説明

データ処理装置

【課題】
データに対して圧縮・伸長処理ごとに費やされる処理時間を短縮でき、最後の画像処理が施されたデータを高圧縮率で圧縮することにより、画像形成装置への送信時間を短縮することが可能なデータ処理装置の提供。
【解決手段】
所定の形式で圧縮されたデータを伸長するとともに、伸長されたデータに対し画像処理を施すデータ処理装置であって、画像処理が施されたデータを第1の圧縮率又は第1の圧縮率よりも圧縮率が高い第2の圧縮率で圧縮する圧縮部と、第1の圧縮率又は第2の圧縮率の何れかの圧縮率でデータを圧縮するかを判断する判断部と、判断部による判断結果に基づき圧縮部を制御する圧縮制御部とを備え、判断部はデータに対して継続する画像処理があるか否かに基づいて第1の圧縮率又は第2の圧縮率の何れかの圧縮率でデータを圧縮するかを判断するデータ処理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデータ処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、ワープロソフトなどの特定のアプリケーションで作成された印刷データをビットマップに展開するホストコンピュータ等の外部装置と、当該外部装置から送信されたビットマップデータを受信して印刷動作を行う、例えば、プリンタなどの画像形成装置と、から構成されるホストベース印刷システムにおいて、ビットマップデータのエンコードにかかる時間を短縮し、印刷パフォーマンスを向上させることを目的とした印刷システムがあった(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−114778号公報
【0004】
特許文献1記載の印刷システムにおいて、外部装置はインタフェースのデータ転送速度を計測し、計測されたデータ転送速度に基づいて印刷に成功し、かつ、最も圧縮率の低い圧縮方法を自動的に選択する。そして、外部装置は選択された圧縮方法でビットマップデータを圧縮するとともに、圧縮されたビットマップデータを画像形成装置に送信する。画像形成装置は受信したビットマップデータを所定の印刷言語に翻訳し、印刷エンジン部に出力することで印刷を実行する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の外部装置においては、一旦、画像処理が施されたデータに対してさらに画像処理を施す場合、高い圧縮率でデータを圧縮すると、圧縮・伸長処理ごとに長い処理時間を要するといった問題があった。また、最後の画像処理が施されたデータが低い圧縮率で圧縮されると、巨大なデータサイズの圧縮データが画像形成装置に送信されるため、送信時間が増加するといった問題もあった。
【0006】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、データに対して施される画像処理の処理数に基づき好適な圧縮率を選択することで、圧縮・伸長処理ごと費やされる処理時間を短縮するとともに、最後の画像処理が施されたデータを高い圧縮率で圧縮することにより、画像形成装置への送信時間を短縮することが可能なデータ処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明にかかるデータ処理装置は、所定の形式で圧縮されたデータを伸長するとともに、伸長されたデータに対して画像処理を施すデータ処理装置であって、画像処理が施されたデータを第1の圧縮率又は第1の圧縮率よりも圧縮率が高い第2の圧縮率で圧縮する圧縮部と、第1の圧縮率又は第2の圧縮率の何れかの圧縮率でデータを圧縮するかを判断する判断部と、判断部による判断結果に基づき圧縮部を制御する圧縮制御部とを備え、判断部はデータに対して継続する画像処理があるか否かに基づいて第1の圧縮率又は第2の圧縮率の何れかの圧縮率でデータを圧縮するかを判断することを特徴とする。
【0008】
また、本発明にかかるデータ処理装置は、所定の形式で圧縮されたデータを伸長するとともに、伸長されたデータに対して画像処理を施すデータ処理装置であって、画像処理が施されたデータを第1の圧縮率、第1の圧縮率よりも圧縮率が高い第2の圧縮率、又は第1の圧縮率よりも高く第2の圧縮率よりも低い圧縮率である第3の圧縮率で圧縮する圧縮部と、第1の圧縮率、第2の圧縮率、又は第3の圧縮率の何れかの圧縮率でデータを圧縮するかを判断する判断部と、判断部による判断結果に基づき圧縮部を制御する圧縮制御部とを備え、判断部はデータに対して継続する画像処理があるか否かに基づいて第1の圧縮率、第2の圧縮率、又は第3の圧縮率の何れかの圧縮率でデータを圧縮するかを判断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明のデータ処理装置によれば、データに対して施される画像処理の処理数に基づき好適な圧縮率を選択することで、圧縮・伸長処理ごと費やされる処理時間を短縮するとともに、最後の画像処理が施されたデータを高い圧縮率で圧縮することにより、画像形成装置への送信時間を短縮することが可能なデータ処理装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、本発明は以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨に逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0011】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態にかかるデータ処理装置10において、主に印刷機能にかかる制御系の構成を説明する機能ブロック図である。データ処理装置10は、例えば、サーバ又はクライアントとして機能するものであり、印刷データ及び制御コードからなる印刷情報を図示せぬ画像形成装置に出力するものである。なお、データ処理装置10は、図示せぬ入力デバイスであるキーボードやポインティングデバイスであるマウス、表示デバイスとしてのディスプレイモニタ等を装備した一つのコンピュータシステムとして構成されており、所定の基本OS(Operating System)100の下で動作するものとする。
【0012】
本発明の実施形態においては、基本OS100の下、アプリケーション101と、プリンタドライバ120と、が実質的に動作することでその機能が発現される。
【0013】
アプリケーション101は、例えば、ワープロや表計算などのアプリケーションソフトウェアであり、基本OS100上で動作する。また、アプリケーション101は、ユーザにより作成されたアプリケーションデータの印刷実行命令を受付ける。
【0014】
プリンタ選択部102は、アプリケーション101から印刷を実行させる際に、ユーザによる印刷に使用する画像形成装置の選択を受け付ける。
【0015】
例えば、アプリケーション101を使用して作成されたアプリケーションデータを印刷する場合、まず、ユーザは図示せぬマウス等のポインティングデバイスによって、図示せぬディスプレイモニタに表示される印刷メニューを選択する。すると、プリンタ選択部102は、当該アプリケーションデータを印刷可能な画像形成装置としての候補プリンタを図示せぬディスプレイモニタに表示させるとともに、ユーザにより使用されるプリンタの選択を受付ける。ユーザにより適当なプリンタが選択されると、アプリケーション101は、スプールファイル103を作成し、当該スプールファイル103をプリンタドライバ120に対して送信する。
【0016】
スプールファイル103は、ヘッダ131、設定データ132、印刷データ133から構成されており、所定の圧縮形式により圧縮された状態でプリンタドライバ120に送信される。
【0017】
ヘッダ131は、ユーザによりプリンタ選択部102を介して選択されたプリンタの印刷設定情報等の印刷先プリンタ情報141を備える。
【0018】
印刷データ133は、例えば、ユーザによりプリンタ選択部102を介して選択されたプリンタが備える印刷エンジンに出力される印刷データである。
【0019】
設定データ132は、ウォータマーク情報142、スケール情報143、マルチページ情報144を備える。ウォータマーク情報142は、印刷データ133に対して追加されるウォータマークの文字情報151、位置情報152、色情報153から構成されている。また、スケール情報143は、印刷データ133に対して適用される拡大・縮小処理に関する拡大率情報154から構成されている。さらに、マルチページ情報144は、一枚の記録媒体に対して何ページ分の印刷データ133を印刷エンジンに印刷させるかを示すNup情報155から構成されている。
【0020】
次に、プリンタドライバ120について説明する。プリンタドライバ120は、受信制御部104と、解凍部105と、判断部106と、WatermarkFilter107と、NupFilter108と、ScaleFilter109と、圧縮制御部110と、低圧縮部111と、高圧縮部112と、送信部113と、を備える。
【0021】
受信制御部104は、アプリケーション101において作成されたスプールファイル103の受信を制御するとともに、受信したスプールファイル103を解凍部105に転送する。
【0022】
解凍部105は、圧縮されたスプールファイル103を伸長、つまり解凍することで元のサイズのスプールファイル103を生成する。
【0023】
判断部106は、解凍部105により解凍されたスプールファイル103のヘッダ131が備える印刷先プリンタ情報141を参照するとともに、フィルタ設定ファイル114を取得して、画像処理機能を有するフィルタ処理を実行する順番を判断する。また、判断部106は、フィルタ処理を実行した後に再度圧縮する際の圧縮率を判断する。
【0024】
ここで、フィルタ設定ファイル114について図2を用いて説明する。フィルタ設定ファイル114には、適用される画像処理の順番が記述されており、図2の例では、最初にWatermarkFilter107で画像処理を実行し、次いでNupFilter108、ScaleFilter109の順で画像処理が実行されることが設定されている。なお、フィルタ設定ファイル114は、プリンタドライバ毎に設定されている。
【0025】
WatermarkFilter107は、スプールファイル103の設定データ132が備えるウォータマーク情報142を参照し、印刷データ133に対してウォータマークを追加する画像処理機能である。
【0026】
NupFilter108は、スプールファイル103の設定データ132が備えるマルチページ情報144を参照し、印刷データ133に対してマルチページ処理を行う画像処理機能である。
【0027】
ScaleFilter109は、スプールファイル103の設定データ132が備えるスケール情報143を参照し、印刷データ133に対して拡大・縮小処理を行う画像処理機能である。
【0028】
圧縮制御部110は判断部106により判断された圧縮率に基づき、低圧縮部111又は高圧縮部1123を制御する。
【0029】
低圧縮部111は圧縮制御部110による制御に基づき、画像処理が施された印刷データ133を低圧縮率で圧縮する。また、高圧縮部112は圧縮制御部110による制御基づき、画像処理が施された印刷データ133を高圧縮率で圧縮する。なお、低圧縮部111及び高圧縮部112には、圧縮率の選択が容易であるZIP形式を使用するのが望ましい。
【0030】
送信部113は、低圧縮部111又は高圧縮部112の何れかにおいて圧縮された印刷データ133をプリンタに送信する。
【0031】
次に、本実施形態にかかるデータ処理装置10による印刷実行時の動作について図3のフローチャートを用いて説明する。
【0032】
まず、ステップS11において、ユーザによりプリンタ選択部102を介して印刷を実行させるプリンタが選択され、印刷実行命令が入力される(ステップS12)。
【0033】
印刷実行命令が入力されると、アプリケーション101はスプールファイル103を作成するとともに、当該スプールファイル103を圧縮してプリンタドライバ120に送信する。
【0034】
ステップS13において、圧縮されたスプールファイル103を受信したプリンタドライバ120の受信制御部104は受信したスプールファイル103を解凍部105に転送する。
【0035】
解凍部105は受信制御部104から転送されたスプールファイル103を解凍する(ステップS14)。なお、解凍されたスプールファイル103は、ヘッダ131、設定データ132、印刷データ133から構成されている。
【0036】
次に、判断部106は解凍部105により解凍されたスプールファイル103のヘッダ131が備える印刷先プリンタ情報141を参照するとともに、フィルタ設定ファイル113を取得する(ステップS15)。図2を一例とすると、判断部106は、実行するフィルタ処理の順番をWatermarkFilter107、NupFilter108、ScaleFilter109と判断する。
【0037】
そして、判断部106は実行する画像処理が最後の画像処理であるか否かを判断する(ステップS16)。この段階においては、最初に実行される画像処理はWatermarkFilter107であり、NupFilter108、ScaleFilter109にかかる処理が残っているため、判断部106は実行される画像処理は最後の画像処理ではないと判断する(ステップS16 No)。
【0038】
次に、ステップS17において、プリンタドライバ120は印刷データ131に対してWatermarkFilter107を実行する。WatermarkFilter107が実行される際には、設定データ132中のウォータマーク情報142が備える文字列情報151、位置情報152、色情報153が参照され、これらの情報に基づいたウォータマークが印刷データ133に追加される。
【0039】
印刷データ133に対して画像処理が施されると、圧縮制御部110は、印刷データ133を低い圧縮率で圧縮するように低圧縮部111を制御する。圧縮制御部110による制御により低圧縮部111は、印刷データ133を低圧縮率で圧縮する(ステップS18)。
【0040】
そして、判断部106は次に実行する画像処理が最後の画像処理であるか否かを判断する(ステップS16)。この段階においては、実行される画像処理はNupFilter108であり、ScaleFilter109にかかる処理が残っているため、判断部106は実行される画像処理は最後の画像処理ではないと判断する(ステップS16 No)。
【0041】
次に、ステップS17において、プリンタドライバ120は印刷データ131に対してNupFilter108を実行する。NupFilter108が実行される際には、設定データ132中のマルチページ情報144のNup情報155が参照され、これらの情報に基づいたマルチページ処理が印刷データ133に施される。
【0042】
印刷データ133に対して画像処理が施されると、圧縮制御部110は、印刷データ133を低い圧縮率で圧縮するように低圧縮部111を制御する。圧縮制御部110による制御により低圧縮部111は、印刷データ133を低圧縮率で圧縮する(ステップS18)。
【0043】
そして、判断部106は次に実行する画像処理が最後の画像処理であるか否かを判断する(ステップS16)。この段階においては、実行される画像処理はScaleFilter109であり、この処理が最後の画像処理であるため、判断部106は実行される画像処理は最後の画像処理であると判断する(ステップS16 Yes)。
【0044】
次に、ステップS19において、プリンタドライバ120は印刷データ131に対してScaleFilter109を実行する。ScaleFilter109が実行される際には、設定データ132中のスケール情報143の拡大率情報154が参照され、これらの情報に基づいた拡大・縮小処理が印刷データ133に施される。
【0045】
印刷データ133に対して画像処理が施されると、圧縮制御部110は、印刷データ133を高い圧縮率で圧縮するように高圧縮部112を制御する。圧縮制御部110による制御により高圧縮部112は、印刷データ133を高圧縮率で圧縮する(ステップS20)。
【0046】
高圧縮部112による圧縮処理が終了すると、送信部113は圧縮した印刷データ133をプリンタに送信し、一連の処理は終了する。
【0047】
次に、上記WatermarkFilter107、NupFilter108、ScaleFilter109の各画像処理について説明する。WatermarkFilter107、NupFilter108、ScaleFilter109では、圧縮された印刷データが一旦所定の分割数に分割され、分割されたデータ領域毎に解凍、画像処理、圧縮が施される。これは、圧縮された印刷データの全てを一度に解凍するとメモリ使用量が膨大となり、処理に時間を要する、又は実質的に処理が実行できない可能性があるためである。
【0048】
図4は、本実施形態の画像処理にかかるメモリ使用量をイメージ化した図である。ここで、図4(a)中のその他301は、他のアプリケーションで使用中のメモリ領域を表す。また、圧縮データ302は、圧縮された印刷データ133が使用しているメモリ領域を表し、空303は、空きのメモリ領域を表す。本実施形態においては、図4(b)に示すように、圧縮データ302を3分割にする(圧縮データ311、圧縮データ312、圧縮データ313)。次に、圧縮データ311を解凍し、解凍データ321とする(図4(c))。そして、解凍データ321に対して画像処理を施し、再度圧縮することで圧縮データ331とする。圧縮データ312、圧縮データ313に対しても同様に、解凍、画像処理、再圧縮を行うことで、図4(d)に示す圧縮データ331、圧縮データ332、圧縮データ333が生成される。このように、分割した圧縮データ毎に解凍、画像処理、圧縮を行うことでメモリ使用量を最小限に抑えることができる。
【0049】
なお、マルチページ処理のように、複数ページを一枚の記録媒体に印刷するような画像処理においては、印刷データ133の構成が変わるため、解凍を行った特定の印刷データに対して、WatermarkFilter107、NupFilter108、ScaleFilter109にかかる画像処理を一度に施すことはできない点に留意する。
【0050】
図5は、本実施形態にかかる画像処理が施された印刷データの一例を説明する図である。図5においては、画像処理前の1ページ目の印刷データ401、画像処理前の2ページ目の印刷データ402に対して画像処理を施す例について説明する。
【0051】
前述したように、まず、印刷データ401は印刷データ403、印刷データ404、印刷データ405に分割され、印刷データ402は印刷データ406、印刷データ407、印刷データ408に分割される。そして、まず、分割されたそれぞれの印刷データに対してウォータマークが追加され、印刷データ411及び印刷データ412が生成される。
【0052】
さらに、ウォータマークが追加された印刷データ411は印刷データ413、印刷データ414、印刷データ415に分割され、同様に印刷データ412は印刷データ416、印刷データ417、印刷データ418に分割される。そして、1枚の記録媒体に印刷データ411及び印刷データ412の2ページ分の印刷データを印刷するマルチページ処理が施され、分割された印刷データ422、423、424、425、426からなる印刷でー他421が生成する。
【0053】
そして、印刷データ421は印刷データ428、429、430に分割され、分割されたそれぞれの印刷データに対して縮小処理が施され、最終的に印刷データ431が生成する。
【0054】
図5における画像処理にかかる時間経緯を表したのが図6のタイムテーブルである。なお、図6においては、本発明にかかる実施形態と従来技術とを比較するため、画像処理毎に高圧縮率で印刷データを圧縮する場合についても併せて表示した。
【0055】
図6に示すように、従来技術においては、画像処理毎に高い圧縮率で印刷データが圧縮されるため、本発明の実施形態と比較して印刷データの圧縮・解凍に長い時間を要することが分かる。これに対し本発明の実施形態においては、印刷データに適用する画像処理が最後の画像処理でない場合に、低い圧縮率をもって印刷データを圧縮するため、従来技術と比較して印刷データの圧縮・解凍に長い時間を要することがない。その結果、画像処理全体にかかる所要時間を短縮することができる。
【0056】
以上のように、第1の実施形態によれば、画像処理を施した印刷データに対してさらに画像処理を施す場合には、印刷データは低い圧縮率で圧縮されるため、画像処理にかかる所要時間を短縮することができる。また、印刷データに対して適用される画像処理が最後である場合、画像処理後の印刷データは高い圧縮率で圧縮されるため、ネットワーク等を介しての印刷データの送信時間を削減することができる。
【0057】
[第2の実施形態]
第2の実施形態にかかるデータ処理装置20の構成は、第1の実施形態にかかるデータ処理装置10の構成と略同一である。したがって、同一な箇所には同一の符号を付して説明を省略し、異なる箇所について説明する。
【0058】
図7は、第2の実施形態にかかるデータ処理装置20において、主に印刷機能にかかる制御系の構成を説明する機能ブロック図である。データ処理装置20は、第1の実施形態にかかるデータ処理装置10の構成に加え、中圧縮部216と、メモリ測定部217とを備える。
【0059】
中圧縮部216は圧縮制御部110の制御に基づき、画像処理が施された印刷データ133を中圧縮率で圧縮する。なお、中圧縮率とは、第1の実施形態において説明した低圧縮部111に適用される圧縮率よりも高い圧縮率であるとともに、高圧縮部112に適用される圧縮率よりも低い圧縮率を表す。
【0060】
メモリ測定部217は、画像処理時における空きメモリ量を測定し、当該測定結果を圧縮制御部110に通知する。
【0061】
次に、本実施形態にかかるデータ処理装置20による印刷実行時の動作について図8のフローチャートを用いて説明する。
【0062】
まず、ステップS31において、ユーザによりプリンタ選択部102を介して印刷を実行させるプリンタが選択され、印刷実行命令が入力される(ステップS32)。
【0063】
印刷実行命令が入力されると、アプリケーション101はスプールファイル103を作成するとともに、当該スプールファイル103を圧縮してプリンタドライバ120に送信する。
【0064】
ステップS33において、圧縮されたスプールファイル103を受信したプリンタドライバ120の受信制御部104は受信したスプールファイル103を解凍部105に転送する。
【0065】
解凍部105は受信制御部104から転送されたスプールファイル103を解凍する(ステップS34)。なお、解凍されたスプールファイル103は、ヘッダ131、設定データ132、印刷データ133から構成されている。
【0066】
次に、判断部106は解凍部105により解凍されたスプールファイル103のヘッダ131が備える印刷先プリンタ情報141を参照するとともに、フィルタ設定ファイル113を取得する(ステップS35)。図2を一例とすると、判断部106は、実行するフィルタ処理の順番をWatermarkFilter107、NupFilter108、ScaleFilter109と判断する。
【0067】
そして、判断部106は実行する画像処理が最後の画像処理であるか否かを判断する(ステップS36)。この段階においては、最初に実行される画像処理はWatermarkFilter107であり、NupFilter108、ScaleFilter109にかかる処理が残っているため、判断部106は実行される画像処理は最後の画像処理ではないと判断する(ステップS36 No)。
【0068】
次に、ステップS37において、プリンタドライバ220は印刷データ131に対してWatermarkFilter107を実行する。WatermarkFilter107が実行される際には、設定データ132中のウォータマーク情報142が備える文字列情報151、位置情報152、色情報153が参照され、これらの情報に基づいたウォータマークが印刷データ133に追加される。
【0069】
印刷データ133にウォータマークが追加されると、メモリ測定部217は空きメモリ量を測定するとともに、当該測定結果を圧縮制御部110に通知する(ステップS38)。
【0070】
メモリ測定部217により測定結果の通知を受けた圧縮制御部110は画像処理が施された印刷データ133を低圧縮率で圧縮するか、あるいは中圧縮率で圧縮するかを判断する。この場合、空きメモリ容量が少ないとすると(ステップS39 Yes)、圧縮制御部110は印刷データ133を中圧縮率で圧縮するように中圧縮部216を制御する。圧縮制御部110による制御により中圧縮部217は、印刷データ133を中圧縮率で圧縮する(ステップ41)
【0071】
そして、判断部106は次に実行する画像処理が最後の画像処理であるか否かを判断する(ステップS36)。この段階においては、実行される画像処理はNupFilter108であり、ScaleFilter109にかかる処理が残っているため、判断部106は実行される画像処理は最後の画像処理ではないと判断する(ステップS36 No)。
【0072】
次に、ステップS37において、プリンタドライバ220は印刷データ131に対してNupFilter108を実行する。NupFilter108が実行される際には、設定データ132中のマルチページ情報144のNup情報155が参照され、これらの情報に基づいたマルチページ処理が印刷データ133に施される。
【0073】
印刷データ133にマルチページ処理が施されると、メモリ測定部217は空きメモリ量を測定するとともに、当該測定結果を圧縮制御部110に通知する(ステップS38)。
【0074】
メモリ測定部217により測定結果の通知を受けた圧縮制御部110は画像処理が施された印刷データ133を低圧縮率で圧縮するか、あるいは中圧縮率で圧縮するかを判断する。この場合、空きメモリ容量が多いとすると(ステップS39 No)、圧縮制御部110は印刷データ133を低圧縮率で圧縮するように低圧縮部111を制御する。圧縮制御部110による制御により低圧縮部111は、印刷データ133を低圧縮率で圧縮する(ステップ40)
【0075】
そして、判断部106は次に実行する画像処理が最後の画像処理であるか否かを判断する(ステップS36)。この段階においては、実行される画像処理はScaleFilter109であり、この処理が最後の画像処理であるため、判断部106は実行される画像処理は最後の画像処理であると判断する(ステップS36 Yes)。
【0076】
次に、ステップS42において、プリンタドライバ220は印刷データ131に対してScaleFilter109を実行する。ScaleFilter109が実行される際には、設定データ132中のスケール情報143の拡大率情報154が参照され、これらの情報に基づいた拡大・縮小処理が印刷データ133に施される。
【0077】
印刷データ133に対して画像処理が施されると、圧縮制御部110は、印刷データ133を高い圧縮率で圧縮するように高圧縮部112を制御する。圧縮制御部110による制御により高圧縮部112は、印刷データ133を高圧縮率で圧縮する(ステップS43)。
【0078】
高圧縮部112による圧縮処理が終了すると、送信部113は圧縮した印刷データ133をプリンタに送信し(ステップS44)、一連の処理は終了する。
【0079】
なお、WatermarkFilter107、NupFilter108、ScaleFilter109の各画像処理については、第1の実施形態で説明した画像処理と同様な処理であるため、ここでの説明は省略する。
【0080】
以上のように、第2の実施形態によれば、画像処理を施した印刷データに対してさらに画像処理を施す場合には、印刷データは空きメモリ量の測定結果に基づいて低圧縮率、あるいは中圧縮率の何れかの圧縮率で圧縮される。したがって、例えば、空きメモリ量が不足している場合には、印刷データは中圧縮率で圧縮されるので、メモリ量が不足するといった問題を事前に防止することができる。また、空きメモリ量が十分である場合には、印刷データは低圧縮率で圧縮されるので、高速に処理を実行することができる。
【0081】
本発明の実施形態の説明において、印刷データの好ましい圧縮形式としてZIP形式を一例として挙げたが、本発明はこれに限定されるものではない。ZIP形式以外にも、例えば、CAB形式、LHA形式、RAR形式等も使用することができる。
【0082】
また、本発明の実施形態の説明において、画像処理方法として、ウォータマーク処理、マルチページ処理、拡大・縮小処理の例について説明したが、これたの画像処理方法以外でも、例えば、製本印刷処理、ポスター印刷処理、両面印刷処理等の画像処理方法も使用することができる。
【0083】
さらにまた、本発明の実施形態において、各画像処理における印刷データの分割は3分割として説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。3分割以外にも、例えば、2分割、4分割、5分割等に分割することができ、印刷データの分割数はデータ処理装置の処理能力に応じて適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】データ処理装置の印刷機能にかかる制御系の構成を説明する機能ブロック図である。
【図2】フィルタ設定ファイルを説明する図である。
【図3】データ処理装置による印刷実行時の動作を説明する図である。
【図4】画像処理にかかるメモリ使用量をイメージ化した図である。
【図5】画像処理が施された印刷データの一例を説明する図である。
【図6】画像処理にかかる時間経緯を説明するタイムテーブルである。
【図7】データ処理装置の印刷機能にかかる制御系の構成を説明する機能ブロック図である。
【図8】データ処理装置による印刷実行時の動作を説明する図である。
【符号の説明】
【0085】
10 データ処理装置
20 データ処理装置
100 基本OS
101 アプリケーション
102 プリンタ選択部
103 スプールファイル
104 受信制御部
105 解凍部
106 判断部
107 WatermarkFilter
108 NupFilter
109 ScaleFilter
110 圧縮制御部
111 低圧縮部
112 高圧縮部
113 送信部
114 フィルタ設定ファイル
120 プリンタドライバ
131 ヘッダ
132 設定データ
133 印刷データ
141 印刷先プリンタ情報
142 ウォータマーク情報
143 スケール情報
144 マルチページ情報
151 文字列情報
152 位置情報
153 色情報
154 拡大率情報
155 Nup情報
120 プリンタドライバ
200 基本OS
220 プリンタドライバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の形式で圧縮されたデータを伸長するとともに、伸長された前記データに対して画像処理を施すデータ処理装置であって、
画像処理が施された前記データを第1の圧縮率又は前記第1の圧縮率よりも圧縮率が高い第2の圧縮率で圧縮する圧縮部と、
前記第1の圧縮率又は前記第2の圧縮率の何れかの圧縮率で前記データを圧縮するかを判断する判断部と、
前記判断部による判断結果に基づき前記圧縮部を制御する圧縮制御部とを備え、
前記判断部は前記データに対して継続する画像処理があるか否かに基づいて前記第1の圧縮率又は前記第2の圧縮率の何れかの圧縮率で前記データを圧縮するかを判断することを特徴とするデータ処理装置。
【請求項2】
前記判断部は前記データに対して施される画像処理が最後の画像処理である場合、前記第2の圧縮率で前記データを圧縮すると判断し、前記データに対して施される画像処理が最後の画像処理でない場合、前記第1の圧縮率で前記データを圧縮すると判断することを特徴とする請求項1記載のデータ処理装置。
【請求項3】
所定の形式で圧縮されたデータを伸長するとともに、伸長された前記データに対して画像処理を施すデータ処理装置であって、
画像処理が施された前記データを第1の圧縮率、前記第1の圧縮率よりも圧縮率が高い第2の圧縮率、又は前記第1の圧縮率よりも高く前記第2の圧縮率よりも低い圧縮率である第3の圧縮率で圧縮する圧縮部と、
前記第1の圧縮率、前記第2の圧縮率、又は前記第3の圧縮率の何れかの圧縮率で前記データを圧縮するかを判断する判断部と、
前記判断部による判断結果に基づき前記圧縮部を制御する圧縮制御部とを備え、
前記判断部は前記データに対して継続する画像処理があるか否かに基づいて前記第1の圧縮率、前記第2の圧縮率、又は前記第3の圧縮率の何れかの圧縮率で前記データを圧縮するかを判断することを特徴とするデータ処理装置。
【請求項4】
前記判断部は前記データに対して施される画像処理が最後の画像処理である場合、前記第2の圧縮率で前記データを圧縮すると判断し、前記データに対して施される画像処理が最後の画像処理でない場合、前記第1の圧縮率又は前記第3の圧縮率の何れかの圧縮率で前記データを圧縮すると判断することを特徴とする請求項3記載のデータ処理装置。
【請求項5】
前記判断部は前記データに対する圧縮処理又は伸長処理にかかる使用メモリ容量に基づいて前記第1の圧縮率で圧縮するか又は前記第3の圧縮率の何れかの圧縮率で圧縮するかを判断することを特徴とする請求項3又は4記載のデータ処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−50565(P2010−50565A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−211080(P2008−211080)
【出願日】平成20年8月19日(2008.8.19)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】