説明

データ印刷装置

【課題】設定変更と印刷を繰り返す場合でも利用者がデータ処理装置との間を往復する必要がないデータ印刷装置を提供する。
【解決手段】データ受信部110で印刷データを外部受信してデータ保持部120で一時保持する。その印刷データの設定データに対応してデータ展開部130が画像データを展開し、その画像データをデータ印刷部140が設定データに対応して印刷出力する。一時保持されている印刷データの設定データをデータ表示部150が表示出力し、表示出力された設定データを変更する入力操作をデータ操作部160が受け付ける。変更された設定データにより動作制御部170が画像データをデータ展開部130に展開させてデータ印刷部140に印刷出力させる。印刷が完了してからも、入力操作により設定データを変更して画像データを印刷することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷データを印刷出力するデータ印刷装置に関し、特に、印刷データをページ単位の画像データに展開してから印刷出力するデータ印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、データ処理装置とデータ印刷装置とを接続した構造の印刷処理システムが、文章データの印刷出力に利用されている。このような印刷処理システムでは、利用者はデータ処理装置の手動操作により印刷データをデータ印刷装置に送信させて印刷出力させる。
【0003】
その場合、例えば、データ処理装置に保持されている画像データを利用者が手動操作により指定する。つぎに、その画像データの印刷出力に関する設定データが、利用者によりデータ処理装置の入力操作で登録される。
【0004】
これで設定された印刷データが、データ処理装置からデータ印刷装置に送信される。すると、そのデータ印刷装置は、外部受信した画像データを設定データに対応して印刷出力する。例えば、データ印刷装置がページプリンタからなる場合、外部受信した印刷データを一時保持する。
【0005】
そして、一時保持した印刷データの画像データが、設定データに対応してページ単位に展開される。展開された画像データが、設定データに対応して印刷用紙に印刷出力される。
【0006】
なお、上述のような印刷データの設定データは、画像データを印刷出力する場合の各種設定からなり、利用者の所望によりデータ処理装置の入力操作で印刷データに登録される。
【0007】
このような設定データは、例えば、用紙サイズ、印刷部数、用紙トレー、解像度、トナー濃度、レイアウト印刷、表裏印刷、等の指示からなる。設定データは、データ印刷装置の仕様にも依存する。
【0008】
上述のようにデータ処理装置からページプリンタに送信される印刷データはPDL(Page Description Language)と呼称されるページ記述言語で記述されている。このようなページ記述言語としては、XPS(XML(eXtensible Markup Language) Paper Specification)、PCL(Printer Contorol Language 登録商標)、LIPS(Laser Beam Printer Image Processing System 登録商標)、PostScript(登録商標)、等がある。
【0009】
なお、上述のようなデータ印刷装置としては各種の提案がある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−334999号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述のような印刷処理システムでは、利用者がデータ処理装置に入力操作した設定データに対応してデータ印刷装置で画像データが印刷出力される。この場合、利用者はデータ処理装置の位置からデータ印刷装置の位置に移動し、印刷結果を入手することになる。
【0011】
しかし、実際の印刷結果が利用者の予想とは相違することがある。このような場合、利用者はデータ処理装置の位置に再度移動し、手動操作により設定データを変更して再度登録し、データ印刷装置への印刷データの送信を再度実行することになる。
【0012】
このため、従来の印刷処理システムでは、利用者が所望する印刷結果を取得できないと、データ処理装置とデータ印刷装置との位置を利用者が何度も往復する事態が発生している。
【0013】
本発明は上述のような課題に鑑みてなされたものであり、所望の結果を取得できるまで設定データの変更と印刷出力とを繰り返す場合でも利用者がデータ処理装置とデータ印刷装置との位置を往復する必要がない構造のデータ印刷装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のデータ印刷装置は、少なくとも画像データと設定データとを内包した印刷データを外部受信して画像データを設定データに対応して印刷出力するデータ印刷装置であって、印刷データを外部受信するデータ受信部と、外部受信された印刷データを一時保持するデータ保持部と、一時保持された印刷データの設定データに対応して画像データを展開するデータ展開部と、展開された画像データを設定データに対応して印刷用紙に印刷出力するデータ印刷部と、一時保持されている印刷データの設定データを表示出力するデータ表示部と、表示出力された設定データを変更する入力操作を受け付けるデータ操作部と、変更された設定データにより画像データをデータ展開部に展開させてデータ印刷部に印刷出力させる動作制御部と、を有する。
【0015】
従って、本発明のデータ印刷装置では、外部入力された印刷データの画像データが設定データに対応して印刷出力されてからも、一時保持されている印刷データの設定データをデータ操作部への入力操作により変更して画像データを印刷出力させることができる。
【0016】
なお、本発明で云う各種の構成要素は、その機能を実現するように形成されていれば良く、例えば、所定の機能を発揮する専用のハードウェア、所定の機能がコンピュータプログラムにより付与されたデータ処理装置、コンピュータプログラムによりデータ処理装置に実現された所定の機能、これらの任意の組み合わせ、等として実現することができる。
【0017】
また、本発明で云う各種の構成要素は、必ずしも個々に独立した存在である必要はなく、複数の構成要素が1個の部材として形成されていること、1つの構成要素が複数の部材で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等も可能である。
【0018】
また、本発明で云う画像データとは、印刷データからページ単位で展開されて印刷出力されるものであれば良く、例えば、イラスト、写真、グラフ、テーブル、テキスト、これらの組み合わせ、等の何れでも良い。
【発明の効果】
【0019】
本発明のデータ印刷装置では、外部入力された印刷データの画像データが設定データに対応して印刷出力されてからも、一時保持されている印刷データの設定データをデータ操作部への入力操作により変更して画像データを印刷出力させることができる。このため、所望の結果を取得できるまで設定データの変更と印刷出力とを繰り返す場合でも、利用者がデータ処理装置とデータ印刷装置との位置を往復する必要がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の実施の一形態を図面を参照して以下に説明する。図1に示すように、本実施の形態の印刷処理システム1000は、データ処理装置PCとデータ印刷装置100とを有しており、これらが通信ネットワーク(図示せず)などで接続されている。
【0021】
本実施の形態のデータ印刷装置100は、少なくとも画像データと設定データとを内包した印刷データをデータ処理装置PCから外部受信し、その画像データを設定データに対応して印刷出力する。
【0022】
このため、データ印刷装置100は、印刷データを外部受信するデータ受信部110と、外部受信された印刷データを一時保持するデータ保持部120と、一時保持された印刷データの設定データに対応して画像データを展開するデータ展開部130と、展開された画像データを設定データに対応して印刷用紙に印刷出力するデータ印刷部140と、一時保持されている印刷データの設定データを表示出力するデータ表示部150と、表示出力された設定データを変更する入力操作を受け付けるデータ操作部160と、変更された設定データにより画像データをデータ展開部130に展開させてデータ印刷部140に印刷出力させる動作制御部170と、を有する。
【0023】
より具体的には、データ処理装置PCは、いわゆるパーソナルコンピュータなどからなる。データ処理装置PCは、例えば、蓄積しているテキストデータなどの画像データを、入力操作される設定データに対応してPDL形式の印刷データとし、データ印刷装置100に送信する。
【0024】
データ印刷装置100は、いわゆるページプリンタからなる。このため、プリンタコントローラとプリンタユニットとを有する。プリンタコントローラは、例えば、通信I/F(Interface)、プログラムメモリ、ページメモリ、がマイクロプロセッサに接続された構造からなる。また、そのマイクロプロセッサには、装置外面のディスプレイパネルや操作パネルも接続されている。
【0025】
マイクロプロセッサには、例えば、必要なコンピュータプログラムがファームウェアなどでプログラムメモリに実装されている。プリンタコントローラのマイクロプロセッサは、実装されているコンピュータプログラムに対応して各部の統合制御などの処理動作を実行する。この処理動作により、データ印刷装置100には前述した各部110〜170が論理的に構築されている。
【0026】
上述のような構成において、本実施の形態の印刷処理システム1000で画像データを印刷出力する場合、利用者は、データ処理装置PCの入力操作により画像データを指定するとともに設定データを登録する。
【0027】
これで画像データと設定データとを内包した印刷データがデータ処理装置PCに生成されるので、その印刷データがデータ印刷装置100に送信される。すると、このデータ印刷装置100では、図2に示すように、印刷データの外部受信に対応して(ステップS1)、一時保持されている前回の印刷データが消去され(ステップS2)、外部受信された新規の印刷データが一時保持される(ステップS3)。
【0028】
つぎに、一時保持された印刷データから設定データと画像データとが抽出され、その画像データが設定データに対応して展開され(ステップS4)、この展開された画像データが設定データに対応して印刷用紙に印刷出力される(ステップS5)。
【0029】
そこで、利用者はデータ処理装置PCの位置からデータ印刷装置100の位置に移動し、印刷結果を入手することになる。しかし、実際の印刷結果が利用者の予想とは相違することがある。
【0030】
その場合、本実施の形態の印刷処理システム1000では、利用者はデータ処理装置PCの位置に再度移動することなく、データ印刷装置100に設定データの変更要求を操作パネルに入力操作する。
【0031】
すると、これを検知したデータ印刷装置100では(ステップS6)、印刷データが一時保持されているかが確認される(ステップS7)。通常は印刷出力が完了してからも印刷データは消去されることなく一時保持されているので、これが確認されると一時保持されている印刷データから設定データが読み出される(ステップS8)。
【0032】
この読み出された設定データがディスプレイパネルに表示出力される(ステップS9)。そこで、利用者は表示出力された設定データを確認しながら、その変更を操作パネルに入力操作する。
【0033】
この入力操作を検知したデータ印刷装置100では(ステップS10)、その入力操作に対応して一時保持されている印刷データの設定データが変更される(ステップS11)。そこで、表示出力を確認しながら設定データの変更を完了した利用者は(ステップS9〜S11)、操作パネルにより印刷出力の指示を利用操作する。
【0034】
すると、これを検知したデータ印刷装置100では(ステップS12)、変更された設定データに対応して画像データが展開され(ステップS4)、変更された設定データに対応して画像データが印刷出力される(ステップS5)。
【0035】
本実施の形態のデータ印刷装置100では、上述のように外部入力された印刷データの画像データが設定データに対応して印刷出力されてからも、一時保持されている印刷データの設定データを入力操作により変更して画像データを印刷出力させることができる。
【0036】
このため、所望の結果を取得できるまで設定データの変更と印刷出力とを繰り返す場合でも、利用者がデータ処理装置PCとデータ印刷装置100との位置を往復する必要がない。
【0037】
しかも、本実施の形態のデータ印刷装置100では、新規の印刷データが外部受信されると、一時保持されている前回の印刷データが消去される。このため、印刷データを一時保持するメモリデバイスにオーバーフローが発生することがない。また、一時保持された印刷データを消去するための専用の手動操作なども必要ない。
【0038】
特に、本実施の形態のデータ印刷装置100では、新規の印刷データを外部受信するまで、前回の印刷データを保持している。このため、例えば、利用者が一人の場合には、意図することなく印刷データが自動消去されることがない。
【0039】
本発明は本実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で各種の変形を許容する。例えば、上記形態のデータ印刷装置100では、新規の印刷データが外部受信されると、一時保持されている前回の印刷データが消去されることを例示した。
【0040】
しかし、データ印刷装置100のデータ操作部160が、一時保持されている印刷データの消去指示の入力操作も受け付け、その消去指示の入力操作に対応してデータ保持部120が一時保持している印刷データを消去してもよい。
【0041】
この場合、利用者が印刷結果を取得するときに、その印刷結果に満足したならば印刷データを消去させることができる。このため、例えば、セキュリティ性が重要な印刷データが残存することなどを防止できる。
【0042】
また、データ印刷部140による印刷出力から所定時間が経過すると、データ保持部120が一時保持している印刷データを消去してもよい。この場合、専用の手動操作などを必要とすることなく、残存している印刷データを自動的に消去することができる。
【0043】
さらに、一時保持の必要または無用が設定データに登録されている印刷データをデータ受信部110が外部受信し、データ保持部120が、一時保持の無用が登録されている印刷データは印刷出力が完了すると消去してもよい。
【0044】
この場合、利用者はデータ処理装置PCに設定データを入力操作するときに、一時保持の要否を所望により登録する。すると、無用が登録された印刷データは印刷出力されると消去されるので、セキュリティ性が重要な印刷データが残存することなどを防止できる。
【0045】
それでいて、必要が登録された印刷データは一時保持されるので、所望によりデータ印刷装置100で設定データを変更して再度印刷することもできる。なお、この一時保持される印刷データは、上述した時限処理や手動操作などで消去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施の形態の印刷処理システムの論理構造を示す模式図である。
【図2】データ印刷装置の処理動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0047】
100 データ印刷装置
110 データ受信部
120 データ保持部
130 データ展開部
140 データ印刷部
150 データ表示部
160 データ操作部
170 動作制御部
1000 印刷処理システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも画像データと設定データとを内包した印刷データを外部受信して前記画像データを前記設定データに対応して印刷出力するデータ印刷装置であって、
前記印刷データを外部受信するデータ受信部と、
外部受信された前記印刷データを一時保持するデータ保持部と、
一時保持された前記印刷データの前記設定データに対応して前記画像データを展開するデータ展開部と、
展開された前記画像データを前記設定データに対応して印刷用紙に印刷出力するデータ印刷部と、
一時保持されている前記印刷データの前記設定データを表示出力するデータ表示部と、
表示出力された前記設定データを変更する入力操作を受け付けるデータ操作部と、
変更された前記設定データにより前記画像データを前記データ展開部に展開させて前記データ印刷部に印刷出力させる動作制御部と、
を有するデータ印刷装置。
【請求項2】
前記データ保持部は、一時保持している前記印刷データを所定条件に対応して消去する請求項1に記載のデータ印刷装置。
【請求項3】
前記データ操作部は、一時保持されている前記印刷データの消去指示の入力操作も受け付け、
前記データ保持部は、前記消去指示の入力操作に対応して一時保持している前記印刷データを消去する請求項2に記載のデータ印刷装置。
【請求項4】
前記データ保持部は、前記データ印刷部による印刷出力から所定時間が経過すると一時保持している前記印刷データを消去する請求項2に記載のデータ印刷装置。
【請求項5】
前記データ保持部は、新規の前記印刷データが外部受信されると一時保持している前記印刷データを消去する請求項2に記載のデータ印刷装置。
【請求項6】
前記データ受信部は、前記一時保持の必要または無用が前記設定データに登録されている前記印刷データを外部受信し、
前記データ保持部は、前記一時保持の無用が登録されている前記印刷データは前記印刷出力が完了すると消去する請求項1ないし5の何れか一項に記載のデータ印刷装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2008−114453(P2008−114453A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−299103(P2006−299103)
【出願日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】