説明

データ測定装置

【課題】地図を使用することなく測定データの測定位置を把握し得るデータ測定装置を提供する。
【解決手段】自動車11に搭載されるデータ測定装置1であって、入力部2は自動車11によって生成される速度信号S1および燃費信号S2を入力すると共に速度データD1および燃費データD2に変換して処理部6に出力し、GPS受信部3は自動車11の位置データDpoを処理部6に出力し、処理部6は速度データD1等を位置データDpoに関連付けて記憶部5に記憶させる。また処理部6は、速度データD1等を出力する際に、速度データD1等に関連付けられている位置データDpoで示される場所を含む特定地図の特定地図データDspを記憶部5に記憶されている地図データDmapを参照して作成し、この特定地図データDsp、速度データD1等および速度データD1等に関連付けられている位置データDpoを出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体上で生成される信号を入力して測定データに変換すると共にこの測定データが測定された位置に関連付けて記憶するデータ測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のデータ測定装置としてとして、下記特許文献1に開示されたデータ測定装置(カーレース用データロガー)が知られている。このデータ測定装置は、コース内を走行するレーシングカーに搭載されて、レーシングカーから走行情報を自動的に採取する運行管理計と、レーシングカーに搭載されて運行管理計に接続されたGPS受信機とを備え、GPS受信機から一定時間ごとに得られる位置情報(位置の緯度および経度)と、走行情報とを組み合わせて運行管理計に記録するように構成されている。具体的には、このデータ測定装置では、ある区間における最高値のデータ、区間タイム、予め決められたコースにおける地点でのデータ、各データの最高値のときの位置(位置の緯度および経度)、および1周のラップタイムなどが測定される。
【0003】
このデータ測定装置によれば、GPS受信機を用いたことにより、一定時間ごとにレーシングカーの位置を特定することができる。したがって、このデータ測定装置によれば、GPS受信機から採取したレーシングカーの位置情報とレーシングカーに設けられた各種のセンサからの走行情報とを組み合わせて記録することにより、走行情報が表す事象の発生した場所を自動的に記録することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−62321公報(第2−3頁、第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、この従来のデータ測定装置には、以下の解決すべき課題が存在している。すなわち、このデータ測定装置では、予め決められたコースにおける地点でのデータと共に各データの最高値のときの位置を示す位置情報が測定されるが、この位置情報は、上記したようにGPS受信機から得られた緯度および経度で構成されている。このため、このデータ測定装置の使用者は、各データの最高値のときのコースにおける地点を特定するためには、コースを含む地図を使用して、測定された位置情報(位置の緯度および経度)で示される地点を見付け出さなければならないという解決すべき課題が存在している。
【0006】
本発明は、かかる課題を解決すべくなされたものであり、地図を使用することなく測定データの測定位置を把握し得るデータ測定装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成すべく請求項1記載のデータ測定装置は、入力部、GPS受信部、処理部および記憶部を備えて移動体と共に移動して、前記入力部は、前記移動体上で生成される信号を入力すると共に測定データに変換して前記処理部に出力し、前記GPS受信部は、前記移動体の位置データを前記処理部に出力し、前記処理部は、前記測定データと当該測定データが測定されたときの前記位置データとを関連付けて前記記憶部に記憶させるデータ測定装置であって、前記記憶部には、地図データが記憶され、前記処理部は、前記記憶部に記憶されている前記測定データを出力する際に、当該測定データに関連付けられている前記位置データで示される場所を含む特定地図についての特定地図データを前記地図データを参照して作成し、当該作成した特定地図データを当該測定データおよび当該測定データに関連付けられている当該位置データと共に出力可能に構成されている。
【0008】
また、請求項2記載のデータ測定装置は、請求項1記載のデータ測定装置において、表示部を備え、前記処理部は、前記特定地図データで示される前記特定地図を前記表示部に表示させると共に、当該特定地図に含まれる前記測定データが測定された前記場所に当該測定データと関連付けられた識別記号を表示させ、当該識別記号が選択されたときに、当該選択された識別記号に関連付けられた前記測定データを当該表示部に表示させる。
【0009】
また、請求項3記載のデータ測定装置は、請求項2記載のデータ測定装置において、前記処理部は、前記表示部に前記測定データを縮小表示させる。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載のデータ測定装置では、測定データに関連付けられている位置データで示される場所を含む特定地図についての特定地図データが、測定データおよび測定データに関連付けられている位置データと共に出力される。したがって、このデータ測定装置によれば、例えば、出力される特定地図データ、測定データおよび位置データを外部機器に入力して処理することにより、外部機器における表示部の画面上に、測定データを位置データに関連付けられた状態で特定地図と共に表示させることができる。このため、地図を使用することなく測定データが測定された場所(測定位置)を確実に把握することができると共に、測定データの内容についても確実に把握することができる。
【0011】
また、請求項2記載のデータ測定装置では、自らの表示部の画面上に特定地図が表示され、かつこの特定地図に含まれる測定データが測定された場所にこの測定データに関連付けられた識別記号が表示され、識別記号が選択されたときに、この選択された識別記号に関連付けられた測定データが画面に表示される。したがって、このデータ測定装置によれば、測定データが測定された場所が特定地図内に多く存在しているときであっても、測定データが測定された場所を確実に把握することができると共に、確認したい場所において測定された測定データのみが画面上に選択的に表示されるため、この測定データの内容を確実に把握することができる。
【0012】
また、請求項3記載のデータ測定装置によれば、選択された識別記号に関連付けられた測定データが画面に縮小表示されるため、表示されている測定データによって覆い隠される特定地図上の領域を少なくすることができ(言い替えれば、特定地図上のより多くの領域を表示させることができ)、これにより、この測定データを表示させた状態においても、この測定データが測定された場所の特定地図上での位置や、この場所の周辺の地図を十分に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】データ測定装置1の構成を示す構成図である。
【図2】場所P1を含む予め規定された平面形状および広さの領域ARの地図データを特定地図データDsp1として作成する動作を説明するための説明図である。
【図3】表示部7の画面7aに特定地図と共に場所を示す識別記号Mを表示させた状態の表示画面図である。
【図4】表示部7の画面7aに特定地図と共に場所P1を示す識別記号Mおよびこの識別記号Mに関連付けられた測定データを表示させた状態の表示画面図である。
【図5】表示部7の画面7aに特定地図と共に場所P2を示す識別記号Mおよびこの識別記号Mに関連付けられた測定データを表示させた状態の表示画面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、データ測定装置の実施の形態について説明する。
【0015】
最初に、データ測定装置1の構成について図面を参照して説明する。
【0016】
データ測定装置1は、図1に示すように、入力部2、GPS(Global Positioning System )受信部3、地図データ記憶部4、記憶部5、処理部6および出力部7を備え、移動体11と共に移動可能(例えば、移動体11に搭載されることによって移動体11と共に移動するよう)に構成されている。以下では、移動体11として自動車を例に挙げて説明する。
【0017】
入力部2は、一例として、不図示のA/D変換器を備えて構成されて、移動体11(以下、「自動車11」ともいう)に搭載されている搭載機器の一例としての速度センサ12から出力される速度信号(移動体上で生成される信号の一例であり、自動車11の速度についての時間変化を示すアナログ信号)S1を入力してA/D変換(サンプリング)することにより、測定データとしての速度データD1を出力する。また、入力部2は、自動車11に搭載されている搭載機器の他の例としての燃費センサ13から出力される燃費信号(移動体上で生成される信号の一例であり、自動車11の燃費についての時間変化を示すアナログ信号)S2を入力してA/D変換(サンプリング)することにより、他の測定データとしての燃費データD2を出力する。
【0018】
GPS受信部3は、不図示の複数のGPS衛星から受信した時刻データと、自ら有している時計(内部時計)から出力される時刻データDtとに基づいて、データ測定装置1と各GPS衛星との間の距離を算出し、算出した各距離からデータ測定装置1の現在位置(すなわち、自動車11の現在位置)を特定して、この現在位置(緯度および経度)を示す位置データDpoを出力する。また、GPS受信部3は、この位置データDpoと共に、上記の時刻データDtについても出力する。
【0019】
地図データ記憶部4は、一例として、RAMやROMなどの半導体メモリや、HDD(Hard Disk Drive )で構成されて、少なくともデータ測定装置1の使用が想定されている地域を含む地方(中部地方や東日本など)の地図データDmapが予め記憶されている。記憶部5は、RAMやROMなどで構成されて、処理部6の動作プログラムなどを記憶する。また、記憶部5は、処理部6のワークメモリとしても機能する。
【0020】
処理部6は、不図示のCPUを備えて構成されて、検出処理およびデータ測定処理を実行する測定モードと、特定地図データ作成処理および特定地図データ出力処理を実行する出力モードとのうちの選択された一方のモードで作動する。なお、このモードの切り替えは、不図示のモード選択スイッチのスイッチ状態(オン状態かオフ状態か)に基づいて、処理部6が特定する。出力部7は、本例では、一例として、液晶ディスプレイなどの表示装置を備えて表示部として構成されている(以下、「表示部7」ともいう)。この表示部7は、測定データ(速度データD1および燃費データD2)を測定した場所を含む地図(後述する特定地図)と、この場所を示す後述する識別記号M(図3,4,5)と、この測定データとを画面上に表示させる。
【0021】
次に、データ測定装置1の動作について説明する。一例として、データ測定装置1を搭載した自動車11が、図2に示すように、道路Aを走行し、次いで、道路Aを右折して道路Bを走行し、続いて、道路Bを左折して道路Cを走行したときの動作を例に挙げて説明する。
【0022】
データ測定装置1では、入力部2が、速度センサ12から出力される速度信号S1および燃費センサ13から出力される燃費信号S2を入力すると共に、速度データD1および燃費データD2にそれぞれ変換して処理部6に出力する。また、GPS受信部3が、データ測定装置1の現在位置(すなわち、自動車11の現在位置)を示す位置データDpo、および時刻データDtを処理部6に出力する。
【0023】
この状態において、測定モードに設定された処理部6は、速度データD1を入力しつつ、検出処理を実行する。この検出処理では、処理部6は、速度データD1で示される自動車11の速度の単位時間当たりの変化量の絶対値(加速度の絶対値)を算出して、この変化量の絶対値が予め規定された閾値以上となったか否かを検出する。また、処理部6は、この検出処理において、算出した変化量の絶対値が閾値以上となったことを検出したとき(測定開始のトリガ条件が満たされたとき)には、データ測定処理を実行する。
【0024】
このデータ測定処理では、処理部6は、GPS受信部3から出力される時刻データDtに基づいて、算出した変化量の絶対値が閾値以上となった時点の時刻tを特定すると共に、この時刻tを含む予め規定された長さの期間T内に入力した測定データとしての速度データD1および燃費データD2を、この時刻tに関連付けて記憶部5に記憶させる。また、処理部6は、この時刻tにおいてGPS受信部3から入力した位置データDpoを、この時刻tに自動車11が通過した場所を示す位置データとして、上記の速度データD1および燃費データD2と同様にして、時刻tに関連付けて記憶部5に記憶させる。この場合、測定データや位置データに関連付ける時刻として、この時刻tに代えて、期間Tの始期である測定開始時刻を使用することもできる。
【0025】
本例では、一例として、道路Aにおける道路Bとの交差点の手前(時刻t1に通過した場所P1)での減速時の加速度が閾値以上となり、また道路Bと道路Cとの交差点から道路Cに入った直後(時刻t2に通過した場所P2)での加速時の加速度が閾値以上となったものとする。
【0026】
処理部6は、上記検出処理において、場所P1での自動車11の速度の単位時間当たりの変化量の絶対値が閾値以上となったことを検出して、データ測定処理を実行する。処理部6は、データ測定処理において、場所P1を通過した時刻t1に関連付けて、時刻t1を含む予め規定された長さの期間T1内に入力した速度データD1および燃費データD2(時刻t1の前後の速度データD1および燃費データD2)を測定データとして記憶部5に記憶すると共に、場所P1を示す位置データDpoを位置データDpo1として記憶部5に記憶する。
【0027】
また、処理部6は、検出処理において、場所P2での自動車11の速度の単位時間当たりの変化量の絶対値が閾値以上となったことを検出して、データ測定処理を実行して、場所P1のときと同様にして、場所P2を通過した時刻t2に関連付けて、時刻t2を含む予め規定された長さの期間T2内に入力した速度データD1および燃費データD2(時刻t2の前後の速度データD1および燃費データD2)を測定データとして記憶部5に記憶すると共に、場所P2を示す位置データDpoを位置データDpo2として記憶部5に記憶する。
【0028】
このようにして、このデータ測定装置1では、測定モードに設定された処理部6により、場所P1,P2での測定データ(速度データD1と燃費データD2)と、場所P1,P2の位置データDpo1,Dpo2とが、自動車11が各場所P1,P2を通過したときの時刻t1,t2に関連付けて、記憶部5に記憶される。
【0029】
この測定モードに続いて、出力モードに設定されたときには、処理部6は、まず、特定地図データ作成処理を実行する。この特定地図データ作成処理では、処理部6は、一例として、最初に処理部6に記憶させた時刻t1での測定データ(速度データD1と燃費データD2)およびこの時刻t1での場所P1の位置データDpo1を、時刻t1と共に記憶部5から読み出す。
【0030】
次いで、処理部6は、この位置データDpo1で示される場所P1を含む特定地図についての特定地図データDsp1を、地図データ記憶部4に予め記憶されている地図データDmapを参照して作成して(位置データDpo1と地図データ記憶部4に予め記憶されている地図データDmapとに基づいて作成して)、記憶部5に記憶させる。
【0031】
具体的には、処理部6は、一例として、位置データDpo1で示される場所P1を含み、かつ場所P1がほぼ中央に位置する予め規定された平面形状および広さ(本例では、図3,4に示すように長方形に形成された表示部7としての表示装置の画面7aに合わせて、図2に示すように、平面形状が長方形で、かつ画面7aに表示し切れる広さ)の領域ARの地図データを特定地図データDsp1として作成して、記憶部5に記憶させる。
【0032】
また、処理部6は、このようにして1つの時刻t1に通過した位置データDpo1で示される場所P1を含む特定地図データDsp1を作成したときには、この作成した特定地図データDsp1が他の測定データを測定した他の場所Pを含むか否かを判別する。この判別の結果、他の場所Pが含まれるときには、この特定地図データDsp1を、場所P1およびこの他の場所Pを含む特定地図データDspとして記憶する。一方、他の場所Pが含まれないときには、場所P1のみを含む特定地図データDspとして記憶する。これにより、特定地図データ作成処理が完了する。
【0033】
本例では、場所P1を含む特定地図データDsp1には、図2に示すように、他の場所P(本例では場所P2)も含まれるため、処理部6は、特定地図データDsp1を場所P1,P2を含む特定地図データDspとして記憶部5に記憶させる。
【0034】
この特定地図データ作成処理に続いて、処理部6は、特定地図データ出力処理を実行する。この特定地図データ出力処理では、処理部6は、まず、記憶部5に記憶されている特定地図データDsp1を読み出すと共に、特定地図データDsp1を表示部7に出力して特定地図データDsp1で示される特定地図の画像(道路A,B,Cを含む領域AR内の地図の画像)を表示部7の画面7aに図3に示すように表示させる。また、処理部6は、同図に示すように、特定地図データDsp1に含まれる各場所P1,P2の特定地図上での位置に、各場所P1,P2を示す識別記号M(本例では、一例として、逆三角形の記号(マーク)で囲まれた場所を示すシリアル番号(場所P1のときには数値「1」、場所P2のときには数値「2」))を重ねて表示させる。
【0035】
次いで、処理部6は、画面7aに表示させている特定地図データDsp1に含まれている場所Pのうちの特定の場所Pがオペレータによって選択されたか否かを判別し、特定の場所Pが選択されたと判別したときには、選択された場所Pにおいて測定された測定データ(速度データD1と燃費データD2)を画面7a上における場所Pに近い位置(場所Pの近傍)に縮小表示させる。
【0036】
具体的には、本例では画面7a上に表示されている2つの場所P1,P2のうちの一方の場所P1が特定の場所としてオペレータによって選択されたときには、処理部6は、場所P1が選択されたことを判別して、図4に示すように、場所P1を示す識別記号M(数値「1」が逆三角形で囲まれた記号)に近い位置、つまり、特定地図上での場所P1に近い位置に(場所P1に関連付けて)、時刻t1を含む期間T1に含まれる速度データD1の波形W1と燃費データD2の波形W2とを縮小表示させる。
【0037】
この場合、自動車11の運転手は、場所P1において、道路Bへの右折に備えてブレーキングを行うため、図4に示すように、速度データD1の波形W1として、場所P1を通過する時刻t1の前後で速度が高速から低速に減速されたことを示す波形が縮小表示されると共に、ブレーキングに合わせてアクセルが戻されるため(アクセルを戻したときに、自動車11では燃料カットが行われるため)、燃費データD2の波形W2として、時刻t1の前後において燃費が向上したことを示す波形が縮小表示される。なお、処理部6は、一例として、再度、表示されている測定データに関連付けられた識別記号Mが選択されたとき、また後述するように他の識別記号Mが選択されたときには、表示されている測定データの表示を終了させる。
【0038】
また、本例では画面7a上に表示されている2つの場所P1,P2のうちの他方の場所P2が特定の場所としてオペレータによって選択されたときには、処理部6は、場所P2が選択されたことを判別して、場所P1において測定された測定データの表示を終了させると共に、図5に示すように、場所P2を示す識別記号M(数値「2」が逆三角形で囲まれた記号)に近い位置、つまり、特定地図上での場所P2に近い位置に(場所P2に関連付けて)、時刻t2を含む期間T1に含まれる速度データD1の波形W1と燃費データD2の波形W2とを縮小表示させる。
【0039】
この場合、自動車11の運転手は、道路Cへの進入後の場所P2において、アクセルを踏み込んで自動車11を加速させるため、図5に示すように、速度データD1の波形W1として、場所P2を通過する時刻t2の前後で速度が低速から高速に加速されたことを示す波形が縮小表示されると共に、アクセルの踏み込みにより、燃費データD2の波形W2として、時刻t2の前後において燃費が低下したことを示す波形が縮小表示される。
【0040】
なお、オペレータによる各場所P1,P2を選択する構成としては、画面7aをタッチパネルで構成して、場所P1,P2を示す各識別記号Mを指で触ることによって選択する構成を採用することもできるし、マウスなどのポインティングデバイスを使用して、場所P1,P2を示す各識別記号Mを指定して選択する構成を採用することもできるし、キーボードなどから各場所を示す数値を入力して選択する構成を採用することもできる。
【0041】
このように、このデータ測定装置1では、場所P1を通過した時刻t1を含む期間T1内の速度データD1および燃費データD2(いずれも測定データ)の各波形W1,W2が場所P1を示す識別記号M(位置情報)に関連付けられて、この場所P1を含む特定地図(地図情報)と共に表示部7の画面7a上に表示される。また、場所P2を通過した時刻t2を含む期間T2内の速度データD1および燃費データD2(いずれも測定データ)の各波形W1,W2が場所P2を示す識別記号M(位置情報)に関連付けられて、この場所P2を含む特定地図(地図情報)と共に表示部7の画面7a上に表示される。
【0042】
したがって、このデータ測定装置1によれば、オペレータは、画面7a上に表示された特定地図上に表示されている場所P1,P2を示す識別記号Mの存在により、特定地図中のどの位置で自動車11の速度の単位時間当たりの変化量の絶対値が閾値以上となって、速度データD1および燃費データD2(測定データ)が測定されたのかを確実に把握することができると共に、場所P1,P2を示す識別記号Mと共に表示されるこの識別記号Mに関連付けられた速度データD1および燃費データD2に基づいて、各場所P1,P2での測定データの内容(速度および燃費の変化の様子)を確実に把握することができる。
【0043】
また、このデータ測定装置1では、処理部6は、表示部7の画面7aに特定地図を表示させると共に、特定地図に含まれる測定データ(速度データD1および燃費データD2)が測定された場所P1,P2にこの測定データに関連付けられた識別記号Mを示させ、識別記号Mが選択されたときに、この選択された識別記号Mに関連付けられた測定データを表示部7に縮小表示させる。
【0044】
したがって、このデータ測定装置1によれば、測定データ(速度データD1および燃費データD2)が測定された場所Pが画面7aに表示されている特定地図内に多く存在しているときであっても、測定データが測定された場所を確実に把握することができると共に、確認したい場所Pにおいて測定された測定データ(速度データD1および燃費データD2)のみが画面7a上に(画面7a上の選択された識別記号Mの近傍に)選択的に表示されるため、この測定データの内容を確実に把握することができる。
【0045】
また、このデータ測定装置1によれば、処理部6が測定データを縮小表示させる構成を採用しているため、表示されている測定データによって覆い隠される特定地図上の領域を少なくすることができ(言い替えれば、より多くの領域を表示させることができ)、これにより、この測定データを表示させた状態においても、この測定データが測定された場所Pの特定地図上での位置や、この場所Pの周辺の地図を十分に把握することができる。
【0046】
また、このデータ測定装置1では、処理部6が測定データを縮小表示させる構成を採用している。このため、特定地図内での測定データ(速度データD1および燃費データD2)が測定された場所Pの数が少ないときには、各場所Pにおいて測定された測定データを画面7aに同時に表示したとしても、どの測定データがどの場所Pにおいて測定されたものなのかを確実に識別することができる。したがって、このようなときには、特定地図に含まれている各場所Pに表示されている識別記号Mのいずれかを選択する操作を省いて、すべての識別記号Mの近傍に、この識別記号Mに関連付けられた測定データを表示する構成を採用することもできる。
【0047】
なお、上記の例では、画面7aに表示されている特定地図に含まれる測定データ(速度データD1および燃費データD2)が測定された場所P1,P2にこの測定データに関連付けられた識別記号Mを示させ、識別記号Mが選択されたときに、この選択された識別記号Mに関連付けられた測定データを表示部7に縮小表示させる構成を採用しているが、選択された識別記号Mに関連付けられた測定データを表示部7の全域またはほぼ全域に表示させる構成を採用することもできる。この構成によれば、測定データの内容をより詳細に確認することができる。また、縮小表示させている状態において操作部において全域表示を指示することにより、表示部7の全域またはほぼ全域に測定データを表示させる構成を採用することもできる。
【0048】
また、上記のデータ測定装置1では、共に移動する移動体11として自動車を例に挙げて説明したが、自動車以外にも、自転車や人などの移動体に搭載して(取り付けて)、移動体と共に移動しつつ、移動体上で生成される信号を測定する構成とすることもできる。一例として、移動体としての人と共に移動する構成としたときには、データ測定装置1を血圧センサおよび脈拍センサと共に人に取り付けて、人の血圧データおよび脈拍データを測定データとして測定する構成を採用することもできる。
【0049】
この構成においても、データ測定装置1は自動車に搭載されたときと同様にして、例えば、ウォーキング時における血圧データで示される人の血圧値が予め規定された閾値以上になったことを処理部6が検出したときに、その都度、処理部6がデータ測定処理を実行して、閾値以上になった時刻を含む期間内に入力した上記の測定データを、この時刻に関連付けて記憶部5に記憶させる。また、処理部6は、この時刻にGPS受信部3から入力した位置データDpoを、この時刻に人が通過した場所を示す位置データとして、上記の測定データと同様にして、この時刻に関連付けて記憶部5に記憶させる。
【0050】
したがって、このデータ測定装置1によれば、オペレータは、画面7a上に表示された特定地図上に表示されている場所Pを示す識別記号Mの存在により、どの場所Pで血圧値が予め規定された閾値以上になって、測定データ(血圧データおよび脈拍データ)が測定されたのかを確実に把握することができると共に、場所Pを示す識別記号Mと共に表示されるこの識別記号Mに関連付けられた測定データ(血圧データおよび脈拍データ)に基づいて、各場所Pでの測定データの内容(血圧および脈拍の変化の様子)を確実に把握することができる。
【0051】
また、上記した例では、データ測定装置1は、データ測定装置1が搭載される(取り付けられる)移動体自体に関する信号を移動体上で生成される信号として測定しているが、例えば、移動体としての自動車や自転車にデータ測定装置1が搭載されて、データ測定装置1が、移動体に乗車している人(人もまた移動体である)に関する信号を移動体上で生成される信号として測定する構成を採用することもできる。
【0052】
また、上記した例では、表示装置を備えた表示部として出力部7を構成しているが、外部機器と通信するためのインターフェース部として構成して、作成した特定地図データDspを、場所P1,P2を示す識別記号M(位置情報)に関連付けられた測定データと共に外部機器に出力する構成を採用することもできる。また、リムーバブルメディアのような外部メモリが接続されるインターフェース部として構成して、作成した特定地図データDspを、場所P1,P2を示す識別記号M(位置情報)に関連付けられた測定データと共に外部メモリに記憶させる構成を採用することもできる。
【0053】
この構成においては、外部機器(表示部を備えている機器)が、インターフェース部や外部メモリを介して、特定地図データDsp、および場所P1,P2を示す識別記号M(位置情報)に関連付けられた測定データを取得して、上記の特定地図データ作成処理および特定地図データ出力処理と同様の処理を実行することにより、この表示部の画面上に、測定データを位置データに関連付けられた状態で特定地図と共に表示させることができる。したがって、オペレータは、上記の例においては、外部機器における表示部の画面上に表示された特定地図上に表示されている場所を示す識別記号の存在により、特定地図中のどの場所で自動車の速度の単位時間当たりの変化量の絶対値が閾値以上となって、測定データが測定されたのかを確実に把握することができると共に、場所を示す識別記号と共に表示されるこの識別記号に関連付けられた測定データ(速度データおよび燃費データ)に基づいて、各場所での測定データの内容(速度および燃費の変化の様子)を確実に把握することができる。
【符号の説明】
【0054】
1 データ測定装置
2 入力部
3 GPS受信部
5 記憶部
6 処理部
7 表示部
11 自動車
D1 速度データ
D2 燃費データ
Dmap 地図データ
Dsp 特定地図データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力部、GPS受信部、処理部および記憶部を備えて移動体と共に移動して、前記入力部は、前記移動体上で生成される信号を入力すると共に測定データに変換して前記処理部に出力し、前記GPS受信部は、前記移動体の位置データを前記処理部に出力し、前記処理部は、前記測定データと当該測定データが測定されたときの前記位置データとを関連付けて前記記憶部に記憶させるデータ測定装置であって、
前記記憶部には、地図データが記憶され、
前記処理部は、前記記憶部に記憶されている前記測定データを出力する際に、当該測定データに関連付けられている前記位置データで示される場所を含む特定地図についての特定地図データを前記地図データを参照して作成し、当該作成した特定地図データを当該測定データおよび当該測定データに関連付けられている当該位置データと共に出力可能に構成されているデータ測定装置。
【請求項2】
表示部を備え、
前記処理部は、前記特定地図データで示される前記特定地図を前記表示部に表示させると共に、当該特定地図に含まれる前記測定データが測定された前記場所に当該測定データと関連付けられた識別記号を表示させ、当該識別記号が選択されたときに、当該選択された識別記号に関連付けられた前記測定データを当該表示部に表示させる請求項1記載のデータ測定装置。
【請求項3】
前記処理部は、前記表示部に前記測定データを縮小表示させる請求項2記載のデータ測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−29759(P2013−29759A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−167187(P2011−167187)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000227180)日置電機株式会社 (982)
【Fターム(参考)】