説明

トロイダルコイル、ボビンコイルおよび空芯コイル並びにその巻回方法

【課題】
面対向型のトロイダルコイルのコアのコイル巻線部に露出部分を形成することなく、コイル巻線部全体に平角線を整列させることができるトロイダルコイルおよびその巻回方法、トロイダルコイルを構成する部品としてのボビンコイルおよび空芯コイル並びにその巻回方法を提供する。
【解決手段】
本発明のトロイダルコイルのコアの外径と内径との比は2:1に設定されている。コイル巻線構造体4aは、コアの内径円弧部及び二つの平面部の対応部分で平角線4が2層となるように配設され、内径円弧部の対応部分で2層の平角線4が円弧方向に整列し、外径円弧部の対応部分で1層の平角線4が円弧方向に整列している。外径円弧部と内径円弧部との対応部分における円弧方向の長さの比は2:1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、風力発電装置等の発電機または面対向型の扁平モータ等のモータに用いられるトロイダルコイル、このトロイダルコイルを構成するボビンコイルおよび空芯コイル、並びに、その巻回方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のトロイダルコイルとしては、例えば、トロイダル状のステータコアにコイル巻線として断面矩形状の平角線をポロイダル方向(放射方向)に巻回し、トロイダル方向(周方向)に整列させたものが知られている。特許文献1および2は、均一な磁場を得るための巻回方法に関するものであり、これらには、三相交流サーボモータのステータに用いられるトロイダルコイルが示されている(いずれの文献においても図1、図2および図4参照)。このトロイダルコイルのステータコアは、その内外径の比が比較的小さいタイプであり、外周面部と、ロータを収容する中心穴の内周面部と、この内周面部と外周面部を連絡する二つの平面部を有している。このコアには、その中心を基準として一定の角度範囲で画定された複数のコイル巻線部が形成されている。このコイル巻線部では、その外径円弧部と内径円弧部との円弧方向の長さがほぼ同一に近い。このような構成のコアのコイル巻線部に平角線を均一の層数で巻回する場合には、当該コイル巻線部の一部が露出することなく、コイル巻線部全体に均等の厚さで平角線を整列させることができる(図4参照)。
【0003】
また、特許文献3は、磁束を最大にするためのセグメント状コイルアレイに関するものであり、この文献には、上記トロイダルコイルとは別タイプのステータコアを用いた面対向型のトロイダルコイルが示されている(図3〜図5参照)。このタイプのコアは、その内外径の比が比較的大きいタイプである。このコアの一方の平面部には、扇形状の外形となるように巻かれた三つの巻回コイルを入れ子状に重ね合わせたセグメントがトロイダル方向に沿ってアレイ状に配設されている。
【0004】
さらに、特許文献4は、磁束密度の均一化により安定的な磁場を得るための整列巻きコイルに関するものであり、この文献には、内外径の比が比較的大きいトロイダル状のロータコアに鞍型状の整列巻きコイルをトロイダル方向に沿ってアレイ状に配設したトロイダルコイルが示されている(図1、図15および図16参照)。鞍型状の整列巻きコイルは、図1に示されているように、断面矩形状の平角線を角筒状に巻回しながら、鞍型状に形成したものである。
【0005】
しかしながら、これらの技術は、トロイダルコイルの巻回方法に関するものであるが、いずれの技術にも、面対向型のトロイダルコアに平角線をポロイダル方向に巻回する方法が開示されていない。
【0006】
【特許文献1】特許第3167679号公報
【特許文献2】特許第3568450号公報
【特許文献3】特公2000−511399号公報
【特許文献4】特開2005−348461号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のトロイダルコイルの巻回方法では、次のような課題があった。
特許文献3および4に開示された面対向型のトロイダルコイルのコアに、特許文献1および2に開示されたようなコイル巻線部を設定する場合には、コアの内外径の比に応じて、外径円弧部と内径円弧部との円弧方向の寸法差が大きくなる。このため、コイル巻線部の外径円弧部および内径円弧部を経由してポロイダル方向に平角線を巻回して平角線を整列させる際に、特許文献1および2に開示されたコイルの巻回方法を適用しても、該巻回方法が均一の層数で平角線を積層させる方法であるため、コイル巻線部の一部が露出することなく、コイル巻線部全体に平角線を整列させることはできない。
すなわち、外径円弧部でその円弧方向に平角線を整列させて均一の層数で平角線を積層させようとしても、内径円弧部の円弧方向の寸法が外径円弧部よりも小さいため、平角線を巻回できないコイル巻線部の露出部分が生じる。逆に、内径円弧部でその円弧方向に平角線を整列させて均一の層数で平角線を積層させようとしても、外径円弧部側へ向かうほど、平角線が互い離間していくため、離間した平角線間には、やはりコイル巻線部が部分的に露出する。このような露出部分がコイル巻線部に形成されると、このコイル巻線部の外径円弧部と内径円弧部とを連絡する平面部を貫通する磁界の磁束密度が不均一となり、面対向型のトロイダルコイル全体の磁界が安定しない。このように磁界が不安定な面対向型のトロイダルコイルに通電すると、コイル電流にリップルやコギングが生じ、また、高周波電流を通電すると、コイル面に表面効果(スキンエフェクト)が生じる。このトロイダルコイルを用いたモータ等では、その不安定な磁界の影響により、安定的なトルクを得ることができず、モータ性能を低減させることになる。
【0008】
従って、従来のコイルの巻回方法により面対向型のトロイダルコアに平角線をポロイダル方向に巻回しようとしても、コイル巻線部に露出部分を形成することなく、コイル巻線部全体に平角線を整列させることは容易ではない。この点は、面対向型のトロイダルコイルを構成する部品として使用可能なボビンコイルや空芯コイルについても同様である。
【0009】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、面対向型のトロイダルコイルのコアのコイル巻線部に露出部分を形成することなく、コイル巻線部全体に平角線を整列させることができるトロイダルコイルおよびその巻回方法、トロイダルコイルを構成する部品としてのボビンコイルおよび空芯コイル並びにその巻回方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るトロイダルコイルは、トロイダルコアに平角線を巻回してなるトロイダルコイルにおいて、前記トロイダルコアは、その外径と内径との比が2:1に設定されており、前記トロイダルコアは、その中心を基準として一定の角度範囲で画定された複数のコイル巻線部を有しており、該各コイル巻線部は、円弧方向の長さの比が2:1に設定された外径円弧部および内径円弧部と、該内径円弧部と前記外径円弧部を連絡する扇状の第1平面部および第2平面部を有しており、
前記コイル巻線部内の前記内径円弧部、前記第1平面部、前記外径円弧部および前記第2平面部を経由してポロイダル方向に前記平角線を巻回する際に、前記内径円弧部、前記第1平面部および前記第2平面部の上には平角線が2n層(nは整数である)となるように配設され、前記内径円弧部上に配設された2n層の平角線が前記円弧方向に整列するとともに、前記外径円弧部の上にはn層の平角線が前記円弧方向に整列するように構成したことを特徴とするものである。
【0011】
本発明に係るトロイダルコイルの巻回方法は、トロイダルコアに平角線を巻回してなるトロイダルコイルの巻回方法において、前記トロイダルコアは、その外径と内径との比が2:1に設定されており、前記トロイダルコアは、その中心を基準として一定の角度範囲で画定された複数のコイル巻線部を有しており、該各コイル巻線部は、円弧方向の長さの比が2:1に設定された外径円弧部および内径円弧部と、該内径円弧部と前記外径円弧部を連絡する扇状の第1平面部および第2平面部を有しており、
前記各コイル巻線部内の前記内径円弧部、前記第1平面部、前記外径円弧部および前記第2平面部を経由してポロイダル方向に前記平角線を巻回する際に、前記コイル巻線部内の円弧方向の一端側から前記平角線を巻き始めて他端側まで1層目の平角線を配設する第1のステップと、前記コイル巻線部内の前記他端側から前記一端側へ前記平角線を配設する第2のステップと、巻き終わりの平角線を配設する第3のステップを含み、
前記第1のステップは、前記内径円弧部では前記平角線を隣接させた状態で配設し、前記外径円弧部では前記平角線を該平角線の横寸法に相当する寸法の間隙をもって離間する位置に配設するものであり、
前記第2のステップは、前記内径円弧部では前記第1のステップにより配設された前記平角線上に2層目の平角線を積層し、前記外径円弧部では前記平角線を前記第1のステップにより配設された前記平角線間に1層目の平角線を配設するものであり、
前記第3のステップは、前記第1のステップにより配設された巻き始めの前記平角線に隣接した位置に巻き終わりの前記平角線を配設するものであり、
前記第1のステップ、前記第2のステップおよび前記第3のステップをn回(nは整数である)、実施することにより、前記内径円弧部、前記第1平面部および前記第2平面部の上には平角線が2n層となるように配設され、前記内径円弧部上に配設された2n層の平角線が前記円弧方向に整列するとともに、前記外径円弧部の上にはn層の平角線が前記円弧方向に整列するように構成したことを特徴とするものである。
【0012】
本発明に係るボビンコイルは、ボビンコアに平角線を巻回してなるボビンコイルにおいて、前記ボビンコアは、円弧方向の長さの比が2:1に設定された外径円弧部および内径円弧部と、該内径円弧部と前記外径円弧部を連絡する扇状の第1平面部および第2平面部を有するコイル巻線部を備えており、
前記コイル巻線部内の前記内径円弧部、前記第1平面部、前記外径円弧部および前記第2平面部を経由して前記平角線を巻回する際に、前記内径円弧部、前記第1平面部および前記第2平面部の上には平角線が2n層(nは整数である)となるように配設され、前記内径円弧部上に配設された2n層の平角線が前記円弧方向に整列するとともに、前記外径円弧部の上にはn層の平角線が前記円弧方向に整列するように構成したことを特徴とするものである。
【0013】
本発明に係るボビンコイルの巻回方法は、ボビンコアに平角線を巻回してなるボビンコイルの巻回方法において、前記ボビンコアは、円弧方向の長さの比が2:1に設定された外径円弧部および内径円弧部と、該内径円弧部と前記外径円弧部を連絡する扇状の第1平面部および第2平面部を有するコイル巻線部を備えており、
前記コイル巻線部内の前記内径円弧部、前記第1平面部、前記外径円弧部および前記第2平面部を経由して前記平角線を巻回する際に、前記コイル巻線部内の円弧方向の一端側から前記平角線を巻き始めて他端側まで1層目の平角線を配設する第1のステップと、前記コイル巻線部内の前記他端側から前記一端側へ前記平角線を配設する第2のステップと、巻き終わりの平角線を配設する第3のステップを含み、
前記第1のステップは、前記内径円弧部では前記平角線を隣接させた状態で配設し、前記外径円弧部では前記平角線を該平角線の横寸法に相当する寸法の間隙をもって離間する位置に配設するものであり、
前記第2のステップは、前記内径円弧部では前記第1のステップにより配設された前記平角線上に2層目の平角線を積層し、前記外径円弧部では前記平角線を前記第1のステップにより配設された前記平角線間に1層目の平角線を配設するものであり、
前記第3のステップは、前記第1のステップにより配設された巻き始めの前記平角線に隣接した位置に巻き終わりの前記平角線を配設するものであり、
前記第1のステップ、前記第2のステップおよび前記第3のステップをn回(nは整数である)、実施することにより、前記内径円弧部、前記第1平面部および前記第2平面部の上には平角線が2n層となるように配設され、前記内径円弧部上に配設された2n層の平角線が前記円弧方向に整列するとともに、前記外径円弧部の上にはn層の平角線が前記円弧方向に整列するように構成したことを特徴とするものである。
【0014】
本発明に係る空芯コイルは、平角線を巻回してなる空芯コイルにおいて、前記平角線の巻回後に取り除かれるコアが、円弧方向の長さの比が2:1に設定された外径円弧部および内径円弧部と、該内径円弧部と前記外径円弧部とを連絡する扇状の第1平面部および第2平面部を有するコイル巻線部を備えており、
前記コアの前記内径円弧部、前記第1平面部および前記第2平面部に対応する平角線部分では平角線が2n層(nは整数である)となるように配設され、前記内径円弧部に対応する平角線部分では2n層の平角線が前記円弧方向に整列し、前記外径円弧部に対応する平角線部分ではn層の平角線が前記円弧方向に整列するとともに、前記外径円弧部と前記内径円弧部とにそれぞれ対応する平角線部分の円弧方向の長さの比が2:1に設定されるように構成したことを特徴とするものである。
【0015】
本発明に係る空芯コイルの巻回方法は、平角線を巻回してなる空芯コイルの巻回方法において、前記平角線の巻回後に取り除かれるコアが、円弧方向の長さの比が2:1に設定された外径円弧部および内径円弧部と、該内径円弧部と前記外径円弧部とを連絡する扇状の第1平面部および第2平面部を有するコイル巻線部を備えており、
前記コイル巻線部内の前記内径円弧部、前記第1平面部、前記外径円弧部および前記第2平面部を経由して前記平角線を巻回する際に、前記コイル巻線部内の円弧方向の一端側から前記平角線を巻き始めて他端側まで1層目の平角線を配設する第1のステップと、前記コイル巻線部内の前記他端側から前記一端側へ前記平角線を配設する第2のステップと、巻き終わりの平角線を配設する第3のステップを含み、
前記第1のステップは、前記内径円弧部では前記平角線を隣接させた状態で配設し、前記外径円弧部では前記平角線を該平角線の横寸法に相当する寸法の間隙をもって離間する位置に配設するものであり、
前記第2のステップは、前記内径円弧部では前記第1のステップにより配設された前記平角線上に2層目の平角線を積層し、前記外径円弧部では前記平角線を前記第1のステップにより配設された前記平角線間に1層目の平角線を配設するものであり、
前記第3のステップは、前記第1のステップにより配設された巻き始めの前記平角線に隣接した位置に巻き終わりの前記平角線を配設するものであり、
前記第1のステップ、前記第2のステップおよび前記第3のステップをn回(nは整数である)、実施することにより、前記コアの前記内径円弧部、前記第1平面部および前記第2平面部に対応する平角線部分では平角線が2n層となるように配設され、前記内径円弧部に対応する平角線部分では2n層の平角線が前記円弧方向に整列し、前記外径円弧部に対応する平角線部分ではn層の平角線が前記円弧方向に整列するとともに、前記外径円弧部と前記内径円弧部とにそれぞれ対応する平角線部分の円弧方向の長さの比が2:1に設定されるように構成したことを特徴とするものである。
【0016】
本発明に係るトロイダルコイルは、前記ボビンコイルを複数個、トロイダル状に連結してなることを特徴とするものである。
【0017】
本発明に係るトロイダルコイルは、前記空芯コイルを複数個、トロイダル状に連結してなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るトロイダルコイルによれば、外径と内径との比を2:1に設定して外径円弧部と内径円弧部との円弧方向の長さの比を2:1に設定したトロイダルコアのコイル巻線部内の内径円弧部、第1平面部および第2平面部の上には平角線が2n層(nは整数である)となるように配設され、内径円弧部上に配設された2n層の平角線が円弧方向に整列するとともに、外径円弧部の上にはn層の平角線が円弧方向に整列するように構成したことにより、コイル巻線部に露出部分を形成することなく、コイル巻線部全体に平角線を整列させることができるので、例えば、リップル、コギングおよび表面効果等を抑制し、かつ、第1平面部および第2平面部を貫通してロータのトルクに寄与する磁界の磁束密度を均一化することができる。これにより、トロイダルコイル全体の磁界を安定させることができるので、このトロイダルコイルを用いたモータ等をスムーズに回転させ、かつ、モータ等の高周波性能を向上させることができる。
【0019】
本発明に係るトロイダルコイルの巻回方法によれば、外径と内径との比を2:1に設定して外径円弧部と内径円弧部との円弧方向の長さの比を2:1に設定したトロイダルコアのコイル巻線部内の円弧方向の一端側から平角線を巻き始めて他端側まで1層目の平角線を配設する第1のステップと、コイル巻線部内の他端側から一端側へ平角線を配設する第2のステップと、巻き終わりの平角線を配設する第3のステップをn回(nは整数である)、実施することにより、内径円弧部、第1平面部および第2平面部の上には平角線が2n層となるように配設され、内径円弧部上に配設された2n層の平角線が円弧方向に整列するとともに、外径円弧部の上にはn層の平角線が円弧方向に整列するように構成したことで、コイル巻線部に露出部分を形成することなく、コイル巻線部全体に平角線を整列させることができるので、例えば、リップル、コギングおよび表面効果等を抑制し、かつ、第1平面部および第2平面部を貫通してロータのトルクに寄与する磁界の磁束密度を均一化したトロイダルコイルを得ることができる。また、この巻回方法によれば、コイル巻線部内の円弧方向の一端側と他端側とをn回、往復する間に、平角線をコイル巻線部内に上述のように整列させて巻回することができるので、トロイダルコイルを容易に得ることができる。
【0020】
本発明に係るボビンコイルによれば、外径円弧部と内径円弧部との円弧方向の長さの比を2:1に設定したボビンコアのコイル巻線部内の内径円弧部、第1平面部および第2平面部の上には平角線が2n層(nは整数である)となるように配設され、内径円弧部上に配設された2n層の平角線が円弧方向に整列するとともに、外径円弧部の上にはn層の平角線が円弧方向に整列するように構成したことにより、コイル巻線部に露出部分を形成することなく、コイル巻線部全体に平角線を整列させることができるので、例えば、リップル、コギングおよび表面効果等を抑制することができる。当該ボビンコイルを連結して構成されたトロイダルコイルの各コイル巻線部の第1平面部および第2平面部を貫通してロータのトルクに寄与する磁界の磁束密度を均一化することができる。これにより、当該トロイダルコイル全体の磁界を安定させることができるので、このトロイダルコイルを用いたモータ等をスムーズに回転させ、かつ、モータ等の高周波性能を向上させることができる。
【0021】
本発明に係るボビンコイルの巻回方法によれば、外径円弧部と内径円弧部との円弧方向の長さの比を2:1に設定したボビンコアのコイル巻線部内の円弧方向の一端側から平角線を巻き始めて他端側まで1層目の平角線を配設する第1のステップと、コイル巻線部内の他端側から一端側へ平角線を配設する第2のステップと、巻き終わりの平角線を配設する第3のステップをn回、実施することにより、内径円弧部、第1平面部および第2平面部の上には平角線が2n層となるように配設され、内径円弧部上に配設された2n層の平角線が円弧方向に整列するとともに、外径円弧部の上にはn層の平角線が円弧方向に整列するように構成したことで、コイル巻線部に露出部分を形成することなく、コイル巻線部全体に平角線を整列させることができるので、例えば、リップル、コギングおよび表面効果等を抑制し、かつ、第1平面部および第2平面部を貫通する磁界の磁束密度を均一化したボビンコイルを得ることができる。また、この巻回方法によれば、コイル巻線部内の円弧方向の一端側と他端側とをn回、往復する間に、平角線をコイル巻線部内に上述のように整列させて巻回することができるので、ボビンコイルを容易に得ることができる。
【0022】
本発明に係る空芯コイルによれば、外径円弧部と内径円弧部との円弧方向の長さの比を2:1に設定し、かつ、平角線の巻回後に取り除かれるコアの内径円弧部、第1平面部および第2平面部に対応する平角線部分では平角線が2n層(nは整数である)となるように配設され、内径円弧部に対応する平角線部分では2n層の平角線が円弧方向に整列し、外径円弧部に対応する平角線部分ではn層の平角線が円弧方向に整列するとともに、外径円弧部と内径円弧部とにそれぞれ対応する平角線部分の円弧方向の長さの比が2:1に設定されるように構成したことにより、コアのコイル巻線部に露出部分を形成することなく、当該コイル巻線部全体に平角線を整列させることができるので、例えば、リップル、コギングおよび表面効果等を抑制することができる。当該空芯コイルを連結して構成されたトロイダルコイルの各コイル巻線部の第1平面部および第2平面部を貫通してロータのトルクに寄与する磁界の磁束密度を均一化することができる。これにより、当該トロイダルコイル全体の磁界を安定させることができるので、このトロイダルコイルを用いたモータ等をスムーズに回転させ、かつ、モータ等の高周波性能を向上させることができる。
【0023】
本発明に係る空芯コイルの巻回方法によれば、外径円弧部と内径円弧部との円弧方向の長さの比を2:1に設定し、かつ、平角線の巻回後に取り除かれるコアのコイル巻線部内の円弧方向の一端側から平角線を巻き始めて他端側まで1層目の平角線を配設する第1のステップと、コイル巻線部内の他端側から一端側へ平角線を配設する第2のステップと、巻き終わりの平角線を配設する第3のステップをn回、実施することにより、コアの内径円弧部、第1平面部および第2平面部に対応する平角線部分では平角線が2n層となるように配設され、内径円弧部に対応する平角線部分では2n層の平角線が円弧方向に整列し、外径円弧部に対応する平角線部分ではn層の平角線が円弧方向に整列するとともに、外径円弧部と内径円弧部とにそれぞれ対応する平角線部分の円弧方向の長さの比が2:1に設定されるように構成したことにより、コアのコイル巻線部に露出部分を形成することなく、当該コアのコイル巻線部全体に平角線を整列させることができるので、例えば、リップル、コギングおよび表面効果等を抑制し、かつ、コアの第1平面部および第2平面部に対応する平角線部分を貫通する磁界の磁束密度を均一化した空芯コイルを得ることができる。また、この巻回方法によれば、コイル巻線部内の円弧方向の一端側と他端側とをn回、往復する間に、平角線をコアのコイル巻線部内に上述のように整列させて巻回することができるので、空芯コイルを容易に得ることができる。
【0024】
本発明に係るトロイダルコイルによれば、コアのコイル巻線部に露出部分を形成することなく、当該コアのコイル巻線部全体に平角線を整列させて第1平面部および第2平面部を貫通する磁界の磁束密度を均一化した上記ボビンコイルを複数個、トロイダル状に連結するように構成したことにより、得られたトロイダルコイル全体の磁界を安定させることができるので、このトロイダルコイルを用いたモータ等をスムーズに回転させ、かつ、モータ等の高周波性能を向上させることができる。
【0025】
本発明に係るトロイダルコイルによれば、平角線の巻回後に取り除かれるコアのコイル巻線部に露出部分を形成することなく、当該コアの第1平面部および第2平面部に対応する平角線部分を貫通する磁界の磁束密度を均一化した上記空芯コイルを複数個、トロイダル状に連結するように構成したことにより、得られたトロイダルコイル全体の磁界を安定させることができるので、このトロイダルコイルを用いたモータ等をスムーズに回転させ、かつ、モータ等の高周波性能を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
≪実施の形態1≫
図1は本発明の実施の形態1によるトロイダルコイルの全体構成を示す斜視図であり、図2は図1のトロイダルコイルに用いられるトロイダルコアの全体構成を示す斜視図であり、図3は図2のトロイダルコアのコイル巻線部内に平角線をポロイダル方向に巻回する過程を示す斜視図であり、図4は図3の一つのコイル巻線部内に巻回された平角線によるコイル巻線構造体を示す斜視図であり、図5は図4の矢印A方向から視た矢視図であり、図6は図4の矢印B方向から視た矢視図であり、図7は図4の矢印C方向から視た斜視図であり、図8Aは図7のD−D線で切断して示す断面図であり、図8Bは図8AのE部分を拡大して示す断面図であり、図8Cは図8AのF部分を拡大して示す断面図であり、図9Aは図7のG−G線で切断して示す断面図であり、図9Bは図9AのH部分を拡大して示す断面図であり、図10は図4のコイル巻線構造体のうち、1層目の平角線を巻回した段階での構造(1層目コイル巻線構造体)を示す斜視図であり、図11は図10の矢印I方向から視た矢視図であり、図12Aは図11のJ−J線で切断して示す断面図であり、図12Bは図12AのK部分を拡大して示す断面図であり、図12Cは図12AのL部分を拡大して示す断面図であり、図13Aは図11のM−M線で切断して示す断面図であり、図13Bは図13AのN部分を拡大して示す断面図であり、図14Aは図11のO−O線で切断して示す断面図であり、図14Bは図14AのP部分を拡大して示す断面図である。なお、この実施の形態1によるトロイダルコイルは、後述のコイル巻線部について実施される第1のステップ、第2のステップおよび第3のステップの実施回数nを1とした場合の例示であり、実施回数nを1とした点は、後述する実施の形態2乃至5においても同様である。
【0027】
このトロイダルコイル1は、図1に示すように、面対向型の扁平コイルであり、トロイダルコア2の複数個(偶数個)のコイル巻線部3にそれぞれ平角線4をポロイダル方向に巻回することにより構成されている。図2に示すように、トロイダルコア2は、その軸線方向の厚さが薄く形成された薄型のコアであり、外環部5と、この外環部5と同軸上に配されかつ外環部5の内周部分に内接する外周部分を有する内環部6とから構成されている。このトロイダルコア2は、外環部5の外周を構成する外周面部7と、内環部6の内周を構成する中心穴8の内周面部9と、この内周面部9と外周面部7とを連絡しかつ互いに平行に形成された二つの平面部10(一方のみ図示)とから概略構成されている。外周面部7の外径(トロイダルコア2の外径)と内周面部9の内径(トロイダルコア2の内径)との比は、2:1に設定されている。また、外周面部7と内周面部9の軸線方向の寸法は同一に設定されている。一方の平面部10は、トロイダルコイル1と同軸に配設されたロータ(図示せず)に対向する面であり、その平面部10のコイル巻線部3を貫通する方向の磁界がロータ(図示せず)のトルクに寄与するように構成されている。なお、トロイダルコア2は、平角線4に通電する電流の大きさや周波数などに応じて適宜選択される材料で構成される。また、トロイダルコア2の内部には、トロイダルコイル1の用途などに応じて、空洞が形成されてもよい。
【0028】
複数のコイル巻線部3は、トロイダルコア2のトロイダル方向に沿って一定の間隙をもって形成されており、各コイル巻線部3は、トロイダルコア2の中心を基準として一定の角度範囲で画定されている。この角度範囲は、トロイダルコア2の用途、大きさ、コイル巻線部3の設置数、上記間隙などにより適宜設定される。また、各コイル巻線部3は、内環部6の平面部10上に、中心穴8の中心から半径方向外方に放射状に形成された仕切壁11によって画定されている。このコイル巻線部3は、外周面部7の一部を構成する外径円弧部12と、内周面部9の一部を構成する内径円弧部13と、この内径円弧部13と外径円弧部12とを連絡しかつ互いに平行に形成された扇状の第1平面部14および第2平面部(図示せず)とから構成されている。外径円弧部12および内径円弧部13が同一の角度範囲で画定されているため、外径円弧部12と内径円弧部13との円弧方向(トロイダル方向またはトロイダルコア2の周方向)の長さの比は、トロイダルコア2の外径と内径との比と同様に、2:1となる。
【0029】
コイル巻線部3には、平角線4がポロイダル方向に巻回され、トロイダル方向に整列されている。このコイル巻線部3内に巻回された平角線4から構成されたコイル巻線構造体4aは、図4および図5に示すように、扇状の第1平面部14および第2平面部(図示せず)に対応した扇状部分と、図6および図7に示すように、同一寸法に設定された外径円弧部12および内径円弧部13に対応した断面矩形状部分を有している。このコイル巻線構造体4aは、コイル巻線部3の内径円弧部13、第1平面部14および第2平面部(図示せず)に対応する平角線部分で、図5、図8Aおよび図8Cに示すように、2層の平角線4がコイル巻線部3への巻き数(20巻き)の半分の数と等しい数の10列で円弧方向に整列しており、コイル巻線部3の外径円弧部12に対応する平角線部分で、図5、図8Aおよび図8Bに示すように、1層の平角線4が巻き数(20巻き)と等しい数の20列で円弧方向に整列している。すなわち、外径円弧部12と内径円弧部13との平角線4の列の数の比は、2:1になっている。また、この実施の形態1では、内径円弧部13における2層の平角線4の列(この場合、10列)は、当該平角線4の巻き数(この場合、20巻き)の半分の数になっており、外径円弧部12における1層の平角線4の列(この場合、20列)は、コイル巻線部3内への平角線4の巻き数(20巻き)に一致している。このため、外径円弧部12における平角線4の列をカウントすることにより、当該コイル巻線部3内への平角線4の巻き数を確認することができる。
【0030】
平角線4は断面矩形状のコイル巻線であり、この平角線4の断面積は通電される電流の大きさなどを考慮して設定されるが、その断面の横寸法は、平角線4の巻き数や外径円弧部12および内径円弧部13の各円弧方向の長さなどを考慮して適宜設定され、縦寸法は、コイル巻線部3の仕切壁11の高さ、平角線4の巻回後の高さおよび平角線4の巻き数などを考慮して適宜設定される。結果として、平角線4の断面の縦横比は、縦寸法と横寸法との適切な組み合わせにより適宜設定され、例えば縦寸法を0.15mmとし、横寸法を0.9mmとしてもよい。また、平角線4の導体部分は、導体として周知の金属材料などで構成することができる。
【0031】
次に平角線4の巻回方法について説明する。
この巻回方法は、コイル巻線部3内の内径円弧部13、第1平面部14、外径円弧部12および第2平面部(図示せず)を経由してポロイダル方向に平角線4を巻回する際に、コイル巻線部3内の円弧方向の一端側3aから平角線4を巻き始めて他端側3bまで1層目の平角線4を配設する第1のステップと、コイル巻線部3内の他端側3bから一端側3aへ平角線4を配設する第2のステップと、巻き終わりの平角線4を配設する第3のステップを含む方法である。すなわち、これら第1〜第3のステップの実施回数nは1であり、この場合、コイル巻線部3内の円弧方向の一端側3aと他端側3bとの間を一往復した時点で、巻回方法は終了する。なお、この例では、平角線4の巻き数を20巻きとして説明する。
【0032】
第1のステップでは、コイル巻線部3の内径円弧部13で平角線4を隣接させた状態で配設し、外径円弧部12で平角線4を平角線4の横寸法に相当する寸法の間隙をもって離間する位置に配設する。具体的には、図5および図6に示すように、コイル巻線部3内の一端側3aの仕切壁11から平角線4の横寸法に相当する寸法の間隙をもって離間した位置から平角線4を巻き始める。この巻き始めの平角線4を、内径円弧部13、第1平面部14、外径円弧部12および第2平面部(図示せず)を経由して巻回することにより、1列目の平角線4(図5および図6に1´で示す)を配設する。次に、内径円弧部13で既に配設された1列目の平角線4に隣接するように平角線4を配設し、第1平面部14で既に配設された1列目の平角線4の配設方向に対して斜め方向に配設し、外径円弧部12で1列目の平角線4から平角線4の横寸法に相当する寸法の間隙をもって離間する位置に2列目の平角線4(図5および図6に2´で示す)を配設する。この巻回方式を順次繰り返して、3列目から9列目までの平角線4(図5および図6に3´〜9´で示す)を配設した後に、コイル巻線部3内の他端側3bに10列目の平角線4(図5および図6に10´で示す)を配設する。
【0033】
この第1のステップにより配設された1層目の平角線4から構成された1層目コイル巻線構造体4bは、図10、図11、図12A、図12B、図12C、図13A、図13B、図14Aおよび図14Bに示すように、2層目の平角線4が巻回されていないことを除いて、図4〜図6のコイル巻線構造体4aとほぼ同様に、図12Aに示す扇状部分と、図11に示す断面矩形状部分とを有している。1層目コイル巻線構造体4bにおいては、コイル巻線部3の内径円弧部13上で、図12Cに示すように1層目の平角線4が隣接して整列されており、内径円弧部13近傍の第1平面部14上で、図14Bに示すように隣り合う1層目の平角線4が若干離間しており、外径円弧部12近傍の第1平面部14上で、図13Bに示すように隣り合う1層目の平角線4の離間距離が拡大しており、外径円弧部12上で、図12Bに示すように隣り合う1層目の平角線4の離間距離が平角線4の横寸法に相当するまで拡大している。
【0034】
第1のステップを終了した後、引き続き、第2のステップに移行する。第2のステップでは、コイル巻線部3の内径円弧部13で第1のステップにより配設された10列の平角線4(図5および図6に1´〜10´で示す)上に2層目の平角線4を積層し、外径円弧部12で平角線4を第1のステップにより配設された10列の平角線4(図5および図6に1´〜10´で示す)の間に平角線(図5および図6に11´〜19´で示す)を1層目に落とし込んで配設する。具体的には、図5および図6に示すように、第1のステップにより配設された10列目の平角線4(図5および図6に10´で示す)を、第2平面部(図示せず)を経由して内径円弧部13へ導き、この内径円弧部13で10列目の平角線4(図5および図6に10´で示す)上に2層目の平角線4(図5および図6に11´で示す)を積層する。この平角線4を、第1平面部14を経由して外径円弧部12へ導く際に、10列目の平角線4よりも第1平面部14でコイル巻線部3内の一端側3a寄りに配設方向を変えて、外径円弧部12で既に配設された平角線4の10列目と9列目の間に11列目の平角線4(図5および図6に11´で示す)を1層目に落とし込んで配設する。この巻回方式を順次繰り返して、コイル巻線部3内の一端側3aの1列目と2列目の間に19列目の平角線4(図5および図6に19´で示す)を配設する。
【0035】
この第2のステップにより、11列目から19列目までの平角線4(図5および図6に11´〜19´で示す)が配設される。すなわち、内径円弧部13では、図8Cに示すように2層目の平角線4が1層目の平角線4上に積層されており、内径円弧部13と外径円弧部12との間の第1平面部14では、図9Bに示すように2層目の平角線4が1層目の平角線4上にその配設方向に対して斜め方向に積層されており、外径円弧部12では、図8Cに示すように1層、19列の平角線4が整列している。
【0036】
第2のステップを終了した後、引き続き、第3のステップに移行する。第3のステップでは、第1のステップにより配設された巻き始めの1列目の平角線4(図5および図6に1´で示す)と仕切壁11との間の位置に巻き終わりの20列目の平角線4(図5および図6に20´で示す)を配設する。ここで、第3のステップにおける既設の平角線4に対する巻き終わりの平角線4の配設方向は、第2のステップにおける平角線4と同一の方向であるので、第2のステップから第3のステップへ移行する際には、平角線4の配設方向を変更することなく、そのまま連続して巻回を続けることができる。上述のように、第2および第3のステップにおける平角線4の配設方向は、第1のステップにおける平角線4の配設方向に対して斜め方向となっているが、両配設方向の角度差は、第1平面部14および第2平面部(図示せず)の径方向の長さ(トロイダルコア2の内径)と平角線4の横寸法によって決まる。トロイダルコア2の内径に比べて平角線4の横寸法は非常に小さいため、上記角度差も極めて小さく、平行に近い。従って、この角度差がコイル性能に与える影響も小さい。
【0037】
このようにしてコイル巻線部3内に巻回された平角線4は、上述のコイル巻線構造体4aを構成する。コイル巻線構造体4aは、コイル巻線部3の外径円弧部12、内径円弧部13、第1平面部14および第2平面部(図示せず)に対応するすべての平角線部分で、各部の形状に従う形状となるように1層または2層の平角線4が整列している。具体的には、内径円弧部13上に配設された2層の平角線4は、図4、図7、図8Aおよび図8Cに示すように、内径円弧部13の半径よりも僅かに小さな半径で湾曲する曲面内で円弧方向に整列しており、各層の平角線4の隣接する表面同士は面一となって一つの曲面を実質的に構成している。また、外径円弧部12上に配設された1層の平角線4は、図4、図7、図8Aおよび図8Bに示すように、外径円弧部12の半径よりも僅かに大きな半径で湾曲する曲面内で円弧方向に沿って整列しており、平角線4の隣接する表面同士は面一となって一つの曲面を実質的に構成している。さらに、第1平面部14および第2平面部(図示せず)の上で積層された2層の平角線4は、当該両平面部と平行になるように配設されており、1層目の平角線4と、この1層目の平角線4上にその配設方向に対して斜め方向に積層された2層目の平角線4とから構成されている。このため、隣り合う2層目の平角線4間には、内径円弧部13から外径円弧部12へ向けて徐々に拡大する微細凹部が形成されている。この微細凹部は、1層目の平角線4の表面を底面とし、平角線4の横寸法(例えば0.9mm)を最大幅とし、2層目の平角線4の縦寸法(例えば0.15mm)を深さとするものである。このような微細凹部の深さは、平角線4の縦寸法に依存して極めて浅いことから、両平面部上の2層目の平角線4の表面と微細凹部内の1層目の平角線4の表面は、面一ではないが、一つの平面を実質的に構成している。このように構成されたコイル巻線構造体4aは、その各平角線部分が一つの曲面または平面を構成する構造となっているので、いずれの平角線部分でも、また、全体としても、例えば、リップル、コギングおよび表面効果等を抑制できる。
【0038】
上述のコイル巻線構造体4aは、第1〜第3のステップの実施回数nを1とし、内径円弧部13、第1平面部14および第2平面部(図示せず)上に2層の平角線4を配設し、外径円弧部12上に1層の平角線4を配設した場合であるが、nを2以上として形成したコイル巻線構造体であっても、上述と同様のリップル等を抑制できる。すなわち、例えば、第1平面部14および第2平面部(図示せず)上に積層された2n層の平角線4における微細凹部は、2n層目の平角線4が(2n−1)層目の平角線4上にその配設方向に対して斜め方向に積層されることにより形成される。この微細凹部は、上述と同様に、(2n−1)層目の平角線4の表面を底面とし、平角線4の横寸法(例えば0.9mm)を最大幅とし、2n層目の平角線4の縦寸法(例えば0.15mm)を深さとするものであり、2n層目の平角線4の表面と(2n−1)層目の平角線4の表面は一つの平面を実質的に構成するため、例えばリップル等を抑制できることになる。
【0039】
次に、第3のステップまで終了して一つのコイル巻線部3への巻回が終了すると、図3に示すように、順次、隣接する次のコイル巻線部3へ移行して、上記と同様に平角線4を巻回する。なお、巻き終わりの平角線4は、巻き始めの平角線4が配設されたコイル巻線部3内の一端側3aに戻るが、巻き終わりの平角線4をトロイダルコア2の内部を引き回すことで、当該コイル巻線部3内の他端側3bで隣接する次のコイル巻線部3の一端側3aに導くことができる。
【0040】
以上説明した実施の形態1によるトロイダルコイルによれば、外径と内径との比が2:1に設定されたトロイダルコア2のコイル巻線部3内の内径円弧部13、第1平面部14および第2平面部(図示せず)の上に平角線4が2層となるように配設され、内径円弧部13上に配設された2層の平角線4が円弧方向に整列するとともに、外径円弧部12の上には1層の平角線4が円弧方向に整列するように構成したことにより、コイル巻線部3に露出部分を形成することなく、コイル巻線部3全体に平角線4を整列させることができるので、例えば、リップル、コギングおよび表面効果等を抑制し、かつ、第1平面部14および第2平面部(図示せず)を貫通する磁界の磁束密度を均一化することができる。これにより、トロイダルコイル1全体の磁界を安定させることができるので、このトロイダルコイル1を用いたモータ等をスムーズに回転させ、かつ、モータ等の高周波性能を向上させることができる。
【0041】
この実施の形態1によるトロイダルコイルの巻回方法によれば、外径と内径との比が2:1に設定されたトロイダルコアのコイル巻線部3内の円弧方向の一端側3aから平角線4を巻き始めて他端側3bまで1層目の平角線4を配設する第1のステップと、コイル巻線部3内の他端側3bから一端側3aへ平角線4を配設する第2のステップと、巻き終わりの平角線4を配設する第3のステップを1回、実施することにより、内径円弧部13、第1平面部14および第2平面部(図示せず)の上には平角線4が2層となるように配設され、内径円弧部13上に配設された2層の平角線4が円弧方向に整列するとともに、外径円弧部12の上には1層の平角線4が円弧方向に整列するように構成したことで、コイル巻線部3に露出部分を形成することなく、コイル巻線部3全体に平角線4を整列させることができるので、第1平面部14および第2平面部(図示せず)を貫通する磁界の磁束密度を均一化することができる。また、この巻回方法によれば、コイル巻線部3内の円弧方向の一端側3aと他端側3bとを一往復する間に、平角線4をコイル巻線部3内に上述のように整列させて巻回することができるので、トロイダルコイル1を容易に得ることができる。
【0042】
≪実施の形態2≫
図15は本発明の実施の形態2によるボビンコイルの全体構成を示す斜視図であり、図16は図15のボビンコイルに用いられるボビンコアの全体構成を示す斜視図であり、図1〜図14Bと同一構成要素には同一符号を付して重複説明を省略する。
【0043】
このボビンコイル15は、図15に示すように、ボビンコア16に設けられたコイル巻線部3に平角線4を巻回することにより構成されている。ボビンコア16は、図16に示すように、外径円弧部17と、内径円弧部18と、この内径円弧部18と外径円弧部17を連絡しかつ互いに平行に形成された扇状の第1平面部19および第2平面部20を有している。このボビンコイル15は、ボビンコイル15を偶数個、トロイダル状に連結して構成されるトロイダルコイルを構成するトロイダルコアの外内径の比を2:1に設定しているため、外径円弧部17と内径円弧部18との円弧方向の長さの比も2:1となっている。コイル巻線部3の一端側3aには、外径円弧部17、内径円弧部18、第1平面部19および第2平面部20を巻回するように立設された仕切壁21aが形成され、他端側3bには、当該仕切壁21aと同形状の仕切壁21bが形成されている。これら一対の仕切壁21aおよび仕切壁21bは、ボビンコイル15を偶数個、トロイダル状に連結して構成されるトロイダルコイルのコア中心を基準として、例えば、実施の形態1における一定の角度範囲で放射方向に拡大して第1平面部19および第2平面部20を仕切ってコイル巻線部3を画定し、平角線4によるコイル巻線構造体4aを保持するものである。また、ボビンコア16の内部には、ボビンコア16の軽量化を図るための空洞部22が形成されている。この空洞部22は、巻き終わりの平角線4のボビンコア16内での引き回しに利用可能である。
【0044】
次に平角線4の巻回方法について説明する。
この巻回方法は、コイル巻線部3内の内径円弧部18、第1平面部19、外径円弧部17および第2平面部20を経由して平角線4を巻回する際に、コイル巻線部3内の一端側3a(仕切壁21a側)から平角線4を巻き始めて他端側3bまで1層目の平角線4を配設する第1のステップと、コイル巻線部3内の他端側3bから一端側3aへ平角線4を配設する第2のステップと、巻き終わりの平角線4を配設する第3のステップを含む方法である。これら第1〜第3のステップの実施回数nは1であり、この場合、コイル巻線部3内の円弧方向の一端側3aと他端側3bとの間を一往復した時点で、巻回方法は終了する。この巻回方法は、実施の形態1における平角線4の巻回方法と基本的に同一であるので、重複説明を省略する。
【0045】
このように構成されたボビンコイル15は、ボビンコア16のコイル巻線部3内に図4に示したコイル巻線構造体4aを構成してなるものである。すなわち、このボビンコイル15には、ボビンコア16のコイル巻線部3内の内径円弧部18、第1平面部19および第2平面部20の上に平角線4が2層となるように配設され、内径円弧部18上に配設された2層の平角線4が円弧方向に整列し、外径円弧部17の上に1層の平角線4が円弧方向に整列している。
【0046】
以上説明した実施の形態2によるボビンコイルによれば、実施の形態1と同様に、外径円弧部17と内径円弧部18との円弧方向の長さの比を2:1に設定したボビンコア16のコイル巻線部3内の内径円弧部18、第1平面部19および第2平面部20の上には平角線4が2層となるように配設され、内径円弧部18上に配設された2層の平角線4が円弧方向に整列し、かつ、外径円弧部17の上には1層の平角線4が円弧方向に整列するように構成したことにより、コイル巻線部3に露出部分を形成することなく、コイル巻線部3全体に平角線4を整列させることができるので、第1平面部19および第2平面部20を貫通する磁界の磁束密度を均一化することができる。これにより、例えば、リップル、コギングおよび表面効果等を抑制できるので、このボビンコイル15を用いたトロイダルコイルでは、コイル全体の磁界を安定させることができる。また、このボビンコイル15を偶数個、トロイダル状に連結することにより、実施の形態1におけるトロイダルコイル1と同様の構成を有するトロイダルコイルを組み立てることが可能であるので、そのトロイダルコイルを用いたモータ等では、スムーズに回転させ、かつ、モータ等の高周波性能を向上させることができる。
【0047】
この実施の形態2によるボビンコイルの巻回方法によれば、実施の形態1と同様に、第1〜第3のステップを1回、実施することにより、外径円弧部17と内径円弧部18との円弧方向の長さの比を2:1に設定したボビンコア16のコイル巻線部3内の内径円弧部18、第1平面部19および第2平面部20の上には平角線4が2層となるように配設され、内径円弧部18上に配設された2層の平角線4が円弧方向に整列し、かつ、外径円弧部17の上には1層の平角線4が円弧方向に整列するように構成したことで、コイル巻線部3に露出部分を形成することなく、コイル巻線部3全体に平角線4を整列させることができるので、第1平面部19および第2平面部20を貫通する磁界の磁束密度を均一化することができる。また、この巻回方法によれば、コイル巻線部3内の円弧方向の一端側3aと他端側3bとを一往復する間に、平角線4をコイル巻線部3内に上述のように整列させて巻回することができるので、ボビンコイル15を容易に得ることができる。さらに、複数のボビンコア16に対して連続して平角線4を巻回する際に、各ボビンコア16の内径円弧部18または外径円弧部17を同じ方向に配向させ、直線上に整列させた上で、この実施の形態2の巻回方法により平角線4を巻回した場合には、巻回の効率を向上させることができる。
【0048】
≪実施の形態3≫
図17は本発明の実施の形態3によるトロイダルコイルの全体構成を示す斜視図であり、図18は図17のトロイダルコイルに用いられるトロイダルコアの全体構成を示す斜視図であり、図19は図17のトロイダルコアに図20の一つのボビンコイルを組み付ける工程を示す斜視図であり、図20は図19に示した工程の後工程を示す斜視図であり、図1〜図16と同一構成要素には同一符号を付して重複説明を省略する。
【0049】
このトロイダルコイル23は、図17に示すように、図15のボビンコイル15を偶数個(この例では24個)、トロイダル状に連結することで構成された組立体である。このコイル23に用いられるトロイダルコア24は、図18に示すように、半環状の1対のコア半体24aを連結することで構成された組立体である。1対のコア半体24aは、ボビンコイル15の空洞部22内に挿入可能な形状および大きさを有するように構成されている。
【0050】
次にトロイダルコイルの組立方法について説明する。
まず、図19に示すように、一方のコア半体24aの一端をボビンコイル15の空洞部22内に挿入し始め、図20に示すように、順次、複数個のボビンコイル15をコア半体24aの一端から他端まで、一定の間隔をもって配設する。次に、所定数(この例では12個)のボビンコイル15を配設したコア半体24aの端部同士を、例えば、図18に示すように突き合せた状態で、連結することによって、ボビンコイル15を偶数個(この例では24個)、トロイダル状に連結したトロイダルコイル23を容易に得ることができる。なお、ボビンコイル15間の間隔は、トロイダルコア24の周方向の長さ、ボビンコイル15の大きさおよび配設数などによって適宜設定される。
【0051】
この実施の形態3によるトロイダルコイルによれば、ボビンコア16のコイル巻線部3に露出部分を形成することなく、コイル巻線部3全体に平角線4を整列させて第1平面部19および第2平面部20を貫通する磁界の磁束密度を均一化したボビンコイル15を偶数個、トロイダル状に連結するように構成したことにより、得られたトロイダルコイル23全体の磁界を安定させることができるので、このトロイダルコイル23を用いたモータ等をスムーズに回転させ、かつ、モータ等の高周波性能を向上させることができる。また、得られるトロイダルコイル23の用途などに応じて、ボビンコイル15の配設数を適宜決定することができるので、種々のタイプのトロイダルコイル23の組立を容易に行うことができる。
【0052】
≪実施の形態4≫
本発明の実施の形態4による空芯コイルは、平角線4の巻回後にコアが取り除かれるため、平角線4から構成された図4〜図6のコイル巻線構造体4aと同様の構成であるので、以下、4aで示す。すなわち、この空芯コイル4aは、平角線4による巻回後に取り除くコア(図示せず)に平角線4を巻回して図10の1層目コイル巻線構造体4bを経て、形成される。この空芯コイル4aの巻回方法は、最終的に当該コアを取り除くステップを経る点を除き、実施の形態1と同様の巻回方法によるものであるため、その巻回方法についての重複説明を省略する。
【0053】
平角線4の巻回時には平角線4の成形型となり、平角線4の巻回後に取り除かれるコアとしては、例えば、仕切壁21aおよび21bを除いた図16のボビンコア16の構造を好適に利用できる。そこで、このボビンコア16を成形型とすると、空芯コイル4aは、ボビンコア16の外径円弧部17、内径円弧部18、第1平面部19および第2平面部20の周りに平角線4が巻回され、ボビンコア16の外形と同一形状に形成されることから、空芯コイル4aには、上記ボビンコア16の上記各要素にそれぞれ対応する平角線部分が形成されることになる。この空芯コイル4aでは、図4〜図6のコイル巻線構造体4aと同様に、ボビンコア16の内径円弧部18、第1平面部19および第2平面部20に対応する平角線部分では平角線4が2層となるように配設され、内径円弧部18に対応する平角線部分で2層の平角線4が円弧方向に整列しており、外径円弧部17に対応する平角線部分で1層の平角線4が円弧方向に整列している。外径円弧部17と内径円弧部18とにそれぞれ対応する平角線部分の平角線4の列の比は2:1になっており、外径円弧部17と内径円弧部18とにそれぞれ対応する平角線部分の円弧方向の長さの比は2:1になっている。
【0054】
この実施の形態4による空芯コイルによれば、平角線4の巻回後に取り除かれるボビンコア16の形状に従って、実施の形態1と同様の巻回方法により平角線4を巻回するように構成したことで、ボビンコア16のコイル巻線部3に露出部分を形成することなく、コイル巻線部3全体に平角線4を整列させて、平角線4のみから構成された空芯コイル4aを得ることができる。この空芯コイル4aでは、ボビンコア16の第1平面部19および第2平面部20に対応する平角線部分を貫通する磁界の磁束密度を均一化することができる。これにより、例えば、リップル、コギングおよび表面効果等を抑制できるので、この空芯コイル4aを連結して構成されたトロイダルコイル全体の磁界を安定させることができ、このトロイダルコイルを用いたモータ等をスムーズに回転させ、かつ、モータ等の高周波性能を向上させることができる。
【0055】
この実施の形態4による空芯コイルの巻回方法によれば、平角線4の巻回後に取り除かれるコアの形状に従って、実施の形態1と同様に、第1〜第3のステップを1回、実施することにより、コアの内径円弧部、第1平面部および第2平面部に対応する平角線部分では平角線4が2層となるように配設され、コアの内径円弧部に対応する平角線部分では円弧方向に整列し、コアの外径円弧部に対応する平角線部分では1層の平角線4が円弧方向に整列し、コアの外径円弧部と内径円弧部とにそれぞれ対応する平角線部分の円弧方向の長さの比が2:1に設定されるように空芯コイル4aを構成したことで、コイル巻線部3に露出部分を形成することなく、コイル巻線部3全体に平角線4を整列させることができるので、コアの第1平面部および第2平面部に対応する平角線部分を貫通する磁界の磁束密度を均一化することができる。また、この巻回方法によれば、平角線4の巻回後に取り除かれるコアのコイル巻線部内の円弧方向の一端側と他端側とを一往復する間に、平角線4をコイル巻線部内に上述のように整列させて巻回することができるので、空芯コイル4aを容易に得ることができる。
【0056】
≪実施の形態5≫
図21は本発明の実施の形態5によるトロイダルコイルの全体構成を示す斜視図であり、図22は図18のトロイダルコアに空芯コイル(コイル巻線構造体)を組み付ける工程を示す斜視図であり、図23は図22に示した工程の後工程を示す斜視図であり、図1〜図20と同一構成要素には同一符号を付して重複説明を省略する。
【0057】
このトロイダルコイル25は、図21に示すように、空芯コイル4aを偶数個(この例では24個)、トロイダル状に連結することで構成された組立体である。トロイダルコイル25に用いられるコアとしては、図18のトロイダルコア24を好適に利用できる。1対のコア半体24aは、図4の空芯コイル4aの空洞部26内に挿入可能な形状および大きさを有するように構成されている。
【0058】
次にトロイダルコイルの組立方法について説明する。
まず、図22に示すように、一方のコア半体24aの一端を空芯コイル4aの空洞部26内に挿入し始め、例えば、図20に示すように、順次、複数個の空芯コイル4aをコア半体24aの一端から他端まで、一定の間隔をもって配設する。次に、所定数(この例では12個)の空芯コイル4aを配設したコア半体24aの端部同士を、図18に示すように突き合せた状態で、連結することによって、空芯コイル4aを偶数個(この例では24個)、トロイダル状に連結したトロイダルコイル25を容易に得ることができる。なお、空芯コイル4a間の間隔は、トロイダルコア24の周方向の長さ、空芯コイル4aの大きさおよび配設数などによって適宜設定される。
【0059】
この実施の形態5によるトロイダルコイルによれば、平角線4の巻回後に取り除かれるコアのコイル巻線部3に露出部分を形成することなく、コイル巻線部3全体に平角線4を整列させて当該コアの第1平面部および第2平面部に対応する平角線部分を貫通する磁界の磁束密度を均一化した空芯コイル4aを複数個、トロイダル状に連結するように構成したことにより、得られたトロイダルコイル25全体の磁界を安定させることができるので、このトロイダルコイル25を用いたモータ等をスムーズに回転させ、かつ、モータ等の高周波性能を向上させることができる。また、得られるトロイダルコイル25の用途などに応じて、空芯コイル4aの配設数を適宜決定することができるので、種々のタイプのトロイダルコイル25の組立を容易に行うことができる。
【0060】
以上のように、実施の形態1乃至5では、各コアのコイル巻線部に対して平角線を巻回する際に実施される第1のステップ、第2のステップおよび第3のステップの実施回数nを1とした場合の例示であり、本発明に係るトロイダルコイルは、nを1とした場合に限定されることなく、nを2以上とする場合、すなわち、当該三つのステップを2回以上、繰り返すことにより構成することができる。その場合には、外径円弧部上にn層(2層以上)の平角線が配設されるとともに、内径円弧部、第1平面部および第2平面部上に2n層(4層以上)の平角線が配設されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施の形態1によるトロイダルコイルの全体構成を示す斜視図である。
【図2】図1のトロイダルコイルに用いられるトロイダルコアの全体構成を示す斜視図である。
【図3】図2のトロイダルコアのコイル巻線部内に平角線をポロイダル方向に巻回する過程を示す斜視図である。
【図4】図3の一つのコイル巻線部内に巻回された平角線によるコイル巻線構造体を示す斜視図である。
【図5】図4の矢印A方向から視た矢視図である。
【図6】図4の矢印B方向から視た矢視図である。
【図7】図4の矢印C方向から視た斜視図である。
【図8A】図7のD−D線で切断して示す断面図である。
【図8B】図8AのE部分を拡大して示す断面図である。
【図8C】図8AのF部分を拡大して示す断面図である。
【図9A】図9Aは図7のG−G線で切断して示す断面図である。
【図9B】図9Bは図9AのH部分を拡大して示す断面図である。
【図10】図4のコイル巻線構造体のうち、1層目の平角線を巻回した段階での構造(1層目コイル巻線構造体)を示す斜視図である。
【図11】図10の矢印I方向から視た矢視図である。
【図12A】図11のJ−J線で切断して示す断面図である。
【図12B】図12AのK部分を拡大して示す断面図である。
【図12C】図12AのL部分を拡大して示す断面図である。
【図13A】図11のM−M線で切断して示す断面図である。
【図13B】図13AのN部分を拡大して示す断面図である。
【図14A】図11のO−O線で切断して示す断面図である。
【図14B】図14AのP部分を拡大して示す断面図である。
【図15】本発明の実施の形態2によるボビンコイルの全体構成を示す斜視図である。
【図16】図15のボビンコイルに用いられるボビンコアの全体構成を示す斜視図である。
【図17】本発明の実施の形態3によるトロイダルコイルの全体構成を示す斜視図である。
【図18】図17のトロイダルコイルに用いられるトロイダルコアの全体構成を示す斜視図である。
【図19】図17のトロイダルコアに図20の一つのボビンコイルを組み付ける工程を示す斜視図である。
【図20】図19に示した工程の後工程を示す斜視図である。
【図21】本発明の実施の形態5によるトロイダルコイルの全体構成を示す斜視図である。
【図22】図18のトロイダルコアに空芯コイル(コイル巻線構造体)を組み付ける工程を示す斜視図である。
【図23】図22に示した工程の後工程を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0062】
1、23、25 トロイダルコイル
2、24 トロイダルコア
3 コイル巻線部
3a コイル巻線部の一端側
3b コイル巻線部の他端側
4 平角線
4a コイル巻線構造体(空芯コイル)
4b 1層目コイル巻線構造体
5 外環部
6 内環部
7 外周面部
8 中心穴
9 内周面部
10 平面部
11、21a、21b 仕切壁
12、17 外径円弧部
13、18 内径円弧部
14、19 第1平面部
15 ボビンコイル
16 ボビンコア
20 第2平面部
22、26 空洞部
24a コア半体
1´〜10´ 1列目〜10列目の平角線
11´〜20´ 11列目〜20列目の平角線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トロイダルコアに平角線を巻回してなるトロイダルコイルにおいて、
前記トロイダルコアは、その外径と内径との比が2:1に設定されており、前記トロイダルコアは、その中心を基準として一定の角度範囲で画定された複数のコイル巻線部を有しており、該各コイル巻線部は、円弧方向の長さの比が2:1に設定された外径円弧部および内径円弧部と、該内径円弧部と前記外径円弧部を連絡する扇状の第1平面部および第2平面部を有しており、
前記コイル巻線部内の前記内径円弧部、前記第1平面部、前記外径円弧部および前記第2平面部を経由してポロイダル方向に前記平角線を巻回する際に、前記内径円弧部、前記第1平面部および前記第2平面部の上には平角線が2n層(nは整数である)となるように配設され、前記内径円弧部上に配設された2n層の平角線が前記円弧方向に整列するとともに、前記外径円弧部の上にはn層の平角線が前記円弧方向に整列するように構成したことを特徴とするトロイダルコイル。
【請求項2】
トロイダルコアに平角線を巻回してなるトロイダルコイルの巻回方法において、
前記トロイダルコアは、その外径と内径との比が2:1に設定されており、前記トロイダルコアは、その中心を基準として一定の角度範囲で画定された複数のコイル巻線部を有しており、該各コイル巻線部は、円弧方向の長さの比が2:1に設定された外径円弧部および内径円弧部と、該内径円弧部と前記外径円弧部を連絡する扇状の第1平面部および第2平面部を有しており、
前記各コイル巻線部内の前記内径円弧部、前記第1平面部、前記外径円弧部および前記第2平面部を経由してポロイダル方向に前記平角線を巻回する際に、前記コイル巻線部内の円弧方向の一端側から前記平角線を巻き始めて他端側まで1層目の平角線を配設する第1のステップと、前記コイル巻線部内の前記他端側から前記一端側へ前記平角線を配設する第2のステップと、巻き終わりの平角線を配設する第3のステップを含み、
前記第1のステップは、前記内径円弧部では前記平角線を隣接させた状態で配設し、前記外径円弧部では前記平角線を該平角線の横寸法に相当する寸法の間隙をもって離間する位置に配設するものであり、
前記第2のステップは、前記内径円弧部では前記第1のステップにより配設された前記平角線上に2層目の平角線を積層し、前記外径円弧部では前記平角線を前記第1のステップにより配設された前記平角線間に1層目の平角線を配設するものであり、
前記第3のステップは、前記第1のステップにより配設された巻き始めの前記平角線に隣接した位置に巻き終わりの前記平角線を配設するものであり、
前記第1のステップ、前記第2のステップおよび前記第3のステップをn回(nは整数である)、実施することにより、前記内径円弧部、前記第1平面部および前記第2平面部の上には平角線が2n層となるように配設され、前記内径円弧部上に配設された2n層の平角線が前記円弧方向に整列するとともに、前記外径円弧部の上にはn層の平角線が前記円弧方向に整列するように構成したことを特徴とするトロイダルコイルの巻回方法。
【請求項3】
ボビンコアに平角線を巻回してなるボビンコイルにおいて、
前記ボビンコアは、円弧方向の長さの比が2:1に設定された外径円弧部および内径円弧部と、該内径円弧部と前記外径円弧部を連絡する扇状の第1平面部および第2平面部を有するコイル巻線部を備えており、
前記コイル巻線部内の前記内径円弧部、前記第1平面部、前記外径円弧部および前記第2平面部を経由して前記平角線を巻回する際に、前記内径円弧部、前記第1平面部および前記第2平面部の上には平角線が2n層(nは整数である)となるように配設され、前記内径円弧部上に配設された2n層の平角線が前記円弧方向に整列するとともに、前記外径円弧部の上にはn層の平角線が前記円弧方向に整列するように構成したことを特徴とするボビンコイル。
【請求項4】
ボビンコアに平角線を巻回してなるボビンコイルの巻回方法において、
前記ボビンコアは、円弧方向の長さの比が2:1に設定された外径円弧部および内径円弧部と、該内径円弧部と前記外径円弧部を連絡する扇状の第1平面部および第2平面部を有するコイル巻線部を備えており、
前記コイル巻線部内の前記内径円弧部、前記第1平面部、前記外径円弧部および前記第2平面部を経由して前記平角線を巻回する際に、前記コイル巻線部内の円弧方向の一端側から前記平角線を巻き始めて他端側まで1層目の平角線を配設する第1のステップと、前記コイル巻線部内の前記他端側から前記一端側へ前記平角線を配設する第2のステップと、巻き終わりの平角線を配設する第3のステップを含み、
前記第1のステップは、前記内径円弧部では前記平角線を隣接させた状態で配設し、前記外径円弧部では前記平角線を該平角線の横寸法に相当する寸法の間隙をもって離間する位置に配設するものであり、
前記第2のステップは、前記内径円弧部では前記第1のステップにより配設された前記平角線上に2層目の平角線を積層し、前記外径円弧部では前記平角線を前記第1のステップにより配設された前記平角線間に1層目の平角線を配設するものであり、
前記第3のステップは、前記第1のステップにより配設された巻き始めの前記平角線に隣接した位置に巻き終わりの前記平角線を配設するものであり、
前記第1のステップ、前記第2のステップおよび前記第3のステップをn回(nは整数である)、実施することにより、前記内径円弧部、前記第1平面部および前記第2平面部の上には平角線が2n層となるように配設され、前記内径円弧部上に配設された2n層の平角線が前記円弧方向に整列するとともに、前記外径円弧部の上にはn層の平角線が前記円弧方向に整列するように構成したことを特徴とするボビンコイルの巻回方法。
【請求項5】
平角線を巻回してなる空芯コイルにおいて、
前記平角線の巻回後に取り除かれるコアが、円弧方向の長さの比が2:1に設定された外径円弧部および内径円弧部と、該内径円弧部と前記外径円弧部とを連絡する扇状の第1平面部および第2平面部を有するコイル巻線部を備えており、
前記コアの前記内径円弧部、前記第1平面部および前記第2平面部に対応する平角線部分では平角線が2n層(nは整数である)となるように配設され、前記内径円弧部に対応する平角線部分では2n層の平角線が前記円弧方向に整列し、前記外径円弧部に対応する平角線部分ではn層の平角線が前記円弧方向に整列するとともに、前記外径円弧部と前記内径円弧部とにそれぞれ対応する平角線部分の円弧方向の長さの比が2:1に設定されるように構成したことを特徴とする空芯コイル。
【請求項6】
平角線を巻回してなる空芯コイルの巻回方法において、
前記平角線の巻回後に取り除かれるコアが、円弧方向の長さの比が2:1に設定された外径円弧部および内径円弧部と、該内径円弧部と前記外径円弧部とを連絡する扇状の第1平面部および第2平面部を有するコイル巻線部を備えており、
前記コイル巻線部内の前記内径円弧部、前記第1平面部、前記外径円弧部および前記第2平面部を経由して前記平角線を巻回する際に、前記コイル巻線部内の円弧方向の一端側から前記平角線を巻き始めて他端側まで1層目の平角線を配設する第1のステップと、前記コイル巻線部内の前記他端側から前記一端側へ前記平角線を配設する第2のステップと、巻き終わりの平角線を配設する第3のステップを含み、
前記第1のステップは、前記内径円弧部では前記平角線を隣接させた状態で配設し、前記外径円弧部では前記平角線を該平角線の横寸法に相当する寸法の間隙をもって離間する位置に配設するものであり、
前記第2のステップは、前記内径円弧部では前記第1のステップにより配設された前記平角線上に2層目の平角線を積層し、前記外径円弧部では前記平角線を前記第1のステップにより配設された前記平角線間に1層目の平角線を配設するものであり、
前記第3のステップは、前記第1のステップにより配設された巻き始めの前記平角線に隣接した位置に巻き終わりの前記平角線を配設するものであり、
前記第1のステップ、前記第2のステップおよび前記第3のステップをn回(nは整数である)、実施することにより、前記コアの前記内径円弧部、前記第1平面部および前記第2平面部に対応する平角線部分では平角線が2n層となるように配設され、前記内径円弧部に対応する平角線部分では2n層の平角線が前記円弧方向に整列し、前記外径円弧部に対応する平角線部分ではn層の平角線が前記円弧方向に整列するとともに、前記外径円弧部と前記内径円弧部とにそれぞれ対応する平角線部分の円弧方向の長さの比が2:1に設定されるように構成したことを特徴とする空芯コイルの巻回方法。
【請求項7】
請求項3に記載のボビンコイルを複数個、トロイダル状に連結してなることを特徴とするトロイダルコイル。
【請求項8】
請求項5に記載の空芯コイルを複数個、トロイダル状に連結してなることを特徴とするトロイダルコイル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2012−244840(P2012−244840A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−114576(P2011−114576)
【出願日】平成23年5月23日(2011.5.23)
【出願人】(597031449)株式会社 アサヒ電気研究所 (2)
【Fターム(参考)】