説明

ナノ多孔性セパレータ上に直接被膜するアノードを利用する電池

電流発生セルにおいて使用するためのセパレータ/アノードアセンブリを提供し、本アセンブリは、第1のアノード層と第2のアノード層との間に置かれるアノード電流コレクタ層と、第1のアノード層におけるアノード電流コレクタ層と反対側の上にある多孔性セパレータ層とを備え、第1のアノード層は、セパレータ層上に直接被膜される。そのようなセパレータ/アノードアセンブリを準備する方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、電池および他の電流発生セルの分野に関する。本発明は、ナノ多孔性セパレータを利用するリチウム電池、および所望の構成で電池の他の層を重ね合わせるためにセパレータの多孔性構造を活用することによってリチウム電池を準備する方法に関連する。より具体的には、本発明は、アノード層が多孔性セパレータ層上に直接被膜される電池のためのセパレータ/アノードアセンブリ、およびそのようなセパレータ/アノードアセンブリを準備する方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン充電式電池または二次電池、リチウム非充電式電池または一次電池、およびリチウム−硫黄電池等の他のタイプを含むリチウム電池は、典型的に、プラスチックセパレータ、カソード層が両面に被膜された導電性金属基板、別のプラスチックセパレータ、およびアノード層が両面に被膜された別の導電性金属基板を交互配置することによって作製される。これらの材料片の整合を維持するように、および他の品質理由のために、この交互配置は、複雑かつ高価な自動化機器上で通常行われる。また、十分な機械的強度および完全性を達成するために、セパレータおよび金属基板は比較的厚く、例えば、10ミクロン以上の厚さである。例えば、アノード被膜層のための銅金属基板の典型的な厚さは10ミクロン、カソード被膜層のためのアルミニウム金属基板の典型的な厚さは12ミクロン、プラスチックセパレータは典型的に、12から20ミクロンの厚さを有する。これらの厚いセパレータおよび金属基板は、電気化学的に活性ではなく、したがって、リチウム電池の電極の中の電気活性材料の量を低下させる。これは、リチウム電池のエネルギー密度および電力密度を限定する。
【0003】
リチウム電池の新しい用途の中に、ハイブリッド、プラグインハイブリッド、および電気自動車のための高出力電池がある。携帯用コンピュータおよび他の用途のためのリチウム電池で使用される円筒形状の金属セルとは対照的に、自動車のためのリチウム電池の多くは、平坦または角柱形状の設計である。また、自動車のためのリチウム電池は、経済的であることが必要である。自動車および他の用途のためのより高いエネルギーかつより経済的なリチウム電池を作製することに対する可能な手法として、各電池の中の電気活性材料の量の比率またはパーセントを大幅に増加すること、および電池を製造するための自動化機器の複雑性および経費を削減することが挙げられる。
【0004】
リチウム電池が、そのカソードおよびアノード層のいずれかまたは双方で現在使用されているよりもはるかに薄いセパレータおよび金属基板層を備え、それによってより多くの電気活性材料容量を有すれば、利点となるであろう。このリチウム電池が、例えば、携帯用コンピュータ電池のために利用される巻き取り機よりも簡単かつ安価な自動処理機器上で製造することができ、さらに平坦または角柱形状の電池を作製するために特に適合していれば、特に利点となるであろう。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、リチウム電池および他の電池、ならびにナノ多孔性セパレータ、特に200℃以上の温度で寸法安定性を有する耐熱性セパレータを利用するリチウム電池および他の電池のためのセパレータ/アノードアセンブリに関し、さらに、多孔性セパレータ層上に所望の厚さおよび構成でバッテリの他の層を直接被膜するためにセパレータ層のナノ多孔性構造を活用することによって、リチウム電池およびセパレータ/アノードアセンブリを準備する方法に関する。
【0006】
本発明の一態様は、電流発生セルにおいて使用するためのセパレータ/アノードアセンブリに関し、アセンブリは、第1のアノード層と第2のアノード層との間に置かれるアノード電流コレクタ層と、第1のアノード層におけるアノード電流コレクタ層と反対側の上にある多孔性セパレータ層とを備え、第1のアノード層は、セパレータ層上に直接被膜される。セパレータ/アノードアセンブリの一実施形態において、第2のアノード層上にはセパレータ層が直接被膜されない。一実施形態において、セパレータ層の上面に隣接する第1のアノード層の表面は、セパレータ層の上面の輪郭に一致する輪郭を有し、セパレータ層の上面の輪郭は、セパレータ層上に第1のアノード層を直接被膜する前と同じである。
【0007】
本発明のセパレータ/アノードアセンブリの一実施形態において、第1のアノード層は、電気活性粒子および導電性粒子から成る群より選択されるアノード粒子を備え、アノード粒子は、セパレータ層には存在しない。一実施形態において、セパレータ層は、セパレータ粒子を備え、セパレータ粒子は、第1のアノード層には存在しない。一実施形態において、セパレータ粒子は、無機酸化物粒子、無機窒化物粒子、無機炭酸塩粒子、無機硫酸塩粒子、およびポリマー粒子から成る群より選択される。
【0008】
本発明のセパレータ/アノードアセンブリの一実施形態において、アセンブリのアノード電流コレクタ層は銅層を備える。一実施形態において、銅層の厚さは3ミクロン未満である。
【0009】
本発明のセパレータ/アノードアセンブリの一実施形態において、セパレータ層は、0.2ミクロン未満、好ましくは0.1ミクロン未満の平均孔径を有する孔を備える。一実施形態において、セパレータ層は、9ミクロン未満、好ましくは6ミクロン未満の厚さを有する。一実施形態において、セパレータは、アルミニウムベーマイトを含む多孔性層を備える。
【0010】
本発明のまた別の態様は、電流発生セルにおいて使用するためのセパレータ/アノードアセンブリに関し、セパレータ/アノードアセンブリは、アノード層と、アノード層の片側上の多孔性セパレータ層とを備え、アノード層は、セパレータ層上に直接被膜される。一実施形態において、アノード層は、リチウム金属を含む。
【0011】
本発明の別の態様は、(a)多孔性セパレータ層を提供するステップと、(b)セパレータ層上に第1のアノード層を直接被膜するステップと、(c)第1のアノード層上に1つ以上のアノード電流コレクタ層を直接被膜してセパレータ/アノードアセンブリを作製するステップとを含む、電流発生セルにおいて使用するためのセパレータ/アノードアセンブリを作製する方法に関する。一実施形態において、ステップ(c)の後、1つ以上のアノード電流コレクタ層上に第2のアノード層を直接被膜するさらなるステップ(d)が存在する。一実施形態において、ステップ(a)は、基板上に多孔性セパレータを被膜することを含む。一実施形態において、基板は、剥離性基板であり、ステップ(c)の後、セパレータ層から基板を層間剥離してセパレータ/アノードアセンブリを形成する、さらなるステップ(d)が存在する。一実施形態において、ステップ(c)の後、かつステップ(d)の前に、1つ以上のアノード電流コレクタ層上に第2のアノード層を直接被膜するさらなるステップが存在する。一実施形態において、基板は、多孔性基板である。一実施形態において、多孔性基板は、多孔性ポリマーフィルムおよび多孔性不織ポリマー繊維基板から成る群より選択される。
【0012】
本発明のセパレータ/アノードアセンブリを作製する方法の一実施形態において、ステップ(c)の1つ以上のアノード電流コレクタ層は金属層を備え、金属層の厚さは、3ミクロン未満である。一実施形態において、セパレータ層は、0.2ミクロン未満、好ましくは0.1ミクロン未満の平均孔径を有する孔を備える。一実施形態において、セパレータ層は、9ミクロン未満、好ましくは6ミクロン未満の厚さを有する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明を図示する目的のために、図面には特定の配置および方法が示される。しかしながら、本発明は、示される精密な配置または詳細な説明の方法に限定されないことを理解されたい。
【0014】
【図1】セパレータ/アノードアセンブリを作製するための1つのバージョンのステップ後のセパレータ/アノードアセンブリの断面図を示す。
【図2】セパレータ/アノードアセンブリを作製するための別のバージョンのステップの後のセパレータ/アノードアセンブリの断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のセパレータ/アノードアセンブリ、およびセパレータ/アノードアセンブリを準備する方法は、セパレータ/アノードアセンブリ、ならびにそのようなセパレータ/アノードアセンブリを組み入れるリチウム電池および他の電池に柔軟かつ効果的な手法を提供して、より高いエネルギーおよび電力密度を有するリチウム電池および他の電池を、より低い製造原価および資本設備費で提供する。
【0016】
本発明の一態様は、電流発生セルにおいて使用するためのセパレータ/アノードアセンブリに関し、アセンブリは、第1のアノード層と第2のアノード層との間に置かれるアノード電流コレクタ層と、第1のアノード層におけるアノード電流コレクタ層と反対側の上にある多孔性セパレータ層とを備え、第1のアノード層は、セパレータ層上に直接被膜される。セパレータ/アノードアセンブリの一実施形態において、第2のアノード層上にはセパレータ層が直接被膜されない。一実施形態において、セパレータ層の上面に隣接する第1のアノード層の表面は、セパレータ層の上面の輪郭に一致する輪郭を有し、セパレータ層の上面の輪郭は、セパレータ層上に第1のアノード層を直接被膜する前と同じである。
【0017】
本明細書で使用される場合、「電池」という用語は、単一の電流発生セルおよびケーシングまたはパックの中にて組み合わされる複数の電流発生セルの双方に関する。本明細書で使用される場合、「リチウム電池」という用語は、充電式リチウムイオン電池または二次リチウムイオン電池、非充電式リチウム電池または一次リチウム電池、およびリチウム−硫黄電池等の他のタイプを含むがこれらに限定されない、当技術分野で既知の全てのタイプのリチウム電池を指す。
【0018】
本明細書で使用される場合、「電流コレクタ層」という用語は、電極層に隣接する、1つ以上の電流を収集する層を指す。これは、単一の導電性金属層または基板、および単一の導電性金属層または基板の上にカーボンブラックベースのポリマー被膜等の導電性被膜層が形成されたものを含むが、これらに限定されない。電流コレクタとしての導電性金属基板の例としては、正極またはカソード層のための電流コレクタおよび基板として典型的に使用される、アルミニウムを含む金属基板、ならびに負極またはアノード層のための電流コレクタおよび基板として典型的に使用される、銅を含む金属基板がある。アノード電流コレクタ層は、金属顔料または粒子を含む導電性金属、カーボンブラックまたはグラファイト顔料を含む導電性炭素、および導電性ポリマーから成る群より選択される導電性材料を備えてもよい。これらの導電性材料は、アノード電流コレクタ層を形成するために、機械的強度および柔軟性を追加すべく有機ポリマーと組み合わされてもよい。
【0019】
本明細書に使用される場合、「電極層」という用語は、電気活性材料を含むセルの層を指す。電極層が、リチウム一次電池の場合にはリチウムが存在する場所であるとき、または充電式リチウム電池の場合には電池の充電中にリチウムが形成され、電池の放電中にリチウムがリチウムイオンに酸化される場所であるとき、その電極層はアノードまたは負極と呼ばれる。もう一方の、反対の極性の電極は、カソードまたは正極と呼ばれる。リチウム電池で有用である任意の電気活性材料が、本発明の電極層に利用されてもよい。例としては、カソード層の電気活性材料として、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、リン酸鉄リチウム、および硫黄、ならびにアノード層の電気活性材料として、チタン酸リチウム、リチウムがインターカレートされた炭素、リチウムがインターカレートされたグラファイト、およびリチウム金属が挙げられるが、これらに限定されない。
【0020】
本明細書で使用される場合、「電解質」という用語は、リチウム電池で有用な電解質のうちの任意のものを指す。適切な電解質としては、液体電解質、ゲル状ポリマー電解質、および固体状ポリマー電解質が挙げられるが、これらに限定されない。適切な液体電解質としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、およびエチルメチルカーボネートの混合物等の有機溶媒の混合物のLiPF溶液が挙げられるが、これに限定されない。
【0021】
図1は、本発明のセパレータ/アノードアセンブリ30の1つのバージョンの断面図(原寸に比例せず)の一例を示し、セパレータ/アノードアセンブリ30は、アノード電流コレクタ層34と多孔性セパレータ層38との間に置かれる第1のアノード層36を有している。図2は、本発明の別のバージョンのセパレータ/アノードアセンブリ40の断面図(原寸に比例せず)の一例を示し、セパレータ/アノードアセンブリ40は、第1のアノード層46と第2のアノード層47との間に置かれるアノード電流コレクタ層44を有すると共に、第1のアノード層46におけるアノード電流コレクタ層44と反対側の上にある多孔性セパレータ層48を有している。
【0022】
本発明のセパレータ/アノードアセンブリの一実施形態において、第1のアノード層は、電気活性粒子および導電性粒子から成る群より選択されるアノード粒子を備え、アノード粒子は、セパレータ層には存在しない。一実施形態において、セパレータ層は、セパレータ粒子を備え、セパレータ粒子は、第1のアノード層には存在しない。一実施形態において、セパレータ粒子は、無機酸化物粒子、無機窒化物粒子、無機炭酸塩粒子、無機硫酸塩粒子、およびポリマー粒子から成る群より選択される。
【0023】
本発明のセパレータ/アノードアセンブリの一実施形態において、セパレータ層は、0.2ミクロン未満、好ましくは0.1ミクロン未満の平均孔径を有する孔を備える。一実施形態において、セパレータ層は、0.2ミクロン未満、好ましくは0.1ミクロン未満の孔径を有する。一実施形態において、セパレータ層は、9ミクロン未満、好ましくは6ミクロン未満の厚さを有する。一実施形態において、多孔性セパレータ層は、キセロゲル層またはキセロゲル膜を含む多孔性層を備える。一実施形態において、多孔性セパレータ層は、アルミニウムベーマイトを備える。一実施形態において、セパレータ層は、200℃以上で寸法安定性を有する耐熱性セパレータ層である。
【0024】
本明細書に使用される場合、「キセロゲル層」という用語は、固体状のゲル材料を形成するために、コロイド状ゾル液体を乾燥するキセロゲルまたはゾルゲルプロセスによって形成された多孔性層を意味する。本明細書に使用される場合、「キセロゲル膜」という用語は、キセロゲル層を備える少なくとも1つの層を備える膜であって、キセロゲル層における孔が層の片側から層のもう一方の側まで連続するものを意味する。キセロゲル層および膜は、典型的に、酸化アルミニウム、アルミニウムベーマイト、酸化ジルコニウム等の無機酸化物材料をゾルゲル材料として備える。本発明のために適切なキセロゲル膜の例としては、Carlsonらへの米国特許第6,153,337号および同第6,306,545号、ならびにCarlsonへの米国特許第6,488,721号および同第6,497,780号に記載されるキセロゲル膜が挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
本発明のまた別の態様は、電流発生セルにおいて使用するためのセパレータ/アノードアセンブリに関し、セパレータ/アノードアセンブリは、アノード層と、アノード層の片側上の多孔性セパレータ層とを備え、アノード層は、セパレータ層上に直接被膜される。一実施形態において、アノード層は、リチウム金属を含む。いくつかのアノード層、例えば、導電性が高く、リチウムもしくはリチウム合金または別の電気活性アノード金属もしくは金属合金の含有量が高いアノード層等を伴う場合、アノード電流コレクタ層は、必要ではないことがある。これらの場合、アノード電流コレクタ層を被膜するステップ、および第2のアノード層を被膜するステップは除外されてよく、第1のアノード層は、多孔性セパレータ層上に直接被膜され得る。この第1のアノード層の被膜は、アノード層のリチウムまたは他の金属成分の蒸着の場合、またはリチウム電池のための金属性アノード層の技術分野において既知の他の方法のうちのいずれかによる被膜または堆積の場合がある。セパレータ/アノードアセンブリにおいてアノード電流コレクタ層および第2のアノード層を必要としない場合があるリチウム電池の例として、アノードが典型的にリチウム金属の層であるリチウム−硫黄電池が挙げられる。サイクル中の電池安定化のため、および他の理由のために、リチウムまたは他の金属性アノード層の片側または両側に追加の電池層が被膜される必要がある場合、これらの追加の層は、セパレータ層上または金属性アノード層上に直接被膜する追加のステップで被膜されてよい。セパレータ層上に非アノード活性層を形成するために追加の被膜ステップが存在する場合、アノード層は、これらの追加の非アノード活性層上に被膜されてよい。
【0026】
本発明のための好適なセパレータ被膜層の例として、Carlsonらへの米国特許第6,153,337号および同第6,306,545号、ならびにCarlsonへの米国特許第6,488,721号および同第6,497,780号に説明されるセパレータ被膜が挙げられるが、これらに限定されない。これらのセパレータ被膜は、水性混合物または溶剤混合液から、例えば、シリコン処理されたプラスチックおよび紙基板、ポリエステルフィルム基板、ポリオレフィン被覆紙、ならびに金属基板、代替として、例えば、多孔性プラスチックフィルムおよび多孔性不織ポリマー繊維基板等の多孔性基板等、多様な基板上に被膜され得る。本発明の場合にセパレータを基板上に被膜する利点として、(a)リチウム電池の他の層は、このセパレータ被膜層を覆って被膜またはラミネートされ得る上に、次いでその後、基板は、電池層のドライ積層を提供するために層間剥離することによって除去され得ること、または代替として、基板は、多孔性の場合があり、いずれの層間剥離ステップも含まずに使用され得ること、(b)セパレータ層のための被膜プロセスはそれ自体、セパレータの押出プロセスから典型的に利用可能であるよりも薄いセパレータ層を作製することになること、(c)被膜されたセパレータ層は、電極および他の上部の被膜層のいずれの粒子もがセパレータ層を透過するには小さすぎる0.1ミクロン未満の孔径を伴うナノ多孔性であり得ることが挙げられるが、これらに限定されない。0.2ミクロンまでの孔径を有するセパレータ層であっても、リチウム電池で典型的に使用されるようなカーボンブラック顔料のいずれの粒子もセパレータ層を透過させないことが見出されている。
【0027】
電極被膜層は、最終用途の要件、ならびに異極性の電極および電流コレクタのいずれかの層に接触することに起因するショート回路を有することなく、各電極の層から電流収集を実行することへの特定の手法に応じて、セパレータ層の全表面上、あるいはセパレータ層上の列状または片状に、あるいはセパレータ層上に断片的にまたは矩形形状に被膜されてよい。カソード被膜層は典型的に、Nメチルピロリドン(NMP)等の有機溶媒を含む顔料分散体から被膜され、顔料または粒子形態の電気活性またはカソード活性材料、導電性炭素顔料、および有機ポリマーを含有する。アノード被膜層は典型的に、有機溶媒または水を含む顔料分散体から被膜され、顔料または粒子形態の電気活性またはアノード活性材料、導電性炭素顔料、および有機ポリマーを含有する。これらの電極の顔料は、典型的に0.1ミクロンより大きく、しばしば0.5から5ミクロンの範囲内の直径を有する粒子である。
【0028】
しかしながら、カソードおよびアノードの双方の層は、セパレータ/電極アセンブリの中に被膜される場合があり、これらのアセンブリは、ドライセパレータ/電極セルを形成するように組み合わされる。この場合、セパレータ層は、カソード層とアノード層との間に「二重セパレータ」層を与えるように、電極層の全ての上に存在していてよく、代替として、セパレータ/電極アセンブリの一方の電極側だけに存在していてよい。
【0029】
本発明のセパレータ/アノードアセンブリの一実施形態において、アノード電流コレクタ層は、銅層を備える。一実施形態において、銅層の厚さは、3ミクロン未満である。
【0030】
電流コレクタ層の場合、代替として、リチウム電池の技術分野においては既知であるように、カーボン顔料被膜等の導電性非金属層が、向上した電流収集および電池効率、ならびにいくらかの追加の機械的強度および柔軟性を提供することを達成するために、金属性電流コレクタ層の堆積前および/または後に被膜されてよい。金属性電流コレクタ層は、リチウム電池で使用される典型的には10から12ミクロンの厚さの金属基板よりもはるかに薄くてよい。例えば、金属性電流コレクタ層は、3ミクロン未満の厚さを有していてよく、0.5から1.5ミクロンの厚さの範囲内のように、約1ミクロンまで薄くてよい。これは、リチウム電池の中の電気活性材料のより高い比率を可能にし、それによって、リチウム電池のエネルギー密度および電力密度を向上させる。金属性電流コレクタ層は、銅層の場合には真空蒸着による等、当技術分野で既知の金属堆積方法のうちのいずれかによって堆積され得る。
【0031】
本発明のセパレータ/アノードアセンブリの一実施形態において、電流コレクタ層は、第1のアノード層におけるセパレータ層と反対側の上に直接被膜される。一実施形態において、電流コレクタ層は、金属顔料または粒子を含む導電性金属、カーボンブラックまたはグラファイト顔料を含む導電性炭素、および導電性ポリマーから成る群より選択される導電性材料を備える。これらの導電性材料は、アノード電流コレクタ層を形成するための付加的な機械的強度および柔軟性のために、有機ポリマーと組み合わされる場合がある。一実施形態において、アノード電流コレクタ層は銅層を備える。一実施形態において、銅層の厚さは、3ミクロン未満である。一実施形態において、導電性材料は銅を含む。一実施形態において、アノード電流コレクタ層は、第1のアノード層上に直接被膜される2つ以上の層を備え、2つ以上の電流コレクタ層のうちの少なくとも1つは、炭素を含む導電性材料を含む。
【0032】
本発明のセパレータ/アノードアセンブリの一実施形態において、電流コレクタ層の厚さは、3ミクロン未満である。一実施形態において、電流コレクタ層の厚さは、0.5から1.5ミクロンである。一実施形態において、第2のアノード層は、電流コレクタ層における第1のアノード層と反対側の上に直接被膜される。
【0033】
本発明の別の態様は、セパレータ/アノードアセンブリを備える電池に関し、アセンブリは、第1のアノード層と第2のアノード層との間に置かれるアノード電流コレクタ層と、第1のアノード層における電流コレクタ層と反対側の上にある多孔性セパレータ層とを備え、第1のアノード層は、セパレータ層上に直接被膜される。一実施形態において、この電池はリチウム電池である。
【0034】
本開示の別の態様は、(a)多孔性セパレータ層を提供するステップと、(b)セパレータ層上に第1のアノード層を直接被膜するステップと、(c)第1のアノード層上に1つ以上のアノード電流コレクタ層を直接被膜してセパレータ/アノードアセンブリを作製するステップとを含む、電流発生セルにおいて使用するためのセパレータ/アノードアセンブリを作製する方法に関する。一実施形態において、ステップ(c)の後、1つ以上のアノード電流コレクタ層上に第2のアノード層を直接被膜するさらなるステップ(d)が存在する。一実施形態において、ステップ(a)は、基板上に多孔性セパレータ層を被膜することを含む。一実施形態において、基板は、剥離性基板であり、ステップ(c)の後、セパレータ層から基板を層間剥離してセパレータ/アノードアセンブリを形成する、さらなるステップ(d)が存在する。一実施形態において、ステップ(c)の後、かつステップ(d)の前に、1つ以上のアノード電流コレクタ層上に第2のアノード層を直接被膜するさらなるステップが存在する。一実施形態において、基板は、多孔性基板である。一実施形態において、多孔性基板は、多孔性ポリマーフィルムおよび多孔性不織ポリマー繊維基板から成る群より選択される。
【0035】
多孔性基板の例として、例えば、Polypore,Inc.、Charlotte,NCによりCELGARDの商標名で販売されているような多孔性ポリエチレンフィルムおよび多孔性ポリプロピレンフィルムが挙げられるが、これらに限定されない。セパレータ層の全体的厚さを最小限にするために、多孔性基板は、厚さが5から12ミクロンの場合があり、多孔性基板上に被膜される多孔性セパレータ層は、厚さが2から10ミクロンの場合がある。多孔性基板が、独立のフィルムとして、または一時的な剥離ライナーの使用によって被膜機器上で処理される十分な機械的強度を有し、リチウム電池セパレータのために必要な特性を有する場合、多孔性基板が電池の1層になり、セパレータとして機能するため、ステップ(a)で多孔性基板を使用することによって、後の層間剥離ステップに対する必要性が排除される。多孔性基板上に直接被膜される多孔性セパレータ層は、その上に直接被膜される電極層の粒子の一切の透過を防止する極小孔の層を提供する利点を有し、アルミニウムベーマイトまたは別の非融解材料を含む耐熱性セパレータ層が使用される場合、200℃以上で寸法安定性を有する、安全性と耐熱性が向上したセパレータを提供するという追加の利点を有する。
【0036】
本発明のセパレータ/アノードアセンブリを準備する方法の一実施形態において、ステップ(c)の1つ以上のアノード電流コレクタ層は金属層を備え、金属層の厚さは、3ミクロン未満である。一実施形態において、セパレータ層は、0.2ミクロン未満、好ましくは0.1ミクロン未満の平均孔径を有する孔を備える。一実施形態において、セパレータ層は、9ミクロン未満、好ましくは6ミクロン未満の厚さを有する。
【0037】
図1は、ステップ(a)、(b)、および(c)の後の、本発明のセパレータ/アノードアセンブリ30の1つのバージョンの断面図(原寸に比例せず)の例を示す。セパレータ/アノードアセンブリ30は、多孔性セパレータ層38と、第1のアノード層36と、アノード電流コレクタ層34とを備える。図2は、第2のアノード層を被膜するステップ(a)、(b)、(c)、および(d)の後の本発明の別のバージョンのセパレータ/アノードアセンブリ40の断面図(原寸に比例せず)の例を示す。セパレータ/アノードアセンブリ40は、多孔性セパレータ層48と、第1のアノード層46と、アノード電流コレクタ層44と、第2のアノード層47とを備える。
【0038】
本発明のセパレータ/アノードアセンブリを準備する方法の一実施形態において、ステップ(c)の1つ以上のアノード電流コレクタ層は、金属層を備え、金属層の厚さは、3ミクロン未満であり、好ましくは、0.5から1.5ミクロンの範囲内のように、約1ミクロンである。一実施形態において、セパレータは、0.2ミクロン未満、好ましくは0.1ミクロン未満の平均孔径を有する孔を備える。一実施形態において、セパレータは、9ミクロン未満、好ましくは6ミクロン未満の厚さを有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流発生セルにおいて使用するためのセパレータ/アノードアセンブリであって、前記アセンブリは、第1のアノード層と第2のアノード層との間に置かれるアノード電流コレクタ層と、前記第1のアノード層における前記アノード電流コレクタ層と反対側の上にある多孔性セパレータ層と、を備え、前記第1のアノード層は前記セパレータ層上に直接被膜される、セパレータ/アノードアセンブリ。
【請求項2】
前記第2のアノード層上にはセパレータ層が直接被膜されない、請求項1に記載のセパレータ/アノードアセンブリ。
【請求項3】
前記セパレータ層の上面に隣接する前記第1のアノード層の表面は、前記セパレータ層の前記上面の輪郭に一致する輪郭を有し、前記セパレータ層の前記上面の前記輪郭は、前記セパレータ層上に前記第1のアノード層を直接被膜する前と同じである、請求項1に記載のセパレータ/アノードアセンブリ。
【請求項4】
前記第1のアノード層は、電気活性粒子および導電性粒子から成る群より選択されるアノード粒子を備え、前記アノード粒子は、前記セパレータ層には存在しない、請求項1に記載のセパレータ/アノードアセンブリ。
【請求項5】
前記セパレータ層は、セパレータ粒子を備え、前記セパレータ粒子は、前記第1のアノード層には存在しない、請求項1に記載のセパレータ/アノードアセンブリ。
【請求項6】
前記セパレータ粒子は、無機酸化物粒子、無機窒化物粒子、無機炭酸塩粒子、無機硫酸塩粒子、およびポリマー粒子から成る群より選択される、請求項5に記載のセパレータ/アノードアセンブリ。
【請求項7】
前記セパレータ層は、0.2ミクロン未満の平均孔径を有する孔を備える、請求項1に記載のセパレータ/アノードアセンブリ。
【請求項8】
前記セパレータ層は、0.1ミクロン未満の平均孔径を有する孔を備える、請求項1に記載のセパレータ/アノードアセンブリ。
【請求項9】
前記セパレータ層の厚さは、9ミクロン未満である、請求項1に記載のセパレータ/アノードアセンブリ。
【請求項10】
前記セパレータ層の厚さは、6ミクロン未満である、請求項1に記載のセパレータ/アノードアセンブリ。
【請求項11】
前記セパレータ層は、キセロゲル膜を備える、請求項1に記載のセパレータ/アノードアセンブリ。
【請求項12】
前記セパレータ層は、アルミニウムベーマイトを含む、請求項1に記載のセパレータ/アノードアセンブリ。
【請求項13】
前記セパレータ層は、200℃で寸法安定性を有する耐熱性セパレータ層である、請求項1に記載のセパレータ/アノードアセンブリ。
【請求項14】
前記アノード電流コレクタ層は、前記第1のアノード層における前記セパレータ層と反対側の上に直接被膜される、請求項1に記載のセパレータ/アノードアセンブリ。
【請求項15】
前記アノード電流コレクタ層は、導電性金属、導電性炭素、および導電性ポリマーから成る群より選択される導電性材料を備える、請求項14に記載のセパレータ/アノードアセンブリ。
【請求項16】
前記アノード電流コレクタ層は、銅層およびニッケル層から成る群より選択される金属層を備える、請求項14に記載のセパレータ/アノードアセンブリ。
【請求項17】
前記金属層の厚さは3ミクロン未満である、請求項16に記載のセパレータ/アノードアセンブリ。
【請求項18】
前記導電性材料は銅を含む、請求項15に記載のセパレータ/アノードアセンブリ。
【請求項19】
前記アノード電流コレクタ層は、前記第1のアノード層上に直接被膜される2つ以上の層を備え、前記2つ以上の層のうちの少なくとも1つは、炭素を含む導電性材料を含む、請求項14に記載のセパレータ/アノードアセンブリ。
【請求項20】
前記アノード電流コレクタ層の厚さは、3ミクロン未満である、請求項1に記載のセパレータ/アノードアセンブリ。
【請求項21】
前記アノード電流コレクタ層の厚さは、0.5から1.5ミクロンである、請求項1に記載のセパレータ/アノードアセンブリ。
【請求項22】
前記第2のアノード層は、前記アノード電流コレクタ層における前記第1のアノード層と反対側の上に直接被膜される、請求項1に記載のセパレータ/アノードアセンブリ。
【請求項23】
電流発生セルにおいて使用するためのセパレータ/アノードアセンブリであって、前記セパレータ/アノードアセンブリは、アノード層と前記アノード層の片側上の多孔性セパレータ層とを備え、前記アノード層は、前記セパレータ層上に直接被膜される、セパレータ/アノードアセンブリ。
【請求項24】
前記アノード層は、リチウムを備える、請求項23に記載のセパレータ/アノードアセンブリ。
【請求項25】
請求項1に記載のセパレータ/アノードアセンブリを備える電池。
【請求項26】
前記電池は、リチウム電池である、請求項25に記載の電池。
【請求項27】
請求項23に記載のセパレータ/アノードアセンブリを備える電池。
【請求項28】
前記電池は、リチウム電池である、請求項27に記載の電池。
【請求項29】
電流発生セルにおいて使用するためのセパレータ/アノードアセンブリを作製する方法であって、
(a)多孔性セパレータ層を提供するステップと、
(b)前記セパレータ層上に第1のアノード層を直接被膜するステップと、
(c)前記第1のアノード層上に1つ以上のアノード電流コレクタ層を直接被膜して前記セパレータ/アノードアセンブリを作製するステップと、を含む、方法。
【請求項30】
ステップ(c)の後、前記1つ以上のアノード電流コレクタ層上に第2のアノード層を直接被膜するさらなるステップ(d)が存在する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
ステップ(a)は、基板上に多孔性セパレータを被膜することを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記基板は、剥離性基板であり、ステップ(c)の後、前記セパレータ層から前記基板を層間剥離して前記セパレータ/アノードアセンブリを形成する、さらなるステップ(d)が存在する、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
ステップ(c)の後かつステップ(d)の前に、前記1つ以上の電流コレクタ層上に第2のアノード層を直接被膜するさらなるステップが存在する、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記基板は、多孔性基板である、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
前記多孔性基板は、多孔性ポリマーフィルムおよび多孔性不織ポリマー繊維基板から成る群より選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
ステップ(c)の後、前記1つ以上のアノード電流コレクタ層上に第2のアノード層を直接被膜するさらなるステップが存在する、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
ステップ(c)の前記1つ以上のアノード電流コレクタ層は、金属層を備え、前記金属層の厚さは、3ミクロン未満である、請求項29に記載の方法。
【請求項38】
前記セパレータ層は、0.1ミクロン未満の平均孔径を有する孔を備える、請求項29に記載の方法。
【請求項39】
前記セパレータ層の厚さは、6ミクロン未満である、請求項29に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−528457(P2012−528457A)
【公表日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513045(P2012−513045)
【出願日】平成22年5月26日(2010.5.26)
【国際出願番号】PCT/US2010/001539
【国際公開番号】WO2010/138179
【国際公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(511108208)オプトドット コーポレイション (5)
【Fターム(参考)】