説明

データ検出部一体型表示装置及びそれを備えた携帯端末

【課題】構成が簡単であることからコンパクトで且つ低コストであり、しかも、消費電力が小さいデータ検出部一体型表示装置を提供する。
【解決手段】データ検出部一体型表示装置を、相互に並行して延びる複数の走査電極線14と走査電極駆動素子15a,15bとからなる走査電極系統と、各々が複数の走査電極線14のそれぞれと交差してアクティブマトリクス方式の表示部12を構成する複数の信号電極線16と信号電極駆動素子17a,17bとからなる信号電極系統と、各々が複数の走査電極線14の一部又は全部のそれぞれと交差してアクティブマトリクス方式のデータ検出部を構成する複数のデータ検出電極線18とデータ検出素子19a,19bとからなるデータ検出系統とを備えたものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ検出部一体型表示装置及びそれを備えた携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、広く普及している携帯電話機の大半は、電話番号等の種々の情報を表示するための液晶表示部を備えている。
【0003】
一方、一台の携帯電話機を複数人で使用する際に、電話番号や通話料の管理を個人用電話機と同一管理とするために個人認証機能のついた携帯電話機が提案されている。その例として、特許文献1には、電話番号などを表示する表示部と、指の指紋情報を読み取る指紋データ検出部と、指紋データや電話番号データが記憶されているデータ記憶部とを備えており、指紋データ検出部で読み取った取扱者の指紋情報をデータ記憶部に記憶されている指紋データと比較し、それらが合致した際に取扱者を認証し、表示部に取扱者の電話番号などを表示するようにしたものが開示されている。
【0004】
そして、特許文献2には、指紋検出装置として、二次元アレイ状に配置された電極群と、それら電極群上を被覆する誘電層とを備え、誘電体層を介して接触される指との間に生じる静電容量が指紋の凹凸に応じて異なることを使用して指紋形状を検出する静電容量型のものが開示されている。
【0005】
また、特許文献3には、特許文献2に開示されている指紋検出装置を指紋読み取りセンサとして液晶表示部に隣接して又は液晶表示部上に設けたものが開示されている。
【0006】
さらに、特許文献4には、画像表示部を備え、その画像表示部又はそれを形成する基板上にデータ入出力手段が設けられた情報入出力装置であって、表示部用電極とデータ入出力用電極とを同一電極で構成し、又はそれらを相互に隣接した電極として構成し、表示部とデータ入出力部との行駆動電極を共通にすることが開示されている。
【特許文献1】特開平4−352547号公報
【特許文献2】特開平4−231803号公報
【特許文献3】特開2001−52148号公報
【特許文献4】特開平6−318136号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本出願の課題は、構成が簡単であることからコンパクトで且つ低コストであり、しかも、消費電力が小さいデータ検出部一体型表示装置及びそれを備えた携帯端末を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のデータ検出部一体型表示装置は、複数の走査電極線と走査電極駆動素子とからなる単一の走査電極系統を表示部及びデータ検出部の両方で共用するようにしたものである。
【0009】
具体的には、本発明は、
相互に並行して延びる複数の走査電極線と、該複数の走査電極線のそれぞれが接続された走査電極駆動素子と、からなる走査電極系統と、
上記複数の走査電極線の延びる方向と角度をなして相互に並行して延び、各々、該複数の走査電極線のそれぞれと交差してアクティブマトリクス方式の表示部を構成する複数の信号電極線と、該複数の信号電極線のそれぞれが接続された信号電極駆動素子と、からなる信号電極系統と、
上記複数の走査電極線の延びる方向と角度をなして相互に並行して延び、上記表示部が構成されている部位とは異なる部位において、各々、上記複数の走査電極線の一部又は全部のそれぞれと交差してアクティブマトリクス方式のデータ検出部を構成する複数のデータ検出電極線と、該複数のデータ検出電極線のそれぞれが接続されたデータ検出素子と、からなるデータ検出系統と、
を備えたことを特徴とするデータ検出部一体型表示装置である。
【0010】
このような構成によれば、単一の走査電極系統を表示部及びデータ検出部の両方で共用するようにしており、それぞれに個別の走査電極系統を設けた場合に比べて構成が簡単となるので、コンパクトで且つ低コストとなり、しかも、走査電極駆動素子が共用されることによって消費電力が小さいものとなる。
【0011】
本発明は、複数の走査電極線、複数の信号電極線及び複数のデータ検出電極線のいずれもが同一基板に形成されており、表示部とデータ検出部とが共にその基板に構成されているものであってもよい。このような構成によれば、単一の基板に同一のプロセスで表示部及びデータ検出部を同時に形成させることができるので、製造工程が簡易なものとすることができる。
【0012】
本発明は、複数の走査電極線が表示部用基板及びデータ検出部用基板の両方に亘って形成されている一方、複数の信号電極線が表示部用基板に、及び複数のデータ検出電極線がデータ検出部用基板にそれぞれ形成されており、表示部が表示部用基板に、及びデータ検出部がデータ検出部用基板にそれぞれ別個に構成されているものであってもよい。このような構成によれば、表示部及びデータ検出部の位置関係の自由度が高くなるので、例えば、それぞれを同一面、相互に反対側の面、あるいは相互に直角をなす面に設けるような表示部及びデータ検出部の配置をすることができる。
【0013】
本発明は、データ検出電極線からのデータ検出時に信号電極線への信号送信を停止するように構成されているものであってもよい。このような構成によれば、データ検出部の駆動中は表示部の駆動が停止するので、データ検出部の駆動により表示部の表示特性が悪影響を受けるということがない。
【0014】
本発明は、データ検出電極線からのデータ検出時に信号電極線への信号送信を併せて行うように構成されているものであってもよい。このような構成によれば、表示部及びデータ検出部を同時に使用することができる。
【0015】
本発明のデータ検出部一体型表示装置は携帯端末に適用が可能であり、その場合、コンパクトで且つ低コストであり、しかも、消費電力が小さいというメリットが特に有効となる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明によれば、単一の走査電極系統を表示部及びデータ検出部の両方で共用するようにしているので、データ検出部一体型表示装置をコンパクトで且つ低コストであり、しかも、消費電力が小さいものとすることができる。
【0017】
また、複数の走査電極線、複数の信号電極線及び複数のデータ検出電極線のいずれもが同一基板に形成されており、表示部とデータ検出部とが共にその基板に構成されたものとすれば、データ検出部一体型表示装置の製造工程を簡易なものとすることができる。
【0018】
また、複数の走査電極が表示部用基板及びデータ検出部用基板の両方に亘って形成されている一方、複数の信号電極が表示部用基板に、及び複数のデータ検出電極がデータ検出部用基板にそれぞれ形成されており、表示部が表示部用基板に、データ検出部がデータ検出部用基板にそれぞれ別個に構成されているものとすれば、それぞれを同一面、相互に反対側の面、あるいは相互に直角をなす面に設けるような表示部及びデータ検出部の配置をすることができる。
【0019】
また、データ検出電極からのデータ検出時に信号電極への信号送信を停止するように構成すれば、データ検出部の駆動により表示部の表示特性が悪影響を受けるということがない。
【0020】
また、データ検出電極からのデータ検出時に信号電極への信号送信を併せて行うように構成すれば、表示部及びデータ検出部を同時に使用することができる。
【0021】
また、データ検出部一体型表示装置を携帯端末に適用すれば、コンパクトで且つ低コストであり、しかも、消費電力が小さいというメリットを特に有効なものとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0023】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る携帯電話機等の指紋データ検出部一体型表示装置の基板モジュール10を示す。
【0024】
この基板モジュール10は、ガラス基板11に液晶表示部12及び静電容量型の指紋データ検出部13が構成されたものである。
【0025】
このガラス基板11は、矩形状であり、その長辺に沿って複数の走査電極線14,14,…が相互に並行して延びるように設けられている。これらの走査電極線14,14,…のうちの図の上半分は、ガラス基板11の長辺のほぼ全長に亘っている一方、図の下半分は、ガラス基板11の長辺のほぼ半分の程度の長さである。また、図の上半分の走査電極線14,14,…は、各々、ガラス基板11の短辺縁近傍(図1の右端)に設けられた第1ゲートドライバ(第1走査電極駆動素子)15aに接続されており、図の下半分の走査電極線14,14,…は、各々、図の第1ゲートドライバ15aの下側に設けられた第2ゲートドライバ(第2走査電極駆動素子)15bに接続されている。そして、これらの走査電極線14,14,…と第1及び第2ゲートドライバ15a,15bとが走査電極系統を構成している。
【0026】
ガラス基板11の図の右側半分には、ガラス基板11の短辺に沿って複数の表示ソース電極線(信号電極線)16,16,…がそれぞれ全走査電極線14,14,…に直交し且つ相互に並行して延びるように設けられている。これらの表示ソース電極線16,16,…のうちの図の右半分は、各々、ガラス基板11の長辺縁近傍(図1の下端縁右側)に設けられた第1ソースドライバ(第1信号電極駆動素子)17aに接続されており、図の左半分の走査電極線14,14,…は、各々、図の第1ソースドライバ17aの左側に設けられた第2ソースドライバ(第2信号電極駆動素子)17bに接続されている。そして、格子を形成する走査電極線14,14,…及び表示ソース電極線16,16,…がその交差部を一つの画素とするアクティブマトリクス方式の液晶表示部12を構成している。また、これらの表示ソース電極線16,16,…と第1及び第2ソースドライバ17a,17bとが表示ソース電極系統(信号電極系統)を構成している。
【0027】
ガラス基板11の図の左側半分には、ガラス基板11の短辺に沿って複数のデータ検出電極線18,18,…がそれぞれ図の上半分の走査電極線14,14,…に直交し且つ相互に並行して延びるように設けられている。これらのデータ検出電極線18,18,…のうちの図の右半分は、各々、図の走査電極線14,14,…の下側に設けられた第1データ検出素子19aに接続されており、図の左半分のデータ検出電極線18,18,…は、各々、図の第1データ検出素子19aの左側に設けられた第2データ検出素子19bに接続されている。そして、格子を形成する走査電極線14,14,…及びデータ検出電極線18,18,…がその交差部を一つのデータ採取部とするアクティブマトリクス方式の指紋データ検出部13を構成している。また、これらのデータ検出電極線18,18,…と第1及び第2データ検出素子19a,19bとが指紋データ検出系統を構成している。
【0028】
従って、以上のような構成を有する表示一体型指紋検出装置は、単一の走査電極系統を液晶表示部12及び指紋データ検出部13の両方で共用するようにしており、それぞれに個別の走査電極系統を設けた場合に比べて構成が簡単となるので、コンパクトで且つ低コストであり、しかも、消費電力が小さいものとなる。
【0029】
図2は、上記液晶表示部12の一つの画素の断面を示す。
【0030】
この液晶表示部12は、TFT(薄膜トランジスタ)をスイッチング素子とするものであり、ガラス基板11及びその上に設けられた走査電極線14,14,…及びそれに繋がったゲート電極21がゲート絶縁膜22で被覆されていると共に、その上からゲート電極21を覆うようにアモルファスシリコン(a-Si)からなる活性半導体層23が設けられており、さらに、その活性半導体層23を介して一対のNa-Si層24,24が間隔をおいて設けられ、そのうちの一方が表示ソース電極線16,16,…に繋がった表示ソース電極25に、他方がドレイン電極26にそれぞれ接続された構成となっている。そして、TFTを含む全体が絶縁保護層28で被覆されていると共にその上に層間絶縁膜28が設けられ、さらにその上に画素電極29が設けられている。画素電極29はコンタクトホール30を通してドレイン電極26に接続されており、コンタクトホール30の位置において、ドレイン電極26の下のゲート絶縁膜22とガラス基板11との間には電荷蓄積容量電極31が設けられ、その電荷蓄積容量電極31に対応したゲート絶縁膜22が電荷蓄積容量32の誘電体を構成している。画素電極29の上には図示しない配向膜を介して液晶層33が設けられていると共に液晶層33を介した対向側には共通電極を備えた図示しない対向側基板が設けられている。この液晶表示部12は、各画素において、ゲート電極21に所定電圧が印加されてTFTがオン状態となった際に、表示ソース電極25に信号電圧が印加されることにより画素電極29に電荷を保持し、その電荷量に応じて液晶層33内の液晶分子の配向状態が変わることを利用して光透過度を調整し、表示を行うようにしたものである。
【0031】
図3は、上記指紋データ検出部13の一つのデータ検出部の断面を示す。
【0032】
この指紋データ検出部13は、TFTをスイッチング素子とするものであり、ガラス基板11及びその上に設けられた走査電極線14,14,…及びそれに繋がったゲート電極21がゲート絶縁膜22で被覆されていると共に、その上からゲート電極21を覆うようにアモルファスシリコン(a-Si)からなる活性半導体層23が設けられており、さらに、その活性半導体層23を介して一対のNa-Si層24,24が間隔をおいて設けられ、そのうちの一方がデータ検出電極線18,18,…に繋がったデータ検出電極34に、他方がドレイン電極26にそれぞれ接続された構成となっている。そして、TFTを含む全体が絶縁保護層28で被覆されていると共にその上に層間絶縁膜28が設けられ、さらにその上に電荷検出電極35が設けられている。電荷検出電極35はコンタクトホール30を通してドレイン電極26に接続されている。電荷検出電極35の上には上層絶縁膜36が設けられている。この指紋データ検出部13は、各データ採取部において、ゲート電極21に所定電圧が印加されてTFTがオン状態となった際に、データ検出電極34に所定電圧が印加されることにより電荷検出電極35に指表面までの距離に対応した電荷が保持され、その電荷をデータとしてデータ検出電極34を介して採取するようにしたものである。
【0033】
図2及び3より明らかなように、液晶表示部12の画素から電荷蓄積容量電極31及び電荷蓄積容量32を除去すると共に液晶層33を上層絶縁膜35に置換したものは、指紋データ検出部13のデータ検出部と同一構成となる。
【0034】
従って、この液晶表示部12及び指紋データ検出部13が構成されたガラス基板11は、単一のガラス基板11に同一のTFTプロセスで液晶表示部12及び指紋データ検出部13を同時に形成することにより作製することができるので、それぞれを別の工程で作製する場合に比べて製造工程を簡易化することができると共に製造コストを削減することができる。
【0035】
また、LSIチップである第1及び第2ゲートドライバ15a,15bを液晶表示部12及び指紋データ検出部13と共に同一プロセスで同時に形成するようにしてもよい。このようにすれば、一層の製造工程の簡易化及び製造コストの削減を図ることができる。
【0036】
さらに、液晶表示部12、指紋データ検出部13、第1及び第2ゲートドライバ15a,15b、第1及び第2ソースドライバ17a,17b、第1及び第2データ検出素子19a,19bを同一プロセスで同時に形成するようにしてもよい。このようにすれば、より一層の製造工程の簡易化及び製造コストの削減を図ることができる。
【0037】
また、シリコンウエハ基板を用いたCMOSプロセスで、あるいはガラス基板11又はセラミック基板を用いたポリシリコンプロセスで基板モジュール10を形成するようにしてもよい。
【0038】
(実施形態2)
図4は、本発明の実施形態2に係る指紋データ検出部一体型表示装置である携帯電話機の基板モジュール40を示す。なお、実施形態1と同一部分は同一符号で示す。
【0039】
この基板モジュール40は、液晶表示部12が表示部用基板41aに、及び指紋データ検出部13がデータ検出部用基板41bにそれぞれ別個に構成されており、両者に共用される走査電極線14,14,…が可撓性の接続線(例えばFPC:Flexible Printed Circiut)42を介して両基板41a,41bに亘って形成されている。その他の構成は、実施形態1と同一である。
【0040】
図5は、この基板モジュール40が組み込まれた第1の態様の携帯電話機50を示す。
【0041】
この第1の携帯電話機50は略直方体状の電話機本体51を有し、上面の右側下部にキーボード52が、上面のキーボード52の上方右側に液晶表示部12が、及び上方左側に指紋データ検出部13がそれぞれ設けられている。すなわち、液晶表示部12及び指紋データ検出部13が同一面にあり、電話機本体51内では、図4に示すように、可撓性の接続線42が折り曲げられることなく、表示部用基板41a及びデータ検出用基板41bが左右に並んだ状態で基板モジュール40が設けられている。
【0042】
図6(a)及び(b)は、この基板モジュール40が組み込まれた第2の態様の携帯電話機60を示す。
【0043】
この第2の携帯電話機60は上側部61aと下側部61bとからなる折り畳み式の電話機本体61を有し、下側部61bの折り畳んだ際の内側面にキーボード62が、上側部61aの折り畳んだ際の内側面に液晶表示部12が、及び上側部61aの液晶表示部12側とは反対側の面に指紋データ検出部13がそれぞれ設けられている。すなわち、液晶表示部12及び指紋データ検出部13が上側部61aの相互に反対側の面にあり、電話機本体61内では、図7(a)及び(b)に示すように、可撓性の接続線42が折り返されて、表示部用基板41a及びデータ検出用基板41bが重なるような状態で基板モジュール40が設けられている。
【0044】
図8は、この基板モジュール40が組み込まれた第3の態様の携帯電話機80を示す。
【0045】
この第3の携帯電話機80は略直方体状の電話機本体81を有し、上面下部にキーボード82が、上面のキーボード82の上方に液晶表示部12が、及び右側面の液晶表示部12の対応位置に指紋データ検出部13がそれぞれ設けられている。すなわち、液晶表示部12及び指紋データ検出部13が隣接面にあり、電話機本体81内では、図9(a)及び(b)に示すように、表示部用基板41a及びデータ検出用基板41bが直角をなすように可撓性の接続線42が折り曲げられた状態で基板モジュール40が設けられている。
【0046】
従って、このような基板モジュール40によれば、液晶表示部12及び指紋データ検出部13の位置関係の自由度が高くなるので、上記の第1〜3の態様の携帯電話機50,60,80のように、それぞれを同一面、相互に反対側の面、あるいは相互に直角をなす面に設けるような液晶表示部12及び指紋データ検出部13の配置をすることができる。
【0047】
実施形態1における液晶表示部12と指紋データ検出部13とを同一プロセスで形成することができるという点を除いては、その他の作用効果は実施形態1と同一である。
【0048】
(動作形態1)
上記実施形態1及び2に係る指紋データ検出部一体型表示装置の動作形態1について図10を参照しながら説明する。なお、以下の動作制御は、走査電極系統、表示ソース電極系統及び指紋データ検出系統が接続された制御系統により実行される。
【0049】
図10は、動作形態1の概略タイムチャートの一例を示す。なお、この例では、走査電極線14,14,…を第1行〜第320行までとし、指紋データ検出部13はそのうちの第1行〜第160行までを使用することとしているが、これに限定されるものではない。後の動作形態2及び3も同様である。
【0050】
動作形態1は、指紋データ検出部13を駆動しているときは液晶表示部12の駆動を停止するものである。つまり、常時は、図のt1期間を繰り返して(t1→t1→t1→…)液晶表示部12の駆動を優先的に行い、指紋データ検出部一体型表示装置のスイッチをオンした際や携帯電話機の場合に暗証番号をインプットした際のように指紋データ検出部13の駆動の要求があった際にのみ、図のt2期間を割り込ませて液晶表示部12の駆動を停止して指紋データ検出部13を駆動する。このとき、t2期間を1回としてもよいが、多くの指紋データを採取し、取得したデータを比較することにより外来ノイズや汗の影響を除去して指紋データの確実性を持たせるために、例えばt1→t2→t2→t2〜t2→t2→t1のようにt2期間を繰り返し行うことが好ましい。そして、指紋データ検出部13により指紋データを採取した後はt1期間の繰り返しに戻り再び液晶表示部12を駆動する。
【0051】
ここで、t1期間では、第1及び第2ゲートドライバ15a,15bから走査電極線14,14,…の第1行から第320行に順次パルス電圧を印加し、それに合わせて各行毎に第1及び第2ソースドライバ17a,17bから表示ソース電極線16,16,…にその行のデータ信号電圧を送る。
【0052】
t2期間では、第1及び第2ゲートドライバ15a,15bから走査電極線14,14,…の第1行から第160行に順次パルス電圧を印加し、それに合わせて各行毎に第1及び第2データ検出素子19a,19bからデータ検出電極線18,18,…に所定電圧を印加すると共に電荷検出電極35に保持された電荷をデータとしてデータ検出電極線18,18,…を介して第1及び第2データ検出素子19a,19bに送る。
【0053】
このように指紋データ検出部13の駆動中に液晶表示部12の駆動を停止する構成では、t2期間中にゲート電極21に電圧が印加されて液晶表示部12のTFTがオン状態となった際に、補助容量に表示データが書き込まれて最後のt1期間で補助容量に書き込んだ表示データが失われることがないように、t2期間中は第1及び第2ソースドライバ17a,17bの出力がハイインピーダンスになるようにしておくことが好適である。また、t2期間中に第1及び第2ソースドライバ17a,17bの出力がハイインピーダンスになるようにしても、第1ゲートドライバ15aによるパルス電圧の走査により液晶表示部12のTFTがオン状態となることによりフィードスルーや表示ソース電極25及び表示ソース電極寄生容量への書き込みデータ電荷の再配置によるチラツキ等の表示への影響が及ぶこともあるので、シーケンス制御により、t2期間の直前にそのような影響の度合いが認識し難い所定表示に切り替えて、t2期間の終了後の最初のt1期間で表示を元に戻すようにしてもよい。
【0054】
ここで、シーケンス制御としては図11に示すようなものを挙げることができる。まず、スタートしてステップS1で液晶表示部12の駆動をする。次に、ステップS2に進み、指紋データ検出要求の有無を判断し、「NO」の場合はS1に戻る。指紋データ検出要求が「YES」の場合はS3に進み、液晶表示部12に所定表示を行う。次いで、ステップS4に進み、データ検出回数nを1にする。続いて、ステップS5に進み、指紋データ検出部13を駆動する。そして、ステップS6に進み、検出回数nが設定回数Nか否かを判断し、「NO」の場合はステップS7でn←n+1としてステップS5に戻る。検出回数nが設定回数Nに等しい「YES」の場合は、ステップS1に戻る。
【0055】
また、チラツキ等の表示への影響の度合いが認識し難い所定表示としては、例えば、図12(a)に示すように、ノーマリーブラック方式の場合は全面黒色、図12(b)に示すように、ノーマリーホワイトの場合は全面白色、あるいは、図12(c)に示すように、それらに表示画素が少なくてよい「指紋検出中」との文字表示をしたもの、図12(d)に示すように、それらに砂時計の画像表示したもの等を挙げることができる。
【0056】
このように、指紋データ検出部13を駆動しているときは液晶表示部12の駆動を停止する構成によれば、液晶表示部12の表示特性がデータ検出部の駆動により悪影響を受けるということが少ない。
【0057】
(動作形態2)
上記実施形態1及び2に係る指紋データ検出部一体型表示装置の動作形態1について図13を参照しながら説明する。
【0058】
図13は、動作形態2の概略タイムチャートの一例を示す。
【0059】
動作形態2は、指紋データ検出部13の駆動中に液晶表示部12をも同時に駆動するものである。つまり、常時は、図のt3期間を繰り返して(t3→t3→t3→…)液晶表示部12の駆動を優先的に行い、動作形態1の場合と同様に指紋データ検出部13の駆動の要求があった際にのみ、図のt1及びt2期間を割り込ませ、液晶表示部12の上半分及び指紋データ検出部13の両方を駆動した後、液晶表示部12の下半分を駆動する。このとき、t1及びt2期間を1回としてもよいが、動作形態1の場合と同様に指紋データの確実性を持たせるために、例えばt3→t1→t2→t1→t2〜t1→t2→t3のようにt1及びt2期間を繰り返し行うことが好ましい。そして、指紋データ検出部13により指紋データを採取した後はt3期間の繰り返しに戻り再び液晶表示部12のみを駆動する。
【0060】
ここで、t1期間では、第1及び第2ゲートドライバ15a,15bから走査電極線14,14,…の第1行から第160行に順次パルス電圧を印加し、それに合わせて各行毎に第1及び第2ソースドライバ17a,17bから表示ソース電極線16,16,…にその行のデータ信号電圧を送ると共に、各行毎に第1及び第2データ検出素子19a,19bからデータ検出電極線18,18,…に所定電圧を印加し、電荷検出電極35に保持された電荷をデータとしてデータ検出電極線18,18,…を介して第1及び第2データ検出素子19a,19bに送る。従って、このようにすることによって液晶表示部12及び指紋データ検出部13のそれぞれについてゲート電極21への電圧印加の駆動タイミングを分ける必要がない。
【0061】
t2期間では、第1及び第2ゲートドライバ15a,15bから走査電極線14,14,…の第161行から第320行に順次パルス電圧を印加し、それに合わせて各行毎に第1及び第2ソースドライバ17a,17bから表示ソース電極線16,16,…にその行のデータ信号電圧を送る。
【0062】
t3期間では、第1及び第2ゲートドライバ15a,15bから走査電極線14,14,…の第1行から第320行に順次パルス電圧を印加し、それに合わせて各行毎に第1及び第2ソースドライバ17a,17bから表示ソース電極線16,16,…にその行のデータ信号電圧を送る。
【0063】
このように、指紋データ検出部13の駆動中に液晶表示部12をも併せて駆動する構成によれば、指紋データ検出部13の駆動中に液晶表示部12の表示が停止されることなく両方を同時に使用することができる。
【0064】
(動作形態3)
上記実施形態1及び2に係る指紋データ検出部一体型表示装置の動作形態1について図14を参照しながら説明する。
【0065】
図14は、動作形態3の概略タイムチャートの一例を示す。
【0066】
動作形態3は、指紋データ検出部13を駆動しているときは液晶表示部12の上半分の駆動を停止する一方、液晶表示部12の下半分の駆動を指紋データ検出部13の駆動と並行して行うものである。つまり、常時は、図のt1期間を繰り返して(t1→t1→t1→…)液晶表示部12の駆動を優先的に行い、指紋データ検出部一体型表示装置のスイッチをオンした際や携帯電話機の場合に暗証番号をインプットした際のように指紋データ検出部13の駆動の要求があった際にのみ、図のt2期間を割り込ませて液晶表示部12の下半分を駆動したまま上半分の駆動のみを停止して指紋データ検出部13を駆動する。このとき、t2期間を1回としてもよいが、動作形態1の場合と同様に指紋データの確実性を持たせるために、例えばt1→t2→t2→t2〜t2→t2→t1のようにt2期間を繰り返し行うことが好ましい。そして、指紋データ検出部13により指紋データを採取した後はt1期間の繰り返しに戻り再び液晶表示部12を駆動する。
【0067】
ここで、t1期間では、第1及び第2ゲートドライバ15a,15bから走査電極線14,14,…の第1行から第320行に順次パルス電圧を印加し、それに合わせて各行毎に第1及び第2ソースドライバ17a,17bから表示ソース電極線16,16,…にその行のデータ信号電圧を送る。
【0068】
t2期間では、第1及び第2ゲートドライバ15a,15bから走査電極線14,14,…の第1行、161行、第2行、第162行のように走査電極線14,14,…の上半分及び下半分を交互に且つそれぞれ行番号の小さいものから順に順次パルス電圧を印加し、第1行から第160行への電圧印加に合わせて各行毎に第1及び第2データ検出素子19a,19bからデータ検出電極線18,18,…に所定電圧を印加すると共に電荷検出電極35に保持された電荷をデータとしてデータ検出電極線18,18,…を介して第1及び第2データ検出素子19a,19bに送り、また、第161行から第320行への電圧印加に合わせて各行毎に第1及び第2ソースドライバ17a,17bから表示ソース電極線16,16,…にその行のデータ信号電圧を送る。このとき、液晶表示部12での1回の走査で表示に要する時間と指紋データ検出部13での1回の走査でデータ検出に要する時間との間には差があるため、それぞれのフレームを同期させ、図に示す例では、指紋データ検出部13の走査1回に対して液晶表示部12の走査1回を行うようにしている。
【0069】
このように指紋データ検出部13の駆動中に液晶表示部12の上半分の駆動を停止する構成では、t2期間中にゲート電極21に電圧が印加されて液晶表示部12の上半分のTFTがオン状態となった際に、補助容量に表示データが書き込まれて最後のt1期間で補助容量に書き込んだ表示データが失われることがないように、t2期間中は第1及び第2ソースドライバ17a,17bの出力がハイインピーダンスになるようにしておくことが好適である。また、t2期間中に第1及び第2ソースドライバ17a,17bの出力がハイインピーダンスになるようにしても、第1ゲートドライバ15aによるパルス電圧の走査により液晶表示部12の上半分のTFTがオン状態となることによりフィードスルーや表示ソース電極25及び表示ソース電極寄生容量への書き込みデータ電荷の再配置によるチラツキ等の表示への影響が及ぶこともあるので、シーケンス制御により、t2期間の直前にかかる影響の度合いが認識し難い所定表示に切り替えて、t2期間の終了後の最初のt1期間で表示を元に戻すようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、データ検出部一体型表示装置及びそれを備えた携帯端末について有用である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の実施形態1に係る指紋データ検出部一体型表示装置の基板モジュールの正面図である。
【図2】液晶表示部の1つの画素の模式的な断面図である。
【図3】指紋データ検出部のの模式的な断面図である。
【図4】本発明の実施形態2に係る指紋データ検出部一体型表示装置の基板モジュールの正面図である。
【図5】本発明の実施形態2に係る第1の携帯電話機の斜視図である。
【図6】本発明の実施形態2に係る第2の携帯電話機の斜視図である。
【図7】第2の携帯電話機内に設けられた基板モジュールの状態を示す説明図である。
【図8】本発明の実施形態2に係る第3の携帯電話機の斜視図である。
【図9】第3の携帯電話機内に設けられた基板モジュールの状態を示す説明図である。
【図10】動作形態1の概略タイムチャート図である。
【図11】動作形態1のシーケンス制御を示すフローチャート図である。
【図12】液晶表示部の駆動停止時における表示例を示す説明図である。
【図13】動作形態2の概略タイムチャート図である。
【図14】動作形態3の概略タイムチャート図である。
【符号の説明】
【0072】
10,40 基板モジュール
11 ガラス基板
12 液晶表示部
13 指紋データ検出部
14 走査電極線
15a 第1ゲートドライバ
15b 第2ゲートドライバ
16 表示ソース電極線
17a 第1ソースドライバ
17b 第2ソースドライバ
18 データ検出電極線
19a 第1データ検出素子
19b 第2データ検出素子
21 ゲート電極
22 ゲート絶縁膜
23 活性半導体層
24 Na-Si層
25 表示ソース電極
26 ドレイン電極
27 絶縁保護層
28 層間絶縁膜
29 画素電極
30 コンタクトホール
31 電荷蓄積容量電極
32 電荷蓄積容量
33 液晶層
34 データ検出電極
35 電荷検出電極
36 上層絶縁膜
41a 表示部用基板
41b データ検出部用基板
42 接続線
50,60,80 携帯電話機
51,61,81 電話機本体
52,62,82 キーボード
61a 上側部
61b 下側部
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ検出部一体型表示装置及びそれを備えた携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、広く普及している携帯電話機の大半は、電話番号等の種々の情報を表示するための液晶表示部を備えている。
【0003】
一方、一台の携帯電話機を複数人で使用する際に、電話番号や通話料の管理を個人用電話機と同一管理とするために個人認証機能のついた携帯電話機が提案されている。その例として、特許文献1には、電話番号などを表示する表示部と、指の指紋情報を読み取る指紋データ検出部と、指紋データや電話番号データが記憶されているデータ記憶部とを備えており、指紋データ検出部で読み取った取扱者の指紋情報をデータ記憶部に記憶されている指紋データと比較し、それらが合致した際に取扱者を認証し、表示部に取扱者の電話番号などを表示するようにしたものが開示されている。
【0004】
そして、特許文献2には、指紋検出装置として、二次元アレイ状に配置された電極群と、それら電極群上を被覆する誘電層とを備え、誘電体層を介して接触される指との間に生じる静電容量が指紋の凹凸に応じて異なることを使用して指紋形状を検出する静電容量型のものが開示されている。
【0005】
また、特許文献3には、特許文献2に開示されている指紋検出装置を指紋読み取りセンサとして液晶表示部に隣接して又は液晶表示部上に設けたものが開示されている。
【0006】
さらに、特許文献4には、画像表示部を備え、その画像表示部又はそれを形成する基板上にデータ入出力手段が設けられた情報入出力装置であって、表示部用電極とデータ入出力用電極とを同一電極で構成し、又はそれらを相互に隣接した電極として構成し、表示部とデータ入出力部との行駆動電極を共通にすることが開示されている。
【特許文献1】特開平4−352547号公報
【特許文献2】特開平4−231803号公報
【特許文献3】特開2001−52148号公報
【特許文献4】特開平6−318136号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本出願の課題は、構成が簡単であることからコンパクトで且つ低コストであり、しかも、消費電力が小さいデータ検出部一体型表示装置及びそれを備えた携帯端末を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のデータ検出部一体型表示装置は、複数の走査電極線と走査電極駆動素子とからなる単一の走査電極系統を表示部及びデータ検出部の両方で共用するようにしたものである。
【0009】
具体的には、本発明は、
相互に並行して延びる複数の走査電極線と、該複数の走査電極線のそれぞれが接続された走査電極駆動素子と、からなる走査電極系統と、
上記複数の走査電極線の延びる方向と角度をなして相互に並行して延び、各々、該複数の走査電極線のそれぞれと交差してアクティブマトリクス方式の表示部を構成する複数の信号電極線と、該複数の信号電極線のそれぞれが接続された信号電極駆動素子と、からなる信号電極系統と、
上記複数の走査電極線の延びる方向と角度をなして相互に並行して延び、上記表示部が構成されている部位とは異なる部位において、各々、上記複数の走査電極線の一部又は全部のそれぞれと交差してアクティブマトリクス方式のデータ検出部を構成する複数のデータ検出電極線と、該複数のデータ検出電極線のそれぞれが接続されたデータ検出素子と、からなるデータ検出系統と、
を備え、
上記信号電極系統に位置する走査電極線の部分と上記データ検出系統に位置する走査電極線の部分とが直結されており、それらの間に他の素子を含まず、
上記データ検出電極線からのデータ検出時に、上記信号電極駆動素子から上記信号電極線への表示用の信号送信を停止すると共に、上記信号電極駆動素子から上記信号電極線への出力を、表示用の信号送信時よりもハイインピーダンス化するように構成されていることを特徴とするデータ検出部一体型表示装置である。
【0010】
このような構成によれば、単一の走査電極系統を表示部及びデータ検出部の両方で共用するようにしており、それぞれに個別の走査電極系統を設けた場合に比べて構成が簡単となるので、コンパクトで且つ低コストとなり、しかも、走査電極駆動素子が共用されることによって消費電力が小さいものとなる。
【0011】
また、データ検出電極線からのデータ検出時に信号電極線への信号送信を停止するように構成されており、データ検出部の駆動中は表示部の駆動が停止するので、データ検出部の駆動により表示部の表示特性が悪影響を受けるということがない。
【0012】
本発明のデータ検出部一体型表示装置は携帯端末に適用が可能であり、その場合、コンパクトで且つ低コストであり、しかも、消費電力が小さいというメリットが特に有効となる。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明によれば、単一の走査電極系統を表示部及びデータ検出部の両方で共用するようにしているので、データ検出部一体型表示装置をコンパクトで且つ低コストであり、しかも、消費電力が小さいものとすることができる。また、データ検出電極からのデータ検出時に信号電極への信号送信を停止するように構成されているので、データ検出部の駆動により表示部の表示特性が悪影響を受けるということがない。
【0014】
また、データ検出部一体型表示装置を携帯端末に適用すれば、コンパクトで且つ低コストであり、しかも、消費電力が小さいというメリットを特に有効なものとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0016】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る携帯電話機等の指紋データ検出部一体型表示装置の基板モジュール10を示す。
【0017】
この基板モジュール10は、ガラス基板11に液晶表示部12及び静電容量型の指紋データ検出部13が構成されたものである。
【0018】
このガラス基板11は、矩形状であり、その長辺に沿って複数の走査電極線14,14,…が相互に並行して延びるように設けられている。これらの走査電極線14,14,…のうちの図の上半分は、ガラス基板11の長辺のほぼ全長に亘っている一方、図の下半分は、ガラス基板11の長辺のほぼ半分の程度の長さである。また、図の上半分の走査電極線14,14,…は、各々、ガラス基板11の短辺縁近傍(図1の右端)に設けられた第1ゲートドライバ(第1走査電極駆動素子)15aに接続されており、図の下半分の走査電極線14,14,…は、各々、図の第1ゲートドライバ15aの下側に設けられた第2ゲートドライバ(第2走査電極駆動素子)15bに接続されている。そして、これらの走査電極線14,14,…と第1及び第2ゲートドライバ15a,15bとが走査電極系統を構成している。
【0019】
ガラス基板11の図の右側半分には、ガラス基板11の短辺に沿って複数の表示ソース電極線(信号電極線)16,16,…がそれぞれ全走査電極線14,14,…に直交し且つ相互に並行して延びるように設けられている。これらの表示ソース電極線16,16,…のうちの図の右半分は、各々、ガラス基板11の長辺縁近傍(図1の下端縁右側)に設けられた第1ソースドライバ(第1信号電極駆動素子)17aに接続されており、図の左半分の走査電極線14,14,…は、各々、図の第1ソースドライバ17aの左側に設けられた第2ソースドライバ(第2信号電極駆動素子)17bに接続されている。そして、格子を形成する走査電極線14,14,…及び表示ソース電極線16,16,…がその交差部を一つの画素とするアクティブマトリクス方式の液晶表示部12を構成している。また、これらの表示ソース電極線16,16,…と第1及び第2ソースドライバ17a,17bとが表示ソース電極系統(信号電極系統)を構成している。
【0020】
ガラス基板11の図の左側半分には、ガラス基板11の短辺に沿って複数のデータ検出電極線18,18,…がそれぞれ図の上半分の走査電極線14,14,…に直交し且つ相互に並行して延びるように設けられている。これらのデータ検出電極線18,18,…のうちの図の右半分は、各々、図の走査電極線14,14,…の下側に設けられた第1データ検出素子19aに接続されており、図の左半分のデータ検出電極線18,18,…は、各々、図の第1データ検出素子19aの左側に設けられた第2データ検出素子19bに接続されている。そして、格子を形成する走査電極線14,14,…及びデータ検出電極線18,18,…がその交差部を一つのデータ採取部とするアクティブマトリクス方式の指紋データ検出部13を構成している。また、これらのデータ検出電極線18,18,…と第1及び第2データ検出素子19a,19bとが指紋データ検出系統を構成している。
【0021】
従って、以上のような構成を有する表示一体型指紋検出装置は、単一の走査電極系統を液晶表示部12及び指紋データ検出部13の両方で共用するようにしており、それぞれに個別の走査電極系統を設けた場合に比べて構成が簡単となるので、コンパクトで且つ低コストであり、しかも、消費電力が小さいものとなる。
【0022】
図2は、上記液晶表示部12の一つの画素の断面を示す。
【0023】
この液晶表示部12は、TFT(薄膜トランジスタ)をスイッチング素子とするものであり、ガラス基板11及びその上に設けられた走査電極線14,14,…及びそれに繋がったゲート電極21がゲート絶縁膜22で被覆されていると共に、その上からゲート電極21を覆うようにアモルファスシリコン(a-Si)からなる活性半導体層23が設けられており、さらに、その活性半導体層23を介して一対のNa-Si層24,24が間隔をおいて設けられ、そのうちの一方が表示ソース電極線16,16,…に繋がった表示ソース電極25に、他方がドレイン電極26にそれぞれ接続された構成となっている。そして、TFTを含む全体が絶縁保護層28で被覆されていると共にその上に層間絶縁膜28が設けられ、さらにその上に画素電極29が設けられている。画素電極29はコンタクトホール30を通してドレイン電極26に接続されており、コンタクトホール30の位置において、ドレイン電極26の下のゲート絶縁膜22とガラス基板11との間には電荷蓄積容量電極31が設けられ、その電荷蓄積容量電極31に対応したゲート絶縁膜22が電荷蓄積容量32の誘電体を構成している。画素電極29の上には図示しない配向膜を介して液晶層33が設けられていると共に液晶層33を介した対向側には共通電極を備えた図示しない対向側基板が設けられている。この液晶表示部12は、各画素において、ゲート電極21に所定電圧が印加されてTFTがオン状態となった際に、表示ソース電極25に信号電圧が印加されることにより画素電極29に電荷を保持し、その電荷量に応じて液晶層33内の液晶分子の配向状態が変わることを利用して光透過度を調整し、表示を行うようにしたものである。
【0024】
図3は、上記指紋データ検出部13の一つのデータ検出部の断面を示す。
【0025】
この指紋データ検出部13は、TFTをスイッチング素子とするものであり、ガラス基板11及びその上に設けられた走査電極線14,14,…及びそれに繋がったゲート電極21がゲート絶縁膜22で被覆されていると共に、その上からゲート電極21を覆うようにアモルファスシリコン(a-Si)からなる活性半導体層23が設けられており、さらに、その活性半導体層23を介して一対のNa-Si層24,24が間隔をおいて設けられ、そのうちの一方がデータ検出電極線18,18,…に繋がったデータ検出電極34に、他方がドレイン電極26にそれぞれ接続された構成となっている。そして、TFTを含む全体が絶縁保護層28で被覆されていると共にその上に層間絶縁膜28が設けられ、さらにその上に電荷検出電極35が設けられている。電荷検出電極35はコンタクトホール30を通してドレイン電極26に接続されている。電荷検出電極35の上には上層絶縁膜36が設けられている。この指紋データ検出部13は、各データ採取部において、ゲート電極21に所定電圧が印加されてTFTがオン状態となった際に、データ検出電極34に所定電圧が印加されることにより電荷検出電極35に指表面までの距離に対応した電荷が保持され、その電荷をデータとしてデータ検出電極34を介して採取するようにしたものである。
【0026】
図2及び3より明らかなように、液晶表示部12の画素から電荷蓄積容量電極31及び電荷蓄積容量32を除去すると共に液晶層33を上層絶縁膜35に置換したものは、指紋データ検出部13のデータ検出部と同一構成となる。
【0027】
従って、この液晶表示部12及び指紋データ検出部13が構成されたガラス基板11は、単一のガラス基板11に同一のTFTプロセスで液晶表示部12及び指紋データ検出部13を同時に形成することにより作製することができるので、それぞれを別の工程で作製する場合に比べて製造工程を簡易化することができると共に製造コストを削減することができる。
【0028】
また、LSIチップである第1及び第2ゲートドライバ15a,15bを液晶表示部12及び指紋データ検出部13と共に同一プロセスで同時に形成するようにしてもよい。このようにすれば、一層の製造工程の簡易化及び製造コストの削減を図ることができる。
【0029】
さらに、液晶表示部12、指紋データ検出部13、第1及び第2ゲートドライバ15a,15b、第1及び第2ソースドライバ17a,17b、第1及び第2データ検出素子19a,19bを同一プロセスで同時に形成するようにしてもよい。このようにすれば、より一層の製造工程の簡易化及び製造コストの削減を図ることができる。
【0030】
また、シリコンウエハ基板を用いたCMOSプロセスで、あるいはガラス基板11又はセラミック基板を用いたポリシリコンプロセスで基板モジュール10を形成するようにしてもよい。
【0031】
(実施形態2)
図4は、実施形態2に係る指紋データ検出部一体型表示装置である携帯電話機の基板モジュール40を示す。なお、実施形態1と同一部分は同一符号で示す。
【0032】
この基板モジュール40は、液晶表示部12が表示部用基板41aに、及び指紋データ検出部13がデータ検出部用基板41bにそれぞれ別個に構成されており、両者に共用される走査電極線14,14,…が可撓性の接続線(例えばFPC:Flexible Printed Circiut)42を介して両基板41a,41bに亘って形成されている。その他の構成は、実施形態1と同一である。
【0033】
図5は、この基板モジュール40が組み込まれた第1の態様の携帯電話機50を示す。
【0034】
この第1の携帯電話機50は略直方体状の電話機本体51を有し、上面の右側下部にキーボード52が、上面のキーボード52の上方右側に液晶表示部12が、及び上方左側に指紋データ検出部13がそれぞれ設けられている。すなわち、液晶表示部12及び指紋データ検出部13が同一面にあり、電話機本体51内では、図4に示すように、可撓性の接続線42が折り曲げられることなく、表示部用基板41a及びデータ検出用基板41bが左右に並んだ状態で基板モジュール40が設けられている。
【0035】
図6(a)及び(b)は、この基板モジュール40が組み込まれた第2の態様の携帯電話機60を示す。
【0036】
この第2の携帯電話機60は上側部61aと下側部61bとからなる折り畳み式の電話機本体61を有し、下側部61bの折り畳んだ際の内側面にキーボード62が、上側部61aの折り畳んだ際の内側面に液晶表示部12が、及び上側部61aの液晶表示部12側とは反対側の面に指紋データ検出部13がそれぞれ設けられている。すなわち、液晶表示部12及び指紋データ検出部13が上側部61aの相互に反対側の面にあり、電話機本体61内では、図7(a)及び(b)に示すように、可撓性の接続線42が折り返されて、表示部用基板41a及びデータ検出用基板41bが重なるような状態で基板モジュール40が設けられている。
【0037】
図8は、この基板モジュール40が組み込まれた第3の態様の携帯電話機80を示す。
【0038】
この第3の携帯電話機80は略直方体状の電話機本体81を有し、上面下部にキーボード82が、上面のキーボード82の上方に液晶表示部12が、及び右側面の液晶表示部12の対応位置に指紋データ検出部13がそれぞれ設けられている。すなわち、液晶表示部12及び指紋データ検出部13が隣接面にあり、電話機本体81内では、図9(a)及び(b)に示すように、表示部用基板41a及びデータ検出用基板41bが直角をなすように可撓性の接続線42が折り曲げられた状態で基板モジュール40が設けられている。
【0039】
従って、このような基板モジュール40によれば、液晶表示部12及び指紋データ検出部13の位置関係の自由度が高くなるので、上記の第1〜3の態様の携帯電話機50,60,80のように、それぞれを同一面、相互に反対側の面、あるいは相互に直角をなす面に設けるような液晶表示部12及び指紋データ検出部13の配置をすることができる。
【0040】
実施形態1における液晶表示部12と指紋データ検出部13とを同一プロセスで形成することができるという点を除いては、その他の作用効果は実施形態1と同一である。
【0041】
(動作形態1)
上記実施形態1及び2に係る指紋データ検出部一体型表示装置の動作形態1について図10を参照しながら説明する。なお、以下の動作制御は、走査電極系統、表示ソース電極系統及び指紋データ検出系統が接続された制御系統により実行される。
【0042】
図10は、動作形態1の概略タイムチャートの一例を示す。なお、この例では、走査電極線14,14,…を第1行〜第320行までとし、指紋データ検出部13はそのうちの第1行〜第160行までを使用することとしているが、これに限定されるものではない。後の動作形態2及び3も同様である。
【0043】
動作形態1は、指紋データ検出部13を駆動しているときは液晶表示部12の駆動を停止するものである。つまり、常時は、図のt1期間を繰り返して(t1→t1→t1→…)液晶表示部12の駆動を優先的に行い、指紋データ検出部一体型表示装置のスイッチをオンした際や携帯電話機の場合に暗証番号をインプットした際のように指紋データ検出部13の駆動の要求があった際にのみ、図のt2期間を割り込ませて液晶表示部12の駆動を停止して指紋データ検出部13を駆動する。このとき、t2期間を1回としてもよいが、多くの指紋データを採取し、取得したデータを比較することにより外来ノイズや汗の影響を除去して指紋データの確実性を持たせるために、例えばt1→t2→t2→t2〜t2→t2→t1のようにt2期間を繰り返し行うことが好ましい。そして、指紋データ検出部13により指紋データを採取した後はt1期間の繰り返しに戻り再び液晶表示部12を駆動する。
【0044】
ここで、t1期間では、第1及び第2ゲートドライバ15a,15bから走査電極線14,14,…の第1行から第320行に順次パルス電圧を印加し、それに合わせて各行毎に第1及び第2ソースドライバ17a,17bから表示ソース電極線16,16,…にその行のデータ信号電圧を送る。
【0045】
t2期間では、第1及び第2ゲートドライバ15a,15bから走査電極線14,14,…の第1行から第160行に順次パルス電圧を印加し、それに合わせて各行毎に第1及び第2データ検出素子19a,19bからデータ検出電極線18,18,…に所定電圧を印加すると共に電荷検出電極35に保持された電荷をデータとしてデータ検出電極線18,18,…を介して第1及び第2データ検出素子19a,19bに送る。
【0046】
このように指紋データ検出部13の駆動中に液晶表示部12の駆動を停止する構成では、t2期間中にゲート電極21に電圧が印加されて液晶表示部12のTFTがオン状態となった際に、補助容量に表示データが書き込まれて最後のt1期間で補助容量に書き込んだ表示データが失われることがないように、t2期間中は第1及び第2ソースドライバ17a,17bの出力がハイインピーダンスになるようにしておくことが好適である。また、t2期間中に第1及び第2ソースドライバ17a,17bの出力がハイインピーダンスになるようにしても、第1ゲートドライバ15aによるパルス電圧の走査により液晶表示部12のTFTがオン状態となることによりフィードスルーや表示ソース電極25及び表示ソース電極寄生容量への書き込みデータ電荷の再配置によるチラツキ等の表示への影響が及ぶこともあるので、シーケンス制御により、t2期間の直前にそのような影響の度合いが認識し難い所定表示に切り替えて、t2期間の終了後の最初のt1期間で表示を元に戻すようにしてもよい。
【0047】
ここで、シーケンス制御としては図11に示すようなものを挙げることができる。まず、スタートしてステップS1で液晶表示部12の駆動をする。次に、ステップS2に進み、指紋データ検出要求の有無を判断し、「NO」の場合はS1に戻る。指紋データ検出要求が「YES」の場合はS3に進み、液晶表示部12に所定表示を行う。次いで、ステップS4に進み、データ検出回数nを1にする。続いて、ステップS5に進み、指紋データ検出部13を駆動する。そして、ステップS6に進み、検出回数nが設定回数Nか否かを判断し、「NO」の場合はステップS7でn←n+1としてステップS5に戻る。検出回数nが設定回数Nに等しい「YES」の場合は、ステップS1に戻る。
【0048】
また、チラツキ等の表示への影響の度合いが認識し難い所定表示としては、例えば、図12(a)に示すように、ノーマリーブラック方式の場合は全面黒色、図12(b)に示すように、ノーマリーホワイトの場合は全面白色、あるいは、図12(c)に示すように、それらに表示画素が少なくてよい「指紋検出中」との文字表示をしたもの、図12(d)に示すように、それらに砂時計の画像表示したもの等を挙げることができる。
【0049】
このように、指紋データ検出部13を駆動しているときは液晶表示部12の駆動を停止する構成によれば、液晶表示部12の表示特性がデータ検出部の駆動により悪影響を受けるということが少ない。
【0050】
(動作形態2)
上記実施形態1及び2に係る指紋データ検出部一体型表示装置の動作形態1について図13を参照しながら説明する。
【0051】
図13は、動作形態2の概略タイムチャートの一例を示す。
【0052】
動作形態2は、指紋データ検出部13の駆動中に液晶表示部12をも同時に駆動するものである。つまり、常時は、図のt3期間を繰り返して(t3→t3→t3→…)液晶表示部12の駆動を優先的に行い、動作形態1の場合と同様に指紋データ検出部13の駆動の要求があった際にのみ、図のt1及びt2期間を割り込ませ、液晶表示部12の上半分及び指紋データ検出部13の両方を駆動した後、液晶表示部12の下半分を駆動する。このとき、t1及びt2期間を1回としてもよいが、動作形態1の場合と同様に指紋データの確実性を持たせるために、例えばt3→t1→t2→t1→t2〜t1→t2→t3のようにt1及びt2期間を繰り返し行うことが好ましい。そして、指紋データ検出部13により指紋データを採取した後はt3期間の繰り返しに戻り再び液晶表示部12のみを駆動する。
【0053】
ここで、t1期間では、第1及び第2ゲートドライバ15a,15bから走査電極線14,14,…の第1行から第160行に順次パルス電圧を印加し、それに合わせて各行毎に第1及び第2ソースドライバ17a,17bから表示ソース電極線16,16,…にその行のデータ信号電圧を送ると共に、各行毎に第1及び第2データ検出素子19a,19bからデータ検出電極線18,18,…に所定電圧を印加し、電荷検出電極35に保持された電荷をデータとしてデータ検出電極線18,18,…を介して第1及び第2データ検出素子19a,19bに送る。従って、このようにすることによって液晶表示部12及び指紋データ検出部13のそれぞれについてゲート電極21への電圧印加の駆動タイミングを分ける必要がない。
【0054】
t2期間では、第1及び第2ゲートドライバ15a,15bから走査電極線14,14,…の第161行から第320行に順次パルス電圧を印加し、それに合わせて各行毎に第1及び第2ソースドライバ17a,17bから表示ソース電極線16,16,…にその行のデータ信号電圧を送る。
【0055】
t3期間では、第1及び第2ゲートドライバ15a,15bから走査電極線14,14,…の第1行から第320行に順次パルス電圧を印加し、それに合わせて各行毎に第1及び第2ソースドライバ17a,17bから表示ソース電極線16,16,…にその行のデータ信号電圧を送る。
【0056】
このように、指紋データ検出部13の駆動中に液晶表示部12をも併せて駆動する構成によれば、指紋データ検出部13の駆動中に液晶表示部12の表示が停止されることなく両方を同時に使用することができる。
【0057】
(動作形態3)
上記実施形態1及び2に係る指紋データ検出部一体型表示装置の動作形態1について図14を参照しながら説明する。
【0058】
図14は、動作形態3の概略タイムチャートの一例を示す。
【0059】
動作形態3は、指紋データ検出部13を駆動しているときは液晶表示部12の上半分の駆動を停止する一方、液晶表示部12の下半分の駆動を指紋データ検出部13の駆動と並行して行うものである。つまり、常時は、図のt1期間を繰り返して(t1→t1→t1→…)液晶表示部12の駆動を優先的に行い、指紋データ検出部一体型表示装置のスイッチをオンした際や携帯電話機の場合に暗証番号をインプットした際のように指紋データ検出部13の駆動の要求があった際にのみ、図のt2期間を割り込ませて液晶表示部12の下半分を駆動したまま上半分の駆動のみを停止して指紋データ検出部13を駆動する。このとき、t2期間を1回としてもよいが、動作形態1の場合と同様に指紋データの確実性を持たせるために、例えばt1→t2→t2→t2〜t2→t2→t1のようにt2期間を繰り返し行うことが好ましい。そして、指紋データ検出部13により指紋データを採取した後はt1期間の繰り返しに戻り再び液晶表示部12を駆動する。
【0060】
ここで、t1期間では、第1及び第2ゲートドライバ15a,15bから走査電極線14,14,…の第1行から第320行に順次パルス電圧を印加し、それに合わせて各行毎に第1及び第2ソースドライバ17a,17bから表示ソース電極線16,16,…にその行のデータ信号電圧を送る。
【0061】
t2期間では、第1及び第2ゲートドライバ15a,15bから走査電極線14,14,…の第1行、161行、第2行、第162行のように走査電極線14,14,…の上半分及び下半分を交互に且つそれぞれ行番号の小さいものから順に順次パルス電圧を印加し、第1行から第160行への電圧印加に合わせて各行毎に第1及び第2データ検出素子19a,19bからデータ検出電極線18,18,…に所定電圧を印加すると共に電荷検出電極35に保持された電荷をデータとしてデータ検出電極線18,18,…を介して第1及び第2データ検出素子19a,19bに送り、また、第161行から第320行への電圧印加に合わせて各行毎に第1及び第2ソースドライバ17a,17bから表示ソース電極線16,16,…にその行のデータ信号電圧を送る。このとき、液晶表示部12での1回の走査で表示に要する時間と指紋データ検出部13での1回の走査でデータ検出に要する時間との間には差があるため、それぞれのフレームを同期させ、図に示す例では、指紋データ検出部13の走査1回に対して液晶表示部12の走査1回を行うようにしている。
【0062】
このように指紋データ検出部13の駆動中に液晶表示部12の上半分の駆動を停止する構成では、t2期間中にゲート電極21に電圧が印加されて液晶表示部12の上半分のTFTがオン状態となった際に、補助容量に表示データが書き込まれて最後のt1期間で補助容量に書き込んだ表示データが失われることがないように、t2期間中は第1及び第2ソースドライバ17a,17bの出力がハイインピーダンスになるようにしておくことが好適である。また、t2期間中に第1及び第2ソースドライバ17a,17bの出力がハイインピーダンスになるようにしても、第1ゲートドライバ15aによるパルス電圧の走査により液晶表示部12の上半分のTFTがオン状態となることによりフィードスルーや表示ソース電極25及び表示ソース電極寄生容量への書き込みデータ電荷の再配置によるチラツキ等の表示への影響が及ぶこともあるので、シーケンス制御により、t2期間の直前にかかる影響の度合いが認識し難い所定表示に切り替えて、t2期間の終了後の最初のt1期間で表示を元に戻すようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、データ検出部一体型表示装置及びそれを備えた携帯端末について有用である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】施形態1に係る指紋データ検出部一体型表示装置の基板モジュールの正面図である。
【図2】液晶表示部の1つの画素の模式的な断面図である。
【図3】指紋データ検出部のの模式的な断面図である。
【図4】施形態2に係る指紋データ検出部一体型表示装置の基板モジュールの正面図である。
【図5】施形態2に係る第1の携帯電話機の斜視図である。
【図6】施形態2に係る第2の携帯電話機の斜視図である。
【図7】第2の携帯電話機内に設けられた基板モジュールの状態を示す説明図である。
【図8】施形態2に係る第3の携帯電話機の斜視図である。
【図9】第3の携帯電話機内に設けられた基板モジュールの状態を示す説明図である。
【図10】動作形態1の概略タイムチャート図である。
【図11】動作形態1のシーケンス制御を示すフローチャート図である。
【図12】液晶表示部の駆動停止時における表示例を示す説明図である。
【図13】動作形態2の概略タイムチャート図である。
【図14】動作形態3の概略タイムチャート図である。
【符号の説明】
【0065】
10,40 基板モジュール
11 ガラス基板
12 液晶表示部
13 指紋データ検出部
14 走査電極線
15a 第1ゲートドライバ
15b 第2ゲートドライバ
16 表示ソース電極線
17a 第1ソースドライバ
17b 第2ソースドライバ
18 データ検出電極線
19a 第1データ検出素子
19b 第2データ検出素子
21 ゲート電極
22 ゲート絶縁膜
23 活性半導体層
24 Na-Si層
25 表示ソース電極
26 ドレイン電極
27 絶縁保護層
28 層間絶縁膜
29 画素電極
30 コンタクトホール
31 電荷蓄積容量電極
32 電荷蓄積容量
33 液晶層
34 データ検出電極
35 電荷検出電極
36 上層絶縁膜
41a 表示部用基板
41b データ検出部用基板
42 接続線
50,60,80 携帯電話機
51,61,81 電話機本体
52,62,82 キーボード
61a 上側部
61b 下側部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に並行して延びる複数の走査電極線と、該複数の走査電極線のそれぞれが接続された走査電極駆動素子と、からなる走査電極系統と、
上記複数の走査電極線の延びる方向と角度をなして相互に並行して延び、各々、該複数の走査電極線のそれぞれと交差してアクティブマトリクス方式の表示部を構成する複数の信号電極線と、該複数の信号電極線のそれぞれが接続された信号電極駆動素子と、からなる信号電極系統と、
上記複数の走査電極線の延びる方向と角度をなして相互に並行して延び、上記表示部が構成されている部位とは異なる部位において、各々、上記複数の走査電極線の一部又は全部のそれぞれと交差してアクティブマトリクス方式のデータ検出部を構成する複数のデータ検出電極線と、該複数のデータ検出電極線のそれぞれが接続されたデータ検出素子と、からなるデータ検出系統と、
を備えたことを特徴とするデータ検出部一体型表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載されたデータ検出部一体型表示装置において、
上記複数の走査電極線、上記複数の信号電極線及び上記複数のデータ検出電極線はいずれもが同一基板に形成されており、
上記表示部と上記データ検出部とは共に上記基板に構成されていることを特徴とするデータ検出部一体型表示装置。
【請求項3】
請求項1に記載されたデータ検出部一体型表示装置において、
上記複数の走査電極線は表示部用基板及びデータ検出部用基板の両方に亘って形成されている一方、上記複数の信号電極線は該表示部用基板に、及び上記複数のデータ検出電極線は該データ検出部用基板にそれぞれ形成されており、
上記表示部は上記表示用基板に、及び上記データ検出部は上記データ検出用基板にそれぞれ別個に構成されていることを特徴とするデータ検出部一体型表示装置。
【請求項4】
請求項1に記載されたデータ検出部一体型表示装置において、
上記データ検出電極線からのデータ検出時に上記信号電極線への信号送信を停止するように構成されていることを特徴とするデータ検出部一体型表示装置。
【請求項5】
請求項1に記載されたデータ検出部一体型表示装置において、
上記データ検出電極線からのデータ検出時に上記信号電極線への信号送信を併せて行うように構成されていることを特徴とするデータ検出部一体型表示装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載されたデータ検出部一体型表示装置を備えたことを特徴とする携帯端末。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に並行して延びる複数の走査電極線と、該複数の走査電極線のそれぞれが接続された走査電極駆動素子と、からなる走査電極系統と、
上記複数の走査電極線の延びる方向と角度をなして相互に並行して延び、各々、該複数の走査電極線のそれぞれと交差してアクティブマトリクス方式の表示部を構成する複数の信号電極線と、該複数の信号電極線のそれぞれが接続された信号電極駆動素子と、からなる信号電極系統と、
上記複数の走査電極線の延びる方向と角度をなして相互に並行して延び、上記表示部が構成されている部位とは異なる部位において、各々、上記複数の走査電極線の一部又は全部のそれぞれと交差してアクティブマトリクス方式のデータ検出部を構成する複数のデータ検出電極線と、該複数のデータ検出電極線のそれぞれが接続されたデータ検出素子と、からなるデータ検出系統と、
を備え、
上記信号電極系統に位置する走査電極線の部分と上記データ検出系統に位置する走査電極線の部分とが直結されており、それらの間に他の素子を含まず、
上記データ検出電極線からのデータ検出時に、上記信号電極駆動素子から上記信号電極線への表示用の信号送信を停止すると共に、上記信号電極駆動素子から上記信号電極線への出力を、表示用の信号送信時よりもハイインピーダンス化するように構成されていることを特徴とするデータ検出部一体型表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載されたデータ検出部一体型表示装置を備えたことを特徴とする携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図13】
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【図14】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−338034(P2006−338034A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−169189(P2006−169189)
【出願日】平成18年6月19日(2006.6.19)
【分割の表示】特願2001−236216(P2001−236216)の分割
【原出願日】平成13年8月3日(2001.8.3)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】