説明

ドライエッチング方法、磁気記録媒体の製造方法及び磁気記録媒体

【課題】被エッチング層を所望の凹凸パターンの形状に高精度で加工できるドライエッチング方法、これを利用した磁気記録媒体の製造方法及び記録層が凹凸パターンで形成され、良好な磁気特性が確実に得られる磁気記録媒体を提供する。
【解決手段】基板の上に記録層(被エッチング層)、主マスク層、副マスク層をこの順で形成して副マスク層を所定の凹凸パターンに加工し(S106)、次に酸素又はオゾンを反応ガスとする反応性イオンエッチングにより、凹部の主マスク層を除去し(S108)、更にドライエッチングにより凹部の記録層を除去して前記凹凸パターンの形状に加工する(S110)。主マスク層の材料は主成分が炭素であり、且つ、副マスク層の材料は、主マスク層加工工程(S108)の反応性イオンエッチングに対するエッチングレートが炭素よりも低い材料を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加工体の表面を凹凸パターンに加工するためのドライエッチング方法、これを利用した磁気記録媒体の製造方法及び記録層が凹凸パターンで形成された磁気記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体等の分野において、被加工体の表面を凹凸パターンに加工するためにドライエッチングが広く利用されている。又、情報記録媒体の分野でも被加工体の表面を凹凸パターンに加工するニーズがあり、この加工のためにドライエッチングを利用することが期待されている。
【0003】
例えば、ハードディスク等の磁気記録媒体は、記録層を構成する磁性粒子の微細化、材料の変更、ヘッド加工の微細化等の改良により著しい面記録密度の向上が図られており、今後も一層の面記録密度の向上が期待されているが、ヘッドの加工限界、磁界の広がりに起因するサイドフリンジやクロストークなどの問題が顕在化し、従来の改良手法による面記録密度の向上は限界にきている。これに対して、一層の面記録密度の向上を実現可能である磁気記録媒体の候補として、記録層を所定の凹凸パターンで形成して記録要素を凸部として形成したディスクリートメディアやパターンドメディア等の磁気記録媒体が提案されており(例えば、特許文献1参照)、記録層を凹凸パターンに加工するためにドライエッチングを利用することが期待されている。
【0004】
磁性材料である記録層を凹凸パターンに加工する手法としては、例えば、NH(アンモニア)ガス等の含窒素ガスが添加されたCO(一酸化炭素)ガスを反応ガスとする反応性イオンエッチング(例えば、特許文献2参照)等のドライエッチングを利用しうる。又、記録層(被エッチング層)をドライエッチングで加工するためにマスク層を凹凸パターンに加工する必要があるが、マスク層を加工する手法としてもドライエッチングを利用しうる。例えば、マスク層の上にレジスト層を形成し、半導体の分野で用いられているリソグラフィ等の手法によりレジスト層を凹凸パターンに加工して、ドライエッチングにより凹部のマスク層を除去することによりマスク層を凹凸パターンに加工することができる。又、マスク層の上に他のマスク層を介してレジスト層を形成し、レジスト層側からこれらのマスク層を順次ドライエッチングすることにより被エッチング層上のマスク層を凹凸パターンに加工することもできる。
【0005】
【特許文献1】特開平9−97419号公報
【特許文献2】特開平12―322710号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ドライエッチングにより被エッチング層を所定の凹凸パターンに加工することはできても、図12に示されるように被エッチング層100における凸部102の側面102Aを表面に対して垂直に近い形状に加工することは困難であり、実際には図13に示されるように側面102Aは表面を臨む方向に傾斜するテーパ形状に加工され、所望の加工形状と、実際の加工形状と、の間にずれが生じていた。より詳細に説明すると、図13に示されるようにドライエッチングでは、一部の加工用ガスが被加工体に対して垂直方向から若干傾斜して接近し、被エッチング層100におけるエッチング対象領域の端部はマスク102から露出していても一部の加工用ガスに対してマスク104の陰となるため、他の部分よりもエッチングの進行が遅れ、側面102Aがテーパ形状に加工されると考えられる。
【0007】
又、上記のようにマスク層もドライエッチングで加工されるので、凸部の側面がテーパ形状となる。従って、表面側のレジスト層やマスク層の凹凸パターンは凸部の幅が順次広がりつつ被エッチング層に転写されることになり、マスク層の凸部側面のテーパ角が大きいと、それだけ被エッチング層への凹凸パターンの転写精度が低下することとなる。更に、マスク層の凸部側面のテーパ角が過大であると、被エッチング層には両側面が連続したV字断面の溝が形成されて、エッチングの進行が制限され、所望の深さまで加工できないことがある。例えば、上述のディスクリートメディアやパターンドメディア等の磁気記録媒体では、記録層の厚さよりも浅いV溝が形成され、記録層を分割できないことがある。
【0008】
エッチング対象パターンの微細化に伴い、このような所望の加工形状と、実際の加工形状と、のずれが製品の特性等に及ぼす影響が相対的に大きくなる傾向がある。例えば、ディスクリートトラックメディアやパターンドメディア等の磁気記録媒体では、記録要素の側面がテーパ形状に加工されると、記録要素同士が接近することになるため、サイドフリンジやクロストークの問題が生じやすくなり、磁気特性が悪化するという問題がある。従って、凸部の側面が表面に対して垂直に近い形状になるように被加工体の表面を凹凸パターンに加工できるドライエッチング方法が要望されている。
【0009】
尚、ディスクリートトラックメディアやパターンドメディア等の磁気記録媒体の場合、記録要素が加工中に加工用ガスに曝されたり、加工後に大気に曝されることで磁気特性が悪化することもある。従って、被加工体の表面を保護しつつ被加工体の表面を凹凸パターンに加工できるドライエッチング方法も要望されている。
【0010】
これに対し、マスク層を凹凸パターンに加工するためのドライエッチングとして反応性イオンエッチングを用い、マスク層をその底面まで加工した後も更にマスク層の加工を継続することでマスク層の凸部の側面部を更に除去し、マスク層の凸部の幅及びその側面のテーパ角を低減しうるが、このようにマスク層の加工時間を長くするためには、その上に形成する他のマスク層やレジスト層をそれだけ厚くする必要があり、厚く形成したレジスト層の凸部が変形したり倒壊し、却って加工精度が低下することがある。
【0011】
又、マスク層の凸部側面がテーパ形状に加工されることを考慮し、被エッチング層に形成しようとする凹凸パターンよりも凸部の幅が小さい凹凸パターンを最表面のマスク層やレジスト層に形成すれば、被エッチング層を所望のエッチングパターンに加工しうるが、凹凸パターンのピッチが小さい場合、最表面のマスク層やレジスト層の凸部は幅が過度に小さくなって、これにより凸部が変形又は倒壊しやすくなったり、凸部を形成すること自体が困難な場合がある。
【0012】
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであって、被エッチング層を所望の凹凸パターンの形状に高精度で加工できるドライエッチング方法、これを利用した磁気記録媒体の製造方法及び記録層が凹凸パターンで形成され、良好な磁気特性が確実に得られる磁気記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、被エッチング層の上に、炭素が主成分である主マスク層、副マスク層をこの順で形成し、副マスク層を所定の凹凸パターンに加工し、次に酸素及びオゾンの少なくとも一方を反応ガスとする反応性イオンエッチングにより、凹凸パターンの凹部の主マスク層を除去してから、凹凸パターンの凹部の被エッチング層を除去して被エッチング層を凹凸パターンの形状に加工することにより上記目的を達成するものである。
【0014】
炭素は、酸素やオゾンを反応ガスとする反応性イオンエッチングにより短時間で加工できるので、炭素が主成分である主マスク層の上の副マスク層やレジスト層を薄くすることができる。このように副マスク層やレジスト層を薄くすることで主マスク層自体の凸部側面のテーパ角を小さく抑制することができる。従って、レジスト層や副マスク層の凹凸パターンを主マスク層、被エッチング層に高精度で転写することができる。
【0015】
又、被エッチング層を加工するためのドライエッチングとして加工用ガスの直進性が高いイオンビームエッチングを用いることで、被エッチング層の凸部の側面を表面に対して垂直に近い形状に加工することができる。尚、この場合、炭素はイオンビームエッチングに対するエッチングレートが低いので、主マスク層をそれだけ薄くすることができ、この点でも被エッチング層の凸部の側面を表面に対して垂直に近い形状に加工することができる。
【0016】
又、記録層と主マスク層との間に中間層を形成することで、主マスク層を除去する加工から被エッチング層の凸部の上面を保護することができる。
【0017】
又、本発明は、基板と、該基板の上に凹凸パターンで形成され、記録要素が前記凹凸パターンの凸部として形成された記録層と、前記記録要素の間に充填された非磁性の充填材と、前記記録要素の上面を被覆する非磁性の中間層と、該中間層及び前記充填材の上面を被覆する保護層と、を含んでなり、前記中間層の材料と、前記保護層の材料と、が異なることを特徴とする磁気記録媒体により上記目的を達成するものである。
【0018】
このように、中間層の材料と、保護層の材料と、が異なるので万が一、これらの一方にクラック等が発生しても他方にはクラック等が伝達しにくい。従って、記録層は加工後も、大気等から確実に隔離され、良好な磁気特性が確実に得られる。
【0019】
即ち、次のような本発明により、上記課題の解決を図ったものである。
【0020】
(1)被エッチング層の上に、主マスク層、副マスク層をこの順で形成するマスク層形成工程と、前記副マスク層を所定の凹凸パターンに加工する副マスク層加工工程と、酸素及びオゾンの少なくとも一方を反応ガスとする反応性イオンエッチングにより前記凹凸パターンの凹部の前記主マスク層を除去する主マスク層加工工程と、ドライエッチングにより前記凹凸パターンの凹部の前記被エッチング層を除去して該被エッチング層を前記凹凸パターンの形状に加工する被エッチング層加工工程と、を含み、前記主マスク層の材料は主成分が炭素であり、前記副マスク層の材料は前記主マスク層加工工程の反応性イオンエッチングに対するエッチングレートが前記主マスク層の材料よりも低い材料であることを特徴とするドライエッチング方法。
【0021】
(2)前記(1)において、前記被エッチング層加工工程において、イオンビームエッチングを用いて前記被エッチング層を前記凹凸パターンの形状に加工することを特徴とするドライエッチング方法。
【0022】
(3)前記(1)又は(2)において、前記被エッチング層加工工程の後に、酸素及びオゾンの少なくとも一方を反応ガスとする反応性イオンエッチングにより、前記被エッチング層の凸部の上に残存する前記主マスク層を除去する主マスク層除去工程が設けられ、前記マスク層形成工程において、前記被エッチング層と、前記主マスク層と、の間に前記主マスク層除去工程の反応性イオンエッチングに対するエッチングレートが前記主マスク層の材料よりも低い材料で中間層を形成することを特徴とするドライエッチング方法。
【0023】
(4)前記(3)において、前記主マスク層除去工程において、前記中間層が前記被エッチング層の凸部の上に残存するように、前記主マスク層を除去することを特徴とするドライエッチング方法。
【0024】
(5)前記(1)乃至(4)のいずれかにおいて、前記マスク層形成工程において、前記副マスク層の上にレジスト層を形成し、且つ、該マスク層形成工程と、前記副マスク層加工工程と、の間に、前記レジスト層を前記凹凸パターンに加工するレジスト層加工工程が設けられ、前記副マスク層加工工程において前記凹凸パターンの凹部の前記副マスク層を除去することを特徴とするドライエッチング方法。
【0025】
(6)前記(1)乃至(5)のいずれかに記載のドライエッチング方法を用いて、前記被エッチング層として記録層を前記凹凸パターンの形状に加工することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
【0026】
(7)基板と、該基板の上に凹凸パターンで形成され、記録要素が前記凹凸パターンの凸部として形成された記録層と、前記記録要素の間の凹部に充填された非磁性の充填材と、前記記録要素の上面を被覆する非磁性の中間層と、該中間層及び前記充填材の上面を被覆する保護層と、を含んでなり、前記中間層の材料と、前記保護層の材料と、が異なることを特徴とする磁気記録媒体。
【0027】
(8)前記(7)において、前記中間層の材料はケイ素であり、前記保護層の材料はダイヤモンドライクカーボンであることを特徴とする磁気記録媒体。
【0028】
尚、本出願において「エッチングレート」という用語は、被エッチング層やマスク層、中間層等の被加工層における基板の表面に対して略平行な部位の単位時間当たりの基板の表面に垂直な方向の加工速度という意義で用いることとする。
【0029】
又、本出願において、「記録要素が凹凸パターンの凸部として形成された記録層」とは、連続記録層が所定の凹凸パターンで多数の記録要素に分割された記録層の他、連続記録層が所定のパターンで部分的に分割され、一部が連続する記録要素で構成される記録層、又、例えば螺旋状の渦巻き形状の記録層のように、基板上の一部に連続して形成される記録層、連続した記録層に凸部及び凹部双方が形成され、凸部として記録要素が形成された記録層も含む意義で用いることとする。
【0030】
又、本出願において「磁気記録媒体」という用語は、情報の記録、読み取りに磁気のみを用いるハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気テープ等に限定されず、磁気と光を併用するMO(Magneto Optical)等の光磁気記録媒体、磁気と熱を併用する熱アシスト型の記録媒体も含む意義で用いることとする。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、被エッチング層を所望の凹凸パターンの形状に高精度で加工することができる。又、被エッチング層の凸部を加工用ガスや大気から保護することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0033】
本実施形態に係る磁気記録媒体10は、ディスク形状の面内記録型のディスクリートトラックメディアで、図1に示されるように、基板12と、該基板12の上に凹凸パターンで形成され、記録要素14が凹凸パターンの凸部として形成された記録層16と、記録要素14の間の凹部18に充填された非磁性の充填材20と、記録要素14の上面を被覆する非磁性の中間層22と、該中間層22及び前記充填材20の上面を被覆する保護層24と、を備えている。
【0034】
磁気記録媒体10は、中間層22の材料と、保護層24の材料と、が異なることを特徴としている。又、磁気記録媒体10は、図2に拡大して示されるように、記録要素14の側面14Aが表面に対して垂直に近い形状であることを特徴としている。
【0035】
尚、基板12上には、下地層26、配向層30がこの順で形成され、配向層30上に前記記録層16が凹凸パターンで形成されている。又、保護層24の上には潤滑層32が形成されている。
【0036】
基板12は、材料がガラスである。尚、剛性が高い非磁性材料であれば、基板12の材料として、例えばAl(アルミニウム)、Al(アルミナ)等を用いてもよい。又、下地層26の材料はCr合金、配向層30の材料はCr合金、Ru等である。
【0037】
記録層16は、厚さが5〜25nmで、材料はCoCr(コバルト−クロム)合金である。記録要素14は、データ領域において磁気記録媒体10の径方向に微細なピッチで同心円状に形成されている。又、サーボ領域において所定のサーボ情報等のパターンで形成されている。
【0038】
充填材20は、記録要素14の間の凹部18内をほぼ完全に充填している。充填材20の主成分は、SiO(二酸化ケイ素)であり、結晶粒界がない非晶質のアモルファス構造の材料である。尚、充填材20として微結晶状態の材料を用いてもよい。又、充填材20の表面は、中間層22の表面とほぼ一致しており、中間層22及び充填材20の上面は平坦化されている。
【0039】
中間層22は、厚さが1〜10nmで、材料はSi(ケイ素)である。保護層24は、厚さが1〜5nmで、材料はダイヤモンドライクカーボンと呼称される硬質炭素膜である。尚、本出願において「ダイヤモンドライクカーボン(以下、「DLC」という)」という用語は、炭素を主成分とし、アモルファス構造であって、ビッカース硬度測定で2×10〜8×1010Pa程度の硬さを示す材料という意義で用いることとする。尚、潤滑層32は、厚さが1〜2nmで、材料はPFPE(パーフロロポリエーテル)である。
【0040】
次に、磁気記録媒体10の作用について説明する。
【0041】
磁気記録媒体10は、記録要素14の側面14Aが表面に対して垂直に近い形状であるので、記録要素14Aのピッチが小さくても、記録要素14A同士が凹部18で確実に分離され、サイドフリンジやクロストークの問題が生じにくい。従って、面記録密度が高く、且つ、磁気特性が良好である。
【0042】
又、磁気記録媒体10は、記録要素14が比較的硬い材料であるケイ素の中間層22と、これよりも更に硬い材料であるDLCの保護層24と、により2重に保護されており、更に、中間層22の硬さと、保護層24の硬さと、が異なるので万が一、これらの一方にクラック等が発生しても他方にはクラック等が伝達しにくい。従って、記録層16は大気等から確実に隔離され、良好な磁気特性が確実に得られる。
【0043】
又、ケイ素と、DLCと、は相互に強く密着する性質を有しているので、中間層22と、保護層24と、が剥離しにくく、この点でも記録層16は大気等から確実に隔離され、良好な磁気特性が確実に得られる。
【0044】
次に、磁気記録媒体10の製造方法について図3のフローチャートに沿って説明する。
【0045】
まず、図4に示されるように、基板12上に中間層22、主マスク層54、副マスク層56等を形成し、被加工体50の加工出発体を作製する(S102)。具体的には、基板12上に、下地層26、配向層30、連続記録層52(被エッチング層)、中間層22、主マスク層54、副マスク層56をこの順でスパッタリング法により形成し、更にレジスト層58をスピンコート法で塗布する。尚、ディッピング法によりレジスト層58を塗布してもよい。
【0046】
連続記録層52は、記録層16の加工前の形態であり、連続記録層52の厚さ及び材料は記録層16と同じである。
【0047】
主マスク層54は、厚さが3〜20nmで、主成分がC(炭素)である。ここで、「主成分がC」とは、材料を構成する総ての原子数に対するCの原子数の比率が70%以上の材料という意味である。
【0048】
副マスク層56は、厚さが3〜30nmで、材料は酸素又はオゾンを反応ガスとする反応性イオンエッチングに対するエッチングレートが主マスク層54の材料よりも低い材料である。尚、副マスク層56の材料としては、酸素又はオゾンを反応ガスとする反応性イオンエッチングに対するエッチングレートが主マスク層54の材料の1/50以下である材料を用いることが好ましい。副マスク層56の具体的な材料としては、例えば、Ni、Ta、Ti等の金属、Si、TaSi、これらの酸化物、窒化物等を用いることができる。尚、本出願において「TaSi」とはTaとSiの化合物に限定されず、TaとSiの混合物や合金も含む意義で用いることとする。TaSiのより具体的な例としては、例えば原子数比率がTa:80%、Si:20%である混合物又は合金が挙げられる。ここで例示したNi、Ta、Ti、Si、TaSiはいずれも上述のように酸素又はオゾンを反応ガスとする反応性イオンエッチングに対するエッチングレートが炭素、即ち主マスク層54の1/50以下の材料であり好ましい。特にNiは、イオンビームエッチングに対するエッチングレートが高いため加工し易く、Ni(副マスク層56)を加工するためのレジスト層を薄くすることができるため、一層好ましい。
【0049】
又、副マスク層56の材料としてアモルファス構造の材料を用いると、マスクパターンのパターンエッジの揺らぎを小さくできる。Si、TaSi等はアモルファス状態で成膜することができるので好ましい。レジスト層58は、厚さが10〜100nmで、種類は特に限定されず、ネガ型でもポジ型でもよく、又、レーザ光線で感光するタイプでも、電子線で感光するタイプでもよい。レジスト層58の具体的な材料としては、例えば、住友化学工業株式会社製NBE22Aのネガ型レジスト等を用いることができる。
【0050】
次に、この被加工体50の加工出発体のレジスト層58に転写装置(図示省略)を用いて、ナノ・インプリント法により凹凸パターンを転写し、サーボ領域のサーボ情報等のパターン及びデータ領域のトラックのパターンに相当する凹凸パターンにレジスト層58を加工する(S104)。更に、酸素又はオゾンを反応ガスとする反応性イオンエッチング等により、レジスト層58を一様に加工し、図5に示されるように、凹凸パターンの凹部底面のレジスト層58を除去する。尚、リソグラフィの手法によりレジスト層58を露光・現像して凹凸パターンを形成してもよい。
【0051】
次に、Arガス等の希ガスを加工用ガスとするイオンビームエッチングにより、図6に示されるように、凹部底面の副マスク層56を除去し、副マスク層56を凹凸パターンに加工する(S106)。この際、図6中に矢印で模式的に示されるように、加工用ガスを被加工体50の表面に対して垂直に照射する。尚、本出願において「イオンビームエッチング」という用語は、例えばイオンミリング等の、イオン化した加工用ガスを被加工体に照射して加工対象物を除去する加工方法の総称という意義で用いることとする。
【0052】
次に、酸素又はオゾンを反応ガスとする反応性イオンエッチングにより、図7に示されるように、凹部底面の主マスク層54を除去する(S108)。尚、この際、反応性を高めるために酸素又はオゾンをプラズマの状態とする。炭素は酸素又はオゾンのプラズマにより迅速に酸化し、凹部底面の主マスク層54は短時間で除去される。尚、酸素又はオゾンのプラズマは、炭素に対し等方的なエッチング作用を及ぼす。又、この際、被加工体50にバイアスパワーを印加し、図7中に矢印で模式的に示されるように、酸素又はオゾンのプラズマを被加工体の表面に対して垂直に照射する。これにより、主マスク層54(炭素)には被加工体の表面に垂直な方向へのエッチング作用が働く。上記の等方的なエッチング作用と、被加工体の表面に垂直な方向へのエッチング作用と、の相乗効果により、主マスク層54の凸部の側面は表面に対して垂直に近い形状に加工される。尚、中間層22は、酸素又はオゾンを反応ガスとする反応性イオンエッチングに対するエッチングレートが低いので、凹部底面の中間層22は、大部分が除去されることなく残存する。
【0053】
次に、Arガス等の希ガスを加工用ガスとするイオンビームエッチングにより、図8に示されるように、凹部底面の中間層22及び連続記録層52を除去する(S110)。これにより連続記録層52が多数の記録要素14に分割され、凹凸パターンの記録層16が形成される。又、この際、図8中に矢印で模式的に示されるように、イオンビームは被加工体50の表面に対して垂直に照射する。連続記録層52の基板12側の面まで凹部18が形成されるまでイオンビームエッチングによる加工を行う。これにより記録要素14の側面は表面に対して垂直に近い形状に加工される。
【0054】
次に、酸素又はオゾンを反応ガスとする反応性イオンエッチングにより、図9に示されるように、記録要素14の上に残存する主マスク層54を除去する(S112)。この際、中間層22が記録要素14(被エッチング層の凸部)の上に残存するように主マスク層54を除去する。
【0055】
次に、バイアススパッタリング法により被加工体50にバイアスパワーを印加しつつSiO(充填材20)の粒子を、図10に示されるように、被加工体50の表面に成膜し、記録要素14の間の凹部18を充填する(S114)。ここで、充填材20は記録要素14を完全に被覆するように成膜する。
【0056】
充填材20を成膜する際、Ar等のスパッタリングガスがSiOのターゲットに衝突することによりSiOの粒子が飛散して、被加工体50の表面に記録要素の凹凸形状に倣って一様に堆積しようとするので、充填材20は表面が凹凸形状となる傾向がある。一方、被加工体50にバイアスパワーを印加することにより、スパッタリングガスは被加工体50の方向に付勢されて堆積済みのSiOに衝突し、堆積済みのSiOの一部をエッチングする。このエッチング作用は、堆積済みのSiOのうち、突出した部分を他の部位よりも速く選択的に除去する傾向があるので、充填材20の表面の凹凸は次第に均される。尚、実際にはこれらの作用は同時に進行し、成膜作用がエッチング作用を上回ることで表面の凹凸が小さく抑制されつつ充填材20の成膜が進行する。従って、充填材20は、表面の凹凸が抑制された形状で成膜される。
【0057】
次に、図11に示されるように、Arガス等の希ガスを加工用ガスとするイオンビームエッチングを用いて充填材20を中間層22の上面まで除去し、中間層22及び充填材20の表面を平坦化する(S116)。この際、図11中に矢印で模式的に示されるように、表面に対して傾斜した方向から加工用ガスを照射することにより、平坦化効果を高めることができる。
【0058】
次に、CVD(Chemical Vapor Deposition)法により中間層22及び充填材20の上面に保護層24を形成する(S118)。材料がDLCの保護層24は、材料がケイ素の中間層22に強く密着する。更に、ディッピング法により保護層24の上に潤滑層32を塗布する(S120)。これにより、前記図1及び図2に示される磁気記録媒体10が完成する。
【0059】
上記のように、主マスク層54の主成分が炭素であり、酸素又はオゾンを反応ガスとする反応性イオンエッチングにより主マスク層54を短時間で加工できるので、主マスク層54の上の副マスク層56やレジスト層58が薄くて足りる。このように副マスク層やレジスト層を薄くすることで主マスク層自体の凸部側面のテーパ角を小さく抑制することができる。従って、最表面のレジスト層58や副マスク層56の凹凸パターンを主マスク層54、記録層16に高精度で転写することができる。
【0060】
又、レジスト層58が薄くて足りるのでレジスト層58を凹凸パターンに加工しても凸部の変形や倒壊が生じにくく、この点でもレジスト層58の凹凸パターンを主マスク層54、記録層16に高精度で転写することができる。
【0061】
又、主マスク層54の材料である炭素はイオンビームエッチングに対するエッチングレートが低いので、主マスク層54がそれだけ薄くて足り、記録要素14の側面を表面に対して垂直に近い形状に加工することができる。
【0062】
更に、加工用ガスの直進性が高いイオンビームエッチングにより、記録要素14を形成するので、この点でも、記録要素14の側面を表面に対して垂直に近い形状に加工することができる。
【0063】
又、連続記録層52と主マスク層54との間に中間層22を形成しているので、主マスク層54を除去する加工から記録要素14の上面を保護することができる。更に、主マスク層54の除去工程(S112)において、記録要素14の上面に中間層22が残存するように中間層22の上の主マスク層54を除去しているので、加工後も、記録要素14の上面は大気等から隔離され、酸化や腐食による磁気特性の悪化を防止することができる。
【0064】
尚、本実施形態において、中間層22の材料はSiであるが、主マスク層54を除去するためのドライエッチングに対するエッチングレートが低い材料であれば、中間層22の材料として他の非磁性の材料を用いてもよい。尚、主マスク層54を除去するためのドライエッチングから記録要素14の上面を保護する充分な効果を得るためには、主マスク層54を除去するためのドライエッチングに対する中間層22のエッチングレートが主マスク層54の材料である炭素の1/5以下であることが好ましく、1/10以下であることが更に好ましい。
【0065】
又、中間層22の成膜時の厚さが薄過ぎると、中間層22が連続した一様な膜状にならないことがあるため、中間層22は1nm以上の厚さに成膜することが好ましい。一方、主マスク層54を除去した後に残存する中間層22の厚さが厚過ぎると、記録要素14とヘッドとのスペーシングロスが過大となり、記録/再生特性が悪化するので、記録要素14上の中間層22の厚さは10nm以下とすることが好ましい。
【0066】
又、本実施形態において、連続記録層52と、主マスク層54と、の間に中間層22を形成しているが、記録要素14の上の主マスク層54を除去する加工による記録要素14の上面の劣化が生じにくい場合は、中間層22を省略し、連続記録層52の上に主マスク層54を直接形成してもよい。
【0067】
又、本実施形態において、酸素又はオゾンを反応ガスとする反応性イオンエッチングにより、記録要素14の上に残存する主マスク層54を除去しているが、記録要素14の上の主マスク層54を除去できれば、主マスク層54を除去する工程(S112)で用いるドライエッチングの種類は特に限定されない。
【0068】
又、本実施形態において、主マスク層54を除去する工程(S112)が設けられているが、記録層16を凹凸パターンに加工する工程(S110)において、記録要素14の上の主マスク層54を概ね除去できれば、主マスク層54を除去する工程は省略してもよい。
【0069】
又、本実施形態において、副マスク層56の上に、レジスト層58を形成し、イオンビームエッチングにより副マスク層56を凹凸パターンに加工しているが、副マスク層56を所望の凹凸パターンに加工できれば、加工方法は特に限定されない。例えば、副マスク層56と、レジスト層との間に、他のマスク層を形成し、2段階以上のドライエッチングで副マスク層56を凹凸パターンに加工してもよい。
【0070】
又、本実施形態において、記録層16(連続記録層52)の材料はCoCr合金であるが、例えば、鉄族元素(Co、Fe(鉄)、Ni)を含む他の合金、これらの積層体等の他の材料の記録要素で構成される磁気記録媒体にも本発明を適用可能である。
【0071】
又、本実施形態において、充填材20の材料はSiOであるが、他の酸化物、TiN(窒化チタン)等の窒化物、SiC(炭化ケイ素)やTiC(炭化チタン)等の炭化物、Ta(タンタル)、TaSi、Si等の他の非磁性材を用いてもよい。特に、酸化物、窒化物、炭化物等の非磁性材は、それ自体の化学的安定性に優れると共に、金属磁性材の記録層16との接触による腐食等に対する化学的安定性にも優れているので、それだけ良好な記録・再生特性が得られる。
【0072】
尚、記録要素14の側面の欠陥を充填し、空隙部の発生を抑制する効果を高めることができるという点で、充填材20の材料として、結晶粒界がない非晶質のアモルファス構造の材料又は微結晶状態の材料を用いることが好ましい。尚、本出願において「微結晶状態の材料」とは、X線回折において結晶性ピークを有していない材料という意義で用いることとする。
【0073】
又、本実施形態において、記録層16の下に下地層26、配向層30が形成されているが、記録層16の下の層の構成は、磁気記録媒体の種類に応じて適宜変更すればよい。例えば、下地層26、配向層30のうち一方を省略してもよい。又、各層が複数の層で構成されていてもよい。又、基板上に記録層を直接形成してもよい。
【0074】
又、本実施形態において、磁気記録媒体10はデータ領域において記録要素14がトラックの径方向に微細な間隔で並設された面内記録型の磁気ディスクであるが、記録要素がトラックの周方向(セクタの方向)に微細な間隔で並設された磁気ディスク、トラックの径方向及び周方向の両方向に微細な間隔で並設された磁気ディスク、凹凸パターンが形成された連続記録層を有するパームタイプの磁気ディスク、トラックが螺旋形状をなす磁気ディスクについても本発明は当然適用可能である。又、垂直記録型の磁気ディスクにも本発明は適用可能である。又、MO等の光磁気ディスク、磁気と熱を併用する熱アシスト型の磁気ディスク、更に、磁気テープ等ディスク形状以外の凹凸パターンの記録層を有する他の磁気記録媒体に対しても本発明を適用可能である。
【0075】
又、本実施形態は、磁気記録媒体に関するものであり、酸素又はオゾンを反応ガスとする反応性イオンエッチングにより炭素が主成分である主マスク層54を凹凸パターンに加工し、主マスク層54の凹凸パターンに基づいて被エッチング層として連続記録層52を凹凸パターンに加工しているが、このドライエッチング方法は例えば光記録媒体等の他の情報記録媒体や半導体等の分野にも適用可能であり、本実施形態と同様に被エッチング層を所望の凹凸パターンに高精度で加工することができる。
【実施例】
【0076】
上記実施形態に対し、材料がCoCr合金の連続記録層52を約20nmの厚さに成膜した。
【0077】
更に、連続記録層52の上に、スパッタリング法により、材料がSiの中間層22を約2nmの厚さに、材料がCの主マスク層54を約15nmの厚さに、材料がNiの副マスク層56を約3nmの厚さに成膜し、副マスク層56の上にスピンコート法により、材料が電子線レジストのレジスト層58を約20nmの厚さに成膜した。
【0078】
次に、ナノインプリント法及び酸素を反応ガスとする反応性イオンエッチングにより、ピッチが約200nm、ライン(凸部)とスペース(凹部)との比率が約1:1のラインアンドスペースの凹凸パターンにレジスト層58を加工した。この凹凸パターンの凹部底面の副マスク層56をArガスを用いたイオンビームエッチングにより除去し、副マスク層56を凹凸パターンに加工した。更に、この凹凸パターンの凹部底面の主マスク層54を酸素を反応ガスとする反応性イオンエッチングにより除去し、主マスク層54を凹凸パターンに加工した。尚、この際、ソースパワーをRF1000W、被加工体に印加するバイアスパワーをRF75Wに設定した。
【0079】
次に、この凹凸パターンの凹部底面の中間層22及び連続記録層52をArガスを用いたイオンビームエッチングにより除去し、凹凸パターンの記録層16を形成した。尚、記録要素14の上に残存する主マスク層54は、酸素を反応ガスとする反応性イオンエッチングにより除去した。この際、中間層22の上面が露出するまで加工を行い、主マスク層54を完全に除去した。又、ソースパワーをRF1000Wに設定し、被加工体にバイアスパワーは印加しなかった。
【0080】
このようにして得られた記録層16の磁気特性を、未加工の連続記録層52の磁気特性と比較した。具体的には、両者の飽和磁化MsをVSM(Vibrating Sample Magnetometer)を用いて測定したところ、両者のMsはいずれも約0.44Wb/mだった。又、両者の保磁力HcをVSMを用いて測定したところ、両者のHcはいずれも約300kA/mだった。即ち、両者の磁気特性に差異は認められず、上記実施形態のドライエッチング方法により連続記録層52を凹凸パターンに加工すれば、加工による記録要素14の磁気特性の劣化を防止できることが確認された。
【0081】
又、記録要素14の側面は、表面に垂直な方向に対し、表面に臨む方向に約10°傾斜していた。即ち、記録要素14の側面の傾斜角は約10°に抑制されており、ほぼ所望の形状に加工されていた。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、磁気記録媒体等の情報記録媒体や半導体の製造等に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の実施形態に係る磁気記録媒体の構造を模式的に示す側断面図
【図2】同磁気記録媒体の記録要素の形状を拡大して示す側断面図
【図3】同磁気記録媒体の製造工程の概要を示すフローチャート
【図4】同製造工程における被加工体の加工出発体の構造を模式的に示す側断面図
【図5】レジスト層が凹凸パターンに加工された同被加工体の形状を模式的に示す側断面図
【図6】副マスク層が凹凸パターンに加工された同被加工体の形状を模式的に示す側断面図
【図7】主マスク層が凹凸パターンに加工された同被加工体の形状を模式的に示す側断面図
【図8】記録層が凹凸パターンに加工された同被加工体の形状を模式的に示す側断面図
【図9】残存する主マスク層の除去工程を模式的に示す側断面図
【図10】充填材が成膜された同被加工体の形状を模式的に示す側断面図
【図11】前記被加工体の平坦化工程を模式的に示す側断面図
【図12】側面が表面に対して垂直な被エッチング層の凸部を模式的に示す側断面図
【図13】従来のドライエッチングによる側面が傾斜した被エッチング層の凸部の形成過程を模式的に示す側断面図
【符号の説明】
【0084】
10…磁気記録媒体
12…基板
14…記録要素
16…記録層
18…凹部
20…充填材
22…中間層
24…保護層
26…下地層
30…配向層
32…潤滑層
50…被加工体
52…連続記録層(被エッチング層)
54…主マスク層
56…副マスク層
58…レジスト層
S102…マスク層形成工程
S104…レジスト層加工工程
S106…副マスク層加工工程
S108…主マスク層加工工程
S110…記録層加工工程
S112…主マスク層除去工程
S114…充填材成膜工程
S116…平坦化工程
S118…保護層形成工程
S120…潤滑層形成工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被エッチング層の上に、主マスク層、副マスク層をこの順で形成するマスク層形成工程と、前記副マスク層を所定の凹凸パターンに加工する副マスク層加工工程と、酸素及びオゾンの少なくとも一方を反応ガスとする反応性イオンエッチングにより前記凹凸パターンの凹部の前記主マスク層を除去する主マスク層加工工程と、ドライエッチングにより前記凹凸パターンの凹部の前記被エッチング層を除去して該被エッチング層を前記凹凸パターンの形状に加工する被エッチング層加工工程と、を含み、前記主マスク層の材料は主成分が炭素であり、前記副マスク層の材料は前記主マスク層加工工程の反応性イオンエッチングに対するエッチングレートが前記主マスク層の材料よりも低い材料であることを特徴とするドライエッチング方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記被エッチング層加工工程において、イオンビームエッチングを用いて前記被エッチング層を前記凹凸パターンの形状に加工することを特徴とするドライエッチング方法。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記被エッチング層加工工程の後に、酸素及びオゾンの少なくとも一方を反応ガスとする反応性イオンエッチングにより、前記被エッチング層の凸部の上に残存する前記主マスク層を除去する主マスク層除去工程が設けられ、前記マスク層形成工程において、前記被エッチング層と、前記主マスク層と、の間に前記主マスク層除去工程の反応性イオンエッチングに対するエッチングレートが前記主マスク層の材料よりも低い材料で中間層を形成することを特徴とするドライエッチング方法。
【請求項4】
請求項3において、
前記主マスク層除去工程において、前記中間層が前記被エッチング層の凸部の上に残存するように、前記主マスク層を除去することを特徴とするドライエッチング方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかにおいて、
前記マスク層形成工程において、前記副マスク層の上にレジスト層を形成し、且つ、該マスク層形成工程と、前記副マスク層加工工程と、の間に、前記レジスト層を前記凹凸パターンに加工するレジスト層加工工程が設けられ、前記副マスク層加工工程において前記凹凸パターンの凹部の前記副マスク層を除去することを特徴とするドライエッチング方法。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載のドライエッチング方法を用いて、前記被エッチング層として記録層を前記凹凸パターンの形状に加工することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
【請求項7】
基板と、該基板の上に凹凸パターンで形成され、記録要素が前記凹凸パターンの凸部として形成された記録層と、前記記録要素の間の凹部に充填された非磁性の充填材と、前記記録要素の上面を被覆する中間層と、該中間層及び前記充填材の上面を被覆する保護層と、を含んでなり、前記中間層の材料と、前記保護層の材料と、が異なることを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項8】
請求項7において、
前記中間層の材料はケイ素であり、前記保護層の材料はダイヤモンドライクカーボンであることを特徴とする磁気記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−12332(P2006−12332A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−190061(P2004−190061)
【出願日】平成16年6月28日(2004.6.28)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】