようにする。ARDSにおいて、肺の拡張能力は深刻に減じられ、このような能力の低下は、肺胞及び肺の上皮又は内皮に対する広範囲な損傷をもたらす。ARDSの最も一般的な症状は、苦しく速い呼吸、鼻の発赤、チアノーゼ、つまり組織へ送られる酸素の欠乏による青い皮膚、唇及び爪、呼吸困難、不安、ストレス、緊張、関節硬直、疼痛及び一時的な息切れである。いくつかの事例において、ARDは、他の疾患、例えば急性骨髄性白血病に関連し、例えばシトシン・アラビノシドを用いた治療後に発生する急性腫瘍崩壊症候群(ATLS)に関連するように見える。しかし一般には、ARDSは、外傷、深刻な血液感染、例えば敗血又はその他の全身性疾患、高線量放射線治療、化学療法、及び、多臓器障害及び多くの場合には死に至らしめる炎症応答と関連する。未熟児(プレミー)の場合、肺が完全には発育しておらず、従って胎児は発育中には無酸素状態にある。加えて、正常な呼吸にとって重要な物質である界面活性物質は一般には、生涯のこのような早い時期には十分な量ではまだ存在しない。しかしプレミーは、しばしばアデノシンA1受容体を過剰発現させ、且つ/又はアデノシンA2a受容体を過少発現させ、従って、特に気管支収縮、肺の炎症及びARDSを含む呼吸の問題を蒙りやすくなる。呼吸窮迫症候群(RDS)がプレミーにおいて発生した場合、これは極めて深刻な問題である。RDSを示す早産児は、現在、通気、並びに酸素及び界面活性物質調製物の投与によって治療される。プレミーがRDSを克服して生き残ると、早期幼児の慢性肺疾患とも呼ばれる気管支肺異形成症(BPD)をしばしば発生させる。この疾患はしばしば致命的である。
【0006】
一般に誤診はあるものの、5人に1人の米国人がアレルギー性鼻炎に罹り、アレルギー性鼻炎は全ての年齢で発生し、従って毎年の医療費は推定40億〜100億ドルを占める。症状は鼻充血、鼻水、くしゃみ及び鼻のかゆみ、並びに眼のかゆみ、涙目、眼の腫れを含む。時間経過後、アレルギー性鼻炎患者はしばしば副鼻孔炎、滲出性中耳炎、及び鼻ポリープ症を発生させ、そして喘息を増悪させるおそれがある。アレルギー性鼻炎はまた、気分障害、認知障害、疲労及び被刺激性にも関連する。アレルギー性鼻炎の場合、典型的には、IgEが鼻内でアレルゲンと合体することにより、化学的メディエーターを生成し、細胞プロセス及び神経性刺激を誘発し、基礎炎症を引き起こす。肥満細胞の脱顆粒の結果、予め形成されたメディエーターが放出され、これらのメディエーターは種々の細胞、血管及び粘液腺と相互作用することにより、典型的な鼻炎症状を引き起こす。ほとんどの前期及び後期反応が、アレルゲン暴露後に鼻内で発生する。しかし後期反応は、過剰分泌及び鼻充血を伴う慢性アレルギー性鼻炎に見られる。暴露を繰り返すと、1つ又は多数のアレルゲンに対する過敏反応が生じ、非特異的トリガー、例えば冷気又は強い臭気に対する過剰反応が引き起こされるおそれがある。非アレルギー性鼻炎はウィルスのような感染によって誘発されるか、又は、アスピリン特異性患者に発生するように、鼻ポリープと関連することがあり、また、妊娠、甲状腺機能低下症、及び職業性因子又は薬剤に対する暴露により誘発されるおそれがある。鼻汁中の好酸球と関連する非アレルギー型の鼻炎であるNARES症候群は典型的には、中年期の個体に発生し、嗅覚の損失を伴う。副作用を引き起こすことなしに、鼻詰まり、くしゃみ、充血、粘膜刺激又は乾燥を改善し、粘膜委縮を最小化し、そして、固く濃くなった粘液を除去するために、生理食塩水が推奨され、妊娠中の患者においては最初に試すことができる。生理食塩水は、鼻腔内のコルチコステロイド投与直前に使用されると、局所的な刺激を防ぐのを助ける。抗ヒスタミン薬が一次治療薬としてしばしば役立つ。しかし2種の非鎮静性抗ヒスタミン薬であるテルフェナジン及びアステミゾールは、トルサード・ド・ポワントとして知られる心室性不整脈と関連している。この心室性不整脈は、他の薬剤、例えばケトコナゾール及びエリスロマイシンとの相互作用において、又は根底にある心臓の問題に対して二次的に発生する。今日まで、別の非鎮静性抗ヒスタミン薬であるロラタジン、及びセチリジンは、深刻な不都合な心臓血管事象とは関連していない。セチリジンの最も一般的な副作用は眠気である。クラリチンは例えば、低パーセンテージの患者において、くしゃみ、鼻水、並びに鼻、眼及び口蓋の刺激を緩和するのに効果的である場合があるが、この徴候又は喘息には承認されていない。抗ヒスタミン薬は典型的には、鼻充血を緩和するのを助けるために充血除去薬と組み合わされる。交感神経様作用薬が血管収縮剤及びフェニレフリンとして使用される。最も一般的な3種の充血除去薬は、疑似エフェドリン、フェニルプロパノールアミン及びフェニレフリンである。しかしこれらの薬剤は、高血圧、動悸、頻脈、情動不安、不眠及び頭痛を引き起こす。抗コリン作用薬、例えばクロモリンは、著しい鼻汁を伴う患者において、又は普通は刺激的な食品の摂取と関連する「味覚鼻炎」のような特異的な存在に対して役割を果たし、一般的な風邪に使用されている。局所用鼻腔スプレー・コルチコステロイド、例えばバンセナーゼは、鼻炎、特に充血、くしゃみ及び鼻水の症状に対していくらか効果的である。局所用ステロイドは具体的にはNARESの治療において、一般にクロモリンよりも効果的であるが、しかし、重症の症状を伴う患者における一時的な治療を除いて、副作用がこれらの有用性を制限する。免疫治療は高価で不便ではあるものの、特に、遮断抗体を生成し、細胞のヒスタミン放出を変化させ、その結果IgEを減少させる薬物を使用するというかなりの利点をしばしばもたらすことができる。現在利用可能な治療薬、例えばプロプラノロール、ベラパミル及びアデノシンは症状を最小限に抑える。ベラパミルは最も広く使用されるが、しかし重大な欠点を有する。それというのも、ベラパミルは全身性の低血圧、鬱血性心不全、徐脈性不整脈、及び心室細動を引き起こすか、又は増悪させるからである。加えて、ベラパミルは胎盤と容易に交差し、胎児徐脈、心臓ブロック、収縮性の低下、及び低血圧を引き起こすことが判っている。アデノシンは、迅速な作用発現、副作用の少なさ、理論上の安全性、及び胎盤移動がおそらくないことを含む、ベラパミルを上回るいくつかの利点を有するが、しかし、種々の患者には投与してはならない。
【0007】
肺線維症、間質性肺疾患(ILD)、又は間質性肺線維症は、肺組織を損傷し、肺内の肺胞壁に炎症を引き起こし、間質(又は肺胞間の組織)内に瘢痕又は線維を形成し、そして肺を硬直させることにより肺に影響を与え、従ってこの疾患名を有する130種以上を上回る慢性肺障害を含む。運動中の息切れは、これらの疾患の第1の症状の1つであってよく、乾咳が存在することがある。症状もX線も、種々異なるタイプの肺線維症を区別するには十分でないことがしばしばある。肺線維症患者には、既知の原因を有する者があり、また未知又は特発性の原因を有する者もある。この疾患の経過は一般に予測できない。その進行は、肺組織の肥厚化及び硬直、炎症及び呼吸困難を含む。治療の一部として酸素治療を必要とする患者がいる。
【0008】
癌は、我々の時代において最も広く蔓延して恐れられている疾患の1つである。癌は一般に、種々異なる上皮の正常細胞が発癌性に変化する結果生じる。癌及び悪性腫瘍の最も有害な特徴のうちの2つは、これらの制御されない成長、及び、宿主、具体的にはヒト宿主の隔たった部位に転移を引き起こすこれらの能力である。通常、宿主に重大な結果を招くおそれがあるのは、このような遠距離の転移である。それというのも、しばしば原発癌が手術によって除去されるからである。癌治療は現在、手術、放射線治療及び全身性治療、例えば化学療法、種々異なる免疫増強薬及び免疫増強処置、温熱療法、放射性標識モノクローナル抗体治療、免疫毒素及び化学治療薬に依存している。
【0009】
ステロイドホルモンは、細胞分化、ホメオスタシス及び形態形成に劇的な効果を与える強力な化学的メッセンジャーである。多様の構造を有するこれらの分子は、機構的に同様の作用様式を共有する。エフェクター分子は細胞膜全体に拡散し、標的細胞核内の特異的高親和性受容体に結合する。この相互作用の結果、不活性受容体を、標的遺伝子の調節領域と相互作用して特異的遺伝子集合の転写速度を調節する受容体に変換させる。リガンド結合時には、これらの受容体は、急速な応答及び長時間継続する応答の双方を生成する。ステロイドは、2つの基本的メカニズム、すなわちゲノム・メカニズム及び非ゲノム・メカニズムを通して作用することができる。古典的なゲノム作用は、特異的細胞内受容体によって媒介される一方、非ゲノム作用の主要な標的は細胞膜である。多くの臨床的症状は、非ゲノム経路を通して媒介されると考えられる。さらに、ステロイド及びその他のファクターの膜効果は、ステロイド特異的ゲノム効果及び受容体特異的ゲノム効果を誘発又は抑制する核内受容体系を妨害することができる。これらのシグナル伝達経路は、特定の薬物で治療される患者内に予期せぬホルモン効果又は抗ホルモン効果を招くことがある。ステロイド受容体は、同系ステロイド・リガンド、DNAの特異的エンハンサー配列(ステロイド応答要素)及び基礎転写機構に結合することにより遺伝子発現を調節する、大型の核転写因子群の構成員である。ステロイド受容体は一般的には、ホルモン状態とは無関係に、核内に局在化されており、そしてほとんどのステロイド受容体がリン・タンパク質である例外的な場合には、リガンド非結合ステロイド受容体の相当量が標的細胞の細胞質中に存在することがある。リン・タンパク質はリガンド結合後にさらにリン酸化される。受容体のトランザクションにおけるリン酸化の役割は複雑であり、全てのステロイド受容体に対して一様でないことがある。しかし、リン酸化及び/又は脱ホスホリル化は、ステロイド受容体の転写活性を調節する重要な事象であると考えられる。ステロイド受容体活性は、細胞核内のステロイド受容体の量によって影響を与えることができる。ステロイド受容体の量は、転写速度及びステロイド受容体遺伝子の翻訳によって、またステロイド受容体タンパク質の分解によって改変される。受容体レベルの調節には、自己調節及び異種調節がある。ステロイド受容体のいくつかは、特異的プロテアーゼ阻害物質と結合し、プロテアーゼ活性を示すように見える。いくつかのステロイド受容体は、2つ又は3つ以上のイソ型として発現される。イソ型は転写に対して異なる効果を有することがある。受容体イソ型は単独遺伝子の異なる翻訳又は転写生成物である。プロゲステロン受容体のイソ型は、同じ遺伝子を起源とするPRイソ型Bの切断形であるが、しかしこれは、PR-Bの遺伝子増強活性だけでなく、その他のステロイド受容体の遺伝子増強活性を抑制することができる。ホルモンの結合前には、受容体は多数のシャペロンとの複合体の一部であり、これらのシャペロンは、ステロイド結合構造において受容体を維持する。ホルモンの結合後、複合体は解離し、受容体はクロマチン中のステロイド応答要素に結合する。ホルモンによる遺伝子発現の調節は、DNA結合受容体と、他の配列特異的転写因子、及びコ・アクチベーター及びコ・リプレッサーによって部分的に媒介される一般的な転写因子との相互作用を伴う。特定のプロモーター/エンハンサー中の特異的なcis調節要素配列、並びにヌクレオソーム中のDNA配列の編成は、受容体相互作用のネットワークを特定する。これらの相互作用の性質に応じて、最終的な結果として転写を誘発又は抑制することができる。
【0010】
デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)は、明白な化学保護特性を有する、副腎皮質によって分泌される天然発生型ステロイドである。疫学研究が示したところによれば、DHEAの低内生的レベルは、癌のいくつかの形、例えば女性における閉経前乳癌、並びに男性及び女性における膀胱癌の発生リスクの増大と相関する。発癌を阻止するDHEA及びDHEA類似体、例えばDHEA-Sスルフェートの能力は、酵素グルコース6-ホスフェート・デヒドロゲナーゼ(G6PDH)の活性の不拮抗阻害から生じると考えられている。DHEA又は3β-ヒドロキシアンドロスト-5-エン-17-オン又はデヒドロイソ-アンドロステロンは、17-ケトステロイドである。17-ケトステロイドは量的に、哺乳動物において見いだされる主要な副腎皮質ホルモンの1つである。臨床的には、DHEAは、乾癬、痛風、高脂血症を治療するために全身的及び局所的に利用されており、冠動脈後の患者に投与されている。DHEAは、体重最適化効果及び抗発癌性効果を有することが判っており、また臨床的にヨーロッパでは、更年期症状を逆転させるための薬剤としてエストロゲンと一緒に使用され、そして躁鬱病、統合失調症及びアルツハイマー病の治療に使用されている。DHEAは、進行癌及び多発性硬化症の治療に際して、40mg/kg/日で臨床的に使用されている。副作用、例えば軽度の男性ホルモン効果、多毛及び性欲の増大が観察され、これらは、投与量をモニタリングすることにより、且つ/又は類似体を使用することにより克服することができる。DHEAは、皮下、経口で、そして感染症を治療するためにパッチとして使用される。DHEAは、哺乳動物内の免疫応答を増大させるより強力な薬剤の代謝前駆体でもある。DHEAは二相性である。すなわち、DHEAは、アンドロステンジオール、アンドロスト-5-エン-3β,17β-ジオール(βAED)、アンドロステントリオール又はアンドロスト-5-エン-3β,7β,17β-トリオール(βAET)に変換されると、免疫モジュレーターとして作用する。DHEAは、βAED又はβAETへの変換前に細胞増殖に対してリンパ球毒性効果及び抑制効果を及ぼすので、その優れた免疫増強特性は、より活性の代謝体への変換から生じると考えられる。デヒドロエピアンドロステロン(DHEA-S)は、呼吸器疾患の3種の動物モデル(マウス、ウサギ、ヒト以外の霊長類)において、好酸球増加及び好中球増加を効果的に軽減し、また、コンプライアンス及び抵抗性を改善することが判った。慢性持続性喘息は、主として好中球によって引き起こされる疾患であることが判っている(Gibson他(20-?)。COPDは、好中球によって引き起こされることが従来から判っており、そして好中球増加はアレルギー性鼻炎にも同様に観察される。しかし、薬理学的に適切な投与量で副腎皮質起源のステロイドホルモンを投与された幾人かの患者は、感染性疾患の発生率の増大を示す。G6PDHは、細胞内リボース-5-ホスフェート及びNADPHの主要源であるヘキソース1リン酸経路の律速酵素である。リボース-5-ホスフェートは、RNA及びDNAの合成に必要となるリボヌクレオチド及びデオキシリボヌクレオチド双方の合成のための所要基質である。HADPHは、また核酸生合成、及びヒドロキシメチルグルタリル補酵素Aレダクターゼ(HMG CoAレダクターゼ)の合成に関与する補因子である。HMG CoAレダクターゼは、生成された生成物メバロ酸塩1モル当たり2モルのNADPHを必要とする独特の酵素である。従って、HMG CoAレダクターゼは、DHEA媒介性のNADPHの減少に対して極めて敏感であり、DHEAで処理された細胞はメバロン酸塩の細胞内プールの減少を迅速に示すはずだと考えられる。メバロン酸塩はDNA合成に必要であり、DHEAは直接的なHMG CoAと極めて似た形式で、細胞周期のG1期においてヒト細胞を捕捉する。G6PDHは細胞プロセス、例えばタンパク質イソプレニル化、及び、糖タンパク質生合成のための前駆体であるドリコールの合成に使用されるメバロン酸を生成するので、DHEAは、メバロン酸を減少させ、これによりタンパク質イソプレニル化及び糖タンパク質合成を阻害することにより、発癌を阻害する。メバロン酸塩は、コレステロールの合成のための、並びに、タンパク質の翻訳後修飾に関与する種々の非ステロール化合物、例えばファルネシルピロリン酸及びゲラニルピロリン酸の合成のための、並びに、細胞間連通及び細胞構造に関与する糖タンパク質の合成に必要となるドリコールのための中心前駆体である。
【0011】
吸入式抗ムスカリン薬は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)における、ガイドラインによって推奨された治療薬の選択肢である。長期にわたる臨床試験において、イプラトロピウムは、気道平滑筋の弛緩を上回る重要な効果を示し、例えばCOPDの増悪を低下させる。第3相臨床試験において、1日に1回吸入される新世代抗ムスカリン性チオトロピウムは、24時間を上回る時間にわたる安定した気管支拡張を可能にした。この気管支拡張は、1年間の治療期間にわたって維持された。加えて、チオトロピウムは、プラセボ及びイプラトロピウムと比較しても、呼吸困難を改善し、COPDの増悪を低減し、増悪のための入院回数を減らし、入院期間を短くし、そして生活の健康関連の質を高めることが判った。慢性効果、例えばプロ炎症性コリン作動性効果を有する抗ムスカリン薬によって、上皮細胞からの5-HETEを阻害し、肺胞マクロファージからの好中球及び好酸球化学走化活性の放出を阻害することもできる。抗ムスカリン薬は、COPDにおける治療策として相当な値を示した。
【0012】
呼吸器疾患の治療のために、一握りの薬剤を使用したが、これらの薬剤全てには制限がある。これらの中には、グルココルチコイド・ステロイド、ロイコトリエン阻害薬、抗コリン作用薬、抗ヒスタミン薬、酸素治療、テオフィリン、及び粘液溶解物質がある。グルココルチコイド・ステロイドは、副作用が十分に記録されているにもかかわらず最も広く使用されている薬剤である。利用可能な薬剤のほとんどはそれでもなお、数少ない事例では効果的であり、そして喘息の治療となると全く効果的ではない。現在のところ、他の呼吸器疾患の多くに利用可能な治療薬はない。喘息の治療に重要な薬剤であるテオフィリンは、既知のアデノシン受容体アンタゴニストである。選択的アデノシンA1受容体アンタゴニスト、8-シクロペンチル-1、3-ジプロピルキサンチン(DPCPX)及びアンチセンス・オリゴヌクレオチドも、アデノシン媒介性気管支収縮、炎症及び気管支過応答をアレルギー性ウサギにおいて阻害することが報告された。多年にわたって、2つのクラスの化合物、すなわちグルココルチコステロイド及び気管支拡張剤が、喘息の治療を支配してきた。グルココルチコステロイドの例は、ベクロメタゾン及びコルチコイド21-スルホプロピオネートである。気管支拡張剤の例は、アルブテロールのようなより旧いβ2アドレナリン作用アゴニスト、及びサルメテロールのようなより新しいβ2アドレナリン作用アゴニストである。一般に、グルココルチコステロイドが毎日、吸入又は経口で投与されると、これらは炎症を軽減する。他方において、β2アドレナリン作用アゴニストは主として気管支収縮を緩和する。グルココルチコステロイドは急性の状況には一般に有用ではなく、これに対して気管支拡張剤は急性の治療、例えば喘息発作の治療に使用される。現時点では、多くの喘息患者が両方のタイプの薬物、すなわち、肺の炎症を軽減するためのグルココルチコステロイドと、気管支収縮を軽減するための気管支拡張剤との使用を毎日必要としている。最近では、グルココルチコイド・ステロイドのフルチカゾンプロピオネートを1つの治療配合物中でβ2アドレナリン作用アゴニストと組み合わせることにより、喘息治療の効率が高められた。しかし、グルココルチコステロイドは特に長期間摂取されると、極めて有害な副作用を有する。これらの副作用は、いくらかの効果はあるものの、特に小児における慢性的な使用を望ましくないものにする。
【0013】
現時点では治療することができないか、或いは、少なくとも著しく有害な副作用を伴わない効果的な治療が利用できない呼吸器疾患、肺疾患及び癌に対する新規の効果的な治療が明らかに必要である。このことは、呼吸器を冒す疾患、より具体的には呼吸困難、気管支収縮、肺の炎症及びアレルギー、界面活性物質の減少又は過少分泌、COPD、喘息、アレルギー性鼻炎などを含む肺及び肺気道の疾患に当てはまる。さらに、予防及び治療に用いられ、そして活性物質の所要量が少なく、コストが低くなり、有害な副作用が生じにくくなる治療薬が明らかに必要である。
【発明の開示】
【0014】
発明の概要
本発明は、化学式(I)、(II)、(III)、(IV)及び(V)のデヒドロエピアンドロステロン及びその塩を含む第1の活性物質を、抗ムスカリン薬及び/又はその塩、並びに任意には他のタイプの抗炎症薬及び気管支拡張剤を含む生体活性物質、及び配合成分を含む第2の活性物質との組み合わせにおいて採用する組成物、配合物及び治療薬に関する。この組成物及び配合物は、肺及び呼吸器疾患、並びに慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、アレルギー性鼻炎、及び気管支収縮、肺の炎症及び/又はアレルギー、並びに肺面の変化と関連するその他の多くの疾患を治療するのに有用である。
【0015】
添付の図面は、本発明の開示内容の一部を形成し、下記のような本発明のいくつかの特徴を示している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
好ましい実施態様の詳細な説明
本発明は、呼吸器疾患及び肺疾患、並びに肺を二次的に冒すその他の病状の従来の治療を改善しようという発明者の願望から生じた。本発明の治療は、疾患の原因がタバコ成分、その他の粒状物質又はアレルゲンの吸入、ステロイド投与、アデノシン又はアデノシン受容体代謝又は合成の異常にあろうと、又はその他の原因にあろうと、疾患の原因とは無関係に、複数の呼吸器疾患及び肺疾患の治療に効果的である。本発明の製品は、特に慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、アレルギー性鼻炎、嚢胞性線維症(CF)、呼吸困難、気腫、喘鳴、肺高血圧、肺線維症、過応答性気道、アデノシン又はアデノシン受容体レベルの増加、特に感染性疾患と関連する、アデノシン又はアデノシン受容体レベルの増加、肺の炎症及び/又はアレルギー、界面活性物質欠乏、慢性気管支炎、気管支収縮、呼吸困難、肺気道の妨害又は閉塞、心臓機能のアデノシン試験、肺血管収縮、呼吸妨害、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、乳児急性呼吸窮迫症候群(乳児RDS)、疼痛、肺界面活性物質の減少、又は慢性気管支炎のような疾患及び状態を治療するのに特に適している。
【0017】
COPDの症状を軽減し、増悪を阻止し、最適な肺機能を維持し、そして日常生活の活動及び生活の質を高めるために現在利用できるものはほとんどない。抗コリン作用薬は一般に、短期の気管支拡張を達成し、そしてCOPD患者の何らかの症状を和らげるが、しかし抗コリン作用薬だけを投与する場合、これらの生成物を吸入しても、長期予後は改善されない。ほとんどのCOPD患者は、少なくともいくらかの気道閉塞を有する。この気道閉塞はある程度まで臭化イプラトロピウムによって軽減される。「肺健康研究」は男女の喫煙者において、初期COPDの肺活量測定兆候を見いだした。5年間にわたって比較された3種の治療により、臭化イプラトロピウムが患者の肺の機能有効容積の低下に対して有意な効果を与えることはなく、これに対して、禁煙が肺の機能有効容積の低下を遅くすることが判った。臭化イプラトロピウムを単独で投与する場合、大量の臭化イプラトロピウムが必要となり、このような投与量では、臭化イプラトロピウムは深刻な副作用、例えば心臓の症状、高血圧、皮膚発疹をもたらす。短時間及び長時間作用型の吸入式β2アドレナリン作用アゴニストは、短期間の気管支拡張を達成し、そしてCOPD患者の何らかの症状緩和を可能にするが、しかし疾患の進行に対する有意義な維持効果を示すことはない。短時間作用型の吸入式β2アドレナリン作用アゴニストは、COPD患者の症状を改善し、例えば運動能力を高め、ある程度の気管支拡張をもたらし、そして、いくつかの重症例の肺機能をも高める。新しい長時間型の吸入式β2アドレナリン作用アゴニストの最大効果は、短時間作用型のβ2アドレナリン作用アゴニストの効果と匹敵することが判った。サルメテロールは、症状及び生活の質を改善するが、肺機能は緩やかにしか、又は全く変化させないことが判った。しかし喘息の場合、β2アドレナリン作用アゴニストは死の危険の増大、喘息のコントロールの悪化、及び肺機能の低下に結びつく。気管支拡張剤臭化イプラトロピウム又はフェノテロールで喘息及びCOPD患者を連続的に治療する結果、必要に応じて治療を施す場合と比較して、肺機能の低下を速め、従ってこのことは、気管支拡張剤が維持治療には適していないことを示す。他方において、β2アドレナリン作用アゴニストの即時に現れる最も一般的な副作用は振戦である。β2アドレナリン作用アゴニストは高投与量で、血漿中カリウムの低下、リズム障害及び動脈血酸素分圧の減少を引き起こすおそれがある。β2アドレナリン作用アゴニストと抗コリン作用薬とを組み合わせると、いずれかの薬物単独の場合と比較して、付加的な気管支拡張はほとんど生じない。しかし約90日間にわたって標準投与量の吸入式β2アドレナリン作用アゴニストにイプラトロピウムを加えると、いずれかの薬物単独の場合を上回るいくらかの改善が安定的なCOPD患者にもたらされる。抗コリン作用薬は、β2アドレナリン作用アゴニストよりも大きな気管支拡張をCOPD患者にもたらすことが判った。気管支拡張剤治療を伴わずに患者に与えられた臭化イプラトロピウムは、患者の肺の機能有効容積を改善した。この改善度は、抗コリン作用薬の残余効果を考えれば、β2アドレナリン作用アゴニストと組み合わせるよりも抗コリン作用薬と組み合わせて投与された方が大きかった。β2アドレナリン作用アゴニストに伴う副作用、例えば振戦及びリズム障害は全体的に見て、抗コリン作用薬よりも頻繁に発生する。テオフィリンはCOPD患者には僅かな気管支拡張効果を及ぼす一方、いくつかの共通の副作用を有し、そして最適効果のために15〜20mg/lの血中濃度が必要となると考えれば、テオフィリンの治療範囲は狭い。副作用は吐き気、下痢、頭痛、被刺激性、発作及び心不整脈を含み、またこれらの副作用は極めて種々の血中濃度で発生し、多くの患者の場合、これらの副作用は治療範囲内で発生する。テオフィリンの投与量は、喫煙習慣、感染及び厄介な他の治療に応じて個々人によって調節しなければならない。テオフィリンは特に低投与量では喘息において抗炎症効果を有さないと主張されてはいるものの、COPDについては誰も報告していない。しかしテオフィリンの短時間の気管支拡張効果は、プラセボとは統計的に異なるように思われる。経口コルチコステロイドは、安定したCOPD患者のベースライン機能有効容積をいくらか改善することを示し、これに対して、全身性コルチコステロイドは少なくとも骨粗鬆症を引き起こし、顕在的な糖尿病を誘発するので有害であることが判った。経口コルチコステロイドをより長時間にわたって使用することは、COPDにおいては有用であるが、しかしこの有用性は、これらの相当の副作用と比較検討しなければならない。吸入式コルチコステロイドは、ヒスタミンに対する気道過応答性において真の短時間効果を有することはないが、しかし肺機能に対して、例えば前気管支拡張剤の場合には機能有効容積において僅かな短時間効果を有することが判っている。COPD患者のフルチカゾン治療は、中度及び重度(しかし軽度ではない)増悪の有意な低減、及び肺機能及び6分間歩行距離の僅かではあるが有意な改善を示した。経口プレドニソロン、吸入式プレドニソロン又はその両方は、COPD患者には効果を有さなかったが、しかし経口コルチコステロイドは肺機能を改善した。粘液溶解物質は増悪の頻度及び期間に対して、僅かな有益な効果をもたらすが、肺機能に対しては副作用を及ぼす。しかし、N-アセチルシステインもその他の粘液溶解物質も、増悪の頻度を大幅に低下させることを証明しているにもかかわらず、重症COPD患者(機能有効容積<50%)には有意な効果を有さない。N-アセチルシステインは胃腸の副作用をもたらす。血液酸素不足COPD及び鬱血性心不全の患者に対して施された長時間の酸素治療は、最初の約500日間の死亡率に対してはほとんど効果をもたらさないが、しかしその後、男性の生存率は増加し、次の5年間は一定のままであった。しかし女性の場合、酸素は研究を通して死亡率を減少させた。血液酸素不足COPD患者(予測機能有効容積<70%)の19.3年間にわたる連続酸素治療は、死亡のリスク全体を減少させた。しかし今までのところ、COPDの長期経過を変化させるために見いだされたのは、生活様式の変化、禁煙及び酸素による長期治療(血液酸素不足の場合)しかなかった。約千四百万人の米国人が罹患する慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、米国内の死因の死因の第4位であり、1年当たりの直接的又は間接的なコストは推定65億ドルを占める。その普通の経過は、肺機能のゆっくりとした低下と、活動に伴う進行性の息切れである。年齢調節死亡率は、1966年から1985年までで71%だけ上昇しており、ここ10年の死亡率は約50%である。気管支拡張剤は、COPD患者の頼みの綱の1つである。これらの薬剤の慎重に使用すると、COPD患者の気流が増加し、呼吸困難が低減する。患者は症状の軽減及び生活の質の改善をしばしば経験する。COPDの治療に利用可能な気管支拡張剤にはいくつかのクラスがあり、それぞれが特異的な臨床上の利点を有している。これらのクラスは、抗コリン作用薬、短時間作用型β2アゴニスト、抗コリン作用薬と短時間作用型β2アゴニストとの組み合わせ、長時間作用型β2アゴニスト及びメチルキサンチンである。抗コリン作用薬、例えば臭化イプラトロピウムは、COPD患者の治療のために他の気管支拡張剤と併用されている。臭化イプラトロピウムは、閉塞性肺疾患を治療するために広く使用される4次抗コリン作用薬気管支拡張剤である。慢性喘息を治療するための第1選択気管支拡張剤としてイプラトロピウムを採用することは普通はないが、イプラトロピウムは、急性喘息増悪の救急治療のための付加的な治療として、院内救急部門内で広く使用されている。
【0018】
ARDSの最も一般的な症状は、苦しく速い呼吸、鼻の発赤、チアノーゼ、つまり組織へ送られる酸素の欠乏による青い皮膚、唇及び爪、呼吸困難、不安、ストレス、緊張、関節硬直、疼痛及び一時的な息切れである。以下の段落では、特異的状態について説明し、また既存の治療があるならば、これらについて論議する。ARDSは現在、単なる症候的兆候、例えば異常な症候性呼吸音を明らかにすることができる聴診器による胸部聴診によって診断され、そして胸部X線及び動脈血ガス分析の測定によって確認される。ARDSは、いくつかの事例では、他の疾患、例えば急性骨髄性白血病に関連し、シトシン・アラビノシドなどを用いた治療後に発生した急性腫瘍崩壊症候群(ATLS)に関連するように見える。しかし一般には、ARDSは、外傷、深刻な血液感染、例えば敗血又はその他の全身性疾患、高線量放射線治療、化学療法、及び、多臓器障害及び多くの場合には死に至らしめる炎症反応と関連する。未熟児(プレミー)の場合、肺が完全には発育しておらず、従って胎児は発育中には無酸素状態にある。さらに、正常な呼吸にとって重要な物質である界面活性物質は一般には、生涯のこのような早い時期には十分な量ではまだ存在しない。しかしプレミーは、しばしばアデノシンA1受容体を過剰発現させ、且つ/又はアデノシンA2a受容体を過少発現させ、従って、特に気管支収縮、肺の炎症及びARDSを含む呼吸の問題を蒙りやすくなる。呼吸窮迫症候群(RDS)がプレミーにおいて発生した場合、これは極めて深刻な問題である。RDSを示す早産児は、現在、通気、並びに酸素及び界面活性物質調製物の投与によって治療される。プレミーがRDSを克服して生き残ると、早期幼児の慢性肺疾患とも呼ばれる気管支肺異形成症(BPD)をしばしば発生させる。この疾患はしばしば致命的である。
【0019】
鼻炎には季節性又は通年性、アレルギー性又は非アレルギー性のものがある。非アレルギー性鼻炎は、ウィルスのような感染によって誘発されるか、又は、アスピリン特異性患者に発生するように、鼻ポリープと関連することがあり、また、妊娠又は甲状腺機能低下症のような医学的状態、及び職業性因子又は薬剤に対する暴露により、鼻炎が生じることがある。いわゆるNARES症候群は、鼻汁中の好酸球と関連する非アレルギー型の鼻炎であり、これは中年期に発生し、嗅覚のいくらかの損失を伴う。コリン作用経路が刺激されると、これらの経路は、腺成分によって同定される典型的な分泌物を形成し、これにより神経刺激に影響を与える。血管透過性の増大に関して典型的なその他の分泌は、アレルギー性反応、並びに上気道感染に見いだされ、肥満細胞の脱顆粒が、予め形成されたメディエーターを放出し、これらのメディエーターは種々の細胞、血管及び粘液腺と相互作用することにより、典型的な鼻炎症状を引き起こす。ほとんどの前期及び後期反応が、アレルゲン暴露後に鼻内で発生する。後期反応は、最も顕著な症状として過剰分泌及び鼻充血を伴う慢性アレルギー性鼻炎に見られる。初回抗原刺激が発生すると、反復アレルゲン暴露後の刺激に対する閾値の低下が示される。このことは、1つ又は多数のアレルゲンに対する過敏反応を引き起こす。患者は非特異的トリガー、例えば冷気又は強い臭気に対して過剰反応性になることもある。生理食塩水の自己投与は、鼻詰まり、くしゃみ、充血を改善し、普通は副作用を引き起こすことはなく、従って妊娠中の患者において試される第1の治療薬である。種々の鼻状態と関連する粘膜刺激又は乾燥を軽減し、粘膜委縮を最小化し、そして、固く濃くなった粘液を除去するために、生理食塩水スプレーが一般に使用される。生理食塩水は、鼻腔内のコルチコステロイド投与直前に使用されると、薬物によって誘発される局所的な刺激を防ぐのを助けることができる。2種の非鎮静性抗ヒスタミン薬であるテルフェナジン及びアステミゾールのような抗ヒスタミン薬も、この状態を治療するために採用されるが、しかしトルサード・ド・ポワントとして知られる心室性不整脈と関連している。この心室性不整脈は、他の薬剤、例えばケトコナゾール及びエリスロマイシンとの相互作用において、又は根底にある心臓の問題に対して二次的に発生する。別の非鎮静性抗ヒスタミン薬であるロラタジン、及びセチリジンは、QT間隔に対する不都合な影響、又は深刻な不都合な心臓血管事象とは関連していないものの、極端な眠気を引き起こし、広範囲には処方されていない。非鎮静性抗ヒスタミン薬、例えばクラリチンはくしゃみ、鼻水、並びに鼻、眼及び口蓋の刺激をいくらか緩和することができるが、しかし喘息又は他のより特異的な状態に関しては試験されていない。他方において、テルフェナジン、ロラタジン及びアステミゾールは、極めて穏やかな気管支拡張効果、ヒスタミンに対する気管支過反応性の低減、並びに、運動及び抗原によって誘発される気管支痙攣に対する保護を示す。しかしこれらの利点を得るためには、現在の推奨投与量よりも高い投与量が必要となる。鎮静性タイプの抗ヒスタミン薬は、夜間の睡眠を導入する助けとなるが、日中に服用する場合には、眠気を引き起こし、仕事を犠牲にすることになる。抗ヒスタミン薬が採用されるときには、鼻充血を緩和するのを助けるために充血除去薬と組み合わされる。交感神経様作用薬が血管収縮剤及びフェニレフリンとして使用される。一般的に処方される3種の充血除去薬である疑似エフェドリン、フェニルプロパノールアミン及びフェニレフリンは、高血圧、動悸、頻脈、情動不安、不眠及び頭痛を引き起こす。フェニルプロパノールアミンとコーヒー2〜3杯分のカフェインとの相互作用は、血圧を著しく上昇させるおそれがある。加えて、疑似エフェドリンのような薬剤は小児の活動亢進を引き起こすことがある。とはいうものの局所用充血除去薬は限られた期間にしか指示されない。それというのも局所用充血除去薬は過剰に使用することによって、反動鼻拡張と関連するからである。
【0020】
抗コリン作用薬は、著しい鼻汁を伴う患者に、又は普通は刺激的な食品の摂取により引き起こされる「味覚鼻炎」のような特異的な存在に対して投与され、一般的な風邪に対して何らかの有益な効果を及ぼすことができる。例えばクロモリンは、鼻腔スプレーとして予防的に使用されると、くしゃみ、鼻汁、及び鼻のかゆみを低減し、前期及び後期の過敏性応答を遮断するが、しかし、くしゃみ、一過性頭痛、及び鼻の焼け付くような刺激を引き起こす。局所用鼻腔スプレー・コルチコステロイド、例えばバンセナーゼは、鼻炎、特に充血、くしゃみ及び鼻水の症状に対していくらか効果的である。しかし調製いかんでは、コルチコステロイド鼻腔スプレーは、被刺激性、刺すような刺激、焼け付くような刺激を引き起こすこともある。特にエアロゾルが適正な的に向けられない場合、局所的な出血、中隔の穿孔も時々発生し得る。局所用ステロイドは、具体的にはNARESの治療において、また鼻炎のいくつかの症状を低減するのに、一般にクロモリンナトリウムよりも効果的である。しかしこれらの副作用は、重症の症状を伴う患者における一時的な治療を除いてこれらの有用性を制限する。これらの薬物は、局所治療法がないときに、鼻ポリープを収縮させるために時々使用される。免疫治療は高価で不便ではあるものの、特に他の薬剤から副作用を被った入院患者に対しては、しばしばかなりの利点を提供する。いわゆる遮断抗体、及び細胞のヒスタミン放出を変化させる薬物は、結果的にIgEを減少させるとともに、他の多くの好ましい生理学的変化をもたらす。この効果は、IgE媒介性疾患、例えば再発性中耳感染を伴うアトピー患者の過敏症に有用である。しかしアレルギー鼻炎患者にとって、鼻水は厄介どころの存在ではない。この障害はしばしば生活の質を損ない、心理的な問題を含むより重い病気のきっかけとなる。目下、鼻炎はほとんどの場合、プロパノロール、ベラパミル及びアデノシンで治療される。これらの全ては上室性頻拍症(SVT)の緊急停止に対応する米国食品医薬品局承認標識を有している。本発明の非グルココルチコイド・ステロイドは、現在使用されているステロイドの列挙された有害作用を実質的に有さないと考えられる。
【0021】
肺線維症及びその他の間質性肺疾患(ILD)の進行及び症状は種々であるが、これらは全て、肺の部分を冒す。炎症が細気管支(小気道)の壁に関与するときには、これは細気管支炎と呼ばれ、炎症が肺胞の壁及び空隙(空気嚢)に関与する場合には、これは肺胞炎と呼ばれ、そして炎症が肺の微小血管(毛細血管)に関与する場合には、これは肺線維症と呼ばれる。肺組織のこのような線維形成又は瘢痕化の結果、呼吸して酸素を運ぶ能力を永久に失うことになり、瘢痕形成量は、空気嚢の瘢痕組織、並びに、空気嚢及び肺毛細血管の間及びこれらの周りの肺組織による破壊によって、患者が蒙る障害レベルを決定する。このような障害が発生すると、呼吸の改善を助けるために一般に酸素が投与される。肺線維症は、刺激物、例えばアスベスト、シリカ及び金属ダスト、細菌及び動物ダスト、ガス及び煙に対する職業的及び環境的な暴露、並びにアスベスト肺、珪肺、肺の瘢痕を形成する感染(結核がその一例である)、結合組織病又は膠原病、例えばリウマチ様関節炎、全身性硬化、全身性エリテマトーデス、突発性肺線維症、及び一般的ではないが、遺伝性/家族性起源及び特定薬剤の肺線維症によって引き起こされるか、又はこれらの形態を成す。これらの疾患の多くはしばしば、疾患が関連する職業にちなんで命名される。その例は、穀物取扱人肺、キノコ栽培者肺、サトウキビ肺、洗剤労働者肺、カエデ樹皮を剥ぐ人の肺、麦芽労働者肺、パプリカを裂く人の肺、及び鳥飼育者肺である。「突発性(起源が未知の)」肺線維症(IPF)は、間質性肺疾患の他の全ての原因があり得ない場合に適用される標識であり、ウィルス疾患、及びアレルギー暴露又は環境暴露(タバコの煙を含む)によって引き起こされると言われる。細菌及びその他の微生物は、IPFの原因とは考えられない。この疾患には、家族性突発性肺線維症として知られる、家族性形態がある。家族性突発性肺線維症の主な症状は、息切れである。息切れは診断が難しい。それというのも、多くの肺疾患がこの症状を示すからである。息切れは先ず運動中に現れ、最終的には、静止時にも息が切れるようになる。他の症状は乾咳(痰を伴わない)、及び撥指を含む。結論に達しない結果を有する肺線維炎症を治療するために、グルココルチコステロイドが通常投与される。しかしステロイドが疾患を逆転するのに効果的でないことが明らかになるまでは、通常、他の薬物は付加されない。グルココルチコステロイドはまた、診断が最初に確立されると、他の薬物との組み合わせ、例えば重症事例において処方される酸素治療との組み合わせで使用される。肺線維症において、またより一般的には全ての肺疾患に対して、感染を防止するために、インフルエンザ・ワクチン及び肺炎球菌性肺炎ワクチンを投与することがしばしば推奨される。肺線維症の治療及び管理は、グルココルチコステロイド又は他の免疫系抑制剤に対する患者の予測できない応答を評価するために、肺生検をしばしば必要とする。肺移植は、肺線維症及び他の肺疾患の重症事例における最終的な選択肢である。
【0022】
肺線維症は他の特定の疾患、例えばサルコイドーシス、つまり肉芽種又は炎症性細胞域の形成を特徴とする原因不明の疾患によって引き起こされることもある。この疾患は、身体の任意の器官を襲うが、しかし肺を最も頻繁に襲い、そして一般には、胸部X線が両肺の中心に拡大されたリンパ腺を示すか、又は肺組織の肥厚を示すときに診断される。多くの患者にとっては、サルコイドーシスは、小さな問題であり、乾咳、息切れ、軽度の胸痛、疲労、脱力及び体重減少(頻繁には生じない)を含み、薬剤なしでも停止する。他の患者にとっては、サルコイドーシスは障害をもたらす疾患である。やはり肺線維症と関連するヒスチオサイトーシスXは、肺の細気管支又は小気道、及びこれらに関連する動脈及び静脈で始まり、そして一般にはこれに続いて、細気管支の破壊、及び微小血管の狭隘化及び損傷をもたらす。この疾患の症状は、乾咳(痰を伴わない)、労作時の息切れ、及び胸痛を含み、そして、慢性となり肺機能を損失する場合がある。グルココルチコステロイド治療がしばしば処方されるが、これが効果的であるという証拠はない。ヒスチオサイトーシスXは、喫煙及び仕事、例えば採掘と関連し、小さな粒状物質、例えばダスト又はアスベスト繊維の吸入によって引き起こされることがある。アスベスト繊維は、肺、特に小気道及び空気嚢を損傷し、瘢痕形成(線維症)を引き起こす。農業作業者も、何らかの粒状有機物質、例えばカビが付着した干し草によって罹患する。このような粒状有機物質は、「農夫肺」と呼ばれる肺のアレルギー反応を引き起こし、同様に肺線維症の原因となることがある。アスベスト肺及び珪肺は、その原因が知られた2つの職業的肺疾患である。アスベスト肺は、肺内に吸入されたアスベストの小さな針状粒子によって引き起こされ、肺癌を招くおそれのある肺瘢痕形成又は肺線維症の原因となる。珪肺は、遊離した結晶性シリカダスト中で呼吸することから生じる塵肺であり、鉱石、例えば金、鉛、亜鉛、銅、鉄、無煙炭(硬質)、及び瀝青炭(軟質)を石英岩から抽出する全てのタイプの採掘によって生じる。鋳造、砂岩粉砕、トンネル掘削、サンドブラスト、コンクリート破砕、花崗岩彫刻、及び陶磁器製造の作業者もシリカに遭遇する。大型シリカ粒子は上気道で止まるが、しかしシリカの極めて小さな粒が肺胞に運ばれ、ここで肺線維症を招く。グルココルチコステロイド単独の使用、又は組み合わせ薬物治療、及び肺移植の希望は、現在試験されている3つの治療アプローチであるが、しかし今のところ、この疾患に対する良好な治療法はない。本発明は、これらの疾患、及び呼吸器及び肺の他の疾患に対する第1の効果的な治療法を提供する。
【0023】
好中球性炎症は、慢性持続性喘息の重要な要素として、認識が高まってきており、多くの場合致命的な喘息と関連する。好中球性炎症はまた、COPDの主要な要素であると考えられる。好中球性炎症反応を軽減することができ、そして好中球アポトーシスを遅らせることによりこれらの反応に事実上関与できる、目下利用可能なステロイドはない。DHEA-Sは、ヒトの喘息の3つの異なるモデル、すなわちアレルギー性ウサギ、アレルギー性マウス、及びアレルギー性霊長類において効果的であることが判っている。これらの効果は、アレルゲン攻撃後の前期応答及び後期応答双方の規模の減少、及び好酸球性及び好中球性炎症の劇的な低減を含んだ。DHEA-Sは、好酸球性炎症の低減に関してはブデソニドと少なくとも同等であり、そして、好中球性炎症に関してはこれよりも遥かに優れていることが判った。好酸球性炎症の低減に関しては、DHEA-Sは、ブデソニド(プルミコート:Pulmicort)と少なくとも同等であり、そして、好中球性炎症に関してはこれよりも遥かに優れていることが判った。極めて数少ない推定上の喘息治療が、多種の動物モデルにおける活性の証拠を示す。DHEA及びDHEA-Sは、男性及び女性双方の全ての身体組織に見いだされる天然発生型ステロイドである。本発明のステロイドによる低投与量吸入治療は、従って耐容度良好である。実際に、経口投与のような他の投与経路によるものではあるが、妊婦を含むヒトにおけるDHEA-Sの安全な使用に関する広範な情報がある。本発明のステロイド化合物は、グルココルチコイド・ステロイドとは異なる作用メカニズムによって働くと考えられる。すなわちこれらの化合物は、グルココルチコイド受容体を活性化するとは思われない。その実証された効果の1つは、肺の炎症におけるアデノシンの役割から見て潜在的に重要な特徴である、肺アデノシンの低減であり、また、喘息の肺が過剰量のこのオータコイドを含有するという事実である。本発明のステロイドは異なるメカニズムによって機能するので、これらのステロイドは、グルココルチコイド・ステロイドの古典的な副作用、例えば粘膜炎、皮膚肥厚化、眼球突出、骨成長(小児)及び/又は鉱物化(成人)の低下のいずれかを示すとは予期されない。前臨床毒物研究は、イヌにおける2mg/kg/日、ラットにおける11mg/kg/日もの高投与量でも、最大耐量には達しないことを示す。これらの投与量は、喘息又はCOPD患者における臨床投与量を実質的に超過している。
【0024】
呼吸器疾患の治療において本発明のステロイドを使用することは、Nyceに与えられた米国特許第6,087,351号明細書に記載されている。前記特許明細書は、アデノシンレベルの変化と関連する疾患、例えば喘息を治療するための吸入式ステロイド配合物の使用に関する。喘息及びCOPD疾患の両プロセスの中心となる好中球性炎症に対処することができる、商業的に入手可能なステロイドはない。本発明のステロイドは、好酸性炎症及び好中性炎症の双方を同時に阻害することができる第1のステロイドである。患者には、デヒドロエピアンドロステロン、製薬上又は獣医学上許容可能なこれらの塩から選択された第1の活性物質、及び抗ムスカリン薬から選択された第2の活性物質が、単独で、又は特に抗ヒスタミン薬、ロイコトリエン阻害薬、テオフィリン、β2アドレナリン作用薬、及び/又は粘液溶解物質と併せて投与されることになる。第1及び第2の活性物質は、治療される疾患又は状態、具体的には血管収縮、気管支収縮、肺の炎症、肺のアレルギー、肺組織の変化、免疫細胞の蓄積、例えば好中球及び好酸球、線維症及び癌性組織の発生などと関連する疾患又は状態の症状を阻害するか、遅らせるか又は制御するのに効果的な治療量又は予防量で投与される。より具体的には、1実施態様の場合、本発明の製薬組成物又は獣医学的な組成物は、
下記化学式:
【化1】

を有する非グルココルチコイド・ステロイド、
(上記式中、該破線は単結合又は二重結合を表し;Rは水素又はハロゲンであり;位置5におけるHはアルファ又はベータ構造で存在し、或いは、化学式Iの該化合物は、両構造のラセミ混合物を含み;そしてR1は水素又はSO2OMであり、Mは、H、Na、スルファチド:
【化2】

及びホスファチド:
【化3】

から成る群から選択され、
上記式中、同じ又は異なるものであってよいR2及びR3は、直鎖状又は分枝状(C1-C14)アルキル又はグルクロニド:
【化4】

である)
から選択された第1の活性物質を含む。
【0025】
式(I)の化合物において、Rは好ましくはハロゲン、例えばブロモ、クロロ、又はフルオロであり、R1はHであり、そして二重結合が存在し、より好ましくは式(I)の化合物は、式(I)の化合物の好ましい実施態様において、16-アルファ・フルオロエピアンドロステロンであり、RはHであり、R1はSO2OMであり、Mはスルファチド基であり、二重結合が存在し、そしてより好ましくは式(I)の化合物は、下記化学式(II):
【化5】

のデヒドロエピアンドロステロン硫酸ナトリウム(DHEA-SH2O)の脱水形である。
【0026】
さらに別の実施態様の場合、非グルココルチコイド・ステロイドは下記化学式III及びIV:
【化6】

【化7】

(上記式中R1、R2、R3、R4、R5、R7、R8、R9、R10、R12、R13、R14及びR19は独立してH、OR、ハロゲン、(C1-C10)アルキル又は(C1-C10)アルコキシであり、R5及びR11は独立してOH、SH、H、ハロゲン、製薬上許容可能なエステル、製薬上許容可能なチオエステル、製薬上許容可能なエーテル、製薬上許容可能なチオエーテル、製薬上許容可能な無機エステル、製薬上許容可能な単糖、二糖又はオリゴ糖、スピロオキシラン、スピロチラン、-OSO2R20、-OPOR20R21又は(C1-C10)アルキルであり、互いに結合されたR5及びR6は=Oであり、互いに結合されたR10及びR11は=Oであり;R15は(1)R16が-C(O)OR22であるときには、H、ハロゲン(C1-C10)アルキル、又は(C1-C10)アルコキシであり、(2)R16がハロゲン、OH又は(C1-C10)アルキルであるときには、H、ハロゲン、OH又は(C1-C10)アルキルであり、(3)R16がOHであるときには、H、ハロゲン、(C1-C10)アルキル、(C1-C10)アルケニル、(C1-C10)アルキニル、ホルミル、(C1-C10)アルカノイル又はエポキシであり、(4)R16がHであるか、又は互いに結合されたR15とR16とが=Oである時には、OR、SH、H、ハロゲン、製薬上許容可能なエステル、製薬上許容可能なチオエステル、製薬上許容可能なエーテル、製薬上許容可能なチオエーテル、製薬上許容可能な無機エステル、製薬上許容可能な単糖、二糖又はオリゴ糖、スピロオキシラン、スピロチラン、-OSO2R20、-OPOR20R21であり;R17及びR18は独立して、(1)R6がH、OR、ハロゲン、(C1-C10)アルキル又は-C(O)OR22であるときには、H、-OH、ハロゲン、(C1-C10)アルキル又は-(C1-C10)アルコキシであり、(2)互いに結合されたR15とR16とが=Oであるときには、H、(C1-C10アルキル)アミノ、((C1-C10)アルキル)n、アミノ-(C1-C10)アルキル、(C1-C10)アルコキシ、ヒドロキシ-(C1-C10)アルキル、(C1-C10)アルコキシ-(C1-C10)アルキル、(ハロゲン)m(C1-C10)アルキル、(C1-C10)アルカノイル、ホルミル、(C1-C10)カルバルコキシ又は(C1-C10)アルカノイルオキシであり、(3)互いに結合されたR17とR18とが=Oであり、(4)付着された炭素と結合されたR17又はR18が、酸素原子数0又は1の3〜6員環を形成し;又は(5)付着された炭素と結合されたR15及びR17がエポキシド環を形成し;R20及びR21が独立してOH、製薬上許容可能なエステル又は製薬上許容可能なエーテルであり;R22はH、(ハロゲン)m(C1-C10)アルキル又は(C1-C10)アルキルであり;nは0、1又は2であり;そしてmは0、1又は2である);又は製薬上又は獣医学上許容可能なこれらの塩を有する。
【0027】
さらに別の実施態様の場合、該ステロイドは下記化学式(V):
【化8】

の化合物、又は製薬上又は獣医学上許容可能なその塩であってよく、上記式中、R1はA-CH(OH)-C(O)-であり、AはH又は(C1-C22)アルキル、アルケニル又はアルキニルであり、これらのそれぞれは、1つ又は2つ以上の(C1-C4)アルキル、ハロゲン、HO、又はフェニルで置換されていてよく、該フェニルは1つ又は2つ以上のハロゲン、HO、CH3又はCH3Oで置換されていてよい。
【0028】
化学式Iの位置5における水素原子は、アルファ又はベータ構造で存在してよく、或いは、DHEA化合物は、両構造の化合物の混合物として提供されてよい。上記化学式Iで示す化合物に含まれるのは例えば、R及びR1がそれぞれ水素であって二重結合を含有するDHEA;RがBrであり、R1がHであって、二重結合を含有する16-アルファ・ブロモエピアンドロステロン;RがFであり、R1がHであって、二重結合を含有する16-アルファ・フルオロエピアンドロステロン;R及びR1がそれぞれ水素であって二重結合を含有しないエチオコラノロン;及びRがHであり、R1がSO2OMであり、Mが上に定義されたスルファチド基であって、二重結合を含有しないデヒドロエピアンドロステロンスルフェートである。しかし他のものも含まれる。また、好ましい式I化合物は、Rがハロゲン、例えばブロモ、クロロ又はフルオロであり、R1が水素であり、そして二重結合が存在する化合物である。最も好ましい式I化合物は16-アルファ・フルオロエピアンドロステロンである。他の好ましい化合物はDHEA及びDHEA塩、例えば硫酸塩(DHEA-S)である。最も好ましい1つの組成物及び治療は、DHEA-Sと臭化イプラトロピウムとを伴い、最も好ましい別の組成物及び治療は、DHEA-Sと臭化チオトロピウムとを伴う。非グルココルチコイド・ステロイドと抗ムスカリン薬とは、投与が経口、局所、又は気道で行われるかにかかわりなく、互いの抗炎症効果を増強しあうと考えられる。他の好ましい組み合わせは、上記化学式に示されたDHEAの類似体と、抗ムスカリン薬のうちの1つ又は2つ以上とを伴う。本発明における使用に適した他のDHEA類似体及び誘導体は、下記化学式:
【化9】

の非グルココルチコイド・ステロイド;又は下記化学式
【化10】

の非グルココルチコイド・ステロイド
(上記式中R1、R2、R3、R4、R5、R7、R8、R9、R10、R12、R13、R14及びR19は独立してH、OR、ハロゲン、(C1-C10)アルキル又は(C1-C10)アルコキシであり、R5及びR11は独立してOH、SH、H、ハロゲン、製薬上許容可能なエステル、製薬上許容可能なチオエステル、製薬上許容可能なエーテル、製薬上許容可能なチオエーテル、製薬上許容可能な無機エステル、製薬上許容可能な単糖、二糖又はオリゴ糖、スピロオキシラン、スピロチラン、-OSO2R20、-OPOR20R21又は(C1-C10)アルキルであり、互いに結合されたR5及びR6は=Oであり、互いに結合されたR10及びR11は=Oであり;R15は(1)R16が-C(O)OR22であるときには、H、ハロゲン(C1-C10)アルキル、又は(C1-C10)アルコキシであり、(2)R16がハロゲン、OH又は(C1-C10)アルキルであるときには、H、ハロゲン、OH又は(C1-C10)アルキルであり、(3)R16がOHであるときには、H、ハロゲン、(C1-C10)アルキル、(C1-C10)アルケニル、(C1-C10)アルキニル、ホルミル、(C1-C10)アルカノイル又はエポキシであり、(4)R16がHであるか、又は互いに結合されたR15とR16とが=Oである時には、OR、SH、H、ハロゲン、製薬上許容可能なエステル、製薬上許容可能なチオエステル、製薬上許容可能なエーテル、製薬上許容可能なチオエーテル、製薬上許容可能な無機エステル、製薬上許容可能な単糖、二糖又はオリゴ糖、スピロオキシラン、スピロチラン、-OSO2R20、-OPOR20R21であり;R17及びR18は独立して、(1)R6がH、OR、ハロゲン、(C1-C10)アルキル又は-C(O)OR22であるときには、H、-OH、ハロゲン、(C1-C10)アルキル又は-(C1-C10)アルコキシであり、(2)互いに結合されたR15とR16とが=Oであるときには、H、(C1-C10アルキル)アミノ、((C1-C10)アルキル)n、アミノ-(C1-C10)アルキル、(C1-C10)アルコキシ、ヒドロキシ-(C1-C10)アルキル、(C1-C10)アルコキシ-(C1-C10)アルキル、(ハロゲン)m(C1-C10)アルキル、(C1-C10)アルカノイル、ホルミル、(C1-C10)カルバルコキシ又は(C1-C10)アルカノイルオキシであり、(3)互いに結合されたR17とR18とが=Oであり、(4)付着された炭素と結合されたR17又はR18が、酸素原子数0又は1の3〜6員環を形成し;又は(5)付着された炭素と結合されたR15及びR17がエポキシド環を形成し;R20及びR21が独立してOH、製薬上許容可能なエステル又は製薬上許容可能なエーテルであり;R22はH、(ハロゲン)m(C1-C10)アルキル又は(C1-C10)アルキルであり;nは0、1又は2であり;そしてmは0、1又は2である);又は製薬上又は獣医学上許容可能なこれらの塩である。式(III)及び(IV)の非グルココルチコイド・ステロイドのうち、好ましいのは、互いに結合されたR15とR16とが=Oである非グルココルチコイド・ステロイドであり、やはり好ましいのは、R5がOHであり、R5が-OSO2R20であり、そしてR20がHである非グルココルチコイド・ステロイドである。
【0029】
一般に、式(I),(II),(III),(IV)及び(V)のような非グルココルチコイド・ステロイド、これらの誘導体及びこれらの塩は、約0.05、約0.1、約5、約20〜約100、約500、約1000、約1500、約1800、約2500、約3000、約3600mg/kg体重の投与量で投与される。しかし本発明において、他の投与量も好適であり、検討される。式I, III及びIVの第1の活性物質は、周知の手順、及び当業者には明らかなこれらの手順の変更形に従って形成することができる。例えば、特に米国特許第4,956,355号明細書;英国特許第2,240,472号明細書;EPO特許出願第429,187号明細書、国際公開第91/04030号パンフレット;米国特許第5,859,000号明細書;Abou-Gharbia他、J. Pharm. Sci. 70:1154-1157(1981);Merck Index Monograph No.7710(第11版、1989)を参照されたい。デヒドロエピアンドロステロン及びその塩は、例えば臭化イプラトロピウムのための第2の活性物質、及び任意には式(I),(II),(III),(IV)又は(V)のような非グルココルチコイド・ステロイド、及び/又はその他の生体活性薬と、別個にそして並行して、互いに前後に投与するか、或いは同じ組成物中で投与することができる。多くの場合、この投与量は同じ組成物内で、又は別個に、例えば1日1回同時投与するのに役立つ。他の生体活性物質の中では、喘息、COPD、アレルギー性鼻炎などのために目下処方されているのものうちのいずれかを投与するのが好ましい。これらは特に、β-2アドレナリン作用アゴニスト、エフェドリン、イソプロテレノール、イソエタリン、エピネフリン、メタプロテレノール、テルブタリン、フェノテロール、プロカテロール、アルブテロール、サルブタモール、ピルブテロール、フォルモテロール、ビロテロール、バンブテロール、サルメテロール及びセレチド;他の抗コリン作用薬:抗ヒスタミン薬;特にアデノシンA1、A2b及びA3受容体アンタゴニスト、例えばアンチセンス・オリゴ;アデノシンA2aアゴニスト;及びグルココルチコステロイドを含む。本明細書中に使用される「並行して投与」という用語は、抗炎症性ステロイド又はその塩及び抗ムスカリン薬が、(好ましくは2つを共通の製薬キャリヤ中に配合することにより)同時に投与されるか、又は共通の治療スケジュール経過中の異なる時点で投与されることを意味する。DHEA及び抗ムスカリン薬の双方が投与される場合には、これらの抗炎症効果を増強するために、十分に近接した時点又は同時にDHEA及び抗ムスカリン薬を投与することができる。抗ムスカリン薬及び非グルココルチコイド・ステロイド又はこれらの塩は個別に、製薬上許容可能なキャリヤと、又は第2の活性物質とともに調製することができる。非グルココルチコイド・ステロイド及びその塩、並びに抗ムスカリン薬は、全身的、局所的、又は患者の気道中に直接的に投与することができる。組成物は本明細書中に示された技術のいずれか、及び当業者に明らかなその他の技術によって調製することができる。
【0030】
一般に、抗ムスカリン薬は、標的となる疾患又は状態を治療するための治療量で、且つ/又は患者の肺内の望ましくない症状を軽減又は阻害するのに効果的な量で投与することができ、その投与量は患者の状態、投与されるその他の薬物、採用される配合物のタイプ、及び投与経路に応じて変化することになる。一般に、抗ムスカリン薬は当業者に知られた量で投与することができる。しかし、本発明のデヒドロエピアンドロステロンとの複合投与に関して当業者には明らかなように、これらの量を低減することができる。もちろん、当業者には明らかなように、患者の状態、投与されるその他の薬物、及び投与経路に応じて、他の量を採用することもできる。抗ムスカリン受容体薬は1日に1回又は数回投与することができる。呼吸器、肺及び腫瘍性疾患を治療するのに使用される、非グルココルチコイド・ステロイド、抗ムスカリン薬、及びその他の任意の薬物、アデノシン受容体又はその他の標的に対するアンチセンス・オリゴ、並びに、下記に挙げたその他の薬物は上述のように、それ自体で又は製薬上許容可能な塩の形態で投与することができる。上記の薬物全てを「活性化合物」又は「活性物質」と呼ぶ。活性化合物又はこれらの塩は、下記のように全身的又は局所的に投与することができる。
【0031】
抗ムスカリン薬の例は、臭化イプラトロピウム、臭化チオトロピウム、トロベントール、及び当業者に知られたその他の薬物である。最近の刊行物におけるYahgmurovの報告によれば、トロベントールによる治療後、COPD患者の大気管支及び中気管支における気道コンダクタンスが高められることにより、肺機能が改善された。気管支喘息(BA)患者においては、気道抵抗に対する効果の少ないことが観察された。このことは小気管支においてより顕著に見られた。慢性閉塞性肺疾患患者(COPD)にトロベントールを吸入投与した結果、血中の食細胞及び気管支肺洗浄(BAL)による反応性酸素種の生成が低減することが同じ刊行物で報告された。過酸化脂質酸化(PLO)阻害の欠如が注目され、これは「呼吸器バースト」の残余現象として説明されている。COPD患者ではなく、BA患者におけるトロベントールによる単独治療は、BALにおいてのみPLOを低減すると報告された。血清カルシウムレベルは、治療後有意には変化しなかったと述べられている。B.H. Yahgmurov, Pulmonology Journal, Russian Pneumological Scientific Society, Ministry Public Health of Russian Federation 第6巻(4)(1996)を参照されたい。加えて、同著者は、気管支痙攣における初期連鎖の1ステップである、肥満細胞からのヒスタミン放出に対するトロベントールの効果を評価した。トロベントールをアトロベント(臭化イプラトロピウム)及びアトロピンと比較したところ、トロベントールと一緒に5分間にわたって細胞をインキュベーションすると、ヒスタミン放出が47%だけ阻害され、プラセボとアトロピン又はアトロベントとの効果の違いは観察されなかったと、著者は報告している。肥満細胞からのヒスタミン放出は、細胞質ゾルのカルシウム・イオンの濃度が急激に増加することによって引き起こされるものとして説明される。受動的カルシウムイオン取り込みの速度は、トロベントール(56.3%)及びアトロベント(28%)によって減少したが、しかしアトロピンによっては減少しなかった。従って、アトロベント及びアトロピンとは異なり、トロベントールは、カルシウム・イオンの細胞膜透過性を低減することにより、ヒスタミン分泌を阻害するように思われる。抗ムスカリン薬以外の気管支拡張剤は、ユビキノン、グルココルチコイド、アデノシン受容体アンタゴニスト、例えばテオフィリン、抗コリン作用薬、及びβ2アドレナリン作用アゴニストである。ロイコトリエンの例はザイフロ、酵素5-リポキシゲナーゼ(5-LO)の阻害薬、ザフィルルカスト(Accolate(登録商標))、モンテルカスト(Singulair(登録商標))、及び当業者に知られたその他の薬物である。毎日吸入されるβ-アゴニストを使用する軽度から中度の喘息患者に関与する6ヶ月の臨床試験において、ザイフロ(Zyflo)は肺機能を改善し、プラセボで処理される患者と比較して、喘息の悪化に対するステロイド救援を必要とする患者%を低減した。全体的に見て、ステロイド救援をも必要としたザイフロ受容患者は7%に過ぎず、これはプラセボの18.7%と比較して62%だけ低い。ザイフロ受容患者はまた、吸入式アゴニストの使用を低減することができ、この試験の終わりには、β-アゴニストの1日当たりの所要吹出し回数は1.77回であるか、又はザイフロで治療された患者のベースラインよりも31%だけ少なく、プラセボ群においては、吹出し回数は0.22回だけ減少した。ロイコトリエン受容体アンタゴニスト(LTRA)は、システイニルロイコトリエンの効果を阻害する。システイニルロイコトリエンは喘息の多数の化学メディエーターのうちの3つを意味する。ロイコトリエンはいくつかのタイプの細胞によって放出され、気管支収縮及び炎症を引き起こすことがある。システイニルロイコトリエンは、アスピリン感受性喘息患者(慢性のいくつかの喘息症状、鼻ポリープ、及びアスピリン誘発性気管支痙攣によって特徴付けられる)には特に重要なメディエーターである。LTRAは、気管支平滑筋及びその他の部位においてロイコトリエン受容体を競合的に阻害する。β2アドレナリン作用アゴニストの例は、特に、エフェドリン、イソプロテレノール、イソエタリン、エピネフリン、メタプロテレノール、テルブタリン、フェノテロール、プロカテロール、アルブテロール、サルブタモール、ピルブテロール、フォルモテロール、ビロテロール、バンブテロール、サルメテロール又はセレチドである。グルココルチコステロイドの例は、特に、ベクロメタゾン、コルチコイド21-スルホプロピオネート、(16アルファ)-16,17-アルキリデンビス(オキシ)-3-アリールプレグナ-2,4-トリエン-20-オン、ヒドロコルチゾンエステル、シプロテロンチオピバレート(CTP)、ヒドロコルチゾン、デキサメタゾントリメチルアセテート、デシニンのアルカンスルホン酸、α-ヒドロキシプレドニゾロン、18,18-ジフルオロステロイド、少なくとも17-アルファ-及び21-位置に無保護ヒドロキシル基を有する17-アルファ-ヒドロキシコルチコイド21-ホスフェート、21-ホスフェートコルチコイド、16-アルファ-メチル化δ-17(20)-コルチコイド、21-(L-アスコルビル-2-ホスホリル)デキサメタゾン、21-(Lアスコルビル-2-ホスホリル)ヒドロコルチゾン、21-(L-アスコルビル-2-ホスホリル)トリアムシノロンアセトニド、及び生理学的に許容可能なこれらの塩である。これらのうちのいくつかは、短時間有効であるが、しかし非グルココルチコイド・ステロイドと併用すると、短時間の軽減作用と長時間の軽減作用との良好な組み合わせが提供される。
【0032】
患者に投与されるべき抗ムスカリン薬及び非グルココルチコイド・ステロイドの一日投与量は、プログラムされた治療全体、採用される薬剤、配合物のタイプ、投与経路及び患者の状態とともに変化する。抗ムスカリン薬及び抗炎症性ステロイドは当業者に知られており、商業的に利用可能である。実施例16〜26は、呼吸器又は鼻腔投与、又は吸入投与のための装置で送達するための、本発明によるエアロゾル含有調製物を示す。肺内投与のためには、液体調製物が好ましい。他の生体活性物質の場合、人の食事摂取に付加的な生体活性物質、例えばビタミン及びミネラルを補充するためのFDA推奨量が存在する。しかし、特異的な状態を治療するため、又は患者の免疫応答を改善するために採用される場合には、付加的な生体活性物質は、数百倍〜数千倍高い投与量で利用することができる。大抵の場合、薬局方の推奨は極めて広範囲の投与量にわたっており、このような投与量から医療当業者は指針を引き出すことができる。本明細書に記載された薬剤例の量は、一日消費量に関して現在推奨されている範囲内であるか、これらのレベルを上下してよい。治療は典型的には、低投与量の抗ムスカリン薬を、非グルココルチコイド・ステロイド、及び任意には必要に応じてグルココルチコイド・ステロイド又はその他の生体活性薬と組み合わせて開始し、次いでそれぞれの患者に応じて徐々に増量する。初期量を含め、より多くの又はより少ない量を本発明の範囲内で投与することもできる。薬剤のそれぞれの投与量は、投与量がその患者に適切になるまで下方調節することにより、治療を始めるべきである。可能であるならば、1日1回の投与を行うことにより、薬剤の連続的な血中レベルを維持することが推奨される。ここで採用された第1の活性物質、第2の活性物質、及びその他の活性物質の好ましい範囲は、投与経路及び採用された配合物のタイプに応じて変化することになる。このことは当業者には明らかであり、また当業者であれば周知の手順及び成分に従ってこれらを製造することになる。活性化合物は1回投与(1日1回)又は数回投与(1日数回)として投与することができる。呼吸器疾患及び腫瘍性疾患を防止して治療する組成物及び方法を用いることにより、成人、小児及び乳児、並びに前記状態に罹患したヒト以外の動物を治療することができる。本発明は主としてヒトの患者の治療に関するものではあるが、他の哺乳動物患者、例えばイヌ及びネコ、並びに大型家畜及び野生動物の治療において獣医学目的で採用することもできる。従って、この治療は患者に合わせてテイラード式に薬剤を調節(滴定する)のを助ける。本発明による非グルココルチコイド・ステロイドのような薬剤の投与が炎症及び気管支収縮を低減することができるのに対して、抗ムスカリン薬をさらに投与することにより、患者の呼吸を短時間で改善することになる。
【0033】
本発明の組成物中に組み込み、そしてこの治療と併せて投与することができる他の薬剤は、ヒト及び動物に投与することができる種々の治療薬のうちの1種又は2種以上である。好適な薬剤のカテゴリーのいくつかは、鎮痛剤、月経前症候群治療薬、更年期障害治療薬、老化防止薬、抗不安薬、気分障害治療薬、抗鬱薬、双極性気分治療薬、統合失調症治療薬、抗癌剤、アルカロイド、血圧調整剤、ホルモン、抗炎症薬、筋弛緩剤、ステロイド、睡眠剤、虚血治療薬、不整脈治療薬、避妊薬、ビタミン、ミネラル、トランキライザー、神経伝達物質調節薬、創傷治療薬、抗血管形成剤、サイトカイン、成長因子、抗転移薬、酸中和剤、抗ヒスタミン薬、抗菌薬、抗ウィルス薬、抗ガス剤、食欲抑制薬、サンスクリーン、エモリエント、皮膚温度低下製品、放射性リン光又は蛍光コントラスト診断薬及び造影剤、性欲改善薬、胆汁酸、下剤、下痢止め薬、皮膚再生薬、育毛剤、鎮痛剤、月経前症候群治療薬、更年期障害薬、例えばホルモンなど、老化防止薬、抗不安薬、侵害受容薬、気分障害治療薬、抗鬱薬、双極性気分治療薬、統合失調症治療薬、抗癌剤、アルカロイド、血圧調整剤、ホルモン、抗炎症薬、疼痛及び炎症、例えば関節炎、火傷、創傷、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、炎症性腸疾患、例えばクローン病、潰瘍性大腸炎、自己免疫病、例えば紅斑性狼瘡と関連する疾患及び状態の治療及び予防に適したその他の薬剤、筋弛緩薬、ステロイド、睡眠剤、虚血治療薬、不整脈治療薬、避妊薬、ビタミン、ミネラル、トランキライザー、神経伝達物質調節薬、創傷・火傷治療薬、抗血管形成剤、サイトカイン、成長因子、抗転移薬、酸中和剤、抗ヒスタミン薬、抗菌薬、抗ウィルス薬、抗ガス剤、再灌流傷害治療薬、中和性食欲抑制薬、サンスクリーン、エモリエント、皮膚温度低下製品、放射性リン光又は蛍光コントラスト診断薬又は造影剤、性欲改善薬、胆汁酸、下剤、下痢止め薬、皮膚再生剤、育毛剤などである。
【0034】
ホルモンの中には、女性ホルモン及び男性ホルモン、例えばプレマリン、プロゲステロン、アンドロステロン及びこれらの類似体、サイロキシン及びグルココルチコイドがあり、性欲改善薬の中には、バイアグラ及び他のNO-レベル改善薬があり、鎮痛剤の中には、大衆薬、例えばイブプロフェン、オルダ、アレブ、及びアセトアミノフェン及び規制薬物、例えばモルヒネ及びコデインがあり、抗鬱薬の中には、三環系抗鬱薬、MAO阻害薬及びエピネフリン、γ-アミノ酪酸(GABA)、ドーパミン及びセロトニンレベル向上薬、例えばプロザック、アミトリプチリン、ウェルブトリン及びゾロフトがある。皮膚再生薬の中には、レチン-Aがあり、育毛剤には例えばロゲインがあり、抗炎症薬の中には非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)及びステロイドがあり、睡眠剤の中にはメラトニン、及び睡眠導入剤、例えばジアゼパムがあり、細胞保護薬、虚血治療薬及び頭部損傷薬には、エナドリンがあり、そして他の多くのものがある。異なる群における薬剤例を下記に挙げる。鎮痛剤の例としては、アセトミノフェン、アニレルジン、アスピリン、ブプレノルフィン、ブタビタール、ブトルプファノール、サリチル酸コリン、コデイン、デゾシン、ジクロフェナク、ジフルニサル、ジヒドロコデイン、エルカトニニン、エトドラク、フェノプロフェン、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、イブプロフェン、ケトプロフェン、ケトロラク、レボロファノール、サリチル酸マグネシウム、メクロフェナメート、メフェナム酸、メペリジン、メタドン、メトリメプラジン、モルヒネ、ナルブフィン、ナプロキセン、オピウム、オキシコドン、オキシモルフォン、ペンタゾシン、フェノバルビタール、プロポキシフェン、サルサレート、サリチル酸ナトリウム、トラマゾール、及び上記のものに加えて麻酔性鎮痛剤が挙げられる。MosbyのPhysician's GenRxを参照されたい。抗不安薬の例としては、特に、アルプラゾラム、ブロマゼパム、ブスピロン、クロルジアゼポキシド、クロルメザノン、クロラゼペート、ジアゼパム、ハラゼパム、ヒドロキシジン、ケタスゾラム、ロラゼパム、メプロバメート、オキサゼパム及びプラゼパムが挙げられる。精神的な憂鬱に関連する抗不安薬の例は特に、クロルジアゼポキシド、アミトリプチリン、ロキサピン、マプロチリン及びぺルフェナジンである。抗炎症薬の例は、非リウマチ性アスピリン、サリチル酸コリン、ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、サリチル酸マグネシウム、メクロフェナメート、メフェナム酸、ナブメトン、ナプロキセン、オキサプロジン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、サルサレート、サリチル酸ナトリウム、スリンダク、テノキシカム、チアプロフェン酸、トルメチンである。眼の治療のための抗炎症剤の例は、ジクロフェナク、フルルビプロフェン、インドメタシン、ケトロラク、リメキソロン(一般には術後治療)である。非炎症性鼻適用のための抗炎症剤の例は、ベクロメタキソン、ブデソニド、デキサメタゾン、フルニソリド及びトリアムシノロンなどである。睡眠薬(不眠症治療薬/睡眠導入剤)、例えば不眠症の治療に利用される薬剤の例は、特に、アルプラゾラム、ブロマゼパム、ジアゼパム、ジフェンヒドラミン、ドキシルアミン、エスタゾラム、フルラゼパム、ハラゼパム、ケタゾラム、ロラゼパム、ニトラゼパム、プラゼパム、クアゼパム、テマゼパム、トリアゾラム、ゾルピデム及びソピクロンである。鎮静薬の例は、ジフェンヒドラミン、ヒドロキシジン、メトトリメプラジン、プロメタジン、プロポフォル、メラトニン及びトリメプラジンなどである。鎮静剤、及び特に小発作及び腫瘍の状態の治療のために使用される薬剤は、アミトリプチリンHCl、クロルジアゼポキシド、アモバルビタール、セコバルビタール、アプロバルビタール、ブタバルビタール、エトチオビノール、グルテチミド、L-トリプトファン、メフォバルビタール、メトヘキシタールNa、ミダゾラムHCl、オキサゼパム、ペントバルビタールNa、フェノバルビタール、セコバルビタールNa、チアミラールNa、及びその他の多数の薬剤である。頭部外傷(脳損傷/虚血)の治療に使用される薬剤は、エナドリンHCl(例えば重症の頭部損傷用、オーファン・ステータス、Warner Lambert)を含む。細胞保護薬、並びに更年期及び更年期症状を治療するための薬剤の例は、エルゴタミン、ベラドンナ・アルカロイド及びフェノバルビタールである。更年期血管運動性症状を治療するための薬剤の例は、クロニジン、結合型エストロゲン及びメドロキシプロゲステロン、エストラジオール、エストラジオールシピオネート、吉草酸エストラジオール、エストロゲン、結合型エストロゲン、エステル化エストロン、エストロピペート及びエチニルエストラジオールである。月経前症候群(PMS)の症状を治療するための薬剤の例は、プロゲステロン、プロゲスチン、ゴナドトロピン放出ホルモン、経口避妊薬、ドナゾール、ルプロリドアセテート及びビタミンB6である。情緒/精神医学治療のための薬剤の例は、アミトリプチリンHCl(エラビル)、アミトリプチリンHCl、ペルフェナジン(トリアビル)及びドキセピンHCl(サインカン)を含む三環系抗鬱薬である。トランキライザー、抗鬱薬及び抗不安薬の例は、ジアゼパム(バリウム)、ロラゼパム(アティバン)、アルプラゾラム(ザナックス)、SSRI(選択的セロトニン再取込み阻害薬)、フルオキセチンHCl(プロザック)、セルタリンHCl(ゾロフト)、パロキセチンHCl(パキシル)、マレイン酸フルボキサミン(ルボックス)、ベンラファキシンHCl(エフェクソール)、セロトニン、セロトニンアゴニスト(フェンフルラミン)、及びその他の大衆薬(OTC)である。片頭痛薬の例はイミトレックスなどである。
【0035】
本発明の活性物質は、広い範囲内の組成物量で提供される。例えば、活性物質は、組成物中に組成物の約0.001%、約1%、約2%、約5%、約10%、約20%、約40%、約90%、約98%、約99.999%の量で含有することができる。オーバーラップする活性を有する付加的な薬剤が本明細書中に論議したように含まれるとき、又は含まれる場合には、それぞれの活性物質の量を調節することができる。しかし、活性化合物の投与量は、患者の年齢、体重及び状態に応じて変化することができる。治療は少投与量、例えば最適投与量未満の第1の活性物質で開始することができる。最初に投与されるのは非グルココルチコイド・ステロイド又は抗ムスカリン薬であり、任意には上記その他の生体活性物質が投与される。このことは第2の活性物質でも、所望のレベルに達するまで同様に行うことができる。又はその逆に、例えばマルチビタミン及び/又はミネラルの場合、所期レベルのこれらの生成物で患者を安定化させ、次いで第1の活性化合物を投与することもできる。その環境下で所期の及び/又は最適な効果に達するまで、投与量を増加させることができる。一般に、活性物質は好ましくは、過度に有害又は有毒な副作用を引き起こすことなしに、効果的な結果をもたらす濃度で投与され、そして、単回単位投与量として、又は所望の場合には一日を通して好適な回数で投与される便利なサブユニットで投与することができる。第2の治療薬又は診断薬は、所期用途にとって効果的であることが当業者に知られている量で投与される。第2の活性物質が主薬とオーバーラップする活性を有する場合、一方又は他方、或いは両方の活性物質の投与量を調節して、有害な副作用を回避する投与量範囲をこえることなしに所期効果を達成することができる。従って例えば、組成物に他の鎮痛薬及び抗炎症薬を添加するときには、これらは所期用途に関して当業者に知られた量で、又は単独で投与される場合よりはいくらか低い投与量で添加することができる。製薬上許容可能な塩は、薬理学上及び製薬上、又は獣医学上許容可能であるべきであり、アルカリ金属又はアルカリ土類金属塩、例えばナトリウム、カリウム又はカルシウム塩として調製することができる。有機塩及びエステルも、本発明と一緒に使用するのに好適である。この組成物は全身用及び局所用配合物を含む。これらのうち好ましいのは、特に吸入、又は呼吸器、バッカル、経口、直腸、膣、鼻、肺内、眼、耳、腔内、気管内、器官内、局所(バッカル、舌下、皮膚及び眼内)、腸管外(皮下、皮内、筋内、静脈内及び関節内)及び経皮投与、徐放、埋込み、及び腸溶性コーティングに適した配合物である。組成物は製薬当業者によく知られた方法のいずれかによって調製することができる。これらの異なる配合物の実際の調製及び配合は当業者に知られており、ここには詳述しない。活性化合物は1日1回又は数回で投与することができる。本発明の組成物は、キットの形で提供することもできる。この場合、活性物質は既に配合されているか、或いは活性物質は他の成分、その配合及び投与計画のための指示書とともに別々に提供される。キットは他の本明細書に記載されたもののような薬剤を含有してもよく、そして例えば腸管外投与の場合、その他の薬剤は、別個の容器内のキャリヤと一緒に提供され、この場合キャリヤは滅菌キャリヤであってよい。本発明の組成物は凍結乾燥形態で別個の容器内で提供し、投与前に液状キャリヤを添加することもできる。これらの容器は滅菌容器であってよい。例えば米国特許第4,956,355号明細書;英国特許第2,240,472号明細書;EPO特許出願429,187号明細書、国際公開第91/04030号パンフレット;Mortensen, S.A.他、Int. J. Tiss. Reac. XII(3);155-162(1990); Greenberg, S.他、J.Clin. Pharm. 30:596-608(1990); Folker K.他P.N.A.S.(USA)87:8931-8934(1990)を参照されたい。上記分岐の当該調製部分及び化合物部分を参考のため本明細書中に引用する。
【0036】
局所用、経口用、腸管外用配合物のように、呼吸器、鼻腔、肺内及び吸入投与に適した配合物が好ましい。全ての調製方法は、活性化合物を1種又は2種以上の副成分を構成するキャリヤと組み合わせる。一般に、配合物は、活性化合物を液状キャリヤ、微粉砕された固形キャリヤ、又はその両方と均一且つ緊密に組み合わせ、そして必要な場合にはその生成物を成形して所期配合物にすることにより調製される。
【0037】
経口投与に適した組成物は、不連続的なユニット、例えばそれぞれが所定量の活性化合物を含有するカプセル剤、カシェ剤、ロゼンジ剤、錠剤として;粉剤、顆粒剤として;水性又は非水性液体中の溶液又は懸濁液として;又は水中油型又は油中水型エマルジョンとして提供することができる。このような組成物は、任意の好適な製薬法によって調製することができる。この製薬法は、活性化合物と好適なキャリヤとを組み合わせする工程を含む。一般に、本発明の組成物は、活性化合物と、液体又は微粉砕された固形キャリヤ又はその両方と均一且つ緊密に混和し、次いで必要な場合にはその結果としての混合物を成形することにより調製される。例えば、活性化合物を含有する粉末又は顆粒を、任意には副成分と一緒に圧縮又は成形することにより、錠剤を調製することができる。自由流動形態の化合物、例えば任意にはバインダー、滑剤、不活性希釈剤、及び/又は界面活性/分散剤と混合された粉末又は顆粒を好適な機械内で圧縮することにより、圧縮錠剤を調製することができる。不活性液体バインダーで湿潤された粉末化化合物を好適な機械内で成形することにより、成形錠剤を形成することができる。糖、例えばスクロースの濃縮水溶液に活性化合物を添加することにより、シロップを形成することができる。この糖には、任意の副成分を添加することもできる。このような副成分は、矯味剤、好適な保存剤、糖の結晶化を遅らせるための薬剤、及び任意の他の成分の溶解度を高めるための薬剤、例えば多価アルコール(例えばグリセロール又はソルビトール)を含むことができる。経口投与のための組成物は任意には、当業者に知られた腸溶性コーティングを含むことにより、胃内での組成物の崩壊を防止し、そして小腸内での薬物放出を可能にすることができる。バッカル又は舌下投与に適した組成物は、フレーバー・ベース、通常はスクロース、アカシア又はトラガカント及び芳香製剤中に活性化合物を含むロゼンジ剤を含む。フレーバー・ベースは、不活性ベース、例えばゼラチン及びグリセリン又はスクロース及びアカシア中に化合物を含む。
【0038】
腸管外投与に適した組成物は、活性化合物の滅菌水性又は非水性の注射溶液を含む。これらの調製物は好ましくは、意図されるレシピエントの血液と等張である。これらの調製物は酸化防止剤、緩衝剤、静菌剤及び溶質を含有することができる。溶質は組成物を、意図されるレシピエントの血液と等張にする。水性及び非水性滅菌懸濁液は、懸濁剤及び増粘剤を含むことができる。組成物は単回投与量容器又は複数回投与量容器、例えば密封されたアンプル及びバイアル内に存在することができ、そしてフリーズドライ又は凍結乾燥状態で保存することができ、滅菌液状キャリヤ、例えば生理食塩水又は注射水を使用直前にこれに添加すればよい。前述の種類の滅菌粉末、顆粒及び錠剤から即時注射溶液及び懸濁液を調製することができる。
【0039】
鼻腔点滴用配合物は、保存剤及び等張剤を有する活性化合物の精製水溶液を含む。このような配合物は、鼻粘膜と匹敵するpH及び等張状態に調節されるのが好ましい。
【0040】
直腸及び膣投与のための配合物は、好適なキャリヤ、例えばココアバター、又は水素化脂肪又は水素化脂肪性カルボン酸を有する座剤として提供することができる。
眼用配合物は、鼻腔スプレーと同様の方法によって調製される。ただしこの場合にはpH及び等張ファクターは眼に適合するように調節されるのが好ましい。耳用配合物は一般に粘性キャリヤ、例えば油中などで調製されるので、こぼすことなしに耳内に容易に投与することができる。
【0041】
皮膚に局所投与するのに適した組成物は、好ましくは軟膏、クリーム、ローション、ペースト、ゲル、スプレー、エアロゾル又はオイルの形態を成す。使用可能なキャリヤはワセリン、ラノリン、ポリエチレングリコール、アルコール、経皮エンハンサー、及びこれらのうちの2種又は3種以上の組み合わせを含む。経皮投与に適した組成物は、不連続的なパッチとして提供することができる。これらのパッチは、長時間にわたってレシピエントの表皮と密接に接触し続けるように適合される。経皮投与に適した組成物は、イオン導入によって送達することもできる。例えばPharmaceutical Research 3:318(1986)を参照されたい。これらの組成物は、任意には活性化合物の緩衝水溶液の形態を成す。典型的な配合物は、1種又は2種以上の媒質、例えば鉱物油、石油、ポリヒドロキシアルコール、又は局所用製薬配合物のために使用されるその他のベース中に溶解又は懸濁された活性化合物を含む。化粧用配合物は、患者の皮膚上に広げるための固形又は液状調製物の形を成していてよい。これらの調製物は、スキンベース、パンケーキ、サンタン、セルフタンニング及び日焼け止め用ローション及びオイルを含む。これらの配合物は付加的に、当業者に知られたその他の化粧用成分を含有することができる。これらの配合物の例は、ローション、クリーム、オイル、及びその他の軟膏、例えばサンスクリーンを含有するサンタン・ローション、及びその他の保護性成分、フェイシャル・メークアップ及びクレンジング配合物、シャンプー、毛髪及び皮膚用コンディショナー、及び当業者に知られている商業的に入手可能な多くのものである。下記のその他の副成分、例えば希釈剤、緩衝剤、矯味剤、着色剤、芳香剤、バインダー、崩壊剤、界面活性剤、増粘剤、滑剤、乳化剤、界面活性剤、エモリエント及び保存剤(酸化防止剤を含む)などの添加が望ましい。当業者に知られているようなその他の成分を利用することもできる。
【0042】
本明細書中に開示された活性化合物は、吸入、呼吸、鼻腔投与、又は任意の好適な手段による患者に対する(肺内への)肺内注入によって、呼吸器系内に投与することができ、好ましくは、粉末又は液状の鼻腔用、肺内用、呼吸用又は吸入用粒子から成るエアロゾル又はスプレーを生成することにより投与される。活性化合物を含む呼吸用又は吸入用粒子は、患者によって、すなわち、吸入によって、又は鼻腔投与によって、又は気道又は肺自体への導入によって吸入される。配合物は、活性化合物の呼吸用又は吸入用液体又は固形粒子を含んでよい。これらの粒子は、本発明によれば、吸入時に口及び喉頭を通り、そして気管及び肺胞内に進み続けるのに十分に小さなサイズの呼吸又は吸入可能な粒子を含む。一般に粒子サイズの範囲は約0.05、約0.1、約0.5、約1、約2〜約4、約6、約8、約10ミクロンである。より具体的には約0.5〜約5ミクロン未満のサイズが呼吸又は吸入可能である。従ってエアロゾル又はスプレー中に含まれる呼吸不能な粒子は、咽喉内に沈積するか又は飲み込まれる傾向がある。従って、エアロゾル中に含まれる呼吸不能な粒子の量は、最小限に抑えられる。鼻腔投与又は肺内導入に際しては、粒子サイズ範囲は約8、約10、約20、約25〜約35、約50、約100、約150、約250、約500μmであるのが好ましく、これにより、鼻腔内の保持、又は肺内への導入及び直接沈着を保証する。特に新生児及び乳児に投与する場合、液状配合物を呼吸器(鼻)及び肺内に注射することができる。
【0043】
エアロゾルを生成するための活性化合物の液状製薬組成物は、活性化合物と安定的なビヒクル、例えば発熱物質非含有の滅菌水とを合体させることにより調製することができる。微細化された活性化合物の呼吸用乾燥粒子を含有する固形粒状組成物は、乳鉢及び乳棒で乾燥活性化合物を粉砕し、次いで、微細化組成物を400メッシュ・スクリーンに通し、これにより大きな凝集塊を粉砕するか又は分離排除することにより調製することができる。活性化合物から成る固形粒状組成物は、任意には、エアロゾルの形成を容易にするのに役立つ分散剤を含有することができる。好適な分散剤はラクトースである。ラクトースは、任意の好適な比、例えば重量比1:1で活性化合物とブレンドすることができる。活性化合物を含む液状粒子のエアロゾルは、任意の好適な手段、例えばネブライザーによって生成することができる。例えば米国特許第4,501,729号明細書を参照されたい。ネブライザーは商業的に入手可能な装置であり、この装置は、圧縮空気、典型的には空気又は酸素を狭いベンチュリ・オリフィスを通して加速することによって、又は超音波撹拌によって、活性成分の溶液又は懸濁液を治療用エアロゾル・ミストに変化させる。ネブライザー内で使用するのに好適な組成物は、液状キャリヤ中の活性成分から成り、活性成分は組成物の最大40%w/wであるが、しかし好ましくは40%w/w未満である。キャリヤは典型的には水又は希釈水性アルコール溶液であり、好ましくは例えば塩化ナトリウムを添加することにより体液と等張にされている。組成物は滅菌調製されない場合には、任意の添加剤が保存剤、例えばメチルヒドロキシベンゾエート、酸化防止剤、矯味剤、揮発性油、緩衝剤及び界面活性剤を含む。活性化合物を含む固形粒子のエアロゾルも、市販の粒子薬剤エアロゾル発生器で同様に生成することができる。患者に固形粒子状薬剤を投与するためのエアロゾル発生器は、上述のように呼吸可能な粒子を生成し、そして、ヒトへの投与に好適な比率の、予め調量された投与量の薬剤を含有するエアロゾル容積を発生させる。このようなエアロゾル発生器の例は、調量式吸入器及び吹入れ器を含む。
【0044】
以上、本発明を全体的に説明してきたが、特定の実施例を参照すれば本発明をよりよく理解することができる。これらの実施例は例示のために本明細書中に含むものであり、特に断りのない限り、本発明又はこれらの実施態様を限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0045】
実施例
下記実施例において、DHEAはデヒドロエピアンドロステロンを意味し、sは秒を意味し、mgはミリグラムを意味し、kgはキログラムを意味し、kwはキロワットを意味し、Mhzはメガヘルツを意味し、そしてnmolはナノモルを意味する。
【0046】
実施例1及び2:アデノシン・レベルに対するフォリン酸及びDEHAのin vivo効果
若年成マウスFischer 344ラット(120グラム)に、14日間にわたって1日1回の強制飼養によって、カルボキシメチルセルロース中のデヒドロエピアンドロステロン(DHEA)(300mg/kg)又はメチルテストステロン(40mg/kg)を投与した。フォリン酸(50mg/kg)を14日間にわたって1日1回腹腔内投与した。15日目に、マイクロ波パルス(1.33kw, 2450 MHZ, 6.5s)を頭蓋に当てて動物を致死させた。マイクロ波は全ての脳タンパク質をただちに変性させ、そしてさらにアデノシンのさらなる代謝を防止する。心臓を動物から取り出し、死亡から10秒で液体窒素中に瞬間冷凍した。肝臓及び肺をまとめて取り出し、死亡から30秒で瞬間冷凍した。脳組織を続いて切開した。組織アデノシンを抽出し、1,N6-エテノアデノシンに誘導体化し、Clark及びDar(J. of Neuroscience Methods 25:243(1988))の方法に基づく分光蛍光検出を用いて、高性能液体クロマトグラフィ(HPLC)によって分析した。これらの試験の結果を下記表1に要約する。結果は平均±SEMとして表し、対照群と比較してκ P<0.05であり、そしてDHEA又はメチルテストステロンで処理された群と比較してψ p<0.05である。
【0047】
【表1】

【0048】
これらの試験の結果は、2週間にわたって毎日DHEA又はメチルテストステロンを投与されたラットがアデノシンの多器官減少を示すことを表す。減少は脳(DHEAの場合60%、高投与量メチルテストステロンの場合34%の減少)及び心臓(DHEAの場合37%、高投与量メチルテストステロンの場合22%の減少)において劇的であった。フォリン酸の同時投与は、ステロイド媒介性のアデノシン減少を完全に排除した。単独で投与されたフォリン酸は、全ての被験器官のアデノシンレベルを上昇させた。
【0049】
実施例3:試験モデルの調製
細胞培養HT-29細胞を得た。HT-29細胞は、HY-29細胞(ATCC, Rockville, Md.)のサブラインを表し、完全に定義された無血清PC-1培地(Ventrex, Portland, Me.)中での成長に適合される。37℃のこの培地内(5% CO2を含有する、湿潤された大気中)で保存培養を維持した。密集時に、トリプシン/EDTA(Gibco, Grand Island, N.Y.)を使用して解離した後で再平板培養し、24時間毎に再フィードした。これらの条件下で、対数増殖中のHT-29 SF細胞の倍増時間は24時間であった。
【0050】
実施例4:フロー・サイトメトリ
細胞を105/60-mm皿で2組平板培養した。細胞周期分布の分析のために、培養を0, 25, 50又は200μM DHEAに暴露した。DHEAの細胞周期効果の反転の分析のために、培養を0又は25μM DHEAに暴露し、そして培地には、MVA, DH, RN, MVAプラスCHを、或いはMVAプラスCHプラスRNを補充するか、或いは何も補充しなかった。培養を0, 24, 48又は74時間後にはトリプシン処理し、そして固定し、そしてBauer他、Cancer Res., 46, 3173-3178(1986)の手順の変更形を用いて染色した。手短に言えば、細胞を遠心分離により捕集し、そして低温リン酸緩衝生理食塩水中に再懸濁した。細胞を70%エタノール中に固定し、洗浄し、そしてリン酸緩衝生理食塩水中に再懸濁した。次いで1mlの低張染色溶液[50μg/mlヨウ化プロピジウム(Sigma Chemical Co.)、20μg/ml RナーゼA(Boehringer Mannheim, Indianapolis, Ind.)、30mg/ml ポリエチレングリコール、5mMクエン酸緩衝液中の0.1%トリトンX-100]を添加し、そして室温で10分後、1 mlの等張染色溶液[ヨウ化プロピジウム、ポリエチレングリコール、0.4M NaCl中のトリトンX-100]を添加し、そして細胞をフロー・サイトメーターを使用して分析した。フロー・サイトメーターは、パルス幅/パルス域二重判別を備えた(Becton Dickinson Immunocytometry Systems, San Jose, Calif.)。蛍光ビードを用いた校正後、最小2 x 104個の細胞/試料を分析し、増大する蛍光強度の1024チャネルのそれぞれにおける細胞の総数として、データを表示し、そしてその結果としてのヒストグラムを、Cellfit分析プログラム(Becton Dickinson)を用いて分析した。
【0051】
実施例5:細胞成長に対するDHEA効果
細胞を25,000細胞/30mm皿で4組平板培養し、そして2日後、これらに0, 12.5, 25, 50又は200μM DHEAを受容させた。0, 24, 48及び72時間後に、Coulterカウンター(モデルZ, Coulter Electronics, Inc. Hialeah, Fla.)を使用して、細胞数を検出した。DHEA(AKZO, Basel, スイス国)をジメチルスフホキシド中に溶解させ、濾過滅菌し、そして使用するまで-20℃で保存した。
【0052】
図1は、DHEAによるHT-29の成長の阻害を示している。点は細胞の数を表し、バーはSEMを表す。それぞれのデータ・ポイントは、4組で実施し、試験を3回繰り返した。SEMバーが明らかでない所では、SEMは符号よりも小さかった。DHEAに対して暴露した結果、12.5μMのDHEAでは72時間後、25又は50μMでは48時間後、及び200μMでは24時間後に、対照と比較して細胞数が低減した。このことはDHEAが時間及び投与量に依存して投与量を阻害することを示す。
【0053】
実施例6:細胞周期に対するDHEA効果
細胞周期分布に対するDHEAの効果を試験するために、HT-29 SF細胞を平板培養し(105細胞/60mm皿)、そして48時間後、0, 25, 50又は200μM DHEAで処理した。図2は、HT-29 SF細胞中の細胞周期分布に対するDHEAの効果を示す。24, 48及び72時間後に、細胞を収穫し、エタノール中に固定し、そしてヨウ化プロピジウムで染色し、そしてDNA含有率/細胞をフロー・サイトメトリック分析によって検出した。G1、S及びG2M期における細胞のパーセンテージを、Cellfit細胞分析プログラムを用いて計算した。S期は、判りやすさのために四角形によって示す。2組の検出から代表的なヒストグラムを示す。試験は3回繰り返した。
【0054】
25又は50μM DHEAで処理された培養中の細胞周期分布は、最初の24時間後には不変のままであった。しかし、DHEAに対する暴露時間が長くなるにつれて、S期における細胞の比率は徐々に減少した。G1、S及びG2M期における細胞のパーセンテージを、Cellfit細胞分析プログラムを用いて計算した。S期は、判りやすさのために四角形によって示す。2組の検出から代表的なヒストグラムを示す。試験は3回繰り返した。25又は50μM DHEAで処理された培養中の細胞周期分布は、最初の24時間後には不変のままであった。しかし、DHEAに対する暴露時間が長くなるにつれて、S期における細胞の比率は徐々に減少し、G1期における細胞のパーセンテージは72時間後に増大した。48時間後には、G2M期細胞の一時的な増大が明らかになった。200μM DHEAに対して暴露されると、G1における細胞のパーセンテージは同様に、しかしより急速に増大し、そして24時間後にS期における細胞の比率が減少した。このことは処理全体にわたって続いた。このことは、DHEAが時間及び投与量に依存して、HT-29 SF細胞におけるG1ブロックをもたらしたことを示す。
【0055】
実施例7:成長及び細胞周期に対する、DHEAによって媒介される効果の反転
DHEAによって媒介される成長阻害の反転。細胞を上述のように平板培養し、そして2日後、これらに0又は200μM DHEA含有培地を受容させた。この培地には、メバロン酸(「MVA」;mM)、スクアレン(SQ; 80μM)、コレステロール(CH;15μg/ml)、MVAプラスCH、リボヌクレオシド(RN;それぞれ最終濃度が30μMであるウリジン、シチジン、アデノシン及びグアノシン)、デオキシリボヌクレオシド(DN; それぞれ最終濃度が20μMであるチミジン、デオキシシチジン、デオキシアデノシン及びデオキシグアノシン)が、RNプラスDN、又はMVAプラスCHプラスRNで補充されているか、又は何も補充されていなかった。全ての成分をSigma Chemical Co.(St. Louis, Mo.)から入手した。コレステロールは、使用直前にエタノール中に可溶化した。RN及びDNは、DHEAの不存在において成長に対して効果を及ぼさないことが示された最大濃度で使用した。
【0056】
図3は、HT-29 SF細胞におけるDHEA誘発性成長阻害の反転を示す。Aにおいて、培地には、2μM MVA、80μM SQ、15μg/ml CH、又はMVAプラスCH(MVA+CH)が補充されるか、或いは何も補充されない。Bにおいて、培地には、それぞれ最終濃度が30μMであるウリジン、シチジン、アデノシン及びグアノシンを含有するRNの混合物、それぞれ最終濃度が20μMであるチミジン、デオキシシチジン、デオキシアデノシン及びデオキシグアノシンを含有するDNの混合物;RNプラスDN(RN+DN);又はMVAプラスCHプラスRN(MVA+CH+RN)が補充された。48時間の処理の前後に細胞数を評価し、そして48時間の処理時間中の細胞数の増大として培養成長を計算した。カラムは未処理対照の細胞成長パーセンテージを表し、バーはSEMを表す。未処理対照における細胞数の増加は173,370''6518であった。それぞれのデータ・ポイントは4つの独立した試験からの4部の皿を表す。スチューデントt検定によって統計分析を行い(κ P<0.01;ψ p<0.001);処理済対照と比較した。
【0057】
これらの条件下で、DHEA誘発性成長阻害は、MVAの添加によって、並びにMVAプラスCHの添加によって部分的に克服された。SQ又はCH単独の添加はこのような効果を有さなかった。このことは、DHEAの細胞成長抑止活性が内生的メバロン酸塩の減少、及び、これに続く、細胞成長にとって必須のコレステロール経路における早期中間体の生合成の阻害によって部分的に媒介されたことを示唆する。さらに、部分的な成長再構成が、RN添加後、並びにRNプラスDN添加後に見いだされ、しかしDNの添加後には見いだされなかった。このことは、メバロン酸塩及びヌクレオチド・プール双方の減少が、DHEAの成長阻害作用に関与していることを示唆する。しかし、MVA、CH、及びRNの複合添加を含めて、DHEAの阻害作用を克服する最構成条件はなかった。このことは、細胞毒性効果又は付加的な生化学経路が関与していることを示唆する。
【0058】
実施例8:細胞周期に対するDHEA効果の反転
HT-29 SF細胞を、MVA、CH又はRNを含む多数の化合物との組み合わせで25 FM DHEAで処理することにより、DHEAの細胞周期特異的効果を防止する能力を試験した。48時間後及び72時間後に、フロー・サイトメトリーを用いて、細胞周期分布を検出した。図4は、HT-29 SF細胞内におけるDHEA誘発性捕捉の反転を示す。細胞を平板培養し(105細胞/60mm皿)、そして48時間後に0又は25FM DHEAで処理した。培地には、2FM MVA;15Fg/ml CH;それぞれ最終濃度が30FMであるウリジン、シチジン、アデノシン及びグアノシン;MVAプラスCH(MVA+CH);又はMVAプラスCHプラスRN(MVA+CH+RN)を補充するか、或いは何も補充しなかった。細胞を48時間後又は72時間後に収穫し、エタノール中に固定し、そしてヨウ化プロピジウムで染色し、そして1細胞当たりのDNA含有率をフロー・サイトメトリック分析によって検出した。S期は、判りやすさのために四角形によって示す。試験は2回繰り返した。なお補充物は、DHEAの不存在において、細胞周期進行に対してほとんど効果を有さなかった。
【0059】
暴露時間が長くなるのに伴って、S期における細胞の比率は徐々に減少した。MVAが含まれると、最初の48時間でこの効果は部分的に阻止されたが、しかし72時間後には阻止されなかったのに対して、MVAプラスCHを添加すると、72時間目でS期の減少を部分的に阻止することができた。このことは、長期暴露中の細胞進行には、MVA及びCH双方が必要となることを示唆する。MVA、CH及びRNの添加は再構成時に明らかに最も効果的ではあるが、しかし、未処理対照培養に見られる値にまでS期細胞のパーセンテージを回復することは依然としてなかった。CH又はRNは単独では、48時間目ではほとんど、また72時間目では全く効果を有さなかった。形態的には、細胞は、丸みを帯びた形態を獲得することにより、DHEAに対して応答した。このような形態は、培地にMVAを添加することによってのみ阻止された。図4における72時間DHEA暴露後のDNAヒストグラムのいくつかはまた、明らかに低減されたDNA含量を有する細胞の部分個体群の存在を示す。HT-29細胞系が可変数の染色体(68-72; ATCC)を含有する細胞個体群を担持することが知られているので、このことは、分離した細胞部分集合が僅かな染色体しか担持しないことを示すことができる。
【0060】
実施例9:結論
上記実施例は、HT-29 SFヒト結腸腺癌細胞を、内生的メバロン酸塩を減少させことが知られているDHEA濃縮物にin vitro暴露した結果、成長阻害及びG1捕捉が生じ、そして、MVAを培地に添加するとこれらの効果が阻止されるという証拠を提供する。DHEAは、タンパク質イソプレニル化に対する効果をもたらした。これらの効果は、多くの点において、特異的3-ヒドロキシ-3-メチル-グルタリル-CoAレダクターゼに関して観察されたものと類似していた。しかしDHEAは、メバロン酸塩生合成の直接的な阻害物質ではなく、細胞周期進行及び細胞成長に対するその効果を多面的な形式で間接的にもたらし、リボ-及びデオキシリボヌクレオチド生合成及び可能であればその他の因子にも関与する。
【0061】
実施例10:臭化イプラトロピウム0.03%(IB)及びジプロピオン酸ベクロメタゾンの比較
非アレルギー性通年性鼻炎(NAPR)の33人の小児、及びアレルギー性通年性鼻炎(APR)の113人を、単盲検多施設試験において6ヶ月間にわたって、IB又はBDPにランダムに割り当てた。この試験の場合、医師は治療に対してブラインド状態にされた。通院の度に、患者及び医師は鼻炎、鼻充血及びくしゃみの症状コントロールを評価した。患者はまた、ベースラインにおいて、そして治療から6ヶ月後に生活の質に関する質問に答えた。6ヶ月間の治療にわたって、ベースラインと比較して、両治療は、鼻汁、充血及びくしゃみのコントロールの有意な改善を示した(P<.05)。くしゃみのコントロールに関してだけは、BDPがIBよりも一貫して良好であった(P<.05)。IBを投与された患者の間では、61%〜73%が種々の試験通院日に鼻汁のコントロールを評価し、43%〜60%が鼻充血のコントロールを同様に評価し、そして43%〜60%がくしゃみのコントロールを同様に評価した。BDPの結果は、鼻汁のコントロールに関して68%〜78%であり、鼻充血のコントロールに関して55%〜72%であり、くしゃみのコントロールに関して54%〜68%であった。生活の質評価の記録では、両薬物は、日常の活動に対する妨げ、及び鼻汁による気分障害を、ベースラインと比べて有意に低減した(P<.05)。両治療は、IBの方が耐容性が良好であった。IBはBDPよりも鼻出血及び刺激を引き起こさなかった。臭化イプラトロピウムは、鼻汁をコントロールし、通学、授業時の集中力、及び睡眠に対する鼻汁の妨害を低減する上で安全且つ効果的であった。臭化イプラトロピウムは、鼻汁のコントロールにおいてBDPと同じ効果を有し、充血に対しては比較的良好な効果を示した。患者及び医師の評価では、くしゃみのコントロールにおいてはBDPが支持された。Milgrom他、Ann. Allergy Asthma Immunol. 83(2):105-11(1999)。実施例11〜16では、微細化されたDHAと微細化された抗ムスカリン薬(ヒドロキシナフトエートとして)とを乾燥状態で、或いは、少量の安定剤、ジオクチルスフホコハク酸ジソジウム、レシチン、オレイン酸、又はソルビタントリオレエート/トリクロロ-フルオロメタン溶液中に前分散した後、主要量のトリクロロフルオロメタン溶液を含有する懸濁液容器に、下記比率で添加する。結果として生じた懸濁液を、超微細分散体が形成されるまで、適切な混合システム、例えば高剪断ブレンダーによってさらに分散する。次いで、ジクロロジフルオロメタンの低温充填又は加圧充填のために構成された好適な充填装置に、連続的に再循環させる。懸濁液は安定剤の好適な冷却された溶液中、トリクロロフルオロメタン/ジクロロ-ジフルオロメタン中で調製することもできる。
【0062】
実施例11:成人及び小児の急性喘息増悪における臭化イプラトロピウムの使用
イプラトロピウムの生理学的作用、及び抗コリン作用性気管支拡張剤としてのその使用について、以下に要約する。無作為化試験及び2つのメタ分析から入手可能な証拠を要約し、これにより、吸入式β2-アゴニスト治療に吸入式イプラトロピウムを添加することが、小児及び成人の急性喘息増悪の治療に効果的であるか否かを見極める。成人喘息増悪においてイプラトロピウムと、これと同時にβ2-アゴニストとを使用することを評価する無作為化対照試験に関する報告が発行された。全部で1,377人の患者に関して報告した、成人喘息の10件の研究からのデータを、加重平均法を用いてメタ分析にプールした。ネブライザーによるイプラトロピウム/β2-アゴニスト複合治療の利用は、イプラトロピウムなしでβ2-アゴニストだけを受容した患者と比較すると、1秒努力呼気肺活量におけるプールされた7.3%の改善(95%信頼区間(CI)、3.8〜10.9%)、及びピーク呼気流量における22.1%の改善(95%CI、11.0〜33.2%)を伴った。入院データ(n=1064)を報告する成人の3つの試験に関しては、イプラトロピウムを受容する成人患者の相対的な入院リスクは0.80(95%CI、0.61〜1.06)であった。同様に、小児喘息増悪の無作為化対照研究、及び小児喘息患者のメタ分析は、β2-アゴニストにイプラトロピウムを添加すると、特に重症の喘息増悪の小児の間で肺機能が改善され、そして入院率も低下したことを示唆する。
【0063】
イプラトロピウムがβ2-アゴニストと併用された場合の、イプラトロピウムに帰因する深刻な副作用は、成人研究でも小児研究でも報告されなかった。
【0064】
結論としては、急性喘息増悪の治療に際して、β2-アゴニストに対する補助薬としてイプラトロピウムを使用した場合、気道閉塞の緩やかな統計的改善が生じる。小児喘息増悪の場合、イプラトロピウムの使用はまた、臨床結果を改善するように見える。しかしこのことは成人においては明確には確立されなかった。イプラトロピウムの添加によって、副作用のリスクのない有益な生理学的証拠が提供されるので、イプラトロピウム/β2-アゴニスト複合治療の利用が推奨されている。Aaron S.D., J. Asthma 38(7):521-30(2001)。
【0065】
実施例12:COPD患者に対する臭化チオトロピウムの効果*
臭化チオトロピウムは、臭化イプラトロピウムと同様に、第4アンモニウム誘導体である新しい長時間継続型抗コリン作用薬である。臭化チオトロピウムは、高親和性でムスカリン受容体に結合するが、しかし、M(1)-及びM(3)-ムスカリン受容体からは極めてゆっくりと解離する。薬理学研究は、動物及びヒトにおけるコリン作用性アゴニスト及びコリン作用性神経刺激に抗する長期保護効果を実証している。第2相試験では、単回吸入投与量の臭化チオトロピウムが、喘息患者及び慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者において、24時間を上回る気管支拡張効果及び気管支保護効果を有する。第3相試験では、1日1回吸入式チオトロピウムが、COPD患者において効果的な気管支拡張剤であり、1日4回投与される臭化イプラトロピウムよりも肺機能を大幅に改善し、症状を軽減する。薬物は耐容性良好であり、そして注目すべき副作用は、患者のほぼ10%において発生する口渇だけである。抗コリン作用薬がCOPDにおいて選択される気管支拡張剤であるため、臭化チオトロピウムが将来、COPD患者のために最も幅広く使用される気管支拡張剤となると考えられる。
*Barnes, P.J., Expert Opin. Investing. Drugs 10(4):733(2001)
【0066】
実施例13:COPD患者に対するイプラトロピウム及びアルブテロールの効果
臭化イプラトロピウムとアルブテロールとの組み合わせが、COPD患者において、臭化イプラトロピウム又はアルブテロール単独と比較して、より高く、より一貫性のある肺機能試験(PFT)応答速度をもたらすか否かを見極める。構成:最近完成された2つの3ヶ月・無作為化・二重盲・並行・他施設第3相試験の遡及的検討。患者:全部で1,067人の安定的なCOPD患者。干渉:臭化イプラトロピウム(36μg 1日4回)、アルブテロール・ベース(180μg 1日4回)、又は臭化イプラトロピウムとアルブテロールスルフェート(それぞれ42μg及び240μg 1日4回)との等価の組み合わせ。測定及び結果:ベースライン値と比較して、FEV1の12%及び15%増加を用いてPFT応答速度を分析し、そしてこれらの試験の第1、29、57及び85日に、種々の治療群においてPFT応答速度を測定した。FEV1の12%又は15%増加を用いることにより陽性応答を定義するか否かとは無関係に、臭化イプラトロピウムとアルブテロールスルフェートとの等価の組み合わせは、個別の薬剤よりも優れていた(p<0.05:全て30分以内の比較)。加えて、初期PFT中のイプラトロピウムとアルブテロールスルフェートとの組み合わせを受容する患者の80%超に、FEV1の15%以上の増加が見られ、これは初期試験から3ヶ月後にも観察され続けた。結論:臭化イプラトロピウムとアルブテロールスルフェートとの組み合わせは、COPD患者におけるPFT可逆性を同定する上で、個別の薬剤よりも優れている。
*Dorinsky他、Chest 115(4):966-71(1999)。
【0067】
実施例14:抗ムスカリン薬:COPD及びアレルギー性鼻炎に対する効果
気道疾患の抗ムスカリン治療は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)における効果的な気管支拡張剤、並びに水様性鼻炎(アレルギー性鼻炎)のための抗分泌薬として使用される。現在の配合物は、臭化イプラトロピウム、すなわち安全且つ効果的な呼吸器治療薬に限られている。イプラトロピウムは肺活量測定によって、単独で、またアルブテロールとの組み合わせで、効果的な気管支拡張剤として記録されている。この証拠は、抗コリン作用薬がCOPDの他の重要な様相、例えば動的過膨張に影響を与えることができることを示唆する。
*Witek, T.J.Jr., Pespir. Case Clin. N. Am 5 (4):521-36(1999)。
【0068】
【表2】

【0069】
【表3】

【0070】
【表4】

【0071】
【表5】

【0072】
下記実施例20〜30において、活性成分を微細化し、上記比率でラクトースとバルク・ブレンドした。ブレンドを硬質ゼラチン・カプセル又はカートリッジ内に、或いは、特定の構造を有する二重フォイル・ブリスター・パック(Rotadisksブリスター・パック、Glaxo(登録商標))内に充填することにより、吸入器、例えばRotahaler吸入器(Glaxo(登録商標))によって、又はブリスター・パックの場合には、Diskhaler吸入器(Glaxo(登録商標))によって投与する。
【0073】
【表6】

【0074】
【表7】

【0075】
【表8】

【0076】
【表9】

【0077】
実施例24:肺機能及び炎症に対するDHEA-Sの効果
この研究は、チリダニで感作されたカニクイザルにおける、アレルゲン誘発性前期応答及び肺の炎症に対する、DHEA-Sを用いた5日間の治療の効果を定義する。治療の1週間前に、ベースライン・パラメーターを測定した。DHEA-S(5mg/ml, 2ml噴霧)又は等容積の生理食塩水を、1〜5日目に、鼻と口とを覆う犬用フェイスマスクを通して、噴霧により(Pari LC+)1日1回送達した。3日目に、薬物治療から数時間後にアレルゲン攻撃及び肺機能試験を実施し、そして攻撃から48時間後に、気管支肺胞洗浄液(BALF)を捕集した。研究は、研究アーム間に最低4週間の休止期間を置くクロスオーバー・デザイン下で研究された6匹の動物を含む。DHEA-Sによる治療は、動物の疾患状態を下記のように変化させた。
【0078】
肺のコンプライアンスは前期応答中に改善された。図4.3.1.1を参照されたい。DHEA-Sによる治療は、アレルゲン攻撃後の気道コンプライアンスの低下を、生理食塩水処理と比較して87%だけ軽減した。アレルゲン攻撃後のコンプライアンスの変化の曲線下総面積は、生理食塩水対照群における-394±127に対して、DHEA-S治療群では-49±116であった(p=0.035)。肺の抵抗性は前期応答中に改善された。図4.3.1.2を参照されたい。DHEA-Sによる治療は、アレルゲン攻撃後の気道抵抗性の増大を、生理食塩水処理と比較して90%だけ軽減した。アレルゲン攻撃後の抵抗性の変化の曲線下総面積は、生理食塩水対照群における564±266に対して、DHEA-S治療群では54±90であった(p=0.045)。DHEA-Sによる治療は、アレルゲン攻撃から48時間後のBALF中の好酸球%を、生理食塩水と比較してほぼ57%だけ減少させた(p=0.012)。図4.3.1.3を参照されたい。さらに、DHEA-Sによる治療は、アレルゲン攻撃から48時間後のBALF中の好中球のパーセンテージを、生理食塩水と比較して42%だけ減少させた(p=0.008)。図4.3.1.3を参照されたい。
【0079】
これらの結果は、噴霧式DHEA-Sが炎症を和らげ、空気アレルゲン攻撃によって通常は誘発される肺機能の低下を阻止することを示す。
【0080】
(A) 基礎アレルギー応答性
炎症のアレルゲン誘発
チリダニ攻撃は、アレルゲンのエアロゾル投与から48時間後に、BAL液中の好酸球のパーセンテージの増大を誘発した。好酸球は、生理食塩水対照群中で0.25%±0.17%から4.8%±1.4%(P=0.018)に増大し、これは、アレルゲンが気道内への好酸球の移動を誘発したことを確証する。
【0081】
アレルゲンに対する肺機能応答
生理食塩水処理に続くアレルゲン攻撃は、1:100希釈率でチリダニによって誘発されるコンプライアンスの平均減少率30%及び抵抗性増加率50%によって示されるように、著しい前期応答を誘発した。これらのデータは、試験動物が、気道炎症で当該抗原に応答し、そして肺機能を変化させたことを確証する。
【0082】
(B) 肺機能に対するDHEA-Sの効果
チリダニに対する前期応答
アレルゲン攻撃に応答した動的コンプライアンスの変化により、気道閉塞に対する効果を測定した。アレルゲン攻撃に続く15分間にわたって、アレルギー性カニクイザルをモニタリングし、値を時間に対してプロットした。動的コンプライアンスの変化を、攻撃前に記録された動物の初期生理食塩水値と比較したコンプライアンスの変化率%によって検出した。曲線下面積(AUC)を用いて、アレルゲン及び/又は治療に対する応答の変化を計算した。AUC単位は変化率% x 分として定義される。DHEA-Sによる治療は、アレルゲン攻撃後の気道コンプライアンスの低下を、生理食塩水と比較して87%だけ軽減した。生理食塩水治療の場合、総AUCは、DHEA-Sで治療された動物の-49±116単位と比較して、-394±127単位であった。図4.3.1.1;4.3.1.2を参照されたい。ビヒクル及びDHEA-Sで治療された動物の総AUCにおけるこのような差は、対合観察のためのスチューデントt検定を用いて、有意であることが見極められた(P=0.035)。同様に、DHEA-Sによる治療は、アレルゲン攻撃後の気道抵抗の増加を、生理食塩水治療と比較して90%だけ軽減した。抵抗性に対応するAUCは、生理食塩水治療の方がDHEA-S治療よりも著しく大きい(564±266対54±90単位)(P=0.045)。
【0083】
(C)炎症に対するDHEA-Sの効果
BALF細胞カウント
DHEA-Sによる治療は、アレルゲン攻撃から48時間後に、BALF中に移動する白血球の総数を減少する傾向があった。食塩水治療の場合、白血球は31.4 x 104から54.9 x 104細胞/mlに上昇し、これに対してDHEA-S治療群においては、34.5 x 104から39.4 x 104細胞/mlに上昇した。食塩水治療群における好酸球のパーセンテージがアレルゲン暴露後に増加するのに対して、DHEA-S治療動物における好酸球のパーセンテージは、アレルゲン攻撃の前と後で有意に異なることはなかった。図4.3.1.3を参照されたい。アレルゲン攻撃から48時間後のBALF中の好酸球数(細胞/ml)は、DHEA-S(1.6±0.8 x 104細胞/ml)治療後には、食塩水処理群(4.3±1.7 x 104細胞/ml)と比較してほぼ64%だけ少なかった。しかしその差は有意には達しなかった。アレルゲン暴露に続いて、BALF中の好中球のパーセンテージは、食塩水処理群において有意に上昇した(p=0.037)。DHEA-S治療は、前攻撃レベルよりもさほど高くないレベルまで好中球流入を軽減した。図4.3.1.3を参照されたい。食塩水群における好中球の絶対数(細胞/ml)は、22.0±10.3 x 104細胞/mlまで増加したのに対し、DHEA-S治療の場合は、これらの絶対数は9.7±2.2 x 104細胞/mlまでしか増加しなかった。
【0084】
結論
この試験の結果は、DHEA-Sが、アレルギー性カニクイザル中の吸入されたアレルゲンの炎症効果を和らげるという証明を提供する。好酸球炎症及び好中球流入の阻害が示される。アレルゲン攻撃に対する前期応答の阻害も実証される。これらの観察は、アレルギー性ウサギモデルから引き出されるデータとも一致する。
【0085】
実施例25:アレルゲン誘発性気道閉塞及び肺炎症に対するDHEA-S効果
この研究は、チリダニ感作ウサギにおけるアレルゲン誘発性気管支過応答(BHR)、前期及び後期応答、及び肺炎症に対する、DHEA-Sによる7日間の治療の効果を定義する。ベースラインBHR及び炎症を先ず見極めた。次の週に、アレルゲン攻撃、肺機能試験及びBALFを、未処理ウサギにおいて実施した。アレルゲン攻撃から24時間後にヒスタミン感受性を測定した。ウサギを3週間休ませ、次いでベースライン値を再確立した。次の週に、麻酔したウサギの気管内チューブを通して、気管内用粉末注射器によって7日間、1日1回、DHEA-S(5mg/日)を送達した。8日目に、最後の治療から24時間後、アレルゲン攻撃、ヒスタミン機能試験及びBALFを以前のように実施した。9日目に、アレルゲン攻撃から24時間後に、ヒスタミン攻撃を実施した。薬物は使用前に微細化しなかったので、投与量の一部しか肺の奥には届かないことが予期された。この研究はクロスオーバー・デザイン下で研究された4匹の動物を含む。DHEA-Sによる治療は、動物の疾患状態を変化させた。これらの変化について以下の段落で説明する。
【0086】
肺のコンプライアンスは前期及び後期応答中に改善された。図4.3.2.1を参照されたい。EPI-12312による治療は、アレルゲン攻撃後の気道コンプライアンスの低下を、アレルゲン単独と比較して86%だけ軽減した。アレルゲン攻撃後のコンプライアンスの変化の曲線下総面積は、対照群における-146±29に対して、DHEA-S治療群では-20±23であった(p=0.036)。肺の抵抗性は前期及び後期応答中に改善された。図4.3.2.1を参照されたい。EPI-12312による治療は、アレルゲン攻撃後の気道抵抗性の増大を、アレルゲン単独と比較して54%だけ軽減した。アレルゲン攻撃後の抵抗性の変化の曲線下総面積は、対照群における1069±243に対して、DHEA-S治療群では495±341であった。しかし、この差は有意には到達しなかった。なぜならば大きな変動が少数の動物において生じたからである。
さらに、チリダニによる攻撃後、BAL液中への細胞浸潤物の、DHEA-Sに関連した中程度の変化が生じた。最後に、好酸球の僅かな平均阻害が、攻撃後24時間目に観察され、好中球の顕著な阻害が15分目(10.2対1.3 x 104細胞/ml)及び6時間目(43.8対32.2 x 104細胞/ml)に観察された。加えて、DHEA-S治療群においてアレルゲン攻撃後の24時間ヒスタミン応答は下方にシフトした。
【0087】
これらの結果は、粉末として送達されたDHEA-Sが炎症を和らげ、空気アレルゲン攻撃によって通常は誘発される肺機能の低下を軽減することを示す。
【0088】
(A) 基礎アレルギー応答性
炎症のアレルゲン誘発
チリダニ攻撃は、アレルゲンのエアロゾル投与から6時間後に、BAL液中の好酸球、好中球及びマクロファージの数の著しい増大を誘発した。好酸球のパーセンテージも、ビヒクル対象動物においてチリダニ攻撃から6時間後に、0.2%未満から6%に増加した。このことは、アレルゲンが気道内への好酸球の移動を誘発したことを確証する。
【0089】
肺機能
4匹の動物中のアデノシンのPC40は、0.55〜4.56mg/mlの範囲にあり、平均は2.5mg/mlであった。ビヒクル対象群において、チリダニ暴露は、それぞれ生理食塩水と比較して、前期中に記録されるピーク・コンプライアンスを45%だけ、また後期においては28%だけ減少させた。チリダニ暴露は、前期応答中には234%だけ、また後期応答中には290%だけ、最大気道抵抗性を増大させた。これらのデータは、試験動物が、エアロゾル式アデノシンに対して感受性を有し、気道炎症で当該抗原に応答し、そして肺機能を変化させたことを確証する。
【0090】
(B) 肺機能に対するDHEA-Sの効果
コンプライアンスに対するチリダニの効果
アレルゲン攻撃に応答した動的コンプライアンス及び肺の総抵抗性の変化により、気道閉塞に対する効果を測定した。アレルゲン攻撃後6時間にわたって、ウサギをモニタリングし、値を時間に対してプロットした。動的コンプライアンスの変化を、攻撃前に記録された動物の初期生理食塩水値と比較したコンプライアンスの変化率%によって検出した。曲線下面積(AUC)を用いて、アレルゲン及び/又は治療に対する応答の変化を計算した。AUC単位は変化率% x 時間として定義される。DHEA-Sによる治療は、アレルゲン攻撃後の気道コンプライアンスの低下を、アレルゲン単独と比較して86%だけ軽減した。アレルゲン単独で処理した後、総AUCは、DHEA-Sで治療された動物の-20単位と比較して、-146単位であった。ビヒクル及びDHEA-Sで治療された動物の総AUCにおけるこのような差は、対合観察のためのスチューデントt検定を用いて、有意であることが見極められた(P=0.036)。同様に、DHEA-Sによる治療は、アレルゲン攻撃後の気道抵抗の増加を、アレルゲン単独と比較して54%だけ軽減した。アレルゲン単独処理後及びDHEA-S治療後の前期応答中のAUCの差は、対合t検定を用いると、p=0.023で有意であった。後期中の変動性は、対合検定により分析したところ、ビヒクル処理群と薬物治療群との間のAUCの差を有意にしなかった。
【0091】
抵抗性及びヒスタミン応答性に対するチリダニの効果
DHEA-Sの投与は、エアロゾルによるチリダニ攻撃から6時間で、気道抵抗の変化を200%を上回る率だけ低減した。対照群及び治療群の総AUCは1069:495であった。しかし、少数の動物における変動性により、統計的有意には達しなかった。DHEA-Sによる治療は、ヒスタミンに対する過応答をシフトさせる。生理食塩水処理群におけるヒスタミン応答はチリダニ攻撃後大きくなり、そしてDHEA-S処理群におけるよりも大きく変動した。
【0092】
(C)炎症に対するDHEA-Sの効果
BALF細胞カウント
DHEA-S治療によって、BAL液中への炎症性細胞移動が低減された。DHEA-Sによって治療された動物は、対照群と比較して、アレルゲン攻撃から24時間後に、BALF中の好酸球(2.0対3.2 x 104細胞/ml)及びマクロファージ(17.8対24.1 x 104細胞/ml)の数の低下を示した。チリダニ攻撃後15分目に、好中球(1.3対10.2 x 104細胞/ml)及びマクロファージ(19.4対29.6x 104細胞/ml)が低減した。この低減は6時間を通して持続したが、しかしあまり断言できるものではなかった。なお、チリダニ攻撃から24時間後の時点は、DHEA-Sによる最後の治療から48時間後であった。
【0093】
結論
前期応答及び後期応答の双方の阻害率は50〜93%と顕著であったが、統計的な差は前期においてだけ有意であった。チリダニ攻撃前のDHEA-S投与に続いて、コンプライアンス及び抵抗性双方が明らかに改善され、ヒスタミン応答が僅かに変化した。好酸球、好中球及びマクロファージの低減に伴って、チリダニ攻撃後、炎症性細胞が低減する傾向がある。これらの結果は、微細化された配合物を使用して、肺の奥への最適な送達を保証することにより改善されると考えられる。
【0094】
実施例26:アレルゲン誘発性気道閉塞及び肺の炎症に対するDHEA-Sの効果
この研究は、チリダニで感作されたウサギにおける、アレルゲン誘発性気管支過応答(BHR)、前期及び後期応答、及び肺の炎症に対する、DHEA-Sを用いた7日間の治療の効果を定義する。ベースラインBHR及び炎症を先ず測定した。DHEA-S(5mg/ml, 2ml噴霧)又は等容積の生理食塩水を、1〜7日目に、鼻と口とを覆う小児用フェイスマスクを通して、噴霧により1日1回送達した。8日目に、最後の治療から24時間後にアレルゲン攻撃、肺機能試験、及びBALFを実施した。9日目に、アレルゲン攻撃から24時間後にヒスタミン攻撃を実施し、そして肺を組織学的分析のために取り出した。研究は、クロスオーバー・デザイン下で研究された5匹の動物を含む。研究アーム間には3週間の休止期間があり、第2の処理アーム中にだけ肺を採取した。DHEA-Sによる治療は、動物の疾患状態を下記段落に説明するように変化させた。
【0095】
肺のコンプライアンスは前期及び後期応答中に改善された。図4.3.1.1を参照されたい。DHEA-Sによる治療は、アレルゲン攻撃後の気道コンプライアンスの低下を、ビヒクル処理と比較して62%だけ軽減した。アレルゲン攻撃後のコンプライアンスの変化の曲線下総面積は、対照群における-99±11に対して、DHEA-S治療群では+38±27であった(p=0.02)。DHEA-Sはまた、BAL液中への炎症性細胞移動の数を68%だけ減少させた(図4.3.3.2)。DHEA-Sによって治療された動物は、ビヒクル群と比較して、アレルゲン攻撃から6時間後に、BALF中の好酸球(52%)、好中球(69%)及びマクロファージ(68%)の数の低下を示した(p<0.01)。気道壁の炎症が減少した。添付の図4.3.3.3〜図4.3.3.6を参照されたい。群の割り当てに対してブラインド状態にされた獣医による組織学評価は、DHEA-S治療が、血管及び気管支の炎症性カフィング、気管支に関連するリンパ組織過形成、及び上皮脱落を低減することを明らかにした。
【0096】
これらの結果は、噴霧式DHEA-Sが、炎症を和らげ、空気アレルゲン攻撃によって通常は誘発される肺機能の低下を緩和することを示す。
【0097】
(A) 基礎アレルギー応答性
アレルゲン誘発性炎症
チリダニ攻撃は、アレルゲンのエアロゾル投与から6時間後に、BAL液中の好酸球、好中球及びマクロファージの数の著しい増大を誘発した。好酸球のパーセンテージも、ビヒクル対象動物においてチリダニ攻撃から6時間後に、0.2%未満から8%に増加した。このことは、アレルゲンが気道内への好酸球の移動を誘発したことを確証する。
【0098】
肺機能
5匹の動物中のアデノシンのPC40は、2.0〜8.4mg/mlの範囲にあり、平均は4.5mg/mlであった。ビヒクル対象群において、チリダニ暴露は、それぞれ生理食塩水と比較して、前期中に記録されるピーク・コンプライアンスを32%だけ、また後期においては21%だけ減少させた。チリダニ暴露は、前期応答中には64%だけ、また後期応答中には82%だけ、最大気道抵抗性を増大させた。これらのデータは、試験動物が、エアロゾル式アデノシンに対して感受性を有し、気道炎症で当該抗原に応答し、そして肺機能を変化させたことを確証する。
【0099】
(B) 肺機能に対するDHEA-Sの効果
コンプライアンスに対するチリダニの効果
アレルゲン攻撃に応答した動的コンプライアンス及び肺の総抵抗性の変化により、気道閉塞に対する効果を測定した。アレルゲン攻撃後6時間にわたって、ウサギをモニタリングし、値を時間に対してプロットした。動的コンプライアンスの変化を、攻撃前に記録された動物の初期生理食塩水値と比較したコンプライアンスの変化率%によって検出した。曲線下面積(AUC)を用いて、アレルゲン及び/又は治療に対する応答の変化を計算した。AUC単位は変化率% x 時間として定義される。DHEA-Sによる治療は、アレルゲン攻撃後の気道コンプライアンスの低下を、ビヒクル処理と比較して62%だけ軽減した。アレルゲン単独で処理した後、総AUCは、DHEA-Sで治療された動物の+38単位と比較して、-99単位であった。ビヒクル及びDHEA-Sで治療された動物の総AUCにおけるこのような差は、対合観察のためのスチューデントt検定を用いて、P=0.022で有意であることが見極められ。同様に、ビヒクル処理後及びDHEA-S治療後の後期応答中のAUCの差は、対合t検定を用いると、p=0.012で有意であった。前期中の変動性は、対合検定により分析して、ビヒクル処理群と薬物治療群との間のAUCの差を有意にしなかった。しかし、反復測定分析のための多項式モデルを組み入れたトレンド分析は、前期応答中のコンプライアンス曲線の形状が、ビヒクル対照と薬物治療群とに関して、p=0.04で異なっていることを示した。
【0100】
チリダニ及びヒスタミン応答性に対する抵抗応答
DHEA-Sの投与は、エアロゾル・チリダニ攻撃後6時間では、気道抵抗の変化に対して有意な効果を及ぼさなかった。対照群及び治療群の総AUCは、315対377であった。DHEA-Sは、この研究においては抵抗に対して効果をほとんど及ぼさなかった。このことは、コンプライアンスを研究するために割り当てられたアレルギー性ウサギモデルの特定の様相、又はクロスオーバー・デザインによるものであるかもしれない。指摘する価値があるのは、喘息又はCOPDに対して使用するための現在入手可能なステロイドを同様の環境下で投与しても、抵抗のアレルゲン誘発性増大を修正することは期待できない、ということである。対照動物及びDHEA-S治療動物のPC50は、0.84対0.86mg/mlであった。なお、ヒスタミン応答は、DHEA-Sの最後の投与から48時間後に測定した。
【0101】
(C)炎症に対するDHEA-Sの効果
BALF細胞カウント
DHEA-S治療によって、BAL液中への炎症性細胞移動が低減された。DHEA-Sによって治療された動物は、ANOVA及びLSDに対するフィッシャー試験によって分析して、ビヒクル対照群と比較して、アレルゲン攻撃から6時間後に、BALF中の好酸球、好中球及びマクロファージの数の低下をp<0.01で示した。チリダニ攻撃から6時間後に、ビヒクル処理動物及び薬物治療動物からのBAL液は、それぞれ8 x 104対4 x 104個の好酸球/ml、94 x 104対29 x 104個の好中球/ml、37 x 104対12 x 104個のマクロファージ/mlを含有した。効果は、チリダニ攻撃から24時間後では有意ではなかった。なお、チリダニ攻撃から24時間後のこの時点は、DHEA-Sによる最終治療から48時間後であった。
【0102】
組織学
間質性炎症に対する効果を組織学により評価した。獣医病理学者は、ブラインド状態で、ヘモトキシリン及びエオシンで染色された切片を評価した。0〜4のスケールを用いて炎症パラメータに関して、切片をスコアリングした。0は発見なしを意味し、4は重症を意味する。DHEA-Sで治療された動物からの肺切片は、より少ない気道関連炎症を示した。下記パラメーターの全てが、ビヒクル対照群と比較して、DHEA-S治療肺において低スコアであった:炎症性細胞による気道及び血管のカッフィング、気管支関連リンパ組織過形成、及び気管支炎/細気管支炎。気管支炎/細気管支炎は、気道及び上皮内炎症性細胞の露出を含む。肺胞の合併症は、一貫性のあるパターンを示さない。
【0103】
血清に対するDHEA-Sの効果、並びにBAL DHEA及びDHEA-Sレベル
血清中のDHEA及びDHEA-S濃度の有意な変化は、DHEA-S治療では観察されなかった。DHEA-S治療の前には、血清試料はそれぞれ0.9ng/ml及び4.7μg/dlのDHEA及びDHEA-S濃度を示した。毎日行われる治療全7回の最後から24時間後には、DHEA及びDHEA-S濃度は、それぞれ1.1ng/ml及び4.9μg/dlであった。DHEA-SはBAL液中では検出可能ではなかった。DHA濃度は測定することができたが、しかし治療との相関関係は明らかではなかった。
【0104】
DHEA-S濃度の観察
フェイスマスクを介してDHEA-Sで7日間の治療を受けた動物は、ビヒクル処理動物よりも良好に、肺機能試験及びヒスタミン攻撃に耐えた。この記述を支持する定性的な証拠は、動物が処置後、より素早く正常機能を回復したことである。さらに、DHEA-S治療動物におけるヒスタミン及びチリダニの攻撃の後で、鼻充血が生じた証拠はなかった。
【0105】
結論
抵抗及びコンプライアンスは、それぞれ近位気道及び遠位肺の機能の指標である。しかし、これら2つのパラメーターは、完全には独立しておらず、これらの測定値は、呼吸数及び1回換気量によって影響され得る。このことを考慮に入れると、DHEA-Sが前期及び後期中のコンプライアンスを改善するという発見から、その主な効果が、遠位肺を膨張しやすくすることにより、喘息発作中の呼吸の作業を軽減することである、ということが明らかになる。
【0106】
実施例27:アレルゲン誘発性気道閉塞及び炎症に対する吸入式DHEA-S、Pulmicort(登録商標)及び生理食塩水の効果
この追跡調査は、チリダニ感作ウサギにおけるヒスタミン及び肺の炎症に対するアレルゲン誘発性気管支過応答(BHR)に及ぼされる、DHEA-S及びPulmicort(登録商標)(ブデソニド吸入用懸濁液)の効果を比較した。この調査は、18匹の動物を3つの治療群:生理食塩水、DHEA-S及びPulmicortに分けた。動物を、5日連続して1日1回、鼻と口とを覆う小児用フェイスマスクを通して、噴霧により治療した。治療薬は、10mg/日(5mg/ml)のDHEA-S、0.5mg/日(0.5mg/2ml、注:これは標準的なヒト用投与量である)のPulmicort Respules、又は生理食塩水(2ml)であった。4日目に、チリダニ攻撃を実施し、そしてチリダニ攻撃から6日後及び30日後に気道炎症の発生を評価した。ヒスタミン感受性を攻撃(5日目)から30時間後に評価し、そして肺を組織学的分析のために取り出した。下記結果が得られた:
【0107】
1. DHEA-Sはアレルゲン攻撃後6時間目に、BALF中への細胞流入をPulmicortと比較して62%だけ低減した(図4.3.4.1)。
2. DHEA-Sはアレルゲン攻撃から6時間後に、好酸球の数を減少させる傾向を有し、これに対してPulmicortは、アレルゲン攻撃から24時間後に好酸球の数を低減した(図4.3.4.1)。
3. DHEA-Sはアレルゲン攻撃から6時間後に、BALF中の好中球の数をPulmicortと比較して91%だけ低減した(図4.3.4.1)。
4. DHEA-Sはアレルゲン攻撃から6時間後に、上皮剥離をPulmicortと比較して54%だけ減少させた(図4.3.4.1)。
5. DHEA-S及びPulmicortの双方は、ヒスタミン応答曲線をアレルゲン攻撃前の値に向かって下向きにシフトする傾向を有した(図4.3.4.2)。
6. DHEA-S及びPulmicortは、生理食塩水と比較して単層扁平化を減少させ、壊死性気管支炎を減少させる傾向を有し、そして、単球食細胞過形成を増大させる傾向を有するが、しかし単層扁平化に対する効果だけしか統計的に有意ではなかった。
【0108】
これらの結果は、DHEA-S及びPulmicortが炎症を和らげ、そして空気アレルゲン攻撃によって通常は誘発される肺機能の低下を緩和することを示す。加えて、この調査において、DHEA-Sはヒスタミン応答を減少させ、そして、アレルゲン暴露から24時間後の炎症の組織学的指標を低減するその能力において、Pulmicortと同等であり、また、アレルゲン暴露から6時間後の炎症性細胞、特に好中球の低減においてはより優れている。罹患した細胞タイプ及び応答時間経過の両方においてDHEA-SとPulmicortとの間に観察される差は、薬物が異なるメカニズムを通して作業することを示唆する。
【0109】
(A) 基礎アレルギー応答性
炎症のアレルゲン誘発性
集計データ(すなわち全群)の試験は、アレルゲン攻撃から6時間後及び24時間後に好酸球の数が著しく増加することを明らかにした(それぞれP=0.046及び0.001)。好酸球のパーセンテージも、チリダニ攻撃前の0.1%未満から、攻撃から24時間後の3%まで増大した。このことは、アレルゲンが気道内への好酸球の移動を誘発したことを確証する。
【0110】
肺機能
生理食塩水対照群の複合ヒスタミン投与量-応答グラフは、チリダニ攻撃後に抵抗曲線が上向きにシフトすることを示した(図4.3.4.2)。このことは、これらの動物において、チリダニ攻撃が気管支過応答を増大させるという証拠を提供する。これらのデータは試験動物が気道炎症で当該抗原に応答し、そして肺機能を変化させたことを確証する。
【0111】
(B) 炎症に対するDHEA-Sの効果
アレルゲン誘発性炎症
アレルゲン攻撃から6時間後に、生理食塩水処理群及びPulmicort治療群は、攻撃前の値と比較して、BALF中の細胞の総数の有意な増大を示し、これに対して、DHEA-S治療群はこれを示さなかった(図4.3.4.1)。アレルゲン攻撃から6時間後に、DHEA-S治療動物のBALF中の好酸球の数は、Pulmicort治療群又は生理食塩水処理群よりも低い傾向があった。図4.3.4.1を参照されたい。しかし、生理食塩水処理群に変動が生じやすく、また試料サイズが小さいので、この差は統計的には有意にはならなかった。チリダニ攻撃から24時間後に、生理食塩水処理群及びDHEA-S治療群は、攻撃前の時点と比較して、BALF中の好酸球の数の著しい上昇を示した。DHEA-S治療動物は、チリダニ攻撃から6時間目又は24時間目には、BALF中の好中球のアレルゲン誘発性増加を示すことはなく、このことはアレルゲンだけに暴露された動物(生理食塩水対照)とは極めて対照的であった。生理食塩水対照群とは対照的に、Pulmicort治療動物は、アレルゲン攻撃から24時間後に、洗浄液中の好酸球の数の著しい上昇を示すことはなかった(チリダニ攻撃前=0.01±0.01 x 104個の好酸球/ml、チリダニ攻撃から24時間後=0.7±0.3 x 104個及び1.5±0.7 x 104個の好酸球/mlのそれぞれPulmicort及び生理食塩水)。加えて、Pulmicort群は、食塩水処理群及びDHEA-S治療群と同時点で比較して(p<0.05)、チリダニ攻撃から6時間後に好中球の増加を示した。これらの及び前の結果を図4.3.4.1に示す。
【0112】
組織学
肺切片の分析は、全ての群において中レベルの肺の炎症を示した。単球食細胞過形成、炎症性細胞による気道及び血管のカッフィング、肺実質炎、気管支関連リンパ組織過形成、中隔浮腫、出血、肺胞浮腫、又は気管支炎/細気管支炎のレベルに差異は観察されない。ただし、単球食細胞過形成は、Pulmicort群及びDHEA-S群においてより高い傾向があり、そして気管支炎は低い傾向がある。単層扁平化は、生理食塩水群において著しく高く、このことは、組織の浸潤に先行する、炎症性細胞の内皮への大幅な結合を示している。
【0113】
(C) 肺機能に対するDHEA-S及びPulmicortの効果
低投与量のヒスタミン(最大0.625mg/ml)に対する抵抗応答の試験は、Pulmicort治療動物又はDHEA-S治療動物が、生理食塩水処理動物よりも低い応答性を示すことを明らかにした。図4.3.4.2に示すように、生理食塩水対照群の複合ヒスタミン投与量-応答グラフは、チリダニ攻撃後に抵抗曲線が上向きにシフトすることを示した(図4.3.4.2)。曲線下面積の増大は17.42であった。これは、動物がアレルゲン暴露後にヒスタミンに対してより高感受性になることを意味する。DHEA-S及びPulmicort双方の場合、投与量-応答曲線は下向きにシフトした。その結果生じた曲線下面積変化は、DHEA-S及びPulmicortに関してそれぞれ-4.52及び-6.70であった。このことは、DHEA-S又はPulmicortで治療された動物が、アレルゲン暴露後に、ヒスタミンに対してより低感受性であったことを意味する。
【0114】
結論
データは、DHEA-Sがアレルゲンで誘発される好酸性及び好中性炎症を阻害するという前の発見と合致する。DHEA-Sによってもたらされた結果は、Pulmicortによって実証された結果とは異なる。Pulmicortとは異なり、DHEA-Sは好中性炎症を劇的に低減した。加えて、DHEA-Sの抗炎症性効果は、Pulmicortと比較して、早期の時点で最大となった。チリダニ攻撃から24時間後の気管支過応答に対する効果は、DHEA-S及びPulmicortの両方に関して同様であった。これらの結果は、DHEA-Sがグルココルチコイド・ステロイドの標準特性(例えばアレルゲン誘発性好酸球増加の阻害能力)、及び、グルココルチコイドによって共有されることのない付加的な特性、の双方を有することを示している。具体的には、DHEA-Sは好中性炎症を阻害する能力、すなわち、DHEA-Sがグルココルチコイドと比較して、喘息及びCOPDの双方における利点を増大させるのを可能にする独自の特性を示した。
【0115】
実施例28:気管支過応答及び炎症に対するDHEA-S効果
この研究は、ブタクサ感作マウスにおけるメタコリン攻撃に対する気管支過応答を低減するDHEA-Sの能力を実証する。2つのマウス群を、ブタクサ・アレルゲン(Ambrosia artemisiifolia)の2回の腹膜内注射及び1回の鼻腔内投与で、それぞれ0日目、4日目、11日目に感作した。第3の群を生理食塩水で同様に処理することにより、非アレルギー性対照として使用した。次の2日間、治療群動物を、全身プレチスモグラフ・システム(Buxco Electronics, Inc., Sharon, CT)及びDeVilbiss超音波ネブライザーを使用して、エアロゾル(生理食塩水中5mg/mlの懸濁液、2ml噴霧)として送達されたDHEA-Sに対して暴露した。最後の薬物暴露から24時間後に、増加する濃度のメタコリンでマウスを攻撃することにより、気管支過応答を検出し、次いで洗浄することにより、BAL液中の細胞個体群の相対変化を検出した。DHEA-S治療は、動物の疾患状態を下記のように変化させた:
【0116】
(1) メタコリン攻撃の2日前にDHEA-Sを投与した結果、気管支過応答が著しく減少した。メタコリン応答の曲線下面積(AUC)は、DHEA-S治療で46%低減された。
(2) 攻撃の24時間前にDHEA-Sを投与した結果、好中球が有意に減少し(3.2%対13.8%、それぞれDHEA-S及びブタクサ単独)、そして細胞個体群がアレルギー・プロフィールから、非アレルギー性マウスと類似するもう1つのプロフィールに向かってシフトする。
【0117】
(A) 肺機能に対するDHEA-S効果
非アレルギー性生理食塩水対照マウスは、メタコリンに応答して増大する休止(Penh-気道閉塞指数)の変化が最小限であることを実証し、応答曲線下平均面積は2646.8であった。ブタクサだけの群は投与量に関連して応答し、メタコリン試験範囲全体にわたってPenH値が増大し、曲線下平均面積は7488.8であった。このことは、感作措置により、気管支過応答が増大することを実証する。メタコリン攻撃の2日前のDHEA-Sによる治療によって、気管支過応答が著しく減じられ、そして、結果として曲線下平均面積は4038.0となった。これらの結果を図4.3.5.1に示す。
【0118】
(B) 炎症に対するDHEA-S効果
非アレルギー性生理食塩水対照及びアレルギー性ブタクサ群における細胞個体群は、メタコリン攻撃後に著しく異なる。ブタクサ感作の結果、好酸球、リンパ球、及び好中球のパーセンテージは、生理食塩水対照マウスに比べて著しく増大する(P<0.05)。攻撃の24時間前に、DHEA-Sでアレルギー性マウスを治療することにより、細胞個体群はアレルギー・プロフィールから非アレルギー性マウスと類似するもう1つのプロフィールに向かってシフトする。DHEA-S群における好中球のパーセンテージも、ブタクサ単独と比較して著しく低減した(3.2%対13.8%、P<0.05)。これらの結果を図4.3.5.2に示す。
【0119】
結論
この研究のデータは、DHEA-Sで治療することにより、ブタクサ感作マウスにおいてメタコリンに応答した気管支過応答が低減したことを実証する。BAL中の炎症性細胞、具体的には好酸球及び好中球も、メタコリン攻撃直後に低減した(p<0.05)。
【0120】
実施例29:DHEA-Sの毒性効果欠乏
噴霧式配合物の実現可能性、吸入式DHEA-Sの急性毒性を評価するために、予備研究を行った。DHEA-Sの吸入投与は、ラット又はイヌの呼吸器に対して、溶解度及び暴露時間制限に基づいて実行可能な最大投与量まで副作用をもたらさなかった。いずれの種に対しても最大耐容量に達することはできなかった。他の発見は事実上些細なものであり、次のレポートにおいて詳述した。従って、水溶液の噴霧化は実行可能ではあるが、臨床試験をサポートするのに十分な安全率を達成することができないので、実際的ではないことが見極められた。
【0121】
上記実施例は本発明を例示したものであるが、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。本発明は添付の特許請求の範囲、及びその等価物によって定義される。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】図1は、DHEAによるHT-29 2F細胞の阻害を示す図である。
【図2a】図2aは、HT-29細胞における細胞周期分布に対するDHEAの効果を示す図である。
【図2b】図2bは、HT-29細胞における細胞周期分布に対するDHEAの効果を示す図である。
【図3a−b】図3aは、HT-29細胞における、DHEAによって誘発される成長阻害の反転を示す図であり、そして図3bは、HT-29細胞における、DHEAによって誘発される成長阻害の反転を示す図である。
【図4a】図4aは、HT-29細胞における、DHEAによって誘発されるG1捕捉の反転を示す図である。
【図4b】図4bは、HT-29細胞における、DHEAによって誘発されるG1捕捉の反転を示す図である。
【図4c】図4cは、HT-29細胞における、DHEAによって誘発されるG1捕捉の反転を示す図である。
【図4d】図4dは、HT-29細胞における、DHEAによって誘発されるG1捕捉の反転を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製薬上又は獣医学上許容可能なキャリヤと、呼吸器、肺又は悪性疾患を治療するために有効な量の第1及び第2の活性物質とを含む医薬組成物であって、
(a)該第1活性物質は、下記化学式:
【化1】

を有する非グルココルチコイド・ステロイド、
(上記式中、該破線は単結合又は二重結合を表し;Rは水素又はハロゲンであり;位置5におけるHはアルファ又はベータ構造で存在し、或いは、化学式Iの該化合物は、両構造のラセミ混合物を含み;そしてR1は水素又はSO2OMであり、Mは、H、Na、スルファチド:
【化2】

及びホスファチド:
【化3】

から成る群から選択され、
上記式中、同じ又は異なるものであってよいR2及びR3は、直鎖状又は分枝状(C1-C14)アルキル又はグルクロニド:
【化4】

である);
又は下記化学式(V):
【化5】

の化合物、又は製薬上又は獣医学上許容可能なその塩(上記式中、R1はA-CH(OH)-C(O)-であり、AはH又は(C1-C22)アルキル、アルケニル又はアルキニルであり、これらのそれぞれは、1つ又は2つ以上の(C1-C4)アルキル、ハロゲン、HO、又はフェニルで置換されていてよく、該フェニルは1つ又は2つ以上のハロゲン、HO、CH3又はCH3Oで置換されていてよい);
又は下記化学式:
【化6】

又は
【化7】

の非グルココルチコイド・ステロイド
(上記式中R1、R2、R3、R4、R5、R7、R8、R9、R10、R12、R13、R14及びR19は独立してH、OR、ハロゲン、(C1-C10)アルキル又は(C1-C10)アルコキシであり、R5及びR11は独立してOH、SH、H、ハロゲン、製薬上許容可能なエステル、製薬上許容可能なチオエステル、製薬上許容可能なエーテル、製薬上許容可能なチオエーテル、製薬上許容可能な無機エステル、製薬上許容可能な単糖、二糖又はオリゴ糖、スピロオキシラン、スピロチラン、-OSO2R20、-OPOR20R21又は(C1-C10)アルキルであり、互いに結合されたR5及びR6は=Oであり、互いに結合されたR10及びR11は=Oであり;R15は(1)R16が-C(O)OR22であるときには、H、ハロゲン(C1-C10)アルキル、又は(C1-C10)アルコキシであり、(2)R16がハロゲン、OH又は(C1-C10)アルキルであるときには、H、ハロゲン、OH又は(C1-C10)アルキルであり、(3)R16がOHであるときには、H、ハロゲン、(C1-C10)アルキル、(C1-C10)アルケニル、(C1-C10)アルキニル、ホルミル、(C1-C10)アルカノイル又はエポキシであり、(4)R16がHであるか、又は互いに結合されたR15とR16とが=Oである時には、OR、SH、H、ハロゲン、製薬上許容可能なエステル、製薬上許容可能なチオエステル、製薬上許容可能なエーテル、製薬上許容可能なチオエーテル、製薬上許容可能な無機エステル、製薬上許容可能な単糖、二糖又はオリゴ糖、スピロオキシラン、スピロチラン、-OSO2R20、-OPOR20R21であり;R17及びR18は独立して、(1)R6がH、OR、ハロゲン、(C1-C10)アルキル又は-C(O)OR22であるときには、H、-OH、ハロゲン、(C1-C10)アルキル又は-(C1-C10)アルコキシであり、(2)互いに結合されたR15とR16とが=Oであるときには、H、(C1-C10アルキル)アミノ、((C1-C10)アルキル)n、アミノ-(C1-C10)アルキル、(C1-C10)アルコキシ、ヒドロキシ-(C1-C10)アルキル、(C1-C10)アルコキシ-(C1-C10)アルキル、(ハロゲン)m(C1-C10)アルキル、(C1-C10)アルカノイル、ホルミル、(C1-C10)カルバルコキシ又は(C1-C10)アルカノイルオキシであり、(3)互いに結合されたR17とR18とが=Oであり、(4)付着された炭素と結合されたR17又はR18が、酸素原子数0又は1の3〜6員環を形成し;又は(5)付着された炭素と結合されたR15及びR17がエポキシド環を形成し;R20及びR21が独立してOH、製薬上許容可能なエステル又は製薬上許容可能なエーテルであり;R22はH、(ハロゲン)m(C1-C10)アルキル又は(C1-C10)アルキルであり;nは0、1又は2であり;そしてmは0、1又は2である);又は製薬上又は獣医学上許容可能なこれらの塩
から選択され;そして
(b) 該第2活性物質は、抗ムスカリン性受容体薬及び/又は製薬上又は獣医学上許容可能なその塩を含む
ことを特徴とする、前記製薬組成物。
【請求項2】
該抗ムスカリン薬が、臭化イプラトロピウム及び/又は製薬上又は獣医学上許容可能なその塩を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
該抗ムスカリン薬が、臭化チオトロピウム、又は製薬上及び/又は獣医学上許容可能なその塩を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
該抗ムスカリン薬が、臭化イプラトロピウム及び臭化チオトロピウム、及び/又は製薬上又は獣医学上許容可能なこれらの塩を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
約0.01〜約99.9% w/wの第1及び第2の活性物質、及び/又は製薬上又は獣医学上許容可能なこれらの塩を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
約1〜約20% w/wの第1及び第2の活性物質、及び/又は製薬上又は獣医学上許容可能なこれらの塩を含む、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
該第1の活性物質が式(I)の非グルココルチコイド・ステロイド(該式(I)中、R及びR1はそれぞれ水素であり、そして該破線は二重結合を表す)、又はジヒドロエピアンドロステロン、及び/又は製薬上又は獣医学上許容可能なその塩を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
該第1の活性物質が式(I)の非グルココルチコイド・ステロイド(該式(I)中、RはBrであり、R1はHであり、そして該破線は二重結合を表す)、又は16-アルファ・ブロモエピアンドロステロン、及び/又は製薬上又は獣医学上許容可能なその塩を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
該第1の活性物質が式(I)の非グルココルチコイド・ステロイド(該式(I)中、RはFであり、R1はHを含み、そして該破線は二重結合を表す)、又は16-アルファ・フルオロエピアンドロステロン、及び/又は製薬上又は獣医学上許容可能なその塩を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
該第1の活性物質が式(I)の非グルココルチコイド・ステロイド(該式(I)中、R及びR1はそれぞれ水素であり、そして該破線は二重結合を表す)、又はエチオコラノロン、及び/又は製薬上又は獣医学上許容可能なその塩を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
該第1の活性物質が式(I)の非グルココルチコイド・ステロイド(該式(I)中、RはHであり、R1はSO2OMであり、Mは上に定義されたスルファチド基であり、そして該破線は単結合を表す)、又はデヒドロエピアンドロステロンスフレート、及び/又は製薬上又は獣医学上許容可能なその塩を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
式(I)の該化合物及び/又は製薬上又は獣医学上許容可能なその塩中、RはBr、Cl又はFから選択されたハロゲンであり、R1はHであり、そして該破線は二重結合を表す、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
該第1の活性物質が式(I)の非グルココルチコイド・ステロイドを含み、該非グルココルチコイド・ステロイドが、16-アルファ・フルオロエピアンドロステロン又は16-アルファ・ブロモエピアンドロステロン、及び/又は製薬上又は獣医学上許容可能なその塩である、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
該第1の活性物質が式(III)の化合物(該式(III)中、R15及びR16が互いに結合して=Oを形成する)、及び/又は製薬上又は獣医学上許容可能なその塩を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
該第1の活性物質が式(III)又は(IV)の非グルココルチコイド・ステロイド(該式III又はIV中、R5はH、OH又はOSO2R20を含む)、及び/又は製薬上又は獣医学上許容可能なその塩を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
該第1の活性物質が式(V)の非グルココルチコイド・ステロイド、又は製薬上又は獣医学上許容可能なその塩を含み、該式V中、R1はA-CH(OH)-C(O)-であり、AはH又は(C1-C22)アルキル、アルケニル又はアルキニルであり、これらのそれぞれは、1つ又は2つ以上の(C1-C4)アルキル、ハロゲン、HO、又はフェニルで置換されていてよく、該フェニルは1つ又は2つ以上のハロゲン、HO、CH3又はCH3Oで置換されていてよい、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
該第1の活性物質が式(V)の非グルココルチコイド・ステロイドを含み、該式V中、R1は、2-ヒドロキシエタノイル;2-ヒドロキシプロパノイル;2-メチル-2-ヒドロキシプロパノイル:2-ヒドロキシブタノイル;2-ヒドロキシペンタノイル;2-ヒドロキシノナノイル;2-ヒドロキシデカノイル;2-ヒドロキシオクタノイル;2-ヒドロキシドデカノイル;2-ヒドロキシテトラデカノイル;2-ヒドロキシヘキサデカノイル;2-ヒドロキシオクタデカノイル;2-ヒドロキシエイコサノイル;2-ヒドロキシフェニル-2-ヒドロキシエタノイル;2,2-ジフェニル-2-ヒドロキシエタノイル;3-フェニル-2-ヒドロキシプロパノイル;2-フェニル-2-メチル-2-ヒドロキシエタノイル;2-(4'-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエタノイル;2-(4'-ヒドロキシ-3'-メトキシフェニル)-2-ヒドロキシエタノイル;3-(2'-ヒドロキシフェニル)-2-ヒドロキシプロパノイル;3-(4'-ヒドロキシフェニル)-2-ヒドロキシフェニルプロパノイル;又は2-(3',4'-ジヒドロキシフェニル)-2-ヒドロキシエタノイルである、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
該第1の活性物質が式(II)の化合物、及び/又は製薬上又は獣医学上許容可能なその塩を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
該第1の活性物質がDHEA、及び/又は製薬上又は獣医学上許容可能なその塩を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
該第1の活性物質がDHEA、式(II)の化合物(DHEA-S)、及び/又は製薬上又は獣医学上許容可能なその塩を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
さらに、抗ムスカリン受容体薬ではない抗コリン作用薬を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項22】
該第1の活性物質が式(II)の化合物(DHEA-S)を含み、該第2の活性物質が臭化イプラトロピウム、及び/又は製薬上又は獣医学上許容可能なその塩を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項23】
該第1の活性物質が式(II)の化合物(DHEA-S)を含み、該第2の活性物質が臭化チオトロピウム、及び/又は製薬上又は獣医学上許容可能なその塩を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項24】
さらに、その他の治療薬又は生体活性薬、保存剤、抗酸化剤、矯味剤、揮発性油、緩衝剤、分散剤又は界面活性剤から選ばれた物質を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項25】
該その他の治療薬又は生体活性薬が、鎮痛剤、月経前症候群治療薬、更年期障害治療薬、老化防止薬、抗不安薬、気分障害治療薬、抗鬱薬、双極性気分治療薬、統合失調症治療薬、抗癌剤、アルカロイド、血圧調整剤、ホルモン、抗炎症薬、筋弛緩剤、ステロイド、睡眠剤、虚血治療薬、不整脈治療薬、避妊薬、ビタミン、ミネラル、トランキライザー、神経伝達物質調節薬、創傷治療薬、抗血管形成剤、サイトカイン、成長因子、抗転移薬、酸中和剤、抗ヒスタミン薬、抗菌薬、抗ウィルス薬、抗ガス剤、食欲抑制薬、サンスクリーン、エモリエント、皮膚温度低下製品、放射性リン光又は蛍光コントラスト診断薬又は造影剤、性欲改善薬、胆汁酸、下剤、下痢止め薬、皮膚再生薬、育毛剤、鎮痛剤、月経前症候群治療薬、更年期障害薬、ホルモン、老化防止薬、抗不安薬、侵害受容薬、気分障害治療薬、抗鬱薬、双極性気分治療薬、統合失調症治療薬、抗癌剤、アルカロイド、血圧調整剤、ホルモン、抗炎症薬、関節炎薬、火傷薬、創傷薬、慢性気管支炎治療薬、慢性閉塞性肺疾患(COPD)薬、炎症性腸疾患治療薬、例えばクローン病薬、潰瘍性大腸炎治療薬、自己免疫治療薬、紅斑性狼瘡治療薬、筋弛緩薬、ステロイド、睡眠剤、虚血治療薬、不整脈治療薬、避妊薬、ビタミン、ミネラル、トランキライザー、神経伝達物質調節薬、創傷・火傷治療薬、抗血管形成剤、サイトカイン、成長因子、抗転移薬、酸中和剤、抗ヒスタミン薬、抗菌薬、抗ウィルス薬、抗ガス剤、再灌流傷害治療薬、中和性食欲抑制薬、サンスクリーン、エモリエント、皮膚温度低下製品、放射性リン光又は蛍光コントラスト診断薬又は造影剤、性欲改善薬、胆汁酸、下剤、下痢止め薬、皮膚再生剤又は育毛剤から選択される、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
該組成物が全身性又は局所性配合物であり、そして該キャリヤが気体状、固体状又は液状キャリヤである、請求項1に記載の組成物。
【請求項27】
該配合物が、経口用、鼻腔用、吸入用、局所用、腸管外又は経皮用配合物である、請求項26に記載の配合物。
【請求項28】
該配合物が、経口用、バッカル用、肺内用、呼吸用、吸入用、鼻腔用、直腸用、子宮内用、膣内用、腫瘍内用、頭蓋内用、皮下用、血管内用、舌下用、静脈内用、くも膜下用、経皮用、皮内用、腔内用、埋込み用、イオン導入用、眼球内用、眼科用、関節内用、耳用、静脈内用、筋内用、腺内用、器官内用、リンパ内用、徐放性又は腸溶性コーティング配合物から選ばれる、請求項27に記載の配合物。
【請求項29】
該配合物が、任意には腸溶性コーティングを含む経口用配合物である、請求項27に記載の配合物。
【請求項30】
該経口配合物が、カプセル剤、カシェ剤、ロゼンジ剤、錠剤、粉剤、顆粒剤、溶液、懸濁液又はエマルジョンから選択される、請求項28に記載の経口用配合物。
【請求項31】
該配合物が、水性又は非水性溶液又は懸濁液、或いは水中油型又は油中水型エマルジョンから選択された溶液、懸濁液又はエマルジョンである、請求項27に記載の配合物。
【請求項32】
該配合物がバッカル用又は舌下用配合物である、請求項27に記載の配合物。
【請求項33】
該配合物が非経口用配合物である、請求項27に記載の配合物。
【請求項34】
注射可能な形態を成す、請求項33に記載の非経口用配合物。
【請求項35】
該配合物が局所用配合物である、請求項27に記載の配合物。
【請求項36】
該配合物が軟膏、クリーム、ローション、ペースト、ゲル、スプレイ、エアロゾル又はオイルから選択され、そしてさらに、ワセリン、ラノリン、ポリエチレングリコール、アルコール又は経皮吸収促進剤から選択されたキャリアを含むことができる、請求項35に記載の配合物。
【請求項37】
該配合物が経皮用配合物である、請求項27に記載の配合物。
【請求項38】
該経皮用配合物がパッチの形態を成す、請求項37に記載の経皮用配合物。
【請求項39】
該経皮用配合物がイオン導入用配合物である、請求項37に記載の経皮用配合物。
【請求項40】
該イオン導入用配合物が、イオン導入用溶液、懸濁液又はエマルジョンから選択され、そしてさらに緩衝剤を含むことができる、請求項39に記載のイオン導入用配合物。
【請求項41】
該配合物が、鼻腔用、吸入用、呼吸用、肺内用又は気管内用配合物である、請求項27に記載の配合物。
【請求項42】
該配合物が、液体又は固体粉末化粒子を含むエアロゾル又はスプレーである、請求項41に記載の鼻腔用、吸入用、呼吸用、肺内用又は気管内用配合物。
【請求項43】
サイズ(直径)が実質的に約0.05〜約10μの粒子を含む、請求項41に記載の吸入用又は呼吸用配合物。
【請求項44】
サイズが実質的に約0.1〜約5μの粒子を含む、請求項43に記載の吸入用又は呼吸用配合物。
【請求項45】
サイズが実質的に約1〜約5μの粒子を含む、請求項44に記載の吸入用又は呼吸用配合物。
【請求項46】
サイズが実質的に約10〜約100μmの粒子を含む、請求項41に記載の鼻腔用、肺内用又は気管内用配合物。
【請求項47】
サイズが実質的に約20〜約50μmの粒子を含む、請求項45に記載の鼻腔用、肺内用又は気管内用配合物。
【請求項48】
バルク形態、或いは、単回又は複数回投与量形態を成す、請求項1に記載の組成物。
【請求項49】
密封されたアンプル、バイアル、カートリッジ又はブリスターで提供される、請求項48に記載の組成物の単回又は複数回投与量形態。
【請求項50】
フリーズドライ又は凍結乾燥された、請求項1に記載の組成物。
【請求項51】
キットであって、送達装置、及び請求項41に記載の配合物を含むことを特徴とする、キット。
【請求項52】
該送達装置が、エアロゾル又はスプレー発生器を含む、請求項51に記載のキット。
【請求項53】
該エアロゾル発生器が吸入器を含む、請求項52に記載のキット。
【請求項54】
該吸入器が、予め調量された個別の投与量の該配合物をデリバリーする、請求項53に記載のキット。
【請求項55】
該吸入器が、ネブライザー又はインサフレーターを含む、請求項53に記載のキット。
【請求項56】
該送達装置が圧縮吸入器を含み、該配合物が、水性又は非水性液体中の懸濁液又は溶液、或いは、水中油型又は油中水型エマルジョンを含む、請求項51に記載のキット。
【請求項57】
該配合物が、穿刺可能又は開放可能なカプセル、カートリッジ又はブリスター内に提供される、請求項51に記載のキット。
【請求項58】
該送達装置が加圧され、そして駆出剤の助けによって作業する、請求項51に記載のキット。
【請求項59】
治療を必要とする患者における、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症(CF)、喘息、呼吸困難、気腫、喘鳴、肺高血圧、肺線維症、過応答性気道、アデノシン又はアデノシン受容体レベルの増加、アデノシン過敏症、感染病、肺気管支収縮、気道炎症又はアレルギー、肺界面活性物質欠乏、慢性気管支炎、気管支収縮、呼吸困難、肺気道の妨害又は閉塞、心臓機能のアデノシン試験、肺血管収縮、呼吸妨害、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、アデノシン又はアデノシン・レベルを増加させる薬物の投与、乳児急性呼吸窮迫症候群(乳児RDS)、疼痛、アレルギー性鼻炎、癌、又は慢性気管支炎の症状を示す呼吸器、肺又は悪性障害又は状態を治療する方法であって、請求項1に記載の第1及び第2の活性物質の予防上又は治療上有効な量を同時に、又は順次、又は別個に、治療を必要とする患者に投与することを含むことを特徴とする、呼吸器、肺又は悪性障害又は状態を治療する方法。
【請求項60】
該第1の活性物質が、式(I)、(III)又は(IV)の該非グルココルチコイド・ステロイド又はその塩を含み、そして約0.05〜約2000mg/kg体重/日の量で投与される、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
式(I)、(III)又は(IV)の該非グルココルチコイド・ステロイド又はその塩が、約1〜約500mg/kg/日の量で投与される、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
式(I)、(III)又は(IV)の該非グルココルチコイド・ステロイド又はその塩が、約2〜約100mg/kg/日の量で投与される、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
該第1の活性物質がDHEA又はその塩を含み、約2〜約200mg/体重kg/日の量で投与され、且つ/又は該第1の活性物質がDHEA-S又はその塩を含み、約1〜約150mg/体重kg/日の量で投与される、請求項59に記載の方法。
【請求項64】
該臭化イプラトロピウムが約?〜約? mg/kg/日の量で投与される、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
該臭化チオトロピウムが約?〜約? mg/kg/日の量で投与される、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
該呼吸又は肺の疾患又は条件が、感染病、気道アレルギー又は界面活性物質欠乏と関連する、請求項59に記載の方法。
【請求項67】
該疾患又は状態がCOPDを含む、請求項59に記載の方法。
【請求項68】
該疾患又は状態が喘息を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項69】
該疾患又は状態がRDSを含む、請求項59に記載の方法。
【請求項70】
該疾患又は状態がアレルギー性鼻炎を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項71】
該疾患又は状態が肺線維症を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項72】
該疾患又は状態が気管支収縮、喘鳴、呼吸困難又は低酸素症を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項73】
該呼吸又は肺の疾患又は状態が、嚢胞性線維症を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項74】
該呼吸又は肺の疾患又は状態が、気腫を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項75】
該呼吸又は肺の疾患又は状態が、呼吸困難を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項76】
該第1の活性物質がDHEA及び/又は式(II)の該化合物(DHEA-S)を含み、そして該第2の活性物質が抗ムスカリン薬、及び/又は製薬上又は獣医学上許容可能なその塩を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項77】
該患者がヒト、又はヒト以外の動物である、請求項59に記載の方法。
【請求項78】
さらに、エフェドリン、イソプロテレノール、イソエタリン、エピネフリン、メタプロテレノール、テルブタリン、フェノテロール、プロカテロール、アルブテロール、サルブタモール、ピルブテロール、フォルモテロール、ビロテロール、バンブテロール、サルメテロール又はセレチドから選択されたβ-アドレナリン作用アゴニストを、該患者に投与することを含む、請求項59に記載の方法。
【請求項79】
該第1の活性物質がDHEA、及び/又は製薬上又は獣医学上許容可能なその塩を含み、約2〜約200mg/kg/日の量で投与され、そして該第2の活性物質が臭化イプラトロピウムを含み、治療量で投与される、請求項59に記載の方法。
【請求項80】
該呼吸器疾患が気管支収縮、肺の炎症又はアレルギー、肺界面活性物質の減少、又はDHEA又はDHEA-Sレベルの減少を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項81】
予防法又は治療法である、請求項59に記載の方法。
【請求項82】
該第1の活性物質が式(II)の化合物(DHEA-S)、及び/又は製薬上又は獣医学上許容可能なその塩を含み、約1〜約150mg/kg/日の量で投与され、そして該第2の活性物質が臭化チオトロピウムを含み、約?〜約? μg/日の量で投与されるで投与される、請求項59に記載の方法。
【請求項83】
該第1及び第2の活性物質が局所的又は全身的に投与される、請求項59に記載の方法。
【請求項84】
該第1の活性物質が、経口、鼻腔、肺内で、又は吸入によって、又は気道内へ投与され、該第2の活性物質が、経口、鼻腔、肺内で、又は吸入によって、又は気道内へ投与される、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
該第1及び第2の活性物質が、吸入によって、気道内に、又は呼吸によって投与されるか、或いは、肺内、鼻腔、経口、バッカル、直腸、膣で投与されるか、或いは、腫瘍又は線維腫内に投与されるか、或いは、腸管外、舌下、経皮、局所、イオン導入、腔内、埋込み、舌下、眼、耳、関節内、リンパ内で投与されるか、或いは、低速放出性、徐放性又は腸溶性コーティングされた状態で投与される、請求項59に記載の方法。
【請求項86】
該活性物質が、鼻腔、肺内で、又は吸入によって、又は気道内に投与される、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
該活性物質が、実質的に約0.05〜約10μmの粒子サイズを有する液体又は粉末化エアロゾル又はスプレーとして投与される、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
該活性物質が、実質的に約10〜約50μの粒子サイズを有する液体又は粉末化エアロゾル又はスプレーとして投与される、請求項86に記載の方法。
【請求項89】
該第1及び第2の活性物質が同じ組成物内で投与される、請求項59に記載の方法。
【請求項90】
該第1及び第2の活性物質が鼻腔、肺内で、又は吸入によって、又は気道内に投与される、請求項89に記載の方法。
【請求項91】
該第1及び第2の活性物質が経口投与される、請求項89に記載の方法。
【請求項92】
該第1及び第2の活性物質が別個の組成物内で投与される、請求項59に記載の方法。
【請求項93】
該第1の活性物質が、鼻腔、肺内で、又は吸入によって、又は気道内に投与され、そして該第2の活性物質が経口投与される、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
該第1の活性物質が経口投与され、該第2の活性物質が、鼻腔、肺内で、又は吸入によって、又は気道内に投与される、請求項92に記載の方法。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3a−b】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図4d】
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【公表番号】特表2006−504666(P2006−504666A)
【公表日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−527571(P2004−527571)
【出願日】平成15年6月12日(2003.6.12)
【国際出願番号】PCT/US2003/018967
【国際公開番号】WO2004/014293
【国際公開日】平成16年2月19日(2004.2.19)
【出願人】(504453258)エピジェネシス ファーマシューティカルズ リミティド ライアビリティー カンパニー (6)
【Fターム(参考)】