説明

ドーパミン−D2受容体に関する親和力およびセロトニン再吸収部位の組み合わせを有するフェニルピペラジン類

【化1】


本発明は二重活性方式であるセロトニン再吸収阻害性およびドーパミン−D受容体に関する親和力を有する新規なフェニルピペラジン誘導体の群並びにこれらの化合物の製造方法に関する。本発明はまた有利な効果を与える薬品の製造のためのここに開示された化合物の使用にも関する。化合物は一般式(1)を有し、ここで記号は明細書に示された意味を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二重活性方式であるセロトニン再吸収阻害性およびドーパミン−D受容体に関する親和力を有する新規なフェニルピペラジン誘導体の群並びにこれらの化合物の製造方法に関する。本発明はまた有利な効果を与える薬品の製造のためのここに開示された化合物の使用にも関する。有利な効果はここに開示されるかまたは明細書および当該技術の一般的知識から当業者に明らかである。本発明はまた疾病または障害を処置または予防するための薬品の製造のための本発明の化合物の使用にも関する。より特に、本発明はここに開示されるかまたは明細書および当該技術の一般的知識から当業者に明らかな疾病または症状の処置のための新規な使用に関する。本発明の態様では、ここに開示されている具体的な化合物がドーパミン−D受容体およびセロトニン再吸収部位が関係する障害またはこれらの標的の操作により処置できるものの処置において有用な薬品の製造のために使用される。
【背景技術】
【0002】
ドーパミン−D拮抗物質およびセロトニン再吸収阻害剤としての二重活性を有するフェニルピペラジン誘導体は特許文献1から知られている。この組み合わせは統合失調症および他の精神障害の処置に有用であり、これは全ての疾病徴候(例えば正の徴候および負の徴候)のより完全な処置を可能にする。
【0003】
特許文献2(1974)には、特に鎮痛剤、抗−炎症剤および筋向性鎮痙剤としての、有用な薬理学的活性を有するハロフェニルピペラジニル−アルキルケトン類のオキシム誘導体が開示されていた。
【特許文献1】国際公開第01/014330号パンフレット
【特許文献2】英国特許第1 378 080号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、ドーパミン−D拮抗物質およびセロトニン再吸収阻害剤としての二重活性を有する別の化合物を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、一般式(1):
【0006】
【化1】

【0007】
[式中、
−mおよびnは独立して1、2、3、4、5、6、7または8のいずれかであり、
−xは0、1、2または3であり、
−Rはハロゲン、直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキル(C1−6)、フェニル、ベンジル、直鎖状もしくは分枝鎖状のアルコキシ(C1−6)、トリフルオロメチルまたはシアノであり、
−RおよびRは独立して水素、アルキル(C1−6)、フェニル、ベンジルまたはアセチルを表わし、
−基Qは構造断片A−N
【0008】
【化2】

【0009】
から選択され、
ここで
−yは1、2または3であり、
−Rはハロゲン、直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキル(C1−6)、フェニル、ベンジル、直鎖状もしくは分枝鎖状のアルコキシ(C1−6)、トリフルオロメチルまたはシアノである]
の化合物、並びにそれらの互変異性体、立体異性体およびN−オキシド、並びに式(1)の該化合物並びにその互変異性体、立体異性体およびN−オキシドの薬理学的に許容可能な塩、水和物および溶媒和物に関する。
【0010】
上記化合物のプロドラッグは本発明の範囲内である。プロドラッグは、それ自体では不活性であるが1種もしくはそれ以上の活性な代謝産物に転換される治療剤である。プロドラッグは、親薬品分子の有用性に対する何らかの妨げを克服するために使用される薬品分子の生可逆的誘導体である。これらの妨げは可溶性、透過性、安定性、前全身的代謝性および目標設定の制限を包含するが、それらに限定されない(Medicinal Chemistry:Principles and Practice,1994,ISBN
0−85186−494−5,Ed.:F.D.King,p.215;J.Stella,“Prodrugs as therapeutics”,Expert Opin.Ther.Patents,14(3),277−280,2004;P.Ettmayer et al.,“Lessons learned from marketed and investigational prodrugs”,J.Med.Chem.,47,2393−2404,2004)。プロドラッグ、すなわち人間に何らかの経路により投与される時に代謝されて式(1)を有する化合物になる化合物、は本発明に属する。特にこれは第一級もしくは第二級アミノまたはヒドロキシ基を有する化合物に関する。そのような化合物は有機酸と反応して、例えばアミジン、エナミン、マンニッヒ塩基、ヒドロキシル−メチレン誘導体、O−(アシルオキシメチレンカルバメート)誘導体、カルバメート、エステル、アミドまたはエナミノンを包含するがそれらに限定され
ない投与後に容易に除去される追加の基が存在する式(1)を有する化合物を生成することができる。
【0011】
上記化合物のN−オキシドは本発明の範囲内である。第三級アミン類はN−オキシド代謝産物を与えることもまたは与えないこともありうる。N−酸化が起きる程度は痕跡量から定量的転化近くまで変動する。N−オキシドはそれらの対応する第三級アミン類より活性が大きいかまたは活性が小さくなりうる。N−オキシドは化学的手段によりそれらの対応する第三級アミン類に容易に還元されるが、人間の体内ではこれは種々の程度で起きる。ある種のN−オキシドは対応する第三級アミン類へのほぼ定量的な還元的転化を受け、他の場合には転化はわずかだけの反応であるかまたは全く存在しない(M.H.Bickel:“The pharmacology and Biochemistry of N−oxides”,Pharmaco−logical Reviews,21(4),325−355,1969)。本発明の好ましい化合物は、mが1であり、nが2、3、4または5であり、xが1であり、Rが4−フルオロまたは4−トリフルオロメチルであり、RおよびRが独立して水素またはメチルを表わし、基Qが構造断片A、D、FまたはNから選択され、yが1であり、そしてRが直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキル(C1−3)である式(1)を有する化合物、並びにそれらの互変異性体、立体異性体およびN−オキシド、並びに式(1)の該化合物並びにその互変異性体、立体異性体およびN−オキシドの薬理学的に許容可能な塩、水和物および溶媒和物である。
【0012】
本発明に従う化合物はドーパミンD受容体およびセロトニン再吸収部位の両方に関する高い親和力を示すことが見出された。化合物はマウスにおけるアポモルフィン−誘発性登攀行動を拮抗可能にするため、それらはドーパミンD受容体における拮抗物質としての活性を示す。化合物はマウスにおいて5−HTP誘発性行動を可能にするため、それらはセロトニン再吸収の阻害剤としての活性も示す。化合物は臨床関連抗精神病薬(例えば、回避条件づけ応答;Van der Heyden & Bradford,Behav.Brain Res.,1988,31:61−67)および抗鬱剤または抗不安症剤(例えばストレス−誘発性発声;van der Poel et al.,Psycho−pharmacology,1989,97:147−148)に敏感な治療モデルにおいて活性である。臨床関連ドーパミンD受容体拮抗物質とは対照的に、記載された化合物はげっ歯動物におけるカタレプシーを誘発する低い傾向を示しそしてそのままで現存する抗精神病剤より少ない錐体外路副作用を誘発するようである。これらの化合物に固有のセロトニン再吸収の阻害活性は抗鬱剤または抗不安症剤のいずれかに敏感な行動モデルにおいて観察される治療効果の原因となりうる。化合物はドーパミンまたはセロトニン系統のいずれかにおける混乱により引き起こされる中枢神経系の障害または疾病、例えば、攻撃性、不安障害、自閉症、眩暈、鬱病、認識または記憶の混乱、パーキンソン病、および特に統合失調症並びに他の精神障害の処置のために使用することができる。
【0013】
合成の一般的局面
この特許における全てのピペラジン誘導体の合成は化合物3の製造に関するスキーム1に示された通りにして行うことができる。出発フェニルピペラジン類は欧州特許第0189612号明細書;Hartog,J et al.,1985:‘New pharmaceutical compositions having a psychtropic activity’;Feenstra,R.Q.;de Moes,J.P;Hofma,J.;Kling,H.;Kuipers,W;Long,S.K.;Tulp,M.T.M.;Van der Heyden,J.A.M and Kruse,C.G.;‘New 1−aryl−4−(biarylmethylene)piperazines as potential atypical antipsychotics sharing dopamine D receptor and serotonin 5HT1A receptor affinities’.Bioorg.& Med.Chem.Lett.,2001,11,2345−2349および国際公開第01/14330号パンフレットに記載されている通りにして得られうる。アルキルフェノン誘導体2は市販されている。
【0014】
【化3】

【0015】
特定の合成工程の選択は当業者に既知である因子、例えば官能基と使用される試薬との相容性、保護基、触媒、活性化およびカップリング試薬を使用する可能性、並びに製造される最終化合物内に存在する最終的な構造特徴に依存する。
【0016】
製薬学的に許容可能な塩類は当該技術で既知である標準工程を用いて、例えば本発明の化合物を適当な酸、例えば無機酸、例えば塩酸、または有機酸と混合することにより得ることができる。
【0017】
製薬学的調合物
本発明の化合物は、補助物質、例えば液体または固体の担体物質を用いる一般的な方法により投与に適する形態にすることができる。本発明の製薬学的組成物は、腸内に、経口的に、非経口的に(筋肉内もしくは静脈内)、直腸にまたは局部的に(局所的に)投与することができる。それらは、液剤、散剤、錠剤、カプセル剤(マイクロカプセル剤を包含する)、軟膏剤(クリーム剤もしくはゲル剤)または坐剤の形態で投与することができる。そのような調合物に適する賦形剤は、製薬学的に普遍的な液体または固体の充填剤および延展剤、溶媒、乳化剤、潤滑剤、香味剤、着色剤および/または緩衝物質である。挙げられうるしばしば使用される補助物質は、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、ラクトース、マンニトールおよび他の糖類、タルク、乳汁蛋白質、ゼラチン、澱粉、セルロースおよびその誘導体、動物および植物油、例えば魚肝油、ヒマワリ、塊茎またはゴマ油、ポリエチレングリコール、並びに溶媒、例えば、殺菌水および一価もしくは多価アルコール類、例えばグリセロールである。
【0018】
本発明の化合物は一般的には、化合物、より特にここに開示された特定化合物の存在のために本発明の重要で且つ新規な態様である製薬学的組成物として投与される。使用できる製薬学的組成物のタイプは、錠剤、噛むことができる錠剤、カプセル剤、液剤、非経口液剤、坐剤、懸濁剤、およびここに開示されるかまたは明細書および当該技術の一般的知識から当業者に明らかである他のタイプを包含するが、それらに限定されない。本発明の態様では、本発明の製薬学的組成物の1種もしくはそれ以上の成分が充填されている1個もしくはそれ以上の容器を含んでなる製薬学的パックまたはキットが提供される。そのような1個もしくは複数の容器は種々の文書資料、例えば使用に関する仕様書、または製薬学的製品の製造、使用もしくは販売を規制する政府機関により規定された形式の注意書に関連づけられており、その注意書は人間または動物投与のための製造、使用、または販売機関による認可を反映している。
【0019】
薬理学的方法
ドーパミン−D受容体に関するインビトロ親和力
ドーパミン−D受容体に関する化合物の親和力は、I.Creese,R.Schneider and S.H.Snyder:“[H]−Spiroperidol labels dopamine receptors in rat pituitary and brain”,Eur.J.Pharmacol.,46,377−381,1977により記載された受容体結合検定法を用いて測定された。
【0020】
セロトニン再吸収部位に関するインビトロ親和力
セロトニン再吸収部位に関する化合物の親和力は、E.Habert et al.,:“Characterisation of [H]−paroxetine binding to rat cortical membranes”,Eur.J.Pharmacol.,118,107−114,1985により記載された受容体結合検定法を用いて測定された。
【0021】
薬用量
ドーパミン−D受容体およびセロトニン再吸収部位に関する本発明の化合物の親和力は以上で記載された通りにして測定された。式(1)の特定化合物に関して測定された結合親和力から、理論的に最少の有効服用量を推定することができる。測定されたK−値の2倍に相当する化合物の濃度では、受容体の100%が化合物により占められるようである。この濃度を1kgの患者当たりの化合物のmgに変換して、理想的なバイオアベイラビリティーと仮定して、理論的に最少の有効服用量を生ずる。薬物動力学的、薬力学的、およびその他の考察が実際に投与される服用量をより高いまたはより低い値に変えうる。便宜的に投与される薬用量は0.001〜1000mg/kg、好ましくは0.1〜100mg/kgの患者体重である。
【0022】
処置
ここで使用される用語「処置」は哺乳動物、好ましくは人間の症状または疾病のいずれかの処置をさし、そして(1)疾病に罹りやすいがそれに罹っているとまだ診断されていない患者における疾病もしくは症状の発生の予防、(2)疾病もしくは症状の抑制、すなわちその進行の阻止、(3)疾病もしくは症状の緩和、すなわち症状の退行の発生、または(4)疾病により引き起こされる症状の緩和、すなわち疾病の徴候の停止、を包含する。
【0023】
式(1)を有する化合物の製造を次にさらに詳細に以下の実施例に記載する。
【実施例】
【0024】
実施例1:物質および方法
Hおよび13C NMRスペクトルはブルーカー・アバンス(Bruker Avance)DRX600機器(600MHz)、バリアン(Varian)UN400機器(400MHz)またはバリアンVXR200機器(200MHz)上で溶媒としてのDMSO−DまたはCDClを内部標準としてのテトラメチルシランと共に用いて記録された。化学シフトはテトラメチルシランからのppm(δ目盛り)ダウンフィールドで示される。カップリング定数(J)はHzで表示される。フラッシュクロマトグラフィーはシリカゲル60(0.040−0.063mm、メルク(Merck))を用いて行われた。カラムクロマトグラフィーはシリカゲル60(0.063−0.200mm、メルク)を用いて行われた。融点はビュッチ(Buechi)B−545融点装置上で記録された。質量スペクトルはデータの取得および再構成用のマスリンクス(Masslynx)応用ソフトウエアの付いたマイクロマス(Micromass)QTOF−2機器上で記録された。擬分子イオン[M+H]の正確な質量測定が行われた。
【0025】
実施例2:特定化合物の合成
化合物3の合成は4−(2,3−ジヒドロ−1,4ベンゾジオキシン−5−イル)−1−ピペラジン(3i)から出発する2−段階反応である。15ミリモルのピペラジン(3i)を125mlのアセトニトリル中に懸濁させそして2当量のジイソプロピルエチル−アミン(DIPEA)を加えた。室温における5分間の撹拌後に、1当量(15ミリモル)の5−クロロ−1−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ペンタン−1−オンを加え、引き続き1当量のヨウ化ナトリウムを加えた。この混合物を80℃において20時間にわたり撹拌した。溶媒を蒸発により除去しそして残渣を100mlのジクロロメタン中に溶解させた。
【0026】
有機層を水で洗浄しそして蒸発前に硫酸マグネシウム上で乾燥した。残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製しそしてこれが6.4ミリモルのケト−誘導体3iiを生じ、それを30mlのメタノール中に溶解させた。この溶液に1当量のO−(2−アミノエチル)−ヒドロキシルアミン二HCl塩を加えそしてこの混合物を12時間にわたり80℃に加熱した。溶媒の蒸発後に、残渣をジクロロメタン中に溶解させそして水で洗浄した。硫酸マグネシウムを用いる有機層の乾燥および溶媒の蒸発が残渣を生じ、それをカラムクロマトグラフィーにより精製した。精製された物質に3当量のエタノール中HClを加えた後に、化合物3の三HCl塩が得られた。融点156−60℃;全収率15%。
【0027】
化合物7の合成は2−イソプロピルオキシ−フェニルピペラジン(7i)から出発する2−段階反応である。4.2ミリモルのフェニルピペラジン7iを40mlのアセトニトリル中に懸濁させた。2当量のDIPEA、1当量の4−クロロ−1−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ブタン−1−オンおよび1当量のヨウ化ナトリウムを加えた。この混合物を一晩にわたり還流させそして溶媒を翌日蒸発させた。残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製して、2.5ミリモルの純粋なケト−化合物7iiを生じ、それを30mlのエタノール(100%)中に再び溶解させた。1当量のO−(2−アミノエチル)−ヒドロキシルアミン二HCl塩および1当量のピリジンを加えた。この混合物を4時間にわたり80℃に加熱した。溶媒蒸発後に、残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製しそしてこれが2ミリモルの橙色油を生じた。油状物質をエタノール中に溶解させそして1当量のフマル酸を加えた。蒸発後に化合物7の非晶質フマル酸塩が得られた;全収率50%。
【0028】
化合物8の合成は4−(2,3−ジヒドロ−1,4ベンゾジオキシン−5−イル)−1−ピペラジン(3i)から出発する2−段階反応である。3.5ミリモルのフェニルピペラジン(3i)を40mlのアセトニトリル中に懸濁させた。2当量のDIPEA、1当量の6−クロロ−1−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ヘキサン−1−オンおよび1当量のヨウ化ナトリウムを加えた。この混合物を一晩にわたり還流させそして溶媒を翌日蒸発させた。残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製して、1.7ミリモルの純粋なケト−化合物8iiを生じ、それを10mlのエタノール(100%)中に再び溶解させた。1当量のO−(2−アミノエチル)ヒドロキシルアミン二HCl塩を加えそしてこの混合物を4時間にわたり80℃に加熱した。溶媒蒸発後に、残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製しそしてこれが1.6ミリモルの黄色油を生じた。油状物質をエタノール中に溶解させそして2当量のフマル酸を加えた。蒸発後に化合物8の非晶質フマル酸塩が得られた;全収率45%。
【0029】
化合物9の合成は4−(2,3−ジヒドロ−1,4ベンゾジオキシン−5−イル)−1−ピペラジンから出発する2−段階反応である。化合物3ii(30ミリモル)を20mlのメタノール中に溶解させた。この溶液に、1当量のO−(N−メチル−2−アミノエ
チル)−ヒドロキシルアミン二HCl塩を加えそしてこの混合物を5時間にわたり80℃に加熱した。溶媒の蒸発後に、残渣をジクロロメタン中に溶解させそして炭酸水素ナトリウム溶液でそして引き続き食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムを使用することにより乾燥しそして溶媒の蒸発が残渣を生じ、それをカラムクロマトグラフィーにより精製した。精製された物質に1当量のフマル酸のエタノール溶液の添加およびその後の溶媒の蒸発後に、化合物9のフマル酸塩が得られた;全収率15%。
【0030】
化合物10の合成は4−(2,3−ジヒドロ−1,4ベンゾジオキシン−5−イル)−1−ピペラジン(3i)から出発する2−段階反応である。6ミリモルのフェニルピペラジン3iを40mlのアセトニトリル中に懸濁させた。2当量のDIPEA、1当量の7−クロロ−1−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ヘプタン−1−オンおよび1当量のヨウ化ナトリウムを加えた。この混合物を一晩にわたり還流させそして溶媒を翌日蒸発させた。残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製して、4.2ミリモルの純粋なケト−化合物10iiを生じ、それを25mlのエタノール(100%)中に再び溶解させた。1当量のO−(2−アミノエチル)ヒドロキシルアミン二HCl塩を加えそしてこの混合物を4時間にわたり80℃に加熱した。溶媒蒸発後に、残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製しそしてこれが2ミリモルの黄色油を生じた。油状物質をエタノール中に溶解させそして1.5当量のフマル酸を加えた。蒸発後に化合物10の非晶質フマル酸塩が得られた;全収率35%。
【0031】
【表1】

【0032】
それらの合成が以上で記載されている特定化合物は本発明をより詳細にさらに説明する意図があり、従って本発明の範囲を何らかの方法で限定するとはみなされない。本発明の他の態様は当業者には明細書およびここに開示された発明の実施の考察から明らかになるであろう。それ故、明細書および実施例は例示としてだけ考えられ、発明の真の範囲および精神は特許請求の範囲により指定される。
【0033】
実施例3:動物試験において使用される化合物3の調合物
経口(p.o.)投与用:ガラス管内の所望する量(0.5−5mg)の固体化合物3に、幾つかのガラスビーズを加えそして固体を2分間にわたり撹拌することにより粉砕した。1mlの1%のメチルセルロースおよび2%(v/v)のポロキサマー(Poloxamer)188(ルトロール(Lutrol)F68)の水中溶液の添加後に、化合物を10分間にわたり撹拌することにより懸濁させた。数滴の水性NaOH(0.1N)を
用いてpHを7に調節した。超音波浴を使用することにより懸濁液中の残存粒子をさらに懸濁させた。
【0034】
腹腔内(i.p.)投与用:ガラス管内の所望する量(0.5−15mg)の固体化合物3に、幾つかのガラスビーズを加えそして固体を2分間にわたり撹拌することにより粉砕した。1mlの1%のメチルセルロースおよび5%のマンニトールの水中溶液の添加後に、化合物を10分間にわたり撹拌することにより懸濁させた。最後にpHを7に調節した。
【0035】
実施例4:薬理学的試験結果
以上で示された処方に従い得られたドーパミン−Dおよびセロトニン再吸収受容体親和力データは以下の表に示される。
【0036】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1):
【化1】

[式中、
−mおよびnは独立して1、2、3、4、5、6、7または8のいずれかであり、
−xは0、1、2または3であり、
−Rはハロゲン、直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキル(C1−6)、フェニル、ベンジル、直鎖状もしくは分枝鎖状のアルコキシ(C1−6)、トリフルオロメチルまたはシアノであり、
−RおよびRは独立して水素、アルキル(C1−6)、フェニル、ベンジルまたはアセチルを表わし、
−基Qは構造断片A−N
【化2】

から選択され、
ここで
−yは1、2または3であり、
−Rはハロゲン、直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキル(C1−6)、フェニル、ベンジル、直鎖状もしくは分枝鎖状のアルコキシ(C1−6)、トリフルオロメチルまたはシアノである]
の化合物、並びにそれらの互変異性体、立体異性体およびN−オキシド、並びに式(1)の該化合物並びにその互変異性体、立体異性体およびN−オキシドの薬理学的に許容可能な塩、水和物および溶媒和物。
【請求項2】
mが1であり、nが2、3、4または5であり、xが1であり、Rが4−フルオロまたは4−トリフルオロメチルであり、RおよびRが独立して水素またはメチルを表わし、基Qが構造断片A、D、FまたはNから選択され、yが1であり、Rが直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキル(C1−3)である一般式(1)の請求項1に記載の化合物、並
びにそれらの互変異性体、立体異性体およびN−オキシド、並びに式(1)の該化合物並びにその互変異性体、立体異性体およびN−オキシドの薬理学的に許容可能な塩、水和物および溶媒和物。
【請求項3】
群:
【表1】

[ここで、記号は式(1):
【化3】

におけるものを表わす]
および構造断片A、D、FまたはN:
【化4】

から選択される、請求項1に記載の化合物、並びにそれらの互変異性体、立体異性体およびN−オキシド、並びに式(1)の該化合物並びにその互変異性体、立体異性体およびN−オキシドの薬理学的に許容可能な塩、水和物および溶媒和物。
【請求項4】
製薬学的に許容可能な担体および/または少なくとも1種の製薬学的に許容可能な補助物質に加えて、活性成分として、薬理学的に活性な量の少なくとも1種の請求項1−3の1項の化合物またはその塩を含んでなる製薬学的組成物。
【請求項5】
少なくとも1種の請求項1〜3の1項の化合物またはその塩を投与に適する形態にすることを特徴とする、請求項4に記載の組成物の製造方法。
【請求項6】
薬品としての使用のための、請求項1〜3のいずれかに記載の化合物またはその塩。
【請求項7】
CNS障害の処置のための製薬学的組成物の製造のための請求項1〜3のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項8】
該障害が攻撃性、不安障害、自閉症、眩暈、鬱病、認識または記憶の混乱、パーキンソン病、統合失調症および他の精神障害であることを特徴とする、請求項7に記載された使用。
【請求項9】
該障害が鬱病であることを特徴とする、請求項7に記載された使用。
【請求項10】
該障害が統合失調症および他の精神障害であることを特徴とする、請求項7に記載された使用。

【公表番号】特表2008−523026(P2008−523026A)
【公表日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−544892(P2007−544892)
【出願日】平成17年12月6日(2005.12.6)
【国際出願番号】PCT/EP2005/056500
【国際公開番号】WO2006/061372
【国際公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願人】(501439149)ソルベイ・フアーマシユーチカルズ・ベー・ブイ (71)
【Fターム(参考)】