説明

データ作成装置、基板検査装置およびデータ作成方法

【課題】部品実装基板に対して行う電気的検査において用いる検査用データを作成する際の入力作業の効率を向上させる。
【解決手段】回路基板に電気部品(抵抗器R1〜R8)が実装された部品実装基板における基板の配線(W1〜W7)上に規定されている規定ポイント(P1a〜P7b)の中から選択されて部品実装基板に対して行う電気的検査において電気信号の入出力を行うための検査ポイントを示すポイント情報を含む検査用データを作成する処理部と、配線および電気部品の配置を示す第1配置図を表示部12に表示させる表示制御部とを備え、表示制御部は、第1配置図内に図示されている配線を選択する第1選択操作が行われたときに規定ポイントの配置を示す第2配置図Fbを表示部12に表示させ、その際に、第1選択操作によって選択された配線上に規定されている規定ポイントを他の規定ポイントと識別可能に図示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品実装基板に対して行う電気的検査において電気信号の入出力を行うための検査ポイントを示すポイント情報を含む検査用データを作成するデータ作成装置、基板検査装置およびデータ作成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の基板検査装置として、特開2001−66351号公報に開示された回路基板検査装置が知られている。この回路基板検査装置は、フィクスチャおよび接続計測部を備えて、回路基板における各配線(ランドパターン)や回路基板に実装された電気部品の検査を実行可能に構成されている。この場合、フィクスチャは、配線や電気部品の配置位置に対応して複数のプローブピンが突出形成された下側フィクスチャおよび上側フィクスチャで構成されている。この回路基板検査装置では、下側フィクスチャと上側フィクスチャとの間に回路基板を挟み込むことによって下側フィクスチャのプローブピンを各配線や電気部品の端子などに設定された検査ポイントに接触させ、各検査ポイントの中から指定された検査ポイントに対してプローブピンを介して信号を供給した状態で、接続計測部がプローブピンを介して入力する信号に基づいて各配線の導通検査や絶縁検査、および電気部品の良否検査などを行う。
【0003】
この場合、検査時に信号を供給する検査ポイントを示すデータは、配線や電気部品の大きさ、形状および配置位置などをCADデータやガーバデータに基づいて確認しつつ、検査対象の配線毎および電気部品毎に入力する入力作業によって予め作成されて記憶部に記憶される。このような入力作業を効率的に行わせるため、発明者は、配線や電気部品の配置をCADデータやガーバデータに基づいて特定し、それらが図示された配置図を表示部に表示させる基板検査装置を既に開発している。この基板検査装置では、表示部に表示された配置図を参照しつつ入力作業を行うことができるため、作業効率を向上させることが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−66351号公報(第3−5頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、発明者らが既に開発している上記の基板検査装置には、改善すべき以下の課題がある。すなわち、上記の基板検査装置では、配線や電気部品が図示された配置図を表示させることで、検査ポイントを示すデータの入力作業の効率が向上されている。一方、例えば、検査用のプローブをX−Y−Z方向に移動させて検査ポイントとして設定した配線に接触(プロービング)させるフライングタイプのプローブを用いる基板検査装置においては、配線上において予め規定されている複数のポイントの中から、電気部品とプローブとの接触を回避し得る検査ポイントを探して、そのポイントを検査ポイントとして設定する必要がある。しかしながら、上記の配置図では、配線や電気部品の配置位置を把握することができるものの、この配置図を参照しても、各配線上に規定されているポイントの位置まで把握することが困難なことがある。このため、この基板検査装置には、このような場合において、CADデータ等に基づいて配線上のポイントの位置を把握する作業が発生し、これに起因して作業効率のさらなる向上が困難であるという課題が存在する。
【0006】
本発明は、かかる課題を改善すべくなされたものであり、部品実装基板に対して行う電気的検査において用いる検査用データを作成する際の入力作業の効率を向上し得るデータ作成装置、基板検査装置およびデータ作成方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成すべく請求項1記載のデータ作成装置は、回路基板に電気部品が実装された部品実装基板における当該基板の配線上に規定されている規定ポイントの中から選択されて当該部品実装基板に対して行う電気的検査において電気信号の入出力を行うための検査ポイントを示すポイント情報を含む検査用データを作成する処理部と、前記ポイント情報を入力する操作が可能な操作部と、前記ポイント情報の入力時に参照させる図であって前記配線および前記電気部品の配置を示す第1配置図を表示部に表示させる表示制御部とを備えたデータ作成装置であって、前記操作部は、前記第1配置図内に図示されている前記配線を選択する第1選択操作が可能に構成され、前記表示制御部は、前記第1選択操作が行われたときに前記規定ポイントの配置を示す第2配置図を前記表示部に表示させると共に、当該第2配置図を表示させる際に、前記第1選択操作によって選択された前記配線上に規定されている前記規定ポイントを他の前記規定ポイントと識別可能に図示させる。
【0008】
また、請求項2記載のデータ作成装置は、請求項1記載のデータ作成装置において、前記操作部は、前記第2配置図内に図示されている前記規定ポイントを選択する第2選択操作が可能に構成され、前記処理部は、前記第2選択操作によって選択された前記規定ポイントを示す情報を前記ポイント情報として前記検査用データを作成する。
【0009】
また、請求項3記載のデータ作成装置は、請求項2記載のデータ作成装置において、前記表示制御部は、前記電気的検査の対象となる複数の前記電気部品および当該各電気部品にそれぞれ対応する前記検査ポイントを一覧表として前記表示部に表示させると共に、前記第2選択操作が行われたときに当該第2選択操作によって選択された前記規定ポイントを示す情報を前記ポイント情報として前記一覧表内に表示させる。
【0010】
また、請求項4記載のデータ作成装置は、請求項3記載のデータ作成装置において、前記表示制御部は、前記一覧表内に表示されている前記各電気部品の1つが選択されたときに、当該選択された電気部品と当該電気部品に直接的に接続されている前記配線と当該配線に直接的に接続されている他の前記電気部品との配置を示す前記第1配置図を表示させる。
【0011】
また、請求項5記載の基板検査装置は、請求項1から4のいずれかに記載のデータ作成装置と、当該データ作成装置によって作成された前記検査用データを用いて前記部品実装基板に対する電気的検査を行う検査部とを備えている。
【0012】
また、請求項6記載のデータ作成方法は、回路基板に電気部品が実装された部品実装基板における当該基板の配線上に規定されている規定ポイントの中から選択されて当該部品実装基板に対して行う電気的検査において電気信号の入出力を行うための検査ポイントを示すポイント情報を入力させる際に、前記配線および前記電気部品の配置を示す第1配置図を表示部に表示させ、前記入力されたポイント情報を含む検査用データを作成するデータ作成方法であって、前記第1配置図内に図示されている前記配線を選択する第1選択操作がされたときに、前記規定ポイントの配置を示す第2配置図を前記表示部に表示させると共に、当該第2配置図を表示させる際に、前記第1選択操作によって選択された配線上に規定されている前記規定ポイントを他の前記規定ポイントと識別可能に図示させる。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載のデータ作成装置、および請求項6記載のデータ作成方法では、第1配置図内に図示されている配線を選択する第1選択操作がされたときに、各配線上に予め規定されている規定ポイントの配置を示す第2配置図を表示させると共に、第2配置図の表示の際に、第1選択操作によって選択された配線上において規定されている規定ポイントを他の規定ポイントと識別可能に図示させる。このため、このデータ作成装置およびデータ作成方法によれば、検査ポイントとして設定すべき規定ポイントを複数の規定ポイントの中から選択する際に、選択対象の規定ポイントが設けられている配線を第1選択操作によって選択するだけで第2配置図が表示され、これによってその配線に設けられている規定ポイントがどの位置に配置されているかを一目で把握することができる。したがって、このデータ作成装置およびデータ作成方法によれば、例えば、CADデータ等に基づいて選択対象の規定ポイントの位置を確認する方法と比較して、短時間で検査ポイントとして設定すべき規定ポイントを確実かつ容易に選択することができる結果、検査用データを作成する際のポイント情報の入力作業の効率を十分に向上することができる。
【0014】
また、請求項2記載のデータ作成装置では、処理部が、第2配置図内に図示されている規定ポイントの中から操作部に対する第2選択操作によって選択された規定ポイントを示す情報をポイント情報として検査用データを作成する。このため、このデータ作成装置によれば、キーボード等を用いた入力操作を行うことなくポイント情報を入力することができる結果、作業効率を十分に向上させることができる。また、キーボード等を用いた入力操作を行うことなくポイント情報を入力することができるため、入力操作を行う際のポイント情報の読み間違いや入力操作ミス等に起因するポイント情報の誤入力を回避することができる結果、入力作業を正確に行うことができる。
【0015】
また、請求項3記載のデータ作成装置によれば、複数の電気部品および各電気部品にそれぞれ対応する検査ポイントを一覧表として表示させ、第2選択操作が行われたときに第2選択操作によって選択された規定ポイントを示す情報をポイント情報として一覧表内に表示させることにより、第2選択操作によって選択した規定ポイントを示す情報がポイント情報として入力されたか否か、およびその情報が所望の規定ポイントを示す情報であるか否かなどを一目で容易に確認することができる。
【0016】
また、請求項4記載のデータ作成装置では、表示制御部が、一覧表内に表示されている各電気部品の1つが選択されたときに、選択された電気部品と、その電気部品に直接的に接続されている配線とその配線に直接的に接続されている他の電気部品との配置を示す第1配置図を表示させる。このため、このデータ作成装置によれば、選択した電気部品と配線を介して接続されている他の電気部品との接続状態を一目で確認することができるため、選択した電気部品についての検査ポイントとして設定すべき配線を確実かつ容易に決定することができる。
【0017】
また、請求項5記載の基板検査装置によれば、上記のデータ作成装置を備えたことにより、上記のデータ作成装置が有する効果と同様の効果を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】基板検査装置1の構成を示す構成図である。
【図2】部品実装基板100の構成を示す構成図である。
【図3】表示部12に表示された一覧表T、第1配置図Faおよび第2配置図Fbの表示画面図である。
【図4】基板検査装置1の動作を説明する第1の説明図である。
【図5】基板検査装置1の動作を説明する第2の説明図である。
【図6】基板検査装置1の動作を説明する第3の説明図である。
【図7】基板検査装置1の動作を説明する第4の説明図である。
【図8】基板検査装置1の動作を説明する第5の説明図である。
【図9】基板検査装置1の動作を説明する第6の説明図である。
【図10】基板検査装置1の動作を説明する第7の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、データ作成装置、基板検査装置およびデータ作成方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0020】
最初に、基板検査装置1の構成について説明する。図1に示す基板検査装置1は、基板検査装置の一例であって、部品実装基板100に対する電気的検査を実行可能に構成されている。この場合、部品実装基板100は、図2に示すように、配線W1〜W7(以下、区別しないときには「配線W」ともいう)が形成された回路基板Bと、配線Wに接続されて回路基板Bに実装された電気部品E(例えば、同図に示す抵抗器R1〜R8)とを備えて構成されている。また、各配線W上には、規定ポイントP(例えば、同図に示す規定ポイントP1a,P2a〜P2d,P3a〜P3c,P4a〜P4c,P5a,P5b,P6a,P7a,P7b)が設けられている。この規定ポイントPは、電気部品Eを実装する際に電気部品Eの端子を接続させるため、または、検査部3におけるプローブユニット22のプローブピン31(図1参照)をプロービング(接触)させるためのポイントであって、各配線W毎にその数や位置が予め規定されている。
【0021】
一方、基板検査装置1は、図1に示すように、データ作成装置2および検査部3を備えて構成されている。データ作成装置2は、操作部11、表示部12、記憶部13および制御部14を備えて、部品実装基板100に対して行う電気的検査において用いられる検査用データDtを作成可能に構成されている。
【0022】
操作部11は、キーボード等の入力装置を備え、後述する検査ポイントを示すポイント情報を入力する入力操作が可能に構成されている。また、操作部11は、ポインティングデバイス(一例として、マウス)を備え、後述する第1配置図Fa(図3,5参照)内に図示されている配線Wを選択する第1選択操作や、後述する第2配置図Fb(図3,6,8参照)内に図示されている規定ポイントPを選択する第2選択操作が可能に構成されている。また、操作部11は、上記した入力操作、第1選択操作および第2選択操作が行われたときに、各操作に応じた操作信号を制御部14に対して出力する。
【0023】
表示部12は、制御部14の制御に従い、後述する一覧表T(図3,4,7,9,10参照)、第1配置図Fa(図3,5参照)および第2配置図Fb(図3,6,8参照)などの各種の画像を表示する。記憶部13は、検査用データDtを記憶する。また、記憶部13は、制御部14によって実行される第1表示処理、第2表示処理および第3表示処理において用いられる配線データDaおよび電気部品データDbを記憶する。この場合、配線データDaは、部品実装基板100の各配線Wについての形状や配設位置、および各配線Wに設けられている規定ポイントPの位置を特定可能な例えばガーバデータで構成されている。また、電気部品データDbは、部品実装基板100の各電気部品Eについての種類や規格(例えば、抵抗値の規格値Rs)、および各電気部品Eについての形状や配設位置を特定可能な情報を含んで構成されている。
【0024】
制御部14は、操作部11から出力される操作信号に基づき、各種の処理を実行すると共に、表示部12や検査部3を制御する。また、制御部14は、処理部として機能し、操作部11から出力される操作信号に基づいて検査用データDtを作成して、記憶部13に記憶させる。ここで、検査用データDtは、一例として、検査内容、検査用信号S(電気信号の一例)を供給する検査ポイントとして選択した規定ポイントPを示すポイント情報、ガードポイント(検査用信号SのHi側を供給する規定ポイントPと同電位とするポイント)として機能させる検査ポイントとして選択した規定ポイントPを示すポイント情報、電気部品Eの規格値Rs、および電気部品Eの良否を判定するための良否判定用の基準値(例えば、抵抗値の基準値Rr)などが検査対象の電気部品E毎に記述されて構成されている。
【0025】
また、制御部14は、表示制御部として機能し、第1表示処理を実行して一覧表T(図3,4参照)を表示部12に表示させる。この場合、一覧表Tは、検査用データDtの内容を示す表であって、図4に示すように、検査用データDtに含まれる検査内容、検査ポイント、規格値Rsおよび基準値Rrが電気部品E毎に一覧表形式で並べられて構成されている。
【0026】
また、制御部14は、一覧表Tを表示させている状態において一覧表T内に表示されている各電気部品Eの1つが選択されたときに、第2表示処理を実行して第1配置図Fa(図3,5参照)を表示部12に表示させる。この場合、第1配置図Faは、検査用データDtを作成する際(操作部11に対する入力作業を行う際)に参照させる図であって、図5に示すように、選択された電気部品Eとその電気部品Eに配線Wを介して接続されている他の電気部品Eの配置が図示されると共に、各配線Wの符号や電気部品Eの種類などを示す情報が図示されている。
【0027】
また、制御部14は、第1配置図Fa内に図示されている配線Wを選択する第1選択操作が行われたときには、第3表示処理を実行して第2配置図Fb(図3,6,8参照)を表示部12に表示させる。この場合、第2配置図Fbは、図6に示すように、各配線W上に設けられている(予め規定されている)規定ポイントPの配置を示す図であって、この例では、各配線W上における位置関係、および電気部品Eとの位置関係の把握を容易とするために、各配線W、各電気部品Eおよび各規定ポイントPの配置が図示されると共に、各配線Wの符号、電気部品Eの種類、および規定ポイントPの符号などを示す情報が図示されている。
【0028】
また、制御部14は、第2配置図Fbを表示させる際に、第1選択操作によって選択された配線W上に規定されている規定ポイントPを他の規定ポイントPと識別可能に図示させる(例えば、規定ポイントPを示すマークの色を異ならせて図示させる)。さらに、制御部14は、第2配置図Fb内に図示されている規定ポイントPを選択する第2選択操作が行われたときには、その第2選択操作によって選択された規定ポイントPを示す情報(例えば、規定ポイントPの符号)がポイント情報として入力されたとして検査用データDtを作成すると共に、その配線Wの符号を一覧表T内に表示させる。
【0029】
検査部3は、図1に示すように、基板保持台21、複数のプローブユニット22(同図では、1つのプローブユニット22だけを図示している)、プロービング機構23、スキャナ部24、検査用信号生成部25、および測定部26を備えて構成されている。
【0030】
基板保持台21は、部品実装基板100を保持可能に構成されている。プローブユニット22は、プローブピン31を備えて構成されている。プロービング機構23は、制御部14の制御に従い、プローブユニット22を移動させることによってプロービングを行う。
【0031】
スキャナ部24は、複数のスイッチ(図示せず)を備えて構成され、制御部14の制御に従って各スイッチをオン状態またはオフ状態に移行させることにより、プローブユニット22のプローブピン31と検査用信号生成部25との接断(接続および切断)、およびプローブピン31と測定部26との接断を行う。検査用信号生成部25は、検査用信号S(例えば、直流定電流信号)を生成する。測定部26は、検査用信号Sの供給によって電気部品Eの両端に生じる電圧の電圧値と検査用信号Sの電流値とに基づいて電気部品Eの抵抗値を測定する。
【0032】
次に、基板検査装置1を用いて図2に示す部品実装基板100についての検査用データDtを作成するデータ作成方法、およびその検査用データDtに基づいて基板検査装置1を用いて部品実装基板100を検査する方法について、図面を参照して説明する。
【0033】
検査に先立ち、部品実装基板100についての検査用データDtを作成する。この検査用データDtの作成に当たっては、操作部11を操作して処理の開始を指示する。この際に、操作部11が操作信号を出力し、制御部14が操作信号に従って第1表示処理を実行する。この第1表示処理では、制御部14は、記憶部13から配線データDaおよび電気部品データDbを読み出す。
【0034】
次いで、制御部14は、電気部品データDbに基づき、部品実装基板100における各電気部品Eの種類(名称)、各電気部品Eにそれぞれ対応する検査内容、各電気部品Eについて予め決められている規格値Rs、および基準値Rrを特定する。なお、この例では、制御部14は、基準値Rrを規格値Rsと同じ値に特定している。次いで、制御部14は、これらの情報を電気部品E毎に一覧表形式で並べた一覧表Tを表示させるために必要な画像データを生成する。続いて、制御部14は、生成した画像データを表示部12に出力する。これにより、図3,4に示すように、一覧表Tが表示部12に表示される。
【0035】
次いで、各電気部品Eについての検査ポイントの情報(ポイント情報)を入力する。具体的には、操作部11のキーボードのカーソルキーやマウスを操作して、図4に示すように、一覧表T内に表示されている各電気部品Eの1つ(例えば、抵抗器R1)を選択する。この際に、制御部14は、選択された抵抗器R1について検査ポイントの情報を入力すべき一覧表T内の欄(例えば、同図に示す「検査ポイント」の「Hi側」の欄)にカーソル(同図に示す太枠)を表示させる。
【0036】
次いで、制御部14は、操作部11から出力された操作信号に従って第2表示処理を実行する。この第2表示処理では、制御部14は、記憶部13から読み出した配線データDaおよび電気部品データDbに基づき、一覧表T内に表示されている各電気部品Eの中から選択された電気部品E(この例では、抵抗器R1)と、その抵抗器R1に直接的に接続されている配線W(この例では、配線W1,W2)と、その配線W1,W2に直接的に接続されている他の電気部品E(この例では、配線W1には電気部品Eが接続されておらず、配線W2に抵抗器R2,R6,R7が直接的に接続されている状態における、その抵抗器R2,R6,R7)との配置を示す第1配置図Faを表示させるのに必要な画像データを生成する。続いて、制御部14は、生成した画像データを表示部12に出力する。これにより、図3,5に示すように、第1配置図Faが表示部12に表示される。
【0037】
次いで、第1配置図Faを参照しつつ、抵抗器R1について、検査用信号SのHi側供給用の検査ポイントとすべき規定ポイントPが設けられている配線Wを決定する。この場合、例えば配線W1(図5参照)をこの配線Wとして決定したときには、同図に示すように、第1配置図Fa内に図示されている配線W1(具体的には、配線W1を示す線分の画像、または配線W1を示す符号「W1」の画像)を操作部11のマウスを用いてクリックすることによって選択する第1選択操作を行う。
【0038】
この際に、制御部14は、操作部11から出力された操作信号に従って第3表示処理を実行する。この第3表示処理では、制御部14は、記憶部13から読み出した配線データDaおよび電気部品データDbに基づき、回路基板Bの各配線Wおよび各電気部品E、並びに各配線Wに設けられている各規定ポイントPの配置を示す第2配置図Fb(図6に示す第2配置図Fb1)を表示させるのに必要な画像データを生成する。この場合、制御部14は、第1選択操作によって選択された配線W1上に規定されている規定ポイントP1a(図2参照)を他の規定ポイントPと識別可能に図示させる(例えば、規定ポイントPを示すマークの色を異ならせて図示させる)画像データを生成する。続いて、制御部14は、生成した画像データを表示部12に出力する。これにより、図3,6に示すように、第2配置図Fb1が表示部12に表示される。
【0039】
次いで、第2配置図Fb1を参照しつつ、配線W1上に設けられている規定ポイントPの中の1つを選択する。この例では、1つの規定ポイントP1aだけが配線W1上に設けられているため、この規定ポイントP1aを選択する。具体的には、図6に示すように、第2配置図Fb1内に図示されている規定ポイントP1a(具体的には、規定ポイントP1aを示すマーク、または規定ポイントP1aを示す符号「P1a」の画像)を操作部11のマウスを用いてクリックすることによって選択する第2選択操作を行う。
【0040】
この際に、制御部14は、操作部11から出力された操作信号に従い、第2選択操作によって選択された規定ポイントP1aを示す情報(規定ポイントP1aの符号)がポイント情報として入力されたとして、図7に示すように、その符号を一覧表T内(同図に示す「検査ポイント」の「Hi側」の欄)に表示させる。また、制御部14は、同図に示すように、次の検査ポイントの情報を入力すべき一覧表T内の欄(例えば、同図に示す「検査ポイント」の「Lo側」の欄)にカーソル(同図に示す太枠)を表示させる。
【0041】
次いで、図3,5に示す第1配置図Faを参照しつつ、抵抗器R1についての検査用信号SのLo側供給用の検査ポイントとすべき規定ポイントPが設けられている配線Wを決定する。この場合、例えば配線W2(図5参照)をこの配線Wとして決定したときには、第1配置図Fa内に図示されている配線W2(配線W2を示す線分の画像、または配線W2を示す符号「W2」の画像)を操作部11のマウスを用いてクリックすることによって選択する第1選択操作を行う。
【0042】
この際に、制御部14は、操作部11から出力された操作信号に従って第3表示処理を実行して、各配線W、各電気部品Eおよび各規定ポイントPの配置を示し、かつ第1選択操作によって選択された配線W2上に規定されている規定ポイントP2a〜P2dを他の規定ポイントPと識別可能に図示させる第2配置図Fb(図8に示す第2配置図Fb2)を表示させるのに必要な画像データを生成して表示部12に出力する。これにより、同図に示すように、第2配置図Fb2が表示部12に表示される。
【0043】
次いで、図8に示す第2配置図Fb2を参照しつつ、配線W2上に設けられている規定ポイントPの中の1つを選択する。この例では、配線W1上に設けられている選択対象の4つの規定ポイントP2a〜P2dを示すマークが他の規定ポイントPを示すマークとは異なる色で第2配置図Fb2内に図示されているため、規定ポイントP2a〜P2dを容易に識別することができ、これによって規定ポイントP2a〜P2dがどの位置に配置されているかを一目で把握することができる。このため、CADデータ等に基づいて選択対象の規定ポイントPの位置を確認する構成および方法と比較して、短時間で検査ポイントとして設定すべき規定ポイントPを容易に選択することができる。また、この第2配置図Fb2では、配線Wおよび電気部品Eが規定ポイントPと共に図示されているため、プロービング時におけるプローブユニット22(プローブピン31)と電気部品Eとの接触の回避を考慮しつつ、検査ポイントとすべき規定ポイントPを第2配置図Fb2から容易に選択することができる。
【0044】
この場合、検査用信号SのLo側供給用の検査ポイントとすべき規定ポイントPとして、例えば規定ポイントP2aを選択したときには、図8に示すように、第2配置図Fb2内に図示されている規定ポイントP2a(具体的には、規定ポイントP2aを示すマーク、または規定ポイントP2aを示す符号「P2a」の画像)を操作部11のマウスを用いてクリックする第2選択操作を行う。
【0045】
この際に、制御部14は、操作部11から出力された操作信号に従い、第2選択操作によって選択された規定ポイントP2aを示す情報(規定ポイントP2aの符号)がポイント情報として入力されたとして、図9に示すように、その符号を一覧表T内における「検査ポイント」の「Lo側」の欄に表示させる。また、制御部14は、次の検査ポイントの情報を入力すべき一覧表T内の欄(例えば、同図に示す「検査ポイント」の「ガードP」の欄)にカーソルを表示させる。
【0046】
この場合、抵抗器R1についてのガードポイントとして設定すべき検査ポイント(規定ポイントP)が存在しないときには、抵抗器R1についての検査ポイントの入力を終了し、次いで、一覧表T内に表示されている各電気部品Eの他の1つ(例えば、抵抗器R2)を選択する。この際に、制御部14は、上記した第2表示処理を実行して、選択された抵抗器R2と、抵抗器R2に直接的に接続されている配線W2,W3と、配線W2,W3に直接的に接続されている抵抗器R1,R3,R4,R6,R7(いずれも図2参照)との配置を示す第1配置図Faを表示部12に表示させる。次いで、制御部14は、抵抗器R2についての検査ポイントとすべき規定ポイントPが設けられている配線Wが第1選択操作によって選択されたときには、第3表示処理を実行して、第2配置図Fb2を表示部12に表示させる。また、制御部14は、検査ポイントとすべき規定ポイントPが第2選択操作によって選択されたときには、上記したように、選択された規定ポイントPの符号を一覧表T内に表示させる。
【0047】
以下、同様にして、一覧表T内に表示されている各電気部品Eを1つずつ選択し、各電気部品Eについての検査ポイントとすべき配線Wを第1選択操作および第2選択操作によって選択する。これにより、制御部14が、図10に示すように、選択された配線Wの符号を一覧表T内に表示させる。以上により、各電気部品Eについてのポイント情報の入力が終了する。次いで、制御部14は、上記のようにして入力された検査ポイントの情報を含む検査用データDtを作成して記憶部13に記憶させる。以上により、部品実装基板100についての検査用データDtの作成が終了する。
【0048】
次に、部品実装基板100の検査を行う。具体的には、部品実装基板100を検査部3の基板保持台21に載置して保持させる。続いて、操作部11を操作して、検査の開始を指示する。この際に、制御部14が、操作部11から出力された操作信号に従い、検査処理を実行する。この検査処理では、制御部14は、記憶部13から検査用データDtを読み出し、続いて、検査用データDtに基づき、最初に検査する電気部品E(例えば、図2に示す抵抗器R1)についての検査ポイントを特定する。
【0049】
次いで、制御部14は、検査部3のプロービング機構23を制御して各プローブユニット22を移動させ、特定した検査ポイントとしての規定ポイントPに対するプロービングを行わせる。ここで、この基板検査装置1では、上記したように、検査ポイントとする規定ポイントPを選択する際に、プロービング時におけるプローブユニット22(プローブピン31)と部品実装基板100の電気部品Eとの接触の回避が考慮されている。このため、この基板検査装置1では、プローブユニット22と電気部品Eとが接触することなく、検査ポイントとしての規定ポイントPに対してプローブピン31が確実にプロービングされる。
【0050】
次いで、制御部14は、検査部3の検査用信号生成部25を制御して検査用信号Sを生成させる。続いて、制御部14は、検査部3のスキャナ部24を制御して、検査ポイントとして設定されている規定ポイントP(この例では、配線W1の規定ポイントP1aおよび配線W2の規定ポイントP2a)に接触しているプローブピン31と検査用信号生成部25および測定部26とを接続する。これにより、検査用信号生成部25によって生成された検査用信号Sが規定ポイントP1a,P2a間に供給される。
【0051】
次いで、測定部26が検査用信号Sの供給によって生じる規定ポイントP1a,P2a間の電圧の電圧値と検査用信号Sの電流値とに基づいて抵抗値を測定する。続いて、制御部14が、測定部26によって測定された測定値と、検査用データDtに含まれている良否判定用の基準値Rrとを比較して、抵抗器R1の良否を判定する。次いで、制御部14は、上記した各処理を実行して、他の電気部品Eに対する検査を実行する。また、制御部14は、各電気部品Eについての判定結果を表示部12に表示させる。
【0052】
このように、この基板検査装置1、データ作成装置2およびデータ作成方法では、第1配置図Fa内に図示されている配線Wを選択する第1選択操作がされたときに、各配線W上に予め規定されている規定ポイントPの配置を示す第2配置図Fbを表示させると共に、第2配置図Fbの表示の際に、第1選択操作によって選択された配線W上において規定されている規定ポイントPを他の規定ポイントPと識別可能に図示させる。このため、この基板検査装置1、データ作成装置2およびデータ作成方法によれば、検査ポイントとして設定すべき規定ポイントPを複数の規定ポイントPの中から選択する際に、選択対象の規定ポイントPが設けられている配線Wを第1選択操作によって選択するだけで第2配置図Fbが表示され、これによってその配線Wに設けられている規定ポイントPがどの位置に配置されているかを一目で把握することができる。したがって、この基板検査装置1、データ作成装置2およびデータ作成方法によれば、CADデータ等に基づいて選択対象の規定ポイントPの位置を確認する方法と比較して、短時間で検査ポイントとして設定すべき規定ポイントPを確実かつ容易に選択することができる結果、検査用データDtを作成する際のポイント情報の入力作業の効率を十分に向上することができる。
【0053】
また、この基板検査装置1、データ作成装置2およびデータ作成方法では、第2配置図Fb内に図示されている規定ポイントPの中から第2選択操作によって選択された規定ポイントPを示す情報(規定ポイントPの符号)をポイント情報として検査用データDtを作成する。このため、この基板検査装置1、データ作成装置2およびデータ作成方法によれば、キーボード等を用いた入力操作を行うことなくポイント情報を入力することができる結果、作業効率を十分に向上させることができる。また、キーボード等を用いた入力操作を行うことなくポイント情報を入力することができるため、入力操作を行う際のポイント情報の読み間違いや入力操作ミス等に起因するポイント情報の誤入力を回避することができる結果、入力作業を正確に行うことができる。
【0054】
また、この基板検査装置1、データ作成装置2およびデータ作成方法によれば、各電気部品Eおよび各電気部品Eにそれぞれ対応する検査ポイントを一覧表Tとして表示し、第2選択操作が行われたときに第2選択操作によって選択された規定ポイントPの情報(規定ポイントPの符号)をポイント情報として一覧表T内に表示させることにより、第2選択操作によって選択した規定ポイントPの情報がポイント情報として入力されたか否か、およびその情報が所望の規定ポイントPの情報であるか否かなどを一目で容易に確認することができる。
【0055】
また、この基板検査装置1、データ作成装置2およびデータ作成方法では、一覧表T内に表示されている各電気部品Eの1つが選択されたときに、選択された電気部品Eと、その電気部品Eに直接的に接続されている配線Wとその配線Wに直接的に接続されている他の電気部品Eとの配置を示す第1配置図Faを表示させる。このため、この基板検査装置1、データ作成装置2およびデータ作成方法では、選択した電気部品Eと配線Wを介して接続されている他の電気部品Eとの接続状態を一目で確認することができるため、選択した電気部品Eについての検査ポイントとして設定すべき配線Wを確実かつ容易に決定することができる。
【0056】
なお、基板検査装置1(データ作成装置2)およびデータ作成方法は、上記の構成および方法に限定されない。例えば、図3〜9に示す一覧表T、第1配置図Faおよび第2配置図Fbの表示形態(例えば、一覧表T内に表示させる項目、第1配置図Fa内に図示させる電気部品Eの数、および第2配置図Fb内に配線Wや電気部品Eを図示させるか否かなど)は一例であって、適宜変更することができる。
【0057】
また、第2配置図Fbを表示させる際に、第1選択操作によって選択された配線W上において規定されている規定ポイントPを他の規定ポイントPと識別可能に図示させる表示形態の一例として、規定ポイントPを示すマークの色を異ならせる表示形態を例に挙げたが、例えば、規定ポイントPを示すマークの形状を異ならせたり、規定ポイントPを示すマークを円で囲んだり、規定ポイントPを示すマークの近傍にさらに別のマークを図示(表示)したりする表示形態を採用することもできる。
【0058】
また、上記の例では、一覧表T、第1配置図Faおよび第2配置図Fbを表示部12の一画面内に並べて同時に表示させているが(図3参照)、一覧表T、第1配置図Faおよび第2配置図Fbを切り替えて表示させる構成および方法を採用することもできる。
【符号の説明】
【0059】
1 基板検査装置
2 データ作成装置
3 検査部
11 操作部
12 表示部
14 制御部
100 部品実装基板
B 回路基板
Dt 検査用データ
E 電気部品
Fa 第1配置図
Fb 第2配置図
P 規定ポイント
S 検査用信号
T 一覧表
W1〜W7 配線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板に電気部品が実装された部品実装基板における当該基板の配線上に規定されている規定ポイントの中から選択されて当該部品実装基板に対して行う電気的検査において電気信号の入出力を行うための検査ポイントを示すポイント情報を含む検査用データを作成する処理部と、前記ポイント情報を入力する操作が可能な操作部と、前記ポイント情報の入力時に参照させる図であって前記配線および前記電気部品の配置を示す第1配置図を表示部に表示させる表示制御部とを備えたデータ作成装置であって、
前記操作部は、前記第1配置図内に図示されている前記配線を選択する第1選択操作が可能に構成され、
前記表示制御部は、前記第1選択操作が行われたときに前記規定ポイントの配置を示す第2配置図を前記表示部に表示させると共に、当該第2配置図を表示させる際に、前記第1選択操作によって選択された前記配線上に規定されている前記規定ポイントを他の前記規定ポイントと識別可能に図示させるデータ作成装置。
【請求項2】
前記操作部は、前記第2配置図内に図示されている前記規定ポイントを選択する第2選択操作が可能に構成され、
前記処理部は、前記第2選択操作によって選択された前記規定ポイントを示す情報を前記ポイント情報として前記検査用データを作成する請求項1記載のデータ作成装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記電気的検査の対象となる複数の前記電気部品および当該各電気部品にそれぞれ対応する前記検査ポイントを一覧表として前記表示部に表示させると共に、前記第2選択操作が行われたときに当該第2選択操作によって選択された前記規定ポイントを示す情報を前記ポイント情報として前記一覧表内に表示させる請求項2記載のデータ作成装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記一覧表内に表示されている前記各電気部品の1つが選択されたときに、当該選択された電気部品と当該電気部品に直接的に接続されている前記配線と当該配線に直接的に接続されている他の前記電気部品との配置を示す前記第1配置図を表示させる請求項3記載のデータ作成装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載のデータ作成装置と、当該データ作成装置によって作成された前記検査用データを用いて前記部品実装基板に対する電気的検査を行う検査部とを備えている基板検査装置。
【請求項6】
回路基板に電気部品が実装された部品実装基板における当該基板の配線上に規定されている規定ポイントの中から選択されて当該部品実装基板に対して行う電気的検査において電気信号の入出力を行うための検査ポイントを示すポイント情報を入力させる際に、前記配線および前記電気部品の配置を示す第1配置図を表示部に表示させ、前記入力されたポイント情報を含む検査用データを作成するデータ作成方法であって、
前記第1配置図内に図示されている前記配線を選択する第1選択操作がされたときに、前記規定ポイントの配置を示す第2配置図を前記表示部に表示させると共に、当該第2配置図を表示させる際に、前記第1選択操作によって選択された配線上に規定されている前記規定ポイントを他の前記規定ポイントと識別可能に図示させるデータ作成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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