説明

ドラムアセンブリ及び該ドラムアセンブリを備える画像形成装置

【課題】感光体ドラムの偏摩耗が防止された長寿命のドラムアセンブリ及び当該ドラムアセンブリを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】ドラムアセンブリのドラムクリーニングユニットは、感光体ドラム50の画像形成領域に摺接する形成領域摺接部及び画像非形成領域に摺接する非形成領域摺接部を有するクリーニングブレード82と、クリーニングブレード82の非形成領域摺接部の近傍にそれぞれ配置されるとともに感光体ドラム50の回転軸の軸線方向では相互に離間し、非形成領域部と協働してクリーニングブレード82によって感光体ドラム50から掻き落とされたトナー粒子を一時的に貯留する貯留部をそれぞれ形成する少なくとも2つの溜め部材88とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を利用した、複写機、プリンタ、ファクシミリ、及び、これらの機能を複数有する複合機等の画像形成装置に係わり、より詳しくは、画像形成装置に適用されるドラムアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を用いる画像形成装置はドラムアセンブリを備え、ドラムアセンブリは、感光体ドラム、帯電ユニット、露光ユニット、現像ユニット及びクリーニングユニットを有する。
この種の画像形成装置では、帯電ユニットの帯電ローラが感光体ドラムを予め帯電させてから、露光ユニットが感光体ドラムに所望のパターンにて光を照射する。これにより感光体ドラムには、静電潜像が形成される。そして、現像ユニットの現像ローラがトナー粒子を感光体ドラムに付与し、トナー粒子が静電潜像に付着してトナー像が形成される。トナー像は直接若しくは転写ベルトを介して間接に用紙に転写され、そして定着させられる。
【0003】
複数のトナー像を用紙に順次転写するためには、1回転写する度に、感光体ドラムを清掃し、残留したトナーを感光体ドラムから除去する必要がある。
また、劣化したトナー粒子を排出するために、現像ユニットは劣化したトナー粒子を感光体ドラムに吐出することがある。劣化したトナー粒子は、用紙に転写されずに感光体ドラムから除去される。
【0004】
そのために、ドラムクリーニングユニットが感光体ドラムの近傍に設けられる。具体的には、ドラムクリーニングユニットはクリーニングブレードを有し、クリーニングブレードは、感光体ドラムの回転方向でみて用紙若しくは転写ベルトとの転写位置の下流側に位置している。クリーニングブレードのエッジが感光体ドラムの表面に摺接することによって、不要のトナー粒子が感光体ドラムから掻き落とされる。
【0005】
上記した構成において、各部材の寸法には以下のような相対的な関係がある。
用紙幅<現像ローラ幅<帯電ローラ幅<クリーニングブレード幅<感光体ドラム幅
用紙幅よりも現像ローラ幅が大であるのは、用紙の端までトナー像を形成するためであり、現像ローラ幅よりも帯電ローラ幅が大であるのは、帯電ローラ幅が現像ローラ幅よりも小であると、用紙の両端にトナー粒子が付着してしまうからである。また、帯電ローラ幅よりもクリーニングブレード幅が大であるのは、帯電ローラを汚さないためである。
かかる構成では、感光体ドラムには、現像ローラからトナー粒子が供給されてトナー像が形成される画像形成領域と、画像形成領域の両側に連なる画像非形成領域とが存在する。
【0006】
また、上記した構成において、その表面に研磨剤粒子が付着させられたトナー粒子が用いられることがある。これは以下の理由による。
感光体ドラムの表面には、紙粉や填料等の紙由来成分や、帯電で発生する硝酸塩などの放電生成物が付着する。これら付着物は、帯電ユニットにより感光体ドラムを一様に帯電させることを阻害し、ひいては画像品質を低下させる。
そこで、紙粉や放電生成物のような付着物を掻き落とすべく、特に有機感光体(OPC)からなる感光体ドラムを用いた場合、研磨剤粒子によって感光体ドラムの表面を研磨することが行われている。研磨剤粒子としては、例えば、酸化チタンやアルミナ等からなる粒子が用いられる(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
また、感光体ドラムとクリーニングブレードの摺動による微振動に起因する異常音の抑制等を目的として、トナー粒子に、外添剤としてステアリン酸亜鉛等の潤滑剤を添加することも行われている。そしてこの場合、クリーニングブレードのエッジに潤滑剤を溜めるために、クリーニングブレードの近傍にトナー溜め部材を配置することも行われている(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
なお従来、帯電ユニットとしては、コロナ帯電ユニットが用いられてきたが、コロナ帯電ユニットはオゾンを多量に生成するため、近年では、帯電ローラ等を用いた接触帯電方式が広く採用されている。接触帯電方式では、感光体ドラムに導電性ゴムローラやブラシなどの帯電部材を接触させ、帯電部材と感光体ドラムとの間に電圧を印加することで感光体ドラムを一様に帯電させる。接触帯電方式を採用した場合、コロナ帯電ユニットと比較し、帯電に必要な電流量が格段に少なく、オゾンの発生量を非常に少なくすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−167375号公報
【特許文献2】特開2005−309404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述したように、研磨剤粒子は、トナー粒子の表面に付着した状態で感光体ドラムの表面に供給される。そして、転写ベルトに転写されずに、感光体ドラム上に残った研磨剤粒子付のトナー粒子は、感光体ドラムに摺接するクリーニングブレードのエッジに堆積する。
クリーニングブレードは、感光体ドラムの画像形成領域に摺接する形成領域摺接部と、感光体ドラムの画像非形成領域に摺接する非形成領域摺接部とに大別されるが、非形成領域摺接部のエッジに堆積する研磨剤粒子の量は、形成領域摺接部のエッジに堆積する研磨剤粒子よりも顕著に多くなる。これは以下の理由による。
【0011】
現像ユニットからは、感光体ドラムの画像非形成領域にもトナー粒子が移動するが、画像非形成領域は帯電しているため、画像非形成領域に移動したトナー粒子のほとんどは現像ユニットに戻る。この際、移動したトナー粒子の一部から研磨剤粒子が脱離し、研磨剤粒子のみ感光体ドラムの画像非形成領域表面に取り残される。このため、画像非形成領域に摺接するクリーニングブレードの非形成領域摺接部のエッジでは、研磨剤粒子の堆積量が多くなる。
【0012】
このように研磨剤粒子の堆積量が多くなることで、感光体ドラムの画像非形成領域は、画像形成領域に比べて早期に摩耗してしまう。すなわち、感光体ドラムでは偏摩耗が発生する。偏摩耗は、感度や耐圧の低下を招いて感光体ドラムの寿命を短くし、ドラムアセンブリ及び画像形成装置の維持費の抑制や省資源化の障害となる。
【0013】
なお、画像形成装置には、用紙に転写されるべきトナー像を形成する画像形成モードとは別に、現像ユニット中の不要のトナー粒子を吐き出すリフレッシュモードを実行するものがある。リフレッシュモードでは、多量のトナー粒子がドラムクリーニングユニットによって回収され、トナー粒子に押し流されることによって、クリーニングブレードの非形成領域摺接部のエッジにおける研磨剤粒子の堆積量が一時的に減少する。
しかしながら、リフレッシュモードによる研磨剤粒子の堆積量の減少は一時的であり、またすぐに非形成領域摺接部のエッジにおける研磨剤粒子の堆積量が増大してしまう。
【0014】
そこで、クリーニングブレードのエッジにトナー粒子を溜めておき、研磨剤粒子がエッジに溜まることを抑制することが考えられる。そのために、例えば、特許文献1が開示するように、トナー溜め形成部材をクリーニングブレードに沿って配置することが考えられる。
しかしながら、形成領域摺接部のエッジでは、非形成領域摺接部のエッジに比べて研磨剤粒子の堆積量が少なく、トナー粒子が溜まると、感光体ドラムを研磨する機能が低下してしまう。この結果、得られる画像の画質が低下してしまう。
【0015】
また、トナー溜め部材によって、非形成領域摺接部のエッジにトナー粒子を一時的に溜めたとしても、トナー粒子と研磨剤粒子の粒径等の違いに基づいて、非形成領域摺接部のエッジにおける研磨剤粒子の割合が徐々に高くなってしまう。この結果として、やはり偏摩耗が発生してしまう。
【0016】
一方、クリーニングブレードの非形成領域摺接部のエッジにおいて研磨剤粒子の堆積量が多くなると、非形成領域摺接部のエッジと感光体ドラムとの隙間をすり抜けた研磨剤粒子が転写ベルトに継続的に供給され、転写ベルトの幅方向両側部分にも多量の研磨剤粒子が付着する、いわゆる白化現象が生じる。白化現象が生じると、転写ベルトによっても感光体ドラムの画像非形成領域が研磨され、感光体ドラムの偏摩耗が更に進行してしまう。
【0017】
また、感光体ドラムの偏摩耗は、接触帯電方式を採用した場合により顕著になる。これは以下の理由による。
接触帯電方式では、感光体ドラムと帯電ローラとの間で放電が生じるため、感光体ドラムに衝突するイオンのエネルギが高く、感光体ドラムの表面が劣化し易い。そして、劣化した感光体ドラムの表面は摩耗し易く、研磨剤粒子を介しながらクリーニングブレードや転写ベルトなどの部材と接触することによって早期に摩耗してしまう。
【0018】
本発明は上述した事情に鑑みてなされ、その目的とするところは、感光体ドラムの偏摩耗が防止された長寿命のドラムアセンブリ及び当該ドラムアセンブリを備えた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するため、本発明の一態様によれば、回転軸、用紙に転写されるべきトナー像が形成される画像形成領域、及び、前記回転軸の軸線方向でみて前記画像形成領域の両側に連なる画像非形成領域を有する感光体ドラムと、前記感光体ドラムを帯電させる帯電ユニットと、前記感光体ドラムに対し現像剤に含まれるトナー粒子を付与する現像ユニットと、前記感光体ドラムから不要のトナー粒子を除去するドラムクリーニングユニットとを備える画像形成装置のドラムアセンブリにおいて、前記ドラムクリーニングユニットは、前記画像形成領域に摺接する形成領域摺接部及び前記画像非形成領域に摺接する非形成領域摺接部を有するクリーニングブレードと、前記クリーニングブレードの前記非形成領域摺接部の近傍にそれぞれ配置されるとともに前記回転軸の軸線方向では相互に離間し、前記非形成領域部と協働して前記クリーニングブレードによって前記感光体ドラムから掻き落とされた前記トナー粒子を一時的に貯留する貯留部をそれぞれ形成する少なくとも2つの溜め部材とを含むことを特徴する画像形成装置のドラムアセンブリが提供される(請求項1)。
【0020】
請求項1のドラムアセンブリでは、2つの溜め部材が、クリーニングブレードとの間に貯留部をそれぞれ形成する。貯留部にトナー粒子が貯留されることによって、感光体ドラムの画像非形成領域とクリーニングブレードとの摺動が緩和され、クリーニングブレード若しくは感光体ドラムの偏摩耗や振動の発生が抑制される。そして、偏摩耗が抑制されてクリーニングブレードや感光体ドラムの寿命が長くなることで、クリーニングブレードや感光体ドラムの交換頻度が減少し、ドラムアセンブリの維持費が安価になる。
【0021】
好ましくは、前記現像剤は研磨剤粒子を含む(請求項2)。
請求項2のドラムアセンブリでは、現像剤に含まれる研磨剤粒子によって、感光体ドラム上の紙由来成分や放電生成物等の付着物が掻き落とされ、画質の低下が抑制される。
また、溜め部材によって形成される貯留部にトナー粒子が貯留されるので、研磨剤粒子によって感光体ドラムの画像非形成領域が摩耗することが抑制される。
【0022】
そして、2つの溜め部材同士は離間しており、貯留部に貯留されているトナー粒子や研磨剤粒子は、貯留部から容易に流出する。このため、貯留部における研磨剤粒子の割合が高くなることが防止され、長期に渡り、研磨剤粒子によって感光体ドラムの画像非形成領域が摩耗することが抑制される。
また、2つの溜め部材は相互に離間しており、クリーニングブレードの形成領域摺接部のエッジに堆積した研磨剤粒子による感光体ドラムの画像形成領域の研磨が、貯留部に貯留されたトナー粒子によって阻害されることはない。
【0023】
好ましくは、前記現像剤は、前記研磨剤粒子として、酸化チタン、酸化アルミニウム、及び、酸化珪素からなる群から選択される一種以上の粒子を含む(請求項3)。
【0024】
請求項3のドラムアセンブリでは、現像剤が、研磨剤粒子として、酸化チタン、酸化アルミニウム、及び、酸化珪素からなる粒子のうち何れかを含むので、感光体ドラムが確実に研磨され、画質の低下が防止される。
【0025】
好ましくは、前記帯電ユニットは前記感光体ドラムに接触する帯電部材を含む(請求項4)。
【0026】
請求項4のドラムアセンブリは、帯電ユニットが感光体ドラムに接触する帯電部材を有し、接触帯電方式を採用しているので、オゾンの発生量が少なく、環境に優しい。
【0027】
好ましくは、前記感光体ローラの画像形成領域及び画像非形成領域は有機感光体材料からなる(請求項5)。
【0028】
請求項5のドラムアセンブリは、感光体ドラムの画像形成領域及び画像非形成領域が有機感光体材料からなり、汎用性が高く且つ安価である。
【0029】
好ましくは、前記溜め部材の上縁は、前記回転軸に平行な平行部と、前記回転軸の軸線方向でみて前記感光体ドラムの回転軸の中央側にて前記平行部に対し斜め下がりに連なる傾斜部とを含む(請求項6)。
【0030】
請求項6のドラムアセンブリでは、溜め部材の上縁に傾斜部を設けたことで、貯留部に貯留されているトナー粒子等が更に流出し易い。このため、特に現像剤が研磨剤粒子を含んでいるときには、貯留部における研磨剤粒子の貯留量が増大することが抑制され、感光体ドラムの偏摩耗が確実に抑制される。
【0031】
好ましくは、前記ドラムクリーニングユニットは、前記回転軸の軸線方向でみて前記クリーニングブレードの両端に接して設けられたシール部材を更に含み、前記回転軸の軸線方向でみて、前記シール部材と前記溜め部材との間には隙間が設けられている(請求項7)。
【0032】
請求項7のドラムアセンブリでは、溜め部材とシール部材との間に隙間を設けたことで、貯留部に貯留されているトナー粒子等が更に流出し易い。このため、特に現像剤が研磨剤粒子を含んでいるときには、貯留部における研磨剤粒子の貯留量が増大することが抑制され、感光体ドラムの偏摩耗が確実に抑制される。
【0033】
また、上記した目的を達成するために、本発明の他の態様によれば、請求項1乃至7の何れか一項に記載の画像形成装置のドラムアセンブリを備えることを特徴とする画像形成装置が提供される(請求項8)。
【0034】
請求項8の画像形成装置においては、感光体ドラムが長寿命であるので、維持費が削減される。
【0035】
好ましくは、前記ドラムアセンブリを制御する制御ユニットを備え、前記制御ユニットは、用紙に転写されるべきトナー像を形成するための画像形成モード及び前記現像ユニット中の不要のトナー粒子のみを前記感光体ドラムに付与するリフレッシュモードを少なくとも含む複数の動作モードのうちから選択された一つの動作モードを択一的に前記ドラムアセンブリに実行させる(請求項9)。
【0036】
請求項9の画像形成装置によれば、リフレッシュモードによって、トナー粒子がクリーニングブレードのエッジに多量に供給され、研磨剤粒子がクリーニングブレードの非形成領域摺接部のエッジに堆積していたとしても、堆積している研磨剤粒子が押し流される。このため、この画像形成装置は、感光体ドラムがより一層長寿命であり、更に維持費が削減される。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、感光体ドラムの偏摩耗が防止された長寿命のドラムアセンブリ及び当該ドラムアセンブリを備えた画像形成装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施形態のプリンタの概略構成図である。
【図2】図1のプリンタに適用されたドラムアセンブリを転写ベルトとともに示す概略的な断面図である。
【図3】図2のIII−III線に沿うドラムクリーニングユニットの断面を感光体ドラムとともに示す図である。
【図4】クリーニングブレード、ブラケット及び溜め部材を感光体ドラムとともに概略的に示す斜視図である。
【図5】図1のプリンタに適用された制御システムの概略的なブロック図である。
【図6】図1のプリンタにおける、感光体ドラムの長手方向位置と感光層の厚さとの関係を、初期及び耐久試験後について示すグラフである。
【図7】比較例のプリンタにおける、感光体ドラムの長手方向位置と感光層の厚さとの関係を、初期及び耐久試験後について示すグラフである。
【図8】変形例の溜め部材を適用したドラムクリーニングユニットの断面を感光体ドラムとともに示す、図3に対応する図である。
【図9】クリーニングブレード、ブラケット及び変形例の溜め部材を感光体ドラムとともに概略的に示す斜視図である。
【図10】変形例の溜め部材を適用した図1のプリンタにおける、感光体ドラムの長手方向位置と感光層の厚さとの関係を、初期及び耐久試験後について示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の一実施形態に係る画像形成装置として、カラー印刷可能なプリンタ10について図面を参照して説明する。
図1は、プリンタ10の構造を概略的に示している。プリンタ10の上部には排紙トレイ12が設けられ、プリンタ10の下部には給紙カセット14が引き出し可能に挿入される。給紙カセット14内には、印刷に供される用紙Pが収納される。
【0040】
プリンタ10の内部には、給紙カセット14から排紙トレイ12に渡る搬送経路16が形成されている。搬送経路16に沿って、上流側から順に、ピックアップローラ17、給紙ローラ対18、搬送ローラ対20、レジストローラ対22、二次転写ローラ24、定着ローラ対26及び排出ローラ対28が配置されている。
【0041】
二次転写ローラ24は、駆動ローラ30とともに無端形状の転写ベルト32を部分的に挟み、二次転写ローラ24及び駆動ローラ30は、転写ベルト32上のトナー像を用紙Pに転写するための転写ニップ部を形成している。
【0042】
転写ベルト32は、駆動ローラ30から離間して配置された従動ローラ34にも架け回されている。従動ローラ34の近傍には、ベルトクリーングユニット36が配置され、ベルトクリーニングユニット36は、転写ベルト32に摺接するファーブラシ(回転ブラシ)38を有する。
【0043】
ファーブラシ38は、転写ベルト32の表面から不要のトナー粒子を掻き落とし、掻き落とされたトナー粒子は、ベルトクリーニングユニット36のハウジング40内に一時的に貯留される。そして、貯留されたトナー粒子は、スクリューポンプ42によってハウジング40から排出される。
【0044】
駆動ローラ30と従動ローラ34との間を延びる転写ベルト32の部分に沿って、4つのドラムアセンブリ44M,44Y,44C,44Bが配置されている。なお、4つのドラムアセンブリ44M,44Y,44C,44Bは、使用する現像剤の色においてこそ、マゼンタ、イエロー、シアン又はブラックと異なるけれども、構成においては相互に同一である。このため、以下ではドラムアセンブリ44M,44Y,44C,44Bを区別せずに、単にドラムアセンブリ44ともいう。
【0045】
ドラムアセンブリ44にトナー粒子をそれぞれ供給する4つのトナーコンテナは、図示しないけれども、ドラムアセンブリ44及び転写ベルト32の上方、すなわちプリンタ10の上部に収容されている。一方、ドラムアセンブリ44の下方には、ドラムアセンブリ44において静電潜像を形成するための露光ユニットとして、レーザ走査ユニット46が配置されている。
【0046】
なお、現像剤は、例えば2成分系現像剤であり、正帯電性のトナー粒子と、磁性を有するキャリアとを含む。好ましくは、現像剤は、研磨剤粒子を更に含み、研磨剤粒子はトナー粒子の表面に付着した状態で使用される。研磨剤粒子としては、酸化チタン、酸化アルミニウム(アルミナ)、及び、酸化珪素(シリカ)の粒子のうちから選択された何れか一種又は二種以上を用いるのが好ましい。
【0047】
図2は、一つのドラムアセンブリ44を転写ベルト32の一部とともに拡大して示している。
ドラムアセンブリ44は、転写ベルト32の外面に摺接する感光体ドラム50を有する。感光体ドラム50は回転自在に設置され、図2でみて反時計回りに回転させられる。感光体ドラム50は、その表面に有機感光体(OPC)からなる感光層52を有する、いわゆるOPCドラムである。
【0048】
感光体ドラム50の周囲には、除電器54、帯電ユニット56、現像ユニット58、一次転写ローラ60、及び、ドラムクリーニングユニット62が配置されている。
除電器54は、例えばLEDからなり、感光体ドラム50の所定の周方向位置に光を照射する。除電器54の光が照射された感光層52の部分は除電される。
【0049】
帯電ユニット56は、好ましくは接触帯電方式であり、帯電ローラ64及びクリーニングローラ66を有する。帯電ローラ64は感光体ドラム50に接触しており、帯電ローラ64と感光体ドラム50との間に電圧を印加することによって、感光層52が帯電させられる。クリーニングローラ66は表面にブラシを有し、ブラシは帯電ローラ64の表面を摺擦することによりクリーニングする。
帯電ローラ64が感光体ドラム50に接触する位置は、感光体ドラム50の回転方向でみて、除電器54が光を照射する周方向位置よりも下流に位置している。帯電ローラ64が接触した感光層52の部分は一様に帯電させられる。
【0050】
帯電ローラ64が接触する周方向位置よりも下流にて、感光層52には、レーザ走査ユニット46から所望のパターンにてレーザ光が照射される。レーザ光によって、感光層52には静電潜像が形成される。
【0051】
現像ユニット58は、図2でみて感光体ドラム50の右方に配置されている。
現像ユニット58のハウジング68の下部には、攪拌スクリュー70及びパドルスクリュー72が配置され、攪拌スクリュー70とパドルスクリュー72との間は、仕切り板74によって部分的に仕切られている。
パドルスクリュー72の斜め上方には供給ローラ76が配置され、更に、供給ローラ76の斜め上方には現像ローラ78が配置されている。現像ローラ78は、図2でみて時計回りに回転させられる。
【0052】
トナーコンテナのトナー粒子は、ハウジング68の下部の攪拌スクリュー70側に供給される。供給されたトナー粒子は、ハウジング68内の現像剤と攪拌スクリュー70によって攪拌・混合されてから、パドルスクリュー72によって供給ローラ76の近傍に搬送される。
供給ローラ76は磁性部材を内包しており、搬送された現像剤は供給ローラ76に付着して磁気ブラシを形成する。磁気ブラシを形成している現像剤中のトナー粒子は、供給ローラ76と現像ローラ78との間の電位差によって現像ローラ78に供給され、現像ローラ78の表面に、トナー粒子からなる薄層が形成される。
【0053】
現像ローラ78は、レーザ走査ユニット46からレーザ光が照射される周方向位置よりも下流にて、感光体ドラム50の近傍に配置されている。現像ローラ78上のトナー粒子の薄層が感光層52上に移行することによって、感光層52の静電潜像が現像され、トナー像が形成される。
【0054】
図2でみて感光体ドラム50の上部には、転写ベルト32が接しており、転写ベルト32の上には、一次転写ローラ60が配置されている。感光体ドラム50は、現像ローラ78からトナー粒子を受け取る位置よりも下流にて、一次転写ローラ60と協働して転写ベルト32を挟んでおり、一次転写ローラ60にトナー粒子とは逆極性の電圧(一次転写バイアス)を印加することによって、感光層52上のトナー像が転写ベルト32に転写される。
【0055】
転写ベルト32には、画像形成ユニット44M,44C,44Y,44Bから各色のトナー像が順次転写される。
図1を参照すると、転写ベルト32に転写されたトナー像は、二次転写ローラ24にトナー粒子と逆極性の電圧を印加することによって、転写ニップ部にて用紙Pに転写される。
【0056】
用紙Pに転写されたトナー像は、定着ローラ26にて加熱されることにより用紙Pに定着させられ、これにより用紙Pへの印刷が完了する。そして、印刷が施された用紙Pは、そのまま排紙トレイ12に排出される。
【0057】
再び図2を参照すると、ドラムクリーニングユニット62は、感光体ドラム50の近傍に配置され、現像ユニット58とは反対側に位置している。
ドラムクリーニングユニット62はハウジング80を有し、ハウジング80には、感光体ドラム50に向けて開口した開口部が形成されている。ドラムクリーニングユニット62は、例えばポリウレタンゴム製のクリーニングブレード82を有し、クリーニングブレード82は、感光体ドラム50の回転軸の軸線方向に平行な長方形の板形状を有する。クリーニングブレード82の上縁(エッジ)は感光体ドラム50に摺接し、感光体ドラム50から不要のトナー粒子等を掻き落とす。
【0058】
より詳しくは、クリーニングブレード82の上縁はカウンタ方向にて感光体ドラム50に摺接し、クリーニングブレード82の上縁が感光体ドラム50に摺接する位置は、感光体ドラム50の回転方向でみて、感光体ドラム50が転写ベルト32と接する位置よりも下流である。
クリーニングブレード82は、例えば、自身の短辺が略垂直になるように配置され、クリーニングブレード82の下縁側が、ブラケット84に対して例えば熱溶着によって固定されている。ブラケット84は、例えば、亜鉛鋼板からなり、L字形状の断面形状を有する。ブラケット84は、ハウジング80の開口部の下側部分を塞ぐようにハウジング80に固定され、ブラケット84を介して、クリーニングブレード82はハウジング80によって支持されている。
【0059】
また、ハウジング80の下部にはスクリューポンプ86が設けられており、ハウジング80の下部に溜まったトナー粒子は、スクリューポンプ86によってハウジング80の外に排出され、廃棄される。
【0060】
更に、ドラムクリーニングユニット62は、2つの溜め部材88を有する。図2、図3及び図4を参照すると、溜め部材88は長方形の板形状をそれぞれ有する。溜め部材88は、例えばPETからなり、溜め部材88の下縁側がブラケット84に接着・固定されている。従って、溜め部材88は、クリーニングブレード82に対し、ブラケット84の厚さに対応する隙間を存して平行に配置され、且つ、感光体ドラム50とは反対側に位置している。換言すれば、溜め部材88は、感光体ドラム50に対し、感光体ドラム50の径方向でみて、クリーニングブレード82よりも遠くに位置している。
なお、図3は、図2中のIII―III線に沿うクリーニングユニット62の概略的な断面を感光体ドラム50とともに示し、図4は、クリーニングブレード82、ブラケット84及び溜め部材88を感光体ドラム50とともに示す概略的な斜視図である。
【0061】
溜め部材88の上縁は、クリーニングブレード82の上縁よりも上方に位置し、溜め部材88は、クリーニングブレード82の一部と隙間を存して対向している。溜め部材88とクリーニングブレード82の隙間は上方に向けて開口しており、且つ、感光体ドラム50の回転軸の軸線方向でみて両側に向けて開口している。この隙間は、クリーニングブレード82によって掻き落とされたトナー粒子等を一時的に溜める貯留部90を構成しており、貯留部90に溜まったトナー粒子等は、隙間の開口から徐々に流出する。
【0062】
ここで、図3に示したように、感光体ドラム50の回転軸の軸線方向でみて、感光体ドラム50は、画像形成領域と、画像非形成領域とに大別される。画像形成領域は、用紙Pに転写されるべきトナー像が形成される領域であり、画像形成領域の幅は、用紙Pの幅に等しい。画像非形成領域は、画像形成領域の両側に連なり、感光体ドラム50の両端に位置している。
なお、用紙Pの幅に応じて画像形成領域の幅は変わるが、用紙Pの幅とは、プリンタ10で印刷可能な最大の用紙の幅、若しくは、プリンタ10で最も頻繁に使用される用紙の幅のことを指し、一般にはA4サイズの用紙の幅のことをさす。
【0063】
クリーニングブレード82は、感光体ドラム50の回転軸の軸線方向でみて、則ち、クリーニングブレード82の長手方向でみて、感光体ドラム50の画像形成領域に摺接する形成領域摺接部と、感光体ドラム50の画像非形成領域に摺接する非形成領域摺接部とに大別される。非形成領域摺接部は、形成領域摺接部に連なり、クリーニングブレード82の両端に位置している。
【0064】
溜め部材88は、クリーニングブレード82の非形成領域摺接部と対向するようにそれぞれ配置されている。
ここで、画像形成領域(用紙幅)<現像ローラ70の幅<帯電ローラ64の幅<クリーニングブレード82の幅であり、溜め部材88は、好ましい態様として、感光体ドラム50の回転軸の軸線方向でみて、画像形成領域よりも外側で且つ現像ローラ70の幅よりも内側にそれぞれ位置している。
そして、クリーニングブレード62の両端近傍には、例えばフェルト材からなるシール部材92が配置されているが、シール部材92と溜め部材88との間には、好ましい態様として隙間Gが設けられている。隙間Gは、例えば、1.0mm以上5.0mm以下の範囲内にあり、好ましくは、1.5mm以上2.5mm以下の範囲にある。
【0065】
図5は、プリンタ10における制御システムの構成を概略的に示すブロック図である。
プリンタ10は制御ユニット94を内蔵しており、制御ユニット94は、MPU(マイクロプロセッサ)、メモリ及び記憶装置等によって構成される。制御ユニット94には、通信ユニット96及び操作キー98が接続される。
【0066】
制御ユニット94は、記憶装置に格納されたプログラムを実行可能であり、プログラムに従って、通信ユニット96を介してパーソナルコンピュータから受信した命令や操作キー98による使用者からの命令に基づいて印刷等を実行する。
【0067】
具体的には、制御ユニット94は、搬送経路16に沿って設けられたローラ群、則ち、ピックアップローラ17、給紙ローラ対18、搬送ローラ対20、レジストローラ対22、二次転写ローラ24、定着ローラ対26、及び、排出ローラ対28の回転を制御するとともに、転写ベルト32の走行を制御する。
【0068】
また、制御ユニット94は、レーザ走査ユニット46の動作を制御するとともに、ドラムアセンブリ44、則ち、感光体ドラム50、帯電ユニット56、現像ユニット58、及び、一次転写ローラ60の動作を制御する。
【0069】
ここで、制御ユニット94が実行する制御のモードには、少なくとも画像形成モード及びリフレッシュモードの2つがある。
画像形成モードは、用紙Pに印刷を行うためのモードである。画像形成モードでは、制御ユニット94は、ドラムアセンブリ44全体を動作させ、感光体ドラム50上にトナー像を形成させ、形成されたトナー像を転写ベルト32を介して用紙Pに転写させる。
【0070】
一方、リフレッシュモードでは、制御ユニット94は、劣化したトナー粒子を所定量だけ現像ユニット58から感光体ドラム50に吐出させ、吐出されたトナー粒子をドラムクリーニングユニット62によって回収・排出させる。トナー粒子の吐出量は、例えば、過去の印字率に基づいて適宜設定される。
リフレッシュモードでは、用紙Pに転写されるべきトナー像は形成されないので、感光体ドラム50から転写ベルト32にトナー粒子が付着しないよう、一次転写ローラ60には逆バイアスが印加される。
なお、劣化したトナー粒子を所定量吐出した場合、トナー粒子の表面に付着した研磨剤粒子も一緒に吐出される。
【0071】
図6は、感光体ドラム50の回転軸の軸線方向位置(長手方向位置)と感光層52の厚さとの関係を、初期及び耐久試験後について示すグラフである。そして以下に、耐久試験の条件を示す。
実験機 : 京セラミタ株式会社製FS‐C5300DN改造機
環境温度 : 23℃
環境湿度 : 65%RH
用紙搬送速度 : 160mm/s
感光体ドラム : φ30mm
感光層 : 正帯電単層OPC(初期膜厚40μm)
帯電ローラ : φ12mm(エピクロルヒドリンゴム)
帯電印加電圧 : 1.2kVdc
除電器 : LED方式
感光層表面電位: +400V
印字枚数 : 20万枚
研磨剤粒子 : 酸化チタン(添加量0.5質量%)
溜め部材 : PETフィルム(厚さ100μm)
隙間G : 2mm
【0072】
また、図7は、溜め部材88を設けなかった以外はプリンタ10と同じ構成を有する比較例のプリンタにおける、感光体ドラムの長手方向位置と感光層の厚さとの関係を、初期及び耐久試験後について示すグラフである。
なお、耐久試験の条件は図6の場合と同じであるが、感光層の摩耗のため、印字枚数が17万枚になったところで耐久試験を中止した。
【0073】
図6と図7を比較すると、プリンタ10では、比較例のプリンタに比べて、感光体ドラム50の偏摩耗が抑制されていることがわかる。
【0074】
上述したドラムアセンブリ44では、2つの溜め部材88が、クリーニングブレード82との間に貯留部90をそれぞれ形成する。貯留部90にトナー粒子が貯留されることによって、感光体ドラム50の画像非形成領域とクリーニングブレード82との摺動が緩和され、クリーニングブレード82若しくは感光体ドラム50の偏摩耗や振動の発生が抑制される。そして、偏摩耗が抑制されてクリーニングブレード82や感光体ドラム50の寿命が長くなることで、クリーニングブレード82や感光体ドラム50の交換頻度が減少し、ドラムアセンブリ44の維持費が安価になる。
【0075】
上述したドラムアセンブリ44では、現像剤に含まれる研磨剤粒子によって、感光体ドラム50上の紙由来成分や放電生成物等の付着物が掻き落とされ、画質の低下が抑制される。
また、溜め部材88によって形成される貯留部90にトナー粒子が貯留されるので、研磨剤粒子によって感光体ドラム50の画像非形成領域が摩耗することが抑制される。
【0076】
そして、2つの溜め部材88同士は離間しており、貯留部90に貯留されているトナー粒子や研磨剤粒子は、貯留部90から容易に流出する。このため、貯留部90における研磨剤粒子の割合が時間の経過とともに徐々に高くなることが防止され、長期に渡り、研磨剤粒子によって感光体ドラム50の画像非形成領域が摩耗することが抑制される。
また、2つの溜め部材88は相互に離間しており、クリーニングブレード82の形成領域摺接部のエッジに堆積した研磨剤粒子による感光体ドラム50の画像形成領域の研磨が、貯留部90に貯留されたトナー粒子によって阻害されることはない。
【0077】
上述したドラムアセンブリ44では、現像剤が、研磨剤粒子として、酸化チタン、酸化アルミニウム、及び、酸化珪素からなる粒子のうち何れかを含むので、感光体ドラム50が確実に研磨され、画質の低下が防止される。
【0078】
上述したドラムアセンブリ44は、帯電ユニット56が帯電ローラ64を有し、接触帯電方式を採用しているので、オゾンの発生量が少なく、環境に優しい。
【0079】
上述したドラムアセンブリ44は、感光体ドラム50の画像形成領域及び画像非形成領域が有機感光体材料からなり、汎用性が高く且つ安価である。
【0080】
上述したドラムアセンブリ44では、溜め部材88とシール部材92との間に隙間Gを設けたことで、貯留部90に貯留されているトナー粒子等が更に流出し易い。このため、特に現像剤が研磨剤粒子を含んでいるときには、貯留部90における研磨剤粒子の貯留量が増大することが抑制され、感光体ドラム50の偏摩耗が確実に抑制される。
そして、上述したプリンタ10においては、感光体ドラム50が長寿命であるので、維持費が削減される。
【0081】
また、上述したプリンタ10によれば、リフレッシュモードによって、トナー粒子がクリーニングブレード82の上縁(エッジ)に多量に供給され、クリーニングブレード82の非形成領域摺接部のエッジに堆積している研磨剤粒子が押し流される。このため、このプリンタ10は、感光体ドラム50がより一層長寿命であり、更に維持費が削減される。
【0082】
本発明は、上述した一実施形態に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。
【0083】
例えば、上述した一実施形態では、溜め部材88は長方形形状を有していたが、溜め部材の形状は長方形に限定されることはない。図8及び図9は、好ましい形状を有する溜め部材100を示しており、溜め部材100は、上縁の一部が切り欠かれている。
より詳しくは、溜め部材100の上縁は、感光体ドラム50の回転軸の軸線と平行な平行部102と、平行部102に連なる斜め下がりの傾斜部104とからなる。傾斜部104は、平行部102に対し、感光体ドラム50の回転軸の軸線方向でみて中央側に連なっている。
【0084】
図10は、溜め部材100を適用したプリンタ10における、感光体ドラム50の長手方向位置と感光層52の厚さとの関係を、初期及び耐久試験後について示すグラフである。なお、耐久試験の条件は図6の場合と同じである。
図10から明らかなように、溜め部材100を用いた場合、溜め部材88を用いた場合よりも、更に感光体ドラム50の偏摩耗が抑制されている。これは以下の理由による。
【0085】
溜め部材100を用いた場合、溜め部材100の上縁に傾斜部104を設けたことで、貯留部90に貯留されているトナー粒子等が更に流出し易い。このため、特に現像剤が研磨剤粒子を含んでいるときには、貯留部90における研磨剤粒子の貯留量が増大することが抑制され、感光体ドラム50の偏摩耗が確実に抑制される。
【0086】
また、上述した一実施形態では、トナー像が感光体ドラム50から転写ベルト32に転写されているが、トナー像が、感光体ドラム50から用紙Pに直接転写されてもよい。
【0087】
更に、上述した一実施形態では、現像剤が好ましい態様として研磨剤粒子を含んでいたが、現像剤は研磨剤粒子を含んでいなくてもよい。この場合、貯留部90に貯留されたトナー粒子によって、クリーニングブレード82若しくは感光体ドラム50の偏摩耗や振動の発生が抑制される。
【0088】
また更に、上述した一実施形態では、画像形成装置としてプリンタ10に具現化した例を示しているが、本発明は、複合機、複写機又はファクシミリ等にも当然に適用可能である。
【0089】
以上、具体的な形態を挙げて本発明について説明したが、本発明はこれらの説明に何ら限定されるものではなく、異なる実施形態として記載した構成を適宜組み合わせて得られる構成も本発明の技術的範囲に含まれると共に、このようにして得られた構成に従来公知の技術を適宜組み合わせて得られる構成も、本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0090】
10 プリンタ(画像形成装置)
32 転写ベルト
44 ドラムアセンブリ
50 感光体ドラム
52 感光層
58 現像ユニット
62 ドラムクリーニングユニット
64 帯電ローラ
80 ハウジング
82 クリーニングブレード
88 溜め部材
92 シール部材
94 制御ユニット
100 溜め部材
102 平行部
104 傾斜部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸、用紙に転写されるべきトナー像が形成される画像形成領域、及び、前記回転軸の軸線方向でみて前記画像形成領域の両側に連なる画像非形成領域を有する感光体ドラムと、
前記感光体ドラムを帯電させる帯電ユニットと、
前記感光体ドラムに対し現像剤に含まれるトナー粒子を付与する現像ユニットと、
前記感光体ドラムから不要のトナー粒子を除去するドラムクリーニングユニットとを備える画像形成装置のドラムアセンブリにおいて、
前記ドラムクリーニングユニットは、
前記画像形成領域に摺接する形成領域摺接部及び前記画像非形成領域に摺接する非形成領域摺接部を有するクリーニングブレードと、
前記クリーニングブレードの前記非形成領域摺接部の近傍にそれぞれ配置されるとともに前記回転軸の軸線方向では相互に離間し、前記非形成領域部と協働して前記クリーニングブレードによって前記感光体ドラムから掻き落とされた前記トナー粒子を一時的に貯留する貯留部をそれぞれ形成する少なくとも2つの溜め部材とを含む
ことを特徴する画像形成装置のドラムアセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置のドラムアセンブリにおいて、
前記現像剤は研磨剤粒子を含む
ことを特徴とする画像形成装置のドラムアセンブリ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像形成装置のドラムアセンブリにおいて、
前記現像剤は、前記研磨剤粒子として、酸化チタン、酸化アルミニウム、及び、酸化珪素からなる群から選択される一種以上の粒子を含む
ことを特徴とする画像形成装置のドラムアセンブリ。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載の画像形成装置のドラムアセンブリにおいて、
前記帯電ユニットは前記感光体ドラムに接触する帯電部材を含む
ことを特徴とする画像形成装置のドラムアセンブリ。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一項に記載の画像形成装置のドラムアセンブリにおいて、
前記感光体ローラの画像形成領域及び画像非形成領域は有機感光体材料からなる
ことを特徴とする画像形成装置のドラムアセンブリ。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一項に記載の画像形成装置のドラムアセンブリにおいて、
前記溜め部材の上縁は、前記回転軸に平行な平行部と、前記回転軸の軸線方向でみて前記感光体ドラムの回転軸の中央側にて前記平行部に対し斜め下がりに連なる傾斜部とを含む
ことを特徴とする画像形成装置のドラムアセンブリ。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか一項に記載の画像形成装置のドラムアセンブリにおいて、
前記ドラムクリーニングユニットは、前記回転軸の軸線方向でみて前記クリーニングブレードの両端に接して設けられたシール部材を更に含み、
前記回転軸の軸線方向でみて、前記シール部材と前記溜め部材との間には隙間が設けられている
ことを特徴とする画像形成装置のドラムアセンブリ。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか一項に記載の画像形成装置のドラムアセンブリを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項8に記載の画像形成装置において、
前記ドラムアセンブリを制御する制御ユニットを備え、
前記制御ユニットは、
用紙に転写されるべきトナー像を形成するための画像形成モード及び前記現像ユニット中の不要のトナー粒子のみを前記感光体ドラムに付与するリフレッシュモードを少なくとも含む複数の動作モードのうちから選択された一つの動作モードを択一的に前記ドラムアセンブリに実行させる
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−75712(P2011−75712A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−225432(P2009−225432)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】