ナノ構造のシルデナフィル塩基、薬学的に許容されるその塩及び共結晶、それらの組成物、その調製方法、並びにそれらを含有する医薬組成物
本発明は、ナノ構造の(ナノ粒子状の)シルデナフィル塩基、薬学的に許容されるその塩及び共結晶、それらを含有する組成物、その調製方法、並びにそれらを含有する医薬組成物を対象とする。本発明のシルデナフィル塩基、薬学的に許容されるその塩及び共結晶のナノ粒子、それらを含有する組成物は、約500nm未満の平均粒径を有する。クエン酸シルデナフィルは、陰茎の血流を調節する酵素であるcGMP特異的ホスホジエステラーゼ5型(PDEV)を阻害する。本発明の組成物は、男性又は女性の性機能障害及び肺動脈高血圧(PAH)の治療に有用である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノ構造の(ナノ粒子状の)シルデナフィル(sildenafil)塩基、薬学的に許容されるその塩及び共結晶、それらの組成物、その調製方法、並びにそれらを含有する医薬組成物を対象とする。
【0002】
本発明のシルデナフィル塩基、薬学的に許容されるその塩及び共結晶のナノ粒子、それらの組成物は、約500nm未満の平均粒径を有する。シルデナフィル塩基及びその塩、特にクエン酸シルデナフィルは、例えば陰茎の血流を調節する酵素であるcGMP特異的ホスホジエステラーゼ5型(PDEV)を阻害する。本発明の組成物は、男性又は女性の性機能障害及び肺動脈高血圧(PAH)の治療に有用である。
【背景技術】
【0003】
A.ナノ粒子形成/生成に関する背景
医薬品としての適用のためのナノ粒子の開発は、薬物送達系に合わせてカスタマイズされた溶液剤を開発する新規技術の振興に取り組むものである。薬物送達系は、身体における薬物又は他の関連化学物質の吸収、分布、代謝及び排泄速度に良い影響を与えるべきである。さらに薬物送達系は、薬物をその標的受容体に結合させ、受容体のシグナル伝達及び活性に影響を及ぼすべきである。薬物送達材料は、特定の薬物と相溶性があり、容易に結合し、使用後は、正常な排泄経路を介して代謝又は排出される断片に分解され得るべきである。
【0004】
異なる一手法は、活性成分(API)をナノ粒子の形態で生成することである。
【0005】
ナノ粒子組成物は、例えばUS5,298,262、US5,318,767、US5,328,404、US5,336,、US5,340,564、US5,466,440、US5,552,160、US5,560,931、US5,573,783、US5,593,657、US6,045,829、US6,264,922、US6,428,814、US6,592,903、US6,656,504、US6,976,647に記載されている。
【0006】
APIナノ粒子は、当技術分野で公知の、例えば製粉、ホモジナイズ、沈殿技術、又は超臨界流体技術を使用して生成することができる。ナノ粒子組成物の生成方法は、US5,718,388、US5,862,999、US5,665,331、US5,543,133、US5,534,270、US5,510,118、US5,470,583、US2009/0028948、及びEP1658053にも記載されている。
【0007】
B.クエン酸シルデナフィルに関する背景
【0008】
クエン酸シルデナフィルは、化学的に1−[[3−(6,7−ジヒドロ−1−メチル−7−オキソ−3−プロピル−1H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−5−イル)−4−エトキシフェニル]スルホニル]−4−メチルピペラジンクエン酸と指定されており、以下の構造式
【化1】
を有する。
【0009】
クエン酸シルデナフィルは、白色からオフホワイト色の結晶粉末であり、3.5mg/mLの水への溶解度及び666.7の分子量を有する。
【0010】
その調製方法は、最初にUS5250534に記載された。クエン酸シルデナフィルは、US6469012に論じられている通り、勃起不全の治療に使用できることが知られている。
【0011】
クエン酸シルデナフィルは、25mg、50mg及び100mgのクエン酸シルデナフィルに等しい、経口投与用の青色フィルムでコーティングされた曲線的なダイヤモンド形の錠剤として製剤化されており、名称バイアグラ(VIAGRA)で市販されている。
【0012】
さらにWO1999/021562は、PDEV阻害剤が、女性の性機能障害の治療に使用できると記載している。
【0013】
薬理学的特性
経口クエン酸シルデナフィルは急速に吸収され、そのピーク血漿濃度(cmax)は1時間以内に生じる。絶対的な生体利用能は41%である。食品は吸収を緩慢にするが、シルデナフィル血漿濃度−時間曲線下面積(AUC)には影響を及ぼさない。AUC及びcmaxは、クエン酸シルデナフィルの1.25〜200mgの単回用量にわたって用量に比例した。
【0014】
吸収及び分布
経口クエン酸シルデナフィルは、急速に吸収される。観測される最大血漿濃度は、絶食状態で経口投与の30〜120分以内(中央値60分)に達する。VIAGRAは、高脂肪食と共に摂取されると、その吸収速度が低下し、tmaxは平均60分遅延し、cmaxは平均29%低下する。
【0015】
副作用
経口摂取されるクエン酸シルデナフィルは、頭痛、紅潮、視覚的効果、消化不良(dyspersia)を引き起こし得ることが知られている。経口クエン酸シルデナフィルの使用は、有機硝酸塩を摂取している対象では禁忌である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
クエン酸シルデナフィルの水への溶解度は低く(3.5mg/mL)、生体利用能が低く(41%)、副作用があることから、従来の慣習的なクエン酸シルデナフィル製剤の使用に関連するこれら及び他の問題を克服するために、親油性/生体利用能の強化/吸収の増大/副作用の低減/投与量の低減/食品効果の低減が、当技術分野では必要とされている。さらにこれらの問題は、クエン酸シルデナフィルの表面を改質して初回通過効果を低減し、又は代謝を改質すること解決することができる。クエン酸シルデナフィルの慣習的な製剤の他に、経皮/外用適用によって、生体利用能を増大し、且つ/又はクエン酸シルデナフィルの所望の効果を達成するのに必要な時間を低減することができる。本発明は、この需要を満たすものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、親油性/生体利用能の強化/吸収及び溶解速度の増大/副作用の低減/投与量の低減/食品効果の低減を伴う、ナノ構造の(ナノ粒子状の)シルデナフィル塩基、薬学的に許容されるその塩及び共結晶、それらの組成物を記載する。
以下の例に例示する通り、安定剤のすべての組合せが安定なナノ粒子を形成するわけではない。安定なシルデナフィルナノ粒子は、選択された安定剤を使用して、連続流による方法、好ましくはマイクロ流体系の連続流による方法によって生成され得ることが発見された。シルデナフィルという表現は一般に、シルデナフィル塩基、薬学的に許容されるその塩及び共結晶に使用される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】参照錠剤の経口投与及び25mg/kgのナノ構造のシルデナフィルの頬側投与後の初期の時点におけるシルデナフィルの血清濃度
【図2】参照錠剤の経口投与及び25mg/kgのナノ構造のシルデナフィルの頬側投与後のシルデナフィルの血清濃度
【図3】クエン酸シルデナフィルのナノ製剤化による可溶性の強化
【図4】参照クエン酸シルデナフィルと比較したナノ構造のクエン酸シルデナフィルの溶解プロファイル
【図5】参照クエン酸シルデナフィル、本発明のナノ構造のクエン酸シルデナフィル及びCarbopol 971のX線ディフラクトグラム
【図6】再分散の前及び後のクエン酸シルデナフィルナノ粒子の大きさ及びサイズ分布
【図7】ナノ構造のクエン酸シルデナフィルを使用する透過性の強化
【図8】立体顕微鏡によって40×拡大率で観測した参照クエン酸シルデナフィル(a)及び例9のナノ構造のクエン酸シルデナフィル(b)の湿潤性
【図9】異なるAPI:高分子電解質比を使用するクエン酸シルデナフィルナノ粒子の粒径及びサイズ分布
【図10】異なるAPI:逆溶媒比を使用する、クエン酸シルデナフィルナノ粒子の粒径及びサイズ分布
【図11】異なるAPI:逆溶媒比を使用するシルデナフィル塩基ナノ粒子の粒径及びサイズ分布
【図12】(表1)経口Viagra及び頬側シルデナフィルのナノ製剤投与の主な薬物動態パラメーター
【図13】(表2)クエン酸シルデナフィルの粒径に対する流速の効果
【図14】(表3)クエン酸シルデナフィルの粒径に対する流速の効果
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、約500nm未満の平均粒径を有するナノ構造のシルデナフィル塩基、薬学的に許容されるその塩及び共結晶を含む。
【0020】
本発明のナノ構造のシルデナフィル塩基、薬学的に許容されるその塩及び共結晶は、500nm〜50nm、好ましくは350nm〜50nm、好ましくは100nm〜50nmの平均粒径を有する。
【0021】
本発明はさらに、
(a)約500nm未満の平均粒径を有するナノ構造のシルデナフィル塩基、薬学的に許容されるその塩又は共結晶、
(b)少なくとも1つのアニオン性高分子電解質又は安定剤又はそれらの混合物又は立体的及び静電気的安定化のための任意の追加の安定剤
を含む、安定なナノ構造のシルデナフィル組成物に関する。
【0022】
本発明の組成物は、好ましくは連続流反応器内で、最も好ましくはマイクロ流体系の連続流反応器内で調製される。
【0023】
本発明の組成物は、約500nm未満、好ましくは500nm〜50nm、好ましくは350nm〜50nm、好ましくは100nmから50nmの平均粒径を有するシルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶を含む。
【0024】
本発明の組成物では、(a)シルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶は、シルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶と他の添加剤(賦形剤)を含まない少なくとも1つの安定剤又は高分子電解質との混合総重量に対して、重量で約99.5%〜約0.001%、約95%〜約0.1%、及び約90%〜約0.5%からなる群から選択される量で存在し、(b)安定剤又は高分子電解質は、シルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶と他の添加剤(賦形剤)を含まない少なくとも1つの安定剤との混合総乾燥重量に対して、重量で約0.5%〜約99.999%、約5.0%〜約99.9%、及び約10%〜約99.5%からなる群から選択される量で存在する。
【0025】
本発明の組成物では、シルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶は、結晶相、非晶質相、半結晶相、半非晶質相、及び任意の多形体でのその混合物から選択される相で使用することができる。
【0026】
本発明の組成物の調製では、アニオン性高分子電解質、好ましくは核酸、タンパク質、タイコ酸、ポリペプチド及び多糖(ペクチン、カラゲニン、アルギン酸塩、カルボキシメチルセルロース(天然高分子電解質)など)、並びにポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム)(PSS)並びにポリ(アクリル酸)及びアリルエステル又はスクロース又はペンタエリスリトール(pentaerythriol)で架橋されたその誘導体(例えば、Carbopol 2623、Carbopol 971P、Carbopol 980、Pemulen TR1、Pemulen TR2)、ポリ(メタ)アクリレート系ポリマー及びコポリマー(Eudargit(登録商標))(合成);非イオン性の安定剤、好ましくはポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(2−エチル−2−オキサゾリン)、ポリ(メチルビニルエーテル)、ポリビニルアルコール、1−エテニル−2−ピロリジノンとの酢酸エテニルエステルポリマー(PVP/VAコポリマー)、ポリ(エチレングリコール)及びその誘導体(例えば、PEG2000、6000、35000)、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドブロックコポリマー及びその誘導体(例えば、Pluronic 10500、6100、6800)、並びにポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(例えば、Tween(登録商標)20及びTween(登録商標)80(ICI Speciality Chemicals)などの、例えば市販のTween(登録商標)製品);並びに追加の安定剤としての、好ましくはヒドロキシル−プロピル−セルロース誘導体、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、トコフェリルポリエチレングリコールスクシネート、ポリエトキシ化ヒマシ油及びその誘導体(derivateive)、任意のカチオン性安定剤、好ましくは塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルベンジルメチルアンモニウム、臭化アルキルベンジルジメチルアンモニウム、臭化ベンジルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムを使用することができる。
【0027】
本発明の組成物の利点には、それに限定されるものではないが、(1)錠剤又は他の固体剤形の大きさがより小さく、有益な経皮/外用適用をもたらすこと、(2)慣習的なクエン酸シルデナフィルの形態と比較して、同じ薬理学的効果を得るのに必要な薬物の用量が少ないこと、(3)慣習的なクエン酸シルデナフィルの形態と比較して、生体利用能が高いこと、(4)薬物動態プロファイルが改善されていること、(5)慣習的な同じ活性化合物の形態と比較して、クエン酸シルデナフィルナノ粒子の溶解速度が速いこと、(6)クエン酸シルデナフィルナノ粒子の代謝が改質されていることが含まれる。
【0028】
本発明の別の態様は、連続流反応器内で、シルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶の適切な溶液と、1つ又は複数の安定剤又は高分子電解質又はその混合物の溶液とを、所望に応じて薬学的に許容される酸又は塩基の存在下で混合するステップを含む、ナノ構造のシルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶を調製する方法である。
【0029】
好ましくは、本発明の組成物を調製するこの方法は、(1)シルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶及び任意選択により1つ又は複数の安定剤又は高分子電解質又はその混合物を適切な溶媒に溶解するステップと、(2)ステップ(1)の製剤を、1つ又は複数の高分子電解質又は安定剤又はその混合物を含む溶液に、所望に応じて薬学的に許容される酸又は塩基の存在下で添加するステップと、(3)ステップ(2)から製剤を沈殿させるステップによって実施される。
【0030】
好ましくは、本発明の組成物の調製方法は、(1)シルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶及び1つ又は複数の安定剤を適切な溶媒に溶解するステップと、(2)ステップ(1)の製剤を、ステップ(1)の溶液に、1つ又は複数の高分子電解質又は安定剤又はその混合物を含む溶液に、所望に応じて薬学的に許容される酸又は塩基の存在下で添加するステップと、(3)ステップ(2)から製剤を沈殿させるステップによって実施される。
【0031】
本発明の別の好ましい実施形態は、該組成物の調製方法が、(1)シルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶及び1つ又は複数の安定剤を適切な溶媒に溶解するステップと、(2)ステップ(1)の製剤を、薬学的に許容される酸又は塩基を含む溶液に添加するステップと、(3)ステップ(2)から製剤を沈殿させるステップによって実施される実施形態である。
【0032】
この方法は、(a)互いに混和するが、シルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶がその一方にしか溶解しない2つの異なる溶媒を使用するステップ、又は(b)シルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶の高分子電解質複合体が実質的にナノ構造の粒子を形成する2つのステップにおいて同じ溶媒を使用するステップ(但し、適用される高分子電解質、安定剤(単数又は複数)は、使用する溶媒に溶解するという制限が付く)によって実施される。
【0033】
好ましい連続流反応器として、I.Hornyak、B.Borcsek及びF.Darvasによる刊行物「Microfluid Nanofluid」DOI 10.1007/s10404−008−0257−9に記載のマイクロ流体系の連続流反応器が使用される。
【0034】
本発明の方法において、化学的沈殿に2つの異なる溶媒が使用される場合、それらの溶媒は、互いに混和しなければならず、但しシルデナフィルはその一方にしか溶解しない。かかる溶媒は、ジメチルスルホキシド、エタノール、i−プロパノール、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、ジエチレングリコールエチルエーテル、好ましくはピリジンであってよい。高分子電解質錯体の形成には、好ましくは水系の溶液を使用することができる。
【0035】
ナノ構造のシルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶の粒径は、使用する溶媒、流速、及びシルデナフィルと安定剤の比によって影響を受けることがある。
【0036】
本発明の別の態様は、生物学的に関連する媒体、例えば生理食塩水、pH=2.5のHCl溶液における、シルデナフィルのナノサイズの固体形態の良好な/即時再分散性を対象とする。
【0037】
本発明の別の態様は、本発明の安定なナノ構造のシルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶又はそれらの組成物、及び任意選択により薬学的に許容される補助材料を含む医薬組成物である。
【0038】
本発明の医薬組成物は、(a)経口、肺、直腸、結腸、非経口、大槽内、腟内、腹腔内、眼、耳、局所、頬側、経鼻及び外用投与からなる群から選択される投与に合わせて製剤化され、(b)液体分散剤、ゲル剤、エアゾール剤、軟膏剤、クリーム剤、凍結乾燥させた製剤、頬側フィルム、錠剤、カプセル剤からなる群から選択される剤形に製剤化され、(c)制御放出製剤、急速溶融製剤、遅延放出製剤、延長放出製剤、拍動的放出製剤、並びに即時放出及び制御放出の混合製剤からなる群から選択される剤形に製剤化され、又は(d)(a)、(b)及び(c)の任意の組合せに製剤化され得る。
【0039】
組成物は、経口(固体、液体)、腟内、直腸、局所(散剤、軟膏剤、ゲル又はドロップ剤)、又は外用投与等のための様々な種類の添加剤(賦形剤)を添加することによって製剤化することができる。
【0040】
本発明の最も好ましい剤形は、頬側フィルム及びゲル剤形であるが、任意の薬学的に許容される剤形を利用することができる。
【0041】
ヒトの身体への経口送達のために、ナノ粒子をそれらの水性分散液として、最終的な剤形として投与することもできる。これは、ナノ粒子の形成後のさらなる処理なしに送達する一手段である。しかし、水性環境における薬物若しくはポリマーの安定性の低さ、又は薬物の味の悪さにより、コロイド粒子を固体剤形に、すなわちカプセル剤及び錠剤に組み込む必要があり得る。
【0042】
或いは、例えば適切な充填剤をコロイド分散液と共に造粒して造粒物(granulation)を形成することによって、コロイド粒子の水性分散液を液体として固体剤形に組み込むことができる。その後、かかる顆粒はカプセルに充填され、又は錠剤に圧縮され得る。或いは、例えば流動床内の担体としての糖ペレット(sugar−pellet)上に、分散液を積層することによって、ナノ粒子の固体形態を生成することができる。錠剤のコア、又は顆粒若しくはペレットのこれらの製造方法では、その後コーティングステップを実施することにより、フィルムコーティングされた錠剤又はカプセル剤におけるフィルムコーティングされた顆粒を最終的な剤形として提示する潜在的な可能性が生じ得る。
【0043】
非経口注入に適した組成物は、生理的に許容される水性又は非水性の滅菌溶液剤、分散剤、懸濁剤又はエマルジョン、及び注入可能な滅菌溶液剤又は分散剤に再構成するための滅菌散剤を含むことができる。適切な水性及び非水性の担体、賦形剤(希釈剤)、溶媒又はビヒクルの例には、水、エタノール、ポリオール(プロピレングリコール、ポリエチレン−グリコール、グリセロール等)、適切なその混合物、植物油(オリーブ油など)及びオレイン酸エチルなどの注入可能な有機エステルが含まれる。適切な流動性は、例えばレシチンなどのコーティングを使用すること、分散剤の場合には必要な粒径を維持すること、及び界面活性剤を使用することによって維持することができる。
【0044】
経口投与のための固体剤形には、それに限定されるものではないが、カプセル剤、錠剤、丸剤、フィルムコーティングされた錠剤、丸剤、散剤及び顆粒剤が含まれる。かかる固体剤形では、活性剤は、以下の(a)クエン酸ナトリウム又はリン酸二カルシウムなどの1つ又は複数の不活性な添加剤(賦形剤)(又は担体)、(b)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール及びケイ酸などの充填剤又は増量剤、(c)カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース及びアカシアなどの結合剤、(d)グリセロールなどの湿潤剤、(e)寒天、炭酸カルシウム、バレイショ又はタピオカデンプン、アルギン酸、特定の複合ケイ酸塩及び炭酸ナトリウムなどの崩壊剤、(f)パラフィンなどの溶解遅延剤(solution retarder)、(g)第4級アンモニウム化合物などの吸収促進剤、(h)セチルアルコール及びグリセロールモノステアレートなどの湿潤剤、(i)カオリン及びベントナイトなどの吸着剤、(j)メタクリル酸/メタクリレートエステル、酢酸フタル酸ポリビニル、酢酸フタル酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロースとしてのフィルムコーティング材料、並びに(i)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム又はその混合物などの滑沢剤の少なくとも1つと混合される。カプセル剤、錠剤及び丸剤では、剤形は、緩衝剤を含むこともできる。
【0045】
経口投与のための液体剤形には、薬学的に許容されるエマルジョン、溶液剤、懸濁剤、シロップ及びエリキシル剤が含まれる。液体剤形は、シルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶に加えて、水又は他の溶媒、可溶化剤及び乳化剤などの、当技術分野で一般に使用される不活性賦形剤(希釈剤)を含むことができる。例示的な乳化剤は、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、綿実油、落花生油、トウモロコシ胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油及びゴマ油などの油、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、ソルビタンの脂肪酸エステル、又はこれらの物質の混合物等である。
【0046】
かかる不活性賦形剤(希釈剤)以外では、組成物は、湿潤剤、乳化剤及び懸濁化剤、甘味剤、香味剤、並びに賦香剤などのアジュバントを含むこともできる。
【0047】
本発明の医薬組成物は、親油性/生体利用能の強化/吸収及び溶解速度の増大/副作用の低減を示し、男性及び女性の性機能障害及び肺動脈高血圧の治療において、慣習的なクエン酸シルデナフィルの形態と比較して少ない投与量で使用することができる。
【0048】
本発明はまた、本明細書に開示の新規のシルデナフィルナノ粒子を使用して、勃起不全、女性の性機能障害及び肺動脈高血圧(PAH)を治療する方法を対象とする。
【0049】
A.本発明のシルデナフィルナノ粒子の好ましい特徴
1.高い生体利用能
本発明のナノ構造のシルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶組成物は、従来公知の慣習的なクエン酸シルデナフィル製剤と比較して、高い生体利用能、急速な作用発現、食品効果の低減及び必要用量の低減を示すことが提案される。
【実施例】
【0050】
(例1)
イヌにおける2つのシルデナフィル製剤の相対的な生体利用能の比較
この試験の目的は、摂食状態で経口投与された例9の試験用頬側製剤(ナノサイズのシルデナフィル組成物)及び参照Viagra錠剤の相対的な生体利用能を調査することであった。
【0051】
動物
ビーグル犬は、薬物動態試験に適した非げっ歯類種であり、規制当局に許容されている。ビーグル犬は、容易に利用可能であり、扱い、飼育及び投与が容易であり、各個々の動物における全血漿レベル曲線の調査に適している。
【0052】
全身曝露を、試験品目及び参照品目の両方について同じ3匹のイヌで調査した。この群の大きさは、大型動物における薬物動態試験に最適である。
【0053】
動物に、Ssniff、Spezialdiaeten GmbH製のイヌ用のssniff Hd−H食を与えた。食餌は、ビーグル犬1匹につき1日300gをほぼ同時に与えた。翌朝、残りの食餌を撤去した。
【0054】
投与の前に動物を終夜絶食させ、処理当日、投与の1時間前に、動物に標準食約150gを与えた。投与の約4時間後にも、別の食餌150gを与えた。
【0055】
投与
シルデナフィル製剤の相対的な生体利用能を、単回用量により(イヌ1匹当たり25mgは、非毒性の経口用量である)、2つの期間による試験で調査した。固体ナノ構造の処方を、口の前部分の粘膜表面上に置き、イヌの口を15分間保持して製剤を吸収させることによって、頬側投与を実施した。製剤は口内ですぐに溶解し、15分後には投与した用量は残っていなかった。
【0056】
採血及び血漿分離
シルデナフィルの血漿レベルを決定するために、血液約3mlを、抗凝固剤としてリチウムヘパリンを入れたプラスチックバイアルに収集した。採血の時点は、以下の投与前(0分)と、投与の15分、30分、45分、1時間、1.5時間、2時間、3時間、6時間、9時間、12時間、24時間及び48時間後の両方であった。
【0057】
血液を、前腕の橈側皮静脈(v.cephalica antebrachii)又は伏在静脈(v.saphena)から、使い捨ての滅菌針を用いて採取した。採取後、血液を遠心分離にかけるまで、クラッシュアイス上で冷却し続けた。採血後60分以内に、血液を4℃で10分間、2,000gで遠心分離にかけることによって、血漿試料を調製した。分離した血漿(約1ml)を、エッペンドルフ管に移した。血漿試料をすぐに凍結させ、分析まで超低温フリーザー(−20±5℃)で保存した。
【0058】
シルデナフィルの濃度を、信頼できるクロマトグラフィーによる生体分析法を使用して決定した。
【0059】
薬物動態評価
薬物動態評価を、WinNonlin Professional Version 4.0.1ソフトウェア(Pharsight Corporation、USA)を使用するATRCの解析部門(Analytical Department)で実施した。個々の血漿レベル対時間曲線を、非コンパートメント法を使用して評価した。
【0060】
結果
Viagra錠剤の経口投与及びナノ構造のシルデナフィルの頬側投与の両方によって(どちらの場合も用量25mg)、15分〜48時間の間隔で二相性プロファイルを示す検出可能な血清濃度が得られた。ナノ構造のシルデナフィルの頬側吸収は、より速い作用発現を伴って生じた。頬側投与の血漿濃度は、早くも投与の15分後に検出することができたが、錠剤の投与後のこの時点では、血漿におけるシルデナフィルは検出できなかった。さらに頬側製剤では、シルデナフィルの血漿濃度は30分後にさらに高かった(図2)。
【0061】
すべての試験期間(0〜48時間)についての曲線下面積(AUClast)、cmax及びtmaxを、曲線から算出し、市販薬物と比較したナノサイズの製剤の相対的な生体利用能(Frel)を決定した(図12(表1))。2つの製剤及び投与経路は、非常に類似した薬物動態プロファイルを有しており、tmax値は実質的に同一であった。曝露(AUC)及びcmax値は、市販薬物の経口投与と比較して、頬側投与では相対的な生体利用能が低く、62%である(図1、図12(表1))。
【0062】
全体的に、ナノ構造のシルデナフィルの頬側投与では、血漿中にシルデナフィルがより急速に現れ、類似の動態プロファイルを示すものの、生体利用能は低い。さらに、摂食なし/絶食の効果は、頬側経路の場合に期待することができる。
【0063】
図1:参照錠剤の経口投与及び25mg/kgのナノ構造のシルデナフィルの頬側投与後の初期の時点におけるシルデナフィルの血清濃度
【0064】
図2:参照錠剤の経口投与及び25mg/kgのナノ構造のシルデナフィルの頬側投与後のシルデナフィルの血清濃度
【0065】
図12(表1):経口Viagra及び頬側シルデナフィルのナノ製剤投与の主な薬物動態パラメーター
【0066】
2.本発明のナノ構造のシルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶組成物の溶解度及び溶解プロファイル
本発明のナノ構造のシルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶組成物は、小さい粒径及びナノ構造の粒子形成に起因して、高い溶解度及び溶解プロファイルを有する。より急速な溶解は、一般に、より急速な作用発現及び高い生体利用能をもたらすため、投与される活性剤が急速に溶解することが好ましい。
【0067】
(例2)
Cmaxの決定
参照APIと比較した例9のナノ構造のクエン酸シルデナフィルの溶解度を、蒸留水中、UV−VIS測定(Helios Alfa UV分光光度計)によって波長292nm及び室温で決定した。0.45μmの使い捨てシリンジフィルターによって、再分散した試料を濾過した。溶液中のナノ粒子の存在を調べるために、赤色レーザーポインターを波長670nmで操作してその溶液に照射した。散乱が観測されなかった場合は、濾過が成功し、溶液はナノ粒子を含有していないものとした。
【0068】
ナノ構造のクエン酸シルデナフィルの溶解度は24.5mg/mLであったが、これは、蒸留水におけるクエン酸シルデナフィルの溶解度よりも6.8倍高い。
【0069】
図3:クエン酸シルデナフィルのナノ製剤化による溶解度の増大
【0070】
(例3)
ナノサイズの組成物の速い溶解速度
参照APIと比較した例9のナノ構造のクエン酸シルデナフィルの溶解速度を、蒸留水中、UV−VIS測定(Agilent 8453)によって波長292nm及び室温で決定した。参照クエン酸シルデナフィル37.5mgを、蒸留水1.5mLに懸濁させ、クエン酸シルデナフィル37.5mgを含有するナノ構造のクエン酸シルデナフィル粉末40.76mgを、蒸留水1.5mLに懸濁させた。懸濁液を、1秒、1、3及び5分間撹拌し、次いで0.45μmの使い捨てシリンジフィルターによって濾過した。溶液中のナノ粒子の存在を調べるために、赤色レーザーポインターを波長670nmで操作してその溶液に照射した。散乱が観測されなかった場合は、濾過が成功し、溶液はナノ粒子を含有していないものとした。
【0071】
結果は著しい差異を示した。最初の1秒間に、ナノ構造のクエン酸シルデナフィルから溶解したクエン酸シルデナフィルの量は、参照と比較して6.19倍高かった。
【0072】
図4:参照クエン酸シルデナフィルと比較したナノ構造のクエン酸シルデナフィルの溶解プロファイル
【0073】
3.本発明のナノ構造のシルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶組成物の結晶学的構造
固体薬物の化学的安定性は、薬物の結晶状態によって影響を受ける。多くの薬物物質は、多形を示す。それぞれの結晶状態は、異なる化学反応性を有する。薬物のそれらの非晶質形での安定性は、非晶質状態の自由エネルギーレベルが高いことから、それらの結晶形の薬物の安定性よりも一般に低い。
【0074】
粉砕などの機械的ストレスによってもたらされる固体薬物の化学的安定性の低下は、結晶状態の変化によるものである。
【0075】
固体薬物の化学的安定性は、表面積の差異により、薬物の結晶状態の影響も受ける。薬物の固体表面上で進行する反応について、表面積の増加は、反応に関与する薬物の量を増大し得る。
【0076】
(例4)
結晶学的構造の決定
本発明の安定な非晶質/部分結晶/結晶/多形体のシルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶組成物は、参照結晶と比較して、その表面積の広さに起因して著しく高い溶解度を示す。
【0077】
Carbopol 971(アリルエーテルで架橋されたアクリル酸ポリマー)を使用して高分子電解質錯体を形成することによって調製した例9のクエン酸シルデナフィルナノ粒子の構造を、X線回折分析(Philips PW1050/1870RTG粉末回折計)で調査した。測定は、ナノ構造のクエン酸シルデナフィル組成物が部分結晶であることを示した。15〜20の2θ値の広範な反射は、Carbopol 971の非晶質構造を示している。ナノサイズのクエン酸シルデナフィルのXRDディフラクトグラムによって、結晶性クエン酸シルデナフィルの特徴的な反射を見出すことができるが、強度は低い。これによって、ナノ化(nanonization)が、部分結晶性クエン酸シルデナフィル形態をもたらしたことが示された。X線ディフラクトグラムを図6に示す。
【0078】
ディフラクトグラムに基づくと、参照クエン酸シルデナフィルの粒径は1〜2μmであるが、ナノサイズのクエン酸シルデナフィルは100nm未満の粒径を有すると結論付けることができる。
【0079】
図5:参照クエン酸シルデナフィル、本発明のナノ構造のクエン酸シルデナフィル及びCarbopol 971のX線ディフラクトグラム
【0080】
4.本発明のナノ構造のシルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶組成物の再分散性プロファイル
本発明のナノ構造のシルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶組成物のさらなる特徴は、界面活性剤(単数又は複数)によって安定化した乾燥ナノ粒子が、即座に、又はマンニトール、スクロースなどの従来の再分散剤を添加することによって再分散できるということである。
【0081】
(例5)
再分散性試験
再分散性試験を実施して、蒸留水における例9のナノ構造のクエン酸シルデナフィルの溶解度を決定した。凍結乾燥させたナノ構造のクエン酸シルデナフィル15mg及びマンニトール50mgを、激しく撹拌しながら蒸留水10mLに再分散させた。再分散させた試料の粒径を、DLS法(Nanotrac instrument、Mictrotrac Co.、USA)によって検出した。
【0082】
再分散させたナノ構造のクエン酸シルデナフィルの主な粒径(強度に基づく平均)は、d=230nmであり、d(90)値は、図7に示される通り368nmである。
【0083】
ナノ製剤化によって得られる著しい利益は、本発明のクエン酸シルデナフィルナノ粒子が、乾燥/固体製剤化の手順後に類似の平均粒径を有した状態で再分散し得るということである。剤形は、再分散後に類似の平均粒径を有するので、ナノ粒子の形成によって得られる利益を喪失することはない。本発明に適したナノサイズは、約290nm未満の平均粒径である。
【0084】
図6:再分散の前及び後のクエン酸シルデナフィルナノ粒子の大きさ及びサイズ分布。
【0085】
5.本発明のナノ構造のシルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶組成物の吸収及び透過性プロファイルを増大する親油性の強化
細胞膜のリン脂質性に起因して、経口投与後に腸管壁から吸収されるだけでなく、標的組織においてその薬理学的作用を発揮することができる薬物化合物には、特定の度合いの親油性が必要とされることが多い(F.Kesisoglouら、「薬物送達の進展の概説(Advanced Drug Delivery Reviews)」59(2007年)631〜644頁)。
【0086】
シルデナフィルの親油性は、ナノ粒子が沈殿する際に、親油性の安定剤及び/又はポリマー主鎖上に親油性側鎖基を有する安定剤及び/又は両親媒性安定剤を使用することによって増大することができる。適用される安定剤の親油性の性質又は親油性の側鎖基に起因して、本発明のシルデナフィルナノ粒子の親油性だけでなく、吸収及び透過性が増大し得る。
【0087】
例えばキトサンを使用して、経粘膜の吸収強化に起因する腸上皮の傍細胞透過性を増大することができる。
【0088】
薬物送達の目的で使用される大部分の両親媒性コポリマーは、疎水性セグメントとしてポリエステル又はポリ(アミノ酸)誘導体のいずれかを含有する。医薬品の対象となるポリエーテルの大部分は、ポロキサマーファミリー、すなわちポリプロピレングリコール及びポリエチレングリコールのブロックコポリマーに属する。
【0089】
(例6)
インビトロ透過性の比較試験
インビトロ実験を、オートサンプラーを備えた垂直フランツ型拡散セル(Hanson Microette TM Topical&Transdermal Diffusion Cell System、Hanson Research Corporation)で実施した。透過性実験中、クエン酸シルデナフィル溶液300μlを、ドナー相としてのProrafil膜に置いた。有効な拡散表面積は1.767cm2であった。アクセプター相は、すべての場合において蒸留水とした。すべての測定を37℃で実施し、6つの平行試料を調査した。
【0090】
透過性試験では、クエン酸シルデナフィルの参照懸濁剤24.5mg/mL及び例9のナノ構造のクエン酸シルデナフィル溶液24.5mg/mLを調製し、濾過した後に使用した。どちらの場合も、図8に見られる通りの透過量が検出された。
【0091】
結果は、著しい差異を示した。最初の30分以内に、ナノ構造のクエン酸シルデナフィルから調製したドナー溶液から浸透したクエン酸シルデナフィルの量は、参照と比較して390%多かった。
【0092】
図7:ナノ構造のクエン酸シルデナフィルを使用する透過性の強化
【0093】
6.本発明のナノ構造のシルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶組成物の急速な表面湿潤プロファイル
クエン酸シルデナフィルが溶解するためには、まずその表面が周りの流体によって湿潤されなければならない。ナノサイズの部分結晶形は、安定剤(単数又は複数)及び活性な医薬品成分の性質により、疎水性及び親水性の相互反応を発現する化学的に無作為化された表面を有し、それによって湿潤性を改善することができる。本発明のクエン酸シルデナフィルナノ粒子の表面が、親水性の基/安定剤(単数又は複数)によって官能化される場合、親水性が高度であるほど、元の結晶形と比較して表面は急速に湿潤し、急速に溶解する。本発明のクエン酸シルデナフィルナノ粒子のこの進化した特性は、再分散性試験の結果によって支持される。ナノ構造のクエン酸シルデナフィル粒子のより大きい表面積及び安定剤(単数又は複数)の親水性基に起因して、表面の湿潤は、結晶形の湿潤よりも急速である。
【0094】
(例7)
ナノ構造のシルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶湿潤性の視覚的観測
ナノ構造のクエン酸シルデナフィル粒子の湿潤性を、蒸留水中で調査し、CCDカメラを備えた実体顕微鏡によって視覚化した。0.1mgの参照及びナノ構造のシルデナフィル粉末を、スライドに置き、次いで一滴の蒸留水を粉末に添加した。ナノ構造のクエン酸シルデナフィル粉末は、すぐに膨潤し始め、湿潤し終えたが、参照クエン酸シルデナフィル粒子は、図8に示す通り凝集状態を維持した。
【0095】
図8:立体顕微鏡によって40×拡大率で観測した参照クエン酸シルデナフィル(a)及び例9のナノ構造のクエン酸シルデナフィル(b)の湿潤性
【0096】
B.組成物
本発明は、立体的に及び/又は静電気的に粒子を安定にする少なくとも1つの安定剤を含む、ナノサイズのシルデナフィル塩基、薬学的に許容されるその塩及び共結晶ナノ構造粒子の形成を提供する。
【0097】
安定剤は、好ましくは、シルデナフィル塩基、薬学的に許容されるその塩及び共結晶と関連又は相互作用するが、シルデナフィル塩基、薬学的に許容されるその塩及び共結晶又は安定剤自体とは化学的に反応しない。
【0098】
本発明のシルデナフィル塩基、薬学的に許容されるその塩及び共結晶のナノ粒子は、生体適合性若しくは生分解性の高分子電解質を使用して錯体化することによって形成することができ、又は安定剤(単数又は複数)を使用する溶媒−逆溶媒沈殿法によって調製することができる。ナノサイズのクエン酸シルデナフィルの調製したコロイド溶液の安定性は、錯体化と立体的又は静電気的粒子安定化との組合せによって増大することができる。さらに追加の安定剤を使用して、本発明のシルデナフィル塩基、薬学的に許容されるその塩及び共結晶の粒径を低減し、制御することができる。
【0099】
シルデナフィル塩基、薬学的に許容されるその塩及び共結晶ナノ粒子の粒径
本発明は、動的光散乱法によって測定して約500nm未満の平均粒径を有するシルデナフィル塩基、薬学的に許容されるその塩及び共結晶ナノ粒子を含有する。
【0100】
「約500nm未満の平均粒径」とは、シルデナフィル塩基、薬学的に許容されるその塩及び共結晶ナノ粒子の少なくとも50%が、前述の技術によって測定して数/強度による平均未満、すなわち約500nm未満等の粒径を有することを意味する。
【0101】
(例8)
ナノ構造のシルデナフィルの生成
実験中、クエン酸シルデナフィルナノ粒子を、マイクロ流体系の連続流反応器内で調製した。出発溶液として、蒸留水100mLに溶解したクエン酸シルデナフィル(SD)250mgを使用した。調製した溶液を、供給ユニットを使用して流速3mL/分で反応器ユニットを通過させた。一方、第2の供給ユニットを使用して、蒸留水100mLに溶解したCarbopol 971(CD)(Lubrisol)2.5〜25mgの溶液を、流速1mL/分で混合ユニットを通過させ、そこで第1の反応器ユニットから送り出されるクエン酸シルデナフィルを含有する溶液と混合した。混合ユニットを通過するCarbopol 971溶液による高分子電解質錯体の形成により、ナノ粒子を大気圧で連続的に生成する。生成されたコロイド溶液は、第2の反応器ユニットを介して流れ、装置と統合された動的光拡散ユニット(Nanotrac)に達し、それによって、得られたナノ粒子の粒径を連続的に検出することができる。ナノ粒子の大きさは、流速、圧力及び適用されるCarbopol 971の量を変更することによって、広範に制御することができる(図9参照)。クエン酸シルデナフィル粒子の粒径は、最良の場合74nmであった(図13(表2)参照)。流速を変更して、粒径を70〜最大500nmで変えることができる。
【0102】
図9:異なるAPI:高分子電解質比を使用するクエン酸シルデナフィルナノ粒子の粒径及びサイズ分布
【0103】
図13(表2):クエン酸シルデナフィルの粒径に対する流速の効果
【0104】
(例9)
ナノ構造のクエン酸シルデナフィルの生成
実験中、クエン酸シルデナフィルナノ粒子を、マイクロ流体系の連続流反応器で調製した。出発溶液として、蒸留水60mLに溶解した200mgのクエン酸シルデナフィル(SD)を使用した。調製した溶液を、供給ユニットを使用して流速4mL/分で反応器ユニットを通過させた。一方、第2の供給ユニットを使用して、蒸留水100mLに溶解したドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)50mgの溶液を、流速1mL/分で混合ユニットを通過させ、そこで第1の反応器ユニットから送り出されるクエン酸シルデナフィルを含有する溶液と混合した。混合ユニットを通過するSDBS溶液の沈殿効果により、ナノ粒子を大気圧で連続的に生成する。生成されたコロイド溶液は、第2の反応器ユニットを介して流れ、装置と統合された動的光拡散ユニット(Nanotrac)に達し、それによって、得られたナノ粒子の粒径を連続的に検出することができる。ナノ粒子の大きさは、流速を変更することによって、広範に制御することができる(図10参照)。クエン酸シルデナフィル粒子の粒径は、最良の場合263nmであった(図14(表3)参照)。流速を変更して、粒径を263〜最大769nmで変えることができる。
【0105】
図10:異なるAPI:逆溶媒比を使用する、クエン酸シルデナフィルナノ粒子の粒径及びサイズ分布
【0106】
図14(表3):クエン酸シルデナフィルの粒径に対する流速の効果
【0107】
(例10)
ナノ構造のシルデナフィル塩基の生成
実験中、シルデナフィル塩基ナノ粒子を、マイクロ流体系の連続流反応器で調製した。出発溶液として、60mLの蒸留水に溶解した100〜300mgのクエン酸シルデナフィル(SD)及び60〜1000mgのポリビニルアルコール(PVP、Mw=30,000〜70,000)を使用した。調製した溶液を、供給ユニットを使用して流速1〜10mL/分で反応器ユニットを通過させた。一方、第2の供給ユニットを使用して、0.001〜0.1Mの水酸化ナトリウム(NaOH)溶液を流速1〜10mL/分で混合ユニットを通過させ、そこで第1の反応器ユニットから送り出されるクエン酸シルデナフィルを含有する溶液と水酸化ナトリウム溶液とを混合した。混合ユニットを通過するNaOH溶液の沈殿効果により、ナノ粒子を大気圧で連続的に生成する。生成されたコロイド溶液は、第2の反応器ユニットを介して流れ、装置と統合された動的光拡散ユニット(Nanotrac)に達し、それによって、得られたナノ粒子の粒径を連続的に検出することができる。ナノ粒子の大きさは、流速を変更することによって、広範に制御することができる。シルデナフィル塩基粒子の粒径は、最良の場合349nmであった(図8を参照)。流速を変更すると粒径を変えることができる。
【0108】
図11:異なるAPI:逆溶媒比を使用するシルデナフィル塩基ナノ粒子の粒径及びサイズ分布
【0109】
(例11)
頬側フィルム製剤に取り込んだシルデナフィル塩基、薬学的に許容されるその塩及び共結晶ナノ粒子
ヒドロキシプロピルメチルセルロース:ポリエチレングリコール400:carbopol 934Pを0.3:1.0:0.7の比で使用して、フィルムを生成した。合計1%w/vのポリマー溶液を6時間撹拌し、終夜静置して、封入されていたすべての気泡を除去した。ナノ構造のクエン酸シルデナフィルを添加し、溶液をペトリ皿上に置き、完全に乾燥するまで60℃のオーブンで乾燥させた。フィルムをペトリ皿から注意深く除去し、任意の不完全性について調べ、試験に必要な大きさに従って切断した。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノ構造の(ナノ粒子状の)シルデナフィル(sildenafil)塩基、薬学的に許容されるその塩及び共結晶、それらの組成物、その調製方法、並びにそれらを含有する医薬組成物を対象とする。
【0002】
本発明のシルデナフィル塩基、薬学的に許容されるその塩及び共結晶のナノ粒子、それらの組成物は、約500nm未満の平均粒径を有する。シルデナフィル塩基及びその塩、特にクエン酸シルデナフィルは、例えば陰茎の血流を調節する酵素であるcGMP特異的ホスホジエステラーゼ5型(PDEV)を阻害する。本発明の組成物は、男性又は女性の性機能障害及び肺動脈高血圧(PAH)の治療に有用である。
【背景技術】
【0003】
A.ナノ粒子形成/生成に関する背景
医薬品としての適用のためのナノ粒子の開発は、薬物送達系に合わせてカスタマイズされた溶液剤を開発する新規技術の振興に取り組むものである。薬物送達系は、身体における薬物又は他の関連化学物質の吸収、分布、代謝及び排泄速度に良い影響を与えるべきである。さらに薬物送達系は、薬物をその標的受容体に結合させ、受容体のシグナル伝達及び活性に影響を及ぼすべきである。薬物送達材料は、特定の薬物と相溶性があり、容易に結合し、使用後は、正常な排泄経路を介して代謝又は排出される断片に分解され得るべきである。
【0004】
異なる一手法は、活性成分(API)をナノ粒子の形態で生成することである。
【0005】
ナノ粒子組成物は、例えばUS5,298,262、US5,318,767、US5,328,404、US5,336,、US5,340,564、US5,466,440、US5,552,160、US5,560,931、US5,573,783、US5,593,657、US6,045,829、US6,264,922、US6,428,814、US6,592,903、US6,656,504、US6,976,647に記載されている。
【0006】
APIナノ粒子は、当技術分野で公知の、例えば製粉、ホモジナイズ、沈殿技術、又は超臨界流体技術を使用して生成することができる。ナノ粒子組成物の生成方法は、US5,718,388、US5,862,999、US5,665,331、US5,543,133、US5,534,270、US5,510,118、US5,470,583、US2009/0028948、及びEP1658053にも記載されている。
【0007】
B.クエン酸シルデナフィルに関する背景
【0008】
クエン酸シルデナフィルは、化学的に1−[[3−(6,7−ジヒドロ−1−メチル−7−オキソ−3−プロピル−1H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−5−イル)−4−エトキシフェニル]スルホニル]−4−メチルピペラジンクエン酸と指定されており、以下の構造式
【化1】
を有する。
【0009】
クエン酸シルデナフィルは、白色からオフホワイト色の結晶粉末であり、3.5mg/mLの水への溶解度及び666.7の分子量を有する。
【0010】
その調製方法は、最初にUS5250534に記載された。クエン酸シルデナフィルは、US6469012に論じられている通り、勃起不全の治療に使用できることが知られている。
【0011】
クエン酸シルデナフィルは、25mg、50mg及び100mgのクエン酸シルデナフィルに等しい、経口投与用の青色フィルムでコーティングされた曲線的なダイヤモンド形の錠剤として製剤化されており、名称バイアグラ(VIAGRA)で市販されている。
【0012】
さらにWO1999/021562は、PDEV阻害剤が、女性の性機能障害の治療に使用できると記載している。
【0013】
薬理学的特性
経口クエン酸シルデナフィルは急速に吸収され、そのピーク血漿濃度(cmax)は1時間以内に生じる。絶対的な生体利用能は41%である。食品は吸収を緩慢にするが、シルデナフィル血漿濃度−時間曲線下面積(AUC)には影響を及ぼさない。AUC及びcmaxは、クエン酸シルデナフィルの1.25〜200mgの単回用量にわたって用量に比例した。
【0014】
吸収及び分布
経口クエン酸シルデナフィルは、急速に吸収される。観測される最大血漿濃度は、絶食状態で経口投与の30〜120分以内(中央値60分)に達する。VIAGRAは、高脂肪食と共に摂取されると、その吸収速度が低下し、tmaxは平均60分遅延し、cmaxは平均29%低下する。
【0015】
副作用
経口摂取されるクエン酸シルデナフィルは、頭痛、紅潮、視覚的効果、消化不良(dyspersia)を引き起こし得ることが知られている。経口クエン酸シルデナフィルの使用は、有機硝酸塩を摂取している対象では禁忌である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
クエン酸シルデナフィルの水への溶解度は低く(3.5mg/mL)、生体利用能が低く(41%)、副作用があることから、従来の慣習的なクエン酸シルデナフィル製剤の使用に関連するこれら及び他の問題を克服するために、親油性/生体利用能の強化/吸収の増大/副作用の低減/投与量の低減/食品効果の低減が、当技術分野では必要とされている。さらにこれらの問題は、クエン酸シルデナフィルの表面を改質して初回通過効果を低減し、又は代謝を改質すること解決することができる。クエン酸シルデナフィルの慣習的な製剤の他に、経皮/外用適用によって、生体利用能を増大し、且つ/又はクエン酸シルデナフィルの所望の効果を達成するのに必要な時間を低減することができる。本発明は、この需要を満たすものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、親油性/生体利用能の強化/吸収及び溶解速度の増大/副作用の低減/投与量の低減/食品効果の低減を伴う、ナノ構造の(ナノ粒子状の)シルデナフィル塩基、薬学的に許容されるその塩及び共結晶、それらの組成物を記載する。
以下の例に例示する通り、安定剤のすべての組合せが安定なナノ粒子を形成するわけではない。安定なシルデナフィルナノ粒子は、選択された安定剤を使用して、連続流による方法、好ましくはマイクロ流体系の連続流による方法によって生成され得ることが発見された。シルデナフィルという表現は一般に、シルデナフィル塩基、薬学的に許容されるその塩及び共結晶に使用される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】参照錠剤の経口投与及び25mg/kgのナノ構造のシルデナフィルの頬側投与後の初期の時点におけるシルデナフィルの血清濃度
【図2】参照錠剤の経口投与及び25mg/kgのナノ構造のシルデナフィルの頬側投与後のシルデナフィルの血清濃度
【図3】クエン酸シルデナフィルのナノ製剤化による可溶性の強化
【図4】参照クエン酸シルデナフィルと比較したナノ構造のクエン酸シルデナフィルの溶解プロファイル
【図5】参照クエン酸シルデナフィル、本発明のナノ構造のクエン酸シルデナフィル及びCarbopol 971のX線ディフラクトグラム
【図6】再分散の前及び後のクエン酸シルデナフィルナノ粒子の大きさ及びサイズ分布
【図7】ナノ構造のクエン酸シルデナフィルを使用する透過性の強化
【図8】立体顕微鏡によって40×拡大率で観測した参照クエン酸シルデナフィル(a)及び例9のナノ構造のクエン酸シルデナフィル(b)の湿潤性
【図9】異なるAPI:高分子電解質比を使用するクエン酸シルデナフィルナノ粒子の粒径及びサイズ分布
【図10】異なるAPI:逆溶媒比を使用する、クエン酸シルデナフィルナノ粒子の粒径及びサイズ分布
【図11】異なるAPI:逆溶媒比を使用するシルデナフィル塩基ナノ粒子の粒径及びサイズ分布
【図12】(表1)経口Viagra及び頬側シルデナフィルのナノ製剤投与の主な薬物動態パラメーター
【図13】(表2)クエン酸シルデナフィルの粒径に対する流速の効果
【図14】(表3)クエン酸シルデナフィルの粒径に対する流速の効果
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、約500nm未満の平均粒径を有するナノ構造のシルデナフィル塩基、薬学的に許容されるその塩及び共結晶を含む。
【0020】
本発明のナノ構造のシルデナフィル塩基、薬学的に許容されるその塩及び共結晶は、500nm〜50nm、好ましくは350nm〜50nm、好ましくは100nm〜50nmの平均粒径を有する。
【0021】
本発明はさらに、
(a)約500nm未満の平均粒径を有するナノ構造のシルデナフィル塩基、薬学的に許容されるその塩又は共結晶、
(b)少なくとも1つのアニオン性高分子電解質又は安定剤又はそれらの混合物又は立体的及び静電気的安定化のための任意の追加の安定剤
を含む、安定なナノ構造のシルデナフィル組成物に関する。
【0022】
本発明の組成物は、好ましくは連続流反応器内で、最も好ましくはマイクロ流体系の連続流反応器内で調製される。
【0023】
本発明の組成物は、約500nm未満、好ましくは500nm〜50nm、好ましくは350nm〜50nm、好ましくは100nmから50nmの平均粒径を有するシルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶を含む。
【0024】
本発明の組成物では、(a)シルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶は、シルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶と他の添加剤(賦形剤)を含まない少なくとも1つの安定剤又は高分子電解質との混合総重量に対して、重量で約99.5%〜約0.001%、約95%〜約0.1%、及び約90%〜約0.5%からなる群から選択される量で存在し、(b)安定剤又は高分子電解質は、シルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶と他の添加剤(賦形剤)を含まない少なくとも1つの安定剤との混合総乾燥重量に対して、重量で約0.5%〜約99.999%、約5.0%〜約99.9%、及び約10%〜約99.5%からなる群から選択される量で存在する。
【0025】
本発明の組成物では、シルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶は、結晶相、非晶質相、半結晶相、半非晶質相、及び任意の多形体でのその混合物から選択される相で使用することができる。
【0026】
本発明の組成物の調製では、アニオン性高分子電解質、好ましくは核酸、タンパク質、タイコ酸、ポリペプチド及び多糖(ペクチン、カラゲニン、アルギン酸塩、カルボキシメチルセルロース(天然高分子電解質)など)、並びにポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム)(PSS)並びにポリ(アクリル酸)及びアリルエステル又はスクロース又はペンタエリスリトール(pentaerythriol)で架橋されたその誘導体(例えば、Carbopol 2623、Carbopol 971P、Carbopol 980、Pemulen TR1、Pemulen TR2)、ポリ(メタ)アクリレート系ポリマー及びコポリマー(Eudargit(登録商標))(合成);非イオン性の安定剤、好ましくはポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(2−エチル−2−オキサゾリン)、ポリ(メチルビニルエーテル)、ポリビニルアルコール、1−エテニル−2−ピロリジノンとの酢酸エテニルエステルポリマー(PVP/VAコポリマー)、ポリ(エチレングリコール)及びその誘導体(例えば、PEG2000、6000、35000)、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドブロックコポリマー及びその誘導体(例えば、Pluronic 10500、6100、6800)、並びにポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(例えば、Tween(登録商標)20及びTween(登録商標)80(ICI Speciality Chemicals)などの、例えば市販のTween(登録商標)製品);並びに追加の安定剤としての、好ましくはヒドロキシル−プロピル−セルロース誘導体、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、トコフェリルポリエチレングリコールスクシネート、ポリエトキシ化ヒマシ油及びその誘導体(derivateive)、任意のカチオン性安定剤、好ましくは塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルベンジルメチルアンモニウム、臭化アルキルベンジルジメチルアンモニウム、臭化ベンジルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムを使用することができる。
【0027】
本発明の組成物の利点には、それに限定されるものではないが、(1)錠剤又は他の固体剤形の大きさがより小さく、有益な経皮/外用適用をもたらすこと、(2)慣習的なクエン酸シルデナフィルの形態と比較して、同じ薬理学的効果を得るのに必要な薬物の用量が少ないこと、(3)慣習的なクエン酸シルデナフィルの形態と比較して、生体利用能が高いこと、(4)薬物動態プロファイルが改善されていること、(5)慣習的な同じ活性化合物の形態と比較して、クエン酸シルデナフィルナノ粒子の溶解速度が速いこと、(6)クエン酸シルデナフィルナノ粒子の代謝が改質されていることが含まれる。
【0028】
本発明の別の態様は、連続流反応器内で、シルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶の適切な溶液と、1つ又は複数の安定剤又は高分子電解質又はその混合物の溶液とを、所望に応じて薬学的に許容される酸又は塩基の存在下で混合するステップを含む、ナノ構造のシルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶を調製する方法である。
【0029】
好ましくは、本発明の組成物を調製するこの方法は、(1)シルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶及び任意選択により1つ又は複数の安定剤又は高分子電解質又はその混合物を適切な溶媒に溶解するステップと、(2)ステップ(1)の製剤を、1つ又は複数の高分子電解質又は安定剤又はその混合物を含む溶液に、所望に応じて薬学的に許容される酸又は塩基の存在下で添加するステップと、(3)ステップ(2)から製剤を沈殿させるステップによって実施される。
【0030】
好ましくは、本発明の組成物の調製方法は、(1)シルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶及び1つ又は複数の安定剤を適切な溶媒に溶解するステップと、(2)ステップ(1)の製剤を、ステップ(1)の溶液に、1つ又は複数の高分子電解質又は安定剤又はその混合物を含む溶液に、所望に応じて薬学的に許容される酸又は塩基の存在下で添加するステップと、(3)ステップ(2)から製剤を沈殿させるステップによって実施される。
【0031】
本発明の別の好ましい実施形態は、該組成物の調製方法が、(1)シルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶及び1つ又は複数の安定剤を適切な溶媒に溶解するステップと、(2)ステップ(1)の製剤を、薬学的に許容される酸又は塩基を含む溶液に添加するステップと、(3)ステップ(2)から製剤を沈殿させるステップによって実施される実施形態である。
【0032】
この方法は、(a)互いに混和するが、シルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶がその一方にしか溶解しない2つの異なる溶媒を使用するステップ、又は(b)シルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶の高分子電解質複合体が実質的にナノ構造の粒子を形成する2つのステップにおいて同じ溶媒を使用するステップ(但し、適用される高分子電解質、安定剤(単数又は複数)は、使用する溶媒に溶解するという制限が付く)によって実施される。
【0033】
好ましい連続流反応器として、I.Hornyak、B.Borcsek及びF.Darvasによる刊行物「Microfluid Nanofluid」DOI 10.1007/s10404−008−0257−9に記載のマイクロ流体系の連続流反応器が使用される。
【0034】
本発明の方法において、化学的沈殿に2つの異なる溶媒が使用される場合、それらの溶媒は、互いに混和しなければならず、但しシルデナフィルはその一方にしか溶解しない。かかる溶媒は、ジメチルスルホキシド、エタノール、i−プロパノール、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、ジエチレングリコールエチルエーテル、好ましくはピリジンであってよい。高分子電解質錯体の形成には、好ましくは水系の溶液を使用することができる。
【0035】
ナノ構造のシルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶の粒径は、使用する溶媒、流速、及びシルデナフィルと安定剤の比によって影響を受けることがある。
【0036】
本発明の別の態様は、生物学的に関連する媒体、例えば生理食塩水、pH=2.5のHCl溶液における、シルデナフィルのナノサイズの固体形態の良好な/即時再分散性を対象とする。
【0037】
本発明の別の態様は、本発明の安定なナノ構造のシルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶又はそれらの組成物、及び任意選択により薬学的に許容される補助材料を含む医薬組成物である。
【0038】
本発明の医薬組成物は、(a)経口、肺、直腸、結腸、非経口、大槽内、腟内、腹腔内、眼、耳、局所、頬側、経鼻及び外用投与からなる群から選択される投与に合わせて製剤化され、(b)液体分散剤、ゲル剤、エアゾール剤、軟膏剤、クリーム剤、凍結乾燥させた製剤、頬側フィルム、錠剤、カプセル剤からなる群から選択される剤形に製剤化され、(c)制御放出製剤、急速溶融製剤、遅延放出製剤、延長放出製剤、拍動的放出製剤、並びに即時放出及び制御放出の混合製剤からなる群から選択される剤形に製剤化され、又は(d)(a)、(b)及び(c)の任意の組合せに製剤化され得る。
【0039】
組成物は、経口(固体、液体)、腟内、直腸、局所(散剤、軟膏剤、ゲル又はドロップ剤)、又は外用投与等のための様々な種類の添加剤(賦形剤)を添加することによって製剤化することができる。
【0040】
本発明の最も好ましい剤形は、頬側フィルム及びゲル剤形であるが、任意の薬学的に許容される剤形を利用することができる。
【0041】
ヒトの身体への経口送達のために、ナノ粒子をそれらの水性分散液として、最終的な剤形として投与することもできる。これは、ナノ粒子の形成後のさらなる処理なしに送達する一手段である。しかし、水性環境における薬物若しくはポリマーの安定性の低さ、又は薬物の味の悪さにより、コロイド粒子を固体剤形に、すなわちカプセル剤及び錠剤に組み込む必要があり得る。
【0042】
或いは、例えば適切な充填剤をコロイド分散液と共に造粒して造粒物(granulation)を形成することによって、コロイド粒子の水性分散液を液体として固体剤形に組み込むことができる。その後、かかる顆粒はカプセルに充填され、又は錠剤に圧縮され得る。或いは、例えば流動床内の担体としての糖ペレット(sugar−pellet)上に、分散液を積層することによって、ナノ粒子の固体形態を生成することができる。錠剤のコア、又は顆粒若しくはペレットのこれらの製造方法では、その後コーティングステップを実施することにより、フィルムコーティングされた錠剤又はカプセル剤におけるフィルムコーティングされた顆粒を最終的な剤形として提示する潜在的な可能性が生じ得る。
【0043】
非経口注入に適した組成物は、生理的に許容される水性又は非水性の滅菌溶液剤、分散剤、懸濁剤又はエマルジョン、及び注入可能な滅菌溶液剤又は分散剤に再構成するための滅菌散剤を含むことができる。適切な水性及び非水性の担体、賦形剤(希釈剤)、溶媒又はビヒクルの例には、水、エタノール、ポリオール(プロピレングリコール、ポリエチレン−グリコール、グリセロール等)、適切なその混合物、植物油(オリーブ油など)及びオレイン酸エチルなどの注入可能な有機エステルが含まれる。適切な流動性は、例えばレシチンなどのコーティングを使用すること、分散剤の場合には必要な粒径を維持すること、及び界面活性剤を使用することによって維持することができる。
【0044】
経口投与のための固体剤形には、それに限定されるものではないが、カプセル剤、錠剤、丸剤、フィルムコーティングされた錠剤、丸剤、散剤及び顆粒剤が含まれる。かかる固体剤形では、活性剤は、以下の(a)クエン酸ナトリウム又はリン酸二カルシウムなどの1つ又は複数の不活性な添加剤(賦形剤)(又は担体)、(b)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール及びケイ酸などの充填剤又は増量剤、(c)カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース及びアカシアなどの結合剤、(d)グリセロールなどの湿潤剤、(e)寒天、炭酸カルシウム、バレイショ又はタピオカデンプン、アルギン酸、特定の複合ケイ酸塩及び炭酸ナトリウムなどの崩壊剤、(f)パラフィンなどの溶解遅延剤(solution retarder)、(g)第4級アンモニウム化合物などの吸収促進剤、(h)セチルアルコール及びグリセロールモノステアレートなどの湿潤剤、(i)カオリン及びベントナイトなどの吸着剤、(j)メタクリル酸/メタクリレートエステル、酢酸フタル酸ポリビニル、酢酸フタル酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロースとしてのフィルムコーティング材料、並びに(i)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム又はその混合物などの滑沢剤の少なくとも1つと混合される。カプセル剤、錠剤及び丸剤では、剤形は、緩衝剤を含むこともできる。
【0045】
経口投与のための液体剤形には、薬学的に許容されるエマルジョン、溶液剤、懸濁剤、シロップ及びエリキシル剤が含まれる。液体剤形は、シルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶に加えて、水又は他の溶媒、可溶化剤及び乳化剤などの、当技術分野で一般に使用される不活性賦形剤(希釈剤)を含むことができる。例示的な乳化剤は、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、綿実油、落花生油、トウモロコシ胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油及びゴマ油などの油、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、ソルビタンの脂肪酸エステル、又はこれらの物質の混合物等である。
【0046】
かかる不活性賦形剤(希釈剤)以外では、組成物は、湿潤剤、乳化剤及び懸濁化剤、甘味剤、香味剤、並びに賦香剤などのアジュバントを含むこともできる。
【0047】
本発明の医薬組成物は、親油性/生体利用能の強化/吸収及び溶解速度の増大/副作用の低減を示し、男性及び女性の性機能障害及び肺動脈高血圧の治療において、慣習的なクエン酸シルデナフィルの形態と比較して少ない投与量で使用することができる。
【0048】
本発明はまた、本明細書に開示の新規のシルデナフィルナノ粒子を使用して、勃起不全、女性の性機能障害及び肺動脈高血圧(PAH)を治療する方法を対象とする。
【0049】
A.本発明のシルデナフィルナノ粒子の好ましい特徴
1.高い生体利用能
本発明のナノ構造のシルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶組成物は、従来公知の慣習的なクエン酸シルデナフィル製剤と比較して、高い生体利用能、急速な作用発現、食品効果の低減及び必要用量の低減を示すことが提案される。
【実施例】
【0050】
(例1)
イヌにおける2つのシルデナフィル製剤の相対的な生体利用能の比較
この試験の目的は、摂食状態で経口投与された例9の試験用頬側製剤(ナノサイズのシルデナフィル組成物)及び参照Viagra錠剤の相対的な生体利用能を調査することであった。
【0051】
動物
ビーグル犬は、薬物動態試験に適した非げっ歯類種であり、規制当局に許容されている。ビーグル犬は、容易に利用可能であり、扱い、飼育及び投与が容易であり、各個々の動物における全血漿レベル曲線の調査に適している。
【0052】
全身曝露を、試験品目及び参照品目の両方について同じ3匹のイヌで調査した。この群の大きさは、大型動物における薬物動態試験に最適である。
【0053】
動物に、Ssniff、Spezialdiaeten GmbH製のイヌ用のssniff Hd−H食を与えた。食餌は、ビーグル犬1匹につき1日300gをほぼ同時に与えた。翌朝、残りの食餌を撤去した。
【0054】
投与の前に動物を終夜絶食させ、処理当日、投与の1時間前に、動物に標準食約150gを与えた。投与の約4時間後にも、別の食餌150gを与えた。
【0055】
投与
シルデナフィル製剤の相対的な生体利用能を、単回用量により(イヌ1匹当たり25mgは、非毒性の経口用量である)、2つの期間による試験で調査した。固体ナノ構造の処方を、口の前部分の粘膜表面上に置き、イヌの口を15分間保持して製剤を吸収させることによって、頬側投与を実施した。製剤は口内ですぐに溶解し、15分後には投与した用量は残っていなかった。
【0056】
採血及び血漿分離
シルデナフィルの血漿レベルを決定するために、血液約3mlを、抗凝固剤としてリチウムヘパリンを入れたプラスチックバイアルに収集した。採血の時点は、以下の投与前(0分)と、投与の15分、30分、45分、1時間、1.5時間、2時間、3時間、6時間、9時間、12時間、24時間及び48時間後の両方であった。
【0057】
血液を、前腕の橈側皮静脈(v.cephalica antebrachii)又は伏在静脈(v.saphena)から、使い捨ての滅菌針を用いて採取した。採取後、血液を遠心分離にかけるまで、クラッシュアイス上で冷却し続けた。採血後60分以内に、血液を4℃で10分間、2,000gで遠心分離にかけることによって、血漿試料を調製した。分離した血漿(約1ml)を、エッペンドルフ管に移した。血漿試料をすぐに凍結させ、分析まで超低温フリーザー(−20±5℃)で保存した。
【0058】
シルデナフィルの濃度を、信頼できるクロマトグラフィーによる生体分析法を使用して決定した。
【0059】
薬物動態評価
薬物動態評価を、WinNonlin Professional Version 4.0.1ソフトウェア(Pharsight Corporation、USA)を使用するATRCの解析部門(Analytical Department)で実施した。個々の血漿レベル対時間曲線を、非コンパートメント法を使用して評価した。
【0060】
結果
Viagra錠剤の経口投与及びナノ構造のシルデナフィルの頬側投与の両方によって(どちらの場合も用量25mg)、15分〜48時間の間隔で二相性プロファイルを示す検出可能な血清濃度が得られた。ナノ構造のシルデナフィルの頬側吸収は、より速い作用発現を伴って生じた。頬側投与の血漿濃度は、早くも投与の15分後に検出することができたが、錠剤の投与後のこの時点では、血漿におけるシルデナフィルは検出できなかった。さらに頬側製剤では、シルデナフィルの血漿濃度は30分後にさらに高かった(図2)。
【0061】
すべての試験期間(0〜48時間)についての曲線下面積(AUClast)、cmax及びtmaxを、曲線から算出し、市販薬物と比較したナノサイズの製剤の相対的な生体利用能(Frel)を決定した(図12(表1))。2つの製剤及び投与経路は、非常に類似した薬物動態プロファイルを有しており、tmax値は実質的に同一であった。曝露(AUC)及びcmax値は、市販薬物の経口投与と比較して、頬側投与では相対的な生体利用能が低く、62%である(図1、図12(表1))。
【0062】
全体的に、ナノ構造のシルデナフィルの頬側投与では、血漿中にシルデナフィルがより急速に現れ、類似の動態プロファイルを示すものの、生体利用能は低い。さらに、摂食なし/絶食の効果は、頬側経路の場合に期待することができる。
【0063】
図1:参照錠剤の経口投与及び25mg/kgのナノ構造のシルデナフィルの頬側投与後の初期の時点におけるシルデナフィルの血清濃度
【0064】
図2:参照錠剤の経口投与及び25mg/kgのナノ構造のシルデナフィルの頬側投与後のシルデナフィルの血清濃度
【0065】
図12(表1):経口Viagra及び頬側シルデナフィルのナノ製剤投与の主な薬物動態パラメーター
【0066】
2.本発明のナノ構造のシルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶組成物の溶解度及び溶解プロファイル
本発明のナノ構造のシルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶組成物は、小さい粒径及びナノ構造の粒子形成に起因して、高い溶解度及び溶解プロファイルを有する。より急速な溶解は、一般に、より急速な作用発現及び高い生体利用能をもたらすため、投与される活性剤が急速に溶解することが好ましい。
【0067】
(例2)
Cmaxの決定
参照APIと比較した例9のナノ構造のクエン酸シルデナフィルの溶解度を、蒸留水中、UV−VIS測定(Helios Alfa UV分光光度計)によって波長292nm及び室温で決定した。0.45μmの使い捨てシリンジフィルターによって、再分散した試料を濾過した。溶液中のナノ粒子の存在を調べるために、赤色レーザーポインターを波長670nmで操作してその溶液に照射した。散乱が観測されなかった場合は、濾過が成功し、溶液はナノ粒子を含有していないものとした。
【0068】
ナノ構造のクエン酸シルデナフィルの溶解度は24.5mg/mLであったが、これは、蒸留水におけるクエン酸シルデナフィルの溶解度よりも6.8倍高い。
【0069】
図3:クエン酸シルデナフィルのナノ製剤化による溶解度の増大
【0070】
(例3)
ナノサイズの組成物の速い溶解速度
参照APIと比較した例9のナノ構造のクエン酸シルデナフィルの溶解速度を、蒸留水中、UV−VIS測定(Agilent 8453)によって波長292nm及び室温で決定した。参照クエン酸シルデナフィル37.5mgを、蒸留水1.5mLに懸濁させ、クエン酸シルデナフィル37.5mgを含有するナノ構造のクエン酸シルデナフィル粉末40.76mgを、蒸留水1.5mLに懸濁させた。懸濁液を、1秒、1、3及び5分間撹拌し、次いで0.45μmの使い捨てシリンジフィルターによって濾過した。溶液中のナノ粒子の存在を調べるために、赤色レーザーポインターを波長670nmで操作してその溶液に照射した。散乱が観測されなかった場合は、濾過が成功し、溶液はナノ粒子を含有していないものとした。
【0071】
結果は著しい差異を示した。最初の1秒間に、ナノ構造のクエン酸シルデナフィルから溶解したクエン酸シルデナフィルの量は、参照と比較して6.19倍高かった。
【0072】
図4:参照クエン酸シルデナフィルと比較したナノ構造のクエン酸シルデナフィルの溶解プロファイル
【0073】
3.本発明のナノ構造のシルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶組成物の結晶学的構造
固体薬物の化学的安定性は、薬物の結晶状態によって影響を受ける。多くの薬物物質は、多形を示す。それぞれの結晶状態は、異なる化学反応性を有する。薬物のそれらの非晶質形での安定性は、非晶質状態の自由エネルギーレベルが高いことから、それらの結晶形の薬物の安定性よりも一般に低い。
【0074】
粉砕などの機械的ストレスによってもたらされる固体薬物の化学的安定性の低下は、結晶状態の変化によるものである。
【0075】
固体薬物の化学的安定性は、表面積の差異により、薬物の結晶状態の影響も受ける。薬物の固体表面上で進行する反応について、表面積の増加は、反応に関与する薬物の量を増大し得る。
【0076】
(例4)
結晶学的構造の決定
本発明の安定な非晶質/部分結晶/結晶/多形体のシルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶組成物は、参照結晶と比較して、その表面積の広さに起因して著しく高い溶解度を示す。
【0077】
Carbopol 971(アリルエーテルで架橋されたアクリル酸ポリマー)を使用して高分子電解質錯体を形成することによって調製した例9のクエン酸シルデナフィルナノ粒子の構造を、X線回折分析(Philips PW1050/1870RTG粉末回折計)で調査した。測定は、ナノ構造のクエン酸シルデナフィル組成物が部分結晶であることを示した。15〜20の2θ値の広範な反射は、Carbopol 971の非晶質構造を示している。ナノサイズのクエン酸シルデナフィルのXRDディフラクトグラムによって、結晶性クエン酸シルデナフィルの特徴的な反射を見出すことができるが、強度は低い。これによって、ナノ化(nanonization)が、部分結晶性クエン酸シルデナフィル形態をもたらしたことが示された。X線ディフラクトグラムを図6に示す。
【0078】
ディフラクトグラムに基づくと、参照クエン酸シルデナフィルの粒径は1〜2μmであるが、ナノサイズのクエン酸シルデナフィルは100nm未満の粒径を有すると結論付けることができる。
【0079】
図5:参照クエン酸シルデナフィル、本発明のナノ構造のクエン酸シルデナフィル及びCarbopol 971のX線ディフラクトグラム
【0080】
4.本発明のナノ構造のシルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶組成物の再分散性プロファイル
本発明のナノ構造のシルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶組成物のさらなる特徴は、界面活性剤(単数又は複数)によって安定化した乾燥ナノ粒子が、即座に、又はマンニトール、スクロースなどの従来の再分散剤を添加することによって再分散できるということである。
【0081】
(例5)
再分散性試験
再分散性試験を実施して、蒸留水における例9のナノ構造のクエン酸シルデナフィルの溶解度を決定した。凍結乾燥させたナノ構造のクエン酸シルデナフィル15mg及びマンニトール50mgを、激しく撹拌しながら蒸留水10mLに再分散させた。再分散させた試料の粒径を、DLS法(Nanotrac instrument、Mictrotrac Co.、USA)によって検出した。
【0082】
再分散させたナノ構造のクエン酸シルデナフィルの主な粒径(強度に基づく平均)は、d=230nmであり、d(90)値は、図7に示される通り368nmである。
【0083】
ナノ製剤化によって得られる著しい利益は、本発明のクエン酸シルデナフィルナノ粒子が、乾燥/固体製剤化の手順後に類似の平均粒径を有した状態で再分散し得るということである。剤形は、再分散後に類似の平均粒径を有するので、ナノ粒子の形成によって得られる利益を喪失することはない。本発明に適したナノサイズは、約290nm未満の平均粒径である。
【0084】
図6:再分散の前及び後のクエン酸シルデナフィルナノ粒子の大きさ及びサイズ分布。
【0085】
5.本発明のナノ構造のシルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶組成物の吸収及び透過性プロファイルを増大する親油性の強化
細胞膜のリン脂質性に起因して、経口投与後に腸管壁から吸収されるだけでなく、標的組織においてその薬理学的作用を発揮することができる薬物化合物には、特定の度合いの親油性が必要とされることが多い(F.Kesisoglouら、「薬物送達の進展の概説(Advanced Drug Delivery Reviews)」59(2007年)631〜644頁)。
【0086】
シルデナフィルの親油性は、ナノ粒子が沈殿する際に、親油性の安定剤及び/又はポリマー主鎖上に親油性側鎖基を有する安定剤及び/又は両親媒性安定剤を使用することによって増大することができる。適用される安定剤の親油性の性質又は親油性の側鎖基に起因して、本発明のシルデナフィルナノ粒子の親油性だけでなく、吸収及び透過性が増大し得る。
【0087】
例えばキトサンを使用して、経粘膜の吸収強化に起因する腸上皮の傍細胞透過性を増大することができる。
【0088】
薬物送達の目的で使用される大部分の両親媒性コポリマーは、疎水性セグメントとしてポリエステル又はポリ(アミノ酸)誘導体のいずれかを含有する。医薬品の対象となるポリエーテルの大部分は、ポロキサマーファミリー、すなわちポリプロピレングリコール及びポリエチレングリコールのブロックコポリマーに属する。
【0089】
(例6)
インビトロ透過性の比較試験
インビトロ実験を、オートサンプラーを備えた垂直フランツ型拡散セル(Hanson Microette TM Topical&Transdermal Diffusion Cell System、Hanson Research Corporation)で実施した。透過性実験中、クエン酸シルデナフィル溶液300μlを、ドナー相としてのProrafil膜に置いた。有効な拡散表面積は1.767cm2であった。アクセプター相は、すべての場合において蒸留水とした。すべての測定を37℃で実施し、6つの平行試料を調査した。
【0090】
透過性試験では、クエン酸シルデナフィルの参照懸濁剤24.5mg/mL及び例9のナノ構造のクエン酸シルデナフィル溶液24.5mg/mLを調製し、濾過した後に使用した。どちらの場合も、図8に見られる通りの透過量が検出された。
【0091】
結果は、著しい差異を示した。最初の30分以内に、ナノ構造のクエン酸シルデナフィルから調製したドナー溶液から浸透したクエン酸シルデナフィルの量は、参照と比較して390%多かった。
【0092】
図7:ナノ構造のクエン酸シルデナフィルを使用する透過性の強化
【0093】
6.本発明のナノ構造のシルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶組成物の急速な表面湿潤プロファイル
クエン酸シルデナフィルが溶解するためには、まずその表面が周りの流体によって湿潤されなければならない。ナノサイズの部分結晶形は、安定剤(単数又は複数)及び活性な医薬品成分の性質により、疎水性及び親水性の相互反応を発現する化学的に無作為化された表面を有し、それによって湿潤性を改善することができる。本発明のクエン酸シルデナフィルナノ粒子の表面が、親水性の基/安定剤(単数又は複数)によって官能化される場合、親水性が高度であるほど、元の結晶形と比較して表面は急速に湿潤し、急速に溶解する。本発明のクエン酸シルデナフィルナノ粒子のこの進化した特性は、再分散性試験の結果によって支持される。ナノ構造のクエン酸シルデナフィル粒子のより大きい表面積及び安定剤(単数又は複数)の親水性基に起因して、表面の湿潤は、結晶形の湿潤よりも急速である。
【0094】
(例7)
ナノ構造のシルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶湿潤性の視覚的観測
ナノ構造のクエン酸シルデナフィル粒子の湿潤性を、蒸留水中で調査し、CCDカメラを備えた実体顕微鏡によって視覚化した。0.1mgの参照及びナノ構造のシルデナフィル粉末を、スライドに置き、次いで一滴の蒸留水を粉末に添加した。ナノ構造のクエン酸シルデナフィル粉末は、すぐに膨潤し始め、湿潤し終えたが、参照クエン酸シルデナフィル粒子は、図8に示す通り凝集状態を維持した。
【0095】
図8:立体顕微鏡によって40×拡大率で観測した参照クエン酸シルデナフィル(a)及び例9のナノ構造のクエン酸シルデナフィル(b)の湿潤性
【0096】
B.組成物
本発明は、立体的に及び/又は静電気的に粒子を安定にする少なくとも1つの安定剤を含む、ナノサイズのシルデナフィル塩基、薬学的に許容されるその塩及び共結晶ナノ構造粒子の形成を提供する。
【0097】
安定剤は、好ましくは、シルデナフィル塩基、薬学的に許容されるその塩及び共結晶と関連又は相互作用するが、シルデナフィル塩基、薬学的に許容されるその塩及び共結晶又は安定剤自体とは化学的に反応しない。
【0098】
本発明のシルデナフィル塩基、薬学的に許容されるその塩及び共結晶のナノ粒子は、生体適合性若しくは生分解性の高分子電解質を使用して錯体化することによって形成することができ、又は安定剤(単数又は複数)を使用する溶媒−逆溶媒沈殿法によって調製することができる。ナノサイズのクエン酸シルデナフィルの調製したコロイド溶液の安定性は、錯体化と立体的又は静電気的粒子安定化との組合せによって増大することができる。さらに追加の安定剤を使用して、本発明のシルデナフィル塩基、薬学的に許容されるその塩及び共結晶の粒径を低減し、制御することができる。
【0099】
シルデナフィル塩基、薬学的に許容されるその塩及び共結晶ナノ粒子の粒径
本発明は、動的光散乱法によって測定して約500nm未満の平均粒径を有するシルデナフィル塩基、薬学的に許容されるその塩及び共結晶ナノ粒子を含有する。
【0100】
「約500nm未満の平均粒径」とは、シルデナフィル塩基、薬学的に許容されるその塩及び共結晶ナノ粒子の少なくとも50%が、前述の技術によって測定して数/強度による平均未満、すなわち約500nm未満等の粒径を有することを意味する。
【0101】
(例8)
ナノ構造のシルデナフィルの生成
実験中、クエン酸シルデナフィルナノ粒子を、マイクロ流体系の連続流反応器内で調製した。出発溶液として、蒸留水100mLに溶解したクエン酸シルデナフィル(SD)250mgを使用した。調製した溶液を、供給ユニットを使用して流速3mL/分で反応器ユニットを通過させた。一方、第2の供給ユニットを使用して、蒸留水100mLに溶解したCarbopol 971(CD)(Lubrisol)2.5〜25mgの溶液を、流速1mL/分で混合ユニットを通過させ、そこで第1の反応器ユニットから送り出されるクエン酸シルデナフィルを含有する溶液と混合した。混合ユニットを通過するCarbopol 971溶液による高分子電解質錯体の形成により、ナノ粒子を大気圧で連続的に生成する。生成されたコロイド溶液は、第2の反応器ユニットを介して流れ、装置と統合された動的光拡散ユニット(Nanotrac)に達し、それによって、得られたナノ粒子の粒径を連続的に検出することができる。ナノ粒子の大きさは、流速、圧力及び適用されるCarbopol 971の量を変更することによって、広範に制御することができる(図9参照)。クエン酸シルデナフィル粒子の粒径は、最良の場合74nmであった(図13(表2)参照)。流速を変更して、粒径を70〜最大500nmで変えることができる。
【0102】
図9:異なるAPI:高分子電解質比を使用するクエン酸シルデナフィルナノ粒子の粒径及びサイズ分布
【0103】
図13(表2):クエン酸シルデナフィルの粒径に対する流速の効果
【0104】
(例9)
ナノ構造のクエン酸シルデナフィルの生成
実験中、クエン酸シルデナフィルナノ粒子を、マイクロ流体系の連続流反応器で調製した。出発溶液として、蒸留水60mLに溶解した200mgのクエン酸シルデナフィル(SD)を使用した。調製した溶液を、供給ユニットを使用して流速4mL/分で反応器ユニットを通過させた。一方、第2の供給ユニットを使用して、蒸留水100mLに溶解したドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)50mgの溶液を、流速1mL/分で混合ユニットを通過させ、そこで第1の反応器ユニットから送り出されるクエン酸シルデナフィルを含有する溶液と混合した。混合ユニットを通過するSDBS溶液の沈殿効果により、ナノ粒子を大気圧で連続的に生成する。生成されたコロイド溶液は、第2の反応器ユニットを介して流れ、装置と統合された動的光拡散ユニット(Nanotrac)に達し、それによって、得られたナノ粒子の粒径を連続的に検出することができる。ナノ粒子の大きさは、流速を変更することによって、広範に制御することができる(図10参照)。クエン酸シルデナフィル粒子の粒径は、最良の場合263nmであった(図14(表3)参照)。流速を変更して、粒径を263〜最大769nmで変えることができる。
【0105】
図10:異なるAPI:逆溶媒比を使用する、クエン酸シルデナフィルナノ粒子の粒径及びサイズ分布
【0106】
図14(表3):クエン酸シルデナフィルの粒径に対する流速の効果
【0107】
(例10)
ナノ構造のシルデナフィル塩基の生成
実験中、シルデナフィル塩基ナノ粒子を、マイクロ流体系の連続流反応器で調製した。出発溶液として、60mLの蒸留水に溶解した100〜300mgのクエン酸シルデナフィル(SD)及び60〜1000mgのポリビニルアルコール(PVP、Mw=30,000〜70,000)を使用した。調製した溶液を、供給ユニットを使用して流速1〜10mL/分で反応器ユニットを通過させた。一方、第2の供給ユニットを使用して、0.001〜0.1Mの水酸化ナトリウム(NaOH)溶液を流速1〜10mL/分で混合ユニットを通過させ、そこで第1の反応器ユニットから送り出されるクエン酸シルデナフィルを含有する溶液と水酸化ナトリウム溶液とを混合した。混合ユニットを通過するNaOH溶液の沈殿効果により、ナノ粒子を大気圧で連続的に生成する。生成されたコロイド溶液は、第2の反応器ユニットを介して流れ、装置と統合された動的光拡散ユニット(Nanotrac)に達し、それによって、得られたナノ粒子の粒径を連続的に検出することができる。ナノ粒子の大きさは、流速を変更することによって、広範に制御することができる。シルデナフィル塩基粒子の粒径は、最良の場合349nmであった(図8を参照)。流速を変更すると粒径を変えることができる。
【0108】
図11:異なるAPI:逆溶媒比を使用するシルデナフィル塩基ナノ粒子の粒径及びサイズ分布
【0109】
(例11)
頬側フィルム製剤に取り込んだシルデナフィル塩基、薬学的に許容されるその塩及び共結晶ナノ粒子
ヒドロキシプロピルメチルセルロース:ポリエチレングリコール400:carbopol 934Pを0.3:1.0:0.7の比で使用して、フィルムを生成した。合計1%w/vのポリマー溶液を6時間撹拌し、終夜静置して、封入されていたすべての気泡を除去した。ナノ構造のクエン酸シルデナフィルを添加し、溶液をペトリ皿上に置き、完全に乾燥するまで60℃のオーブンで乾燥させた。フィルムをペトリ皿から注意深く除去し、任意の不完全性について調べ、試験に必要な大きさに従って切断した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
約500nm未満の平均粒径を有するナノ構造のシルデナフィル塩基、薬学的に許容されるその塩及び共結晶。
【請求項2】
シルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶の平均粒径が、500nm〜50nm、好ましくは350nm〜50nm、好ましくは100nm〜50である、請求項1に記載のナノ構造のシルデナフィル塩基、薬学的に許容されるその塩及び共結晶。
【請求項3】
約500nm未満、好ましくは500nm〜50nm、好ましくは350nm〜50nm、好ましくは100nm〜50の平均粒径を有する、請求項1に記載のナノ構造のシルデナフィル塩基。
【請求項4】
約500nm未満、好ましくは500nm〜50nm、好ましくは350nm〜50nm、好ましくは100nm〜50の平均粒径を有する、請求項1に記載の薬学的に許容されるナノ構造のシルデナフィル塩、好ましくはクエン酸シルデナフィル。
【請求項5】
約500nm未満、好ましくは500nm〜50nm、好ましくは350nm〜50nm、好ましくは100nm〜50の平均粒径を有する、請求項1に記載のシルデナフィル塩基及び薬学的に許容される酸、好ましくはクエン酸の薬学的に許容されるナノ構造の共結晶。
【請求項6】
(a)約500nm未満の平均粒径を有する、ナノ構造のシルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶、
(b)少なくとも1つのアニオン性高分子電解質又は安定剤又はその混合物又は任意の追加の安定剤
を含む、安定なナノ構造のシルデナフィル組成物。
【請求項7】
(a)約500nm未満の平均粒径を有するナノ構造のシルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶、
(b)少なくとも1つのアニオン性高分子電解質又は安定剤又はその混合物、又は任意の追加の安定剤
を含み、連続流反応器内で調製されるものである、請求項6に記載の安定なナノ構造のシルデナフィル組成物。
【請求項8】
(a)約500nm未満の平均粒径を有するナノ構造のシルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶、
(b)少なくとも1つのアニオン性高分子電解質又は安定剤又はその混合物、又は任意の追加の安定剤
を含み、マイクロ流体系の連続流反応器内で調製されるものである、請求項7に記載の安定なナノ構造のシルデナフィル組成物。
【請求項9】
約500nm未満、好ましくは500nm〜50nm、好ましくは350nm〜50nm、好ましくは100nm〜50nmの平均粒径を有するシルデナフィル塩基を含有する、請求項6から8までに記載の組成物。
【請求項10】
約500nm未満、好ましくは500nm〜50nm、好ましくは350nm〜50nm、好ましくは100nm〜50nmの平均粒径を有する薬学的に許容されるシルデナフィル塩、好ましくはクエン酸シルデナフィルを含有する、請求項6から8までに記載の組成物。
【請求項11】
約500nm未満、好ましくは500nm〜50nm、好ましくは350nm〜50nm、好ましくは100nm〜50nmの平均粒径を有する共結晶の形態のシルデナフィル塩基及び薬学的に許容される酸、好ましくはシルデナフィル塩基及びクエン酸を含有する、請求項6から8までに記載の組成物。
【請求項12】
(a)シルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶が、シルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶と、他の添加剤(賦形剤)を含まない少なくとも1つの安定剤又は高分子電解質との混合総重量に対して、重量で約99.5%〜約0.001%、約95%〜約0.1%、及び約90%〜約0.5%からなる群から選択される量で存在し、(b)安定剤又は高分子電解質が、シルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶と、他の添加剤(賦形剤)を含まない少なくとも1つの安定剤との混合総乾燥重量に対して、重量で約0.5%〜約99.999%、約5.0%〜約99.9%、及び約10%〜約99.5%からなる群から選択される量で存在する、請求項6に記載の組成物。
【請求項13】
結晶相、非晶質相、半結晶相、半非晶質相、共結晶及び任意の多形体でのその混合物から選択される相である、請求項1から10までに記載のシルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶。
【請求項14】
高分子電解質として、核酸、タンパク質、タイコ酸、ポリペプチド及び多糖及びポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム)並びにポリ(メタ)アクリレート系ポリマー及びコポリマー(合成)、ポリ(アクリル酸)及びアリルエステル又はスクロース又はペンタエリスリオールで架橋されたその誘導体を含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項15】
非イオン性安定剤として、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(2−エチル−2−オキサゾリン)、ポリ(メチルビニルエーテル)、ポリビニルアルコール、1−エテニル−2−ピロリジノンとの酢酸エテニルエステルポリマー(PVP/VAコポリマー)、ポリ(エチレングリコール)及びその誘導体(例えば、PEG2000、6000、35000)、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドブロックコポリマー及びその誘導体(例えば、Pluronic 10500、6100、6800)、並びにポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(例えば、市販のTween(登録商標)製品)を含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項16】
追加の安定剤として、ヒドロキシル−プロピル−セルロース誘導体、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、トコフェリルポリエチレングリコールスクシネート、ポリエトキシ化ヒマシ油及びその誘導体、任意のカチオン性安定剤、好ましくは塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルベンジルメチルアンモニウム、臭化アルキルベンジルジメチルアンモニウム、臭化ベンジルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムを含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項17】
連続流反応器内で、1つ又は複数の安定剤又は高分子電解質又はその混合物を含む、シルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩の適切な溶液から、所望に応じて薬学的に許容される酸又は塩基の存在下で、ナノ構造のシルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶を沈殿させるステップを含む、請求項1から16までに記載のナノ構造のシルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶を調製する方法。
【請求項18】
連続流反応器として、マイクロ流体系の連続流反応器を使用する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
(1)シルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩及び任意選択により1つ又は複数の高分子電解質又は安定剤又はその混合物を、適切な溶媒に溶解するステップと、(2)ステップ(1)からの製剤を、1つ又は複数の高分子電解質又は安定剤又はその混合物を含む溶液に、所望に応じて薬学的に許容される酸又は塩基の存在下で添加するステップと、(3)ステップ(2)からの製剤を沈殿させるステップを含む、請求項17から18までに記載の方法。
【請求項20】
(1)シルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩及び1つ又は複数の安定剤を、適切な溶媒に溶解するステップと、(2)ステップ(1)からの製剤を、1つ又は複数の高分子電解質又は安定剤又はその混合物を任意選択により含む溶液に、所望に応じて薬学的に許容される酸又は塩基の存在下で添加するステップと、(3)ステップ(2)からの製剤を沈殿させるステップを含む、請求項17から18までに記載の方法。
【請求項21】
(1)シルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩及び1つ又は複数の安定剤を、適切な溶媒に溶解するステップと、(2)ステップ(1)からの製剤を、薬学的に許容される酸又は塩基を含む溶液に添加するステップと、(3)ステップ(2)からの製剤を沈殿させるステップを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
(a)互いに混和するが、シルデナフィル塩基若しくは薬学的に許容されるその塩若しくは共結晶がその一方にしか溶解しない2つの異なる溶媒を使用するステップ、又は(b)シルデナフィル塩基若しくは薬学的に許容されるその塩若しくは共結晶の高分子電解質錯体が実質的にナノ構造の粒子を形成する2つのステップにおいて同じ溶媒を使用するステップ(但し、適用される高分子電解質、安定剤は、使用する溶媒に溶解するという制限が付く)を含む、請求項17から21までに記載の方法。
【請求項23】
請求項1から6までに記載のナノ構造のシルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶及び任意選択により薬学的に許容される補助材料を含む、医薬組成物。
【請求項24】
(a)経口、肺、直腸、結腸、非経口、大槽内、腟内、腹腔内、眼、耳、局所、頬側、経鼻及び外用投与からなる群から選択される投与に合わせて製剤化され、(b)液体分散剤、エアゾール剤、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、凍結乾燥させた製剤、頬側フィルム、錠剤、カプセル剤からなる群から選択される剤形に製剤化され、(c)制御放出製剤、急速溶融製剤、遅延放出製剤、延長放出製剤、拍動的放出製剤、並びに即時放出及び制御放出の混合製剤からなる群から選択される剤形に製剤化され、又は(d)(a)、(b)及び(c)の任意の組合せに製剤化される、請求項23に記載の医薬組成物。
【請求項25】
頬側フィルムの剤形に製剤化される、請求項23に記載の医薬組成物。
【請求項26】
請求項1から26までに記載の有効量のナノ構造のシルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶を、それを必要としている対象に投与することによる、対象を治療する方法。
【請求項27】
医薬品の調製のための、請求項1から26までに記載のナノ構造のシルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶の使用。
【請求項28】
男性又は女性の性機能障害及び肺動脈高血圧の治療において使用される投与量を低減するために、水に約24.5mg/mlの溶解度を有する、請求項1から26までに記載のナノ構造のシルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶の使用。
【請求項29】
男性又は女性の性機能障害及び肺動脈高血圧の治療において、生理的媒体への即時再分散性を有する、請求項1から26までに記載のナノ構造のシルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶の使用。
【請求項30】
男性又は女性の性機能障害及び肺動脈高血圧の治療において使用される投与量を低減するために、経皮透過性が強化されている、請求項1から26までに記載のナノ構造のシルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶の使用。
【請求項31】
男性又は女性の性機能障害及び肺動脈高血圧の治療において使用される投与量を低減するために、ヒト胃腸管での吸収が増大される、請求項1から26までに記載のナノ構造のシルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶の使用。
【請求項32】
男性又は女性の性機能障害及び肺動脈高血圧の治療において使用される投与量を低減するために、急速な作用発現を有する、請求項1から26までに記載のナノ構造のシルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶の使用。
【請求項33】
男性又は女性の性機能障害及び肺動脈高血圧の治療において、少ない投与量で変動性が低減される、請求項1から26までに記載のナノ構造のシルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶の使用。
【請求項1】
約500nm未満の平均粒径を有するナノ構造のシルデナフィル塩基、薬学的に許容されるその塩及び共結晶。
【請求項2】
シルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶の平均粒径が、500nm〜50nm、好ましくは350nm〜50nm、好ましくは100nm〜50である、請求項1に記載のナノ構造のシルデナフィル塩基、薬学的に許容されるその塩及び共結晶。
【請求項3】
約500nm未満、好ましくは500nm〜50nm、好ましくは350nm〜50nm、好ましくは100nm〜50の平均粒径を有する、請求項1に記載のナノ構造のシルデナフィル塩基。
【請求項4】
約500nm未満、好ましくは500nm〜50nm、好ましくは350nm〜50nm、好ましくは100nm〜50の平均粒径を有する、請求項1に記載の薬学的に許容されるナノ構造のシルデナフィル塩、好ましくはクエン酸シルデナフィル。
【請求項5】
約500nm未満、好ましくは500nm〜50nm、好ましくは350nm〜50nm、好ましくは100nm〜50の平均粒径を有する、請求項1に記載のシルデナフィル塩基及び薬学的に許容される酸、好ましくはクエン酸の薬学的に許容されるナノ構造の共結晶。
【請求項6】
(a)約500nm未満の平均粒径を有する、ナノ構造のシルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶、
(b)少なくとも1つのアニオン性高分子電解質又は安定剤又はその混合物又は任意の追加の安定剤
を含む、安定なナノ構造のシルデナフィル組成物。
【請求項7】
(a)約500nm未満の平均粒径を有するナノ構造のシルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶、
(b)少なくとも1つのアニオン性高分子電解質又は安定剤又はその混合物、又は任意の追加の安定剤
を含み、連続流反応器内で調製されるものである、請求項6に記載の安定なナノ構造のシルデナフィル組成物。
【請求項8】
(a)約500nm未満の平均粒径を有するナノ構造のシルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶、
(b)少なくとも1つのアニオン性高分子電解質又は安定剤又はその混合物、又は任意の追加の安定剤
を含み、マイクロ流体系の連続流反応器内で調製されるものである、請求項7に記載の安定なナノ構造のシルデナフィル組成物。
【請求項9】
約500nm未満、好ましくは500nm〜50nm、好ましくは350nm〜50nm、好ましくは100nm〜50nmの平均粒径を有するシルデナフィル塩基を含有する、請求項6から8までに記載の組成物。
【請求項10】
約500nm未満、好ましくは500nm〜50nm、好ましくは350nm〜50nm、好ましくは100nm〜50nmの平均粒径を有する薬学的に許容されるシルデナフィル塩、好ましくはクエン酸シルデナフィルを含有する、請求項6から8までに記載の組成物。
【請求項11】
約500nm未満、好ましくは500nm〜50nm、好ましくは350nm〜50nm、好ましくは100nm〜50nmの平均粒径を有する共結晶の形態のシルデナフィル塩基及び薬学的に許容される酸、好ましくはシルデナフィル塩基及びクエン酸を含有する、請求項6から8までに記載の組成物。
【請求項12】
(a)シルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶が、シルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶と、他の添加剤(賦形剤)を含まない少なくとも1つの安定剤又は高分子電解質との混合総重量に対して、重量で約99.5%〜約0.001%、約95%〜約0.1%、及び約90%〜約0.5%からなる群から選択される量で存在し、(b)安定剤又は高分子電解質が、シルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶と、他の添加剤(賦形剤)を含まない少なくとも1つの安定剤との混合総乾燥重量に対して、重量で約0.5%〜約99.999%、約5.0%〜約99.9%、及び約10%〜約99.5%からなる群から選択される量で存在する、請求項6に記載の組成物。
【請求項13】
結晶相、非晶質相、半結晶相、半非晶質相、共結晶及び任意の多形体でのその混合物から選択される相である、請求項1から10までに記載のシルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶。
【請求項14】
高分子電解質として、核酸、タンパク質、タイコ酸、ポリペプチド及び多糖及びポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム)並びにポリ(メタ)アクリレート系ポリマー及びコポリマー(合成)、ポリ(アクリル酸)及びアリルエステル又はスクロース又はペンタエリスリオールで架橋されたその誘導体を含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項15】
非イオン性安定剤として、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(2−エチル−2−オキサゾリン)、ポリ(メチルビニルエーテル)、ポリビニルアルコール、1−エテニル−2−ピロリジノンとの酢酸エテニルエステルポリマー(PVP/VAコポリマー)、ポリ(エチレングリコール)及びその誘導体(例えば、PEG2000、6000、35000)、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドブロックコポリマー及びその誘導体(例えば、Pluronic 10500、6100、6800)、並びにポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(例えば、市販のTween(登録商標)製品)を含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項16】
追加の安定剤として、ヒドロキシル−プロピル−セルロース誘導体、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、トコフェリルポリエチレングリコールスクシネート、ポリエトキシ化ヒマシ油及びその誘導体、任意のカチオン性安定剤、好ましくは塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルベンジルメチルアンモニウム、臭化アルキルベンジルジメチルアンモニウム、臭化ベンジルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムを含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項17】
連続流反応器内で、1つ又は複数の安定剤又は高分子電解質又はその混合物を含む、シルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩の適切な溶液から、所望に応じて薬学的に許容される酸又は塩基の存在下で、ナノ構造のシルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶を沈殿させるステップを含む、請求項1から16までに記載のナノ構造のシルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶を調製する方法。
【請求項18】
連続流反応器として、マイクロ流体系の連続流反応器を使用する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
(1)シルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩及び任意選択により1つ又は複数の高分子電解質又は安定剤又はその混合物を、適切な溶媒に溶解するステップと、(2)ステップ(1)からの製剤を、1つ又は複数の高分子電解質又は安定剤又はその混合物を含む溶液に、所望に応じて薬学的に許容される酸又は塩基の存在下で添加するステップと、(3)ステップ(2)からの製剤を沈殿させるステップを含む、請求項17から18までに記載の方法。
【請求項20】
(1)シルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩及び1つ又は複数の安定剤を、適切な溶媒に溶解するステップと、(2)ステップ(1)からの製剤を、1つ又は複数の高分子電解質又は安定剤又はその混合物を任意選択により含む溶液に、所望に応じて薬学的に許容される酸又は塩基の存在下で添加するステップと、(3)ステップ(2)からの製剤を沈殿させるステップを含む、請求項17から18までに記載の方法。
【請求項21】
(1)シルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩及び1つ又は複数の安定剤を、適切な溶媒に溶解するステップと、(2)ステップ(1)からの製剤を、薬学的に許容される酸又は塩基を含む溶液に添加するステップと、(3)ステップ(2)からの製剤を沈殿させるステップを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
(a)互いに混和するが、シルデナフィル塩基若しくは薬学的に許容されるその塩若しくは共結晶がその一方にしか溶解しない2つの異なる溶媒を使用するステップ、又は(b)シルデナフィル塩基若しくは薬学的に許容されるその塩若しくは共結晶の高分子電解質錯体が実質的にナノ構造の粒子を形成する2つのステップにおいて同じ溶媒を使用するステップ(但し、適用される高分子電解質、安定剤は、使用する溶媒に溶解するという制限が付く)を含む、請求項17から21までに記載の方法。
【請求項23】
請求項1から6までに記載のナノ構造のシルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶及び任意選択により薬学的に許容される補助材料を含む、医薬組成物。
【請求項24】
(a)経口、肺、直腸、結腸、非経口、大槽内、腟内、腹腔内、眼、耳、局所、頬側、経鼻及び外用投与からなる群から選択される投与に合わせて製剤化され、(b)液体分散剤、エアゾール剤、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、凍結乾燥させた製剤、頬側フィルム、錠剤、カプセル剤からなる群から選択される剤形に製剤化され、(c)制御放出製剤、急速溶融製剤、遅延放出製剤、延長放出製剤、拍動的放出製剤、並びに即時放出及び制御放出の混合製剤からなる群から選択される剤形に製剤化され、又は(d)(a)、(b)及び(c)の任意の組合せに製剤化される、請求項23に記載の医薬組成物。
【請求項25】
頬側フィルムの剤形に製剤化される、請求項23に記載の医薬組成物。
【請求項26】
請求項1から26までに記載の有効量のナノ構造のシルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶を、それを必要としている対象に投与することによる、対象を治療する方法。
【請求項27】
医薬品の調製のための、請求項1から26までに記載のナノ構造のシルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶の使用。
【請求項28】
男性又は女性の性機能障害及び肺動脈高血圧の治療において使用される投与量を低減するために、水に約24.5mg/mlの溶解度を有する、請求項1から26までに記載のナノ構造のシルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶の使用。
【請求項29】
男性又は女性の性機能障害及び肺動脈高血圧の治療において、生理的媒体への即時再分散性を有する、請求項1から26までに記載のナノ構造のシルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶の使用。
【請求項30】
男性又は女性の性機能障害及び肺動脈高血圧の治療において使用される投与量を低減するために、経皮透過性が強化されている、請求項1から26までに記載のナノ構造のシルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶の使用。
【請求項31】
男性又は女性の性機能障害及び肺動脈高血圧の治療において使用される投与量を低減するために、ヒト胃腸管での吸収が増大される、請求項1から26までに記載のナノ構造のシルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶の使用。
【請求項32】
男性又は女性の性機能障害及び肺動脈高血圧の治療において使用される投与量を低減するために、急速な作用発現を有する、請求項1から26までに記載のナノ構造のシルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶の使用。
【請求項33】
男性又は女性の性機能障害及び肺動脈高血圧の治療において、少ない投与量で変動性が低減される、請求項1から26までに記載のナノ構造のシルデナフィル塩基又は薬学的に許容されるその塩又は共結晶の使用。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8a】
【図8b】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8a】
【図8b】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2012−530125(P2012−530125A)
【公表日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−515569(P2012−515569)
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【国際出願番号】PCT/HU2010/000071
【国際公開番号】WO2010/146407
【国際公開日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【出願人】(511306985)ナノフォーム ハンガリー リミテッド (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【国際出願番号】PCT/HU2010/000071
【国際公開番号】WO2010/146407
【国際公開日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【出願人】(511306985)ナノフォーム ハンガリー リミテッド (2)
【Fターム(参考)】
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