説明

トリガ信号発生装置

【課題】入力信号に同期し、ジッタの少ないトリガ信号を生成するトリガ信号発生装置を実現することにある。
【解決手段】入力される入力信号よりも低い周波数のトリガ信号を出力するトリガ信号発生装置に改良を加えたものである。本装置は、入力信号を分周する分周回路と、この分周回路で分周された信号を入力信号に同期させる同期化手段を有する同期化回路とを設けたことを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力される入力信号よりも低い周波数のトリガ信号を出力するトリガ信号発生装置に関し、詳しくは、入力信号に同期し、ジッタの少ないトリガ信号を生成するトリガ信号発生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トリガ信号発生装置は、被測定信号の状態変化を検出するためのトリガ信号(ストローブ信号とも呼ばれる)を生成するための回路であり、例えば、オシロスコープ等の波形測定装置のサンプリング回路に用いられる。詳細には、サンプリング回路内のサンプラ(アナログ信号の被測定信号等を標本化してデジタル信号に変換する回路)に、サンプリングを開始させるためのトリガ信号として用いられる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図7は、従来のトリガ信号発生装置の構成を示した図である(例えば、特許文献2参照)。図7において、入力端子Piは、入力信号(例えば、被測定信号に同期した所定の周期の信号)が入力される。可変利得増幅器10は、入力端子Piから入力信号が入力される。利得調整回路11は、可変利得増幅器10の出力側に接続され、可変利得増幅器10の増幅率を調整する。周波数検波回路12は、可変利得増幅器10の出力側に接続される。
【0004】
スイッチSW1は、1入力2出力型のスイッチであり、入力端が可変利得増幅器10の出力側に接続され、周波数検波回路12の指示によって、接続先を切り換える。整形回路12は、スイッチSW1の一方の出力端に接続される。分周回路14は、スイッチSW1の他方の出力端に接続される。
【0005】
スイッチSW2は、2入力1出力型のスイッチであり、一方の入力端が整形回路13の出力側に接続され、他方の入力端が分周回路14に接続され、出力端が出力端子Poに接続され、周波数検波回路12の指示によって、接続先を切り換える。出力端Poは、トリガ信号を出力するための端子である。
【0006】
このような装置の動作を説明する。
可変利得増幅器10が、入力端子Piに入力した入力信号を所定の振幅まで増幅し、増幅した信号を利得調整回路11、周波数検波回路12、スイッチSW1に出力する。そして、利得調整回路11が、増幅器10からの信号の振幅を測定し、所定の振幅となるように増幅器10の増幅率を調整する。
【0007】
また、周波数検波回路12が、増幅器10からの信号の周波数を検出し、入力信号の周波数が所定の周波数よりも低ければ、スイッチSW1,SW2を整形回路13側に接続させ、所定の周波数よりも高ければ、スイッチSW1,SW2を分周回路14側に接続させる。
【0008】
つまり、入力端子Piに入力した入力信号の周波数が、所定の周波数よりも低い場合、整形回路13が、スイッチSW1からの信号の周波数を変えることなく、波形整形を行なって、スイッチSW2を介して、出力端子Poに出力する。
【0009】
一方、入力端子Piに入力した入力信号の周波数が、所定の周波数よりも高い場合、分周回路14が、スイッチSW1からの信号の周波数を分周して、スイッチSW2を介して、出力端子Poに出力する。
【0010】
そして、整形回路13または分周回路14からの信号が、出力端子Poからトリガ信号として出力される。
【0011】
【特許文献1】米国特許6573761号
【特許文献2】特開昭64−79666号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
このように、周波数検波回路12が、入力信号の周波数によってスイッチSW1,SW2の接続を切り換えるので、周波数に応じて手動で回路13、14の選択をする必要が無く、測定の自動化を行なうことできる。なお、入力信号の周波数によって、回路13、14を選択するのは、被測定信号をサンプリングするサンプラの動作周波数に制限があるためであり、通常、数十[MHz]程度がサンプラの動作周波数の上限である。
【0013】
一方、近年のデータ通信は、データの伝送レートが数十[GHz/s]〜数百[GHz/s]になっており、トリガ信号発生装置が、高速な伝送レートのデータに同期した信号(例えば、被測定信号に同期したクロック信号)からトリガ信号を生成する場合、サンプラの動作周波数まで入力信号を分周する必要がある。
【0014】
分周回路14は、プリスケーラ、周波数ディバイダ、周波数カウンタ等の分周器と、これらを切り換えるスイッチに相当する回路によって構成される。そして、個々の分周器が分周できる範囲には限度があるため、入力信号の周波数が高くなるほど、分周器を複数段用いて所定の周波数まで分周している。分周器それぞれでジッタが発生するが、分周器の数が増えるほど、個々の分周器で発生するジッタが累積されてしまう。
【0015】
例えば、入力信号の周波数が50[GHz](つまり、1周期が20[ps])とした場合、入力信号自体に100〜200[fs]のジッタが含まれるのが一般的であるが、サンプラの動作速度に比べれて十分に無視できる。
【0016】
しかしながら、分周器を複数段にカスケード接続するほど、分周回路14で発生するジッタが無視できなくなり、50[GHz]の入力信号を10[MHz]程度にまで分周する場合、市販品の分周回路14では、約1[ps]程度のジッタが発生する。従って、サンプラが、図7に示すトリガ信号発生装置のトリガ信号を用いて被測定信号のサンプリングを行なうと、トリガ信号そのものにジッタが含まれているため、精度よく被測定信号のサンプリングを行なうことが困難であるという問題があった。
【0017】
そこで本発明の目的は、入力信号に同期し、ジッタの少ないトリガ信号を生成するトリガ信号発生装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
請求項1記載の発明は、
入力される入力信号よりも低い周波数のトリガ信号を出力するトリガ信号発生装置において、
入力信号を分周する分周回路と、
この分周回路で分周された信号を、前記入力信号に同期させる同期化手段を有する同期化回路と
を設けたことを特徴とするものである。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、
前記分周回路で分周された後の信号の周波数を検波し、前記分周回路の分周比を制御する周波数検波回路を設けたことを特徴とするものである。
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、
同期化手段は、D型のフリップフロップであり、前記分周された信号がデータ入力端子に入力され、前記入力信号がクロック入力端子に入力されることを特徴とするものである。
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、
同期化回路は、前記分周回路が分周した信号を遅延させて、前記同期化手段に出力する遅延手段を有することを特徴とするものである。
請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の発明において、
同期化回路は、前記分周信号を波形整形し、前記同期化手段に出力する波形整形手段を設けたことを特徴とするものである。
請求項6記載の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の発明において、
前記分周回路および前記同期化回路よりも前段に設けられ、前記入力信号の振幅を調整して出力する振幅調整部を設けたことを特徴とするものである。
請求項7記載の発明は、請求項1〜6のいずれかに記載の発明において、
波形測定装置のサンプラにサンプリングを開始させるためのトリガ信号を生成することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、以下のような効果がある。
請求項1〜7によれば、同期化回路が、分周回路で分周される前の高周波な入力信号を基準にして、分周回路で分周された信号の同期を図るので、分周回路で生じたジッタを除去したトリガ信号を生成することができる。これにより、入力信号に同期し、ジッタの少ないトリガ信号を生成できる。
請求項2によれば、周波数検波回路が、分周回路によって低周波に分周された信号によって周波数検波を行なうので、高周波な入力信号を検波する構成に比較して、技術的に容易に簡単な回路で構成でき、コストも低く抑えることができる。
請求項4によれば、遅延手段が、分周回路で分周された信号を、所定時間遅延させて同期化手段に出力するので、例えば、メタステーブルの発生を抑えることができ、波形品位のよいトリガ信号を出力することができる。
請求項5によれば、波形整形手段が、分周回路によって分周された信号の立ち上がりエッジ、立ち下がりエッジを高速化するので、例えば、メタステーブルの発生を抑えることができ、波形品位のよいトリガ信号を出力することができる。
請求項6によれば、振幅調整部が、入力信号の振幅を調整する。そして、振幅調整された入力信号が、分周回路、同期化回路に入力されるので、分周回路、同期化回路を最適かつ安定的に動作させることができる。これにより、分周回路、同期化回路で生ずるジッタを、より抑えることができる。従って、入力信号に同期し、ジッタの少ないトリガ信号を生成することができる。
請求項7によれば、ジッタの少ないトリガ信号によって波形測定装置が被測定信号のサンプリングを行なうので、被測定信号を精度よく測定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
[第1の実施例]
図1は、本発明の第1の実施例を示した構成図である。ここで、図7と同一のものには同一符号を付し、説明を省略する。図1において、分配器20は、入力端子Piから入力信号が入力され、入力信号を2分岐して出力する。分周回路21は、分配器20で分岐された一方の信号が入力され、入力された信号を分周して出力する。周波数検波回路22は、分周回路21で分周された信号が入力され、入力された信号の周波数を検波し、分周回路21の分周比を制御する。
【0021】
同期化回路23は、D型のフリップフロップ(以下、DFF(Delay flip−flop)と略す)23aを有し、分周回路21から分周された信号が入力されると共に、分配器20で分岐された他方の信号が入力され、分周回路21からの信号を、分配器20からの入力信号に同期を合わせて出力端子Poに出力する。
【0022】
DFF23aは、同期化手段であり、データ入力端子に分周回路21からの信号が入力され、クロック入力端子に分配器20からの信号が入力され、データ出力端子から出力端子Poにトリガ信号を出力する。
【0023】
このような装置の動作を説明する。
分配器20が、入力端子Piに入力した入力信号を同一の信号に2分岐し、一方の信号を分周回路21に出力し、他方の信号を同期化回路23のDFF23aのクロック入力端子に出力する。
【0024】
そして、分周回路21が、入力信号を低周波に分周して、分周した信号(以下、分周信号と略す)を周波数検波回路22、DFF23aのデータ入力端子に出力する。さらに、周波数検波回路22が、分周信号の周波数を検波し、所定の周波数かを確認し、所定の周波数に分周するための制御信号を分周回路21に出力する。
【0025】
なお、分周回路21は、単一または複数個の分周器(プリスケーラ、周波数ディバイダ、周波数カウンタ等)と各分周器を切り換えるスイッチに相当する回路から構成され、制御信号に従って、整数分周、必要に応じて分数分周等によって所望の分周比となる分周器または分周器の組み合わせを選択する。また、周波数検波回路22は、アナログ演算器やデジタル論理回路などのハードウェアで構成してもよく、CPUやDSP等によって実行されるソフトウェアでもよく、自動的に周波数の検波および分周回路21の制御を行なうことにより、サンプリングオシロスコープ等における測定の自動化・省力化が図れる。
【0026】
一方、DFF23aが、低周波な分周信号を、分配器20から入力される高周波な入力信号に同期させてデータ出力端子から出力端子Poに出力する。なお、高周波な入力信号とは、分周信号の周波数に対してである。そして、出力端子Poからトリガ信号として、例えば、サンプラに出力される。
【0027】
続いて、入力信号の周波数を50[GHz]とし、分周回路21で分周後の周波数を10[MHz]とした一例で説明する。また、図2は、図1に示す回路のタイミングを示した図であり、図2(a)は、分周信号の1周期分を図示し、図2(b)は、図2(a)の一部(分周信号の立ち上がり部分)を拡大した図である。また、図2(a),(b)共に、上段から、分配器20から出力される入力信号、分周回路21から出力される分周信号、同期化回路23から出力されるトリガ信号の波形を示し、横軸は時間であり、縦軸はレベルである。また、DFF23aが、クロック入力端子に入力される信号の立ち上がりエッジを検出して、データを更新するものとする。
【0028】
図2(a)に示すように、分周信号には、分周回路21で生じたジッタによって、分周信号の1周期は、0.1[μs]+(分周回路で生じるジッタ)となる。一方、DFF23aが、分配器20からの入力信号、つまり、分周回路21のジッタを含まない信号によって同期を図るので、トリガ信号には、分周回路21によるジッタが除去されている。
【0029】
このように、同期化回路23のDFF23aが、分周回路21で分周される前の高周波な入力信号を基準にして、分周回路21の分周信号の同期を図るので、分周回路21で生じたジッタを除去したトリガ信号を生成することができる。これにより、入力信号に同期し、ジッタの少ないトリガ信号を生成でき、波形測定装置等において、精度よく被測定信号のサンプリングを行なうことができる。
【0030】
なお、DFF23a自体でもジッタが発生するが、DFF23aで発生するジッタは、一般的にDFF23aのクロック信号として動作する入力信号の周波数(例えば、50[GHz](周期で20[ps]))よりも数桁小さいことから、十分に無視でき、トリガ信号に含まれるジッタは、入力信号に元々含まれていたジッタと同程度とみなせる。
【0031】
また、周波数検波回路22が、分周回路21からの低周波に分周された信号によって周波数検波を行なうので、図7に示すように、高周波な入力信号を検波する構成に比較して、技術的に容易に簡単な回路で構成でき、コストも低く抑えることができる。
【0032】
[第2の実施例]
図3は、本発明の第2の実施例を示した構成図である。ここで、図1と同一のものには同一符号を付し、説明を省略すると共に、同期化回路23以外の図示も省略する。図3において、同期化回路23に、可変遅延手段23bが新たに設けられる。可変遅延手段23bは、分周回路21とDFF23aのデータ入力端子との間に設けられ、分周回路21からの分周信号を所定時間だけ遅延させて、DFF23aのデータ入力端子に出力する。
【0033】
このような装置の動作を説明する。図4は、図3に示す装置の動作を示したタイミングチャートである。ここで、図2(b)と同一のものは説明を省略する。上段から、入力信号、分周回路21が出力する”遅延前の分周信号”、可変遅延手段23bが出力する”遅延させた分周信号”である。
【0034】
分周回路21では遅延が生じるが、選択される分周器の組み合わせによっては、図4に示すように、分周信号の立ち上がりエッジ、立ち下がりエッジ(図示せず)が、DFF23aのクロック入力端子への信号の立ち上がりエッジと重なり、DFF23aのデータ出力が不安定な状態、いわゆるメタステーブル(meta−stable)になる場合がある。
【0035】
そこで、可変遅延手段23bが、分周回路21からの分周信号を所定の時間Δτだけ遅延させて(図4参照)、DFF23aに分周信号を出力する。その他の動作は、図1に示す装置と同様なので説明を省略する。
【0036】
なお、遅延手段23bは、複数の固定遅延素子の組み合わせを電気的にスイッチしたり、機械的な制御によって遅延量を変化させる等するとよい。
【0037】
このように、遅延手段23bが、分周回路21からの分周信号を、所定時間Δτ遅延させてDFF23aに出力するので、メタステーブルの発生を抑えることができ、波形品位のよいトリガ信号を出力することができる。
【0038】
[第3の実施例]
図5は、本発明の第3の実施例を示した構成図である。ここで、図3と同一のものには同一符号を付し、説明を省略すると共に、同期化回路23以外の図示も省略する。図5において、同期化回路23に、波形整形手段23cが新たに設けられる。波形整形手段23cは、分周回路21と可変遅延手段23bとの間に設けられ、分周回路21からの分周信号を波形整形して、遅延手段23bに出力する。
【0039】
このような装置の動作を説明する。分周回路21では遅延が生じるが、さらに、波形が劣化し、立ち上がりエッジ、立ち下がりエッジがなまる(つまり、ローレベルからハイレベルへの立ち上がり時間、ハイレベルからローレベルへのたち下がり時間が長くなる)と、DFF23aのクロック入力端子への信号の立ち上がりエッジと重なりやすくなり、DFF23aのデータ出力が不安定な状態、いわゆるメタステーブルになる場合がある。
【0040】
そこで、波形整形手段23cが、分周回路21からの分周信号の波形整形を行ない、立ち上がりエッジ、立ち下がりエッジを高速化(つまり、立ち上がり時間、立ち下がり時間を短時間化)し、遅延手段23b出力する。その他の動作は、図3に示す装置と同様なので説明を省略する。
【0041】
なお、波形整形手段23cは、例えば、ラッチ回路、シュミットトリガ等を用いるとよい。または、第2の可変遅延手段と第2のDFFを直列に接続したものでもよい。この場合、第2のDFFのデータ入力端子に第2の可変遅延手段を経た分周信号を入力し、クロック入力端子に分配器20からの入力信号を入力し、データ出力端子からの信号を、遅延手段23bに出力する。いわゆる、シンクロナイザをカスケード構成にして安定した同期を図ってもよい。
【0042】
このように、波形整形手段23cが、分周回路21からの分周信号の立ち上がりエッジ、立ち下がりエッジを高速化するので、メタステーブルの発生を抑えることができ、波形品位のよいトリガ信号を出力することができる。
【0043】
[第4の実施例]
図6は、本発明の第4の実施例を示した構成図である。ここで、図1、図3、図5と同一のものには同一符号を付し、説明を省略する。図6において、入力端子Piと分配器20の間に振幅調整部24が、新たに設けられる。
【0044】
振幅調整部24は、可変利得増幅器24a、利得調整回路24bを有し、入力端子Piからの入力信号の振幅を、所定の振幅まで増幅または減衰して、分配器20に出力する。可変利得増幅器24aは、入力端子Piから入力信号が入力される。利得調整回路24bは、可変利得増幅器24aの出力側に接続され、可変利得増幅器24aの増幅率を調整する。
【0045】
このような装置の動作を説明する。
可変利得増幅器24aが、入力端子Piに入力した入力信号を所定の振幅まで増幅または減衰し、振幅調整した入力信号を利得調整回路24b、分配器20に出力する。そして、利得調整回路24bが、増幅器24aからの信号の振幅を測定し、所定の振幅となるように増幅器24aの増幅率や減衰率を調整する。なお、所定の振幅とは、分配器20以降の回路21〜23が正常に動作すると共に、トリガ信号のジッタが最も低減される振幅である。
【0046】
つまり、数十[GHz]以上の高周波信号を取り扱う場合、回路20〜23は、ガリウム砒素やインジウムリン等の化合物半導体を用いて製作されることが多いが、回路20〜23が正常に動作するのに必要な信号の振幅範囲が存在し、特に回路21、23で生ずるジッタは、入力される信号の振幅に影響され易いからである。なお、その他の動作は、図1、図3、図5に示す装置と同様なので説明を省略する。
【0047】
このように、振幅調整部24が、入力端子Piからの入力信号の振幅を調整し、分配器20に出力するので、分周回路21、同期化回路23を最適かつ安定的に動作させることができる。これにより、分周回路21、同期化回路23で生ずるジッタを、より抑えることができる。従って、入力信号に同期し、ジッタの少ないトリガ信号を生成することができる。
【0048】
なお、本発明はこれに限定されるものではなく、以下に示すようなものでもよい。
図1、図3、図5、図6に示す装置において、被測定信号に同期した信号(例えば、クロック信号)を入力信号にする構成を示したが、被測定信号からクロック信号を再生するCDR(clock and data recovery)を設け、このCDRで再生したクロック信号を入力信号にしてもよく、または、所定の周波数の繰り返し信号を入力信号としてもよい。
【0049】
図1、図3、図5、図6に示す装置において、サンプリングオシロスコープのサンプラのトリガ信号(ストローブ信号)に用いられる例を挙げたが、サンプリングオシロスコープに限らず、その他の波形測定装置(例えば、リアルタイムのデジタルオシロスコープ等)や時間測定装置、カウンタ等の測定装置のサンプラに用いてもよい。このように、ジッタの少ないトリガ信号によって測定装置が被測定信号のサンプリングを行なうので、被測定信号を精度よく測定することができる。
【0050】
図1、図3、図5、図6に示す装置において、周波数検波回路22が、分周回路21からの低周波に分周された信号によって周波数検波を行なう構成を示したが、同期化回路23から出力されるトリガ信号によって、周波数検波を行ってもよい。このように周波数検波回路22が、ジッタの少ないトリガ信号から周波数検波を行うので、分周回路21の分周比の制御を精度よく行なうことができる。
【0051】
図1、図3、図5、図6に示す装置において、周波数検波回路22を設ける構成を示したが、例えば、入力信号の周波数が既知であれば、周波数検波回路22を設けなくともよい。
【0052】
図1、図3、図5、図6に示す装置において、入力信号の周波数を50[GHz]、分周回路21で分周された信号の周波数を10[MHz]とする一例で説明したが、入力信号、分周信号の周波数はいくつでもよい。
【0053】
図3、図5、図6に示す装置において、遅延手段23bが、分周回路21からの分周信号を遅延させる構成を示したが、分配器20とDFF23aのクロック入力端子との間に設け、DFF23aへのクロック入力端子への信号を遅延させてもよい。
【0054】
図3、図5、図6に示す装置において、可変遅延手段23bが、所定時間Δτ、分周信号を遅延させる構成を示したが、周波数検波回路22が検波した周波数を参照し、図示しない記憶部に予め記憶させておく周波数と遅延時間のテーブルを読み出し、読み出したテーブルを参照して、遅延時間を決定するとよい。
【0055】
図3、図5、図6に示す装置において、可変遅延手段23bが、遅延時間Δτを可変とする構成を示したが、遅延時間が固定の固定遅延手段を用いていもよい。
【0056】
図5、図6に示す装置において、分周信号21の分周信号を、波形整形手段23cが波形整形して可変遅延手段23bに出力する構成を示したが、遅延手段23bを設けず、波形整形した分周信号をDFF23aに出力してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の第1の実施例を示した構成図である。
【図2】図1に示す装置のタイミング図である。
【図3】本発明の第2の実施例を示した構成図である。
【図4】図3に示す装置のタイミング図である。
【図5】本発明の第3の実施例を示した構成図である。
【図6】本発明の第4の実施例を示した構成図である。
【図7】従来のトリガ信号発生装置の構成を示した図である。
【符号の説明】
【0058】
21 分周回路
22 周波数検波回路
23 同期化回路
23a DFF
23b 遅延手段
23c 波形整形手段
24 振幅調整部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力される入力信号よりも低い周波数のトリガ信号を出力するトリガ信号発生装置において、
入力信号を分周する分周回路と、
この分周回路で分周された信号を、前記入力信号に同期させる同期化手段を有する同期化回路と
を設けたことを特徴とするトリガ信号発生装置。
【請求項2】
前記分周回路で分周された後の信号の周波数を検波し、前記分周回路の分周比を制御する周波数検波回路を設けたことを特徴とする請求項1記載のトリガ信号装置。
【請求項3】
同期化手段は、D型のフリップフロップであり、前記分周された信号がデータ入力端子に入力され、前記入力信号がクロック入力端子に入力されることを特徴とする請求項1または2記載のトリガ信号発生装置。
【請求項4】
同期化回路は、前記分周回路が分周した信号を遅延させて、前記同期化手段に出力する遅延手段を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のトリガ信号発生装置。
【請求項5】
同期化回路は、前記分周信号を波形整形し、前記同期化手段に出力する波形整形手段を設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のトリガ信号発生装置。
【請求項6】
前記分周回路および前記同期化回路よりも前段に設けられ、前記入力信号の振幅を調整して出力する振幅調整部を設けたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のトリガ信号発生回路。
【請求項7】
波形測定装置のサンプラにサンプリングを開始させるためのトリガ信号を生成することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のトリガ信号発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−113954(P2007−113954A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−303341(P2005−303341)
【出願日】平成17年10月18日(2005.10.18)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】