説明

トイレブース用扉体

【課題】 安全性と生産性の高いトイレブース用扉体を供給する。
【解決手段】 トイレブース用扉体の隅角部に樹脂製のコーナーキャップを被嵌すると共に、該コーナーキャップには、戸当り部をパネル壁側に向けて突成するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネル壁に形成した出入り用空間部の前方に、前記パネル壁と所定間隔を存して開閉自在な扉体を設けるようにしたトイレブース用扉体の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、保育園や幼稚園等の幼児施設に設けられる幼児用トイレブースの扉体は、
左右のパネル壁間に形成した出入り用空間部の前方に、前記空間部より幅広に形成した扉体を、前記パネル壁と所定間隔を存して開閉自在に設けるようにして、扉体の閉鎖時に該扉体とパネル壁との間に誤って手指が挿入されても挟まれてケガをする危険性を防止するように構成されている。
そしてこのものは、扉体に戸当りゴムを設けることで扉体が閉鎖した際に、扉体とパネル壁との間に手指が挟まれない程度の間隙を確保するように構成されている。
一方、扉体は安全上の観点から、扉体の正面と側端面とのコーナー部が角張らないよう面取り状に構成して幼児が誤って該部位に身体をぶつけてもケガをしないような配慮がなされている。
【0003】
しかしながら、このように構成された扉体は、正面側からの衝突による安全性を有するものの、側端面と上下端面とで形成される扉体見込み方向の隅角部についての安全性は必ずしも充分ではなかった。
そのため、扉体の側端面と上下端面に曲線状の加工を施すことにより、扉体の正面視において上記隅角部を丸くすることも提案されるが、曲線状の加工は容易でないことから加工工数が必要以上に増加して生産効率の低下を招くこととなってしまう。また、戸当りゴムを扉体に設ける必要があった。
【特許文献1】特開2004−27651号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、扉体の開放側端部の隅角部に樹脂製のコーナーキャップを被嵌するのみで扉体に対する安全性の確保と、扉体とパネル壁との間に所定の間隔を確保ための戸当り部の突設とを同時に形成することができ生産効率の優れたトイレブース用扉体を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、叙述の如き実情に鑑み、これらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、左右に立設したパネル壁間に形成される出入り用空間部の前方に、前記空間部より幅広の扉体を、前記パネル壁と所定間隔を存して開閉自在に設けるようにしたトイレブース用の扉体であって、該扉体の隅角部に樹脂製のコーナーキャップを被嵌すると共に、該コーナーキャップに戸当り部をパネル壁側に向けて突成したことを特徴とするトイレブース用扉体である。
請求項2の発明は、上記コーナーキャップは、扉体の内外面にそれぞれ当接する内側片および外側片と、扉体の縦端面に当接する縦側片と扉体の上端面または下端面に当接する横側片とでL字状に形成した端面片とで構成すると共に、縦側片と横側片の連結部を湾曲状に形成したことを特徴とするトイレブース用扉体である。
請求項3の発明は、上記戸当り部は、扉体の開放側端面に位置してパネル壁側に向けて突成するよう形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のトイレブース用扉体である。
【発明の効果】
【0006】
本発明のトイレブース用扉体は、扉体の隅角部に樹脂製のコーナーキャップを被嵌する極めて簡単な作業で扉体隅角部に対する安全性の高い扉体を提供することができると共に、別途戸当り部を取り付ける必要がなく優れた生産効率を有する扉体である。
また、コーナーキャップを構成する縦側片と横側片の連結部を湾曲状に形成することで扉体の隅角部への曲面加工が不要となり、扉体隅角部に対する安全性を更に向上することができる。
さらに、戸当り部を扉体の開放側端面に位置して設けた場合には、コーナーキャップの上面側を扉体開閉用の補助把手としての機能を付与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
つぎに、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図において、1は、ブース内部への出入り用空間部Eを挟んでトイレブースの正面側左右方向に対設されたパネル壁であって、該パネル壁1は、離間対設した表面板1aと裏面板1b間にハニカムコア等の芯材1cを介装することにより構成されており、左右パネル壁1の対向する端面には、それぞれ樹脂で形成された断面視湾曲状のエッヂ材1dを長手方向全長に亘って装着することによって該端面部の安全性が図られている一方、パネル壁1の他端面側は、断面視コ字状の固定部材1eを介して躯体側にそれぞれ固定されている。
出入り用空間部Eの前方側には、該空間部Eより幅広に形成した矩形状の扉体2が開閉自在に蝶着されており、該扉体2は、パネル壁1と同様に離間対設した表面板2aと裏面板2b間にハニカムコア等の芯材2cを介装することによって構成されている。そして、扉体2は、その左右両端側が正面視において、前記パネル壁1,1と重合部Wを有する状態で一端側上下に設けた自閉式蝶番3によって一方側のパネル壁1に開閉自在に取り付けられている。
また、扉体2はパネル壁1と所定間隔S(手指を挟まない程度の間隔)を存して設けられており、これによって正面側からの視界を遮断してブース内のプライベート空間を確保すると共に、パネル壁1と扉体2の間に誤って手指を挟まれる危険性を回避するように構成されている。
尚、4は、扉体2の開放側に設けられた開放用のハンドルである。
【0008】
このように構成されたトイレブースの扉体2の隅角部には、ナイロンや塩化ビニル等の樹脂で成型されたコーナーキャップ5が被嵌されており、該コーナーキャップ5は、扉2の厚さ寸法より僅かに大きな間隙を有して対設した略扇状の内側片5aおよび外側片5bと、これら内側片5aと外側片5bとの直線状の上端部同士を連結する横側片5cと内側片5aと外側片5bとの直線状の縦側端部同士を連結する縦側片5dとで断面L字状に形成した端面片5eとで一体的に形成されており、これによりコーナーキャップ5の内部には扉体2の隅角部が嵌入可能な空間部が形成されている。
また、横側片5cと縦側片5dの連結部は湾曲状に形成されており、コーナーキャップ5を扉体2に被嵌した状態では扉体2の隅角部の見込み部に湾曲部Rが形成されるようになっている。
さらに、コーナーキャップ5の内側片5aにはゴム製の戸当り部6が突成されており、その突出寸法は、扉体2とパネル壁1との前記所定間隔Sと同寸法に設定されている。戸当り部6は、上記所定間隔Sの確保と、扉体2が全閉する際のパネル壁1との緩衝機能とを併せ持つものである。
また、コーナーキャップ5の全ての角部分は尖形部分が生じないよう湾曲面に形成され、安全面での配慮がされている。そのため、コーナーキャップ5を被嵌した扉体2は、側端面と上下端面とで形成される扉体見込み方向のみならずこれらの面と表裏面とで形成される隅角部が丸形状となって該部位の安全性が著しく向上する。
尚、図1においては、コーナーキャップ5を扉体2の全ての隅角部に設けたものを示したが、例えば開放側の上下隅角部の2箇所のみに設ける等、設置位置や設置個数は適宜変更してもよく、またコーナーキャップ5は必要に応じて扉体に接着剤や螺子等の固定手段を介して固定するようにしてもよいことは勿論である。
【0009】
図5は、本発明の他の実施形態を示すものであって、図5(A)は、コーナーキャップ7を略半円筒状に形成すると共に、該コーナーキャップ7内部に扉体2の隅角部が嵌入する凹部7aが形成されている。
コーナーキャップ7の先端側には左右対称形に形成されたゴム製の戸当り部8が、該コーナーキャップ7から左右方向にそれぞれ同一寸法(扉体2とパネル壁1との間隔)突出するよう直交して設けられており、コーナーキャップ7の凹部7aを扉体2の上端側から隅角部に被嵌した取り付け状態では、戸当り部8は扉体の開放側端面に位置し、パネル壁側と反パネル壁側に同一長さ突出するようになっている。この構成とすることによって、一種類のコーナーキャップ7を用意すれば、扉体2のいずれの隅角部にも適用することができる。
そして、このものはコーナーキャップ上面側の半円筒部分を扉体開閉用の補助的な把手として利用することができ、幼児用トイレブースに好適である。
また、図5(B)に示すものは、上記と同様にコーナーキャップ9を略半円筒状に形成したものであるが、戸当り部10を動物の顔等のキャラクターに模したものであり、このように戸当り部10に種々のデザイン性を付与することにより幼児等に親しみが持てるようなトイレブースとすることができる。
【0010】
叙述のように本発明に係る扉体は、樹脂製コーナーキャップを被嵌することで扉体の隅角部が保護されると共に、戸当り部の取り付け手間を省略して、安全性と生産性の高い扉体を提供するものである。
また、他の実施形態に示した構成とすれば、補助把手としての機能を付加することもでき、さらに同一のコーナーキャップで全ての隅角部に取り付けることが可能となる等、有用性の高い扉体を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】トイレブースの概略正面図である。
【図2】同上の横断面図である。
【図3】同上の要部縦断面図である。
【図4】(A)は、コーナーキャップの上面図である。 (B)は、同上の正面図である。 (C)は、同上の側面図である。 (D)は、コーナーキャップの斜視図である。
【図5】(A)および(B)は、コーナーキャップの他の実施形態を示す 斜視図である。
【符号の説明】
【0012】
1 パネル壁
2 扉体
3 蝶番
5,7,9 コーナーキャップ
5a 内側片
5b 外側片
5c 横側片
5d 縦側片
5e 端面片
6,8,10 戸当り部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右に立設したパネル壁間に形成される出入り用空間部の前方に、前記空間部より幅広の扉体を、前記パネル壁と所定間隔を存して開閉自在に設けるようにしたトイレブース用の扉体であって、該扉体の隅角部に樹脂製のコーナーキャップを被嵌すると共に、該コーナーキャップに戸当り部をパネル壁側に向けて突成したことを特徴とするトイレブース用扉体。
【請求項2】
上記コーナーキャップは、扉体の内外面にそれぞれ当接する内側片および外側片と、扉体の縦端面に当接する縦側片と扉体の上端面または下端面に当接する横側片とでL字状に形成した端面片とで構成すると共に、縦側片と横側片の連結部を湾曲状に形成したことを特徴とする請求項1記載のトイレブース用扉体。
【請求項3】
上記戸当り部は、扉体の開放側端面に位置してパネル壁側に向けて突成するよう形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のトイレブース用扉体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−150892(P2010−150892A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−333198(P2008−333198)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(307038540)三和シヤッター工業株式会社 (273)
【Fターム(参考)】