説明

トナー供給装置

【課題】 二成分現像剤を用いる現像装置の使用開始前に封入された補給用トナーの開封を簡易な方法で行う。
【解決手段】 現像剤収容室33とトナー収容室34との間に、円筒状の曲面で囲まれたトナー搬送室41を設ける。このトナー搬送室は円筒状空間となっており、トナー収容室との間の隔壁43にトナー取り入れ口43aが設けられる。円筒状空間内には、円筒状の曲面に沿って嵌め入れられ、トナー取り入れ口を塞ぐ円筒状の遮蔽部材46と、この遮蔽部材と中心軸線を一致させてトナー搬送部材44が設けられている。遮蔽部材は、トナー取り入れ口を塞ぐ位置にあるときにはトナー搬送部材と接触し、トナー搬送部材から移動方向への駆動力が伝達され、トナー取り入れ口を開放する位置まで移動したときには、トナー搬送部材との接触が解除される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
粉状のトナーの付着により可視像を形成する複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの機能を兼ね備えた複合機等の画像形成装置として、トナーと磁性キャリアとを含むいわゆる二成分現像剤を使用するものが広く普及している(例えば特許文献1)。この画像形成装置では、二成分現像剤を収容した現像装置を像保持体と対向配置し、像保持体の表面にトナーを転移させて静電潜像を可視化する。また、このような画像形成装置では、現像装置を画像形成装置の本体に対して着脱可能とし、所定量の画像形成が行われると現像装置を含むユニット又はカートリッジを画像形成装置の本体から取り出して交換することが行われている。
【0003】
このような画像形成装置に装着される現像装置では、使用を開始する前の初期段階で、二成分現像剤が収容されている(以後、「初期現像剤」という)。この初期現像剤は、所定のトナー濃度つまりトナーと磁性キャリアとを所定の混合比とし、現像装置内の所定の領域に封入されている。そして、画像形成の動作を始める前に、つまり現像装置を画像形成装置に装着する前又は装着直後に開封され、像保持体と対向する現像部材に初期現像剤が供給されて現像動作が可能となる。
【0004】
一方、このような現像装置では、静電潜像の現像を行うことによって二成分現像剤中のトナーが消費され、これを補給するためのトナーが収容されている。このトナーは、現像装置を画像形成装置に装着する前の初期段階では所定の領域に収容され、漏出がないように封鎖されている。そして、現像に使用される前に収容領域の封鎖が解除され、二成分現像剤へ供給することができる状態とされる。
【0005】
また、例えば特許文献2に記載されているように、現像剤を収容した現像剤容器の開口部をシール部材で閉塞する方法がある。つまり、現像装置が未使用のときは、現像剤が収容された封入領域をシール部材で閉塞しておき、使用を開始するときにこのシール部材を除去して封入領域を開放し、現像剤を現像装置内に充填するものである。
また、特許文献3には、シール部材を巻き取る駆動源を備えた現像剤収納容器が記載されている。上記駆動源として、バネ等の弾性部材が用いられており、弾性部材が復元力を蓄えた状態で保持される。そして、この現像剤収納容器を画像形成装置本体に装着するときに上記復元力の保持が解除されて、シール部材を開封するものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−201528号公報
【特許文献2】特開平11−65250号公報
【特許文献3】特開2001−34055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本願発明は、供給口を遮蔽する円筒状の遮蔽部材が、円筒状空間の曲面に沿って配置されないものに比べて、供給口を開放する遮蔽部材を安定して移動可能に設置することができるトナー供給装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、 トナーを収容するトナー収容室を有し、 該トナー収容室に、内周面が円筒状の曲面となった円筒状空間が形成されており、 該円筒状空間を囲む曲面に、該円筒状空間から送り出されるトナーが通過する供給口が設けられ、 該円筒状空間内には、 前記円筒状の曲面の内側に沿って配置され、前記供給口を遮蔽する位置と該供給口を開放する位置との間で移動が可能となった遮蔽部材と、 前記円筒状空間内で駆動され、トナーを搬送する駆動部材とを備えており、 該駆動部材は、前記遮蔽部材と接触して前記供給口を遮蔽する位置から該供給口を開放する位置へ移動させるものである現像装置を提供する。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のトナー供給装置において、 前記駆動部材は、前記円筒状空間の中心軸線に沿って配置され、この中心軸線回りに回転してトナーを該中心軸線の方向に搬送するものであり、 前記遮蔽部材は、前記供給口を遮蔽する位置から前記供給口を開放する位置に至るまでは前記駆動部材から駆動力が伝達され、前記供給口を開放する位置では、前記駆動部材からの駆動力の伝達が解除される駆動力伝達部を備えるものとする。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載のトナー供給装置において、 前記駆動力伝達部は、 前記遮蔽部材が前記供給口を遮蔽する位置にあるときには、円筒状となった遮蔽部材の内周面より内側に突出した状態で拘束されるともに外側に付勢されており、突出した部分が前記駆動部材と接触すると駆動力が伝達され、 前記遮蔽部材が前記供給口を開放する位置にあるときには、前記拘束が解放され、前記駆動部材との接触が解除されるものとする。
【0011】
請求項4に係る発明は、請求項2に記載のトナー供給装置において、 前記駆動力伝達部は、円筒状となった前記遮蔽部材から該遮蔽部材の円筒状周面に沿って張り出した弾性変形が可能な片持ち状部材を有し、 該片持ち状部材には、該遮蔽部材の外周面より突出し、前記円筒状空間を形成する曲面に当接して拘束されて該片持ち状部材を前記円筒状空間の内側に押し出す突起が設けられ、 前記円筒状空間を形成する円筒曲面には、該遮蔽部材が前記供給口を開放する位置で、該片持ち状部材に設けられた前記突起が収容される凹部が形成されているものとする。
【0012】
請求項5に係る発明は、請求項1から請求項4までのいずれかに記載のトナー供給装置において、 前記遮蔽部材は、前記駆動部材から伝達される駆動力によって周方向に移動するものであり、所定の中心角を回転移動したときに前記供給口と対応する位置に開口を有するものとする。
【0013】
請求項6に係る発明は、請求項5に記載のトナー供給装置において、 前記遮蔽部材は、前記円筒状空間の中心軸線方向において、一部の範囲に設けられているものとする。
【0014】
請求項7に係る発明は、請求項6に記載のトナー供給装置において、 前記遮蔽部材は円筒状の部材であり、 前記円筒状空間を形成する円筒曲面には、該円筒状空間の中心軸線方向における前記遮蔽部材の長さに相当する範囲に、該遮蔽部材の厚さに相当する深さの凹部が円筒曲面の全周にわたって形成され、前記遮蔽部材は、該凹部内に嵌め入れられているものとする。
【0015】
請求項8に係る発明は、請求項1から請求項4までのいずれかに記載のトナー供給装置において、 前記遮蔽部材は、前記駆動部材から伝達される駆動力によって前記円筒状空間の中心軸線の方向に移動するものであるものとする。
【0016】
請求項9に係る発明は、請求項2から請求項4までのいずれかに記載のトナー供給装置において、 前記遮蔽部材は、前記駆動部材から伝達される駆動力によって前記円筒状空間の中心軸線の方向に移動するものであり、 前記駆動部材は、回転中心軸の周囲に螺旋状の翼体を有し、 前記駆動力伝達部は、前記翼体と接触して前記回転中心軸の軸線方向の駆動力が伝達されるものとする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に係る発明のトナー供給装置では、供給口を遮蔽する遮蔽部材が、円筒状空間の曲面に沿って配置されないものに比べて、供給口を開放する遮蔽部材を安定して移動可能に設置することができる。
【0018】
請求項2に係る発明のトナー供給装置では、供給口が開放される位置まで遮蔽部材が移動した後は、供給口を開放した状態を維持することができる。
【0019】
請求項3に係る発明のトナー供給装置では、本構成を有しない場合に比べて、遮蔽部材が供給口を遮蔽する位置から移動を始める際の、駆動部材と駆動力伝達部との接触を、遮蔽部材の内周面で確実に行うことができる。
【0020】
請求項4に係る発明のトナー供給装置では、本構成を有しない場合に比べて、遮蔽部材が供給口を遮蔽する位置から移動を始めるための、駆動部材と駆動力伝達部との接触を、遮蔽部材の内周面で確実に行うことができ、供給口が開放された後は、供給口を開放した状態が維持される。
【0021】
請求項5に係る発明のトナー供給装置では、供給口と遮蔽部材の開口の位置が重なり、トナーの供給が可能となる。
【0022】
請求項6に係る発明のトナー供給装置では、本構成を有しない場合に比べて、円筒状空間を形成する曲面と遮蔽部材との接触抵抗の少ない、円滑な移動が可能となる。
【0023】
請求項7に係る発明のトナー供給装置では、円筒状の前記遮蔽部材の内周面と円筒状空間の遮蔽部材が設けられた範囲外の内周面との間で段差が生じる場合に比べて、トナーが滞ることの少ない、円滑な搬送が可能となる。
【0024】
請求項8に係る発明のトナー供給装置では、円筒状の遮蔽部材が軸線方向に所定の距離を移動することによって供給口の遮蔽が解除され、供給口からトナーの供給が可能となる。
【0025】
請求項9に係る発明のトナー供給装置では、駆動部材の螺旋状の翼体を利用して供給口を開放することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本願に係る発明の一実施形態であるトナー供給装置を適用することができる画像形成装置を示す概略構成図である。
【図2】図1に示す画像形成装置に備えられた開閉部が開放された状態を示す概略構成図である。
【図3】図1に示す画像形成装置で用いられる画像形成ユニットの概略断面図である。
【図4】図3に示す画像形成ユニットが備える現像装置であって本願発明の一実施形態であるトナー供給装置を備える現像装置の平断面図である。
【図5】図3に示す画像形成ユニットが備える現像装置の拡大断面図である。
【図6】図5に示す現像装置が備えるトナー供給装置のトナー取り入れ口が開放された状態を示す拡大断面図である。
【図7】図5に示す現像装置が備えるトナー供給装置のトナー搬送部材及び遮蔽部材を示す概略斜視図である。
【図8】本願発明の他の実施形態であるトナー供給装置を備える現像装置の平断面図である。
【図9】図4に示すトナー供給装置又は図8に示すトナー供給装置で用いることができるトナー搬送部材の他の例を示す概略斜視図である。
【図10】図4に示すトナー供給装置又は図8に示すトナー供給装置で用いることができるトナー搬送部材及び遮蔽部材の他の例を示す概略斜視図である。
【図11】本願発明の他の実施形態である現像装置のハウジングの内部の構造及びこの現像装置で使用されるトナー搬送部材・遮蔽部材を示す概略斜視図である。
【図12】図11に示す現像装置の遮蔽部材を組み込んだ状態を示す概略斜視図である。
【図13】参考例として示す現像装置の断面図である。
【図14】図13に示す現像装置の平断面図である。
【図15】図13に示す現像装置の連通口及びトナー供給口が開放された状態を示す断面図である。
【図16】図13に示す現像装置の遮蔽部材を駆動する構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本願に係る発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態であるトナー供給装置が適用される画像形成装置の概略構成図である。
この画像形成装置1は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像を形成する4つの画像形成ユニット10a、10b、10c、10dを備えており、これらの画像形成ユニット10と対向してシート搬送ベルト11が支持されている。このシート搬送ベルト11は、記録シートを周面上に付着して周回移動するものであり、このシート搬送ベルト11を介してそれぞれの画像形成ユニット10と対向する位置に転写ロール12が配置されている。シートトレイ13及びシートトレイ13から送り出された記録シートPを搬送する搬送路19は、記録シートをシート搬送ベルト11上に付着するように供給するものとなっている。そして、シート搬送ベルト上に付着した記録シートが画像形成ユニット10と転写ロール12とが対向する転写部を通過し、各色のトナー像が記録シート上に転写される。
【0028】
シート搬送ベルト11の周回移動方向における下流側には定着装置15が配置されており、トナー像が転写されてシート搬送ベルト11から剥離された記録シートを加熱及び加圧して、記録シート上にトナー像を定着するものとなっている。定着装置15の下流側には、排紙ロール対16及び排紙トレイ17が設けられ、トナー像が定着された記録シートを収容するものとなっている。
【0029】
なお、図2に示すように、本実施の形態では、画像形成装置1の側部が開閉部2となっており、この開閉部2に上記シート搬送ベルト11、上記転写ロール12及び両面搬送路14が支持されている。この開閉部2は画像形成装置1の下部に設けられた支持軸1aを中心にして回動可能となっており、画像形成装ユニット10に対してシート搬送ベルト11を後退させ、記録シートの搬送経路を開放するものである。開閉部2が開放された状態では、画像形成ユニット10と対向する領域で紙詰まりとなった記録シートを除去することができるとともに、この状態で画像形成ユニット10を画像形成装置本体に装着すること及び取り外すことが可能となっている。
【0030】
上記画像形成ユニット10のそれぞれは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像のいずれかを形成することができるものであり、図1に示すように画像形成装置1内で上下方向に配列して装着され、それぞれが着脱可能となっている。これらの画像形成ユニット10の両側端部には、図3に示すように把持部18が備えられ、操作者はこの把持部18を握って画像形成ユニット10を脱着することができるものである。
【0031】
画像形成ユニット10は、図3に示すように、感光体ドラム21を備えた感光体ユニット20と、この感光体ユニット20の下方に隙間27を開けて連結された現像装置30とが一体となって構成されている。
そして、画像形成装置本体の画像形成ユニット10の背後となる位置には、図1に示すように、画像信号に基づいてレーザービーム25aを感光体ドラム21に向けて照射する露光装置25が設けられている。この露光装置25から射出されるレーザービーム25aはポリゴンミラー26で反射され、上記感光体ユニット20と上記現像装置30の間に設けられた隙間27を通過して、感光体ドラム21に照射されるものとなっている。
【0032】
上記感光体ユニット20には、周面上でトナー像が形成される感光体ドラム21と、この感光体ドラム21の周囲に、該感光体ドラム21の表面をほぼ一様に帯電する帯電装置22と、形成されたトナー像を転写した後に感光体ドラム21上に残留するトナーを回収するクリーニング装置23と、現像装置30に補給されるトナーの予備的な収容室であるサブトナー収容室24とが備えられている。
【0033】
上記感光体ドラム21は、金属からなる円筒状部材の周面に有機感光体層を形成したものであり、金属部分は電気的に接地されている。この感光体ドラム21は、上記帯電装置22によって周面がほぼ一様に帯電された後、上記露光装置25から像光が照射されることにより帯電電位の差による潜像が周面上に形成されるものである。
上記帯電装置22は、ステンレス製の円筒状芯金に中抵抗のゴムを被覆したロール状の部材を備えており、直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を印加して感光体ドラム21の表面を所望の電圧に帯電するものである。
【0034】
上記現像装置30は、トナーと磁性キャリアとを含む二成分現像剤を使用するものである。そして、感光体ドラム21と近接する位置に現像ロール31を備え、この現像ロール31は周面上に二成分現像剤の薄層を形成して回転するものとなっている。これにより感光体ドラム21との対向位置でトナーが感光体ドラム21上の静電潜像に転移し、トナー像を形成するものである。画像形成にともない消費されたトナーは、消費量に応じて補充されるものとなっている。
この現像装置30の詳細な構成は後述する。
【0035】
上記画像形成ユニット10との対向位置に記録シートを搬送するシート搬送ベルト11は、張架ロール11a,11bにより張架されており、張架ロール11aが回転駆動されることにより周回移動するものである。また、シート搬送ベルト11を介して張架ロール11aに対向する位置には吸着ロール11cが配置されており、この吸着ロール11cに電圧が印加されることによりシート搬送ベルト11に記録シートが静電的に吸着されるようになっている。
【0036】
上記転写ロール12は、各画像形成ユニット10に備えられた感光体ドラム21と対向する位置のシート搬送ベルト11の裏側に配置されており、感光体ドラム21との間に転写バイアス電圧が印加されている。これにより、転写ロール12と感光体ドラム21とが対向する位置を通過する記録シートに感光体ドラム21上のトナー像を静電的に転写するものとなっている。
【0037】
上記定着装置15は、加熱源を内蔵した加熱ロール15aと、この加熱ロール15aに圧接される加圧ロール15bとを備えており、これらが平行に配置されて互いに圧接されるニップ部を形成している。トナー像が転写された記録シートは、上記ニップ部に送り込まれ、回転駆動される加熱ロール15aと加圧ロール15bとの間で加熱されるとともに加圧され、溶融したトナーが記録シート上に圧着されるものとなっている。
【0038】
このような画像形成装置1は、以下のように動作する。
画像形成動作を開始する信号が入力されると、感光体ドラム21がそれぞれ帯電装置22によりほぼ一様に帯電され、露光装置25から画像信号に応じてオンオフされるレーザービーム25aが照射される。これにより光照射された部分の電荷が減衰し、感光体ドラム21上に静電電位の差による潜像が形成される。
【0039】
一方、現像ロール31の周面上には二成分現像剤の薄層が形成され、感光体ドラム21と近接対向する位置に搬送されるとともに、現像ロール31と感光体ドラム21との間には電源装置(図示せず)から現像バイアス電圧が印加される。これにより現像ロール31と感光体ドラム21との間には電界が生じ、現像ロール31上に保持された二成分現像剤から電荷を有するトナーが画像部に転移され、トナー像が形成される。そして、このトナー像がシート搬送ベルト11に付着して搬送される記録シートに転写される。
また、転写後に感光体ドラム21上に残留するトナーはクリーニング装置23により除去される。
【0040】
トナー像が転写された記録シートは、シート搬送ベルト11から剥離され、定着装置15へ送られる。定着装置の加熱ロール15aは、トナー像を溶融するのに充分な温度に加熱されており、この加熱ロール15aと加圧ロール15bとの間に記録シートが挟み込まれ、トナー像は溶融されて記録シート上に圧着される。定着装置15を通過した記録シートは、下流側の排紙ロール対16の間を通過して排紙トレイ17に排出される。
【0041】
次に、上記画像形成装置で用いられる現像装置30の詳細な構成について説明する。
この現像装置30には、二成分現像剤を周面上に保持する現像ロール31と、現像ロールに供給される二成分現像剤が収容され、撹拌及び循環するように搬送が行われる第1の現像剤収容室32及び第2の現像剤収容室33と、第2の現像剤収容室に補充されるトナーを収容するメイントナー収容室34とが備えられ、第1の現像剤収容室32及び第2の現像剤収容室33にはそれぞれ、第1の撹拌搬送部材35及び第2の撹拌搬送部材36が設けられている。そして、この現像装置のハウジング30aは現像ロール31が感光体ドラム21と対向する位置に開口を有しており、現像ロール31の一部がこのハウジング30aから露出して感光体ドラム21と近接・対向するように配設されている。
【0042】
上記現像ロール31は、無端状の周面に少なくとも磁性キャリアとトナーとが混合された二成分現像剤を保持し、周面が周回移動して該周面から像保持体つまり感光体ドラム21にトナーを転移させる現像部材として機能するものである。そして、周方向に複数の磁極を有して固定支持された磁石ロール31aと、その周囲で回転可能に支持された非磁性の中空円筒状のスリーブ31bとからなり、スリーブ31bの外周面に二成分現像剤を磁気的に吸着し、スリーブ31bの回転によって搬送することができるようになっている。スリーブ31b上に吸着された二成分現像剤は、磁性キャリアが穂状に連なった状態で保持され、トナーがこの磁性キャリアに電気的に付着した状態となっている。そして、上記スリーブ31bの周回方向における二成分現像剤が供給される領域の下流側には、スリーブ31b上に吸着した二成分現像剤の量を規制する層規制部材37が設けられている。これにより、スリーブ31b上にほぼ均一な現像剤層が形成され、感光体ドラム21と対向する現像領域に送り込まれる。
感光体ドラム21との対向位置を通過した位置では、磁石ロール31aに設けられた磁極による反発磁界で二成分現像剤をスリーブ31b上から剥離し、現像剤収容室32に戻される。
【0043】
第1の現像剤収容室32は、現像ロール31の背後すなわち像担持体と対向する位置に対して後方側に隣接して設けられ、第2の現像剤収容室33はその後方に設けられており、これらの間が仕切り板38によって仕切られている。そして、第1の撹拌搬送部材35と第2の撹拌搬送部材36とが第1の現像剤収容室32内及び第2の現像剤収容室33内で現像ロール31と軸線が平行になるように配置されている。これらの撹拌搬送部材は、図4に示すように軸の周囲に螺旋状の羽根が所定のピッチで設けられており、これらの撹拌搬送部材35、36が回転することによって二成分現像剤を撹拌しながらこれらの軸線方向に搬送するものである。これらの搬送方向は、上記第1の撹拌搬送部材35と第2の撹拌搬送部材36とで互いに逆方向に搬送するものとなっている。
【0044】
上記仕切り板38には、図4に示すように、これらの撹拌搬送部材35、36の軸線方向の両端部付近と対応する位置に連通口38a、38bが設けられており、第1の現像剤収容室32と第2の現像剤収容室33とが連通している。これにより、二つの撹拌搬送部材35、36の駆動によって搬送される二成分現像剤は第1の現像剤収容室32と第2の現像剤収容室33とを循環して移動するものとなっている。そして、第1の現像剤収容室32からは現像ロール31に二成分現像剤が供給され、磁気的に吸着される。
【0045】
第2の現像剤収容室33の上部には初期現像剤収容室39が設けられており、あらかじめトナーと磁性キャリアとの混合比が調整された初期現像剤を収容して、第2の撹拌搬送部材36が設けられた領域とシール40によって隔離されている。このシール40は現像装置の使用開始前に除去することができるものであり、シール40を除去して初期現像剤収容室39を開放することにより、初期現像剤が現像剤収容室32,33に供給されるものとなっている。
【0046】
上記メイントナー収容室34は第2の現像剤収容室33の後方側に設けられており、これらの間にはトナー搬送室41が設けられている。メイントナー収容室34に収容されるトナーは、トナー搬送室41をへて現像剤収容室33に供給されるものとなっており、本発明のトナー供給装置はこのようにトナーを現像剤収容室33へ供給する構成を含むものである。
上記トナー搬送室41は、第2の現像剤収容室33との間が第1の隔壁42で遮蔽され、メイントナー収容室34との間が第2の隔壁43で遮蔽されている。そして、断面が円形となり、現像ロール31と平行な軸線を有する円筒状の空間となっており、その内部にはトナー搬送部材44が軸線回りに回転が可能に支持されている。このトナー搬送部材44によってトナー搬送室41内のトナーが軸線方向に搬送されるものとなっており、図4に示すように、その上流側における第2の隔壁43には、メイントナー収容室34と連通するトナー取り入れ口43a(トナー収容室側供給口)が設けられている。また、トナー搬送室41内のトナー搬送方向における下流側には、第1の隔壁42に第2の現像剤収容室33と連通するトナー供給口42a(現像剤収容室側供給口)が設けられている。このトナー供給口42aが設けられた位置は、第2の現像剤収容室33内における二成分現像剤の搬送方向の上流側となっている。したがって、メイントナー収容室34からトナー搬送室41を経て第2の現像剤収容室33に供給されたトナーは、この第2の現像剤収容室33内を搬送され、第1の現像剤収容室32へと循環移動するものとなっている。
【0047】
トナー搬送室41に設けられたトナー搬送部材44は、回転量を制御することにより、トナー供給口42aから第2の現像剤収容室33内に供給するトナーの量を調整することができるものとなっている。したがって、画像の形成によってトナーが消費されるのにともない、これに対応する量のトナーが第2の現像剤収容室33に補充され、二成分現像剤に含まれるトナー量は、常に適切な濃度の現像が可能となるように維持される。
【0048】
なお、メイントナー収容室34に収容されているトナーが第2の現像剤収容室33に供給されて残量が少なくなると、サブトナー収容室24のトナーがメイントナー収容室34に補給されるようになっている。これらトナー供給室24、34には現像ロール31の軸線と平行に配置され、回転駆動されるトナー撹拌部材45が備えられており、トナーの塊化を防止しながら搬送できるようになっている。
【0049】
上記トナー搬送室41内には、トナー取り入れ口43aと対応する位置に、円筒状の遮蔽部材46が配置されている。図5及び図6は、遮蔽部材が配置されたトナー搬送室付近を示す拡大断面図である。また、図7はトナー搬送室41に配置されるトナー搬送部材44と遮蔽部材46との概略斜視図である。
上記遮蔽部材46は、図4に示すように、円筒状の空間となったトナー搬送室41の内径が拡大された部分に嵌め入れられて、外周面がトナー搬送路41の拡径された部分の内周面とわずかの隙間をおいて対向し、周方向に回転が可能となっている。そして、この現像装置の使用が開始される前の初期状態では、図5に示すように、トナー取り入れ口43aを閉鎖することができるものとなっている。また、この遮蔽部材46には開口46aが設けられており、図6に示すように、遮蔽部材46が周方向に回転移動することによって開口46aがトナー取り入れ口43aと対向する位置に移動し、メイントナー収容室34からトナー取り入れ口43a及び開口46aを介してトナー搬送室41内にトナーを取り入れることが可能となっている。
【0050】
次に、上記遮蔽部材を周方向に回転駆動する機構について説明する。
遮蔽部材46には、図7に示すようにスリットを設けることによって円筒状となった部材の一部が周面に沿って片持ち梁状に張り出した駆動力伝達部46bが設けられている。そして、片持ち梁状に張り出した先端部には、円筒状の遮蔽部材の外周面より外側に突き出した突起46cが設けられている。この遮蔽部材46は、合成樹脂等の弾性変形が生じる材料で形成されており、片持ち梁状に張り出した駆動力伝達部46bは、周面と直角の方向に変形が可能となっている。
【0051】
現像装置30の使用が開始される前の初期状態では、図5に示すように上記遮蔽部材46は開口46aがトナー取り入れ口43aから周方向に移動した位置となるように配置され、トナー取り入れ口43aが閉鎖された状態とされる。このとき駆動力伝達部46bは、先端部の突起46cがトナー搬送室41の内周面に当接され、内側に弾性変形して遮蔽部材46の内周面より内側に突き出している。
【0052】
遮蔽部材46の内側を貫通するように配置されるトナー搬送部材44は、上記遮蔽部材46を駆動する駆動部材として機能するものとなっており、図7に示すように上記駆動力伝達部46bが設けられた位置と対応する位置に係止部44aが設けられている。この係止部44aは、螺旋状となった翼体44bの間でトナー搬送部材の軸44cから円筒状の空間であるトナー搬送室41の半径方向に突き出している。そして、先端が遮蔽部材46の内周面よりわずかに内側となるように形成されている。したがって、現像装置30の使用が開始され、トナーの補給が必要となって最初にトナー搬送部材44が回転駆動されたときに、係止部44aは遮蔽部材46の内側に突き出している駆動力伝達部46bに突きあたり、接触した状態で回転駆動力を遮蔽部材46に伝達する。これにより遮蔽部材46はトナー搬送室41内で回転駆動され、開口46aはトナー取り入れ口43aが設けられた位置まで移動する。一方、円筒状空間を形成するハウジング30aには、この位置まで遮蔽部材46が回転したときに駆動力伝達部の突起46cと対応する位置に凹部30bが形成されている。したがって、トナー取り入れ口43aと対応する位置まで開口46aが移動したときに、弾性復元力によって駆動力伝達部の突起46cがハウジングの凹部30bに嵌り込むように変形し、遮蔽部材46の内周面より内側に突き出していた駆動力伝達部46bと係止部44aとは非接触となって係合が解除される。これにより、その後にトナー搬送部材44が駆動されても遮蔽部材46は回転移動せず、トナー取り入れ口43aを開放した状態が維持されるものとなっている。
【0053】
なお、上記実施の形態では、トナー搬送室41内の遮蔽部材46がトナー取り入れ口43aを遮蔽及び開放するように設けられているが、本発明の実施の形態は図8に示すように、上記遮蔽部材46に代えて、トナー搬送室41と第2の現像剤収容室33との間に設けられたトナー供給口42aを遮蔽及び開放する遮蔽部材47を設けたものである。このような構成ではトナー搬送室41はメイントナー収容室34と連通しており、メイントナー収容室の一部となっている。このような構成でも、同様にトナー搬送部材47を最初に駆動したときにトナー供給口42aを開放し、トナーを第2の現像剤収容室33に供給することができる。
【0054】
また、駆動部材であるトナー搬送部材44は、図7に示すように螺旋状の翼体間に係止部44aが設けられたものの他、図9に示すトナー搬送部材48のように螺旋状の翼体48aの一部が軸線と平行な面48bを有するように形成されたものを採用することができる。この面48bが遮蔽部材46の内周面から突き出している駆動力伝達部46bと接触し、遮蔽部材46に回転駆動力を伝達することができる。
さらに、遮蔽部材がトナー搬送路の軸線方向における端部付近に設けられる場合には、図10に示すトナー搬送部材49のように、螺旋状の翼体49aが設けられた範囲の端部に係止部49bを設け、この係止部49bが遮蔽部材50の駆動力伝達部50aと当接して回転駆動力を遮蔽部材50に伝達するものでも良い。
【0055】
一方、上記実施の形態では、遮蔽部材がトナー搬送室内で周方向に回転駆動されるものであったが、遮蔽部材をトナー搬送室内でその軸線方向に移動させるものであってもよい。
【0056】
図11及び図12は、トナー搬送装置の他の例であって遮蔽部材51をトナー搬送室52内でその軸線方向に移動させるトナー供給装置を示す部分斜視図である。
このトナー供給装置のトナー搬送室52も円筒状の空間となっており、このトナー搬送室52内に設けられた拡径部52aは、円筒状の遮蔽部材51の軸線方向の長さより長く形成されている。そして、円筒状の遮蔽部材51はこの拡径部内で軸線方向の移動が可能に収容されている。
トナー搬送室52の壁面には、図11に示すように軸線方向の溝52bが形成されており、円筒状の遮蔽部材51の外周面に設けられた突起51aが上記溝52b内に突き入れられている。これによって遮蔽部材51は周方向の回転移動が拘束されるとともに、軸線方向の移動に対しては突起51aが溝52b内を移動し、軸線方向の移動を拘束しないものとなっている。
【0057】
この遮蔽部材51にも、図5から図7までに示す遮蔽部材46と同様に、周面に沿って片持ち梁状となった駆動力伝達部51bが形成されている。そして、このトナー供給装置を備えた現像装置の使用が開始される前の初期段階では上記駆動力伝達部51bの外側の突起51cがトナー搬送室52の内周面に当接され、片持ち梁状となった駆動力伝達部51bが遮蔽部材51の内周面より内側に突き出している。トナー搬送室52内に支持されているトナー搬送部材53は回転駆動されることによって螺旋状となった翼体53aの先端縁付近が上記駆動力伝達部51bに当接され、摺動しながら遮蔽部材51に軸線方向の駆動力を付与する。これによって遮蔽部材51がトナー搬送室52の軸線方向に移動し、トナー取り入れ口又はトナー供給口を開放する。このとき、駆動力伝達部51bがトナー搬送室52の内壁面に凹部52cが設けられている位置まで移動し、駆動力伝達部51bの外側に設けられている突起51cが上記凹部52cに入り込む。これによって、遮蔽部材51の内周面より内側に突き出していた駆動力伝達部51bが弾性復元力によって外側に移動し、トナー搬送部材53との係合が解除される。したがって、その後にトナー搬送部材53が駆動されても遮蔽部材51は移動することはなく、トナー取り入れ口又はトナー供給口を開放した状態が維持される。
なお、上記のようなトナー供給装置では、片持ち梁状となった駆動力伝達部51bを螺旋状となった翼体53aと円滑に係合されるように周方向に対して斜めとなる方向へ張り出したものとするのが望ましい。
【0058】
なお、以上に説明した現像装置30では、初期現像剤を第2の現像剤収容室33の上部に設けた初期現像剤収容室39に収容しておくもので、シール40の除去によって初期現像剤を開放するものとなっているが、初期現像剤を収容する構造及び初期現像剤をその収容室から開放する構造は、上記以外の様々な構成を採用することができる。例えば、初期現像剤を回転可能な容器に収容しておき、この現像装置を画像形成装置の本体に装着する動作にともなって容器が回転し、初期現像剤を解放するもの、初期現像剤収容室を封鎖するシャッターがガイドに沿って摺動し、初期現像剤を現像剤収容室に開放するもの等を採用することができる。
【0059】
次に、本願に係る発明と同様に遮蔽部材を備えた現像装置を参考例として、図13から図16までに基づいて説明する。
この現像装置60には、図3に示す現像装置30と同じ現像ロール61及び層厚規制部材81が設けられており、現像ロール61と隣接する位置に第1の現像剤収容室62が設けられ、その後方に第2の現像剤収容室63が設けられている。そして、第1の現像剤収容室には第1の撹拌搬送部材64が設けられ、第2の現像剤収容室63には第2の撹拌搬送部材65が、それぞれ回転可能に設けられている。この現像装置では、第2の現像剤収容室63は第2の撹拌搬送部材65の周囲を覆うように設けられた覆い部材66によって第1の現像剤収容室62と隔離され、円筒状の空間となっている。この覆い部材66には、図14に示すように、第2の撹拌搬送部材65の軸線方向における両端部と対応する位置にそれぞれ第1の現像剤収容室62と第2の現像剤収容室63との間で現像剤を移動させることができる連通口66a,66bが設けられている。
【0060】
第2の現像剤収容室63内は、第1の連通口66aが設けられた位置付近及び第2の連通口66bが設けられた位置付近で内径が拡大されている。そして、この部分に円筒状の第1の遮蔽部材67及び第2の遮蔽部材68がそれぞれ嵌め入れられ、周方向に回転が可能となっている。これらの遮蔽部材67,68の外径は、第1の現像剤収容室の拡大された内周面の径よりやや小さく設定され、遮蔽部材67,68の外周面は第2の現像剤収容室63の内周面との間に隙間をおいて対向しており、これらの間には二成分現像剤の侵入を防ぐシール部材69が介挿されている。
【0061】
上記遮蔽部材67,68は、この現像装置60の使用が開始される前の初期状態では、図13に示すように連通口66a,66bを閉鎖することができるものであり、トナーと磁性キャリアとが所定の比率で混合された初期現像剤を収容しておくことができるものである。また、この遮蔽部材67,68には開口67a,68aが設けられており、図15に示すように、遮蔽部材67,68が周方向に回転移動することによって開口67a,68aが連通口66a,66bと対向する位置に移動し、第1の現像剤収容室62と第2の現像剤収容室63との間で二成分現像剤が移動できるように連通口66a,66bを開放
するものとなっている。
【0062】
第2の現像剤収容室32の軸線方向における第1の遮蔽部材67が設けられた範囲には、トナー搬送室70と第2の現像剤収容室63とを仕切る隔壁72に、トナー搬送室70からトナーを補給するためのトナー供給口72aが設けられている。このトナー供給口72aは、現像装置の使用が開始される前の初期状態では、図13に示すように第1の遮蔽部材67によって閉鎖されている。そして、この第1の遮蔽部材67が周方向に回転移動したときにトナー供給口72aと対向する位置にも、このトナー供給口72aを開放するための開口67bが設けられており、第1の遮蔽部材67の回転移動によってトナー供給口72aが開放されるものとなっている。
【0063】
上記第1の遮蔽部材67及び第2の遮蔽部材68の回転駆動は、図3及び図4に示す現像装置でトナー搬送室41内に設けられた遮蔽部材46を回転駆動するのと同じ構成によって回転駆動することができる。つまり、図16に示すように遮蔽部材67,68には、スリットを設けることによって周面に沿って周方向に伸びた片持ち状の駆動力伝達部67c,68c(駆動力伝達部68cは図示しない)が形成されている。この駆動力伝達部67c,68cは、軸線方向において、連通口66a,66b及びトナー供給口72aが設けられた位置を避けて形成おり、駆動力伝達部67cの先端付近の外側に設けられた突起67dが第2の現像剤収容室63の内周面に当接し、この駆動力伝達部67cの内側が第2の撹拌搬送部材65に設けられた係止部(図示しない)と当接するものとなっている。そして、この現像装置60の使用の開始にともなって第2の撹拌搬送部材65が回転駆動されると遮蔽部材67,68が連通口66a,66b及びトナー供給口72aを開放する位置まで回転移動する。このとき駆動力伝達部に設けられた突起67dが現像装置のハウジング60aに設けられた凹部60bに嵌り込み、駆動力伝達部67cと第2の撹拌搬送部材65との係合が解除されて、その後は遮蔽部材67,68は回転せず、連通口66a,66b及びトナー供給口72aが開放された状態が維持される。
【0064】
現像装置60の使用が開始されるのにともなって上記のように連通口66a,66bが開放されると、第2の現像剤収容室63内に収容されていた初期現像剤が開放され、第1の撹拌搬送部材64と第2の撹拌搬送部材65とがそれぞれこれらの軸線方向に二成分現像剤を搬送する。そして、これらの搬送方向が互いに逆となっていることにより第1の現像剤収容室62と第2の現像剤収容室63との間で二成分現像剤は連通口66a、66bを経て循環するように搬送される。また、トナー供給口72aが開放されることにより、トナー搬送室70からはトナーを第2の現像剤収容室63に補給することが可能となる。トナー搬送室70とトナー収容室71とを仕切る隔壁73にはトナー取り入れ口73aが設けられており、トナーはトナー収容室71からトナー搬送室70に導入され、上記トナー供給口72aが開放されてトナー搬送部材74が駆動されるにより、現像剤収容室内の二成分現像剤に新たなトナーが補給される。
【0065】
なお、図13から図16までに示す現像装置は、第2の現像剤収容室63内に設けられた第1の遮蔽部材67によって連通口66aを閉鎖しておくだけでなく、トナー供給口72aをも閉鎖するものであったが、トナー供給口は第1の遮蔽部材67又は第2の遮蔽部材68で閉鎖されない位置に設けることもできる。このようにトナー供給口を設ける場合には、図3及び図4に示す現像装置のようにトナー搬送室に別途の遮蔽部材を設け、トナー供給口又はメイントナー収容室からトナー搬送室にトナーが取り入れられるトナー取り入れ口を遮蔽する構成を採用することもできる。
【0066】
上記のような現像装置60では、二成分現像剤を搬送し撹拌するために設けられた第1の現像剤収容室62及び第2の現像剤収容室63のうち、第2の現像剤収容室63を遮蔽部材67,68で閉塞して初期現像剤を封入しているので、初期現像剤を封入するための領域を別途設ける必要がない。したがって、現像装置を小型化することができる。
【符号の説明】
【0067】
1:画像形成装置、 2:開閉部、 10a、10b、10c、10d:画像形成ユニット、 11:シート搬送ベルト、 11a,11b:張架ロール、 11c:吸着ロール、 12:転写ロール、 13:シートトレイ、 14:両面搬送路、 15:定着装置、 15a:加熱ロール、 15b:加圧ロール、 16:排紙ロール対、 17:排紙トレイ、 18:把持部、 19:記録シートの搬送路、 20:感光体ユニット、 21:感光体ドラム、 22:帯電装置、 23:クリーニング装置、 24:サブトナー収容室、 25:露光装置、 26:ポリゴンミラー、 27:感光体ユニットと現像装置との間に設けられた隙間、 30:現像装置、 30a:現像装置のハウジング、 30b:ハウジングに設けられた凹部、 31:現像ロール、 31a:磁石ロール、 31b:スリーブ、 32:第1の現像剤収容室、 33:第2の現像剤収容室、 34:メイントナー収容室、 35:第1の撹拌搬送部材、 36:第2の撹拌搬送部材、 37:層規制部材、 38:仕切り板、 39:初期現像剤収容室、 40:シール、 41:トナー搬送室、 42:第1の隔壁、 42a:トナー供給口(現像剤収容室側供給口)、 43:第2の隔壁、 43a:トナー取り入れ口(トナー収容室側供給口)、 44:トナー搬送部材、 45:トナー撹拌部材、 46:遮蔽部材、 46a:開口、 46b:駆動力伝達部、 46c:突起、 47:遮蔽部材、 48,49:トナー搬送部材、 50:遮蔽部材、 51:遮蔽部材、 51a:突出部、 51b:駆動力伝達部、 51c:突起、 52:トナー搬送室、 52a:拡径部、 52b:溝、 52c:凹部、 53:トナー搬送部材、 60:現像装置、 60a:現像装置のハウジング、 60b:ハウジングに設けられた凹部、 61:現像ロール、 62:第1の現像剤収容室、 63:第2の現像剤収容室、 64:第1の撹拌搬送部材、 65:第2の撹拌搬送部材、 66:覆い部材、 66a,66b:連通口、 67,68:遮蔽部材、 69:シール部材、 70:トナー搬送室、 71:メイントナー収容室、 72:隔壁、 72a:トナー供給口、 73:隔壁、 73a:トナー取り入れ口、 74:トナー搬送部材、 81:層規制部材








【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーを収容するトナー収容室を有し、
該トナー収容室に、内周面が円筒状の曲面となった円筒状空間が形成されており、
該円筒状空間を囲む曲面に、該円筒状空間から送り出されるトナーが通過する供給口が設けられ、
該円筒状空間内には、 前記円筒状の曲面の内側に沿って配置され、前記供給口を遮蔽する位置と該供給口を開放する位置との間で移動が可能となった遮蔽部材と、 前記円筒状空間内で駆動され、トナーを搬送する駆動部材とを備えており、
該駆動部材は、前記遮蔽部材と接触して前記供給口を遮蔽する位置から該供給口を開放する位置へ移動させるものであることを特徴とするトナー供給装置
【請求項2】
前記駆動部材は、前記円筒状空間の中心軸線に沿って配置され、この中心軸線回りに回転してトナーを該中心軸線の方向に搬送するものであり、
前記遮蔽部材は、前記供給口を遮蔽する位置から前記供給口を開放する位置に至るまでは前記駆動部材から駆動力が伝達され、前記供給口を開放する位置では、前記駆動部材からの駆動力の伝達が解除される駆動力伝達部を備えることを特徴とする請求項1に記載のトナー供給装置
【請求項3】
前記駆動力伝達部は、 前記遮蔽部材が前記供給口を遮蔽する位置にあるときには、円筒状となった遮蔽部材の内周面より内側に突出した状態で拘束されるともに外側に付勢されており、突出した部分が前記駆動部材と接触すると駆動力が伝達され、 前記遮蔽部材が前記供給口を開放する位置にあるときには、前記拘束が解放され、前記駆動部材との接触が解除されるものであることを特徴とする請求項2に記載のトナー供給装置
【請求項4】
前記駆動力伝達部は、円筒状となった前記遮蔽部材から該遮蔽部材の円筒状周面に沿って張り出した弾性変形が可能な片持ち状部材を有し、
該片持ち状部材には、該遮蔽部材の外周面より突出し、前記円筒状空間を形成する曲面に当接して拘束されて該片持ち状部材を前記円筒状空間の内側に押し出す突起が設けられ、
前記円筒状空間を形成する円筒曲面には、該遮蔽部材が前記供給口を開放する位置で、該片持ち状部材に設けられた前記突起が収容される凹部が形成されていることを特徴とする請求項2に記載のトナー供給装置
【請求項5】
前記遮蔽部材は、前記駆動部材から伝達される駆動力によって周方向に移動するものであり、所定の中心角を回転移動したときに前記供給口と対応する位置に開口を有するものであることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかに記載のトナー供給装置
【請求項6】
前記遮蔽部材は、前記円筒状空間の中心軸線方向において、一部の範囲に設けられていることを特徴とする請求項5に記載のトナー供給装置
【請求項7】
前記遮蔽部材は円筒状の部材であり、
前記円筒状空間を形成する円筒曲面には、該円筒状空間の中心軸線方向における前記遮蔽部材の長さに相当する範囲に、該遮蔽部材の厚さに相当する深さの凹部が円筒曲面の全周にわたって形成され、前記遮蔽部材は、該凹部内に嵌め入れられていることを特徴とする請求項6に記載のトナー供給装置。
【請求項8】
前記遮蔽部材は、前記駆動部材から伝達される駆動力によって前記円筒状空間の中心軸線の方向に移動するものであることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかに記載のトナー供給装置
【請求項9】
前記遮蔽部材は、前記駆動部材から伝達される駆動力によって前記円筒状空間の中心軸線の方向に移動するものであり、
前記駆動部材は、回転中心軸の周囲に螺旋状の翼体を有し、
前記駆動力伝達部は、前記翼体と接触して前記回転中心軸の軸線方向の駆動力が伝達されるものであることを特徴とする請求項2から請求項4までのいずれかに記載のトナー供給装置




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−227532(P2011−227532A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173323(P2011−173323)
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【分割の表示】特願2008−27954(P2008−27954)の分割
【原出願日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】