説明

トリアゾール含有フッ素化ポリマー

式1
[Rf−X1−A−X1−Y−C(O)−CZCH2m−[Wqp 式1
(式中、
fは、任意選択的に少なくとも1個の酸素原子によって中断されている、約2〜約20個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐のパーフルオロアルキル基、またはそれらの混合物であり、
各X1は独立して、約1〜約20個の炭素原子を有する、任意選択的にトリアゾール、酸素、窒素、もしくは硫黄、またはそれらの組み合わせを含有する有機二価連結基であり、
Aは1,2,3−トリアゾールであり、
Yは、OまたはN(R)2(ここで、RはHもしくはC1〜C20アルキルである)であり、
Zは、H、約1〜約4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐のアルキル基、またはハライドであり、
mは正の整数であり、
qはゼロまたは正の整数であり、
pはゼロまたは正の整数であり、そして
Wは
【化1】


または[R1−X1−Y−C(O)−CH2Z]
(式中、
1、Y、およびZは上に定義された通りであり、
Rxは、C(O)O(R1)、C(O)N(R22、OC(O)(R1)、SO2(R1)、C6(R35、O(R1)、ハライド、またはR1であり、
各R1は独立して、H、Cn2n+1、Cn2n−CH(O)CH2、[CH2CH2O]i4、[Cn2n]N(R42または[Cn2n]Cn2n+1であり、
nは1〜40であり、
4はHまたはCs2s+1であり、
s=0〜40であり、
i=1〜200であり、
各R2は独立して、H、またはCt2t+1(式中tが1〜20である)であり、
各R3は独立して、H、COOR1、ハロゲン、N(R12、OR1、SO2NHR1、CH=CH2、またはSO3Mであり、
Mは、H、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、またはアンモニウムである)である)の反発性およびしみ抵抗性を基材に与えるための共重合体が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撥油性、撥アルコール性、撥水性、耐汚れ性およびしみ抵抗性を被処理基材に与えるトリアゾール含有フッ素化共重合体に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な組成物が表面効果を基材に提供するための処理剤として有用であることが知られている。表面効果には、水分、汚れ、およびしみに対する反発性、ならびに繊維質基材および硬質表面などの他の基材にとって特に有用である他の効果が含まれる。多くのかかる処理剤はフッ素化ポリマーまたは共重合体である。
【0003】
様々な試みが、特定の表面効果を改善するために、およびより少ない量の高価なフッ素化ポリマーが同じレベルの性能を達成するようにまたは同じレベルのフッ素を使用してより良好な性能を有するようにフッ素効率を高める、すなわち処理剤の効率または性能を高めるために行われてきた。一方法は、ブロックトイソシアネートまたはメラミン樹脂を組み入れることである。しかしながら、これらの原料は処理された繊維質基材の風合い(感触)に悪影響を及ぼす傾向があるので限定量のみを使用することができる。
【0004】
別の方法は様々な増量剤ポリマーの使用である。これらは典型的には、基材への塗布前にフッ素化ポリマーエマルジョンとブレンドされる、水性エマルジョンでの炭化水素ポリマーである。任意選択的に、炭化水素ポリマーはまた、比較的少量のフッ素化モノマーを含有してもよい。
【0005】
米国特許公報(特許文献1)は、1つまたは複数の抗退色化合物、1つまたは複数の抗汚れ化合物、1つまたは複数のシリコン−ベースのポリマー、および1つまたは複数のキャリア媒体を含む組成物をポスト染色繊維材料に塗布する工程を含む、ポスト染色繊維材料の耐光退色性、防汚性、および撥水性の改善方法を開示している。抗退色化合物は、スクシンイミド、二酸、ベンゾキシオキサジン−オン、ジベンゾイルメタン、フェニルベンズイミダゾール、安息香酸類、安息香酸のエステル、桂皮酸のエステル、2−シアノ−3,3−ジフェニル−2−プロパン酸のエステル、サリチル酸のエステル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0006】
基材に反発性を与えるための処理剤として有用なほとんどの商業的に入手可能なフッ素化ポリマーは主に、所望の反発特性を提供するためにパーフルオロアルキル鎖中に8個以上の炭素を含有する。依然として同じまたは優れた表面効果を達成しながら、パーフルオロアルキル基の鎖長を減らし、それによって存在するフッ素の量を減らすことが望ましい。より低いレベルのフッ素を使用しながら繊維質基材および硬質表面基材用のフッ素化ポリマー処理剤の反発性およびしみ抵抗性を顕著に改善するポリマー組成物に対するニーズがある。本発明はかかる組成物を提供する。
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0022313号明細書
【特許文献2】米国仮特許出願第60/607,612号明細書
【特許文献3】米国特許出願第11/175680号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、式1
[Rf−X1−A−X1−Y−C(O)−CZCH2m−[Wqp 式1
(式中、
fは、任意選択的に少なくとも1個の酸素原子によって中断されている、約2〜約20個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐のパーフルオロアルキル基、またはそれらの混合物であり、
各X1は独立して、約1〜約20個の炭素原子を有する、任意選択的にトリアゾール、酸素、窒素、もしくは硫黄、またはそれらの組み合わせを含有する有機二価連結基であり、
Aは1,2,3−トリアゾールであり、
Yは、OまたはN(R)2(ここで、RはHもしくはC1〜C20アルキルである)であり、
Zは、H、約1〜約4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐のアルキル基、またはハライドであり、
mは正の整数であり、
qはゼロまたは正の整数であり、
pはゼロまたは正の整数であり、そして
Wは
【0009】
【化1】

【0010】
または[R1−X1−Y−C(O)−CH2Z]
(式中、
1、Y、およびZは上に定義された通りであり、
Rxは、C(O)O(R1)、C(O)N(R22、OC(O)(R1)、SO2(R1)、C6(R35、O(R1)、ハライド、またはR1であり、
各R1は独立して、H、Cn2n+1、Cn2n−CH(O)CH2、[CH2CH2O]i4、[Cn2n]N(R42または[Cn2n]Cn2n+1であり、
nは1〜40であり、
4はHまたはCs2s+1であり、
s=0〜40であり、
i=1〜200であり、
各R2は独立して、H、またはCt2t+1(式中tが1〜20である)であり、
各R3は独立して、H、COOR1、ハロゲン、N(R12、OR1、SO2NHR1、CH=CH2、またはSO3Mであり、
Mは、H、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、またはアンモニウムである)
である)
の任意の順序で繰り返し単位を有する共重合体を含む組成物を含む。
【0011】
本発明はさらに、式2
f−X1−A−X1−Y−C(O)C(Z)=CH2 式2
(式中、Rf、X1、A、Y、およびZはそれぞれ上記の式1についての通り定義される)
を含む組成物を含む。
【0012】
本発明はさらに、式3
f−X1−A−X1−B 式3
(式中、Rf、X1、およびAはそれぞれ上記の式1での通り定義され、Bは、ヒドロキシル、アミン、ハロゲン、チオール、スルホニルクロリド、およびカルボキシレートからなる群から選択され、好ましくはヒドロキシルまたはアミンである)
を含む組成物を含む。
【0013】
本発明はさらに、反発性およびしみ抵抗性を基材に提供する方法であって、前記基材を上に定義されたような式1の組成物と接触させる工程を含む方法を含む。
【0014】
本発明はさらに、上記の式1の組成物で処理された基材を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
すべての商標は本明細書では大文字で示される。本明細書ではすべての場合に、用語「(メタ)アクリレート」はアクリレートまたはメタクリレートの両方を示すために用いられる。
【0016】
本発明は、改善されたフッ素効率を有するトリアゾール含有フッ素化共重合体を含む。本共重合体は、トリアゾール含有フッ素化アクリルモノマーと、アルキル(メタ)アクリレートモノマーと任意選択的に他のモノマーとの重合によって製造される。「フッ素効率」とは、基材に塗布されたときに、最小量のフルオロケミカルを使用して反発特性またはしみ抵抗性などの所望の表面効果を得る、または同じレベルのフッ素を用いてより良好な性能を得る能力を意味する。高いフッ素効率を有する共重合体は、比較共重合体より低い量のフッ素を用いて同じまたはより高いレベルの表面効果を生み出す。
【0017】
本発明の共重合体は、式1
[Rf−X1−A−X1−Y−C(O)−CZCH2m−[Wqp 式1
(式中、
fは、任意選択的に少なくとも1個の酸素原子によって中断されている、約2〜約20個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐のパーフルオロアルキル基、またはそれらの混合物であり、
各X1は独立して、約1〜約20個の炭素原子を有する、任意選択的にトリアゾール、酸素、窒素、もしくは硫黄、またはそれらの組み合わせを含有する有機二価連結基であり、
Aは1,2,3−トリアゾールであり、
Yは、OまたはN(R)2(ここで、RはHもしくはC1〜C20アルキルである)であり、
Zは、H、約1〜約4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐のアルキル基、またはハライドであり、
mは正の整数であり、
qはゼロまたは正の整数であり、
pはゼロまたは正の整数であり、そして
Wは
【0018】
【化2】

【0019】
または[R1−X1−Y−C(O)−CH2Z]
(式中、
1、Y、およびZは上に定義された通りであり、
Rxは、C(O)O(R1)、C(O)N(R22、OC(O)(R1)、SO2(R1)、C6(R35、O(R1)、ハライド、またはR1であり、
各R1は独立して、H、Cn2n+1、Cn2n−CH(O)CH2、[CH2CH2O]i4、[Cn2n]N(R42または[Cn2n]Cn2n+1であり、
nは1〜40であり、
4はHまたはCs2s+1であり、
s=0〜40であり、
i=1〜200であり、
各R2は独立して、H、またはCt2t+1(式中tが1〜20である)であり、
各R3は独立して、H、COOR1、ハロゲン、N(R12、OR1、SO2NHR1、CH=CH2、またはSO3Mであり、
Mは、H、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、またはアンモニウムである)
である)
を含む。
【0020】
好ましくはRfは、任意選択的に少なくとも1個の酸素原子によって割り込まれた、約4〜20個の炭素原子、より好ましくは約4〜約12個の炭素原子を有する直鎖または分岐のパーフルオロアルキル基、またはそれらの混合物である。
【0021】
好適な連結基X1の例には、直鎖、分岐鎖または環式アルキレン、フェニル、アリーレン、アラルキレン、スルホニル、スルホキシ、スルホンアミド、カルボンアミド、カルボニルオキシ、ウレタニレン、ウレイレン、およびスルホンアミドアルキレンなどのそれらの組み合わせが挙げられる。
【0022】
Aは好ましくは1,4−または1,5−二置換トリアゾールである。
【0023】
好ましい基Yの例は、OまたはN(R)2(ここで、RはHもしくはC1〜C4アルキルである)である。
【0024】
好ましくは、mおよびpはそれぞれ独立して約1〜200である。
【0025】
式1の共重合体は、フッ素化(メタ)アクリレートまたは非フッ素化(メタ)アクリレートを式2
f−X1−A−X1−Y−C(O)C(Z)=CH2 式2
(式中、Rf、X1、A、Y、およびZはそれぞれ上記の式1についての通り定義される)
のトリアゾール含有フッ素化アクリルモノマーと反応させることによって製造される。
【0026】
式1の共重合体の製造に使用される、式2のトリアゾール含有フッ素化アクリルモノマーは、アクリル酸、アクリレートエステル、または塩化アクリロイルを、式3
f−X1−A−X1−B 式3
(式中、
f、X1、およびAはそれぞれ上記の式1での通り定義され、そして
Bは、ヒドロキシル、アミン、ハロゲン、チオール、スルホニルクロリド、およびカルボキシレートからなる群から選択され、好ましくはヒドロキシルまたはアミンである)
のトリアゾール含有フルオロケミカルと接触させることによって製造される。反応に好ましい条件は、約0℃〜約60℃の温度である。好適な溶媒には、テトラヒドロフラン、メチルイソブチルケトン、アセトンまたは酢酸エチルが含まれる。第三級アミンが、反応中に形成される任意の酸クロリドを捕捉するための塩基として使用される。
【0027】
式3の化合物は、触媒としての銅金属の存在下にパーフッ素化アルキルアジドと脂肪族または芳香族アルキンとの間の二極性シクロ付加によって製造される。アルキンは少なくとも1つのアルコールおよび/またはアミノ基、またはそれらの組み合わせで置換されていることができる。反応は、約25℃〜約100℃の温度で行われる。好ましくは、溶媒は全く用いられないが、好適な溶媒には、テトラヒドロフラン、メチルイソブチルケトン、アセトン、イソプロパノール、エタノール、メタノールまたは水が含まれる。
【0028】
本発明の式2のトリアゾール含有フッ素化アクリルモノマーは次に、式1の共重合体を製造するためにフッ素化(メタ)アクリレートまたは非フッ素化(メタ)アクリレートと重合させられる。
【0029】
本発明の式1の共重合体の製造での使用に好適な非フッ素化(メタ)アクリレートモノマーは、アルキル基が1〜20個の炭素原子、好ましくは8〜18個の炭素原子を含有する直鎖もしくは分岐鎖であるアルキル(メタ)アクリレート、またはそれらの混合物を含む。C2〜C20アルキル(メタ)アクリレート(線状または分岐の)は、アルキル基がメチル、エチル、プロピル、ブチル、イソアミル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、2−エチルヘキシル、デシル、イソデシル、ラウリル、セチル、またはステアリルであるアルキル(メタ)アクリレートで例示されるが、それらに限定されない。好ましい例は、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレートおよびステアリルアクリレートである。
【0030】
追加の任意のモノマーをまた、追加の繰り返し単位を含有する式1の共重合体を製造するために重合反応に使用することもできる。これらの任意のモノマーには、N−メチロール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アルキルオキシ(メタ)アクリレート、フッ素化(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ステアリルアクリレート、アミノアルキルメタクリレート塩酸塩、アクリルアミド、アルキルアクリルアミド、酢酸ビニル、ステアリン酸ビニル、アルキルビニルスルホン、スチレン、ビニル安息香酸、アルキルビニルエーテル、無水マレイン酸、塩化ビニリデン、塩化ビニル、およびオレフィンが含まれる。
【0031】
任意のN−メチロールモノマーは、N−メチロールアクリルアミドおよびN−メチロールメタクリルアミドで例示されるが、それらに限定されない。任意のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートは2〜4個の炭素原子の範囲のアルキル鎖長を有し、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレートで例示される。任意のアルキルオキシ(メタ)アクリレートもまた2〜4個の炭素原子の範囲のアルキル鎖長を有し、ガスクロマトグラフィー/質量分析法によって測定されるように、分子当たり1〜12個のオキシアルキレン単位、好ましくは分子当たり4〜10個のオキシアルキレン単位、最も好ましくは分子当たり6〜8個のオキシアルキレン単位を含有する。ポリ(オキシアルキレン)(メタ)アクリレートの具体的な例は、2−ヒドロキシエチルメタクリレートとエチレンオキシドとの反応生成物で例示されるが、それに限定されない。9モルのエチレンオキシドとの反応は2−ヒドロキシエチルメタクリレート/9−エチレンオキシド付加体をもたらし、6モルのエチレンオキシドとの反応は2−ヒドロキシエチルメタクリレート/6−エチレンオキシド付加体をもたらす。他の任意の非フッ素化モノマーは、スチレン、無水マレイン酸、および塩化ビニリデンであることができる。かかる任意のモノマーが存在するとき、用いられる重合法は、当業者に公知の従来法である。
【0032】
本発明の式1のフッ素化共重合体は、式2のトリアゾール含有フッ素化アクリルモノマーと(メタ)アクリレートと、上にリストされた任意のモノマーのいずれかとの混合物のフリーラジカル開始重合によって有機溶媒または水中で製造される。本発明のフッ素化共重合体は、かき混ぜ装置と外部加熱および冷却装置を備えている好適な反応容器中で界面活性剤入り有機溶媒または水中で上記のモノマーをかき混ぜることによって製造される。フリーラジカル開始剤が加えられ、温度は約40℃〜約70℃に上げられる。重合調節剤または連鎖移動剤が、得られるポリマーの分子量をコントロールするために加えられてもよい。重合開始剤は、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩または2,2’−アゾビス(イソブチルアミジン)二塩酸塩で例示される。これらの開始剤は、「ヴァゾ(VAZO)」の名称で商業的に、本願特許出願人、デラウェア州ウィルミントン(Wilmington,Delaware)によって販売されている。重合調節剤または連鎖移動剤の例はドデシルメルカプタンである。本発明の式1の共重合体の製造に有用な好適な有機溶媒には、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルイソブチルケトン、イソプロパノール、酢酸エチル、およびそれらの混合物が含まれる。テトラヒドロフランが好ましい。反応は、酸素の排除のため、窒素などの不活性ガス下に行われる。溶媒は蒸発によって除去することができるか、または溶液は、希釈および基材への塗布のためにそのままにしておくことができる。反応の生成物は、式1のトリアゾール含有フッ素化共重合体である。
【0033】
式1のトリアゾール含有フッ素化共重合体は、約25〜約80重量%の式2のトリアゾール含有フッ素化アクリレート、約1〜約40重量%の(メタ)アクリレート、および0〜約75重量%の任意のモノマーを使用して製造することができる。
【0034】
生じた式1のトリアゾール含有フッ素化共重合体は次に水で希釈されるか、または基材への最終塗布のための溶媒(本明細書では以下「塗布溶媒」)として好適である簡単なアルコールおよびケトンを含む群から選択された溶媒にさらに分散もしくは溶解される。
【0035】
あるいはまた、界面活性剤での従来法によって製造される水性分散系は、蒸発による溶媒の除去と、当業者に公知の乳化または均質化手順の使用とによって調製される。かかる溶媒を含まないエマルジョンは、引火性と揮発性有機化合物(VOC)懸念とを最小限にするために好ましいかもしれない。
【0036】
基材への塗布のための最終製品は、式1のトリアゾール含有フッ素化共重合体の分散系(水ベースの場合)または溶液(水以外の溶媒が使用される場合)である。
【0037】
本発明はさらに、本発明の式1のトリアゾール含有フッ素化共重合体溶液または分散系を基材と接触させる工程を含む、撥油性、防汚性およびしみ抵抗性を基材に提供する方法を含む。好適な基材には、下に定義されるような繊維状または硬質表面基材が含まれる。
【0038】
本発明はさらに、式1A
[Rf−X1−A−X1−Y−C(O)−CZCH2m−[Wqp 式1A
(式中、
fは、任意選択的に少なくとも1個の酸素原子によって中断されている、約2〜約20個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐のパーフルオロアルキル基、またはそれらの混合物であり、
各X1は独立して、約1〜約20個の炭素原子を有する、任意選択的にトリアゾール、酸素、窒素、もしくは硫黄、またはそれらの組み合わせを含有する有機二価連結基であり、
Aは1,2,3−トリアゾールであり、
Yは、OまたはN(R)2(ここで、RはHもしくはC1〜C20アルキルである)であり、
Zは、H、約1〜約4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐のアルキル基、またはハライドであり、
mは正の整数であり、
qはゼロまたは正の整数であり、
pはゼロまたは正の整数であり、そして
Wは
【0039】
【化3】

【0040】
または[R1−X1−Y−C(O)−CH2Z]
(式中、
1、Y、およびZは上に定義された通りであり、
Rxは、C(O)O(R1)、C(O)N(R22、OC(O)(R1)、SO2(R1)、O(R1)、ハライド、またはR1であり、
各R1は独立して、H、Cn2n+1、Cn2n−CH(O)CH2、[CH2CH2O]i4、[Cn2n]N(R42または[Cn2n]Cn2n+1であり、
nは1〜40であり、
4はHであり、
s=0〜40であり、
i=1〜200であり、
各R2は独立して、H、またはCt2t+1(式中tが1〜20である)であり、
各R3は独立して、H、COOR1、ハロゲン、N(R12、OR1、SO2NHR1、CH=CH2、またはSO3Mであり、
Mは、H、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、またはアンモニウムである)
である)
のトリアゾール含有フッ素化共重合体溶液または分散系と基材を接触させる工程を含む、撥水性および撥アルコール性を基材に提供する方法を含む。
【0041】
本発明のトリアゾール含有フッ素化共重合体溶液または分散系は、任意の好適な方法によって基材に塗布される。かかる方法は当業者に公知であり、吸尽、泡、フレックス−ニップ、ニップ、パッド、キス−ロール、ベック、かせ、ウィンチ、液体注入、オーバーフロー・フラッド、ロール、ブラシ、ローラー、スプレー、ディッピング、浸漬などによる塗布を含むが、それらに限定されない。それはまた、従来のベック染色手順、連続染色手順またはスレッドライン塗布を用いて塗布することもできる。
【0042】
本発明のトリアゾール含有フッ素化共重合体溶液または分散系は、それ自体で、または他の任意の織物仕上げ剤または表面処理剤と組み合わせて基材に塗布される。
【0043】
かかる任意の追加成分には、追加の表面効果を達成するための処理剤もしくは仕上げ剤、またはかかる試剤または仕上げ剤と共に普通に使用される添加剤が含まれる。かかる追加成分は、ノーアイロン、簡単なアイロン掛け、収縮制御、皺なし、パーマネントプレス、水分制御、柔らかさ、強度、滑り防止、帯電防止、ほつれ防止、抗ピル性、防しみ性、しみ除去、防汚性、汚れ除去、撥水性、撥油性、防臭、抗菌性、日焼け防止、および類似の効果などの表面効果を提供する化合物または組成物を含む。1つまたは複数のかかる処理剤または仕上げ剤は、本発明の共重合体の前、その後、またはそれと同時に塗布することができる。例えば、繊維質基材については、合成または綿布が処理されるとき、本願特許出願人、デラウェア州ウィルミントンから入手可能なアルカノール(ALKANOL)6112などの、湿潤剤の使用が望ましい場合がある。綿または綿混紡布が処理されるとき、オムノバ・ソリューションズ、サウスカロライナ州チェスター(Omnova Solutions,Chester,SC)から入手可能なパーマフレッシュ(PERMAFRESH)EFCなどの耐皺性樹脂を使用することができる。
【0044】
界面活性剤、pH調整剤、架橋剤、湿潤剤、ワックス増量剤、および当業者により既知の他の添加剤などの、かかる処理剤または仕上げ剤と共に普通に使用される他の添加剤もまた存在してもよい。好適な界面活性剤には、陰イオン性、陽イオン性、および非イオン性が含まれる。ウィットコ・コーポレーション、コネチカット州グリニッチ(Witco Corporation,Greenwich,CT)からデュポノール・ワクェ(DUPONOL WAQE)として入手可能な、ラウリルスルホン酸ナトリウムなどの陰イオン性界面活性剤が好ましい。かかる仕上げ剤または試剤の例には、加工助剤、発泡剤、滑剤、抗しみ剤などが挙げられる。組成物は、製造設備、小売店の店舗で、または取り付けおよび使用前に、または消費者のもとで塗布される。
【0045】
本発明の式1のトリアゾール含有フッ素化共重合体溶液または分散系についての塗布率は、基材気孔率に依存して約10〜約1000g/m2の範囲にある。処理された繊維質基材は典型的には、約0.05〜約1.0重量%のフッ素含有率を有する。
【0046】
任意選択的に、耐久性をさらに高めるためのブロックトイソシアネートが式1の組成物に加えられる(すなわち、ブレンドされたイソシアネートとして)。本発明に使用するための好適なブロックトイソシアネートの例は、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ、ニュージャージー州ハイ・ポイント(Ciba Specialty Chemicals,High Point,NJ)から入手可能なヒドロホボールXAN(HYDROPHOBOL XAN)である。他の商業的に入手可能なブロックトイソシアネートもまた、本明細書での使用に好適である。ブロックトイソシアネートを加えることの望ましさは、本共重合体の特定の用途に依存する。現在想定される用途のほとんどについては、それは、満足できる鎖間の架橋または基材への接合を達成するために存在する必要はない。ブレンドされるイソシアネートとして加えられるとき、約20重量%以下の量を加えることができる。
【0047】
任意選択的に、非フッ素化増量剤組成物もまた、フッ素効率を潜在的にさらに上げるために塗布組成物中に含められる。かかる任意の追加の増量剤ポリマー組成物の例は、2004年9月7日に出願された同時係属の米国特許公報(特許文献2)(CH2996)、および2005年7月6日に出願された米国特許公報(特許文献3)(CH3048)に開示されているものである。
【0048】
所与の基材のための最適な反発性処理は、(1)フッ素化共重合体の特性、(2)基材の表面の特性、(3)表面に塗布されるフッ素化共重合体の量、(4)表面上へのフッ素化共重合体の塗布の方法、および多くの他の因子に依存する。幾つかのフッ素化共重合体撥剤は、多くの異なる基材でうまくいき、油、水、および広範囲の他の液体に対して反発性である。他のフッ素化共重合体撥剤は、幾つかの基材に関して優れた反発性を示すか、またはより高いローディングレベルを必要とする。
【0049】
本発明はまた、本発明の式1のトリアゾール含有フッ素化共重合体溶液または分散系で処理された基材を含む。好適な基材には、繊維状または硬質表面基材が含まれる。繊維状基材には、織繊維および不織繊維、布、混紡布、織物、不織布、紙、皮革、およびカーペットが含まれる。これらは、綿、セルロース、羊毛、絹、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアクリロニトリル、ポリプロピレン、レーヨン、ナイロン、アラミド、およびアセテートまたはそれらの混紡をはじめとする天然または合成繊維から製造される。「混紡布」とは、2つ以上のタイプの繊維でできた布を意味する。典型的には、これらの混紡は、少なくとも1つの天然繊維と少なくとも1つの合成繊維との組み合わせであるが、2つ以上の天然繊維または2つ以上の合成繊維の混紡もまた含むことができる。硬質表面基材には、ガラス、石、メーソンリー、コンクリート、素焼きタイル、煉瓦、多孔質粘土および表面多孔性の様々な他の基材などの、多孔質および非多孔質鉱物表面物が含まれる。かかる基材の具体的な例には、無釉のコンクリート、煉瓦、タイル、石(花崗岩および石灰岩をはじめとする)、グラウト、モルタル、大理石、石灰岩、彫像、モニュメント、木材、テラゾなどの複合材料、ならびに石膏ボードで製造されたものをはじめとする壁および天井パネルが含まれる。これらは、ビルディング、道路、エプロン、ドライブウェイ、フローリング、暖炉、暖炉火床、カウンタートップの建設で、ならびに室内および屋外用途での他の装飾用途で使用される。
【0050】
本発明のトリアゾール含有フッ素化共重合体組成物は、優れた撥水性、撥アルコール性、撥油性、防汚性、およびしみ抵抗性の1つまたは複数を被処理基材に提供するのに有用である。この優れた撥水性、撥アルコール性、撥油性、ならびに防汚性およびしみ抵抗性は、従来のパーフルオロカーボン表面処理剤と比較してより低いフッ素濃度を用いて得られ、被処理表面の保護の点で改善された「フッ素効率」を提供する。本発明のトリアゾール含有フッ素化共重合体は、従来のフルオロケミカル表面保護剤についてのフッ素濃度の約半分〜1/3のフッ素濃度で有効である。この改善されたフッ素効率の例として、乾燥ポリマーの24重量%のフッ素含有率を有する本発明のトリアゾール含有フッ素化アクリレート/オクタデシルアクリレートは、40重量%のフッ素含有率を有する、パーフルオロアルキルエチルアクリレート/オクタデシルアクリレートの従来の表面保護剤分散系で処理された基材と比較して等しいかまたは増加した撥水性、撥アルコール性、および撥油性、耐汚れ性およびしみ抵抗性を試験基材に提供した。本発明のトリアゾール含有フッ素化共重合体はまた、6個以下の炭素原子を含有するより短いフルオロアルキル基の使用を可能にするが、トリアゾールを含有しない従来の商業的に入手可能なアクリレートは典型的には、フルオロアルキル基が8個未満の炭素原子を含有する場合、不十分な撥油および撥水性能を示す。
【0051】
(試験方法)
(試験方法1−布処理)
布を、パッド浴(ディッピング)法を用いて本共重合体分散系または溶液で処理した。実施例での表に詳述されるような、0.2〜2%の本フッ素化製品を含有する浴を、試験で明記されるようなブロックド増量剤(0〜2%)および/または柔軟剤(0〜2%)としばしば組み合わせて用いて布基材を処理した。ナイロン布については湿潤剤をまた0.2%で浴に含めた。塗布後に、布を任意選択的におおよそ160℃で1〜3分間乾燥させ、硬化させた。布を処理および硬化後に室温まで放冷した。
【0052】
(試験方法2−洗濯手順)
布サンプルを、テフロン(登録商標)・グローバル仕様および品質管理試験(TEFLON Global Specifications and Quality Control Tests)情報パケットに概説される米国家庭洗濯法(U.S.Home Laundering Method)に従って洗濯した。布サンプルを、4ポンド(1.0kg)の総乾燥負荷を与えるためのバラスト負荷と共にケンモア(KENMORE)自動洗濯機中へ入れた。市販の洗剤を加え(AATCC(米国繊維化学者・色彩技術者協会)1993 標準的基準洗剤(Standard Reference Detergent)WOB)、洗濯機を高水レベルまで温水(105°F)(41℃)で満たした。サンプルおよびバラストを、12分の標準洗濯サイクル、引き続くリンスおよび回転サイクルを用いて指定回数(5HW=5回洗濯、10HW=10回洗濯など)洗濯した。サンプルは洗濯サイクル間で乾燥させなかった。洗濯が完了した後、湿った布サンプルおよびバラストをケンモア自動乾燥機に移し、高/綿設定で45分間乾燥させて155〜160°F(68〜71℃)の通気口温度を達成した。
【0053】
(試験方法3−撥水性)
被処理基材の撥水性は、AATCC標準試験方法No.193−2004およびテフロン(登録商標)・グローバル仕様および品質管理試験情報パケットに概説されるようなデュポン技術実験室方法(DuPont Technical Laboratory Method)に従って測定した。本試験は、水性液体よる湿潤への被処理基材の抵抗性を測定する。様々な表面張力の水−アルコール混合物の滴を基材上に置き、表面湿潤の程度を目視により測定する。本試験は、水性しみ抵抗性の粗い指標を提供する。撥水性格付けが高ければ高いほど、水性物質による仕上げ基材のしみ抵抗性は良好である。
【0054】
撥水性試験液の組成を表1に示す。
【0055】
【表1】

【0056】
(試験手順)
試験液1の3滴を被処理基材上に置く。10秒後に、滴を、真空吸引を用いることによって除去する。液体浸透が全く観察されないかまたは部分的な吸収(基材上のより暗い湿斑の出現)が観察される場合には、試験を試験液2で繰り返す。液体浸透(基材上のより暗い湿斑の出現)が観察されるまで、試験を、試験液3および次第により高い試験液番号のもので繰り返す。試験結果は、基材中へ浸透しない一番大きい試験液番号のものである。より高い評点はより大きい反発性を示唆する。
【0057】
(試験方法4−撥水性−スプレー格付け)
撥水性はさらに、スプレー試験方法を用いることによって試験することができる。被処理布サンプルを、次の通り行われるAATCC標準試験方法No.22−1996に従って撥水性について試験した。前記のようなポリマーの水性分散系で処理した布サンプルを、23℃+20%相対湿度および65℃+10%相対湿度で最低2時間維持する。布サンプルを次に、布が皺なしであるようにプラスチック/金属刺繍輪上にしっかりと固定する。輪を、布が上を向いているように試験スタンド上に置く。次に250mLの80±2°F(27±1℃)の水を試験漏斗に注ぎ込み、水を布表面上へ吹き付けさせる。いったん水が漏斗を流れ抜けてしまったら、輪を、布が下向きで、固体物体のエッジに向かってトントンたたき、180度回転させて再びトントンたたく。斑点のあるまたは湿った表面を、AATCC技術マニュアル(Technical Manual)に見いだされるAATCC標準と比較する。表面がより湿っていればいるほど、数字はより低く、反発性はより乏しい。100は湿潤なしを意味し、90はわずかな湿潤(3つの小さなスポット)を意味し、80はスプレーポイントでの幾つか(10)のスポットで示される湿潤を意味し、70は上部布表面の部分湿潤を意味し、50は全体上部布表面の湿潤を意味し、0は下部および上部布表面の完全湿潤を意味する。より高い格付けはより大きい反発性を示唆する。
【0058】
(試験方法5−撥油性)
被処理布サンプルを、次の通り行われるAATCC標準試験方法No.118の改良法によって撥油性について試験した。前記のようなポリマーの水性分散系で処理した布サンプルを、23℃+20%相対湿度および65℃+10%相対湿度で最低2時間維持する。表2に下で特定される一連の有機液体を次に布サンプルに滴加する。一番小さい番号の付いた試験液(反発性格付けNo.1)から始めて、一滴(おおよそ直径5mmまたは0.05mL容量)を、少なくとも5mm離れた3つの場所のそれぞれ上に置く。滴を30秒間観察する。この期間の終わりに、3滴のうち2滴が滴の周りにウィッキングなしで依然として球形形状である場合、次のより高い番号の付いた液体の3滴を隣接サイト上に置き、同様に30秒間観察する。本手順を、試験液の1つが球形〜半球形にならない3滴のうちの2滴となるか、または湿潤もしくはウィッキングが起こるまで続ける。
【0059】
布の撥油性格付けは、3滴のうち2滴が30秒間ウィッキングなしで、球形〜半球形に留まった一番大きい番号の付いた試験液である。一般に、5以上の格付けの被処理布は良好〜優秀であると考えられ、1またはそれ以上の格付けを有する布はある種の用途に使用することができる。
【0060】
硬質表面基材の被処理サンプルを、次の通り行われるAATCC標準試験方法No.118の改良法によって撥油性について試験した。表2での試験オイル1の3滴を被処理基材上に置く。30秒後に、滴を、真空吸引を用いることによって除去する。液体浸透が全く観察されないかまたは部分的な吸収(基材上のより暗い湿斑の出現)が観察される場合、試験を試験オイル2で繰り返す。液体浸透(基材上のより暗い湿斑の出現)が観察されるまで、試験オイル3および次第により高い試験オイル番号のもので試験を繰り返す。試験結果は、基材中への液体浸透を示さない一番大きい試験オイル番号のものである。
【0061】
【表2】

【0062】
(試験方法6−しみ試験)
しみ試験は、以下の手順を用いて指示サンプルに関して行った。被処理および未処理(対照)基材のサンプルを調製し、室温で16〜48時間乾燥させた。選択された商業的に入手可能な製品の小滴を、基材にしみをつけるために使用する。汚染物を被処理表面に付け、室温で24時間基材と接触したままにする。汚染物および出所を表3に示す。
【0063】
洗いブラシを、0.6N/cm2の圧力を用いて、基材の一面を50回(50ストローク)通過させる。しみを評価する前に、基材を水道水、次に脱イオン水でリンスする。汚染物小滴が付けられた表面を、表4に示す以下のクライテリアに従って格付けする。より低い数字は、より大きいしみ抵抗性を示唆する。
【0064】
【表3】

【0065】
【表4】

【0066】
(試験方法7−接触角測定)
接触角は、以下の手順を用いて測定した。12インチ×12インチ(30.5cm×30.5cm)ウォーカー・ザンガー・アルハンブラ石灰岩(Walker Zanger Alhambra Limestone)タイルをイソプロピルアルコール(IPA)で拭いていかなるほこりまたはよごれも除去し、2〜3時間、十分に乾燥させる。このタイルを10セクションに均等に分割し、マスキングテープの一片を用いて試験区域を区切る。石灰岩タイルを、試験されるべき塗布溶液または分散系中へ30秒間2回サッと浸け、浸漬間に2分の乾燥時間を与える。次にサンプルを周囲条件下で48時間乾燥させる。脱イオン水の3つの40マイクロリットル滴をタイル上へ付け、23℃で5分間放置し、接触角を測定する。より高い接触角は、より多い反発性の表面を示唆する。5が優れており、そして0が浸透を表す、5〜0尺度を用いて接触角を測定するために反発性格付けチャートを用いる。(下の反発性格付けチャートを参照されたい)。
5=接触角100〜120° 4=接触角75〜90°
3=接触角45〜75° 2=接触角25〜45°
1=接触角10〜25° 0=接触角<10°
【0067】
(試験方法8−乾燥汚れ試験)
被処理布サンプルを、以下の手順を用いて耐汚れ性について試験した。試験されるべき布サンプルを10×10cm平方へカットし、布サンプルの乾燥重量を基準として5%の合成汚れと共に紙袋中で振盪する。最高6サンプルを袋中で同時に振盪する。合成汚れは、AATCC試験方法123−2000、セクション8に記載されているように調製した。紙袋はおおよそ40cm高さ×20cm幅×12cmのサイズを有する。袋を手動で5分間振盪する。布サンプルを紙袋から取り出し、次に真空引きによってきれいにする。汚れた布サンプルを、比較用の汚されていない正方形の同じ布と一緒に置く。サンプルを、色差を測定するための対照(汚されていない)布平方と比較して等級分けする。サンプルは、本願特許出願人、デラウェア州ウィルミントンから入手可能な、「テフロン(登録商標)で処理された布についてのデュポン・テキスタイルおよびインテリア・グローバル仕様および品質管理試験(DuPont Textiles and Interiors Global Specifications and Quality Control Tests for Fabrics Treated with TEFLON)」に公表されているような標準写真と比較して1〜5の尺度で格付けする。より高い数字は優れた反発性を示唆する。
【0068】
(試験方法9−紙についての撥油性)
紙サンプルの撥油性は、タッピ・キット試験手順(Tappi Kit Test Procedure)(TAPPI UM 557)を用いることによって試験した。各試験検体を、試験されるべき区域に触れないように注意して、試験面を上に、きれいな平面上に置いた。約1インチ(2.5cm)の高さから、中間キット番号試験ボトルからのタッピ・キット試験液の1滴を試験区域上へ落とした。滴をつけたときにストップウォッチをスタートさせた。正確に15秒後に、過剰の流体を、綿布のきれいなスワッチで除去し、湿った区域を直ちに調べた。不合格は、滴の下の小さな区域においてでさえ、浸透によって引き起こされた検体の顕著な黒ずみから明らかであった。本手順を、他のキット番号ボトルからの滴が手づかずの区域に確実に落ちるようにして、必要に応じて繰り返した。結果は、不合格をもたらすことなく15秒間検体の表面上に変わらずにある最も大きい番号の付いた溶液であるキット格付けとして報告した。四捨五入して5検体の平均キット格付けを報告した。
【0069】
タッピ・キット試験液の組成を表5に示す。
【0070】
【表5】

【実施例】
【0071】
実施例セクション中のすべての表について、%Fは、特に明記しない限り塗布溶液または分散系中のパーセント・フッ素を示す。
【0072】
(実施例1)
丸底フラスコに、80.0g(0.206モル)の8−アジド−1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−トリデカフルオロオクタン、0.5gの銅削り屑および11.5g(0.206モル)のプロパルギルアルコールを装入した。混合物を、磁気撹拌プレートおよび撹拌バーを用いて室温で一晩激しく撹拌した。反応の完了は、液体混合物の白色固体塊への変化によって明示された。固体塊を100mLのメタノールに溶解させ、次に濾過して銅金属を除去した。次に、メタノール溶液をシリカゲルに通して濾過していかなる可溶性銅塩をも生成物から除去した。溶媒を、ロータリーエバポレーターを用いて蒸発させ、白色粉末を86%収率で得た。反応の生成物は(1−(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)メタノールであった。
【0073】
(実施例2)
四つ口丸底フラスコ中で、実施例1の手順に従って製造した10g(0.022モル)の(1−(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)メタノールおよび3.4g(0.034モル)のトリエチルアミンを25mLのテトラヒドロフランに溶解させた。溶液を、氷浴を用いて0℃に冷却し、250rpmで撹拌した。別個の溶液を、3.1g(0.034モル)の塩化アクリロイルを25mLのテトラヒドロフランに溶解させることによって調製した。この溶液を、温度を氷浴で15℃より下の温度に維持しながら、反応器に滴加した。塩化アクリロイル溶液の滴加が完了した後、氷浴を取り除き、反応を1時間続けた。次に50mLのメタノールを加え、反応マスを30分間撹拌して反応をクエンチした。溶媒を、ロータリーエバポレーターを用いて蒸発させ、生じた固体を酢酸エチルに溶解させ、50mL部分の水で5回抽出した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、次に濾過した。濾液の溶媒を真空下に蒸発させて淡黄色固体を82%収率で得た。生じた生成物は(1−(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)メチルアクリレートであった。
【0074】
(実施例3)
実施例2の生成物をステアリルアクリレートと共重合させた。試験管中で、実施例2の手順に従って製造した4.0gの(1−(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)メチルアクリレート(C6−TCFAM)、2.6gのステアリルアクリレート、0.04gのドデシルメルカプタン、0.08gのヴァゾ67(本願特許出願人、デラウェア州ウィルミントン)および20mLのテトラヒドロフランを、磁気撹拌バーおよび撹拌プレートを用いて一緒に混合した。試験管をゴムセプタムでキャップし、ドライアイス/アセトン浴に入れた。表面下窒素パージを冷却した反応マスに2時間かけた。次に窒素フローを停止し、試験管を加熱ブロック上に置いた。温度を70℃に調節し、反応マスを一晩撹拌した。次に溶媒を真空下に蒸発させた。2.5%界面活性剤(ポリマーの量に関して)を含有する水溶液を、TCIアメリカ、カリフォルニア州サンディエゴ(TCI America,San Diego,CA)から入手可能な、0.125gのN,N−ジメチル−n−オクタデシルアミン(アーメーン(Armeen)DM18D)、および0.094gの酢酸を30mLの水に溶解させることによって調製した。実施例3の手順に従って製造したトリアゾール含有フッ素化共重合体を真空下に乾燥させ、次に22%固形分の濃度にメチルイソブチルケトン(MIBK)に溶解させた。トリアゾール含有フッ素化共重合体溶液の25gアリコートを界面活性剤溶液に加え、混合物が均一になるまで超音波処理した。次に、有機溶媒を真空下に除去した。最終分散系の質量を蒸留水で30gに調整しておおよそ20%固形分の分散系を得た。
【0075】
(実施例4)
丸底フラスコ中で、176.8g(0.455モル)の8−アジド−1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−トリデカフルオロオクタン、25.0g(0.455モル)のプロパルギルアミン、および1.0gの銅削り屑を、磁気撹拌バーを用いて周囲温度で激しく撹拌した。反応の完了は、液体反応混合物の黄色固体塊への変化によって示された。粗生成物を100mLのメタノールに溶解させ、シリカゲルに通して濾過した。追加のメタノールを使用して生成物をシリカゲルから溶出させた。次に、メタノールを真空下に蒸発させて黄色粉末を72%収率でおよびGC分析により84%の高純度で与えた。得られた生成物は(1−(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)メタンアミンであった。
【0076】
(実施例5)
試験管中で、実施例2の手順に従って製造した2.0gの(1−(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)メチルアクリレート(C6−TCFAM)、1.0gのステアリルメタクリレート、0.1gのN−メチロールアクリルアミド、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、塩化ビニリデン、0.02gのドデシルメルカプタン、0.04gのヴァゾ67、および10mLのテトラヒドロフラン(THF)を、磁気撹拌バーを用いて一緒に混合した。試験管をゴムセプタムでキャップし、氷浴内部に入れた。表面下窒素パージを試験管に2時間かけた。次に、窒素を停止し、試験管を70℃に加熱して重合反応を開始させた。反応を一晩続け、モノマーの消費をガスクロマトグラフィーによって監視した。重合が完了した後、ポリマー溶液の容量をTHFで20mLに調整した(16重量/容量%ポリマー)。生じた乾燥ポリマーは30重量/重量%のフッ素を含有した。
【0077】
(実施例6)
4つ口丸底フラスコ中で、実施例2の手順に従って製造した20.0gの(1−(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)メチルアクリレート(C6−TCFAM)、20.0gのステアリルメタクリレート、2.0gの塩化ビニリデン、1.0gの2−ヒドロキシエチルメタクリレート、NOFアメリカ、ニューヨーク州ニューヨーク(NOF America,New York,NY)から入手可能な1.0gのポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)メタクリレート(ブリーマー(BLEEMER)PE−350)、1.0gのN−メチロールアクリルアミド、0.2gのドデシルメルカプタン、0.2gのヴァゾ67、および100mLのメチルイソブチルケトン(MIBK)を一緒に混合した。反応器を氷浴に入れ、窒素パージを2時間かけた。次に、窒素パージを停止し、反応器温度を70℃に調節した。反応を撹拌しながら一晩続けた。生じたポリマー溶液の容量を、MIBKを使用して200mLに調整した(23%ポリマー溶液)。
【0078】
2.5%界面活性剤(ポリマーの量に関して)を含有する溶液を、0.25gのアーメーンDM18Dおよび0.19gの酢酸を60mLの水に溶解させることによって調製した。上で製造した7−EOメタクリレート入りポリマーの50mLのアリコートを界面活性剤溶液に加え、混合物をそれが均一になるまで超音波処理した。有機溶媒を真空下に蒸発させ、分散系の最終重量を、蒸留水を使用して60gに調整した。C6−TCFAMベースの共重合体の生じた分散系は17%固形分を含有した。
【0079】
(実施例7)
312.0g(4.81モル)のアジ化ナトリウムおよび29.6g(0.032モル)の臭化テトラブチルアンモニウムを500mLの水に溶解させてアジ化ナトリウム溶液を作った。アジ化ナトリウム溶液を3000mL反応器に移し、1500gの1,1,1,2,2,3,3,4,4−ノナフルオロ−6−ヨードヘキサンを反応器に加えた。反応混合物を激しく撹拌し、反応の温度を95±5℃に調節した。反応を一晩続けた。反応の進行をGCによって監視してその完了を決定した。1,1,1,2,2,3,3,4,4−ノナフルオロ−6−ヨードヘキサンがすべて消費された後、反応マスを周囲温度に放冷し、固形分を濾過し、有機相を100mL部分の水で5回洗浄して生成物からいかなる残留アジ化ナトリウムの完全除去をも確実にした。生成物を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過した。粗生成物を真空下に蒸留して無色透明な液体を52%収率および99%の純度で得た。得られた生成物は6−アジド−1,1,1,2,2,3,3,4,4−ノナフルオロヘキサンであった。
【0080】
(実施例8)
丸底フラスコ中で、実施例7の50.0g(0.17モル)の6−アジド−1,1,1,2,2,3,3,4,4−ノナフルオロヘキサンおよび9.5g(0.17モル)のプロパルギルアルコールを混合した。混合物に0.5gの銅削り屑を加えて反応を触媒させた。反応マスを、磁気撹拌バーを用いて激しく撹拌した。反応の完了は、液体反応混合物の白色固体塊への変化によって示された。粗生成物を50mLのメタノールに溶解させ、シリカゲルに通して濾過した。追加のメタノールを使用して生成物をシリカゲルから溶出させた。次に、メタノールを真空下に蒸発させて白色粉末を90%収率でおよび高純度(98%)で得た。得られた生成物は(1−(3,3,4,4,5,5,6,6,−ノナフルオロヘキシル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)メタノールであった。
【0081】
(実施例9)
4つ口反応器中で、実施例8の25.0g(0.072モル)の(1−(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)メタノールおよび7.7g(0.076モル)のトリエチルアミンを30mLのテトラヒドロフラン(THF)に溶解させた。反応器を、溶液を激しく撹拌しながら氷浴を用いることによって5〜10℃に冷却した。別個のフラスコ中で、6.9g(0.076モル)の塩化アクリロイルを20mLのTHFに溶解させた。次に塩化アクリロイル溶液を30分の期間にわたって反応器に滴加した。滴加が完了した後、氷浴を取り除き、反応を2時間続けた。次に、反応マスを濾過して固形分を除去し、溶媒を、ロータリーエバポレーターを用いて蒸発させた。最終生成物を白色固体として72%収率(20.6g)でおよび93%の純度で得た。得られた生成物は(1−(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)メチルアクリレートであった。
【0082】
(実施例10)
試験管中で、実施例9の手順に従って製造した1.6g(0.004モル)の(1−(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)メチルアクリレート、1.3g(0.004モル)のステアリルアクリレート、0.02g(0.0001モル)のドデシルメルカプタン、0.04g(0.0002モル)のヴァゾ67、および10mLのTHFを一緒に混合した。試験管をゴムセプタムでキャップし、ドライアイス/アセトン浴に入れ、窒素で2時間パージした。次に、窒素フローを停止し、試験管を加熱ブロックに入れた。加熱ブロックの温度を70℃に調節し、反応マスを、マグネチックスターラーを用いて撹拌した。反応を一晩続け、モノマーの消失をGC分析によって監視した。ポリマー溶液の最終容量をTHFで20mLに調整して約14重量/容量%ポリマーを含有する溶液を与えた。生じた乾燥ポリマーは22.2重量/重量%のフッ素を含有した。
【0083】
(実施例11)
実施例3のトリアゾール含有フッ素化共重合体分散系を、試験方法1のプロセスを用いて100%綿布に塗布した。計30g/Lの実施例3のトリアゾール含有フッ素化共重合体分散系を約5.0%フッ素でパッド浴に使用した。約10g/Lのブロックトイソシアネートをパッド浴に使用した。使用したブロックトイソシアネートは、ヒドロホボールXAN、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ、ノースカロライナ州ハイ・ポイントであった。抗皺樹脂、オムノバ・ソリューションズ、サウスカロライナ州チェスターから入手可能なパーマフレッシュEFCを70g/Lで含めた。塗布後に、綿布を約160℃で約3分間硬化させた。布を、処理および硬化後に「休ませ」ておいた。綿布を、上記のような試験方法3、4および5を用いて撥水性、撥スプレー性、および撥油性について試験した。上記の試験方法2に従って洗濯した後、布を、同じ方法を用いて撥水性、撥スプレー性、および撥油性について再試験した。結果は表6にある。被処理綿布をまた、試験方法8を用いて耐汚れ性について試験した。結果は表7にある。被処理綿布をまた、試験方法6を用いてしみ抵抗性について試験した。結果は表8にある。
【0084】
(実施例12)
実施例3のトリアゾール含有フッ素化共重合体分散系を、試験方法1のプロセスを用いて100%ナイロン布に塗布した。計30g/Lのトリアゾール含有フッ素化共重合体分散系をパッド浴に使用した。約0.5g/Lのブロックトイソシアネートをパッド浴に使用した。使用したブロックトイソシアネートは、ヒドロホボールXAN、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ、ノースカロライナ州ハイ・ポイントであった。湿潤剤もまた、2g/Lで浴に含めた。これは、本願特許出願人、デラウェア州ウィルミントンから入手可能なアルカノール6112であった。塗布後に、ナイロン布を約160℃で約3分間硬化させた。布を、処理および硬化後に「休ませ」ておいた。ナイロン布を、上記のような試験方法3、4および5を用いて撥水性、撥スプレー性、および撥油性について試験した。結果は表9にある。被処理ナイロン布をまた、試験方法6を用いてしみ抵抗性について試験した。結果は表10にある。
【0085】
(実施例13)
実施例3のトリアゾール含有フッ素化共重合体分散系を、しみ抵抗性のために石灰岩タイルに塗布した。石灰岩タイルを100g/m2のトリアゾール含有フッ素化共重合体分散系で処理した。本分散系は0.23%のフッ素含有率を有した。しみ抵抗性を、試験方法6を用いて測定した。結果は表11にある。
【0086】
実施例3のトリアゾール含有フッ素化共重合体分散系をまた、試験方法5および7のプロセスを用いて撥水性および撥油性測定のために石灰岩タイルに塗布した。石灰岩タイルを100g/m2のトリアゾール含有フッ素化共重合体分散系で処理した。石灰岩タイルを分散系中へ30秒間2回サッと浸け、浸漬間に2分の乾燥時間を与えた。次にサンプルを周囲条件下に48時間乾燥させた。脱イオン水の3つの40マイクロリットル滴をタイル上へ付け、23℃で5分間放置し、接触角を測定した。より高い接触角は、より多い反発性の表面を示唆する。本分散系は0.23%のフッ素含有率を有した。結果は表12にある。
【0087】
(比較例A)
試験管中で、式:F(CF2x24OC(O)−C(H)=CH2(式中、約3%、54%、29%、10%、3%および1%のそれぞれの相対的な量でx=6、8、10、12、14および16である)を有する、569の重量平均分子量を有する4.6gのパーフルオロアクリレートモノマー、2.6gのステアリルアクリレート、0.04gのドデシルメルカプタン、0.08gのヴァゾ67(本願特許出願人、デラウェア州ウィルミントン)および20mLのテトラヒドロフランを、磁気撹拌バーおよび撹拌プレートを用いて一緒に混合した。試験管をゴムセプタムでキャップし、ドライアイス/アセトン浴に入れた。表面下窒素パージを冷却した反応マスに2時間かけた。次に窒素フローを停止し、試験管を加熱ブロック上に置いた。温度を70℃に調節し、反応マスを一晩撹拌した。次に溶媒を真空下に蒸発させた。2.5%界面活性剤(ポリマーの量に関して)を含有する水溶液を、TCIアメリカ、カリフォルニア州サンディエゴから入手可能な、0.125gのN,N−ジメチル−n−オクタデシルアミン(アーメーンDM18D)、および0.094gの酢酸を30mLの水に溶解させることによって調製した。フッ素化アクリレート共重合体を真空下に乾燥させ、次に22%固形分の濃度にメチルイソブチルケトン(MIBK)に溶解させた。共重合体溶液の25gアリコートを界面活性剤溶液に加え、混合物が均一になるまで超音波処理した。次に、有機溶媒を真空下に除去した。最終分散系の質量を蒸留水で30gに調整しておおよそ20%固形分の分散系を得た。
【0088】
生じた共重合体分散系を、試験方法1のプロセスを用いて100%綿布に塗布した。計30g/Lの本共重合体分散系を約8.0%フッ素でパッド浴に使用した。被処理綿布を、試験方法3、4および5を用いて撥水性、撥スプレー性、および撥油性について試験した。試験方法2に従って洗濯した後、布を撥水性、撥スプレー性、および撥油性について再試験した。結果は表6にある。被処理綿布をまた、試験方法8を用いて耐汚れ性について試験した。結果は表7にある。被処理綿布をまた、試験方法6を用いてしみ抵抗性について試験した。結果は表8にある。
【0089】
生じた共重合体分散系をまた、試験方法1のプロセスを用いて100%ナイロン布に塗布した。ナイロン布を、試験方法3、4および5を用いて撥水性、撥スプレー性、および撥油性について試験した。結果は表9にある。被処理ナイロン布をまた、試験方法6を用いてしみ抵抗性について試験した。結果は表10にある。
【0090】
生じた共重合体分散系をまた、試験方法6のプロセスを用いてしみ抵抗性測定のために石灰岩タイルに塗布した。石灰岩タイルを100g/m2の共重合体分散系で処理した。本分散系は0.39%のフッ素含有率を有した。結果は表11にある。
【0091】
生じた共重合体分散系をまた石灰岩タイルに塗布し、試験方法5および7を用いて撥水性および撥油性測定について試験した。本分散系は0.39%のフッ素含有率を有した。結果は表12にある。
【0092】
(比較例B)
4つ口丸底フラスコ中で、式:F(CF2x24OC(O)−C(H)=CH2(式中、約3%、54%、29%、10%、3%および1%のそれぞれの相対的な量で約x=6、8、10、12、14、および16である)を有する、569の重量平均分子量を有する20.0gのパーフルオロアクリレートモノマー、20.0gのステアリルメタクリレート、2.0gの塩化ビニリデン、1.0gの2−ヒドロキシエチルメタクリレート、1.0gのポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)メタクリレート(NOFアメリカ、ニューヨーク州ニューヨークから入手可能なブリーマーPE−350)、1.0gのN−メチロールアクリルアミド、0.2gのドデシルメルカプタン、0.2gのヴァゾ67、および100mLのメチルイソブチルケトン(MIBK)を一緒に混合した。反応器を氷浴に入れ、窒素パージを2時間かけた。次に、窒素パージを停止し、反応器温度を70℃に調節した。反応を、撹拌しながら一晩続けた。次に溶媒を真空下に蒸発させた。
【0093】
2.5%界面活性剤(ポリマーの量に関して)を含有する溶液を、0.25gのアーメーンDM18Dおよび0.19gの酢酸を60mLの水に溶解させることによって調製した。上で製造したポリマーの50mLのアリコートを界面活性剤溶液に加え、混合物を、それが均一になるまで超音波処理した。有機溶媒を真空下に蒸発させ、分散系の最終重量を、蒸留水を使用して60gに調整した。ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)メタクリレート入り共重合体の生じた分散系は12%固形分を含有した。
【0094】
本ポリマー分散系を、試験方法1のプロセスを用いて100%綿布に塗布した。計30g/Lの共重合体分散系を約6.5%フッ素でパッド浴に使用した。被処理布を、試験方法3、4および5を用いて撥水性、撥スプレー性、および撥油性について試験した。試験方法2に従って洗濯した後、布を撥水性、撥スプレー性、および撥油性について再試験した。結果は表14にある。
【0095】
(比較例C)
先ず、ゾニール(ZONYL)8932(本願特許出願人、デラウェア州ウィルミントン)ポリマー分散系を、試験方法1のプロセスを用いて100%綿布に塗布した。計30g/Lの本ゾニール8932をパッド浴に使用した。綿布を、試験方法3、4および5を用いて撥水性、撥スプレー性、および撥油性について試験した。試験方法2に従って洗濯した後、布を撥水性、撥スプレー性、および撥油性について再試験した。結果は表6にある。被処理綿布をまた、試験方法8を用いて耐汚れ性について試験した。結果は表7にある。被処理綿布を、試験方法6を用いてしみ抵抗性について試験した。結果は表8にある。
【0096】
ポリマー分散系をまた、試験方法1のプロセスを用いて100%ナイロン布に塗布した。計30g/Lの本ポリマーをパッド浴に使用した。生じた分散系を、試験方法1のプロセスを用いて100%ナイロン布に塗布した。被処理ナイロン布を、試験方法6を用いてしみ抵抗性について試験した。結果は表10にある。
【0097】
(比較例D)
ゾニール7040(本願特許出願人、デラウェア州ウィルミントン)ポリマー分散系を、試験方法1のプロセスを用いて100%ナイロン布に塗布した。計30g/Lの本ゾニール7040をパッド浴に使用した。約0.5g/Lのブロックトイソシアネートをパッド浴に使用した。ナイロン布を、試験方法3、4および5を用いて撥水性、撥スプレー性、および撥油性について試験した。結果は表9にある。
【0098】
(比較例E)
ゾニール8740、商業的に入手可能なステインレジスト(本願特許出願人、デラウェア州ウィルミントン)ポリマー分散系をしみ抵抗性測定のために石灰岩タイルに塗布した。石灰岩タイルを、100g/m2のゾニール8740共重合体分散系で処理した。本分散系は0.42%のフッ素含有率を有した。しみ抵抗性を、試験方法6を用いて測定した。結果は表11にある。
【0099】
本タイルをまた、試験方法3および5を用いて撥水性および撥油性について試験した。結果は表12にある。
【0100】
【表6】

【0101】
表6から、比較例Aより短いパーフルオロアルキル鎖長を有する、そして比較例AおよびCのフッ素含有率の約半分で塗布された実施例11の共重合体の綿布への塗布が良好〜優秀な撥油および撥水性能を提供したことが観察できる。実施例11によって提供される初期撥水性は、より高いレベルのフッ素を含有する比較例AおよびCについてほど良好ではなかったが、撥水性の耐久性は、比較例AおよびCのそれが持続されないのに持続された。このように時間がたてば撥水性は匹敵した。しかしながら、実施例11のより低いフッ素含有率でさえ、実施例11についての撥油性値は、比較例AおよびCのそれに匹敵した。
【0102】
【表7】

【0103】
表7は、比較例Aより短いパーフルオロアルキル鎖長を有する実施例11の防汚性能が基材上で約50%少ないフッ素含有率を使用しているのに比較例AおよびCからのそれに匹敵したことを示す。
【0104】
【表8】

【0105】
比較例Aより短いパーフルオロアルキル鎖長を有する実施例11の防しみ特性は、フッ素含有率がはるかにより低いのに比較例AおよびCのそれと似ていた。興味深いことに、実施例11は、50%未満の全フッ素を使用しているのに、比較例Cのコーヒーおよびコーンオイルしみ反発性と同じように良好であった。
【0106】
【表9】

【0107】
比較例AおよびDのフッ素含有率の約半分での、実施例12共重合体のナイロン布への塗布は、優れた撥油および撥水性能を提供した。このケースでは、実施例12によって提供される撥水性および撥油性の両方とも比較例AおよびDについてと同じほどに良好かまたはそれより良好であった。撥油性は比較例AおよびDの製品と比較したときに実施例12の最良の特性であったことがまた明らかである。
【0108】
【表10】

【0109】
実施例12の防しみ特性は、フッ素含有率がはるかにより低いのに比較例AおよびCのそれと同等であった。実施例12は、50%未満の全フッ素を使用しているのに比較例Cのコーヒーおよびコーンオイルしみ反発性と同じほどに良好であった。
【0110】
【表11】

【0111】
実施例13の共重合体は、より長いフルオロアルキル鎖長を有する比較例Aと比較したときに石灰岩タイル上で匹敵するしみ抵抗性を示した。この性能は、比較例Aについての基材上の0.40gF/m2と比較して実施例13についての基材上のたったの0.29gF/m2のフッ素で得られ、このタイプのポリマー中へのトリアゾール基の組み込みがフッ素効率を改善することを実証した。
【0112】
【表12】

【0113】
被処理基材に関する撥水性および撥油性についての実施例13の全体的性能は、比較例AおよびE材料についてと匹敵するかまたはそれより良好であった。本実施例は再び、本発明の共重合体の改善されたフッ素効率を実証した。
【0114】
(実施例14)
実施例5の手順に従って製造した共重合体溶液を、試験方法1の改良プロセスを用いて100%綿布および100%ナイロン布に塗布した。布サンプルを2インチ×2インチ(5.1cm×5.1cm)の平方片へカットした。実施例5の手順に従って製造した共重合体を、点滴器を用いて布に塗布した。加えられる滴の数および加えられるポリマーの重量を測定した。それぞれ4.8%フッ素および5.5%フッ素含有率で、0.148グラムの本共重合体を綿布に加え、および0.071グラムの本共重合体をナイロン布に加えた。塗布後に、布を少なくとも2時間風乾させ、約150℃で約3分間硬化させた。布を、処理および硬化後に「休ませ」ておいた。布を、上記のような試験方法3および5を用いて撥水性および撥油性について試験した。結果は表13にある。
【0115】
【表13】

【0116】
実施例14の共重合体は、任意のモノマー、塩化ビニリデン、N−メチロールアクリルアミドおよび2−ヒドロキシエチルメタクリレートに由来する単位を含有し、優れた撥油および撥水性能を実証した。
【0117】
(実施例15)
実施例6の手順に従って製造したトリアゾール含有フッ素化共重合体のポリマー分散系を、試験方法1のプロセスを用いて100%綿布に塗布した。計30g/Lのトリアゾール含有フッ素化共重合体分散系をパッド浴に使用した。約10g/Lブロックトイソシアネートをパッド浴に使用した。使用したブロックトイソシアネートはヒドロホボールXAN、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ、ノースカロライナ州ハイ・ポイントであった。抗皺樹脂、オムノバ・ソリューションズ、サウスカロライナ州チェスターから入手可能なパーマフレッシュEFCを70g/Lで含めた。塗布後に、綿布を約160℃で約3分間硬化させた。布を、処理および硬化後に「休ませ」ておいた。本綿布を、上記のような試験方法3、4および5を用いて撥水性、撥スプレー性、および撥油性について試験した。試験方法2に従って洗濯した後、布を、同じ方法を用いて撥水性、撥スプレー性、および撥油性について再試験した。結果は表14にある。
【0118】
前に記載したような比較例Cをまた、実施例15についての上記と同じプロセスを用いて100%綿布に塗布した。計30g/Lの比較例Cの共重合体分散系をパッド浴に使用した。被処理布を、実施例15についてのように試験し、洗濯し、再試験した。結果は表14にある。
【0119】
【表14】

【0120】
表14の結果は、実施例15および比較例Bが類似の撥水性能を有したことを実証する。しかしながら、実施例15調合物は、少ないフッ素含有率を用いているのに綿布上でより良好な撥油性を提供した。実施例15は、より低いフッ素レベルで塗布されたときに比較例Cより不十分な性能を有した。
【0121】
(実施例16)
実施例10の手順に従って製造したC4−トリアゾール含有フッ素化共重合体を、試験方法1の改良プロセスを用いて100%綿布および100%ナイロン布に塗布した。布サンプルを2インチ×2インチ(5.1cm×5.1cm)の平方片へカットした。実施例10の手順に従って製造した共重合体を、点滴器を用いて布に塗布した。加えられる滴の数および加えられるポリマーの重量を測定した。それぞれ0.7%フッ素および2.2%フッ素含有率で、0.021グラムの本共重合体を綿布に加え、0.040グラムの本共重合体をナイロン布に加えた。塗布後に、布を少なくとも2時間風乾させ、約150℃で約3分間硬化させた。布を、処理および硬化後に「休ませ」ておいた。本布を、上記のような試験方法3および5を用いて撥水性および撥油性について試験した。結果は表15にある。
【0122】
【表15】

【0123】
表15に示された結果は、より短いテロマー鎖(4個のパーフッ素化炭素)で製造したトリアゾール含有ポリマーが綿およびナイロンの両方上で撥油性および撥水性を提供したことを示唆する。
【0124】
(実施例17〜39)
実施例17〜実施例39の各実施例については、実施例2の生成物を、表16に下でリストされるようなモノマーBまたはモノマーBの混合物と共重合させた。試験管中で、表16にリストされた量の実施例2の手順に従って製造した(1−(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)メチルアクリレート、表16にリストされた量のモノマーB、0.03gのドデシルメルカプタン、0.1gのヴァゾ67(本願特許出願人、デラウェア州ウィルミントン)および45mLのテトラヒドロフラン(THF)を、磁気撹拌バーおよび撹拌プレートを用いて一緒に混合した。試験管をゴムセプタムでキャップし、ドライアイス/アセトン浴に入れた。表面下窒素パージを冷却した反応マスに1時間かけた。次に窒素フローを停止し、試験管を加熱ブロック上に置いた。温度を65℃に調節し、反応マスを12時間撹拌した。生じたポリマー溶液を室温に放冷した。
【0125】
実施例38および39については、塩化ビニルの低い沸点のために、これらの2つの反応を密封したオートクレーブ中70℃で7時間行った。両反応混合物はまた、重合の間ずっと窒素パージありで0.09gのドデシルメルカプタンおよび0.30gのヴァゾ67を計300mLのTHF中に含有した。
【0126】
【表16】

【0127】
上記製造からの生成物をそれぞれTHF溶液から、重量で1グラム当たり約3000マイクログラム・フッ素の最終ローディングで下記の様々な布に塗布した。本試験に使用した綿布は、210グラム/平方メートルの布重量のアボンデール・ミルズ(Avondale Mills)(サウスカロライナ州ワーレンビル(Warrenville,SC))によって製造された、染色されているが仕上げられていない織綿布であった。本試験に使用したナイロン布は、76グラム/平方メートルの布重量のアボンデール・ミルズ(サウスカロライナ州ワーレンビル)によって製造された、染色されているが仕上げられていない織ナイロン布であった。本試験で使用した不織布は、39グラム/平方メートルの布重量のキンバリー−クラーク(Kimberly−Clark)(ジョージア州ロズウェル(Roswell,GA))によって製造されたSMS PP不織スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド・ポリプロピレン布であった。被処理布を、試験方法3および5を用いて撥水性および撥油性について試験した。結果は表17にある。
【0128】
【表17】

【0129】
重量で1グラム当たり約3000マイクログラム・フッ素のローディングレベルで実施例17〜37において上で製造した共重合体で処理したすべての綿布は、実施例32および33の無水マレイン酸含有共重合体を除いて未処理綿布と比較して良好〜優秀な撥水性を与えた。
【0130】
重量で1グラム当たり約3000マイクログラム・フッ素のローディングレベルで実施例17〜37において上で製造した共重合体で処理したすべてのナイロン布は、実施例32および33の無水マレイン酸含有共重合体ならびに実施例23のジメチルアクリルアミド含有共重合体を除いて未処理ナイロン布と比較して良好〜優秀な撥水性を与えた。
【0131】
重量で1グラム当たり約3000マイクログラム・フッ素のローディングレベルで実施例17〜37において上で製造した共重合体で処理したすべてのSMS PP不織布は、実施例32および33の無水マレイン酸含有共重合体、実施例31のスチレン含有共重合体、ならびに実施例23のジメチルアクリルアミド含有共重合体を除いて未処理SMS PP不織布と比較して良好〜優秀な撥水性を与えた。
【0132】
重量で1グラム当たり約3000マイクログラム・フッ素のローディングレベルで実施例17〜37において上で製造した共重合体で処理したすべての綿布またはナイロン布は、未処理綿布またはナイロン布と比較して良好〜優秀な撥油性を与えた。
【0133】
実施例18、22、28、30および34の上記製造からの生成物を、100cm2当たり約0.006グラムの本ポリマーでTHF溶液から皮革に塗布した。本試験に使用した皮革は、シーン・レザー(Sheen Leather)(カリフォルニア州モンロビア(Monrovia,CA))によって製造されたなめし乾燥豚皮であった。被処理皮革を、試験方法3および5を用いて撥水性および撥油性について試験した。結果は表18にある。
【0134】
【表18】

【0135】
実施例18、22、28、30および34の共重合体で処理したすべての皮革サンプルは、未処理皮革サンプルと比較して良好な撥油性および撥水性の両方を提供した。
【0136】
(実施例40および比較例F)
冷却器、熱電対、および底部テフロン(登録商標)・バルブ放出口を備えた、窒素パージされ、機械撹拌される1L外套付き反応容器中で、実施例2の生成物(46g、0.092モル)を、メチルイソブチルケトン(MIBK)中のイソプロピルアルコール(IPA)の20重量パーセント溶液(計55g)に溶解させた。完全溶解後に、ジメチルアミノメタクリレート(8.6g、0.046モル)、グリシジルメタクリレート(1.4g、0.010モル)、1−ドデカンチオール(0.10g、4.9×10-4モル)、および塩化ナトリウム(0.12g、2.0×10-3モル)を、250rpmで撹拌しながら加えた。IPA(10g)中の開始剤、ヴァゾ64(本願特許出願人、デラウェア州ウィルミントンから入手可能な)(0.42g、2.0×10-3モル)の溶液を加え、溶液を表面下スパージし(1時間)、80℃で16時間重合させた。重合が完了した後、反応マスを、底部放出口を通して、水(230g)、氷酢酸(2.9g、0.048モル)、および過酸化水素(2.5g、0.073モル)の室温(24℃)溶液中へ10分にわたって落下させた。溶液を30分にわたって中和させ、引き続き残存MIBK/IPAを蒸留させた。生じた生成物を、試験方法9のプロセスを用いる撥油性試験のために紙サンプルに塗布した。本試験に使用した紙は白色紙(漂白50#紙)であった。結果は表19にある。
【0137】
(比較例F)
本願特許出願人、デラウェア州ウィルミントンから入手可能なゾニール9464溶液を紙サンプルに塗布し、試験方法9と同じプロセスを用いて撥油性について試験した。結果は表19にある。
【0138】
【表19】

【0139】
表19のデータは、実施例40が紙基材に塗布されたときに優れた撥油性を提供したことを実証する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1
[Rf−X1−A−X1−Y−C(O)−CZCH2m−[Wqp 式1
(式中、
fは、任意選択的に少なくとも1個の酸素原子によって中断されている、約2〜約20個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐のパーフルオロアルキル基、またはそれらの混合物であり、
各X1は独立して、約1〜約20個の炭素原子を有する、任意選択的にトリアゾール、酸素、窒素、もしくは硫黄、またはそれらの組み合わせを含有する有機二価連結基であり、
Aは1,2,3−トリアゾールであり、
Yは、OまたはN(R)2(ここで、RはHもしくはC1〜C20アルキルである)であり、
Zは、H、約1〜約4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐のアルキル基、またはハライドであり、
mは正の整数であり、
qはゼロまたは正の整数であり、
pはゼロまたは正の整数であり、そして
Wは
【化1】

または[R1−X1−Y−C(O)−CH2Z]
(式中、
1、Y、およびZは上に定義された通りであり、
Rxは、C(O)O(R1)、C(O)N(R22、OC(O)(R1)、SO2(R1)、C6(R35、O(R1)、ハライド、またはR1であり、
各R1は独立して、H、Cn2n+1、Cn2n−CH(O)CH2、[CH2CH2O]i4、[Cn2n]N(R42または[Cn2n]Cn2n+1であり、
nは1〜40であり、
4はHまたはCs2s+1であり、
s=0〜40であり、
i=1〜200であり、
各R2は独立して、H、またはCt2t+1(式中tが1〜20である)であり、
各R3は独立して、H、COOR1、ハロゲン、N(R12、OR1、SO2NHR1、CH=CH2、またはSO3Mであり、
Mは、H、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、またはアンモニウムである)
である)
の任意の順序で繰り返し単位を有する共重合体を含むことを特徴とする組成物。
【請求項2】
式2
f−X1−A−X1−Y−C(O)C(Z)=CH2
(式中、
fは、任意選択的に少なくとも1個の酸素原子によって中断されている、約2〜約20個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐のパーフルオロアルキル基、またはそれらの混合物であり、
各X1は独立して、約1〜約20個の炭素原子を有する、任意選択的にトリアゾール、酸素、窒素、もしくは硫黄、またはそれらの組み合わせを含有する有機二価連結基であり、
Aは1,2,3−トリアゾールであり、
Yは、OまたはN(R)2(ここで、RはHもしくはC1〜C4アルキルである)であり、そして、
Zは、Hまたは約1〜約4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐のアルキル基である)
を含むことを特徴とする組成物。
【請求項3】
式3
f−X1−A−X1−B
(式中、
fは、任意選択的に少なくとも1個の酸素原子によって中断されている、約2〜約20個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐のパーフルオロアルキル基、またはそれらの混合物であり、
各X1は独立して、約1〜約20個の炭素原子を有する、任意選択的にトリアゾール、酸素、窒素、もしくは硫黄、またはそれらの組み合わせを含有する有機二価連結基であり、
Aはトリアゾールであり、そして
Bは、ヒドロキシル、アミン、ハロゲン、チオール、スルホニルクロリドおよびカルボキシレートからなる群から選択される)
を含むことを特徴とする組成物。
【請求項4】
fが式F(CF2CF2n(式中nが1〜約10である)を有するパーフルオロアルキル基、またはそれらの混合物であることを特徴とする請求項1〜3に記載の組成物。
【請求項5】
1が直鎖、分岐鎖または環式アルキレン、フェニル、アリーレン、アラルキレン、スルホニル、スルホキシ、スルホンアミド、カルボンアミド、カルボニルオキシ、ウレタニレン、ウレイレン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、そしてWが
【化2】

であり、
そしてRxがC(O)O(R1)、C(O)N(R22、C6(R35またはハライドであることを特徴とする請求項1、2または3に記載の組成物。
【請求項6】
A)ノーアイロン、簡単なアイロン掛け、収縮制御、皺なし、パーマネントプレス、水分制御、柔らかさ、強度、滑り防止、帯電防止、ほつれ防止、抗ピル性、防しみ性、しみ除去、防汚性、汚れ除去、撥水性、撥油性、防臭、抗菌性、もしくは日焼け防止である表面効果を提供する試剤、
B)界面活性剤、酸化防止剤、光堅牢度向上剤、色堅牢度向上剤、水、pH調節剤、架橋剤、湿潤剤、増量剤、発泡剤、加工助剤、滑剤、ブロックトイソシアネート、非フッ素化物および増量剤、または
C)それらの組み合わせ
の少なくとも1つをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
任意のモノマーからの繰り返し単位をさらに含み、前記モノマーがN−メチロール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アルキルオキシ(メタ)アクリレート、フッ素化(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ステアリルアクリレート、アミノアルキルメタクリレート塩酸塩、アクリルアミド、アルキルアクリルアミド、酢酸ビニル、ステアリン酸ビニル、アルキルビニルスルホン、スチレン、ビニル安息香酸、アルキルビニルエーテル、無水マレイン酸、塩化ビニリデン、塩化ビニル、およびオレフィンからなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
撥油性、防汚性およびしみ抵抗性を基材に提供する方法であって、前記基材を式1
[Rf−X1−A−X1−Y−C(O)−CZCH2m−[Wqp 式1
(式中、
fは、任意選択的に少なくとも1個の酸素原子によって中断されている、約2〜約20個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐のパーフルオロアルキル基、またはそれらの混合物であり、
各X1は独立して、約1〜約20個の炭素原子を有する、任意選択的にトリアゾール、酸素、窒素、もしくは硫黄、またはそれらの組み合わせを含有する有機二価連結基であり、
Aは1,2,3−トリアゾールであり、
Yは、OまたはN(R)2(ここで、RはHもしくはC1〜C20アルキルである)であり、
Zは、H、約1〜約4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐のアルキル基、またはハライドであり、
mは正の整数であり、
qはゼロまたは正の整数であり、
pはゼロまたは正の整数であり、そして
Wは
【化3】

または[R1−X1−Y−C(O)−CH2Z]
(式中、
1、Y、およびZは上に定義された通りであり、
Rxは、C(O)O(R1)、C(O)N(R22、OC(O)(R1)、SO2(R1)、C6(R35、O(R1)、ハライド、またはR1であり、
各R1は独立して、H、Cn2n+1、Cn2n−CH(O)CH2、[CH2CH2O]i4、[Cn2n]N(R42または[Cn2n]Cn2n+1であり、
nは1〜40であり、
4はHまたはCs2s+1であり、
s=0〜40であり、
i=1〜200であり、
各R2は独立して、H、またはCt2t+1(式中tが1〜20である)であり、
各R3は独立して、H、COOR1、ハロゲン、N(R12、OR1、SO2NHR1、CH=CH2、またはSO3Mであり、
Mは、H、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、またはアンモニウムである)
である)
の組成物と接触させる工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
撥水性および撥アルコール性を基材に提供する方法であって、前記基材を式1A
[Rf−X1−A−X1−Y−C(O)−CZCH2m−[Wqp 式1A
(式中、
fは、任意選択的に少なくとも1個の酸素原子によって中断されている、約2〜約20個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐のパーフルオロアルキル基、またはそれらの混合物であり、
各X1は独立して、約1〜約20個の炭素原子を有する、任意選択的にトリアゾール、酸素、窒素、もしくは硫黄、またはそれらの組み合わせを含有する有機二価連結基であり、
Aは1,2,3−トリアゾールであり、
Yは、OまたはN(R)2(ここで、RはHもしくはC1〜C20アルキルである)であり、
Zは、H、約1〜約4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐のアルキル基、またはハライドであり、
mは正の整数であり、
qはゼロまたは正の整数であり、
pはゼロまたは正の整数であり、そして
Wは
【化4】

または[R1−X1−Y−C(O)−CH2Z]
(式中、
1、Y、およびZは上に定義された通りであり、
Rxは、C(O)O(R1)、C(O)N(R22、OC(O)(R1)、SO2(R1)、O(R1)、ハライド、またはR1であり、
各R1は独立して、H、Cn2n+1、Cn2n−CH(O)CH2、[CH2CH2O]i4、[Cn2n]N(R42または[Cn2n]Cn2n+1であり、
nは1〜40であり、
4はHであり、
s=0〜40であり、
i=1〜200であり、
各R2は独立して、H、またはCt2t+1(式中tが1〜20である)であり、
各R3は独立して、H、COOR1、ハロゲン、N(R12、OR1、SO2NHR1、CH=CH2、またはSO3Mであり、
Mは、H、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、またはアンモニウムである)
である)
の組成物と接触させる工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
前記組成物が吸尽、スプレー、泡、フレックス−ニップ、ニップ、パッド、キス−ロール、ベック、かせ、ウィンチ、液体注入、オーバーフロー・フラッド、ブラシ、ロール、スプレーまたは浸漬を用いて水性分散系または溶液として塗布されることを特徴とする請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記組成物が
A)ノーアイロン、簡単なアイロン掛け、収縮制御、皺なし、パーマネントプレス、水分制御、柔らかさ、強度、滑り防止、帯電防止、ほつれ防止、抗ピル性、防しみ性、しみ除去、防汚性、汚れ除去、撥水性、撥油性、防臭、抗菌性、もしくは日焼け防止である表面効果を提供する試剤、
B)界面活性剤、酸化防止剤、光堅牢度向上剤、色堅牢度向上剤、水、pH調節剤、架橋剤、湿潤剤、増量剤、発泡剤、加工助剤、滑剤、ブロックトイソシアネート、非フッ素化物および増量剤、または
C)それらの組み合わせ
の少なくとも1つの存在下に塗布されることを特徴とする請求項8または9に記載の方法。
【請求項12】
式1
[Rf−X1−A−X1−Y−C(O)−CZCH2m−[Wqp 式1
(式中、
fは、任意選択的に少なくとも1個の酸素原子によって中断されている、約2〜約20個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐のパーフルオロアルキル基、またはそれらの混合物であり、
各X1は独立して、約1〜約20個の炭素原子を有する、任意選択的にトリアゾール、酸素、窒素、もしくは硫黄、またはそれらの組み合わせを含有する有機二価連結基であり、
Aは1,2,3−トリアゾールであり、
Yは、OまたはN(R)2(ここで、RはHもしくはC1〜C20アルキルである)であり、
Zは、H、約1〜約4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐のアルキル基、またはハライドであり、
mは正の整数であり、
qはゼロまたは正の整数であり、
pはゼロまたは正の整数であり、そして
Wは
【化5】

または[R1−X1−Y−C(O)−CH2Z]
(式中、
1、Y、およびZは上に定義された通りであり、
Rxは、C(O)O(R1)、C(O)N(R22、OC(O)(R1)、SO2(R1)、C6(R35、O(R1)、ハライド、またはR1であり、
各R1は独立して、H、Cn2n+1、Cn2n−CH(O)CH2、[CH2CH2O]i4、[Cn2n]N(R42または[Cn2n]Cn2n+1であり、
nは1〜40であり、
4はHまたはCs2s+1であり、
s=0〜40であり、
i=1〜200であり、
各R2は独立して、H、またはCt2t+1(式中tが1〜20である)であり、
各R3は独立して、H、COOR1、ハロゲン、N(R12、OR1、SO2NHR1、CH=CH2、またはSO3Mであり、
Mは、H、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、またはアンモニウムである)
である)
の組成物が塗布されていることを特徴とする基材。

【公表番号】特表2009−510196(P2009−510196A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−532485(P2008−532485)
【出願日】平成18年9月22日(2006.9.22)
【国際出願番号】PCT/US2006/037325
【国際公開番号】WO2007/035936
【国際公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】