説明

トリエーテル、オレフィン重合用触媒およびオレフィン重合体の製造方法

【課題】十分に高い重合活性を示すオレフィン重合用触媒およびオレフィン重合体の製造方法を提供する。
【解決手段】一般式(I)で表されるトリエーテル。


(I)(式中、Rは、水素原子または炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基を表し、Rb、RおよびRは、それぞれ独立に、炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基、炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基で置換されたシリル基を表し、Eは、ケイ素原子、ゲルマニウム原子、または錫原子を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリエーテル、オレフィン重合用触媒およびオレフィン重合体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オレフィン重合用触媒の電子供与体としてエーテル類が用いられることが知られている。
【0003】
特開平4−96911号公報には、チタン、マグネシウム、ハロゲン原子を必須成分とする固体触媒成分、有機アルミニウム、および、外部電子供与体としてジエーテル化合物からなるオレフィン重合用触媒が記載されている。米国特許出願公開第2006−0142146号明細書には、チタン、マグネシウム、ハロゲン原子を必須成分とする固体触媒成分、有機アルミニウム、外部電子供与体として、シリルエーテル結合を有するジエーテル化合物からなるオレフィン重合用触媒が記載されている。
また、中国特許出願公開1324869号明細書には、酢酸マグネシウムのイソオクタノール溶液と、四塩化チタンと、内部電子供与体として2〜4個のエーテル結合を有する化合物とからなる固体触媒成分が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−96911号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2006−0142146号明細書
【特許文献3】中国特許出願公開1324869号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のオレフィン重合用触媒は重合活性の観点から未だ満足できるものではない。本発明の課題は、十分に高い重合活性を示すオレフィン重合用触媒およびオレフィン重合体の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、一般式(I)で表されるトリエーテルに関する。


(I)
(式中、Rは、水素原子または炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基を表し、Rb、RおよびRは、それぞれ独立に、炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基、炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基で置換されたシリル基を表し、RおよびRは、それぞれ独立に、炭素原子数1〜5のハイドロカルビル基を表し、R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子または炭素原子数1〜5のハイドロカルビル基を表し、Eは、ケイ素原子、ゲルマニウム原子、または錫原子を表す。)
【0007】
本発明はまた、前記一般式(I)に記載のトリエーテルを接触させて得られることを特徴とするオレフィン重合用触媒である。
【0008】
本発明は、また、上記オレフィン重合用触媒の存在下にオレフィンを重合させる工程からなるオレフィン重合体の製造方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明について具体的に説明する。
【0010】
[トリエーテル]
一般式(I)におけるRのハイドロカルビル基としては、アルキル基、アラルキル基、アリール基、アルケニル基等が挙げられ、これらはハロゲン原子、シリル基等を置換基として有していてもよい。
【0011】
一般式(I)におけるRのアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、およびn−オクチル基のような直鎖状アルキル基;イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、テキシル基および2−エチルヘキシル基のような分岐状アルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基、およびシクロオクチル基のような環状アルキル基が挙げられ、好ましくは炭素原子数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状アルキル基であり、より好ましくは直鎖状もしくは分岐状で炭素原子数1〜20のアルキル基である。Rのアラルキル基としては、ベンジル基、およびフェネチル基が挙げられ、好ましくは炭素原子数7〜20のアラルキル基である。Rのアリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、2,6−ジイソプロピルフェニル基が挙げられ、好ましくは炭素原子数6〜20のアリール基である。Rのアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、3−ブテニル、および5−ヘキセニル基のような直鎖状アルケニル基;イソブテニル基、および5−メチル−3−ペンテニル基のような分岐状アルケニル基;2−シクロヘキセニル基、および3−シクロヘキセニル基のような環状アルケニル基が挙げられ、好ましくは炭素原子数2〜20のアルケニル基である。
【0012】
一般式(I)におけるRとして好ましくは、水素原子または炭素原子数1〜20のアルキル基であり、より好ましくは水素原子または炭素原子数1〜20の直鎖状または分岐状アルキル基であり、更に好ましくは水素原子または炭素原子数1〜20の直鎖状または分岐状アルキル基であり、特に好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、テキシル基および2−エチルヘキシル基である。
【0013】
一般式(I)におけるRb、RおよびRのハイドロカルビル基としては、アルキル基、アラルキル基、アリール基、アルケニル基等が挙げられ、これらはハロゲン原子、シリル基等を置換基として有していてもよい。
【0014】
一般式(I)におけるRb、RおよびRのアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、およびn−オクチル基のような直鎖状アルキル基;イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、テキシル基および2−エチルヘキシル基のような分岐状アルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基、およびシクロオクチル基のような環状アルキル基が挙げられ、好ましくは炭素原子数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状アルキル基であり、より好ましくは直鎖状もしくは分岐状で炭素原子数1〜20のアルキル基である。Rb、RおよびRのアラルキル基としては、ベンジル基、およびフェネチル基が挙げられ、好ましくは炭素原子数7〜20のアラルキル基である。Rb〜のアリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、2,6−ジイソプロピルフェニル基が挙げられ、好ましくは炭素原子数6〜20のアリール基である。Rb、RおよびRのアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、3−ブテニル、および5−ヘキセニル基のような直鎖状アルケニル基;イソブテニル基、および5−メチル−3−ペンテニル基のような分岐状アルケニル基;2−シクロヘキセニル基、および3−シクロヘキセニル基のような環状アルケニル基が挙げられ、好ましくは炭素原子数2〜20のアルケニル基である。
【0015】
一般式(I)におけるRb、RおよびRのハイドロカルビル基として好ましくは、炭素原子数1〜10のハイドロカルビル基であり、更に好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基のような直鎖状アルキル基;イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、テキシル基および2−エチルヘキシル基のような分岐状アルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、2,6−ジイソプロピルフェニル基のようなアリール基であり、特に好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、テキシル基、フェニル基である。
【0016】
一般式(I)におけるRb、RおよびRのハイドロカルビル基で置換されたシリル基としては、例えば、炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基1つで置換された1置換シリル基、炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基2つで置換された2置換シリル基、炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基3つで置換された3置換シリル基等が挙げられる。炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基1つで置換された1置換シリル基としては、例えば、メチルシリル基、エチルシリル基、フェニルシリル基等が挙げられる。炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基2つで置換された2置換シリル基としては、例えば、ジメチルシリル基、ジエチルシリル基、ジフェニルシリル基等が挙げられる。炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基3つで置換された3置換シリル基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリブチルシリル基、トリ−sec−ブチルシリル基、トリ−tert−ブチルシリル基、トリ−イソブチルシリル基、tert−ブチル−ジメチルシリル基、トリペンチルシリル基、トリヘキシルシリル基、トリシクロヘキシルシリル基、トリフェニルシリル基等が挙げられる。
【0017】
一般式(I)におけるRb、RおよびRのハイドロカルビル基で置換されたシリル基として好ましくは、炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基3つで置換されたシリル基であり、より好ましくは炭素原子数1〜10のハイドロカルビル基3つで置換されたシリル基であり、特に好ましくはトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリブチルシリル基、トリ−sec−ブチルシリル基、トリ−tert−ブチルシリル基、トリ−イソブチルシリル基、tert−ブチル−ジメチルシリル基、トリペンチルシリル基、トリヘキシルシリル基、トリシクロヘキシルシリル基、トリフェニルシリル基である。
【0018】
一般式(I)におけるRおよびRの炭素原子数1〜5のハイドロカルビル基としては、アルキル基、アルケニル基等が挙げられ、これらはハロゲン原子、シリル基等を置換基として有していてもよい。
【0019】
一般式(I)におけるRおよびRのアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、およびn−ペンチル基のような直鎖状アルキル基;イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、およびイソペンチル基のような分岐状アルキル基が挙げられる。RおよびRのアルケニル基としては、ビニル基、およびアリル基のような直鎖状アルケニル基が挙げられる。
【0020】
一般式(I)におけるRおよびRとして好ましくは、炭素原子数1〜5の直鎖状アルキル基または炭素原子数2〜5の直鎖状の直鎖状アルケニル基であり、より好ましくは、炭素原子数1〜5の直鎖状アルキル基であり、特に好ましくはメチル基、エチル基であり、最も好ましくはメチル基である。
【0021】
一般式(I)におけるR、R、R、R、RおよびRの炭素原子数1〜5のハイドロカルビル基としては、アルキル基が挙げられ、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、およびn−ペンチル基のような直鎖状アルキル基が挙げられる。
【0022】
一般式(I)におけるR、R、R、R、RおよびRとして好ましくは水素原子またはメチル基、エチル基、n−プロピル基であり、より好ましくは水素原子またはメチル基であり、特に好ましくは水素原子である。
【0023】
一般式(I)においるEとしては、ケイ素原子、ゲルマニウム原子、錫原子が挙げられ、好ましくは、ケイ素原子、ゲルマニウム原子であり、特に好ましくは、ケイ素原子である。





















【0024】
一般式(I)で表されるトリエーテルの具体例としては、下記化合物を挙げることができる。


























【0025】

【0026】




【0027】






【0028】





【0029】

【0030】

【0031】



【0032】







【0033】




【0034】






【0035】












【0036】

【0037】
また、一般式(I)のRおよびRに相当するメチル基を、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、またはn−ペンチル基に換えた化合物も挙げることができる。
【0038】
[トリエーテルの製造方法]
本発明における一般式(I)で表されるトリエーテルの製造方法は特に限定されるものではないが、以下の合成ルート(1)〜(4)が挙げられる。トリエーテルの収率の観点から、合成ルート(1)および(2)が好ましい。

【0039】
上記の合成ルート(1)では、一般式(II)で表されるマロン酸エステル誘導体から以下の工程[1−1]〜[1−7]を含む製造方法で、一般式(I)で表されるトリエーテルを製造することが出来る。
【0040】
工程[1−1]は、一般式(II)で表されるマロン酸エステル誘導体(II)と一般式(III)で表される化合物を塩基の存在下で反応させることにより、一般式(IV)で表される化合物を得る工程である。

(II)
(式中、Rは前記の一般式(I)と同じであり、RおよびRは、それぞれ独立に、炭素原子数1〜10のアルキル基を表す。)

(III)
(式中、R、RおよびRは前記の一般式(I)と同じであり、Xaは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFSO基、CHSO基、またはp−CHSO基を表す。)

(IV)
(式中、R、RおよびRは前記一般式(I)と同じであり、RおよびRは前記一般式(II)と同じである。)
【0041】
工程[1−2]は、一般式(IV)で表される化合物と還元剤との反応により、一般式(V)で表される化合物を得る工程である。

(V)
(式中、R、R、RおよびRは前記一般式(I)と同じである。)
【0042】
工程[1−3]は、一般式(V)で表される化合物と一般式(VI)で表されるケトンまたは一般式(VII)で表されるアセタールとの反応により、一般式(VIII)で表されるケタール誘導体を得る工程である。


(VI)
(式中、RおよびRは、それぞれ独立に、炭素原子数1〜5のアルキル基を表す。)

(VII)
(式中、RおよびRは、それぞれ独立に、炭素原子数1〜5のアルキル基を表す。)

(VIII)
(式中、R、R、RおよびRは前記の一般式(I)と同じ、RおよびRは前記一般式(VI)と同じである。)
【0043】
工程[1−4]は、一般式(VIII)で表される化合物と、一般式(IX)で表される化合物とを反応させ、一般式(X)で表される化合物を得る工程である。


(IX)

(式中、Rは炭素原子数1〜5のアルキル基を表し、Mはマグネシウム原子またはアルミニウム原子を表し、Xはハロゲン原子を表し、xはMの原子価であり、yは0または1である。)

(X)
(式中、R、R、RおよびRは前記の一般式(I)と同じであり、R、RおよびRは前記一般式(VII)および一般式(IX)と同じである。)
【0044】
工程[1−5]は、一般式(X)で表される化合物と一般式(XI)で表される化合物を塩基の存在下で反応させることにより、一般式(XII)で表される化合物を得る工程である。

(XI)
(式中、Rは前記の一般式(I)と同じであり、Xcは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFSO基、CHSO基、またはp−CHSO基を表す。)


(XII)
(式中、R、R、R、RおよびRは前記の一般式(I)と同じであり、R、RおよびRは前記一般式(VII)および一般式(IX)と同じである。)
【0045】
工程[1−6]は、一般式(XII)で表される化合物と酸との反応により、一般式(XIII)で表されるジエーテルモノアルコール化合物を得る工程である。

(XIII)
(式中、R、R、R、RおよびRは一般式(I)と同じである。)
【0046】
工程[1−7]は、一般式(XIII)で表される化合物と一般式(XIV)で表される化合物を塩基の存在下で反応させることにより、一般式(I)で表されるトリエーテルを得る工程である。

(XIV)
(式中、EおよびR、RおよびRは前記の一般式(I)と同じであり、Xは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFSO基、CHSO基、またはp−CHSO基を表す。)
【0047】
工程[1-1]
一般式(II)で表されるマロン酸エステル誘導体の具体例としては下記化合物が挙げられる。

【0048】
また、一般式(II)のRおよびRに相当するエチル基を、メチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソプロピル基、またはイソブチル基に代えた化合物も挙げられる。
【0049】
一般式(III)で表される化合物の具体例としては下記化合物を挙げることができる。クロロメチルメチルエーテル、クロロメチルエチルエーテル、クロロメチルプロピルエーテル、クロロメチルブチルエーテル、クロロメチルペンチルエーテルなどが挙げられる。また、これらの化合物の塩素原子を臭素原子、ヨウ素原子、CFSO基、CHSO基、またはp−CHSO基に変更した化合物も挙げられる。
【0050】
工程[1−1]に用いられる塩基とは、例えば、有機リチウム、水酸化アルカリ金属、水素化アルカリ金属、水素化アルカリ土類金属が挙げられる。具体的には、メチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、フェニルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化リチウムおよび水素化カルシウムが挙げられ、好ましくはn−ブチルリチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウムまたは水素化カリウムであり、さらに好ましくは、水素化ナトリウム、水素化カリウムである。
【0051】
工程[1−1]での塩基の使用量は、一般式(II)で表されるマロン酸エステル誘導体に対するモル比が1.0〜10.0であり、収率の点から1.0〜5.0が好ましい。
【0052】
一般式(III)で表される化合物の使用量は、一般式(II)で表されるマロン酸エステル誘導体量に対するモル比が通常1.0〜10.0であり、収率の点から1.0〜5.0が好ましい。
【0053】
工程[1−1]で用いる溶媒は、類似の反応で一般的に用いられる溶媒であれば特に制限されるものではなく、トルエン、ベンゼン、o−キシレン、m−キシレン、およびp−キシレンのような芳香族炭化水素;ヘキサン、ヘプタン、およびシクロヘキサンのような脂肪族炭化水素;テトラヒドロフラン、および1,4−ジオキサンのようなエーテル;ジメチルスルホキシド;N,N−ジメチルホルムアミドおよびN,N−ジメチルアセタミドが挙げられ、より好ましくは、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミドである。これらの溶媒は、モレキュラーシーブスまたは活性アルミナ、ナトリウムまたは水素化カルシウムなどにより乾燥して用いることが好ましい。
【0054】
工程[1−1]における溶媒の使用量は、一般式(II)で表されるマロン酸エステル誘導体量の濃度範囲が0.001〜4.0mol/L、より好ましくは0.01〜3.0mol/L、さらに好ましくは0.1〜2.0mol/Lとなるような範囲で用いることができる。
【0055】
工程[1−1]において、反応温度は、−78℃から溶媒の沸点以下であり、好ましくは、-20℃〜溶媒の沸点以下、より好ましくは、10〜40℃である。
【0056】
工程[1−1]において、反応は、空気、ヘリウム、アルゴンまたは窒素気流下で行うことができる。好ましくは、ヘリウム、アルゴンまたは窒素気流下、より好ましくは、窒素またはアルゴン気流下である。
【0057】
工程[1−1]において、圧力の影響は無視できるため、大気圧下で反応を行うのが一般的である。
【0058】
工程[1−1]において、反応時間は、30分間〜48時間である。好ましくは30分間〜8時間である。
【0059】
工程[1−1]においては、一般式(II)で表されるマロン酸エステル誘導体を有機溶媒に溶解または希釈し、塩基と混合した後に、一般式(III)で表される化合物に加えることが好ましい。
【0060】
工程[1−1]において得られる一般式(IV)で表される化合物の具体例としては下記化合物が挙げられる。

【0061】
また、一般式(IV)のRおよびRに相当するエチル基をメチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソプロピル基、またはイソブチル基に代えた化合物も挙げられる。
【0062】
工程[1−2]
工程[1−2]に用いられる還元剤の具体例には、水素化ホウ素リチウム、水素化アルミニウムリチウムが挙げられる。
【0063】
工程[1−2]での還元剤の使用量は、一般式(IV)で表される化合物に対するモル比が0.5〜10.0であり、収率の点から1.5〜3.0が好ましい。
【0064】
工程[1−2]で用いる溶媒は、類似の反応で一般的に用いられる溶媒であれば特に制限されるものではなく、トルエン、ベンゼン、o−キシレン、m−キシレン、およびp−キシレンのような芳香族炭化水素;、ヘキサン、ヘプタン、およびシクロヘキサンのような脂肪族炭化水素;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、および1,4−ジオキサンのようなエーテルが挙げられ、より好ましくは、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンである。これらの溶媒は、モレキュラーシーブスまたは活性アルミナ、ナトリウムまたは水素化カルシウムなどにより乾燥して用いることが好ましい。
【0065】
工程[1-2]における溶媒の使用量は、般式(IV)で表される化合物量の濃度範囲が0.001〜4.0mol/L、より好ましくは0.01〜3.0mol/L、さらに好ましくは0.1〜2.0mol/Lとなるような範囲で用いることができる。
【0066】
工程[1−2]において、反応温度は、−78℃から溶媒の沸点以下であり、好ましくは、-20℃〜溶媒の沸点以下、より好ましくは、-10〜50℃であり、最も好ましくは、10〜40℃である。
【0067】
工程[1−2]において、反応は、空気、ヘリウム、アルゴンまたは窒素気流下で行うことができる。好ましくは、ヘリウム、アルゴンまたは窒素気流下、より好ましくは、窒素またはアルゴン気流下である。
【0068】
工程[1−2]において、圧力の影響は無視できるため、大気圧下で反応を行うのが一般的である。
【0069】
工程[1−2]において、反応時間は、30分間〜48時間である。














【0070】
工程[1−2]において得られる一般式(V)で表される化合物の具体例としては下記化合物が挙げられる。

【0071】
工程[1−3]
一般式(VI)で表されるケトンの具体例としては下記化合物が挙げられる。

【0072】
一般式(VII)で表されるアセタールの具体例としては下記化合物が挙げられる。

【0073】
工程[1−3]において、一般式(V)で表される化合物と一般式(VI)または(VII)で表される化合物の反応は、触媒として酸を用いてもよい。酸としては、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、およびトリフルオロメタンスルホン酸のようなスルホン酸;ピリジウム p−トルエンスルホナートのようなスルホナート;硫酸、塩酸および硝酸のような無機酸;塩化アルミニウム、塩化鉄(III)、塩化スズ(II)のようなルイス酸が挙げられ、好ましくはスルホン酸であり、特に好ましくはp−トルエンスルホン酸である。
【0074】
工程[1−3]において酸の使用量は、一般式(V)で表される化合物量に対するモル比が0.001〜1であり、収率の点から0.01〜0.5が好ましい。
【0075】
工程[1−3]において一般式(VI)または(VII)で表される化合物の使用量は、一般式(V)で表される化合物量に対するモル比が通常1.0〜10.0であり、収率の点から1.0〜5.0が好ましい。
【0076】
工程[1−3]で用いる溶媒は、類似の反応で一般的に用いられる溶媒であれば特に制限されるものではなく、トルエン、ベンゼン、o−キシレン、m−キシレン、およびp−キシレンのような芳香族炭化水素;、ヘキサン、ヘプタン、およびシクロヘキサンのような脂肪族炭化水素;テトラヒドロフラン、および1,4−ジオキサンのようなエーテル;ジメチルスルホキシド;N,N−ジメチルホルムアミドおよびN,N−ジメチルアセタミドが挙げられ、より好ましくは、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミドである。これらの溶媒は、モレキュラーシーブスまたは活性アルミナ、ナトリウムまたは水素化カルシウムなどにより乾燥して用いることが好ましい。
【0077】
工程[1−3]における溶媒の使用量は、一般式(V)で表される化合物の濃度範囲が0.001〜4.0mol/L、より好ましくは0.01〜3.0mol/L、さらに好ましくは0.1〜2.0mol/Lとなるような範囲で用いることができる。
【0078】
工程[1−3]において、反応温度は、−78℃から溶媒の沸点以下であり、好ましくは、10℃〜溶媒の沸点以下、より好ましくは、10〜40℃である。
【0079】
工程[1−3]において、反応時間は、30分間〜48時間であり、好ましくは30分間〜8時間である。







【0080】
工程[1−3]で得られる一般式(VIII)で表される化合物の具体例としては下記化合物が挙げられる。

【0081】
工程[1−4]
工程[1−4]は、例えば、Synlett 201(1996)201〜208頁に記載される公知の方法で行うことができる。
【0082】
一般式(IX)で表される化合物としては、例えば、有機マグネシウム化合物および有機アルミニウム化合物が挙げられる。
【0083】
有機マグネシウム化合物の具体例としては、メチルマグネシウムクロリド,エチルマグネシウムクロリド、プロピルマグネシウムクロリド、ブチルマグネシウムクロリド、ペンチルマグネシウムクロリド等が挙げられ、好ましくは、メチルマグネシウムクロリド、エチルマグネシウムクロリドである。
【0084】
また、これらの化合物のクロリドをブロミド、アイオダイドに変更した化合物も挙げられる。
【0085】
有機アルミニウム化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリド等のジアルキルアルミニウムクロリドが挙げられ、好ましくは、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムである。
【0086】
また、これらの化合物のクロリドをブロミド、アイオダイドに変更した化合物も挙げられる。
【0087】
工程[1−4]では、一般式(IX)で表される化合物の使用量は、一般式(VIII)で表される化合物量に対するモル比が0.1〜100、好ましくは0.1〜10、より好ましくは、1.0〜4.0、最も好ましくは、1.0〜2.0である。
【0088】
工程[1−4]で用いる溶媒は、類似の反応で一般的に用いられる溶媒であれば特に制限されるものではなく、例えば、トルエン、ベンゼン、o−キシレン、m−キシレン、およびp−キシレンのような芳香族炭化水素;ヘキサン、ヘプタン、およびシクロヘキサンのような脂肪族炭化水素;テトラヒドロフランおよび1,4−ジオキサンのような環状エーテルが挙げられ、より好ましくは芳香族炭化水素であり、特に好ましくはベンゼン、トルエンである。これらの溶媒はモレキュラーシーブス、活性アルミナ、ナトリウムまたは水素化カルシウムなどにより乾燥して用いることが好ましい。
【0089】
工程[1−4]における溶媒の使用量は、一般式(VIII)で表される化合物の濃度範囲が0.001〜4.0mol/L、より好ましくは0.01〜2.0mol/L、さらに好ましくは0.1〜1.0mol/Lとなるような範囲で用いることができる。
【0090】
工程[1−4]において、反応温度は、0〜180℃であり、好ましくは、10〜120℃であり、より好ましくは、50〜100℃である。
【0091】
工程[1−4]において、反応は、空気、ヘリウム、アルゴンまたは窒素気流下で行うことができる。好ましくは、ヘリウム、アルゴンまたは窒素気流下、より好ましくは、窒素またはアルゴン気流下である。
【0092】
工程[1−4]において、圧力の影響は無視できるため、大気圧下で反応を行うのが一般的である。
【0093】
工程[1−4]において、反応時間は、30分間〜48時間であり、好ましくは30分間〜3時間である。











【0094】
工程[1−4]で得られる一般式(X)で表される化合物の具体例としては下記化合物が挙げられる。

【0095】
工程[1−5]
一般式(XI)で表される化合物は、具体的にはヨードメタン、ヨードエタン、1−ヨードプロパン、2−ヨードプロパン、1−ヨードブタン、1−ヨード−1,1−ジメチルエタン、イソブチルアイオダイドなどが挙げられる。また、これらの化合物のヨウ素原子を塩素原子、臭素原子、CFSO基、CHSO基、またはp−CHSO基に変更した化合物も挙げられる。
【0096】
工程[1−5]に用いられる塩基は、工程[1−1]における塩基と同様である。
【0097】
工程[1−5]において、一般式(XI)で表される化合物の使用量は、一般式(X)で表される化合物量に対するモル比が通常1.0〜10.0であり、収率の点から1.0〜5.0が好ましい。
【0098】
工程[1−5]で用いる溶媒および使用量は、工程[1−1]における溶媒および使用量と同様である。
【0099】
工程[1−5]において、反応温度および反応時間は、工程[1−1]における反応温度および反応時間と同様である。
【0100】
工程[1−5]で得られる一般式(XII)で表される化合物の具体例としては下記化合物が挙げられる。

【0101】
工程[1−6]
工程[1−6]に用いられる酸は、具体的には、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、塩酸、臭化水素、硫酸、塩化チタン(IV)、塩化鉄(III)、塩化セリウム(III)、トリメチルシリルアイオダイド、トリメチルシリルトリフラートが挙げられ、好ましくは、塩酸、ギ酸、トリフルオロ酢酸、塩化チタン(IV)、より好ましくは、トリフルオロ酢酸、塩化チタン(IV)、最も好ましくは塩化チタン(IV)である。
【0102】
工程[1−6]での酸の使用量は、一般式(XII)で表される化合物量に対するモル比が1.0〜10.0であり、収率の点から1.0〜5.0が好ましい。
【0103】
工程[1−6]で用いる溶媒は、類似の反応で一般的に用いられる溶媒であれば特に制限されるものではなく、トルエン、ベンゼン、o−キシレン、m−キシレン、およびp−キシレンのような芳香族炭化水素;、ヘキサン、ヘプタン、およびシクロヘキサンのような脂肪族炭化水素;テトラヒドロフラン、および1,4−ジオキサンのようなエーテル;ジクロロメタン、クロロホルム、および四塩化炭素のようなハロゲン化物;メタノール、エタノール、プロパノールおよびイソプロパノールのようなアルコール;ジメチルスルホキシド;N,N−ジメチルホルムアミドおよびN,N−ジメチルアセタミドが挙げられ、より好ましくは、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジクロロメタンである。これらの溶媒は、モレキュラーシーブスまたは活性アルミナ、ナトリウムまたは水素化カルシウムなどにより乾燥して用いることが好ましい。
【0104】
工程[1−6]における溶媒の使用量は、一般式(XII)で表される化合物量の濃度範囲が0.001〜4.0mol/L、より好ましくは0.01〜3.0mol/L、さらに好ましくは0.1〜2.0mol/Lとなるような範囲で用いることができる。
【0105】
工程[1−6]において、反応温度は、−78℃から溶媒の沸点以下であり、好ましくは、0℃〜溶媒の沸点以下、より好ましくは、0〜40℃である。
【0106】
工程[1−6]において、反応は、空気、ヘリウム、アルゴンまたは窒素気流下で行うことができる。好ましくは、ヘリウム、アルゴンまたは窒素気流下、より好ましくは、窒素またはアルゴン気流下である。
【0107】
工程[1−6]において、圧力の影響は無視できるため、大気圧下で反応を行うのが一般的である。
【0108】
工程[1−6]において、反応時間は、10分間〜48時間である、好ましくは10分間〜8時間である。
【0109】
工程[1−6]で得られる一般式(XIII)で表される化合物の具体例としては下記化合物が挙げられる。













【0110】
工程[1−7]
一般式(XIV)で表される化合物の具体例としては下記化合物を挙げることができる。

【0111】
工程[1−7]に用いられる塩基とは、例えば、有機リチウム、水素化アルカリ金属、水素化アルカリ土類金属、アミン化合物が挙げられる。具体的には、メチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、フェニルリチウム、リチウム ジイソプロピルアミド、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化リチウムおよび水素化カルシウム、トリエチルアミン、イミダゾール、ピリジン、4−N、N−ジメチルアミノピリジンが挙げられ、好ましくはトリエチルアミン、イミダゾール、4−N、N−ジメチルアミノピリジンであり、さらに好ましくはイミダゾール、4−N、N−ジメチルアミノピリジンである。
【0112】
工程[1−7]での塩基の使用量は、一般式(XIII)で表される化合物量に対するモル比が1.0〜10.0であり、収率の点から1.0〜5.0が好ましい。
【0113】
一般式(XIV)で表される化合物の使用量は、一般式(XIII)で表される化合物量に対するモル比が通常1.0〜10.0であり、収率の点から1.0〜5.0が好ましい。
【0114】
工程[1−7]で用いる溶媒は、類似の反応で一般的に用いられる溶媒であれば特に制限されるものではなく、トルエン、ベンゼン、o−キシレン、m−キシレン、およびp−キシレンのような芳香族炭化水素;、ヘキサン、ヘプタン、およびシクロヘキサンのような脂肪族炭化水素;テトラヒドロフラン、および1,4−ジオキサンのようなエーテル;ジメチルスルホキシド;N,N−ジメチルホルムアミドおよびN,N−ジメチルアセタミドが挙げられ、より好ましくは、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミドである。これらの溶媒は、モレキュラーシーブスまたは活性アルミナ、ナトリウムまたは水素化カルシウムなどにより乾燥して用いることが好ましい。
【0115】
工程[1−7]における溶媒の使用量は、一般式(XIII)で表される化合物量の濃度範囲が0.001〜4.0mol/L、より好ましくは0.01〜3.0mol/L、さらに好ましくは0.1〜2.0mol/Lとなるような範囲で用いることができる。
【0116】
工程[1−7]において、反応温度は、−78℃から溶媒の沸点以下であり、好ましくは、10℃〜溶媒の沸点以下、より好ましくは、10〜40℃である。
【0117】
工程[1−7]において、反応は、空気、ヘリウム、アルゴンまたは窒素気流下で行うことができる。好ましくは、ヘリウム、アルゴンまたは窒素気流下、より好ましくは、窒素またはアルゴン気流下である。
【0118】
工程[1−7]において、圧力の影響は無視できるため、大気圧下で反応を行うのが一般的である。
【0119】
工程[1−7]において、反応時間は、30分間〜48時間である、好ましくは30分間〜8時間である。
【0120】
工程[1−7]において、一般式(XIII)で表される化合物と一般式(XIV)で表される化合物との反応は、一般式(XIV)で表される化合物を有機溶媒に溶解または希釈し、塩基と混合した後に、一般式(XIII)で表される化合物に加えることが好ましい。
【0121】
得られた一般式(I)で表されるトリエーテルは、必要に応じて蒸留、再結晶、シリカゲルまたはアルミナを用いる薄相またはカラムクロマトグラフィー、およびサイズ排除型分取液体クロマトグラフィーによる精製操作を行って、純度を高めることができる。



























【0122】
上記の合成ルート(2)では、一般式(XV)で表されるトリオール化合物から以下の工程[2−1]〜[2−6]を含む製造方法で、一般式(I)で表されるトリエーテルを製造することが出来る。
【0123】
工程[2−1]は、一般式(XV)で表されるトリオール化合物と、一般式(VI)で表されるケトンまたは一般式(VII)で表されるアセタールとの反応により、一般式(XVI)で表されるケタール誘導体を得る工程である。

(XV)
(式中、Rは前記一般式(I)と同じである。)

(VI)
(式中、RおよびRは、それぞれ独立に、炭素原子数1〜5のアルキル基を表す。)

(VII)
(式中、RおよびRは、それぞれ独立に、炭素原子数1〜5のアルキル基を表す。)

(XVI)
(式中、Raは、前記の一般式(I)と同じであり、RおよびRは、前記の一般式(VI)または(VII)と同じである。)
【0124】
工程[2−2]は、一般式(XVI)で表される化合物を一般式(XVII)で表される化合物とを塩基存在下で反応させることにより、一般式(VIII)で表される化合物を得る工程である。


(XVII)
(式中、Rは前記の一般式(I)と同じであり、Xは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFSO基、CHSO基、またはp−CHSO基を表す。)


(VIII)
(式中、RaおよびRfは、前記の一般式(I)と同じである。)
【0125】
工程[2−3]は、工程[1−4]と同じである。
【0126】
工程[2−4]は、工程[1−5]と同じである。
【0127】
工程[2−5]は、工程[1−6]と同じである。
【0128】
工程[2−6]は、工程[1−7]と同じである。
【0129】
工程[2−1]
【0130】
工程[2−1]で使用する一般式(XV)で表されるトリオール化合物は、例えば、Agric.Biol.Chem.46(1982)411〜418頁に記載される公知の方法で合成できる。



























【0131】
一般式(XV)で表されるトリオール化合物の具体例としては下記化合物が挙げられる。

【0132】
工程[2−1]において、一般式(XV)で表されるトリオール化合物と一般式(VI)または(VII)で表される化合物の反応は、触媒として酸を用いてもよい。酸としては、工程「1−3]と同じである。
【0133】
工程[2−1]において酸の使用量は、工程[1−3]と同じである。
【0134】
工程[2−1]において一般式(VI)または(VII)で表される化合物の使用量は、工程[1−3]と同じである。
【0135】
工程[2−1]で用いる溶媒および使用量は、工程[1−3]と同じである。
【0136】
反応温度は、−78℃から溶媒の沸点以下であり、好ましくは、10℃〜溶媒の沸点以下、より好ましくは、10〜40℃である。
【0137】
工程[2−1]において、反応温度は、−78℃から溶媒の沸点以下であり、好ましくは、10℃〜溶媒の沸点以下、より好ましくは、10〜40℃である。
【0138】
工程[2−1]において、反応時間は、30分間〜48時間である、好ましくは30分間〜8時間である。



































【0139】
工程[2−1]で得られる一般式(XVI)で表される化合物の具体例としては下記化合物が挙げられる。

【0140】
工程[2−2]
一般式(XVII)で表される化合物としては、具体的に、ヨードメタン、ヨードエタン、1−ヨードプロパン、2−ヨードプロパン、1−ヨードブタン、1−ヨード−1,1−ジメチルエタン、イソブチルアイオダイドなどが挙げられる。また、これらの化合物のヨウ素原子を塩素原子、臭素原子、CFSO基、CHSO基、またはp−CHSO基に変更した化合物も挙げられる。
【0141】
工程[2−2]に用いられる塩基は、工程[1−1]における塩基と同様である。
【0142】
工程[2−2]において、一般式(XVII)で表される化合物の使用量は、一般式(XVI)で表される化合物量に対するモル比が通常1.0〜10.0であり、収率の点から1.0〜5.0が好ましい。
【0143】
工程[2−2]で用いる溶媒および使用量は、工程[1−1]における溶媒および使用量と同様である。
【0144】
工程[2−2]において、反応温度および反応時間は、工程[1−1]における反応温度および反応時間と同様である。
【0145】
[固体触媒成分(A)]
本発明において用いられる固体触媒成分(A)の製造方法は特に限定されるものではないが、以下(1)および(2)に挙げる製造方法を例示することが出来る。
[製造方法(1)]
チタン原子とマグネシウム原子を含む固体成分(a)、および電子供与性化合物(b)を接触させる方法。
[製造方法(2)]
チタン化合物(c)、マグネシウム化合物(d)および電子供与性化合物(b)を接触させる方法。
【0146】
[製造方法(1)]
チタン原子とマグネシウム原子を含む固体成分(a)
チタン原子とマグネシウム原子を含む固体成分(a)であれば特に制限はないが、チタン原子、マグネシウム原子およびハイドロカルビルオキシ基を含有する固体触媒成分前駆体(a−1)、チタン酸マグネシウム、WO2004/039747号公報に記載のチタン酸アルミニウムマグネシウムが挙げられ、好ましくは固体触媒成分前駆体(a−1)である。
【0147】
固体触媒成分前駆体(a−1)のハイドロカルビルオキシ基としては、例えば炭素原子数が1〜20のハイドロカルビルオキシ基が挙げられるが、好ましくはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、ペントキシ基、シクロペントキシ基、シクロヘキソキシ基である。
【0148】
固体触媒成分前駆体(a−1)は、いかなる調製方法で合成されてもよい。例えば、Si−O結合を有するケイ素化合物(a−1a)の存在下に、チタン化合物(a−1b)を、有機マグネシウム化合物(a−1c)で還元する方法が挙げられる。
【0149】
Si−O結合を有するケイ素化合物(a−1a)として、下式(i)から(iii)で表わされる化合物を例示することができる。
Si(OR(4−a)・・・(i)
(RSiO)SiR・・・(ii)
(RSiO)・・・(iii)
[式中、R〜Rはそれぞれ独立に炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基または水素原子であり、aは0<a≦4を満たす整数であり、lは1〜1000の整数であり;mは2〜1000の整数である]
【0150】
式(i)から(iii)で示すSi−O結合を有するケイ素化合物(a−1a)におけるR〜Rのハイドロカルビル基として、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、およびドデシル基のようなアルキル基;フェニル基、クレジル基、キシリル基、およびナフチル基のようなアリール基;シクロヘキシル基およびシクロペンチル基のようなシクロアルキル基;アリル基のようなアルケニル基;ベンジル基のようなアラルキル基を例示することができる。
【0151】
式(i)から(iii)で示すSi−O結合を有するケイ素化合物(a−1a)におけるR〜Rは好ましくは、炭素原子数2〜18のアルキル基または炭素原子数6〜18のアリール基であり、特に好ましくは炭素原子数2〜18の直鎖状アルキル基である。
【0152】
式(i)から(iii)で示すSi−O結合を有するケイ素化合物(a−1a)の具体例としては、テトラメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、トリエトキシエチルシラン、ジエトキシジエチルシラン、エトキシトリエチルシラン、テトライソプロポキシシラン、ジイソプロポキシ−ジイソプロピルシラン、テトラプロポキシシラン、ジプロポキシジプロピルシラン、テトラブトキシシラン、ジブトキシジブチルシラン、ジシクロペントキシジエチルシラン、ジエトキシジフェニルシラン、シクロヘキシロキシトリメチルシラン、フェノキシトリメチルシラン、テトラフェノキシシラン、トリエトキシフェニルシラン、ヘキサメチルジシロヘキサン、ヘキサエチルジシロヘキサン、ヘキサプロピルジシロキサン、オクタエチルトリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、メチルハイドロポリシロキサン、およびフェニルハイドロポリシロキサンを例示することができる。
【0153】
式(i)から(iii)で示すSi−O結合を有するケイ素化合物(a−1a)の中でも、好ましくは式(i)におけるaが1≦a≦4を満たす化合物であり、より好ましくは、aが4であるテトラアルコキシシランであり、最も好ましくはテトラエトキシシランである。
【0154】
チタン化合物(a−1b)として下式(iv)で表される化合物を例示することができる。

(iv)

[ただし、上式(iv)において、nは1〜20の整数を表し、Rは炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基を表す。Xはハロゲン原子または炭素原子数1〜20のハイドロカルビルオキシ基を表し、Xは互いに同じであっても異なっていてもよい]
【0155】
式(iv)で示すチタン化合物(a−1b)におけるRは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−デシル基、およびn−ドデシル基のようなアルキル基;フェニル基、クレジル基、キシリル基、およびナフチル基のようなアリール基;シクロヘキシル基およびシクロペンチル基のようなシクロアルキル基;アリル基のようなアルケニル基;ならびにベンジル基のようなアラルキル基を例示することができる。Rは好ましくは、炭素原子数2〜18のアルキル基または炭素原子数6〜18のアリール基であり、特に好ましくは炭素原子数2〜18の直鎖状アルキル基である。
【0156】
上式(iv)におけるXのハロゲン原子として、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子を例示することができる。特に好ましくは塩素原子である。
上式(iv)におけるXの炭素原子数1〜20のハイドロカルビルオキシ基は、好ましくは、炭素原子数2〜18のアルコキシ基であり、より好ましくは炭素原子数2〜10のアルコキシ基であり、特に好ましくは炭素原子数2〜6のアルコキシ基である。
【0157】
上式(iv)で表されるチタン化合物(a−1b)として、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラプロポキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラブトキシチタン、テトライソブトキシチタン、ブトキシチタントリクロリド、ジブトキシチタンジクロリド、トリブトキシチタンクロリド、ジテトライソプロピルポリチタネート(n=2〜10の範囲の混合物)、テトラブチルポリチタネート(n=2〜10の範囲の混合物)、テトラヘキシルポリチタネート(n=2〜10の範囲の混合物)、テトラオクチルポリチタネート(n=2〜10の範囲の混合物)、およびテトラアルコキシチタンに少量の水を反応して得られるテトラアルコキシチタンの縮合物、ならびにこれらの2以上の組合せを例示することができる。
【0158】
上式(iv)で表されるチタン化合物(a−1b)は好ましくは、nが1、2または4であるチタン化合物であり、より好ましくはnが1であるチタン化合物であり、特に好ましくは、テトラ−n−アルコキシチタン、更に好ましくはテトラブトキシチタンである。
【0159】
有機マグネシウム化合物(a−1c)は、マグネシウム原子−炭素原子の結合を有する任意の化合物である。有機マグネシウム化合物として、下式(v)または(vi)で表わされる化合物を例示することができ、良好な形態の触媒を得る観点から、前者の式(v)で表されるグリニャール化合物が好ましく、グリニャール化合物のエーテル溶液が特に好ましい:
MgX・・・(v)
10Mg・・・(vi)
[R〜R10は炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基を表し、Xはハロゲン原子を表わす]
【0160】
式(v)または(vi)におけるR〜R10のハイドロカルビル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、フェニル基、アリル基およびベンジル基のような、炭素原子数1〜20の、アルキル基、アリール基、アラルキル基およびアルケニル基を例示することができる。
【0161】
式(v)または(vi)における好ましいR〜R10は、炭素原子数2〜18のアルキル基または炭素原子数6〜18のアリール基であり、特に好ましくは炭素原子数2〜18のアルキル基である。
【0162】
式(v)におけるXとして、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子を例示することができる。特に好ましくは塩素原子である。
【0163】
上式で表されるグリニャール化合物の例としては、メチルマグネシウムクロリド、エチルマグネシウムクロリド、プロピルマグネシウムクロリド、イソプロピルマグネシウムクロリド、ブチルマグネシウムクロリド、イソブチルマグネシウムクロリド、tert−ブチルマグネシウムクロリド、ペンチルマグネシウムクロリド、イソペンチルマグネシウムクロリド、シクロペンチルマグネシウムクロリド、ヘキシルマグネシウムクロリド、シクロヘキシルマグネシウムクロリド、オクチルマグネシウムクロリド、2−エチルヘキシルマグネシウムクロリド、フェニルマグネシウムクロリド、およびベンジルマグネシウムクロリドである。それらの中で、エチルマグネシウムクロリド、プロピルマグネシウムクロリド、イソプロピルマグネシウムクロリド、ブチルマグネシウムクロリド、およびイソブチルマグネシウムクロリドが好ましく、ブチルマグネシウムクロリドが特に好ましい。
これらのグリニャール化合物は、好ましくは、それらのエーテル溶液として用いられる。エーテルの例としては、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、エチルブチルエーテルおよびジイソペンチルエーテルのようなジアルキルエーテル、ならびにテトラヒドロフランのような環状エーテルである。それらのうち、ジアルキルエーテルが好ましく、ジブチルエーテルまたはジイソブチルエーテルが特に好ましい。
【0164】
Si−O結合を有するケイ素化合物(a−1a)の存在下に、チタン化合物(a−1b)を、有機マグネシウム化合物(a−1c)で還元反応時に、任意にエステル類(a−1d)を共存させてもよい。
【0165】
エステル類(a−1d)としては脂肪族カルボン酸エステル、芳香族カルボン酸エステル、脂肪族ジカルボン酸ジエステル、および芳香族ジカルボン酸ジエステルが挙げられ、具体的には、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸フェニル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸エチル、吉草酸エチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸ブチル、トルイル酸メチル、トルイル酸エチル、アニス酸エチル、コハク酸ジエチル、コハク酸ジブチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジブチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジブチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチル、フタル酸モノエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸メチルエチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジプロピル、フタル酸ジイソプロピル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジペンチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジシクロヘキシル、およびフタル酸ジフェニルを例示することができる。中でも好ましくは、安息香酸エチルのような芳香族カルボン酸エステル;フタル酸エステルのような芳香族ジカルボン酸ジエステルである。
【0166】
還元反応における溶媒として、ヘキサン、ヘプタン、オクタンおよびデカンのような脂肪族炭化水素;トルエンおよびキシレンのような芳香族炭化水素;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンおよびデカリンのような脂環式炭化水素;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、エチル ブチルエーテル、およびジイソペンチルエーテルのようなジアルキルエーテル;テトラヒドロフランのような環状エーテル;クロロベンゼンおよびジクロロベンゼンのようなハロゲン化芳香族;ならびに、これらの2種以上の組合せを例示することができる。中でも、好ましくは脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、または、脂環式炭化水素であり、より好ましくは脂肪族炭化水素、または、脂環式炭化水素であり、さらに好ましくは脂肪族炭化水素であり、特に好ましくはヘキサン、または、ヘプタンである。
【0167】
還元反応において、Si−O結合を有するケイ素化合物(a−1a)の使用量は、使用されるチタン化合物(a−1b)中の総チタン原子1molあたり、ケイ素原子が通常1〜500mol、好ましくは1〜300mol、特に好ましくは3〜100molとなる量である。
【0168】
還元反応において、有機マグネシウム化合物(a−1c)の使用量は、使用される有機マグネシウム化合物(a−1c)中の総マグネシウム原子1molあたり、上記チタン原子と上記ケイ素原子との和が通常0.1〜10mol、好ましくは0.2〜5.0mol、特に好ましくは0.5〜2.0molとなる量である。
還元反応におけるチタン化合物(a−1b)、Si−O結合を有するケイ素化合物(a−1a)および有機マグネシウム化合物(a−1c)の使用量はまた、得られる固体触媒成分前駆体(a−1)中のマグネシウム原子の量が、該前駆体中のチタン原子1molあたり、1〜51mol、好ましくは2〜31mol、特に好ましくは4〜26molとなるように決定してもよい。
【0169】
還元反応において、エステル類(a−1d)の使用量は、使用されるチタン化合物中の総チタン原子1molあたり、通常0.05〜100mol、好ましくは0.1〜60mol、特に好ましくは0.2〜30molである。
【0170】
還元反応において、Si−O結合を有するケイ素化合物(a−1a)、チタン化合物(a−1b)および溶媒を含有する溶液中に有機マグネシウム化合物(a−1c)を加えるときの温度は、通常−50〜100℃であり、好ましくは−30〜70℃であり、特に好ましくは−25〜50℃の範囲である。有機マグネシウム化合物(a−1c)を加えるときの時間は特に限定されず、通常30分〜6時間程度である。良好な形態の触媒を得る観点から、有機マグネシウム化合物(a−1c)は連続的に加えられるのが好ましい。該反応をさらに進めるために、5〜120℃での反応を追加してもよい。
【0171】
さらに、還元反応時に担体物質を存在させ、固体触媒成分前駆体(a−1)は担体物質に担持されていてもよい。担体物質としては、特に制限はないが、例えば、SiO、Al、MgO、TiO、およびZrOのような多孔質無機酸化物;ポリスチレン、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、スチレン−エチレングリコール−ジメタクリル酸メチル共重合体、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、アクリル酸メチル−ジビニルベンゼン共重合体、ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸メチル−ジビニルベンゼン共重合体、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル−ジビニルベンゼン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、およびポリプロピレンのような有機多孔質ポリマーが挙げられる。これらのうち好ましくは、有機多孔質ポリマーであり、特に好ましくは、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体である。
【0172】
担体として好ましくは、固体触媒成分前駆体(a−1)を有効に固定化する観点から、細孔半径20〜200nmにおける細孔容量が、0.3cm/g以上であり、より好ましくは0.4cm/g以上であり、かつ該範囲の細孔容量は、細孔半径3.5〜7500nmにおける細孔容量に対して35%以上であり、より好ましくは40%以上である多孔質の担体である。
【0173】
Si−O結合を有するケイ素化合物(a−1a)と、一般式(v)で表されるチタン化合物(a−1b)と、任意にエステル類(a−1d)と、有機マグネシウム化合物(a−1c)を加えると、有機マグネシウム化合物によるチタン化合物の還元反応が進行するので、該チタン化合物のチタン原子は4価から3価に還元される。本発明においては、実質上全ての4価のチタン原子が3価に還元されるのが好ましい。得られた固体触媒成分前駆体(a−1)は、3価のチタン原子、マグネシウム原子およびハイドロカルビルオキシ基を含有し、一般に非晶性または極めて弱い結晶性を有し、好ましくは非晶性の構造である。
【0174】
得られる固体触媒成分前駆体(a−1)は溶媒で洗浄してもよい。該溶媒の例としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンおよびデカンなどの脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼンおよびキシレンなどの芳香族炭化水素;シクロヘキサンおよびシクロペンタンなどの脂環式炭化水素;1,2−ジクロロエタンおよびモノクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素である。これらの中で、脂肪族炭化水素または芳香族炭化水素が好ましく、芳香族炭化水素がより好ましく、トルエンまたはキシレンが特に好ましい。
【0175】
電子供与性化合物(b)
電子供与性化合物(b)は、酸素原子あるいは窒素原子を含有する有機化合物であり、例えばアルコール類、エーテル類、エステル類、ケトン類、アルデヒト類、アミン類、アミド類などが挙げられる。
【0176】
アルコール類として、具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、および2−エチルヘキサノールのような脂肪族アルコール;フェノール、およびクレゾールのような芳香族アルコールが挙げられる。
【0177】
ケトン類として、具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、およびメチルブチルケトンのような脂肪族ケトン;アセトフェノン、およびベンゾフェノンのような芳香族ケトンが挙げられる。
【0178】
アルデヒド類として、具体的には、アセトアルデヒド、プロピオンアルドヒド、およびオクチルアルデヒドのような脂肪族アルデヒド;ベンズアルデヒドのような芳香族アルデヒドが挙げられる。
【0179】
エーテル類として、具体的には、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジペンチルエーテル、およびtert-ブチルメチルエーテルのようなジアルキルエーテル;ジフェニルエーテルのような芳香族エーテル類;2−ブチル−2−エチル−1、3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−2−イソペンチル−1、3−ジメトキシプロパン、2,2−ジイソブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジシクロヘキシル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ビス(シクロヘキシルメチル)−1,3−ジメトキシプロパン、2−シクロヘキシル−2−イソプロピル−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−2−sec−ブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジフェニル−1,3−ジメトキシプロパン、および2−シクロペンチル−2−イソプロピル−1,3−ジメトキシプロパンのような脂肪族ジエーテル;1,1−ビス(メトキシメチル)インデニル、および9,9−ビス(メトキシメチル)フルオレンのような芳香族ジエーテルが挙げられる。
【0180】
エステル類としては、脂肪族カルボン酸エステル、芳香族カルボン酸エステル、脂肪族ジカルボン酸ジエステル、および芳香族ジカルボン酸ジエステル、ジオールエステルが挙げられる。
【0181】
脂肪族カルボン酸エステルとして、具体的には、ギ酸メチル、酢酸エチル、酢酸ビニル、酢酸プロピル、酢酸オクチル、酢酸シクロヘキシル、プロピオン酸エチル、および酪酸エチルのような脂肪族モノカルボン酸エステル;
【0182】
3−エトキシ−2−イソプロピルプロピオン酸エチル、3−エトキシ−2−イソブチルプロピオン酸エチル、3−エトキシ−2−tert−ブチルプロピオン酸エチル、3−エトキシ−2−tert−ペンチルプロピオン酸エチル、3−エトキシ−2−シクロヘキシルプロピオン酸エチル、3−エトキシ−2−シクロペンチルプロピオン酸エチル、3−エトキシ−2−アダマンチルプロピオン酸エチル、3−エトキシ−2−(2,3−ジメチル−2−ブチル)プロピオン酸エチル、3−エトキシ−2−(2,3,3−トリメチル−2−ブチル)プロピオン酸エチル、3−エトキシ−2−(2−メチル−2−ヘキシル)プロピオン酸エチル、3−イソブトキシ−2−イソプロピルプロピオン酸エチル、3−イソブトキシ−2−イソブチルプロピオン酸エチル、3−イソブトキシ−2−tert−ブチルプロピオン酸エチル、3−イソブトキシ−2−tert−ペンチルプロピオン酸エチル、3−イソブトキシ−2−シクロヘキシルプロピオン酸エチル、3−イソブトキシ−2−シクロペンチルプロピオン酸エチル、3−イソブトキシ−2−アダマンチルプロピオン酸エチル、3−メトキシ−2−イソプロピルプロピオン酸エチル、3−メトキシ−2−イソブチルプロピオン酸エチル、3−メトキシ−2−tert−ブチルプロピオン酸エチル、3−メトキシ−2−tert−ペンチルプロピオン酸エチル、3−メトキシ−2−シクロヘキシルプロピオン酸エチル、3−メトキシ−2−シクロペンチルプロピオン酸エチル、3−メトキシ−2−アダマンチルプロピオン酸エチル、3−メトキシ−2−(2,3−ジメチル−2−ブチル)プロピオン酸エチル、3−メトキシ−2−(2,3,3−トリメチル−2−ブチル)プロピオン酸エチル、3−メトキシ−2−(2−メチル−2−ヘキシル)プロピオン酸エチル、3−エトキシ−2−イソプロピルプロピオン酸メチル、3−エトキシ−2−イソブチルプロピオン酸メチル、3−エトキシ−2−tert−ブチルプロピオン酸メチル、3−エトキシ−2−tert−ペンチルプロピオン酸メチル、3−エトキシ−2−シクロヘキシルプロピオン酸メチル、3−エトキシ−2−シクロペンチルプロピオン酸メチル、3−エトキシ−2−アダマンチルプロピオン酸メチル、3−エトキシ−2−(2,3−ジメチル−2−ブチル)プロピオン酸メチル、3−エトキシ−2−(2,3,3−トリメチル−2−ブチル)プロピオン酸メチル、3−エトキシ−2−(2−メチル−2−ヘキシル)プロピオン酸メチル、3−メトキシ−2−イソプロピルプロピオン酸メチル、3−メトキシ−2−イソブチルプロピオン酸メチル、3−メトキシ−2−tert−ブチルプロピオン酸メチル、3−メトキシ−2−tert−ペンチルプロピオン酸メチル、3−メトキシ−2−シクロヘキシルプロピオン酸メチル、3−メトキシ−2−シクロペンチルプロピオン酸メチル、3−メトキシ−2−アダマンチルプロピオン酸メチル、3−メトキシ−2−(2,3−ジメチル−2−ブチル)プロピオン酸メチル、3−メトキシ−2−(2,3,3−トリメチル−2−ブチル)プロピオン酸メチル、3−メトキシ−2−(2−メチル−2−ヘキシル)プロピオン酸メチル、3−エトキシ−3−イソプロピル−2−イソブチルプロピオン酸エチル、3−エトキシ−3−イソブチル−2−イソブチルプロピオン酸エチル、3−エトキシ−3−イソブチル−2−tert−ブチルプロピオン酸エチル、3−エトキシ−2、3−ジtert−ブチルプロピオン酸エチル、3−エトキシ−3−イソブチル−2−tert−ペンチルプロピオン酸エチル、3−エトキシ−3−tert−ブチル−2−tert−ペンチルプロピオン酸エチル、3−エトキシ−2、3−ジtert−ペンチルプロピオン酸エチル、3−エトキシ−3−イソブチル−2−シクロヘキシルプロピオン酸エチル、3−エトキシ−2、3−ジシクロヘキシルプロピオン酸エチル、3−エトキシ−3−イソブチル−2−シクロペンチルプロピオン酸エチル、3−エトキシ−2、3−ジシクロペンチルプロピオン酸エチル、3−メトキシ−2,2−ジイソプロピルプロピオン酸エチル、3−メトキシ−2,2−ジイソプロピルプロピオン酸メチル、3−エトキシ−2,2−ジイソプロピルプロピオン酸エチル、3−エトキシ−2,2−ジイソプロピルプロピオン酸メチル、3−メトキシ−2−イソプロピル−2−イソブチルプロピオン酸メチル、3−メトキシ−2−イソプロピル−2−イソブチルプロピオン酸エチル、3−エトキシ−2−イソプロピル−2−イソブチルプロピオン酸エチル、3−メトキシ−2−イソプロピル−2−tert−ブチルプロピオン酸メチル、3−メトキシ−2−イソプロピル−2−tert−ブチルプロピオン酸エチル、3−エトキシ−2−イソプロピル−2−tert−ブチルプロピオン酸エチル、3−メトキシ−2−イソプロピル−2−tert−ペンチルプロピオン酸メチル、3−メトキシ−2−イソプロピル−2−tert−ペンチルプロピオン酸エチル、3−エトキシ−2−イソプロピル−2−tert−ペンチルプロピオン酸エチル、3−メトキシ−2−イソプロピル−2−シクロペンチルプロピオン酸メチル、3−メトキシ−2−イソプロピル−2−シクロペンチルプロピオン酸エチル、3−エトキシ−2−イソプロピル−2−シクロペンチルプロピオン酸エチル、3−メトキシ−2−イソプロピル−2−シクロヘキシルプロピオン酸メチル、3−メトキシ−2−イソプロピル−2−シクロヘキシルプロピオン酸エチル、3−エトキシ−2−イソプロピル−2−シクロヘキシルプロピオン酸エチル、3−メトキシ−2,2−ジイソブチルプロピオン酸エチル、3−メトキシ−2,2−ジイソブチルプロピオン酸メチル、3−エトキシ−2,2−ジイソブチルプロピオン酸エチル、3−エトキシ−2,2−ジイソブチルプロピオン酸メチル、3−メトキシ−2−イソブチル−2−tert−ブチルプロピオン酸メチル、3−メトキシ−2−イソブチル−2−tert−ブチルプロピオン酸エチル、3−エトキシ−2−イソブチル−2−tert−ブチルプロピオン酸エチル、3−メトキシ−2−イソブチル−2−tert−ペンチルプロピオン酸メチル、3−メトキシ−2−イソブチル−2−tert−ペンチルプロピオン酸エチル、3−エトキシ−2−イソブチル−2−tert−ペンチルプロピオン酸エチル、3−メトキシ−2−イソブチル−2−シクロペンチルプロピオン酸メチル、3−メトキシ−2−イソブチル−2−シクロペンチルプロピオン酸エチル、3−エトキシ−2−イソブチル−2−シクロペンチルプロピオン酸エチル、3−メトキシ−2−イソブチル−2−シクロヘキシルプロピオン酸メチル、3−メトキシ−2−イソブチル−2−シクロヘキシルプロピオン酸エチル、3−エトキシ−2−イソブチル−2−シクロヘキシルプロピオン酸エチル、3−メトキシ−2,2−ジtert−ブチルプロピオン酸エチル、3−メトキシ−2,2−ジtert−ブチルプロピオン酸メチル、3−エトキシ−2,2−ジtert−ブチルプロピオン酸エチル、3−エトキシ−2,2−ジtert−ブチルプロピオン酸メチル、3−メトキシ−2−tert−ブチル−2−メチルプロピオン酸メチル、3−メトキシ−2−tert−ブチル−2−メチルプロピオン酸エチル、3−エトキシ−2−tert−ブチル−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシ−2−tert−ブチル−2−エチルプロピオン酸メチル、3−メトキシ−2−tert−ブチル−2−エチルプロピオン酸エチル、3−エトキシ−2−tert−ブチル−2−エチルプロピオン酸エチル、3−メトキシ−2−tert−ブチル−2−プロピルプロピオン酸メチル、3−メトキシ−2−tert−ブチル−2−プロピルプロピオン酸エチル、3−エトキシ−2−tert−ブチル−2−プロピルプロピオン酸エチル、3−メトキシ−2−tert−ブチル−2−ブチルプロピオン酸メチル、3−メトキシ−2−tert−ブチル−2−ブチルプロピオン酸エチル、3−エトキシ−2−tert−ブチル−2−ブチルプロピオン酸エチル、3−メトキシ−2−tert−ブチル−2−ペンチルプロピオン酸メチル、3−メトキシ−2−tert−ブチル−2−ペンチルプロピオン酸エチル、3−エトキシ−2−tert−ブチル−2−ペンチルプロピオン酸エチル、3−エトキシ−2,2−ジシクロヘキシルプロピオン酸エチル、および3−エトキシ−2,2−ジシクロペンチルプロピオン酸エチルのようなアルコキシ基を有する脂肪族カルボン酸エステルが挙げられる。
【0183】
芳香族カルボン酸エステルとして、具体的には、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、安息香酸オクチル、安息香酸シクロヘキシル、安息香酸フェニル、p−トルイル酸メチル、およびp−トルイル酸エチルのような安息香酸エステル;アニス酸メチル、およびアニス酸エチルのようなアニス酸エステルが挙げられる。
【0184】
脂肪族ジカルボン酸ジエステルとして、具体的には、ジイソプロピルマロン酸ジメチル、ジイソプロピルマロン酸ジエチル、ジイソプロピルマロン酸ジプロピル、ジイソプロピルマロン酸ジイソプロピル、ジイソプロピルマロン酸ジブチル、ジイソプロピルマロン酸ジイソブチル、ジイソプロピルマロン酸ジネオペンチル、ジイソブチルマロン酸ジメチル、ジイソブチルマロン酸ジエチル、ジイソブチルマロン酸ジプロピル、ジイソブチルマロン酸ジイソプロピル、ジイソブチルマロン酸ジブチル、ジイソブチルマロン酸ジイソブチル、ジイソブチルマロン酸ジネオペンチル、ジイソペンチルマロン酸ジメチル、ジイソペンチルマロン酸ジエチル、ジイソペンチルマロン酸ジプロピル、ジイソペンチルマロン酸ジイソプロピル、ジイソペンチルマロン酸ジブチル、ジイソペンチルマロン酸ジイソブチル、ジイソペンチルマロン酸ジネオペンチル、イソプロピルイソブチルマロン酸ジメチル、イソプロピルイソブチルマロン酸ジエチル、イソプロピルイソブチルマロン酸ジプロピル、イソプロピルイソブチルマロン酸ジイソプロピル、イソプロピルイソブチルマロン酸ジブチル、イソプロピルイソブチルマロン酸ジイソブチル、イソプロピルイソブチルマロン酸ジネオペンチル、イソプロピルイソペンチルマロン酸ジメチル、イソプロピルイソペンチルマロン酸ジエチル、イソプロピルイソペンチルマロン酸ジプロピル、イソプロピルイソペンチルマロン酸ジイソプロピル、イソプロピルイソペンチルマロン酸ジブチル、イソプロピルイソペンチルマロン酸ジイソブチル、およびイソプロピルイソペンチルマロン酸ジネオペンチルのようなマロン酸ジエステル;
【0185】
2,3−ジエチルコハク酸ジエチル、2,3−ジプロピルコハク酸ジエチル、2,3−ジイソプロピルコハク酸ジエチル、2,3−ジブチルコハク酸ジエチル、2,3−ジイソブチルコハク酸ジエチル、2,3−ジ−tert−ブチルコハク酸ジエチル、2,3−ジエチルコハク酸ジブチル、2,3−ジプロピルコハク酸ジブチル、2,3−ジイソプロピルコハク酸ジブチル、2,3−ジブチルコハク酸ジブチル、2,3−ジイソブチルコハク酸ジブチル、および2,3−ジ−tert−ブチルコハク酸ジブチルのようなコハク酸ジエステル;
【0186】
3−メチルグルタル酸ジイソブチル、3−フェニルグルタル酸ジイソブチル、3−エチルグルタル酸ジエチル、3−プロピルグルタル酸ジエチル、3−イソプロピルグルタル酸ジエチル、3−イソブチルグルタル酸ジエチル、3−フェニルグルタル酸ジエチル、3−エチルグルタル酸ジイソブチル、3−イソプロピルグルタル酸ジイソブチル、3−イソブチルグルタル酸ジイソブチル、3−(3,3,3−トリフルオロプロピル)グルタル酸ジエチル、3−シクロヘキシルメチルグルタル酸ジエチル、3−tert−ブチルグルタル酸ジエチル、3,3−ジメチルグルタル酸ジエチル、3,3−ジメチルグルタル酸ジイソブチル、3−メチル−3−イソブチルグルタル酸ジエチル、および3−メチル−3−tert−ブチルグルタル酸ジエチルのようなグルタル酸ジエステル;
【0187】
1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジエチル、1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジプロピル、1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジブチル、1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジ−イソブチル、1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジネオペンチル、および1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ビス(2,2−ジメチルヘキシル)のようなシクロヘキセンジカルボン酸ジエステル;
【0188】
シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸ジエチル、シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸ジプロピル、シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸ジブチル、シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸ジ−イソブチル、シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸ジネオペンチル、シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸ビス(2,2−ジメチルヘキシル)、3−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸ジエチル、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸ジエチル、シクロヘキサン−1,1−ジカルボン酸ジエチル、シクロヘキサン−1,1−ジカルボン酸ジプロピル、シクロヘキサン−1,1−ジカルボン酸ジブチル、シクロヘキサン−1,1−ジカルボン酸ジ−イソブチル、シクロヘキサン−1,1−ジカルボン酸ジネオペンチル、シクロヘキサン−1,1−ジカルボン酸ビス(2,2−ジメチルヘキシル)、3−メチルシクロヘキサン−1,1−ジカルボン酸ジエチル、および4−メチルシクロヘキサン−1,1−ジカルボン酸ジエチルのようなシクロヘキサンジカルボン酸ジエステル;
【0189】
マレイン酸ジエチル、およびマレイン酸ジブチルのようなマレイン酸ジエステル類;アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジイソデシル、およびアジピン酸ジオクチルのようなアジピン酸ジエステル;
【0190】
ドデカン二酸ジメチル、ドデカン二酸ジエチル、ドデカン二酸ジプロピル、ドデカン二酸ジイソプロピル、ドデカン二酸ジブチル、ドデカン二酸ジイソブチル、ドデカン二酸ジペンチル、ドデカン二酸ジイソペンチル、ドデカン二酸ジヘキシル、ドデカン二酸ジイソヘキシル、ドデカン二酸ジヘプチル、ドデカン二酸ジイソヘプチル、ドデカン二酸ジオクチル、ドデカン二酸ジイソオクチル、ドデカン二酸ビス(2−エチルヘキシル)、α−メチルドデカン二酸ジメチル、α−メチルドデカン二酸ジエチル、α−メチルドデカン二酸ジプロピル、α−メチルドデカン二酸ジイソプロピル、α−メチルドデカン二酸ジブチル、α−メチルドデカン二酸ジイソブチル、α−メチルドデカン二酸ジペンチル、α−メチルドデカン二酸ジイソペンチル、α−メチルドデカン二酸ジヘキシル、α−メチルドデカン二酸ジイソヘキシル、α−メチルドデカン二酸ジヘプチル、α−メチルドデカン二酸ジイソヘプチル、α−メチルドデカン二酸ジオクチル、α−メチルドデカン二酸ジイソオクチル、α−メチルドデカン二酸ビス(2−エチルヘキシル)、α−エチルドデカン二酸ジメチル、α−エチルドデカン二酸ジエチル、α−エチルドデカン二酸ジプロピル、α−エチルドデカン二酸ジイソプロピル、α−エチルドデカン二酸ジブチル、α−エチルドデカン二酸ジイソブチル、α−エチルドデカン二酸ジペンチル、α−エチルドデカン二酸ジイソペンチル、α−エチルドデカン二酸ジヘキシル、α−エチルドデカン二酸ジイソヘキシル、α−エチルドデカン二酸ジヘプチル、α−エチルドデカン二酸ジイソヘプチル、α−エチルドデカン二酸ジオクチル、α−エチルドデカン二酸ジイソオクチル、α−エチルドデカン二酸ビス(2−エチルヘキシル)、α−イソプロピルドデカン二酸ジメチル、α−イソプロピルドデカン二酸ジエチル、α−イソプロピルドデカン二酸ジプロピル、α−イソプロピルドデカン二酸ジイソプロピル、α−イソプロピルドデカン二酸ジブチル、α−イソプロピルドデカン二酸ジイソブチル、α−イソプロピルドデカン二酸ジペンチル、α−イソプロピルドデカン二酸ジイソペンチル、α−イソプロピルドデカン二酸ジヘキシル、α−イソプロピルドデカン二酸ジイソヘキシル、α−イソプロピルドデカン二酸ジヘプチル、α−イソプロピルドデカン二酸ジイソヘプチル、α−イソプロピルドデカン二酸ジオクチル、α−イソプロピルドデカン二酸ジイソオクチル、α−イソプロピルドデカン二酸ビス(2−エチルヘキシル)、β−メチルドデカン二酸ジメチル、β−メチルドデカン二酸ジエチル、β−メチルドデカン二酸ジプロピル、β−メチルドデカン二酸ジイソプロピル、β−メチルドデカン二酸ジブチル、β−メチルドデカン二酸ジイソブチル、β−メチルドデカン二酸ジペンチル、β−メチルドデカン二酸ジイソペンチル、β−メチルドデカン二酸ジヘキシル、β−メチルドデカン二酸ジイソヘキシル、β−メチルドデカン二酸ジヘプチル、β−メチルドデカン二酸ジイソヘプチル、β−メチルドデカン二酸ジオクチル、β−メチルドデカン二酸ジイソオクチル、β−メチルドデカン二酸ビス(2−エチルヘキシル)、β−エチルドデカン二酸ジメチル、β−エチルドデカン二酸ジエチル、β−エチルドデカン二酸ジプロピル、β−エチルドデカン二酸ジイソプロピル、β−エチルドデカン二酸ジブチル、β−エチルドデカン二酸ジイソブチル、β−エチルドデカン二酸ジペンチル、β−エチルドデカン二酸ジイソペンチル、β−エチルドデカン二酸ジヘキシル、β−エチルドデカン二酸ジイソヘキシル、β−エチルドデカン二酸ジヘプチル、β−エチルドデカン二酸ジイソヘプチル、β−エチルドデカン二酸ジオクチル、β−エチルドデカン二酸ジイソオクチル、β−エチルドデカン二酸ビス(2−エチルヘキシル)、β−イソプロピルドデカン二酸ジメチル、β−イソプロピルドデカン二酸ジエチル、β−イソプロピルドデカン二酸ジプロピル、β−イソプロピルドデカン二酸ジイソプロピル、β−イソプロピルドデカン二酸ジブチル、β−イソプロピルドデカン二酸ジイソブチル、β−イソプロピルドデカン二酸ジペンチル、β−イソプロピルドデカン二酸ジイソペンチル、β−イソプロピルドデカン二酸ジヘキシル、β−イソプロピルドデカン二酸ジイソヘキシル、β−イソプロピルドデカン二酸ジヘプチル、β−イソプロピルドデカン二酸ジイソヘプチル、β−イソプロピルドデカン二酸ジオクチル、β−イソプロピルドデカン二酸ジイソオクチル、β−イソプロピルドデカン二酸ビス(2−エチルヘキシル)、γ−メチルドデカン二酸ジメチル、γ−メチルドデカン二酸ジエチル、γ−メチルドデカン二酸ジプロピル、γ−メチルドデカン二酸ジイソプロピル、γ−メチルドデカン二酸ジブチル、γ−メチルドデカン二酸ジイソブチル、γ−メチルドデカン二酸ジペンチル、γ−メチルドデカン二酸ジイソペンチル、γ−メチルドデカン二酸ジヘキシル、γ−メチルドデカン二酸ジイソヘキシル、γ−メチルドデカン二酸ジヘプチル、γ−メチルドデカン二酸ジイソヘプチル、γ−メチルドデカン二酸ジオクチル、γ−メチルドデカン二酸ジイソオクチル、γ−メチルドデカン二酸ビス(2−エチルヘキシル)、γ−エチルドデカン二酸ジメチル、γ−エチルドデカン二酸ジエチル、γ−エチルドデカン二酸ジプロピル、γ−エチルドデカン二酸ジイソプロピル、γ−エチルドデカン二酸ジブチル、γ−エチルドデカン二酸ジイソブチル、γ−エチルドデカン二酸ジペンチル、γ−エチルドデカン二酸ジイソペンチル、γ−エチルドデカン二酸ジヘキシル、γ−エチルドデカン二酸ジイソヘキシル、γ−エチルドデカン二酸ジヘプチル、γ−エチルドデカン二酸ジイソヘプチル、γ−エチルドデカン二酸ジオクチル、γ−エチルドデカン二酸ジイソオクチル、γ−エチルドデカン二酸ビス(2−エチルヘキシル)、γ−イソプロピルドデカン二酸ジメチル、γ−イソプロピルドデカン二酸ジエチル、γ−イソプロピルドデカン二酸ジプロピル、γ−イソプロピルドデカン二酸ジイソプロピル、γ−イソプロピルドデカン二酸ジブチル、γ−イソプロピルドデカン二酸ジイソブチル、γ−イソプロピルドデカン二酸ジペンチル、γ−イソプロピルドデカン二酸ジイソペンチル、γ−イソプロピルドデカン二酸ジヘキシル、γ−イソプロピルドデカン二酸ジイソヘキシル、γ−イソプロピルドデカン二酸ジヘプチル、γ−イソプロピルドデカン二酸ジイソヘプチル、γ−イソプロピルドデカン二酸ジオクチル、γ−イソプロピルドデカン二酸ジイソオクチル、γ−イソプロピルドデカン二酸ビス(2−エチルヘキシル)、α,β−ジメチルドデカン二酸ジメチル、α,β−ジメチルドデカン二酸ジエチル、α,β−ジメチルドデカン二酸ジプロピル、α,β−ジメチルドデカン二酸ジイソプロピル、α,β−ジメチルドデカン二酸ジブチル、α,β−ジメチルドデカン二酸ジイソブチル、α,β−ジメチルドデカン二酸ジペンチル、α,β−ジメチルドデカン二酸ジイソペンチル、α,β−ジメチルドデカン二酸ジヘキシル、α,β−ジメチルドデカン二酸ジイソヘキシル、α,β−ジメチルドデカン二酸ジヘプチル、α,β−ジメチルドデカン二酸ジイソヘプチル、α,β−ジメチルドデカン二酸ジオクチル、α,β−ジメチルドデカン二酸ジイソオクチル、α,β−ジメチルドデカン二酸ビス(2−エチルヘキシル)、α,β−ジエチルドデカン二酸ジメチル、α,β−ジエチルドデカン二酸ジエチル、α,β−ジエチルドデカン二酸ジプロピル、α,β−ジエチルドデカン二酸ジイソプロピル、α,β−ジエチルドデカン二酸ジブチル、α,β−ジエチルドデカン二酸ジイソブチル、α,β−ジエチルドデカン二酸ジペンチル、α,β−ジエチルドデカン二酸ジイソペンチル、α,β−ジエチルドデカン二酸ジヘキシル、α,β−ジエチルドデカン二酸ジイソヘキシル、α,β−ジエチルドデカン二酸ジヘプチル、α,β−ジエチルドデカン二酸ジイソヘプチル、α,β−ジエチルドデカン二酸ジオクチル、α,β−ジエチルドデカン二酸ジイソオクチル、α,β−ジエチルドデカン二酸ビス(2−エチルヘキシル)、α,β−ジイソプロピルドデカン二酸ジメチル、α,β−ジイソプロピルドデカン二酸ジエチル、α,β−ジイソプロピルドデカン二酸ジプロピル、α,β−ジイソプロピルドデカン二酸ジイソプロピル、α,β−ジイソプロピルドデカン二酸ジブチル、α,β−ジイソプロピルドデカン二酸ジイソブチル、α,β−ジイソプロピルドデカン二酸ジペンチル、α,β−ジイソプロピルドデカン二酸ジイソペンチル、α,β−ジイソプロピルドデカン二酸ジヘキシル、α,β−ジイソプロピルドデカン二酸ジイソヘキシル、α,β−ジイソプロピルドデカン二酸ジヘプチル、α,β−ジイソプロピルドデカン二酸ジイソヘプチル、α,β−ジイソプロピルドデカン二酸ジオクチル、α,β−ジイソプロピルドデカン二酸ジイソオクチル、α,β−ジイソプロピルドデカン二酸ビス(2−エチルヘキシル)のようなドデカン二酸ジエステル;
【0191】
2,5-ジオキサヘキサン二酸ジエチル、2,5-ジオキサヘキサン二酸ジエチル、2,5-ジオキサ−3−メチルヘキサン二酸ジエチル、2,5-ジオキサ−3−メチルヘキサン二酸ジエチル、2,5-ジオキサ−3−エチルヘキサン二酸ジエチル、2,5-ジオキサ−3−エチルヘキサン二酸ジエチル、2,5-ジオキサ−3−プロピルヘキサン二酸ジエチル、2,5-ジオキサ−3−イソプロピルヘキサン二酸ジエチル、2,5-ジオキサ−3−シクロヘキシルヘキサン二酸ジエチル、2,5-ジオキサ−3−tert−ブチルヘキサン二酸ジエチル、2,5-ジオキサ−3−テキシルヘキサン二酸ジエチル、2,5-ジオキサ−3−フェニルヘキサン二酸ジエチル、2,5-ジオキサ−3−ベンジルヘキサン二酸ジエチル、2,5-ジオキサ−3,4−ジメチルヘキサン二酸ジエチル、2,5-ジオキサ−3,4−ジエチルヘキサン二酸ジエチル、2,5-ジオキサ−3,4−ジプロピルヘキサン二酸ジエチル、2,5-ジオキサ−3,4−ジイソプロピルヘキサン二酸ジエチル、2,5-ジオキサ−3,4−ジシクロヘキシルヘキサン二酸ジエチル、2,5-ジオキサ−3,4−ジ(tert−ブチル)ヘキサン二酸ジエチル、2,5-ジオキサ−3,4−ジテキシルヘキサン二酸ジエチル、2,5-ジオキサ−3,4−ジフェニルヘキサン二酸ジエチル、2,5-ジオキサ−3,4−ジベンジルヘキサン二酸ジエチル、2,5-ジオキサヘキサン二酸ジブチル、2,5-ジオキサヘキサン二酸ジブチル、2,5-ジオキサ−3−メチルヘキサン二酸ジブチル、2,5-ジオキサ−3−メチルヘキサン二酸ジブチル、2,5-ジオキサ−3−エチルヘキサン二酸ジブチル、2,5-ジオキサ−3−エチルヘキサン二酸ジブチル、2,5-ジオキサ−3−プロピルヘキサン二酸ジブチル、2,5-ジオキサ−3−イソプロピルヘキサン二酸ジブチル、2,5-ジオキサ−3−シクロヘキシルヘキサン二酸ジブチル、2,5-ジオキサ−3−tert−ブチルヘキサン二酸ジブチル、2,5-ジオキサ−3−テキシルヘキサン二酸ジブチル、2,5-ジオキサ−3−フェニルヘキサン二酸ジブチル、2,5-ジオキサ−3−ベンジルヘキサン二酸ジブチル、2,5-ジオキサ−3,4−ジメチルヘキサン二酸ジブチル、2,5-ジオキサ−3,4−ジエチルヘキサン二酸ジブチル、2,5-ジオキサ−3,4−ジプロピルヘキサン二酸ジブチル、2,5-ジオキサ−3,4−ジイソプロピルヘキサン二酸ジブチル、2,5-ジオキサ−3,4−ジシクロヘキシルヘキサン二酸ジブチル、2,5-ジオキサ−3,4−ジ(tert−ブチル)ヘキサン二酸ジブチル、2,5-ジオキサ−3,4−ジテキシルヘキサン二酸ジブチル、2,5-ジオキサ−3,4−ジフェニルヘキサン二酸ジブチル、2,5-ジオキサ−3,4−ジベンジルヘキサン二酸ジブチル、2,5-ジオキサヘキサン二酸ジ(2−エチルヘキシル)、2,5-ジオキサヘキサン二酸ジ(2−エチルヘキシル)、2,5-ジオキサ−3−メチルヘキサン二酸ジ(2−エチルヘキシル)、2,5-ジオキサ−3−メチルヘキサン二酸ジ(2−エチルヘキシル)、2,5-ジオキサ−3−エチルヘキサン二酸ジ(2−エチルヘキシル)、2,5-ジオキサ−3−エチルヘキサン二酸ジ(2−エチルヘキシル)、2,5-ジオキサ−3−プロピルヘキサン二酸ジ(2−エチルヘキシル)、2,5-ジオキサ−3−イソプロピルヘキサン二酸ジ(2−エチルヘキシル)、2,5-ジオキサ−3−シクロヘキシルヘキサン二酸ジ(2−エチルヘキシル)、2,5-ジオキサ−3−tert−ブチルヘキサン二酸ジ(2−エチルヘキシル)、2,5-ジオキサ−3−テキシルヘキサン二酸ジ(2−エチルヘキシル)、2,5-ジオキサ−3−フェニルヘキサン二酸ジ(2−エチルヘキシル)、2,5-ジオキサ−3−ベンジルヘキサン二酸ジ(2−エチルヘキシル)、2,5-ジオキサ−3,4−ジメチルヘキサン二酸ジ(2−エチルヘキシル)、2,5-ジオキサ−3,4−ジエチルヘキサン二酸ジ(2−エチルヘキシル)、2,5-ジオキサ−3,4−ジプロピルヘキサン二酸ジ(2−エチルヘキシル)、2,5-ジオキサ−3,4−ジイソプロピルヘキサン二酸ジ(2−エチルヘキシル)、2,5-ジオキサ−3,4−ジシクロヘキシルヘキサン二酸ジ(2−エチルヘキシル)、2,5-ジオキサ−3,4−ジ(tert−ブチル)ヘキサン二酸ジ(2−エチルヘキシル)、2,5-ジオキサ−3,4−ジテキシルヘキサン二酸ジ(2−エチルヘキシル)、2,5-ジオキサ−3,4−ジフェニルヘキサン二酸ジ(2−エチルヘキシル)、2,5-ジオキサ−3,4−ジベンジルヘキサン二酸ジ(2−エチルヘキシル)ようなジカルボナート;
【0192】
芳香族ジカルボン酸ジエステルとして、具体的には、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジプロピル、フタル酸ジイソプロピル, フタル酸ジブチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸エチルメチル、フタル酸メチルイソプロピル、フタル酸エチルプロピル、フタル酸エチルブチル、フタル酸エチルイソブチル、フタル酸ジペンチル、フタル酸ジイソペンチル、フタル酸ジネオペンチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジヘブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ビス(2,2−ジメチルヘキシル)、フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ビス(2、2−ジメチルヘプチル)、フタル酸ブチルイソヘキシル、フタル酸ブチル(2−エチルヘキシル)、フタル酸ペンチルヘキシル、フタル酸ペンチルイソヘキシル、フタル酸イソペンチルヘプチル、フタル酸ペンチル(2−エチルヘキシル)、フタル酸ペンチルイソノニル、フタル酸イソペンチルデシル、フタル酸ペンチルウンデシル、フタル酸イソペンチルイソヘキシル、フタル酸ヘキシル(2,2−ジメチルヘキシル)、フタル酸ヘキシルイソノニル、フタル酸ヘキシルデシル、フタル酸ヘプチル(2−エチルヘキシル)、フタル酸ヘプチルイソノニル、フタル酸ヘプチルデシル、フタル酸(2−エチルヘキシル)イソノニル、4−メチルフタル酸ジネオペンチル、4−エチルフタル酸ジネオペンチル、4、5−ジメチルフタル酸ジネオペンチル、4,5−ジエチルフタル酸ジネオペンチル、4−クロロフタル酸ジエチル、4−クロロフタル酸ジブチル、4−クロロフタル酸ジネオペンチル、4−クロロフタル酸ジイソブチル、4−クロロフタル酸ジイソヘキシル、4−クロロフタル酸ジイソオクチル、4−ブロモフタル酸ジエチル、4−ブロモフタル酸ジブチル、4−ブロモフタル酸ジネオペンチル、4−ブロモフタル酸ジイソブチル、4−ブロモフタル酸ジイソヘキシル、4−ブロモフタル酸ジイソオクチル、4,5−ジクロロフタル酸ジエチル、4,5−ジクロロフタル酸ジブチル、4,5−ジクロロフタル酸ジイソヘキシル、および4,5−ジクロロフタル酸ジイソオクチルのようフタル酸ジエステルが挙げられる。
【0193】
ジオールエステルとしては、具体的には、1,2−プロピレン−グリコールジベンゾエート、1,2−プロピレン−グリコールジ(p−クロロベンゾエート)、1,2−プロピレン−グリコールジ(m−クロロベンゾエート)、1,2−プロピレン−グリコールジ(p−ブロモベンゾエート)、1,2−プロピレン−グリコールジ(o−ブロモベンゾエート)、1,2−プロピレン−グリコールジ(p−メチルベンゾエート)、1,2−プロピレン−グリコールジ(p−tert−ブチルベンゾエート)、1,2−プロピレン−グリコールジ(p−ブチルベンゾエート)、1,2−プロピレン−グリコールモノベンゾエートモノシンナメート、1,2−プロピレン−グリコールジシンナメート、2−メチル−1,2−プロピレン−グリコールジベンゾエート、2−メチル−1,2−プロピレン−グリコールジ(p−クロロベンゾエート)、2−メチル−1,2−プロピレン−グリコールジ(m−クロロベンゾエート)、2−メチル−1,2−プロピレン−グリコールジ(p−ブロモベンゾエート)、2−メチル−1,2−プロピレン−グリコールジ(o−ブロモベンゾエート)、2−メチル−1,2−プロピレン−グリコールジ(p−メチルベンゾエート)、2−メチル−1,2−プロピレン−グリコールジ(p−tert−ブチルベンゾエート)、2−メチル−1,2−プロピレン−グリコールジ(p−ブチルベンゾエート)、2−メチル−1,2−プロピレン−グリコールモノベンゾエートモノシンナメート、2−メチル−1,2−プロピレン−グリコールジシンナメート、1,3−プロピレン−グリコールジベンゾエート、2−メチル−1,3−プロピレン−グリコールジベンゾエート、2−エチル−1,3−プロピレン−グリコールジベンゾエート、2−プロピル−1,3−プロピレン−グリコールジベンゾエート、2−ブチル−1,3−プロピレン−グリコールジベンゾエート、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン−グリコールジベンゾエート、(R)−1−フェニル−1,3−プロピレン−グリコールジベンゾエート、(S)−1−フェニル−1,3−プロピレン−グリコールジベンゾエート、1,3−ジフェニル−1,3−プロピレン−グリコールジベンゾエート、2−メチル−1,3−ジフェニル−1,3−プロピレン−グリコールジベンゾエート、1,3−ジフェニル−1,3−プロピレン−グリコールジプロピオネート、2−メチル−1,3−ジフェニル−1,3−プロピレン−グリコールジプロピオネート、2−メチル−1,3−ジフェニル−1,3−プロピレン−グリコールジアセテート、2,2−ジメチル−1,3−ジフェニル−1,3−プロピレン−グリコールジベンゾエート、2,2−ジメチル−1,3−ジフェニル−1,3−プロピレン−グリコールジプロピオネート、2−エチル−1,3−ジ(tert−ブチル)−1,3−プロピレン−グリコールジベンゾエート、1,3−ジフェニル−1,3−プロピレン−グリコールジアセテート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロピレン−グリコールジベンゾエート、2,2−ジエチル−1,3−プロピレン−グリコールジベンゾエート、2−ジメトキシメチル−1,3−プロピレン−グリコールジベンゾエート、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロピレン−グリコールジベンゾエート、2−イソペンチル2−イソプロピル−1,3−プロピレン−グリコールジベンゾエート、2−イソペンチル2−イソプロピル−1,3−プロピレン−グリコールジ(p−クロロベンゾエート)、2−イソペンチル2−イソプロピル−1,3−プロピレン−グリコールジ(m−クロロベンゾエート)、2−イソペンチル2−イソプロピル−1,3−プロピレン−グリコールジ(p−メトキシベンゾエート)、2−イソペンチル2−イソプロピル−1,3−プロピレン−グリコールジ(p−メチルベンゾエート)、2−イソペンチル2−イソプロピル−1,3−プロピレン−グリコールモノベンゾエート−モノプロピオネート、2−イソペンチル2−イソプロピル−1,3−プロピレン−グリコールジプロピオネート、2−イソペンチル2−イソプロピル−1,3−プロピレン−グリコールジアクリレート、2−イソペンチル2−イソプロピル−1,3−プロピレン−グリコールジシンナミネート、2,2−ジイソブチル−1,3−プロピレン−グリコールジベンゾエート、2−イソペンチル2−イソプロピル−1,3−プロピレン−グリコール2,2’−ビフェニルジホルメート、2−イソペンチル2−イソプロピル−1,3−プロピレン−グリコールフタラート、1,3−ジイソプロピル−1,3−プロピレン−グリコールジ(4−ブチルベンゾエート)、2−エチル−2−メチル−1,3−プロピレン−グリコールジベンゾエート、2−アミノ−1−フェニル−1,3−プロピレン−グリコールジベンゾエート、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン−グリコールジベンゾエート、1,2−ブチレン−グリコールジベンゾエート、2−メチル−1,2−ブチレン−グリコールジベンゾエート、2,3−ジメチル−1,2−ブチレン−グリコールジベンゾエート、2,3−ジメチル−1,2−ブチレン−グリコールジ(p−クロロベンゾエート)、2,3,3−トリメチル−1,2−ブチレン−グリコールジベンゾエート、2,3,3−トリメチル−1,2−ブチレン−グリコールジ(p−クロロベンゾエート)、1,2−ブチレン−グリコールジ(p−クロロベンゾエート)、2,3−ブチレン−グリコールジベンゾエート、2,3−ブチレン−グリコールジ(o−ブロモベンゾエート)、2,3−ブチレン−グリコールジ(メチルベンゾエート)、2,3−ブチレン−グリコールジ(m−クロロベンゾエート)、2−メチル−2,3−ブチレン−グリコールジベンゾエート、2−メチル−2,3−ブチレン−グリコールジ(o−ブロモベンゾエート)、2−メチル−2,3−ブチレン−グリコールジ(メチルベンゾエート)、2−メチル−2,3−ブチレン−グリコールジ(m−クロロベンゾエート)、2,3−ジメチル−2,3−ブチレン−グリコールジベンゾエート、2,3−ジメチル−2,3−ブチレン−グリコールジ(o−ブロモベンゾエート)、2,3−ジメチル−2,3−ブチレン−グリコールジ(メチルベンゾエート)、2,3−ジメチル−2,3−ブチレン−グリコールジ(m−クロロベンゾエート)、2−メチル−1−フェニル−1,3−ブチレン−グリコールジベンゾエート、2−メチル−1−フェニル−1,3−ブチレン−グリコールジピバレート、2−メチル−2−(2−フリル)−1,3−ブチレン−グリコールジベンゾエート、1,4−ブチレン−グリコールジベンゾエート、2,3−ジイソプロピル−1,4−ブチレン−グリコールジベンゾエート、2,3−ジメチル−1,4−ブチレン−グリコールジベンゾエート、2,3−ジエチル−1,4−ブチレン−グリコールジベンゾエート、2,3−ジブチル−1,4−ブチレン−グリコールジベンゾエート、2,3−ジイソプロピル−1,4−ブチレン−グリコールジブチレート、4,4,4−トリフルオロ−1−(2−ナフチル)−1,3−ブチレン−グリコールジベンゾエート、2,3−ペンタンジオールジベンゾエート、2−メチル−2,3−ペンタンジオールジベンゾエート、3−メチル−2,3−ペンタンジオールジベンゾエート、4−メチル−2,3−ペンタンジオールジベンゾエート、2,3−ジメチル−2,3−ペンタンジオールジベンゾエート、2,4−ジメチル−2,3−ペンタンジオールジベンゾエート、3,4−ジメチル−2,3−ペンタンジオールジベンゾエート、4,4−ジメチル−2,3−ペンタンジオールジベンゾエート、2,3,4−トリメチル−2,3−ペンタンジオールジベンゾエート、2,4,4−トリメチル−2,3−ペンタンジオールジベンゾエート、3,4,4−トリメチル−2,3−ペンタンジオールジベンゾエート、2,3,4,4−テトラメチル−2,3−ペンタンジオールジベンゾエート、3−エチル−2,3−ペンタンジオールジベンゾエート、3−エチル−2−メチル−2,3−ペンタンジオールジベンゾエート、3−エチル−2,4−ジメチル−2,3−ペンタンジオールジベンゾエート、3−エチル−2,4,4−トリメチル−2,3−ペンタンジオールジベンゾエート、2,4−ペンタンジオールジベンゾエート、3−メチル−2,4−ペンタンジオールジベンゾエート、3−エチル−2,4−ペンタンジオールジベンゾエート、3−プロピル−2,4−ペンタンジオールジベンゾエート、3−ブチル−2,4−ペンタンジオールジベンゾエート、3,3−ジメチル−2,4−ペンタンジオールジベンゾエート、(2S,4S)−(+)−2,4−ペンタンジオールジベンゾエート、(2R,4R)−(+)−2,4−ペンタンジオールジベンゾエート、2,4−ペンタンジオールジ(p−クロロベンゾエート)、2,4−ペンタンジオールジ(m−クロロベンゾエート)、2,4−ペンタンジオールジ(p−ブロモベンゾエート)、2,4−ペンタンジオールジ(o−ブロモベンゾエート)、2,4−ペンタンジオールジ(p−メチルベンゾエート)、2,4−ペンタンジオールジ(p−tert−ブチルベンゾエート)、2,4−ペンタンジオールジ(p−ブチルベンゾエート)、2,4−ペンタンジオールモノベンゾエートモノシンナメート、2,4−ペンタンジオールジシンナメート、1,3−ペンタンジオールジプロピオネート、2−メチル−1,3−ペンタンジオールジベンゾエート、2−メチル−1,3−ペンタンジオールジ(p−クロロベンゾエート)、2−メチル−1,3−ペンタンジオールジ(p−メチルベンゾエート)、2−ブチル−1,3−ペンタンジオールジ(p−メチルベンゾエート)、2−メチル−1,3−ペンタンジオールジ(p−tert−ブチルベンゾエート)、2−メチル−1,3−ペンタンジオールジピバレート、2−メチル−1,3−ペンタンジオールモノベンゾエートモノシンナメート、2,2−ジメチル−1,3−ペンタンジオールジベンゾエート、2,2−ジメチル−1,3−ペンタンジオールモノベンゾエートモノシンナメート、2−エチル−1,3−ペンタンジオールジベンゾエート、2−ブチル−1,3−ペンタンジオールジベンゾエート、2−アリル−1,3−ペンタンジオールジベンゾエート、2−メチル−1,3−ペンタンジオールモノベンゾエートモノシンナメート、2−メチル−1,3−ペンタンジオールジベンゾエート、2−エチル−1,3−ペンタンジオールジベンゾエート、2−プロピル−1,3−ペンタンジオールジベンゾエート、2−ブチル−1,3−ペンタンジオールジベンゾエート、1,3−ペンタンジオールジ(p−クロロベンゾエート)、1,3−ペンタンジオールジ(m−クロロベンゾエート)、1,3−ペンタンジオールジ(p−ブロモベンゾエート)、1,3−ペンタンジオールジ(o−ブロモベンゾエート)、1,3−ペンタンジオールジ(p−メチルベンゾエート)、1,3−ペンタンジオールジ(p−tert−ブチルベンゾエート)、1,3−ペンタンジオールジ(p−ブチルベンゾエート)、1,3−ペンタンジオールモノベンゾエートモノシンナメート、1,3−ペンタンジオールジシンナメート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジベンゾエート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジ(イソプロピルホルメート)、3−メチル−1−トリフルオロメチル−2,4−ペンタンジオールジベンゾエート、2,4−ペンタンジオールジ(p−フルオロメチルベンゾエート)、2,4−ペンタンジオールジ(2−フランカルボキシレート)、3−ブチル−3−メチル−2,4−ペンタンジオールジベンゾエート、2,2−ジメチル−1,5−ペンタンジオールジベンゾエート、1,5−ジフェニル−1,5−ペンタンジオールジベンゾエート、1,5−ジフェニル−1,5−ペンタンジオールジプロピオネート、2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、2−メチル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、3−メチル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、4−メチル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、5−メチル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、2,
3−ジメチル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、2,4−ジメチル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、2,5−ジメチル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、3,4−ジメチル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、3,5−ジメチル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、4,4−ジメチル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、4,5−ジメチル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、5,5−ジメチル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、2,3,4−トリメチル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、2,3,5−トリメチル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、2,4,4−トリメチル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、2,4,5−トリメチル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、2,5,5−トリメチル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、3,4,4−トリメチル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、3,4,5−トリメチル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、3,5,5−トリメチル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、2,3,4,4,−テトラメチル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、2,3,4,5,−テトラメチル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、2,3,5,5,−テトラメチル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、3−エチル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、3−プロピル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、3−イソプロピル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、4−エチル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、3−エチル−2−メチル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、4−エチル−2−メチル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、2−メチル−3−プロピル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、4−エチル−3−メチル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、3,4−ジエチル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、4−エチル−3−プロピル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、3−エチル−2,4−ジメチル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、3−エチル−2,5−ジメチル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、3−エチル−2,4,4−トリメチル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、3−エチル−2,4,5−トリメチル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、2,5−ジメチル−3−プロピル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、2,4,4−トリメチル−3−プロピル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、2,5,5−トリメチル−3−プロピル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、2,4,5−トリメチル−3−プロピル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、3,4−ジエチル−2−メチル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、2−プロピル−1,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、2−ブチル−1,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、4−エチル−1,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、4−メチル−1,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、3−メチル−1,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、3−エチル−1,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、2,2,4,6,6−ペンタメチル−3,5−ヘキサンジオールジベンゾエート、2,5−ヘキサンジオールジベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオールジベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオールジプロピオネート、2,5−ジメチル−ヘキサ−3−イン−2,5−ジオールジベンゾエート、ヘキサ−3−イン−2,5−ジオールジベンゾエート、ヘキサ−3−イン−2,5−ジオールジ(2−フランカルボキシレート)、3,4−ジブチル−1,6−ヘキサンジオールジベンゾエート、1,6−ヘキサンジオールジベンゾエート、ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、2−メチル−ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、3−メチル−ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、4−メチル−ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、5−メチル−ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、6−メチル−ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、3−エチル−ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、4−エチル−ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、5−エチル−ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、6−エチル−ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、3−プロピル−ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、4−プロピル−ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、5−プロピル−ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、6−プロピル−ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、3−ブチル−ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、4−ブチル−ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、5−ブチル−ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、6−ブチル−ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、3,5−ジメチル−ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、3,5−ジエチル−ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、3,5−ジプロピル−ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、3,5−ジブチル−ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、3,3−ジメチル−ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、3,3−ジエチル−ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、3,3−ジプロピル−ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、3,3−ジブチル−ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、2−メチル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、3−メチル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、4−メチル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、5−メチル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、6−メチル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、3−エチル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、4−エチル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、5−エチル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、3−プロピル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、4−プロピル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、3−ブチル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、2,3−ジメチル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、2,4−ジメチル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、2,5−ジメチル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、2,6−ジメチル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、3,3−ジメチル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、4,4−ジメチル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、6,6−ジメチル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、3,4−ジメチル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、3,5−ジメチル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、3,6−ジメチル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、4,5−ジメチル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、4,6−ジメチル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、4,4−ジメチル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、6,6−ジメチル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、3−エチル−2−メチル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、4−エチル−2−メチル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、5−エチル−2−メチル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、3−エチル−3−メチル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、4−エチル−3−メチル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、5−エチル−3−メチル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、3−エチル−4−メチル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、4−エチル−4−メチル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、5−エチル−4−メチル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、2−メチル−3−プロピル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、2−メチル−4−プロピル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、2−メチル−5−プロピル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、3−メチル−3−プロピル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、3−メチル−4−プロピル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、3−メチル−5−プロピル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、4−メチル−3−プロピル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、4−メチル−4−プロピル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、4−メチル−5−プロピル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、6−メチル−2,4−ヘプタンジオールジ(p−クロロベンゾエート)、6−メチル−2,4−ヘプタンジオールジ(p−メチルベンゾエート)、6−メチル−2,4−ヘプタンジオールジ(m−メチルベンゾエート)、6−メチル−2,4−ヘプタンジオールジピバレート、ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジピバレート、3,6−ジメチル−2,4−ヘプタンジオールジベンゾエート、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、2,6−ジメチル−2,6−ヘプタンジオールジベンゾエート、4−メチル−3,5−オクタンジオールジベンゾエート、4−エチル−3,5−オクタンジオールジベンゾエート、4−プロピル−3,5−オクタンジオールジベンゾエート、5−プロピル−3,5−オクタンジオールジベンゾエート、4−ブチル−3,5−オクタンジオールジベンゾエート、4,4−ジメチル−3,5−オクタンジオールジベンゾエート、4,4−ジエチル−3,5−オクタンジオールジベンゾエート、4,4−ジプロピル−3,5−オクタンジオールジベンゾエート、4−エチル−4−メチル−3,5−オクタンジオールジベンゾエート、3−フェニル−3,5−オクタンジオールジベンゾエート、3−エチル−2−メチル−3,5−オクタンジオールジベンゾエート、4−エチル−2−メチル−3,5−オクタンジオールジベンゾエート、5−エチル−2−メチル−3,5−オクタンジオールジベンゾエート、6−エチル−2−メチル−3,5−オクタンジオールジベンゾエート、5−メチル−4,6−ノナンジオールジベンゾエート、5−エチル−4,6−ノナンジオールジベンゾエート、5−プロピル−4,6−ノナンジオールジベンゾエート、5−ブチル−4,6−ノナンジオールジベンゾエート、5,5−ジメチル−4,6−ノナンジオールジベンゾエート、5,5−ジエチル−4,6−ノナンジオールジベンゾエート、5,5−ジプロピル−4,6−ノナンジオールジベンゾエート、5,5−ジブチル−4,6−ノナンジオールジベンゾエート、4−エチル−5−メチル−4,6−ノナンジオールジベンゾエート、5−フェニル−4,6−ノナンジオールジベンゾエート、4,6−ノナンジオールジベンゾエート、1,1−シクロヘキサンジメタノールジベンゾエート、1,2−シクロヘキサンジオールジベンゾエート、1,3−シクロヘキサンジオールジベンゾエート、1,4−シクロヘキサンジオールジベンゾエート、1,1−ビス(ベンゾイルオキシエチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(ベンゾイルオキシメチル)シクロヘキサン、1,1−ビス(ベンゾイルオキシメチル)−3−シクロヘキセン、1,1−ビス(プロピオニルオキシメチル)−3−シクロヘキセン、9,9−ビス(ベンゾイルオキシメチル)フルオレン、9,9−ビス((m−メトキシベンゾイルオキシ)メチル)フルオレン、9,9−ビス((m−クロロベンゾイルオキシ)メチル)フルオレン、9,9−ビス((p−クロロベンゾイルオキシ)メチル)フルオレン、9,9−ビス(シンナモイルオキシメチル)フルオレン、9−(ベンゾイルオキシメチル)−9−(プロピオニルオキシメ
チル)フルオレン、9,9−ビス(プロピオニルオキシメチル)フルオレン、9,9−ビス(アクリロイルオキシメチル)フルオレン、9,9−ビス(ピバリルオキシメチル)フルオレン、9,9−フルオレンジメタノールジベンゾエート、1,3−フェニレンジベンゾエート、1,4−フェニレンジベンゾエート、2,2’−ビフェニレンジベンゾエート、ビス(2−ベンゾイルオキシナフチル)メタン、1,2−キシレンジオールジベンゾエート、1,3−キシレンジオールジベンゾエート、1,4−キシレンジオールジベンゾエート、2,2’−ビフェニルジメタノール−ジピバレート、2,2’−ビフェニルジメタノール−ジベンゾエート、2,2’−ビフェニルジメタノール−ジプロピオネート、2,2’−ビナフチルジメタノール−ジベンゾエート、1,2−フェニレンジベンゾエート、3−メチル−5−tert−ブチル−1,2−フェニレンジベンゾエート、3,5−ジイソプロピル−1,2−フェニレンジベンゾエート、3,6−ジメチル−1,2−フェニレンジベンゾエート、4−tert−ブチル−1,2−フェニレンジベンゾエート、4−メチル−1,2−フェニレンジベンゾエート、1,2−ナフタレンジベンゾエート、2,3−ナフタレンジベンゾエート等が挙げられる。
【0194】
アミン類としては、具体的には、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、ラウリルアミン、2-エチルヘキシルアミンなどの炭素数6以上のアルキルアミン;ピペリジン、および2,2,6,6−テトラメチルピペリジンのような環状アミン;アニリン、およびピリジンのような芳香族アミン;N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンのような脂肪族ジアミンが挙げられる。
【0195】
アミド類としては、具体的には、オレフィン酸アミド、およびステリアリン酸アミドが挙げられる。ニトリル類としては、具体的には、アセトニトリル、ベンゾニトリル、およびトルニトリルが挙げられる。イソシアネート類として、具体的には、イソシアン酸メチル、およびイソシアン酸エチルが挙げられる。
【0196】
電子供与性化合物(b)として、好ましくは、エーテル類、およびエステル類であり、より好ましくは脂肪族ジエーテル、芳香族ジエーテル、脂肪族カルボン酸エステル、芳香族カルボン酸エステル、脂肪族ジカルボン酸ジエステル、および芳香族ジカルボン酸ジエステルであり、更に好ましくは、脂肪族ジエーテル、アルコキシ基を有する脂肪族カルボン酸エステル、安息香酸エステル、アニス酸エステル、マロン酸ジエステル、コハク酸ジエステル、シクロヘキセンジカルボン酸ジエステル、シクロヘキサンジカルボン酸ジエステル、フタル酸ジエステル、およびドデカン二酸ジエステルであり、特に好ましくは、脂肪族ジエーテル、アルコキシ基を有する脂肪族カルボン酸エステル、マロン酸ジエステル、コハク酸ジエステル、シクロヘキサンジカルボン酸ジエステル、フタル酸ジエステル、ドデカン二酸ジエステルおよびカルボナートであり、最も好ましくは、脂肪族ジエーテル、アルコキシ基を有する脂肪族カルボン酸エステル、フタル酸ジエステルである。
【0197】
なお、上記の電子供与性化合物(b)は、2種以上組み合わせて用いることもできる。
【0198】
製造方法(1)の製造条件
製造方法(1)において、電子供与性化合物(b)の使用量は、固体成分(a)1gあたり、通常0.01〜100mmol、好ましくは0.03〜50ml、特に好ましくは0.05〜30mlである。
【0199】
製造方法(1)において、固体成分(a)と電子供与性化合物(b)を接触させる温度は特に限定されず、通常−50〜200℃であり、好ましくは0〜170℃であり、より好ましくは50〜150℃の範囲であり、特に好ましくは50〜120℃の範囲である。
【0200】
製造方法(1)において、固体成分(a)と電子供与性化合物(b)を接触させる時間は特に限定されず、通常10分〜12時間であり、好ましくは30〜10時間であり、特に好ましくは1時間〜8時間の範囲である。
【0201】
固体成分(a)と電子供与性化合物(b)と、任意で下式(vii)および(viii)で表されるハロゲン化金属化合物をさらに接触させてもよい。
11p-b (vii)
(OR11p-b (viii)
[式中、Mは第4族、第13族または第14族原子を、R11は炭素原子数が1〜20のハイドロカルビル基を、Xはハロゲン原子を、pはMの原子価を表す。bは0<b≦pを満足する数を表す]
【0202】
上式(vii)および(viii)におけるMの第4族元素として、チタン、ジルコニウムおよびハフニウムを例示することができる。中でも、好ましくはチタンである。Mの第13族元素として、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、およびタリウムを例示することができる。中でも、好ましくはホウ素またはアルミニウムであり、より好ましくはアルミニウムである。Mの第14族元素として、ケイ素、ゲルマニウム、錫、および鉛を例示することができる。中でも、好ましくはケイ素、ゲルマニウムまたは錫であり、より好ましくはケイ素である。
【0203】
上式(vii)および(viii)におけるR11のハイドロカルビル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、およびドデシル基のような直鎖状または分岐状のアルキル基;シクロヘキシル基およびシクロペンチル基のような環状アルキル基;フェニル基、クレジル基、キシリル基およびナフチル基のようなアリール基が挙げられる。
【0204】
上式(vii)および(viii)におけるR11のハイドロカルビルオキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、n−ペンチロキシ基、イソアミロキシ基、ヘキシロキシ基、ヘプチロキシ基、オクチロキシ基、デシロキシ基、およびドデシロキシ基のような直鎖状または分岐状のアルコキシ基;シクロヘキシロキシ基およびシクロペンチロキシ基のような環状アルコキシ基;フェノキシ基、キシロキシ基およびナフトキシ基のようなアリーロキシ基を例示することができる。
【0205】
上式(vii)および(viii)におけるR11として、好ましくは炭素原子数2〜18のアルキル基もしくはアルコキシ基;または炭素原子数6〜18のアリール基もしくはアリーロキシ基である。
【0206】
上式(vii)および(viii)におけるXとしては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子が挙げられ、好ましくは塩素原子または臭素原子である。
【0207】
上式(vii)および(viii)におけるpはMの原子価であり、Mが第4族元素のときpは4であり、第13族元素のときpは3であり、第14族元素のときpは4である。
【0208】
上式(vii)および(viii)におけるaは0<b≦pを満足する整数を表し、Mが第4族元素および第14族元素のときaは0<b≦4を満足する整数を表し、第13族元素のときbは0<b≦3を満足する整数を表す。Mが第4族元素または第14族元素の場合の好ましいbは3または4であり、より好ましくは4である。Mが第13族元素の場合の好ましいbは3である。
【0209】
上式(vii)および(viii)で表されるハロゲン化金属化合物のハロゲン化チタン化合物は、好ましくは四塩化チタン、四臭化チタンおよび四沃化チタンのようなテトラハロゲン化チタン化合物;またはメトキシチタントリクロリド、エトキシチタントリクロリド、トキシチタントリクロリド、フェノキシチタントリクロリド、およびエトキシチタントリブロマイドのようなトリハロゲン化アルコキシチタン化合物であり、より好ましくはテトラハロゲン化チタン化合物であり、特に好ましくは四塩化チタンである。
【0210】
上式(vii)および(viii)で表されるハロゲン化金属化合物の第13族元素のクロロ化化合物または第14族元素のクロロ化化合物は、好ましくは、エチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、トリクロロアルミニウム、テトラクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、ノルマルプロピルトリクロロシラン、またはパラトリルトリクロロシランであり、より好ましくは第14族元素のクロロ化化合物であり、特に好ましくはテトラクロロシランおよびフェニルトリクロロシランである。
【0211】
上式(vii)および(viii)で表されるハロゲン化金属化合物の使用量は、固体成分1gあたり、通常0.1〜1000mmol、好ましくは0.3〜500mmol、特に好ましくは0.5〜300mmolである。ハロゲン化金属化合物は、一度に、又は任意の複数回に分けて使用される。
【0212】
触媒成分の製造方法(1)における接触時間は特に限定されず、通常10分〜12時間であり、好ましくは30〜10時間であり、特に好ましくは1時間〜8時間の範囲である。
【0213】
触媒成分の製造方法(1)における接触方法は特に限定されない。該方法として、スラリー法や機械的粉砕法(例えばボールミルによる方法)のような公知の方法を例示することができる。機械的粉砕法は、得られる固体触媒成分の微粉含有量やその粒度分布の広がりを抑制するために、好ましくは上述の希釈剤の存在下で行われる。
【0214】
ハロゲン化金属化合物の使用量は、固体触媒成分前駆体(a−1)1gあたり、通常0.1〜1000mmol、好ましくは0.3〜500mmol、特に好ましくは0.5〜300mmolである。ハロゲン化金属化合物は、一度に、又は任意の複数回に分けて使用される。
【0215】
固体触媒成分前駆体(a−1)と、電子供与性化合物(b)と、任意のハロゲン化金属化合物とを接触させる時間は特に限定されず、通常10分〜12時間であり、好ましくは30〜10時間であり、特に好ましくは1時間〜8時間の範囲である。
【0216】
固体触媒成分前駆体(a−1)と、電子供与性化合物(b)と、任意のハロゲン化金属化合物とを接触させる方法は特に限定されない。該方法として、スラリー法や機械的粉砕法(例えばボールミルによる方法)のような公知の方法を例示することができる。機械的粉砕法は、得られる固体触媒成分(A)の微粉含有量やその粒度分布の広がりを抑制するために、好ましくは上述の希釈剤の存在下で行われる。
【0217】
上記のスラリー法におけるスラリー濃度は、通常0.05〜0.7g固体/ml溶媒、特に好ましくは0.1〜0.5g固体/ml溶媒である。接触の温度は、通常30〜150℃、好ましくは45〜135℃、特に好ましくは60〜120℃である。接触の時間は特に制限されず、通常30分から6時間程度が好適である。
【0218】
固体触媒成分(A)の製造方法(1)においては、任意に有機酸クロライド(e)を添加ことも出来る。有機酸クロライド(e)としては、具体的には、フタル酸ジクロライド、およびテレフタル酸ジクロライドのような芳香族ジカルボン酸ジクロライド;安息香酸クロライド、トルイル酸クロライド、およびアニス酸クロライドのような芳香族カルボン酸クロライド;コハク酸ジクロライド、マロン酸ジクロライド、マレイン酸ジクロライド、イタコン酸ジクロライド、アジピン酸ジクロライド、およびドデカン二酸ジクロライドのような脂肪族ジカルボン酸ジクロライド;アセチルクロライド、プロピオン酸クロライド、酪酸クロライド、吉草酸クロライド、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライド、および3−エトキシ−2−tert−ブチルプロピオン酸クロライドのような脂肪族カルボン酸クロライドが挙げられ、好ましくは、芳香族ジカルボン酸ジクロライド、および脂肪族カルボン酸クロライドであり、より好ましくはフタル酸ジクロライドである。
【0219】
固体触媒成分(A)の製造方法(1)において、有機酸クロライド(e)の使用量は、使用される固体触媒成分前駆体(a−1)1gあたり、通常0.01〜10000ml、好ましくは0.03〜5000ml、特に好ましくは0.05〜3000mlである。電子供与性化合物(b)は、一度に、又は任意の複数回に分けて使用される。
【0220】
[製造方法(2)]
チタン化合物(c)
チタン原子を含有した化合物であれば特に制限はないが、チタン化合物(c)の具体例としては、四塩化チタン、四臭化チタン、および四ヨウ化チタンのようなテトラハロゲン化チタン;テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラプロポキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラブトキシチタン、テトライソブトキシチタン、およびテトラシクロヘキシロキシチタンのようなテトラアルコキシチタン;テトラフェノキシチタンのようなテトラアリーロキシチタン;メトキシチタントリクロリド、エトキシチタントリクロリド、プロポキシチタントリクロリド、ブトキシチタントリクロリド、およびエトキシチタントリブロミドのようなアルコキシチタントリクロリド;ジメトキシチタンジクロリド、ジエトキシチタンジクロリド、ジイソプロポキシチタンジクロリド、ジプロポキシチタンジクロリド、およびジエトキシチタンジブロミドのようなジハロゲン化ジアルコキシチタン;トリメトキシチタンクロリド、トリエトキシチタンクロリド、トリイソプロポキシチタンクロリド、トリプロポキシチタンクロリド、およびトリブトキシチタンクロリドのようなモノハロゲン化トリアルコキシチタンなどを挙げられる。チタン化合物(c)として好ましくはテトラハロゲン化チタン、アルコキシチタントリクロリドであり、より好ましくテトラハロゲン化チタンであり、更に好ましくは四塩化チタンである。これらのチタン化合物(c)は、それぞれ単独で用いてもよく、また二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0221】
マグネシウム化合物(d)
マグネシウム原子を含有した化合物であれば特に制限はないが、下式(ix)または(x)で表される化合物を例示することが出来る。
MgR122-c・・・(ix)
Mg(OR122-c・・・(x)
(式中、cは0≦c≦2を満足する整数であり;R12は炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基を示す。)
【0222】
上記R12としては、アルキル基、アラルキル基、アリール基、アルケニル基等が挙げられ、これらはハロゲン原子、ハイドロカルビルオキシ基、ニトロ基、スルホニル基、シリル基等を置換基として有していてもよい。R12のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、およびn−オクチル基のような直鎖状アルキル基;イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基および2−エチルヘキシル基のような分岐状アルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基、およびシクロオクチル基のような環状アルキル基等が挙げられ、好ましくは炭素原子数1〜20の直鎖状もしくは分岐状アルキル基である。R12のアラルキル基としては、ベンジル基、およびフェネチル基が挙げられ、好ましくは炭素原子数7〜20のアラルキル基である。R12のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、およびトリル基等が挙げられ、好ましくは炭素原子数6〜20のアリール基である。R12のアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、3−ブテニル基、および5−ヘキセニル基のような直鎖状アルケニル基;イソブテニル基、および4−メチル−3−ペンテニル基のような分岐状アルケニル基;2−シクロヘキセニル基、および3−シクロヘキセニル基のような環状アルケニル基が挙げられ、好ましくは炭素原子数2〜20の直鎖状および分岐状アルケニル基である。複数のR12は同一でも異なってもよい。
【0223】
上記Xのハロゲン原子として、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、およびフッ素原子を挙げることができ、好ましくは塩素原子である。
【0224】
上式(ix)および(x)で表されるマグネシウム化合物(d)の具体例としては、ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジイソプロピルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、ジヘキシルマグネシウム、ジオクチルマグネシウム、エチルブチルマグネシウム、およびブチルオクチルマグネシウムのようなジアルキルマグネシウム化合物;ジメトキシマグネシウム、ジエトキシマグネシウム、ジプロポキシマグネシウム、ジブトキシマグネシウム、およびジオクトキシマグネシウムのようなジアルコキシマグネシウム化合物;メチルマグネシウムクロリド、エチルマグネシウムクロリド、イソプロピルマグネシウムクロリド、イソブチルマグネシウムクロリド、tert−ブチルマグネシウムクロリド、イソブチルマグネシウムクロリド、ベンジルマグネシウムクロリド、メチルマグネシウムブロミド、エチルマグネシウムブロミド、イソプロピルマグネシウムブロミド、イソブチルマグネシウムブロミド、tert−ブチルマグネシウムブロミド、ヘキシルマグネシウムブロミド、イソブチルマグネシウムブロミド、ベンジルマグネシウムブロミド、メチルマグネシウムイオダイド、エチルマグネシウムイオダイド、イソプロピルマグネシウムイオダイド、イソブチルマグネシウムイオダイド、tert−ブチルマグネシウムイオダイド、イソブチルマグネシウムイオダイド、ベンジルマグネシウムイオダイドのようなアルキルマグネシウムハライド化合物;メトキシマグネシウムクロリド、エトキシマグネシウムクロリド、イソプロポキシマグネシウムクロリド、ブトキシマグネシウムクロリド、およびヘキシルオキシマグネシウムクロリドのようなアルコキシマグネシウムクロリド化合物;フッ化マグネシウム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、およびヨウ化マグネシウムのようなハロゲン化マグネシウム化合物挙げることができる。
【0225】
マグネシウム化合物(d)として、好ましくはハロゲン化マグネシウム化合物(d−1)およびジアルコキシマグネシウム化合物(d−2)である。ハロゲン化マグネシウム化合物(d−1)として好ましくは塩化マグネシウムである。ハロゲン化マグネシウム化合物(d−2)として、より好ましくは炭素原子数1〜20のジアルコキシマグネシウムであり、更に好ましくは炭素原子数1〜10のジアルコキシマグネシウムであり、特に好ましくはジメトキシマグネシウム、ジエトキシマグネシウム、ジプロポキシマグネシウム、ジイソプロポキシマグネシウム、ジブトキシマグネシウムである。これらマグネシウム化合物はメタノール、エタノール、および2−エチルヘキサノールのようなアルコールまたはトルエン、およびヘキサンのような炭化水素溶媒に溶解した溶液状または固体状として用いることができ、アルコール、エーテル、エステルなどを含有してもよい。
【0226】
ジアルコキシマグネシウム化合物(d−2)の製造方法としては、例えば、金属マグネシウムとアルコールを触媒の存在下接触させる方法を挙げることができる。アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、およびオクタノールが挙げられる。触媒としては、ヨウ素、塩素、および臭素のようなハロゲン;ヨウ化マグネシウム、および塩化マグネシウムのようなハロゲン化マグネシウムが挙げられ、好ましくはヨウ素である。
【0227】
さらに、マグネシウム化合物(d)は、担体物質に担持されていてもよい。担体物質としては、特に制限はないが、例えば、SiO、Al、MgO、TiO、およびZrOのような多孔質無機酸化物;ポリスチレン、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、スチレン−エチレングリコール−ジメタクリル酸メチル共重合体、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、アクリル酸メチル−ジビニルベンゼン共重合体、ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸メチル−ジビニルベンゼン共重合体、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル−ジビニルベンゼン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、およびポリプロピレンのような有機多孔質ポリマーが挙げられる。これらのうち好ましくは、多孔質無機酸化物であり、特に好ましくは、SiOである。
【0228】
担体として好ましくは、マグネシウム化合物(d)を有効に固定化する観点から、細孔半径20〜200nmにおける細孔容量が、0.3cm/g以上であり、より好ましくは0.4cm/g以上であり、かつ該範囲の細孔容量は、細孔半径3.5〜7500nmにおける細孔容量に対して35%以上であり、より好ましくは40%以上である多孔質の担体である。
【0229】
固体触媒成分(A)の製造方法(2)においては、任意に有機酸クロライド(e)を添加することも出来る。有機酸クロライド(e)としては、具体的には、フタル酸ジクロライド、およびテレフタル酸ジクロライドのような芳香族ジカルボン酸ジクロライド;安息香酸クロライド、トルイル酸クロライド、およびアニス酸クロライドのような芳香族カルボン酸クロライド;コハク酸ジクロライド、マロン酸ジクロライド、マレイン酸ジクロライド、イタコン酸ジクロライド、アジピン酸ジクロライド、およびドデカン二酸ジクロライドのような脂肪族ジカルボン酸ジクロライド;アセチルクロライド、プロピオン酸クロライド、酪酸クロライド、吉草酸クロライド、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライド、および3−エトキシ−2−tert−ブチルプロピオン酸クロライドのような脂肪族カルボン酸クロライドが挙げられ、好ましくは、芳香族ジカルボン酸ジクロライド、および脂肪族カルボン酸クロライドであり、より好ましくはフタル酸ジクロライドである。
【0230】
製造方法(2)の製造条件
固体触媒成分(A)の製造方法(2)において、チタン化合物(c)の使用量は、使用されるマグネシウム化合物(d)中の総マグネシウム原子1molあたり、通常0.01〜100mol、好ましくは0.03〜50mol、特に好ましくは0.05〜30molである。チタン化合物(c)は、一度に、又は任意の複数回に分けて使用される。
【0231】
固体触媒成分(A)の製造方法(2)において、電子供与性化合物(b)の使用量は、使用されるマグネシウム化合物(d)1gあたり、通常0.01〜10000ml、好ましくは0.03〜5000ml、特に好ましくは0.05〜3000mlである。電子供与性化合物(b)は、一度に、又は任意の複数回に分けて使用される。
【0232】
固体触媒成分(A)の製造方法(2)において、有機酸クロライド(e)の使用量は、使用されるマグネシウム化合物(d)1gあたり、通常0.01〜10000ml、好ましくは0.03〜5000ml、特に好ましくは0.05〜3000mlである。電子供与性化合物(b)は、一度に、又は任意の複数回に分けて使用される。
【0233】
固体触媒成分(A)の製造方法(2)において、チタン化合物(c)、マグネシウム化合物(d)および電子供与性化合物(b)を接触させる方法は特に限定されない。該方法として、スラリー法や機械的粉砕法(例えばボールミルによる方法)のような公知の方法を例示することができる。
【0234】
上記のスラリー法におけるスラリー濃度は、通常0.05〜0.7g固体/ml溶媒、特に好ましくは0.1〜0.5g固体/ml溶媒である。接触の温度は、通常30〜150℃、好ましくは45〜135℃、特に好ましくは60〜120℃である。接触の時間は特に制限されず、通常30分から6時間程度が好適である。
【0235】
上記の機械的粉砕法は、得られる固体触媒成分(A)の微粉含有量やその粒度分布の広がりを抑制するために、好ましくは希釈剤の存在下で行われる。希釈剤として、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、およびオクタンのような脂肪族ハイドロカルビル;ベンゼン、トルエンおよびキシレンのような芳香族炭化水素;シクロヘキサンおよびシクロペンタンのような脂環式炭化水素;ならびに1,2−ジクロルエタンおよびモノクロルベンゼンのようなハロゲン化炭化水素を例示することができる。中でも、芳香族炭化水素またはハロゲン化炭化水素が特に好ましい。
【0236】
製造方法(2)において、チタン化合物(c)とマグネシウム化合物(d)および電子供与性化合物(b)を接触させる温度は特に限定されず、通常−50〜200℃であり、好ましくは−20〜150℃であり、より好ましくは−20〜130℃の範囲であり、特に好ましくは−20〜120℃の範囲である。
【0237】
製造方法(2)において、チタン化合物(c)、マグネシウム化合物(d)および電子供与性化合物(b)を接触させる時間は特に限定されず、通常10分〜12時間であり、好ましくは30〜10時間であり、特に好ましくは1時間〜8時間の範囲であり、一度に、または任意の時間に複数回に分けてもよい。
【0238】
製造方法(2)においては、任意で下式(xi)または(xii)で表される化合物も接触させてもよい。
【0239】
13q-d (xi)
(OR13q-d (xii)
式中、Mは第13族または第14族原子を表し;R13は炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基を表し;Xはハロゲン原子を表し;qはMの原子価を表し;dは0<d≦qを満足する整数を表す。
【0240】
上式(xi)および(xii)におけるM2の第13族元素として、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、およびタリウムを例示することができる。中でも、好ましくはホウ素またはアルミニウムであり、より好ましくはアルミニウムである。M2の第14族元素として、ケイ素、ゲルマニウム、錫、および鉛を例示することができる。中でも、好ましくはケイ素、ゲルマニウムまたは錫であり、より好ましくはケイ素である。
【0241】
上式(xi)および(xii)におけるR13として、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、およびドデシル基のような直鎖状または分岐状のアルキル基;シクロヘキシル基およびシクロペンチル基のような環状アルキル基;ならびにフェニル基、クレジル基、キシリル基およびナフチル基のようなアリール基を例示することができる。中でも、好ましくは炭素原子数2〜18のアルキル基または炭素原子数6〜18のアリール基である。
【0242】
上式(xi)および(xii)におけるXとしては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子が挙げられ、好ましくは塩素原子または臭素原子である。
【0243】
上式(xi)および(xii)におけるqはMの原子価であり、第13族元素のときqは3であり、第14族元素のときqは4である。
【0244】
上式におけるdは0<d≦qを満足する整数を表し、M2が第14族元素のときcは0<c≦4を満足する整数を表し、第13族元素のときdは0<d≦3を満足する整数を表す。Mが第14族元素の場合の好ましいdは3または4であり、より好ましくは4である。Mが第13族元素の場合の好ましいdは3である。
【0245】
上式(xi)および(xii)で表される化合物の中、クロロ化アルミニウム化合物またはクロロ化ケイ素化合物は、好ましくは、エチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、トリクロロアルミニウム、テトラクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、ノルマルプロピルトリクロロシラン、またはパラトリルトリクロロシランであり、より好ましくは第14族元素のクロロ化化合物であり、特に好ましくはテトラクロロシランおよびフェニルトリクロロシランである。
【0246】
触媒成分の製造方法(2)において、上式((xi)および(xii)で表される化合物の使用量は、マグネシウム化合物中の総マグネシウム原子1molあたり、通常0.01〜100mol、好ましくは0.03〜50mol、特に好ましくは0.05〜30molであり、該化合物は一度に、又は任意の複数回に分けて使用される。
【0247】
製造方法(2)において、上式(xi)および(xii)で表される化合物、チタン化合物(c)とマグネシウム化合物(d)および電子供与性化合物(b)を接触させる温度は特に限定されず、通常−50〜200℃であり、好ましくは0〜170℃であり、特に好ましくは50〜150℃の範囲である。
【0248】
製造方法(2)において、上式(xi)および(xii)で表される化合物、チタン化合物(cとマグネシウム化合物(d)および電子供与性化合物(b)を接触させる時間は特に限定されず、通常10分〜12時間であり、好ましくは30分〜10時間である。
【0249】
[有機アルミニウム化合物(B)]
本発明で用いられる有機アルミニウム化合物(B)として、上記米国特許6,903,041に記載された化合物を例示することができる。中でも、好ましくは、トリアルキルアルミニウム、トリアルキルアルミニウムとジアルキルアルミニウムハライドとの混合物、または、アルキルアルモキサンであり、さらに好ましくはトリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムとジエチルアルミニウムクロリドとの混合物またはテトラエチルジアルモキサンである。
【0250】
[アルコキシケイ素化合物(D)]
本発明で任意に用いられるアルコキシケイ素化合物(D)としては、下式(xiii)〜(xv)で表される化合物が好ましい。
14Si(OR154−e・・・(xiii)
Si(OR163(NR1718)・・・(xiv)
Si(OR163(NR19)・・・(xv)
[式中、R14は炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基、水素原子であり;R15は炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基であり;eは0≦e<4を満たす整数である。R14およびR15が複数存在する場合、それぞれのR14およびR15は同じか又は異なる。R16は、炭素原子数1〜6のハイドロカルビル基であり;R17およびR18は水素原子または炭素原子数1〜12のハイドロカルビル基であり;NR19は、炭素原子数5〜20の環状アミノ基である。]
【0251】
上式(xiii)におけるR14のハイドロカルビル基としては、アルキル基、アラルキル基、アリール基、アルケニル基等が挙げられ、R14のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、およびn−オクチル基のような直鎖状アルキル基;イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、および2−エチルヘキシル基のような分岐状アルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基、およびシクロオクチル基のような環状アルキル基が挙げられ、好ましくは炭素原子数1〜20の直鎖状、分岐状および環状アルキル基である。R14のアラルキル基としては、ベンジル基、およびフェネチル基が挙げられ、好ましくは炭素原子数7〜20のアラルキル基である。R14のアリール基としては、フェニル基、トリル基、およびキシリル基が挙げられ、好ましくは炭素原子数6〜20のアリール基である。R14のアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、3−ブテニル、および5−ヘキセニル基のような直鎖状アルケニル基;イソブテニル基、および5−メチル−3−ペンテニル基のような分岐状アルケニル基;2−シクロヘキセニル基、および3−シクロヘキセニル基のような環状アルケニル基が挙げられ、好ましくは炭素原子数2〜10のアルケニル基である。R14として好ましくは、炭素原子数1〜20の直鎖状、分岐状および環状アルキル基であり、より好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、2−エチルヘキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基、およびシクロオクチル基である。
【0252】
上式(xiii)におけるR15のハイドロカルビル基としては、アルキル基が挙げられ、R15のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、およびn−オクチル基のような直鎖状アルキル基;イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、および2−エチルヘキシル基のような分岐状アルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基、およびシクロオクチル基のような環状アルキル基が挙げられ、好ましくは炭素原子数1〜20の直鎖状、分岐状および環状アルキル基であり、より好ましくは炭素原子数1〜5の直鎖状、アルキル基であり、特に好ましくはメチル基およびエチル基ある。
【0253】
上式(xiii)で表されるアルコキシケイ素の具体例としては、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、tert−ブチルエチルジメトキシシラン、tert−ブチルプロピルジメトキシシラン、ジシクロブチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、シクロペンチルトリエトキシシランが挙げられる。
【0254】
上式(xiv)および(xv)におけるR16のハイドロカルビル基としては、アルキル基が挙げられ、R16のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、およびn−ヘキシル基のような直鎖状アルキル基;イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、およびネオペンチル基のような分岐状アルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、およびシクロヘキシル基のような環状アルキル基が挙げられ、好ましくは炭素原子数1〜6の直鎖状アルキル基である。R16としては特に好ましくはメチル基およびエチル基である。
【0255】
上式(xiv)におけるR17およびR18のハイドロカルビル基としては、アルキル基、アルケニル基等が挙げられ、R17およびR18のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、およびn−ヘキシル基のような直鎖状アルキル基;イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、およびネオペンチル基のような分岐状アルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、およびシクロヘキシル基のような環状アルキル基が挙げられ、好ましくは炭素原子数1〜6の直鎖状アルキル基である。R17およびR18のアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、3−ブテニル、および5−ヘキセニル基のような直鎖状アルケニル基;イソブテニル基、および5−メチル−3−ペンテニル基のような分岐状アルケニル基;2−シクロヘキセニル基、および3−シクロヘキセニル基のような環状アルケニル基が挙げられ、好ましくは炭素原子数2〜6の直鎖状アルケニル基である。R17およびR18として特に好ましくはメチル基およびエチル基である。
【0256】
上式(xiv)で表されるアルコキシケイ素の具体例としては、ジメチルアミノトリメトキシシラン、ジエチルアミノトリメトキシシラン、ジプロピルアミノトリメトキシシラン、ジメチルアミノトリエトキシシラン、ジエチルアミノトリエトキシシラン、ジプロピルアミノトリエトキシシラン、メチルエチルアミノトリエトキシシラン、メチルプロピルアミノトリエトキシシラン、tert−ブチルアミノトリエトキシシラン、ジイソプロピルアミノトリエトキシシラン、メチルイソプロピルアミノトリエトキシシランが挙げられる。
【0257】
上式(xv)におけるNR19の環状アミノ基としては、パーヒドロキノリノ基、パーヒドロイソキノリノ基、1,2,3,4−テトラヒドロキノリノ基、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリノ基、オクタメチレンイミノ基が挙げられる。
【0258】
上式(xv)で表されるアルコキシケイ素の具体例としては、パーヒドロキノリノトリエトキシシラン、パーヒドロイソキノリノトリエトキシシラン、1,2,3,4−テトラヒドロキノリノトリエトキシシラン、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリノトリエトキシシラン、オクタメチレンイミノトリエトキシシランが挙げられる。
【0259】
アルコキシケイ素化合物(D)としては好ましくは、式(xiii)で表されるアルコキシケイ素化合物であり、より好ましくはhが1また2を満たすアルコキシケイ素化合物であり、特に好ましくはシクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、tert−ブチルエチルジメトキシシラン、tert−ブチルプロピルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジシクロブチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、シクロペンチルトリエトキシシランが挙げられる。
【0260】
[オレフィン重合用触媒の調整方法]
固体触媒成分(A)、有機アルミニウム化合物(B)、トリエーテル(C)および任意にアルコキシケイ素化合物(D)を接触させてオレフィン重合用触媒を得る方法においては、公知の方法を使用することができ、特に制限はない。
【0261】
固体触媒成分(A)、有機アルミニウム化合物(B)、およびトリエーテル(C)の接触順序としては、以下の方法(1)〜(3)を例示することが出来る。
(1)固体触媒成分(A)、有機アルミニウム化合物(B)、トリエーテル(C)を同時に接触させる方法。
(2)有機アルミニウム化合物(B)とトリエーテル(C)を接触させた後、固体触媒成分(A)を接触させる方法。
(3)固体触媒成分(A)と有機アルミニウム化合物(B)を接触させた後、トリエーテル(C)を接触させる方法。
【0262】
固体触媒成分(A)、有機アルミニウム化合物(B)、トリエーテル(C)およびアルコキシケイ素化合物(D)の接触順序としては、特に限定されるものではないが、以下の方法(1)〜(4)を例示することが出来る。
(1)固体触媒成分(A)、有機アルミニウム化合物(B)、トリエーテル(C)およびアルコキシケイ素化合物(D)を同時に接触させる方法。
(2)有機アルミニウム化合物(B)、トリエーテル(C)およびアルコキシケイ素化合物(D)を接触させた後、固体触媒成分(A)を接触させる方法。
(3)トリエーテル(C)とアルコキシケイ素化合物(D)の混合液と、有機アルミニウム化合物(B)を接触させた後、固体触媒成分(A)を接触させる方法。
(4)固体触媒成分(A)と有機アルミニウム化合物(B)を接触させた後、トリエーテル(C)およびアルコキシケイ素化合物(D)を接触させる方法。
【0263】
本発明のオレフィン重合用触媒の調製には、不活性炭化水素中で行うことが好ましく、後述するオレフィンの本重合や予備重合で例示する溶媒の存在下に行うことがより好ましい。
【0264】
本発明の重合用触媒を形成させるための方法は、以下の工程からなる方法の方が好ましい場合がある:
(1)予備重合触媒成分の生成工程:
固体触媒成分(A)及び有機アルミニウム化合物(B)の存在下、少量のオレフィン(本来の重合(通常、本重合と言われる)で使用されるオレフィンと同一または異なる)を重合させ(生成されるオレフィン重合体の分子量を調節するために水素のような連鎖移動剤を用いてもよい。)、該オレフィンの重合体で表面が覆われた触媒成分を生成させる工程(該重合は通常、予備重合と言われ、したがって該触媒成分は通常、予備重合触媒成分と言われる。)。
(2)本重合用重合触媒成分の生成工程:
予備重合触媒成分と、任意で有機アルミニウム化合物(B)とを接触させる工程。
【0265】
上記工程(1)および(2)のいずれかの工程または両方の工程においてトリエーテル(C)を用いることができる。また、アルコキシケイ素化合物(D)も上記工程(1)および(2)のいずれかの工程または両方の工程において用いることができる。
【0266】
予備重合は好ましくは、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン及びトルエンのような不活性炭化水素を溶媒とするスラリー重合である。
【0267】
上記工程(1)で用いられる有機アルミニウム化合物(B)の量は、工程(1)で用いられる固体触媒成分(A)中のチタン原子1mol当たり、通常0.5〜700mol、好ましくは0.8〜500mol、特に好ましくは1〜200molである。
【0268】
予備重合されるオレフィンの量は、工程(1)で用いられるオレフィン重合用固体触媒成分(A)1g当たり通常0.01〜1000g、好ましくは0.05〜500g、特に好ましくは0.1〜200gである。
【0269】
上記工程(1)のスラリー重合におけるオレフィン重合用固体触媒成分(A)のスラリー濃度は、好ましくは1〜500g−オレフィン重合用固体触媒成分/L−溶媒、特に好ましくは3〜300g−オレフィン重合用固体触媒成分/L−溶媒である。
予備重合の温度は、好ましくは−20〜100℃、特に好ましくは0〜80℃である。予備重合における気相部のオレフィンの分圧は、好ましくは0.01〜2MPa、特に好ましくは0.1〜1MPaであるが、予備重合の圧力や温度において液状であるオレフィンについては、この限りではない。予備重合の時間は特に制限されず、好ましくは2分間から15時間である
【0270】
予備重合における、固体触媒成分(A)、有機アルミニウム化合物(B)及びオレフィンを重合槽へ供給する方法として、以下の方法(1)および(2)を例示することができる:
(1)固体触媒成分(A)と有機アルミニウム化合物(B)とを供給した後、オレフィンを供給する方法;および
(2)固体触媒成分(A)とオレフィンとを供給した後、有機アルミニウム化合物(B)を供給する方法。
【0271】
予備重合における、オレフィンを重合槽へ供給する方法として、以下の方法(1)および(2)を例示することができる:
(1)重合槽内の圧力を所定の圧力に維持するようにオレフィンを順次供給する方法;および
(2)オレフィンの所定量の全量を一括して供給する方法。
【0272】
予備重合で用いられるトリエーテル(C)の量は、固体触媒成分(A)中に含まれるチタン原子1molに対して、通常0.01〜400mol、好ましくは0.02〜200mol、特に好ましくは、0.03〜100molであり、有機アルミニウム化合物(B)1molに対して、通常0.003〜5mol、好ましくは0.005〜3mol、特に好ましくは0.01〜2molである。
【0273】
予備重合で用いられるアルコキシケイ素化合物(D)の量は、固体触媒成分(A)中に含まれるチタン原子1molに対して、通常0.01〜400mol、好ましくは0.02〜200mol、特に好ましくは、0.03〜100molであり、有機アルミニウム化合物(B)1molに対して、通常0.003〜5mol、好ましくは0.005〜3mol、特に好ましくは0.01〜2molである。
【0274】
予備重合における、トリエーテル(C)およびアルコキシケイ素化合物(D)を重合槽へ供給する方法として、以下の方法(1)〜(6)を例示することができる:
(1) トリエーテル(C)を単独で供給する方法;
(2) アルコキシケイ素化合物(D)を単独で供給する方法;
(3) トリエーテル(C)とアルコキシケイ素化合物(D)の混合物を供給する方法;
(4) トリエーテル(C)と有機アルミニウム化合物(B)との接触物を供給する方法;
(5) アルコキシケイ素化合物(D)と有機アルミニウム化合物(B)との接触物を供給する方法;および
(6) トリエーテル(C)とアルコキシケイ素化合物(D)の混合物と有機アルミニウム化合物(B)との接触物を供給する方法。
【0275】
本重合時の有機アルミニウム化合物(B)の使用量は、オレフィン重合用固体触媒成分(A)中のチタン原子1molあたり、通常1〜1000mol、特に好ましくは5〜600molである。
【0276】
本重合時のトリエーテル(C)の使用量は、固体触媒成分(A)中に含まれるチタン原子1molあたり、通常0.1〜2000mol、好ましくは0.3〜1000mol、特に好ましくは0.5〜800molであり、有機アルミニウム化合物(B)1molあたり、通常0.001〜5mol、好ましくは0.005〜3mol、特に好ましくは0.01〜1molである。
【0277】
本重合時のアルコキシケイ素化合物(D)の使用量は、固体触媒成分(A)中に含まれるチタン原子1molあたり、通常0.1〜2000mol、好ましくは0.3〜1000mol、特に好ましくは0.5〜800molであり、有機アルミニウム化合物(B)1molあたり、通常0.001〜5mol、好ましくは0.005〜3mol、特に好ましくは0.01〜1molである。
【0278】
本重合の温度は、通常−30〜300℃、好ましくは20〜180℃である。重合圧力は特に制限されず、工業的かつ経済的であるという点で、一般に常圧〜10MPa、好ましくは200kPa〜5MPa程度である。重合はバッチ式または連続式であり、重合方法としてプロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンおよびオクタンのような不活性炭化水素を溶媒とするスラリー重合法または溶液重合法や、重合温度において液状であるオレフィンを媒体とするバルク重合法や、気相重合法を例示することができる。
【0279】
[オレフィン重合]
本発明のオレフィン重合体の製造方法で用いられるオレフィンとして、エチレンおよび炭素原子数3以上のα−オレフィンを例示することができる。α−オレフィンとして、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、および1−デセンのような直鎖状モノオレフィン;3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、および4−メチル−1−ペンテンのような分岐鎖状モノオレフィン;ビニルシクロヘキサンのような環状モノオレフィン;ならびに、これらの2種以上の組合せを例示することができる。中でも、好ましくはプロピレンの単独重合、または、エチレンもしくはプロピレンを主成分とする複数種のオレフィンの組合せの共重合である。上記の複数種のオレフィンの組合せは、2種類またはそれ以上の種類のオレフィンの組合せを含んでいてもよく、共役ジエンや非共役ジエンのような多不飽和結合を有する化合物を含んでいてもよい。
【0280】
本発明のオレフィン重合体の製造方法で製造されるオレフィン重合体は、好ましくはエチレン単独重合体;プロピレン単独重合体、1−ブテン単独重合体、1−ペンテン単独重合体、および1−ヘキセン単独重合体のようなα−オレフィン単独重合体;エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、およびエチレン−1−ヘキセン共重合体のようなエチレン共重合体;プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体、およびエチレン−プロピレン−1−ヘキセン共重合体、またはこれらを多段重合して得られるブロック共重合体である。
【実施例】
【0281】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0282】
(1)[化合物の同定]
化合物は、H NMRで同定した。H NMRは、核磁気共鳴装置(日本電子社製、JNM−AL400)を用いて下記の条件により測定した。テトラメチルシランの水素の化学シフト値を基準にした。
測定溶媒:CDCl
測定温度:室温
【0283】
(2)[生成物の生成比]
目的の生成物の生成比は、ガスクロマトグラフ(島津製作所製、GC−2010)を用いて下記条件により測定した。
測定カラム:DB−1(Aglient Technologies社製)
長さ30m、内径:0.25mm、膜厚:0.25μm
測定温度:100〜300℃(10℃/分) 300℃ 10分間保持
【0284】
(3)極限粘度([η]、単位:dL/g)
得られた重合体100mgを、135℃のテトラリン50mlに溶解させ、135℃に保持された湯浴中にセットされた、ウベローデ型粘度計を用い、当該サンプルが溶解したテトラリン溶液の落下速度から求めた。
【0285】
(4)アイソタクチック・ペンタッド分率([mmmm])
アイソタクチック・ペンタッド分率は、13C−NMRスペクトルにおいて、19.4〜22.2ppmのメチル炭素に帰属されるピーク面積(I(CH))に対する21.64〜22.02ppmのmmmmペンタッドのメチル炭素に帰属されるピーク面積(I(mmmm))の割合として求めた。
<測定条件>
装置 :Bruker社製 AVANCE600 10mmクライオプローブ
測定溶媒:1,2−ジクロロベンゼン/1,2−ジクロロベンゼン−d=75/25(容積比)の混合液
測定温度:130℃
測定方法:プロトンデカップリング法
パルス幅:45度
パルス繰り返し時間:4秒
化学シフト値基準:テトラメチルシラン
【0286】
(5)20℃キシレン可溶部量(CXS、単位:重量%);
20℃の冷キシレンに可溶な分量を百分率(wt%)で表した。
通常、CXSは値が小さいほど、無定形重合体が少なく、高立体規則性であることを示す。
【0287】
(6)分子量および分子量分布
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、下記の条件で測定した。
検量線は標準ポリスチレンを用いて作成した。分子量分布は重量平均分子量(Mw)と数
平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で評価した。
機種: ミリポアウオーターズ社製 150C型
カラム: TSK−GEL GMH6−HT 7.5Φmm×300mm×3本
測定温度:140℃
溶媒: オルトジクロロベンゼン
測定濃度:5mg/5ml
【0288】
(7)固体触媒成分等の固体サンプルの組成分析
チタン原子含有量は、固体サンプルを希硫酸で分解後、これに過酸化水素水を加え、得られた液状サンプルの410nmの特性吸収を日立製ダブルビーム分光光度計U−2001型を用いて測定し、別途作成しておいた検量線により求めた。アルコキシ基含有量は、固体サンプルを水で分解後、得られた液状サンプル中のアルコキシ基に対応するアルコール量を、ガスクロマトグラフィー内部標準法を用いて求め、アルコキシ基含有量に換算した。カルボン酸エステル含有量は、固体サンプルを水で分解後、飽和炭化水素溶媒で可溶成分を抽出し、抽出液中のカルボン酸エステル量をガスクロマトグラフィー内部標準法で求めた。
実施例1
【0289】
(I)トリエーテルの合成
1−(tert−ブチルジメチルシロキシ)−2,2−ビス(メトキシメチル)ブタンの合成
(1)5−エチル−5−ヒドロキシメチル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサンの合成
トリメチロールプロパン(100g、745mmol)と2,2−ジメトキシプロパン(110mL、894mmol)と、p−トルエンスルホン酸28gと、N,N−ジメチルホルムアミド450mLとを、撹拌機付きフラスコに仕込み、25℃で2時間撹拌した。反応混合物を炭酸水素ナトリウム水溶液で中和し、エーテル抽出物を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後溶媒を留去し、5−エチル−5−ヒドロキシメチル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサンを122g得た(収率95%、純度98%(GC面積百分率))。
H NMR (400MHz,CDCl)δ 0.85(t,3H),1.31(q,2H),1.40(s,3H),1.43(s,3H).1.97(t,3H),3.67(m,4H),3.74(d,2H).

(2)5−エチル−5−メトキシメチル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサンの合成
得られた5−エチル−5−ヒドロキシメチル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン(40g、230mmol)を乾燥N,N−ジメチルホルムアミド168mLに溶解した。別に1Lの4口フラスコに30mLのジメチルホルムアミドを入れ、これにNaH(55wt%、11.5g、264mmol)を分散させた。この分散液に上記2,5−ジメチル−5−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキサン溶液を0 ℃で滴下し、滴下完了後、室温下で1時間撹拌し、0 ℃に冷却下、ヨウ化メチル(18.6mL、298mmol)を滴下し、滴下完了後3時間20℃で撹拌した。反応液を水洗しエーテル抽出物を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後溶媒を留去し、5−エチル−5−メトキシメチル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサンを40g得た(収率87%、純度94%(GC面積百分率))。
H NMR (400MHz,CDCl)δ 0.83(t,3H),1.35(q,2H),1.40(d,3H),1.41(d,3H),3.35(s,3H),3.41(s,2H),3.59(d,2H),3.69(d,2H).

(3)2−(tert−ブトキシメチル)−2−メトキシメチル−1−ブタノールの合成
得られた5−エチル−5−メトキシメチル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン(34g、180mmol)と溶媒として無水トルエン450mLを撹拌機付きフラスコに仕込み、0 ℃でMeMgIのエーテル溶液(3M、90mL、271mmol,1.5当量)を滴下し、滴下完了後、80℃で3時間撹拌した。反応液に塩化アンモニウム水溶液を入れ、エーテル抽出物を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後溶媒を留去し、2−(tert−ブトキシメチル)−2−メトキシメチル−1−ブタノールを29g得た(収率75%、純度94%(GC面積百分率))。
H NMR (400MHz,CDCl)δ 0.84(t,3H),1.18(s,9H),1.34(q,1H),1.35(q,1H),3.34(s,3H),3.35−3.60(m,6H).

(4)1−(tert−ブトキシ)−2,2−ビス(メトキシメチル)ブタンの合成
得られた2−(tert−ブトキシメチル)−2−メトキシメチル−1−ブタノール(30g,145mmol)を乾燥THF400mLに溶解した。別に1Lの4口フラスコに200mLのTHFを入れ、これにNaH(55wt%,5.2g,217mmol)を分散させた。この分散液に上記2−(tert−ブトキシメチル)−2−メトキシメチル−1−ブタノール溶液を0 ℃で滴下し、滴下完了後、室温下で1時間撹拌し、0 ℃に冷却下、ヨウ化メチル(36mL、579mmol)を滴下し、滴下完了後40℃で3時間撹拌した。反応液を水洗しエーテル抽出物を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後溶媒を留去し、減圧蒸留(沸点:74−75℃/0.67kPa)により、1−(tert−ブトキシ)−2,2−ビス(メトキシメチル)ブタンを25g得た(収率79%、純度94%(GC面積百分率))。
H NMR (400MHz,CDCl)δ 0.84(t,3H),1.14(s,9H),1.37(q,2H),3.17(s,2H),3.24(s,4H),3.31(s,6H).

(5)2,2−ビス(メトキシメチル)−1−ブタノールの合成
得られた1−(tert−ブトキシ)−2,2−ビス(メトキシメチル)ブタン(8.13g、37.2mmol)と、無水ジクロロメタン122mLを撹拌機付きフラスコに仕込み、0℃でTiCl(6.1mL、55.9mmol)を添加し、0℃で10分撹拌した。反応液に重曹水溶液を入れ、エーテル抽出物を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後溶媒を留去し、2,2−ビス(メトキシメチル)−1−ブタノールを5.87g得た(収率94%、純度97%(GC面積百分率))。H NMR (400MHz,CDCl)δ0.84(s,3H),1.35(q,2H),2.94(br,1H),3.32(d,2H),3.34(s,6H),3.40(d,2H),3.58(s,2H).

(6)1−(tert−ブチルジメチルシロキシ)−2,2−ビス(メトキシメチル)ブタンの合成
得られた2,2−ビス(メトキシメチル)−1−ブタノール(300mg、1.85mmol)と、イミダゾール(140mg、2.03mmol)と、無水N,N−ジメチルホルムアミド3.2mLを撹拌機付きフラスコに仕込み、0℃でtert−ブチルジメチルシリルクロリド(310mg、2.03mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド溶液3.2mLを滴下し、滴下完了後、室温で8時間撹拌した。反応液に水を入れ、エーテル抽出物を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=5/1)精製することにより、1−(tert−ブチルジメチルシロキシ)−2,2−ビス(メトキシメチル)ブタンを391mg得た(収率76%、純度99%(GC面積百分率))。H NMR (400MHz,CDCl)δ 0.02(s,6H),0.84(t,3H),0.88(s,9H),1.35(q,2H),3.21(s,4H),3.30(s,6H),3.43(s,2H).

【0290】
(II)固体触媒成分(A)の合成
窒素置換した撹拌機を備えた反応器に、ヘキサン800L、フタル酸ジイソブチル6.8kg、テトラエトキシシラン350kgおよびテトラブトキシチタン38.8kgを投入し、撹拌した。次に、攪拌混合物に、ブチルマグネシウムクロリドのジブチルエーテル溶液(濃度2.1mol/L)900Lを反応器の温度を7℃に保ちながら5時間かけて滴下した。滴下終了後、20℃で1時間撹拌したあと濾過し、得られた固体をトルエン1100Lでの洗浄を3回繰り返し、スラリーの全体積が625Lとなるようにトルエンを加えた。その後、得られたスラリーを、攪拌下70℃で1時間加熱処理し、室温まで冷却し、固体物質のスラリーを得た。
該スラリーの一部を減圧乾燥して得た乾燥固体物質の組成分析を行ったところ固体物質中にはチタン原子が2.1重量%、エトキシ基が38.9重量%、ブトキシ基が3.4重量%含有されていた(乾燥固体物質を100重量%とする)。
【0291】
撹拌機、滴下ロート、温度計を備えた100mLのフラスコを窒素で置換したのち、上記で得た固体物質のスラリーを、乾燥固体物質8gを含む量だけ投入し、スラリーの全体積が26.5mLとなるように上澄み液を抜き取った。40℃で四塩化チタン16.0mL、ジブチルエーテル0.8mLの混合物を投入し、さらにフタル酸クロライド2.0mLとトルエン2.0mLの混合物を5分間で滴下した。滴下終了後、反応混合物を115℃で4時間攪拌した。その後、同温度で固液分離し、固体成分を得た。
【0292】
該固体成分を115℃でトルエン40mLで3回洗浄を行った。
該洗浄された固体成分に、スラリーの体積が26.5mLとなるようにトルエンを加えた。そこへジブチルエーテル0.8mL、フタル酸ジイソブチル0.45mLと、四塩化チタン6.4mLの混合物を投入し、105℃で1時間攪拌した。その後、同温度で固液分離し、固体成分を得た。
【0293】
該固体成分を105℃でトルエン40mLで2回洗浄を行った
該洗浄された固体成分に、スラリーの体積が26.5mLとなるようにトルエンを加え105℃とした。そこへジブチルエーテル0.8mL、四塩化チタン6.4mLの混合物を投入し、105℃で1時間攪拌した。その後、同温度で固液分離し、固体成分を得た。
【0294】
該固体成分を105℃でトルエン40mLで2回洗浄を行った。
該洗浄された固体成分に、スラリーの体積が26.5mLとなるようにトルエンを加え105℃とした。そこへジブチルエーテル0.8mL、四塩化チタン6.4mLの混合物を投入し、105℃で1時間攪拌した。その後、同温度で固液分離し、固体成分を得た。
【0295】
該固体成分を105℃でトルエン40mLで6回洗浄し、室温でヘキサン40mLで3回洗浄を行った。これを減圧乾燥して固体触媒成分(A)を得た。
【0296】
該固体触媒成分中には、チタン原子1.6重量%、エトキシ基0.06重量%、ブトキシ基0.15重量%、フタル酸ジエチル7.6重量%、フタル酸エチルノルマルブチル0.8重量%、フタル酸ジイソブチル2.5重量%が含有されていた(固体触媒成分を100重量%とする)。
【0297】
(III)プロピレン重合
内容積3リットルの撹拌機付きステンレス製オートクレーブを減圧乾燥させた後、アルゴン置換を行い、冷却した。その後、当該オートクレーブ内を真空とした。トリエチルアルミニウム((B)成分)2.6mmol、上記(6)で合成した1−(tert−ブチルジメチルシロキシ)−2,2−ビス(メトキシメチル)ブタン((C)成分)0.26mmolを接触させて得られる接触混合物、および上記(1)で合成した固体触媒成分((A)成分)6.79mgを準備し、この順でガラスチャージャー内のヘプタン中で接触させた。
【0298】
接触させた(A)〜(C)成分をオートクレーブ内に一括で投入した。次に、液化プ
ロピレン780gをオートクレーブ内に供給し、更に、0.20MPaの分圧に相当する水素を加えた。その後、オートクレーブを80℃まで昇温し重合を開始した。
【0299】
重合開始1時間後、オートクレーブ内のガスをパージして重合を終了し、生成した重合体を60℃で1時間減圧乾燥して166gの重合パウダーを得た。PP/cat=37,000(g/g)、CXS=1.7(重量%)、重合体の極限粘度は、[η]=0.82(dL/g)、[mmmm]は0.942であった。重合条件及びその結果を、表1に示す。
実施例2
【0300】
(I)トリエーテルの合成
1−(トリイソプロピルシロキシ)−2,2−ビス(メトキシメチル)ブタンの合成
実施例1(5)で得られた2,2−ビス(メトキシメチル)−1−ブタノール(300mg、1.85mmol)、イミダゾール(140mg、2.03mmol)、および無水N,N−ジメチルホルムアミド3.2mLを撹拌機付きフラスコに仕込み、0℃でトリイソプロピルシリルクロリド(0.43mL、2.03mmol)を滴下し、滴下完了後、室温で8時間撹拌した。反応液に水を入れ、エーテル抽出物を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル/トリエチルアミン=100/1/1)精製することにより、1−(トリイソプロピルシロキシ)−2,2−ビス(メトキシメチル)ブタンを391mg得た(収率66%、純度100%(GC面積百分率))。H NMR (400MHz,CDCl)δ 0.85(t,3H),1.03−1.10(m,19H),1.37(q,2H),3.22(s,4H),3.29(s,6H),3.54(s,2H).

【0301】
(II)プロピレン重合
(A)成分の使用量を7.68mgとしたこと、トリエーテル(C)として1−(トリイソプロピルシロキシ)−2,2−ビス(メトキシメチル)ブタンとしたこと以外は実施例1と同様の方法で重合を行った。重合結果を表1に示す。
実施例3
【0302】
(I)トリエーテルの合成
1−(tert−ブチルジフェニルシロキシ)−2,2−ビス(メトキシメチル)ブタンの合成
実施例1(5)で得られた2,2−ビス(メトキシメチル)−1−ブタノール(300mg、1.85mmol)、イミダゾール(140mg、2.03mmol)、および無水N,N−ジメチルホルムアミド3.2mLを撹拌機付きフラスコに仕込み、0℃でtert−ブチルジフェニルシリルクロリド(0.56mL、2.03mmol)を滴下し、滴下完了後、室温で8時間撹拌した。反応液に水を入れ、エーテル抽出物を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:ヘキサン/酢酸エチル/トリエチルアミン=100/1/1)精製することにより、1−(tert−ブチルジフェニルシロキシ)−2,2−ビス(メトキシメチル)ブタンを342mg得た(収率46%、純度99%(GC面積百分率))。H NMR (400MHz,CDCl)δ 0.83(t,3H),1.05(s,9H),1.42(q,2H),3.27(s,4H),3.34(s,6H),3.53(s,2H),7.67(m,6H),7.68(m,4H).

【0303】
(II)プロピレン重合
(A)成分の使用量を8.48mgとしたこと、トリエーテル(C)として1−(tert−ブチルジフェニルシロキシ)−2,2−ビス(メトキシメチル)ブタンとしたこと以外は実施例1と同様の方法で重合を行った。重合結果を表1に示す。
実施例4
【0304】
(I)トリエーテルの合成
1−(トリス(トリメチルシリル)シロキシ)−2,2−ビス(メトキシメチル)ブタンの合成
実施例1(5)で得られた2,2−ビス(メトキシメチル)−1−ブタノール(1.00g、6.16mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(0.90g、7.40mmol)、および無水ジクロロメタン7.5mLを撹拌機付きフラスコに仕込み、0℃でトリス(トリメチルシリル)シリルクロリド(1.83g、6.47mmol)のジクロロメタン溶液7.5mLを滴下し、滴下完了後、室温で8時間撹拌した。反応液に水を入れ、エーテル抽出物を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:ヘキサン/酢酸エチル/トリエチルアミン=100/1/1)精製することにより、1−(トリス(トリメチルシリル)シロキシ)−2,2−ビス(メトキシメチル)ブタンを1.41g得た(収率56%、純度99%(GC面積百分率))。H NMR (400MHz,CDCl)δ 0.18(s,27H),0.81(t,3H),1.30(q,2H),3.15(s,2H),3.28(s,4H),3.29(s,6H).

【0305】
(II)プロピレン重合
(A)成分の使用量を7.84mgとしたこと、トリエーテル(C)として1−(トリス(トリメチルシリル)シロキシ)−2,2−ビス(メトキシメチル)ブタンとしたこと以外は実施例1と同様の方法で重合を行った。重合結果を表1に示す。
実施例5
【0306】
(I)トリエーテルの合成
1−(tert−ブチルジメチルシロキシ)−2,2−ビス(メトキシメチル)−3,3-ジメチルブタンの合成
(1)2−tert−ブチル−2−メトキシメチルマロン酸ジエチルの合成
tert−ブチルマロン酸ジエチル(10.0g,46.2mmol)を乾燥N,N−ジメチルホルムアミド26mLに溶解した。別のフラスコに26mLのN,N−ジメチルホルムアミドを入れ、これにNaH(55wt%,4.03g,92.4mmol)を分散させた。この分散液に上記tert−ブチルマロン酸ジエチル溶液を0 ℃で滴下し、滴下完了後、室温下で1時間撹拌し、0 ℃に冷却下、クロロメチルメチルエーテル(5.22mL、69.4mmol)を滴下し、滴下完了後、室温下で4時間撹拌した。反応液を水洗し、エーテル抽出物を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後溶媒を留去し、減圧蒸留(沸点:100−101℃/0.60kPa)により2−tert−ブチル−2−メトキシメチルマロン酸ジエチルを9.52g得た(収率74%、純度93%(GC面積百分率))。H NMR (400MHz,CDCl)δ 1.14(t,9H),1.27(t,6H),3.31(s,3H),3.84(s,2H),4.20(q,4H).

(2)2−ヒドロキシメチル−2−メトキシメチル−3,3−ジメチル−1−ブタノールの合成
得られた2−tert−ブチル−2−メトキシメチルマロン酸ジエチル(9.00g,34.6mmol)を乾燥ジエチルエーテル32mLに溶解した。別のフラスコに32mLの乾燥ジエチルエーテルを入れ、これに水素化リチウムアルミニウム(2.62g,69.1mmol)を分散させた。この分散液に上記2−tert−ブチル−2−メトキシメチルマロン酸ジエチル溶液を0 ℃で滴下し、滴下完了後、室温下で1時間撹拌し、反応液に水酸化ナトリウム水溶液、水および硫酸ナトリウムを仕込み、セライトろ過を行った。ろ過後溶媒を留去し、2−ヒドロキシメチル−2−メトキシメチル−3,3−ジメチル−1−ブタノールを5.81g得た(収率91%、純度95%(GC面積百分率))。H NMR (400MHz,CDCl)δ 0.90(s,9H),3.03(dd,2H),3.37(s,3H),3.48(s,2H),3.77−3.90(m,4H).

(3)5−tert−ブチル−5−メトキシメチル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサンの合成
2−ヒドロキシメチル−2−メトキシメチル−3,3−1−ブタノール(4.50g、25.5mmol)と、2,2−ジメトキシプロパン(3.75mL、30.6mmol)と、p−トルエンスルホン酸0.49gと、N,N−ジメチルホルムアミド24mLとを、100mL撹拌機付きフラスコに仕込み、室温下で2時間撹拌した。反応混合物を炭酸水素ナトリウム水溶液で中和し、エーテル抽出物を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後溶媒を留去し、5−tert−ブチル−5−メトキシメチル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサンを4.79g得た(収率82%、純度95%(GC面積百分率))。
H NMR (400MHz,CDCl)δ 0.93(s,9H),1.36(s,3H),1.39(s,3H),3.32(s,3H),3.50(d,2H),3.52(s,2H),3.81(d,2H).

(4)2−tert−ブトキシメチル−2−メトキシメチル−3,3−ジメチル−1−ブタノールの合成
得られた5−tert−ブチル−5−メトキシメチル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン(4.50g、20.8mmol)と溶媒として無水トルエン26mLを撹拌機付きフラスコに仕込み、室温下でMeMgIのエーテル溶液(3M、10.48mL、31.2mmol)を滴下し、滴下完了後、40℃、500kPaで溶媒を4mL留去した後、100℃で1時間撹拌した。反応液に塩化アンモニウム水溶液を入れ、エーテル抽出物を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=1/5)精製により、2−tert−ブトキシメチル−2−メトキシメチル−3,3−ジメチル−1−ブタノールを3.56g得た(収率73%、純度99%(GC面積百分率))。
H NMR (400MHz,CDCl)δ 0.93(s,9H),1.20(s,9H),3.31(s,3H),3.33(dd,1H),3.52(ddd,2H),3.54(s,2H),3.64(dd,1H),3.71(dd,1H).

(5)1−tert−ブトキシ−2,2−ビス(メトキシメチル)−3,3−ジメチルブタンの合成
得られた2−tert−ブトキシメチル−2−メトキシメチル−3,3−ジメチル−1−ブタノール(3.00g,12.9mmol)を乾燥THF13mLに溶解した。別のフラスコに13mLのTHFを入れ、これにNaH(55wt%,0.85g,19.4mmol)を分散させた。この分散液に上記2−tert−ブトキシメチル−2−メトキシメチル−3,3−ジメチル−1−ブタノール溶液を0 ℃で滴下し、滴下完了後、室温下で1時間撹拌し、0 ℃に冷却下、ヨウ化メチル(1.6mL,25.8mmol)を滴下し、滴下完了後、35℃で1時間撹拌した。反応液を水洗しエーテル抽出物を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後溶媒を留去し、減圧蒸留(沸点:85−86℃/1.0kPa)により1−tert−ブトキシ−2,2−ビス(メトキシメチル)−3,3−ジメチルブタンを1.98g得た(収率62%、純度99%(GC面積百分率))。H NMR (400MHz,CDCl)δ 1.00(s,9H),1.14(s,9H),3.27(s,6H),3.36(s,2H),3.38(s,2H),3.39(s,2H).

(6)2,2−ビス(メトキシメチル)−3,3−ジメチル−1−ブタノールの合成
得られた1−tert−ブトキシ−2,2−ビス(メトキシメチル)−3,3−ジメチルブタン(1.30g,5.28mmol)と溶媒として無水ジクロロメタン122mLを撹拌機付きフラスコに仕込み、0℃でTiCl(0.87mL,7.9mmol)を添加し、0℃で10分撹拌した。反応液に重曹水溶液を入れ、ジクロロメタン抽出物を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後溶媒を留去し、2,2−ビス(メトキシメチル)−3,3−ジメチル−1−ブタノールを0.94g得た(収率90%、純度96%(GC面積百分率))。H NMR (400MHz,CDCl)δ 0.93(s,9H),2.97(br,1H),3.32(s,6H),3.52(dd,4H),3.58(s,2H).

(7)1−(tert−ブチルジメチルシロキシ)−2,2−ビス(メトキシメチル)−3,3-ジメチルブタンの合成
得られた2,2−ビス(メトキシメチル)−3,3−ジメチル−1−ブタノール(350mg、1.84mmol)と、イミダゾール(140mg、2.02mmol)と、無水N,N−ジメチルホルムアミド3.7mLとを撹拌機付きフラスコに仕込み、0℃でtert−ブチルジメチルシリルクロリド(0.305mg、2.02mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド溶液3.7mLを滴下し、滴下完了後、室温で8時間撹拌した。反応液に水を入れ、エーテル抽出物を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:ヘキサン/酢酸エチル/トリエチルアミン=100/1/1)精製することにより、1−(tert−ブチルジメチルシロキシ)−2,2−ビス(メトキシメチル)−3,3-ジメチルブタンを382mg得た(収率68%、純度99%(GC面積百分率))。H NMR (400MHz,CDCl)δ 0.03(s,6H),0.89(s,9H),1.00(s,9H),3.26(s,6H),3.35(dd,4H),3.64(s,2H).

【0307】
(II)プロピレン重合
(A)成分の使用量を2.37mgとしたこと、トリエーテル(C)として1−(tert−ブチルジメチルシロキシ)−2,2−ビス(メトキシメチル)−3,3-ジメチルブタンとしたこと以外は実施例1と同様の方法で重合を行った。重合結果を、表1に示す。
実施例6
【0308】
(I)トリエーテルの合成
1−(トリス(トリメチルシリル)シロキシ)−2,2−ビス(メトキシメチル)−3,3−ジメチルブタンの合成
実施例5(6)で得られた2,2−ビス(メトキシメチル)−3,3−ジメチル−1−ブタノール(350mg,1.84mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(270mg、2.21mmol)、および無水ジクロロメタン2.6mLを撹拌機付きフラスコに仕込み、0℃でトリス(トリメチルシリル)シリルクロリド(547mg、1.93mmol)のジクロロメタン溶液2.6mLを滴下し、滴下完了後、室温で8時間撹拌した。反応液に水を入れ、エーテル抽出物を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:ヘキサン/酢酸エチル/トリエチルアミン=100/1/1)精製することにより、1−(トリス(トリメチルシリル)シロキシ)−2,2−ビス(メトキシメチル)−3,3−ジメチルブタンを251mg得られた(収率30%、純度98%(GC面積百分率))。H NMR (400MHz,CDCl)δ 0.19(s,27H),0.96(t,9H),3.24(s,6H),3.25(s,2H),3.30(s,2H),3.31(s,2H).

【0309】
(II)プロピレン重合
(A)成分の使用量を6.65mgとしたこと、トリエーテル(C)として1−(トリス(トリメチルシリル)シロキシ)−2,2−ビス(メトキシメチル)−3,3−ジメチルブタンとしたこと以外は実施例1と同様の方法で重合を行った。重合結果を、表1に示す。
比較例1
【0310】
(I)トリエーテルの合成
1−メトキシ−2,2−ビス(メトキシメチル)ブタンの合成
トリメチロールプロパン(20.0g,145mmol)を乾燥THF123mLに溶解した。別のフラスコに123mLのTHFを入れ、これにNaH(60wt%,19.7g,491mmol)を分散させた。この分散液に上記トリメチロールプロパン溶液を0 ℃で滴下し、滴下完了後、室温下で1時間撹拌し、0℃に冷却下、ヨウ化メチル(41.8mL、671mmol)を滴下し、滴下完了後、25℃で3時間撹拌した。反応液を水洗しエーテル抽出物を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後溶媒を留去し、減圧蒸留(沸点:74−75℃/0.67kPa)により1−メトキシ−2,2−ビス(メトキシメチル)ブタンを20.3g得た(収率77%、純度100%(GC面積百分率))。 H NMR (400MHz,CDCl)δ 0.85(t,3H),1.39(q,2H),3.24(s,6H),3.32(s,9H).

【0311】
(II)プロピレン重合
(A)成分の使用量を12.00mgとしたこと、トリエーテル(C)として1−メトキシ−2,2−ビス(メトキシメチル)ブタンとしたこと以外は実施例1と同様の方法で重合を行った。重合結果を表1に示す。
比較例2
【0312】
(II)プロピレン重合
(A)成分の使用量を8.39mgとしたこと、トリエーテル(C)として実施例1(4)で得られた1−(tert−ブトキシ)−2,2−ビス(メトキシメチル)ブタンとしたこと以外は実施例1と同様の方法で重合を行った。重合結果を、表1に示す。

比較例3
【0313】
(I)トリエーテルの合成
2,2−ビス(メトキシメチル)−2−(1,2−ジメチルプロポキシメチル)ブタンの合成
(1)5−エチル−5−ヒドロキシメチル−2−イソプロピル−1,3−ジオキサンの合成
トリメチロールプロパン(26.0g、194mmol)と、イソブチルアルデヒド(123.0mL、252mmol)と、p−トルエンスルホン酸3.69gと、N,N−ジメチルホルムアミド117mLとを撹拌機付きフラスコに仕込み、25℃で1時間撹拌した。反応混合物を炭酸水素ナトリウム水溶液で中和し、エーテル抽出物を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後溶媒を留去し、5−エチル−5−ヒドロキシメチル−2−イソプロピル−1,3−ジオキサンを35.5g得た(収率87%、純度98%(GC面積百分率))。

(2)5−エチル−2−イソプロピル−5−メトキシメチル−1,3−ジオキサンの合成
得られた5−エチル−5−ヒドロキシメチル−2−イソプロピル−1,3−ジオキサン(31.8g、169mmol)を乾燥テトラヒドロフラン86mLに溶解した。別のフラスコに86mLのテトラヒドロフランを入れ、これにNaH(55wt%、11.0g、252mmol)を分散させた。この分散液に上記5−エチル−5−ヒドロキシメチル−2−イソプロピル−1,3−ジオキサン溶液を0℃で滴下し、滴下完了後、室温下で1時間撹拌し、0℃に冷却下、ヨウ化メチル(36.2mL、581mmol)を滴下し、滴下完了後3時間20℃で撹拌した。反応液を水洗しエーテル抽出物を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後溶媒を留去し、5−エチル−2−イソプロピル−5−メトキシメチル−1,3−ジオキサンを36.5g得た。異性体が2種類存在した(52:48)。収率98%、純度92%(GC面積百分率)。
H NMR (400MHz,CDCl)異性体A:δ 0.79(t,3H),0.93(d,6H),1.15(q,2H),1.76(sep−d,1H),2.95(s,2H),3.26(s,3H),3.35(d,2H),3.36(d,1H),3.80(d,2H).異性体B:δ 0.88(t,3H),0.93(d,6H),1.75(q,2H),1.76(sep−d,1H),3.35(d,1H),3.37(s,3H),3.56(s,2H),3.60(d,2H),3.91(d,2H).

(3)2−(メトキシメチル)−2−(1,2−ジメチルプロポキシメチル)−1−ブタノールの合成
得られた5−エチル−2−イソプロピル−5−メトキシメチル−1,3−ジオキサン(20.0g、98.9mmol)と無水トルエン265mLを撹拌機付きフラスコに仕込み、0℃でMeMgIのエーテル溶液(3M、65.9mL、198mmol)を滴下し、滴下完了後、40℃、500kPaで溶媒を64mL留去した後、100℃で4時間撹拌した。反応液に塩化アンモニウム水溶液を入れ、エーテル抽出物を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=1/5)精製により、2−(メトキシメチル)−2−(1,2−ジメチルプロポキシメチル)−1−ブタノールを15.3g得た(収率70%、純度100%(GC面積百分率))。
H NMR (400MHz,CDCl)δ 0.83(t,3H),0.85(d,3H),0.87(d,3H),1.06(d,3H),1.33(q,2H),1.71(m,1H),2.75(br,1H),3.10(qd,1H),3.28(d,1H),3.33(s,3H),3.34(d,1H),3.38(d,1H),3.44)d,1H),3.58(s,2H).

(4)2,2−ビス(メトキシメチル)−2−(1,2−ジメチルプロポキシメチル)ブタンの合成
得られた2−(メトキシメチル)−2−(1,2−ジメチルプロポキシメチル)−1−ブタノール(10.0g,45.8mmol)を乾燥THF56mLに溶解した。別のフラスコに56mLのTHFを入れ、これにNaH(55wt%,2.60g,59.5mmol)を分散させた。この分散液に上記2−(メトキシメチル)−2−(1,2−ジメチルプロポキシメチル)−1−ブタノール溶液を0℃で滴下し、滴下完了後、室温下で1時間撹拌し、0℃に冷却下、ヨウ化メチル(8.6mL、137mmol)を滴下し、滴下完了後、室温下で3時間撹拌した。反応液を水洗しエーテル抽出物を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後溶媒を留去し、減圧蒸留(沸点:62−63℃/0.46kPa)により目的物を8.50g得た(収率79%、純度99%(GC面積百分率))。H NMR (400MHz,CDCl)δ 0.85(t,3H),0.86(d,3H),0.88(d,3H),1.03(d,3H),1.39(q,2H),1.67(m,1H),3.05(qd,1H),3.14(d,1H),3.25(m,4H),3.31(s,6H),3.32(d,1H).

【0314】
(II)プロピレン重合
(A)成分の使用量を9.34mgとしたこと、トリエーテル(C)として2,2−ビス(メトキシメチル)−2−(1,2−ジメチルプロポキシメチル)ブタンとしたこと以外は実施例1と同様の方法で重合を行った。重合結果を、表1に示す。
比較例4
【0315】
(I)トリエーテルの合成
1−メトキシ−2,2−ビス(メトキシメチル)−3,3−ジメチルブタンの合成
実施例5(2)で得られた2−ヒドロキシメチル−2−メトキシメチル−3,3−ジメチル−1−ブタノール(0.500g,2.84mmol)を乾燥THF2mLに溶解した。別のフラスコに2mLのTHFを入れ、これにNaH(55wt%,0.204g,8.51mmol)を分散させた。この分散液に上記2−ヒドロキシメチル−2−メトキシメチル−3−メチル−1−ブタノール溶液を0℃で滴下し、滴下完了後、室温下で1時間撹拌し、0℃に冷却下、ヨウ化メチル(0.71mL、11.4mmol)を滴下し、滴下完了後、室温下で1時間撹拌した。反応液を水洗しエーテル抽出物を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後溶媒を留去し、減圧蒸留(沸点:75−77℃/1.00kPa)により1−メトキシ−2,2−ビス(メトキシメチル)−3,3−ジメチルブタンを0.32g得た(収率54%、純度98%(GC面積百分率))。H NMR (400MHz,CDCl)δ 0.99(s,9H),3.28(s,9H),3.39(s,6H).

【0316】
(II)プロピレン重合
(A)成分の使用量を10.57mgとしたこと、トリエーテル(C)として1−メトキシ−2,2−ビス(メトキシメチル)−3,3−ジメチルブタンとしたこと以外は実施例1と同様の方法で重合を行った。重合結果を、表1に示す。
【0317】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)で表されるトリエーテル。

(I)
(式中、Rは、水素原子または炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基を表し、Rb、RおよびRは、それぞれ独立に、炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基、炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基で置換されたシリル基を表し、RおよびRは、それぞれ独立に、炭素原子数1〜5のハイドロカルビル基を表し、R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子または炭素原子数1〜5のハイドロカルビル基を表し、Eは、ケイ素原子、ゲルマニウム原子、または錫原子を表す。)
【請求項2】
一般式(I)において、Eがケイ素原子である請求項1に記載のトリエーテル。
【請求項3】
一般式(I)において、RおよびRが炭素原子数1〜5の直鎖状アルキル基である請求項1または2に記載のトリエーテル。
【請求項4】
一般式(I)において、R、R、R、R、RおよびRが水素原子である請求項1〜3のいずれかに記載のトリエーテル。
【請求項5】
下記成分(A)、(B)および(C)を接触させて得られるオレフィン重合用触媒。
(A)チタン原子、マグネシウム原子、およびハロゲン原子を含有するオレフィン重合用固体触媒成分
(B)有機アルミニウム化合物
(C)一般式(I)で表されるトリエーテル
【請求項6】
下記成分(A)、(B)、(C)および(D)を接触させて得られるオレフィン重合用触媒。
(A)チタン原子、マグネシウム原子、およびハロゲン原子を含有するオレフィン重合用固体触媒成分、
(B)有機アルミニウム化合物
(C)一般式(I)で表されるトリエーテル
(D)アルコキシケイ素化合物
【請求項7】
電子供与性化合物(b)が、アルコキシ基を有する脂肪族カルボン酸エステル、マロン酸ジエステル、コハク酸ジエステル、シクロヘキサンジカルボン酸ジエステル、フタル酸ジエステル、ドデカン二酸ジエステル、およびカルボナートからなる群から選ばれる化合物である、請求項5または6のいずれかに記載のオレフィン重合用触媒。
【請求項8】
オレフィン重合用固体触媒成分(A)が、チタン原子とマグネシウム原子とを含む固体成分(a)、電子供与性化合物(b)、および下式(vii)または(viii)で表されるハロゲン化金属化合物を接触させることにより得られることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載のオレフィン重合用触媒。
11p-b (vii)
(OR11p-b (viii)
(式中、Mは第4族、第13族または第14族原子を、R11は炭素原子数が1〜20のハイドロカルビル基を、Xはハロゲン原子を、pはMの原子価を表す。bは0<b≦pを満足する数を表す。)
【請求項9】
オレフィン重合用固体触媒成分(A)が、チタン原子とマグネシウム原子とを含む固体成分(a)、電子供与性化合物(b)、下式(vii)または(viii)で表されるハロゲン化金属化合物、および有機酸クロライド(e)を接触させることにより得られることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載のオレフィン重合用触媒。
11p-b (vii)
(OR11p-b (viii)
(式中、Mは第4族、第13族または第14族原子を、R11は炭素原子数が1〜20のハイドロカルビル基を、Xはハロゲン原子を、pはMの原子価を表す。bは0<b≦pを満足する数を表す。)
【請求項10】
固体成分(a)が、チタン原子、マグネシウム原子およびハイドロカルビルオキシ基を含有するオレフィン重合用固体触媒成分前駆体(a−1)である請求項8または9に記載のオレフィン重合用触媒。
【請求項11】
オレフィン重合用固体触媒成分前駆体(a−1)が、Si−O結合を有するケイ素化合物(a−1a)、一般式(iv)で表されるチタン化合物(a−1b)を、有機マグネシウム化合物(a−1c)で還元して得られる請求項10に記載のオレフィン重合用触媒。

(iv)
(ただし、上式(iv)において、nは1〜20の整数を表し、Rは炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基を表す。Xはハロゲン原子または炭素原子数1〜20のハイドロカルビルオキシ基を表し、Xは互いに同じであっても異なっていてもよい。)
【請求項12】
オレフィン重合用固体触媒成分(A)が、チタン化合物(c)、マグネシウム化合物(d)および電子供与性化合物(b)を接触させることにより得られることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載のオレフィン重合用触媒。
【請求項13】
オレフィン重合用固体触媒成分(A)が、チタン化合物(c)、マグネシウム化合物(d)、電子供与性化合物(b)および有機酸クロライド(e)を接触させることにより得られることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載のオレフィン重合用触媒。
【請求項14】
マグネシウム化合物(d)がジアルコキシマグネシウム(d−2)である請求項12または13に記載のオレフィン重合用触媒。
【請求項15】
マグネシウム化合物(d)がハロゲン化マグネシウム(d−1)である請求項12または13に記載のオレフィン重合用触媒。
【請求項16】
請求項5〜15のいずれかに記載のオレフィン重合用触媒の存在下にオレフィンを重合させる工程からなるオレフィン重合体の製造方法。
【請求項17】
オレフィンが、炭素原子数3〜20のα―オレフィンである請求項16記載のα―オレフィン重合体の製造方法。

【公開番号】特開2013−95768(P2013−95768A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236833(P2011−236833)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】