説明

データロガーシステムおよびデータロギング方法

【課題】計測データを集計するためのパラメータを、過去および未来を含む任意のタイミングについて設定することができるデータロガーシステムを得る。
【解決手段】計測されたプロセスデータを所定の周期で収集する計測データ収集部11と、計測データ収集部11で収集された計測データを、時系列に保存する計測データ保存DB12と、計測データを集計するためのパラメータと、パラメータを有効にする期間を示す時系列情報とを併せて設定するパラメータ設定部13と、パラメータに時系列情報を付加して保存するパラメータ保存DB14と、計測データ保存DB14に保存された計測データを、パラメータ保存DB14に保存され、当該計測データの時系列に該当するパラメータに従って集計するデータ集計部15とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、工場やビル等における各種プロセスデータ、例えば電力量、ガス流量、水量、温度、湿度、高度(レベル)、速度等をロギングするデータロガーシステムおよびデータロギング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のデータロガーシステムは、加工処理情報および検定処理情報(ともに集計用のパラメータ)に基づいてプロセス信号を処理するデータ処理手段を通じて、データ処理内容の設定、変更を指示する会話型入出力装置を備えている(例えば、特許文献1参照)。このデータロガーシステムによれば、会話形式でパラメータを設定することができるので、プロセス毎にプログラムを開発する必要がなく、システム設計が容易となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭61−20819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術には、以下のような課題がある。
従来のデータロガーシステムにおいて、会話形式で設定されたパラメータは、設定された時点からシステムに反映される。また、従来のデータロガーシステムでは、計測されたデータそのものは、時系列に保存されるものの、計測データの各計測点に関するパラメータは、時系列情報を有していない。そのため、パラメータが設定された時点で、設定されたパラメータに従って、計測データが集計される。
【0005】
したがって、従来のデータロガーシステムでは、パラメータを変更したいタイミングに合わせて、リアルタイムにパラメータを設定する必要がある。ここで、パラメータの設定は、人の手による作業なので、例えば未来のパラメータについて、「一週間後にパラメータをこのように設定したい」と考えていても、パラメータの設定を忘れる場合があるという問題がある。
【0006】
また、過去のパラメータを変更したい場合には、一般的に、計測データを過去のパラメータに従って集計した集計データを操作することができないので、変更後のパラメータに合わせて、集計データを一日毎に手作業で修正する必要があるという問題がある。このとき、修正に要する作業量が、期間の日数に比例して膨大になるという問題もある。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、計測データを集計するためのパラメータを、過去および未来を含む任意のタイミングについて設定することができるデータロガーシステムおよびデータロギング方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係るデータロガーシステムは、計測されたプロセスデータを所定の周期で収集する計測データ収集部と、計測データ収集部で収集された計測データを、時系列に保存する計測データ保存データベースと、計測データを集計するためのパラメータと、パラメータを有効にする期間を示す時系列情報とを併せて設定するパラメータ設定部と、パラメータに時系列情報を付加して保存するパラメータ保存データベースと、計測データ保存データベースに保存された計測データを、パラメータ保存データベースに保存され、当該計測データの時系列に該当するパラメータに従って集計するデータ集計部とを備えたものである。
【0009】
また、この発明に係るデータロギング方法は、計測されたプロセスデータを所定の周期で収集する計測データ収集ステップと、計測データ収集ステップで収集された計測データを、時系列に保存する計測データ保存ステップと、計測データを集計するためのパラメータと、パラメータを有効にする期間を示す時系列情報とを併せて設定するパラメータ設定ステップと、パラメータに時系列情報を付加して保存するパラメータ保存ステップと、計測データ保存ステップで保存された計測データを、パラメータ保存ステップで保存され、当該計測データの時系列に該当するパラメータに従って集計するデータ集計ステップとを備えたものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明に係るデータロガーシステムおよびデータロギング方法によれば、パラメータ設定部(ステップ)は、計測データを集計するためのパラメータと、パラメータを有効にする期間を示す時系列情報とを併せて設定し、パラメータ保存データベース(ステップ)は、パラメータに時系列情報を付加して保存し、データ集計部(ステップ)は、計測データ保存データベース(ステップ)に保存された計測データを、パラメータ保存データベース(ステップ)に保存され、当該計測データの時系列に該当するパラメータに従って集計する。
そのため、計測データを集計するためのパラメータを、過去および未来を含む任意のタイミングについて設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の実施の形態1に係るデータロガーシステムを周辺機器とともに示すブロック構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係るデータロガーシステムの動作を示す説明図である。
【図3】この発明の実施の形態2に係るデータロガーシステムを周辺機器とともに示すブロック構成図である。
【図4】この発明の実施の形態2に係るデータロガーシステムの動作を示す説明図である。
【図5】この発明の実施の形態3に係るデータロガーシステムを周辺機器とともに示すブロック構成図である。
【図6】この発明の実施の形態3に係るデータロガーシステムの動作を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明に係るデータロガーシステムの好適な実施の形態につき図面を用いて説明するが、各図において同一、または相当する部分については、同一符号を付して説明する。
【0013】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係るデータロガーシステム10を、周辺機器(計測部20、設定入力部30および表示部40)とともに示すブロック構成図である。図1において、データロガーシステム10は、計測データ収集部11、計測データ保存DB(データベース)12、パラメータ設定部13、パラメータ保存DB(データベース)14およびデータ集計部15を備えている。
【0014】
以下、データロガーシステム10の機能について説明する。
計測データ収集部11は、センサ等の計測部20によって計測された工場やビル等(図示せず)における各種プロセスデータを所定の周期で収集する。ここで、プロセスデータは、例えば電力量、ガス流量、水量、温度、湿度、高度(レベル)、速度等を含んでいる。計測データ保存DB12は、計測データ収集部11で収集された計測データを、時系列に保存する。
【0015】
パラメータ設定部13は、計測データを集計するためのパラメータと、パラメータを有効にする期間を示す時系列情報とを併せて設定する。パラメータおよび時系列情報は、例えばキーボード等の入力装置を含む設定入力部30から入力される。パラメータ保存DB14は、パラメータ設定部13により設定されたパラメータに時系列情報を付加して保存する。
【0016】
データ集計部15は、計測データ保存DB12に保存された計測データを、パラメータ保存DB14に保存され、当該計測データの時系列に該当するパラメータに従って集計する。データ集計部15は、集計データをディスプレイ等の表示部40に出力し、表示部40は、集計データを表示する。なお、設定入力部30と表示部40とは、例えばタッチパネル式のディスプレイとして一体化されていてもよい。
【0017】
続いて、図1とともに、図2を参照しながら、上記構成のデータロガーシステム10の動作について説明する。図2は、この発明の実施の形態1に係るデータロガーシステム10の動作を示す説明図である。
【0018】
計測データ保存DB12は、計測データ収集部11により所定の周期で収集された各計測点の計測データを、日時データと合わせて1レコードとして保存する。パラメータ保存DB14は、パラメータ設定部13により計測データ毎に設定された、信号名称(データ項目)、単位、レンジ等のパラメータと、そのパラメータを有効にする期間を示す時系列情報とを、1レコードとして保存する。
【0019】
データ集計部15は、データ項目および日時をキーとして、計測データ保存DB12に保存された計測データに対して、パラメータ保存DB14に保存され、指定された日時に該当するパラメータを用いた紐付け処理を実行し、集計データを生成する。表示部40は、集計データを、例えば棒グラフ等で表示する。
【0020】
ここで、過去のパラメータを変更する場合には、パラメータの設定を行う際に、そのパラメータの設定を有効にする期間を指定することにより、過去のパラメータを変更することができる。すなわち、過去のパラメータの変更は、期間の日数に影響されることなく、瞬時に処理することができる。
【0021】
また、このとき、未来の期間を指定することにより、パラメータを変更したいタイミングまで待つことなく、事前に未来のパラメータを設定することができる。これにより、過去のパラメータの変更による作業量の増大やそれに伴う作業ミス、および未来のパラメータの設定漏れを防止することができ、信頼性の高い集計データを得ることができる。
【0022】
以上のように、実施の形態1によれば、パラメータ設定部は、計測データを集計するためのパラメータと、パラメータを有効にする期間を示す時系列情報とを併せて設定し、パラメータ保存データベースは、パラメータに時系列情報を付加して保存し、データ集計部は、計測データ保存データベースに保存された計測データを、パラメータ保存データベースに保存され、当該計測データの時系列に該当するパラメータに従って集計する。
そのため、計測データを集計するためのパラメータを、過去および未来を含む任意のタイミングについて設定することができる。
【0023】
実施の形態2.
上記実施の形態1では、計測データ保存DB12に保存された計測データに対して、パラメータ保存DB14に保存され、時系列情報を有するパラメータを用いた紐付け処理を実行する場合について説明した。この実施の形態2では、さらに生産量データに対しても紐付け処理を実行する場合について説明する。
【0024】
図3は、この発明の実施の形態2に係るデータロガーシステム10Aを、周辺機器とともに示すブロック構成図である。図3において、データロガーシステム10Aは、実施の形態1のデータロガーシステム10に加えて、生産量データ収集部16および生産量データ保存DB(データベース)17を備えている。また、データロガーシステム10Aは、図1に示したデータ集計部15に代えて、データ集計部15Aを備えている。
【0025】
以下、データロガーシステム10Aの機能について説明する。
生産量データ収集部16は、外部から入力される製品の生産量データを所定の周期で収集する。生産量データ保存DB17は、生産量データ収集部16で収集された生産量データを、時系列に保存する。
【0026】
データ集計部15Aは、計測データ保存DB12に保存された計測データおよび生産量データ保存DB17に保存された生産量データを、パラメータ保存DB14に保存され、当該計測データの時系列に該当するパラメータに従って集計する。なお、その他の構成および機能は、上述した実施の形態1と同様なので、説明を省略する。
【0027】
続いて、図3とともに、図4を参照しながら、上記構成のデータロガーシステム10Aの動作について説明する。図4は、この発明の実施の形態2に係るデータロガーシステム10Aの動作を示す説明図である。また、上記実施の形態1と同様の動作については、説明を省略する。
【0028】
生産量データ保存DB17は、計測データ保存DB12と同様に、生産量データ収集部16により所定の周期で収集された完成品の生産量データを、日時データと合わせて1レコードとして保存する。
【0029】
データ集計部15Aは、データ項目および日時をキーとして、計測データ保存DB12に保存された計測データおよび生産量データ保存DB17に保存された生産量データに対して、パラメータ保存DB14に保存され、指定された日時に該当するパラメータを用いた紐付け処理を実行し、集計データを生成する。
【0030】
このように、計測データだけでなく、生産量データについても、時系列情報を有するパラメータを用いた紐付け処理を実行することで、ある一定期間内に製造した製品の生産量と関係性のあるプロセスデータ(例えば、エネルギーの使用量)を割り出すことができる。さらに、その一定期間内に製造した製品の生産量データとプロセスデータとから、製品1個あたりに要するプロセス量を管理(例えば、原単位管理)することができる。
【0031】
以上のように、実施の形態2によれば、生産量データ収集部は、製品の生産量データを所定の周期で収集し、生産量データ保存データベースは、生産量データ収集部で収集された生産量データを、時系列に保存する。
そのため、実施の形態1と同様の効果を得ることができるとともに、プロセスデータと生産量データとを一元管理し、システムにより自動で原単位管理することができる。
【0032】
実施の形態3.
上記実施の形態1では、計測データ保存DB12に保存された計測データに対して、パラメータ保存DB14に保存され、時系列情報を有するパラメータを用いた紐付け処理を実行する場合について説明した。この実施の形態3では、さらに按分情報に対しても紐付け処理を実行する場合について説明する。
【0033】
図5は、この発明の実施の形態3に係るデータロガーシステム10Bを、周辺機器とともに示すブロック構成図である。図5において、データロガーシステム10Bは、実施の形態1のデータロガーシステム10に加えて、按分情報設定部18および按分情報保存DB(データベース)19を備えている。また、データロガーシステム10Bは、図1に示したデータ集計部15に代えて、データ集計部15Bを備えている。
【0034】
以下、データロガーシステム10Aの機能について説明する。
按分情報設定部18は、計測データに係る按分情報と、按分情報を有効にする期間を示す期間情報とを併せて設定する。按分情報および期間情報は、設定入力部30から入力される。按分情報保存DB19は、按分情報設定部18により設定された按分情報に期間情報を付加して保存する。
【0035】
ここで、按分情報は、プロセスデータを例えば部署単位でグルーピングして集計するためのパラメータであり、計測データ1項目に対してフロア情報(占有面積)や部署情報(部署の人数)等が設定されることにより求められる按分比率や演算式を含んでいる。
【0036】
データ集計部15Bは、計測データ保存DB12に保存された計測データおよび按分情報保存DB19に保存された按分情報を、パラメータ保存DB14に保存され、当該計測データの時系列に該当するパラメータに従って集計する。なお、その他の構成および機能は、上述した実施の形態1と同様なので、説明を省略する。
【0037】
続いて、図5とともに、図6を参照しながら、上記構成のデータロガーシステム10Bの動作について説明する。図6は、この発明の実施の形態3に係るデータロガーシステム10Bの動作を示す説明図である。また、上記実施の形態1と同様の動作については、説明を省略する。
【0038】
按分情報保存DB19は、按分情報設定部18により計測データ毎に設定された按分情報(按分比率、演算式)と、その按分情報を有効にする期間を示す期間情報とを、1レコードとして保存する。
【0039】
データ集計部15Bは、データ項目および日時をキーとして、計測データ保存DB12に保存された計測データおよび按分情報保存DB19に保存された按分情報に対して、パラメータ保存DB14に保存され、指定された日時に該当するパラメータを用いた紐付け処理を実行し、集計データを生成する。
【0040】
ここで、この発明の実施の形態3に係るデータロガーシステム10Bに、上述した実施の形態2に示した生産量データ収集部16および生産量データ保存DB17を組み合わせ、計測データ、生産量データおよび按分情報に対して、時系列情報を有するパラメータを用いた紐付け処理を実行することにより、プロセス量を按分して集計することができる。そのため、実計測できない範囲や用途のプロセス量(例えば、エネルギーの使用量)を按分算出することができる。
【0041】
また、按分情報は、期間情報を含むデータとして保存されるので、例えば突発的な組織の再編やフロアレイアウトの変更が発生した場合でも、過去に遡って按分情報を設定することができる。また、将来の組織変更やフロアレイアウトの変更に備えて、あらかじめ未来の按分情報を設定しておくことができる。そのため、按分情報の設定漏れを防止することができ、組織の再編やフロアレイアウトの実体に即した正確なプロセス量を算出することができる。
【0042】
以上のように、実施の形態3によれば、按分情報設定部は、計測データに係る按分情報と、按分情報を有効にする期間を示す期間情報とを併せて設定し、按分情報保存データベースは、按分情報に期間情報を付加して保存する。
そのため、計測データに係る按分情報を、任意のタイミングで設定することができる。
【符号の説明】
【0043】
10、10A、10B データロガーシステム、11 計測データ収集部、12 計測データ保存DB、13 パラメータ設定部、14 パラメータ保存DB、15、15A、15B データ集計部、16 生産量データ収集部、17 生産量データ保存DB、18 按分情報設定部、19 按分情報保存DB。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測されたプロセスデータを所定の周期で収集する計測データ収集部と、
前記計測データ収集部で収集された計測データを、時系列に保存する計測データ保存データベースと、
前記計測データを集計するためのパラメータと、前記パラメータを有効にする期間を示す時系列情報とを併せて設定するパラメータ設定部と、
前記パラメータに前記時系列情報を付加して保存するパラメータ保存データベースと、
前記計測データ保存データベースに保存された計測データを、前記パラメータ保存データベースに保存され、当該計測データの時系列に該当するパラメータに従って集計するデータ集計部と、
を備えたことを特徴とするデータロガーシステム。
【請求項2】
製品の生産量データを所定の周期で収集する生産量データ収集部と、
前記生産量データ収集部で収集された生産量データを、時系列に保存する生産量データ保存データベースと、
をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載のデータロガーシステム。
【請求項3】
前記計測データに係る按分情報と、前記按分情報を有効にする期間を示す期間情報とを併せて設定する按分情報設定部と、
前記按分情報に前記期間情報を付加して保存する按分情報保存データベースと、
をさらに備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のデータロガーシステム。
【請求項4】
計測されたプロセスデータを所定の周期で収集する計測データ収集ステップと、
前記計測データ収集ステップで収集された計測データを、時系列に保存する計測データ保存ステップと、
前記計測データを集計するためのパラメータと、前記パラメータを有効にする期間を示す時系列情報とを併せて設定するパラメータ設定ステップと、
前記パラメータに前記時系列情報を付加して保存するパラメータ保存ステップと、
前記計測データ保存ステップで保存された計測データを、前記パラメータ保存ステップで保存され、当該計測データの時系列に該当するパラメータに従って集計するデータ集計ステップと、
を備えたことを特徴とするデータロギング方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−243192(P2012−243192A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−114601(P2011−114601)
【出願日】平成23年5月23日(2011.5.23)
【出願人】(591036457)三菱電機エンジニアリング株式会社 (419)
【Fターム(参考)】