説明

ナノインプリントリソグラフィー用光硬化性組成物およびナノインプリント方法

【課題】被形状転写層にスタンパを用いて微細パターンを転写形成するインプリント方法において、レジスト膜がはがれる問題を解決する。
【解決手段】(A)少なくとも1つの反応性基を有し、フッ素原子を含有する化合物と、(B)少なくとも1つの反応性基を有し、フッ素原子を含有しない化合物と、(C)前記化合物(A)の反応性基および/または前記化合物(B)の反応性基を活性化する化合物と、を含有するナノインプリントリソグラフィー用光硬化性組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノインプリントリソグラフィー用光硬化性組成物およびナノインプリント方法に関する。更に詳しくは、半導体素子等の回路の集積度や記録密度を向上させるために用いられるナノインプリントリソグラフィーに用いられるナノインプリントリソグラフィー用光硬化性組成物及び該ナノインプリントリソグラフィー用光硬化性組成物を用いたナノインプリント法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子等の回路の集積度や記録密度を向上させるためには、より微細な加工技術が必要である。微細な加工技術として、露光プロセスを用いたフォトリソグラフィ技術は、一度に大面積の微細加工が可能であるが、光の波長以下の分解能を持たない。従って、フォトリソグラフィ技術では、近年、193nm(ArF)、157nm(F2)、13.5nm(EUV)の短波長光を用いたフォトリソグラフィ技術が開発されている。しかしながら、光の波長が短くなると、それに伴い、その波長で透過できる物質が限られるため、微細構造の作成に限界がある。
【0003】
一方、電子線リソグラフィや集束イオンビームリソグラフィ等の方法では、分解能が光の波長に依存せず、微細構造の作成が可能であるものの、スループットの悪さが問題となっている。
【0004】
これに対して、光の波長以下の微細構造を高スループットで作成する手法としては、あらかじめ電子線リソグラフィ等により所定の微細凹凸パターンを作成したスタンパを、レジストを塗布した基板に押し付け、スタンパの凹凸を基板のレジスト膜に転写するナノインプリント法が知られている(例えば、非特許文献1及び2並びに特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5,772,905号公報
【特許文献2】米国特許第5,956,216号公報
【特許文献3】特開2008−162190号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】エス.ワイ.チョウ(S.Y.Chou),「ナノインプリントリソグラフィ技術(Nano Imprint Lithography technology)」
【非特許文献2】アプライド・フィジックス・レターズ(Applied Physics Letters)第76巻,1995年,p.3114
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のナノインプリント法においては、これを実現する上で種々の解決すべき問題があるが、そのなかで「レジスト膜のはがれ」という問題がある。ナノインプリント法では、レジストを塗布した基板をガラス転移温度以上に加熱してレジストを軟化させるために、押し付けたスタンパをレジスト膜から剥がす際に、スタンパにレジスト膜の一部が付着したまま剥がれるという不具合を生じることがあり、これを「レジスト膜のはがれ」と称している。
【0008】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、被形状転写層にスタンパを用いて微細パターンを転写形成するインプリント方法において、レジスト膜がはがれる問題を解決するためのナノインプリントリソグラフィー用光硬化性組成物および該ナノインプリントリソグラフィー用光硬化性組成物を用いたナノインプリント方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、前記のような従来技術の課題を解決するために鋭意検討した結果、以下に示すナノインプリントリソグラフィー用光硬化性組成物等によって、上記課題を解決可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明により、以下のナノインプリントリソグラフィー用光硬化性組成物等が提供される。
【0010】
[1] (A)少なくとも1つの反応性基を有し、フッ素原子を含有する化合物と、(B)少なくとも1つの反応性基を有し、フッ素原子を含有しない化合物と、(C)前記化合物(A)の反応性基および/または前記化合物(B)の反応性基を活性化する化合物と、を含有するナノインプリントリソグラフィー用光硬化性組成物。
【0011】
[2] 前記化合物(A)が、全ての水素原子がフッ素原子に置換された炭素数1〜12のアルキル基を含む上記[1]に記載のナノインプリントリソグラフィー用光硬化性組成物。
【0012】
[3] 前記化合物(B)が1つの反応性基を有する化合物である上記[1]または[2]に記載のナノインプリントリソグラフィー用光硬化性組成物。
【0013】
[4] 前記化合物(A)の反応性基が、(メタ)アクリル基である上記[1]〜[3]のいずれかに記載のナノインプリントリソグラフィー用光硬化性組成物。
【0014】
[5] 前記化合物(B)の反応性基が、(メタ)アクリル基である上記[1]〜[4]のいずれかに記載のナノインプリントリソグラフィー用光硬化性組成物。
【0015】
[6] 前記化合物(B)が、1つの反応性基を有する化合物と2つ以上の反応性基を有する化合物との混合物である上記[1]、[3]、[4]および[5]のいずれかに記載のナノインプリントリソグラフィー用光硬化性組成物。
【0016】
[7] 前記化合物(C)が、光重合開始剤である上記[1]〜[6]のいずれかに記載のナノインプリントリソグラフィー用光硬化性組成物。
【0017】
[8] 前記ナノインプリントリソグラフィー用光硬化性組成物が、有機溶剤を含有しない組成物である上記[1]〜[7]のいずれかに記載のナノインプリントリソグラフィー用光硬化性組成物。
【0018】
[9] 前記(B)成分の含有量を100質量部とするとき、前記(A)成分の含有量が1〜50質量部、(C)成分の含有量が10〜20質量部である上記[1]〜[8]のいずれかに記載のナノインプリントリソグラフィー用光硬化性組成物。
【0019】
[10] (1)上記[1]〜[9]のいずれかに記載のナノインプリントリソグラフィー用光硬化性組成物からなる被形状転写層を形成する工程、(2)前記被形状転写層にスタンパを圧接する工程、(3)被形状転写層を露光する工程、および(4)前記スタンパを前記被形状転写層から脱着する工程を含むナノインプリント法。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、被形状転写層にスタンパを用いて微細パターンを転写形成するインプリント方法において、レジスト膜がはがれる問題を解決するためのナノインプリントリソグラフィー用光硬化性組成物および該ナノインプリントリソグラフィー用光硬化性組成物を用いたナノインプリント方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係るナノインプリント法の要部を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[1]ナノインプリントリソグラフィー用光硬化性組成物:
本発明のナノインプリントリソグラフィー用光硬化性組成物は、(A)少なくとも1つの反応性基を有し、フッ素原子を含有する化合物と、(B)少なくとも1つの反応性基を有し、フッ素原子を含有しない化合物と、(C)前記化合物(A)の反応性基および/または前記化合物(B)の反応性基を活性化する化合物と、を含有する。
【0023】
本発明のナノインプリントリソグラフィー用光硬化性組成物は、25℃における粘度が0.1〜100mPa・sの範囲であることが好ましく、0.5〜50mPa・sであることがより好ましい。このような粘度とすることにより、硬化前の微細凹凸パターンの形成能、塗布適性およびその他の加工適性を付与でき、硬化後においては解像性、ラインエッジラフネス性、残膜特性、基板密着性或いは他の諸点において優れた塗膜物性を付与できる。
【0024】
すなわち、本発明の組成物の粘度を0.1mPa・s以上とすることにより、基板塗布適性がより好ましい傾向にあり、また、膜の機械的強度が向上する傾向にある。具体的には、粘度を0.1mPa・s以上とすることによって、本発明の組成物の塗布の際の面上ムラの発生を抑止できる傾向にあり、塗布時に基板から組成物が流れ出るのを抑止できる傾向にあり好ましい。
【0025】
一方、本発明の組成物の粘度を100mPa・s以下とすることにより、インクジェットを使用した塗布に好適となる。また、微細な凹凸パターンを有するモールドを組成物に密着させた場合でも、モールドの凹部のキャビティ内に組成物が流れやすくなり、大気が取り込まれにくくなるためバブル欠陥を引き起こしにくくなり、モールド凸部において光硬化後に残渣が残りにくくなる。
【0026】
次に、各成分についてそれぞれ具体的に説明する。
【0027】
[1−1](A)少なくとも1つの反応性基を有し、フッ素原子を含有する化合物:
本発明において、(A)少なくとも1つの反応性基を有し、フッ素原子を含有する化合物(本明細書中、成分(A)または、(A)成分と表記する場合もある)の少なくとも1つの反応性基を有し、フッ素原子を含有する化合物としては、次の化合物を例示することができる。
【0028】
フッ化ビニル、テトラフルオロエチレン、トリフルオロクロロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、ヘキサフルオロイソブチレン等の含フッ素モノオレフイン類、パーフルオロ(メタ)アクリル酸、パーフルオロ(メタ)アクリル酸の(シクロ)アルキルエステル、(メタ)アクリル酸のフルオロ(シクロ)アルキルエステル等の含フッ素アクリル系化合物。
【0029】
具体的には、例えば、トリフルオロメチル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロn−プロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロi−プロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロn−ブチル(メタ)アクリレート、パーフルオロi−ブチル(メタ)アクリレート、パーフルオロt−ブチル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ)プロピル(メタ)アクリレート、1−(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ)ペンチル(メタ)アクリレート、1−(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ)ヘキシル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、1−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ)プロピル(メタ)アクリレート、1−(2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロ)ペンタ(メタ)アクリレート、1−(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロ)デシル(メタ)アクリレート、1−(5−トリフルオロメチル−3,3,4,4,5,6,6,6−オクタフルオロ)ヘキシル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0030】
また、以下に示す、(B)少なくとも1つの反応性基を有し、フッ素原子を含有しない化合物の1つまたは複数の水素原子をフッ素原子で置換した化合物であっても良い。なお、(A)成分の化合物は、全ての水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜12のアルキル基を含有するのが好ましい。
【0031】
これらの化合物のうち、(A)成分中の反応性基が(メタ)アクリル基であることが好ましい。なお、本明細書中、(メタ)アクリレートとは、アクリレートとメタアクリレートの双方を指すものとする。また、本明細書中、(メタ)アクリル基とは、アクリル基およびメタアクリル基の双方を指すものとする。なお、本発明における(A)成分には、上記の化合物のうち1種のみを単独で、または、2種以上を混合して使用することができる。
【0032】
本発明のナノインプリントリソグラフィー用光硬化性組成物において、(B)成分の含有量を100質量部としたとき、(A)成分の含有量は、1〜30質量部であるのが好ましい。また、1〜15質量部であることがより好ましい。(A)成分の含有量が、1質量部未満の場合には、テンプレートからの離型不良を引き起こし易い傾向にある。一方、5質量部を超える場合には、組成物のテンプレートへの充填不良を引き起こし易い傾向にある。
【0033】
[1−2](B)少なくとも1つの反応性基を有し、フッ素原子を含有しない化合物:
本発明における、(B)成分の少なくとも1つの反応性基を有し、フッ素原子を含有しない化合物(本明細書中、成分(B)または、(B)成分と表記する場合もある)としては、次の化合物を例示することができる。
【0034】
(1)アルキル(メタ)アクリレート類
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート等。
【0035】
(2)エーテル系(メタ)アクリレート類
2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、n−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等。
【0036】
(3)アルコール系(メタ)アクリレート類
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート等。
【0037】
(4)カルボン酸系(メタ)アクリレート類
2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、アクリル酸ダイマー等。
【0038】
これらの市販品としては、アロニックス M101、M102、M110、M111、M113、M114、M117、M120、M152、M154、M5300、M5400、M5500、M5600(以上、東亞合成社製)、KAYARAD TC−110S、R−128H、R629、R644(以上、日本化薬社製)、IPAA、AIB、SBAA、TBA、IAAA、HEXA、CHA、NOAA、IOAA、INAA、LA、TDA、MSAA、CAA、HDAA、LTA、STA、ISAA−1、ODAA、NDAA、IBXA、ADAA、TCDA、2−MTA、DMA、ビスコート #150、#150D、#155、#158、#160、#190、#190D、#192、#193、#220、#320、#2311HP、#2000、#2100、#2150、#2180、MTG、HEA、HPA、4HBA(以上、大阪有機化学工業社製)、NKエステル M−20G、M−40G、M−90G、M−230G、CB−1、SA、S、AMP−10G、AMP−20G、AMP−60G、AMP−90G、A−SA、NLA(以上、新中村化学工業社製)、ACMO(興人社製)、ライトアクリレート IA−A、L−A、S−A、BO−A、EC−A、MTG−A、DPM−A、PO−A、P−200A、THF−A、IB−XA、HOA−MS、HOA−MPL、HOA−MPE、HOA−HH、IO−A、BZ−A、NP−EA、NP−10EA、HOB−A、FA−108、P−1A、エポキシエステルM−600A、ライトエステルHOA、ライトエステルHOP−A、ライトエステルHOP、ライトエステルHOB、ライトエステルP−1M(以上、共栄社化学社製)、FA−511、FA−512A、FA−513A(以上、日立化成工業社製)、AR−100、MR−100、MR−200、MR−60(以上、大八化学工業社製)、JAMP−100、JAMP−514、JPA−514(以上、城北化学社製)などを挙げることができる。
【0039】
(5)二官能アクリレート類
1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA,EO付加物ジ(メタアクリレート)、ビスフェノールF,EO付加物ジ(メタアクリレート)等。
【0040】
(6)多官能アクリレート類
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンPO変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等。その他、エチレン性不飽和基を有するポリブタジエンオリゴマーやウレタンアクリレートポリマー等を挙げることができる。
【0041】
これらの市販品としては、SA−1002、SA−2006、SA−2007、SA−4100、SA−5001、SA−6000、SA−7600、SA−8000、SA−9000(以上、三菱化学社製)、ビスコート #195、#195D、#214HP、#215、#215D、#230、#230D、#260、#295、#295D、#300、#310HP、#310HG、#312、#335HP、#335D、#360、GPT、#400、V#540、#700、GPT、ビスコート3PA(以上、大阪有機化学工業社製)、KAYARAD MANDA、R−526、NPGDA、PEG400DA、R−167、HX−220、HX−620、R−551、R−712、R−604、R−684、GPO−303、TMPTA、THE−330、TPA−320、TPA−330、PET−30、RP−1040、T−1420、DPHA、D−310、D−330、DPCA−20、DPCA−30、DPCA−60、DPCA−120(以上、日本化薬社製)、アロニックス M−210、M−208、M−215、M−220、M−225、M−233、M−240、M−245、M−260、M−270、M−305、M−309、M−310、M−315、M−320、M−350、M−360、M−400、M−408、M−450(以上、東亞合成社製)、SR−212、SR−213、SR−355(以上、サートマー社製)、リポキシSP−1507(以上、昭和高分子社製)、ライトエステルP−2M、P−2A(以上、共栄社化学社製)、EB−169、EB−179、EB−3603、R−DX63182(以上、ダイセル・ユーシービー社製)、ブレンマーPDE150、PDE200、ADE200(以上、日本油脂社製)などを挙げることができる。
【0042】
これらの化合物のうち、(B)成分中の反応性基が(メタ)アクリル基であることが好ましい。本発明において、(B)成分としては、上記のうち1種のみを単独で、または、2種以上を混合して使用することができる。(B)成分が1つの反応性基を有する化合物と2つ以上の反応性基を有する化合物との混合物であるのが好ましい。
【0043】
[1−3](C)前記化合物(A)の反応性基および/または前記化合物(B)の反応性基を活性化する化合物:
本発明における、(C)前記化合物(A)の反応性基および/または前記化合物(B)の反応性基を活性化する化合物(本明細書中、成分(C)または、(C)成分と表記する場合もある)としては、光重合開始剤を採用することができる。光重合開始剤を含有させることで、低エネルギー線量の光(例えば、紫外線)で反応を開始させることができる。
【0044】
光重合開始剤の種類には、特に制限はないが、具体例としては、ベンゾフェノン、ベンジルジメチルケタール、α−ヒドロキシケトン類、α−アミノケトン類、オキシムエステル類、アシルホスフィンオキサイド系化合物、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパンを挙げることができる。なかでも、α−ヒドロキシケトン類、α−アミノケトン類、アシルホスフィンオキサイド系化合物が好ましく、アシルホスフィンオキサイド系化合物が特に好ましい。これらの光重合開始剤は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0045】
α−ヒドロキシケトン類としては、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン等を挙げることができる。α−アミノケトン類としては、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1等を挙げることができる。
【0046】
また、アシルホスフィンオキサイド系化合物としては、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等を挙げることができる。
【0047】
(C)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、1〜30質量部であることが好ましく、1〜20質量部であることが更に好ましい。(C)成分の含有量が、(A)成分100質量部に対して20質量部超であると、異物が発生するなど保存安定性が悪化する傾向にある。一方、(C)成分の含有量が、(A)成分100質量部に対して10質量部未満であると、低エネルギー線量の光(紫外線等)で反応促進効果が十分に得られないために、彫刻精度が劣る場合がある。
【0048】
[1−4]その他の成分:
本発明のナノインプリントリソグラフィー用光硬化性組成物には、必要に応じて、脂環式骨格含有樹脂、界面活性剤、溶剤等の各種の添加剤を配合することができる。各添加剤の配合量は、その目的に応じて適宜決定することができる。
【0049】
脂環式骨格含有樹脂は、ドライエッチング耐性、パターン形状、基板との接着性等を更に改善する作用を示す成分である。
【0050】
脂環式骨格含有樹脂としては、例えば、1−アダマンタンカルボン酸、2−アダマンタノン、1−アダマンタンカルボン酸t−ブチル、1−アダマンタンカルボン酸t−ブトキシカルボニルメチル、1−アダマンタンカルボン酸α−ブチロラクトンエステル、1,3−アダマンタンジカルボン酸ジ−t−ブチル、1−アダマンタン酢酸t−ブチル、1−アダマンタン酢酸t−ブトキシカルボニルメチル、1,3−アダマンタンジ酢酸ジ−t−ブチル、2,5−ジメチル−2,5−ジ(アダマンチルカルボニルオキシ)ヘキサン等のアダマンタン誘導体類;
【0051】
デオキシコール酸t−ブチル、デオキシコール酸t−ブトキシカルボニルメチル、デオキシコール酸2−エトキシエチル、デオキシコール酸2−シクロヘキシルオキシエチル、デオキシコール酸3−オキソシクロヘキシル、デオキシコール酸テトラヒドロピラニル、デオキシコール酸メバロノラクトンエステル等のデオキシコール酸エステル類;リトコール酸t−ブチル、リトコール酸t−ブトキシカルボニルメチル、リトコール酸2−エトキシエチル、リトコール酸2−シクロヘキシルオキシエチル、リトコール酸3−オキソシクロヘキシル、リトコール酸テトラヒドロピラニル、リトコール酸メバロノラクトンエステル等のリトコール酸エステル類;アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジプロピル、アジピン酸ジn−ブチル、アジピン酸ジt−ブチル等のアルキルカルボン酸エステル類;
【0052】
3−〔2−ヒドロキシ−2,2−ビス(トリフルオロメチル)エチル〕テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン、2−ヒドロキシ−9−メトキシカルボニル−5−オキソ−4−オキサ−トリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン等を挙げることができる。これらの脂環式骨格含有樹脂は、1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0053】
界面活性剤は、塗布性、ストリエーション、現像性等を改良する作用を示す成分である。界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンn−オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンn−ノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のノニオン系界面活性剤の他、以下商品名で、KP341(信越化学工業社製)、ポリフローNo.75、同No.95(共栄社化学社製)、エフトップEF301、同EF303、同EF352(トーケムプロダクツ社製)、メガファックスF171、同F173(大日本インキ化学工業社製)、フロラードFC430、同FC431(住友スリーエム社製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−102、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC−106(旭硝子社製)等を挙げることができる。これらの界面活性剤は、1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0054】
溶剤としては、少なくとも(A)〜(C)成分を溶解可能な溶剤であれば、特に限定されるものではない。
【0055】
溶剤としては、例えば、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、シクロヘキサノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、
【0056】
トルエン、キシレン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸メチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、3−メチル−3−メトキシブチルブチレート、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸n−ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ベンジルエチルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、カプロン酸、カプリル酸、1−オクタノール、1−ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、しゅう酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ−ブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン等を挙げることができる。
【0057】
しかしながら、本発明のナノインプリントリソグラフィー用光硬化性組成物においては、実質的に溶剤を含まないのが好ましい。
【0058】
その他の成分としては、染料、顔料、接着助剤等を用いることもできる。例えば、接着助剤を配合することによって、基板との接着性を改善することができる。他の添加剤としては、アルカリ可溶性樹脂、酸解離性の保護基を有する低分子のアルカリ溶解性制御剤、ハレーション防止剤、保存安定化剤、消泡剤等を挙げることができる。
【0059】
なお、その他の成分は、以上説明した各種添加剤1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0060】
[2]インプリント方法:
以下、本発明のインプリント方法については、図1を用いて詳述する。
【0061】
本発明のインプリント方法は、(1)ナノインプリントリソグラフィー用光硬化性組成物からなる被形状転写層を形成する工程(図1中、PR1)、(2)被形状転写層にスタンパを圧接する工程(図1中、PR2)、(3)被形状転写層を露光する工程(図1中、PR3)、および(4)スタンパを前記被形状転写層から脱着する工程(図1中、PR4)を含む。
【0062】
[2−1](1)ナノインプリントリソグラフィー用光硬化性組成物からなる被形状転写層を形成する工程:
ナノインプリントリソグラフィー用光硬化性組成物からなる被形状転写層を形成する工程(PR1)は、基板20上に上述の本発明のナノインプリントリソグラフィー用光硬化性組成物を塗布して、被形状転写層30を形成する工程である。本発明の光ナノインプリントリソグラフィー用光硬化性組成物は、一般によく知られた塗布方法、例えば、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、エクストルージョンコート法、スピンコート方法、スリットスキャン法などにより、塗布することにより形成することができる。しかしながら、インクジェットにより、被形状転写層に塗布するのが好ましい。本発明の光硬化製組成物からなる層の膜厚は、使用する用途によって異なるが、0.01μm〜5.0μmである。また、本発明の光ナノインプリントリソグラフィー用光硬化性組成物は、多重塗布してもよい。
【0063】
[2−2](2)被形状転写層にスタンパを圧接する工程:
被形状転写層にスタンパを圧接する工程(圧接工程;PR2)は、基板20上に設けられた被形状転写層30に前記本発明のインプリント用スタンパ10を圧接する工程である。
【0064】
前記「被形状転写層30」は、スタンパ10が有する凹凸パターン11が圧接されて、この凹凸パターンが転写される層である。この被形状転写層30は、硬化された凹凸パターンを有するまで(即ち、パターン層となるまで)の過程の全ての状態の層をいうものとする。即ち、凹凸パターンが圧接される前段階の層、凹凸パターンが圧接された層、半硬化された凹凸パターンを有する層などが含まれる。
【0065】
また、この被形状転写層30は、凹凸パターンが形成されることで、例えば、LSI、システムLSI、DRAM、SDRAM、RDRAM、D−RDRAM等の半導体素子の層間絶縁膜用膜、半導体素子製造時におけるレジスト膜等として利用することができる。
【0066】
本発明で用いることのできるスタンパ10は、転写されるべきパターンを有するスタンパが使われる。スタンパ10は、例えば、フォトリソグラフィや電子線描画法等によって、所望する加工精度に応じてパターンが形成できるが、本発明では、スタンパ10のパターン形成方法は特に制限されない。本発明において用いられる光透過性スタンパ材は、特に限定されないが、所定の強度、耐久性を有するものであれば良い。具体的には、ガラス、石英、PMMA、ポリカーボネート樹脂などの光透明性樹脂、透明金属蒸着膜、ポリジメチルシロキサンなどの柔軟膜、光硬化膜、金属膜等が例示される。
【0067】
また、この圧接工程PR2における圧接の際の圧力は特に限定されないが、通常、0.1MPa以上(100MPa以下)である。この圧力は0.1〜50MPaが好ましく、0.1〜30MPaがより好ましく、0.1〜20MPaが特に好ましい。更に、圧接する時間は特に限定されないが、通常、1秒以上(600秒以下)である。この圧接時間は0.1〜300秒が好ましく、0.1〜180秒がより好ましく、0.1〜120秒が特に好ましい。
【0068】
[2−3](3)被形状転写層を露光する工程:
本発明の被形状転写層を露光する工程(PR3)は、圧接工程を経た被形状転写層30に対して、露光を行い、硬化反応(光硬化)を行う工程である。光硬化を行う場合、用いる放射線種は特に限定されず、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、電子線等の荷電粒子線等の放射線{ArFエキシマレーザー(波長193nm)或いはKrFエキシマレーザー(波長248nm)などを含む}を用いることができる。また、露光は被形状転写層の全面に行ってもよく、一部領域にのみ行ってもよい。更に、前述のようにスタンパが透光性を有する場合には、放射線をスタンパを透過させて被形状転写層へ露光することができる。
【0069】
[2−4](4)スタンパを前記被形状転写層から脱着する工程:
スタンパを前記被形状転写層から脱着する工程(分離工程;PR4)は、インプリント用スタンパ10を被形状転写層30から分離する工程である。この分離工程PR4を行う前の状態における各層は、「基板20」、「被形状転写層30」、「スタンパ10」の順に積層された状態にあり、被形状転写層を露光する工程(PR3)によって、基板20と被形状転写層30との間の密着強度よりも、被形状転写層20とスタンパ10との間の密着強度を低下させ、そのうえでこの分離を行うことができる。これにより共剥がれを防止できる。この分離工程PR3はどのようにして行ってもよく、分離に際する各種条件等も特に限定されない。即ち、例えば、基板20を固定してスタンパ10を基板20から遠ざかるように移動させて分離してもよく、スタンパ10を固定して基板20をスタンパ10から遠ざかるように移動させて分離してもよく、これらの両方を逆方向へ引っ張って分離してもよい。
【0070】
また、本発明のインプリント方法では離型剤を用いることができる。即ち、圧接工程前に、スタンパの凹凸パターンを有する表面に離型剤を付着させる離型剤付着工程を行った後、前記各種次の工程を行うことができる。これにより、導電性膜により離型性向上効果を更に補助することができる。
【0071】
離型剤を用いる場合、その種類は特に限定されないが、例えば、シリコン系離型剤、フッ素系離型剤、ポロエチレン系離型剤、ポロプロピレン系離型剤、パラフィン系離型剤、モンタン系離型剤、カルナバ系離型剤等が挙げられる。これらの離型剤は1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらのなかでも、特にシリコン系離型剤が好ましい。このシリコン系離型剤としては、ポリジメチルシロキサン、アクリルシリコーングラフトポリマー、アクリルシロキサン、アリールシロキサン等が挙げられる。これらのシリコン系離型剤は1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0072】
前記被形状転写層として、例えば、低比誘電率の層間絶縁膜の形成を目的とする場合には、具体的には、シラン系重合体と空孔形成剤とが含有された被形状転写層に対してパターン形成を行った後、硬化させて、次いで、得られた硬化物(半硬化物などを含む)から前記空孔形成剤を除去することでシラン系重合体を主成分とする層間絶縁膜(パターン層)を得ることができる。
【実施例】
【0073】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。
【0074】
(1)ナノインプリントリソグラフィー用光硬化性組成物の調製
表1に従い実施例1〜3および比較例1のナノインプリントリソグラフィー用光硬化性組成物を調製した。
【0075】
【表1】

【0076】
A−1:β−(パーフルオロオクチル)エチルアクリレート
CH=CH−COO−CHCH−C17
B−1:トリシクロデカンジメタノールアクリレート
【0077】
【化1】

【0078】
B−2:アクリル酸イソボルニル
【0079】
【化2】

【0080】
B−3:1,9ノナンジオールジアクリレート
【0081】
【化3】

【0082】
C−1:2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン
【0083】
【化4】

【0084】
C−2:2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパン
【0085】
【化5】

【0086】
(2)評価
実施例1〜3および比較例1のナノインプリントリソグラフィー用光硬化性組成物について、下記評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0087】
1.離型性(パターン形状)
コータ/デベロッパ(商品名「CLEAN TRACK ACT8」、東京エレクトロン社製)を用いて、8インチシリコンウエハの表面に、まず、膜厚300nmの有機下層膜(商品名「NFC CT08」、JSR社製)を形成し、次いで、膜厚45nmの無機中間膜(商品名「NFC SOG08」、JSR社製)を形成して、本基板を四分割し実験用基板とした。その後、各種ナノインプリントリソグラフィー用光硬化性組成物を前記実験用基板の中心に50μL程度スポットし、簡易インプリント装置(エンジニアリングシステム社製 EUN−4200)のワークステージに設置した。
【0088】
一方、離型材(ダイキン化成販売社より入手。商品名「HD−1100Z」)を所定の方法であらかじめ塗布した石英テンプレートを(NTT−ATN社製 NIM−PH350)を、シリコーンゴム(厚さ0.2mm)を接着層として、簡易インプリント装置の石英製露光ヘッドへ貼り付けた。次いで、簡易インプリント装置の圧力を0.2MPaにした後、露光ヘッドを下降させテンプレートと実験基板とを各種ナノインプリントリソグラフィー用光硬化性組成物を介して密着させ、UV露光を15秒間実施した。15秒の後に露光ステージを上昇させテンプレートを硬化した組成物層から離型した。得られた実験基板上のUV硬化膜について、走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製 S−4200)にて断面形状を観察した。350nm線幅でパターン角度が85度付近の場合を、「良好」とし、そうでない場合「不良」として評価をおこなった。結果を表1に示す。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明のナノインプリントリソグラフィー用光硬化性組成物は、半導体素子等の製造過程において使用することができる。
【符号の説明】
【0090】
10:スタンパ、11:凹凸パターン、20:基板、30:被形状転写層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)少なくとも1つの反応性基を有し、フッ素原子を含有する化合物と、
(B)少なくとも1つの反応性基を有し、フッ素原子を含有しない化合物と、
(C)前記化合物(A)の反応性基および/または前記化合物(B)の反応性基を活性化する化合物と、
を含有するナノインプリントリソグラフィー用光硬化性組成物。
【請求項2】
前記化合物(A)が、全ての水素原子がフッ素原子に置換された炭素数1〜12のアルキル基を含む請求項1に記載のナノインプリントリソグラフィー用光硬化性組成物。
【請求項3】
前記化合物(B)が1つの反応性基を有する化合物である請求項1または2に記載のナノインプリントリソグラフィー用光硬化性組成物。
【請求項4】
前記化合物(A)の反応性基が、(メタ)アクリル基である請求項1〜3のいずれか1項に記載のナノインプリントリソグラフィー用光硬化性組成物。
【請求項5】
前記化合物(B)の反応性基が、(メタ)アクリル基である請求項1〜4のいずれか1項に記載のナノインプリントリソグラフィー用光硬化性組成物。
【請求項6】
前記化合物(B)が、1つの反応性基を有する化合物と2つ以上の反応性基を有する化合物との混合物である請求項1、3、4および5のいずれか1項に記載のナノインプリントリソグラフィー用光硬化性組成物。
【請求項7】
前記化合物(C)が、光重合開始剤である請求項1〜6のいずれか1項に記載のナノインプリントリソグラフィー用光硬化性組成物。
【請求項8】
前記ナノインプリントリソグラフィー用光硬化性組成物が、有機溶剤を含有しない組成物である請求項1〜7のいずれか1項に記載のナノインプリントリソグラフィー用光硬化性組成物。
【請求項9】
前記(B)成分の含有量を100質量部とするとき、前記(A)成分の含有量が1〜50質量部、(C)成分の含有量が10〜20質量部である請求項1〜8のいずれか1項に記載のナノインプリントリソグラフィー用光硬化性組成物。
【請求項10】
(1)請求項1〜9のいずれか1項に記載のナノインプリントリソグラフィー用光硬化性組成物からなる被形状転写層を形成する工程、
(2)前記被形状転写層にスタンパを圧接する工程、
(3)被形状転写層を露光する工程、および
(4)前記スタンパを前記被形状転写層から脱着する工程
を含むナノインプリント法。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2010−258026(P2010−258026A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−102972(P2009−102972)
【出願日】平成21年4月21日(2009.4.21)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】