ドアウエザストリップ
【課題】外観品質、形状安定性、組付追従性、シール性などの向上を図るとともに、製造工程の簡素化を図ることのできるドアウエザストリップを提供する。
【解決手段】自動車のドア周縁にはドアウエザストリップ4が装着されている。ウエザストリップ4は、ドアの上縁部、前縦縁部、下縁部及び後縦縁部に沿って配設される環状の本体部5と、当該本体部5に組付けられ、ドアの上縁部に沿って配設されるサブシール部材6とから構成されている。本体部5は、所定の押出成形機により直線状に形成される押出成形体からなり、長手方向全域にわたって同一断面形状で一続きに形成されている。また、本体部5は、ドア周縁に取付けられる取付基部21と、中空状のシール部23とを備えている。一方、サブシール部材6は、金型装置によって形成される型成形体であり、シールリップ部を備えている。
【解決手段】自動車のドア周縁にはドアウエザストリップ4が装着されている。ウエザストリップ4は、ドアの上縁部、前縦縁部、下縁部及び後縦縁部に沿って配設される環状の本体部5と、当該本体部5に組付けられ、ドアの上縁部に沿って配設されるサブシール部材6とから構成されている。本体部5は、所定の押出成形機により直線状に形成される押出成形体からなり、長手方向全域にわたって同一断面形状で一続きに形成されている。また、本体部5は、ドア周縁に取付けられる取付基部21と、中空状のシール部23とを備えている。一方、サブシール部材6は、金型装置によって形成される型成形体であり、シールリップ部を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアウエザストリップ及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車のドア周縁部にはドアウエザストリップが取付けられる。例えば図11に示すように、ドアウエザストリップ70は、ドア周縁部に取付けられる取付基部71と、当該取付基部71に一体的に設けられた中空状のシール部72とを備えている。そして、ドア閉時には、ボディのドア開口周縁にシール部72が圧接されることによって、ドアとボディとの間がシールされる。
【0003】
従来、この種のドアウエザストリップ70は、ドアの縦縁部など比較的真っ直ぐな部位に対応して、所定の押出成形機により直線状に成形された押出成形部73,74と、ドアのコーナー部など曲率の比較的大きな部位に対応して、所定の金型装置により前記押出成形部73,74に対し連続的に接続成形される型成形部75,76(図11で散点模様を付した部分)とから構成されている(例えば、特許文献1参照。)。なお、図11では、便宜上、上辺部及び下辺部の一部が分断されて図示されているが、このドアウエザストリップ70は実際には長手方向全域にわたって一続きに形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−239113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ドアウエザストリップ70を押出成形部73,74と型成形部75,76とから構成する場合には、当該押出成形部73,74と型成形部75,76の継ぎ目A1〜A4において接続線が外観に表れてしまい、外観品質の低下を招くおそれがある。さらに、押出成形部73,74と型成形部75,76とでは、構成材料が異なることもあって、その表面の色・艶が大きく相違しており、これによる外観品質の低下も懸念される。加えて、押出成形部73,74と型成形部75,76の継ぎ目A1〜A4においては段差が形成されやすく、シール性の低下を招くおそれがある。
【0006】
一般的に、ドアウエザストリップ70の上辺部を構成する押出成形部73等には、シール性等の向上のためサブシールリップ77が設けられている。そのため、当該押出成形部73の断面形状は、他の部位に配設される押出成形部74の断面形状とは異形となっている。また、仮に一定断面で直線状に成形された押出成形品をフロントドアの後上コーナー部のように急な湾曲部を有する箇所に対し組付けようとした場合には、当該押出成形品を湾曲部に追従させる際、シール部72がつぶれ変形してしまうおそれがあり、シール性の低下が懸念される。従って、上記押出成形部73,74の両者を1つの押出成形品により構成することは難しく、両者を型成形部75,76により接続成形しているのが現状である。
【0007】
上記型成形部75,76の接続成形は一般的に以下のように行われる。まず金型装置の各型を型開きした状態で、押出成形部73,74の一端部をそれぞれコア金型の両端部に嵌め込み、各型を型締めする。これにより、押出成形部73,74が金型装置に対し固定されるとともに、その内部にキャビティが形成される。この状態で、キャビティ内に可塑化状態にあるゴム材料を注入し充填させる。その後、ゴム材料を加硫固化させるとともに、固化完了後、各型を順次型開きして、成形された型成形部75(又は76)をコア金型とともに金型装置から取り外す。そして、型成形部75(又は76)からコア金型を抜き取ることで、押出成形部73,74と型成形部75(又は76)とが一体となった成形体が得られる。このように型成形部75,76の接続成形は非常に手間のかかる工程であり、いかに製造コストの増大を抑制するかが課題であった。また、このような接続成形が上記課題を助長し、外観品質やシール性のさらなる低下を招くおそれがある。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、外観品質、形状安定性、組付追従性、シール性などの向上を図るとともに、製造工程の簡素化を図ることのできるドアウエザストリップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、上記問題を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
【0010】
手段1.少なくとも自動車のドア周縁に取付けられる取付基部と、ドア閉時にドア開口周縁に圧接される中空状のシール部とからなる本体部の長手方向略全域が1つの押出成形体よりなるドアウエザストリップであって、
ドアの上縁部に沿って配設される上辺部の長手方向全域を含む長手方向所定区間においては、前記本体部の長手方向に沿って組付けられた型成形体を有し、
前記型成形体は、ドア閉時に前記シール部よりも車外側にてドア開口周縁に圧接される舌片状のシールリップ部を有し、当該シールリップ部の突出長がドア開口周縁の形状に対応して自身の長手方向で異なっており、
前記本体部には、前記シール部の付根部近傍から車外側に突出する係合突起が形成されているとともに、
前記型成形体には、係合凹部が形成されており、
当該係合凹部に、前記係合突起が嵌め込まれることで、前記型成形体が前記本体部に組付けられていることを特徴とするドアウエザストリップ。
【0011】
上記手段1によれば、取付基部及びシール部よりなるドアウエザストリップの本体部は、その長手方向略全域が1つの押出成形体により形成されている。また、上辺部においては、別途形成された型成形体を本体部の車外側に組付けることにより、上辺部に必要なシールリップ部を設けている。従って、従来のように2つの押出成形体を型接続させるといった非常に手間のかかる工程を必要とせず、製造工程の簡素化を図るとともに、製造コストの増大を抑制することができる。
【0012】
また、ドアの上縁部に沿って配設され特に人目につきやすいドアウエザストリップの上辺部においては、車内側に面する本体部のシール部はもちろんのこと、ドア閉時にドアとドア開口周縁との隙間から見え、車外側の意匠面となる型成形体のシールリップ部にも、従来のような押出成形体とコーナー型成形体の継ぎ目は形成されない。従って、ドアウエザストリップの上辺部において接続線が外観に表れる、長手方向において部分的に色・艶の相違が視認されるなどの不具合もなく、外観品質の向上を図ることができる。また、各シール部に段差が形成されることもなく、シール性を向上させることができる。さらに、型成形体は押出成形体に比べ製品設計の自由度が高いため、シールリップ部の突出長をドア開口周縁の形状に対応して異ならせる場合であっても、押出成形による制限を受けることなく、型成形により容易に成形することができる。
【0013】
なお、上記手段1において、「ドアの上縁部に沿って配設される上辺部の長手方向全域を含む長手方向所定区間」とあるが、従来、ドアの上縁部と前縦縁部とが交わる前上コーナー部と、ドアの上縁部と後縦縁部とが交わる後上コーナー部とに配設される部位が、コーナー型成形体により構成されていることからも分かるように、設計上、前記「長手方向所定区間」には、前記上辺部に連続する前上コーナー部及びその近傍の前縦辺部の一部と、前記上辺部に連続する後上コーナー部及びその近傍の後縦辺部の一部とが含まれることが好ましい。
【0014】
このようにした場合、一定断面で直線状に成形された押出成形体の上記本体部をドア上縁部のコーナー部のように急な湾曲部を有する箇所に対し組付け、当該押出成形体を湾曲部に追従させた場合でも、上記型成形体を組付け、剛性を高めておくことで、ドア周縁への組付け時においてシール部がつぶれ変形してしまうといった不具合を抑制することができる。
【0015】
また、型成形体の脱落を防止するとともに、さらなる組付け状態の安定性を高めることができる。また、別途、固定手段等を用いずともよく、部品点数の削減を図ることができる。
【0016】
手段2.前記型成形体は、その車外側面において、前記シールリップ部とは別に、車外側に突出する補助リップを有しており、
前記係合凹部は、前記型成形体の車外側面における前記補助リップの近傍に形成されていることを特徴とする手段1に記載のドアウエザストリップ。
【0017】
手段3.前記取付基部は、ドア周縁側に位置する基底部と、該基底部から突出する車内側側壁部及び車外側側壁部とを備え、
前記基底部には、前記係合突起とは別に、車外側に突出する第2の係合突起を備え、
前記型成形体には、前記第2の係合突起が嵌め込まれる第2の係合凹部を備えていることを特徴とする手段1又は2に記載のドアウエザストリップ。
【0018】
手段4.前記型成形体は、少なくとも前記取付基部の車外側に面接触した状態で組付けられていることを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載のドアウエザストリップ。
【0019】
上記手段4によれば、型成形体が取付基部の車外側に面接触した状態で組付けられることにより、型成形体と本体部との組付け状態の安定性が向上するとともに、ドアウエザストリップ上辺部全体の曲げ方向(長手方向)に対する剛性を高め、ドア周縁への組付け時におけるシール部のつぶれ変形を抑制する上記手段1の作用効果をより高めることができる。仮に本体部の一部にスリットを形成し、当該スリットに対し別体で形成したシールリップ片を差込んだだけの構成では、上記効果は得られにくい。また、このような構成では、車外側から進入した雨水等がスリット部を介してシールリップ片より車内側へ進入するおそれが高い。これに対し、上記手段では、型成形体を本体部の車外側に面接触した状態で組付けているため、型成形体より車内側へ雨水等が進入する隙間は形成されにくい。また、仮に型成形体の基端部がドア周縁に当接する構成であれば、シールリップ部がドア開口周縁に圧接されることを踏まえ、より確実に型成形体より車内側への雨水等の進入を抑制することができる。結果として、シール性の向上を図ることができる。
【0020】
手段5.前記型成形体は熱可塑性材料により形成されていることを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載のドアウエザストリップ。
【0021】
上記手段5によれば、型成形体は、合成樹脂材料、熱可塑性エラストマー等の熱可塑性材料で形成されているので、型成形体の剛性を高めることができ、ひいてはドアウエザストリップ上辺部全体の曲げ方向に対する剛性を高めることができるため、ドア周縁への組付け時におけるシール部のつぶれ変形を抑制する上記手段1の作用効果をより高めることができる。
【0022】
一般的にドアウエザストリップでは、摺動性や耐摩耗性の向上のため、各シール部の表面にシリコン塗装等の表面処理が施される。押出成形体に対しては、製造ライン上の一連の流れ作業の中でこの表面処理工程を入れることができるが、型成形体に対しては、成形後に表面処理を行わざるを得ない。これに対し、接続成形を必要としない本案では、型成形体を熱可塑性材料により形成することにより、当該材料中に予め滑材等を添加しておくことができるため、成形後の表面処理工程を省略することができ、製造工程の簡素化を図ることができる。
【0023】
手段6.前記本体部は、前記押出成形体の両端部を接続することにより環状をなし、当該接続部が、ドアの下縁部に沿って配設される下辺部、又は、ドアの枢支軸側の縦縁部に沿って配設される所定の縦辺部に位置していることを特徴とする手段1乃至5のいずれかにに記載のドアウエザストリップ。
【0024】
上記手段6によれば、ドアウエザストリップをドア周縁に取付けた際には、本体部の接続部が比較的人目につきにくい箇所に位置するため、さらなる外観品質の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】自動車を示す斜視図である。
【図2】ウエザストリップ全体の概略構成を示す斜視図である。
【図3】図2のJ−J線断面図である。
【図4】図2のM−M線断面図である。
【図5】図2のL−L線断面図である。
【図6】図2のK−K線断面図である。
【図7】サブシール部材を成形するために使用される金型装置を示す断面図である。
【図8】本体部の製造ラインの一部を示す模式図である。
【図9】別の実施形態におけるウエザストリップの断面図である。
【図10】別の実施形態におけるウエザストリップの断面図である。
【図11】従来のウエザストリップ全体の概略構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、一実施形態について図面を参照して説明する。図1に示すように、自動車1のボディのドア開口部2にはフロントドア3(以下、単にドアという)が開閉可能に設けられている。ドア3の周縁にはドアウエザストリップ(以下、単に「ウエザストリップ」という)4が装着されている。
【0027】
本実施形態におけるウエザストリップ4はドア3周縁に沿って環状に形成されている。より詳しくは、図2に示すように、ウエザストリップ4は、ドア3の上縁部、前縦縁部、下縁部及び後縦縁部に沿って配設される環状の本体部5と、当該本体部5に組付けられ、ドア3の上縁部に沿って配設されるサブシール部材6(同図散点模様を付した部分)とから構成されている。但し、サブシール部材6の組付け範囲には、ドア3の上縁部に沿って配設される本体部5の上辺部7の長手方向全域に加え、当該上辺部7に連続する前上コーナー部8及びその近傍の前縦辺部9の一部と、上辺部7に連続する後上コーナー部10及びその近傍の後縦辺部11の一部とが含まれている。なお、図2は、ウエザストリップ4全体の概略構成を示す斜視図である。但し、図2では、便宜上、本体部5及びサブシール部材6の一部が分断されて図示されているが、上述したようにウエザストリップ4は実際には長手方向全域にわたって一続きに形成されている。
【0028】
ここで本体部5についてより詳しく説明する。本体部5は、所定の押出成形機により直線状に形成される押出成形体からなり、長手方向全域にわたって同一断面形状で一続きに形成されている。そして、押出成形体の長手方向両端部を接続することで環状となっている。本実施形態においては、押出成形体の長手方向両端部を突き合わせた状態で、その周囲に図示しない意匠テープを巻くことにより接続固定しており、この接続部12が本体部5の下辺部13に位置している。また、本実施形態では、本体部5の材料として、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン共重合)ゴムを採用している。
【0029】
図2のJ−J線断面図である図3に示すように、本体部5は、ドア3周縁に取付けられる取付基部21と、内部に中空部22を有してなる中空状のシール部23とを備えている。
【0030】
取付基部21は、ドア3のインナーパネルに沿って配設される基底部25と、当該基底部25から突出形成された車内側側壁部26及び車外側側壁部27とから構成されている。両側壁部26,27の先端からは、前記シール部23が延出形成されるとともに、当該シール部23内の中空部22を仕切るブリッジ部28が延出形成されている。
【0031】
また、基底部25には、所定間隔で孔部としてのクリップ取付孔30が形成されており(図2参照)、当該クリップ取付孔30を介して、ウエザストリップ4をドア3のインナーパネル上へ固定するための固定用のクリップ部材31が取付けられている。なお、図示は省略するが、本体部5の上辺部7は、その基底部25のクリップ部材31より車外側に両面接着テープが貼付けられ、当該両面接着テープとクリップ部材31との併用で固定されている。
【0032】
次にサブシール部材6についてより詳しく説明する。サブシール部材6は、後述する金型装置によって形成される型成形体であり、動的架橋型オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPV)よりなる。なお、本実施形態では、TPV材料中に予め滑材等が添加されており、成形後において滑材等を塗布するといった表面処理工程を省略している。図4〜図6に示すように、サブシール部材6は、ドア開口部2の周縁形状に対応して、その断面形状が長手方向で異なっている。図4は図2におけるM−M線断面図であり、図5はL−L線断面図であり、図6はK−K線断面図である。
【0033】
サブシール部材6は、取付基部21の車外側側壁部27の車外側に面接触した状態で組付けられる係合基部35と、当該係合基部35から延出形成されたシールリップ部36とからなる。
【0034】
係合基部35の車内側には、所定間隔おきに係止部としての係止突起33が形成されている(図5参照)。これに対応して、取付基部21の車外側側壁部27には係止孔37が形成されている。これにより、本体部5へサブシール部材6を組付けた際には、係止突起33が係止孔37に差し込まれ、車外側側壁部27の車内側にて係止された状態となり、サブシール部材6の脱落が抑制される。
【0035】
さらに、係合基部35の車内側には、前記係止突起33よりもウエザストリップ4の外周側(図面上側)位置において第1係合凹部39が形成されるとともに、前記係止突起33よりもウエザストリップ4の内周側(図面下側)位置において第2係合凹部40が形成されている。これに対応して、本体部5には、シール部23の付根部近傍から車外側に突出した第1係合突起41が形成されるとともに、基底部25の車外側端部から突出した第2係合突起42が形成されている。これにより、本体部5へサブシール部材6を組付けた際には、第1係合突起41が第1係合凹部39に嵌め込まれた状態となるとともに、第2係合突起42が第2係合凹部40に嵌め込まれた状態となり、本体部5とサブシール部材6とが密着した状態となる。
【0036】
また、サブシール部材6の基端部、すなわちウエザストリップ4の最内周側位置には足部44が形成されており、ウエザストリップ4をドア3のインナーパネルへ組付けた際には、当該足部44がインナーパネルに当接する。さらに、サブシール部材6の車外側には、ドア3周縁の形状に対応して補助リップ45が形成されており、ウエザストリップ4の組付け状態の安定性やシール性の向上が図られている。
【0037】
次に上記の構成を有してなるウエザストリップ4の製造方法を説明する。便宜上、先ずサブシール部材6の製造工程について説明する。この工程が本実施形態における型成形工程に相当する。図7は上記サブシール部材6を成形するために使用される金型装置51を示す断面図である。
【0038】
金型装置51は、例えば右側に位置する固定型52と、複数の可動型(第1の可動型53、第2の可動型54、第3の可動型55)とを備えている。第1〜第3の可動型53〜55は、図示しないシリンダ等により固定型52に対し相対移動可能に設けられている。固定型52及び各可動型53〜55には、サブシール部材6の外形形状に対応した成形面がそれぞれ形成されている。
【0039】
そして、各型52〜55を型締めし、これらの成形面によって形成されたキャビティ56内に、可塑化状態にあるTPVを図示しない射出ゲートより注入し、充填させる。続いて、TPVを固化させるとともに、固化完了後、可動型53〜55を順次型開きして、型成形体を金型装置51から取り外すことにより、サブシール部材6が得られる。
【0040】
次に本体部5の製造工程について説明する。図8は本体部5の製造ラインの一部を示す模式図であり、この図中において本体部5は左側から右方向に進みながら製造される。
【0041】
押出成形工程においては、ゴム押出機61に対しEPDM未加硫ゴムが連続的に供給され、ゴム押出機61のダイスから本体部5が押出成形される。
【0042】
続く加硫工程では、押出された本体部5が高周波加硫槽(UHF)62に案内され、一次加硫が施される。その後、熱風加硫槽(HAV)63に案内され、二次加硫が施され、加硫が完了する。
【0043】
加硫工程を経た本体部5は、冷却された後、表面処理装置64に案内され、シール部23の表面にシリコン塗装等の表面処理が施される。
【0044】
その後、本体部5は穿設装置65に案内され、クリップ取付孔30が形成された後、当該クリップ取付孔30に対し所定の取付装置66にてクリップ部材31が取付けられていく。従って、これらの工程が本実施形態における孔形成工程及びクリップ部材取付工程に相当する。
【0045】
これらの工程を経た後、本体部5はカッター67により所定の寸法に裁断される。その後、所定の寸法に裁断された本体部5の両端部を上記のように接続して環状の本体部5を得る。
【0046】
そして、上記のように成形した本体部5とサブシール部材6を組付けることにより、ウエザストリップ4が完成する。本体部5へサブシール部材6を組付ける際には、係止突起33を係止孔37に差し込みつつ、第1係合凹部39及び第2係合凹部40をそれぞれ第1係合突起41及び第2係合突起42に嵌め込むことにより、組付けが完了する。この工程が本実施形態における組付け工程に相当する。
【0047】
上記のように製造されたウエザストリップ4は、ドア3のインナーパネルに形成された嵌込み孔69にクリップ部材31を嵌込むことによりドア3周縁に固定される。そして、ドア3閉時には、ドア開口部2の周縁にシール部23やシールリップ部36が圧接されることによって、ドア3とボディとの間がシールされる。
【0048】
以上詳述したように、本実施形態では、取付基部21及びシール部23よりなるウエザストリップ4の本体部5は、その長手方向略全域が1つの押出成形体により形成されている。また、上辺部7においては、別途形成されたサブシール部材6を本体部5の車外側に組付けることにより、上辺部7に必要なシールリップ部36を設けている。従って、従来のように2つの押出成形体を型接続させるといった非常に手間のかかる工程を必要とせず、製造工程の簡素化を図るとともに、製造コストの増大を抑制することができる。
【0049】
また、比較的人目につきやすいウエザストリップ4の上辺部7においては、車内側に面する本体部5のシール部23はもちろんのこと、ドア3閉時にドア3とドア開口部2の周縁との隙間から見え、車外側の意匠面となるサブシール部材6のシールリップ部36にも、従来のような押出成形体とコーナー型成形体の継ぎ目は形成されない。従って、ウエザストリップ4の上辺部7において接続線が外観に表れる、長手方向において部分的に色・艶の相違が視認されるなどの不具合もなく、外観品質の向上を図ることができる。また、シール部23及びシールリップ部36に段差が形成されることもなく、シール性を向上させることができる。さらに、型成形体は押出成形体に比べ製品設計の自由度が高いため、サブシール部材6のシールリップ部36の突出長をドア開口部2の周縁の形状に対応して長手方向に異ならせる場合であっても、押出成形による制限を受けることなく、型成形により容易に成形することができる。
【0050】
さらに、本実施形態におけるサブシール部材6の組付け範囲には、ドア3の上縁部に沿って配設される本体部5の上辺部7の長手方向全域に加え、当該上辺部7に連続する前上コーナー部8及びその近傍の前縦辺部9の一部と、上辺部7に連続する後上コーナー部10及びその近傍の後縦辺部11の一部とが含まれている。このため、一定断面で直線状に成形された押出成形体の本体部5を前上コーナー部8及び後上コーナー部10のように急な湾曲部に追従させた場合でも、ドア3周縁への組付け時においてシール部23がつぶれ変形してしまうといった不具合を抑制することができる。
【0051】
また、本体部5へサブシール部材6を組付けた際には、第1係合突起41が第1係合凹部39に嵌め込まれた状態となるとともに、第2係合突起42が第2係合凹部40に嵌め込まれた状態となるといったように、サブシール部材6の係合基部35が取付基部21の車外側側壁部27の車外側に面接触した状態で組付けられる。これにより、本体部5とサブシール部材6との組付け状態の安定性が向上するとともに、ウエザストリップ4の上辺部7全体の曲げ方向(長手方向)に対する剛性を高め、ドア3周縁への組付け時におけるシール部23のつぶれ変形を抑制する作用効果をより高めることができる。さらに、本体部5とサブシール部材6との間に、当該サブシール部材6より車内側へ雨水等が進入するような隙間が形成されにくくなるため、シール性が向上する。
【0052】
また、ドア3のインナーパネルに当接する足部44や補助リップ45を備えることにより、ウエザストリップ4の組付け状態の安定性やシール性を向上することができる。
【0053】
また、本実施形態のサブシール部材6には、当該サブシール部材6を本体部5に係止するための係止突起33が一体形成されている。このため、別途、固定手段等を用いずともよく、部品点数の削減を図ることができる。
【0054】
また、本実施形態では、サブシール部材6を構成するTPV材料中に予め滑材等を添加している。このため、サブシール部6の成形後の表面処理工程を省略することができ、製造工程の簡素化を図ることができる。
【0055】
また、本実施形態では、本体部5の接続部12が下辺部13に位置している。このため、ウエザストリップ4をドア3周縁に取付けた際には、本体部5の接続部12が比較的人目につきにくい箇所に位置するため、さらなる外観品質の向上を図ることができる。
【0056】
また、本実施形態では、クリップ取付孔30に対しクリップ部材31を取付ける作業を、本体部5の製造工程の一連の流れ作業の中で取付装置66により自動化することができる。結果として、手作業による面倒なクリップ部材31の取付作業を必要としないことから製造工程が簡素化され、作業効率を高めることができる。
【0057】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0058】
(a)上記実施形態では、フロントドア3の周縁に装着されるウエザストリップ4について具体化しているが、リヤドア等の他のドアの周縁部に装着されるウエザストリップについて適用することも可能である。
【0059】
(b)上記実施形態におけるウエザストリップ4は、ドア3周縁の全周にわたって取付けられる環状タイプであるが、必ずしも環状タイプでなくてもよく、少なくともドア3の上縁部を含む範囲に部分的に取付けられるものであってもよい。
【0060】
(c)上記実施形態におけるサブシール部材6の組付け範囲には、ドア3の上縁部に沿って配設される上辺部7の長手方向全域に加え、当該上辺部7に連続する前上コーナー部8及びその近傍の前縦辺部9の一部と、上辺部7に連続する後上コーナー部10及びその近傍の後縦辺部11の一部とが含まれている。これに限らず、サブシール部材6の組付け範囲には、少なくとも前上コーナー部8から後上コーナー部10に至る上辺部7の長手方向全域が含まれていればよい。例えばドア3のベルトラインB(図1参照)より上方位置に配設される部分すべてにサブシール部材6が組付けられる構成としてもよい。
【0061】
(d)上記実施形態では、本体部5の接続部12が下辺部13に位置しているが、これに限らず、比較的人目につきにくい箇所であれば、いかなる位置であってもよい。例えばドア3の枢支軸側である前縦縁部に沿って配設される前縦辺部9に接続部12が位置する構成としてもよい。
【0062】
(e)上記実施形態では、サブシール部材6に係止突起33を一体形成することにより、サブシール部材6の脱落を防止している。これに限らず、係止突起33を省略して、他の固定手段によりサブシール部材6を本体部5に固定する構成としてもよい。
【0063】
例えば係合基部35の車内側に形成された第1係合凹部39と、これに対応して本体部5に形成された第1係合突起41の形状を、図9に示すように代えて、本体部5の第1係合突起91がシールリップ部36に重畳するようにして第1係合凹部92に係合される構成とするとともに、本体部5の第1係合突起91とサブシール部材6のシールリップ部36とを挟持するように合成樹脂製のリベット93により固定し、かつ、本体部5の車外側側壁部27とサブシール部材6の係合基部35とを挟持するようにリベット94により固定する構成としてもよい。また、図10に示すように、係合基部35の車外側に、リベット93,94の頭部が没入する凹部95,96を設けた構成としてもよい。
【0064】
勿論、縫合等により両者を固定する構成としてもよい。
【0065】
(f)上記実施形態では、本体部5がEPDMゴムにより形成され、サブシール部材6がTPVにより形成されている。ウエザストリップ4を構成する素材はこれに限定されるものではない。例えば本体部5の素材として他のゴム材料を用いてもよいし、熱可塑性エラストマー等の樹脂材料を用いてもよい。また、サブシール部材6の素材として軟質の合成樹脂材料を用いてもよいし、EPDMゴム等のゴム材料を用いてもよい。また、サブシール部材6を構成する材料中に予め滑材等を添加しなくともよい。但し、この場合には、サブシール部6の成形後の表面処理工程を要する。
【0066】
(g)上記実施形態では、本体部5を環状にするに際し、押出成形体の長手方向両端部を意匠テープにより接続固定している。これに限らず、例えば熱溶着や振動溶着等により接続固定を行う構成としてもよいし、接着剤など他の固定手段を用いる構成としてもよい。
【0067】
(h)上記実施形態では、本体部5の上辺部7がクリップ部材31と両面接着テープとの併用により固定された例を示したが、ドア3の上縁部において断面略C字状の別体のリテーナをスポット溶接等で取付け、このリテーナに嵌め込むようにしてウエザストリップ4を取付けるようにしてもよい。この場合、ウエザストリップ4の取付けが容易になるとともに、ドア3上縁部でのウエザストリップ4とリテーナ(ドア3)との間のシール性が向上する。
【符号の説明】
【0068】
1…自動車、3…フロントドア、4…ドアウエザストリップ、5…本体部、6…サブシール部材、21…取付基部、23…シール部、35…係合基部、36…シールリップ部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアウエザストリップ及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車のドア周縁部にはドアウエザストリップが取付けられる。例えば図11に示すように、ドアウエザストリップ70は、ドア周縁部に取付けられる取付基部71と、当該取付基部71に一体的に設けられた中空状のシール部72とを備えている。そして、ドア閉時には、ボディのドア開口周縁にシール部72が圧接されることによって、ドアとボディとの間がシールされる。
【0003】
従来、この種のドアウエザストリップ70は、ドアの縦縁部など比較的真っ直ぐな部位に対応して、所定の押出成形機により直線状に成形された押出成形部73,74と、ドアのコーナー部など曲率の比較的大きな部位に対応して、所定の金型装置により前記押出成形部73,74に対し連続的に接続成形される型成形部75,76(図11で散点模様を付した部分)とから構成されている(例えば、特許文献1参照。)。なお、図11では、便宜上、上辺部及び下辺部の一部が分断されて図示されているが、このドアウエザストリップ70は実際には長手方向全域にわたって一続きに形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−239113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ドアウエザストリップ70を押出成形部73,74と型成形部75,76とから構成する場合には、当該押出成形部73,74と型成形部75,76の継ぎ目A1〜A4において接続線が外観に表れてしまい、外観品質の低下を招くおそれがある。さらに、押出成形部73,74と型成形部75,76とでは、構成材料が異なることもあって、その表面の色・艶が大きく相違しており、これによる外観品質の低下も懸念される。加えて、押出成形部73,74と型成形部75,76の継ぎ目A1〜A4においては段差が形成されやすく、シール性の低下を招くおそれがある。
【0006】
一般的に、ドアウエザストリップ70の上辺部を構成する押出成形部73等には、シール性等の向上のためサブシールリップ77が設けられている。そのため、当該押出成形部73の断面形状は、他の部位に配設される押出成形部74の断面形状とは異形となっている。また、仮に一定断面で直線状に成形された押出成形品をフロントドアの後上コーナー部のように急な湾曲部を有する箇所に対し組付けようとした場合には、当該押出成形品を湾曲部に追従させる際、シール部72がつぶれ変形してしまうおそれがあり、シール性の低下が懸念される。従って、上記押出成形部73,74の両者を1つの押出成形品により構成することは難しく、両者を型成形部75,76により接続成形しているのが現状である。
【0007】
上記型成形部75,76の接続成形は一般的に以下のように行われる。まず金型装置の各型を型開きした状態で、押出成形部73,74の一端部をそれぞれコア金型の両端部に嵌め込み、各型を型締めする。これにより、押出成形部73,74が金型装置に対し固定されるとともに、その内部にキャビティが形成される。この状態で、キャビティ内に可塑化状態にあるゴム材料を注入し充填させる。その後、ゴム材料を加硫固化させるとともに、固化完了後、各型を順次型開きして、成形された型成形部75(又は76)をコア金型とともに金型装置から取り外す。そして、型成形部75(又は76)からコア金型を抜き取ることで、押出成形部73,74と型成形部75(又は76)とが一体となった成形体が得られる。このように型成形部75,76の接続成形は非常に手間のかかる工程であり、いかに製造コストの増大を抑制するかが課題であった。また、このような接続成形が上記課題を助長し、外観品質やシール性のさらなる低下を招くおそれがある。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、外観品質、形状安定性、組付追従性、シール性などの向上を図るとともに、製造工程の簡素化を図ることのできるドアウエザストリップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、上記問題を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
【0010】
手段1.少なくとも自動車のドア周縁に取付けられる取付基部と、ドア閉時にドア開口周縁に圧接される中空状のシール部とからなる本体部の長手方向略全域が1つの押出成形体よりなるドアウエザストリップであって、
ドアの上縁部に沿って配設される上辺部の長手方向全域を含む長手方向所定区間においては、前記本体部の長手方向に沿って組付けられた型成形体を有し、
前記型成形体は、ドア閉時に前記シール部よりも車外側にてドア開口周縁に圧接される舌片状のシールリップ部を有し、当該シールリップ部の突出長がドア開口周縁の形状に対応して自身の長手方向で異なっており、
前記本体部には、前記シール部の付根部近傍から車外側に突出する係合突起が形成されているとともに、
前記型成形体には、係合凹部が形成されており、
当該係合凹部に、前記係合突起が嵌め込まれることで、前記型成形体が前記本体部に組付けられていることを特徴とするドアウエザストリップ。
【0011】
上記手段1によれば、取付基部及びシール部よりなるドアウエザストリップの本体部は、その長手方向略全域が1つの押出成形体により形成されている。また、上辺部においては、別途形成された型成形体を本体部の車外側に組付けることにより、上辺部に必要なシールリップ部を設けている。従って、従来のように2つの押出成形体を型接続させるといった非常に手間のかかる工程を必要とせず、製造工程の簡素化を図るとともに、製造コストの増大を抑制することができる。
【0012】
また、ドアの上縁部に沿って配設され特に人目につきやすいドアウエザストリップの上辺部においては、車内側に面する本体部のシール部はもちろんのこと、ドア閉時にドアとドア開口周縁との隙間から見え、車外側の意匠面となる型成形体のシールリップ部にも、従来のような押出成形体とコーナー型成形体の継ぎ目は形成されない。従って、ドアウエザストリップの上辺部において接続線が外観に表れる、長手方向において部分的に色・艶の相違が視認されるなどの不具合もなく、外観品質の向上を図ることができる。また、各シール部に段差が形成されることもなく、シール性を向上させることができる。さらに、型成形体は押出成形体に比べ製品設計の自由度が高いため、シールリップ部の突出長をドア開口周縁の形状に対応して異ならせる場合であっても、押出成形による制限を受けることなく、型成形により容易に成形することができる。
【0013】
なお、上記手段1において、「ドアの上縁部に沿って配設される上辺部の長手方向全域を含む長手方向所定区間」とあるが、従来、ドアの上縁部と前縦縁部とが交わる前上コーナー部と、ドアの上縁部と後縦縁部とが交わる後上コーナー部とに配設される部位が、コーナー型成形体により構成されていることからも分かるように、設計上、前記「長手方向所定区間」には、前記上辺部に連続する前上コーナー部及びその近傍の前縦辺部の一部と、前記上辺部に連続する後上コーナー部及びその近傍の後縦辺部の一部とが含まれることが好ましい。
【0014】
このようにした場合、一定断面で直線状に成形された押出成形体の上記本体部をドア上縁部のコーナー部のように急な湾曲部を有する箇所に対し組付け、当該押出成形体を湾曲部に追従させた場合でも、上記型成形体を組付け、剛性を高めておくことで、ドア周縁への組付け時においてシール部がつぶれ変形してしまうといった不具合を抑制することができる。
【0015】
また、型成形体の脱落を防止するとともに、さらなる組付け状態の安定性を高めることができる。また、別途、固定手段等を用いずともよく、部品点数の削減を図ることができる。
【0016】
手段2.前記型成形体は、その車外側面において、前記シールリップ部とは別に、車外側に突出する補助リップを有しており、
前記係合凹部は、前記型成形体の車外側面における前記補助リップの近傍に形成されていることを特徴とする手段1に記載のドアウエザストリップ。
【0017】
手段3.前記取付基部は、ドア周縁側に位置する基底部と、該基底部から突出する車内側側壁部及び車外側側壁部とを備え、
前記基底部には、前記係合突起とは別に、車外側に突出する第2の係合突起を備え、
前記型成形体には、前記第2の係合突起が嵌め込まれる第2の係合凹部を備えていることを特徴とする手段1又は2に記載のドアウエザストリップ。
【0018】
手段4.前記型成形体は、少なくとも前記取付基部の車外側に面接触した状態で組付けられていることを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載のドアウエザストリップ。
【0019】
上記手段4によれば、型成形体が取付基部の車外側に面接触した状態で組付けられることにより、型成形体と本体部との組付け状態の安定性が向上するとともに、ドアウエザストリップ上辺部全体の曲げ方向(長手方向)に対する剛性を高め、ドア周縁への組付け時におけるシール部のつぶれ変形を抑制する上記手段1の作用効果をより高めることができる。仮に本体部の一部にスリットを形成し、当該スリットに対し別体で形成したシールリップ片を差込んだだけの構成では、上記効果は得られにくい。また、このような構成では、車外側から進入した雨水等がスリット部を介してシールリップ片より車内側へ進入するおそれが高い。これに対し、上記手段では、型成形体を本体部の車外側に面接触した状態で組付けているため、型成形体より車内側へ雨水等が進入する隙間は形成されにくい。また、仮に型成形体の基端部がドア周縁に当接する構成であれば、シールリップ部がドア開口周縁に圧接されることを踏まえ、より確実に型成形体より車内側への雨水等の進入を抑制することができる。結果として、シール性の向上を図ることができる。
【0020】
手段5.前記型成形体は熱可塑性材料により形成されていることを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載のドアウエザストリップ。
【0021】
上記手段5によれば、型成形体は、合成樹脂材料、熱可塑性エラストマー等の熱可塑性材料で形成されているので、型成形体の剛性を高めることができ、ひいてはドアウエザストリップ上辺部全体の曲げ方向に対する剛性を高めることができるため、ドア周縁への組付け時におけるシール部のつぶれ変形を抑制する上記手段1の作用効果をより高めることができる。
【0022】
一般的にドアウエザストリップでは、摺動性や耐摩耗性の向上のため、各シール部の表面にシリコン塗装等の表面処理が施される。押出成形体に対しては、製造ライン上の一連の流れ作業の中でこの表面処理工程を入れることができるが、型成形体に対しては、成形後に表面処理を行わざるを得ない。これに対し、接続成形を必要としない本案では、型成形体を熱可塑性材料により形成することにより、当該材料中に予め滑材等を添加しておくことができるため、成形後の表面処理工程を省略することができ、製造工程の簡素化を図ることができる。
【0023】
手段6.前記本体部は、前記押出成形体の両端部を接続することにより環状をなし、当該接続部が、ドアの下縁部に沿って配設される下辺部、又は、ドアの枢支軸側の縦縁部に沿って配設される所定の縦辺部に位置していることを特徴とする手段1乃至5のいずれかにに記載のドアウエザストリップ。
【0024】
上記手段6によれば、ドアウエザストリップをドア周縁に取付けた際には、本体部の接続部が比較的人目につきにくい箇所に位置するため、さらなる外観品質の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】自動車を示す斜視図である。
【図2】ウエザストリップ全体の概略構成を示す斜視図である。
【図3】図2のJ−J線断面図である。
【図4】図2のM−M線断面図である。
【図5】図2のL−L線断面図である。
【図6】図2のK−K線断面図である。
【図7】サブシール部材を成形するために使用される金型装置を示す断面図である。
【図8】本体部の製造ラインの一部を示す模式図である。
【図9】別の実施形態におけるウエザストリップの断面図である。
【図10】別の実施形態におけるウエザストリップの断面図である。
【図11】従来のウエザストリップ全体の概略構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、一実施形態について図面を参照して説明する。図1に示すように、自動車1のボディのドア開口部2にはフロントドア3(以下、単にドアという)が開閉可能に設けられている。ドア3の周縁にはドアウエザストリップ(以下、単に「ウエザストリップ」という)4が装着されている。
【0027】
本実施形態におけるウエザストリップ4はドア3周縁に沿って環状に形成されている。より詳しくは、図2に示すように、ウエザストリップ4は、ドア3の上縁部、前縦縁部、下縁部及び後縦縁部に沿って配設される環状の本体部5と、当該本体部5に組付けられ、ドア3の上縁部に沿って配設されるサブシール部材6(同図散点模様を付した部分)とから構成されている。但し、サブシール部材6の組付け範囲には、ドア3の上縁部に沿って配設される本体部5の上辺部7の長手方向全域に加え、当該上辺部7に連続する前上コーナー部8及びその近傍の前縦辺部9の一部と、上辺部7に連続する後上コーナー部10及びその近傍の後縦辺部11の一部とが含まれている。なお、図2は、ウエザストリップ4全体の概略構成を示す斜視図である。但し、図2では、便宜上、本体部5及びサブシール部材6の一部が分断されて図示されているが、上述したようにウエザストリップ4は実際には長手方向全域にわたって一続きに形成されている。
【0028】
ここで本体部5についてより詳しく説明する。本体部5は、所定の押出成形機により直線状に形成される押出成形体からなり、長手方向全域にわたって同一断面形状で一続きに形成されている。そして、押出成形体の長手方向両端部を接続することで環状となっている。本実施形態においては、押出成形体の長手方向両端部を突き合わせた状態で、その周囲に図示しない意匠テープを巻くことにより接続固定しており、この接続部12が本体部5の下辺部13に位置している。また、本実施形態では、本体部5の材料として、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン共重合)ゴムを採用している。
【0029】
図2のJ−J線断面図である図3に示すように、本体部5は、ドア3周縁に取付けられる取付基部21と、内部に中空部22を有してなる中空状のシール部23とを備えている。
【0030】
取付基部21は、ドア3のインナーパネルに沿って配設される基底部25と、当該基底部25から突出形成された車内側側壁部26及び車外側側壁部27とから構成されている。両側壁部26,27の先端からは、前記シール部23が延出形成されるとともに、当該シール部23内の中空部22を仕切るブリッジ部28が延出形成されている。
【0031】
また、基底部25には、所定間隔で孔部としてのクリップ取付孔30が形成されており(図2参照)、当該クリップ取付孔30を介して、ウエザストリップ4をドア3のインナーパネル上へ固定するための固定用のクリップ部材31が取付けられている。なお、図示は省略するが、本体部5の上辺部7は、その基底部25のクリップ部材31より車外側に両面接着テープが貼付けられ、当該両面接着テープとクリップ部材31との併用で固定されている。
【0032】
次にサブシール部材6についてより詳しく説明する。サブシール部材6は、後述する金型装置によって形成される型成形体であり、動的架橋型オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPV)よりなる。なお、本実施形態では、TPV材料中に予め滑材等が添加されており、成形後において滑材等を塗布するといった表面処理工程を省略している。図4〜図6に示すように、サブシール部材6は、ドア開口部2の周縁形状に対応して、その断面形状が長手方向で異なっている。図4は図2におけるM−M線断面図であり、図5はL−L線断面図であり、図6はK−K線断面図である。
【0033】
サブシール部材6は、取付基部21の車外側側壁部27の車外側に面接触した状態で組付けられる係合基部35と、当該係合基部35から延出形成されたシールリップ部36とからなる。
【0034】
係合基部35の車内側には、所定間隔おきに係止部としての係止突起33が形成されている(図5参照)。これに対応して、取付基部21の車外側側壁部27には係止孔37が形成されている。これにより、本体部5へサブシール部材6を組付けた際には、係止突起33が係止孔37に差し込まれ、車外側側壁部27の車内側にて係止された状態となり、サブシール部材6の脱落が抑制される。
【0035】
さらに、係合基部35の車内側には、前記係止突起33よりもウエザストリップ4の外周側(図面上側)位置において第1係合凹部39が形成されるとともに、前記係止突起33よりもウエザストリップ4の内周側(図面下側)位置において第2係合凹部40が形成されている。これに対応して、本体部5には、シール部23の付根部近傍から車外側に突出した第1係合突起41が形成されるとともに、基底部25の車外側端部から突出した第2係合突起42が形成されている。これにより、本体部5へサブシール部材6を組付けた際には、第1係合突起41が第1係合凹部39に嵌め込まれた状態となるとともに、第2係合突起42が第2係合凹部40に嵌め込まれた状態となり、本体部5とサブシール部材6とが密着した状態となる。
【0036】
また、サブシール部材6の基端部、すなわちウエザストリップ4の最内周側位置には足部44が形成されており、ウエザストリップ4をドア3のインナーパネルへ組付けた際には、当該足部44がインナーパネルに当接する。さらに、サブシール部材6の車外側には、ドア3周縁の形状に対応して補助リップ45が形成されており、ウエザストリップ4の組付け状態の安定性やシール性の向上が図られている。
【0037】
次に上記の構成を有してなるウエザストリップ4の製造方法を説明する。便宜上、先ずサブシール部材6の製造工程について説明する。この工程が本実施形態における型成形工程に相当する。図7は上記サブシール部材6を成形するために使用される金型装置51を示す断面図である。
【0038】
金型装置51は、例えば右側に位置する固定型52と、複数の可動型(第1の可動型53、第2の可動型54、第3の可動型55)とを備えている。第1〜第3の可動型53〜55は、図示しないシリンダ等により固定型52に対し相対移動可能に設けられている。固定型52及び各可動型53〜55には、サブシール部材6の外形形状に対応した成形面がそれぞれ形成されている。
【0039】
そして、各型52〜55を型締めし、これらの成形面によって形成されたキャビティ56内に、可塑化状態にあるTPVを図示しない射出ゲートより注入し、充填させる。続いて、TPVを固化させるとともに、固化完了後、可動型53〜55を順次型開きして、型成形体を金型装置51から取り外すことにより、サブシール部材6が得られる。
【0040】
次に本体部5の製造工程について説明する。図8は本体部5の製造ラインの一部を示す模式図であり、この図中において本体部5は左側から右方向に進みながら製造される。
【0041】
押出成形工程においては、ゴム押出機61に対しEPDM未加硫ゴムが連続的に供給され、ゴム押出機61のダイスから本体部5が押出成形される。
【0042】
続く加硫工程では、押出された本体部5が高周波加硫槽(UHF)62に案内され、一次加硫が施される。その後、熱風加硫槽(HAV)63に案内され、二次加硫が施され、加硫が完了する。
【0043】
加硫工程を経た本体部5は、冷却された後、表面処理装置64に案内され、シール部23の表面にシリコン塗装等の表面処理が施される。
【0044】
その後、本体部5は穿設装置65に案内され、クリップ取付孔30が形成された後、当該クリップ取付孔30に対し所定の取付装置66にてクリップ部材31が取付けられていく。従って、これらの工程が本実施形態における孔形成工程及びクリップ部材取付工程に相当する。
【0045】
これらの工程を経た後、本体部5はカッター67により所定の寸法に裁断される。その後、所定の寸法に裁断された本体部5の両端部を上記のように接続して環状の本体部5を得る。
【0046】
そして、上記のように成形した本体部5とサブシール部材6を組付けることにより、ウエザストリップ4が完成する。本体部5へサブシール部材6を組付ける際には、係止突起33を係止孔37に差し込みつつ、第1係合凹部39及び第2係合凹部40をそれぞれ第1係合突起41及び第2係合突起42に嵌め込むことにより、組付けが完了する。この工程が本実施形態における組付け工程に相当する。
【0047】
上記のように製造されたウエザストリップ4は、ドア3のインナーパネルに形成された嵌込み孔69にクリップ部材31を嵌込むことによりドア3周縁に固定される。そして、ドア3閉時には、ドア開口部2の周縁にシール部23やシールリップ部36が圧接されることによって、ドア3とボディとの間がシールされる。
【0048】
以上詳述したように、本実施形態では、取付基部21及びシール部23よりなるウエザストリップ4の本体部5は、その長手方向略全域が1つの押出成形体により形成されている。また、上辺部7においては、別途形成されたサブシール部材6を本体部5の車外側に組付けることにより、上辺部7に必要なシールリップ部36を設けている。従って、従来のように2つの押出成形体を型接続させるといった非常に手間のかかる工程を必要とせず、製造工程の簡素化を図るとともに、製造コストの増大を抑制することができる。
【0049】
また、比較的人目につきやすいウエザストリップ4の上辺部7においては、車内側に面する本体部5のシール部23はもちろんのこと、ドア3閉時にドア3とドア開口部2の周縁との隙間から見え、車外側の意匠面となるサブシール部材6のシールリップ部36にも、従来のような押出成形体とコーナー型成形体の継ぎ目は形成されない。従って、ウエザストリップ4の上辺部7において接続線が外観に表れる、長手方向において部分的に色・艶の相違が視認されるなどの不具合もなく、外観品質の向上を図ることができる。また、シール部23及びシールリップ部36に段差が形成されることもなく、シール性を向上させることができる。さらに、型成形体は押出成形体に比べ製品設計の自由度が高いため、サブシール部材6のシールリップ部36の突出長をドア開口部2の周縁の形状に対応して長手方向に異ならせる場合であっても、押出成形による制限を受けることなく、型成形により容易に成形することができる。
【0050】
さらに、本実施形態におけるサブシール部材6の組付け範囲には、ドア3の上縁部に沿って配設される本体部5の上辺部7の長手方向全域に加え、当該上辺部7に連続する前上コーナー部8及びその近傍の前縦辺部9の一部と、上辺部7に連続する後上コーナー部10及びその近傍の後縦辺部11の一部とが含まれている。このため、一定断面で直線状に成形された押出成形体の本体部5を前上コーナー部8及び後上コーナー部10のように急な湾曲部に追従させた場合でも、ドア3周縁への組付け時においてシール部23がつぶれ変形してしまうといった不具合を抑制することができる。
【0051】
また、本体部5へサブシール部材6を組付けた際には、第1係合突起41が第1係合凹部39に嵌め込まれた状態となるとともに、第2係合突起42が第2係合凹部40に嵌め込まれた状態となるといったように、サブシール部材6の係合基部35が取付基部21の車外側側壁部27の車外側に面接触した状態で組付けられる。これにより、本体部5とサブシール部材6との組付け状態の安定性が向上するとともに、ウエザストリップ4の上辺部7全体の曲げ方向(長手方向)に対する剛性を高め、ドア3周縁への組付け時におけるシール部23のつぶれ変形を抑制する作用効果をより高めることができる。さらに、本体部5とサブシール部材6との間に、当該サブシール部材6より車内側へ雨水等が進入するような隙間が形成されにくくなるため、シール性が向上する。
【0052】
また、ドア3のインナーパネルに当接する足部44や補助リップ45を備えることにより、ウエザストリップ4の組付け状態の安定性やシール性を向上することができる。
【0053】
また、本実施形態のサブシール部材6には、当該サブシール部材6を本体部5に係止するための係止突起33が一体形成されている。このため、別途、固定手段等を用いずともよく、部品点数の削減を図ることができる。
【0054】
また、本実施形態では、サブシール部材6を構成するTPV材料中に予め滑材等を添加している。このため、サブシール部6の成形後の表面処理工程を省略することができ、製造工程の簡素化を図ることができる。
【0055】
また、本実施形態では、本体部5の接続部12が下辺部13に位置している。このため、ウエザストリップ4をドア3周縁に取付けた際には、本体部5の接続部12が比較的人目につきにくい箇所に位置するため、さらなる外観品質の向上を図ることができる。
【0056】
また、本実施形態では、クリップ取付孔30に対しクリップ部材31を取付ける作業を、本体部5の製造工程の一連の流れ作業の中で取付装置66により自動化することができる。結果として、手作業による面倒なクリップ部材31の取付作業を必要としないことから製造工程が簡素化され、作業効率を高めることができる。
【0057】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0058】
(a)上記実施形態では、フロントドア3の周縁に装着されるウエザストリップ4について具体化しているが、リヤドア等の他のドアの周縁部に装着されるウエザストリップについて適用することも可能である。
【0059】
(b)上記実施形態におけるウエザストリップ4は、ドア3周縁の全周にわたって取付けられる環状タイプであるが、必ずしも環状タイプでなくてもよく、少なくともドア3の上縁部を含む範囲に部分的に取付けられるものであってもよい。
【0060】
(c)上記実施形態におけるサブシール部材6の組付け範囲には、ドア3の上縁部に沿って配設される上辺部7の長手方向全域に加え、当該上辺部7に連続する前上コーナー部8及びその近傍の前縦辺部9の一部と、上辺部7に連続する後上コーナー部10及びその近傍の後縦辺部11の一部とが含まれている。これに限らず、サブシール部材6の組付け範囲には、少なくとも前上コーナー部8から後上コーナー部10に至る上辺部7の長手方向全域が含まれていればよい。例えばドア3のベルトラインB(図1参照)より上方位置に配設される部分すべてにサブシール部材6が組付けられる構成としてもよい。
【0061】
(d)上記実施形態では、本体部5の接続部12が下辺部13に位置しているが、これに限らず、比較的人目につきにくい箇所であれば、いかなる位置であってもよい。例えばドア3の枢支軸側である前縦縁部に沿って配設される前縦辺部9に接続部12が位置する構成としてもよい。
【0062】
(e)上記実施形態では、サブシール部材6に係止突起33を一体形成することにより、サブシール部材6の脱落を防止している。これに限らず、係止突起33を省略して、他の固定手段によりサブシール部材6を本体部5に固定する構成としてもよい。
【0063】
例えば係合基部35の車内側に形成された第1係合凹部39と、これに対応して本体部5に形成された第1係合突起41の形状を、図9に示すように代えて、本体部5の第1係合突起91がシールリップ部36に重畳するようにして第1係合凹部92に係合される構成とするとともに、本体部5の第1係合突起91とサブシール部材6のシールリップ部36とを挟持するように合成樹脂製のリベット93により固定し、かつ、本体部5の車外側側壁部27とサブシール部材6の係合基部35とを挟持するようにリベット94により固定する構成としてもよい。また、図10に示すように、係合基部35の車外側に、リベット93,94の頭部が没入する凹部95,96を設けた構成としてもよい。
【0064】
勿論、縫合等により両者を固定する構成としてもよい。
【0065】
(f)上記実施形態では、本体部5がEPDMゴムにより形成され、サブシール部材6がTPVにより形成されている。ウエザストリップ4を構成する素材はこれに限定されるものではない。例えば本体部5の素材として他のゴム材料を用いてもよいし、熱可塑性エラストマー等の樹脂材料を用いてもよい。また、サブシール部材6の素材として軟質の合成樹脂材料を用いてもよいし、EPDMゴム等のゴム材料を用いてもよい。また、サブシール部材6を構成する材料中に予め滑材等を添加しなくともよい。但し、この場合には、サブシール部6の成形後の表面処理工程を要する。
【0066】
(g)上記実施形態では、本体部5を環状にするに際し、押出成形体の長手方向両端部を意匠テープにより接続固定している。これに限らず、例えば熱溶着や振動溶着等により接続固定を行う構成としてもよいし、接着剤など他の固定手段を用いる構成としてもよい。
【0067】
(h)上記実施形態では、本体部5の上辺部7がクリップ部材31と両面接着テープとの併用により固定された例を示したが、ドア3の上縁部において断面略C字状の別体のリテーナをスポット溶接等で取付け、このリテーナに嵌め込むようにしてウエザストリップ4を取付けるようにしてもよい。この場合、ウエザストリップ4の取付けが容易になるとともに、ドア3上縁部でのウエザストリップ4とリテーナ(ドア3)との間のシール性が向上する。
【符号の説明】
【0068】
1…自動車、3…フロントドア、4…ドアウエザストリップ、5…本体部、6…サブシール部材、21…取付基部、23…シール部、35…係合基部、36…シールリップ部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも自動車のドア周縁に取付けられる取付基部と、ドア閉時にドア開口周縁に圧接される中空状のシール部とからなる本体部の長手方向略全域が1つの押出成形体よりなるドアウエザストリップであって、
ドアの上縁部に沿って配設される上辺部の長手方向全域を含む長手方向所定区間においては、前記本体部の長手方向に沿って組付けられた型成形体を有し、
前記型成形体は、ドア閉時に前記シール部よりも車外側にてドア開口周縁に圧接される舌片状のシールリップ部を有し、当該シールリップ部の突出長がドア開口周縁の形状に対応して自身の長手方向で異なっており、
前記本体部には、前記シール部の付根部近傍から車外側に突出する係合突起が形成されているとともに、
前記型成形体には、係合凹部が形成されており、
当該係合凹部に、前記係合突起が嵌め込まれることで、前記型成形体が前記本体部に組付けられていることを特徴とするドアウエザストリップ。
【請求項2】
前記型成形体は、その車外側面において、前記シールリップ部とは別に、車外側に突出する補助リップを有しており、
前記係合凹部は、前記型成形体の車外側面における前記補助リップの近傍に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のドアウエザストリップ。
【請求項3】
前記取付基部は、ドア周縁側に位置する基底部と、該基底部から突出する車内側側壁部及び車外側側壁部とを備え、
前記基底部には、前記係合突起とは別に、車外側に突出する第2の係合突起を備え、
前記型成形体には、前記第2の係合突起が嵌め込まれる第2の係合凹部を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載のドアウエザストリップ。
【請求項4】
前記型成形体は、少なくとも前記取付基部の車外側に面接触した状態で組付けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のドアウエザストリップ。
【請求項5】
前記型成形体は熱可塑性材料により形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のドアウエザストリップ。
【請求項6】
前記本体部は、前記押出成形体の両端部を接続することにより環状をなし、当該接続部が、ドアの下縁部に沿って配設される下辺部、又は、ドアの枢支軸側の縦縁部に沿って配設される所定の縦辺部に位置していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のドアウエザストリップ。
【請求項1】
少なくとも自動車のドア周縁に取付けられる取付基部と、ドア閉時にドア開口周縁に圧接される中空状のシール部とからなる本体部の長手方向略全域が1つの押出成形体よりなるドアウエザストリップであって、
ドアの上縁部に沿って配設される上辺部の長手方向全域を含む長手方向所定区間においては、前記本体部の長手方向に沿って組付けられた型成形体を有し、
前記型成形体は、ドア閉時に前記シール部よりも車外側にてドア開口周縁に圧接される舌片状のシールリップ部を有し、当該シールリップ部の突出長がドア開口周縁の形状に対応して自身の長手方向で異なっており、
前記本体部には、前記シール部の付根部近傍から車外側に突出する係合突起が形成されているとともに、
前記型成形体には、係合凹部が形成されており、
当該係合凹部に、前記係合突起が嵌め込まれることで、前記型成形体が前記本体部に組付けられていることを特徴とするドアウエザストリップ。
【請求項2】
前記型成形体は、その車外側面において、前記シールリップ部とは別に、車外側に突出する補助リップを有しており、
前記係合凹部は、前記型成形体の車外側面における前記補助リップの近傍に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のドアウエザストリップ。
【請求項3】
前記取付基部は、ドア周縁側に位置する基底部と、該基底部から突出する車内側側壁部及び車外側側壁部とを備え、
前記基底部には、前記係合突起とは別に、車外側に突出する第2の係合突起を備え、
前記型成形体には、前記第2の係合突起が嵌め込まれる第2の係合凹部を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載のドアウエザストリップ。
【請求項4】
前記型成形体は、少なくとも前記取付基部の車外側に面接触した状態で組付けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のドアウエザストリップ。
【請求項5】
前記型成形体は熱可塑性材料により形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のドアウエザストリップ。
【請求項6】
前記本体部は、前記押出成形体の両端部を接続することにより環状をなし、当該接続部が、ドアの下縁部に沿って配設される下辺部、又は、ドアの枢支軸側の縦縁部に沿って配設される所定の縦辺部に位置していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のドアウエザストリップ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−86841(P2012−86841A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−277833(P2011−277833)
【出願日】平成23年12月20日(2011.12.20)
【分割の表示】特願2007−20597(P2007−20597)の分割
【原出願日】平成19年1月31日(2007.1.31)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年12月20日(2011.12.20)
【分割の表示】特願2007−20597(P2007−20597)の分割
【原出願日】平成19年1月31日(2007.1.31)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】
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