説明

トロンビン受容体アンタゴニストとしてのオキサゾロイソキノリン誘導体

式(I)の複素環置換二環式もしくは三環式化合物または該化合物、異性体もしくはラセミ混合の医薬用として許容可能な塩もしくは溶媒和物(但し、


は任意の二重結合を表し、破線は任意選択的に結合または無結合であり、原子価の必要条件により可能になるような二重結合または一重結合となり、また、A、M、U、G、J、K、R、R10、R11、R32、R33、BおよびHetは本発明で定義されており、残りの置換基は本明細書中に定義された通りである)ならびにこれらを含む医薬組成物および該化合物を投与することにより、血栓、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、高血圧、狭心症、不整脈、心不全および癌に関連した疾患を治療する方法が開示されている。他の心血管作用剤との組合せ療法についても請求されている。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
本発明は、血栓症、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、高血圧、狭心症、不整脈、心不全、脳虚血、脳卒中、神経変性疾患、および癌を伴う疾患の治療においてトロンビン受容体アンタゴニストとして有用であり得るヒンバシン誘導体に関する。トロンビン受容体アンタゴニストは、プロテアーゼ活性化受容体−1(PAR−1)としても知られている。また、本発明の化合物は、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、糖尿病、骨粗しょう症、腎虚血、脳卒中、脳虚血、腎炎、肺および胃腸管の炎症性疾患、ならびに可逆性気道閉塞、慢性ぜんそく、気管支炎などの気道障害を治療するためのカンナビノイド(CB)受容体阻害剤としても有用である。また、本発明は、上記化合物を含有する医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
トロンビンは、種々の細胞型において様々な活性を有することが知られている。トロンビン受容体は、ヒトの血小板、血管平滑筋細胞、内皮細胞、線維芽細胞などの細胞型に存在することが知られている。このため、トロンビン受容体アンタゴニストは、血栓性、炎症性、アテローム動脈硬化性および線維増殖性疾患ならびにトロンビンおよびその受容体が病理学的役割を演じている他の疾患の治療に有用であることが期待される。
【0003】
トロンビン受容体アンタゴニストペプチドは、トロンビン受容体のアミノ酸の置換を伴う構造−活性研究に基づいて同定されたものである。Bernatowicz et al., J. Med. Chem., 39:4879−4887(1996)には、テトラ−およびペンタペプチド、例えば、N―トランス―シンナモイル―p―フルオロPhe―p―グアニジノPhe−Leu−Arg−NHおよびN―トランス―シンナモイル―p―フルオロPhe―p−グアジニノPhe−leu−Arg−Arg−NHが強力なトロンビン受容体アンタゴニストであることが開示されている。また、1994年2月17日公開のWO94/03479にはペプチド性トロンビン受容体アンタゴニストが開示されている。
【0004】
カンナビノイド受容体は、G蛋白共役受容体のスーパーファミリーに属している。これらは、主として神経性のCB受容体と主として末梢性のCB受容体に分類される。これらの受容体は、アデニル酸シクラーゼならびにCa+2およびK電流を調節することによって生物活性を発揮する。CB受容体の効果は主に中枢神経系と関連があるが、CB受容体は気管支の収縮、免疫調節および炎症と関係のある末梢性効果を有すると考えられている。従って、選択的なCB受容体結合剤は、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、糖尿病、骨粗しょう症、腎虚血、脳卒中、脳虚血、腎炎、肺および胃腸管の炎症性疾患、ならびに可逆性気道閉塞、慢性ぜんそく、気管支炎などの気道障害を伴う疾患の管理において治療的有用性を有すると期待されている(R. G. Pertwee, Curr. Med. Chem.6(8):635(1999);M. Bensaid, Molecular Pharmacology,63(4):908(2003)。
【0005】
式:
【0006】
【化41】

のピペリジンアルカロイドであるヒンバシンは、ムスカリン受容体アンタゴニストであることが認められている。(+)−ヒンバシンの全合成については、Chackalamannil et al., J. Am. Chem. Soc.,118:9812−9813(1996)に開示されている。
【0007】
特許文献1、特許文献2、特許文献3(特許文献4)および米国特許出願第10/271715号には、置換三環系トロンビン受容体アンタゴニストが開示されている。
【特許文献1】米国特許第6,063,847号明細書
【特許文献2】米国特許第6,326,380号明細書
【特許文献3】米国特許第6,645,987号明細書
【特許文献4】国際公開第01/96330号パンフレット
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の要約
本発明は、式I:
【0009】
【化42】

で表される化合物であって、式中、
【0010】
【化43】

が、原子価の必要条件により可能になるような二重結合または一重結合を表し(但し、R10またはR11が結合する炭素が二重結合の一部である場合にはR10またはR11は存在しない);
Bが−(CHn3−、−(CH)−O−、−(CH)S−、−(CH)−NR−、−C(O)NR−、−NRC(O)−、
【0011】
【化44】

−(CHn4CR12=CR12a(CHn5−または−(CHn4C≡C(CHn5−であり、式中、n3は0乃至5、n4およびn5は独立に0乃至2、ならびにR12およびR12aは水素、C−Cアルキルおよびハロゲンからなる群から独立に選ばれるものとし;
A、G、J、MおよびUが独立に
−N(R54)−、
−(CR)−、
−O−、
【0012】
【化45】

−S−、
−S(O)−、
−S(O)−、および
【0013】
【化46】

からなる群から選ばれ(但し、これらの選択によって酸素または硫黄原子同士が隣接することにならないこと、ならびに、どの酸素、窒素または硫黄原子間にも少なくとも1つの炭素原子が出現すること、とする);
nがそれぞれ独立に0、1または2であり(但し、全てのn変数が同時に0ではあり得ないこと、ならびに、n変数の合計が7を超えることができないこと、とする);
Kが
【0014】
【化47】

CR−およびN−からなる群から選ばれ;
Hetが1乃至13個の炭素原子およびN、OおよびSからなる群から独立に選ばれる1乃至4個のヘテロ原子で構成される5乃至14原子の単環式、二環式または三環式複素芳香族基であり(但し、上記複素芳香族基には酸素または硫黄原子同士の隣接は存在しないものとする)、環窒素はアルキル基と共にN−オキシドまたは四級基を形成することができるものとし、Hetは環構成員の炭素原子によってBと結合しているものとし、Het基は1乃至4個の部分Wによって置換されているものとし、Wはそれぞれ独立に
水素、
アルキル、
フルオロアルキル、ジフルオロアルキル、トリフルオロアルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、
シクロアルキル、アルキル、アルケニルまたはアルキニルにより置換されているシクロアルキル、
ヘテロシクロアルキル、アルキル、アルケニルまたはアルキニルにより置換されているヘテロシクロアルキル、
21−アリールアルキル、R21−アリール−アルケニル、
ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、
ヒドロキシアルキル、ジヒドロキシアルキル、
アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、ジ−(アルキル)−アミノアルキル、
チオアルキル、
アルコキシ、アルケニルオキシ、
ハロゲン、
−NR
−SH、
−CN、
−OH、
−C(O)OR17、−COR16、−OS(O)CF、−CHOCHCF
アルキルチオ、
−C(O)NR
−OCHR−フェニル、
フェノキシアルキル、
−NHCOR16
−NHSO16
ビフェニル、
−OC(RCOOR、−OC(RC(O)NR
アルキル、アミノまたは−NHC(O)OR17で置換されているアルコキシ
アリール、
アルキル、ハロゲン、アルコキシ、メチレンジオキシ、カルボン酸、カルボキサミド、アミン、尿素、アミド、スルホンアミド、−CN−、−CF、−OCF、−OH、アルキルアミノ−、ジ−(アルキル)アミノ−、−NR2526アルキル−、ヒドロキシアルキル−、−C(O)OR17、−COR17、−NHCOR16、−NHS(O)16、−NHS(O)CHCF、−C(O)NR2526、−NR25−C(O)−NR2526、−S(O)R13、−S(O)13および−SR13からなる群から独立に選ばれる1乃至3個の置換基で置換されているアリール、
または−NR、−NRCOR、−NRCONR、−NRC(O)OR、−NRS(O)、−NRS(O)NR、−C(O)OH、−C(O)OR、−CONRヘテロアリール、ヒドロキシアルキル、アルキル、−S(O)−アルキル、−C(O)NRもしくはヘテロアリールで置換されていてもよいアルキル
からなる群から選ばれ、Het環上の隣接する炭素原子は任意選択的にメチレンジオキシ基と環を形成することができるものとし;
およびRが独立に、水素、ハロゲン、アルキル、フルオロアルキル、ジフルオロアルキル、トリフルオロアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルコキシ、アリールアルキル、アリールアルケニル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アミン、アミノアルキル、アリール、チオヒドロキシ、CNおよびチオアルキルからなる群から選ばれ;または
窒素に結合している場合のRおよびRが一緒になって、−O−、−N−、−S−、−S(O)−、−S(O)−および
【0015】
【化48】

から選ばれる1乃至3個のヘテロ原子と共に4乃至10原子の単環式もしくは二環式複素環を形成し(但し、環上のSおよびO原子は互いに隣接しないものとする)、該複素環は置換されていないか、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシおよびアリールアルコキシから独立に選ばれる1個以上の基で置換されているものとし;
が水素、アルキルまたはフェニルであり;
が水素またはアルキルであり;
16およびR16aが独立に、水素、アルキル、フェニルおよびベンジルからなる群から選ばれ;
16bが水素、
アルコキシ、
アルキル、
アルコキシアルキル−、
22−O−C(O)−アルキル−、
シクロアルキル、
21−アリール、
21−アリールアルキル、
ハロアルキル、
アルケニル、ハロ置換アルケニル、
アルキニル、ハロ置換アルキニル、
21−ヘテロアリール、(R21−ヘテロアリール)−アルキル、(R21−ヘテロシクロアルキル)−アルキル−、
2829N−アルキル−、R2829N−C(O)−アルキル−、R2829N−C(O)O−アルキル−、R28OC(O)N(R29)−アルキル−、R28S(O)N(R29)−アルキル−、R2829N−C(O)−N(R29)−アルキル−、R2829N−S(O)N(R29)−アルキル−、R28−C(O)N(R29)−アルキル−、R2829N−S(O)−アルキル−、HOS(O)−アルキル−、(OH)P(O)−アルキル−、R28−S−アルキル−、R28−S(O)−アルキル−
またはヒドロキシアルキルであり;
17が水素、アルキル、フェニルおよびベンジルからなる群から選ばれ;
18およびR19が水素、アルキル、アリール、R21−アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アルコキシアルキル、ハロアルコキシアルキル、アリールオキシアルキル、アリールアルコキシアルキル、ヘテロアリールオキシアルキル、ヘテロアリールアルコキシアルキル、シクロアルキルオキシアルキル、(ヘテロシクリル)アルキルオキシアルキル、アルコキシアルキルオキシアルキル、−S(O)−アルキル、−C(NH)NR、または
シクロアルキル、
ハロゲン、
ヒドロキシ、
−NR、−NRC(O)R、−NRC(O)NR、−NRC(O)OR、−NRS(O)
−NRS(O)NR、−C(O)OH、−C(O)ORおよび−C(O)NR
からなる群から独立に選ばれる1個または2個の部分で置換されているアルキルであり; 或いは
18およびR19がこれらの結合している窒素と共に、−O−、−N−、−S−、−S(O)−、−S(O)−および
【0016】
【化49】

からなる群から選ばれる1乃至3個のヘテロ環原子を有する4乃至10個原子の単環式または二環式複素環を形成し(但し、SおよびO原子は互いに隣接しないものとする)、該環は置換されていないか、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アリールアルコキシ、
−NR、−NRC(O)R、−NRC(O)NR、−NRC(O)OR、−NRS(O)、−NRS(O)NR、−C(O)OR、−C(O)NRおよび−NR、−NRCOR、−NRCONR、−NRC(O)OR、−NRS(O)、−NRS(O)NR、−C(O)ORまたは−CONRで置換されているアルキル
から独立に選ばれる1個以上の基で置換されているものとし;
21が1乃至3個の部分であり、R21がそれぞれ独立に、水素、−CN、−CF、−OCF、ハロゲン、−NO、アルキル、−OH、アルコキシ、アルキルアミノ−、ジ−(アルキル)アミノ−、−NR2526アルキル−、ヒドロキシアルキル−、
−C(O)OR17、−COR17、−NHCOR16、−NHS(O)16、−C(NH)−NH、−NHS(O)CHCF、−C(O)NR2526、−NR25−C(O)−NR2526、−S(O)R16、−S(O)16、−SR16、−SONRおよび−CONR
からなる群から選ばれ;
或いは隣接する2個のR21部分がメチレンジオキシ基を形成することができ;
22が水素、アルキル、フェニル、ベンジル、−COR16、−CO−NR1819、−COR23、−S(O)R31、−S(O)31、−S(O)NR2425または−C(O)OR27であり;
23
【0017】
【化50】

であり、R35およびR36は独立に、水素、アルキル、およびR37置換アルキルからなる群から選ばれるものとし、
37はHO−、HS−、CHS−、−NH、フェニル、p−ヒドロキシフェニルおよびインドリルからなる群から選ばれるものとし;
或いは、R23がアルキル、
ハロアルキル、
アルケニル、
ハロアルケニル、
アルキニル、
シクロアルキル、
シクロアルキルアルキル、
アルコキシアルキル、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アリールアルコキシ、−NR、−NRC(O)R、−NRC(O)NR、−NRC(O)OR、−NRS(O)、−NRS(O)NR、−C(O)OH、−C(O)ORおよび−CONRからなる群から独立に選ばれる1乃至3個の置換基によって置換されているシクロアルキル、
アリール、
アラルキル、
ヘテロアリール、
ヘテロシクロアルキル、または
−NR、−NRCOR、−NRCONR、−NRC(O)OR、−NRS(O)R、−NRS(O)NR、−C(O)OH、−C(O)OR、−CONRもしくは−SOHでちかんされているアルキル
であり;
24、R25およびR26が独立に、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、ハロシクロアルキル、アルコキシアルキル、ヒドロキシおよびアルコキシからなる群から選ばれ;
27が1乃至3個の部分であり、R27がそれぞれ独立に、水素、アルキルおよびシクロアルキルからなる群から選ばれ、R27がアルキルまたはシクロアルキルである場合はR27は−OH、−C(O)OH、ハロゲンまたはアルコキシで置換されていてもよいものとし;
28およびR29が独立に、水素、アルキル、アルコキシ、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキルおよびハロアルキルからなる群から選ばれ;或いは
28およびR29が一緒になって3乃至6環原子を有するスピロ環またはヘテロスピロ環を形成し;
32およびR33が独立に、水素、R34−アルキル、R34−アルケニル、R34−アルキニル、R40−ヘテロシクロアルキル、R38−アリール、R38−アラルキル、R42−シクロアルキル、R42−シクロアルケニル、−OH、−OC(O)R43、−C(O)OR43、−C(O)R43、−C(O)NR4344、−NR4344、−NR43C(O)R44、−NR43C(O)NR4445、−NHS(O)43、−OC(O)NR4344、R37−アルコキシ、R37−アルケニルオキシ、R37−アルキニルオキシ、R40−ヘテロシクロアルキルオキシ、R42−シクロアルキルオキシ、R42−シクロアルケニルオキシ、R42−シクロアルキル−NH−、−NHSONHR16および−CH(=NOR17)からなる群から選ばれ;
或いは、R32およびR10がこれらの結合している炭素と共に、または、R33およびR11がこれらの結合している炭素と共に、独立に3乃至10原子のR42置換炭素環を形成し;
または、4乃至10原子のR42置換複素環であって、R32およびR10が環を形成するかR33およびR11が環を形成する場合に前記任意の二重結合が存在しないという条件で、1乃至3個の環構成員が独立に−O−、−NH−およびSO0−2−からなる群から選ばれる置換複素環を形成し;
42が水素、−OH、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、NHおよびハロゲンからなる群から独立に選ばれる1乃至3個の置換基であり;
或いは、R32およびR33が結合して下記式:
【0018】
【化51】

における環構造Qを形成し、
式中
は水素、−OH、(C−C)アルコキシ、ハロゲン、ハロ(C−C)アルキル、アミン、チオヒドロキシ、(C−C)アルキルまたはCNであり;
Qは、O、S、S(O)、S(O)およびNR22から独立に選ばれる1乃至3個のヘテロ原子を含む4乃至8個原子の融合R−置換アリール、R−置換ヘテロアリール、R−置換複素環(但し、SとOは互いと隣接できないものとする)であり;或いは、
Qは、
【0019】
【化52】

であり;
式中、R13はそれぞれ独立に、水素、アルキル、シクロアルキル、ハロアルキル、ハロゲン、−(CHn6NHC(O)OR16b、−(CHn6NHC(O)R16b、−(CHn6NHC(O)NR、−(CHn6NHSO16、−(CHn6NHSONRおよび−(CHn6C(O)NR2829(式中、n6は0乃至4である)から選ばれ;
14はそれぞれ独立に、水素、アルキル、−OH、アルコキシ、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ハロゲン、ハロアルキル、−(CHn6NHC(O)OR16b、−(CHn6NHC(O)R16b、−(CHn6NHC(O)NR、−(CHn6NHSO16、−(CHn6NHSONRおよび−(CHn6C(O)NR2829(式中、n6は0乃至4である)からなる群から選ばれ;RおよびRは独立に、水素、アルキル、フェニル、ベンジルおよびシクロアルキルからなる群から選ばれ;
或いは、RおよびRは一緒になってこれらの結合する窒素と環を形成することができ、RおよびRにより形成される該環は=O、−OH、−ORまたは−C(O)OHで置換されていてもよく;
或いは、R13およびR14は一緒になって3乃至6環原子のスピロ環またはヘテロスピロ環を形成し、該ヘテロスピロ環は炭素環原子を2乃至5個ならびにO、SおよびNからなる群から選ばれるヘテロ環原子を1または2個含有するものとし;
10およびR11は独立に、環Qが芳香族でR10およびR11を有する炭素原子同士が二重結合によって結合されている場合にはR10およびR11は存在しないという条件で、Rおよび−ORからなる群から選ばれるものとし;または
Rは1乃至5個の部分であり、Rはそれぞれ独立に、水素、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミン、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルコキシ、−COR16、−C(O)OR17、−C(O)NR、−SOR16、−S(O)R16、−NR16COR16a、−NR16C(O)OR16a、−NR16CONR、−NR16S(O)NR、フルオロアルキル、ジフルオロアルキル、トリフルオロアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリールアルキル、アリールアルケニル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、アリール、チオヒドロキシ、CNおよびチオアルキルからなる群から選ばれるものとし;
34が1乃至3個の部分であり、R34 がそれぞれ独立に、水素、ハロゲン、−OH、アルコキシ、R47−アリール、アルキル−C(O)−、アルケニル−C(O)−、アルキニル−C(O)−、ヘテロシクロアルキル、R39−シクロアルキル、R39−シクロアルケニル、−OC(O)R43、−C(O)OR43、−C(O)R43、−C(O)NR4344、−NR4344、−NR43C(O)R44、−NR43C(O)NR4445、−NHSO43、−OC(O)NR4344、R39−アルケニルオキシ、R39−アルキニルオキシ、R40−ヘテロシクロアルキルオキシ、R42−シクロアルキルオキシ、R42−シクロアルケニルオキシ、R42−シクロアルキル−NH−、−NHSONHR16および−CH(=NOR17)からなる群から選ばれ;
38が1乃至3個の部分であり、R38がそれぞれ独立に、水素、ヘテロシクロアルキル、ハロゲン、−C(O)OR48、−CN、−C(O)NR4950、−NR51C(O)R52、−OR48、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルキルシクロアルキル、ハロアルキルシクロアルキルアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキルおよびR52−ヘテロアリールからなる群から選ばれ;または、隣接している環炭素上の2個のR38基が融合メチレンジオキシ基を形成し;
39が1乃至3個の部分であり、R39がそれぞれ独立に、水素、ハロゲンおよびアルコキシからなる群から選ばれ;
40が1乃至3個の部分であり、R40がそれぞれ独立に、水素、R41−アルキル、R41−アルケニルおよびR41−アルキニルからなる群から選ばれ;
41が水素、−OHまたはアルコキシであり;
42が1乃至3個の部分であり、R42がそれぞれ独立に、水素、アルキル、−OH、アルコキシおよびハロゲンからなる群から選ばれ;
43、R44およびR45が独立に、水素、アルキル、アルコキシアルキル、R38−アリールアルキル、R46−シクロアルキル、R53−シクロアルキルアルキル、R38−アリール、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキルアルキルおよびヘテロアリールアルキルからなる群から選ばれ;
46が水素、アルキル、ヒドロキシアルキルまたはアルコキシであり;
47が1乃至3個の部分であり、R47がそれぞれ独立に、水素、アルキル、−OH、ハロゲン、−CN、アルコキシ、トリハロアルコキシ、アルキルアミノ、ジ(アルキル)アミノ、−OCF、ヒドロキシアルキル、−CHO、−C(O)アルキルアミノ、−C(O)ジ(アルキル)アミノ、−NH、−NHC(O)アルキルおよび−N(アルキル)C(O)アルキルからなる群から選ばれ;
48が水素、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキルまたはトリフルオロアルキルであり;
49およびR50が独立に、水素、アルキル、アラルキル、フェニルおよびシクロアルキルからなる群から選ばれ、或いは、R49およびR50が一緒になって−(CH−、−(CH−または−(CH−NR39−(CH−となり、これらが結合している窒素と環を形成し;
51およびR52が独立に、水素、アルキル、アラルキル、フェニルおよびシクロアルキルからなる群から選ばれ、或いは、−NR39C(O)R40基中のR51およびR52がこれらの結合している窒素原子と共に5乃至8環構成員を有する環状ラクタムを形成し;
53が水素、アルキル、アルコキシ、−SOR16、−SO17、−C(O)OR17、−C(O)NR1819、アルキル、ハロゲン、フルオロアルキル、ジフルオロアルキル、トリフルオロアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アラルキル、アリールアルケニル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、アリール、チオアリール、アルコキシアルキルまたはアルキルアミノアルキルであり;
ならびに
54
水素、
アルキル、
フルオロアルキル、
ジフルオロアルキル、
トリフルオロアルキル、
シクロアルキル、
アルコキシアルキル、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アリールアルコキシ、−NR、−NRC(O)R、−NRC(O)NR、−NRC(O)OR、−NRS(O)、−NRS(O)NR、−C(O)OH、−C(O)ORおよびCONRからなる群から選ばれる1乃至3個の置換基によって置換されているシクロアルキル、
アルケニル、
アルコキシ、
アリールアルキル、
アリールアルケニル、
ヘテロアリールアルキル、
ヘテロアリールアルケニル、
ヒドロキシル、
アルコキシ、
ヒドロキシアルキル、
アルコキシアルキル、
アミノアルキル、
アリール、
ヘテロアリール、
チオアルキル、および
尿素、スルホンアミド、カルボキサミド、カルボン酸、カルボン酸エステルおよびスルホニル尿素からなる群から独立に選ばれる1乃至3個の置換基によって置換されているアルキルからなる群から選ばれる
化合物或いは該化合物の医薬用として許容可能な塩、溶媒和物またはエステル。
【0020】
また、少なくとも1種の式Iの化合物および医薬用に許容可能な担体を含有する医薬組成物も提供する。本発明の化合物は、心血管系もしくは循環器系の疾患もしくは症状、炎症性の疾患もしくは症状、気道の疾患もしくは症状、癌、急性腎不全、星状細胞増加症、肝、腎、肺もしくは腸管の線維症、アルツハイマー病、糖尿病、糖尿病性神経障害、関節リウマチ、神経変性疾患、神経毒疾患、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、骨粗しょう症、緑内障、黄斑変性症、乾癬、放射線線維症、内皮機能不全、創傷もしくは脊髄損傷、またはこれらの症候もしくは結果を治療するためのトロンビン受容体アンタゴニストまたはPAR−1アンタゴニストとして有用であり得る。
【0021】
本発明のトロンビン受容体アンタゴニスト化合物は、抗血栓、抗血小板凝集、抗アテローム硬化、抗再狭窄および/または抗凝固活性を有することができる。本発明の化合物によって治療されるトロンビン関連疾患としては、血栓症、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、高血圧、狭心症、不整脈、心不全、心筋梗塞、糸球体腎炎、血栓性および血栓塞栓溶解性脳卒中、末梢血管疾患、他の心血管疾患、脳虚血、炎症性疾患および癌、ならびにトロンビンとその受容体が病理学的役割を演じている他の疾患が挙げられる。
【0022】
また、本発明の一部の実施態様は、少なくとも1種の式Iの化合物を1種以上の他の心血管作用剤と組合せて使用する方法に関する。このような組み合わせは、血栓症、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、高血圧、狭心症、血管新生関連疾患、不整脈、心血管系もしくは循環器系の疾患もしくは症状、心不全、心筋梗塞、糸球体腎炎、血栓性脳卒中、血栓塞栓溶解性脳卒中、末梢血管疾患、脳虚血、関節リウマチ、リウマチ、星状細胞増加症、肝、腎、肺もしくは腸管の線維症、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、骨粗しょう症、糸球体腎炎、腎疾患、急性腎不全、慢性腎不全、腎血管ホメオスタシス、腎虚血、膀胱の炎症、糖尿病、糖尿病性神経障害、脳卒中、脳虚血、腎炎、癌、メラノーマ、腎細胞癌、神経疾患および/または悪性腫瘍、神経変性および/または神経毒疾患、症状もしくは障害、炎症、喘息、緑内障、黄斑変性症、乾癬、肝、腎もしくは肺の、内皮機能不全症、肺および胃腸管の炎症性疾患、気道の疾患もしくは症状、放射線線維症、内皮機能不全、歯周病、または創傷もしくは脊髄損傷、或いはこれらの徴候または結果を治療するのに有用であり得る。本発明の組合せは、列挙した疾患の2種類以上を治療するのに有用な場合があることが企図されている。
【0023】
また、医薬用として許容可能な担体中に、少なくとも1種の式Iの化合物と少なくとも1種の他の心血管作用剤との組合せの治療的有効量を含有する医薬組成物も提供する。
【0024】
さらに、本発明の組合せは、単一包装容器中に少なくとも1種の式Iの化合物を含有する医薬組成物と心血管作用薬を含有する少なくとも1種の別の医薬組成物を含むキットとして提供できることが企図されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
詳細な説明
1実施態様として、本発明は、構造式Iで表される化合物であって、その種々の部分が上記のとおりである化合物またはその医薬用として許容可能な塩、溶媒和物もしくはエステルを提供する。
【0026】
式Iの化合物について、式Iの化合物の実施の形態は以下の通りである:
【0027】
【化53】

式Iの化合物の別の実施の形態は以下の通りである:
【0028】
【化54】

【0029】
【化55】

【0030】
【化56】

【0031】
【化57】

式Iの化合物の別の実施の形態として、
Aが
【0032】
【化58】

であり;
Gが−O−、−(CR)−またはNRであり;
Uが−(CR)−であり;
Jが−(CR)−であり;
KがCRまたは−N−であり;
10およびR11がHであり;
R32およびR33が結合して環構造Qを形成し、Qはシクロヘキシルであるものとし;
Bが−(CH)nCR12=CR12a(CH)nであり、nおよびnは0、R12およびR12aは水素であるものとし;
Hetがアリール、Wで置換されているアリール、ヘテロアリールまたはWで置換されているヘテロアリールであり;
Wが、ハロゲン、アルキル、CF、CN、OHまたは−Oアルキルを含有する1乃至3個の部分で置換されているアリールである
化合物。
【0033】
式Iの化合物の別の実施の形態として、
Aが
【0034】
【化59】

であり;
Gが−O−、−(CR)−またはNRであり;
Uが−(CR)−であり;
Jが−(CR)−であり;
KがCRまたは−N−であり;
32およびR33が結合して環構造Qを形成し、Qはアリールであるものとし;
Bが−(CH)nCR12=CR12a(CH)nであり、nおよびnは0、R12およびR12aは水素であるものとし;
Hetがアリール、Wで置換されているアリール、ヘテロアリールまたはWで置換されているヘテロアリールであり;
Wが、ハロゲン、アルキル、CF、CN、OHまたは−Oアルキルを含有する1乃至3個の部分で置換されているアリールである
化合物。
【0035】
式Iの化合物の別の実施の形態として、
Aが
【0036】
【化60】

であり;
Gが−O−であり;
Uが−(CH)−であり;
Jが−(CH)−であり;
KがCHであり;
10およびR11がHであり;
32およびR33が結合して環構造Qを形成し、Qはシクロヘキシルであるものとし;
Bが−(CH)nCR12=CR12a(CH)nであり、nおよびnは0、R12およびR12aは水素であるものとし;
Hetが
【0037】
【化61】

であり;
Wが
【0038】
【化62】

である化合物またはその医薬用として許容可能な塩、溶媒和物もしくはエステル。
【0039】
式Iの化合物の別の実施の形態として、
Aが
【0040】
【化63】

であり;
Gが−O−であり;
Uが−(CH)−であり;
Jが−(CH)−であり;
KがCHであり;
32およびR33が結合して環構造Qを形成し、Qはアリールであるものとし;
Bが−(CH)nCR12=CR12a(CH)nであり、nおよびnは0、R12およびR12aは水素であるものとし;
Hetが
【0041】
【化64】

であり;
Wが
【0042】
【化65】

である化合物。
【0043】
式Iの化合物の好ましい実施の形態として、
Aが
【0044】
【化66】

であり;
Gが−O−であり;
Uが−(CH)−であり;
Jが−(CH)−であり;
KがCHであり;
10およびR11がHであり;
32およびR33が結合して環構造Qを形成し、Qはシクロヘキシルであるものとし;
Bが−(CH)nCR12=CR12a(CH)nであり、nおよびnは0、R12およびR12aは水素であるものとし;
Hetが
【0045】
【化67】

であり;
Wが
【0046】
【化68】

である化合物。
【0047】
式Iの化合物の別の好ましい実施の形態として、
Aが
【0048】
【化69】

であり;
Gが−O−であり;
Uが−(CH)−であり;
Jが−(CH)−であり;
KがCHであり;
32およびR33が結合して環構造Qを形成し、Qはフェニルであるものとし;
Bが−(CH)nCR12=CR12a(CH)nであり、nおよびnは0、R12およびR12aは水素であるものとし;
Hetが
【0049】
【化70】

であり;
Wが
【0050】
【化71】

である化合物。
【0051】
式Iの化合物のさらに別の好ましい実施の形態は以下の通りである:
【0052】
【化72】

【0053】
【化73】

【0054】
【化74】

【0055】
【化75】

【0056】
【化76】

【0057】
【化77】

【0058】
【化78】

式Iの化合物の他の好ましい実施の形態は以下の通りである:
【0059】
【化79】

または、これらの医薬用として許容可能な塩、溶媒和物もしくはエステル。
【0060】
上記および本開示内容全体を通して用いた次の用語は、特に示さない限り、以下の意味を有すると理解されるものとする:
「患者」にはヒトおよび動物の両方が含まれる。
【0061】
「哺乳類」とは、ヒトおよびその他の哺乳動物を意味する。
【0062】
「アルキル」とは、直鎖状であっても分枝状であってもよい、鎖中に約1乃至約20個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素基を意味する。このアルキル基は鎖中に約1乃至約12個の炭素原子を含むことが好ましい。より好ましくは、このアルキル基は鎖中に約1乃至約6個の炭素原子を含む。分枝状とは、メチル、エチル、プロピルなどの1個以上の低級アルキル基が直鎖状アルキル鎖に結合していることを意味する。「低級アルキル」とは、直鎖状であっても分枝状であってもよいその鎖中に約1乃至約6個の炭素原子を有する基を意味する。「アルキル」は、置換されていなくてもよく、或いは、同一または異なる1個以上の置換基であってそれぞれハロ、アルキル、アリール、シクロアルキル、シアノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アミノ、−NH(アルキル)、−NH(シアノアルキル)、−N(アルキル)、カルボキシおよび−C(O)O−アルキルからなる群から独立に選ばれる置換基によって任意選択的に置換されていてもよい。好適なアルキル基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルおよびt−ブチルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0063】
「アルケニル」とは、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含み、直鎖状でも分枝状でもよい、鎖中に約2乃至約15個の炭素原子を含有する脂肪族炭化水素基を意味する。このアルケニル基は、その鎖中に、好ましくは約2乃至約12個の炭素原子、より好ましくは約2乃至約6個の炭素原子を有する。分枝状とは、メチル、エチル、プロピルなどの1個以上の低級アルキル基が直鎖状アルケニル鎖に結合していることを意味する。「低級アルケニル」とは、直鎖状であっても分枝状であってもよいその鎖中の約2乃至約6個の炭素原子を意味する。「アルケニル」は、置換されていなくてもよく、或いは、同一または異なる1個以上の置換基であってそれぞれハロ、アルキル、アリール、シクロアルキル、シアノ、アルコキシおよび−S(アルキル)からなる群から独立に選ばれる置換基によって任意選択的に置換されていてもよい。好適なアルケニル基の例としては、エテニル、プロペニル、n−ブテニル、3−メチルブト−2−エニル、n−ペンテニル、オクテニルおよびデセニルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0064】
「アルキレン」とは、上記で定義したアルキル基から水素原子を除去してえられる二官能基を意味する。アルキレンの例としては、メチレン、エチレンおよびプロピレンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0065】
「アルキニル」とは、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含み、直鎖状でも分枝状でもよい、鎖中に約2乃至約15個の炭素原子を含有する脂肪族炭化水素基を意味する。このアルキニル基は、その鎖中に、好ましくは約2乃至約12個の炭素原子、より好ましくは約2乃至約4個の炭素原子を有する。分枝状とは、メチル、エチル、プロピルなどの1個以上の低級アルキル基が直鎖状アルキニル鎖に結合していることを意味する。「低級アルキニル」とは、直鎖状であっても分枝状であってもよいその鎖中に約2乃至約6個の炭素原子を有する基を意味する。好適なアルキニル基の例としては、エチニル、プロビニル、2−ブチニルおよび3−メチルブチニルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。「アルキニル」は、置換されていなくてもよく、或いは、同一または異なる1個以上の置換基であってそれぞれアルキル、アリールおよびシクロアルキルからなる群から独立に選ばれる置換基によって任意選択的に置換されていてもよい。
【0066】
「アリール」とは、約6乃至約14個の炭素原子、好ましくは約6乃至約10個の炭素原子を含む単環式または多環式芳香族環系を意味する。このアリール基は、同一でも異なってもよい、本明細書で定義した通りの1個以上の「環系置換基」で任意選択的に置換さていてもよい。好適なアリール基の例としては、フェニルおよびナフチルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0067】
「ヘテロアリール」とは、約5乃至約14個の環原子、好ましくは約5乃至約10個の環原子を含む単環式または多環式芳香族環系であって、その環原子の1個以上が炭素以外の元素、例えば、窒素、酸素もしくは硫黄の単独または組合せである芳香族環系を意味する。このヘテロアリールは約5乃至約6個の環原子を含むことが好ましい。この「ヘテロアリール」は、同一でも異なってもよい、本明細書で定義した通りの1個以上の「環系置換基」で任意選択的に置換されていてもよい。ヘテロアリールのルート名の前の接頭語アザ、オキサまたはチアとは、それぞれ少なくとも1つの窒素、酸素または硫黄が環原子として存在することを意味する。ヘテロアリールの窒素原子は、対応するN−オキシドに任意選択的に酸化されていてもよい。好適なヘテロアリールの例としては、ピリジル、ピラジニル、フラニル、チエニル、ピリミジニル、ピリドン(N−置換ピリドンを含む)、イソキサゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、フラザニル、ピロリル、ピラゾリル、トリアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、キノキサリニル、フタラジニル、オキシンドリル、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、イミダゾ[2,1−b]チアゾリル、ベンゾフラザニル、インドリル、アザインドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチエニル、キノリニル、イミダゾリル、チエノピリジル、キナゾリニル、チエノピリミジル、ピロロピリジル、イミダゾピリジル、イソキノリル、ベンゾアザインドリル、1,2,4−トリアジニル、ベンゾチアゾリルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、「ヘテロアリール」という用語は、例えば、テトラヒドロイソキノリル、テトラヒドロキノリルなどのような部分飽和ヘテロアリール部分をも指す。
【0068】
「アラルキル」または「アリールアルキル」とは、アリールおよびアルキルが前述の通りであるアリール−アルキル基を意味する。このアラルキルは、好ましくは低級アルキル基を有する。好適なアラルキル基の例としては、ベンジル、2−フェネチルおよびナフタレニルメチルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。親部分への結合はこのアルキルを介して行われる。
【0069】
「アルキルアリール」とは、アルキルおよびアリールが前述の通りであるアルキル−アリール基を意味する。このアルキルアリールは、好ましくは低級アルキル基を有する。好適なアルキルアリールの例はトリルであるが、これに限定されるものではない。親部分への結合はこのアリールを介して行われる。
【0070】
「シクロアルキル」とは、約3乃至約10個の炭素原子、好ましくは約5乃至約10個の炭素原子を含む単環式または多環式非芳香族環系を意味する。このシクロアルキル環は、好ましくは約5乃至約7個の環原子を含む。このシクロアルキルは、同一でも異なってもよい、前述した通りの1個以上の「環系置換基」で任意選択的に置換されていてもよい。好適な単環式シクロアルキルの例としては、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロへブチルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。好適な多環式シクロアルキルの例としては、1−デカリニル、ノルボルニル、アダマンチルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0071】
「シクロアルキルアルキル」とは、親コアに(先に定義した)アルキル部分を介して結合した、先に定義した通りのシクロアルキル部分を意味する。好適なシクロアルキルアルキルの例としては、シクロヘキシルメチル、アダマンチルメチルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0072】
「シクロアルケニル」とは、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含む、約3乃至約10個の炭素原子、好ましくは約5乃至約10個の炭素原子を有する単環式または多環式非芳香族環系を意味する。このシクロアルケニル環は、好ましくは約5乃至約7環原子を含む。このシクロアルケニルは、同一でも異なってもよい、前述した通りの1個以上の「環系置換基」で任意選択的に置換されていてもよい。好適な単環式シクロアルケニルの例としては、シクロペンタニル、シクロヘキセニル、シクロヘプタ−1,3−ジエニルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。好適な多環式シクロアルケニルの例はノルボミレニル(norbomylenyl)であるが、これに限定されるものではない。
【0073】
「シクロアルケニルアルキル」とは、親コアに(先に定義した)アルキル部分を介して結合した、先に定義した通りのシクロアルケニル部分を意味する。好適なシクロアルケニルアルキルの例としては、シクロペンテニルメチル、シクロヘキセニルメチルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0074】
「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味する。フッ素、塩素および臭素が好ましい。
【0075】
「環系置換基」とは、芳香族または非芳香族環系に結合している置換基であって、例えば、この環系上の可利用水素に置換している置換基を意味する。環系置換基は、同一又であっても異なっていてもよく、それぞれ独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アルキルアリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキニル、アルキルヘテロアリール、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、アシル、アロイル、ハロ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、アラルキルチオ、ヘテロアラルキルチオ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、−C(=N−CN)−NH、−C(=NH)−NH、−C(=NH)−NH(アルキル)、YN−、YN−アルキル−、YNC(O)−、YNSO−および−SONY (但し、YおよびYは、同一又であっても異なっていてもよく、水素、アルキル、アリール、シクロアルキルおよびアラルキルからなる群から独立に選ばれる)からなる群から選ばれる。また、「環系置換基」は、ある環系の隣接する2個の炭素原子上の2個の可利用水素(各炭素上の1個の水素)に同時に置換する単一の部分を意味する場合もある。このような部分の例は、例えば、
【0076】
【化80】

などの部分を構成するメチレンジオキシ、エチレンジオキシ、−C(CH−などである。
【0077】
「ヘテロアリールアルキル」とは、親コアに(先に定義した)アルキル部分を介して結合した、先に定義した通りのヘテロアリール部分を意味する。好適なヘテロアリールの例としては、2−ピリジニルメチル、キノリニルメチルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0078】
「ヘテロシクリル」とは、約3乃至約10個の環原子、好ましくは約5乃至約10個の環原子を含む単環式または多環式非芳香族飽和環系であって、この環系のこれらの原子の1個以上が炭素以外の元素、例えば、窒素、酸素もしくは硫黄の単独または組合せである環系を意味する。この環系には隣接する酸素および/または硫黄原子は存在しない。ヘテロシクリルのルート名の前の接頭語アザ、オキサまたはチアとは、それぞれ少なくとも1つの窒素、酸素または硫黄が環原子として存在することを意味する。ヘテロシクリル環中のどの−NHも、例えば、−N(Boc)、−N(CBz)、−N(Tos)などの基として保護されて存在する場合があり、このような保護も本発明の一部と考えられる。このヘテロシクリルは、同一でも異なってもよい、本明細書で定義した通りの1個以上の「環系置換基」で任意選択的に置換されていてもよい。ヘテロシクリルの窒素または硫黄原子は、対応するN−オキシド、S−オキシドまたはS,S−ジオキシドに任意選択的に酸化されていてもよい。好適な単環式ヘテロシクリル環の例としては、ピペリジル、ピロリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、チアゾリジニル、1,4−ジオキサニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ラクタム、ラクトンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0079】
「ヘテロシクリルアルキル」とは、親コアに(先に定義した)アルキル部分を介して結合した、先に定義した通りのヘテロシクリル部分を意味する。好適なヘテロシクリルアルキルの例としては、ピペリジニルメチル、ピペラジニルメチルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0080】
「ヘテロシクレニル」とは、約3乃至約10個の環原子、好ましくは約5乃至約10個の環原子を有する単環式または多環式非芳香族環系であって、この環系中のこれらの原子の1個以上が炭素以外の元素、例えば、窒素、酸素もしくは硫黄原子の単独または組合せであり、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合または炭素−窒素二重結合を含む環系を意味する。この環系には隣接する酸素および/または硫黄原子は存在しない。このヘテロシクレニル環は、好ましくは約5乃至約6個の環原子を含む。ヘテロシクレニルのルート名の前の接頭語アザ、オキサまたはチアとは、それぞれ少なくとも1つの窒素、酸素または硫黄が環原子として存在することを意味する。このヘテロシクレニルは、先に定義した通りの1個以上の「環系置換基」で任意選択的に置換されていてもよい。このヘテロシクレニルの窒素または硫黄原子は、対応するN−オキシド、S−オキシドまたはS,S−ジオキシドに任意選択的に酸化されていてもよい。好適なヘテロシクレニル基の例としては、1,2,3,4−テトラヒドロピリジン、1,2−ジヒドロピリジル、1,4−ジヒドロピリジル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジン、1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、2−ピロリニル、3−ピロリニル、2−イミダゾリニル、2−ピラゾリニル、ジヒドロイミダゾール、ジヒドロオキサゾール、ジヒドロオキサジアゾール、ジヒドロチアゾール、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン、ジヒドロフラニル、フルオロジヒドロフラニル、7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプテニル、ジヒドロチオフェニル、ジヒドロチオピラニルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0081】
「ヘテロシクレニルアルキル」とは、親コアに(先に定義した)アルキル部分を介して結合した、先に定義した通りのヘテロシクレニル部分を意味する。
【0082】
本発明のヘテロ原子含有環系においては、N、OもしくはSに隣接した炭素原子上に水酸基は存在せず、また、NもしくはS基が結合している炭素原子に別のヘテロ原子が隣接することはないことに留意されたい。従って、例えば、次の環:
【0083】
【化81】

には、2および5と印した炭素に直接結合する−OHは存在しない。
【0084】
また、例えば次の部分:
【0085】
【化82】

のような互変異性型は、本発明の一部の実施態様として互いに同等とみなされることにも留意されたい。
【0086】
「アルキニルアルキル」とは、そのアルキニルおよびアルキルが前述した通りであるアルキニル−アルキル基を意味する。このアルキニルアルキルは、好ましくは低級アルキニル基および低級アルキル基を含有する。親部分への結合はこのアルキルを介して行われる。好適なアルキニルアルキルの例としては、プロパルギルメチルが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0087】
「ヘテロアラルキル」とは、そのヘテロアリールおよびアルキルが前述した通りであるヘテロアリール−アルキル基を意味する。このヘテロアラルキルは、好ましくは低級アルキル基を含有する。好適なアラルキル基の例としては、ピリジルメチルおよびキノリン−3−イルメチルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。親部分への結合はこのアルキルを介して行われる。
【0088】
「ヒドロキシアルキル」とは、そのアルキルが先に定義した通りであるOH−アルキル基を意味する。このヒドロキシアルキルは、好ましくは低級アルキルを含有する。好適なヒドロキシアルキルとしては、ヒドロキシメチルおよび2−ヒドロキシエチルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0089】
「アシル」とは、H−C(O)−、アルキル−C(O)−またはシクロアルキル−C(O)−基を意味し、これらの中の各種の基は前述の通りである。親部分への結合はこのカルボニルを介して行われる。このアシルは、好ましくは低級アルキルを含有する。好適なアシル基の例としては、ホルミル、アセチルおよびプロパノイルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0090】
「アロイル」とは、そのアリール基が前述の通りであるアリール−C(O)−基を意味する。親部分への結合はこのカルボニルを介して行われる。好適な基の例としては、ベンゾイルおよび1−ナフトイルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0091】
「アルコキシ」とは、そのアルキル基が前述の通りであるアルキル−O−基を意味する。好適なアルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシおよびn−ブトキシが挙げられるが、これらに限定されるものではない。親部分への結合はこのエーテル酸素を介して行われる。
【0092】
「アリールオキシ」とは、そのアルキル基が前述の通りであるアリール−O−基を意味する。好適なアリールオキシ基の例としては、フェノキシおよびナフトキシが挙げられるが、これらに限定されるものではない。親部分への結合はこのエーテル酸素を介して行われる。
【0093】
「アラルキルオキシ」とは、そのアラルキル基が前述の通りであるアラルキル−O−基を意味する。好適なアラルキルオキシ基の例としては、ベンジルオキシおよび1もしくは2−ナフタレンメトキシが挙げられるが、これらに限定されるものではない。親部分への結合はこのエーテル酸素を介して行われる。
【0094】
「アルキルチオ」とは、そのアルキル基が前述の通りであるアルキル−S−基を意味する。好適なアルキルチオ基の例としては、メチルチオおよびエチルチオが挙げられるが、これらに限定されるものではない。親部分への結合はこの硫黄を介して行われる。
【0095】
「アリールチオ」とは、そのアリール基が前述の通りであるアリール−S−基を意味する。好適なアリールチオ基の例としては、フェニルチオおよびナフチルチオが挙げられるが、これらに限定されるものではない。親部分への結合はこの硫黄を介して行われる。
【0096】
「アラルキルチオ」とは、そのアラルキル基が前述の通りであるアラルキル−S−基を意味する。好適なアラルキルチオ基の例はベンジルチオであるが、これに限定されるものではない。親部分への結合はこの硫黄を介して行われる。
【0097】
「アルコキシカルボニル」とは、アルキル−O−CO−基を意味する。好適なアルコキシカルボニル基の例としては、メトキシカルボニルおよびエトキシカルボニルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。親部分への結合はこのカルボニルを介して行われる。
【0098】
「アリールオキシカルボニル」とは、アリール−O−C(O)−基を意味する。好適なアリールオキシカルボニル基としては、フェノキシカルボニルおよびナフトキシカルボニルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。親部分への結合はこのカルボニルを介して行われる。
【0099】
「アラルコキシカルボニル」とは、アラルキル−O−C(O)−基を意味する。好適なアラルコキシカルボニル基の例はベンジルオキシカルボニルであるが、これに限定されるものではない。親部分への結合はこのカルボニルを介して行われる。
【0100】
「アルキルスルホニル」とは、アルキル−S(O)−基を意味する。この基は、好ましくは低級アルキルである基である。親部分への結合はこのスルホニルを介して行われる。
【0101】
「アリールスルホニル」とは、アリール−S(O)−基を意味する。親部分への結合はこのスルホニルを介して行われる。
【0102】
「置換されている」という用語は、指定された原子上の1個以上の水素が、その指定原子の存在する状況下での標準原子価を超えないこと、および置換により安定な化合物を生じることという条件で、示された群から選択されるもので置換されることを意味する。置換基および/または変数の組合せは、そのような組合せが安定な化合物を生じる場合にのみ許容される。「安定な化合物」もしくは「安定な構造」とは、反応混合物からの有用な程度の純度での単離および有効な治療剤への製剤化に耐えるのに十分な堅牢性を有する化合物を意味する。
「置換されていてもよい」という用語は、特定の基、ラジカルまたは部分による任意選択的な置換を意味する。
【0103】
化合物について「精製した」、「精製した状態の」または「単離・精製した状態の」という用語は、該化合物を合成工程もしくは天然源またはこれらの組合せから単離した後のその物理的状態のことを指す。従って、化合物について「精製した」、「精製した状態の」または「単離・精製した状態の」という用語は、精製工程または本明細書に記載もしくは当業者に周知の工程から、本明細書に記載もしくは当業者に周知の標準的な分析技術により特性を決定できるのに十分な純度で得た後の該化合物の物理的状態のことを指す。
【0104】
また、本明細書の本文、図式、実施例および表中の満たされない結合価を有する全ての炭素およびヘテロ原子はこの結合価を満たすに十分な水素原子数を有すると仮定されていることに留意されたい。
【0105】
化合物中のある官能基が「保護されている」と呼ぶ時、これは、この化合物を反応に供した場合にその保護されている部位での望ましくない副反応を防ぐためにその基が修飾された状態にあることを意味する。保護基は、当業者によって、また、例えば、T. W. Greene et al., Protective Groups in organic Synthesis (1991), Wiley, New Yorkなどの標準的な教科書によって認められるものであることが好ましい。
【0106】
何らかの成分または式Iにおいて何らかの変数(例えば、アリール、複素環、Rなど)が2回以上出現する場合、各出現時のその定義は、ほかの全ての出現時のその定義から独立している。
【0107】
本明細書で用いている「組成物」という用語は、特定の各成分を特定の各量で含む生成物、および各特定量の各特定成分の組合せから直接的または間接的に得られる任意の生成物を包含するものである。
【0108】
また、本明細書では、本発明の化合物のプロドラッグおよび溶媒和物も企図されている。プロドラッグについての検討は、T. Higuchi, V. Stella, Pro−drugs as Novel Delivery Systems (1987) 14 of the A.C.S. Symposium SeriesおよびBioreversible Carriers in Drug Design, (1987) Edward B. Roche, ed., American Pharmaceutical Association and Pergamon Pressに示されている。「プロドラッグ」という用語は、イン・ビボで変換されて式Iの化合物またはこの化合物の医薬用として許容可能な塩、水和物もしくは溶媒和物を生じる化合物(例えば、薬物前駆体)を意味する。この変換は、例えば、血中での加水分解を介するなどの種々のメカニズムによって(例えば、代謝的もしくは化学的プロセスによって)生じ得る。プロドラッグの利用についての検討は、T. Higuchi, W. Stella, ”Pro−drugs as Novel Delivery Systems,” Vol. 14 of the A.C.S. Symposium SeriesおよびBioreversible Carriers in Drug Design, ed. Edward B. Roche, American Pharmaceutical Association and Pergamon Press, 1987に示されている。
【0109】
例えば、式Iの化合物またはこの化合物の医薬用として許容可能な塩、水和物もしくは溶媒和物がカルボン酸官能基を含む場合、プロドラッグは、例えば以下のような基でこの酸基の水素原子を置換することにより形成されるエステルを含むことができる:(C−C)アルキル、(C−C12)アルカノイルオキシメチル、炭素原子数4乃至9の1−(アルカノイルオキシ)エチル、炭素原子数5乃至10の1−メチル−1−(アルカノイルオキシ)−エチル、炭素原子数3乃至6のアルコキシカルボニルオキシメチル、炭素原子数4乃至7の1−(アルコキシカルボニルオキシ)エチル、炭素原子数5乃至8の1−メチル−1−(アルコキシカルボニルオキシ)エチル、炭素原子数3乃至9のN−(アルコキシカルボニル)アミノメチル、炭素原子数4乃至10の1−(N−アルコキシカルボニル)アミノ)エチル、3−フタリジル、4−クロトノラクトニル、ガンマ−ブチロラクトン−4−イル、ジ−N,N−(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル(β−ジメチルアミノエチルなど)、カルバモイル−(C−C)アルキル、N,N−ジ(C−C)アルキルカルバモイル−(C1−C2)アルキル、およびピペジニノ−、ピロリジノもしくはモルホリノ(C−C)アルキル。
【0110】
同様に、式Iの化合物がアルコール官能基を含む場合、プロドラッグは、例えば以下のような基でこのアルコール基の水素原子を置換することにより形成することができる:(C−C)アルカノイルオキシメチル、1−((C−C)アルカノイルオキシ)エチル、1−メチル−1−((C−C)アルカノイルオキシ)エチル、(C−C)アルコキシカルボニルオキシメチル、N−(C−C)アルコキシカルボニルアミノメチル、サクシニル、(C−C)アルカノイル、α−アミノ(C−C)アルカニル、アリールアシルおよびα−アミノアシルまたはα−アミノアシル−α−アミノアシル(但し、各α−アミノアシル基は天然型L−アミノ酸群から独立に選ばれる)、P(O)(OH)、−P(O)(O(C−C)アルキル)またはグリコシル(ヘミアセタール型炭水化物の水酸基の除去から生じる基)。
【0111】
式Iの化合物にアミン官能基が組み込まれている場合には、プロドラッグは、例えば以下のような基でこのアミン基の水素原子を置換することにより形成することができる:R−カルボニル、RO−カルボニル、NRR’−カルボニル(但し、RおよびR’はそれぞれ独立に(C−C10)アルキル、(C−C)シクロアルキルもしくはベンジルであり、またはR−カルボニルは天然型α−アミノアシルもしくは天然型α−アミノアシルである)、−C(OH)C(O)OY(但し、YはH、(C−C)アルキルもしくはベンジルである)、−C(OY)Y(但し、Yは(C−C)アルキルであり、Yは(C−C)アルキル、カルボキシ(C−C)アルキル、アミノ(C−C)アルキルまたはモノ−N−もしくはジ−N,N−(C−C)アルキルアミノアルキルである)、−C(Y)Y(但し、YはHもしくはメチル、Yはモノ−N−もしくはジ−N,N−(C−C)アルキルアミノモルホリノ、ピペリジン−1−イル或いはピロリジン−1−イル)など。
【0112】
本発明の化合物の1種以上は非溶媒和の状態および水、エタノールなどの医薬用として許容可能な溶媒による溶媒和の状態で存在することができ、従って、本発明は溶媒和および非溶媒和の両方の状態を包含するものである。「溶媒和物」とは、本発明の化合物と1種以上の溶媒分子との物理的結合体を意味する。この物理的結合は、水素結合を含む種々の程度のイオンおよび共有結合を伴う。ある場合には、この溶媒和物は、例えば、その結晶固体の結晶格子中に1種以上の溶媒分子が組み込まれている場合、単離可能である。「溶媒和物」は、溶液相溶媒和物および単離可能溶媒和物の両方を包含する。好適な溶媒和物の例としては、エタノラート、メタノラートなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。「水和物」は、上記溶媒分子がHOである溶媒和物である。
【0113】
本発明の化合物の1種以上は任意選択的に溶媒和物へ変換することができる。溶媒和物の調製方法は一般的に知られている。すなわち、例えば、M. Caira et al., J. Pharmaceutical Sci., 93(3), 601−611 (2004)には、および水によるほか、酢酸エチルを用いた抗真菌剤フルコナゾールの溶媒和物の調製について記載されている。同様に、溶媒和物、半溶媒和物、水和物などの調製についてE. C. van Tonder et al, AAPS Pharm Sci Tech., 5(1), article 12 (2004)およびA. L. Bingham et al., Chem. Commun., 603−604 (2001)に記載されている。典型的な工程は、本発明の化合物を室温より高い温度で所望の量の所望の溶媒(有機溶媒もしくは水またはこれらの混合液)に溶解し、この溶液を結晶を形成するのに十分な速度で冷却し、次いで、生じた結晶を標準的な方法で単離するものであるが、これに限定されるものではない。分析技術、例えば、赤外分光法によって、溶媒和物(水和物)としての結晶中に溶媒(水)の存在が明らかにされている。
【0114】
「有効量」または「治療的有効量」とは、前記の疾患を抑制し、従って、所望の治療、改善、抑制もしくは予防効果を生じるのに有効な本発明の化合物もしくは組成物の量を表すものである。
【0115】
式Iの化合物は塩を形成することができるが、この塩も本発明の範囲内にある。本明細書において式Iの化合物という表現は、特に示さない限り、その塩という表現を包含するものと解釈される。本明細書で用いている「塩」という用語は、無機および/または有機酸で形成された酸性塩、ならびに無機および/または有機塩基で形成された塩基性塩を意味する。さらに、式Iの化合物が塩基性部分(例えば、ピリジンもしくはイミダゾール類が挙げられるが、これらに限定されるものではない)および酸性部分(例えば、カルボン酸が挙げられるが、これに限定されるものではない)を含む場合、両性イオン(「分子内塩」)が形成され、これは本明細書で用いられている「塩」という用語の範囲内に包含される。塩としては、医薬用として許容可能な(すなわち、毒性のない、生理的に許容可能な)塩が好ましいが、他の塩も有用である。式Iの化合物の塩は、例えば、式Iの化合物を当量のような量の酸もしくは塩基と、得られる塩が沈殿するような媒質もしくは水性媒質中で反応させた後、凍結乾燥することによって形成される。
【0116】
酸付加塩の例としては、酢酸塩、アスコルビン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、硫酸水素塩、ホウ酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、樟脳塩、樟脳スルホン酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、リン酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トルエンスルホン酸塩(トシレートとしても知られている)などが挙げられる。さらに、塩基性医薬化合物から医薬用として有用な塩を形成するのに好適と一般に考えられている酸については、P. Stahl et al., Camille G. (eds.) Handbook of Pharmaceutical Salts. Properties, Selection and Use. (2002) Zurich:Wiley−VCH; S. Berge et al., Journal of Pharmaceutical Sciences (1977) 66(l) 1−19;P. Gould, International J. of Pharmaceutics (1986) 33 201−217;Anderson et al., The Practice of Medicinal Chemistry (1996), Academic Press, New York;およびThe Orange Book (Food & Drug Administration, Washington, D.C.のホームページ)において検討されている。これらの開示内容については引用により本明細書に組み込まれている。
【0117】
塩基性塩の例としては、アンモニウム塩、ナトリウム、リチウムおよびカリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウムおよびマグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、(例えば、有機アミンである)ジシクロヘキシルアミン、t−ブチルアミンなどの有機塩基との塩、ならびにアルギニン、リジンなどのアミノ酸との塩などが挙げられる。塩基性含窒素基は、ハロゲン化低級アルキル(例えば、塩化、臭化およびヨウ化メチル、エチルおよびブチル)、硫酸ジアルキル(例えば、硫酸ジメチル、ジエチルおよびジブチル)、長鎖ハロゲン化物(例えば、塩化、臭化およびヨウ化デシル、ラウリルおよびステアリル)、ハロゲン化アラルキル(例えば、臭化ベンジルおよびフェネチル)などの薬品で四級化されていてもよい。
【0118】
そのような酸塩および塩基塩は全て、本発明の範囲内の医薬用として許容可能な塩であり、全ての酸塩および塩基塩は本発明においてはフリー型の対応化合物と同等とみなされる。
【0119】
本化合物の医薬用として許容可能なエステルとしては、次のグループが挙げられる:(1)水酸基のエステル化により得られるカルボン酸エステルであって、このエステル基のカルボン酸部分の非カルボニル部分が直鎖もしくは分枝鎖アルキル(例えば、アセチル、n−プロピル、t−ブチル、もしくはn−ブチル)、アルコキシアルキル(例えば、メトキシメチル)、アラルキル(例えば、ベンジル)、アリールオキシアルキル(例えば、フェノキシメチル)、アリール(例えば、ハロゲン、C1−4アルキルまたはC1−4アルコキシまたはアミノなどで置換されていてもよいフェニル)から選ばれるカルボン酸エステル類;(2)アルキル−もしくはアラルキルスルホニル(例えば、メタンスルホニル)などのスルホン酸エステル類;(3)アミノ酸エステル類(例えば、L−バリルもしくはL−イソロイシル);(4) ホスホン酸エステル類;および(5)モノ−、ジ−もしくはトリリン酸エステル類。上記のリン酸エステル類はさらに、例えば、C1−20アルコールもしくはその反応性誘導体、または2,3−ジ(C6−24)アシルグリセロールによってエステル化されていてもよい。
【0120】
式Iの化合物ならびにその塩、溶媒和物、エステルおよびプロドラッグは、互変異性型(例えば、アミドもしくはイミド)として存在することができる。このような互変異性体は全て、本明細書では本発明の一部として企図されている。
【0121】
式Iの化合物は、不斉中心またはキラル中心を含んでいてもよく、従って、種々の立体異性体として存在することができる。式Iの化合物の全ての立体異性体および、ラセミ混合物を含むこれらの混合物は、本発明の一部を構成するものである。さらに、本発明は、全ての幾何および位置異性体を包含する。例えば、式Iの化合物に二重結合または融合環が組み込まれている場合、シスおよびトランス体の両者ならびにこれらの混合物は本発明の範囲に包含される。
【0122】
ジアステレオマー混合物は、当業者に周知の方法、例えば、クロマトグラフィーおよび/または分別晶出により物理化学的相違に基づいて個々のジアステレオマーに分離することができる。エナンチオマー混合物は、適切な光学活性化合物(例えば、キラルアルコールやモシャー酸塩化物のようなキラル助剤)と反応させてこれをジアステレオマー混合物に変換し、このジアステレオマー混合物を分離し、個々のジアステレオマーを対応する純粋なエナンチオマーに変換(加水分解)することによって、分離することができる。また、式Iの化合物の一部はアトロプ異性体(例えば、置換ビアリール)であってもよく、これも本発明の一部とみなされる。また、エナンチオマー混合物はキラルHPLCカラムを用いることによっても分離することができる。
【0123】
また、式Iの化合物は種々の互変異性体として存在する可能性があるが、このような型は全て本発明の範囲に包含される。また、例えば、本化合物のケト−エノールおよびイミン−エナミン体も全て本発明に含まれる。
【0124】
エナンチオマー体(不斉炭素がなくても存在する場合がある)、回転異性体、アトロープ異性体およびジアステレオマー体を含む、各種置換基の不斉炭素のために存在し得るものなどの、本化合物(本化合物の塩、溶媒和物、エステルおよびプドラッグならびにこのプロドラッグの塩、溶媒和物およびエステルの立体異性体を含む)の全ての立体異性体(例えば、幾何異性体、光学異性体など)は、位置異性体(例えば、4−ピリジルおよび3−ピリジルなど)と同様、本発明の範囲内に企図されている。本発明の化合物の個々の立体異性体は、例えば、実質的に他の異性体を含まなくてもよく、あるいは、例えば、ラセミ体として混合されていても、または他の全ての、もしくは他の選ばれた立体異性体と混合されていてもよい。本発明のキラル中心は、1974年版IUPAC推奨で定義されているSまたはR配置を有し得る。「塩」、「溶媒和物」、「エステル」、「プロドラッグ」などの用語の使用は、本発明化合物のエナンチオマー、立体異性体、回転異性体、互変異性体、位置異性体、ラセミ体またはプロドラッグの塩、溶媒和物、エステルおよびプロドラッグに等しく当てはまるものである。
【0125】
また、本発明は、1個以上の原子が通常天然に存在する原子質量または質量数と異なる原子質量または質量数を有する原子により置換されているという事実以外は、本明細書に記載のものと同一である本発明化合物の同位体標識体も包含する。本発明の化合物に組み込むことができる同位体の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素および塩素の同位体、例えば、それぞれH、H、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18Fおよび36Clが挙げられる。
【0126】
式Iの化合物の一部の同位体標識体(例えば、H標識体および14C標識体)は、化合物および/または基質組織分布アッセイ法において有用である。トリチウム(すなわち、H)同位体および炭素−14(すなわち、14C)同位体は、調製および検出が容易なため特に好ましい。さらに、重水素(すなわち、H)などのより重い同位体で置換すると、代謝安定性の増大(例えば、イン・ビボ半減期の延長または必要投与量の減少)によるある治療上の利点が得られる場合があり、従って、ある状況の下では好ましいことがある。式Iの化合物の同位体標識体は、一般に、後述のスキームおよび/または実施例に開示した手順に類似の手順に従い、非同位体標識試薬の代わりに適切な同位体標識試薬を用いることによって調製することができる。
【0127】
式Iの化合物ならびに式Iの化合物の塩、溶媒和物、エステルおよびプロドラッグの多形体は、本発明に含まれるものである。
【0128】
本発明の化合物の薬理学的性質。
【0129】
さらに別の実施態様として、本発明は、本発明の化合物を有効成分として含む医薬組成物を調製する方法を開示する。本発明の医薬組成物および方法では、この有効成分は通常、対象とする投与形態、すなわち、経口錠剤、カプセル剤(固体充填、半固体充填もしくは液体充填)、構成用粉末、経口ゲル剤、エリキシル剤、分散性顆粒剤、シロップ剤、懸濁剤などに対して適切に選ばれ、従来の調剤慣行に合った適切な担体物質と混合して投与されることになる。例えば、錠剤もしくはカプセル剤として経口投与する場合、この有効薬剤成分は、経口用で毒性のない、医薬用として許容可能な任意の不活性担体、例えば、乳糖、澱粉、白糖、セルロース、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、タルク、マンニトール、エチルアルコール(液状)などと組み合わせることができる。さらに、所望もしくは必要に応じて、この混合物に適切な結合剤、滑沢剤、崩壊剤および着色剤を混和することもできる。散剤および錠剤は、約5乃至約95パーセントの本発明組成物を含むことができる。
【0130】
好適な結合剤としては、澱粉、ゲラチン、天然糖、コーンシロップ、アカシアなどの天然もしくは合成ガム、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコールおよびワックスが挙げられる。滑沢剤の中でも、これらの投与形態での使用の場合、ホウ酸、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどを挙げることができる。崩壊剤としては、澱粉、メチルセルロース、ガーゴムなどが挙げられる。
【0131】
また、必要に応じて甘味剤、矯味矯臭剤および防腐剤も含有させることができる。上記した用語の一部、すなわち、崩壊剤、希釈剤、滑沢剤、結合剤などについては、以下でさらに詳しく述べる。
【0132】
さらに、本発明の組成物を徐放性製剤として製剤化することにより諸成分もしくは有効諸成分の任意の1種以上の放出の速度制御を可能にし、治療効果、すなわち、トロンビン受容体アンタゴニスト活性などを最大限に高めることができる。徐放のための好適な投与形態としては、種々の崩壊速度の層を含む層状錠剤、または有効成分を含浸させた徐放性ポリマー・マトリックスであってこのような含浸もしくはカプセル化した多孔性ポリマー・マトリックスを含む錠剤状もしくはカプセルの形態にしたマトリックスが挙げられる。
【0133】
液状製剤としては、液剤、懸濁剤および乳化剤が挙げられる。例としては、注射剤における水溶液もしくは水−プロピレングリコール溶液、または経口液剤、懸濁剤および乳化剤における甘味剤およびおしゃぶりの追加を挙げることができる。また、液状製剤としては、鼻腔内投与用の液剤も挙げることができる。
【0134】
吸入に適したエアロゾル製剤としては、液剤および粉末状の固形剤を挙げることができ、これらは不活性圧縮ガス、例えば、窒素などの医薬用として許容可能な担体と併用するができる。
【0135】
坐剤を調製するには、先ずカカオ脂などの脂肪酸グリセリド類の混合物のような低融点ワックスを溶融し、これに有効成分を攪拌もしくは同様な混和により均一に分散させる。次いで、この溶融した均一な混合液を都合よい大きさの型に注入し、冷却させることにより固化させる。
【0136】
また、使用直前に経口または非経口投与用の液状製剤に変換するための固形状製剤も挙げられる。このような液状剤型としては、液剤、懸濁剤および乳化剤が挙げられる。
【0137】
また、本発明の化合物は経皮的に送達可能なものとすることもできる。こうした経皮投与組成物は、クリーム剤、ローション剤、エアロゾル剤および/または乳化剤の形態をとることができ、また、この目的のために当技術分野で慣行的であるように、マトリクスもしくはリザーバタイプの経皮貼付剤に含ませることができる。
【0138】
また、本発明の化合物は、経口、静脈内、鼻腔内または皮下投与することもできる。
【0139】
また、本発明の化合物は、単位投与形態の製剤を構成することもできる。このような形態では、製剤は、有効成分の適切な量、例えば、所望の目的を達成するために効果的な量を含む適切な大きさの用量にさらに分割される。
【0140】
製剤の単位投与量における本発明の活性組成物の量は、特定の用途に応じて、一般に約1.0ミリグラムから約1,000ミリグラムまで、好ましくは約1.0から約950ミリグラムまで、さらに好ましくは約1.0から約500ミリグラムまで、典型的には約1から約250ミリグラムまで変化させたり調整することができる。実際に用いられる投与量は、患者の年齢、性、体重および治療すべき症状の重篤性によって変えることができる。このような手法は当業者に周知である。
【0141】
一般に、本有効成分を含有するヒト用の経口投与剤型は、1日当たり1または2回投与することができる。投与の量および頻度は、担当臨床医の判断に従って調節されることになる。経口投与の場合、一般的に推奨される1日の用法・用量は、1回または分割用量として、1日当たり約1.0ミリグラムから約1,000ミリグラムまでの範囲とすることができる。
【0142】
以下に、有用な用語をいくつか説明する:
カプセル−有効成分を含む組成物を保持または含有させるための、メチルセルロース、ポリビニルアルコールまたは変性ゼラチンもしくは澱粉でできた特殊な容器またはエンクロージャのことを指す。硬殻カプセルは通常、比較的ゲル強度の高い骨および豚皮ゼラチンのブレンドでできている。カプセル自体には、少量の色素、不透明化剤、可塑剤および保存剤を含ませることができる。
【0143】
錠剤−有効成分を適切な希釈剤と共に含有する圧縮または成形固形の剤型のことを指す。この錠剤は、湿式造粒、乾式造粒または圧密法によって得られる混合物または造粒物の圧縮によって作製することができる。
【0144】
経口ゲル剤−有効成分を親水性半固形マトリクスに分散または可溶化したものを指す。
【0145】
構成用粉末とは、水またはジュースに懸濁させることができる、有効成分および適切な希釈剤を含む粉末ブレンドのことを指す。
【0146】
希釈剤−通常、組成物または剤型の大部分を構成する物質のことを指す。好適な希釈剤としては、乳糖、白糖、マンニトール、ソルビトールなどの糖;小麦、トウモロコシおよびジャガイモ由来の澱粉;ならびに微結晶性セルロースなどのセルロースが挙げられる。組成物中の希釈剤の量は、全組成物の約10から約90重量%まで、好ましくは約25から約75重量%まで、さらに好ましくは約30から約60重量%まで、さらに好ましくは約12から約60重量%までの範囲とすることができる。
【0147】
崩壊剤−組成物に添加されてこれが粉々になる(崩壊する)のを促進し薬剤を放出させる物質のことを指す。好適な崩壊剤としては、澱粉;デンプングリコール酸ナトリウムなどの「冷水可溶性」化工澱粉;ローカストビーン、カラヤ、ガー、トラガカント、寒天などの天然および合成ガム;メチルセルロース、カルボキシルメチルセルロースナトリウムなどのセルロース誘導体;微結晶性セルロースおよびクロスカルメロースナトリウムなどの架橋微結晶性セルロース;アルギン酸、アルギン酸ナトリウムなどのアルギン酸類;ベントナイトなどの粘土;ならびに発泡性混合物が挙げられる。組成物中の崩壊剤の量は、組成物の約2から約15重量%まで、好ましくは約4から約10重量%までの範囲とすることができる。
【0148】
結合剤−粉末同士を結合または「接着」させ、顆粒を形成させることによりこれらを凝集性にし、従って、製剤化において「接着剤」として働く物質のことをいう。結合剤は、希釈剤または増量剤においてすでに利用可能な凝集強さを増加させる。好適な結合剤としては、白糖などの糖;小麦、トウモロコシ、米およびジャガイモ由来の澱粉;アカシア、ゼラチン、トラガントなどの天然ガム;アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウムアンモニウムなどの海藻の誘導体;メチルセルロース、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース系物質;ポリビニルピロリドン;およびケイ酸アルミウニムマグネシウムなどの無機物質が挙げられる。組成物中の結合剤の量は、組成物の約2から約20重量%まで、好ましくは約3から約10重量%まで、さらに好ましくは約3から約6重量%までの範囲とすることができる。
【0149】
滑沢剤−剤型に添加されることによって圧縮後の錠剤、顆粒などが、摩擦もしくは摩耗を減らすことで鋳型もしくは金型から離型するのを可能にする物質のことを意味する。好適な滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸カリウムなどのステアリン酸金属塩;ステアリン酸;高融点ワックス;ならびに塩化ナトリウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ポリエチレングリコールおよびd,l−ロイシンなどの水溶性滑沢剤が挙げられる。滑沢剤は、顆粒の表面およびこれと打錠機の部品との間に存在しなければならないので、圧縮前の最も最後の工程で添加されるのが通常である。組成物中の滑沢剤の量は、組成物の約0.2から約5重量%まで、好ましくは約0.5から約2重量%まで、さらに好ましくは約0.3から約1.5重量%までの範囲とすることができる。
【0150】
グリデント−ケーキングを防止し、造粒物の流動特性を流動が円滑かつ均一となるよう改善する物質。好適なグリデントとしては、二酸化ケイ素およびタルクが挙げられる。組成物中のグリデントの量は、全組成物の約0.1から約5重量%まで、好ましくは約0.5から約2重量%までの範囲とすることができる。
【0151】
着色剤−組成物または剤型を着色させる賦形剤。このような賦形剤としては、食品用色素、および白土もしくは酸化アルミニウムなどの適切な吸着体上に吸着させた食品用色素を挙げることができる。着色剤の量は、組成物の約0.1から約5重量%まで、好ましくは約0.1から約1重量%まで変化させることができる。
【0152】
生物学的利用能−標準または対照と比べた場合の、有効薬剤成分または治療成分がある投与剤型から全身循環中に吸収される率および程度のことを指す。
【0153】
錠剤を作製する通常の方法は既知である。このような方法としては、直接圧縮、圧密化によって得られる造粒物の圧縮などの乾式方法、または湿式方法、あるいは他の特殊な方法が挙げられる。また、他の投与剤型、例えば、カプセル剤、坐剤などを作製する通常の方法も周知のものである。
【0154】
複合療法をこれを必要としている患者に施行する場合、組み合わせる治療剤、またはこれらの治療剤を含む1種もしくは複数の組成物を、例えば、逐次的、併用的、同時的などの任意の順序で投与することができる。このような複合療法における各有効成分の量は、異なる量(投与量)でも同一量(投与量)でもよい。また、「医薬組成物」という用語は、任意の医薬として不活性な賦形剤と共に、1種を超える(例えば、2種の)医薬として活性な薬剤、例えば、本発明の化合物および本明細書に記載した別の薬剤のリストから選ばれる別の薬剤からなるバルク組成物および個々の投与単位の両方を包含するものである。バルク組成物および各個々の投与単位は、上記「1種を超える医薬として活性な薬剤」の一定量を含有することができる。バルク組成物とは、個々の投与単位にまだ形成されていないものである。投与単位の実例は、錠剤、丸剤などの経口投与単位である。同様に、また、本発明の医薬組成物を投与することにより患者を治療する本明細書に記載の方法は、上記バルク組成物および個々の投与単位の投与を包含するものである。従って、例示として、式Iの化合物および抗ウイルス剤を一定量(投与量)で単一の投与単位(例えば、カプセル、錠剤など)に含有させることができる。一定量の2種の活性化合物を含有するこのような単一投与単位の市販例は、バイトリン(VYTORIN)(登録商標)(メルク・シェリング−プラウ・ファーマスーティカルズ(Merck Schering−Plough Pharmaceuticals)、ケニルワース(Kenilworth)、ニュージャージー州)である。
【0155】
前述のように、本発明は、本発明化合物の互変異性体、回転異性体、エナンチオマーおよび他の立体異性体をも包含する。従って、当業者なら理解するように、本発明化合物の一部は、適切な異性体として存在することができる。このような変形形態は、本発明の範囲内にあることが企図されている。
【0156】
本発明の別の実施態様では、本明細書に開示した化合物の製造方法を開示する。これらの化合物は、当該分野で既知のいくつかの技術によって製造することができる。例示的な手順を以下の反応スキキームで概説する。この例示は、添付の特許請求の範囲において定義されている本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。他の機構経路および類似の構造が存在することは当業者には明瞭に理解されよう。
【実施例】
【0157】
スキーム1
【0158】
【化83】

あるいは、
【0159】
【化84】

本発明に記載の目的化合物の合成は、セリンメチルエステル1で出発するスキーム1で説明しており(ここで留意すべきは、本発明はD−セリンメチルエステルで出発しているが、同様な化学反応を用いL−セリンメチルエステルで出発することにより、請求の範囲に記載されている発明の他の実施の形態を得ることができる)、このエステルに対してベンズアルデヒド2による還元的アミノ化を行うと、N−ベンジル化セリン誘導体3が得られた。このN−ベンジル化セリン誘導体3をカルボニルジイミダゾールで処理すると、カルボニルジイミダゾールメチルエステル4が得られた。この化合物4のメチルエステルをBBrを用いて脱保護した後、塩化オキサリル処理し、この処理により酸塩化物の形成が媒介された。この酸塩化物をフリーデル−クラフツ反応させることにより三環性ケトン6が得られた。6を二ヨウ化サマリウムで処理すると、ヨード三環式化合物が形成され、これを塩基と反応させると、エポキシド8が得られ、さらにこれを水素化分解開環させた後、デス・マーチン酸化することによりアルデヒド10が得られた。エモンズ・ワズワース(Emmons−Wadsworth)反応の条件下でアルデヒド10をホスホン酸エステル11と縮合させると、オレフィン12および13が得られた。あるいは、8をロジウムを用いて触媒的に還元することによりパーヒドロイソキノリン誘導体14を得ることができ、これを上記プロトコルを用いて最終産物16に変換することができた。
実施例1:10−{2−[5−(3−フルオロ−フェニル)−ピリジン−2−イル]−ビニル}−1,5,10,10a−テトラヒドロ−オキザゾロ[3,4−b]イソキノリン−3−オンの作製
工程1:
【0160】
【化85】

D−セリン(7.71g、49mmol)、ベンズアルデヒド(7.6mL、74mmol)およびNaCNBH(9.1g、147mmol)の混合物をMeOH(50mL)中で週末にかけて攪拌した。この混合物を200mLのエーテル中に注ぎ込み、飽和NaHCOで洗浄した後、NaHCOで乾燥した。溶媒を除去し、残渣のメチルエステル(化合物3)をカラムクロマトグラフィーで精製してこのメチルエステルを3.41g得た。
【0161】
工程2:
【0162】
【化86】

工程1のメチルエステル生成物(3.41g、16.3mmol)を80mLのCHClおよび40mLの酢酸エチルに溶解した。この溶液に1,1−カルボニルジイミダゾール(3.5g、21.6mmol)を加え、室温で1時間攪拌した。この溶液から溶媒を除去し、残渣のカルボニルジイミダゾールメチルエステルをさらにカラムクロマトグラフィーで精製してカルボニルジイミダゾールメチルエステルを2.5g得た。
【0163】
工程3:
【0164】
【化87】

工程2のカルボニルジイミダゾールメチルエステル(2.3g、9.78mmol)を10mLのCHClに溶解した後、0°Cで1N BBrを加えた。この溶液を室温で一夜撹拌した後、水中に注ぎ入れ、酢酸エチルで抽出した。この抽出液をMgSOで乾燥した後、溶媒を除去して粗カルボン酸(化合物5)を2.1g得た。
【0165】
工程4:
【0166】
【化88】

上記の粗カルボン酸(1g、4.5mmol)を15mlのCHClに溶解し、0°Cまで冷却した。この溶液に塩化オキサリル(1mL、9.2mmol)を加え、室温で2時間攪拌した。溶媒を除去し、残渣として粗生成物を得た。この粗生成物を20mlのCHClに加えた後、AlCl(1.3g、10mmol)を加えた。この反応混液を窒素雰囲気中2時間加熱還流した後、室温まで冷却し、CHClで希釈した。この塩化メチレン希釈液を水で洗浄し、MgSOで乾燥し、カラムクロマトグラフィーで精製して三環性ケトン(化合物6)を0.34g得た。
【0167】
工程5:
【0168】
【化89】

この三環性ケトン(化合物6)(290mg、1.4mmol)およびCHClのTHF(10mL)溶液を、0°CでN雰囲気下乾燥THF(6mL)中にサマリウム(1.3g、8.55mmol)を懸濁して調製したサマリアン溶液に滴下した。この混液を0°Cで2時間攪拌した後、1N HClで洗浄し、MgSOで乾燥した。次いで、この混合物をカラムクロマトグラフィーで精製してヨード三環式化合物(化合物7)を73mg得た。
【0169】
工程6:
【0170】
【化90】

このヨウ化メチル三環式誘導体(化合物7)(320mg、0.93mmol)をN雰囲気下室温でTHF(5mL)に溶解し、55%NaH(166mg、2.4mmol)を加えた。この反応混液を一夜撹拌し、得られた三環性エポキシドをさらにカラムクロマトグラフィーで精製して三環性エポキシド(化合物8)を150mg得た。
【0171】
工程7:
【0172】
【化91】

上記の三環性エポキシド(化合物8)(150mg、0.69mmol)を酢酸エチル(8mL)中10%Pd/C(200mg)を用い1気圧(約14psi)Hで4時間水素添加し、得られたヒドロキシメチル三環式化合物(化合物9)をさらにカラムクロマトグラフィーで精製して化合物9を100mg得た。
【0173】
工程8:
【0174】
【化92】

上記のヒドロキシメチル三環式化合物(化合物9)(44mg、0.2mmol)をCHCl(4mL)に加えた後、デス・マーチン試薬(136mg、0.32mmol)およびNaHCO(27mg、0.32mmol)を加えた。この反応混液を室温で2時間40分攪拌し、飽和Na溶液(20mL)と混合した。次いで、この混液をCHClで抽出し、MgSOで乾燥した。溶媒を除去して粗三環性アルデヒド(化合物10)を得、これを精製しないで次の工程に用いることとした。
【0175】
工程9:
【0176】
【化93】

THF(3mL)に[5−(3−フルオロ−フェニル)−ピリジン−2−イルメチル]−ホスホン酸ジエチルエステル(化合物11)(162mg、0.5mmol)を溶かした溶液を氷浴で0°Cまで冷却した後、2.5M n−BuLi(0.2mL、0.5mmol)を加え、これを0°Cで15分間攪拌した後、チタンテトライソプロポキシド(Ti(O−iPr))(142mg、0.5mol)を加え、この反応混液を室温まで加温することにより反応混液を調製した。この混液に工程8からの粗三環性アルデヒド(化合物10)のTHF(3mL)溶液を加えた。粗三環性アルデヒド(化合物10)を含有するこの反応混液を室温で一夜攪拌した後、酢酸エチル(50mL)で希釈し、飽和酒石酸カリウムナトリウムで洗浄し、MgSOで乾燥してカラムクロマトグラフィーで分離することにより、ベンジルの炭素において異性体である目的化合物12および13が得られた。目的化合物12:387(M+1);トロンビン受容体アンタゴニスト活性:1μMで27%阻害、および13:387(M+1);トロンビン受容体アンタゴニスト活性:1μMで15%阻害。
【0177】
実施例2:10−{2−[5−(3−フルオロ−フェニル)−ピリジン−2−イル]−ビニル}デカヒドロ−オキサゾロ[3,4−b]イソキノリン−3−オン
工程7b:
【0178】
【化94】

あるいは、三環性エポキシド(化合物8)(40mg、0.18mmol)を200mgの5%Rh/C触媒と共にメタノール(5mL)に溶解した。酢酸(0.2mL)を加え、この反応混液に対し、中圧(45乃至50psi)で一夜水素添加を行った。触媒を反応混液から濾過し、溶媒を除去してヒドロキシ−メチル三環系化合物(化合物14)(35mg)を得た。
【0179】
工程8b:
【0180】
【化95】

上記のヒドロキシ−メチル三環系化合物(化合物14)(60mg、0.27mmol)をCHCl(4mL)に溶解した後、デス・マーチン試薬(136mg)およびNaHCO(27mg)を加えた。この反応混液を室温で2.5時間攪拌し、その後、飽和Na溶液を加えた。この反応混液を15分間攪拌した後、CHClで抽出し、MgSOで乾燥した。次に、この混液をカラムクロマトグラフィーで精製して三環性アルデヒド(化合物15)を16mg得た。
【0181】
工程9b:
【0182】
【化96】

THF(3mL)に[5−(3−フルオロ−フェニル)−ピリジン−2−イルメチル]−ホスホン酸ジエチルエステル(化合物11)(162mg、0.5mmol)を溶かした溶液を氷浴で0°Cまで冷却した後、2.5M n−BuLi(0.2mL、0.5mmol)を加え、これを0°Cで15分間攪拌した後、チタンテトライソプロポキシド(Ti(O−iPr))(142mg、0.5mol)を加え、この反応混液を室温まで加温することにより反応混液を調製した。この混液に工程8bからの粗三環性アルデヒド(化合物15)のTHF(3mL)溶液を加えた。粗三環性アルデヒド(化合物10)を含有するこの反応混液を室温で一夜攪拌した後、酢酸エチル(50mL)で希釈し、飽和酒石酸カリウムナトリウムで洗浄し、MgSOで乾燥してカラムクロマトグラフィーで分離することにより、生成物(化合物16)を25mg得た。16:393(M+1)、(目的化合物16(トロンビン受容体Ki=12nM))。
【0183】
本発明の別の実施態様は、式Iの化合物を少なくとも1種の別の心血管作用剤と共に投与することを包含する。この企図されている別の心血管作用剤は、式Iの化合物とは原子組成もしくは配列が異なるものである。本発明の新規化合物との組合せで用いることができる別の心血管作用剤としては、抗血栓、抗血小板凝集、抗アテローム性動脈硬化、抗再狭窄および/または抗凝固活性を有する薬剤が挙げられる。このような薬剤は、血栓症、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、高血圧、狭心症、血管新生関連疾患、不整脈、心血管系もしくは循環器系の疾患もしくは症状、心不全、心筋梗塞、糸球体腎炎、血栓性脳卒中、血栓塞栓溶解性脳卒中、末梢血管疾患、脳虚血、関節リウマチ、リウマチ、星状細胞増加症、肝、腎、肺もしくは腸管の線維症、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、骨粗しょう症、糸球体腎炎、腎疾患、急性腎不全、慢性腎不全、腎血管ホメオスタシス、腎虚血、膀胱の炎症、糖尿病、糖尿病性神経障害、脳卒中、脳虚血、腎炎、癌、メラノーマ、腎細胞癌、神経疾患および/または悪性腫瘍、神経変性および/または神経毒疾患、症状もしくは障害、炎症、喘息、緑内障、黄斑変性症、乾癬、肝、腎もしくは肺の、内皮機能不全症、肺および胃腸管の炎症性疾患、気道の疾患もしくは症状、放射線線維症、内皮機能不全、歯周病、または創傷もしくは脊髄損傷、或いはこれらの徴候または結果、ならびにトロンビンおよびその受容体が病理学的役割を演じている他の疾患を含む血栓関連疾患の治療に有用である。好適な心血管作用剤は、アスピリンなどのトロンボキサンA2生合成阻害剤;セラトロダスト、ピコタミド、ラマトロバンなどのトロンボキサンアンタゴニスト;クロピドグレルなどのアデノシン二リン酸(ADP)阻害剤;アスピリン、メロキシカム、ロフェコキシブ、セレコクシブなどのシクロオキシゲナーゼ阻害剤;バルサルタン、テルミサルタン、カンデサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、エプロサルタンなどのアンジオテンシンアンタゴニスト;テゾセンタンなどのエンドセリンアンタゴニスト;ミルリノーネ(milrinoone)、エノキシモーネ(enoximone)などのホスホジエステラーゼ阻害剤;カプトプリル、エナラプリル、エナリプリラート(enaliprilat)、スピラプリル、キナプリル、ペリンドプリル、ラミプリル、フォシノプリル、トランドラプリル、リシノプリル、モエキシプリル、ベナザプリルなどのアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤;カンドキサトリル、エカドトリルなどの中性エンドペプチダーゼ阻害剤;キシメラガトラン、フォンダパリン、エノキサパリンなどの抗凝固剤;クロロチアジド、ヒドロクロロチアジド、エタクリン酸、フロセミド、アミロリドなどの利尿剤;アブシキシマブ、エプチフィバチドなどの血小板凝集阻害剤;およびGPIIb/IIIaアンタゴニストからなる群から選ばれる。
【0184】
本発明の新規化合物との組合せで用いる薬剤の好ましい種類は、トロンボキサンA2生合成阻害剤、GPIIb/IIIaアンタゴニスト、トロンボキサンアンタゴニスト、アデノシン二リン酸阻害剤、シクロオキシゲナーゼ阻害剤、アンジオテンシンアンタゴニスト、エンドセリンアンタゴニスト、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、中性エンドペプチダーゼ阻害剤、抗凝固剤、利尿剤、および血小板凝集阻害剤である。上記組合せで用いるのに特に好ましいのは、アスピリン、カングレロールおよび/または二硫酸クロピドグレルである。
【0185】
本発明が式Iの化合物と別の心血管作用剤の組合せを含む場合、これら2種の有効成分は同時的または逐次的に併用投与してもよく、あるいは、式Iの化合物および別の心血管作用剤を医薬用として許容可能な担体中に含む単一の医薬組成物を投与することができる。この組合せの成分は、カプセル剤、錠剤、散剤、カシェ剤、懸濁剤、液剤、坐剤、鼻腔用スプレー剤などの任意の通常の剤型として個別に、または一緒に投与することができる。心血管作用剤の投与量は、出版資料に基づいて決めることができ、また、1回投与量あたり1乃至1,000mgの範囲としてもよい。
【0186】
本明細書では、「式Iの少なくとも1種の化合物」という用語は、医薬組成物または治療の方法において式Iの1乃至3種の異なる化合物を使用することができることを意味する。好ましくは、式Iの1種の化合物を使用する。同様に、「1種以上の別の心血管作用剤」とは、式Iの化合物と組合せて1乃至3種の別の薬剤を投与することができることを意味するが、式Iの化合物と組合せて1種の別の薬剤を投与することが好ましい。この別の心血管作用剤は、式Iの化合物に対して逐次的または同時的に投与することができる。
【0187】
式Iの個々の化合物とその他の心血管作用剤を別々の組成物として投与することになる場合、これらは、医薬用として許容可能な担体に加えられた式Iの化合物を含む1つの容器および医薬用として許容可能な担体に加えられた別の心血管作用剤を含む別の容器を1つのパッケージとして含むキットの形で提供することができ、その際、式Iの化合物およびその他の心血管作用剤は、その組合せが治療的に有効であるような量で存在する。キットは、たとえば、これらの成分を別々の時間間隔で投与しなければならない場合、またはこれらが別々の剤型である場合、併用を施行するのに有利である。
【0188】
式Iの化合物の活性は、以下の方法により測定することができる。
【0189】
トロンビン受容体アンタゴニストのイン・ビトロ試験方法
H]haTRAPの調製
A(pF−F)R(ChA)(hR)(l−Y)−NH(1.03 mg)および10%Pd/C(5.07mg)をDMF(250μl)およびジイソプロピルエチルアミン(10μl)に懸濁した。この容器をトリチウムラインに接続し、液体窒素中で凍結させ、排気した。次に、トリチウムガス(342mCi)をこのフラスコに加え、これを室温で2時間攪拌した。反応完了時に、過剰のトリチウムを除去し、反応したペプチド溶液をDMF(0.5ml)で希釈し、濾過して触媒を除去した。採取した粗ペプチドのDMF溶液を水で希釈し、凍結乾燥して不安定なトリチウムを除去した。得られた固体ペプチドを水に再溶解させ、凍結乾燥工程を繰り返した。得られたトリチウム化ペプチド([H]haTRAP)を0.5mlの0.1%TFA水溶液に溶解させ、以下の条件でHPLCにより精製した:カラム、ビダック(Vydac)(商標)C18、25cm×9.4mmI.D.;移動相、(A)0.1%TFA水溶液、(B)0.1%TFAのCHCN溶液;勾配、(A/B)100/0から40/60まで30分間;流速、5ml/分;検出、215nmのUV。[H]haTRAPの放射化学的純度は、HPLCによる分析で99%であった。18.4Ci/mmolの比活性において14.9mCiのバッチが得られた。
【0190】
血小板膜の調製
血小板膜は、ノース・ジャージー・ブラッド・センター(North Jersey Blood Center)(イーストオレンジ(East Orange)、ニュージャージー州)から採取後48時間以内に得た20単位の濃縮血小板からNatarajan et al.(Natarajan et al., Int. J. Peptide Protein Res. 45:145−151 (1995))の方法の変法を用いて調製した。全ての工程は、承認されたバイオハザード安全性条件下、4°Cで行った。血小板は、4°Cで20分間100×gで遠心して赤血球を除去した。上澄みをデカントし、3000×gで15分間遠心して血小板ペレットとした。この血小板を10mMトリス−HCl、pH7.5、150mMNaCl、5mMEDTAに全量200mlとなるように再懸濁し、4400×gで10分間遠心した。この工程をさらに2回繰り返した。次いで、血小板を5mMトリス−HCl、pH7.5、5mMEDTAに最終容量約30mlとなるように再懸濁し、ダウンス(Dounce)(商標)ホモジナイザーで20ストロークホモジナイズした。膜を41000×gでペレット化し、40乃至50mlの20mMトリス−HCl、pH7.5、1mMEDTA、0.1mMジチオスレイトールに再懸濁し、各10mlのアリコートを液体Nで凍結して−80°Cで保存した。膜の調製を完了するために、各アリコートを解凍し、プールしてダウンスホモジナイザーで5ストロークホモジナイズした。膜はペレット化し、10mMトリエタノールアミン−HCl、pH7.4、5mMEDTA中で3回洗浄し、20乃至25mlの50mMトリス−HCl、pH7.5、10mMMgCl、1mMEGTAおよび1%DMSOに再懸濁した。膜の各アレコートは液体Nで凍結し、−80°Cで保存した。膜は少なくとも3ヶ月間安定であった。通常、濃縮血小板20単位から膜蛋白質250mgが得られた。蛋白質濃度はLowryアッセイ(Lowry et al., J. Biol. Chem., 193:265−275 (1951))によって測定した。
【0191】
ハイスループット・トロンビン受容体放射性リガンド結合アッセイ
Ahnほか(Ahn et al., Mol. Pharmacol., 51:350−356 (1997))のトロンビン受容体放射性リガンド結合アッセイの変法を用いてトロンビン受容体アンタゴニストをスクリーニングした。このアッセイは、最終アッセイ容量200μlで96穴ヌンク(Nunc)プレート(Cat.No.269620)を用いて行った。血小板膜および[H]haTRAPを結合バッファー(50mMトリス−HCl、pH7.5、10mMMgCl、1mMEGTA、0.1%BSA)でそれぞれ0.4mg/mlおよび22.2nMに希釈した。試験化合物の原液(100%DMSO中10mM)は、さらに100%DMSOで希釈した。特に示さない限り、10μlの希釈化合物溶液および90μlの放射性リガンド(5%DMSO中10nMの最終濃度)を各ウェルに加え、100μlの膜(40μg蛋白/ウェル)を添加して反応を開始させた。結合は5%DMSOでは有意に阻害されなかった。化合物は3種類の濃度(0.1、1および10μM)で試験した。各プレートはカバーで覆い、ラブ−ライン(Lab−Line)(商標)滴定プレートシェーカー(Titer Plate Shaker)を用いて室温で1時間穏やかに渦流混合した。パッカード・ユニフィルター(Packard UniFilter)(商標)GF/Cフィルタープレートを0.1%ポリエチレンイミンに少なくとも1時間浸漬した。インキュベートした膜は、パッカード・フィルターメイト(Packard FilterMate)(商標)・ユニバーサル・ハーベスター(Universal Harvester)を用いて採取し、300μlの氷冷50mMトリス−HCl、pH7.5、10mMMgCl、1mMEGTAで素早く4回洗浄した。マイクロシント(MicroScint)(商標)20シンチレーションカクテル(25μl)を各ウェルに加え、これらのプレートをパッカード・トップカウント(Packard TopCount)(商標)マイクロプレート・シンチレーション・カウンター(Microplate Scintillation Counter)でカウントした。特異的結合は、全結合から、過剰(50μM)の非標識haTRAPの存在下でみられる非特異的結合を差し引いたものと定義した。トロンビン受容体への[H]haTRAP結合の化合物による%阻害は次の関係から計算した。
【0192】
【数1】

材料
A(pF−F)R(ChA)(hR)Y−NHおよびA(pF−F)R(ChA)(hR)(I−Y)−NHはアナスペック社(AnaSpec Inc.)(サンノゼ(San Jose)、カリフォルニア州)によって特注合成されたものである。こりらのペプチドの純度は95%超であった。トリチウムガス(97%)は、EG&Gマウンド社(EG&GMound)、マイアミズバーグ(Miamisburg)、オハイオ州から購入した。このガスを引き続いて負荷し、IN/USシステムズ社(Systems Inc.)トリソーバー(Trisorber)に貯蔵した。マイクロシント(MicroScint)(商標)20シンチレーションカクテルは、パッカード・インストルメント社(Packard Instrument Co.)から入手した。
【0193】
カンナビノイドCB受容体結合アッセイ
ヒト・カンナビノイドCB受容体への結合については、Showalterほか(1996, J. Pharmacol Exp Ther. 278(3), 989−99)の方法を少し変えた方法を用いて行った。アッセイは全て、最終容量100μlで行った。試験化合物はDMSOに10mMとなるよう再懸濁した後、連続的に50mMトリス、pH7.1、3mMMgCl、1mMEDTA、50%DMSOで希釈した。ついで、各希釈試料の各アリコート(10μl)を96−穴マイクロタイタープレートの個々のウェルに移した。ヒトCB2で形質転換したCHO/Ki細胞からの膜(リセプター・バイオロジー社(Receptor Biology, Inc))を結合バッファー(50mMトリス、pH7.1、3mM MgCl、1mM EDTA、0.1%脂肪酸フリー・ウシ血清アルブミン)に再懸濁した後、結合反応に加えた(アッセイ当たり50μl中約15μg)。反応は、結合バッファーで希釈した[H]CP−55,940(比活性=180 Ci/mmol;ニュー・イングランド・ニュークリア社(New England Nuclear)、ボストン(Boston)、マサチューセッツ州)を添加することで開始した。結合反応における最終リガンド濃度は0.48nMであった。室温で2時間インキュベーションした後、膜は、トムテック(TomTec)(商標)マッハ3U(Mach 3U)96−穴セル−ハーベスター(ハムデン(Hamden)、コネティカット州)を用い、前処理(0.5%ポリエチレンイミン;シグマ(Sigma)P−3143)したGF−Cフィルタープレート(ユニフィルター(Unifilter)−96、パッカード社(Packard))を通して濾過することにより採取した。プレートは100μlの結合バッファーで10回洗浄し、膜は風乾させた。膜の放射能は、トップカウント(TopCount)(商標)NXTマイクロプレート・シンチレーション・アンド・ルミネッセンス・カウンター(NXT Microplate Scintillation and Luminescence Counter)(パッカード社(Packard)、メリデン(Meriden)、コネティカット州)を用い、パッカード・オムニシント(Packard Omniscint)(商標)20シンチレーション液を添加後に定量した。プリズム(Prism)(商標)20b(グラフパッド・ソフトウェア社(GraphPad Software)、サンディエゴ(San Diego)、カリフォルニア州)を用いて非線形回帰解析を行った。
【0194】
上述の試験方法を用い、式Iの代表的化合物のトロンビン受容体IC50値(すなわち、トロンビン受容体の50%阻害がみられる濃度)は、1乃至1000nM、好ましくは1乃至100nM、より好ましくは1乃至20nMであることが分かった。CBKi値は1乃至1000nM、好ましくは1乃至200nM、より好ましくは1乃至100nMの範囲である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式I:
【化1】

で表される化合物であって、式中、
【化2】

が、原子価の必要条件により可能になるような二重結合または一重結合を表し(但し、R10またはR11が結合する炭素が二重結合の一部である場合にはR10またはR11は存在しない);
Bが−(CHn3−、−(CH)−O−、−(CH)S−、−(CH)−NR−、−C(O)NR−、−NRC(O)−、
【化3】

−(CHn4CR12=CR12a(CHn5−または−(CHn4C≡C(CHn5−であり、式中、n3は0乃至5、n4およびn5は独立に0乃至2、ならびにR12およびR12aは水素、C−Cアルキルおよびハロゲンからなる群から独立に選ばれるものとし;
A、G、J、MおよびUが独立に
−N(R54)−、
−(CR)−、
−O−、
【化4】

−S−、
−S(O)−、
−S(O)−、および
【化5】

からなる群から選ばれ(但し、A、G、J、MおよびUの選択によって酸素または硫黄原子同士が隣接することにならないこと、ならびに、どの酸素、窒素または硫黄原子間にも少なくとも1つの炭素原子が出現すること、とする);
nがそれぞれ独立に0、1または2であり(但し、全てのn変数が同時に0ではあり得ないこと、ならびに、n変数の合計が7を超えることができないこと、とする);
Kが
【化6】

−CR−および−N−からなる群から選ばれ;
Hetが1乃至13個の炭素原子およびN、OおよびSからなる群から独立に選ばれる1乃至4個のヘテロ原子で構成される5乃至14原子の単環式、二環式または三環式複素芳香族基であり(但し、上記複素芳香族基には酸素または硫黄原子同士の隣接は存在しないものとする)、環窒素はアルキル基と共にN−オキシドまたは四級基を形成することができるものとし、Hetは環構成員の炭素原子によってBと結合しているものとし、Het基は1乃至4個の部分Wによって置換されているものとし、Wはそれぞれ独立に
水素、
アルキル、
フルオロアルキル、ジフルオロアルキル、トリフルオロアルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、
シクロアルキル、アルキル、アルケニルまたはアルキニルにより置換されているシクロアルキル、
ヘテロシクロアルキル、アルキル、アルケニルまたはアルキニルにより置換されているヘテロシクロアルキル、
21−アリールアルキル、R21−アリール−アルケニル、
ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、
ヒドロキシアルキル、ジヒドロキシアルキル、
アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、ジ−(アルキル)−アミノアルキル、
チオアルキル、
アルコキシ、アルケニルオキシ、
ハロゲン、
−NR
−SH、
−CN、
−OH、
−C(O)OR17、−COR16、−OS(O)CF、−CHOCHCF
アルキルチオ、
−C(O)NR
−OCHR−フェニル、
フェノキシアルキル、
−NHCOR16
−NHSO16
ビフェニル、
−OC(RCOOR、−OC(RC(O)NR
アルキル、アミノまたは−NHC(O)OR17で置換されているアルコキシ
アリール、
アルキル、ハロゲン、アルコキシ、メチレンジオキシ、カルボン酸、カルボキサミド、アミン、尿素、アミド、スルホンアミド、−CN−、−CF、−OCF、−OH、アルキルアミノ−、ジ−(アルキル)アミノ−、−NR2526アルキル−、ヒドロキシアルキル−、−C(O)OR17、−COR17、−NHCOR16、−NHS(O)16、−NHS(O)CHCF、−C(O)NR2526、−NR25−C(O)−NR2526、−S(O)R13、−S(O)13および−SR13からなる群から独立に選ばれる1乃至3個の置換基で置換されているアリール、
または−NR、−NRCOR、−NRCONR、−NRC(O)OR、−NRS(O)、−NRS(O)NR、−C(O)OH、−C(O)OR、−CONRヘテロアリール、ヒドロキシアルキル、アルキル、−S(O)−アルキル、−C(O)NRもしくはヘテロアリールで置換されていてもよいアルキル
からなる群から選ばれ、Het環上の隣接する炭素原子は任意選択的にメチレンジオキシ基と環を形成することができるものとし;
およびRが独立に、水素、ハロゲン、アルキル、フルオロアルキル、ジフルオロアルキル、トリフルオロアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルコキシ、アリールアルキル、アリールアルケニル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アミン、アミノアルキル、アリール、チオヒドロキシ、CNおよびチオアルキルからなる群から選ばれ;または
窒素に結合している場合のRおよびRが一緒になって、−O−、−N−、−S−、−S(O)−、−S(O)−および
【化7】

から選ばれる1乃至3個のヘテロ原子と共に4乃至10原子の単環式もしくは二環式複素環を形成し(但し、環上のSおよびO原子は互いに隣接しないものとする)、該複素環は置換されていないか、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシおよびアリールアルコキシから独立に選ばれる1個以上の基で置換されているものとし;
が水素、アルキルまたはフェニルであり;
が水素またはアルキルであり;
16およびR16aが独立に、水素、アルキル、フェニルおよびベンジルからなる群から選ばれ;
16bが水素、
アルコキシ、
アルキル、
アルコキシアルキル−、
22−O−C(O)−アルキル−、
シクロアルキル、
21−アリール、
21−アリールアルキル、
ハロアルキル、
アルケニル、ハロ置換アルケニル、
アルキニル、ハロ置換アルキニル、
21−ヘテロアリール、(R21−ヘテロアリール)−アルキル−、(R21−ヘテロシクロアルキル)−アルキル−、
2829N−アルキル−、R2829N−C(O)−アルキル−、R2829N−C(O)O−アルキル−、R28OC(O)N(R29)−アルキル−、R28S(O)N(R29)−アルキル−、R2829N−C(O)−N(R29)−アルキル−、R2829N−S(O)N(R29)−アルキル−、R28−C(O)N(R29)−アルキル−、R2829N−S(O)−アルキル−、HOS(O)−アルキル−、(OH)P(O)−アルキル−、R28−S−アルキル−、R28−S(O)−アルキル−
またはヒドロキシアルキルであり;
17が水素、アルキル、フェニルおよびベンジルからなる群から選ばれ;
18およびR19が水素、アルキル、アリール、R21−アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アルコキシアルキル、ハロアルコキシアルキル、アリールオキシアルキル、アリールアルコキシアルキル、ヘテロアリールオキシアルキル、ヘテロアリールアルコキシアルキル、シクロアルキルオキシアルキル、(ヘテロシクリル)アルキルオキシアルキル、アルコキシアルキルオキシアルキル、−S(O)−アルキル、−C(NH)NR、または
シクロアルキル、
ハロゲン、
ヒドロキシ、
−NR、−NRC(O)R、−NRC(O)NR、−NRC(O)OR、−NRS(O)
−NRS(O)NR、−C(O)OH、−C(O)ORおよび−C(O)NR
からなる群から独立に選ばれる1個または2個の部分で置換されているアルキルであり;或いは
18およびR19がこれらの結合している窒素と共に、−O−、−N−、−S−、−S(O)−、−S(O)−および
【化8】

からなる群から選ばれる1乃至3個のヘテロ環原子を有する4乃至10個原子の単環式または二環式複素環を形成し(但し、SおよびO原子は互いに隣接しないものとする)、該環は置換されていないか、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アリールアルコキシ、
−NR、−NRC(O)R、−NRC(O)NR、−NRC(O)OR、−NRS(O)、−NRS(O)NR、−C(O)OR、−C(O)NRおよび−NR、−NRCOR、−NRCONR、−NRC(O)OR、−NRS(O)、−NRS(O)NR、−C(O)ORまたは−CONRで置換されているアルキル
から独立に選ばれる1個以上の基で置換されているものとし;
21が1乃至3個の部分であり、R21がそれぞれ独立に、水素、−CN、−CF、−OCF、ハロゲン、−NO、アルキル、−OH、アルコキシ、アルキルアミノ−、ジ−(アルキル)アミノ−、−NR2526アルキル−、ヒドロキシアルキル−、
−C(O)OR17、−COR17、−NHCOR16、−NHS(O)16、−C(NH)−NH、−NHS(O)CHCF、−C(O)NR2526、−NR25−C(O)−NR2526、−S(O)R16、−S(O)16、−SR16、−SONRおよび−CONR
からなる群から選ばれ;
或いは隣接する2個のR21部分がメチレンジオキシ基を形成することができ;
22が水素、アルキル、フェニル、ベンジル、−COR16、−CO−NR1819、−COR23、−S(O)R31、−S(O)31、−S(O)NR2425または−C(O)OR27であり;
23
【化9】

であり、R35およびR36は独立に、水素、アルキル、およびR37置換アルキルからなる群から選ばれるものとし、
37はHO−、HS−、CHS−、−NH、フェニル、p−ヒドロキシフェニルおよびインドリルからなる群から選ばれるものとし;
或いは、R23がアルキル、
ハロアルキル、
アルケニル、
ハロアルケニル、
アルキニル、
シクロアルキル、
シクロアルキルアルキル、
アルコキシアルキル、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アリールアルコキシ、−NR、−NRC(O)R、−NRC(O)NR、−NRC(O)OR、−NRS(O)、−NRS(O)NR、−C(O)OH、−C(O)ORおよび−CONRからなる群から独立に選ばれる1乃至3個の置換基によって置換されているシクロアルキル、
アリール、
アラルキル、
ヘテロアリール、
ヘテロシクロアルキル、または
−NR、−NRCOR、−NRCONR、−NRC(O)OR、−NRS(O)R、−NRS(O)NR、−C(O)OH、−C(O)OR、−CONRもしくは−SOHで置換されているアルキル
であり;
24、R25およびR26が独立に、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、ハロシクロアルキル、アルコキシアルキル、ヒドロキシおよびアルコキシからなる群から選ばれ;
27が1乃至3個の部分であり、R27がそれぞれ独立に、水素、アルキルおよびシクロアルキルからなる群から選ばれ、R27がアルキルまたはシクロアルキルである場合はR27は−OH、−C(O)OH、ハロゲンまたはアルコキシで置換されていてもよいものとし;
28およびR29が独立に、水素、アルキル、アルコキシ、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキルおよびハロアルキルからなる群から選ばれ;或いは
28およびR29が一緒になって3乃至6環原子を有するスピロ環またはヘテロスピロ環を形成し;
32およびR33が独立に、水素、R34−アルキル、R34−アルケニル、R34−アルキニル、R40−ヘテロシクロアルキル、R38−アリール、R38−アラルキル、R42−シクロアルキル、R42−シクロアルケニル、−OH、−OC(O)R43、−C(O)OR43、−C(O)R43、−C(O)NR4344、−NR4344、−NR43C(O)R44、−NR43C(O)NR4445、−NHS(O)43、−OC(O)NR4344、R37−アルコキシ、R37−アルケニルオキシ、R37−アルキニルオキシ、R40−ヘテロシクロアルキルオキシ、R42−シクロアルキルオキシ、R42−シクロアルケニルオキシ、R42−シクロアルキル−NH−、−NHSONHR16および−CH(=NOR17)からなる群から選ばれ;
或いは、R32およびR10がこれらの結合している炭素と共に、または、R33およびR11がこれらの結合している炭素と共に、独立に3乃至10原子のR42置換炭素環を形成し;
または、4乃至10原子のR42置換複素環であって、R32およびR10が環を形成するかR33およびR11が環を形成する場合に前記任意の二重結合が存在しないという条件で、1乃至3個の環構成員が独立に−O−、−NH−およびSO0−2−からなる群から選ばれる置換複素環を形成し;
42が水素、−OH、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、NHおよびハロゲンからなる群から独立に選ばれる1乃至3個の置換基であり;
或いは、R32およびR33が結合して下記式:
【化10】

における環構造Qを形成し、
式中
は水素、OH、(C−C)アルコキシ、ハロゲン、ハロ(C−C)アルキル、アミン、チオヒドロキシ、(C−C)アルキルまたはCNであり;
Qは、O、S、S(O)、S(O)およびNR22から独立に選ばれる1乃至3個のヘテロ原子を含む4乃至8個原子の融合R−置換アリール、R−置換ヘテロアリール、R−置換複素環(但し、SとOは互いと隣接できないものとする)であり;或いは、
Qは、
【化11】

であり;
式中、R13はそれぞれ独立に、水素、アルキル、シクロアルキル、ハロアルキル、ハロゲン、−(CHn6NHC(O)OR16b、−(CHn6NHC(O)R16b、−(CHn6NHC(O)NR、−(CHn6NHSO16、−(CHn6NHSONRおよび−(CHn6C(O)NR2829(式中、n6は0乃至4である)から選ばれ;
14はそれぞれ独立に、水素、アルキル、−OH、アルコキシ、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ハロゲン、ハロアルキル、−(CHn6NHC(O)OR16b、−(CHn6NHC(O)R16b、−(CHn6NHC(O)NR、−(CHn6NHSO16、−(CHn6NHSONRおよび−(CHn6C(O)NR2829(式中、nは0乃至4である)からなる群から選ばれ;RおよびRは独立に、水素、アルキル、フェニル、ベンジルおよびシクロアルキルからなる群から選ばれ;
或いは、RおよびRは一緒になってこれらの結合する窒素と環を形成することができ、RおよびRにより形成される該環は=O、−OH、−ORまたは−C(O)OHで置換されていてもよく;
或いは、R13およびR14は一緒になって3乃至6環原子のスピロ環またはヘテロスピロ環を形成し、該ヘテロスピロ環は炭素環原子を2乃至5個ならびにO、SおよびNからなる群から選ばれるヘテロ環原子を1または2個含有するものとし;
10およびR11は独立に、環Qが芳香族でR10およびR11を有する炭素原子同士が二重結合によって結合されている場合にはR10およびR11は存在しないという条件で、Rおよび−ORからなる群から選ばれるものとし;または
Rは1乃至5個の部分であり、Rはそれぞれ独立に、水素、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミン、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルコキシ、−COR16、−C(O)OR17、−C(O)NR、−SOR16、−S(O)R16、−NR16COR16a、−NR16C(O)OR16a、−NR16CONR、−NR16S(O)NR、フルオロアルキル、ジフルオロアルキル、トリフルオロアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリールアルキル、アリールアルケニル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、アリール、チオヒドロキシ、CNおよびチオアルキルからなる群から選ばれるものとし;
34が1乃至3個の部分であり、R34 がそれぞれ独立に、水素、ハロゲン、−OH、アルコキシ、R47−アリール、アルキル−C(O)−、アルケニル−C(O)−、アルキニル−C(O)−、ヘテロシクロアルキル、R39−シクロアルキル、R39−シクロアルケニル、−OC(O)R43、−C(O)OR43、−C(O)R43、−C(O)NR4344、−NR4344、−NR43C(O)R44、−NR43C(O)NR4445、−NHSO43、−OC(O)NR4344、R39−アルケニルオキシ、R39−アルキニルオキシ、R40−ヘテロシクロアルキルオキシ、R42−シクロアルキルオキシ、R42−シクロアルケニルオキシ、R42−シクロアルキル−NH−、−NHSONHR16および−CH(=NOR17)からなる群から選ばれ;
38が1乃至3個の部分であり、R38がそれぞれ独立に、水素、ヘテロシクロアルキル、ハロゲン、−C(O)OR48、−CN、−C(O)NR4950、−NR51C(O)R52、−OR48、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルキルシクロアルキル、ハロアルキルシクロアルキルアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキルおよびR52−ヘテロアリールからなる群から選ばれ;または、隣接している環炭素上の2個のR38基が融合メチレンジオキシ基を形成し;
39が1乃至3個の部分であり、R39がそれぞれ独立に、水素、ハロゲンおよびアルコキシからなる群から選ばれ;
40が1乃至3個の部分であり、R40がそれぞれ独立に、水素、R41−アルキル、R41−アルケニルおよびR41−アルキニルからなる群から選ばれ;
41が水素、−OHまたはアルコキシであり;
42が1乃至3個の部分であり、R42がそれぞれ独立に、水素、アルキル、−OH、アルコキシおよびハロゲンからなる群から選ばれ;
43、R44およびR45が独立に、水素、アルキル、アルコキシアルキル、R38−アリールアルキル、R46−シクロアルキル、R53−シクロアルキルアルキル、R38−アリール、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキルアルキルおよびヘテロアリールアルキルからなる群から選ばれ;
46が水素、アルキル、ヒドロキシアルキルまたはアルコキシであり;
47が1乃至3個の部分であり、R47がそれぞれ独立に、水素、アルキル、−OH、ハロゲン、−CN、アルコキシ、トリハロアルコキシ、アルキルアミノ、ジ(アルキル)アミノ、−OCF、ヒドロキシアルキル、−CHO、−C(O)アルキルアミノ、−C(O)ジ(アルキル)アミノ、−NH、−NHC(O)アルキルおよび−N(アルキル)C(O)アルキルからなる群から選ばれ;
48が水素、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキルまたはトリフルオロアルキルであり;
49およびR50が独立に、水素、アルキル、アラルキル、フェニルおよびシクロアルキルからなる群から選ばれ、或いは、R49およびR50が一緒になって−(CH−、−(CH−または−(CH−NR39−(CH−となり、これらが結合している窒素と環を形成し;
51およびR52が独立に、水素、アルキル、アラルキル、フェニルおよびシクロアルキルからなる群から選ばれ、或いは、−NR39C(O)R40基中のR51およびR52がこれらの結合している窒素原子と共に5乃至8環構成員を有する環状ラクタムを形成し;
53が水素、アルキル、アルコキシ、−SOR16、−SO17、−C(O)OR17、−C(O)NR1819、アルキル、ハロゲン、フルオロアルキル、ジフルオロアルキル、トリフルオロアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アラルキル、アリールアルケニル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、アリール、チオアリール、アルコキシアルキルまたはアルキルアミノアルキルであり;
ならびに
54
水素、
アルキル、
フルオロアルキル、
ジフルオロアルキル、
トリフルオロアルキル、
シクロアルキル、
アルコキシアルキル、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アリールアルコキシ、−NR、−NRC(O)R、−NRC(O)NR、−NRC(O)OR、−NRS(O)、−NRS(O)NR、−C(O)OH、−C(O)ORおよび−CONRからなる群から選ばれる1乃至3個の置換基によって置換されているシクロアルキル、
アルケニル、
アルコキシ、
アリールアルキル、
アリールアルケニル、
ヘテロアリールアルキル、
ヘテロアリールアルケニル、
ヒドロキシル、
アルコキシ、
ヒドロキシアルキル、
アルコキシアルキル、
アミノアルキル、
アリール、
ヘテロアリール、
チオアルキル、および
尿素、スルホンアミド、カルボキサミド、カルボン酸、カルボン酸エステルおよびスルホニル尿素からなる群から独立に選ばれる1乃至3個の置換基によって置換されているアルキルからなる群から選ばれる
化合物或いは該化合物の医薬用として許容可能な塩、溶媒和物またはエステル。
【請求項2】
請求項1の化合物であって、該化合物が:
【化12】

【化13】

【化14】

【化15】

である化合物。
【請求項3】
請求項2の化合物であって、該化合物が:
【化16】

である化合物。
【請求項4】
請求項1の化合物であって、
Aが
【化17】

であり;
Gが−O−、−(CR)−またはNRであり;
Uが−(CR)−であり;
Jが−(CR)−であり;
KがCRまたは−N−であり;
10およびR11がHであり;
R32およびR33が結合して環構造Qを形成し、Qはシクロヘキシルであるものとし;
Bが−(CH)nCR12=CR12a(CH)nであり、nおよびnは0、R12およびR12aは水素であるものとし;
Hetがアリール、Wで置換されているアリール、ヘテロアリールまたはWで置換されているヘテロアリールであり;
Wが、ハロゲン、アルキル、CF、CN、OHまたは−Oアルキルを含有する1乃至3個の部分で置換されているアリールである
化合物。
【請求項5】
請求項1の化合物であって、
Aが
【化18】

であり;
Gが−O−、−(CR)−またはNRであり;
Uが−(CR)−であり;
Jが−(CR)−であり;
KがCRまたは−N−であり;
32およびR33が結合して環構造Qを形成し、Qはアリールであるものとし;
Bが−(CH)nCR12=CR12a(CH)nであり、nおよびnは0、R12およびR12aは水素であるものとし;
Hetがアリール、Wで置換されているアリール、ヘテロアリールまたはWで置換されているヘテロアリールであり;
Wが、ハロゲン、アルキル、CF、CN、OHまたは−Oアルキルを含有する1乃至3個の部分で置換されているアリールである
化合物。
【請求項6】
請求項1の化合物であって、
Aが
【化19】

であり;
Gが−O−であり;
Uが−(CH)−であり;
Jが−(CH)−であり;
KがCHであり;
10およびR11がHであり;
32およびR33が結合して環構造Qを形成し、Qはシクロヘキシルであるものとし;
Bが−(CH)nCR12=CR12a(CH)nであり、nおよびnは0、R12およびR12aは水素であるものとし;
Hetが
【化20】

であり;
Wが
【化21】

である化合物。
【請求項7】
請求項1の化合物であって、
Aが
【化22】

であり;
Gが−O−であり;
Uが−(CH)−であり;
Jが−(CH)−であり;
KがCHであり;
32およびR33が結合して環構造Qを形成し、Qはアリールであるものとし;
Bが−(CH)nCR12=CR12a(CH)nであり、nおよびnは0、R12およびR12aは水素であるものとし;
Hetが
【化23】

であり;
Wが
【化24】

である化合物。
【請求項8】
請求項1の化合物であって、
Aが
【化25】

であり;
Gが−O−であり;
Uが−(CH)−であり;
Jが−(CH)−であり;
KがCHであり;
10およびR11がHであり;
32およびR33が結合して環構造Qを形成し、Qはシクロヘキシルであるものとし;
Bが−(CH)nCR12=CR12a(CH)nであり、nおよびnは0、R12およびR12aは水素であるものとし;
Hetが
【化26】

であり;
Wが
【化27】

である化合物。
【請求項9】
請求項1の化合物であって、
Aが
【化28】

であり;
Gが−O−であり;
Uが−(CH)−であり;
Jが−(CH)−であり;
KがCHであり;
32およびR33が結合して環構造Qを形成し、Qはフェニルであるものとし;
Bが−(CH)nCR12=CR12a(CH)nであり、nおよびnは0、R12およびR12aは水素であるものとし;
Hetが
【化29】

であり;
Wが
【化30】

である化合物。
【請求項10】
【化31】

【化32】

【化33】

【化34】

【化35】

【化36】

【化37】

【化38】

からなる群から選ばれる請求項1の化合物。
【請求項11】
下記式:
【化39】

を有する請求項1の化合物。
【請求項12】
下記式:
【化40】

を有する請求項1の化合物。
【請求項13】
有効量の少なくとも1種の請求項1の化合物および医薬用として許容可能な担体を含む医薬組成物。
【請求項14】
有効量の少なくとも1種の請求項10の化合物および医薬用担体を含む医薬組成物。
【請求項15】
トロンビン受容体を阻害する方法であって、このような治療を必要としている哺乳動物に対し、有効量の少なくとも1種の請求項1の化合物を投与することを含む方法。
【請求項16】
トロンビン受容体を阻害する方法であって、このような治療を必要としている哺乳動物に対し、有効量の少なくとも1種の請求項10の化合物を投与することを含む方法。
【請求項17】
血栓症、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、高血圧、狭心症、血管新生関連疾患、不整脈、心血管系もしくは循環器系の疾患もしくは症状、心不全、心筋梗塞、糸球体腎炎、血栓性脳卒中、血栓塞栓溶解性脳卒中、末梢血管疾患、脳虚血、関節リウマチ、リウマチ、星状細胞増加症、肝、腎、肺もしくは腸管の線維症、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、骨粗しょう症、糸球体腎炎、腎疾患、急性腎不全、慢性腎不全、腎血管ホメオスタシス、腎虚血、膀胱の炎症、糖尿病、糖尿病性神経障害、脳卒中、脳虚血、腎炎、癌、メラノーマ、腎細胞癌、神経疾患および/または悪性腫瘍、神経変性および/または神経毒疾患、症状もしくは障害、炎症、喘息、緑内障、黄斑変性症、乾癬、肝、腎もしくは肺の内皮機能不全症、肺および胃腸管の炎症性疾患、気道の疾患もしくは症状、放射線線維症、内皮機能不全、歯周病、または創傷もしくは脊髄損傷、或いはこれらの徴候または結果を治療する方法であって、このような治療を必要としている哺乳動物に対し、有効量の少なくとも1種の請求項1の化合物を投与することを含む方法。
【請求項18】
請求項17の方法であって、前記炎症性疾患もしくは症状が過敏性腸症候群、コーン病、腎炎または胃腸管、肺、膀胱、胃腸管もしくは他の器官の放射線もしくは化学療法誘発増殖性もしくは炎症性疾患である方法。
【請求項19】
請求項17の方法であって、前記気道の疾患もしくは症状が可逆性気道障害、喘息、慢性喘息、気管支炎または慢性気道疾患である方法。
【請求項20】
請求項17の方法であって、前記癌が腎細胞癌または血管新生関連疾患である方法。
【請求項21】
請求項17の方法であって、前記神経変性疾患がパーキンソン病、アミトロピック側索硬化症、アルツハイマー病、ハンチントン病またはウィルソン病である方法。
【請求項22】
血栓症、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、高血圧、狭心症、血管新生関連疾患、不整脈、心血管系もしくは循環器系の疾患もしくは症状、心不全、心筋梗塞、糸球体腎炎、血栓性脳卒中、血栓塞栓溶解性脳卒中、末梢血管疾患、脳虚血、関節リウマチ、リウマチ、星状細胞増加症、肝、腎、肺もしくは腸管の線維症、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、骨粗しょう症、糸球体腎炎、腎疾患、急性腎不全、慢性腎不全、腎血管ホメオスタシス、腎虚血、膀胱の炎症、糖尿病、糖尿病性神経障害、脳卒中、脳虚血、腎炎、癌、メラノーマ、腎細胞癌、神経疾患および/または悪性腫瘍、神経変性および/または神経毒疾患、症状もしくは障害、炎症、喘息、緑内障、黄斑変性症、乾癬、肝、腎もしくは肺の、内皮機能不全症、肺および胃腸管の炎症性疾患、気道の疾患もしくは症状、放射線線維症、内皮機能不全、歯周病、または創傷もしくは脊髄損傷、或いはこれらの徴候または結果を治療する方法であって、このような治療を必要としている哺乳動物に対し、有効量の少なくとも1種の請求項1の化合物を少なくとも1種のさらなる心血管作用剤と組合せて投与することを含む方法。
【請求項23】
請求項22の方法であって、前記さらなる心血管作用剤がトロンボキサンA2生合成阻害剤、GP IIb/IIIaアンタゴニスト、トロンボキサンアンタゴニスト、アデノシン二リン酸阻害剤、シクロオキシゲナーゼ阻害剤、アンジオテンシンアンタゴニスト、エンドセリンアンタゴニスト、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、中性エンドペプチダーゼ阻害剤、抗凝固剤、利尿剤および血小板凝集阻害剤からなる群から選ばれる方法。
【請求項24】
請求項22の方法であって、前記さらなる心血管作用剤がアスピリン、カングレロールまたは二硫酸クロピドグレルである方法。
【請求項25】
請求項22の方法であって、前記さらなる心血管作用剤がアスピリンおよび二硫酸クロピドグレルである方法。
【請求項26】
請求項22の方法であって、前記さらなる心血管作用剤がアスピリンおよびカングレロールである方法。
【請求項27】
カンナビノイド受容体を阻害する方法であって、このような治療を必要としている哺乳動物に対し、有効量の少なくとも1種の請求項1の化合物を投与することを含む方法。
【請求項28】
精製された請求項1の化合物。
【請求項29】
単離された請求項1の化合物。
【請求項30】
血栓症、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、高血圧、狭心症、血管新生関連疾患、不整脈、心血管系もしくは循環器系の疾患もしくは症状、心不全、心筋梗塞、糸球体腎炎、血栓性脳卒中、血栓塞栓溶解性脳卒中、末梢血管疾患、脳虚血、関節リウマチ、リウマチ、星状細胞増加症、肝、腎、肺もしくは腸管の線維症、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、骨粗しょう症、糸球体腎炎、腎疾患、急性腎不全、慢性腎不全、腎血管ホメオスタシス、腎虚血、膀胱の炎症、糖尿病、糖尿病性神経障害、脳卒中、脳虚血、腎炎、癌、メラノーマ、腎細胞癌、神経疾患および/または悪性腫瘍、神経変性および/または神経毒疾患、症状もしくは障害、炎症、喘息、緑内障、黄斑変性症、乾癬、肝、腎もしくは肺の、内皮機能不全症、肺および胃腸管の炎症性疾患、気道の疾患もしくは症状、放射線線維症、内皮機能不全、歯周病、または創傷もしくは脊髄損傷、或いはこれらの徴候または結果を治療する方法であって、このような治療を必要としている哺乳動物に対し、有効量の少なくとも1種の請求項29の化合物を投与することを含む方法。
【請求項31】
請求項30の方法であって、前記炎症性疾患もしくは症状が過敏性腸症候群、コーン病、腎炎または胃腸管、肺、膀胱、胃腸管もしくは他の器官の放射線もしくは化学療法誘発増殖性もしくは炎症性疾患である方法。
【請求項32】
請求項30の方法であって、前記気道の疾患もしくは症状が可逆性気道障害、喘息、慢性喘息、気管支炎または慢性気道疾患である方法。
【請求項33】
請求項30の方法であって、前記癌が腎細胞癌または血管新生関連疾患である方法。
【請求項34】
請求項30の方法であって、前記神経変性疾患がパーキンソン病、アミトロピック側索硬化症、アルツハイマー病、ハンチントン病またはウィルソン病である方法。
【請求項35】
請求項30の方法であって、さらに少なくとも2種の治療的に有効な薬剤を投与すること含む方法。
【請求項36】
血栓症、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、高血圧、狭心症、血管新生関連疾患、不整脈、心血管系もしくは循環器系の疾患もしくは症状、心不全、心筋梗塞、糸球体腎炎、血栓性脳卒中、血栓塞栓溶解性脳卒中、末梢血管疾患、脳虚血、関節リウマチ、リウマチ、星状細胞増加症、肝、腎、肺もしくは腸管の線維症、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、骨粗しょう症、糸球体腎炎、腎疾患、急性腎不全、慢性腎不全、腎血管ホメオスタシス、腎虚血、膀胱の炎症、糖尿病、糖尿病性神経障害、脳卒中、脳虚血、腎炎、癌、メラノーマ、腎細胞癌、神経疾患および/または悪性腫瘍、神経変性および/または神経毒疾患、症状もしくは障害、炎症、喘息、緑内障、黄斑変性症、乾癬、肝、腎もしくは肺の、内皮機能不全症、肺および胃腸管の炎症性疾患、気道の疾患もしくは症状、放射線線維症、内皮機能不全、歯周病、または創傷もしくは脊髄損傷、或いはこれらの徴候または結果を治療する方法であって、このような治療を必要としている哺乳動物に対し、有効量の少なくとも1種の請求項14の化合物を少なくとも1種のさらなる心血管作用剤と組合せて投与することを含む方法。
【請求項37】
請求項36の方法であって、少なくとも1種のさらなる心血管作用剤がトロンボキサンA2生合成阻害剤、GP IIb/IIIaアンタゴニスト、トロンボキサンアンタゴニスト、アデノシン二リン酸阻害剤、シクロオキシゲナーゼ阻害剤、アンジオテンシンアンタゴニスト、エンドセリンアンタゴニスト、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、中性エンドペプチダーゼ阻害剤、抗凝固剤、利尿剤および血小板凝集阻害剤からなる群から選ばれる方法。
【請求項38】
請求項37の方法であって、前記さらなる心血管作用剤がアスピリン、カングレロールまたは二硫酸クロピドグレルである方法。
【請求項39】
請求項37の方法であって、前記さらなる心血管作用剤がアスピリンおよび二硫酸クロピドグレルである方法。
【請求項40】
請求項37の方法であって、前記さらなる心血管作用剤がアスピリンおよびカングレロールである方法。
【請求項41】
カンナビノイド受容体を阻害する方法であって、このような治療を必要としている哺乳動物に対し、有効量の少なくとも1種の請求項10の化合物を投与することを含む方法。
【請求項42】
精製された請求項10の化合物。
【請求項43】
単離された請求項10の化合物。


【公表番号】特表2009−521458(P2009−521458A)
【公表日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−547503(P2008−547503)
【出願日】平成18年12月20日(2006.12.20)
【国際出願番号】PCT/US2006/048646
【国際公開番号】WO2007/075809
【国際公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【Fターム(参考)】