説明

ナノインプリント用樹脂組成物

【課題】 微細なパターンを高い精度で効率よく安定して形成することができるナノインプリント用樹脂組成物及びその硬化物を提供する。
【解決手段】 本発明のナノインプリント用樹脂組成物は側鎖にラジカル反応性基と酸基とを有する樹脂を含むことを特徴としている。前記側鎖にラジカル反応性基と酸基とを有する樹脂としては、例えば、酸基含有(メタ)アクリル樹脂(A)と、ラジカル重合性基及びエポキシ基を有する化合物(B)との反応生成物を用いることができる。本発明の微細構造物は、(1)上記本発明のナノインプリント用光硬化性樹脂組成物をを塗布して被膜を形成する工程、(2)前記被膜にナノスタンパを用いてパターンを転写する工程、及び(3)パターンが転写された被膜を硬化させて微細構造物を得る工程を含む方法により製造できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノインプリント加工により微細なパターンを高い精度で形成するのに適した樹脂組成物、これを用いて微細構造物を製造する方法、及びこの方法で製造される微細構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
1μm未満の範囲に到るまでの解像度が必要な電子部品の小型化は、実質上フォトリソグラフィ技法により達成されてきた。高解像度化は、露光波長が短いArFと及びその液浸技術の進展で達しされつつあるが、32nm辺りからは、用いる樹脂のサイズに近づいてきており、ラインエッジラフネス等の問題が顕在化してきている。さらに、解像度、壁面傾斜および縦横比(高さ対解像度比)に対するますます高い要求に応えるため、マスク、マスクアライナおよびステッパなどのフォトリソグラフィ用装置のコストが急増している。特に最新のステッパは極めて高価格であるため、マイクロチップ製造全体のコストを押しあげる結果となっている。また、電子線およびX線などの短い波長の放射線を使用して精細化を図る検討も行われているが、生産性の観点から多くの問題点を残している。
【0003】
また、一般に、液晶ディスプレイには、優れた視野角や輝度を得るため、導光版、プリズムシート、偏光板、反射防止フィルム等からなる複数の機能性フィルムが用いられている。これらの機能性フィルムは、所望の機能を発揮するためには精度良く計算された微細パターンの再現が不可欠であるため、近年、表面に微細な凹凸を作成したフィルム開発が精力的に成されている。
【0004】
フィルムに微細な凹凸パターンを形成する方法として、米国特許第5,772,905号には、基板(ウェハ)の全表面に付着させた熱可塑性樹脂からなるレジストに、レリーフを有する剛性スタンプを用いて熱可塑性変形を施すナノインプリント方法が開示されている。この方法では、熱スタンピング用レジストとして、熱可塑性樹脂(ポリメタクリル酸メチル、PMMA)が用いられているが、全ウェハ表面に亘り約100nmの厚さの通常の変動幅が存在するため、剛性スタンプを用いて6、8および12インチウェハを1工程で構造化することは極めて困難である。そのため、パターン形勢法としてより複雑な「ステップアンドリピート」法の採用が考えられる。しかしながら、この方法はすでに構造化された隣接する領域を再加熱するため、製造工程上不向きである。また、熱可塑性樹脂を素材として用いると、熱による膨張、収縮が起こり、設計通りのフィルムを得る事が難しいという問題があった。
【0005】
国際公開WO99/22849号には、上記と異なるアプローチをとる微細構造化の方法が開示されている。具体的には、所望の微細構造を有する柔軟なポリジメチルシロキサンのスタンプを平らな無機基板上に置き、毛管現象を利用して微細構造中にTEOS溶液を浸透させた後、構造物から溶媒(TEOS溶液)を除去することにより、目的の多孔性SiO構造物を形成する方法である。こうして得られる多孔体は、主にバイオミメティクスの分野(歯および骨用の複合材料)に使用されている。しかし、この方法によっては、半導体や液晶分野に求められる程度に極めて微細なパターンを精度よく製造することは困難である。
【0006】
米国特許第5,900,160号、米国特許第5,925,259号および米国特許第5,817,242号には、スタンプをUV硬化性レジスト(自己組織化単膜、たとえばアルキルシロキサン)で濡らし、次いで平滑な基板上にプレスする方法が開示されている。この方法は、従来のスタンププロセスと同様に、スタンプを基板表面から上昇させると、構造化されたレジスト材料が残る方法である。使用したレジスト材料は、基板に対して良好な濡れを示すが、回路パターン形成後に基板から剥離しにくく、エッチング耐性が十分でないという問題があった。しかも、構造物の寸法(解像度)は1μmの領域にあり、半導体や液晶などの分野で求められているナノメートルオーダーの微細なパターンを精度よく製造することは困難であった。
【0007】
【特許文献1】米国特許第5,772,905号
【特許文献2】国際公開WO99/22849号パンフレット
【特許文献3】米国特許第5,900,160号
【特許文献4】米国特許第5,925,259号
【特許文献5】米国特許第5,817,242号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、微細なパターンを高い精度で効率よく安定して形成することができるナノインプリント用樹脂組成物及びその硬化物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、特定の官能基を有する樹脂を含む樹脂組成物によれば、ナノインプリント加工を施すことにより微細なパターンを効率よく形成することができること、このような樹脂組成物を用いたナノインプリント加工により微細構造物を大量に生産でき、経済的に極めて有利であることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明は、側鎖にラジカル反応性基と酸基とを有する樹脂(A)を含むナノインプリント用樹脂組成物を提供する。前記側鎖にラジカル反応性基と酸基とを有する樹脂(A)は、酸基含有(メタ)アクリル樹脂(i)と、ラジカル重合性基及びエポキシ基を有する化合物(ii)との反応生成物であってもよい。
【0011】
本発明の樹脂組成物は、さらに、硬化性モノマー(B)及び重合開始剤(C)を含んでいてもよい。本発明の樹脂組成物は、また、ナノスケール粒子(D)として、酸化物類、硫化物類、セレン化物類、テルル化物類、ハロゲン化物類、炭化物類、ヒ化物類、アンチモン化物類、窒化物類、リン化物類、炭酸塩類、カルボン酸塩類、リン酸塩類、硫酸塩類、ケイ酸塩類、チタン酸塩類、ジルコン酸塩類、アルミン酸塩類、スズ酸塩類、鉛酸塩類およびこれらの混合酸化物からなる群から選択される少なくとも一つを素材とするナノスケール粒子を含んでいてもよい。
【0012】
また、本発明は、上記本発明の樹脂組成物にナノインプリント加工を施して微細構造物を得る微細構造物の製造方法を提供する。本発明の方法は、例えば、(1)上記本発明の樹脂組成物を支持体上に塗布して被膜を形成する工程、(2)前記被膜にナノスタンパを用いてパターンを転写する工程、及び(3)パターンが転写された被膜を硬化させて微細構造物を得る工程を含んでいる。
【0013】
前記工程(2)において、シリコーン、ガラス、及びシリカガラスから選択される少なくとも一つを素材とするナノスタンパを用いてもよい。また、前記工程(2)及び(3)が、被膜にナノスタンパを、0.1〜10MPaの圧力で、5〜300秒間のプレスしてパターンを転写すると同時に、加熱又UV照射を施して被膜を硬化させて微細構造物を得る工程であってもよい。本発明の製造方法は、さらに、(4)硬化後の被膜に、CHF及び/又はOプラズマを用いてエッチングを施す工程を含んでいてもよい。
【0014】
本発明は、上記本発明の製造方法で得られる微細構造物を提供する。本発明における微細構造物としては、例えば、半導体材料、回折型集光フィルム、偏光フィルム、光導波路、又はホログラム等が挙げられる。
【0015】
本願明細書中、「ナノインプリント」とは、支持体上に設けた被膜にナノスタンパをプレスしてパターンを転写する通常のナノインプリント(狭義のナノインプリント)のほか、ナノスタンパの代わりに微細パターンが形成された金型を用い、当該金型上に樹脂組成物を流し込み、その上に支持体を重ね、最上面からプレスする方法を用いた金型による微細パターン転写技術(広義のナノインプリント)をも含む意味に用いる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、硬化収縮しにくい樹脂組成物を用いるため、ナノインプリント加工により、ナノメートルオーダーの微細パターンを有する微細構造物を高い精度で効率よく製造することができる。このような樹脂組成物にナノインプリント加工を施す方法は、微細構造物の大量生産に好適であり、半導体材料や光導波路、ホログラムなどの微細構造物を経済的に効率よく製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明のナノインプリント用樹脂組成物は、側鎖にラジカル反応性基と酸基とを有する樹脂を含むことを特徴としている。このような樹脂を用いることにより、硬化収縮が抑制され、微細なパターン形成を精度よく行うことができる。
【0018】
本発明における側鎖にラジカル反応性基と酸基とを有する樹脂としては、例えば、ノボラック系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂等の樹脂を主鎖とし、その側鎖にラジカル反応性基と酸基とが導入された樹脂等が挙げられる。このような樹脂は、公知の方法で製造することができる。本発明において、ラジカル反応性基とは、不飽和基(二重結合等)等のラジカル反応性を有する官能基であって、公知のものから適宜選択して用いることができ、例えば(メタ)アクリロイル基、ビニル基等が挙げられ、特に(メタ)アクリロイル基が好ましく用いられる。本発明における酸基としては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基などが挙げられ、特にカルボキシル基が好ましく用いられる。
【0019】
代表的な側鎖にラジカル反応性基と酸基とを有する樹脂(A)として、酸基含有(メタ)アクリル樹脂(i)と、ラジカル重合性基及びエポキシ基を有する化合物(ii)との反応生成物が挙げられる。より詳細には、側鎖に酸基を有する(メタ)アクリル樹脂に、その側鎖の一部の酸基を介して、ラジカル重合性基及びエポキシ基を有する化合物が付加された変性樹脂である。
【0020】
酸基含有(メタ)アクリル樹脂(i)としては、側鎖に酸基を有する(メタ)アクリル樹脂であれば特に限定されないが、例えば(メタ)アクリル酸エステル(i-1)と、酸基と不飽和基を有する化合物(i-2)との共重合体等が挙げられる。
【0021】
(メタ)アクリル酸エステル(i-1)には、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、カプロカクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル類;メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、イソオクチルオキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート類等が含まれる。また、アクリル系シラン化合物としては、例えば、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、アクリロキシエトキシプロピルトリメトキシシラン、アクリロキシエトキシプロピルトリエトキシシラン、アクリロキシジエトキシプロピルトリメトキシシラン、アクリロキシジエトキシプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
【0022】
酸基と不飽和基を有する化合物(i−2)には、例えば、(メタ)アクリル酸、ビニルフェノール、変性不飽和カルボン酸等が含まれる。変性不飽和カルボン酸とは、不飽和基(二重結合)と末端カルボキシル基の間が鎖延長された構造を有する化合物を意味しており、例えば、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリロイルアルキルカルボン酸、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸などの(メタ)アクリロイルオキシアルキルカルボン酸などのアルキル変性不飽和カルボン酸;ラクトン変性不飽和カルボン酸等のエステル結合を有する変性不飽和カルボン酸;エーテル結合を有する変性不飽和カルボン酸等が挙げられる。
【0023】
なかでも、ラクトン変性不飽和カルボン酸等のエステル結合を有する変性不飽和カルボン酸、エーテル結合を有する変性不飽和カルボン酸が好ましく用いられる。また、酸基を有する変性(メタ)アクリル系化合物も好ましく用いられ、特に酸基を有するラクトン変性(メタ)アクリル系化合物、酸基及びエーテル結合を有する変性(メタ)アクリル系化合物等が好ましい。
【0024】
酸基を有するラクトン変性(メタ)アクリル系化合物には、例えば、(メタ)アクリル酸をラクトン変性させた化合物、及び末端水酸基を酸無水物で酸変性させたラクトン変性物等が含まれる。これらのラクトン変性不飽和カルボン酸の代表的な例として、前者には下記式(a)で表される化合物等を、後者には下記式(b)で表される化合物等を例示できる。
【化1】


(式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、R及びRはそれぞれ水素原子、メチル基、又はエチル基を示し、Rは炭素数1〜10の2価の脂肪族炭化水素、炭素数1〜6の2価の脂環式炭化水素基、p−キシレン、又はフェニレンを示し、mは4〜8の整数、nは1〜10の整数を示す)
【0025】
酸基及びエーテル結合を有する変性(メタ)アクリル系化合物としては、例えば、下記式(c)
【化2】


(式中、Rは、水素原子又はメチル基を示し、R及びRは、同一又は異なって、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、及びブチル基を示し、Rは、炭素数1〜10の2価の炭化水素基、炭素数1〜6の2価の脂環式炭化水素基、炭素数6〜20の2価の芳香族性炭化水素基を示し、m及びnは1〜10の整数を示す)
で表される化合物等を例示できる。
【0026】
これらの酸基と不飽和基を有する化合物(i-2)は、マレイン酸等のカルボン酸等の酸基を分子中に2個以上含んでいてもよい。酸基と不飽和基を有する化合物(i-2)は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0027】
酸基含有(メタ)アクリル樹脂(i)は、(メタ)アクリル酸エステル(i-1)と、酸基と不飽和基を有する化合物(i-2)とを、慣用の方法で重合させて得ることができる。重合に際しては、他の重合性成分を添加しても良い。他の重合性成分としては、例えばラジカル重合性化合物等が好ましく用いられる。ラジカル重合性化合物としては、例えば、スチレン、メチルスチレン、ヒドロキシスチレン等が挙げられ、特にヒドロキシスチレン等が好適である。好ましい態様としては、(メタ)アクリル酸エステル(i-1)と、酸基と不飽和基を有する化合物(i-2)と、ラジカル重合性を有する化合物とを重合させて得られる酸基含有(メタ)アクリル樹脂(i)が挙げられる。
【0028】
ラジカル重合性基及びエポキシ基を有する化合物(ii)としては、分子内に少なくとも一つのラジカル重合性基とエポキシ基とを有する化合物であれば特に限定されないが、例えば、ラジカル重合性基として(メタ)アクリロイル基等の不飽和基を有する化合物が好ましく用いられる。このようなラジカル重合性基及びエポキシ基を有する化合物(ii)としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、βーメチルグリシジルメタクリレート、エポキシ化イソプレニル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等の脂肪族炭化水素基含有(メタ)アクリレートなどの脂肪族系エポキシ基含有不飽和化合物;及び下記式に例示される脂環式エポキシ基含有不飽和化合物等が挙げられる。
【0029】
【化3】


(式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数1〜10のアルキレン基を示し、Rは炭素数1〜10の炭化水素基を示し、kは0又は1〜10の整数を示す)
【0030】
本発明における側鎖にラジカル反応性基と酸基とを有する樹脂(A)は、例えば、酸基含有(メタ)アクリル樹脂(i)と、ラジカル重合性基及びエポキシ基を有する化合物(ii)とを原料として、酸基にエポキシ基を導入する反応として公知の方法を用いて得ることができる。
【0031】
側鎖にラジカル反応性基と酸基とを有する樹脂(A)の重量平均分子量は、例えば2000〜50000程度、好ましくは2000〜15000程度である。前記重量平均分子量が2000未満のときは、硬化収縮の抑制効果が得られにくく、50000を越えると樹脂組成物の粘度上昇が著しく均一な被膜が形成しにくいなど取扱性に劣り好ましくない。
【0032】
本発明における樹脂の側鎖に有するラジカル反応性基及び酸基の量は、慣用の方法で測定することができる。具体的には、樹脂の側鎖にあるラジカル反応性基は、樹脂の二重結合当量として、酸基は、樹脂の酸価として、それぞれ定量することが可能である。本発明における樹脂の二重結合当量は、例えば400〜2000程度、好ましくは500〜1500程度である。前記二重結合当量が400未満では硬化時の収縮率が高くなりやすく、2000を越えると硬化後の塗膜強度が低下しやすく好ましくない。また、樹脂の酸価は、例えば20〜150mgKOH/g程度、好ましくは20〜120mgKOH/g程度である。前記酸価が20mgKOH/g未満では、樹脂組成物の被積層体(基板等)との密着性が低下しやすく、120KOH/gを越える場合は耐水性に劣る傾向にあり好ましくない。
【0033】
本発明の樹脂組成物は、さらに硬化性モノマー(B)、重合開始剤(C)、光増感剤、ナノスケール粒子(D)等の他の成分を含んでいてもよい。
【0034】
硬化性モノマー(B)は、光硬化性の促進及び組成物の粘度を低下する目的で利用され、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート,2−ヒドロキシプロピルアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリウレタンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド変性トリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート及び上記アクリレートに対応する各メタクリレート類、多塩基酸とヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとのモノ−、ジ−、トリ−又はそれ以上のポリエステルなどが例示できる。これらの硬化性モノマーは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0035】
硬化性モノマー(B)の含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物全体に対して、例えば60〜95重量%程度である。
【0036】
重合開始剤(C)としては、光又は熱重合開始剤として公知慣用のものを用いることができる。代表的な光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾイン・ベンゾインアルキルエーテル類;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オンなどのアセトフェノン類;2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−ターシャリーブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノンなどのアントラキノン類;2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−イソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタールなどのケタール類;ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類;キサントン類;1,7−ビス(9−アクリジニル)ヘプタンなどが挙げられる。これらの重合開始剤は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0037】
代表的な熱重合開始剤としては、例えば、ジアシルペルオキシド類、ペルオキシジカーボネート類、アルキルペルエステル類、ジアルキルペルオキシド類、ペルケタール類、ケトンペルオキシド類およびアルキルヒドロペルオキシドの形態の有機過酸化物である。これらの熱重合開始剤の具体例としては、例えば、ジベンゾイルペルオキシド、過安息香酸t−ブチルおよびアゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。
【0038】
重合開始剤(C)の市販品には、例えば光重合開始剤として、Ciba社から入手可能なIrgacure(登録商標)184(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)、Irgacure(登録商標)500(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾフェノン)、およびIrgacure(登録商標)タイプのその他の光重合開始剤;Darocur(登録商標)1173、1116、1398、1174および1020(Merck社から入手可能)等が挙げられる。
【0039】
重合開始剤(C)の含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物全体に対して、例えば0.1〜20重量%程度である。
【0040】
光増感剤は、光重合開始剤と組み合わせて用いることが好ましい。光増感剤っとしては、光増感剤として公知慣用のものを利用でき、例えば、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、トリエチルアミン、トリエタノールアミンなどの三級アミン類などが挙げられる。これらの光増感剤は1種あるいは2種以上と組み合わせて用いることができる。
【0041】
光増感剤の含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物全体に対して、例えば0.1〜5重量%程度である。
【0042】
ナノスケール粒子(D)は、硬化物の屈折率を向上する目的で、必要に応じて添加される。特にナノスケール粒子(D)を含む樹脂組成物によれば、高い屈折率を有する回折型集光フィルムを製造することができる。このようなナノスケール粒子(D)は、有機粒子、無機粒子のいずれであっても良い。このようなナノスケール粒子としては、例えば、非重合性シラン、重合性シラン及び重合性シランの重縮合物等が挙げられる。前記非重合性シランには、下記式(I)
Si(X) (I)
(式中、Xは、水素原子、ハロゲン原子、加水分解性基又はヒドロキシル基を示す。但し、4個のXは同一であってもよく異なっていてもよい)
で表される化合物等が含まれる。前記重合性シランには、下記式(II)
(R36(R37Si(X)(4−a−b) (II)
(式中、R36は非加水分解性基であり、R37は官能基を有する有機基であり、Xは加水分解性基又はヒドロキシル基を示し、a及びbは0、1、2、3のいずれかを示す。但し、合計(a+b)は1、2、3の何れかであり、a個のR36、b個のR37、4個のXは、それぞれ同一であってもよく異なっていてもよい)
で表される化合物が含まれる。前記重合性シランの重縮合物は、同一又は異なる重合性シランからなる単独重合体及び共重合体のいずれであっても良い。
【0043】
Xにおけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。Xにおける加水分解性基としては、例えば、水素原子、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシおよびブトキシなどのC〜Cアルコキシなどのアルコキシル基;フェノキシなどのC〜C10アリールオキシなどのアリールオキシ基;アセトキシ及びプロピオニルオキシなどのアシルオキシ;アセチルなどのC〜Cアルキルカルボニルなどのアルキルカルボニル基等が挙げられる。Xにおける加水分解性基は、ハロゲン原子、アルコキシなどの慣用の置換基を一又は複数有していてもよい。
【0044】
36における非加水分解性基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチルおよびtert−ブチル、ペンチル、ヘキシルなどのC〜Cアルキルなどのアルキル;シクロヘキシルなどのシクロアルキル;ビニル、1−プロペニル、2−プロペニルおよびブテニルなどのC〜Cアルケニルなどのアルケニル;アセチレニルおよびプロパギルなどのC〜Cアルキニルなどのアルキニル;フェニルおよびナフチルなどのC〜C10アリールなどのアリール等が挙げられる。R36における非加水分解性基は、ハロゲン原子、アルコキシなどの慣用の置換基を一又は複数有していてもよい。
【0045】
37の有機基が有する官能基としては、例えば、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ、エポキシ、オキセタニル、ヒドロキシル、エーテル、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アミド、カルボキシル、メルカプト、チオエーテル、ビニル、シアノ、ハロゲン、アルデヒド、アルキルカルボニル、スルホおよびリン酸基である。これらの官能基は、酸素または硫黄原子または−NH−基によって割り込まれていてもよい、アルキレン、アルケニレンまたはアリーレン橋かけ基を介してケイ素原子に結合されることが好ましい。前記橋かけ基は、たとえば上記のアルキル、アルケニルまたはアリール基から誘導される。R37の橋かけ基は、好ましくは1〜18特に1〜8個の炭素原子を含む。
【0046】
式(II)中、aは好ましくは0,1、2のいずれかの値を有し、bは好ましくは1または2の値を有し、(a+b)の合計は好ましくは1または2の値を有する。
【0047】
式(I)で表される非重合性シランのなかでも、Xが加水分解性基である化合物が好ましく、特に好ましくは、トラエトキシシラン(TEOS)およびテトラメトキシシランなどのテトラアルコキシシラン類等である。
【0048】
式(II)で表される重合性シランのなかでも、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランなどの反応性の高い不飽和基(二重結合)を有するシラン類;3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(GPTS)や3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシランなどのエポキシシラン類等が好ましい。これらの不飽和基を有するシラン類及びエポキシシラン類は、分子内の不飽和基やエポキシ基を介して、樹脂(A)や硬化性モノマー(B)等との重付加または重合反応を進行させることにより、硬化後の樹脂が形成する網状構造中にナノスケール粒子を固定化することができるという点で有利である。
【0049】
重合性シランの重縮合物は、上記に例示の重合性シランが重縮合反応して得られる化合物であり、必要に応じて加水分解反応等が進行したものであってもよい。前記加水分解反応および重縮合反応は、必要に応じてHCl、HNOまたはNHなどの酸性又は塩基性の縮合触媒の存在下、ゾルゲル法などの公知の方法に従って行うことができる。
【0050】
ナノスケール無機粒子としては、酸化物類、硫化物類、セレン化物類、テルル化物類、ハロゲン化物類、炭化物類、ヒ化物類、アンチモン化物類、窒化物類、リン化物類、炭酸塩類、カルボン酸塩類、リン酸塩類、硫酸塩類、ケイ酸塩類、チタン酸塩類、ジルコン酸塩類、アルミン酸塩類、スズ酸塩類、鉛酸塩類およびこれらの混合酸化物からなる群から選択される少なくとも一つを素材とするナノスケール粒子等が挙げられる。
【0051】
具体的なナノスケール無機粒子としては、公知のものから適宜選択することができ、例えば国際公開第96/31572号パンフレット等に開示のものを利用できる。具体的なナノスケール無機粒子としては、例えば、CaO、ZnO、CdO、SiO、TiO、ZrO、CeO、SnO、PbO、Al、InおよびLaなどの酸化物類;CdSおよびZnSなどの硫化物類;GaSe、CdSeまたはZnSeなどのセレン化物類;ZnTeまたはCdTeなどのテルル化物類;NaCl、KCl、BaC1、AgCl、AgBr、AgI、CuCl、CuBr、CdIまたはPbIなどのハロゲン化物類;CeCなどの炭化物類;AlAs、GaAsまたはCeAsなどのヒ化物類;InSbなどのアンチモン化物類;BN、AlN、SiまたはTiなどの窒化物類;GaP、InP、ZnまたはCdなどのリン化物類;NaCO、KCO、CaCO、SrCOおよびBaCOなどの炭酸塩類;カルボン酸塩類、たとえばCHCOONaおよびPb(CHCOO)などの酢酸塩類;リン酸塩類;硫酸塩類;ケイ酸塩類;チタン酸塩類;ジルコン酸塩類;アルミン酸塩類;スズ酸塩類;鉛酸塩類、およびその組成が好ましくは低熱膨張係数を有する通常のガラスの組成、たとえばSiO、TiO,ZrOおよびAlの二成分、三成分または四成分の組合せに一致する、対応する混合酸化物類等を素材とする粒子が挙げられる。
【0052】
上記以外のナノスケール無機粒子の素材としては、BaTiOまたはPbTiOなどのペロフスカイト構造を有する混合酸化物類もまた適している。さらに、たとえば粒状のポリメチルシロキサン類、メタクリロイルで官能化された酸化物粒子類およびメチルリン酸の塩などの、有機物で改変された無機粒子類も使用し得る。
【0053】
これらのナノスケール粒子は、例えば国際公開第96/31572号に記載されている火炎加水分解法や、火炎熱分解法、プラズマ法等の公知の方法で製造することができる。好ましいナノスケール粒子としては、安定化されたコロイド状無機粒子のナノ分散ゾル類等を用いることができ、市販品としては、BAYER社製のシリカゾル、Goldschmidt社製のSnOゾル類、MERCK社製のTiOゾル類、Nissan Chemicals社製のSiO、ZrO、A1およびSbゾルまたはDEGUSSA社製のAerosil分散物類などの市販品が入手可能である。
【0054】
ナノスケール粒子は、表面の改質によりこれらの粘度挙動を変化させることができる。粒子の表面改質は、公知の表面改質剤を用いて行うことができる。このような表面改質剤としては、例えば、ナノスケール粒子の表面に存在する官能基と共有結合や錯形成等の相互作用が可能な化合物や、重合体マトリックスと相互作用可能な化合物を用いることができる。このような表面改質剤としては、例えば、分子内にカルボキシル基、(第1級、第2級、第3級)アミノ基、4級アンモニウム基、カルボニル基等の官能基を有する化合物等を用いることができる。このような表面改質剤としては、通常、標準温度および圧力条件下で液体であり、分子内の炭素数が例えば15以下、好ましくは10以下、特に好ましくは8以下の低分子有機化合物で構成される。前記低分子有機化合物の分子量は、例えば500以下、好ましくは350以下、特に200以下ある。
【0055】
好ましい表面改質剤としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、クエン酸、アジピン酸、コハク酸、グルタル酸、シュウ酸、マレイン酸およびフマル酸などの炭素数1〜12の飽和または不飽和モノおよびポリカルボン酸類(好ましくは、モノカルボン酸類);及びこれらのエステル類(好ましくはメタクリル酸メチル等のC〜Cアルキルエステル類);アセチルアセトン、2,4−ヘキサンジオン、3,5−ヘプタンジオン、アセト酢酸およびC〜Cアルキルアセト酢酸類などのβ−ジカルボニル化合物等が挙げられる。
【0056】
ナノスケール粒子の粒径は、通常1〜200nm程度、好ましくは2〜50nm、特に2〜20nm程度である。
【0057】
ナノスケール粒子の含有量は、樹脂組成物全体に対して、例えば0.1〜50体積%、好ましくは0.1〜30体積%、特に0.1〜20体積%である。なお、本発明においては、ナノスケール粒子は必ずしも用いなくてもよい。
【0058】
本発明の樹脂組成物は、上記以外の樹脂、オリゴマー、モノマー等の他の成分を含んでいても良い。
【0059】
このような他の成分としては、(ポリ)アクリル酸、(ポリ)メタクリル酸、(ポリ)アクリレート類、(ポリ)メタクリレート類、(ポリ)アクリルアミド類、(ポリ)メタクリルアミド類、(ポリ)カルバミド類、(ポリ)オレフィン類、(ポリ)スチレン、(ポリ)アミド類、(ポリ)イミド類、(ポリ)ビニル化合物、(ポリ)エステル類、(ポリ)アリレート類、(ポリ)カーボネート類、(ポリ)エーテル類、(ポリ)エーテルケトン類、(ポリ)スルホン類、(ポリ)エポキシド類、フッ素重合体類、オルガノ(ポリ)シロキサン類、(ポリ)シロキサン類およびヘテロ(ポリ)シロキサン類等の分子内に一以上の重合性官能基を有するモノマー、オリゴマー、重合体等が挙げられる。
【0060】
他の成分としては、さらに、(ポリ)塩化ビニル、(ポリ)ビニルアルコール、(ポリ)ビニルブチラール、対応する共重合体類、たとえばポリ(エチレン−酢酸ビニル)、ポリエチレンテレフタレート、ポリオキシメチレン、ポリエチレンオキシド、ポリフェニレンオキシド等が挙げられる。
【0061】
本発明の樹脂組成物は、さらに、下記式(III)
38(XSi (III)
(式中、R38は部分的にフッ素化またはペルフルオロ化されたC〜C20−アルキルであり、
はC〜C−アルコキシ、メチル、エチルまたは塩素である)
のフルオロシランを含んでいてもよい。前記フルオロシランを用いることにより、ナノインプリント工程において、ナノスタンパに対する樹脂組成物の剥離性を改善することができる。特にナノスタンパとして、ガラススタンプまたはシリカガラススタンプを用いる場合には、前記フルオロシランを含む樹脂組成物が好ましく用いられる。
【0062】
38における部分的にフッ素化されたアルキルとは、少なくとも1個の水素原子がフッ素原子により置き換えられたアルキル基を意味する。好ましい基R38は、CFCHCH、CCHCH、CCHCH、n−C13CHCH、n−C17CHCH、n−C1021CHCHおよびi−CO−(CHである。
【0063】
式(III)で表されるフルオロシランの市販品としては、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル−1−トリエトキシシラン、CFCHCHSiClCH、CFCHCHSiCl(CH、CFCHCHSi(CH)(OCH、i−CO−(CHSiClCH、n−C13CHCHSiClCHおよびn−C13CHCHSiCl(CHである。
【0064】
式(III)で表されるフルオロシランは、樹脂組成物全体に対して、例えば0〜3重量%、好ましくは0.05〜3重量%、より好ましくは0.1〜2.5重量%、特に0.2〜2重量%程度で用いられる。
【0065】
本発明の微細構造物の製造方法は、上記本発明のナノインプリント用光硬化性樹脂組成物にナノインプリント加工を施して微細構造物を得ることを特徴としている。本発明の方法は、より詳細には、
(1)上記本発明の樹脂組成物からなる被膜を支持体上に形成する工程、
(2)前記被膜にナノスタンパを用いてパターンを転写する工程、及び
(3)パターンが転写された被膜を硬化させて微細構造物を得る工程
を含んでいる。
【0066】
工程(1)において、樹脂組成物を塗布する支持体としては、たとえばガラス、シリカガラス、フィルム、プラスチックまたはシリコンウエハ等を用いることができる。これらの支持体は、表面に接着促進被膜が形成されていてもよい。前記接着促進被膜は、支持体に対して樹脂組成物の十分なぬれを確保する有機重合体で形成することができる。このような接着促進被膜を形成する有機重合体としては、例えばノボラック類、スチレン類、(ポリ)ヒドロキシスチレン類および/または(メタ)アクリレート類を含有する芳香族化合物含有重合体または共重合体等が挙げられる。接着促進被膜は、上記有機重合体を含むよう液をスピンコーティングなどの公知の方法で支持体上に塗布することにより形成できる。
【0067】
ナノインプリント用樹脂組成物はそれ自体で、あるいは有機溶媒の溶液として塗布することができる。前記有機溶媒としては、組成物を希釈することによりペースト化し、容易に塗布工程を可能とし、次いで乾燥させて造膜し、接触露光を可能とするために用いられる。このような有機溶媒としては、具体的には、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類;セロソルブ、メチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどの酢酸エステル類;エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコール類;オクタン、デカンなどの脂肪族炭化水素;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサなどの石油系溶剤等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0068】
工程(1)において、ナノインプリント用樹脂組成物からなる被膜は、樹脂組成物を支持体上に、たとえばスピンコーティング、スリットコーティング、スプレーコーティング、またはローラーコーティングなどの公知の方法で塗布することにより形成できる。被膜(塗布時の樹脂組成物)の粘度は、好ましくは80mPa・s〜10Pa・s、好ましくは100mPa・s〜5Pa・s、特に好ましくは200mPa・s〜1000mPa・s程度である。上記方法(狭義のナノインプリント)で形成されるナノインプリント用樹脂組成物の被膜(硬化前の被膜)の厚みは、例えば0.01〜1μm、好ましくは0.01〜0.5μm程度である。
【0069】
また、工程(1)において、ナノインプリント用樹脂組成物からなる被膜は、上記以外の方法として、金型上に樹脂組成物を流し込み、その上に支持体を重ね、最上面からプレスする方法で形成することも可能である。このような方法は、特に回折型集光フィルムの製造に用いられる場合がある。上記方法(広義のナノインプリント)で形成されるナノインプリント用樹脂組成物の被膜(硬化前の被膜)の厚みは、例えば0.1μm〜10mm、好ましくは 1μm〜1mm程度である。
【0070】
工程(2)に用いるナノスタンパは、表面に凹凸からなる転写パターンが形成されたナノインプリント用転写スタンプであって、シリコーン、ガラス、及びシリカガラス等を素材とするスタンパを用いることができる。なかでも、シリコーンゴムスタンパによれば、前記式(III)のフルオロシランを添加しない樹脂組成物を用いた場合にも、パターン転写後の樹脂離れが良好である点で有利である。また、本発明におけるナノスタンパとして、微細パターンが形成された金型を用いることも可能である。
【0071】
工程(2)におけるパターンの転写は、被膜上に置いたナノスタンパを、約0.1〜100MPaの圧力下で、例えば5〜300秒、好ましくは20〜100秒、特に30〜60秒程度プレスする。パターン転写後の被膜の厚みは、狭義のナノインプリントで形成された被膜では、例えば0.01〜1μm、好ましくは0.01〜0.5μm程度であり、広義のナノインプリントで形成された被膜では、、例えば0.1μm〜10mm、好ましくは 1μm〜1mm程度である。
【0072】
工程(3)において、硬化処理は、ナノスタンパが被膜上に静置させた状態で行っても良く、ナノスタンパを除去した後に行っても良い。好ましくは、工程(2)及び(3)として、被膜にナノスタンパを、0.1〜10MPaの圧力で、5〜300秒間プレスしてパターンを転写すると同時に、加熱又はUV照射を施して被膜を硬化させて微細構造物を得る工程が設けられる。硬化処理後の硬化被膜の厚みは、狭義のナノインプリントで形成された被膜では、例えば0.01〜1μm、好ましくは0.01〜0.5μm程度であり、広義のナノインプリントで形成された被膜では、、例えば0.1μm〜10mm、好ましくは 1μm〜1mm程度である。
【0073】
被膜の硬化処理方法としては、加熱による熱硬化処理、UV照射によるUV硬化処理のでいずれを用いてもよく、両者を併用しても良い。UV硬化には、通常、UV透過性を有するナノスタンパが用いられる。熱硬化の条件としては、例えば、約80〜150℃程度の温度で、約1〜10分間加熱する条件等が挙げられる。UV硬化の条件としては、例えば、約5〜20分間程度UVを照射する条件等が挙げられる。
【0074】
硬化処理により被膜を硬化させた後、必要に応じてナノスタンパを取り除いて、インプリントされた微細構造を得る。
【0075】
こうして得られる微細構造物は、走査電子顕微鏡を用いて調査すると、標的基板上にインプリントされた微細構造だけでなく、30nm未満の厚さを有する被膜の構造化されていない残留層が残っていることがわかる。 次のマイクロエレクトロニクス中への使用では、急峻な壁面傾斜および高い縦横比(アスペクト比)を達成するために、残留層を取り除く必要が有る。このため、さらに工程(4)として、硬化被膜にエッチングを施す工程を設けることが好ましい。
【0076】
工程(4)において、硬化被膜のエッチングは、例えば酸素プラズマ又はCHF/Oガス混合物によりエッチングすることができる。
【0077】
エッチングの後、レジストコーティングを、たとえば水酸化テトラメチルアンモニウムなどの従来の溶媒により除去することができる。
【0078】
さらに微細構造物の種類に応じて適宜の処理を施すことにより、所望の物性を付与することができる。
【0079】
本発明の方法によれば、ナノインプリント技術による大量生産が可能であり、しかも硬化収縮が抑制され、微細なパターンを有する微細構造物を効率よく製造することができる。こうして得られた微細構造物は、例えば、半導体材料、回折型集光フィルム、偏光フィルム、光導波路、又はホログラムとして極めて有用である。
【実施例】
【0080】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0081】
製造例1
側鎖にラジカル反応性基と酸基とを有する樹脂を含む樹脂溶液(A−1)
攪拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロート及び窒素導入管を備えた2Lセパラブルフラスコに、プロピレングリコールノモメチルエーテル(ダイセル化学工業社製MMPG)250gを導入し、110℃に昇温後、アロニックスM5300(東亞合成社製)152g、メタクリル酸109g、メチルメタクリレート78g、MMPG230g及びt−ブチルパーオキシ2ーエチルヘキサノエート(日本油脂社製、商品名「パーブチルO」)37.3gを共に3時間かけて滴下した。滴下後3時間熟成してカルボキル基を有する幹ポリマーを合成した。次に、上記幹ポリマー溶液に、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート(ダイセル化学工業社製、商品名「サイクロマーA200」)231g、トリフェニルホスフィン2.3g、メチルハイドロキノン1.0g加えて、100℃で10時間反応させた。反応は、空気/窒素の混合雰囲気下で行った。これにより、酸価50KOH−mg/g、二重結合当量(不飽和基1mol 当りの樹脂重量)450、重量平均分子量9,200の硬化製樹脂溶液(A−1)を得た。
【0082】
製造例2
側鎖にラジカル反応性基と酸基とを有する樹脂を含む樹脂溶液(A−2)
攪拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロート及び窒素導入管を備えた2Lセパラブルフラスコに、プロピレングリコールノモメチルエーテル(ダイセル化学工業社製 MMPG)300gを導入し、110℃に昇温後、メタクリル酸151g、メチルメタクリレート110 g、MMPG200g及びt−ブチルパーオキシ2ーエチルヘキサノエート(日本油脂社製パーブチルO)28.7gを共に3時間かけて滴下した。滴下後4時間熟成してカルボキル基を有する幹ポリマーを合成した。次に、上記幹ポリマー溶液に、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート(ダイセル化学工業社製、商品名「サイクロマーA200」)239g、トリフェニルホスフィン2.4g、メチルハイドロキノン1.0g加えて、100℃で10時間反応させた。反応は、空気/窒素の混合雰囲気下で行った。これにより、酸価50KOH−mg/g、二重結合当量(不飽和基1mol 当りの樹脂重量)381、重量平均分子量8,700の硬化製樹脂溶液(A−2)を得た。
【0083】
製造例3
ナノスケール粒子分散液(D−1)
236.1g(1モル)のアクロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(GPTS)を、26g(1.5モル)の水と共に24時間還流した。形成されたメタノールを回転蒸発器により70℃で取り除いた。
345gの水酸化テトラヘキシルアンモニウムで改変したシリカゾル(SiOコロイド、直径約5nm、濃度約30重量%イソプロパノール溶液、シリカゾル1g当たり2.4mgの水酸化テトラヘキシルアンモニウム溶液(濃度40重量%水溶液)で改変された)を攪拌しながら、こうして調製されたGPTS縮合物に加える。次いでイソプロパノールを回転蒸発器中で除去する。
約300mPa・sの粘度を有するナノインプリント用組成物が得られるまで、イソプロポキシエタノールで希釈することにより、ナノスケール粒子分散液(D−1)ゾルを得た。
【0084】
製造例4
ナノスケール粒子分散液(D−2)
製造例3のシリカゾルの代わりに酸化ジルコニウム(ZrO 平均粒径20nm、濃度約5重量%メチルエチルケトン分散液 北村化学産業社製)に変更して調整したナノスケール粒子分散液(D−2)を得た。
【0085】
実施例1〜6、比較例1
半導体材料の製造
表1に記載されている種類及び量の樹脂(A)、硬化性モノマー(B)、重合開始剤(C)及びナノスケール粒子(D)をスピンコーター中で混合して、ナノインプリント用樹脂組成物を調製した。表1中の各成分の具体的な化合物を以下に示す。
樹脂
A−1、A−2:それぞれ製造例1及び2で用いた樹脂
モノマー
B−1:トリメリロールプロパントリアクリレート(共栄社製)
B−2:テトラエチレングリコールジアクリレート(共栄社製)
B−3:N−メチルピロリドン(和光純薬社製)
開始剤
C−1:Irgacure651(Chiba社製)
溶剤
:プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(ダイセル化学工業社製)
ナノ粒子
D−1、D−2:それぞれ製造例3及び4に用いた粒子
【0086】
得られたナノインプリント用樹脂組成物を、ヘキサメチルジシラザンで前処理した4インチシリコンウェハに、3000〜6000回転、60秒の条件でスピンコーティングして、厚み0.5μmの被膜を形成した。併せて、樹脂組成物を塗布した被膜の表面の状態について後述する方法で「塗布性」を評価した。なお、溶剤を含む樹脂組成物を用いた実施例1〜3及び6については、被膜形成後に、溶媒を除去するため、約95℃で5分間加熱する乾燥処理を施した。乾燥後の被膜の層厚は約500nmであった。
【0087】
インプリンティング装置はコンピュータで制御された試験器(明昌機工社製、商品名「NM−0401モデル」)であり、これは装荷、緩和速度、加熱温度等をプログラムすることで規定された圧力を特定の時間維持することが可能である。各実施例及び比較例として表1に記載の条件の下、200nmのライン&スペースのパターンを有するナノスタンパを用いてナノインプリントを行った。
【0088】
次いで、ナノスタンパと被膜を接触させた状態で、付属の高圧水銀燈を用いてUV放射線の照射により硬化処理を施すことにより微細パターンを有する硬化物を得た。併せて、後述する方法でナノスタンパに対する樹脂組成物の「剥離性」を評価した。また、得られた硬化物について後述する方法で「硬化収縮」を評価した。
【0089】
その後、残存膜に対し、酸素を用いてプラズマエッチングを施し、次いで、CHF/O(25:10)でドライエッチングする事により、シリコンウエハに所望の回路パターンが形成された半導体材料を作製した。併せて、得られた半導体材料について後述する方法で「パターン形状」を評価した。
【0090】
(評価方法1)
塗布性
実施例1〜6、比較例1において、樹脂組成物をシリコンウエハ上にスピンコーティングした後、表面の状態を観察し、均一な塗膜形成の有無を観察し、下記の基準で評価した。
○:均一な塗膜が得られた。
×:スピンコート後塗膜のはじきが観察された。
【0091】
剥離性
実施例1〜6、比較例1において、UV照射により硬化させた後、硬化後の樹脂組成物からナノスタンパを剥離したときの剥離性を下記の基準により評価した。
○:インプリントスタンプに力を加えることにより容易に剥離できた。
×:容易に剥離することができなかった。
【0092】
硬化収縮
実施例1〜6及び比較例1におけるパターンを転写する工程において、ナノスタンパを取り除いた後、形成されたパターンについて走査顕微鏡を用いてその外観を目視観察し、パターンエッジの状況、及びエッジの矩形の観点で、下記の基準により評価した。
○:パターンエッジ及びパターン端が矩形を保っていた。
△:パターンエッジ及びパターン端が婉曲していた。
×:両端のパターン面が収縮し、はがれが生じていた。
【0093】
パターン形状
実施例1〜6及び比較例1において、ドライエッチング後、シリコンウエハ上に形成されたパターンを以下の基準で評価した。
○:シリコンウエハ上にパターン転写ができた。
×:シリコンウエハ上にパターン転写ができなかった。
【0094】
【表1】

【0095】
表1から実施例1〜6は、比較例1に比べ、塗布性が優れ、且つドライエッチング耐性に優れるため微細構造物として良好なパターン形状を付与することができる。
【0096】
実施例7〜12、比較例2
回折型集光フィルムの製造
表2に記載されている種類及び量の樹脂(A)、硬化性モノマー(B)、重合開始剤(C)及びナノスケール粒子(D)を混合して、ナノインプリント用樹脂組成物を調製した。表2中、各成分は表1と同様である。
【0097】
ナノスタンパとして、回折型集光フィルム金型(材質Ni−P、山形形状のピッチ幅5μm、高さ5.7μm、頂角45度、格子パターンサイズ縦2cm、横1cmの東芝機械(株)製小型金型)を用い、この回折型集光フィルム金型の上に樹脂組成物を垂らした。ここで、溶剤を含む樹脂組成物を用いた実施例7〜9及び12については、被膜形成後に、溶媒を除去するため、約95℃で5分間加熱する乾燥処理(プレベイク)を施した。こうして形成された被膜上に、支持体としてのPETフィルム(東洋紡(株)製、商品名「A4300」、膜厚75μm)を重ねあわせ、更にその上からローラーを走らせ平坦化した後、露光を行うことで樹脂組成物を硬化させた。硬化条件は、超高圧水銀ランプ(ウシオ電機(株)製、型式USH−3502MA、照度16mW/cm)を用い、積算露光量1J/cmで露光を行った。硬化終了後、金型から回折型集光フィルムを剥がし、これをサンプルとした。併せて、後述する方法で金型に対する樹脂組成物の「離型性」を評価した。
【0098】
上記のようにして得られた実施例6〜12および比較例2の回折型集光フィルムサンプルについて、後述の方法で、転写性、支持体との密着性、及び屈折率を評価し、その結果を表2にまとめて示した。
【0099】
(評価方法2)
【0100】
離型性
離型性は、金型から回折型集光フィルムを剥がした時の状態を確認することで評価した。評価基準は以下のとおりである。
○・・・良好
△・・・若干張り付く
×・・・張り付く
【0101】
転写性
転写性は、金属顕微鏡にて各回折型集光フィルムサンプルの山形形状の頂角を確認することで評価した。評価基準は以下のとおりである。
○・・・良好(頂角45度)
△・・・転写不十分(頂角40〜44度)
×・・・転写不可
表2に示すとおり、比較例2のサンプルの頂角は、金型の頂角(45度)と比較して狭くなっていることが確認された。
【0102】
支持体との密着性
JIS K5400に準拠し、支持基材フィルム(PETフィルム)と樹脂組成物の密着性を評価した。すなわち、各回折型集光フィルムサンプルに、カミソリで基材フィルムに達する傷を2mmの間隔で縦横それぞれ11本入れて100個のます目を作り、セロハンテープ(幅25mm、ニチバン社製)をレンズ部に密着させて急激に剥がした後、剥がされたレンズ部のます目の数で評価した。評価基準は以下のとおりである。
○・・・90/100以上残留
△・・・60/100以上残留
×・・・60/100未満残留
【0103】
屈折率
硬化性組成物のUV硬化物を作成し、アッペの屈折率計を用いて各硬化物の屈折率を測定した。
【0104】
【表2】

【0105】
表2に示されるように、樹脂(A)を含む樹脂組成物を用いた実施例7〜12は、硬化収縮が少なく、転写性に優れることがわかった。また、ナノ粒子を入れた系は屈折率も高く回折型集光フィルムとしては有効であることが判った。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明のナノインプリント用樹脂組成物は、微細構造物を高い精度で大量にしかも経済的に製造できるため、半導体材料、回折型集光フィルム、偏光フィルム、光導波路、及びホログラムなどの精密機械部品等の分野で極めて有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
側鎖にラジカル反応性基と酸基とを有する樹脂(A)を含むナノインプリント用樹脂組成物。
【請求項2】
側鎖にラジカル反応性基と酸基とを有する樹脂(A)が、酸基含有(メタ)アクリル樹脂(i)と、ラジカル重合性基及びエポキシ基を有する化合物(ii)との反応生成物である請求項1の樹脂組成物。
【請求項3】
さらに、硬化性モノマー(B)及び/又は重合開始剤(C)を含む請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項4】
さらに、ナノスケール粒子(D)として、酸化物類、硫化物類、セレン化物類、テルル化物類、ハロゲン化物類、炭化物類、ヒ化物類、アンチモン化物類、窒化物類、リン化物類、炭酸塩類、カルボン酸塩類、リン酸塩類、硫酸塩類、ケイ酸塩類、チタン酸塩類、ジルコン酸塩類、アルミン酸塩類、スズ酸塩類、鉛酸塩類およびこれらの混合酸化物からなる群から選択される少なくとも一つを素材とするナノスケール粒子を含む請求項1〜3の何れかの項に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかの項に記載の樹脂組成物を硬化して形成された硬化物。
【請求項6】
請求項1〜4の何れかの項に記載の樹脂組成物にナノインプリント加工を施して微細構造物を得る微細構造物の製造方法。
【請求項7】
(1)請求項1〜4の何れかの項に記載の樹脂組成物からなる被膜を支持体上に形成する工程、
(2)前記被膜にナノスタンパをプレスしてパターンを転写する工程、及び
(3)パターンが転写された被膜を硬化させて微細構造物を得る工程
を含む請求項5記載の微細構造物の製造方法。
【請求項8】
工程(2)において、シリコーン、ガラス、及びシリカガラスから選択される少なくとも一つを素材とするナノスタンパを用いる請求項7記載の微細構造物の製造方法。
【請求項9】
工程(2)及び(3)が、被膜にナノスタンパを、0.1〜10MPaの圧力で、5〜300秒間プレスしてパターンを転写すると同時に、加熱又はUV照射を施して被膜を硬化させて微細構造物を得る工程である請求項7記載の微細構造物の製造方法。
【請求項10】
さらに、(4)硬化被膜にエッチングを施す工程を含む請求項6〜9の何れかの項に記載の微細構造物の製造方法。
【請求項11】
請求項6〜10の何れかの項に記載の製造方法で得られる微細構造物。
【請求項12】
半導体材料、回折型集光フィルム、偏光フィルム、光導波路、又はホログラムである請求項11記載の微細構造物。

【公開番号】特開2008−238416(P2008−238416A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−78019(P2007−78019)
【出願日】平成19年3月24日(2007.3.24)
【出願人】(000002901)ダイセル化学工業株式会社 (1,236)
【Fターム(参考)】