データ記録装置
【課題】必要なデータを自動的に記録することができ、かつ、容量の小さいメモリを利用することが可能であり、測定データの概略を早期に提供することが可能なデータ記録装置を提供すること。
【解決手段】データ記録装置は、不揮発性メモリ10と、不揮発性メモリ10に測定データ及び順序特定データを書き込む処理を行う書き込み制御部20と、通信回線を介してデータを送信する通信部40と、を含む。通信部40は、不揮発性メモリ10内の第1及び第2記憶領域11及び12に書き込まれた各ブロックのデータより前に、各ブロックに対応して取得された、各ブロックの少なくとも1つの測定データを代表データとして通信回線を介して送信する。
【解決手段】データ記録装置は、不揮発性メモリ10と、不揮発性メモリ10に測定データ及び順序特定データを書き込む処理を行う書き込み制御部20と、通信回線を介してデータを送信する通信部40と、を含む。通信部40は、不揮発性メモリ10内の第1及び第2記憶領域11及び12に書き込まれた各ブロックのデータより前に、各ブロックに対応して取得された、各ブロックの少なくとも1つの測定データを代表データとして通信回線を介して送信する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
温度や、振動、明るさ、音、画像などのデータを連続的に取得して記録するデータ記録装置(データログ装置)が知られており、例えば食品の温度管理や、ドライブレコーダやフライトレコーダ、ボイスレコーダ、地震計などに利用されている。
【0003】
これらのデータ記録装置では、測定されたデータの値が所定の範囲を超えた場合、測定対象に対して何らかのイベントが発生したと判断することができる。そして、当該データ以降に取得されたデータを解析処理すれば、測定対象の、イベント発生後の様子を知ることができる。また、当該データよりも前の一定期間内に取得されたデータを解析処理すれば、測定対象の、イベント発生前の様子を知ることができる。
【特許文献1】特開2005−259041号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらのデータ記録装置において、データを測定(記憶)する時間間隔を短くすれば、データの変化を正確に記録することができる。しかし、データの測定時間間隔が短くなればデータの数が増えるため、これを記録するためには容量の大きなメモリが必要になる。
【0005】
これに対して、データを測定する時間間隔を長くすれば、データの数が減るため、容量の小さいメモリを利用することができる。しかし、データの測定間隔が長くなれば、細かいデータの変化を記録することが難しくなる。
【0006】
また、イベント発生の様子を知るためには、イベント発生の前後のデータの変化を解析することが好ましいが、イベント発生の前後の測定データを確実に記憶するためには、常時データを記録しておく必要があり、容量の大きなメモリが必要になる。
【0007】
さらに、従来のデータ記録装置では、所定の時間間隔内の全データが取得された後に一括してサーバー等にデータを送信していた。そのため、この時間間隔が長い場合は、サーバー等の側から最新データを確認するのは困難だった。
【0008】
また、所定の時間間隔内のデータが、サーバーに送る必要のあるデータか、送信せずに廃棄するデータかを、後続のデータも参照して判定するデータ記録装置では、サーバーにデータが届くまでにさらに時間を要するという問題があった。
【0009】
本発明の目的は、必要なデータを自動的に記録することができ、かつ、容量の小さいメモリを利用することが可能であり、測定データの概略を早期に提供することが可能なデータ記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本発明に係るデータ記録装置は、
複数の測定データをメモリに書き込む処理を行うデータ記録装置であって、
前記測定データが書き込まれる複数の記憶領域を含む不揮発性メモリと、
所定の数の測定データを1ブロックとして、前記不揮発性メモリの所与の記憶領域に1ブロック分の各測定データを順次書き込み、その後、他の記憶領域に次の1ブロック分の各測定データを順次書き込む処理を繰り返し行う書き込み制御部と、
測定データを所定の通信回線を介して送信する通信部と、を含み、
前記書き込み制御部は、
各ブロックの測定データが書き込まれる前記不揮発性メモリの記憶領域に、各ブロックに割り当てられ各ブロックが取得された順序を特定するための順序特定データを、各ブロックと対応づけて書き込み、
前記不揮発性メモリの所与の記憶領域に最後に書き込まれた1ブロック、及び、当該1ブロックの後に取得された次の1ブロックが、所定の範囲外の値の測定データを含んでいるか否かを判断し、少なくとも一方が含んでいる場合には、前記所与の記憶領域に最後に書き込まれた1ブロック分の各測定データ及び当該1ブロックに割り当てられた前記順序特定データが上書きされないように、前記所与の記憶領域に新しい1ブロック分の各測定データ及び当該1ブロックに割り当てられた前記順序特定データを書き込み、いずれもが含んでいない場合には、前記測定データ及び前記順序特定データが上書きされるように、前記所与の記憶領域に新しい1ブロック分の各測定データ及び当該1ブロックに割り当てられた前記順序特定データを書き込み、
前記通信部は、
前記記憶領域に書き込まれた各ブロックのデータより前に、前記各ブロックに対応して取得された、前記各ブロックの少なくとも1つの測定データを代表データとして前記通信回線を介して送信することを特徴とする。
【0011】
本発明のデータ記録装置によると、所与の記憶領域に書き込まれた1ブロックの所定の数(N個)の測定データと、その後に取得された1ブロックの所定の数(N個)の測定データとのあわせて2N個の測定データが、所定の範囲外の値のデータを含むか否かを判断する。ここで、所定の範囲の値とは、測定対象が正常と判断される測定データの値である。すなわち、測定データが所定の範囲の値であれば、当該測定データは、測定対象は正常な状態であることを示している。逆に、測定データが所定の範囲外の値であれば、当該測定データは測定対象に異常が発生していることを示している。そして、本発明では、2N個の測定データが所定の範囲外の値のデータを含んでいる場合、前記所与の記憶領域に最後に書き込まれた1ブロックのN個の測定データを、保存を要するデータであると判定する。逆に、2N個の測定データが、すべて所定の範囲内の値のデータである場合、前記所与の記憶領域に最後に書き込まれた1ブロックのN個の測定データを、保存を要しないデータであると判定する。
【0012】
例えば、本発明によると、所与の記憶領域に最後に書き込まれた1ブロックの後に取得された次の1ブロックが異常を示す測定データを含んでいる場合、所与の記憶領域に最後に書き込まれた1ブロック分の測定データが保存される。また、本発明によると、所与の記憶領域に最後に書き込まれた1ブロックが異常を示す測定データを含んでいる場合にも、当該所与の記憶領域に最後に書き込まれた1ブロック分の測定データが保存される。
【0013】
このことから、本発明によると、異常を示すデータを含む1ブロック分の各測定データと、その前に取得された1ブロック分の各測定データとが保存される。すなわち、本発明によると、異常を示すデータよりも前に取得された少なくとも1ブロック分の各測定データを保存することができる。そのため、これを解析処理することにより、異常発生に至る過程で測定対象に起こった事象を判断することが可能になる。
【0014】
また、このデータ記録装置によると、所与の記憶領域の最後に書き込まれた1ブロック分の各測定データの要否を、異なる記憶領域に書き込まれた1ブロック分の各測定データを利用して判定する。そのため、このデータ記録装置によると、所与の記憶領域の最後に書き込まれた1ブロック分の各測定データの要否が判定されるまで、当該記憶領域に新たなデータを書き込まないように制御することができる。そして、所与の記憶領域の最後に書き込まれた1ブロック分の各測定データの要否を判定した後に当該記憶領域の書き込みアドレス(書き込み開始アドレス)を設定することで、当該1ブロック分の各測定データを上書きするか、あるいは、当該1ブロックのデータを上書きせずに保存するかを決定することができる。そのため、メモリのアドレスを隙間なく利用することができるため、メモリの容量を無駄なく利用することが可能になる。
【0015】
また、本発明によると、保存を要するブロックが取得された順序を特定するために当該ブロックに割り当てられた順序特定データを、当該ブロックに対応づけて保存する。従って、保存された測定データの解析時において、保存された各ブロックの取得順序を容易に判断することができる。また、保存されたブロック間に存在する保存されなかったブロックの数も認識することができるので、より精密な解析を行うことができる。
【0016】
なお、順序特定データは、例えば、シリアルナンバーや時刻など、取得した各ブロック
の順序を特定することができるデータであればよい。また、例えば、取得したブロック順に1から昇順の番号を割り当て、保存を要するブロックに対応づけて当該番号をそのまま保存してもよいし、当該番号を測定データと明確に区別するために所定の変換を施してから保存するようにしてもよい。例えば、1ブロックあたりの測定データ数及びデータを書き込むアドレスが毎回のデータ記録において同じである場合には、順序特定データが書き込まれるアドレスが毎回同じであり、測定データとの混同を起こさないので、前者のように順序特定データとして昇順の番号を書き込んでもよい。一方、1ブロックあたりの測定データ数又はデータを書き込むアドレスが毎回のデータ記録において異なる場合には、後者のように測定データとの混同を起こさないように順序特定データを書き込むのが望ましい。
【0017】
また、1ブロック分の各測定データと順序特定データを書き込むアドレスの順番は問わない。例えば、1ブロックの最後の測定データを書き込んだアドレスの次のアドレスに順序特定データを書き込むようにしてもよいし、順序特定データを書き込んだアドレスの次のアドレスを先頭として1ブロックの最初の測定データから順に書き込むようにしてもよい。
【0018】
さらに、本発明によると、イベントの発生の有無にかかわらず、すなわち所与の記憶領域の最後に書き込まれた1ブロック分の各測定データを保存しておくか否かの判断によらず、各ブロックの少なくとも1つの測定データを代表データとして先に送信するので、測定データの概略を早期に提供することが可能となる。
【0019】
なお、所定の通信回線は、有線であっても無線であってもよい。また、代表データは、例えば各ブロックの先頭の測定データでもよい。
【0020】
(2)本発明に係るデータ記録装置は、
前記不揮発性メモリは、
前記複数の記憶領域に含まれない所定の専用記憶領域をさらに有し、
前記書き込み制御部は、
前記不揮発性メモリの前記専用記憶領域に、前記代表データを順次書き込むことを特徴とする。
【0021】
専用記憶領域は、異常を示す測定データを含むブロック及びその前後のブロックを保存する複数の記憶領域とは別途設けられ、各ブロックの少なくとも1つの各測定データを順次書き込む用途に専用の記憶領域である。これによると、イベントの発生の有無にかかわらず、各ブロックの少なくとも1つの各測定データ(測定データの取得間隔よりも長い所定の間隔で取得されたデータ)が専用記憶領域に保存されるため、長期的なデータの変動を確認することが可能になる。また、代表データの送信時にエラーが発生した場合のバックアップデータとしても機能しうる。なお、当該専用記憶領域は、定期的に書き込みが行われるため、リングバッファとして構成し、古いデータから順に上書きして消去しながら使用することが望ましい。これによると、長期的なデータ変動の確認に必要な数のデータを比較的少ないメモリ容量で効率的に保存することができる。
【0022】
(3)本発明に係るデータ記録装置は、
前記通信部は、
所定のデータ又は通信タイミング信号を前記通信回線を介して受信するごとに、前記専用記憶領域に書き込まれた代表データを前記通信回線を介して送信することを特徴とする。
【0023】
本発明によれば、他の通信端末からのデータ又は通信タイミング信号を受信するごとに、専用記憶領域に書き込まれた代表データを送信するため、データ記録装置全体としての送信機会を節約することができる。そのため、通信で消費されるエネルギーを節約することができる。例えば、データ記録装置をセンサーネットワーク中に配し、センサーネットワークをアドホックネットワークとして構成した場合には、他の通信端末からデータを受信し、かかるデータをさらに他の通信端末に送信する機会があるため、この送信機会を利用して代表データを送信することができる。
【0024】
(4)本発明に係るデータ記録装置は、
前記通信部は、
前記専用記憶領域に記憶された代表データのうち、未だ送信されていない代表データを前記通信回線を介して送信することを特徴とする。
【0025】
本発明によれば、前回の送信機会から新たに書き込まれた代表データのみを送信することができる。そのため、転送データ量を削減することができる。
【0026】
(5)本発明に係るデータ記録装置は、
前記書き込み制御部は、
前記通信部が前記専用記憶領域に書き込まれた代表データを前記電気通信回線を介して送信するごとに、前記専用記憶領域に書き込まれた代表データを消去することを特徴とする。
【0027】
本発明によれば、専用記憶領域に書き込まれた代表データを電気通信回線を介して送信するごとに、専用記憶領域に書き込まれた代表データを消去するため、専用記憶領域に書き込まれているデータは全て前回の送信機会から新たに書き込まれた代表データとなる。そのため、専用記憶領域に書き込まれた代表データが、送信済みであるか否かを判断する必要がなく、より簡単な制御で転送データを削減することができる。
【0028】
(6)本発明に係るデータ記録装置は、
前記書き込み制御部は、
前記所与の記憶領域に最後に書き込まれた1ブロックの前に取得された1ブロックが、前記所定の範囲外の値の測定データを含むか否か判断し、含む場合には前記所与の記憶領域に最後に書き込まれた1ブロック分の各測定データ及び当該1ブロックに割り当てられた前記順序特定データが上書きされないように、前記所与の記憶領域に新しい1ブロック分の各測定データ及び当該1ブロックに割り当てられた前記順序特定データを書き込むことを特徴とする。
【0029】
これによると、イベントの発生を示すデータの後に取得されたデータを保存することができる。
【0030】
例えば、本発明によると、所与の記憶領域に最後に書き込まれた1ブロック分の各測定データの前に取得された1ブロックが異常を示す測定データを含んでいる場合、所与の記憶領域に最後に書き込まれた1ブロック分の各測定データが保存される。すなわち、本発明によると、異常を示す測定データの後に取得された少なくとも1ブロック分の各測定データを保存することができる。そのため、これを解析処理することにより、異常発生後の測定対象の状態を解析することが可能になる。
【0031】
(7)本発明に係るデータ記録装置は、
前記不揮発性メモリは、
3n個(nは1以上の整数)以上の前記記憶領域を含み、
前記書き込み制御部は、
前記不揮発性メモリの第k(kは1以上3n−1以下の整数)の記憶領域に1ブロック分の各測定データを順次書き込み、その後、第k+1の記憶領域に次の1ブロック分の各測定データを順次書き込み、第3nの記憶領域に1ブロック分の各測定データを順次書き込んだ後は、第1の記憶領域に次の1ブロック分の各測定データを順次書き込む処理を繰り返し行うことを特徴とする。
【0032】
これによると、異常を示す測定データを含むブロック及びその前後のブロックを保存する場合に、各記憶領域を均等に使用する確率を高くすることができる。そのため、メモリの容量を無駄なく利用することが可能になる。
【0033】
(8)本発明に係るデータ記録装置は、
前記書き込み制御部は、
前記所定の範囲を予め所定の値に設定することを特徴とする。
【0034】
(9)本発明に係るデータ記録装置は、
前記書き込み制御部は、
測定データに基づいて、前記所定の範囲を設定することを特徴とする。
【0035】
(10)本発明に係るデータ記録装置は、
前記書き込み制御部は、
前記測定データが所定の書き込み停止条件を満たしているか否かを判断し、前記所定の書き込み停止条件を満たしている場合に、前記不揮発性メモリへのデータの書き込みを停止させる制御を行う書き込み停止処理部を含むことを特徴とする。
【0036】
これにより、既に保存されているデータの消失を防止することができる。特に、本発明のデータ記録装置では、記憶部として不揮発性メモリを利用する。そのため、不測の事態が発生して記憶装置への電力の供給が停止した場合でも、既に保存されているデータの消失を防止することができる。
【0037】
(11)本発明に係るデータ記録装置は、
前記記憶領域毎の未使用領域の記憶容量が所定の値を下回ったことを検出する検出部をさらに含むことを特徴とする。
【0038】
(12)本発明に係るデータ記録装置は、
前記書き込み制御部は、
前記所与の記憶領域に最後に書き込まれた1ブロック分の各測定データが、所定の取得条件を満たすか否か判断し、満たす場合には前記所与の記憶領域に最後に書き込まれた1ブロック分の各測定データ及び当該1ブロックに割り当てられた前記順序特定データが上書きされないように、前記所与の記憶領域に新しい1ブロック分の各測定データ及び当該1ブロックに割り当てられた前記順序特定データを書き込むことを特徴とする。
【0039】
ここで、所定の取得条件を満たすデータとは、例えば、測定データのうち、L個(Lは1ブロックのデータ数Nより大きい整数)間隔で取得される測定データ(あるいは、測定データの取得間隔よりも広い所定の間隔をあけて取得される測定データ)であってもよい。
【0040】
これによると、連続するN個の測定データが定期的に保存されるため、データ記録装置が正常に動作していることを確認することができる。
【0041】
(13)本発明に係るデータ記録装置は、
前記書き込み制御部は、
書き込み先が他の記憶領域から所与の記憶領域に切り替えられて、前記所与の記憶領域に新しい1ブロック分の各測定データ及び当該1ブロックに割り当てられた前記順序特定データを書き込む場合に、前記所与の記憶領域に最後に書き込まれた1ブロック分の各測定データ及び当該1ブロックに割り当てられた前記順序特定データに対応する領域の最上位のアドレスを指定することで、前記所与の記憶領域に最後に書き込まれた1ブロック分の各測定データ及び当該1ブロックに割り当てられた前記順序特定データを上書きするように制御し、
前記所与の記憶領域に最後に書き込まれた1ブロック分の各測定データ及び当該1ブロックに割り当てられた前記順序特定データに対応する領域の最下位のアドレスよりも下位
のアドレスを指定することで、前記1ブロック分の各測定データ及び当該1ブロックに割り当てられた前記順序特定データを上書きしないように制御することを特徴とする。
【0042】
例えば、1ブロック分の測定データが書き込まれた後に当該1ブロックに割り当てられた順序特定データが書き込まれる場合、新しいデータの書き込みアドレスとして1ブロックの先頭の測定データが書き込まれたアドレスを指定することで、当該1ブロック分の測定データ及び順序特定データが上書きされて消去される。これにより、記憶容量を無駄なく利用することができる。
【0043】
逆に、新しいデータの書き込みアドレスとして1ブロック分の測定データ及び順序特定データが書き込まれたアドレスよりも下位のアドレスを指定することで、当該1ブロック分の測定データ及び順序特定データは上書きされることなく保存されるため、必要なデータを保存することができる。
【0044】
(14)本発明に係るデータ記録装置は、
前記不揮発性メモリは、強誘電体メモリであることを特徴とする。
【0045】
強誘電体メモリは、一般的に、書き換え可能な回数が多く、かつ、書き換えに要する時間が短いことが知られている。そのため、不揮発性メモリとして強誘電体メモリを利用することで、書き換え回数の制限、及び、データの取得時間間隔の制限が小さいデータ記録装置を提供することができる
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下、本発明を適用した実施の形態について図面を参照して説明する。ただし、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。また、本発明は、以下の内容を自由に組み合わせたものを含むものとする。
【0047】
図1〜図14は、本発明を適用した実施の形態に係るデータ記録装置(データログ装置)について説明するための図である。
【0048】
(1)データ記録装置の構成
本実施の形態に係るデータ記録装置1は、図1(A)及び図1(B)に示すように、不揮発性メモリ10を含む。ここで、不揮発性メモリとは、電源を切っても記憶した情報が消失しない記憶装置、すなわち、情報を保持するためのエネルギーを外部から供給する必要のない記憶装置である。不揮発性メモリを利用すれば、データ記録装置1からの電源の供給がストップした場合でも、取得した情報を保持することができる。不揮発性メモリは、例えば、電気ヒステリシスを応用したキャパシタを利用して実現することができる。
【0049】
本実施の形態に係るデータ記録装置1では、不揮発性メモリ10として、強誘電体メモリ(FeRAM)を利用してもよい。すなわち、不揮発性メモリ10は、強誘電体物質を有するキャパシタ(強誘電体キャパシタ)を含む構造をなしていてもよい。なお、当該強誘電体キャパシタに適用可能な強誘電体物質は特に限定されるものではないが、例えばPb、Zr、Tiを構成元素として含む酸化物からなるPZT系強誘電体材料であってもよい。あるいは、強誘電体物質として、SBT系、BST系、BIT系、BLT系などのいずれかの材料を適用してもよい。そして、強誘電体キャパシタは、対向電極と、当該対向電極の間に設けられた強誘電体物質とを含む構造をなしていてもよい。
【0050】
不揮発性メモリ10は、図1(B)に示すように、複数の記憶領域に分割されている。なお、図1(B)に示す例では、不揮発性メモリ10は、第1記憶領域11及び第2記憶領域12の二つの記憶領域に分割されている。ただし、本発明では、不揮発性メモリ10は、3個以上の複数の記憶領域に分割されていてもよい。また、本発明では、不揮発性メモリ10は、専用記憶領域13を含んでいてもよい。
【0051】
本実施の形態に係るデータ記録装置1は、書き込み制御部20を含む。書き込み制御部20は、不揮発性メモリ10への測定データの書き込み動作(処理)を制御する。書き込み制御部20は、不揮発性メモリ10における測定データを書き込むアドレスを指定し、不揮発性メモリ10へのデータの書き込み動作を行う。例えば、書き込み制御部20は、不揮発性メモリ10の書き込みアドレスを指定する書き込みアドレス指定部25を含んでいてもよい。そして、書き込み制御部20は、書き込みアドレス指定部25が指定するアドレスに測定データを書き込む。なお、書き込みアドレス指定部25のアドレス生成手順は特に限定されるものではないが、例えば、現在の書き込みアドレスに、測定データのデータサイズを加えて(インクリメントして)次の書き込みアドレスを生成してもよい。
【0052】
書き込み制御部20は、不揮発性メモリ10の所与の記憶領域(以下、『第1記憶領域11』とする)に1ブロックの所定の数(N個)の測定データを順次書き込み、その後、他の記憶領域(以下『第2記憶領域12』とする)に1ブロック分の各測定データを順次書き込む制御を行う。かかる制御は、例えば、書き込みアドレス指定部25によって、第1記憶領域11のアドレスを順次指定してN個のデータを書き込む処理を行い、その後、第2記憶領域12のアドレスを順次指定してN個のデータを書き込む処理を行うことで実現することができる。このとき、書き込みアドレス指定部25は、第1及び第2記憶領域11,12のアドレスを、上位アドレスから下位アドレスに向けて順次指定してもよい。なお、不揮発性メモリ10が2つの記憶領域に分割されている場合には、書き込みアドレス指定部25は、第1記憶領域11のアドレスを指定した後に第2記憶領域12のアドレスを指定し、その後、再び第1記憶領域11のアドレスを指定する。不揮発性メモリ10がM個(Mは3以上の整数)の記憶領域を有する場合、書き込みアドレス指定部25は、第1記憶領域のアドレスから第M記憶領域のアドレスまで順次指定し、第M記憶領域にN個のデータを書き込んだ後に、再び第1記憶領域のアドレスを指定する。
【0053】
また、書き込み制御部20は、不揮発性メモリ10の専用記憶領域13に、第1記憶領域11又は第2記憶領域12に順次書き込まれた各ブロックの少なくとも1つの測定データを順次書き込むように制御してもよい。書き込み制御部20は、例えば、各ブロックの先頭の測定データのみを専用記憶領域13に順次書き込むように制御してもよい。かかる制御は、例えば、書き込みアドレス指定部25によって、第1記憶領域11又は第2記憶領域12のアドレスを順次指定してN個のデータを書き込む処理を行う際に、先頭のデータを書き込む場合のみ、さらに専用記憶領域13に先頭のデータを書き込む処理を行うことで実現することができる。このとき、書き込みアドレス指定部25は、専用記憶領域13のアドレスを、上位アドレスから下位アドレスに向けて順次指定してもよい。
【0054】
本実施の形態に係るデータ記録装置1は、順序特定データ生成部30を含んでいてもよい。順序特定データ生成部30は、図1(A)に示すように、書き込み制御部20に含まれていてもよい。順序特定データ生成部30は、不揮発性メモリ10に書き込まれる各ブロックに割り当てられ各ブロックが取得された順序を特定するための順序特定データを生成する。順序特定データ生成部30は、1つの記憶領域に1ブロック分の測定データが書き込まれる度にカウンタをインクリメントして順序特定データを生成してもよい。そして、書き込み制御部20は、1つの記憶領域に1ブロック分の各測定データを書き込んだ後に、当該記憶領域の次のアドレスに順序特定データを書き込む制御を行ってもよいし、1つの記憶領域に順序特定データを書き込んだ後に、当該記憶領域の次のアドレスから1ブロック分の各測定データを書き込む制御を行ってもよい。
【0055】
本実施の形態に係るデータ記録装置1は、書き込み停止処理部35を含んでいてもよい。書き込み停止処理部35は、図1(A)に示すように、書き込み制御部20に含まれていてもよい。書き込み停止処理部35は、不揮発性メモリ10への測定データの書き込みを停止させる。書き込み停止処理部35は、測定データが所定の書き込み停止条件を満たしているか否かを判断し、当該書き込み停止条件を満たしている場合に、不揮発性メモリ10へのデータの書き込みを停止させる。書き込み停止処理部35は、書き込み停止条件を満たしているデータの取得後、直ちに書き込み動作を停止してもよい。あるいは、書き込み停止処理部35は、書き込み停止条件を満たしているデータの取得後、所定の時間が経過した後に、データの書き込みを停止してもよい。
【0056】
なお、データ記録装置1は、記憶領域毎の未使用領域の記憶容量が所定の値を下回ったことを検出する検出部を含んでいてもよい。このとき、書き込みアドレス指定部25は、当該検出部からの検出信号に基づいて、指定するアドレスを制御してもよい。データ記録装置1は、また、アドレス毎のデータの書き込み(書き換え)回数を計測する書き込み回数計測部を含んでいてもよい。また、データ記録装置1は、不揮発性メモリ10(第1及び第2記憶領域11,12)を、リングバッファとして循環使用してもよい。
【0057】
本実施の形態に係るデータ記録装置1は、通信部40を含む。通信部40は、通信回線70を通じて測定データを送信する。通信回線70は、有線であっても無線であってもよい。
【0058】
通信部40は、通信制御部45と通信インターフェイス50を含んでもよい。通信制御部45は、通信インターフェイス50がデータを送信するタイミングを制御したり、送信するデータを選択したり、所定のデータ又は通信タイミング信号を通信インターフェイス50が受信したか否かを判定したりする機能を有してもよい。
【0059】
また、書き込み制御部20及び通信制御部45の機能は、例えばCPUで所定のプログラムを実行してソフトウェア的に実現してもよい。
【0060】
次に、本実施の形態に係るデータ記録装置1の具体的な装置構成について説明する。図2は、データ記録装置1の具体的な装置構成の一例を示すブロック図である。
【0061】
データ記録装置1は、CPU100を有する。CPU100は、データ記録装置1の動作を制御する。CPU100は、例えば、FeRAM110(不揮発性メモリ10の一例としての強誘電体メモリ)の書き込みアドレスを決定し、当該書き込みアドレスを順次指定し、指定した書き込みアドレスに測定データを書き込ませる。すなわち、CPU100は、書き込み制御部20として機能してもよい。また、CPU100は、計測機器の動作を制御して、データの測定間隔(測定データの取得間隔)を設定してもよい。さらに、CPU100が通信制御部45として機能し、通信インターフェイス50と協働して通信部40として機能してもよい。そして、FeRAM110は、不揮発性メモリ10として機能する。
【0062】
CPU100は、ROM120から読み込んだ制御プログラムに基づいて、データ記録
装置2の動作を制御してもよい。CPU100は、また、RAM130に保存された測定パラメータに基づいて、データ記録装置1の動作を制御してもよい。ここで、測定パラメータは、例えばキー入力されてRAM130に保存されている情報であってもよい。RAM130の機能は、EEPROM等の書き換え可能なROMや、FeRAMによって実現してもよい。
【0063】
データ記録装置1では、CPU100、FeRAM110、ROM120、RAM130、通信インターフェイス50及びI/Oは、1つの集積回路装置(例えば半導体チップ)として構成されていてもよい。そして、データ記録装置1は、当該集積回路装置で、計測機器を制御し、ディスプレーに画像を表示させるための表示画像データを生成する制御を行ってもよい。
【0064】
(2)データ記録装置の動作
以下、本実施の形態に係るデータ記録装置1の動作について説明する。図3は、データ記録装置1の動作の一例を説明するためのフローチャート図である。
【0065】
はじめに、初期値を設定する(ステップS100)。ここで、初期値とは、例えば、データを測定する間隔(測定データの取得間隔)や、測定データを正常と判断する範囲(上限及び下限値)や、1ブロックの測定データの数であるNの値、初期アドレス等が挙げられる。これらの初期値は、RAM130に記憶させてもよい。なお、これらの初期値は、測定対象に合わせて設定してもよい。また、測定データは時系列であってもよい。
【0066】
次に、書き込みアドレス指定部25で所与の記憶領域のアドレスを指定し、指定されたアドレスに新たな測定データを書き込む(ステップS102)。
【0067】
そして、書き込みアドレス指定部25は、次の測定データを書き込むための書き込みアドレスを更新する(ステップS104)。更新された書き込みアドレスは、次にステップS102において新たな測定データを書き込む際に、書き込みアドレス指定部25で書き込みアドレスとして指定される。
【0068】
そして、ステップS102で所与の記憶領域に書き込まれた測定データを代表データとして選択するための条件を満たすか否か判断する(ステップS106)。条件を満たさない場合(ステップS106においてNoの場合)は、後述する送信処理(ステップS108)を行わず次の手順(ステップS110)に進む。条件を満たす場合(ステップS106においてYesの場合)は、通信部40により後述する送信処理が行われる(ステップS108)。例えば、常に、1ブロックの先頭の測定データを代表データとして送信するようにしてもよい。
【0069】
そして、N個の測定データの書き込みが終了したか否か判断し(ステップS110)、終了していない場合(ステップS110においてNoの場合)は、ステップS102〜S108の処理を繰り返す。N個の測定データの書き込みが終了した場合(ステップS110においてYesの場合)は、所与の記憶領域に対する書き込み処理を終了する。
【0070】
そして、順序特定データ生成部30で当該1ブロックに割り当てられた順序特定データを生成し、書き込みアドレス指定部25によって指定された当該記憶領域のアドレスに当該順序特定データを書き込む(ステップS112)。
【0071】
そして、データを書き込む記憶領域を変更(選択)し(ステップS114)、新たな記憶領域の書き込み開始アドレス(先頭アドレス)を設定する(ステップS116)。
【0072】
そして、書き込みアドレス指定部25で、当該書き込み開始アドレスからアドレスの指定を行い、1ブロックのN個の測定データを書き込む手順(ステップS102〜S108)を繰り返す。
【0073】
図4は、データ記録装置1の動作、特に、送信処理の手順(ステップS108)について説明するためのフローチャート図である。
【0074】
はじめに、送信開始処理(ステップS140)が行われる。例えば、この処理には、通信部40が通信回線150を介して送信先サーバーとのセッションを確立する処理などが相当する。
【0075】
次に、確立されたセッションにより、実際にデータを送信する(ステップS142)。図3のフローチャート図における送信処理の場合は、ステップS106で代表データとして選択するための条件を満たした測定データが通信部40により、通信回線150を介して送信される。
【0076】
最後に、送信終了処理(ステップS144)が行われる。例えば、この処理には、通信部40が通信回線150を介して送信先サーバーとのセッションを切断する処理などが相当する。
【0077】
図5は、データ記録装置1の動作、特に、新たな記憶領域の書き込み開始アドレスを決定する手順(ステップS116)について説明するためのフローチャート図である。ここでは、新たな記憶領域として第1記憶領域11を選択した場合を例にとって説明する。また、図6(A)〜図6(C)は、データ記録装置1における不揮発性メモリ10にデータが書き込まれる様子を表す模式図である。
【0078】
はじめに、第1記憶領域11に書き込まれたブロックのうち、最後に書き込まれたブロックのN個のデータ(以下、『第1ブロックのデータD1』とする)、及び、第1ブロックのデータD1の次に取得されたブロックのN個の測定データ(以下、『第2ブロックのデータD2』とする)が、すべて、所定の範囲内の値のデータであるか否かについて判断する(ステップS20)。なお、第2ブロックのデータD2は、第2記憶領域12に書き込まれた測定データのうち、最後に書き込まれたブロックのN個のデータであってもよい。ただし、第2ブロックのデータD2は、記憶部10(第2記憶領域12)に書き込まれる前のN個のデータであってもよい。
【0079】
ここで、「所定の範囲の値」とは、測定データがイベントの発生を示すか否かを判定するための上限値及び下限値の少なくとも一方を規定する閾値である。すなわち、測定データの値が所定の範囲内の値である場合には、当該測定データは、測定対象が正常であることを示している。逆に、測定データの値が所定の範囲外の値である場合には、当該測定データは、測定対象に異常が発生していることを示している。この、「所定の範囲の値」は、例えば、測定対象に基づいて予め定められている値であってもよい。あるいは、「所定の範囲の値」は、測定データに基づいて設定される値であってもよい。例えば、直前に測定されたデータとの対比において、所定の範囲の値を設定してもよい。
【0080】
なお、第1及び第2ブロックのデータD1,D2は、第1及び第2記憶領域11,12に書き込まれたデータのうち、最も新しいN個のデータ(最後に書き込まれたN個のデータ)であってもよい。また、第1及び第2ブロックのデータD1,D2は、それぞれ、連続的に取得されたN個の測定データであってもよい。
【0081】
例えば、図6(A)のように、第1及び第2ブロックのデータD1,D2は、それぞれ第1及び第2記憶領域11,12のアドレスA11及びA21から順次書き込まれたN個の測定データであってもよい。また、例えば、第1及び第2ブロックのデータD1,D2にそれぞれ割り当てられた順序特定データID1,ID2は、それぞれデータD1,D2が書き込まれている最後のアドレスの次のアドレス(図6(A)では、それぞれアドレスA12,A22)に書き込まれていてもよい。
【0082】
そして、第1及び第2ブロックのデータD1,D2が、すべて、所定の範囲内の値のデータである場合(ステップS20におけるYesの場合)、書き込み制御部20は、第1ブロックのデータD1及び順序特定データID1が上書きされるように書き込み開始アドレスを設定し(ステップS22)、第1記憶領域11に新しいブロックのデータを書き込む(ステップS102〜S110)。例えば、書き込みアドレス指定部25で、第1ブロックのデータD1が書き込まれている先頭のアドレス(図6(B)ではアドレスA11)を書き込み開始アドレスと指定してもよい。この場合、図6(B)に示すように、アドレスA11以下のアドレスに書き込まれていたデータD1は、新たに取得されたデータD3によって上書きされて消去される。また、データD1が書き込まれている最後のアドレスの次のアドレス(図6(B)ではアドレスA12)に書き込まれていた順序特定データID1は、データD3に割り当てられた順序特定データID3によって上書きされて消去される。
【0083】
逆に、第1及び第2ブロックのデータD1,D2の少なくとも1つが、所定の範囲外の値のデータを含む場合(ステップS20におけるNoの場合)、書き込み制御部20は、第1ブロックのデータD1及び順序特定データID1が上書きされないように書き込み開始アドレスを設定し(ステップS24)、第1記憶領域11に新しいブロックのデータを書き込む(ステップS102〜S110)。例えば、書き込みアドレス指定部で、第1ブロックのデータD1及び順序特定データID1が書き込まれたアドレスよりも後のアドレス(図6(C)ではアドレスA13)を書き込み開始アドレスと指定してもよい。この場合、図6(C)に示すように、新たなデータD3及び順序特定データID3は第1ブロックのデータD1及び順序テク定データID1を避けて書き込まれるため、第1ブロックのデータD1及び順序特定データID1は、消去されずに保存される。
【0084】
なお、本発明では、新たな記憶領域の書き込み開始アドレスを決定する手順(ステップS116)において、第1及び第2ブロックのデータD1,D2のみならず、第1ブロックのデータD1の前に取得された第0ブロックのデータD0に基づいて、書き込み開始アドレスを決定してもよい。この場合の書き込み開始アドレスを決定する手順について、図7を参照して説明する。
【0085】
はじめに、第1及び第2ブロックのデータD1,D2が所定の範囲内の値であるか否か、及び、第1ブロックのデータD1の前に取得された第0ブロックのデータD0が所定の範囲内の値であるか否かを判定する(ステップS25)。
【0086】
第1及び第2ブロックのデータD1,D2が所定の範囲内の値であり、かつ、第0ブロックのデータD0が所定の範囲内の値である場合(ステップS25におけるYesの場合)、書き込み制御部20は、第1ブロックのデータD1及び順序特定データID1が上書きされるように書き込み開始アドレスを指定し(ステップS22)、第1記憶領域11に新しいブロックの測定データ及び当該新しいブロックに割り当てられた順序特定データを書き込む(ステップS102〜S112)。
【0087】
逆に、第1及び第2ブロックのデータD1,D2の少なくとも1つが所定の範囲外のデータを含む場合、又は、第0ブロックのデータD0が所定の範囲外のデータを含む場合(ステップS25におけるNoの場合)、書き込み制御部20は、第1ブロックのデータD1及び順序特定データID1が上書きされないように書き込み開始アドレスを指定し(ステップS24)、第1記憶領域11に新しいブロックのデータ及び当該新しいブロックに割り当てられた順序特定データを書き込む(ステップS102〜S112)。
【0088】
これによると、第1ブロックのデータD1の直前に取得された第0ブロックのデータD0がイベントの発生を示すデータを含んでいる場合に、第1及び第2ブロックのデータD1,D2の値にかかわらず、第1ブロックのデータD1及び順序特定データID1が保存される。そのため、このデータ記録装置によると、イベント発生後、所定の期間のデータを保存することができる。
【0089】
すなわち、本発明に係るデータ記録装置によると、イベント発生前に取得された少なくともN個のデータと、イベント発生後に取得された少なくともN個のデータとを保存することができるため、イベント発生前後のデータ変化を解析することが可能になる。
【0090】
詳しくは、本発明では、先に説明したように、データをN個ずつに分け(ブロックとしてとらえ)、それぞれを一つのまとまりとして扱う。そのため、イベント発生時点のデータも、いずれかのブロックに含まれることになる。すなわち、イベント発生時点のデータは、一つのブロックの先頭から末尾までのいずれかの位置に書き込まれる。例えばイベント発生時点のデータが1つのブロックの先頭データとして書き込まれている場合、当該ブロックの前のブロックのデータを保存すれば、イベント発生時点よりも前のN個のデータを保存することができる。逆に、イベント発生時点のデータが1つのブロックの末尾データとして書き込まれている場合、当該ブロックの後のブロックのデータを保存すれば、イベント発生時点の後のN個のデータを保存することができる。すなわち、イベント発生時点のデータを含むN個のデータ(1つのブロックのデータ)と、その前後のブロックのデータとを保存すれば、イベント発生時点のデータが一つのブロックのどこに書き込まれている場合でも、イベント発生時点のデータと、その前の少なくともN個のデータ及びその後の少なくともN個のデータを保存することができるため、イベント発生前後のデータ変化を解析することが可能になる。
【0091】
逆に、イベントが発生しなければ、暫定的に保存されていた1ブロックのN個のデータ及び順序特定データは、新たに取得した1ブロックのN個のデータ及び順序特定データによって順次上書きされて消去されるため、イベント発生前後のデータのみを保存することができる。従って、少ない記憶容量のメモリであっても、効率的にイベント発生前後のデータを残すことができる。すなわち、本発明に係るデータ記録装置は、イベントレコーダとして使用することができる。
【0092】
加えて、本発明では、各ブロックの測定データを保存すべきか否かを判断する前に、各ブロックのN個のデータのうち少なくとも1つのデータを代表データとして外部のサーバー等に送信することができる。したがって、測定データの概略を早期に提供することが可能となる。
【0093】
さらに、本発明では、新たな記憶領域の書き込み開始アドレスを決定する手順(ステップS116)において、第1ブロックのデータD1が所定の条件(取得条件)を満たしたデータを含んでいる場合、この第1ブロックのデータD1を保存すべきデータと判定してもよい。例えば、第1ブロックのデータD1が測定データの取得間隔(測定間隔)よりも広い所定の間隔をあけて取得されたデータを含んでいる場合に、この第1ブロックのデータD1を、保存すべきデータと判定してもよい。これによると、イベントが発生しなかった場合でも測定データが定期的に保存されるため、データ記録装置が正常に動作していることを確認することができる。あるいは、第1及び第2記憶領域11,12のアドレスの使用量の偏りが大きくなった時に、第1ブロックのデータD1を保存すべきデータと判定してもよい。これによれば、メモリの使用領域の差を調整することができる。
【0094】
なお、測定開始後の最初の1ブロック分の測定データが保存すべきデータでなかった時に、次のサイクルで当該データを上書きしようとしても上書きすべきデータが存在しないという事態が発生するので注意が必要である。例えば、とりあえず初回は1ブロック分のデータを残すようにしてもよい。
【0095】
図3を用いて説明したデータ記録装置1の動作では、不揮発性メモリ10の専用記憶領域13を用いない動作であったが、本発明のデータ記録装置1は代表データを不揮発性メモリ10の専用記憶領域13に保存するようにしてもよい。かかる動作について、図8を用いて説明する。
【0096】
はじめに、初期値を設定する(ステップS100)。ここで、初期値とは、例えば、データを測定する間隔(測定データの取得間隔)や、測定データを正常と判断する範囲(上限及び下限値)や、1ブロックの測定データの数であるNの値、初期アドレス等が挙げられる。これらの初期値は、RAM130に記憶させてもよい。なお、これらの初期値は、測定対象に合わせて設定してもよい。
【0097】
次に、書き込みアドレス指定部25で所与の記憶領域のアドレスを指定し、指定されたアドレスに新たな測定データを書き込む(ステップS102)。
【0098】
そして、書き込みアドレス指定部25は、次の測定データを書き込むための書き込みアドレスを更新する(ステップS104)。更新された書き込みアドレスは、次にステップS102において新たな測定データを書き込む際に、書き込みアドレス指定部25で書き込みアドレスとして指定される。
【0099】
そして、ステップS102で所与の記憶領域に書き込まれた測定データを代表データとして保存するための条件を満たすか否か判断する(ステップS106)。条件を満たさない場合(ステップS106においてNoの場合)は、代表データの書き込み処理及び送信処理(ステップS118、S120、S108)を行わず次の手順(ステップS110)に進む。条件を満たす場合(ステップS106においてYesの場合)は、書き込みアドレス指定部25で指定された専用記憶領域のアドレスに当該測定データを書き込んで代表データとして保存する(ステップS118)。例えば、常に、1ブロックの先頭の測定データを代表データとして保存するようにしてもよい。代表データの保存後に、通信部40により送信処理が行われる(ステップS108)。
【0100】
そして、書き込みアドレス指定部25は、次の代表データを書き込むための書き込みアドレスを更新する(ステップS120)。更新された書き込みアドレスは、次にステップS118において新たな代表データを書き込む際に、書き込みアドレス指定部25で書き込みアドレスとして指定される。
【0101】
そして、N個の測定データの書き込みが終了したか否か判断し(ステップS110)、終了していない場合(ステップS110においてNoの場合)は、ステップS102〜S108の処理を繰り返す。N個の測定データの書き込みが終了した場合(ステップS100においてYesの場合)は、所与の記憶領域に対する書き込み処理を終了する。
【0102】
そして、順序特定データ生成部30で当該1ブロックに割り当てられた順序特定データを生成し、書き込みアドレス指定部25によって指定された当該記憶領域のアドレスに当該順序特定データを書き込む(ステップS112)。
【0103】
そして、データを書き込む記憶領域を変更(選択)し(ステップS114)、新たな記憶領域の書き込み開始アドレス(先頭アドレス)を設定する(ステップS116)。
【0104】
そして、書き込みアドレス指定部25で、当該書き込み開始アドレスからアドレスの指定を行い、1ブロックのN個の測定データを書き込む手順(ステップS102〜S108)を繰り返す。
【0105】
このように、専用記憶領域13に代表データを保存することにより、例えば代表データの送信時にエラーが発生した場合のバックアップデータとして利用することができる。なお、送信処理は専用記憶領域への代表データの書き込み処理よりも前に、又はこれと並行して行うことも可能である。
【0106】
図3又は図8を用いて説明したデータ記録装置1の動作では、代表データとして選択するための条件を満たしたデータを測定するごとに送信処理を行っていたが、測定データの書き込み動作とは独立に、通信部40が外部からの所定のデータ又は通信タイミング信号を受信するごとに送信処理を行うことも可能である。かかる動作について、図9〜図12を用いて説明する。
【0107】
はじめに、初期値を設定する(ステップS100)。ここで、初期値とは、例えば、データを測定する間隔(測定データの取得間隔)や、測定データを正常と判断する範囲(上限及び下限値)や、1ブロックの測定データの数であるNの値、初期アドレス等が挙げられる。これらの初期値は、RAM130に記憶させてもよい。なお、これらの初期値は、測定対象に合わせて設定してもよい。
【0108】
次に、書き込みアドレス指定部25で所与の記憶領域のアドレスを指定し、指定されたアドレスに新たな測定データを書き込む(ステップS102)。
【0109】
そして、書き込みアドレス指定部25は、次の測定データを書き込むための書き込みアドレスを更新する(ステップS104)。更新された書き込みアドレスは、次にステップS102において新たな測定データを書き込む際に、書き込みアドレス指定部25で書き込みアドレスとして指定される。
【0110】
そして、ステップS102で所与の記憶領域に書き込まれた測定データを代表データとして保存するための条件を満たすか否か判断する(ステップS106)。条件を満たさない場合(ステップS106においてNoの場合)は、代表データの書き込み処理(ステップS118、S120)を行わず次の手順(ステップS110)に進む。条件を満たす場合(ステップS106においてYesの場合)は、書き込みアドレス指定部25で指定された専用記憶領域のアドレスに当該測定データを書き込んで代表データとして保存する(ステップS118)。例えば、常に、1ブロックの先頭の測定データを代表データとして保存するようにしてもよい。
【0111】
そして、書き込みアドレス指定部25は、次の代表データを書き込むための書き込みアドレスを更新する(ステップS120)。更新された書き込みアドレスは、次にステップS118において新たな代表データを書き込む際に、書き込みアドレス指定部25で書き込みアドレスとして指定される。
【0112】
そして、N個の測定データの書き込みが終了したか否か判断し(ステップS110)、終了していない場合(ステップS110においてNoの場合)は、ステップS102〜S120の処理を繰り返す。N個の測定データの書き込みが終了した場合(ステップS100においてYesの場合)は、所与の記憶領域に対する書き込み処理を終了する。
【0113】
そして、順序特定データ生成部30で当該1ブロックに割り当てられた順序特定データを生成し、書き込みアドレス指定部25によって指定された当該記憶領域のアドレスに当該順序特定データを書き込む(ステップS112)。
【0114】
そして、データを書き込む記憶領域を変更(選択)し(ステップS114)、新たな記憶領域の書き込み開始アドレス(先頭アドレス)を設定する(ステップS116)。
【0115】
そして、書き込みアドレス指定部25で、当該書き込み開始アドレスからアドレスの指定を行い、1ブロックのN個の測定データを書き込む手順(ステップS102〜S120)を繰り返す。
【0116】
このように、図9に示す動作では、測定データを書き込む動作の流れの中には代表データの送信処理が含まれていない。したがって、測定データを書き込む動作とは独立した通信処理の一例を、図10を用いて説明する。
【0117】
はじめに、通信部40が所定のデータ又は通信タイミング信号を受信したか否かを判定する(ステップS160)。
【0118】
通信部40が所定のデータ又は通信タイミング信号を受信していない場合(ステップS160におけるNoの場合)、所定のデータ又は通信タイミング信号を受信するまで判定を繰り返す。
【0119】
通信部40が所定のデータ又は通信タイミング信号を受信した場合(ステップS160におけるYesの場合)、送信すべきデータを選択し(ステップS162)、送信処理を行う(ステップS108)。
【0120】
送信すべきデータは、専用記憶領域にある全ての代表データとしてもよいが、送信データを削減するためには、過去に送信されていない代表データを送信することが好ましい。このようなデータ選択処理の一例を、図11を用いて説明する。
【0121】
はじめに、専用記憶領域13内のアドレスを指定する(ステップS180)。専用記憶領域13の先頭アドレスから代表データが書き込まれる場合には、初期設定で専用記憶領域13の先頭アドレスを指定しておいてもよい。
【0122】
次に、専用記憶領域13の指定アドレスに代表データが書き込まれているか否かを判定する(ステップS182)。例えば、専用記憶領域13に代表データを書き込む際に、最後の代表データの次のアドレスに区切りデータを書き込むようにし、ステップS182では書き込まれているデータが区切りデータであるか否かで代表データの有無を判定してもよい。
【0123】
専用記憶領域13の指定アドレスに代表データが書き込まれている場合(ステップS182におけるYesの場合)、指定アドレスに書き込まれている代表データを送信データとして選択する(ステップS184)。その後、指定アドレスを更新する(ステップS186)。例えば、ステップS182で代表データが書き込まれているものと判定されるごとにカウンタをインクリメントしてアドレスを生成し、指定アドレスを更新してもよい。
【0124】
専用記憶領域13の指定アドレスに代表データが書き込まれていなくなるまでステップS180〜S186を繰り返し、専用記憶領域13の指定アドレスに代表データが書き込まれていなくなると(ステップS182におけるNoの場合)データ選択処理が終了する。
【0125】
さらに、図10でのデータ選択処理(ステップS162)をより簡便化するために、送信処理(ステップS108)の後に専用記憶領域13内のデータを全て消去することも可能である。この場合の動作の一例を、図12を用いて説明する。
【0126】
はじめに、通信部40が所定のデータ又は通信タイミング信号を受信したか否かを判定する(ステップS160)。
【0127】
通信部40が所定のデータ又は通信タイミング信号を受信していない場合(ステップS160におけるNoの場合)、所定のデータ又は通信タイミング信号を受信するまで判定を繰り返す。
【0128】
通信部40が所定のデータ又は通信タイミング信号を受信した場合(ステップS160におけるYesの場合)、専用記憶領域13内の全てのデータを選択し(ステップS164)、送信処理を行う(ステップS108)。その後、専用記憶領域13内の全てのデータを消去する(ステップS168)。これにより、専用記憶領域13内のデータは、常に送信されていない代表データのみとなるので、ステップS164では専用記憶領域13内の全てのデータを選択すれば、送信されていない代表データのみを選択することになる。
【0129】
次に、このデータ記録装置を実現するためのアルゴリズムについて、図13を参照して説明する。本実施の形態では、代表データについては専用記憶領域13に書き込むごとに送信し、上書きしないものと判定された測定データについては判定されるごとに送信している。
【0130】
はじめに、初期値を入力する(ステップS200,S202)。なお、ステップS200では、1ブロック分の測定データの数であるNの値や、測定データの測定時間間隔Tint、第1及び第2記憶領域における先頭アドレスXX,YY、専用記憶領域における先頭アドレスZZを、それぞれ指定する。また、ステップS202では、フラグの初期値を設定する。
【0131】
そして、データを書き込む記憶領域を選択する(ステップS204)。本実施の形態では、例えば、FLG1=0の場合は第1記憶領域11、FLG1≠0の場合は第2記憶領域12を選択するように設定してもよい。
【0132】
第1記憶領域11が選択された場合(FLG1=0の場合)の処理と第2記憶領域12が選択された場合(FLG1≠0の場合)の処理の手順は同様であるため、以下では、第1記憶領域11が選択された場合(FLG1=0の場合)の処理手順を例にとり、説明する。
【0133】
ステップS204においてFLG1=0の場合(第1記憶領域11が選択された場合)、まず、順序特定データN2を更新する(ステップS206)。なお、順序特定データN2は、各ブロックに割り当てられ各ブロックが取得された順序を特定することができるデータであればよく、本実施の形態では、取得されるブロックが更新される毎に(N個の測定データを取得する毎に)順序特定データN2を1ずつカウントアップ(N2=N2+1)して更新するようにしている。
【0134】
そして、選択された記憶領域の書き込み開始アドレスを決定する(ステップS208、ステップS210)。この例では、FLG3=0及びFLG5=0の場合(ステップS208においてYESの場合)、1ブロックのN個の測定データ及び順序特定データの上書きを行うためにN+1だけアドレスを繰り上げる処理を行う(ステップS210(図4におけるステップS22に対応))。FLG3及びFLG5の少なくとも一方が0ではない場合(ステップS208においてNOの場合)には、アドレスを繰り上げる処理は行わず、次の手順に進む(図4におけるステップS24に対応)。
【0135】
データを上書きしない場合(ステップS208においてNOの場合)には、ステップS200,S202後に、選択された記憶領域に書き込まれるのが初回か否かを判定する(ステップS212)。初回であった場合(ステップS212においてYESの場合)には、送信すべきデータが存在しないので、ステップS214〜S216のデータ送信処理は行わない。初回ではない場合(ステップS212においてNOの場合)には、ステップS208で上書きしないものと判定されたN個の測定データを選択し(ステップS214)、送信処理(ステップS216)を行う。送信処理(ステップS216)は図4を用いて説明した動作と同じである。
【0136】
その後、フラグの受け渡し処理を行い(ステップS218)、データの書き込み(記録)処理を行う(ステップS220〜ステップS242)。
【0137】
データの書き込み処理では、はじめに、書き込みアドレス及びカウンタ値の設定を行う(ステップS220)。そして、データの測定を行い(ステップS222)、測定データの値が所定の範囲内であるか否かについて判定する(ステップS224)。
【0138】
測定データの値が所定の範囲外のデータである場合(ステップS224でYESの場合)、フラグの値を設定し(ステップS226)、データの書き込み処理を行う(ステップS228)。なお、本実施の形態では、ステップS226で設定されるフラグによって、第1及び第2記憶領域の書き込みアドレスが設定され、データの上書きが制限される(ステップS208〜S218参照)。
【0139】
測定データの値が所定の範囲内の値である場合(ステップS224でNOの場合)、フラグの値を変更することなくデータの書き込み処理を行う(ステップS228)。
【0140】
そして、現在の測定データが1ブロックの先頭の測定データである(n=2)か否か判断する(ステップS230)。先頭の測定データである場合(ステップS230でYESの場合)には、測定データを代表データとして保存し、送信する処理を行い(ステップS232〜S236)、先頭の測定データでない場合(ステップS230でNOの場合)には、次の手順(ステップS238)に進む。
【0141】
先頭の測定データは、専用記憶領域13のアドレスZZに書き込まれて代表データとして保存される(ステップS232)。さらに、現在のブロックに割り当てられた順序特定データを、専用記憶領域13の次のアドレス(ZZ+1)に書き込んで保存する(ステップS234)。ここで、順序特定データを保存するのは、保存されたデータを読み出して解析する際に、専用記憶領域13に保存される代表データが含まれるブロックと、第1記憶領域11又は第2記憶領域12に保存されるデータが含まれるブロックを取得した順序を特定することを容易にするためである。
【0142】
なお、本実施の形態では、順序特定データN2はステップS206においてカウントアップして得られる数値データであり測定データと区別がつかない場合もあるため、順序特定データN2を測定データと区別することができる区切りフラグ(F(N2))に変換して保存している。区切りフラグ(F(N2))を順序特定データと考えてもよい。
【0143】
さらに、専用記憶領域13に書き込まれた代表データは、送信処理(ステップS236)が行われる。送信処理(ステップS236)は図4を用いて説明した動作と同じである。
【0144】
そして、ステップS228において測定データを書き込んだアドレスの次のアドレスに、最後に測定データが書き込まれたアドレスを特定するための所定のデータ(末尾区切りデータ)を書き込む(ステップS238)。例えば、ステップS220〜S242における測定データの記録中に(例えば、後述するステップS240における待ち時間Tintの間に)、データ記録装置が寿命に達し、測定データの書き込み処理を終了する場合であっても、末尾区切りデータが残るので、最後に書き込まれた測定データを特定することができる。なお、本実施の形態では、末尾区切りデータは、測定データがN個に達するまでは次のサイクルのステップS228における測定データの書き込みにより上書きされて消去される。また、末尾区切りデータは、測定データがN個に達した後は後述するステップS248における最後尾区切りデータの書き込みにより上書きされて消去される。従って、末尾区切りデータにより第1記憶領域11の必要な記憶容量が増加することはない。
【0145】
そして、待ち時間Tintの経過を待って(ステップS240)、第1記憶領域11に1ブロックのN個のデータが書き込まれたか否かを判定し(ステップS242)、N個のデータが書き込まれるまで、データの書き込み処理(ステップS220〜S242)を繰り返す。ここで、待ち時間Tintの経過を待つのは、次の測定までの時間間隔を制御するためである。
【0146】
第1記憶領域11にN個のデータが書き込まれると、第1記憶領域11の書き込みアドレスをカウントアップして順序特定データ(区切りフラグ)の入力アドレスを設定し、専用記憶領域13の書き込みアドレスをカウントアップして次の代表データの書き込みアドレスを設定する(ステップS244)。ここで、ZZ=ZZ+2とすることによって、各代表データだけでなく、各代表データを含む各ブロックに割り当てられた各順序特定データ(区切りフラグ)も専用記憶領域13にすべて残すようにしている。このようにすれば、専用記憶領域13に残した代表データと第1記憶領域11又は第2記憶領域12にブロック単位で保存したデータとの時間関係を容易に整理することが可能となる。
【0147】
そして、現在のブロックに割り当てられた順序特定データを、ステップS244でインクリメント(XX = XX+1)後のアドレスXXに書き込んで保存する(ステップS246)。ここで、順序特定データを保存するのは、保存されたデータを読み出して解析する際に、第1記憶領域11に保存される各N個のデータが含まれる各ブロックを取得した順序及び保存されている各ブロックの間に取得されたブロックの数を特定するためである。
【0148】
そして、ステップS246において順序特定データ(区切りフラグ)を書き込んだアドレスの次のアドレスに、最後に1ブロックのN個の測定データが書き込まれたアドレスを特定するための所定のデータ(最後尾区切りデータ)を書き込む(ステップS248)。なお、本実施の形態では、最後尾区切りデータは、次に書き込まれる新たなN個の測定データの先頭の測定データによってステップS228において上書きされて消去される。従って、最後尾区切りデータにより第1記憶領域11の必要な記憶容量が増加することはない。
【0149】
そして、FLG1の値を1に設定し(ステップS250)、第2記憶領域12を選択し(ステップS204)、同様の処理を繰り返す。
【0150】
図13のフローチャート図で示したデータ記録装置1の動作を、図14を用いて具体的に説明する。
【0151】
まず、データ群A(310)の測定開始前においては、記憶領域11には送信すべきデータは存在しないので、ステップS216の送信処理は行われない。ステップS222において測定が開始されると、データ群A(310)の先頭データであるデータ1(312)が、ステップS236において送信処理される。
【0152】
次に、データ群B(320)の測定開始前においては、記憶領域12には送信すべきデータは存在しないので、ステップS262の送信処理は行われない。ステップS268において測定が開始されると、データ群B(320)の先頭データであるデータ2(322)が、ステップS282において送信処理される。
【0153】
そして、データ群A(310)は異常値を示すデータを含むデータブロック(イベント発生ブロック)であるので、ステップS216において送信処理される。
【0154】
その後、データ群C(330)の測定が開始されると、データ群C(330)の先頭データであるデータ3(332)が、ステップS236において送信処理される。
【0155】
そして、データ群B(320)は異常値を示すデータを含むデータブロックの直後のデータブロック(イベント発生直後ブロック)であるので、ステップS262において送信処理される。
【0156】
その後、データ群D(340)の測定が開始されると、データ群D(340)の先頭データであるデータ4(342)が、ステップS282において送信処理される。
【0157】
そして、データ群C(340)は異常値を示すデータを含むデータブロックでもなく、その直前又は直後のデータブロックではないことが判定できるので、ステップS216の送信処理は行われない。
【0158】
なお、本実施の形態では、第1記憶領域11又は第2記憶領域12のいずれかの記憶領域のすべてにデータが書き込まれたら、以後のデータ保存を行わないようにしてもよい。この場合は、データ記録開始後の最初のイベント発生時のデータが上書きされないようにすることができる。また、第1記憶領域11及び第2記憶領域12をともにリングバッファとして構成し、各記憶領域のすべてにデータが書き込まれたら、古いデータから順に(先頭アドレスに保存されたデータから順に)新しいデータで上書き消去されるようにしてもよい。この場合は、データ記録終了直前の最後のイベント発生時のデータが上書きされないようにすることができる。
【0159】
一方、代表データを保存する専用記憶領域13は、定期的に書き込みが行われるため、リングバッファとして構成し、古いデータから順に上書きして消去しながら使用することが望ましい。
【0160】
本実施の形態では、上述したようにフラグの設定により書き込みアドレスを設定してもよい。これによれば、サイズの小さなデータの授受により書き込みアドレスの設定が可能になるため、データ処理の負担が小さく、かつ、回路規模の小さなデータ記録装置を提供することができる。
【0161】
また、本実施の形態では、代表データについては専用記憶領域13に書き込むごとに送信しているが、図9〜図12を用いて説明したように、測定データの書き込み動作とは独立に代表データの送信処理を行ってもよい。
【0162】
さらに、本実施の形態では、上書きしないものと判定された測定データについては判定されるごとに送信しているが、例えば測定終了時にまとめて送信したり、第1記憶領域11又は第2記憶領域12のいずれかの記憶領域のすべてにデータが書き込まれた時にまとめて送信したりしてもよい。
【0163】
(3)効果
本実施の形態に係るデータ記録装置は、以上のように構成されている。このデータ記録装置によると、記憶領域を効率よく利用することが可能である。さらに、測定データの概略を早期に提供することが可能なデータ記録装置を提供することができる。以下、その効果について説明する。
【0164】
先に説明したように、データ記録装置1では、第1記憶領域11に書き込まれたN個の測定データ(第1ブロックのデータD1)と、その後に取得されたN個の測定データ(第2ブロックのデータD2)とに基づいて、第1ブロックのデータD1の要否を判定する。すなわち、このデータ記録装置では、N個の測定データ(第1ブロックのデータD1)を保存するか否かを、その後に取得された測定データ(第2ブロックのデータD2)を利用して判定する。すなわち、このデータ記録装置によると、N個の測定データの保存の要否が、当該N個の測定データが取得されてから(記憶部に書き込まれてから)所定の時間が経過した後に判定され、かつ、当該N個の測定データは、保存の要否が判定されるまで保持される。そのため、イベントの発生を示す測定データが取得された場合に、当該イベント発生前のデータを自動的に保存することが可能になる。
【0165】
例えば、第2ブロックのデータD2がイベントの発生を示すデータ(所定の範囲外の値のデータ)を含んでいる場合、当該第2ブロックのデータD2と、その直前に取得されたN個の測定データ(第1ブロックの測定データD1)とを保存することで、第2ブロックのデータD2の先頭から末尾までのいずれの位置にイベント発生を示すデータが配置されている場合でも、イベント発生前の少なくともN個のデータを自動的に保存することができる。
【0166】
また、データ記録装置1では、第1記憶領域11にN個の測定データを書き込んだ後に、第2記憶領域12にN個の測定データを書き込む。そして、第1記憶領域11に書き込まれたN個の測定データ(第1ブロックのデータD1)の保存の要否を判定した後に、第1記憶領域11の書き込みアドレスを指定する。すなわち、データ記録装置1によると、第1記憶領域11に新たなデータを書き込む前に、第1ブロックのデータD1(第1記憶領域11に書き込まれたデータのうち最も新しく取得されたN個のデータ)の要否を判定することができる。
【0167】
そして、当該N個の測定データの要否に基づいて、第1ブロックのデータD1を上書き(上書き消去)するか、上書きせずに保存するかを決定する。具体的には、新たなデータの書き込みアドレスとして、第1ブロックのデータD1が書き込まれたアドレスの後のアドレスを指定すれば、第1ブロックのデータD1を保存することができる。逆に、新たなデータの書き込みアドレスとして、第1ブロックのデータD1が書き込まれた先頭のアドレスを指定すれば、第1ブロックのデータD1が上書き消去される。そのため、第1ブロックのデータD1の要否を判定しながら、第1記憶領域11のアドレスを上位から隙間なく利用することが可能なデータ記録装置を提供することができる。
【0168】
さらに、データ記録装置1では、イベントの発生の有無にかかわらず、すなわち所与の記憶領域の最後に書き込まれた1ブロック分の各測定データを保存しておくか否かの判断によらず、各ブロックの少なくとも1つの測定データを代表データとして先に送信するので、測定データの概略を早期に提供することが可能となる。
【0169】
また、このデータ記録装置1では、第1記憶領域又は第2記憶領域に書き込まれたN個のデータ(第1ブロックのデータD1又は第2ブロックのデータD2)が保存を必要としないデータである場合、書き込みアドレス指定部は、第1ブロックのデータD1の先頭データ及び第2ブロックのデータD2の先頭データを代表データとして専用記憶領域に保存するようにしてもよい。これによると、イベントの発生の有無にかかわらず、先頭データ(測定データの取得間隔よりも長い所定の間隔で取得されたデータ)が専用記憶領域に保存されるため、長期的なデータの変動を確認することが可能になる。また、代表データの送信時にエラーが発生した場合のバックアップデータとしても機能しうる。ここで、先頭データは測定データの取得間隔よりも広い時間間隔(N×Tint間隔)で取得されるデータであり、これを保存したとしても、保存されるデータの容量が大きく増加することがない。そのため、容量の大きなメモリを利用することなく、測定データを長期的に記録することが可能になる。なお、ここで言う先頭データとは、1つのデータであってもよいが、複数のデータであってもよい。さらに、専用記憶領域13に保存するデータは先頭データに限らず、第1ブロックのデータD1及び第2ブロックのデータD2にそれぞれ含まれる任意の1つ又は複数のデータであってもよい。
【0170】
ここで、イベント発生直前の測定データを保存するためには、イベントが発生する前のブロックの測定データを暫定保存することが必須である。イベントの発生により、例えば、データ記録装置1に対する電力供給が停止する場合もあるため、測定データは不揮発性メモリに保存することが重要である。さらに、不揮発性メモリの記憶容量を増大させないためには、イベント発生直前の測定データを暫定保存しておき、イベントが発生しなかった場合には、当該測定データを上書き消去することが望ましい。すなわち、不揮発性メモリは、頻繁に書き換え可能であり、書き換え回数の制限がない(実質的に書き換え回数の制限を考慮する必要がないほど書き換え可能回数の上限が大きい)ことが重要である。例えば、不揮発性メモリであるEEPROMやフラッシュメモリは書き換え回数に制限があり、頻繁にデータ書き換えが発生する用途にデータ記録装置1を使用する場合には、必ずしも最適なメモリではない。このような場合には、実質的に書き換え回数の制限を考慮する必要がないFeRAMによって不揮発性メモリを構成するのが好適である。
【0171】
また、データ記録装置1を、例えば、メモリ保持や送信のためのバッテリーを持つアクティブ型のRFタグに使用する場合等は、不揮発性メモリはデータ書き換え時の消費電力が小さいことが重要である。FeRAMはデータ書き換え時の消費電力が極めて小さく、このような場合にも、FeRAMによって不揮発性メモリを構成するのが好適である。
【0172】
すなわち、データ記録装置1の不揮発性メモリをFeRAMによって構成することにより、高性能かつ製品寿命の長いデータ記録装置を提供することができる。
【0173】
また、従来のデータ記録装置は大量の測定データを保存して送信し、ホスト側で受けとった測定データから必要なデータを選択してデータ解析を行っていたが、データ記録装置1は内部で測定データを取捨選択して必要なデータのみを自動的に保存して送信することができる。従って、データ記録装置1は、測定データを保存するためのメモリ容量を大幅に削減することができる。また、データ記録装置1は、送信するデータ量を削減することができるので、データ送信時の消費電力を大幅に削減することができる。従って、データ記録装置1を使用すれば、例えば、小型化および低消費電力化の要求を満たすアクティブ型のRFタグを実現することができる。
【0174】
また、不揮発性メモリの複数の記憶領域には、比較的短い時間間隔で取得されたイベント発生前後のデータのみが保存されているため、データ記録装置1はイベントレコーダとして使用することができる。すなわち、当該複数の記憶領域に保存されたデータを解析することによって、イベント発生の有無やイベント発生時の詳細な状況を判断することができる。
【0175】
また、不揮発性メモリの専用記憶領域には、比較的長い時間間隔で定期的に取得されたデータが保存されているため、データ記録装置1は長期的なデータ変動の状況を解析するためのデータ記録装置として使用することができる。
【0176】
さらに、データ記録装置1が、複数の記憶領域と専用記憶領域を有する場合には、複数の記憶領域に保存されたイベント発生前後に取得されたデータと専用記憶領域に保存された定期的に取得されたデータとを組み合わせて、より詳細な解析を行うことが可能である。データ記録装置1においては、これらの記憶領域には各ブロックに対応づけて順序特定データが記録されるので、保存されたデータを取得した順序を容易に特定することができる。
【0177】
なお、本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【0178】
例えば、図13のフローチャートに従えば、第1記憶領域11又は第2記憶領域12に保存されるブロックの先頭の測定データは、代表データとして専用記憶領域にも重複して保存されるが、重複保存しないようにしてもよい。例えば、ステップS228において、n=2の時は第1記憶領域11にデータを保存しないように変形してもよい。
【0179】
また、図13のフローチャートでは、専用記憶領域13には、最後に書き込まれた代表データを含むブロックに割り当てられた順序特定データ(区切りフラグ)も残るようにしているが、これに限られない。例えば、ステップS244におけるZZ=ZZ+2をZZ=ZZ+1に変更することによって、次の代表データの書き込みアドレスが、ステップS234において順序特定データ(区切りフラグ)を書き込んだアドレスに設定されるようにしてもよい。すなわち、次の代表データの書き込みにより専用記憶領域13に書き込まれた順序特定データ(区切りフラグ)は上書きされて消去される。従って、順序特定データ(区切りフラグ)により専用記憶領域13の必要な記憶容量が増加することはない。なお、このような処理により、専用記憶領域13には、最後に書き込まれた代表データを含むブロックに割り当てられた順序特定データ(区切りフラグ)しか残らない。しかし、1ブロック毎に1個のデータを代表データとして規則的に保存しているので、最後の順序特定データ(区切りフラグ)だけ残っていれば、専用記憶領域13に保存された各代表データが含まれる各ブロックと、第1記憶領域11又は第2記憶領域12に保存された各N個のデータが含まれる各ブロックを取得した順序を特定することができる。
【0180】
また、図13のフローチャートでは、イベントが発生したブロック及びその前後のブロックのみを保存しているが、1ブロックのデータ数を減らして、イベントが発生したブロック、イベント発生前の複数のブロック及び(又は)イベント発生後の複数のブロックを保存するようにしてもよい。1ブロックのデータ数を減らしてイベント発生前後の複数のブロックを保存するようにすれば、1ブロックのデータ数を増やしてイベント発生前後の各1つのブロックを保存する場合と比較して、不要なデータを保存する必要がなくなりメモリの効率的な利用が可能となる。例えば、イベント発生前後のN個の測定データを確実に保存するために、1ブロックをN個の測定データで構成すると、イベントが発生したブロック及びイベント発生前後の各1ブロック、すなわち3ブロックに渡る3N個のデータを保存しなければならない。一方、1ブロックをN/2個の測定データで構成すると、イベントが発生したブロック及びイベント発生前後の2ブロック、すなわち5ブロックに渡る2.5N個のデータを保存すればよい。
【0181】
さらに、データ記録装置1では、他の通信端末からのデータ又は通信タイミング信号を受信するごとに、専用記憶領域に書き込まれた代表データを送信してもよい。その場合、データ記録装置全体としての送信機会を節約することができる。そのため、通信で消費されるエネルギーを節約することができる。例えば、データ記録装置をセンサーネットワーク中に配し、センサーネットワークをアドホックネットワークとして構成した場合には、他の通信端末からデータを受信し、かかるデータをさらに他の通信端末に送信する機会があるため、この送信機会を利用して代表データを送信することができる。
【0182】
また、この場合、前回の送信機会から新たに書き込まれた代表データのみを送信することで、さらに転送データ量を削減することができる。
【0183】
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【図面の簡単な説明】
【0184】
【図1】データ記録装置の構成を説明するための図。
【図2】データ記録装置のブロック図。
【図3】データ記録装置の動作を説明するためのフローチャート図。
【図4】データ記録装置の動作を説明するためのフローチャート図。
【図5】データ記録装置の動作を説明するためのフローチャート図。
【図6】不揮発性メモリにデータが書き込まれる様子を示す模式図。
【図7】データ記録装置の動作を説明するためのフローチャート図。
【図8】データ記録装置の動作を説明するためのフローチャート図。
【図9】データ記録装置の動作を説明するためのフローチャート図。
【図10】データ記録装置の動作を説明するためのフローチャート図。
【図11】データ記録装置の動作を説明するためのフローチャート図。
【図12】データ記録装置の動作を説明するためのフローチャート図。
【図13】データ記録装置の動作を説明するためのフローチャート図。
【図14】データ記録装置の動作を説明するためのグラフ。
【符号の説明】
【0185】
1…データ記録装置、 10…不揮発性メモリ、 11…第1記憶領域、 12…第2記憶領域、 20…書き込み制御部、 25…書き込みアドレス指定部、 30…順序特定データ生成部、 35…書き込み停止処理部、 40…通信部、 45…通信制御部、 50…通信インターフェイス、 100…CPU、 110…FeRAM、 120…ROM、 130…RAM、 150…通信回線、 D0…第0ブロックのデータ、 D1…第1ブロックのデータ、 D2…第2ブロックのデータ、 D3…第3ブロックのデータ
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
温度や、振動、明るさ、音、画像などのデータを連続的に取得して記録するデータ記録装置(データログ装置)が知られており、例えば食品の温度管理や、ドライブレコーダやフライトレコーダ、ボイスレコーダ、地震計などに利用されている。
【0003】
これらのデータ記録装置では、測定されたデータの値が所定の範囲を超えた場合、測定対象に対して何らかのイベントが発生したと判断することができる。そして、当該データ以降に取得されたデータを解析処理すれば、測定対象の、イベント発生後の様子を知ることができる。また、当該データよりも前の一定期間内に取得されたデータを解析処理すれば、測定対象の、イベント発生前の様子を知ることができる。
【特許文献1】特開2005−259041号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらのデータ記録装置において、データを測定(記憶)する時間間隔を短くすれば、データの変化を正確に記録することができる。しかし、データの測定時間間隔が短くなればデータの数が増えるため、これを記録するためには容量の大きなメモリが必要になる。
【0005】
これに対して、データを測定する時間間隔を長くすれば、データの数が減るため、容量の小さいメモリを利用することができる。しかし、データの測定間隔が長くなれば、細かいデータの変化を記録することが難しくなる。
【0006】
また、イベント発生の様子を知るためには、イベント発生の前後のデータの変化を解析することが好ましいが、イベント発生の前後の測定データを確実に記憶するためには、常時データを記録しておく必要があり、容量の大きなメモリが必要になる。
【0007】
さらに、従来のデータ記録装置では、所定の時間間隔内の全データが取得された後に一括してサーバー等にデータを送信していた。そのため、この時間間隔が長い場合は、サーバー等の側から最新データを確認するのは困難だった。
【0008】
また、所定の時間間隔内のデータが、サーバーに送る必要のあるデータか、送信せずに廃棄するデータかを、後続のデータも参照して判定するデータ記録装置では、サーバーにデータが届くまでにさらに時間を要するという問題があった。
【0009】
本発明の目的は、必要なデータを自動的に記録することができ、かつ、容量の小さいメモリを利用することが可能であり、測定データの概略を早期に提供することが可能なデータ記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本発明に係るデータ記録装置は、
複数の測定データをメモリに書き込む処理を行うデータ記録装置であって、
前記測定データが書き込まれる複数の記憶領域を含む不揮発性メモリと、
所定の数の測定データを1ブロックとして、前記不揮発性メモリの所与の記憶領域に1ブロック分の各測定データを順次書き込み、その後、他の記憶領域に次の1ブロック分の各測定データを順次書き込む処理を繰り返し行う書き込み制御部と、
測定データを所定の通信回線を介して送信する通信部と、を含み、
前記書き込み制御部は、
各ブロックの測定データが書き込まれる前記不揮発性メモリの記憶領域に、各ブロックに割り当てられ各ブロックが取得された順序を特定するための順序特定データを、各ブロックと対応づけて書き込み、
前記不揮発性メモリの所与の記憶領域に最後に書き込まれた1ブロック、及び、当該1ブロックの後に取得された次の1ブロックが、所定の範囲外の値の測定データを含んでいるか否かを判断し、少なくとも一方が含んでいる場合には、前記所与の記憶領域に最後に書き込まれた1ブロック分の各測定データ及び当該1ブロックに割り当てられた前記順序特定データが上書きされないように、前記所与の記憶領域に新しい1ブロック分の各測定データ及び当該1ブロックに割り当てられた前記順序特定データを書き込み、いずれもが含んでいない場合には、前記測定データ及び前記順序特定データが上書きされるように、前記所与の記憶領域に新しい1ブロック分の各測定データ及び当該1ブロックに割り当てられた前記順序特定データを書き込み、
前記通信部は、
前記記憶領域に書き込まれた各ブロックのデータより前に、前記各ブロックに対応して取得された、前記各ブロックの少なくとも1つの測定データを代表データとして前記通信回線を介して送信することを特徴とする。
【0011】
本発明のデータ記録装置によると、所与の記憶領域に書き込まれた1ブロックの所定の数(N個)の測定データと、その後に取得された1ブロックの所定の数(N個)の測定データとのあわせて2N個の測定データが、所定の範囲外の値のデータを含むか否かを判断する。ここで、所定の範囲の値とは、測定対象が正常と判断される測定データの値である。すなわち、測定データが所定の範囲の値であれば、当該測定データは、測定対象は正常な状態であることを示している。逆に、測定データが所定の範囲外の値であれば、当該測定データは測定対象に異常が発生していることを示している。そして、本発明では、2N個の測定データが所定の範囲外の値のデータを含んでいる場合、前記所与の記憶領域に最後に書き込まれた1ブロックのN個の測定データを、保存を要するデータであると判定する。逆に、2N個の測定データが、すべて所定の範囲内の値のデータである場合、前記所与の記憶領域に最後に書き込まれた1ブロックのN個の測定データを、保存を要しないデータであると判定する。
【0012】
例えば、本発明によると、所与の記憶領域に最後に書き込まれた1ブロックの後に取得された次の1ブロックが異常を示す測定データを含んでいる場合、所与の記憶領域に最後に書き込まれた1ブロック分の測定データが保存される。また、本発明によると、所与の記憶領域に最後に書き込まれた1ブロックが異常を示す測定データを含んでいる場合にも、当該所与の記憶領域に最後に書き込まれた1ブロック分の測定データが保存される。
【0013】
このことから、本発明によると、異常を示すデータを含む1ブロック分の各測定データと、その前に取得された1ブロック分の各測定データとが保存される。すなわち、本発明によると、異常を示すデータよりも前に取得された少なくとも1ブロック分の各測定データを保存することができる。そのため、これを解析処理することにより、異常発生に至る過程で測定対象に起こった事象を判断することが可能になる。
【0014】
また、このデータ記録装置によると、所与の記憶領域の最後に書き込まれた1ブロック分の各測定データの要否を、異なる記憶領域に書き込まれた1ブロック分の各測定データを利用して判定する。そのため、このデータ記録装置によると、所与の記憶領域の最後に書き込まれた1ブロック分の各測定データの要否が判定されるまで、当該記憶領域に新たなデータを書き込まないように制御することができる。そして、所与の記憶領域の最後に書き込まれた1ブロック分の各測定データの要否を判定した後に当該記憶領域の書き込みアドレス(書き込み開始アドレス)を設定することで、当該1ブロック分の各測定データを上書きするか、あるいは、当該1ブロックのデータを上書きせずに保存するかを決定することができる。そのため、メモリのアドレスを隙間なく利用することができるため、メモリの容量を無駄なく利用することが可能になる。
【0015】
また、本発明によると、保存を要するブロックが取得された順序を特定するために当該ブロックに割り当てられた順序特定データを、当該ブロックに対応づけて保存する。従って、保存された測定データの解析時において、保存された各ブロックの取得順序を容易に判断することができる。また、保存されたブロック間に存在する保存されなかったブロックの数も認識することができるので、より精密な解析を行うことができる。
【0016】
なお、順序特定データは、例えば、シリアルナンバーや時刻など、取得した各ブロック
の順序を特定することができるデータであればよい。また、例えば、取得したブロック順に1から昇順の番号を割り当て、保存を要するブロックに対応づけて当該番号をそのまま保存してもよいし、当該番号を測定データと明確に区別するために所定の変換を施してから保存するようにしてもよい。例えば、1ブロックあたりの測定データ数及びデータを書き込むアドレスが毎回のデータ記録において同じである場合には、順序特定データが書き込まれるアドレスが毎回同じであり、測定データとの混同を起こさないので、前者のように順序特定データとして昇順の番号を書き込んでもよい。一方、1ブロックあたりの測定データ数又はデータを書き込むアドレスが毎回のデータ記録において異なる場合には、後者のように測定データとの混同を起こさないように順序特定データを書き込むのが望ましい。
【0017】
また、1ブロック分の各測定データと順序特定データを書き込むアドレスの順番は問わない。例えば、1ブロックの最後の測定データを書き込んだアドレスの次のアドレスに順序特定データを書き込むようにしてもよいし、順序特定データを書き込んだアドレスの次のアドレスを先頭として1ブロックの最初の測定データから順に書き込むようにしてもよい。
【0018】
さらに、本発明によると、イベントの発生の有無にかかわらず、すなわち所与の記憶領域の最後に書き込まれた1ブロック分の各測定データを保存しておくか否かの判断によらず、各ブロックの少なくとも1つの測定データを代表データとして先に送信するので、測定データの概略を早期に提供することが可能となる。
【0019】
なお、所定の通信回線は、有線であっても無線であってもよい。また、代表データは、例えば各ブロックの先頭の測定データでもよい。
【0020】
(2)本発明に係るデータ記録装置は、
前記不揮発性メモリは、
前記複数の記憶領域に含まれない所定の専用記憶領域をさらに有し、
前記書き込み制御部は、
前記不揮発性メモリの前記専用記憶領域に、前記代表データを順次書き込むことを特徴とする。
【0021】
専用記憶領域は、異常を示す測定データを含むブロック及びその前後のブロックを保存する複数の記憶領域とは別途設けられ、各ブロックの少なくとも1つの各測定データを順次書き込む用途に専用の記憶領域である。これによると、イベントの発生の有無にかかわらず、各ブロックの少なくとも1つの各測定データ(測定データの取得間隔よりも長い所定の間隔で取得されたデータ)が専用記憶領域に保存されるため、長期的なデータの変動を確認することが可能になる。また、代表データの送信時にエラーが発生した場合のバックアップデータとしても機能しうる。なお、当該専用記憶領域は、定期的に書き込みが行われるため、リングバッファとして構成し、古いデータから順に上書きして消去しながら使用することが望ましい。これによると、長期的なデータ変動の確認に必要な数のデータを比較的少ないメモリ容量で効率的に保存することができる。
【0022】
(3)本発明に係るデータ記録装置は、
前記通信部は、
所定のデータ又は通信タイミング信号を前記通信回線を介して受信するごとに、前記専用記憶領域に書き込まれた代表データを前記通信回線を介して送信することを特徴とする。
【0023】
本発明によれば、他の通信端末からのデータ又は通信タイミング信号を受信するごとに、専用記憶領域に書き込まれた代表データを送信するため、データ記録装置全体としての送信機会を節約することができる。そのため、通信で消費されるエネルギーを節約することができる。例えば、データ記録装置をセンサーネットワーク中に配し、センサーネットワークをアドホックネットワークとして構成した場合には、他の通信端末からデータを受信し、かかるデータをさらに他の通信端末に送信する機会があるため、この送信機会を利用して代表データを送信することができる。
【0024】
(4)本発明に係るデータ記録装置は、
前記通信部は、
前記専用記憶領域に記憶された代表データのうち、未だ送信されていない代表データを前記通信回線を介して送信することを特徴とする。
【0025】
本発明によれば、前回の送信機会から新たに書き込まれた代表データのみを送信することができる。そのため、転送データ量を削減することができる。
【0026】
(5)本発明に係るデータ記録装置は、
前記書き込み制御部は、
前記通信部が前記専用記憶領域に書き込まれた代表データを前記電気通信回線を介して送信するごとに、前記専用記憶領域に書き込まれた代表データを消去することを特徴とする。
【0027】
本発明によれば、専用記憶領域に書き込まれた代表データを電気通信回線を介して送信するごとに、専用記憶領域に書き込まれた代表データを消去するため、専用記憶領域に書き込まれているデータは全て前回の送信機会から新たに書き込まれた代表データとなる。そのため、専用記憶領域に書き込まれた代表データが、送信済みであるか否かを判断する必要がなく、より簡単な制御で転送データを削減することができる。
【0028】
(6)本発明に係るデータ記録装置は、
前記書き込み制御部は、
前記所与の記憶領域に最後に書き込まれた1ブロックの前に取得された1ブロックが、前記所定の範囲外の値の測定データを含むか否か判断し、含む場合には前記所与の記憶領域に最後に書き込まれた1ブロック分の各測定データ及び当該1ブロックに割り当てられた前記順序特定データが上書きされないように、前記所与の記憶領域に新しい1ブロック分の各測定データ及び当該1ブロックに割り当てられた前記順序特定データを書き込むことを特徴とする。
【0029】
これによると、イベントの発生を示すデータの後に取得されたデータを保存することができる。
【0030】
例えば、本発明によると、所与の記憶領域に最後に書き込まれた1ブロック分の各測定データの前に取得された1ブロックが異常を示す測定データを含んでいる場合、所与の記憶領域に最後に書き込まれた1ブロック分の各測定データが保存される。すなわち、本発明によると、異常を示す測定データの後に取得された少なくとも1ブロック分の各測定データを保存することができる。そのため、これを解析処理することにより、異常発生後の測定対象の状態を解析することが可能になる。
【0031】
(7)本発明に係るデータ記録装置は、
前記不揮発性メモリは、
3n個(nは1以上の整数)以上の前記記憶領域を含み、
前記書き込み制御部は、
前記不揮発性メモリの第k(kは1以上3n−1以下の整数)の記憶領域に1ブロック分の各測定データを順次書き込み、その後、第k+1の記憶領域に次の1ブロック分の各測定データを順次書き込み、第3nの記憶領域に1ブロック分の各測定データを順次書き込んだ後は、第1の記憶領域に次の1ブロック分の各測定データを順次書き込む処理を繰り返し行うことを特徴とする。
【0032】
これによると、異常を示す測定データを含むブロック及びその前後のブロックを保存する場合に、各記憶領域を均等に使用する確率を高くすることができる。そのため、メモリの容量を無駄なく利用することが可能になる。
【0033】
(8)本発明に係るデータ記録装置は、
前記書き込み制御部は、
前記所定の範囲を予め所定の値に設定することを特徴とする。
【0034】
(9)本発明に係るデータ記録装置は、
前記書き込み制御部は、
測定データに基づいて、前記所定の範囲を設定することを特徴とする。
【0035】
(10)本発明に係るデータ記録装置は、
前記書き込み制御部は、
前記測定データが所定の書き込み停止条件を満たしているか否かを判断し、前記所定の書き込み停止条件を満たしている場合に、前記不揮発性メモリへのデータの書き込みを停止させる制御を行う書き込み停止処理部を含むことを特徴とする。
【0036】
これにより、既に保存されているデータの消失を防止することができる。特に、本発明のデータ記録装置では、記憶部として不揮発性メモリを利用する。そのため、不測の事態が発生して記憶装置への電力の供給が停止した場合でも、既に保存されているデータの消失を防止することができる。
【0037】
(11)本発明に係るデータ記録装置は、
前記記憶領域毎の未使用領域の記憶容量が所定の値を下回ったことを検出する検出部をさらに含むことを特徴とする。
【0038】
(12)本発明に係るデータ記録装置は、
前記書き込み制御部は、
前記所与の記憶領域に最後に書き込まれた1ブロック分の各測定データが、所定の取得条件を満たすか否か判断し、満たす場合には前記所与の記憶領域に最後に書き込まれた1ブロック分の各測定データ及び当該1ブロックに割り当てられた前記順序特定データが上書きされないように、前記所与の記憶領域に新しい1ブロック分の各測定データ及び当該1ブロックに割り当てられた前記順序特定データを書き込むことを特徴とする。
【0039】
ここで、所定の取得条件を満たすデータとは、例えば、測定データのうち、L個(Lは1ブロックのデータ数Nより大きい整数)間隔で取得される測定データ(あるいは、測定データの取得間隔よりも広い所定の間隔をあけて取得される測定データ)であってもよい。
【0040】
これによると、連続するN個の測定データが定期的に保存されるため、データ記録装置が正常に動作していることを確認することができる。
【0041】
(13)本発明に係るデータ記録装置は、
前記書き込み制御部は、
書き込み先が他の記憶領域から所与の記憶領域に切り替えられて、前記所与の記憶領域に新しい1ブロック分の各測定データ及び当該1ブロックに割り当てられた前記順序特定データを書き込む場合に、前記所与の記憶領域に最後に書き込まれた1ブロック分の各測定データ及び当該1ブロックに割り当てられた前記順序特定データに対応する領域の最上位のアドレスを指定することで、前記所与の記憶領域に最後に書き込まれた1ブロック分の各測定データ及び当該1ブロックに割り当てられた前記順序特定データを上書きするように制御し、
前記所与の記憶領域に最後に書き込まれた1ブロック分の各測定データ及び当該1ブロックに割り当てられた前記順序特定データに対応する領域の最下位のアドレスよりも下位
のアドレスを指定することで、前記1ブロック分の各測定データ及び当該1ブロックに割り当てられた前記順序特定データを上書きしないように制御することを特徴とする。
【0042】
例えば、1ブロック分の測定データが書き込まれた後に当該1ブロックに割り当てられた順序特定データが書き込まれる場合、新しいデータの書き込みアドレスとして1ブロックの先頭の測定データが書き込まれたアドレスを指定することで、当該1ブロック分の測定データ及び順序特定データが上書きされて消去される。これにより、記憶容量を無駄なく利用することができる。
【0043】
逆に、新しいデータの書き込みアドレスとして1ブロック分の測定データ及び順序特定データが書き込まれたアドレスよりも下位のアドレスを指定することで、当該1ブロック分の測定データ及び順序特定データは上書きされることなく保存されるため、必要なデータを保存することができる。
【0044】
(14)本発明に係るデータ記録装置は、
前記不揮発性メモリは、強誘電体メモリであることを特徴とする。
【0045】
強誘電体メモリは、一般的に、書き換え可能な回数が多く、かつ、書き換えに要する時間が短いことが知られている。そのため、不揮発性メモリとして強誘電体メモリを利用することで、書き換え回数の制限、及び、データの取得時間間隔の制限が小さいデータ記録装置を提供することができる
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下、本発明を適用した実施の形態について図面を参照して説明する。ただし、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。また、本発明は、以下の内容を自由に組み合わせたものを含むものとする。
【0047】
図1〜図14は、本発明を適用した実施の形態に係るデータ記録装置(データログ装置)について説明するための図である。
【0048】
(1)データ記録装置の構成
本実施の形態に係るデータ記録装置1は、図1(A)及び図1(B)に示すように、不揮発性メモリ10を含む。ここで、不揮発性メモリとは、電源を切っても記憶した情報が消失しない記憶装置、すなわち、情報を保持するためのエネルギーを外部から供給する必要のない記憶装置である。不揮発性メモリを利用すれば、データ記録装置1からの電源の供給がストップした場合でも、取得した情報を保持することができる。不揮発性メモリは、例えば、電気ヒステリシスを応用したキャパシタを利用して実現することができる。
【0049】
本実施の形態に係るデータ記録装置1では、不揮発性メモリ10として、強誘電体メモリ(FeRAM)を利用してもよい。すなわち、不揮発性メモリ10は、強誘電体物質を有するキャパシタ(強誘電体キャパシタ)を含む構造をなしていてもよい。なお、当該強誘電体キャパシタに適用可能な強誘電体物質は特に限定されるものではないが、例えばPb、Zr、Tiを構成元素として含む酸化物からなるPZT系強誘電体材料であってもよい。あるいは、強誘電体物質として、SBT系、BST系、BIT系、BLT系などのいずれかの材料を適用してもよい。そして、強誘電体キャパシタは、対向電極と、当該対向電極の間に設けられた強誘電体物質とを含む構造をなしていてもよい。
【0050】
不揮発性メモリ10は、図1(B)に示すように、複数の記憶領域に分割されている。なお、図1(B)に示す例では、不揮発性メモリ10は、第1記憶領域11及び第2記憶領域12の二つの記憶領域に分割されている。ただし、本発明では、不揮発性メモリ10は、3個以上の複数の記憶領域に分割されていてもよい。また、本発明では、不揮発性メモリ10は、専用記憶領域13を含んでいてもよい。
【0051】
本実施の形態に係るデータ記録装置1は、書き込み制御部20を含む。書き込み制御部20は、不揮発性メモリ10への測定データの書き込み動作(処理)を制御する。書き込み制御部20は、不揮発性メモリ10における測定データを書き込むアドレスを指定し、不揮発性メモリ10へのデータの書き込み動作を行う。例えば、書き込み制御部20は、不揮発性メモリ10の書き込みアドレスを指定する書き込みアドレス指定部25を含んでいてもよい。そして、書き込み制御部20は、書き込みアドレス指定部25が指定するアドレスに測定データを書き込む。なお、書き込みアドレス指定部25のアドレス生成手順は特に限定されるものではないが、例えば、現在の書き込みアドレスに、測定データのデータサイズを加えて(インクリメントして)次の書き込みアドレスを生成してもよい。
【0052】
書き込み制御部20は、不揮発性メモリ10の所与の記憶領域(以下、『第1記憶領域11』とする)に1ブロックの所定の数(N個)の測定データを順次書き込み、その後、他の記憶領域(以下『第2記憶領域12』とする)に1ブロック分の各測定データを順次書き込む制御を行う。かかる制御は、例えば、書き込みアドレス指定部25によって、第1記憶領域11のアドレスを順次指定してN個のデータを書き込む処理を行い、その後、第2記憶領域12のアドレスを順次指定してN個のデータを書き込む処理を行うことで実現することができる。このとき、書き込みアドレス指定部25は、第1及び第2記憶領域11,12のアドレスを、上位アドレスから下位アドレスに向けて順次指定してもよい。なお、不揮発性メモリ10が2つの記憶領域に分割されている場合には、書き込みアドレス指定部25は、第1記憶領域11のアドレスを指定した後に第2記憶領域12のアドレスを指定し、その後、再び第1記憶領域11のアドレスを指定する。不揮発性メモリ10がM個(Mは3以上の整数)の記憶領域を有する場合、書き込みアドレス指定部25は、第1記憶領域のアドレスから第M記憶領域のアドレスまで順次指定し、第M記憶領域にN個のデータを書き込んだ後に、再び第1記憶領域のアドレスを指定する。
【0053】
また、書き込み制御部20は、不揮発性メモリ10の専用記憶領域13に、第1記憶領域11又は第2記憶領域12に順次書き込まれた各ブロックの少なくとも1つの測定データを順次書き込むように制御してもよい。書き込み制御部20は、例えば、各ブロックの先頭の測定データのみを専用記憶領域13に順次書き込むように制御してもよい。かかる制御は、例えば、書き込みアドレス指定部25によって、第1記憶領域11又は第2記憶領域12のアドレスを順次指定してN個のデータを書き込む処理を行う際に、先頭のデータを書き込む場合のみ、さらに専用記憶領域13に先頭のデータを書き込む処理を行うことで実現することができる。このとき、書き込みアドレス指定部25は、専用記憶領域13のアドレスを、上位アドレスから下位アドレスに向けて順次指定してもよい。
【0054】
本実施の形態に係るデータ記録装置1は、順序特定データ生成部30を含んでいてもよい。順序特定データ生成部30は、図1(A)に示すように、書き込み制御部20に含まれていてもよい。順序特定データ生成部30は、不揮発性メモリ10に書き込まれる各ブロックに割り当てられ各ブロックが取得された順序を特定するための順序特定データを生成する。順序特定データ生成部30は、1つの記憶領域に1ブロック分の測定データが書き込まれる度にカウンタをインクリメントして順序特定データを生成してもよい。そして、書き込み制御部20は、1つの記憶領域に1ブロック分の各測定データを書き込んだ後に、当該記憶領域の次のアドレスに順序特定データを書き込む制御を行ってもよいし、1つの記憶領域に順序特定データを書き込んだ後に、当該記憶領域の次のアドレスから1ブロック分の各測定データを書き込む制御を行ってもよい。
【0055】
本実施の形態に係るデータ記録装置1は、書き込み停止処理部35を含んでいてもよい。書き込み停止処理部35は、図1(A)に示すように、書き込み制御部20に含まれていてもよい。書き込み停止処理部35は、不揮発性メモリ10への測定データの書き込みを停止させる。書き込み停止処理部35は、測定データが所定の書き込み停止条件を満たしているか否かを判断し、当該書き込み停止条件を満たしている場合に、不揮発性メモリ10へのデータの書き込みを停止させる。書き込み停止処理部35は、書き込み停止条件を満たしているデータの取得後、直ちに書き込み動作を停止してもよい。あるいは、書き込み停止処理部35は、書き込み停止条件を満たしているデータの取得後、所定の時間が経過した後に、データの書き込みを停止してもよい。
【0056】
なお、データ記録装置1は、記憶領域毎の未使用領域の記憶容量が所定の値を下回ったことを検出する検出部を含んでいてもよい。このとき、書き込みアドレス指定部25は、当該検出部からの検出信号に基づいて、指定するアドレスを制御してもよい。データ記録装置1は、また、アドレス毎のデータの書き込み(書き換え)回数を計測する書き込み回数計測部を含んでいてもよい。また、データ記録装置1は、不揮発性メモリ10(第1及び第2記憶領域11,12)を、リングバッファとして循環使用してもよい。
【0057】
本実施の形態に係るデータ記録装置1は、通信部40を含む。通信部40は、通信回線70を通じて測定データを送信する。通信回線70は、有線であっても無線であってもよい。
【0058】
通信部40は、通信制御部45と通信インターフェイス50を含んでもよい。通信制御部45は、通信インターフェイス50がデータを送信するタイミングを制御したり、送信するデータを選択したり、所定のデータ又は通信タイミング信号を通信インターフェイス50が受信したか否かを判定したりする機能を有してもよい。
【0059】
また、書き込み制御部20及び通信制御部45の機能は、例えばCPUで所定のプログラムを実行してソフトウェア的に実現してもよい。
【0060】
次に、本実施の形態に係るデータ記録装置1の具体的な装置構成について説明する。図2は、データ記録装置1の具体的な装置構成の一例を示すブロック図である。
【0061】
データ記録装置1は、CPU100を有する。CPU100は、データ記録装置1の動作を制御する。CPU100は、例えば、FeRAM110(不揮発性メモリ10の一例としての強誘電体メモリ)の書き込みアドレスを決定し、当該書き込みアドレスを順次指定し、指定した書き込みアドレスに測定データを書き込ませる。すなわち、CPU100は、書き込み制御部20として機能してもよい。また、CPU100は、計測機器の動作を制御して、データの測定間隔(測定データの取得間隔)を設定してもよい。さらに、CPU100が通信制御部45として機能し、通信インターフェイス50と協働して通信部40として機能してもよい。そして、FeRAM110は、不揮発性メモリ10として機能する。
【0062】
CPU100は、ROM120から読み込んだ制御プログラムに基づいて、データ記録
装置2の動作を制御してもよい。CPU100は、また、RAM130に保存された測定パラメータに基づいて、データ記録装置1の動作を制御してもよい。ここで、測定パラメータは、例えばキー入力されてRAM130に保存されている情報であってもよい。RAM130の機能は、EEPROM等の書き換え可能なROMや、FeRAMによって実現してもよい。
【0063】
データ記録装置1では、CPU100、FeRAM110、ROM120、RAM130、通信インターフェイス50及びI/Oは、1つの集積回路装置(例えば半導体チップ)として構成されていてもよい。そして、データ記録装置1は、当該集積回路装置で、計測機器を制御し、ディスプレーに画像を表示させるための表示画像データを生成する制御を行ってもよい。
【0064】
(2)データ記録装置の動作
以下、本実施の形態に係るデータ記録装置1の動作について説明する。図3は、データ記録装置1の動作の一例を説明するためのフローチャート図である。
【0065】
はじめに、初期値を設定する(ステップS100)。ここで、初期値とは、例えば、データを測定する間隔(測定データの取得間隔)や、測定データを正常と判断する範囲(上限及び下限値)や、1ブロックの測定データの数であるNの値、初期アドレス等が挙げられる。これらの初期値は、RAM130に記憶させてもよい。なお、これらの初期値は、測定対象に合わせて設定してもよい。また、測定データは時系列であってもよい。
【0066】
次に、書き込みアドレス指定部25で所与の記憶領域のアドレスを指定し、指定されたアドレスに新たな測定データを書き込む(ステップS102)。
【0067】
そして、書き込みアドレス指定部25は、次の測定データを書き込むための書き込みアドレスを更新する(ステップS104)。更新された書き込みアドレスは、次にステップS102において新たな測定データを書き込む際に、書き込みアドレス指定部25で書き込みアドレスとして指定される。
【0068】
そして、ステップS102で所与の記憶領域に書き込まれた測定データを代表データとして選択するための条件を満たすか否か判断する(ステップS106)。条件を満たさない場合(ステップS106においてNoの場合)は、後述する送信処理(ステップS108)を行わず次の手順(ステップS110)に進む。条件を満たす場合(ステップS106においてYesの場合)は、通信部40により後述する送信処理が行われる(ステップS108)。例えば、常に、1ブロックの先頭の測定データを代表データとして送信するようにしてもよい。
【0069】
そして、N個の測定データの書き込みが終了したか否か判断し(ステップS110)、終了していない場合(ステップS110においてNoの場合)は、ステップS102〜S108の処理を繰り返す。N個の測定データの書き込みが終了した場合(ステップS110においてYesの場合)は、所与の記憶領域に対する書き込み処理を終了する。
【0070】
そして、順序特定データ生成部30で当該1ブロックに割り当てられた順序特定データを生成し、書き込みアドレス指定部25によって指定された当該記憶領域のアドレスに当該順序特定データを書き込む(ステップS112)。
【0071】
そして、データを書き込む記憶領域を変更(選択)し(ステップS114)、新たな記憶領域の書き込み開始アドレス(先頭アドレス)を設定する(ステップS116)。
【0072】
そして、書き込みアドレス指定部25で、当該書き込み開始アドレスからアドレスの指定を行い、1ブロックのN個の測定データを書き込む手順(ステップS102〜S108)を繰り返す。
【0073】
図4は、データ記録装置1の動作、特に、送信処理の手順(ステップS108)について説明するためのフローチャート図である。
【0074】
はじめに、送信開始処理(ステップS140)が行われる。例えば、この処理には、通信部40が通信回線150を介して送信先サーバーとのセッションを確立する処理などが相当する。
【0075】
次に、確立されたセッションにより、実際にデータを送信する(ステップS142)。図3のフローチャート図における送信処理の場合は、ステップS106で代表データとして選択するための条件を満たした測定データが通信部40により、通信回線150を介して送信される。
【0076】
最後に、送信終了処理(ステップS144)が行われる。例えば、この処理には、通信部40が通信回線150を介して送信先サーバーとのセッションを切断する処理などが相当する。
【0077】
図5は、データ記録装置1の動作、特に、新たな記憶領域の書き込み開始アドレスを決定する手順(ステップS116)について説明するためのフローチャート図である。ここでは、新たな記憶領域として第1記憶領域11を選択した場合を例にとって説明する。また、図6(A)〜図6(C)は、データ記録装置1における不揮発性メモリ10にデータが書き込まれる様子を表す模式図である。
【0078】
はじめに、第1記憶領域11に書き込まれたブロックのうち、最後に書き込まれたブロックのN個のデータ(以下、『第1ブロックのデータD1』とする)、及び、第1ブロックのデータD1の次に取得されたブロックのN個の測定データ(以下、『第2ブロックのデータD2』とする)が、すべて、所定の範囲内の値のデータであるか否かについて判断する(ステップS20)。なお、第2ブロックのデータD2は、第2記憶領域12に書き込まれた測定データのうち、最後に書き込まれたブロックのN個のデータであってもよい。ただし、第2ブロックのデータD2は、記憶部10(第2記憶領域12)に書き込まれる前のN個のデータであってもよい。
【0079】
ここで、「所定の範囲の値」とは、測定データがイベントの発生を示すか否かを判定するための上限値及び下限値の少なくとも一方を規定する閾値である。すなわち、測定データの値が所定の範囲内の値である場合には、当該測定データは、測定対象が正常であることを示している。逆に、測定データの値が所定の範囲外の値である場合には、当該測定データは、測定対象に異常が発生していることを示している。この、「所定の範囲の値」は、例えば、測定対象に基づいて予め定められている値であってもよい。あるいは、「所定の範囲の値」は、測定データに基づいて設定される値であってもよい。例えば、直前に測定されたデータとの対比において、所定の範囲の値を設定してもよい。
【0080】
なお、第1及び第2ブロックのデータD1,D2は、第1及び第2記憶領域11,12に書き込まれたデータのうち、最も新しいN個のデータ(最後に書き込まれたN個のデータ)であってもよい。また、第1及び第2ブロックのデータD1,D2は、それぞれ、連続的に取得されたN個の測定データであってもよい。
【0081】
例えば、図6(A)のように、第1及び第2ブロックのデータD1,D2は、それぞれ第1及び第2記憶領域11,12のアドレスA11及びA21から順次書き込まれたN個の測定データであってもよい。また、例えば、第1及び第2ブロックのデータD1,D2にそれぞれ割り当てられた順序特定データID1,ID2は、それぞれデータD1,D2が書き込まれている最後のアドレスの次のアドレス(図6(A)では、それぞれアドレスA12,A22)に書き込まれていてもよい。
【0082】
そして、第1及び第2ブロックのデータD1,D2が、すべて、所定の範囲内の値のデータである場合(ステップS20におけるYesの場合)、書き込み制御部20は、第1ブロックのデータD1及び順序特定データID1が上書きされるように書き込み開始アドレスを設定し(ステップS22)、第1記憶領域11に新しいブロックのデータを書き込む(ステップS102〜S110)。例えば、書き込みアドレス指定部25で、第1ブロックのデータD1が書き込まれている先頭のアドレス(図6(B)ではアドレスA11)を書き込み開始アドレスと指定してもよい。この場合、図6(B)に示すように、アドレスA11以下のアドレスに書き込まれていたデータD1は、新たに取得されたデータD3によって上書きされて消去される。また、データD1が書き込まれている最後のアドレスの次のアドレス(図6(B)ではアドレスA12)に書き込まれていた順序特定データID1は、データD3に割り当てられた順序特定データID3によって上書きされて消去される。
【0083】
逆に、第1及び第2ブロックのデータD1,D2の少なくとも1つが、所定の範囲外の値のデータを含む場合(ステップS20におけるNoの場合)、書き込み制御部20は、第1ブロックのデータD1及び順序特定データID1が上書きされないように書き込み開始アドレスを設定し(ステップS24)、第1記憶領域11に新しいブロックのデータを書き込む(ステップS102〜S110)。例えば、書き込みアドレス指定部で、第1ブロックのデータD1及び順序特定データID1が書き込まれたアドレスよりも後のアドレス(図6(C)ではアドレスA13)を書き込み開始アドレスと指定してもよい。この場合、図6(C)に示すように、新たなデータD3及び順序特定データID3は第1ブロックのデータD1及び順序テク定データID1を避けて書き込まれるため、第1ブロックのデータD1及び順序特定データID1は、消去されずに保存される。
【0084】
なお、本発明では、新たな記憶領域の書き込み開始アドレスを決定する手順(ステップS116)において、第1及び第2ブロックのデータD1,D2のみならず、第1ブロックのデータD1の前に取得された第0ブロックのデータD0に基づいて、書き込み開始アドレスを決定してもよい。この場合の書き込み開始アドレスを決定する手順について、図7を参照して説明する。
【0085】
はじめに、第1及び第2ブロックのデータD1,D2が所定の範囲内の値であるか否か、及び、第1ブロックのデータD1の前に取得された第0ブロックのデータD0が所定の範囲内の値であるか否かを判定する(ステップS25)。
【0086】
第1及び第2ブロックのデータD1,D2が所定の範囲内の値であり、かつ、第0ブロックのデータD0が所定の範囲内の値である場合(ステップS25におけるYesの場合)、書き込み制御部20は、第1ブロックのデータD1及び順序特定データID1が上書きされるように書き込み開始アドレスを指定し(ステップS22)、第1記憶領域11に新しいブロックの測定データ及び当該新しいブロックに割り当てられた順序特定データを書き込む(ステップS102〜S112)。
【0087】
逆に、第1及び第2ブロックのデータD1,D2の少なくとも1つが所定の範囲外のデータを含む場合、又は、第0ブロックのデータD0が所定の範囲外のデータを含む場合(ステップS25におけるNoの場合)、書き込み制御部20は、第1ブロックのデータD1及び順序特定データID1が上書きされないように書き込み開始アドレスを指定し(ステップS24)、第1記憶領域11に新しいブロックのデータ及び当該新しいブロックに割り当てられた順序特定データを書き込む(ステップS102〜S112)。
【0088】
これによると、第1ブロックのデータD1の直前に取得された第0ブロックのデータD0がイベントの発生を示すデータを含んでいる場合に、第1及び第2ブロックのデータD1,D2の値にかかわらず、第1ブロックのデータD1及び順序特定データID1が保存される。そのため、このデータ記録装置によると、イベント発生後、所定の期間のデータを保存することができる。
【0089】
すなわち、本発明に係るデータ記録装置によると、イベント発生前に取得された少なくともN個のデータと、イベント発生後に取得された少なくともN個のデータとを保存することができるため、イベント発生前後のデータ変化を解析することが可能になる。
【0090】
詳しくは、本発明では、先に説明したように、データをN個ずつに分け(ブロックとしてとらえ)、それぞれを一つのまとまりとして扱う。そのため、イベント発生時点のデータも、いずれかのブロックに含まれることになる。すなわち、イベント発生時点のデータは、一つのブロックの先頭から末尾までのいずれかの位置に書き込まれる。例えばイベント発生時点のデータが1つのブロックの先頭データとして書き込まれている場合、当該ブロックの前のブロックのデータを保存すれば、イベント発生時点よりも前のN個のデータを保存することができる。逆に、イベント発生時点のデータが1つのブロックの末尾データとして書き込まれている場合、当該ブロックの後のブロックのデータを保存すれば、イベント発生時点の後のN個のデータを保存することができる。すなわち、イベント発生時点のデータを含むN個のデータ(1つのブロックのデータ)と、その前後のブロックのデータとを保存すれば、イベント発生時点のデータが一つのブロックのどこに書き込まれている場合でも、イベント発生時点のデータと、その前の少なくともN個のデータ及びその後の少なくともN個のデータを保存することができるため、イベント発生前後のデータ変化を解析することが可能になる。
【0091】
逆に、イベントが発生しなければ、暫定的に保存されていた1ブロックのN個のデータ及び順序特定データは、新たに取得した1ブロックのN個のデータ及び順序特定データによって順次上書きされて消去されるため、イベント発生前後のデータのみを保存することができる。従って、少ない記憶容量のメモリであっても、効率的にイベント発生前後のデータを残すことができる。すなわち、本発明に係るデータ記録装置は、イベントレコーダとして使用することができる。
【0092】
加えて、本発明では、各ブロックの測定データを保存すべきか否かを判断する前に、各ブロックのN個のデータのうち少なくとも1つのデータを代表データとして外部のサーバー等に送信することができる。したがって、測定データの概略を早期に提供することが可能となる。
【0093】
さらに、本発明では、新たな記憶領域の書き込み開始アドレスを決定する手順(ステップS116)において、第1ブロックのデータD1が所定の条件(取得条件)を満たしたデータを含んでいる場合、この第1ブロックのデータD1を保存すべきデータと判定してもよい。例えば、第1ブロックのデータD1が測定データの取得間隔(測定間隔)よりも広い所定の間隔をあけて取得されたデータを含んでいる場合に、この第1ブロックのデータD1を、保存すべきデータと判定してもよい。これによると、イベントが発生しなかった場合でも測定データが定期的に保存されるため、データ記録装置が正常に動作していることを確認することができる。あるいは、第1及び第2記憶領域11,12のアドレスの使用量の偏りが大きくなった時に、第1ブロックのデータD1を保存すべきデータと判定してもよい。これによれば、メモリの使用領域の差を調整することができる。
【0094】
なお、測定開始後の最初の1ブロック分の測定データが保存すべきデータでなかった時に、次のサイクルで当該データを上書きしようとしても上書きすべきデータが存在しないという事態が発生するので注意が必要である。例えば、とりあえず初回は1ブロック分のデータを残すようにしてもよい。
【0095】
図3を用いて説明したデータ記録装置1の動作では、不揮発性メモリ10の専用記憶領域13を用いない動作であったが、本発明のデータ記録装置1は代表データを不揮発性メモリ10の専用記憶領域13に保存するようにしてもよい。かかる動作について、図8を用いて説明する。
【0096】
はじめに、初期値を設定する(ステップS100)。ここで、初期値とは、例えば、データを測定する間隔(測定データの取得間隔)や、測定データを正常と判断する範囲(上限及び下限値)や、1ブロックの測定データの数であるNの値、初期アドレス等が挙げられる。これらの初期値は、RAM130に記憶させてもよい。なお、これらの初期値は、測定対象に合わせて設定してもよい。
【0097】
次に、書き込みアドレス指定部25で所与の記憶領域のアドレスを指定し、指定されたアドレスに新たな測定データを書き込む(ステップS102)。
【0098】
そして、書き込みアドレス指定部25は、次の測定データを書き込むための書き込みアドレスを更新する(ステップS104)。更新された書き込みアドレスは、次にステップS102において新たな測定データを書き込む際に、書き込みアドレス指定部25で書き込みアドレスとして指定される。
【0099】
そして、ステップS102で所与の記憶領域に書き込まれた測定データを代表データとして保存するための条件を満たすか否か判断する(ステップS106)。条件を満たさない場合(ステップS106においてNoの場合)は、代表データの書き込み処理及び送信処理(ステップS118、S120、S108)を行わず次の手順(ステップS110)に進む。条件を満たす場合(ステップS106においてYesの場合)は、書き込みアドレス指定部25で指定された専用記憶領域のアドレスに当該測定データを書き込んで代表データとして保存する(ステップS118)。例えば、常に、1ブロックの先頭の測定データを代表データとして保存するようにしてもよい。代表データの保存後に、通信部40により送信処理が行われる(ステップS108)。
【0100】
そして、書き込みアドレス指定部25は、次の代表データを書き込むための書き込みアドレスを更新する(ステップS120)。更新された書き込みアドレスは、次にステップS118において新たな代表データを書き込む際に、書き込みアドレス指定部25で書き込みアドレスとして指定される。
【0101】
そして、N個の測定データの書き込みが終了したか否か判断し(ステップS110)、終了していない場合(ステップS110においてNoの場合)は、ステップS102〜S108の処理を繰り返す。N個の測定データの書き込みが終了した場合(ステップS100においてYesの場合)は、所与の記憶領域に対する書き込み処理を終了する。
【0102】
そして、順序特定データ生成部30で当該1ブロックに割り当てられた順序特定データを生成し、書き込みアドレス指定部25によって指定された当該記憶領域のアドレスに当該順序特定データを書き込む(ステップS112)。
【0103】
そして、データを書き込む記憶領域を変更(選択)し(ステップS114)、新たな記憶領域の書き込み開始アドレス(先頭アドレス)を設定する(ステップS116)。
【0104】
そして、書き込みアドレス指定部25で、当該書き込み開始アドレスからアドレスの指定を行い、1ブロックのN個の測定データを書き込む手順(ステップS102〜S108)を繰り返す。
【0105】
このように、専用記憶領域13に代表データを保存することにより、例えば代表データの送信時にエラーが発生した場合のバックアップデータとして利用することができる。なお、送信処理は専用記憶領域への代表データの書き込み処理よりも前に、又はこれと並行して行うことも可能である。
【0106】
図3又は図8を用いて説明したデータ記録装置1の動作では、代表データとして選択するための条件を満たしたデータを測定するごとに送信処理を行っていたが、測定データの書き込み動作とは独立に、通信部40が外部からの所定のデータ又は通信タイミング信号を受信するごとに送信処理を行うことも可能である。かかる動作について、図9〜図12を用いて説明する。
【0107】
はじめに、初期値を設定する(ステップS100)。ここで、初期値とは、例えば、データを測定する間隔(測定データの取得間隔)や、測定データを正常と判断する範囲(上限及び下限値)や、1ブロックの測定データの数であるNの値、初期アドレス等が挙げられる。これらの初期値は、RAM130に記憶させてもよい。なお、これらの初期値は、測定対象に合わせて設定してもよい。
【0108】
次に、書き込みアドレス指定部25で所与の記憶領域のアドレスを指定し、指定されたアドレスに新たな測定データを書き込む(ステップS102)。
【0109】
そして、書き込みアドレス指定部25は、次の測定データを書き込むための書き込みアドレスを更新する(ステップS104)。更新された書き込みアドレスは、次にステップS102において新たな測定データを書き込む際に、書き込みアドレス指定部25で書き込みアドレスとして指定される。
【0110】
そして、ステップS102で所与の記憶領域に書き込まれた測定データを代表データとして保存するための条件を満たすか否か判断する(ステップS106)。条件を満たさない場合(ステップS106においてNoの場合)は、代表データの書き込み処理(ステップS118、S120)を行わず次の手順(ステップS110)に進む。条件を満たす場合(ステップS106においてYesの場合)は、書き込みアドレス指定部25で指定された専用記憶領域のアドレスに当該測定データを書き込んで代表データとして保存する(ステップS118)。例えば、常に、1ブロックの先頭の測定データを代表データとして保存するようにしてもよい。
【0111】
そして、書き込みアドレス指定部25は、次の代表データを書き込むための書き込みアドレスを更新する(ステップS120)。更新された書き込みアドレスは、次にステップS118において新たな代表データを書き込む際に、書き込みアドレス指定部25で書き込みアドレスとして指定される。
【0112】
そして、N個の測定データの書き込みが終了したか否か判断し(ステップS110)、終了していない場合(ステップS110においてNoの場合)は、ステップS102〜S120の処理を繰り返す。N個の測定データの書き込みが終了した場合(ステップS100においてYesの場合)は、所与の記憶領域に対する書き込み処理を終了する。
【0113】
そして、順序特定データ生成部30で当該1ブロックに割り当てられた順序特定データを生成し、書き込みアドレス指定部25によって指定された当該記憶領域のアドレスに当該順序特定データを書き込む(ステップS112)。
【0114】
そして、データを書き込む記憶領域を変更(選択)し(ステップS114)、新たな記憶領域の書き込み開始アドレス(先頭アドレス)を設定する(ステップS116)。
【0115】
そして、書き込みアドレス指定部25で、当該書き込み開始アドレスからアドレスの指定を行い、1ブロックのN個の測定データを書き込む手順(ステップS102〜S120)を繰り返す。
【0116】
このように、図9に示す動作では、測定データを書き込む動作の流れの中には代表データの送信処理が含まれていない。したがって、測定データを書き込む動作とは独立した通信処理の一例を、図10を用いて説明する。
【0117】
はじめに、通信部40が所定のデータ又は通信タイミング信号を受信したか否かを判定する(ステップS160)。
【0118】
通信部40が所定のデータ又は通信タイミング信号を受信していない場合(ステップS160におけるNoの場合)、所定のデータ又は通信タイミング信号を受信するまで判定を繰り返す。
【0119】
通信部40が所定のデータ又は通信タイミング信号を受信した場合(ステップS160におけるYesの場合)、送信すべきデータを選択し(ステップS162)、送信処理を行う(ステップS108)。
【0120】
送信すべきデータは、専用記憶領域にある全ての代表データとしてもよいが、送信データを削減するためには、過去に送信されていない代表データを送信することが好ましい。このようなデータ選択処理の一例を、図11を用いて説明する。
【0121】
はじめに、専用記憶領域13内のアドレスを指定する(ステップS180)。専用記憶領域13の先頭アドレスから代表データが書き込まれる場合には、初期設定で専用記憶領域13の先頭アドレスを指定しておいてもよい。
【0122】
次に、専用記憶領域13の指定アドレスに代表データが書き込まれているか否かを判定する(ステップS182)。例えば、専用記憶領域13に代表データを書き込む際に、最後の代表データの次のアドレスに区切りデータを書き込むようにし、ステップS182では書き込まれているデータが区切りデータであるか否かで代表データの有無を判定してもよい。
【0123】
専用記憶領域13の指定アドレスに代表データが書き込まれている場合(ステップS182におけるYesの場合)、指定アドレスに書き込まれている代表データを送信データとして選択する(ステップS184)。その後、指定アドレスを更新する(ステップS186)。例えば、ステップS182で代表データが書き込まれているものと判定されるごとにカウンタをインクリメントしてアドレスを生成し、指定アドレスを更新してもよい。
【0124】
専用記憶領域13の指定アドレスに代表データが書き込まれていなくなるまでステップS180〜S186を繰り返し、専用記憶領域13の指定アドレスに代表データが書き込まれていなくなると(ステップS182におけるNoの場合)データ選択処理が終了する。
【0125】
さらに、図10でのデータ選択処理(ステップS162)をより簡便化するために、送信処理(ステップS108)の後に専用記憶領域13内のデータを全て消去することも可能である。この場合の動作の一例を、図12を用いて説明する。
【0126】
はじめに、通信部40が所定のデータ又は通信タイミング信号を受信したか否かを判定する(ステップS160)。
【0127】
通信部40が所定のデータ又は通信タイミング信号を受信していない場合(ステップS160におけるNoの場合)、所定のデータ又は通信タイミング信号を受信するまで判定を繰り返す。
【0128】
通信部40が所定のデータ又は通信タイミング信号を受信した場合(ステップS160におけるYesの場合)、専用記憶領域13内の全てのデータを選択し(ステップS164)、送信処理を行う(ステップS108)。その後、専用記憶領域13内の全てのデータを消去する(ステップS168)。これにより、専用記憶領域13内のデータは、常に送信されていない代表データのみとなるので、ステップS164では専用記憶領域13内の全てのデータを選択すれば、送信されていない代表データのみを選択することになる。
【0129】
次に、このデータ記録装置を実現するためのアルゴリズムについて、図13を参照して説明する。本実施の形態では、代表データについては専用記憶領域13に書き込むごとに送信し、上書きしないものと判定された測定データについては判定されるごとに送信している。
【0130】
はじめに、初期値を入力する(ステップS200,S202)。なお、ステップS200では、1ブロック分の測定データの数であるNの値や、測定データの測定時間間隔Tint、第1及び第2記憶領域における先頭アドレスXX,YY、専用記憶領域における先頭アドレスZZを、それぞれ指定する。また、ステップS202では、フラグの初期値を設定する。
【0131】
そして、データを書き込む記憶領域を選択する(ステップS204)。本実施の形態では、例えば、FLG1=0の場合は第1記憶領域11、FLG1≠0の場合は第2記憶領域12を選択するように設定してもよい。
【0132】
第1記憶領域11が選択された場合(FLG1=0の場合)の処理と第2記憶領域12が選択された場合(FLG1≠0の場合)の処理の手順は同様であるため、以下では、第1記憶領域11が選択された場合(FLG1=0の場合)の処理手順を例にとり、説明する。
【0133】
ステップS204においてFLG1=0の場合(第1記憶領域11が選択された場合)、まず、順序特定データN2を更新する(ステップS206)。なお、順序特定データN2は、各ブロックに割り当てられ各ブロックが取得された順序を特定することができるデータであればよく、本実施の形態では、取得されるブロックが更新される毎に(N個の測定データを取得する毎に)順序特定データN2を1ずつカウントアップ(N2=N2+1)して更新するようにしている。
【0134】
そして、選択された記憶領域の書き込み開始アドレスを決定する(ステップS208、ステップS210)。この例では、FLG3=0及びFLG5=0の場合(ステップS208においてYESの場合)、1ブロックのN個の測定データ及び順序特定データの上書きを行うためにN+1だけアドレスを繰り上げる処理を行う(ステップS210(図4におけるステップS22に対応))。FLG3及びFLG5の少なくとも一方が0ではない場合(ステップS208においてNOの場合)には、アドレスを繰り上げる処理は行わず、次の手順に進む(図4におけるステップS24に対応)。
【0135】
データを上書きしない場合(ステップS208においてNOの場合)には、ステップS200,S202後に、選択された記憶領域に書き込まれるのが初回か否かを判定する(ステップS212)。初回であった場合(ステップS212においてYESの場合)には、送信すべきデータが存在しないので、ステップS214〜S216のデータ送信処理は行わない。初回ではない場合(ステップS212においてNOの場合)には、ステップS208で上書きしないものと判定されたN個の測定データを選択し(ステップS214)、送信処理(ステップS216)を行う。送信処理(ステップS216)は図4を用いて説明した動作と同じである。
【0136】
その後、フラグの受け渡し処理を行い(ステップS218)、データの書き込み(記録)処理を行う(ステップS220〜ステップS242)。
【0137】
データの書き込み処理では、はじめに、書き込みアドレス及びカウンタ値の設定を行う(ステップS220)。そして、データの測定を行い(ステップS222)、測定データの値が所定の範囲内であるか否かについて判定する(ステップS224)。
【0138】
測定データの値が所定の範囲外のデータである場合(ステップS224でYESの場合)、フラグの値を設定し(ステップS226)、データの書き込み処理を行う(ステップS228)。なお、本実施の形態では、ステップS226で設定されるフラグによって、第1及び第2記憶領域の書き込みアドレスが設定され、データの上書きが制限される(ステップS208〜S218参照)。
【0139】
測定データの値が所定の範囲内の値である場合(ステップS224でNOの場合)、フラグの値を変更することなくデータの書き込み処理を行う(ステップS228)。
【0140】
そして、現在の測定データが1ブロックの先頭の測定データである(n=2)か否か判断する(ステップS230)。先頭の測定データである場合(ステップS230でYESの場合)には、測定データを代表データとして保存し、送信する処理を行い(ステップS232〜S236)、先頭の測定データでない場合(ステップS230でNOの場合)には、次の手順(ステップS238)に進む。
【0141】
先頭の測定データは、専用記憶領域13のアドレスZZに書き込まれて代表データとして保存される(ステップS232)。さらに、現在のブロックに割り当てられた順序特定データを、専用記憶領域13の次のアドレス(ZZ+1)に書き込んで保存する(ステップS234)。ここで、順序特定データを保存するのは、保存されたデータを読み出して解析する際に、専用記憶領域13に保存される代表データが含まれるブロックと、第1記憶領域11又は第2記憶領域12に保存されるデータが含まれるブロックを取得した順序を特定することを容易にするためである。
【0142】
なお、本実施の形態では、順序特定データN2はステップS206においてカウントアップして得られる数値データであり測定データと区別がつかない場合もあるため、順序特定データN2を測定データと区別することができる区切りフラグ(F(N2))に変換して保存している。区切りフラグ(F(N2))を順序特定データと考えてもよい。
【0143】
さらに、専用記憶領域13に書き込まれた代表データは、送信処理(ステップS236)が行われる。送信処理(ステップS236)は図4を用いて説明した動作と同じである。
【0144】
そして、ステップS228において測定データを書き込んだアドレスの次のアドレスに、最後に測定データが書き込まれたアドレスを特定するための所定のデータ(末尾区切りデータ)を書き込む(ステップS238)。例えば、ステップS220〜S242における測定データの記録中に(例えば、後述するステップS240における待ち時間Tintの間に)、データ記録装置が寿命に達し、測定データの書き込み処理を終了する場合であっても、末尾区切りデータが残るので、最後に書き込まれた測定データを特定することができる。なお、本実施の形態では、末尾区切りデータは、測定データがN個に達するまでは次のサイクルのステップS228における測定データの書き込みにより上書きされて消去される。また、末尾区切りデータは、測定データがN個に達した後は後述するステップS248における最後尾区切りデータの書き込みにより上書きされて消去される。従って、末尾区切りデータにより第1記憶領域11の必要な記憶容量が増加することはない。
【0145】
そして、待ち時間Tintの経過を待って(ステップS240)、第1記憶領域11に1ブロックのN個のデータが書き込まれたか否かを判定し(ステップS242)、N個のデータが書き込まれるまで、データの書き込み処理(ステップS220〜S242)を繰り返す。ここで、待ち時間Tintの経過を待つのは、次の測定までの時間間隔を制御するためである。
【0146】
第1記憶領域11にN個のデータが書き込まれると、第1記憶領域11の書き込みアドレスをカウントアップして順序特定データ(区切りフラグ)の入力アドレスを設定し、専用記憶領域13の書き込みアドレスをカウントアップして次の代表データの書き込みアドレスを設定する(ステップS244)。ここで、ZZ=ZZ+2とすることによって、各代表データだけでなく、各代表データを含む各ブロックに割り当てられた各順序特定データ(区切りフラグ)も専用記憶領域13にすべて残すようにしている。このようにすれば、専用記憶領域13に残した代表データと第1記憶領域11又は第2記憶領域12にブロック単位で保存したデータとの時間関係を容易に整理することが可能となる。
【0147】
そして、現在のブロックに割り当てられた順序特定データを、ステップS244でインクリメント(XX = XX+1)後のアドレスXXに書き込んで保存する(ステップS246)。ここで、順序特定データを保存するのは、保存されたデータを読み出して解析する際に、第1記憶領域11に保存される各N個のデータが含まれる各ブロックを取得した順序及び保存されている各ブロックの間に取得されたブロックの数を特定するためである。
【0148】
そして、ステップS246において順序特定データ(区切りフラグ)を書き込んだアドレスの次のアドレスに、最後に1ブロックのN個の測定データが書き込まれたアドレスを特定するための所定のデータ(最後尾区切りデータ)を書き込む(ステップS248)。なお、本実施の形態では、最後尾区切りデータは、次に書き込まれる新たなN個の測定データの先頭の測定データによってステップS228において上書きされて消去される。従って、最後尾区切りデータにより第1記憶領域11の必要な記憶容量が増加することはない。
【0149】
そして、FLG1の値を1に設定し(ステップS250)、第2記憶領域12を選択し(ステップS204)、同様の処理を繰り返す。
【0150】
図13のフローチャート図で示したデータ記録装置1の動作を、図14を用いて具体的に説明する。
【0151】
まず、データ群A(310)の測定開始前においては、記憶領域11には送信すべきデータは存在しないので、ステップS216の送信処理は行われない。ステップS222において測定が開始されると、データ群A(310)の先頭データであるデータ1(312)が、ステップS236において送信処理される。
【0152】
次に、データ群B(320)の測定開始前においては、記憶領域12には送信すべきデータは存在しないので、ステップS262の送信処理は行われない。ステップS268において測定が開始されると、データ群B(320)の先頭データであるデータ2(322)が、ステップS282において送信処理される。
【0153】
そして、データ群A(310)は異常値を示すデータを含むデータブロック(イベント発生ブロック)であるので、ステップS216において送信処理される。
【0154】
その後、データ群C(330)の測定が開始されると、データ群C(330)の先頭データであるデータ3(332)が、ステップS236において送信処理される。
【0155】
そして、データ群B(320)は異常値を示すデータを含むデータブロックの直後のデータブロック(イベント発生直後ブロック)であるので、ステップS262において送信処理される。
【0156】
その後、データ群D(340)の測定が開始されると、データ群D(340)の先頭データであるデータ4(342)が、ステップS282において送信処理される。
【0157】
そして、データ群C(340)は異常値を示すデータを含むデータブロックでもなく、その直前又は直後のデータブロックではないことが判定できるので、ステップS216の送信処理は行われない。
【0158】
なお、本実施の形態では、第1記憶領域11又は第2記憶領域12のいずれかの記憶領域のすべてにデータが書き込まれたら、以後のデータ保存を行わないようにしてもよい。この場合は、データ記録開始後の最初のイベント発生時のデータが上書きされないようにすることができる。また、第1記憶領域11及び第2記憶領域12をともにリングバッファとして構成し、各記憶領域のすべてにデータが書き込まれたら、古いデータから順に(先頭アドレスに保存されたデータから順に)新しいデータで上書き消去されるようにしてもよい。この場合は、データ記録終了直前の最後のイベント発生時のデータが上書きされないようにすることができる。
【0159】
一方、代表データを保存する専用記憶領域13は、定期的に書き込みが行われるため、リングバッファとして構成し、古いデータから順に上書きして消去しながら使用することが望ましい。
【0160】
本実施の形態では、上述したようにフラグの設定により書き込みアドレスを設定してもよい。これによれば、サイズの小さなデータの授受により書き込みアドレスの設定が可能になるため、データ処理の負担が小さく、かつ、回路規模の小さなデータ記録装置を提供することができる。
【0161】
また、本実施の形態では、代表データについては専用記憶領域13に書き込むごとに送信しているが、図9〜図12を用いて説明したように、測定データの書き込み動作とは独立に代表データの送信処理を行ってもよい。
【0162】
さらに、本実施の形態では、上書きしないものと判定された測定データについては判定されるごとに送信しているが、例えば測定終了時にまとめて送信したり、第1記憶領域11又は第2記憶領域12のいずれかの記憶領域のすべてにデータが書き込まれた時にまとめて送信したりしてもよい。
【0163】
(3)効果
本実施の形態に係るデータ記録装置は、以上のように構成されている。このデータ記録装置によると、記憶領域を効率よく利用することが可能である。さらに、測定データの概略を早期に提供することが可能なデータ記録装置を提供することができる。以下、その効果について説明する。
【0164】
先に説明したように、データ記録装置1では、第1記憶領域11に書き込まれたN個の測定データ(第1ブロックのデータD1)と、その後に取得されたN個の測定データ(第2ブロックのデータD2)とに基づいて、第1ブロックのデータD1の要否を判定する。すなわち、このデータ記録装置では、N個の測定データ(第1ブロックのデータD1)を保存するか否かを、その後に取得された測定データ(第2ブロックのデータD2)を利用して判定する。すなわち、このデータ記録装置によると、N個の測定データの保存の要否が、当該N個の測定データが取得されてから(記憶部に書き込まれてから)所定の時間が経過した後に判定され、かつ、当該N個の測定データは、保存の要否が判定されるまで保持される。そのため、イベントの発生を示す測定データが取得された場合に、当該イベント発生前のデータを自動的に保存することが可能になる。
【0165】
例えば、第2ブロックのデータD2がイベントの発生を示すデータ(所定の範囲外の値のデータ)を含んでいる場合、当該第2ブロックのデータD2と、その直前に取得されたN個の測定データ(第1ブロックの測定データD1)とを保存することで、第2ブロックのデータD2の先頭から末尾までのいずれの位置にイベント発生を示すデータが配置されている場合でも、イベント発生前の少なくともN個のデータを自動的に保存することができる。
【0166】
また、データ記録装置1では、第1記憶領域11にN個の測定データを書き込んだ後に、第2記憶領域12にN個の測定データを書き込む。そして、第1記憶領域11に書き込まれたN個の測定データ(第1ブロックのデータD1)の保存の要否を判定した後に、第1記憶領域11の書き込みアドレスを指定する。すなわち、データ記録装置1によると、第1記憶領域11に新たなデータを書き込む前に、第1ブロックのデータD1(第1記憶領域11に書き込まれたデータのうち最も新しく取得されたN個のデータ)の要否を判定することができる。
【0167】
そして、当該N個の測定データの要否に基づいて、第1ブロックのデータD1を上書き(上書き消去)するか、上書きせずに保存するかを決定する。具体的には、新たなデータの書き込みアドレスとして、第1ブロックのデータD1が書き込まれたアドレスの後のアドレスを指定すれば、第1ブロックのデータD1を保存することができる。逆に、新たなデータの書き込みアドレスとして、第1ブロックのデータD1が書き込まれた先頭のアドレスを指定すれば、第1ブロックのデータD1が上書き消去される。そのため、第1ブロックのデータD1の要否を判定しながら、第1記憶領域11のアドレスを上位から隙間なく利用することが可能なデータ記録装置を提供することができる。
【0168】
さらに、データ記録装置1では、イベントの発生の有無にかかわらず、すなわち所与の記憶領域の最後に書き込まれた1ブロック分の各測定データを保存しておくか否かの判断によらず、各ブロックの少なくとも1つの測定データを代表データとして先に送信するので、測定データの概略を早期に提供することが可能となる。
【0169】
また、このデータ記録装置1では、第1記憶領域又は第2記憶領域に書き込まれたN個のデータ(第1ブロックのデータD1又は第2ブロックのデータD2)が保存を必要としないデータである場合、書き込みアドレス指定部は、第1ブロックのデータD1の先頭データ及び第2ブロックのデータD2の先頭データを代表データとして専用記憶領域に保存するようにしてもよい。これによると、イベントの発生の有無にかかわらず、先頭データ(測定データの取得間隔よりも長い所定の間隔で取得されたデータ)が専用記憶領域に保存されるため、長期的なデータの変動を確認することが可能になる。また、代表データの送信時にエラーが発生した場合のバックアップデータとしても機能しうる。ここで、先頭データは測定データの取得間隔よりも広い時間間隔(N×Tint間隔)で取得されるデータであり、これを保存したとしても、保存されるデータの容量が大きく増加することがない。そのため、容量の大きなメモリを利用することなく、測定データを長期的に記録することが可能になる。なお、ここで言う先頭データとは、1つのデータであってもよいが、複数のデータであってもよい。さらに、専用記憶領域13に保存するデータは先頭データに限らず、第1ブロックのデータD1及び第2ブロックのデータD2にそれぞれ含まれる任意の1つ又は複数のデータであってもよい。
【0170】
ここで、イベント発生直前の測定データを保存するためには、イベントが発生する前のブロックの測定データを暫定保存することが必須である。イベントの発生により、例えば、データ記録装置1に対する電力供給が停止する場合もあるため、測定データは不揮発性メモリに保存することが重要である。さらに、不揮発性メモリの記憶容量を増大させないためには、イベント発生直前の測定データを暫定保存しておき、イベントが発生しなかった場合には、当該測定データを上書き消去することが望ましい。すなわち、不揮発性メモリは、頻繁に書き換え可能であり、書き換え回数の制限がない(実質的に書き換え回数の制限を考慮する必要がないほど書き換え可能回数の上限が大きい)ことが重要である。例えば、不揮発性メモリであるEEPROMやフラッシュメモリは書き換え回数に制限があり、頻繁にデータ書き換えが発生する用途にデータ記録装置1を使用する場合には、必ずしも最適なメモリではない。このような場合には、実質的に書き換え回数の制限を考慮する必要がないFeRAMによって不揮発性メモリを構成するのが好適である。
【0171】
また、データ記録装置1を、例えば、メモリ保持や送信のためのバッテリーを持つアクティブ型のRFタグに使用する場合等は、不揮発性メモリはデータ書き換え時の消費電力が小さいことが重要である。FeRAMはデータ書き換え時の消費電力が極めて小さく、このような場合にも、FeRAMによって不揮発性メモリを構成するのが好適である。
【0172】
すなわち、データ記録装置1の不揮発性メモリをFeRAMによって構成することにより、高性能かつ製品寿命の長いデータ記録装置を提供することができる。
【0173】
また、従来のデータ記録装置は大量の測定データを保存して送信し、ホスト側で受けとった測定データから必要なデータを選択してデータ解析を行っていたが、データ記録装置1は内部で測定データを取捨選択して必要なデータのみを自動的に保存して送信することができる。従って、データ記録装置1は、測定データを保存するためのメモリ容量を大幅に削減することができる。また、データ記録装置1は、送信するデータ量を削減することができるので、データ送信時の消費電力を大幅に削減することができる。従って、データ記録装置1を使用すれば、例えば、小型化および低消費電力化の要求を満たすアクティブ型のRFタグを実現することができる。
【0174】
また、不揮発性メモリの複数の記憶領域には、比較的短い時間間隔で取得されたイベント発生前後のデータのみが保存されているため、データ記録装置1はイベントレコーダとして使用することができる。すなわち、当該複数の記憶領域に保存されたデータを解析することによって、イベント発生の有無やイベント発生時の詳細な状況を判断することができる。
【0175】
また、不揮発性メモリの専用記憶領域には、比較的長い時間間隔で定期的に取得されたデータが保存されているため、データ記録装置1は長期的なデータ変動の状況を解析するためのデータ記録装置として使用することができる。
【0176】
さらに、データ記録装置1が、複数の記憶領域と専用記憶領域を有する場合には、複数の記憶領域に保存されたイベント発生前後に取得されたデータと専用記憶領域に保存された定期的に取得されたデータとを組み合わせて、より詳細な解析を行うことが可能である。データ記録装置1においては、これらの記憶領域には各ブロックに対応づけて順序特定データが記録されるので、保存されたデータを取得した順序を容易に特定することができる。
【0177】
なお、本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【0178】
例えば、図13のフローチャートに従えば、第1記憶領域11又は第2記憶領域12に保存されるブロックの先頭の測定データは、代表データとして専用記憶領域にも重複して保存されるが、重複保存しないようにしてもよい。例えば、ステップS228において、n=2の時は第1記憶領域11にデータを保存しないように変形してもよい。
【0179】
また、図13のフローチャートでは、専用記憶領域13には、最後に書き込まれた代表データを含むブロックに割り当てられた順序特定データ(区切りフラグ)も残るようにしているが、これに限られない。例えば、ステップS244におけるZZ=ZZ+2をZZ=ZZ+1に変更することによって、次の代表データの書き込みアドレスが、ステップS234において順序特定データ(区切りフラグ)を書き込んだアドレスに設定されるようにしてもよい。すなわち、次の代表データの書き込みにより専用記憶領域13に書き込まれた順序特定データ(区切りフラグ)は上書きされて消去される。従って、順序特定データ(区切りフラグ)により専用記憶領域13の必要な記憶容量が増加することはない。なお、このような処理により、専用記憶領域13には、最後に書き込まれた代表データを含むブロックに割り当てられた順序特定データ(区切りフラグ)しか残らない。しかし、1ブロック毎に1個のデータを代表データとして規則的に保存しているので、最後の順序特定データ(区切りフラグ)だけ残っていれば、専用記憶領域13に保存された各代表データが含まれる各ブロックと、第1記憶領域11又は第2記憶領域12に保存された各N個のデータが含まれる各ブロックを取得した順序を特定することができる。
【0180】
また、図13のフローチャートでは、イベントが発生したブロック及びその前後のブロックのみを保存しているが、1ブロックのデータ数を減らして、イベントが発生したブロック、イベント発生前の複数のブロック及び(又は)イベント発生後の複数のブロックを保存するようにしてもよい。1ブロックのデータ数を減らしてイベント発生前後の複数のブロックを保存するようにすれば、1ブロックのデータ数を増やしてイベント発生前後の各1つのブロックを保存する場合と比較して、不要なデータを保存する必要がなくなりメモリの効率的な利用が可能となる。例えば、イベント発生前後のN個の測定データを確実に保存するために、1ブロックをN個の測定データで構成すると、イベントが発生したブロック及びイベント発生前後の各1ブロック、すなわち3ブロックに渡る3N個のデータを保存しなければならない。一方、1ブロックをN/2個の測定データで構成すると、イベントが発生したブロック及びイベント発生前後の2ブロック、すなわち5ブロックに渡る2.5N個のデータを保存すればよい。
【0181】
さらに、データ記録装置1では、他の通信端末からのデータ又は通信タイミング信号を受信するごとに、専用記憶領域に書き込まれた代表データを送信してもよい。その場合、データ記録装置全体としての送信機会を節約することができる。そのため、通信で消費されるエネルギーを節約することができる。例えば、データ記録装置をセンサーネットワーク中に配し、センサーネットワークをアドホックネットワークとして構成した場合には、他の通信端末からデータを受信し、かかるデータをさらに他の通信端末に送信する機会があるため、この送信機会を利用して代表データを送信することができる。
【0182】
また、この場合、前回の送信機会から新たに書き込まれた代表データのみを送信することで、さらに転送データ量を削減することができる。
【0183】
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【図面の簡単な説明】
【0184】
【図1】データ記録装置の構成を説明するための図。
【図2】データ記録装置のブロック図。
【図3】データ記録装置の動作を説明するためのフローチャート図。
【図4】データ記録装置の動作を説明するためのフローチャート図。
【図5】データ記録装置の動作を説明するためのフローチャート図。
【図6】不揮発性メモリにデータが書き込まれる様子を示す模式図。
【図7】データ記録装置の動作を説明するためのフローチャート図。
【図8】データ記録装置の動作を説明するためのフローチャート図。
【図9】データ記録装置の動作を説明するためのフローチャート図。
【図10】データ記録装置の動作を説明するためのフローチャート図。
【図11】データ記録装置の動作を説明するためのフローチャート図。
【図12】データ記録装置の動作を説明するためのフローチャート図。
【図13】データ記録装置の動作を説明するためのフローチャート図。
【図14】データ記録装置の動作を説明するためのグラフ。
【符号の説明】
【0185】
1…データ記録装置、 10…不揮発性メモリ、 11…第1記憶領域、 12…第2記憶領域、 20…書き込み制御部、 25…書き込みアドレス指定部、 30…順序特定データ生成部、 35…書き込み停止処理部、 40…通信部、 45…通信制御部、 50…通信インターフェイス、 100…CPU、 110…FeRAM、 120…ROM、 130…RAM、 150…通信回線、 D0…第0ブロックのデータ、 D1…第1ブロックのデータ、 D2…第2ブロックのデータ、 D3…第3ブロックのデータ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の測定データをメモリに書き込む処理を行うデータ記録装置であって、
前記測定データが書き込まれる複数の記憶領域を含む不揮発性メモリと、
所定の数の測定データを1ブロックとして、前記不揮発性メモリの所与の記憶領域に1ブロック分の各測定データを順次書き込み、その後、他の記憶領域に次の1ブロック分の各測定データを順次書き込む処理を繰り返し行う書き込み制御部と、
測定データを所定の通信回線を介して送信する通信部と、を含み、
前記書き込み制御部は、
各ブロックの測定データが書き込まれる前記不揮発性メモリの記憶領域に、各ブロックに割り当てられ各ブロックが取得された順序を特定するための順序特定データを、各ブロックと対応づけて書き込み、
前記不揮発性メモリの所与の記憶領域に最後に書き込まれた1ブロック、及び、当該1ブロックの後に取得された次の1ブロックが、所定の範囲外の値の測定データを含んでいるか否かを判断し、少なくとも一方が含んでいる場合には、前記所与の記憶領域に最後に書き込まれた1ブロック分の各測定データ及び当該1ブロックに割り当てられた前記順序特定データが上書きされないように、前記所与の記憶領域に新しい1ブロック分の各測定データ及び当該1ブロックに割り当てられた前記順序特定データを書き込み、いずれもが含んでいない場合には、前記測定データ及び前記順序特定データが上書きされるように、前記所与の記憶領域に新しい1ブロック分の各測定データ及び当該1ブロックに割り当てられた前記順序特定データを書き込み、
前記通信部は、
前記記憶領域に書き込まれた各ブロックのデータより前に、前記各ブロックに対応して取得された、前記各ブロックの少なくとも1つの測定データを代表データとして前記通信回線を介して送信することを特徴とするデータ記録装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記不揮発性メモリは、
前記複数の記憶領域に含まれない所定の専用記憶領域をさらに有し、
前記書き込み制御部は、
前記不揮発性メモリの前記専用記憶領域に、前記代表データを順次書き込むことを特徴とするデータ記録装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記通信部は、
所定のデータ又は通信タイミング信号を前記通信回線を介して受信するごとに、前記専用記憶領域に書き込まれた代表データを前記通信回線を介して送信することを特徴とするデータ記録装置。
【請求項4】
請求項2又は3のいずれかにおいて、
前記通信部は、
前記専用記憶領域に記憶された代表データのうち、未だ送信されていない代表データを前記通信回線を介して送信することを特徴とするデータ記録装置。
【請求項5】
請求項2又は3のいずれかにおいて、
前記書き込み制御部は、
前記通信部が前記専用記憶領域に書き込まれた代表データを前記電気通信回線を介して送信するごとに、前記専用記憶領域に書き込まれた代表データを消去することを特徴とするデータ記録装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかにおいて、
前記書き込み制御部は、
前記所与の記憶領域に最後に書き込まれた1ブロックの前に取得された1ブロックが、前記所定の範囲外の値の測定データを含むか否か判断し、含む場合には前記所与の記憶領域に最後に書き込まれた1ブロック分の各測定データ及び当該1ブロックに割り当てられた前記順序特定データが上書きされないように、前記所与の記憶領域に新しい1ブロック分の各測定データ及び当該1ブロックに割り当てられた前記順序特定データを書き込むことを特徴とするデータ記録装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記不揮発性メモリは、
3n個(nは1以上の整数)以上の前記記憶領域を含み、
前記書き込み制御部は、
前記不揮発性メモリの第k(kは1以上3n−1以下の整数)の記憶領域に1ブロック分の各測定データを順次書き込み、その後、第k+1の記憶領域に次の1ブロック分の各測定データを順次書き込み、第3nの記憶領域に1ブロック分の各測定データを順次書き込んだ後は、第1の記憶領域に次の1ブロック分の各測定データを順次書き込む処理を繰り返し行うことを特徴とするデータ記録装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかにおいて、
前記書き込み制御部は、
前記所定の範囲を予め所定の値に設定することを特徴とするデータ記録装置。
【請求項9】
請求項1乃至7のいずれかにおいて、
前記書き込み制御部は、
測定データに基づいて、前記所定の範囲を設定することを特徴とするデータ記録装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかにおいて、
前記書き込み制御部は、
前記測定データが所定の書き込み停止条件を満たしているか否かを判断し、前記所定の書き込み停止条件を満たしている場合に、前記不揮発性メモリへのデータの書き込みを停止させる制御を行う書き込み停止処理部を含むことを特徴とするデータ記録装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれかにおいて、
前記記憶領域毎の未使用領域の記憶容量が所定の値を下回ったことを検出する検出部をさらに含むことを特徴とするデータ記録装置。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれかにおいて、
前記書き込み制御部は、
前記所与の記憶領域に最後に書き込まれた1ブロック分の各測定データが、所定の取得条件を満たすか否か判断し、満たす場合には前記所与の記憶領域に最後に書き込まれた1ブロック分の各測定データ及び当該1ブロックに割り当てられた前記順序特定データが上書きされないように、前記所与の記憶領域に新しい1ブロック分の各測定データ及び当該1ブロックに割り当てられた前記順序特定データを書き込むことを特徴とするデータ記録装置。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれかにおいて、
前記書き込み制御部は、
書き込み先が他の記憶領域から所与の記憶領域に切り替えられて、前記所与の記憶領域に新しい1ブロック分の各測定データ及び当該1ブロックに割り当てられた前記順序特定データを書き込む場合に、前記所与の記憶領域に最後に書き込まれた1ブロック分の各測定データ及び当該1ブロックに割り当てられた前記順序特定データに対応する領域の最上位のアドレスを指定することで、前記所与の記憶領域に最後に書き込まれた1ブロック分の各測定データ及び当該1ブロックに割り当てられた前記順序特定データを上書きするように制御し、
前記所与の記憶領域に最後に書き込まれた1ブロック分の各測定データ及び当該1ブロックに割り当てられた前記順序特定データに対応する領域の最下位のアドレスよりも下位のアドレスを指定することで、前記1ブロック分の各測定データ及び当該1ブロックに割り当てられた前記順序特定データを上書きしないように制御することを特徴とするデータ記録装置。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれかにおいて、
前記不揮発性メモリは、強誘電体メモリであることを特徴とするデータ記録装置。
【請求項1】
複数の測定データをメモリに書き込む処理を行うデータ記録装置であって、
前記測定データが書き込まれる複数の記憶領域を含む不揮発性メモリと、
所定の数の測定データを1ブロックとして、前記不揮発性メモリの所与の記憶領域に1ブロック分の各測定データを順次書き込み、その後、他の記憶領域に次の1ブロック分の各測定データを順次書き込む処理を繰り返し行う書き込み制御部と、
測定データを所定の通信回線を介して送信する通信部と、を含み、
前記書き込み制御部は、
各ブロックの測定データが書き込まれる前記不揮発性メモリの記憶領域に、各ブロックに割り当てられ各ブロックが取得された順序を特定するための順序特定データを、各ブロックと対応づけて書き込み、
前記不揮発性メモリの所与の記憶領域に最後に書き込まれた1ブロック、及び、当該1ブロックの後に取得された次の1ブロックが、所定の範囲外の値の測定データを含んでいるか否かを判断し、少なくとも一方が含んでいる場合には、前記所与の記憶領域に最後に書き込まれた1ブロック分の各測定データ及び当該1ブロックに割り当てられた前記順序特定データが上書きされないように、前記所与の記憶領域に新しい1ブロック分の各測定データ及び当該1ブロックに割り当てられた前記順序特定データを書き込み、いずれもが含んでいない場合には、前記測定データ及び前記順序特定データが上書きされるように、前記所与の記憶領域に新しい1ブロック分の各測定データ及び当該1ブロックに割り当てられた前記順序特定データを書き込み、
前記通信部は、
前記記憶領域に書き込まれた各ブロックのデータより前に、前記各ブロックに対応して取得された、前記各ブロックの少なくとも1つの測定データを代表データとして前記通信回線を介して送信することを特徴とするデータ記録装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記不揮発性メモリは、
前記複数の記憶領域に含まれない所定の専用記憶領域をさらに有し、
前記書き込み制御部は、
前記不揮発性メモリの前記専用記憶領域に、前記代表データを順次書き込むことを特徴とするデータ記録装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記通信部は、
所定のデータ又は通信タイミング信号を前記通信回線を介して受信するごとに、前記専用記憶領域に書き込まれた代表データを前記通信回線を介して送信することを特徴とするデータ記録装置。
【請求項4】
請求項2又は3のいずれかにおいて、
前記通信部は、
前記専用記憶領域に記憶された代表データのうち、未だ送信されていない代表データを前記通信回線を介して送信することを特徴とするデータ記録装置。
【請求項5】
請求項2又は3のいずれかにおいて、
前記書き込み制御部は、
前記通信部が前記専用記憶領域に書き込まれた代表データを前記電気通信回線を介して送信するごとに、前記専用記憶領域に書き込まれた代表データを消去することを特徴とするデータ記録装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかにおいて、
前記書き込み制御部は、
前記所与の記憶領域に最後に書き込まれた1ブロックの前に取得された1ブロックが、前記所定の範囲外の値の測定データを含むか否か判断し、含む場合には前記所与の記憶領域に最後に書き込まれた1ブロック分の各測定データ及び当該1ブロックに割り当てられた前記順序特定データが上書きされないように、前記所与の記憶領域に新しい1ブロック分の各測定データ及び当該1ブロックに割り当てられた前記順序特定データを書き込むことを特徴とするデータ記録装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記不揮発性メモリは、
3n個(nは1以上の整数)以上の前記記憶領域を含み、
前記書き込み制御部は、
前記不揮発性メモリの第k(kは1以上3n−1以下の整数)の記憶領域に1ブロック分の各測定データを順次書き込み、その後、第k+1の記憶領域に次の1ブロック分の各測定データを順次書き込み、第3nの記憶領域に1ブロック分の各測定データを順次書き込んだ後は、第1の記憶領域に次の1ブロック分の各測定データを順次書き込む処理を繰り返し行うことを特徴とするデータ記録装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかにおいて、
前記書き込み制御部は、
前記所定の範囲を予め所定の値に設定することを特徴とするデータ記録装置。
【請求項9】
請求項1乃至7のいずれかにおいて、
前記書き込み制御部は、
測定データに基づいて、前記所定の範囲を設定することを特徴とするデータ記録装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかにおいて、
前記書き込み制御部は、
前記測定データが所定の書き込み停止条件を満たしているか否かを判断し、前記所定の書き込み停止条件を満たしている場合に、前記不揮発性メモリへのデータの書き込みを停止させる制御を行う書き込み停止処理部を含むことを特徴とするデータ記録装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれかにおいて、
前記記憶領域毎の未使用領域の記憶容量が所定の値を下回ったことを検出する検出部をさらに含むことを特徴とするデータ記録装置。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれかにおいて、
前記書き込み制御部は、
前記所与の記憶領域に最後に書き込まれた1ブロック分の各測定データが、所定の取得条件を満たすか否か判断し、満たす場合には前記所与の記憶領域に最後に書き込まれた1ブロック分の各測定データ及び当該1ブロックに割り当てられた前記順序特定データが上書きされないように、前記所与の記憶領域に新しい1ブロック分の各測定データ及び当該1ブロックに割り当てられた前記順序特定データを書き込むことを特徴とするデータ記録装置。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれかにおいて、
前記書き込み制御部は、
書き込み先が他の記憶領域から所与の記憶領域に切り替えられて、前記所与の記憶領域に新しい1ブロック分の各測定データ及び当該1ブロックに割り当てられた前記順序特定データを書き込む場合に、前記所与の記憶領域に最後に書き込まれた1ブロック分の各測定データ及び当該1ブロックに割り当てられた前記順序特定データに対応する領域の最上位のアドレスを指定することで、前記所与の記憶領域に最後に書き込まれた1ブロック分の各測定データ及び当該1ブロックに割り当てられた前記順序特定データを上書きするように制御し、
前記所与の記憶領域に最後に書き込まれた1ブロック分の各測定データ及び当該1ブロックに割り当てられた前記順序特定データに対応する領域の最下位のアドレスよりも下位のアドレスを指定することで、前記1ブロック分の各測定データ及び当該1ブロックに割り当てられた前記順序特定データを上書きしないように制御することを特徴とするデータ記録装置。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれかにおいて、
前記不揮発性メモリは、強誘電体メモリであることを特徴とするデータ記録装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−116624(P2009−116624A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−289002(P2007−289002)
【出願日】平成19年11月6日(2007.11.6)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月6日(2007.11.6)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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