説明

ドライビングレコーダ

【課題】確実にかつ的確に必要な状況データのみを取得できるようにし、メモリの効率的な利用や状況データの事後分析の容易化等に寄与できる車両搭載型ドライビングレコーダを提供する。
【解決手段】車両の挙動や周囲状況、操作状況等を示すデータである状況データを受信し、その状況データをメモリの所定領域に設定したテンポラリデータ格納部802に一時的に格納する状況データ受信部801と、車両に作用する加速度を検知し、その加速度を示す加速度データを前記状況データの1つとして出力する加速度センサと、前記加速度のピーク値及びその時間積分値に関する値を算出し、それら各算出値の少なくとも一方が予め定めた基準値を超える場合に、前記加速度が作用した前後一定期間に亘る一部又は全部の状況データを、前記テンポラリデータ格納部802から状況データ格納部803に移送するデータ管理部804とを備えるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、事故発生あるいはヒヤリハットといった事故発生に至らないまでも事故になり得た場合の、前後一定期間における車両の挙動や周囲状況等を記録して、そのような状況に至った原因解析等を事後に好適に行えるようにしたドライビングレコーダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近時、運転中の車両(自動車)の外部や内部の映像を自動的に記録して、事故やヒヤリハット等の際の客観的な状況を事後分析できるようにした車両搭載型のドライビングレコーダが開発されてきており、例えばタクシーなどでは、日常運転の事後分析による事故予防対策や、事故が起こったときにはその原因の客観的な証拠、究明等のために、この種のドライビングレコーダを搭載する動きも出てきている。
【0003】
具体的に、このようなドライビングレコーダは、車両に搭載して走行中の外部画像データ、加速度データ、速度データ、位置データ等の状況データを、時系列的に順次メモリ内に格納しておき、そのメモリ内の状況データを参照することで事後分析ができるように構成されている。
【0004】
ところで、走行中の全ての状況データを格納するのは、走行時間との兼ね合いもあるが、メモリの容量から難しい場合が多く、メモリが一杯になるとそこで書き込みがストップするため、最新の状況データを記録できなくなる。
【0005】
そこで、従来は、例えば、いわゆるリングバッファメモリ方式にして、メモリが一杯になると、古い状況データから順に新しいデータに書き換えていくようにしたものや、車両の加速度(減速度)が一定以上の数値を示したときに、ヒヤリハットや事故、異常等が発生したとして、その前後一定期間における状況データのみを、一時メモリから事後分析にもちいるための不揮発メモリ等に記録するようにしたもの(特許文献1参照)などが知られている。
【特許文献1】特開平5−197858号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、リングバッファメモリ方式では、書き換えられたデータの中に、ほしい状況データが埋もれて消されてしまう場合がある。例えば事故の場合であれば、それ以上何事もなく走行することはないであろうから、最新のデータの中にほしい状況データが入っていると考えられ、大きな問題にはならない場合もあるが、ヒヤリハット時の状況データなど、事故防止のために必要な状況データは、古いデータの中にあって消される場合があり、リングバッファメモリ方式は好ましいものではない。
【0007】
また、車両の加速度で判断する場合は、事故やヒヤリハット以外の場合(ドアの単なる開け閉めやドライバの運転嗜好による急加減速など)での不要な状況データを多く取得してしまい、やはりメモリがすぐに一杯になったり、そのような不要な状況データを事後に選別する手間が非常に大変なものになったりする。
【0008】
そこで本発明は、例えばメモリが一杯になって古い状況データや新しい状況データが記録されないといった不具合を解決すべくなされたものであって、確実にかつ的確に必要な状況データのみを取得できるようにし、メモリの効率的な利用や状況データの事後分析の容易化等に寄与できる車両搭載型ドライビングレコーダを提供することをその主たる所期課題としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち本発明に係る車両搭載型ドライビングレコーダは、車両の挙動や周囲状況、操作状況等を示すデータである状況データを受信し、その状況データを、メモリの所定領域に設定したテンポラリデータ格納部に一時的に格納する状況データ受信部と、受信した状況データの示す複数の内容が、予め定めた所定条件を満たす場合にのみ、その前後一定期間に亘る状況データの一部又は全部を、前記テンポラリデータ格納部から、メモリの所定領域に設定した状況データ格納部に移送するデータ管理部と、を備えていることを特徴とする。
【0010】
このような構成を有するドライビングレコーダであれば、状況データが示す複数の内容から、事故やヒヤリハットと思われる場合を特定し、その前後一定期間に亘る状況データを正式に格納(記録とも言う)するようにしているので、極めて的確に事故等であるか否かの判断ができるようになる。
【0011】
そしてその結果、無駄な状況データの取り込みを省いてメモリを効率的に利用することが可能になる。また、無駄なデータが記録時点で省かれているので、事後分析が容易になるという効果も奏し得る。
【0012】
また、本発明は、車両の挙動や周囲状況、操作状況等を示すデータである状況データを受信し、その状況データを、メモリの所定領域に設定したテンポラリデータ格納部に一時的に格納する状況データ受信部と、車両に作用する加速度を検知し、その加速度を示す加速度データを前記状況データの1つとして出力する加速度センサと、前記加速度のピーク値及びその時間積分値に関する値を算出し、それら各算出値の少なくとも一方が、予め定めた基準値を超える場合に、前記加速度が作用した前後一定期間に亘る一部又は全部の状況データを、前記テンポラリデータ格納部から、メモリの所定領域に設定した状況データ格納部に移送するデータ管理部と、を備えていることを特徴とする。ここで加速度とは絶対値の場合もあり、減速度も含む。
【0013】
このような構成を有するドライビングレコーダであれば、従来のように加速度のピーク値だけでなく、その時間積分値に関する値(加速度の時系列波形の時間積分値のみではなく、その時間積分値を間接的に示す値、例えば一定以上の加速度が連続して続いた期間等も含む)から、事故やヒヤリハットと思われる場合を特定し、その前後一定期間に亘る状況データを記録するようにしているので、加速度ピーク値のみで判断することに比べ、より的確に事故等であるか否かの判断ができるようになる。
【0014】
その結果、前述同様、無駄な状況データの取り込みを省いてメモリを効率的に利用することが可能になる。また、無駄なデータが省かれているので、事後分析が容易になるという効果も奏し得る。
【0015】
また、本発明は、補助電源を備え、車両側電源からの電力供給が途絶えた場合でも前記補助電源による電力供給が可能なものにおいて、車両の挙動や周囲状況、操作状況等を示すデータである状況データを受信し、その状況データを、メモリの所定領域に設定したテンポラリデータ格納部に一時的に格納する状況データ受信部と、前記状況データに属するデータであって、車両側電源から電力が供給されているか否かを示す主電源状態データの内容から、車両側電源からの電力供給が途絶えたと判断される場合に、その途絶えた時点から前後一定期間に亘る状況データを、前記テンポラリデータ格納部から、メモリの所定領域に設定した状況データ格納部に移送するデータ管理部と、を備えていることを特徴とする。
【0016】
このような構成を有するドライビングレコーダであれば、特に大きな事故のときのように、車両が破損して電源供給がストップした場合でも、補助電源から電力が供給されるので、動作を継続して行うことができ、しかもその電源供給ストップをトリガにしてその前後一定期間に亘る状況データを記録するので、加速度のピーク値だけで記録の要否を判断するものに比べ、特に事故の場合の状況データを確実に取得できる。
【0017】
一方、従来、タクシーなどでは、そういった状況データを、着脱式の不揮発メモリ(CFメモリカード等)に格納しておき、例えば終業後、そのメモリをレコーダ本体から抜き取り、配車センタ−にあるセンタコンピュータに装着することにより、当該センタコンピュータ内のメモリに状況データを移すという作業を行っているが、その作業を忘れるという人為的なミスによって、CFメモリカード等の状況データが、次の乗車時に書き換えられてしまう場合もある。
【0018】
かかる不具合を解決するには、車両とは別の場所に設けられたセンタコンピュータに対し、車両が無線通信可能な特定場所にある時に、前記状況データ格納部内の状況データを、無線送信する通信手段をさらに備えているものが好ましい。
【0019】
事故やヒヤリハットの内容を事後分析するために特に有効な状況データとしては、車両に作用する加速度を示す加速度データ、車両の位置を示す位置データ及び車両の外部映像を示す動画データを挙げることができる。
【0020】
また、事故やヒヤリハットであるか否かをより的確な判断するためには、状況データとして、車両の速度を示す速度データ、車両のブレーキが作用しているか否かを示すブレーキデータ、ドアが開閉しているか否かを示すドア開閉データ、車両側電源から電力が供給されているか否かを示す主電源状態データの少なくとも1つ又は全部がさらに含まれていれば、好適である。
【発明の効果】
【0021】
かかる構成の本発明によれば、車両搭載型ドライビングレコーダにおいて、確実にかつ的確に必要な状況データのみを取得でき、メモリの効率的な利用や状況データの事後分析の容易化等に寄与できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0023】
本実施形態に係るドライビングレコーダ1は、図1〜図5に示すように、事故発生時あるいはヒヤリハット時等の前後一定期間における自動車車両Vの挙動や周囲状況、操作状況等を記録するものであり、単一のケーシング2と、そのケーシング2に保持させた、検知手段3、報知手段4、入力手段5、通信手段6、着脱式記録手段7、情報処理手段8、補助電源9等とを備えている。そして、車両フロントガラスWにおける任意の場所に、所定の熱伝導性を有する粘着パッド21を介して貼り付けて使用する。
【0024】
次に各部を説明する。
【0025】
ケーシング2は、図2、図3に示すように、ほぼ全部が金属(マグネシウム合金)で形成された概略卵形をなすものであり、その一部に、卵形の一部を平面で切断することにより形成される概略楕円形の平面部2Aを設け、その平面部の外周縁部を、接着性および弾性を有した概略楕円帯状の粘着パッド21を介して車両フロントガラスWに貼り付ける。
【0026】
検知手段3は、図4に示すように、車両の挙動や周囲状況、操作状況等をセンシングし、その内容を示す状況データを出力するものであり、ここでは、撮像手段であるCCDカメラ31、加速度センサ32、位置センサであるGPS受信機33の3種類を少なくとも用いている。
【0027】
CCDカメラ31は、車外状況を撮像し、その画像を示す状況データ(動画データ)を出力するもので、フロントガラスWに対向するケーシング平面部2Aに受像面31aが露出させてある。なお、この受像面31aは可動で、フロントガラスWへの取付位置に応じて所望の撮像方向に設定できるように構成している。
【0028】
加速度センサ32は、例えばピエゾ抵抗効果を利用して構成したもので、車両Vに作用する1〜3次元(例えば3次元であれば、前後、左右、上下)の加速度をセンシングし、その加速度を示す状況データ(加速度データ)を出力するものである。
【0029】
GPS受信機33は、例えば複数衛星からの電波をキャッチして自動車Vの位置をセンシングし、その位置を示す状況データ(位置データ)を出力するものであり、例えば前記ケーシング平面部2Aに一部が露出させてある。
【0030】
なお、状況データとしては、その他、自動車Vの車速センサ(図示しない)から送信されてくる車速データや、ドアの開閉を示すドア開閉データ、ブレーキのON/OFFを示すブレーキデータ等があって、これらは、コネクタCNを介して受信される。
【0031】
さらに、本ドライビングレコーダ1は、通常、前記コネクタCNを介して車両バッテリ(車両側電源、図示しない)から電力供給されて動作するが、その車両バッテリからの電力供給が何らかの原因で途絶えた場合、補助電源9に自動的に切り替わり、その補助電源9が、最低でも、前記一定期間分動作できるだけの電力を供給する。しかして、車両バッテリから電力が供給されているか否かは、状況データの一つである主電源状態データとして、後述する情報処理手段8に入力される。
【0032】
報知手段4は、図2に示すように、ケーシング平面部2Aの反対側に露出させた発光体であるLED41や、ケーシング2に内蔵したブザーやスピーカ等の音声出力体(図示しない)等からなる。
【0033】
入力手段5とは、ここでは、ケーシング平面部2Aの反対側に露出させたボタンスイッチのことである。
【0034】
通信手段6とは、ここではケーシング2に内蔵され、配送センタに設けられたセンタコンピュータ(図示しない)と電波によって各種データを送受信する無線LAN用のハードウェアのことである。
【0035】
着脱式記録手段7とは、ここでは、ケーシング2の側方に開口するスロット2bに抜脱可能に取り付けたCFメモリカードのことである。
【0036】
情報処理手段8は、構造的には、図4に示すように、CPU81、内部メモリ82(例えば不揮発性メモリ)、I/Oバッファ回路(ADコンバータ等が含まれる場合もある)83等を有したいわゆるコンピュータ回路であり、ケーシング2に内蔵されている。そして、図5に示すように、前記CPU81が、内部メモリ82の所定領域に格納したプログラムに従って動作することで前記各手段の制御や情報処理を行い、データ受信部801、テンポラリデータ格納部802、状況データ格納部803、データ管理部804、判定基準パラメータ格納部805等としての機能を発揮する。
【0037】
データ受信部801は、車両Vの挙動や周囲状況等に関するデータである前記状況データを一定のサンプリングタイムで時系列的に次々と受信するものであり、その受信した状況データを、内部メモリ82内の所定領域に設定したテンポラリデータ格納部802に次々書き込んでいく。なお、このテンポラリデータ格納部802の容量が一杯になると、古いデータから順次消されて、そこに新しい状況データが書き込まれる。
【0038】
データ管理部804は、前記テンポラリデータ格納部802に格納されている状況データの内容が所定条件を満たすかどうかを判断し、その所定条件を満たす場合にのみ、その前後一定期間に亘る車両状況データを、前記テンポラリデータ格納部802から、内部メモリ又は/及び着脱式記録手段の所定領域に設けられた状況データ格納部803に移送するものである。
【0039】
ここで、所定条件を満たすかどうかの判断には、各状況データに対応して設けられた判断基準パラメータが用いられる。この判断基準パラメータは、内部メモリの所定領域に設けた判定基準パラメータ格納部805に予め格納されている。
【0040】
そして、各状況データの値(内容)を、判断基準パラメータにしたがって、例えば2値化する。具体的には、加速度(減速度)が、所定の判断基準値を上回っているか否か、加速度が一定期間以上続いているか否か、ドアが開いているか否か、バッテリからの電力供給がなされているか否か、車速が所定上限速度以上か否か、車速が所定下限速度以下か否か、ブレーキの有無、などを全て2値化する。
【0041】
その後、それらにAND/OR等の論理演算を施した結果から、所定条件を満たすか否かを判断するわけであるが、状況データの種類や内容によっては、2以上の状況データの内容を合わせて複合的に判断されるものと、単一の状況データの内容のみで所定条件かどうかを判断するものとがある。例えば、この実施形態では、バッテリからの電力供給がなされていなければ、その単一の事象をもって直ちに所定条件を満たしていると判断するし、ドアが開いていても、同様にその単一の事象をもって直ちに所定条件を満たしていると判断する。一方、加速度について言えば、所定の判断基準値を上回り、かつそれが一定期間以上続くという2つの事象が満たされて初めて所定条件を満たしていると判断する。
【0042】
なお、この実施形態では、所定条件を満たしたと判断した場合(ヒヤリハットや事故等であったと判断した場合)に、その旨を報知手段4による光や音でドライバに報知し、その判断が正しいかどうかを、例えば前記ボタンスイッチ5のON/OFFによるドライバからの入力データ(これも状況データのひとつである)で確認するようにしている。ドライバは報知手段4による報知がないときでも、自主的にボタンスイッチ5を押してヒヤリハットや事故等であると入力することもできる。
【0043】
そしてドライバがヒヤリハットや事故等であると判断して、ボタンスイッチ5を押し、その旨を示す入力データを受信した場合に初めて、テンポラリデータ格納部802から状況データ格納部803に一定期間の状況データを移送するようにしている。なお、テンポラリデータ格納部802と状況データ格納部803との違いを挙げておけば、前者が状況データの内容に拘わらず単にそれらを一時的に格納しているものであるのに対し、後者は状況データを基本的には書き換えず、登録的に格納しているものである点であり、書き換える場合は、他の記録手段(例えば着脱式記録手段7)に状況データを移した後ということになる。
【0044】
また、この実施形態では、前記データ管理部804が、所定条件の内容を学習して更新する学習機能や、状況データ格納部803に格納されている状況データを、状況の種類や重要度に応じて分類する分類機能や、状況データを通信手段6を介してセンタコンピュータ(図示しない)に自動無線送信する自動無線送信機能を更に有している。
【0045】
学習機能とは、前記所定条件が満たされたと判断した場合と、ドライバからの正否入力が食い違っていた場合に、これをフィードバックすることで、ドライバの運転傾向を把握し、所定条件を更新する機能のことであり、具体的には、判断基準パラメータの値やAND/OR等の論理演算式を更新する。例えば、急ブレーキがちなドライバであれば、この学習機能によって、加速度に係る判断基準パラメータの値が、デフォルト値よりも徐々に高くなり、通常ならヒヤリハットと判断される状況が、通常運転とみなされるようになって、無駄なデータの蓄積が排除される。
【0046】
データ分類機能とは、記録されるべき一定期間に亘る状況データを、その記録時の内容から重み付けし、状況データ格納部803に設けた、例えば最重要、重要、普通といった記録重要度に応じたフォルダ(区分)に分類して整理格納する機能のことである。一例を挙げれば、ブレーキなく車両Vが急停止した場合であれば、事故の蓋然性が極めて高いとして、その前後一定期間の状況データを、例えば最重要というフォルダに記録する。またドライバが自主的にボタンスイッチ5による入力を行った場合も最重要というフォルダに記録する。その他、たとえば、一定以上の加速度が一定期間以上続き、その後、ドア等の開閉無く運転が再開されれば、ヒヤリハットの蓋然性があるとして、その前後の状況データを例えば重要フォルダに記録する。
【0047】
なお、状況データ格納部803の容量が一杯になった場合などでは、新たな状況データよりも重要度の低いものを自動的に削除して、その代わりに当該新たな状況データを記録するように構成している。
【0048】
自動無線送信機能は、例えばタクシーやバスなどで特に有効に用いられる。すなわち、配車センタなどの特定場所に車両Vがあるときに、その配車センタにあるセンタコンピュータに対して、無線回線が自動または手動で開き、状況データ格納部803にある状況データを、通信手段6を介して、車両V又はドライバの識別子と関連づけて送信する機能である。
【0049】
このように構成した本実施形態に係るドライビングレコーダ1によれば、事故やヒヤリハットと思われる場合を、各状況データが示す複数の内容から複合的に判断するようにして、そのときのみ、その前後一定期間に亘る一連の状況データを正式に格納(記録とも言う)するようにしているので、全ての状況データを格納するものや、状況データのうちの単一の内容のみから判断するものに比べ、無駄な状況データを的確に省くことができ、メモリの効率的な利用が可能になる。また、無駄なデータが省かれているので、事後分析が容易になる。
【0050】
さらに、事故やヒヤリハット時の運転傾向を、ドライバの特性に応じて個別に学習し、それに応じて判断の基準となる所定条件データを更新していくため、この所定条件データを一律に設定したものと比べ、無駄な状況データを排除し、かつ事故やヒヤリハット時の状況データを取りこぼし無く、取得することができる。
【0051】
加えて、自動無線送信機能によって、特定場所に車両Vがあるときに状況データ格納部803内の状況データが、自動的に別のセンタコンピュータに送信され、保存されるので、着脱式記録手段7の抜き忘れによる状況データの逸失を防止できるし、場合によっては着脱式記録手段7そのものを不要にすることも可能になる。
【0052】
また、状況データが、状況データが、データ分類機能によって、重要度に応じて自動的に分類され、状況データ格納部803に格納されるので、その分類された状態で状況データを例えばセンタコンピュータに送信して解析することにより、事後分析を極めて円滑に行うことができる。さらに、仮に状況データ格納部803の容量が一杯になった場合でも、重要度の高い状況データから残るので、メモリを有効に使用できる。
【0053】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。例えば、ドライビングレコーダが取得する状況データには、ブレーキを踏んだ時間、長さ、回数等のブレーキ情報や、ウィンカーの作動情報等が含まれていてもよい。
【0054】
また、状況データ格納部は、状況データを重要度に従い分類せずに、単純に時系列に従い状況データを格納するものでもよい。
【0055】
その他、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の一実施形態に係るドライビングレコーダを自動車に取り付けた場合を示す模式的正面図。
【図2】同実施形態におけるドライビングレコーダの車内側から見た場合の斜視図。
【図3】同実施形態におけるドライビングレコーダの車外側から見た場合の斜視図。
【図4】同実施形態におけるドライビングレコーダの模式的構成図。
【図5】同実施形態における情報処理手段の機能ブロック図。
【符号の説明】
【0057】
1・・・ドライビングレコーダ
801・・・データ受信部
802・・・テンポラリデータ格納部
803・・・状況データ格納部
804・・・データ管理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の挙動や周囲状況、操作状況等を示すデータである状況データを受信し、その状況データを、メモリの所定領域に設定したテンポラリデータ格納部に一時的に格納する状況データ受信部と、
車両に作用する加速度を検知し、その加速度を示す加速度データを前記状況データの1つとして出力する加速度センサと、
前記加速度のピーク値及びその時間積分値に関する値を算出し、それら各算出値の少なくとも一方が、予め定めた基準値を超える場合に、前記加速度が作用した前後一定期間に亘る一部又は全部の状況データを、前記テンポラリデータ格納部から、メモリの所定領域に設定した状況データ格納部に移送するデータ管理部と、を備えている車両搭載型ドライビングレコーダ。
【請求項2】
車両とは別の場所に設けられたセンタコンピュータに対し、車両が無線通信可能な特定場所にある時に、前記状況データ格納部内の状況データを、無線送信する通信手段をさらに備えている請求項1記載の車両搭載型ドライビングレコーダ。
【請求項3】
状況データとして、車両の位置を示す位置データ及び車両の外部映像を示す動画データを少なくとも含む請求項1又は2記載の車両搭載型ドライビングレコーダ。
【請求項4】
状況データとして、車両の速度を示す速度データ、車両のブレーキが作用しているか否かを示すブレーキデータ、ドアが開閉しているか否かを示すドア開閉データ、車両側電源から電力が供給されているか否かを示す主電源状態データの少なくとも1つ又は全部をさらに含む請求項3記載の車両搭載型ドライビングレコーダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−204241(P2011−204241A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−87082(P2011−87082)
【出願日】平成23年4月11日(2011.4.11)
【分割の表示】特願2005−194461(P2005−194461)の分割
【原出願日】平成17年7月1日(2005.7.1)
【出願人】(000155023)株式会社堀場製作所 (638)
【Fターム(参考)】