トンネル施工方法およびそれに用いる土留め部材
【課題】短期間で、安価で、安全に、掘進機を発進または到達させることを可能とするトンネル施工方法を提供すること。
【解決手段】到達開口14が形成される壁部の箇所は、掘進機10による切削が可能な土留め部材16が用いられ、それ以外の壁部の箇所は、掘進機10による切削が不能な通常の鋼製の土留め部材18が用いられ、到達立坑12が構築されている。掘進機10による切削が可能な土留め部材16はポリマー含浸コンクリート製である。ポリマー含浸コンクリート製の土留め部材16は、土圧に十分絶えられる強度剛性を有し、かつ、短時間で掘削機により掘削が可能で、しかも、安価である。ポリマー含浸コンクリート製の土留め部材16は、円弧の板状を呈し、厚さが約64mm、高さが約500mm、長さが約1570mm、重量が125kgである。
【解決手段】到達開口14が形成される壁部の箇所は、掘進機10による切削が可能な土留め部材16が用いられ、それ以外の壁部の箇所は、掘進機10による切削が不能な通常の鋼製の土留め部材18が用いられ、到達立坑12が構築されている。掘進機10による切削が可能な土留め部材16はポリマー含浸コンクリート製である。ポリマー含浸コンクリート製の土留め部材16は、土圧に十分絶えられる強度剛性を有し、かつ、短時間で掘削機により掘削が可能で、しかも、安価である。ポリマー含浸コンクリート製の土留め部材16は、円弧の板状を呈し、厚さが約64mm、高さが約500mm、長さが約1570mm、重量が125kgである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、短期間で、安価で、安全に、掘進機を発進または到達させることを可能とするトンネル施工方法およびそれに用いる土留め部材に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、トンネルを構築する場合、まず、構築すべきトンネルの延在方向の両端に、土留め部材を用いて発進立坑と到達立坑を構築する。
この場合、土留め部材として、掘進機による切削ができない部材を用いる場合と、切削できる部材を用いる場合とがあり、それぞれの施工手順を説明する。
【0003】
(土留め部材として、掘進機による切削ができない部材を用いる場合)
この場合の多くは土留め部材として鋼製部材を用いて、発進立坑、到達立坑が構築される。
次に、鋼製部材で形成された立坑の壁面を切断機を用いて切断して発進開口または到達開口を作った場合(鏡切りを行なった場合)に、それら開口から土砂、泥水、地下水などが立坑内に浸入しないように、地盤改良を行なう。
次に、立坑の壁面を切断して発進開口または到達開口を作る。
次に、発進開口から掘進機を進め掘削していく。
次に、掘進機が到達立坑の到達開口に対して所定の位置に到達したならば、掘進機周囲に、地下水の到達立坑内への流入を防止するため薬液注入等の止水処理を行う。
次に、掘進機が到達立坑の到達開口に至る。
【0004】
(土留め部材として、掘進機による切削ができる部材を用いる場合)
発進開口または到達開口が形成される壁部の箇所は、土留め部材として掘進機による切削が可能な部材が用いられ、それ以外の壁部の箇所は、土留め部材として通常の鋼製部材が用いられ、発進立坑、到達立坑が構築される。
次に、発進開口または到達開口の土留め部材は掘進機により切削可能であるため、地盤改良を行なうことなく、発進立坑から壁部を直接切削しながら所定の位置まで掘進機を進める。
次に、掘進機が到達立坑に対して所定の位置に到達したならば、掘進機周囲に、地下水の到達立坑内への流入を防止するため薬液注入等の止水処理を行う。
次に、掘進機が到達立坑に至る(特許文献1)。
【特許文献1】特開2007−262855
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように土留め部材として、掘進機による切削ができない部材を用いる従来の工法では、地下水が立坑内に浸入しないように、高強度の地盤改良をする必要があり、高強度の地盤改良には工期がかかり、コスト高となる不具合があり、また、到達防護の地盤改良に不具合が生じた場合、鏡切り時に土砂、泥水、地下水などが立坑に流入し、安全性が低下する不具合もあった。
また土留め部材として、掘進機による切削ができる部材を用いる場合には、掘進機による切削ができる土留め部材として、ダクタルしかなく、このダクタルは極めて高価であり、しかも極めて硬いため切削に長時間要し、コスト高となり、工期が長期化する不具合がある。
このような不具合は、立坑からトンネルを施工する場合のみならず、親トンネルから分岐トンネルを施工する場合にも生じている。
【0006】
本発明は前記事情に鑑み案出されたものであって、本発明の目的は、短期間で、安価で、安全に、掘進機を発進または到達させることを可能とするトンネル施工方法およびそれに用いる土留め部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため本発明のトンネルの施工方法は、土留め部材を用いて構築した坑内から掘進機を発進させてトンネルを施工する際に、前記掘進機が掘進する坑内の壁面箇所の土留め部材としてポリマー含浸コンクリート製のものを用いたことを特徴とする。
また、本発明のトンネルの施工方法は、土留め部材を用いて構築した坑内に掘進機を到達させてトンネルを施工する際に、前記掘進機が到達する前記坑内の壁面箇所の土留め部材としてポリマー含浸コンクリート製のものを用いたことを特徴とする。
また、本発明は、土砂がくずれだすのを止めるために用いる板状の土留め部材であって、前記土留め部材はポリマー含浸コンクリート製であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
ポリマー含浸コンクリート製の土留め部材は、土圧に十分絶えられる強度剛性を有し、かつ、短時間で掘削機により掘削が可能となり、しかも、安価な材料であることから、短期間で、安価で、安全に、掘進機を発進または到達させることを可能となり、トンネル工事のコストダウン、工期の短縮化を図る上で極めて有利となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を、発進立坑から発進した掘進機10が、到達立坑12に到達する場合について説明する。
図1は到達立坑に掘進機が到達する際の正面図、図2は到達立坑の内部から掘進機が到達する壁面部分を見た図、図3は到達立坑に掘進機が到達する際の平面図、図4は反力伝達梁の端部を補強リングに取り付ける説明図、図5は補強支柱の下端をコンクリート底板に取り付ける説明図、図6は補強支柱の上端を補強リングに取り付ける説明図、図7は斜材の下端をコンクリート底板に取り付ける説明図を示す。
到達立坑12は、多数の土留め部材を用いて円柱空間状に垂直に構築されている。
そして、到達開口14が形成される壁部の箇所は、図2に斜線で示すように、掘進機10による切削が可能な土留め部材16が用いられ、それ以外の壁部の箇所は、掘進機10による切削が不能な通常の鋼製の土留め部材18が用いられ、到達立坑12が構築されている。
【0010】
到達立坑12の下部において、到達する掘進機10の反力に対抗するように、到達開口14が形成される壁部の箇所は、補強リング22、反力伝達梁24、補強支柱26、斜材28などを用いて補強され、従って、反力伝達梁24、補強支柱26、斜材28は支保工として機能する。なお、本実施の形態では、反力伝達梁24や斜材28に計測器を設置し、支保工に過大な荷重がかからないように確認するようにしている。
鋼製の土留め部材18は、円弧状に形成され、断面はコ字状を呈し、上下のフランジおよび左右のフランジを隣接する土留め部材18に重ね合わされ、ウェブを到達立坑12内に臨ませて配置され、相互に連結されている。このような鋼製の土留め部材18の構成や連結構造として従来公知の様々な構造が採用可能である。
【0011】
図1、図2、図4に示すように、補強リング22は、到達開口14が形成される箇所の直上に位置する上下の鋼製の土留め部材18間に配置されている。
補強リング22として、断面がH形の鋼材が用いられ、補強リングは、到達立坑12の深さ方向と直交する水平面上を到達立坑12の断面に沿って環状に延在している。
反力伝達梁24は、到達開口14が形成される箇所の直上に位置する補強リング22の箇所と、この補強リング22の箇所に対向する補強リング22の箇所とに掛け渡されている。
図1、図2に示すように、反力伝達部材24として、断面がH形の鋼材が用いられ、図4に示すように、反力伝達部材24の延在方向の両端に設けた掛止部を補強リング22に掛止し溶接により固定して配置され、水平に延在し、図3に示すように、本実施の形態では2本用いられている。
【0012】
補強支柱26は、図3に示すように、到達開口14が形成される壁部の箇所において周方向に間隔をおいて4本設けられている。
各補強支柱26は鉛直方向に延在し、図5に示すように、下端がブラケット30を介してコンクリート底板32に連結され、上端がボルト、ナットを介して補強リング22に連結されている。
なお、図5、図6において符号34は、補強支柱26と土留め部材16との間に配置される間詰め鋼材を示している。
斜材28は、図3に示すように、到達開口14が形成される壁部の箇所において周方向に間隔をおいて4本設けられ、各斜材28は、図7に示すように、下端が取り付け板36を介してコンクリート底板32に連結され、上端がボルト、ナットを介して補強支柱26の高さ方向の中間部に連結されている。
【0013】
図8(A)は土留め部材16を用いた到達立坑部分の断面平面図、(B)は土留め部材16を用いた到達立坑部分を内側から見た図、図9は図8(B)の円形部分の拡大図を示す。
また、図10は土留め部材16の説明図で、(A)は土留め部材16をその半径方向の内側から見た図、(B)は土留め部材16をその半径方向の外側から見た図、(C)は土留め部材16の平面図、(D)は土留め部材16の底面図を示す。
また、図11は土留め部材16に設けられたインサート金物などの説明図で、(A)はインサート金物42部分の土留め部材16の断面平面図、(B)はソケット44部分の土留め部材16の断面平面図、(C)は位置決め凹部46部分の土留め部材16の断面正面図、(D)はインサート金物48部分の土留め部材16の断面正面図を示す。
【0014】
つぎに、図8乃至図11を参照して、掘進機10による切削が可能な土留め部材16について説明する。
土留め部材16はポリマー含浸コンクリート製であり、いわゆるPIC(Polymer Impregnated Concrete)製である。
ポリマー含浸コンクリートは、硬化コンクリート(または硬化モルタル)の微細な空隙に樹脂のモノマーを含浸、重合させポリマー化し、緻密にした複合強化材料であり、従来コンクリート型枠や低、中レベル放射性廃棄物の処理処分容器として用いられているものである。
本発明者等は、土圧に十分絶えられる強度剛性を有し、かつ、短時間で掘削機により掘削が可能となり、しかも、安価な土留め部材用材料としてポリマー含浸コンクリートに着目した。
【0015】
ポリマー含浸コンクリート製の土留め部材16は円弧の板状を呈し、本実施の形態では、厚さが約64mm、高さが約500mm、長さが約1570mm、重量が125kgである。
ポリマー含浸コンクリート製の土留め部材16の半径方向内側に位置する内周面1602には、図10(A)、図11(A)に示すように、上下に積み重ねられるポリマー含浸コンクリート製の土留め部材16に対して、連結板40(図9参照)およびボルトを介して連結するためのインサート金物42が周方向に間隔をおいて複数埋め込まれ、インサート金物42には、内周面1602に開放状の雌ねじ42Aが形成されている。
また、図10(A)、(B)、図11(B)で示すように、内周面1602の中央には、裏込め時に使用する孔を確保するためのソケット44が埋め込まれ、ソケット44の薄肉の底面は外周面1604または外周面1604の近傍に位置している。
また、図10(A)、(D)、図11(C)で示すように、ポリマー含浸コンクリート製の土留め部材16の高さ方向の下端に位置する下端面1606には、周方向に間隔をおいて下方に開放状の位置決め凹部46が設けられている。
また、図10(A)、(C)、図11(D)で示すように、ポリマー含浸コンクリート製の土留め部材16の高さ方向の上端に位置する上端面1608には、周方向に間隔をおいてインサート金物48が埋め込まれ、インサート金物48には、上方に開放状の凹部4802が設けられており、この凹部4802に、位置決め凹部46に挿入可能な位置決めピン48Aが嵌め込まれる。
【0016】
ポリマー含浸コンクリート製の土留め部材16の組み付けは、位置決めピン48Aが、位置決め凹部46に挿入されるように、また、左右の端面が合わされるようにポリマー含浸コンクリート製の土留め部材16を積み重ねていく。
その際、上下に隣接するポリマー含浸コンクリート製の土留め部材16の下端面1606、上端面1608に対して上端面1608、下端面1606を重ね合わせて接着剤により固定するとともに、周方向に隣接するポリマー含浸コンクリート製の土留め部材16に対して左右の端面を重ね合わせ接着剤により固定する。なお、切削が不能な通常の鋼製の土留め部材18が隣に位置する場合には、鋼製の土留め部材18の上下端面や左右端面にポリマー含浸コンクリート製の土留め部材16の上下端面、左右端面を重ね合わせ接着剤により固定する。
また、上下に隣接するポリマー含浸コンクリート製の土留め部材16間は、インサート金物42の雌ねじ42Aに螺合したボルトを介して連結板40で連結する。
このように、土留め部材16、18が組み付けられたならば、反力伝達梁24、補強支柱26、斜材28を上述のように補強リング22を利用して組み付ける。
【0017】
次に、掘進機が到達立坑に到着する際の施工手順を説明する。
図12は、掘進機が到達立坑に到着する際の説明図で、(A)乃至(F)は平面図、(G)乃至(L)は到達立坑の内側から見た(A)乃至(F)の正面図を示す。
図10(A)、(G)に示すように、到達立坑12の底部に、到達する掘進機10の反力に対抗するように、到達開口14が形成される壁部の箇所が、補強リング22、反力伝達梁24、補強支柱26、斜材28で補強されている。
図10(B)、(H)および(C)、(I)に示すように、掘進機10の前端が到達立坑12に到達し、掘進機10の前端が到達立坑12内に露出したならば、図10(D)、(J)に示すように、中央の2本の補強支柱26と中央の2本の斜材28を取り除く。
そして、掘進機10の更なる掘進により、図10(E)、(K)および(F)、(L)に示すように、掘進機10が到達立坑12に到達し、到達開口14の土留め部材16からなる壁面に到達開口14が形成される。
なお、図10(E)、(K)から(F)、(L)では、カッターが無回転で掘進機10が前進し、図10(F)、(L)では掘進機10が停止し、裏込めによる止水注入が行なわれる。
【0018】
以上の説明で明らかなように、本実施の形態によれば、到達開口14が形成される壁部の箇所を、ポリマー含浸コンクリート製の土留め部材16を用いて形成したので、安価に壁部を形成でき、また、短時間で掘進機10による切削が可能となり、これにより安価で、安全に、短時間で到達開口14を形成でき、したがって、トンネル工事のコストダウン、工期の短縮化を図る上で極めて有利となる。
【0019】
なお、本発明は、発進立坑から掘進機を掘進させる場合にも適用可能であり、この場合には、発進開口が形成される壁部の箇所を、ポリマー含浸コンクリート製の土留め部材を用いて形成しておくことにより、短期間で、安価で、安全に、掘進機を発進立坑から発進させることが可能となる。
また、本発明は、立坑からトンネルを施工する場合のみならず、親トンネルから掘進機を発進させて分岐トンネルを施工する場合や、その分岐トンネルが他の親トンネルに到達する場合にも同様に適用可能である。
さらに、本発明の土留め部材は、トンネル施工に限定されず、土砂がくずれだすのを止めるために用いる板状の土留め部材に広く適用されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】到達立坑に掘進機が到達する際の正面図である。
【図2】到達立坑の内部から掘進機が到達する壁面部分を見た図である。
【図3】到達立坑に掘進機が到達する際の平面図である。
【図4】反力伝達梁の端部を補強リングに取り付ける説明図である。
【図5】補強支柱の下端をコンクリート底板に取り付ける説明図である。
【図6】補強支柱の上端を補強リングに取り付ける説明図である。
【図7】斜材の下端をコンクリート底板に取り付ける説明図である。
【図8】(A)は土留め部材16を用いた到達立坑部分の断面平面図、(B)は土留め部材16を用いた到達立坑部分を内側から見た図である。
【図9】図8(B)の円形部分の拡大図である。
【図10】土留め部材16の説明図で、(A)は土留め部材16をその半径方向の内側から見た図、(B)は土留め部材16をその半径方向の外側から見た図、(C)は土留め部材16の平面図、(D)は土留め部材16の底面図である。
【図11】土留め部材16に設けられたインサート金物などの説明図で、(A)はインサート金物42部分の土留め部材16の断面平面図、(B)はソケット44部分の土留め部材16の断面平面図、(C)は位置決め凹部46部分の土留め部材16の断面正面図、(D)はインサート金物48部分の土留め部材16の断面正面図である。
【図12】掘進機が到達立坑に到着する際の説明図で、(A)乃至(F)は平面図、(G)乃至(L)は到達立坑の内側から見た(A)乃至(F)の正面図である。
【符号の説明】
【0021】
10……掘進機、12……到達立坑、16……ポリマー含浸コンクリート製の土留め部材、18……鋼製の土留め部材、22……補強リング、24……反力伝達梁、26……補強支柱、28……斜材。
【技術分野】
【0001】
本発明は、短期間で、安価で、安全に、掘進機を発進または到達させることを可能とするトンネル施工方法およびそれに用いる土留め部材に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、トンネルを構築する場合、まず、構築すべきトンネルの延在方向の両端に、土留め部材を用いて発進立坑と到達立坑を構築する。
この場合、土留め部材として、掘進機による切削ができない部材を用いる場合と、切削できる部材を用いる場合とがあり、それぞれの施工手順を説明する。
【0003】
(土留め部材として、掘進機による切削ができない部材を用いる場合)
この場合の多くは土留め部材として鋼製部材を用いて、発進立坑、到達立坑が構築される。
次に、鋼製部材で形成された立坑の壁面を切断機を用いて切断して発進開口または到達開口を作った場合(鏡切りを行なった場合)に、それら開口から土砂、泥水、地下水などが立坑内に浸入しないように、地盤改良を行なう。
次に、立坑の壁面を切断して発進開口または到達開口を作る。
次に、発進開口から掘進機を進め掘削していく。
次に、掘進機が到達立坑の到達開口に対して所定の位置に到達したならば、掘進機周囲に、地下水の到達立坑内への流入を防止するため薬液注入等の止水処理を行う。
次に、掘進機が到達立坑の到達開口に至る。
【0004】
(土留め部材として、掘進機による切削ができる部材を用いる場合)
発進開口または到達開口が形成される壁部の箇所は、土留め部材として掘進機による切削が可能な部材が用いられ、それ以外の壁部の箇所は、土留め部材として通常の鋼製部材が用いられ、発進立坑、到達立坑が構築される。
次に、発進開口または到達開口の土留め部材は掘進機により切削可能であるため、地盤改良を行なうことなく、発進立坑から壁部を直接切削しながら所定の位置まで掘進機を進める。
次に、掘進機が到達立坑に対して所定の位置に到達したならば、掘進機周囲に、地下水の到達立坑内への流入を防止するため薬液注入等の止水処理を行う。
次に、掘進機が到達立坑に至る(特許文献1)。
【特許文献1】特開2007−262855
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように土留め部材として、掘進機による切削ができない部材を用いる従来の工法では、地下水が立坑内に浸入しないように、高強度の地盤改良をする必要があり、高強度の地盤改良には工期がかかり、コスト高となる不具合があり、また、到達防護の地盤改良に不具合が生じた場合、鏡切り時に土砂、泥水、地下水などが立坑に流入し、安全性が低下する不具合もあった。
また土留め部材として、掘進機による切削ができる部材を用いる場合には、掘進機による切削ができる土留め部材として、ダクタルしかなく、このダクタルは極めて高価であり、しかも極めて硬いため切削に長時間要し、コスト高となり、工期が長期化する不具合がある。
このような不具合は、立坑からトンネルを施工する場合のみならず、親トンネルから分岐トンネルを施工する場合にも生じている。
【0006】
本発明は前記事情に鑑み案出されたものであって、本発明の目的は、短期間で、安価で、安全に、掘進機を発進または到達させることを可能とするトンネル施工方法およびそれに用いる土留め部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため本発明のトンネルの施工方法は、土留め部材を用いて構築した坑内から掘進機を発進させてトンネルを施工する際に、前記掘進機が掘進する坑内の壁面箇所の土留め部材としてポリマー含浸コンクリート製のものを用いたことを特徴とする。
また、本発明のトンネルの施工方法は、土留め部材を用いて構築した坑内に掘進機を到達させてトンネルを施工する際に、前記掘進機が到達する前記坑内の壁面箇所の土留め部材としてポリマー含浸コンクリート製のものを用いたことを特徴とする。
また、本発明は、土砂がくずれだすのを止めるために用いる板状の土留め部材であって、前記土留め部材はポリマー含浸コンクリート製であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
ポリマー含浸コンクリート製の土留め部材は、土圧に十分絶えられる強度剛性を有し、かつ、短時間で掘削機により掘削が可能となり、しかも、安価な材料であることから、短期間で、安価で、安全に、掘進機を発進または到達させることを可能となり、トンネル工事のコストダウン、工期の短縮化を図る上で極めて有利となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を、発進立坑から発進した掘進機10が、到達立坑12に到達する場合について説明する。
図1は到達立坑に掘進機が到達する際の正面図、図2は到達立坑の内部から掘進機が到達する壁面部分を見た図、図3は到達立坑に掘進機が到達する際の平面図、図4は反力伝達梁の端部を補強リングに取り付ける説明図、図5は補強支柱の下端をコンクリート底板に取り付ける説明図、図6は補強支柱の上端を補強リングに取り付ける説明図、図7は斜材の下端をコンクリート底板に取り付ける説明図を示す。
到達立坑12は、多数の土留め部材を用いて円柱空間状に垂直に構築されている。
そして、到達開口14が形成される壁部の箇所は、図2に斜線で示すように、掘進機10による切削が可能な土留め部材16が用いられ、それ以外の壁部の箇所は、掘進機10による切削が不能な通常の鋼製の土留め部材18が用いられ、到達立坑12が構築されている。
【0010】
到達立坑12の下部において、到達する掘進機10の反力に対抗するように、到達開口14が形成される壁部の箇所は、補強リング22、反力伝達梁24、補強支柱26、斜材28などを用いて補強され、従って、反力伝達梁24、補強支柱26、斜材28は支保工として機能する。なお、本実施の形態では、反力伝達梁24や斜材28に計測器を設置し、支保工に過大な荷重がかからないように確認するようにしている。
鋼製の土留め部材18は、円弧状に形成され、断面はコ字状を呈し、上下のフランジおよび左右のフランジを隣接する土留め部材18に重ね合わされ、ウェブを到達立坑12内に臨ませて配置され、相互に連結されている。このような鋼製の土留め部材18の構成や連結構造として従来公知の様々な構造が採用可能である。
【0011】
図1、図2、図4に示すように、補強リング22は、到達開口14が形成される箇所の直上に位置する上下の鋼製の土留め部材18間に配置されている。
補強リング22として、断面がH形の鋼材が用いられ、補強リングは、到達立坑12の深さ方向と直交する水平面上を到達立坑12の断面に沿って環状に延在している。
反力伝達梁24は、到達開口14が形成される箇所の直上に位置する補強リング22の箇所と、この補強リング22の箇所に対向する補強リング22の箇所とに掛け渡されている。
図1、図2に示すように、反力伝達部材24として、断面がH形の鋼材が用いられ、図4に示すように、反力伝達部材24の延在方向の両端に設けた掛止部を補強リング22に掛止し溶接により固定して配置され、水平に延在し、図3に示すように、本実施の形態では2本用いられている。
【0012】
補強支柱26は、図3に示すように、到達開口14が形成される壁部の箇所において周方向に間隔をおいて4本設けられている。
各補強支柱26は鉛直方向に延在し、図5に示すように、下端がブラケット30を介してコンクリート底板32に連結され、上端がボルト、ナットを介して補強リング22に連結されている。
なお、図5、図6において符号34は、補強支柱26と土留め部材16との間に配置される間詰め鋼材を示している。
斜材28は、図3に示すように、到達開口14が形成される壁部の箇所において周方向に間隔をおいて4本設けられ、各斜材28は、図7に示すように、下端が取り付け板36を介してコンクリート底板32に連結され、上端がボルト、ナットを介して補強支柱26の高さ方向の中間部に連結されている。
【0013】
図8(A)は土留め部材16を用いた到達立坑部分の断面平面図、(B)は土留め部材16を用いた到達立坑部分を内側から見た図、図9は図8(B)の円形部分の拡大図を示す。
また、図10は土留め部材16の説明図で、(A)は土留め部材16をその半径方向の内側から見た図、(B)は土留め部材16をその半径方向の外側から見た図、(C)は土留め部材16の平面図、(D)は土留め部材16の底面図を示す。
また、図11は土留め部材16に設けられたインサート金物などの説明図で、(A)はインサート金物42部分の土留め部材16の断面平面図、(B)はソケット44部分の土留め部材16の断面平面図、(C)は位置決め凹部46部分の土留め部材16の断面正面図、(D)はインサート金物48部分の土留め部材16の断面正面図を示す。
【0014】
つぎに、図8乃至図11を参照して、掘進機10による切削が可能な土留め部材16について説明する。
土留め部材16はポリマー含浸コンクリート製であり、いわゆるPIC(Polymer Impregnated Concrete)製である。
ポリマー含浸コンクリートは、硬化コンクリート(または硬化モルタル)の微細な空隙に樹脂のモノマーを含浸、重合させポリマー化し、緻密にした複合強化材料であり、従来コンクリート型枠や低、中レベル放射性廃棄物の処理処分容器として用いられているものである。
本発明者等は、土圧に十分絶えられる強度剛性を有し、かつ、短時間で掘削機により掘削が可能となり、しかも、安価な土留め部材用材料としてポリマー含浸コンクリートに着目した。
【0015】
ポリマー含浸コンクリート製の土留め部材16は円弧の板状を呈し、本実施の形態では、厚さが約64mm、高さが約500mm、長さが約1570mm、重量が125kgである。
ポリマー含浸コンクリート製の土留め部材16の半径方向内側に位置する内周面1602には、図10(A)、図11(A)に示すように、上下に積み重ねられるポリマー含浸コンクリート製の土留め部材16に対して、連結板40(図9参照)およびボルトを介して連結するためのインサート金物42が周方向に間隔をおいて複数埋め込まれ、インサート金物42には、内周面1602に開放状の雌ねじ42Aが形成されている。
また、図10(A)、(B)、図11(B)で示すように、内周面1602の中央には、裏込め時に使用する孔を確保するためのソケット44が埋め込まれ、ソケット44の薄肉の底面は外周面1604または外周面1604の近傍に位置している。
また、図10(A)、(D)、図11(C)で示すように、ポリマー含浸コンクリート製の土留め部材16の高さ方向の下端に位置する下端面1606には、周方向に間隔をおいて下方に開放状の位置決め凹部46が設けられている。
また、図10(A)、(C)、図11(D)で示すように、ポリマー含浸コンクリート製の土留め部材16の高さ方向の上端に位置する上端面1608には、周方向に間隔をおいてインサート金物48が埋め込まれ、インサート金物48には、上方に開放状の凹部4802が設けられており、この凹部4802に、位置決め凹部46に挿入可能な位置決めピン48Aが嵌め込まれる。
【0016】
ポリマー含浸コンクリート製の土留め部材16の組み付けは、位置決めピン48Aが、位置決め凹部46に挿入されるように、また、左右の端面が合わされるようにポリマー含浸コンクリート製の土留め部材16を積み重ねていく。
その際、上下に隣接するポリマー含浸コンクリート製の土留め部材16の下端面1606、上端面1608に対して上端面1608、下端面1606を重ね合わせて接着剤により固定するとともに、周方向に隣接するポリマー含浸コンクリート製の土留め部材16に対して左右の端面を重ね合わせ接着剤により固定する。なお、切削が不能な通常の鋼製の土留め部材18が隣に位置する場合には、鋼製の土留め部材18の上下端面や左右端面にポリマー含浸コンクリート製の土留め部材16の上下端面、左右端面を重ね合わせ接着剤により固定する。
また、上下に隣接するポリマー含浸コンクリート製の土留め部材16間は、インサート金物42の雌ねじ42Aに螺合したボルトを介して連結板40で連結する。
このように、土留め部材16、18が組み付けられたならば、反力伝達梁24、補強支柱26、斜材28を上述のように補強リング22を利用して組み付ける。
【0017】
次に、掘進機が到達立坑に到着する際の施工手順を説明する。
図12は、掘進機が到達立坑に到着する際の説明図で、(A)乃至(F)は平面図、(G)乃至(L)は到達立坑の内側から見た(A)乃至(F)の正面図を示す。
図10(A)、(G)に示すように、到達立坑12の底部に、到達する掘進機10の反力に対抗するように、到達開口14が形成される壁部の箇所が、補強リング22、反力伝達梁24、補強支柱26、斜材28で補強されている。
図10(B)、(H)および(C)、(I)に示すように、掘進機10の前端が到達立坑12に到達し、掘進機10の前端が到達立坑12内に露出したならば、図10(D)、(J)に示すように、中央の2本の補強支柱26と中央の2本の斜材28を取り除く。
そして、掘進機10の更なる掘進により、図10(E)、(K)および(F)、(L)に示すように、掘進機10が到達立坑12に到達し、到達開口14の土留め部材16からなる壁面に到達開口14が形成される。
なお、図10(E)、(K)から(F)、(L)では、カッターが無回転で掘進機10が前進し、図10(F)、(L)では掘進機10が停止し、裏込めによる止水注入が行なわれる。
【0018】
以上の説明で明らかなように、本実施の形態によれば、到達開口14が形成される壁部の箇所を、ポリマー含浸コンクリート製の土留め部材16を用いて形成したので、安価に壁部を形成でき、また、短時間で掘進機10による切削が可能となり、これにより安価で、安全に、短時間で到達開口14を形成でき、したがって、トンネル工事のコストダウン、工期の短縮化を図る上で極めて有利となる。
【0019】
なお、本発明は、発進立坑から掘進機を掘進させる場合にも適用可能であり、この場合には、発進開口が形成される壁部の箇所を、ポリマー含浸コンクリート製の土留め部材を用いて形成しておくことにより、短期間で、安価で、安全に、掘進機を発進立坑から発進させることが可能となる。
また、本発明は、立坑からトンネルを施工する場合のみならず、親トンネルから掘進機を発進させて分岐トンネルを施工する場合や、その分岐トンネルが他の親トンネルに到達する場合にも同様に適用可能である。
さらに、本発明の土留め部材は、トンネル施工に限定されず、土砂がくずれだすのを止めるために用いる板状の土留め部材に広く適用されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】到達立坑に掘進機が到達する際の正面図である。
【図2】到達立坑の内部から掘進機が到達する壁面部分を見た図である。
【図3】到達立坑に掘進機が到達する際の平面図である。
【図4】反力伝達梁の端部を補強リングに取り付ける説明図である。
【図5】補強支柱の下端をコンクリート底板に取り付ける説明図である。
【図6】補強支柱の上端を補強リングに取り付ける説明図である。
【図7】斜材の下端をコンクリート底板に取り付ける説明図である。
【図8】(A)は土留め部材16を用いた到達立坑部分の断面平面図、(B)は土留め部材16を用いた到達立坑部分を内側から見た図である。
【図9】図8(B)の円形部分の拡大図である。
【図10】土留め部材16の説明図で、(A)は土留め部材16をその半径方向の内側から見た図、(B)は土留め部材16をその半径方向の外側から見た図、(C)は土留め部材16の平面図、(D)は土留め部材16の底面図である。
【図11】土留め部材16に設けられたインサート金物などの説明図で、(A)はインサート金物42部分の土留め部材16の断面平面図、(B)はソケット44部分の土留め部材16の断面平面図、(C)は位置決め凹部46部分の土留め部材16の断面正面図、(D)はインサート金物48部分の土留め部材16の断面正面図である。
【図12】掘進機が到達立坑に到着する際の説明図で、(A)乃至(F)は平面図、(G)乃至(L)は到達立坑の内側から見た(A)乃至(F)の正面図である。
【符号の説明】
【0021】
10……掘進機、12……到達立坑、16……ポリマー含浸コンクリート製の土留め部材、18……鋼製の土留め部材、22……補強リング、24……反力伝達梁、26……補強支柱、28……斜材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
土留め部材を用いて構築した坑内から掘進機を発進させてトンネルを施工する際に、
前記掘進機が掘進する坑内の壁面箇所の土留め部材としてポリマー含浸コンクリート製のものを用いた、
ことを特徴とするトンネルの施工方法。
【請求項2】
土留め部材を用いて構築した坑内に掘進機を到達させてトンネルを施工する際に、
前記掘進機が到達する前記坑内の壁面箇所の土留め部材としてポリマー含浸コンクリート製のものを用いた、
ことを特徴とするトンネルの施工方法。
【請求項3】
前記ポリマー含浸コンクリート製の土留め部材を用いて構築された壁面の箇所を、前記坑内から支保工により支える、
ことを特徴とする請求項2記載のトンネルの施工方法。
【請求項4】
前記ポリマー含浸コンクリート製の土留め部材は、厚さと、厚さよりも大きい寸法の高さと、高さよりも大きい寸法の長さで円弧状に延在する長さとを有して円弧の板状に形成され、
前記土留め部材の高さ方向の一方に位置する端面に、周方向に間隔をおいて位置決め用凹部が設けられ、
前記土留め部材の高さ方向の他方に位置する端面に、前記位置決め用凹部に挿入可能な位置決めピンが設けられ、
前記土留め部材を積み重ねる際に、上位の土留め部材の位置決め凹部が、下位の土留め部材の位置決めピンに挿入されることで位置決めされ、それら土留め部材の端面が接着剤により固定される、
ことを特徴とする請求項1または2記載のトンネルの施工方法。
【請求項5】
前記ポリマー含浸コンクリート製の土留め部材は、厚さと、厚さよりも大きい寸法の高さと、高さよりも大きい寸法の長さで円弧状に延在する長さとを有して円弧の板状に形成され、
前記厚さ方向の一方に位置する土留め部材の箇所は、円筒面からなる内周面として形成され、
前記土留め部材の内周面で周方向に間隔をおいた箇所で高さ方向の両端よりに位置する箇所に雌ねじを設けておき、
前記土留め部材を上下に積み重ねた際にそれら積み重ねた土留め部材の内周面の箇所に連結板を当て付け、前記連結板を挿通しボルトを前記雌ねじに螺合することで前記連結板により上下の土留め部材を連結する、
ことを特徴とする請求項1または2記載のトンネルの施工方法。
【請求項6】
土砂がくずれだすのを止めるために用いる板状の土留め部材であって、
前記土留め部材はポリマー含浸コンクリート製である、
ことを特徴とする土留め部材。
【請求項7】
前記土留め部材は、厚さと、厚さよりも大きい寸法の高さと、高さよりも大きい寸法の長さで円弧状に延在する長さとを有して円弧の板状に形成され、
前記土留め部材の高さ方向の一方に位置する端面に、周方向に間隔をおいて位置決め用凹部が設けられ、
前記土留め部材の高さ方向の他方に位置する端面に、前記位置決め用凹部に挿入可能な位置決めピンが設けられている、
ことを特徴とする請求項6記載の土留め部材。
【請求項8】
前記ポリマー含浸コンクリート製の土留め部材は、厚さと、厚さよりも大きい寸法の高さと、高さよりも大きい寸法の長さで円弧状に延在する長さとを有して円弧の板状に形成され、
前記厚さ方向の一方に位置する土留め部材の箇所は、円筒面からなる内周面として形成され、
前記厚さ方向の他方に位置する土留め部材の箇所は、前記内周面と同軸上で前記内周面よりも大きい半径の円筒面からなる外周面として形成され、
前記土留め部材の内周面で周方向に間隔をおいた箇所で高さ方向の両端よりに位置する箇所に、前記土留め部材を上下に積み重ねた際にそれら積み重ねた土留め部材の内周面の箇所を連結板により連結するための雌ねじが設けられている、
ことを特徴とする請求項6記載の土留め部材。
【請求項1】
土留め部材を用いて構築した坑内から掘進機を発進させてトンネルを施工する際に、
前記掘進機が掘進する坑内の壁面箇所の土留め部材としてポリマー含浸コンクリート製のものを用いた、
ことを特徴とするトンネルの施工方法。
【請求項2】
土留め部材を用いて構築した坑内に掘進機を到達させてトンネルを施工する際に、
前記掘進機が到達する前記坑内の壁面箇所の土留め部材としてポリマー含浸コンクリート製のものを用いた、
ことを特徴とするトンネルの施工方法。
【請求項3】
前記ポリマー含浸コンクリート製の土留め部材を用いて構築された壁面の箇所を、前記坑内から支保工により支える、
ことを特徴とする請求項2記載のトンネルの施工方法。
【請求項4】
前記ポリマー含浸コンクリート製の土留め部材は、厚さと、厚さよりも大きい寸法の高さと、高さよりも大きい寸法の長さで円弧状に延在する長さとを有して円弧の板状に形成され、
前記土留め部材の高さ方向の一方に位置する端面に、周方向に間隔をおいて位置決め用凹部が設けられ、
前記土留め部材の高さ方向の他方に位置する端面に、前記位置決め用凹部に挿入可能な位置決めピンが設けられ、
前記土留め部材を積み重ねる際に、上位の土留め部材の位置決め凹部が、下位の土留め部材の位置決めピンに挿入されることで位置決めされ、それら土留め部材の端面が接着剤により固定される、
ことを特徴とする請求項1または2記載のトンネルの施工方法。
【請求項5】
前記ポリマー含浸コンクリート製の土留め部材は、厚さと、厚さよりも大きい寸法の高さと、高さよりも大きい寸法の長さで円弧状に延在する長さとを有して円弧の板状に形成され、
前記厚さ方向の一方に位置する土留め部材の箇所は、円筒面からなる内周面として形成され、
前記土留め部材の内周面で周方向に間隔をおいた箇所で高さ方向の両端よりに位置する箇所に雌ねじを設けておき、
前記土留め部材を上下に積み重ねた際にそれら積み重ねた土留め部材の内周面の箇所に連結板を当て付け、前記連結板を挿通しボルトを前記雌ねじに螺合することで前記連結板により上下の土留め部材を連結する、
ことを特徴とする請求項1または2記載のトンネルの施工方法。
【請求項6】
土砂がくずれだすのを止めるために用いる板状の土留め部材であって、
前記土留め部材はポリマー含浸コンクリート製である、
ことを特徴とする土留め部材。
【請求項7】
前記土留め部材は、厚さと、厚さよりも大きい寸法の高さと、高さよりも大きい寸法の長さで円弧状に延在する長さとを有して円弧の板状に形成され、
前記土留め部材の高さ方向の一方に位置する端面に、周方向に間隔をおいて位置決め用凹部が設けられ、
前記土留め部材の高さ方向の他方に位置する端面に、前記位置決め用凹部に挿入可能な位置決めピンが設けられている、
ことを特徴とする請求項6記載の土留め部材。
【請求項8】
前記ポリマー含浸コンクリート製の土留め部材は、厚さと、厚さよりも大きい寸法の高さと、高さよりも大きい寸法の長さで円弧状に延在する長さとを有して円弧の板状に形成され、
前記厚さ方向の一方に位置する土留め部材の箇所は、円筒面からなる内周面として形成され、
前記厚さ方向の他方に位置する土留め部材の箇所は、前記内周面と同軸上で前記内周面よりも大きい半径の円筒面からなる外周面として形成され、
前記土留め部材の内周面で周方向に間隔をおいた箇所で高さ方向の両端よりに位置する箇所に、前記土留め部材を上下に積み重ねた際にそれら積み重ねた土留め部材の内周面の箇所を連結板により連結するための雌ねじが設けられている、
ことを特徴とする請求項6記載の土留め部材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−191507(P2009−191507A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−32605(P2008−32605)
【出願日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(302060926)株式会社フジタ (285)
【出願人】(303004716)マテラス青梅工業株式会社 (15)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(302060926)株式会社フジタ (285)
【出願人】(303004716)マテラス青梅工業株式会社 (15)
【Fターム(参考)】
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