説明

トナー供給ローラ、現像装置および画像形成装置

【課題】 トナー供給ローラから現像ローラに対するトナー供給過多又はトナー供給不足による画像不良を防止することを目的とする。
【解決手段】 現像装置に用いられるトナー供給ローラであって、以下の特性を有することを特徴とする。
(1)発泡弾性体表面の発泡セル開口部分の平均径が100〜800μmである。
(2)発泡弾性体表面に膜厚50μm以下のスキン層でふさがっている、開口していないセルが存在する。
(3)発泡弾性体の表面積をAとし、発泡セル開口部分の総面積をBとし、前記開口していないセルの表面積をCとした場合、
【数1】


の関係を満たしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真・静電記録等のプリンタにおける現像装置におけるトナー供給ローラ、現像装置もしくは画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
静電複写機やプリンタ等の画像形成装置は、感光体上の潜像が現像器の現像ローラからの現像剤であるトナーにより現像剤像に現像されて可視像化される。その場合、現像器においては、攪拌搬送されてくるトナーが供給ローラにより現像ローラへ供給される。そして、現像ローラ上においてトナー規制部材(以下現像ブレードと呼ぶ)によりトナー層厚が調整されて感光体と現像ローラの対向部である現像部へ搬送される。
【0003】
近年、上記画像形成装置には更なる高速印刷・消費電力の抑制に対応したものが求められており、小さい熱量で定着可能である、粘弾性の低いトナーが選択されることが多くなっている。
【0004】
これに対し、トナー供給ローラは、現像ローラに対してトナーを供給し、またその不要分を掻き取り、現像ローラ上に均一にトナーを供給する機能が求められている。これら二つの機能を満足するため、良好な開口セルが形成されたローラが開発されている。
【特許文献1】特登録03881719号公報
【特許文献2】特開2006−187940号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、粘弾性の低いトナーを用いたLBP等においては、現像装置使用が進むにつれ、使用条件・使用枚数等によっては、トナーの流動性が低下するなどのトナーの状態が変化する場合がある。この場合、トナー供給ローラのトナー吸い込み量及び現像ローラへの吐き出し量が変化することがある。
【0006】
このような場合、上述したトナー供給ローラを使った現像装置では、トナー供給ローラ表面積に対する発泡セル開口部分の総面積の比率(以下開口率と呼ぶ)によりトナーの供給量が変化する。開口率が大きいと、現像装置新品時、現像ローラへのトナー供給過多による画像不良が発生することがあった。また開口率が小さいと、現像装置使用が進むにつれて、トナー供給不足による画像不良が発生することがあった。このためトナー供給ローラの開口率を適正に設定することが非常に難しくなっている。
【0007】
従って本発明の目的は、現像装置の寿命を通してトナー供給過多又は不足による画像不良を防止するトナー供給ローラ、現像装置もしくは画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的は本発明に係る以下の画像形成装置にて達成される。
【0009】
像担持体と対向した現像部にトナーを搬送するトナー担持体と、
前記トナー担持体に当接しトナーを供給するトナー供給ローラと、トナー担持体の上に供給されたトナーの量を規制する規制部材を有する現像装置に用いられるトナー供給ローラであって、
前記トナー供給ローラは表面に発泡弾性体を備えかつ以下の特性を有するトナー供給ローラ。
(1)発泡弾性体の表面の発泡セル開口部分の平均径が100〜800μmである。
(2)発泡弾性体の表面に膜厚50μm以下のスキン層でふさがっている、開口していないセルが存在する。
(3)発泡弾性体の表面積をAとし、発泡セル開口部分の総面積をBとし、前記開口していないセルの表面積をCとした場合、
【0010】
【数1】

【0011】
の関係を満たしている。
【発明の効果】
【0012】
本発明のトナー供給ローラ、現像装置及び画像形成装置は、現像装置の寿命を通してトナー供給過多又は不足による画像不良を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。以下に説明する実施例は、例示的に本発明を説明するものであって、以下に記載される構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれに限定するものではない。
【実施例】
【0014】
(実施例1)
本発明のトナー供給ローラは、現像剤としてのトナーを収納したトナー収納部、トナー供給ローラおよび現像ローラ(トナー担持体)を有し、トナーを感光体表面の静電潜像に供給してトナー像を形成する現像装置に搭載されるものである。このような現像装置の一例として、例えば、図1に示すレーザープリンターが挙げられる。
【0015】
図1は本発明の画像形成装置の構成を示す概略断面図である。図1を用いて本発明の反転現像方式による、画像形成プロセスについて簡単に説明する。先ず、感光ドラム1(像担持体)を、不図示の帯電ローラにより一様に負極性に帯電する。次に作像手段であるスキャナ8のレーザー光により露光し、感光ドラム1上に静電潜像を形成する。そして、この静電潜像は、現像装置7によって供給された負極性現像剤が、現像ローラ2により感光ドラム1上に接触して現像され、転写ローラ6に正極性のバイアスを印加することにより記録媒体へと転写される。その後、記録媒体上の未定着トナー像は、不図示の定着装置により熱、圧力によって記録媒体に永久定着される。
【0016】
次に、本発明の実施例にかかる現像装置7の詳細について説明する。
【0017】
現像装置7は、感光ドラム1の長手方向略全域にわたり開口しており、この開口部にローラ状のトナー担持体である現像ローラ2が配置されている。現像ローラ2は、現像装置7の図中左上方に位置する感光ドラム1に所定の侵入量となるように押圧、接触され、図中矢印方向に回転駆動される。
【0018】
現像ローラ2の図中右下方には、現像ローラ2への現像剤供給量を安定化させる手段として、トナー供給ローラ5が現像ローラ2に対して1.25mm侵入し当接されている。トナー供給ローラ5は、回転可能に現像容器4に支持されている。本実施例では、現像ローラ上に均一なトナー層を保持するため、トナー供給ローラ5にはバイアス電圧印加手段10から所定のDC直流バイアスを印加している。本実施例では、−500Vを印加している。現像ローラ2上のトナーコート量を均一化できる電気抵抗値として、現像ローラ2×10Ω、トナー供給ローラ3×10Ωを採用している。現像ローラとトナー供給ローラの抵抗値は、図2に示すように、金属ドラムに対して一定荷重で押し付け−200V印加した場合の抵抗値を示している。
【0019】
又、現像装置7は、現像ローラ2に担持させるトナー量を規制する規制部材として、現像ブレード3を備えている。現像ブレード3は、弾性を有するリン青銅製の金属薄板で構成され、自由端側の先端近傍を現像ローラ2の外周面に面接触にて当接するように設けられている。トナー供給ローラ5との摺擦により現像ローラ2上に担持されたトナーは、現像ブレード3との当接部を通過する際に摩擦帯電により電荷付与され、且つ、薄層に規制される。本実施例では現像ブレード3へトナーが融着するのを防ぐため、バイアス電圧印加手段11から−500VのDC直流バイアスを印加している。トナー層厚が調整されトナーは、感光体と現像ローラの対向部である現像部へ搬送され、感光体上の静電潜像を当該トナーにより現像剤像に現像する。
【0020】
本実施例では、このような構成の現像装置において、現像ローラ2には、バイアス電圧印加手段9から現像バイアスとして−300Vの直流電圧が印加される。これによって、本実施例では、一様に帯電された感光ドラム1の表面の、負電荷が減衰した露光部を反転現像により現像する。
【0021】
本実施例では、トナー4には、高速印刷時において、定着特性の優れた粘弾性の低い、略球形トナーを用いた。現像ローラ2にはシリコンゴムを基層とし、ウレタン樹脂を表層にコートした弾性ローラを用いた。硬度はAsker C硬度50°MD−1硬度40°である。
【0022】
本発明は、かくの如き構成の現像装置7に用いられるトナー供給ローラ5を対象とするものである。トナー供給ローラ5は、表面に発泡弾性体を備え、表面の発泡セル開口部分の平均径は100〜800μmである。平均径の求め方は、キーエンス製超深度カラー3D形状測定顕微鏡VK−9500を用い、トナー供給ローラ5の表面を撮影する。そして、表面写真画像のセル開口径を測定し、その平均を求めた。セル開口径には、後述する膜厚50μmのスキン層でふさがり開口していないセル径も含む。例えば、芯金の周りに、一体発泡成形によって所定の軟質ポリウレタンスポンジ層を形成することによって作られる。かかるポリウレタンスポンジ層は、連続した滑らかな表面を形成するスキン層を有する。更に本発明はスキン層直下の各セルが、次の(1),(2)の状態で存在することを特徴とする。(1)スキン層に形成された開口部を通じて、それぞれ独立して外部に開口するもの。(2)膜厚50μm以下のスキン層の下に最表層のセルが存在するもの。当該(1)と、(2)とが、所定の割合で存在するところに、大きな特徴を有するものであって、その一例が図3に示されている。
【0023】
以下本発明の特徴である、トナー供給ローラ表面発泡セルの開口状態について、図3と図4に基づいて説明する。図4は、顕微鏡14にてトナー供給ローラを撮影した撮影写真を模式化した図である。図3に示した通り本発明のトナー供給ローラ5には最表層の発泡セルに(1)開口しているものと(2)そうでないものが存在する。図4のようにトナー供給ローラ5を撮影すると、開口している11(実線)部分と開口していないが12(点線)部分が観察される。この開口していない12部分は、膜厚50μmの薄いスキン層を備えるものであり、トナー供給ローラが回転駆動されることによりスキン層がやぶれいずれ開口となる部分である。11部分は、12部分、13部分は、それぞれ撮影写真から明らかに判別することが可能である。即ち、11部分、12部分は、セルのエッジ部分が撮影写真から得られるので判別可能である。11部分と、12部分とは、反射光が異なるため、画像としての色味がことなり、この色味をみることにより判別することが可能である。本実施例ではトナー供給ローラの表面及び断面の観察はキーエンス製超深度カラー3D形状測定顕微鏡VK−9500にて行った。面積の測定には表面の画像を取り込み、画像解析により2値化処理を行い、撮影面積に対する面積率[%]を求めた。
【0024】
図4の撮影写真において撮影面積をA、11部分の面積をB、12部分の面積をC、骨格部分13の面積をDとすると、11部分の面積率=B/A、12部分の面積率=C/A、骨格部分13の面積率=D/Aである。当然ながらA=B+C+Dである。以下B/Aを開口率と呼ぶが、本発明のトナー供給ローラには12部分が存在するため、この開口率はトナー供給ローラの駆動により増加する(詳細は後述する)。
【0025】
まず、本実施例での画像形成装置において、従来のトナー供給ローラ(表面セルが全て開口)を用いた結果について説明する。開口率と画像不良との関係である。本実施例では高速印刷・省エネルギーを達成するため、低温定着を可能とする粘弾性の低いトナーを採用している。このトナーは、トナー劣化によりトナーの流動性が低下するため、トナー供給ローラの新品時とトナー供給ローラの駆動が進んだ寿命時(使用末期)とで適正な開口率が異なる。
【0026】
【表1】

【0027】
[表1]に示すカブリとは、ベタ白画像にトナーが付着する現象、所謂かぶり現象である。かぶりは、トナー供給ローラの開口率が大きいと、トナー供給ローラから現像ローラへのトナー供給量が過多になり、チャージアップしたトナーに低帯電トナーが静電凝集し、現像ブレードで規制しきれずに発生する。かぶりは、トナーの流動性が高い現像装置新品時において、開口率が大きくなると発生した。
【0028】
ベタ黒追従不良とは、A4ベタ黒画像を全面描くことが出来なくなる現象である。ベタ黒追従不良は、トナー供給ローラの開口率が小さい場合に、トナー供給ローラのトナーの吸い込み量及び現像ローラへの吐き出し量が低下することで発生する。ベタ黒追従不良は、トナーの流動性が低下する現像装置寿命時において、開口率が小さいほど発生する。
【0029】
この結果から開口率が小さいと、現像装置寿命時トナー供給量不足により、ベタ黒画像追従不良となり、開口率が大きいと、現像装置新品時トナー供給過多となりカブリが発生する。また、開口率が25%であれば、新品時にもベタ黒追従不良となる。即ち、本実施例の現像装置構成では開口率50%近傍で画像不良が発生しないが、ポリウレタンスポンジ層を安定して開口率50%近傍のみで作るのは非常に難しい。
【0030】
これに対し本発明のトナー供給ローラは、あらかじめ膜厚50μm以下のスキン層を持ち開口しないセルを形成し、上述したB/A・C/A・D/Aを所定の関係とすることを特徴とする。このようにすることで、寿命通して積極的に開口率を変化させ、トナー供給量を適正に保つことができる。まず、本発明のトナー供給ローラのB/A・C/A・D/Aと開口率と画像形成枚数との関係を[表2]に示す。
【0031】
【表2】

【0032】
本実施例で画像形成を行った現像装置は、1000枚印刷可能であり、この実験では1000枚印字時に現像剤がなくなる(トナーアウトとなる)ように印字率を設定した。検討条件1、2のトナー供給ローラ開口率は新品時30%であるが、現像装置寿命時には共に開口率50%に達しており、ベタ黒画像追従性は良好であった。また検討条件2の画像形成500枚時に開口率46%であるが、トナー劣化が進んでいないためベタ黒画像追従性は良好であった。検討条件3、4のトナー供給ローラ開口率は新品時50%であり、画像形成に従い開口率は大きくなるが弊害は無かった。
【0033】
この実験結果から本発明のトナー供給ローラでの最表層セルにふさがる膜厚50μm以下のスキン層は、500枚印字動作で80%が破れ、1000枚印字動作で100%破れている。電子写真画像形成装置において1000枚印字以下で寿命を迎えるものでなければ、最表層セルは寿命時100%開口し、適正開口率を得ることができる。また、破れた破片はトナー供給ローラ下に確認され、現像ローラ上トナーコートを乱すことは無かった。
【0034】
これら実験結果から、最表層セルにふさがる膜厚50μm以下のスキン層は現像装置寿命時には全て破れるため、新品時の開口率=B/A、寿命時の開口率=(B+C)/Aである。以上の実験結果から新品時に要求される開口率は30%≦開口率≦50%、寿命時に要求される開口率は50%≦開口率≦95%が好ましい。なお、上記好ましい開口率の範囲は、供給ローラと現像ローラとの電位差に依存する。発明者らの検討によれば、供給ローラに印加されるバイアスを−800V〜−500Vで変化させて、最適な開口率の範囲を検討した時も上記開口率で良好な結果を得ることができた。したがって、現像ローラと供給ローラとの間で、トナーが現像ローラの方向に向かう電界が形成され、電位差が500V〜200Vの間では上記開口率で良好な結果が得られる。
【0035】
また、本実施例で採用したポリウレタンスポンジ層のトナー供給ローラには、開口率製造バラツキが±10%程度あるため、開口率40±10(%)で製造した場合、開口率増加割合として最低20%必要である。更に、本実施例でのトナー供給ローラが、画像形成に最低必要な硬度・弾性を持つためには骨格部分D/Aが5%必要であるため、寿命時の開口率は95%以下である。
【0036】
また、これ以外の実験例から60μm以上の最表層セルにふさがるスキン層は画像形成5000枚程度では破れないことを確認しているため、本発明のトナー供給ローラの最表層セルにふさがるスキン層は膜厚50μm以下としている。
【0037】
以上本実施例によれば、トナー供給ローラの表面積をAとし、発泡セル開口部分の総面積をBとし、前記開口していないセルの表面積をCとした場合、
【0038】
【数2】

【0039】
の関係を満たすことにより、画像不良が発生しない現像装置を提供することができる。
【0040】
本実施例では、現像ローラに対してブレードバイアス・供給バイアスを印加する構成を示したが、本発明は上述した本実施例に限定されるものでは無い。現像ローラ上に所定のトナーコート量が得られれば、トナー供給ローラを有する全ての現像装置で適用可能なものである。
【0041】
(実施例2)
次に、本発明に係る画像形成装置の他の実施例について説明する。
【0042】
実施例1にて説明した現像装置において、現像ローラへの供給バイアスを印加する手段が無い場合である。本実施例では、現像ローラに−300Vのバイアスを印加し、現像ローラと供給ローラとは同電位になっている。また、本実施例では、現像ブレードに−400Vのバイアスを印加している。この場合、バイアスによる供給ローラから現像ローラへのトナー供給電界が無いため、開口率と画像不良との関係が実施例1と異なる。この場合、トナー供給ローラ自身によるより大きな供給能力が必要となり、[表3]のようになる。この結果も従来トナー供給ローラを使ったものである。
【0043】
【表3】

【0044】
この結果から開口率が小さいと、現像装置寿命時トナー供給量不足により、ベタ黒画像追従不良となる。開口率が大きいと、現像装置新品時トナー供給過多となりカブリが発生する。また、開口率が50%であれば、新品時にもベタ黒追従不良となる。即ち、本実施例の現像装置構成では開口率75%近傍で画像不良が発生しないが、ポリウレタンスポンジ層を安定して開口率75%近傍のみで作るのは非常に難しい。
【0045】
これに対し本発明のトナー供給ローラは、上述したB/A・C/A・D/Aを所定の関係とすることで、寿命通してトナー供給量を適正に保つ開口率を得ることができる。まず、本発明のトナー供給ローラのB/A・C/A・D/Aと開口率と画像形成枚数との関係を[表4]に示す。
【0046】
【表4】

【0047】
本実施例で画像形成を行った現像装置は、1000枚印刷可能であり、この実験では1000枚印字時にトナーアウトとなるように印字率を設定した。検討条件1、2のトナー供給ローラ開口率は新品時55%であるが、現像装置寿命時には共に開口率75%に達しており、ベタ黒画像追従性は良好であった。また検討条件2の画像形成500枚時に開口率71%であるが、トナー劣化が進んでいないためベタ黒画像追従性は良好であった。検討条件3、4のトナー供給ローラ開口率は新品時75%であり、画像形成に従い開口率は大きくなるが弊害は無かった。
【0048】
以上の実験結果から新品時に要求される開口率は55%≦開口率≦75%、寿命時に要求される開口率は75%≦開口率≦95%である。
【0049】
また、本実施例で採用したポリウレタンスポンジ層のトナー供給ローラには、開口率製造バラツキが±10%程度あるため、開口率65±10(%)で製造した場合、開口率増加割合として最低20%必要である。更に、本実施例でのトナー供給ローラが、画像形成に最低必要な硬度・弾性を持つためには骨格部分D/Aが5%必要であるため、寿命時の開口率は95%以下である。
【0050】
以上本実施例によれば、トナー供給ローラの表面積をAとし、発泡セル開口部分の総面積をBとし、前記開口していないセルの表面積をCとした場合、
【0051】
【数3】

【0052】
の関係を満たすことにより、画像不良が発生しない現像装置を提供することができる。
【0053】
本発明のトナー供給ローラの製造方法は、成型型に予め芯金をセットしておくこと以外特に限定されず、常法によれば良い。その一例を示せば次の通りである。上記ポリエーテルポリオール、ポリイソシアネート、触媒及び所望により用いる整泡剤、水、その他助剤などを均質に混合してウレタン原料を調製した後、これを型に注入し、加熱して発泡硬化させることによりウレタンフォームを形成することができる。
【0054】
前記ウレタン原料を混合する際の温度や時間については特に制限は無いが、混合温度は、通常10〜90℃、好ましくは20〜60℃の範囲であり、混合時間は、通常1秒〜10分間、好ましくは3秒〜5分間程度である。
【0055】
また、加熱しての発泡硬化についても、従来公知の方法でよい。発泡方法については特に制限は無く、発泡剤を用いる方法、機械的な撹拌により気泡を混入する方法など、いずれの方法をも用いることができる。この発泡硬化時の成型型の温度は35〜100℃にすることが好ましく、40〜80℃にすることがより好ましい。なお、発泡倍率は、ウレタン原料、所望とするウレタンフォームの硬度等に基づき適宜定めればよく、特に制限はない。
【0056】
本実施例では上述した製造方法において、触媒の量や発泡硬化時間等を適正にすることにより、トナー供給ローラ表面のスキン層でふさがる開口していないセル数、及びスキン層膜厚をコントロールしている。
【0057】
なお、低温低湿環境(以下LL環境)や、高温高湿環境(以下HH環境)等の、環境に応じて供給ローラに印加されるバイアスを変化させる場合は、通常環境(以下NN環境)に印加されるバイアスに応じて最適な開口率を設定するのが好ましい。これは、LL環境や、HH環境等の特殊な環境ではなく、通常使用されるNN環境で最適な開口率を設定した方が、現像装置の寿命を通してトナー供給過多又は不足による画像不良を防止する効果が高いと思われるからである。
【0058】
なお、例えば、LL環境とは、温度15℃、湿度10%、HH環境とは、温度30℃、湿度80%、NN環境は、温度23℃、湿度60%である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明に係る現像装置の一実施例の概略断面図である。
【図2】本実施例現像ローラ、トナー供給ローラの抵抗測定方法を示す図である。
【図3】本発明にトナー供給ローラの断面図である。
【図4】本発明にトナー供給ローラの表面図である。
【符号の説明】
【0060】
1 感光ドラム(電子写真感光体、像担持体)
2 現像ローラ
3 現像ブレード
4 現像剤(トナー)
5 トナー供給ローラ
6 転写ローラ
7 現像装置
8 スキャナー(露光装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と対向した現像部にトナーを搬送するトナー担持体と、
前記トナー担持体に当接しトナーを供給するトナー供給ローラと、トナー担持体の上に供給されたトナーの量を規制する規制部材を有する現像装置に用いられるトナー供給ローラであって、
前記トナー供給ローラは表面に発泡弾性体を備えかつ以下の特性を有するトナー供給ローラ。
(1)発泡弾性体の表面の発泡セル開口部分の平均径が100〜800μmである。
(2)発泡弾性体の表面に膜厚50μm以下のスキン層でふさがっている、開口していないセルが存在する。
(3)発泡弾性体の表面積をAとし、発泡セル開口部分の総面積をBとし、前記開口していないセルの表面積をCとした場合、
【数1】

の関係を満たしている。
【請求項2】
像担持体と対向した現像部にトナーを搬送するトナー担持体と、このトナー担持体に当接しトナーを供給する請求項1記載のトナー供給ローラと、トナー担持体の上に供給されたトナーの量を規制する規制部材を有する現像装置。
【請求項3】
前記像担持体を備え、請求項2に記載の現像装置で前記像担持体に形成された静電潜像を現像剤像に現像をすることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−8994(P2010−8994A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−253997(P2008−253997)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】