説明

トナー補給装置、これを用いた画像形成装置

【課題】トナー搬送経路の途中で、トナーに空気を混合させることによって、嵩密度が低く流動性の高い状態で現像装置にトナーを供給することを可能とし、現像装置内でのトナーの分散性を高め、現像装置内でのトナー濃度の安定化させることで濃度ムラを低減させることが可能とし、また分散性の向上に伴って帯電特性を高め、トナーが均一に帯電することによってトナー飛散や地汚れといった不具合を解消する。
【解決手段】搬送経路(チューブ13)の途中でトナーに空気を送り込み、トナーの嵩密度を低下させると同時に、トナーの流動性を高める。すなわち、チューブ13の途中に空気を注入するためのスペース(ボックス15)を設け、エアーポンプ16からエアを注入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ及びこれらの複合機等の二成分電子写真方式の画像形成装置とこれに用いるトナー補給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真方式における画像形成装置においては、感光体ドラムや感光体ベルトなどの潜像担持体上に画像情報が対応した静電潜像が形成され、現像剤担持体を有する現像装置が行う現像作業によって可視像が得られる。このような現像手段として、転写性、ハーフトーンの再現性、温度・湿度に対する安定性などの観点から、トナーとキャリアからなる二成分現像方式が広く利用されている。
【0003】
またカラー画像形成の代表的方法は、複数の感光体上に形成される色の異なるトナー画像を直接転写紙に重ねながら転写させる直接転写方式と、一つの感光体上に形成される色の異なるトナー画像を中間転写体に重ねながら転写させ、しかる後に転写紙に一括して転写させる中間転写方式がある。前者の手法は複数の感光体を転写紙または中間転写体に対向させ並べて配置することから、タンデム方式と呼ばれ、感光体毎にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色に対して静電潜像の形成、現像などの電子写真プロセスを実行させ、直接転写方式では走行中の転写紙上に、中間転写方式においては走行中の中間転写体上に転写する。
【0004】
図1は、レーザプリンタの例の概略構成図である。このレーザプリンタは、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像を形成するための4組のトナー像形成部1Y、1M、1C、1K(以下、各符号の添字Y、M、C、Kは、それぞれイエロー、マゼンダ、シアン、黒用の部材であることを示す)が、転写紙100の移動方向(図中の矢印Aに沿ってベルト60が走行する方向)における上流側から順に配置されている。このトナー像形成部1Y、1M、1C、1Kはそれぞれ、像担持体としての感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kと、現像ユニットとを備えてユニット化してプロセスカートリッジユニットとしてある。また、各トナー像形成部1Y、1M、1C、1Kの配置は、各感光体ドラムの回転軸が平行になるように且つ転写紙移動方向に所定のピッチで配列するように、設定されている。
【0005】
このレーザプリンタは、前記トナー像形成部1Y、1M、1C、1Kのほか、光書込ユニット2、給紙カセット3、4、レジストローラ対5、転写紙100を担持して各トナー像形成部の転写位置を通過するように搬送する転写搬送部材としての転写搬送ベルト60を有するベルト駆動装置としての転写ユニット6、ベルト定着方式の定着ユニット7、排紙部8等を備えている。また、手差しトレイMF等も備え、図示していない廃トナーボトル、両面・反転ユニット、電源ユニットなども二点鎖線で示したスペースSの中に備えている。また温湿度を検知する温湿度検知手段等も備えているものが多い。
【0006】
ところで近年、カラー出力高速化の要求の高まりによって複数の感光体を配置したタンデム方式が主流となっているが、さらに機械の省スペース化のニーズによって上述した図1の例のように、感光体及び現像装置を斜めに配置する方式が実用化されている。このように装置全体をコンパクトにするためにレイアウトに厳しい制限が生じて、トナー収納容器(以下トナーカートリッジ)を現像装置の近傍に位置することができなくなることが多い。
【0007】
このような問題を解決するため、特許文献1及び特許文献2に見られるようなトナー供給搬送装置が提案されている。これらは図2に示す例のようにトナーを搬送する手段の一つとしてポンプ(図では吸引ポンプ)10等を用いてトナー収容容器12から現像装置(図1の例ではトナー像形成部1Y、1M、1C、1K)へ搬送する方式であり、この方式はスクリュー状のオーガなどでトナーを搬送する方法と異なり、シリコンゴム等のチューブ13を用いることで現像装置とトナー収容容器12の位置関係を自由に設定できる。またトナーを搬送する手段として、トナーを空気と攪拌した状態で紛体移送を行う一軸偏芯スクリューポンプ(通称モーノポンプ)を使用している。これは一軸偏芯スクリュー(ロータ)が二条螺旋貫通孔を有する弾性体(ステータ)内を回転することにより、空隙を移動させて圧力を発生する方式である。なお図中14はノズルである。
【0008】
このような補給方式によって、レイアウト設計の自由度が非常に高くなり、画像形成装置の省スペース化を容易に達成することが可能となる。さらにスクリューによる搬送では、オーガと搬送経路の内壁による摩擦によってトナーの物性が変化し、画像に悪影響を及ぼすことがあった。これに対してもポンプによる吸引の場合、搬送経路でのトナーに対するストレス防止策として非常に有効な手段となりうる。
【0009】
ここで現像装置に供給されたトナーは、空気との混合状態によって嵩密度が異なり、空気の含有量が少ないトナーは嵩密度が高く、同じ質量でも嵩(体積)が小さくなる。またこのような嵩密度の高いトナーは凝集しているため、流動性が悪いためトナー搬送が行いにくく、現像装置内での分散性が低下する。この結果、現像ローラ上でのトナー濃度が不均一になることによる濃度ムラや、攪拌による帯電性能の低下によるトナー飛散や地汚れといった現象が発生する。
【0010】
さらに前述した一軸偏芯ポンプによるトナー補給は、図3で示すように、ロータの回転数(回転時間)と搬送されるトナー量が比例するが、補給時間(補給量)が小さい領域では図3のようにその線形性が崩れ、ばらつきが大きくなる。この現象はロータが1回の補給によって補給されるトナー量のばらつきが増加するためであり、トナーの嵩密度が大きく、流動性が低いトナーほどその影響が大きくなる。これはトナーの嵩密度が大きいほどロータ1回転に対応する補給量が上昇するためであり、ロータの回転数(回転時間)が小さくなるためモータやクラッチの特性によるばらつきの影響を大きく受けるようになるためである。
【0011】
そのため空気の含有量が大きく、嵩密度を低下させた状態でポンプ10を駆動させ、現像装置にトナー補給を行うことによって、少ない補給量に対しても補給ばらつきを低減させることが可能になり、特に低画像面積の作像時における現像機内のトナー濃度の安定化につながる。
【0012】
【特許文献1】特開2003−330218号公報
【特許文献2】特開2004−4394号公報
【特許文献3】特許第3549051号公報
【特許文献4】特許第3547730号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
そこで本発明は、トナーに十分な空気を混合させ、嵩密度の低い状態で現像装置にトナーを補給する手段として搬送経路内でのトナーへの空気の注入を行い、現像装置内でのトナーの分散性を高め、濃度ムラやトナー飛散、地汚れ等の問題を解決することができるトナー補給装置と、これを用いた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の請求項1に係るトナー補給装置は、二成分電子写真方式の現像装置にトナーを供給するためのトナー補給装置において、前記現像装置にトナーを供給するための搬送経路の途中でトナーに空気を送り込み得る空気供給手段を有することを特徴とする。すなわち、トナー搬送経路の途中で、トナーに空気を混合させることによって、嵩密度が低く流動性の高い状態で現像装置にトナーを供給することを可能とし、現像装置内でのトナーの分散性を高め、現像装置内でのトナー濃度の安定化させることで濃度ムラを低減させることを可能とする。また分散性の向上に伴って帯電特性を高め、それによってトナーを均一に帯電させ、トナー飛散や地汚れといった不具合を解消することを可能とする。
【0015】
同請求項2に係るトナー補給装置は、請求項1のトナー補給装置において、トナーを搬送するための手段として吸引ポンプを用いることを特徴とし、装置全体のレイアウトの自由度を高め、装置全体の小型化を実現することを可能とするものである。
【0016】
同請求項3に係るトナー補給装置は、請求項2のトナー補給装置において、前記吸引ポンプとして一軸偏芯スクリューポンプを用いることで、高精度なトナー補給を実現することを可能とし、多孔質部材を用いて流動化させたトナーと併用することによって安定した出力画像を得ることを可能とするものである。
【0017】
同請求項4に係るトナー補給装置は、請求項1から3のいずれかのトナー補給装置において、前記空気供給手段から空気をトナーに注入する位置を前記搬送経路内で最も低い位置としたことを特徴とし、トナーの流動性向上を最も効果的に行うことを可能とするものである。
【0018】
同請求項5に係るトナー補給装置は、請求項1から4のいずれかのトナー補給装置において、前記空気供給手段から空気をトナーに送り込むために搬送経路の部位を多孔質部材で形成してなることを特徴し、非常に小さい気泡を多数トナーに注入することを可能とし、効果的にトナーを流動化させることを可能にするとともに、上部から余剰の空気が抜けるため内圧上昇を防止するためのフィルター等を不要とするものである。
【0019】
同請求項6に係るトナー補給装置は、請求項1から5のいずれかのトナー補給装置において、前記空気供給手段から空気をトナーに送り込むために搬送経路が、前記空気供給手段から空気をトナーに送り込む部位で、トナーに空気を送り込んだ後の前記搬送経路の断面積が、空気を送り込む前よりも断面積が大きくなるものであることを特徴とし、流動化されたトナーの体積の増加分に対応させ、搬送経路内の流速を一定に近づけることで、搬送経路内のトナー詰まりを防止することを可能とするものである。
【0020】
同請求項7に係る画像形成装置は、請求項1から6のいずれかのトナー補給装置を用いて、高画質で安定な画像出力を得ることを可能とするものである。
【0021】
同請求項8に係る画像形成装置は、請求項7の画像形成装置において、前記トナーとして、少なくともプレポリマー、着色剤、離型剤からなるトナー組成物を、水系媒体中で樹脂微粒子の存在下で分散せしめ、該トナー組成物を重付加反応させ、得られたトナーを使用するものであることを特徴とする。重合トナーの利点としては、粉砕工程がなく、省資源化可能、径分布と帯電分布がシャープであり、円形度を変える形状制御が容易である等を挙げ得るが、その結果として高画質な画像を得ることを可能とし、前述した多孔質部材との組み合わせによってその出力を安定化させることを可能としようとするものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、トナー搬送経路の途中で、トナーに空気を混合させることによって、嵩密度が低く流動性の高い状態で現像装置にトナーを供給することが可能になり、現像装置内でのトナーの分散性を高め、現像装置内でのトナー濃度の安定化させることで濃度ムラを低減させることが可能となる。また分散性の向上に伴って帯電特性を高まるため、トナーが均一に帯電することによってトナー飛散や地汚れといった不具合を解消させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下本発明を実施するための最良の形態を、図に示す実施例を参照して説明する。
【実施例1】
【0024】
再び図1を参照すると、このタンデム型カラー画像形成装置の一例であるレーザプリンタは、図示していないトナーカートリッジから現像装置であるトナー像形成部1Y、1M、1C、1Kにトナーを補給するが、その補給量は前述したようにそれぞれプロセスカートリッジユニットであるトナー像形成部1Y、1M、1C、1Kが内蔵する感光体に書き込まれた画素数及び現像装置に取り付けられたトナー濃度センサの値から総合的に決定される。
【0025】
そして必要量のトナーが図2の例のようにトナー収納容器12からプロセスカートリッジユニットであるトナー像形成部1Y、1M、1C、1Kが内蔵する現像装置に搬送される。なお、図2の例では吸引型ポンプ10による搬送を例として示しているが、本発明で採用可能なトナー搬送手段は特にこの種のものに限定されない。
【0026】
そして本実施例では、搬送経路(図2ではチューブ13)の途中でトナーに空気を送り込み、トナーの嵩密度を低下させると同時に、トナーの流動性を高めることを狙っている。この例としては、図4に示すように、チューブ13の途中に空気を注入するためのスペース(図の例ではボックス15)を設け、エアーポンプ16からエアを注入するようにしているが、本発明ではその他様々な手段を採用でき、図示の例の構成には限定されない。
【0027】
さらに図2で示したように、トナーの搬送手段として吸引型ポンプ10を使用すれば、画像形成装置における現像装置とトナー補給装置の関係を自由に配置することが可能となり、レイアウトの自由度が大きく向上することによって、装置の省スペース化が可能となる。
【0028】
また吸引型ポンプとしては図5に示すような、円筒形状に1本の螺旋状の凸部を設けたロータ17と円筒形状に2本の螺旋状の溝を設けたステータ18からなる一軸偏芯スクリューポンプ、いわゆるモーノポンプ20が高い補給分解能を持つため最少補給時間を短くできることから機能的に好ましい。図中21はポンプケース、22は補給ケース、23は補給クラッチである。
【0029】
このモーノポンプ20の場合、前述したように嵩密度が高く、流動化の度合いが小さいトナーの場合、補給分解能が低く、ばらつきが大きい。そこで本発明のようにトナー補給経路でトナーの流動化を行うことと組み合わせることによって、高い分解能と安定したトナー補給を行うことが可能となる。
【実施例2】
【0030】
図6は本発明の他の実施例を示す。この実施例は、トナーが自重によって搬送経路の最下部で最も凝集しやすく、その結果、嵩密度の上昇及び流動性の低下を招くため、この位置での空気の注入が最も効果的である点に着目したものである。すなわち図6に示すように、トナー収納容器12から現像装置までの搬送経路であるチューブ13の途中部位で最下部となる範囲Xで空気の注入を行うことで、効果的にトナーの流動性を向上させることを可能としている。
【0031】
ここで範囲Xに設ける空気の注入部としては、図7のように多孔質部材30を用いることが考えられる。この図で示すように、出口付近に多孔質部材からなる経路を設け、別に設けてあるエアーポンプ16によって空気を送り込む。この送り込んだ空気によってトナーが流動化され、嵩密度が低下する。さらに図のように送り込んだ空気は反対側から抜けていく。
【0032】
このように多孔質部材30を使用して空気を送り込むと、多数の小さい気泡の空気がトナーに送り込まれるために、非常に効果的にトナーの流動性を高めることが可能となる。また注入した空気のうち余分な量は上部から抜けていくため、内圧の上昇を防ぐことが可能となる。
【0033】
多孔質部材30は、空気の透過が可能であり、かつトナーを透過させない微細な多孔質な素材からなるものであり、開口率は5〜40%が好ましく、10〜20%がより好ましい。また、一般にトナーはその粒径が3〜15μmの体積平均粒径のものが使用されることから、多孔質部材30の平均開口径は0.3〜20μmが好ましく、5〜15μmがより好ましい。また多孔質部材30の孔部の平均空孔径は、供給搬送対象トナーの体積平均粒径の0.1〜5倍が好ましく、0.5〜3倍がより好ましい。
【0034】
なお多孔質部材30の材料としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ガラス、樹脂粒子の焼結体、フォトエッチングされた樹脂、熱的に穿孔された樹脂等の多孔質樹脂材料、金属製の焼結体、穿孔処理された金属板状材料、網積層体、さらには易熔融性金属糸束の周囲に電気化学的方法により金属銅を析出させて易熔融性金属糸束が貫通植設された形に作製した銅版を加熱することにより該易熔融性金属糸部分が選択的に除去された跡の孔部分を有する選択的熔融跡孔を有する金属材料、等が挙げられる。
【0035】
また前述したように送り込まれた空気によって流動化したトナーは嵩密度が低下し、体積が増加する。そのためチューブ13内でのトナーの通過量が一定であるならば、流動化によってその体積が増加するため、搬送経路内での流速が速くなる。しかしながら、このように搬送経路内で流速が不均一におなるとき、経路内でのトナー詰まりが発生しやすくなることが実験からわかっているので、チューブ13等の搬送管内の流速を均一に近づけるために、多孔質部材30の断面積をその上流部よりも大きくすることが搬送の安定性、及び搬送管内でのトナー詰まりを防止する上で大きな効果を与える。
【0036】
その具体的な形状としては、図8に示す例のように、経路の途中から断面積を増加させ、または図9のように多孔質部材の内壁を下流側が開いたテーパー形状とすること等が考えられるが、もちろん同等の機能を発揮する構造、形状であれば種々採用可能である。
【実施例3】
【0037】
本発明の上述した各実施例で使用するトナーは以下で示す方法のように製作したいわゆる重合トナーを用いるが、トナーの製造方法については以下の例に限定されない。
【0038】
一般に重合トナーは同粒径の粉砕トナーに比べて10〜40%程度トナー補給量が増加する。これはトナーの形状が球に近いため、トナーが密になりやすいことが原因であり、粉砕トナーと比べて補給量の安定性が低下する。しかし画像については、粒径分布がシャープであり、帯電特性がよいことなどから、粉砕トナーよりも高画質な画像を得ることができる。そこで重合トナーに対して多孔質部材を用いて、前述した手段によって流動化させた状態で現像装置に補給させることで、高画質な画像を安定して得ることが可能となる。
【0039】
<トナーの製造方法>
まずトナー組成物の準備として、酢酸エチル等の有機溶媒に、樹脂、着色剤、ワックス、帯電制御剤、イソシアネート基を有するポリエステル樹脂(プレポリマー)からなるトナー原材料を溶解させ、それをトナー組成物とする。プレポリマーは、ベースとなるポリマー1分子中に2以上の反応基を有するポリマーである。
【0040】
次に乳化させるが、界面活性剤、粘度調整剤、樹脂微粒子を含有する水系媒体に、前記トナー組成物とアミン類とを加えて、せん断力により分散させ、乳化状態を形成する。さらに、イソシアネート基とアミン類との反応による 伸長及び/または架橋反応を促進させるため、反応系に対して加熱を行い、熟成する。
【0041】
脱溶剤は、一例としては、製造系全体を徐々に昇温させ、液滴中の有機溶媒を蒸発除去する方法をとることができる。またアルカリ洗浄、水洗を行って、得られたトナー粒子表面に残存している異物(界面活性剤、粘度調整剤等)を除去する。その後、得られたトナー粒子をろ過により回収し、乾燥させる。
【0042】
そして必要に応じて、外添剤微粒子(シリカ、チタニア、アルミナ、等)を0.1〜5.0重量部ミキサーにより外添する。
【0043】
以下、トナー製造例についてより詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお以下では、「部」は重量部を表す。
【0044】
<ポリエステルの製造例>
冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物690部、テレフタル酸256部を常圧下、230℃で8時間重縮合し、次いで10〜15mmHgの減圧で5時間反応した後160℃まで冷却し、これに18部の無水フタル酸を加えて2時間反応させ、変性されていないポリエステル(a)を得た。
【0045】
<プレポリマーの製造例>
冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物800部、イソフタル酸180部、テレフタル酸60部、及びジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で脱水しながら5時間反応させた後、160℃まで冷却して、これに32部の無水フタル酸を加えて2時間反応させた。次いで、80℃まで冷却し、酢酸エチル中にてイソホロンジイソシアネート170部と2時間反応を行いイソシアネート基含有プレポリマー(1)を得た。
【0046】
<ケチミン化合物の製造例>
攪拌棒及び温度計のついた反応槽中にイソホロンジアミン30部とメチルエチルケトン70部を仕込み、50℃で5時間反応を行いケチミン化合物(2)を得た。
【0047】
<トナーの製造例>
ビーカー内に前記のプレポリマー(1)15.4部、ポリエステル(a)60部、酢酸エチル78.6部を入れ、攪拌し溶解させ、次いで離型剤であるライスWAX(融点83℃)10部、銅フタロシアニンブルー顔料(シアン顔料)4部を入れ、60℃にてTK式ホモミキサーを用いて12000rpmで攪拌し、均一に溶解、分散させた。最後に、ケチミン化合物(2)2.7部を加え溶解させた。これをトナー材料溶液(3)とする。ビーカー内にイオン交換水306部、リン酸カルシウム10%懸濁液265部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2部、平均粒径0.20μmのスチレン/アクリル系樹脂微粒子を入れ、均一に溶解させた。ついで60℃に昇温し、TK式ホモミキサーで12000rpmに攪拌しながら、前記トナー材料溶液(3)を投入し、10分間攪拌した。ついでこの混合液を攪拌棒及び温度計付のコルベンに500g計量して移し、45℃まで昇温させて、減圧下ウレア化反応をさせながら0.5時間かけ溶剤を除去し、濾別、洗浄、乾燥した後、風力分級し、母体粒子を得た。
【0048】
母体粒子100部、帯電制御剤(オリエント化学社製 ボントロン E−84)0.25部をQ型ミキサー(三井鉱山社製)に仕込み、タービン型羽根の周速を50m/secに設定し、2分間運転、1分間休止を5サイクル行い、合計の処理時間を10分間とした。さらに、疎水性シリカ(H2000、クラリアントジャパン社製)を0.5部添加し、周速を15m/secとして30秒混合1分間休止を5サイクル行い、シアントナーを得た。ついで、トナー粒子100部に疎水性シリカ0.5部と、疎水化酸化チタン0.5部をヘンシェルミキサーにて混合して、本発明のトナーを得た。
【0049】
他色のトナーは、「銅フタロシアニンブルー顔料(シアン顔料)4部」の部分だけ変更して作る。すなわち、
イエロートナー作成の場合、ベンジジンイエロー顔料 6部
マゼンタトナーの場合、ローダミンレーキ顔料 6部
ブラックトナーの場合、カーボンブラック 10部
となる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】タンデム型カラー画像形成装置の一例であるレーザプリンタを示す断面図
【図2】吸引型ポンプによるトナーの搬送例を示す断面図
【図3】一軸偏芯ポンプによるトナー補給におけるロータの回転数(回転時間)と搬送されるトナー量の関係を示す図
【図4】本発明に係るトナー補給装置の実施例1を示す断面図
【図5】一軸偏芯スクリューポンプの一例であるモーノポンプの構造例を示す断面図
【図6】本発明に係るトナー補給装置の実施例2を示す断面図
【図7】実施例2における空気の注入範囲Xに設ける空気の注入部の一例を示す断面図
【図8】実施例2における空気の注入範囲Xに設ける空気の注入部の他の例を示す断面図
【図9】実施例2における空気の注入範囲Xに設ける空気の注入部のさらに他の例を示す断面図
【符号の説明】
【0051】
1Y、1M、1C、1K:トナー像形成部
10:吸引型ポンプ
12:トナー収納容器
13:チューブ(搬送経路)
15:ボックス(空気を注入するためのスペース)
16:エアーポンプ
17:ロータ
18:ステータ
20:モーノポンプ(一軸偏芯スクリューポンプ)
21:ポンプケース
22:補給ケース
23:補給クラッチ
30:多孔質部材
X:搬送経路で最下部となる範囲


【特許請求の範囲】
【請求項1】
二成分電子写真方式の現像装置にトナーを供給するためのトナー補給装置において、前記現像装置にトナーを供給するための搬送経路の途中でトナーに空気を送り込み得る空気供給手段を有することを特徴とするトナー補給装置。
【請求項2】
請求項1のトナー補給装置において、トナーを搬送するための手段として吸引ポンプを用いることを特徴とするトナー補給装置。
【請求項3】
請求項2のトナー補給装置において、前記吸引ポンプとして一軸偏芯スクリューポンプを用いることを特徴とするトナー補給装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかのトナー補給装置において、前記空気供給手段から空気をトナーに注入する位置を前記搬送経路内で最も低い位置としたことを特徴とするトナー補給装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかのトナー補給装置において、前記空気供給手段から空気をトナーに送り込むために搬送経路の部位を多孔質部材で形成してなることを特徴とするトナー補給装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかのトナー補給装置において、前記空気供給手段から空気をトナーに送り込むために搬送経路が、前記空気供給手段から空気をトナーに送り込む部位で、トナーに空気を送り込んだ後の前記搬送経路の断面積が、空気を送り込む前よりも断面積が大きくなるものであることを特徴とするトナー補給装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかのトナー補給装置を用いてなることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項7の画像形成装置において、前記トナーとして、少なくともプレポリマー、着色剤、離型剤からなるトナー組成物を、水系媒体中で樹脂微粒子の存在下で分散せしめ、該トナー組成物を重付加反応させ、得られたトナーを使用するものであることを特徴とする画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−89946(P2008−89946A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−270338(P2006−270338)
【出願日】平成18年10月2日(2006.10.2)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】