ドレッサ
【課題】研磨パッドの立ち上げ時間の短縮を図れるドレッサを提供する。
【解決手段】ドレッサ1のダイヤモンド砥粒を保持する保持材2の表面を、ドーム状に膨出させることによって、ドレッサ1の表面に凸部を形成し、新規な研磨パッドのドレッシング処理を行なう場合に、凸部の先端を構成する一部のダイヤモンド砥粒5が、研磨パッドの表面に高い接触圧で接触し、研磨パッドの表面に容易に切り込むことができ、これによって、ドレッシング処理に要する時間、したがって、研磨パッドの立ち上げ時間を短縮することができる。
【解決手段】ドレッサ1のダイヤモンド砥粒を保持する保持材2の表面を、ドーム状に膨出させることによって、ドレッサ1の表面に凸部を形成し、新規な研磨パッドのドレッシング処理を行なう場合に、凸部の先端を構成する一部のダイヤモンド砥粒5が、研磨パッドの表面に高い接触圧で接触し、研磨パッドの表面に容易に切り込むことができ、これによって、ドレッシング処理に要する時間、したがって、研磨パッドの立ち上げ時間を短縮することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研磨パッドをドレッシング処理するのに用いるドレッサに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造においては、半導体ウェハ等の表面を平坦化するために、CMP(Chemical Mechanical Polishing:化学機械研磨)技術を用いた研磨装置(以下「CMP研磨装置」という)による研磨が広く行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図8は、従来のCMP研磨装置の概略構成図である。回転定盤11の表面に貼付された研磨パッド7には、供給ノズル10から研磨スラリー8が連続的に供給される。被研磨物としての例えば、半導体ウェハ9は、研磨ヘッド12に、図示しないバッキングフィルム等を介して保持される。
【0004】
かかるCMP研磨装置では、回転定盤11上の研磨パッド7に、研磨ヘッド12に保持された半導体ウェハ9を加圧接触させ、研磨スラリー8を流しながら、回転定盤11及び研磨ヘッド12を、矢符P1,P2で示すように同方向に回転させることによって半導体ウェハ9を研磨する。
【0005】
CMP研磨装置では、研磨パッド7の表面の微細な凹部に、切削屑や研磨スラリー8が入り込んで目詰りを起こし、研磨レートの低下をもたらすと共に、研磨の均一性を悪化させる。このため、ダイヤモンド砥粒などを固着したドレッサ13を用いて研磨パッド7のドレッシング処理が行われる。
【0006】
この研磨パッド7のドレッシング処理は、ダイヤモンド砥粒などを固着したドレッサ13を、研磨パッド7に加圧接触させて矢符P3方向へ回転させて研磨パッド7の表面を荒し、切削屑や研磨スラリー8を除去すると共に目立てを行うものである。
【0007】
このドレッシング処理は、半導体ウェハ9の研磨時に限らず、新規に購入した研磨パッド7の使用を開始する立ち上げ時にも行われる。すなわち、研磨パッド7を新規に購入したユーザは、その研磨パッド7を用いた本来の半導体ウェハ9に対する研磨作業の前に、安定した研磨レート及び研磨の均一性を得るために、当該新規な研磨パッド7を、ドレッサ13を用いてドレッシング処理するようにしている。
【0008】
かかるドレッシング処理に用いる従来のドレッサ13の一例を、図9ないし図12を参照して説明する。図9に従来のドレッサ13の側面を、図10に図9のドレッサ13の下面を、図11に図10のE−E線に沿う拡大断面をそれぞれ示す。また、図12に従来のドレッサ13と該ドレッサ13でドレッシング処理される研磨パッド7の表面を示す。
【0009】
これら図9ないし図11を参照して、ドレッサ13は、ステンレス等からなる円盤状のベース基材14を備え、このベース基材14の研磨パッド7に対向する面である表面(図9、図11では下面)には、等しい面積を有する円形の砥粒配置部17を複数、この例では、4つ備えている。各砥粒配置部17は、図11に示すように、ベース基材14に形成された電着部15と、この電着部15に固着された多数のダイヤモンド砥粒16とを有する。
【0010】
従来のドレッサ13は、寿命の向上を図るために、多数のダイヤモンド砥粒16が、研磨パッド7の表面に均等に接触するように、ダイヤモンド砥粒16の突出高さが同等になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2000−334655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述のように、研磨パッドを新規に購入したユーザは、その研磨パッドを用いた本来の半導体ウェハに対する研磨作業の前に、ドレッサを用いて当該新規な研磨パッドのドレッシング処理を行なうのであるが、新規な研磨パッドの表面は、荒れていないために滑り易く、ドレッサのダイヤモンド砥粒による研磨パッド表面への切り込みが容易ではない。このため、ドレッシング処理に時間を要し、本来の半導体ウェハの研磨処理に移行するまでの研磨パッドの立ち上げ時間が長くなり、半導体ウェハの生産性が低下するという課題がある。
【0013】
本発明は、上述のような点に鑑みて為されたものであって、研磨パッドの立ち上げ時間を短縮することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明では、上記目的を達成するために、次のように構成している。
【0015】
本発明のドレッサは、多数の砥粒が保持材の表面に保持され、研磨パッドのドレッシング処理に用いられるドレッサであって、当該ドレッサの表面は、前記砥粒の先端の高さが異なるように形成された凸部を有する。
【0016】
凸部の突出形状は、山状、ドーム状、段状など任意である。
【0017】
砥粒自体の粒径を異ならせることによって、砥粒の先端の高さを異ならせるようにしてもよいし、砥粒を保持する保持材の表面形状によって、砥粒の先端の高さを異ならせるようにしてもよく、あるいは、保持材の表面に保持された砥粒の前記表面からの突出量を異ならせることによって、砥粒の先端の高さを異ならせるようにしてもよい。
【0018】
砥粒は、ダイヤモンド砥粒が好ましいが、他の砥粒、例えばCBN砥粒、アルミナ系砥粒や、その他の砥粒を用いてもよく、また、これら砥粒を単独で、または2種以上を混合して用いてもよい。
【0019】
好ましい実施態様では、前記砥粒を保持する前記保持材の表面が、前記凸部に対応する凸状である。
【0020】
一つの実施態様では、前記凸状が、ドーム状である。
【0021】
他の実施態様では、前記多数の砥粒が、前記保持材の表面の砥粒配置部に保持され、前記保持材は、複数の前記砥粒配置部を備える。
【0022】
更に他の実施態様では、前記砥粒配置部が、平面視円形である。
【0023】
本発明のドレッサによると、当該ドレッサの表面は凸部を有しているので、新規な研磨パッドのドレッシング処理を行なう場合に、凸部の先端を構成する一部の砥粒が、残余の砥粒に比べて高い接触圧で研磨パッドの表面に接触して滑り易い研磨パッド表面に容易に切り込むことができ、ドレッシング処理の開始が早まってドレッシング処理に要する時間を短縮することができ、これによって、研磨パッドの立ち上げ時間を短縮することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、凸部の先端を構成する一部の砥粒が研磨パッドに高い接触圧で接触し、滑りやすい研磨パッドの表面に容易に切り込むことができ、研磨パッドのドレッシング処理に要する時間を短縮することができる。これによって、研磨パッドの立ち上げ時間を短縮して、本来の半導体ウェハの研磨処理へ早く移行することができるので、生産性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は本発明の実施形態に係るドレッサの側面を示す図である。
【図2】図2は図1のドレッサの下面を示す図である。
【図3】図3は図1のA−A線に沿う断面を拡大して示す図である。
【図4】図4は図1のドレッサのダイヤモンド砥粒と研磨パッドとの接触状態を拡大して示す図である。
【図5】図5は本発明の他の実施形態に係るドレッサの側面を示す図である。
【図6】図6は図5のドレッサの下面を示す図である。
【図7】図7は図5のC−C線に沿う断面を拡大して示す図である。
【図8】図8はCMP装置の概略構成を示す図である。
【図9】図9は従来のドレッサの側面を示す図である。
【図10】図10は図9のドレッサの下面を示す図である。
【図11】図11は図10のE−E線に沿う断面を拡大して示す図である。
【図12】図12は図9のダイヤモンド砥粒と研磨パッドとの接触状態を拡大して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面によって本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0027】
(実施形態1)
図1に本発明の一実施形態に係るドレッサの側面を、図2に図1のドレッサの下面を、図3に図2のA−A線に沿う拡大断面をそれぞれ示す。
【0028】
これらの図を参照して、この実施形態のドレッサ1は、ステンレスなどの金属からなる保持材2を備えている。この保持材2は、円盤状のベース基材3と、このベース基材3に取付けられたドーム状に膨出した4つの膨出部材4とを備えている。この実施形態では、各膨出部材4を、図示しないネジ部を介してベース基材3に取付けているが、他の実施形態として、膨出部材を含む形状にベース基材を機械加工してもよい。
【0029】
各膨出部材4は、平面視円形であって、保持材2の研磨パッドに対向する面である表面(図1及び図3では下面)の一部をそれぞれ構成する。
【0030】
各膨出部材4には、図3に示すように、粒径が略均等の多数のダイヤモンド砥粒5が、略一定の厚みで形成された電着部6に固着保持されており、各膨出部材4は、ダイヤモンド砥粒5が配置された砥粒配置部18となっている。
【0031】
各砥粒配置部18では、ダイヤモンド砥粒5の先端の高さが、膨出部材4の膨出形状に応じて変化し、全体としてドーム状の凸部を形成している。
【0032】
すなわち、この実施形態のドレッサ1は、研磨パッドに対向する面である表面は、4箇所の各砥粒配置部18において、ダイヤモンド砥粒5の先端の高さが異なるように形成されたドーム状の凸部を有している。
【0033】
以上の構成を有するドレッサ1は、従来例のドレッサと同様に、CMP装置に、研磨パッドに対向するように設置される。
【0034】
この実施形態のドレッサ1では、その砥粒配置部18のダイヤモンド砥粒5は、全体的にドーム状に突出しているので、研磨パッドのドレッシング処理を行なう際には、ドレッサ1の多数のダイヤモンド砥粒5が研磨パッドの表面に均等に接触するのではなく、該表面に対して突出高さが最大のダイヤモンド砥粒5が優先的に接触することになる。
【0035】
すなわち、図4に示すように、ドレッシング処理の際には、各膨出部材4に設けたダイヤモンド砥粒5は、それぞれが均等な接触圧で研磨パッド7表面に接触するのではなく、研磨パッド7表面に対して図中でセンターにあるダイヤモンド砥粒5(図4では符号5Aで示す)が他のダイヤモンド砥粒5よりも研磨パッド表面に対してその突出高さが高く、そのため当該ダイヤモンド砥粒5(5A)が研磨パッド7の表面に高い接触圧で接触して切り込むことができ、この最初に切り込んだダイヤモンド砥粒5(5A)に引き続いて他のダイヤモンド砥粒5が研磨パッド7の表面をドレッシングすることができるようになる。
【0036】
したがって、新規に購入した研磨パッド7のドレッシング処理を行なう場合には、研磨パッド7の滑り易い表面に対して、突出高さが最大となるダイヤモンド砥粒5Aが高い接触圧で接触して容易に切り込むことができるようになり、その結果、ドレッシング処理に要する時間を短縮して研磨パッドの立ち上げ時間を短縮することができ、その分、半導体ウェハの生産性を向上させることができる。
【0037】
また、研磨パッド7の立ち上げ時に限らず、研磨時における、目詰まりした研磨パッド7の表面のドレッシング処理においても、ドレッサ1のダイヤモンド砥粒5による研磨パッド表面に対する切り込みが容易となるので、効率的にドレッシング処理を行なうことが可能となる。
【0038】
(実施形態2)
図5ないし図7を参照して本発明の他の実施形態に係るドレッサ1aを説明する。図5に同ドレッサ1aの側面を、図6に図5のドレッサ1aの下面を、図7に図6のC−C線に沿う拡大断面をそれぞれ示す。
【0039】
この実施形態のドレッサ1aは、上述の実施形態と同様に、保持材2aを備えている。この保持材2aは、円盤状のベース基材3と、このベース基材3に取付けられたドーム状に膨出した単一の膨出部材4aとを備えている。
【0040】
膨出部材4aは、ベース基材3の表面の略全領域に亘ってドーム状に膨出しており、この膨出部材4aには、上述の実施形態と同様に、多数のダイヤモンド砥粒5が、電着部6によって固着保持されており、膨出部材4aは、ダイヤモンド砥粒5が配置された砥粒配置部18aとなっている。
【0041】
以上の構成を有するドレッサ1aは、多数ダイヤモンド砥粒5のすべてが、研磨パッド7の表面に対して略均等な接触圧で接触するのではなく、突出高さが高い中央のダイヤモンド砥粒5が、研磨パッド7表面に対して高い接触圧で接触して容易に切り込むことができ、ドレッシング処理に要する時間を短縮して、研磨パッドの立ち上げ時間を短縮することができる。
【0042】
(その他の実施形態)
上述の各実施形態では、砥粒配置部18,18aは、平面視円形とされたけれども、円形に限らず、環状、矩形、その他の形状であってもよく、その数も任意である。また、砥粒配置部18,18aは、その領域全体として膨出させたけれども、砥粒配置部の領域の一部のみを膨出させるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、CMP装置の研磨パッドのドレッシング処理に用いるドレッサとして有用である。
【符号の説明】
【0044】
1,1a ドレッサ
2,2a 保持材
3 ベース基材
4,4a 膨出部材
5 ダイヤモンド砥粒
6 電着部
7 研磨パッド
【技術分野】
【0001】
本発明は、研磨パッドをドレッシング処理するのに用いるドレッサに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造においては、半導体ウェハ等の表面を平坦化するために、CMP(Chemical Mechanical Polishing:化学機械研磨)技術を用いた研磨装置(以下「CMP研磨装置」という)による研磨が広く行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図8は、従来のCMP研磨装置の概略構成図である。回転定盤11の表面に貼付された研磨パッド7には、供給ノズル10から研磨スラリー8が連続的に供給される。被研磨物としての例えば、半導体ウェハ9は、研磨ヘッド12に、図示しないバッキングフィルム等を介して保持される。
【0004】
かかるCMP研磨装置では、回転定盤11上の研磨パッド7に、研磨ヘッド12に保持された半導体ウェハ9を加圧接触させ、研磨スラリー8を流しながら、回転定盤11及び研磨ヘッド12を、矢符P1,P2で示すように同方向に回転させることによって半導体ウェハ9を研磨する。
【0005】
CMP研磨装置では、研磨パッド7の表面の微細な凹部に、切削屑や研磨スラリー8が入り込んで目詰りを起こし、研磨レートの低下をもたらすと共に、研磨の均一性を悪化させる。このため、ダイヤモンド砥粒などを固着したドレッサ13を用いて研磨パッド7のドレッシング処理が行われる。
【0006】
この研磨パッド7のドレッシング処理は、ダイヤモンド砥粒などを固着したドレッサ13を、研磨パッド7に加圧接触させて矢符P3方向へ回転させて研磨パッド7の表面を荒し、切削屑や研磨スラリー8を除去すると共に目立てを行うものである。
【0007】
このドレッシング処理は、半導体ウェハ9の研磨時に限らず、新規に購入した研磨パッド7の使用を開始する立ち上げ時にも行われる。すなわち、研磨パッド7を新規に購入したユーザは、その研磨パッド7を用いた本来の半導体ウェハ9に対する研磨作業の前に、安定した研磨レート及び研磨の均一性を得るために、当該新規な研磨パッド7を、ドレッサ13を用いてドレッシング処理するようにしている。
【0008】
かかるドレッシング処理に用いる従来のドレッサ13の一例を、図9ないし図12を参照して説明する。図9に従来のドレッサ13の側面を、図10に図9のドレッサ13の下面を、図11に図10のE−E線に沿う拡大断面をそれぞれ示す。また、図12に従来のドレッサ13と該ドレッサ13でドレッシング処理される研磨パッド7の表面を示す。
【0009】
これら図9ないし図11を参照して、ドレッサ13は、ステンレス等からなる円盤状のベース基材14を備え、このベース基材14の研磨パッド7に対向する面である表面(図9、図11では下面)には、等しい面積を有する円形の砥粒配置部17を複数、この例では、4つ備えている。各砥粒配置部17は、図11に示すように、ベース基材14に形成された電着部15と、この電着部15に固着された多数のダイヤモンド砥粒16とを有する。
【0010】
従来のドレッサ13は、寿命の向上を図るために、多数のダイヤモンド砥粒16が、研磨パッド7の表面に均等に接触するように、ダイヤモンド砥粒16の突出高さが同等になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2000−334655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述のように、研磨パッドを新規に購入したユーザは、その研磨パッドを用いた本来の半導体ウェハに対する研磨作業の前に、ドレッサを用いて当該新規な研磨パッドのドレッシング処理を行なうのであるが、新規な研磨パッドの表面は、荒れていないために滑り易く、ドレッサのダイヤモンド砥粒による研磨パッド表面への切り込みが容易ではない。このため、ドレッシング処理に時間を要し、本来の半導体ウェハの研磨処理に移行するまでの研磨パッドの立ち上げ時間が長くなり、半導体ウェハの生産性が低下するという課題がある。
【0013】
本発明は、上述のような点に鑑みて為されたものであって、研磨パッドの立ち上げ時間を短縮することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明では、上記目的を達成するために、次のように構成している。
【0015】
本発明のドレッサは、多数の砥粒が保持材の表面に保持され、研磨パッドのドレッシング処理に用いられるドレッサであって、当該ドレッサの表面は、前記砥粒の先端の高さが異なるように形成された凸部を有する。
【0016】
凸部の突出形状は、山状、ドーム状、段状など任意である。
【0017】
砥粒自体の粒径を異ならせることによって、砥粒の先端の高さを異ならせるようにしてもよいし、砥粒を保持する保持材の表面形状によって、砥粒の先端の高さを異ならせるようにしてもよく、あるいは、保持材の表面に保持された砥粒の前記表面からの突出量を異ならせることによって、砥粒の先端の高さを異ならせるようにしてもよい。
【0018】
砥粒は、ダイヤモンド砥粒が好ましいが、他の砥粒、例えばCBN砥粒、アルミナ系砥粒や、その他の砥粒を用いてもよく、また、これら砥粒を単独で、または2種以上を混合して用いてもよい。
【0019】
好ましい実施態様では、前記砥粒を保持する前記保持材の表面が、前記凸部に対応する凸状である。
【0020】
一つの実施態様では、前記凸状が、ドーム状である。
【0021】
他の実施態様では、前記多数の砥粒が、前記保持材の表面の砥粒配置部に保持され、前記保持材は、複数の前記砥粒配置部を備える。
【0022】
更に他の実施態様では、前記砥粒配置部が、平面視円形である。
【0023】
本発明のドレッサによると、当該ドレッサの表面は凸部を有しているので、新規な研磨パッドのドレッシング処理を行なう場合に、凸部の先端を構成する一部の砥粒が、残余の砥粒に比べて高い接触圧で研磨パッドの表面に接触して滑り易い研磨パッド表面に容易に切り込むことができ、ドレッシング処理の開始が早まってドレッシング処理に要する時間を短縮することができ、これによって、研磨パッドの立ち上げ時間を短縮することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、凸部の先端を構成する一部の砥粒が研磨パッドに高い接触圧で接触し、滑りやすい研磨パッドの表面に容易に切り込むことができ、研磨パッドのドレッシング処理に要する時間を短縮することができる。これによって、研磨パッドの立ち上げ時間を短縮して、本来の半導体ウェハの研磨処理へ早く移行することができるので、生産性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は本発明の実施形態に係るドレッサの側面を示す図である。
【図2】図2は図1のドレッサの下面を示す図である。
【図3】図3は図1のA−A線に沿う断面を拡大して示す図である。
【図4】図4は図1のドレッサのダイヤモンド砥粒と研磨パッドとの接触状態を拡大して示す図である。
【図5】図5は本発明の他の実施形態に係るドレッサの側面を示す図である。
【図6】図6は図5のドレッサの下面を示す図である。
【図7】図7は図5のC−C線に沿う断面を拡大して示す図である。
【図8】図8はCMP装置の概略構成を示す図である。
【図9】図9は従来のドレッサの側面を示す図である。
【図10】図10は図9のドレッサの下面を示す図である。
【図11】図11は図10のE−E線に沿う断面を拡大して示す図である。
【図12】図12は図9のダイヤモンド砥粒と研磨パッドとの接触状態を拡大して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面によって本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0027】
(実施形態1)
図1に本発明の一実施形態に係るドレッサの側面を、図2に図1のドレッサの下面を、図3に図2のA−A線に沿う拡大断面をそれぞれ示す。
【0028】
これらの図を参照して、この実施形態のドレッサ1は、ステンレスなどの金属からなる保持材2を備えている。この保持材2は、円盤状のベース基材3と、このベース基材3に取付けられたドーム状に膨出した4つの膨出部材4とを備えている。この実施形態では、各膨出部材4を、図示しないネジ部を介してベース基材3に取付けているが、他の実施形態として、膨出部材を含む形状にベース基材を機械加工してもよい。
【0029】
各膨出部材4は、平面視円形であって、保持材2の研磨パッドに対向する面である表面(図1及び図3では下面)の一部をそれぞれ構成する。
【0030】
各膨出部材4には、図3に示すように、粒径が略均等の多数のダイヤモンド砥粒5が、略一定の厚みで形成された電着部6に固着保持されており、各膨出部材4は、ダイヤモンド砥粒5が配置された砥粒配置部18となっている。
【0031】
各砥粒配置部18では、ダイヤモンド砥粒5の先端の高さが、膨出部材4の膨出形状に応じて変化し、全体としてドーム状の凸部を形成している。
【0032】
すなわち、この実施形態のドレッサ1は、研磨パッドに対向する面である表面は、4箇所の各砥粒配置部18において、ダイヤモンド砥粒5の先端の高さが異なるように形成されたドーム状の凸部を有している。
【0033】
以上の構成を有するドレッサ1は、従来例のドレッサと同様に、CMP装置に、研磨パッドに対向するように設置される。
【0034】
この実施形態のドレッサ1では、その砥粒配置部18のダイヤモンド砥粒5は、全体的にドーム状に突出しているので、研磨パッドのドレッシング処理を行なう際には、ドレッサ1の多数のダイヤモンド砥粒5が研磨パッドの表面に均等に接触するのではなく、該表面に対して突出高さが最大のダイヤモンド砥粒5が優先的に接触することになる。
【0035】
すなわち、図4に示すように、ドレッシング処理の際には、各膨出部材4に設けたダイヤモンド砥粒5は、それぞれが均等な接触圧で研磨パッド7表面に接触するのではなく、研磨パッド7表面に対して図中でセンターにあるダイヤモンド砥粒5(図4では符号5Aで示す)が他のダイヤモンド砥粒5よりも研磨パッド表面に対してその突出高さが高く、そのため当該ダイヤモンド砥粒5(5A)が研磨パッド7の表面に高い接触圧で接触して切り込むことができ、この最初に切り込んだダイヤモンド砥粒5(5A)に引き続いて他のダイヤモンド砥粒5が研磨パッド7の表面をドレッシングすることができるようになる。
【0036】
したがって、新規に購入した研磨パッド7のドレッシング処理を行なう場合には、研磨パッド7の滑り易い表面に対して、突出高さが最大となるダイヤモンド砥粒5Aが高い接触圧で接触して容易に切り込むことができるようになり、その結果、ドレッシング処理に要する時間を短縮して研磨パッドの立ち上げ時間を短縮することができ、その分、半導体ウェハの生産性を向上させることができる。
【0037】
また、研磨パッド7の立ち上げ時に限らず、研磨時における、目詰まりした研磨パッド7の表面のドレッシング処理においても、ドレッサ1のダイヤモンド砥粒5による研磨パッド表面に対する切り込みが容易となるので、効率的にドレッシング処理を行なうことが可能となる。
【0038】
(実施形態2)
図5ないし図7を参照して本発明の他の実施形態に係るドレッサ1aを説明する。図5に同ドレッサ1aの側面を、図6に図5のドレッサ1aの下面を、図7に図6のC−C線に沿う拡大断面をそれぞれ示す。
【0039】
この実施形態のドレッサ1aは、上述の実施形態と同様に、保持材2aを備えている。この保持材2aは、円盤状のベース基材3と、このベース基材3に取付けられたドーム状に膨出した単一の膨出部材4aとを備えている。
【0040】
膨出部材4aは、ベース基材3の表面の略全領域に亘ってドーム状に膨出しており、この膨出部材4aには、上述の実施形態と同様に、多数のダイヤモンド砥粒5が、電着部6によって固着保持されており、膨出部材4aは、ダイヤモンド砥粒5が配置された砥粒配置部18aとなっている。
【0041】
以上の構成を有するドレッサ1aは、多数ダイヤモンド砥粒5のすべてが、研磨パッド7の表面に対して略均等な接触圧で接触するのではなく、突出高さが高い中央のダイヤモンド砥粒5が、研磨パッド7表面に対して高い接触圧で接触して容易に切り込むことができ、ドレッシング処理に要する時間を短縮して、研磨パッドの立ち上げ時間を短縮することができる。
【0042】
(その他の実施形態)
上述の各実施形態では、砥粒配置部18,18aは、平面視円形とされたけれども、円形に限らず、環状、矩形、その他の形状であってもよく、その数も任意である。また、砥粒配置部18,18aは、その領域全体として膨出させたけれども、砥粒配置部の領域の一部のみを膨出させるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、CMP装置の研磨パッドのドレッシング処理に用いるドレッサとして有用である。
【符号の説明】
【0044】
1,1a ドレッサ
2,2a 保持材
3 ベース基材
4,4a 膨出部材
5 ダイヤモンド砥粒
6 電着部
7 研磨パッド
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の砥粒が保持材の表面に保持され、研磨パッドのドレッシング処理に用いられるドレッサであって、
当該ドレッサの表面は、前記砥粒の先端の高さが異なるように形成された凸部を有する、
ことを特徴とするドレッサ。
【請求項2】
前記砥粒を保持する前記保持材の表面が、前記凸部に対応する凸状である、
請求項1に記載のドレッサ。
【請求項3】
前記凸状が、ドーム状である、
請求項2に記載のドレッサ。
【請求項4】
前記多数の砥粒が、前記保持材の表面の砥粒配置部に保持され、前記保持材は、複数の前記砥粒配置部を備える、
請求項1ないし3のいずれかに記載のドレッサ。
【請求項5】
前記砥粒配置部が、平面視円形である、
請求項1ないし4のいずれかに記載のドレッサ。
【請求項1】
多数の砥粒が保持材の表面に保持され、研磨パッドのドレッシング処理に用いられるドレッサであって、
当該ドレッサの表面は、前記砥粒の先端の高さが異なるように形成された凸部を有する、
ことを特徴とするドレッサ。
【請求項2】
前記砥粒を保持する前記保持材の表面が、前記凸部に対応する凸状である、
請求項1に記載のドレッサ。
【請求項3】
前記凸状が、ドーム状である、
請求項2に記載のドレッサ。
【請求項4】
前記多数の砥粒が、前記保持材の表面の砥粒配置部に保持され、前記保持材は、複数の前記砥粒配置部を備える、
請求項1ないし3のいずれかに記載のドレッサ。
【請求項5】
前記砥粒配置部が、平面視円形である、
請求項1ないし4のいずれかに記載のドレッサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−130994(P2012−130994A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−285800(P2010−285800)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(000116127)ニッタ・ハース株式会社 (150)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(000116127)ニッタ・ハース株式会社 (150)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]