説明

デュアルクラッチ式変速機

【課題】1速段での発進時のギクシャク感を緩和し、変速時間を短縮でき、しかも1速段への減速走行時のエンジンブレーキの効きを確保できるデュアルクラッチ式変速機を提供する。
【解決手段】車両のエンジン駆動力伝達軸9に連結された第1及び第2クラッチ2,3と、第1クラッチより回転トルクが伝えられる第1入力軸4と、第2クラッチより回転トルクが伝えられる第2入力軸5と、第1または第2入力軸から変速回転トルクが伝達される出力軸6,7を備えたデュアルクラッチ式変速機において、第1または第2入力軸と出力軸間のいずれかの側に設けられた1速段変速ギヤ部は、入力軸と一体回転する1速駆動ギヤ31とこれに噛合う1速遊転ギヤ11を有し、同1速遊転ギヤはワンウェイクラッチ60を介して出力軸に枢支されるとともに、これと並列的に配備されるスプライン嵌合部48により断続操作可能に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のエンジンと回転伝達系間に設けられたデュアルクラッチ式変速機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の回転伝達系に設けられた変速機として、変速機と駆動源であるエンジンとの間にクラッチを2個組み込んだデュアルクラッチ式変速機が開発されている。このデュアルクラッチ式変速機は第1、第2の主軸を備え、一方と他方の各主軸は各クラッチからの回転トルクを対向する副軸に変速して伝達し、副軸からの変速回転が変速機出力ギヤ等を介して、車両の回転伝達系に伝達されている。このようなデュアルクラッチ式変速機では、エンジンと1つの変速段が選択されている第1主軸とが一方のクラッチを介して接続されている状態で、他方のクラッチに連結された第2主軸の目標変速段を予め選択しておき、それから、一方のクラッチから他方のクラッチへクラッチ切り換えを行うことでエンジンと目標段が選択された第2主軸とが他方のクラッチを介して接続される状態に切換えが行われることで、継ぎ目のない変速を可能としている。
なお、このようなデュアルクラッチ式変速機の一例が特許文献1(特許第3531301号公報)に開示される。
【0003】
特許文献1の図3に記載されたデュアルクラッチ式変速機では、入力軸である主軸の一方と他方とを奇数段側と偶数段側に分けて配備している。更に、一方と他方の各入力軸にはそれぞれの変速段に応じた駆動ギヤが一体的回転するように固定的に取り付けられ、出力軸にはそれぞれの変速段に応じた駆動ギヤと噛み合い係合されている被動ギヤ(遊転ギヤ)が回転自在に取り付けられ、シンクロメッシュ機構(同期装置)により選択的に出力軸と被動ギヤ(遊転ギヤ)とが一体的回転するよう連結される。更に、一方と他方の各入力軸はエンジンの駆動力を伝達するエンジン駆動力伝達軸側に対してそれぞれ断続切換えできるように各クラッチを介装している。このようなデュアルクラッチ式変速機では、エンジン駆動力伝達軸と接続されていないクラッチに連結されている主軸側の目標変速段を予め選択しておき、これら2つのクラッチを交互に繋ぎ替え操作されることで変速を比較的短時間で行なえるようにしている。
【0004】
更に、クラッチ係合後の再発進時の1速微速前進時には、アクセル操作やエンジントルク変動による加速・減速感が顕著に現れ、運転者はギクシャク感を比較的強く感じることとなるので、1速微速前進時におけるギクシャク感を排除することを考慮して、車体側からエンジン側に向かう回転力をカットするようなワンウェイクラッチを設けることが考えられる。
【0005】
なお、特許文献2(特開2007−57043号公報)に記載のデュアルクラッチ式変速機は、前進時において第1速用歯車対による回転トルクの伝達がおこなわれない場合(1速減速)には空転し、第1速用歯車対による回転トルクの伝達がおこなわれる場合(1速前進)には係合するワンウェイクラッチ(一方向クラッチ)を第1速用歯車対(第1速段)に設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3531301号公報
【特許文献2】特開2007−57043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のようなデュアルクラッチ式変速機での変速時には、例えば、現段がある一方のクラッチに対し、目標変速段がある他方のクラッチが開放され、その他方の入力軸の駆動ギヤと噛合っている出力軸上の遊転ギヤをシンクロメッシュ機構により出力軸側に予め係合処理してから、一方より他方のクラッチへの繋ぎ換えにより目標変速段への変速がなされる。
【0008】
このため、例えば、現段が1速段でなく、また予め1速段への係合処理がなされていない場合の「急減速」→「停止」→「1速段での再発進」時の変速操作を行う際に、1速段への係合処理をしてからクラッチの繋ぎ換えとなる場合が生じ、その際は、変速操作に時間が取られどうしてももたつき感が出てしまうという問題がある。
そこで、特許文献2に記載されるように第1速段にワンウェイクラッチを設け、前進初期にはワンウェイクラッチを通して回転トルク伝達を行ない、速やかに発進するようにし、しかも、車体側からエンジン側に向かう回転トルク伝達をカットするようにして、1速微速前進時におけるギクシャク感を排除することが考えられる。
【0009】
しかし、このような場合、ワンウェイクラッチの空転により1速段での減速走行時におけるエンジンブレーキの効きを確保できず、改善が望まれている。
本発明は以上のような課題に基づきなされたもので、目的とするところは、1速段からの発進時のギクシャク感を緩和し、発進時の変速時間を短縮でき、更に、1速段での減速走行時におけるエンジンブレーキの効きを確保できるデュアルクラッチ式変速機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、車両のエンジンの駆動力を伝達するエンジン駆動力伝達軸と、同エンジン駆動力伝達軸に連結された第1クラッチ及び第2クラッチと、前記第1クラッチに連結され同第1クラッチを介して前記エンジン駆動力伝達軸からの回転トルクが伝えられる第1入力軸と、前記第2クラッチに連結され同第2クラッチを介して前記エンジン駆動力伝達軸からの回転トルクが伝えられる第2入力軸と、前記第1入力軸または前記第2入力軸から変速ギヤを介して変速回転トルクが伝達される出力軸と、を備え、前記出力軸からの変速回転トルクを従動側回転伝達系に出力するデュアルクラッチ式変速機において、前記第1入力軸と前記出力軸間あるいは前記第2入力軸と前記出力軸間のいずれかの側に1速段変速ギヤ部を設け、前記1速段変速ギヤ部は前記第1入力軸あるいは前記第2入力軸と一体に回転する1速駆動ギヤと、同1速駆動ギヤに噛合う1速遊転ギヤと、を有し、同1速遊転ギヤは前記出力軸に向かう変速回転トルクの伝達のみを許容し前記1速遊転ギヤより前記出力軸の回転が速いときには空転するワンウェイクラッチを介して枢支されるとともに、同1速遊転ギヤと同出力軸との間が前記ワンウェイクラッチと並列的に配備されるスプライン嵌合部により断続操作可能に接続されることを特徴とする。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載のデュアルクラッチ式変速機において、前記第1入力軸または前記第2入力軸と出力軸間の各変速段変速部を選択的に変速操作する変速操作装置を備え、前記1速遊転ギヤより前記出力軸の回転が速くかつ前記変速操作装置により1速段変速操作がされているときには、前記出力軸の回転を減速すべく、前記スプライン嵌合部を介して前記入力軸からの減速回転トルクが前記出力軸に伝達されることを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のデュアルクラッチ式変速機において、前記スプライン嵌合部は、前記1速遊転ギヤの側部に位置し前記1速遊転ギヤと一体的に回転可能であるとともにその外周面に外周スプラインを形成して成るリング状のクラッチギヤと、前記出力軸に一体に形成されるクラッチハブと、内周面に内周スプラインを形成し前記クラッチハブにスプライン嵌合すると共に前記出力軸中心線方向に相対移動することで前記外周スプラインに噛合離脱可能なスリーブと、から成ることを特徴とする。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項3に記載のデュアルクラッチ式変速機において、前記スプライン嵌合部は、前記クラッチギヤの外周スプラインと前記スリーブの内周スプラインの各先端部には傾斜チャンファーがそれぞれ形成されることを特徴とする。
【0014】
請求項5記載の発明は、請求項3または請求項4に記載のデュアルクラッチ式変速機において、前記クラッチギヤは前記1速遊転ギヤに対して一定回転角の範囲で相対回転可能に弾性支持されことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明は、1速段変速ギヤ部のワンウェイクラッチが、1速駆動ギヤに噛み合う1速遊転ギヤより出力軸に向かう変速回転トルク伝達を変速操作に関係なく速やかに伝達でき、同ワンウェイクラッチと並列配備のスプライン嵌合部が入力軸から出力軸に向かう減速回転トルク、即ち、エンジンブレーキを作用させることができる。
【0016】
請求項2の発明は、車両の発進初期には、1速段変速部のワンウェイクラッチにより入力軸の変速回転トルクが出力軸に変速操作の遅れに関係なく伝達されるし、1速段での減速走行時にエンジンブレーキが必要な時には、スプライン嵌合部によりエンジンブレーキを確実に作用させることができる。
【0017】
請求項3の発明は、1速段変速部の1速遊転ギヤ側のクラッチギヤの外周スプラインに出力軸側のスリーブがスプライン嵌合することで、スプライン嵌合部がエンジン側から車体側に向かう減速回転トルクを確実に伝達し、エンジンブレーキを確実に作用させることができる。
【0018】
請求項4の発明は、加速回転トルクが入力されているときは、クラッチギヤの外周スプラインとスリーブの内周スプラインの各傾斜チャンファーは互いが当接した状態で待機し、加速回転トルクが解除されると、直ちに回転ずれを許容できるので、クラッチギヤとスリーブとの噛合いの作動がスムーズに成される。
【0019】
請求項5の発明は、クラッチギヤが1速段変速部の1速遊転ギヤ側に相対回転可能に支持されるので、加速回転トルクが入力されている場合でも、各傾斜チャンファーは互いに回転ずれを許容できるので、クラッチギヤとスリーブとの噛合いの作動がよりスムーズに成される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態としてのデュアルクラッチ式変速機の回転伝達系の概略構成図である。
【図2】図1のデュアルクラッチ式変速機における1速と3速段の各変速ギヤ部の要部拡大断面図である。
【図3】図1のデュアルクラッチ式変速機における1速変速ギヤ部に配備されたワンウェイクラッチの概略構成図である。
【図4】図1のデュアルクラッチ式変速機における1速変速ギヤ部に配備されたスプライン嵌合部の拡大作動説明図である。
【図5】図4のスプライン嵌合部に代えて採用可能なスプライン嵌合部の拡大作動説明図である。
【図6】図1のデュアルクラッチ式変速機における1速と3速段の各変速ギヤ部の要部拡大断面図であってクラッチギヤと1速ギヤのギヤ部とをオーバーラップさせた図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態としてのデュアルクラッチ式変速機を図1乃至図2に沿って説明する。
図1に示すように、デュアルクラッチ式変速機(以後単に自動変速機と記す)1はケーシング100内に配備された2個のクラッチ2、3と、エンジンの駆動力(回転トルク)を同2個のクラッチを介して変速機ギヤ列(1速段から6速段変速ギヤ部g1〜g6のギヤ列)へ伝達する2個の入力軸(クラッチからの回転トルクが伝達される入力軸)4、5と、変速機ギヤ列からの変速された回転トルク(変速回転トルク)を後段のデフ10の出力ギヤG1(従動側回転伝達系)側に伝達する2個の第1、第2出力軸6、7とを備えている。
【0022】
図1に示すように、第1入力軸4は第1クラッチ2を介して、エンジン8の駆動力伝達軸9からの回転トルクが伝達され、一方、第2入力軸5は第2クラッチ3を介して駆動力伝達軸9からの回転トルクが伝達される。なお、2個のクラッチ2、3は共通の回転中心線上であって中心線の方向に互いに配備され、不図示の油圧制御回路を介しクラッチ断接操作装置90に操作され、同クラッチ断接操作装置は変速制御装置91に接続され、これにより断切制御される。
なお、2個のクラッチ2、3は、共通の回転中心線上であって径を異ならせオーバーラップさせて配備してもよい。
また、クラッチ断接操作装置90は、電動モータで制御されてもよい。
【0023】
第1出力軸6及び第2出力軸7は、第1入力軸4及び第2入力軸5と軸線が平行になるように夫々離間して配置されている。また、第1出力軸6の端部に一体結合された出力ギヤG2及び第2出力軸7の端部に一体結合された出力ギヤG3は共に自動変速機1の後段のデフ10の減速ギヤG1(従動側回転伝達系)に変速回転トルクを選択的に伝達可能に形成されている。
第1出力軸6には、1速段変速ギヤ部g1の1速遊転ギヤ11が、2速段変速ギヤ部g2の2速遊転ギヤ12が、3速段変速ギヤ部g3の3速遊転ギヤ13が、6速段変速ギヤ部g6の6速遊転ギヤ14が、それぞれ第1出力軸6と相対回転可能に枢支されている。
【0024】
第2出力軸7には、4速段変速ギヤ部g4の4速遊転ギヤ15が、5速段変速ギヤ部g5の5速遊転ギヤ16が、リバース段変速ギヤ部grのリバース遊転ギヤ17がそれぞれ第2出力軸7と相対回転可能に枢支され他端部にはパーキングギヤ18が固着されている。
1速段変速ギヤ部g1において、同部と対向する第1入力軸4に1速駆動ギヤ31が一体的に回転するように設けられ、この1速駆動ギヤ31に第1出力軸6に後述するワンウェイクラッチ60を介して枢支された1速遊転ギヤ11が常時噛み合う。
【0025】
2速段変速ギヤ部g2において、同部と対向する第2入力軸5に2速駆動ギヤ32が一体的に回転するように設けられ、この2速駆動ギヤ32に第1出力軸6に回転自在に枢支された2速遊転ギヤ12が常時噛み合う。
3速段変速ギヤ部g3において、同部と対向する第1入力軸4に3速駆動ギヤ33が一体的に回転するように設けられ、この3速駆動ギヤ33に第1出力軸6に回転自在に枢支された3速遊転ギヤ13が常時噛み合う。
4速段変速ギヤ部g4において、同部と対向する第2入力軸5に4速駆動ギヤ34が一体的に回転するように設けられ、この4速駆動ギヤ34に第2出力軸7に回転自在に枢支された4速遊転ギヤ15が常時噛み合う。
【0026】
5速段変速ギヤ部g5において、同部と対向する第1入力軸4に5速駆動ギヤ35が一体的に回転するように設けられ、この5速駆動ギヤ35に第2出力軸7に回転自在に枢支された5速遊転ギヤ16が常時噛み合う。
6速段変速ギヤ部g6において、同部と対向する第2入力軸5に4速側と共用とされる6速駆動ギヤ(=4速駆動ギヤ)34が一体的に回転するように設けられ、この6速駆動ギヤ(=4速駆動ギヤ)34に第1出力軸6に回転自在に枢支された6速遊転ギヤ14が常時噛み合う。
なお、6速駆動ギヤを4速駆動ギヤと共用とせず、4速駆動ギヤとは別に第2入力軸5に設けてもよい。
【0027】
図2に示すように、第1出力軸6上であって1、3速段変速ギヤ部g1、g3間には第1出力軸6と一体的に回転するように設けられた回転体であるクラッチハブ37が環状に突出し形成される。クラッチハブ37の外周縁部には第1出力軸6と同心的に、軸中心線方向Xに相対移動可能に、スプライン嵌合部48を介してスリーブ43が嵌着される。スリーブ43の外周縁部には環状凹部431が形成され、ここに後述する第2のシフトフォーク21(図1参照)が遊嵌される。
図1に示すように、第2のシフトフォーク21や第1、3、4の各シフトフォーク20、22、23は変速操作装置70により変速操作される。なお、変速操作装置70は車両の運転情報に応じて変速制御する変速制御装置91に接続されている。
【0028】
この変速制御装置91は運転状態に応じて発せられた変速指示信号に応じて第1から第4の各シフトフォーク20〜23をセレクトし、セレクトしたシフトフォーク20〜23の1つを選択的にシフト操作し、そのシフトフォークにより目標変速段への変速操作力を対向するスリーブ43に伝達するように構成されている。なお、特開2001−304411号公報にその一例が開示される。
図2に示すように、第1出力軸6と一体的に回転するように設けられたクラッチハブ37の左右側方には第1出力軸6に後述するワンウェイクラッチ60を介して枢支された1速遊転ギヤ11と回転自在に枢支された3速遊転ギヤ13とが対向配備される。
【0029】
このうち、1速遊転ギヤ11はそれより出力軸6側に向う回転のみを伝達するワンウェイクラッチ60を介して出力軸6に枢支される。3速遊転ギヤ13は出力軸6にベアリング49を介して回転自在に枢支される。
ワンウェイクラッチ60は、図2、3に示すように、第1出力軸6に同軸的に取り付けられる。図3に示すように、このワンウェイクラッチ60は第1出力軸6に一体的に外嵌されるインナーリング61と、その外側のアウターリング62と、両リングの中央部間に配備された複数のニードル63と、両リングの左右側部間に配備された一対のベアリング64、64とを備える。
【0030】
アウターリング62の内周壁には傾斜湾曲面621が円周方向に沿って複数周期的に形成される。即ち、各傾斜湾曲面621は回転中心線との半径方向の間隔を回転方向において周期的に狭めるような形状で複数順次突き出し形成される。このため、図3に示すように、傾斜湾曲面621とインナーリング61の外周面との間隔は円周方向に沿って周期的に複数の領域で狭まるよう形成される。
【0031】
ここでエンジンの駆動力が駆動力伝達軸9から第1クラッチ2、第1入力軸4を介して、1速段変速部g1に回転トルクが伝達され、さらに1速駆動ギヤ31から変速回転トルクが伝達される1速遊転ギア11の回転が第1出力軸6の回転より速く、アウターリング62がインナーリング61より早く回転しようとする場合(図3の実線の矢印e1,e2参照)、両者間に配備されるニードル63が図3中に2点差線a2で示す位置より移動して、実線a1で示す位置で挟持される。これによりアウターリング62とインナーリング61とが一体回転するクラッチ接状態が達成される。逆に、インナーリング61がアウターリング62より早く回転する場合(図3の2点鎖線の矢印e3,e4参照)には、両者間に配備されるニードル63が図3中に2点差線a2で示す位置に転動する。この場合、アウターリング62とインナーリング61とは自由に相対回転し、回転は伝達されないクラッチ断状態が達成される。
【0032】
即ち、1速段変速ギヤ部g1のワンウェイクラッチ60は、第1入力軸4の駆動ギヤ31に噛み合う1速遊転ギヤ11より出力軸6に向かう回転をクラッチ接状態に保持することで、変速操作に関係なく確実に変速回転トルクを伝達できる。逆に、第1出力軸6の回転が1速遊転ギヤ11側の回転より早い場合には、相対回転が可能なクラッチ断状態に保持され、変速回転トルクが伝達されない空転状態となる。
ここで走行車両が、2速段から「急減速」→「停止」→「1速段での再発進」の運転域に達すると仮定する。
【0033】
この場合、停止前後における「2速段」→「1速段への変速操作」が成されるが、従来構造では、その際に変速操作装置により1速段へのシフト操作(スリーブ43を移動させてクラッチギヤ45とスプライン嵌合)がされた後に、2速段側のクラッチ3と1速段側のクラッチ2を繋ぎ替えることにより発進となるため、変速操作に時間を取られ、運転手がもたつき感を感じ易い状況となる。しかし、1速段変速ギヤ部g1にワンウェイクラッチ60を設けることで、変速操作装置70によるシフト操作を行うことなく、クラッチの繋ぎ替えのみでエンジン8からの駆動力が伝達される1速遊転ギヤの回転が第1出力軸6の回転より速くなるので、ワンウェイクラッチ60がクラッチ接状態を保持できる。即ち、この接合状態のワンウェイクラッチ60は1速段変速ギヤ部g1の駆動ギヤ31に噛み合う1速遊転ギヤ11より出力軸6側に変速回転トルクを伝達でき、変速操作装置70によるシフト操作の遅れに関係無く、速やかに確実に出力軸6側に変速回転トルクを伝達できる。
【0034】
逆に、ワンウェイクラッチ60が出力軸6より駆動ギヤ31側への回転の伝達をカットするよう機能するので、1速段での発進時や微速前進時における、アクセル操作やエンジントルク変動による加速・減速変動に起因するギクシャク感を排除でき、スムーズな発進を達成することもできる。
【0035】
更に、図2に示すように、1速遊転ギヤ11のクラッチハブ37側との対向部であり、第1出力軸6の軸線方向に膨出する円形膨出部111はクラッチギヤ45として形成されている。このクラッチギヤ45は第1出力軸6の軸線と同軸に形成され、円形膨出部111の外周面に外周スプライン451(図4参照)を形成する。この外周スプライン451はスリーブ43の内周壁に形成される内周スプライン431に噛み合い可能に形成され、これらによりスプライン嵌合部48が形成されている。
スプライン嵌合部48は、特に、図4に示すように、スリーブ43の内周スプライン431と、クラッチギヤ45の外周スプライン451とのそれぞれ互いに対向する各先端部に片傾斜チャンファーcfを形成している。
【0036】
内周スプライン431と外周スプライン451の各片傾斜チャンファーcfは、1速段変速部g1にエンジン側から回転トルク(加速回転トルク)が伝達されている状態の時に互いのスプラインが噛み合い可能な位置になるまで回転し、チャンファーcfの先端が互いに当接してスリーブ43とクラッチギヤ45とを回転方向に押し付け、相対的な回転ずれを許容できるような傾斜面に形成される。なお、傾斜面は内周スプライン431と外周スプライン451の双方が互いにワンウェイクラッチが働かない方向に相対変位可能に、即ち、互いに噛み合い方向に相対変位可能に形成される。これによって、1速段変速部g1にエンジン側から回転トルク(加速回転トルク)が伝達されていない状態の時に、ワンウェイクラッチに動きを阻害されることなく、クラッチギヤの外周スプライン451とスリーブの内周スプライン431の各片傾斜チャンファーcfは互いが当接を開始する際の回転ずれを許容できるので、1速段変速部g1にエンジン側からの回転トルク(加速回転トルク)が無い状態では、相互に当接を開始した時点より噛み合うまでの噛み合い開始時の作動がスムーズに行われるようになる。
【0037】
このような構成を採ることで、1速段でのエンジンブレーキが必要となった場合には、2速段より1速段に切換えられ、車両が1速段での減速運転に入る過渡時において、スリーブ43の内周スプライン431とクラッチギヤ45の外周スプライン451は速やかに同期して噛み合うことで、減速回転トルクの伝達が可能となり、1速段での減速運転であるエンジンブレーキ作動を容易化できるようにしている。また、1速段ワンウェイクラッチで走行中に、エンジンブレーキが必要となった場合は、チャンファーcf同志を当接させておき、減速運転となった時点で、噛合作動が行われ、エンジンブレーキを活用することができる。
【0038】
なお、図4に示したスプライン嵌合部48では、駆動ギヤ31に噛み合う1速遊転ギヤ11の側部に片傾斜チャンファーcfを形成したクラッチギヤ45が一体形成されていたが、これに代えて図5に示すように構成しても良い。
図5に示すスプライン嵌合部48aは、1速遊転ギヤ11の側部に第1出力軸6の軸線方向に膨出す円形膨出部111が同軸的に突設される。その円形膨出部111にはその環状外周面fsにリング状のクラッチギヤ45aが1速遊転ギヤ11に対して一定回転角の範囲で相対回転可能に弾性支持される。
【0039】
つまり、環状外周面fsの円周上の一部にはストッパ112が突設される。一方、クラッチギヤ45aの円周上の一部には、矩形凹部452がストッパ112の幅より十分大きな形状で形成される。これにより、ストッパ112に対して円周方向に相対変位を許容できる矩形凹部452が形成されている。ここで、ストッパ112の両側壁と矩形凹部452の対向内壁縁との間には圧縮スプリングsp1、sp2が嵌着されることで、クラッチギヤ45aが弾性支持され、定常時において、圧縮スプリングsp1、sp2の各弾性力を受けるクラッチギヤ45aがストッパ112に対して定常位置(図5に示す位置)に保持される。
【0040】
クラッチギヤ45aの外周面には外周方向に向いた外周スプライン451aが円周方向に沿って順次形成される。一方、スリーブ43aの内周壁には内周スプライン431aが形成される。ここで内周スプライン431aと外周スプライン451aとの互いに対向する先端部には互いの噛合いを可能とする平面視でやじり状を成す、噛合い促進用のチャンファーcf1が形成される。
なお、噛合い促進用のチャンファーは、やじり状に限定することなく、前述の片傾斜チャンファーcfでもよい。また、この場合には、ストッパ112の両側壁ではなく、片側壁と矩形凹部452の対向内壁縁との間には圧縮スプリングsp1またはsp2を設けてもよい。
【0041】
また、一定回転角の範囲とは、少なくともスリーブ43a側の噛合い促進用のチャンファーcf1が、クラッチギヤ45a側の噛合い促進用のチャンファーcf1を介してクラッチギヤ45aを押し分けようとする場合、1速遊転ギヤ11とスリーブ43aが相対回転しなくても、スリーブ43aがクラッチギヤ45aを回転方向に押し分けられる以上の回転角の範囲とする。
このようなスプライン嵌合部48aの場合、1速段でエンジンブレーキが必要となった場合には、2速段より1速段に切換えられ、車両が1速段での減速運転に入る過渡時において、ます、内周スプライン431aと外周スプライン451aの両先端部が互いに当接する。
【0042】
この際、クラッチギヤ45aと1速遊転ギヤ11の間には、相対回転可能なクリアランスが設けてあるので、1速遊転ギヤ11の変速回転トルク伝達状況に関わらず、スリーブ43の内周スプライン431a側のチャンファーcf1がクラッチギヤ45aの外周スプライン451aを回転方向に押し分けることが可能となり、スリーブ43aの内周スプライン431aとクラッチギヤ45aの外周スプライン451aとが速やかに噛合うことができ、これによって、回転伝達が可能となり1速段でのエンジンブレーキ作動に入ることを容易化している。
【0043】
ところで、図2に示すように、クラッチハブ37を挟んで、前述の1速遊転ギヤ11と3速遊転ギヤ13とが対向配備されている。つまり、図2上、クラッチハブ37の左側方に1速遊転ギヤ11が、右側方に3速遊転ギヤ13が対向配備されている。
3速遊転ギヤ13にはクラッチハブ37との対向部に回転膨出部52が形成され、その外周部分に、シンクロ機構51が配備されている。
【0044】
シンクロ機構51はクラッチハブ37に対して、回転方向に所定のクリアランスを持ち、且つ、シフト方向に摺動可能なように遊嵌され、且つ、外周側に外周スプライン51と内周側にコーン面f2を形成したシンクロリング53と、3速遊転ギヤ13側に形成された回転膨出部52の先端側の外周面を成すコーン面f1と、回転膨出部52の基端側のクラッチギヤ外周スプライン50とを備える。シンクロリング53のコーン面f2は、回転膨出部52のコーン面(対向面)f1に摺接可能に形成される。
【0045】
シンクロ機構51は、図2に示すように、スリーブ43が3速遊転ギヤ13(右側)に向けて変位操作されると、スリーブ43の内周スプライン432のチャンファー部がシンクロリング53の外周スプライン51と当接し、その軸中心線方向Xの押圧力でシンクロリング53のコーン面f2を回転膨出部52のコーン面f1に押し付け、コーン面間の摩擦力でスリーブ側とクラッチギヤ側に相対回転差を低減させる(同期作用)。これに応じて同期が進み、同期が完了すると、スリーブ43の内周スプライン432がシンクロリング53を回転方向に押し分けて噛み合いながらシフト方向に進み、次いで、3速遊転ギヤ13の外周スプライン50に噛み合う。これにより3速遊転ギヤ13を第1出力軸6側に一体的に連結し、第1入力軸4と第1出力軸6間での相互の変速回転トルクの伝達が行われるようにしている。
【0046】
次に、図1に示すように、第1出力軸6上であって2、6速段変速ギヤ部g2、g6間に対向する部位にはクラッチハブ37’が環状に突出し形成され、その外周縁部の左右には上述のシンクロ機構51と同様のシンクロ機構51’が左右にそれぞれ配備される。これらにより、2、6速段変速ギヤ部g2、g6は選択的にスムーズに第1入力軸4と第1出力軸6間を断続結合するよう構成される。
同じく、第2出力軸7上であって4速段変速ギヤ部g4、リバース段変速ギヤ部gr間に対向する部位にも2、6速段変速ギヤ部g2、g6間と同様に不図示のシンクロ機構が配備される。
【0047】
これにより選択的に断続結合が可能に形成され、4速段変速ギヤ部g4、リバース段変速ギヤ部gr間にも同様に不図示のシンクロ機構が配備され、これにより選択的に断続結合可能に形成される。
同じく、第2出力軸7上であって5速段変速ギヤ部g5とパーキングギヤ18間に対向する部位にも2速段変速ギヤ部g2と同様に不図示のシンクロ機構が配備され、これらにより、5速段変速ギヤ部g5間を断続接続可能に形成される。
【0048】
次に、図1〜図4を参照して、現段が2速(第2クラッチ3側)とし、これより1速(第1クラッチ2側)へのシフトダウン操作を行う場合を説明する。
まず、通常の減速走行時や、エンジンブレーキが必要とされる場合について説明する。
この場合、現段が2速段との情報とその他の車両の運転情報とに応じて変速制御装置91が変速操作装置70を制御する。
【0049】
まず、変速操作装置70が第2シフトフォーク21を駆動し、1速段変速ギヤ部g1のスリーブ43をクラッチギヤ45に向け噛み合わせ操作し、スプライン嵌合部48を結合状態に保持し、1速段への変速が成された上で第2クラッチ3を開放しつつ第1クラッチ2を接合する。次いで、変速操作装置70が第1シフトフォーク20を駆動し、2速段変速ギヤ部g2のスリーブ43’をニュートラル位置に戻し、2速段のシフト抜き操作を完了する。
【0050】
このような、2速段より1速段への減速時にスプライン嵌合部48により1速段に切換えが成されることで、第1入力軸4から第1出力軸6へ減速回転トルクが伝達される。即ち、第1出力軸6側の慣性回転トルクがワンウェイクラッチ60と並列配備のスプライン嵌合部48側を通して、第1入力軸4側に向けて確実に伝達される。このため、車両の1速段での減速運転時において、ワンウェイクラッチ60が開放状態にあるにもかかわらず、スプライン嵌合部48を通して車体慣性による慣性回転トルクがエンジン側に伝達され、1速段でのエンジンブレーキ作動を可能としている。つまり、エンジン側から車体側に向かう減速回転トルクを確実に伝達し、エンジンブレーキを確実に作用させることができる。
【0051】
次に、車両が急減速して、2速段(第2クラッチ3側)より1速(第1クラッチ2側)へのシフトダウン操作の直後の再発進を行う場合について説明する。
この場合、変速操作装置70は、第2シフトフォーク21を駆動して1速段変速ギヤ部g1のスリーブ43をクラッチギヤ45に噛み合わせ、1速(第1クラッチ2側)へのシフトを行った後、次いで、クラッチ断接操作装置90が第1クラッチ2を接合状態に切換え制御する。
このため、ここでの切換え操作が完了するまでに比較的時間を取り、停止後すぐに発進できず、もたつき感が生じる状況となる。
【0052】
しかし、本発明の構造では、変速操作装置70によるスリーブ43とクラッチギヤ45の噛合せ操作をすることなく、第1クラッチ2と第2クラッチ3とを切り替えるだけで1速駆動ギヤ31がエンジンからの回転トルクを受け、それに噛み合う1速ギヤ遊転11の回転に応じてワンウェイクラッチ60がクラッチ接状態に切り換わり、1速ギヤ遊転11の変速回転トルクを出力軸6側に伝達でき、エンジンの駆動力を速やかに、1速段変速ギヤ部g1を通して変速し、変速回転トルクを出力軸6、出力ギヤG2、デフ10の減速ギヤG1(従動側回転伝達系)に伝達するので、1速段で速やかに発進できる。
【0053】
しかも、この後の1速段での発進継続中に、アクセル操作やエンジントルク変動による加速・減速変動をワンウェイクラッチ60によって緩和でき、ギクシャク感を排除でき、スムーズな発進が成される。
また、特にエンジンブレーキが必要でない場合は、スリーブ43とクラッチギヤ45の噛み合わせを解除しておくことで、1速微速走行中のギクシャク感を排除できる。
なお、スリーブ43とクラッチギヤ45の間には、よりスムーズに変速するためにシンクロ機構51と同様のシンクロ機構を設けても良い。このシンクロ機構は、前述の構造に限ることなく、他の変速段のシンクロ機構と同じ構造としてもよい。
【0054】
上述の自動変速機1は第1入力軸4に出力軸6が、第2入力軸5に出力軸7がそれぞれ並列配備された構成をとっていたが、各入力軸とこれに対向配備される出力軸(副軸)側の構成は上述の構成に限定されるものではなく、要は、いずれかの入力軸と副軸間に1速段変速ギヤ部が設けられた自動変速機に本発明を適用でき、そのような場合も、図1の自動変速機の場合と同様の作用効果を得ることができる。
また、図6に示すように、クラッチギヤ45aを1速遊転ギヤ11aの側部の凹部q1に形成して1速遊転ギヤ11aのギヤ部とオーバーラップさせて軸長を極力短くしてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 デュアルクラッチ式変速機
2、3 第1、第2クラッチ
4 第1入力軸
5 第2入力軸
6 第1出力軸
7 第2出力軸
8 エンジン
9 エンジン駆動力伝達軸
10 デフ(従動側回転伝達系)
11〜16 1速〜6速遊転ギヤ
17 リバース遊転ギヤ
20〜23 シフトフォーク
31〜35 1速〜5速駆動ギヤ
37 クラッチハブ
43 スリーブ
45 クラッチギヤ
48 スプライン嵌合部
60 ワンウェイクラッチ
90 クラッチ断接操作装置
91 変速制御装置
cf 片傾斜チャンファー
g1 1速段変速ギヤ部
G1 減速ギヤ(従動側回転伝達系)
G2,G3 出力ギヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のエンジンの駆動力を伝達するエンジン駆動力伝達軸と、
同エンジン駆動力伝達軸に連結された第1クラッチ及び第2クラッチと、
前記第1クラッチに連結され同第1クラッチを介して前記エンジン駆動力伝達軸からの回転トルクが伝えられる第1入力軸と、
前記第2クラッチに連結され同第2クラッチを介して前記エンジン駆動力伝達軸からの回転トルクが伝えられる第2入力軸と、
前記第1入力軸または前記第2入力軸から変速ギヤを介して変速回転トルクが伝達される出力軸と、
を備え、
前記出力軸からの変速回転トルクを従動側回転伝達系に出力するデュアルクラッチ式変速機において、
前記第1入力軸と前記出力軸間あるいは前記第2入力軸と前記出力軸間のいずれかの側に1速段変速ギヤ部を設け、
前記1速段変速ギヤ部は前記第1入力軸あるいは前記第2入力軸と一体に回転する1速駆動ギヤと、
同1速駆動ギヤに噛合う1速遊転ギヤと、
を有し、
同1速遊転ギヤは前記出力軸に向かう変速回転トルクの伝達のみを許容し前記1速遊転ギヤより前記出力軸の回転が速いときには空転するワンウェイクラッチを介して枢支されるとともに、
同1速遊転ギヤと同出力軸との間が前記ワンウェイクラッチと並列的に配備されるスプライン嵌合部により断続操作可能に接続される
ことを特徴とするデュアルクラッチ式変速機。
【請求項2】
請求項1に記載のデュアルクラッチ式変速機において、
前記第1入力軸または前記第2入力軸と出力軸間の各変速段変速部を選択的に変速操作する変速操作装置を備え、
前記1速遊転ギヤより前記出力軸の回転が速くかつ前記変速操作装置により1速段変速操作がされているときには、前記出力軸の回転を減速すべく、前記スプライン嵌合部を介して前記入力軸からの減速回転トルクが前記出力軸に伝達されることを特徴とするデュアルクラッチ式変速機。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のデュアルクラッチ式変速機において、
前記スプライン嵌合部は、
前記1速遊転ギヤの側部に位置し前記1速遊転ギヤと一体的に回転可能であるとともにその外周面に外周スプラインを形成して成るリング状のクラッチギヤと、
前記出力軸に一体に形成されるクラッチハブと、
内周面に内周スプラインを形成し前記クラッチハブにスプライン嵌合すると共に前記出力軸中心線方向に相対移動することで前記外周スプラインに噛合離脱可能なスリーブと、から成ることを特徴とするデュアルクラッチ式変速機。
【請求項4】
請求項3に記載のデュアルクラッチ式変速機において、
前記スプライン嵌合部は、前記クラッチギヤの外周スプラインと前記スリーブの内周スプラインの各先端部には傾斜チャンファーがそれぞれ形成されることを特徴とするデュアルクラッチ式変速機。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載のデュアルクラッチ式変速機において、
前記クラッチギヤは前記1速遊転ギヤに対して一定回転角の範囲で相対回転可能に弾性支持されことを特徴とするデュアルクラッチ式変速機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−174959(P2010−174959A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−16947(P2009−16947)
【出願日】平成21年1月28日(2009.1.28)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【出願人】(000176811)三菱自動車エンジニアリング株式会社 (402)
【Fターム(参考)】