説明

ドア開閉装置

【課題】回転センサの検出精度を向上し、また装置全体を小型軽量化する。
【解決手段】クラッチ32を周囲に配置した回転軸32Aの端部側に回転センサ35を設ける。また、回転センサ35は、磁気検出素子(ホール素子35Cbまたは磁気抵抗素子35Cc)を、電磁クラッチが生じる磁束に対して交差する永久磁石35Bdの磁束を検出する位置に固定してある。このため、磁気検出素子は、クラッチ32が励磁されたときの磁界の影響を受けない。この結果、回転センサ35の検出精度を向上できる。さらに、モータベース36の外部に回転軸32Aの一端部を延出して回転センサ35を設けることで、金属製のモータベース36を小型軽量化できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドア開閉装置に関し、特に駆動源に係る回転を検出するための検出手段を備えたドア開閉装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両本体の側方に設けたスライドドアを開閉する開閉装置が構成してある。開閉装置は、駆動部に係り、モータの駆動力がクラッチ機構を介して回転シャフトに伝達される。そして、回転シャフトが回転することによってスライドドアをスライド動作させる。この開閉装置は、回転シャフトをケースに回転自在に支持してある。ケース内において、回転シャフトには、一体回転する出力ギアおよびロータが支持してある。また、ケース内において、回転シャフトには、当該回転シャフトに相対回転自在であってロータと係脱自在な可動プレートが支持してある。可動プレートには、アーマチュアが固定してある。また、ケース内には、ロータを挟んでアーマチュアと対向配置されてアーマチュアおよびロータとで磁気的な閉ループを形成してアーマチュアをロータに向かって吸引して可動プレートをロータと係合させる電磁コイル体が固定してある。さらに、駆動装置は、ケース内において、ロータの外周縁の閉ループ外に固定配置された環状の磁性体と、磁性体の外周面と対向するホール素子とを備えてロータの回転を検出する回転センサを有している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2000−179233号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のドア開閉装置では、磁性体がロータの外周縁に固定配置してあるために、当該磁性体が駆動部の最も外周位置に配置されて大きな環状を呈することになる。また、回転センサは、磁性体の外周面に対向するホール素子によってロータの回転を検出する。このため、従来のドア開閉装置では、ロータの回転に際して回転シャフトの軸方向あるいは径外方向に磁性体とホール素子との距離が可変し易くなって、ロータの回転を検出する精度が低下してしまうという問題がある。
【0005】
また、従来のドア開閉装置では、磁性体がロータの外周縁の閉ループ外に固定配置されているとしてあるが、閉ループは、電磁コイル体によってアーマチュアおよびロータとで形成するものである。すなわち、ロータに磁性体を設ける以上、実質的に当該磁性体が閉ループの影響を受ける位置にある。このため、従来のドア開閉装置では、磁気的な閉ループによって磁性体の磁束が変化して、ロータの回転を検出する精度が低下してしまうという問題がある。
【0006】
また、従来のドア開閉装置では、駆動部の主構成をケース内に設けてモータと一体にした駆動ユニットを構成してあり、ケースがブラケットを介して車両のボディに固定してある。すなわち、ケースは、必然的に剛性を有した金属製のものとなる。さらに、従来の駆動装置では、上述したように磁性体をロータの外周縁に固定配置して、当該磁性体の外周面に対向するホール素子をケース内に設けてある。このため、従来のドア開閉装置では、金属製のケースが回転シャフトの径外方向に大型となって装置全体の重量が嵩んでしまうという問題がある。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みて、回転センサの検出精度を向上することができ、また装置全体を小型化しつつ軽量化を図ることができるドア開閉装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に係るドア開閉装置は、回転軸の周囲に電磁クラッチを配置してあり、駆動モータの駆動力が前記電磁クラッチを介して前記回転軸に伝達した当該回転軸の回転によってドアを動作させるドア開閉装置において、前記回転軸の端部側に設けてあり当該回転軸の回転に伴って回転移動する磁気部材と、前記磁気部材に所定間隔をおいて固定してあり前記磁気部材が生じる磁束を検出する磁気検出素子とを有した回転センサを備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項2に係るドア開閉装置は、上記請求項1において、前記磁気検出素子は、前記電磁クラッチが生じる磁束に対して交差する磁気部材の磁束を検出する位置に固定してあることを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項3に係るドア開閉装置は、上記請求項1または2において、前記磁気検出素子は、磁気部材が生じる磁束に応じた電圧によって磁束密度を検出する1対のホール素子であることを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項4に係るドア開閉装置は、上記請求項1または2において、前記磁気検出素子は、磁気部材が生じる磁束に応じた抵抗値によって磁束の方向を検出する磁気抵抗素子であることを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項5に係るドア開閉装置は、上記請求項1〜4のいずれか一つにおいて、前記磁気検出素子の位置に対する前記磁気部材の位置を弾性によって支持する支持手段を有したことを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項6に係るドア開閉装置は、上記請求項1〜5のいずれか一つにおいて、前記駆動モータを装置基部に固定するモータベースと、前記回転センサを内装するセンサケースとを有し、前記モータベースの外部に前記回転軸の端部を延出して、当該回転軸の端部側に前記回転センサを配置する態様で前記センサケースを前記モータベースに取り付けてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るドア開閉装置は、回転センサについて、回転軸の端部側に当該回転軸の回転に伴って回転移動する磁気部材を設けてあり、磁気部材が生じる磁束を検出する磁気検出素子を磁気部材に所定間隔をおいて固定してある。このように、電磁クラッチが励磁されたときの磁界の影響を受けない回転軸の端部側に磁気部材および磁気検出素子を配置したので、回転センサの検出精度を向上することができる。
【0015】
また、電磁クラッチが生じる磁束に対して交差する磁気部材の磁束を検出する位置に磁気検出素子を固定した。このため、電磁クラッチが励磁されたときの磁界の影響を受けずに磁気検出素子が磁気部材の磁束を検出するので、回転センサの検出精度を向上することができる。
【0016】
また、磁気検出素子としては、磁気部材が生じる磁束に応じた電圧によって磁束密度を検出する1対のホール素子を用いることができる。
【0017】
また、磁気検出素子としては、磁気部材が生じる磁束に応じた抵抗値によって磁束の方向を検出する磁気抵抗素子を用いることができる。特に磁気抵抗素子は、1極(S極,N極それぞれ)で1パルスを発生し、ホール素子は2極(S極およびN極)で1パルスを発生する。すなわち、磁気抵抗素子は、ホール素子と比較して2倍のパルス分解能を有する。このため、磁気抵抗素子を用いた回転センサでは、ホール素子を用いた回転センサと同じパルス分解能とする場合に、磁気部材を小型化できる。この結果、回転センサ自体を小型化できる。一方、磁気抵抗素子を用いた回転センサは、ホール素子と同じ磁気部材を用いた場合に、分解能を高めることができる。
【0018】
さらに、回転センサについて、支持手段によって磁気部材の位置が磁気検出素子の位置に対して弾性を伴って支持される。このため、磁気部材と磁気検出素子との相対距離が可変することがない。この結果、回転センサの検出精度を向上することができる。
【0019】
また、駆動モータを装置基部に固定するモータベースの外部に回転軸の端部を延出し、当該回転軸の端部側に回転センサを配置する態様で回転センサを内装したセンサケースをモータベースに取り付けてある。このため、装置基部に対して駆動モータを固定するために剛性および重量を有したモータベースの内部に回転センサを設ける構成と比較してモータベースが小型化される。この結果、ドア開閉装置を小型化しつつ軽量化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に添付図面を参照して、本発明に係るドア開閉装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0021】
<実施の形態1>
図1は本発明に係るドア開閉装置の実施の形態1を示す概略図、図2は図1に示すドア開閉装置の正面図、図3は図1に示すドア開閉装置の背面図、図4は図1に示すドア開閉装置の側面図、図5は図3のV−V断面図、図6は図5の部分拡大図である。
【0022】
図1に示すように、ドア開閉装置3は、自動車の車両本体(躯体)1と、車両本体1に形成した開口部1aを閉塞する開閉体としてのドア(例えば跳ね上げ式バックドア)2との間に取り付けて、ドア2を開閉操作するものである。このドア開閉装置3は、駆動部30とドア2との間に伝達部としての伝達ロッド4を介在してなる。そしてドア開閉装置3は、伝達ロッド4を介して駆動部30の動力をドア2に伝達することによって当該ドア2を開閉する。
【0023】
駆動部30は、図2〜図5に示すようにドア開閉装置3の装置基部を構成するケーシング3Aに、駆動源としての駆動モータ31と、クラッチ32と、駆動歯車群33と、アーム34と、回転センサ35とを設けてなる。ケーシング3Aは、板金を折り曲げ加工した正面カバー3Aaと背面カバー3Abとを合わせて形成してある。
【0024】
駆動モータ31は、図3〜図5に示すようにケーシング3Aの外部であって、背面カバー3Ab側に取り付けてある。駆動モータ31は、背面カバー3Abの板金の略中央部において出力軸(図示せず)を下方に向けて配置してある。駆動モータ31の出力軸には、ウォームギア31Aが設けてある。この駆動モータ31は、出力軸およびウォームギア31Aを内装する金属(例えばアルミ合金)製のモータベース36を有している。モータベース36は、ボルト36Aによってケーシング3Aの背面カバー3Abに固定してある。
【0025】
クラッチ32は、図5に示すように電磁クラッチとして構成してある。クラッチ32は、合成樹脂製のクラッチケース37に内装してある。クラッチケース37は、モータベース36と背面カバー3Abとの間に介在してあって、モータベース36とともに背面カバー3Abに固定してある。
【0026】
このクラッチ32は、回転軸32Aと、ウォームホイール32Bと、アーマチュア32Cと、ロータ32Dと、コイル部32Eとからなる。回転軸32Aは、駆動モータ31の出力軸に対して直交する形態で一端側がモータベース36に対して回転可能に支承してあり、他端側がケーシング3Aの背面カバー3Abに対して回転可能に支承してある。ウォームホイール32Bは、回転軸32Aに対して相対的に回転可能に挿通してあり、駆動モータ31のウォームギア31Aと噛合してある。アーマチュア32Cは、磁性体によって円盤状に形成してあり、回転軸32Aに対して相対的に回転可能に挿通してある。アーマチュア32Cは、回転軸32Aの軸線方向に移動し、かつ、ウォームホイール32Bと一体に回転する態様でウォームホイール32Bに係合して設けてある。ロータ32Dは、回転軸32Aに対して固定してあり、アーマチュア32Cと対峙して設けてある。コイル部32Eは、回転軸32Aの周りに配置してあり、アーマチュア32Cとの間にロータ32Dを挟む態様で設けてある。また、回転軸32Aの一端は、モータベース36から延出してあり、回転軸32Aの他端は、ケーシング3Aの内部に延在してある。このように、クラッチ32は、回転軸32Aの周囲に配置してある。
【0027】
上記クラッチ32は、コイル部32Eが励磁されると、当該コイル部32E側にアーマチュア32Cが吸引されてロータ32Dと摩擦係合する。これにより、ウォームギア31Aおよびウォームホイール32Bを介した駆動モータ31の駆動力がロータ32Dを介して回転軸32Aに伝達されて当該回転軸32Aが回転することになる。一方、コイル部32Eの励磁が開放されると、アーマチュア32Cとロータ32Dとが離間する。これにより、駆動モータ31と回転軸32Aとの相対的な動力の伝達が解かれることになる。
【0028】
駆動歯車群33は、図3に示すように出力ギア33Aと、中間ギア33Bと、駆動ギア33Cとからなる。出力ギア33Aは、ケーシング3Aの内部において回転軸32Aの他端に固定してある。中間ギア33Bは、ケーシング3Aの内部に支承してあり、2つの歯車33Ba,33Bbを重合して設けてある。一方の歯車33Baは、出力ギア33Aに噛合してある。他方の歯車33Bbは、駆動ギア33Cに噛合してある。駆動ギア33Cは、ケーシング3Aの内部に駆動軸38を介して支承してある。駆動ギア33Cは駆動軸38に対して固定してある。この駆動軸38は、ケーシング3Aの正面側に延出してある。
【0029】
上記駆動歯車群33は、駆動モータ31の駆動力がクラッチ32を介して回転軸32Aに伝達されたときに、回転軸32Aの回転にしたがって出力ギア33A、中間ギア33Bの一方の歯車33Ba、中間ギアの他方の歯車33Bb、駆動ギア33Cを介して駆動軸38が回転する。
【0030】
アーム34は、図2、図4および図5に示すようにその基端34Aが、ケーシング3Aの正面側に延出した駆動軸38に固定してある。すなわち、アーム34は、駆動軸38の回転に応じて回動することになる。アーム34の回動端34Bには、伝達ロッド4が取り付けてある。伝達ロッド4は、図1、図2および図4に示すように長手棒状に形成してあり、一端4Aがアーム34の回動端34Bに取り付けてあり、他端4Bがドア2に取り付けてある。この伝達ロッド4は、駆動部30のアーム34の回動に伴い、ドア2を開方向あるいは閉方向に移動させる。
【0031】
回転センサ35は、図5および図6に示すようにモータベース36の背面側に取り付けた合成樹脂製のセンサケース39に内装してある。図6に示すようにセンサケース39は、上側ケース39Aと、下側ケース39Bとに分割形成してあり、その間の収容空間に、回転センサ35を構成するセンサギア35Aと、マグネット盤35Bと、センサ部35Cとを内装してある。
【0032】
センサギア35Aは、モータベース36の外部に延出した回転軸32Aの一端部に固定してある。
【0033】
マグネット盤35Bは、センサケース39に対して回転可能に支承された支持軸35Baを有している。支持軸35Baは、上側ケース39Aに上端部を支持され、下側ケース39Bに下端部を支持されている。支持軸35Baには、センサギア35Aと噛合する噛合歯35Bbが設けてある。さらに、図6に示すように支持軸35Baの下端部には、下側ケース39Bとの間に圧縮バネ35Bcが介在してある。すなわち、マグネット盤35Bは、圧縮バネ35Bcによって上方に弾性付勢されている。また、マグネット盤35Bは、支持軸35Baの径外方向に延在して円盤状に形成してある磁気部材としての永久磁石35Bdを有している。永久磁石35Bdは、支持軸35Baの径外方向に延在する円盤状の少なくとも外周部分をなす形態で設けてある。また、永久磁石35Bdは、周方向に沿って異種の磁極である正極(N極)と負極(S極)とを交互にして盤面(アキシャル)に着磁してある。
【0034】
センサ部35Cは、上側ケース39Aに固定されたセンサ基板35Caを有している。センサ基板35Caの下面には、磁気検出素子としてのホール素子(ホールIC)35Cbが2個(1対)設けてある。各ホール素子35Cbは、マグネット盤35Bにおける永久磁石35Bdの盤面(上面)にそれぞれ対向配置してある。すなわち、ホール素子35Cbは、マグネット盤35Bの永久磁石35Bdの盤面から生じる垂直(図5および図6における上下方向)な磁束を検出する態様で永久磁石35Bdが生じる磁界内に固定配置してある。また、各ホール素子35Cbは、クラッチ32のコイル部32Eの直上位置からやや側方に外れた位置に配置してある。
【0035】
ここで、上側ケース39Aの内壁面には、支持突起39Aaが設けてある。支持突起39Aaは、圧縮バネ35Bcによって弾性付勢されたマグネット盤35Bの円盤状の部位に当接している。このため、永久磁石35Bdとホール素子35Cbとが所定間隔をおいて互いに対向配置されることになる。この所定間隔とは、ホール素子35Cbが永久磁石35Bdの磁束の通過を検出して電圧として出力するために適した間隔である。このように、圧縮バネ35Bcと支持突起39Aaとによりホール素子35Cbの位置に対して永久磁石35Bdの位置を弾性的に支持する支持手段を構成してある。
【0036】
上記回転センサ35は、下側ケース39Bにセンサギア35Aを通す開口穴39Baが設けてある。センサケース39は、開口穴39Baを介してセンサギア35Aを内部に挿通する態様でモータベース36の上面に対して固定ネジ39C(図3参照)によって固定される。このとき、センサギア35Aは、マグネット盤35Bの噛合歯35Bbと互いに噛合する。
【0037】
そして、回転センサ35は、回転軸32Aの回転にしたがってセンサギア35Aが回転する。すると、センサギア35Aの回転に伴ってマグネット盤35Bが回転し、この回転をセンサ部35Cの各ホール素子35Cbによって検出する。すなわち、各ホール素子35Cbは、マグネット盤35Bの回転に伴って回転移動する永久磁石35Bdが生じる磁束に応じた電圧によって磁束密度を検出して、それぞれ位相の異なるパルスを得る。これにより、回転センサ35では、ドア2の開閉位置、開閉速度、開閉方向を検出することができる。なお、本ドア開閉装置3を用いず手動でドア2の開閉を行う場合でも、アーム34が回動して駆動歯車群33を介して回転軸32Aが回転し、マグネット盤35Bが回転する。これにより、手動によるドア2の開閉時でもドア2の開閉位置、開閉速度、開閉方向を検出することができる。このように手動によるドア2の開閉でドア2の開閉位置、開閉速度、開閉方向を検出することにより、例えば手動で開放したドア2をドア開閉装置3で閉塞するときにドア2の状態が認識できる。その他、手動によってドア2を途中開放位置にした状態からドア開閉装置3で追従して開閉するときにもドア2の状態が認識できる。さらに、ドア2の開閉位置、開閉速度、開閉方向の検出は、挟み込み時の反転、デューティー制御(PWM制御)にも用いることができる。
【0038】
したがって、上述したドア開閉装置3では、回転センサ35について、マグネット盤35Bが回転軸32Aの一端部側に設けてあって、当該回転軸32Aの回転に伴って回転する盤状をなす永久磁石35Bdを有している。そして、回転センサ35は、永久磁石35Bdの盤面に所定間隔をおいて対向配置したホール素子35Cbを有している。このため、図5に示すようにクラッチ32におけるコイル部32Eが励磁されたときに生じる磁界の影響を受けない位置にマグネット盤35Bおよびホール素子35Cbを配置することが可能になる。この結果、回転センサ35の検出精度が向上することになる。
【0039】
また、ホール素子35Cbは、クラッチ32のコイル部32Eの直上位置からやや側方に外れた位置に配置してあり、このホール素子35Cbを配置した部位では、コイル部32Eを励磁したとき図5に示すように生じる磁束によって主に左右方向の磁束の影響を受けるおそれがある。しかし、ホール素子35Cbは、永久磁石35Bdが生じる垂直(図5および図6における上下方向)な磁束を検出するように配置してあって、ホール素子35Cbが検出する永久磁石35Bdの磁束の方向が、コイル部32Eが励磁されたときに影響する磁束の方向に交差する位置関係にあるため、ホール素子35Cbはコイル部32Eの磁束の影響を受けない。このように、クラッチ32におけるコイル部32Eが励磁されたときの磁界の影響を受けない位置にマグネット盤35Bおよびホール素子35Cbを配置している結果、回転センサ35の検出精度が向上することになる。
【0040】
また、回転センサ35は、永久磁石35Bdの盤面に所定間隔をおいて対向配置したホール素子35Cbを有している。このため、マグネット盤35Bが支持軸35Baを中心として回転する際に、永久磁石35Bdの回転軌跡が支持軸35Baの径外方向に可変する事態が生じても、永久磁石35Bdとホール素子35Cbとの相対距離が可変することがない。この結果、回転センサ35の検出精度が向上することになる。
【0041】
また、回転センサ35は、永久磁石35Bdとホール素子35Cbとが、圧縮バネ35Bcの弾性付勢力によって所定間隔をおいて配置される。このため、支持軸35Baの軸方向に対して永久磁石35Bdとホール素子35Cbとの相対距離が可変することがない。この結果、回転センサ35の検出精度が向上することになる。
【0042】
また、回転センサ35は、駆動モータ31におけるモータベース36の外部に延出した回転軸32Aの一端部側に配置してあり、合成樹脂製のセンサケース39に内装されてモータベース36に取り付けてある。このため、ドア開閉装置3の装置基部を構成するケーシング3Aに対して駆動モータ31を固定する金属製のモータベース36が小型化される。この結果、ドア開閉装置3を小型化しつつ軽量化を図ることが可能になる。
【0043】
また、回転センサ35は、駆動モータ31におけるモータベース36の外部に延出した回転軸32Aの一端部側に配置してあり、合成樹脂製のセンサケース39に内装されてモータベース36に取り付けてある。このため、センサケース39に内装してあるセンサ基板35Caにドア開閉装置3を制御するためのコントローラ(図示せず)を搭載することが可能になる。すなわち、金属製のモータベース36を大型化することなくコントローラをドア開閉装置3の構成要素内に配置できる。この結果、ドア開閉装置3を小型化しつつ軽量化を図ることが可能になる。
【0044】
なお、上述した実施の形態1では、回転軸32Aの一端部にセンサギア35Aを設けて、当該センサギア35Aにマグネット盤35Bを噛合して、センサギア35Aを介して回転軸32Aの回転をマグネット盤35Bの回転として得ている。これに限らず、ホール素子35Cbが検出する永久磁石35Bdの磁束と、コイル部32Eが励磁された磁束との方向が交差する位置関係にホール素子35Cbを配置すれば、回転軸32Aにマグネット盤35Bを設けてもよい。
【0045】
<実施の形態2>
図7は本発明に係るドア開閉装置の実施の形態2を示す概略図、図8は図7に示すドア開閉装置の斜視図、図9は図8のIX−IX断面図、図10は図9の部分拡大図、図11は図8に示すドア開閉装置の平面図である。なお、以下に説明する実施の形態2において、上述した実施の形態1と同等部分には同一符号を付す。
【0046】
図7に示すように、ドア開閉装置3は、自動車の車両本体(躯体)1と、車両本体1に形成した開口部1aを閉塞する開閉体としてのドア(例えばスライドドア)2との間に取り付けて、ドア2を開閉操作するものである。ドア2は、車両本体1に取り付けたガイドレール1bに沿って車両本体1の前後方向に移動可能に設けてある。ドア開閉装置3は、駆動部30とドア2との間に伝達部としてのケーブル5をプーリ6で経由して設けてある。そして、ドア開閉装置3は、ケーブル5を介して駆動部30の動力をドア2に伝達することによって当該ドア2を開閉する。
【0047】
駆動部30は、図8に示すようにドア開閉装置3の装置基部を構成するベース3Aに、駆動源としての駆動モータ31と、クラッチ32と、回転センサ35とを設けてなる。
【0048】
駆動モータ31は、ベース3Aの外部に取り付けてある。駆動モータ31の出力軸には、ウォームギア(図示せず)が設けてある。この駆動モータ31は、出力軸およびウォームギアを内装するモータベース36を有している。モータベース36は、ボルト36Aによってベース3Aに固定してある。
【0049】
クラッチ32は、図9に示すように電磁クラッチとして構成してある。クラッチ32は、主にクラッチケース37に内装してある。クラッチケース37は、モータベース36との間にベース3Aを挟む形態でベース3Aに固定してある。
【0050】
このクラッチ32は、回転軸32Aと、ウォームホイール32Bと、アーマチュア32Cと、ロータ32Dと、コイル部32Eとからなる。回転軸32Aは、駆動モータ31の出力軸に対して直交する形態で一端側がモータベース36に対して回転可能に支承してあり、他端側がクラッチケース37に対して回転可能に支承してある。また、回転軸32Aには、出力ドラム32Fが一体に成形してある。出力ドラム32Fは、上記ケーブル5を巻装するためのものであって、回転軸32Aを中心として筒状に形成してある。ウォームホイール32Bは、インプット32Baを介してロータ32Dに一体に設けてあり、駆動モータ31のウォームギアと噛合してある。ロータ32Dは、回転軸32Aの周りに設けてあって、当該回転軸32Aに対して回転可能に設けてある。アーマチュア32Cは、磁性体によって円盤状に形成してあり、回転軸32Aに対して相対的に回転可能に挿通してある。アーマチュア32Cは、回転軸32Aの軸線方向に移動し、かつ、出力ドラム32Fと一体に回転する態様で出力ドラム32Fに係合して設けてある。コイル部32Eは、回転軸32Aの周りに配置してあり、アーマチュア32Cとの間にロータ32Dを挟む態様で設けてある。
【0051】
上記クラッチ32は、コイル部32Eが励磁されると、当該コイル部32E側にアーマチュア32Cが吸引されてロータ32Dと摩擦係合する。このため、ロータ32Dは、アーマチュア32Cを介して出力ドラム32Fに接続する。これにより、ウォームギアおよびウォームホイール32Bを介した駆動モータ31の駆動力がロータ32Dおよび出力ドラム32Fを介して回転軸32Aに伝達されて当該回転軸32Aおよび出力ドラム32Fが回転することになる。この結果、出力ドラム32Fに巻装されたケーブル5が図8に示す矢印方向に移動し、このケーブル5の移動に伴ってドア2を開方向あるいは閉方向に移動させる。一方、コイル部32Eの励磁が開放されると、アーマチュア32Cとロータ32Dとが離間する。これにより、駆動モータ31と回転軸32Aとの相対的な動力の伝達が解かれることになる。
【0052】
回転センサ35は、モータベース36に取り付けた合成樹脂製のセンサケース39に内装してある。センサケース39は、上側ケース39Aと、下側ケース39Bとに分割形成してあり、その間の収容空間に、回転センサ35を構成するセンサギア35Aと、マグネット盤35Bと、センサ部35Cとを内装してある。
【0053】
センサギア35Aは、モータベース36の外部に延出した回転軸32Aの一端部に固定してある。
【0054】
マグネット盤35Bは、センサケース39に対して回転可能に支承された支持軸35Baを有している。支持軸35Baは、上側ケース39Aに上端部を支持され、下側ケース39Bに下端部を支持されている。また、マグネット盤35Bは、支持軸35Baの周りに設けた噛合歯35Bbを有している。この噛合歯35Bbは、センサギア35Aと噛合する。さらに、図10に示すように支持軸35Baの下端部には、下側ケース39Bとの間に圧縮バネ35Bcが介在して設けてある。すなわち、マグネット盤35Bは、圧縮バネ35Bcによって上方に弾性付勢されている。また、マグネット盤35Bは、支持軸35Baの径外方向に延在して円盤状に形成してある磁気部材としての永久磁石35Bdを有している。永久磁石35Bdは、支持軸35Baの径外方向に延在する円盤状の少なくとも外周部分をなす形態で設けてある。また、図11に示すように永久磁石35Bdは、周方向に沿って異種の磁極である正極(N極)と負極(S極)とを交互にして盤面(アキシャル)に着磁してある。
【0055】
センサ部35Cは、上側ケース39Aに固定されたセンサ基板35Caを有している。センサ基板35Caの下面には、磁気検出素子としての磁気抵抗素子35Ccが設けてある。磁気抵抗素子35Ccは、マグネット盤35Bにおける永久磁石35Bdの盤面(上面)に沿い、かつ、図11に示すように永久磁石35Bdの外周縁(エッジ)の位置に配置してある。すなわち、磁気抵抗素子35Ccは、マグネット盤35Bの永久磁石35Bdの外周縁から生じる平行(図9および図10における左右方向)な磁束を検出する態様で永久磁石35Bdが生じる磁界内に固定配置してある。また、磁気抵抗素子35Ccは、クラッチ32のコイル部32Eの直上位置であって回転軸32Aの一端部に近い位置に配置してある。
【0056】
なお、本実施の形態における磁気抵抗素子35Ccは、磁気部材である永久磁石35Bdが生じる磁束に応じた抵抗値によって磁束の方向を検出するものであって、特定の磁界方向で抵抗値が変わる異方性磁気抵抗素子(AMR:Anisotropic Magneto−Resistive)を採用している。
【0057】
ここで、上側ケース39Aが支持軸35Baの上端部を支持する部位には、支持突起39Aaが設けてある。支持突起39Aaは、圧縮バネ35Bcによって弾性付勢されたマグネット盤35Bの円盤状の部位に当接している。このため、永久磁石35Bdと磁気抵抗素子35Ccとが所定間隔をおいて互いに配置されることになる。この所定間隔とは、磁気抵抗素子35Ccが永久磁石35Bdの磁束の方向を検出して抵抗値として出力するために適した間隔である。このように、圧縮バネ35Bcと支持突起39Aaとにより磁気抵抗素子35Ccの位置に対して永久磁石35Bdの位置を弾性的に支持する支持手段を構成してある。
【0058】
上記回転センサ35は、下側ケース39Bにセンサギア35Aを通す開口穴39Baが設けてある。センサケース39は、開口穴39Baを介してセンサギア35Aを内部に挿通する態様でモータベース36の上面に対して固定ネジ39Cによって固定される。このとき、センサギア35Aは、マグネット盤35Bの噛合歯35Bbと互いに噛合する。
【0059】
そして、回転センサ35は、回転軸32Aの回転にしたがってセンサギア35Aが回転する。すると、センサギア35Aの回転に伴ってマグネット盤35Bが回転し、この回転をセンサ部35Cの磁気抵抗素子35Ccによって検出する。すなわち、磁気抵抗素子35Ccは、マグネット盤35Bの回転に伴って回転移動する永久磁石35Bdが生じる磁束の方向に応じて異なる抵抗値を出力する。これにより、回転センサ35では、ドア2の開閉位置、開閉速度、開閉方向を検出することができる。なお、本ドア開閉装置3を用いず手動でドア2の開閉を行う場合でも、ドア2の移動に際してケーブル5が移動して出力ドラム32Fを介して回転軸32Aが回転し、マグネット盤35Bが回転する。これにより、手動によるドア2の開閉時でもドア2の開閉位置、開閉速度、開閉方向を検出することができる。このように手動によるドア2の開閉でドア2の開閉位置、開閉速度、開閉方向を検出することにより、例えば手動で開放したドア2をドア開閉装置3で閉塞するときにドア2の状態が認識できる。その他、手動によってドア2を途中開放位置にした状態からドア開閉装置3で追従して開閉するときにもドア2の状態が認識できる。さらに、ドア2の開閉位置、開閉速度、開閉方向の検出は、挟み込み時の反転、デューティー制御(PWM制御)にも用いることができる。
【0060】
したがって、上述したドア開閉装置3では、回転センサ35について、マグネット盤35Bが回転軸32Aの一端部側に設けてあって、当該回転軸32Aの回転に伴って回転する盤状をなす永久磁石35Bdを有している。そして、回転センサ35は、永久磁石35Bdに所定間隔をおいて配置した磁気抵抗素子35Ccを有している。このため、図9に示すようにクラッチ32におけるコイル部32Eが励磁されたときに生じる磁界の影響を受けない位置にマグネット盤35Bおよび磁気抵抗素子35Ccを配置することが可能になる。この結果、回転センサ35の検出精度が向上することになる。
【0061】
また、磁気抵抗素子35Ccは、クラッチ32のコイル部32Eの直上位置であって回転軸32Aの一端部に近い位置に配置してあり、この磁気抵抗素子35Ccを配置した部位では、コイル部32Eを励磁したとき図9に示すように生じる磁束によって主に上下方向の磁束の影響を受けるおそれがある。しかし、磁気抵抗素子35Ccは、永久磁石35Bdが生じる平行(図9および図10における左右方向)な磁束を検出するように配置してあって、磁気抵抗素子35Ccが検出する永久磁石35Bdの磁束の方向が、コイル部32Eが励磁されたときに影響する磁束の方向に交差する位置関係にあるため、磁気抵抗素子35Ccはコイル部32Eの磁束の影響を受けない。このように、クラッチ32におけるコイル部32Eが励磁されたときの磁界の影響を受けない位置にマグネット盤35Bおよび磁気抵抗素子35Ccを配置している結果、回転センサ35の検出精度が向上することになる。
【0062】
また、回転センサ35は、永久磁石35Bdと磁気抵抗素子35Ccとが、圧縮バネ35Bcの弾性付勢力によって所定間隔をおいて配置される。このため、支持軸35Baの軸方向に対して永久磁石35Bdと磁気抵抗素子35Ccとの相対距離が可変することがない。この結果、回転センサ35の検出精度が向上することになる。
【0063】
また、回転センサ35は、駆動モータ31におけるモータベース36の外部に延出した回転軸32Aの一端部側に配置してあり、合成樹脂製のセンサケース39に内装されてモータベース36に取り付けてある。このため、ドア開閉装置3の装置基部を構成するケーシング3Aに対して駆動モータ31を固定するモータベース36が小型化される。この結果、ドア開閉装置3を小型化しつつ軽量化を図ることが可能になる。
【0064】
また、回転センサ35は、駆動モータ31におけるモータベース36の外部に延出した回転軸32Aの一端部側に配置してあり、合成樹脂製のセンサケース39に内装されてモータベース36に取り付けてある。このため、センサケース39に内装してあるセンサ基板35Caにドア開閉装置3を制御するためのコントローラ(図示せず)を搭載することが可能になる。すなわち、モータベース36を大型化することなくコントローラをドア開閉装置3の構成要素内に配置できる。この結果、ドア開閉装置3を小型化しつつ軽量化を図ることが可能になる。
【0065】
特に、本実施の形態においては、磁気検出素子として磁気抵抗素子35Ccを採用してある。磁気抵抗素子35Ccは1極(S極,N極それぞれ)で1パルスを発生し、ホール素子35Cbは2極(S極およびN極)で1パルスを発生する。すなわち、磁気抵抗素子35Ccは、ホール素子35Cbと比較して2倍のパルス分解能を有する。このため、磁気抵抗素子35Ccを用いた回転センサ35では、ホール素子35Cbを用いた回転センサ35と同じパルス分解能とする場合に、マグネット盤35Bを小型化できる。この結果、回転センサ35自体を小型化することが可能になる。一方、磁気抵抗素子35Ccを用いた回転センサ35では、ホール素子35Cbと同じマグネット盤35Bを用いた場合に、分解能を高めることが可能になる。
【0066】
さらに、磁気抵抗素子35Ccは1つの素子で2相を出力し、ホール素子35Cbは2つ(1対)の素子でそれぞれ1相を出力する。このため、磁気抵抗素子35Ccは、ホール素子35Cbと比較して実装のバラツキがなく、各相の位相差ズレの懸念が少なくなる。
【0067】
なお、上述した実施の形態2では、回転軸32Aの一端部にセンサギア35Aを設けて、当該センサギア35Aにマグネット盤35Bを噛合して、センサギア35Aを介して回転軸32Aの回転をマグネット盤35Bの回転として得ている。これに限らず、磁気抵抗素子35Ccが検出する永久磁石35Bdの磁束と、コイル部32Eが励磁された磁束との方向が交差する位置関係に磁気抵抗素子35Ccを配置すれば、回転軸32Aにマグネット盤35Bを設けてもよい。
【0068】
ところで、上述した各実施の形態では、周方向に沿って異種の磁極である正極(N極)と負極(S極)とを交互に盤面(アキシャル)に着磁した永久磁石35Bdを採用してある。そして、実施の形態1では、永久磁石35Bdの盤面から生じる垂直な磁束を検出する態様で1対のホール素子35Cbを永久磁石35Bdの盤面に対向配置しつつ、クラッチ32が生じる磁束に交差する磁束を検出する態様でクラッチ32のコイル部32Eの直上位置からやや側方に外れた位置にホール素子35Cbを固定して、クラッチ32の磁束の影響を受けないようにしている。また、実施の形態2では、永久磁石35Bdの外周縁(エッジ)から生じる平行な磁束を検出する態様で磁気抵抗素子35Ccを永久磁石35Bdの盤面に沿って配置しつつ、クラッチ32が生じる磁束に交差する磁束を検出する態様でクラッチ32のコイル部32Eの直上位置であって回転軸32Aの一端部に近い位置に磁気抵抗素子35Ccを固定して、クラッチ32の磁束の影響を受けないようにしている。
【0069】
これに対し、図には明示しないが上記永久磁石35Bdに代えて、周方向に沿って異種の磁極である正極(N極)と負極(S極)とを交互に周側面(ラジアル)に着磁した永久磁石を採用することも可能である。この場合、実施の形態1では、ラジアルな永久磁石の周側面から生じる垂直な磁束を検出する態様で1対のホール素子35Cbを永久磁石の周側面に対向配置しつつ、クラッチ32が生じる磁束に交差する磁束を検出する態様でクラッチ32のコイル部32Eの直上位置であって回転軸32Aの一端部に近い位置にホール素子35Cbを固定することで、クラッチ32の磁束の影響を受けずにホール素子35Cbで永久磁石の磁束を検出することが可能になる。また、実施の形態2では、ラジアルな永久磁石の外周縁(エッジ)から生じる平行な磁束を検出する態様で磁気抵抗素子35Ccを永久磁石の周側面に沿って配置しつつ、クラッチ32が生じる磁束に交差する磁束を検出する態様でクラッチ32のコイル部32Eの直上位置からやや側方に外れた位置に磁気抵抗素子35Ccを固定することで、クラッチ32の磁束の影響を受けずに磁気抵抗素子35Ccで永久磁石の磁束を検出することが可能になる。
【0070】
また、上述した各実施の形態において、実施の形態1では、伝達ロッド4を介して駆動部30の動力を跳ね上げ式バックドア2に伝達するドア開閉装置を例に説明したが、これに限らず、実施の形態2のように、スライドドアを開閉操作するドア開閉装置に採用してもよい。同様に、実施の形態2では、ケーブル5を介して駆動部30の動力をスライドドアに伝達するドア開閉装置を例に説明したが、これに限らず、実施の形態1のように、バックドアを開閉操作するドア開閉装置に採用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明に係るドア開閉装置の実施の形態1を示す概略図である。
【図2】図1に示すドア開閉装置の正面図である。
【図3】図1に示すドア開閉装置の背面図である。
【図4】図1に示すドア開閉装置の側面図である。
【図5】図3のV−V断面図である。
【図6】図5の部分拡大図である。
【図7】本発明に係るドア開閉装置の実施の形態2を示す概略図である。
【図8】図7に示すドア開閉装置の斜視図である。
【図9】図8のIX−IX断面図である。
【図10】図9の部分拡大図である。
【図11】図8に示すドア開閉装置の平面図である。
【符号の説明】
【0072】
1 車両本体
1a 開口部
1b ガイドレール
2 ドア
3 ドア開閉装置
3A ケーシング,ベース
3Aa 正面カバー
3Ab 背面カバー
30 駆動部
31 駆動モータ
31A ウォームギア
32 クラッチ
32A 回転軸
32B ウォームホイール
32Ba インプット
32C アーマチュア
32D ロータ
32E コイル部
32F 出力ドラム
33 駆動歯車群
33A 出力ギア
33B 中間ギア
33Ba,33Bb 歯車
33C 駆動ギア
34 アーム
34A 基端
34B 回動端
35 回転センサ
35A センサギア
35B マグネット盤
35Ba 支持軸
35Bb 噛合歯
35Bc 圧縮バネ
35Bd 永久磁石(磁気部材)
35C センサ部
35Ca センサ基板
35Cb ホール素子(磁気検出素子)
35Cc 磁気抵抗素子(磁気検出素子)
36 モータベース
36A ボルト
37 クラッチケース
38 駆動軸
39 センサケース
39A 上側ケース
39Aa 支持突起
39B 下側ケース
39Ba 開口穴
39C 固定ネジ
4 伝達ロッド
4A 一端
4B 他端
5 ケーブル
6 プーリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸の周囲に電磁クラッチを配置してあり、駆動モータの駆動力が前記電磁クラッチを介して前記回転軸に伝達した当該回転軸の回転によってドアを動作させるドア開閉装置において、
前記回転軸の端部側に設けてあり当該回転軸の回転に伴って回転移動する磁気部材と、前記磁気部材に所定間隔をおいて固定してあり前記磁気部材が生じる磁束を検出する磁気検出素子とを有した回転センサを備えたことを特徴とするドア開閉装置。
【請求項2】
前記磁気検出素子は、前記電磁クラッチが生じる磁束に対して交差する磁気部材の磁束を検出する位置に固定してあることを特徴とする請求項1に記載のドア開閉装置。
【請求項3】
前記磁気検出素子は、磁気部材が生じる磁束に応じた電圧によって磁束密度を検出する1対のホール素子であることを特徴とする請求項1または2に記載のドア開閉装置。
【請求項4】
前記磁気検出素子は、磁気部材が生じる磁束に応じた抵抗値によって磁束の方向を検出する磁気抵抗素子であることを特徴とする請求項1または2に記載のドア開閉装置。
【請求項5】
前記磁気検出素子の位置に対する前記磁気部材の位置を弾性によって支持する支持手段を有したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のドア開閉装置。
【請求項6】
前記駆動モータを装置基部に固定するモータベースと、前記回転センサを内装するセンサケースとを有し、前記モータベースの外部に前記回転軸の端部を延出して、当該回転軸の端部側に前記回転センサを配置する態様で前記センサケースを前記モータベースに取り付けてなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載のドア開閉装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−107254(P2007−107254A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−298735(P2005−298735)
【出願日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【出願人】(000006183)三井金属鉱業株式会社 (1,121)
【Fターム(参考)】