ナノ構造を持つ高分子製品のためのモールドの形成方法
【課題】ナノパターニングされた製品の製造に関し、改善されたライフタイムを有し低コストのモールドの製造方法を提供する。
【解決手段】保護膜4とダイヤモンド・ライク・カーボン薄膜5とを金属支持体2上に堆積し、以下にてダイヤモンド・ライク・カーボン薄膜5ナノパターニングする。ハードマスク8を用いドライ・フェーズ中の選択的化学エッチングにより行われ、エッチングはダイヤモンド・ライク・カーボン薄膜5と保護膜4との間の界面で停止する。ハードマスク8は、あらかじめ自由表面上に堆積されたナノ粒子10によって輪郭が定められているボイド・ラティス11である。保護膜4とナノパターニングされたダイヤモンド・ライク・カーボン薄膜5とで形成された積層コーティングは、約100nmから約10μmの厚さを有する。
【解決手段】保護膜4とダイヤモンド・ライク・カーボン薄膜5とを金属支持体2上に堆積し、以下にてダイヤモンド・ライク・カーボン薄膜5ナノパターニングする。ハードマスク8を用いドライ・フェーズ中の選択的化学エッチングにより行われ、エッチングはダイヤモンド・ライク・カーボン薄膜5と保護膜4との間の界面で停止する。ハードマスク8は、あらかじめ自由表面上に堆積されたナノ粒子10によって輪郭が定められているボイド・ラティス11である。保護膜4とナノパターニングされたダイヤモンド・ライク・カーボン薄膜5とで形成された積層コーティングは、約100nmから約10μmの厚さを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子材料で形成される製品のためのモールドの形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高分子材料は、従来からある消費財(consumer goods)を製造するために広く用いられている。実際に、このような材料は、例えば、自動車、携帯電話、医療器具、新しいエネルギー分野等における部品や包装(packaging)分野において、多くの製品を大量に低コストで製造することを可能にする。通常、これらの物品は、プラスチックプロセス分野の簡便な製造方法を用いて製造される。特に、これらは、プラスチック押し出し(plastic injection)による、もしくは、引き抜き(drawing)による、モールディング(moulding)を用いて製造される。プラスチック押し出し法は、高分子材料をモールドの中で溶かすことも含まれ、一方、高分子材料の熱形成に対応する引き抜きは、高分子材料の溶融温度と比べて低い温度におけるモールド(型(die)と呼ばれる)を用いて行われる。
【0003】
高分子材料は、製造される製品は少量であって、しかしながら、製造方法、品質、機能に対する要求が、強くなっている、ニッチ市場において、ここ数年、
用いられている。これは、例えば、マイクロ流体装置(microfluidic device)、バイオチップ、ホログラム、のような物の製造分野の場合である。このような特定の種類の分野においては、形状や大きさに関して、非常に正確に、微小な製品を製造することが要求されている。特に、このような製品の表面には、通常、パターンが形成され、例えば、ランド及び隙間領域によって定められるパターンを備え、これらの領域(幅、高さ、ピッチ)のディメンションは、マイクロメートルの領域にあり、さらに、ナノメートルの領域にも及んでいる。ナノメートルの領域のディメンションを持つパターンの場合、その表面は、ナノパターニング(nanopatterned)された表面を呼ばれる。さらに、このような高い付加価値を持つ微細な製品は、大量製造と低コスト製造とを要求する、現在の消費財の市場において用いられはじめるようになった。
【0004】
従って、このような市場における従来からの課題は、プラスチックプロセス分野(押し出し、又は、引き抜きによるモールディング)において、簡便な製造方法を用いることを可能にすることであり、このような方法は、簡単に、工業化することができ、利益をあげることができ、同時に、製造される製品の持つ複雑なディメンションと表面状態を、簡単にマスター(master)する、ものである。特に、この課題は、これらの製造方法において用いられるモールドの表面の相補的な部分(complementary part)と完全に一致する、ナノパターニングされた表面を有する高分子の製品を得ることで、構成される。
【0005】
例として、CD−ROMのような光学データ記録ディスクは、例えば、ポリカーボネイトから形成された高分子基板に、マイクロメートル以下のサイズを持ったパターンを有するトラックを形成することによって、製造される。しかしながら、このようなディスクは、通常、マスターディスク、又は、スタンパー(stamper)と呼ばれるモールド、又は、ダイ・サポート(die support)を用いた押し出しモールドプロセスによって、大量に製造される。スタンパーの自由表面の1つは、ディスクに要求されている所定のパターンと相補する形状のものとしてパターニングされている。通常、押し出しモールドによって光学ディスクを製造する際には、モールドとして機能するように設計された金属スタンパーは、事前にパターニングされたオリジナルモデルから得られる。
【0006】
用いられるモールドの耐久性(durability)、品質保持性(upkeep)、メンテナンス性(maintenance)、経年劣化性(ageing)と、特に、その表面の特性は、製造された製品の持続的な品質を確保するために、重要なファクターである。しかしながら、マクロスケール、又は、マイクロスケールからナノスケールまでスケールダウンした場合、これらの特性に、さらに限界がある。モールド取り出しフェーズは、製造プロセスの重要な工程の1つであり、このフェーズは、製造された高分子の製品の製造性において、重要な役割を果している。実際に、モールド表面が低い再現性(reproducibility)を持つ場合や、モールド表面に傷がある場合には、このフェーズは、大量のスクラップ品を生み出すこととなる。例えば、モールドの中に、高分子に突き刺さる可能性がある付着物があるといった場合のように、このフェーズは、製造プロセスを乱す原因となる。
【0007】
現在、金属モールドのナノパターニングされた表面の形成は、電子銃リソグラフィー(electron beam lithography)によりナノ構造(nanostructure)の形成し、金属フィルムの表面にこのナノ構造を置くことによって、得ることができる。電子銃リソグラフィーによって形成されたナノ構造は、モールドを形成することとなる基板のナノパターンをエッチングするためのハードマスクとして機能する。しかしながら、電子銃リソグラフィーは、時間がかかり、コストもかかる。さらに、この方法は、パターンが編成されるような、特定の応用に対して適応したものであり、特に、光学や電子分野において、非常に重要である。他のアプローチとしては、低コストで、モールドをナノパターニングすることである。ポリオレフィンの製品のためのモールドとして用いるために、陽極酸化処理(anodizing)された、マイクロ、又は、ナノのパターンのアルミニウムシートが、提案されている。
【0008】
特許出願US2005/0084804には、網状の高分子材料を受けるために設計されたモールドを製造するために、ダイヤモンド・ライク・カーボンの非粘着性層を用いることが、書かれている。ダイヤモンド・ライク・カーボンの層は、DLCと呼ばれ、主要な支持体(support)に堆積され、パターニングされた表面を得るために、酸素中でのドライエッチング反応によってパターニングされる。この実施例においては、例えば、スズ添加インジウムオキサイド(ITO)といった、電気伝導材料の層を、主要な支持体とDLC層との間に堆積する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、簡単に使用ができ、低コストのモールドの製造方法を提供することであり、このモールドは、改善されたライフタイムを持ち、ナノパターニングされた製品を、信頼性があり、正確な方法によって、高分子材料から製造することを可能にする。本発明によれば、このような製造物は、以下のクレームによって得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明にかかる実施形態のモールドの断面を示す断面図。
【図2】図1に示されるモールドの製造方法の異なる工程を示す断面図。
【図3】図1に示されるモールドの製造方法の異なる工程を示す断面図。
【図4】図1に示されるモールドの製造方法の異なる工程を示す断面図。
【図5】図1に示されるモールドの製造方法の異なる工程を示す断面図。
【図6】図1に示されるモールドの製造方法の異なる工程を示す断面図。
【図7】図1に示されるモールドの製造方法の異なる工程を示す断面図。
【図8】図1に示されるモールドの製造方法の異なる工程を示す断面図。
【図9】図1に示されるモールドの製造方法の異なる工程を示す断面図。
【図10】モールドの製造方法によって得られたハードマスクの表面に堆積されるナノ粒子の集合体を、電子走査顕微鏡で写した写真。
【図11】モールドの製造方法によって得られたハードマスクの表面に堆積されるナノ粒子の集合体を、電子走査顕微鏡で写した写真。
【図12】モールドの製造方法によって得られたハードマスクの表面に堆積されるナノ粒子の集合体を、電子走査顕微鏡で写した写真。
【発明を実施するための形態】
【0011】
他の利点及び特徴は、本発明の特定の実施形態についての下記の説明により、さらに明らかにされる。本発明の特定の実施形態は、単なる例示であって、本発明を限定するものではない。本発明の特定の実施形態は、添付の図面により示される。
【0012】
図1は、高分子材料から形成され、モールディング(moulding)(例えば、プラスチック押し出し法、又は、引き抜き法である。)によって、ナノパターニングされた(nanopatterned)表面を有する、製品の製造に最適なモールド1の実施形態を示す。
【0013】
モールド1は、モールドの主な部分を形成し、特に、モールド1の強度を確保する、金属支持体(metal support)2を備える。金属支持体は、例えば、アルミニウム、鉄、真ちゅう等といった、金属材料、又は、合金から形成される。
【0014】
さらに、2つの積層(two superposed thin layer)で形成されたコーティング(coating)3は、少なくとも金属支持体2の表面を部分的に覆う。このようなコーティングは、製品が、高分子材料から製造される際、モールド1が、高分子材料と接するように配置されたナノパターニングされた表面を得ることを可能にする。
【0015】
コーティング3は、2層コーティング(bilayer coating)と呼ばれ、金属支持体2と接している保護膜(barrier thin layer)4と、その上に配置される、ナノパターニングされたダイヤモンド・ライク・カーボン(DLC、又は、アモルファス・ダイヤモンド・ライク・カーボン)薄膜5と、で形成される。さらに、このコーティングは、約100nmから約10μmの間である厚さを有する。
【0016】
保護膜4は、特に、DLC薄膜のナノパターニング(nanopatterning)が、モールド1を製造中に、金属支持体2にダメージを与えることなく、行うことを可能にするものである。例えば、保護膜は、水素化炭化シリコンから形成することができる。また、この材料は、最適な接着が、DLC薄膜とモールド1の無機材料との間で確保されることを可能にする。この場合、保護膜4は、有利には、50nmから500nmの間である厚さを有する。
【0017】
また、保護膜4は、窒化クロムから形成されることができる。この場合、保護膜は、有利には、50nmから約500nmの厚さを有する。従って、窒化クロムの薄膜4は、DLC薄膜5のナノパターニングが行われている際に、物理的な保護を行うだけでなく、窒化クロムは低い摩擦係数(a low coefficient of friction)を持つ材料であることから、モールドから取り出すことを容易にすることを助けることも行う。
【0018】
DLC膜5は、特に、モールド1のナノパターニングされた表面を形成する所定のパターンを持つものとして、ナノパターニングされる。このようなパターンは、特に、モールド1を用いて製造される高分子材料の製品に要求されるパターンの相補的な部分(complementary part)に対応するものである。このパターンの形成は、高分子材料の製品のパターンからの要求に従って決定されるのである。特に、図1においては、パターンは、DLC薄膜5に形成され、薄膜5を、自由表面5aから、薄膜5と保護膜4との界面7までを貫く、複数の開口部6によって、形成される。
【0019】
さらに、パターンは、ナノメートルのディメンション(nanometric dimension)を示し、例えば、DLC薄膜5の残りの部分における隙間の、高さと幅とは、ナノメートルのディメンションを持ち、従って、有利には、約5nmから約500nmの間である。特に、形状係数(form factor)、例えば、このパターンの隙間の高さと幅との間の割合は、少なくとも1よりも大きい。従って、このパターンは、幅よりも大きい高さ(深さ)を持つ隙間を有する。このような、1よりも大きい形状係数は、特に、例えば、新世代の携帯電話の分野における、自浄表面(self-cleaning)を有する高分子材料体から要求されている。
【0020】
従って、図1中の各開口部6において、開口部6の高さHと開口部6の幅Lとの間の比率は、1よりも大きい。図1において、Hは、DLC薄膜5の厚さに対応するものである。例えば、各開口部6は、50nmと等しい高さHと、20nmと等しい幅Lとを有することができ、50nmのピッチを持って、隣り合う開口部と隔離されることができる。
【0021】
このようなモールド1は、有利には、モールディングによって、製造される高分子材料の製品に対してネガに転写(transferred negatively)されるように、設計された、ナノパターニングされた表面を、結合する。高分子材料の製品よりはむしろ、ツールをナノパターングすることは、それによって、製品を、信頼性があり、且つ、正確な、方法によって製造されることを可能にする。
【0022】
さらに、ナノパターニングは、従来技術においてモールド1を形成している、金属支持体に、直接行うものではない。反対に、金属支持体を覆うマイクロメートルのディメンションのコーティングに対して、行うものである。特に、ナノパターニングは、DLCの薄膜に対して行われ、一方、保護膜は、ナノパターニングが行われている際に、金属支持体を保護するために、そのDLC薄膜と金属支持体との間に配置される。これは、製造される高分子材料の製品の信頼性と正確性とを改善することに、貢献するものである。
【0023】
さらに、金属支持体の上に配置された、ナノパターニングされた薄膜は、機能的、且つ、リサイクル可能な犠牲層(sacrificial layer)に対応するものである。従って、モールドのサイクル及びライフタイムによるストレスは、金属支持体から、この犠牲層に、伝えられる。この犠牲層は、金属支持体にナノパターニングした場合の金属支持体と比べて、低コストで製造することができる。
【0024】
最終的には、ナノパターニングがされた薄膜5を形成するために、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)を選択することは、DLCが、高分子材料の製品を製造する際の取り出し工程を容易にするような低い摩擦係数を持つ材料であるだけでなく、同時に、簡単に、且つ、経済的にナノパターニングされることが可能である限り、特に有利である。加えて、DLC薄膜に形成されたパターンは、様々な形状を持つことが可能である。このようなモールドによって、高分子材料からナノパターニングされた製品を製造することの技術的実現可能性(technical feasibility)と、経済的実施可能性(economic feasibility)との間のトレードオフを可能な限り良いものとすることができる。
【0025】
図2から図9は、図1にかかるモールド1の、特に、DLC薄膜のナノパターニングを、異なる製造ステップを示す。
【0026】
従って、保護膜4は、事前に、金属支持体2に堆積される。次に、図4に示されるように、DLC薄膜5は、保護膜4の自由表面に堆積される。工程中のこのステージにおいては、DLC薄膜5は、まだ、ナノパターニングは施されていない。従って、図4においては、DLC薄膜は、保護膜4の自由表面全体を均一な厚さの薄膜が覆うような形状をしている。薄膜4と5とは、例えば、物理気相成長法(PVD)、又は、化学気相成長法(CVD)によって堆積されることができ、少なくとも1つの有機金属前躯体(organometallic precursor)が用いることができる。
【0027】
薄膜4と5とは、例えば、低い周波数(40kHz)のプラズマエンハンスドCVD法によって堆積されることが可能である。
【0028】
アモルファス炭化シリコンの薄膜4は、C4H12Siとアルゴンとの混合(50%−50%)から形成され、200mmの内部電極空間(inter-electrode space)、0.10W/cm2のプラズマパワー密度、4Paのガス圧力、150℃以下の温度、が用いられる。DLC薄膜5は、C4H12と水素との混合ガス(80%−20%)から形成され、200mmの内部電極空間、0.32W/cm2のプラズマパワー密度、4Paのガス圧力、150℃以下の温度、が用いられる。さらに、薄膜4と5との厚さは、各層の堆積時間によって決定される。
【0029】
従って、図5から図9に示されるように、DLC薄膜5は、DLC薄膜5の自由表面の上に形成されたナノパターニングされたハードマスク8を用いて、ナノパターニングされる。
【0030】
ハードマスク8は、特に、このDLC薄膜5の自由表面全体の上に薄膜9を堆積することで得られる(図5)。薄膜9は、一定の膜厚を示し、好ましくは、10nmから50nmの間である。さらに、薄膜9は、DLC薄膜5をナノパターニングすることに適したハードマスクを形成することができる材料によって、形成される。このような材料は、有利には、酸化シリコン、水素化炭化シリコン、窒化シリコン、アルミニウム、銅、クロム、といった金属材料、窒化クロムといった窒化金属、から、選択される。薄膜9は、例えば、PVD、又は、CVDで堆積される。
【0031】
このようなハードマスク8は、有利には、DLC薄膜5に対してナノパターニングした時点で、化学的に除去することが可能な、犠牲層である。加えて、保護膜4を形成するために用いられる材料は、有利には、ハードマスク8の製造に用いることができる。このことは、ハードマスク8の除去ステップを簡単なものとすることができる。例えば、保護膜4を水素化炭化シリコンから形成した場合、この材料は、薄膜9と、言い換えると、ハードマスク8と、を形成する際に用いることもできる。
【0032】
ナノ粒子(nanoparticle)10は、例えば、ナノメートルのディメンションを持つ粒子であり、薄膜9の自由表面に堆積される(図6)。このようにして、ナノ粒子は、ボイド・ラティス(void lattice)11の輪郭を定める。ボイド・ラティス11は、組織化されたもの(organized)であっても、組織化されたものでなくても良い。ナノ粒子は、特に、200nm以下の平均サイズを有する。
【0033】
ナノ粒子は、ハードマスク8に要求されているパターンのタイプ(形状、デイメンション等)に従って、すなわち、DLC薄膜5に要求されているパターンのタイプに従って、その最適な方法によって、堆積することができる。例えば、ナノ粒子は、以下の方法によって、堆積することができる。
− 薄膜9の自由表面の上に堆積する前に、高圧力のステージにおいて、凝集体(aggregate)形状のガスの濃縮と、これらの凝集体を大量に取り出すことと、の両方を行う、マグネトロンスパッタリング技術。MANTIS社は、“Nanocluster Deposition”という名前で、このようなタイプの装置を販売している。
− 液体注入法でアシストされたCVD法。(このような方法は、例えば、国際特許出願WO−A−2006/070130に記載されている。)
− 液体相に浸漬し、次いで、そこから取り出すことを制御することによって、液体相から薄膜9の自由表面へナノ粒子の単一層(monolayer)を移すことが可能な、ラングミュラー・ブロジェット(Langmuir-Blodgett)型の堆積技術。NANOMETRIX社は、このようなタイプの装置を、”Driven Monolayer Assembly Process”、又は、“DMA“プロセスという名前で発売している。
【0034】
特に、使用される方法の選択は、特に、ハードマスクに要求されるパターンのタイプに応じて、行われる。実際には、使用される方法は、ナノ粒子10で形成された材料のタイプや、ナノ粒子の平均サイズや形成するボイド・ラティスのタイプによって、決定される。
【0035】
従って、マグネトロンスパッタリングによる堆積技術は、銀、金、パラジウム、白金、銅、チタン、ジルコニウム、等の金属、金属合金、酸化チタン、又は、酸化ジルコニウム、とった化合物、炭化シリコン、酸化シリコン、窒化シリコンといったシリコン化合物、等から選択した、ナノ粒子を堆積することができる。特に、ナノ粒子10は、特に、約1nmから約10nmの間の平均サイズを有し、低凝集レベルにあるボイド・ラティス11を有する。
【0036】
液体注入技術にアシストされたCVD法としては、酸化鉄や、銀、白金、銅、等の金属等のナノ粒子を堆積することを可能にする。ナノ粒子は、約1nmから約50nmの間の平均サイズを持ち、低凝集レベルにあるボイド・ラティス11を有する。
【0037】
最後に、ラングミュラー・ブロジェット法においては、堆積されるナノ粒子10は、炭化シリコン、酸化シリコン、窒化シリコン、高分子材料、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化シリコンが含まれる高分子、から選択された材料のナノ粒子であることができ、これらの平均サイズは、500nm以下であり、さらに、高凝集レベルに堆積される。
【0038】
例として、図10から12は、各々、先に説明した3つの方法によって堆積されたナノ粒子の走査型電子顕微鏡の写真である。従って、図10のナノ粒子は、金とパラジウムとの合金のナノ粒子であり、マグネトロンスパッタリングによって堆積され、1、3、又は、5nmの平均サイズを有する。図11においては、銀のナノ粒子10は、液体注入CVD法によって堆積された。これらは、50nmの平均サイズを有する。最後に、ラングミュラー・ブロジェット法によって堆積された、図12中のナノ粒子10は、酸化シリコンであり、50nmの平均サイズを有する。各写真10から12において、ボイド・ラティス11の存在は、ナノ粒子10によって輪郭が定められていることとして観察され、ハードマスク8の開口部が形成されることを可能にする。
【0039】
薄膜9の自由表面の上に、ナノ粒子10を堆積するとすぐに、ドライ・フェーズ(dry-phase)の選択的な化学エッチング操作が行われ、ボイド・ラティス11が形成される。この操作は、図7の矢印F1によって模式的に表わされる。このようにすることで、薄膜9は、ナノパターニングされることができ、従って、ハードマスク8を形成することを可能にする。特に、エッチングは、ナノ粒子10によって覆われていない薄膜9の部分を、除去することを可能にする。特に、これらの部分は、薄膜9の自由部分に対応するものである。
【0040】
特に、ドライ・フェーズの化学エッチングは、薄膜9を形成する材料に対して選択的に行われる。化学エッチング処理に用いられる化学薬品(chemical component)は、薄膜9を、DLC薄膜5と比べて、より簡単にエッチングすることを可能にする。例えば、フッ素化された化学薬品を用いたプラズマ化学エッチングは、(水素化)炭化シリコン、又は、酸化シリコンの薄膜9を、金属、合金又は高分子から形成されたナノ粒子10と比べて、より簡単にエッチングすることを可能にし(ナノ粒子10に対する薄膜9の選択的エッチングは、典型的には、10対1以上である。この場合、10:1と示す)、さらに、DLC薄膜5と比べて、より簡単にエッチングすることができる(DLCに対する薄膜9の選択的エッチングは、典型的には、10:1以上である。)
例として、ハードマスク8のナノパターニングは、NEXTRAL NE110型の工業装置において、2Ncm3/minのSF6と20Ncm3/minのCHF3とのスループットを持ち、20ワットのプラズマパワー、300Vの分極、50mTの圧力において、行われる。
【0041】
図8中の矢印F2として模式的に示される、ドライ・フェーズの選択的化学エッチング処理は、DLC薄膜5の開口部6が形成するために、ハードマスク8を用いて行われ、これによって、ナノパターニングされたDLC薄膜5に、所望のパターンが形成される。
【0042】
このステージにおいては、ダイヤモンド・ライク・カーボンは、ハードマスク8を形成する材料、又は、保護膜4を形成する材料をエッチングすることなしに、化学的にエッチングされることが可能であることから、化学エッチングは、選択的に行われる。特に、DLC薄膜5のエッチングは、ハードマスク8のエッチングよりも簡単である。従って、酸素プラズマは、DLCと、(水素化)炭化シリコン、又は、酸化シリコンから形成されたハードマスク8と、の間の選択性22対1(22:1)を有する。これによって、非常に硬いマスク(例えば、約10nmの厚さを持つ)を用いることによって、プラズマに晒されたパターンのライフタイムと両立させながら(イオン衝撃効果のもとでの、パターンの物理的エッチング)、ハードマスクのナノパターニングの実施を簡単に行うこと(例えば、ハードマスク8の開口部の形成時間を非常に短くすることができる)ができるという利点を得ることを、推測することが可能である。DLC薄膜5のエッチング時間は、マスク8の開口部の形成時間に比べて比較的長く、このことによって、ハードマスク8に覆われていないDLC薄膜の部分が、物理的に除去されることを可能にする。マスク8を用いた、DLC薄膜5のエッチングは、NEXTRAL NE110型の工業装置において、80Ncm3/minの酸素のスループットを持ち、10ワットのプラズマパワー、320Vの分極、20mTの圧力において、行われる。
【0043】
さらに、エッチングは、保護膜4によって停止される。従って、DLC薄膜5に形成された開口部6は、DLC薄膜5の自由表面から、薄膜4と5との間の界面7まで、貫く。次いで、モールド1は、ハードマスク8を除去した後に得られる(図9)。ハードマスク8の除去は、例えば、エッチング処理によって行うことができ、それは、薄膜9のエッチングと、ハードマスク8の開口部の形成と、で用いられたものと、同じものである。
【0044】
ナノ粒子10は小さいサイズで、且つ、小さい体積のものであり、これらは、薄膜9の自由表面と弱く接続していることに、留意する必要がある。ナノ粒子は、異なるドライ・フェーズの選択的化学エッチングに伴うイオン衝撃(ion bombardment)の影響の下で、ハードマスク8の表面から、徐々に、且つ、十分に、除去される。従って、このエッチング工程の間、ナノ粒子10を除去することのないように、ハードマスク8の開口部の形成のためのエッチング時間を制御することは、重要である。ハードマスク8のエッチング時間は、ハードマスクが非常に薄いことから、通常、非常に短い。従って、このことから、ナノ粒子10を、DLC薄膜5のナノパターニングのためのマスクとして直接用いることができないことが、説明される。DLC薄膜5が、その全体の厚さよりもナノパターニングされる前に、ナノ粒子は除去される。ナノ粒子10を用いることにより、DLC薄膜5に、ハードマスク8の開口部を形成するように設計された薄膜9のエッチング工程によって、しっかりと影響を与えることができる。ナノ粒子10は、DLC薄膜5のエッチング工程において、及び、必要に応じて、ハードマスク8の除去においても、完全に除去される。
【0045】
金属支持体2の上の積層コーティング3の形成は、金属支持体2の表面の部分のみに、限定される。この場合、モールド1の製造方法は、追加的な工程を備えることが可能であり、その追加的な工程は、積層コーティングの堆積とナノパターニングとを、限定して行うことを可能にする。
【0046】
薄膜4と5との堆積工程は、金属支持体の表面の上に、フォトレジスト層の堆積工程と、フォトリソグラフィー処理と、によって、行われる。このフォトリソグラフィー処理は、開口部を、薄膜4と5とが堆積されることとなる領域の輪郭を定めるように設計されたフォトレジスト層に形成する。このフォトレジスト層は、ハードマスク8を形成した後に、例えば、リフト・オフ(lift-off)と呼ばれる方法を用いて、除去される。
【0047】
モールド1の形成方法は、図2から図9によって示され、DLC薄膜の特徴あるナノパターニングは、低コストで簡単に使用できるという利点を有し、同時に、得られるモールドの品質を保証するという利点を有する。さらに、ナノパターニングされたDLC薄膜は、必要がある場合には、酸素プラズマによるDLC薄膜の洗浄によって、簡単に除去することができる。この新しいナノパターニングされたDLC薄膜は、図4から図9に示される方法の異なる工程を繰り返すことによって、繰り返し堆積することができる。
【0048】
このようなモールドは、有利には、以下の多くの分野において用いられる、高分子材料からのナノパターニングされた製品を形成に用いられることが可能である。太陽光発電分野の太陽電池や、自動車分野のナノ構造(nanotexture)を示す反射防止ダッシュボードや、ラベル分野のトレース性の改善や、模倣を防止するためのホログラムや、自浄性と、超撥水性(super-hydrophobic)とを有する表面を持つ商品、等である。さらに、以下の分野における、汚染源であるような製品や、化学モールドから取り出される製品や、消耗品の洗浄等において、高分子製品の欠陥率(defect rate)を、このようなモールドの持つ減らす能力を利用することができる。
・ 太陽光発電の応用のためのマイクロ/ナノパターニングされた光学的集積装置(optic concentrator)の引き抜き
・ 自動車分野(反射防止、又は、自浄)における応用のためのナノ構造の押し出し次世代型安全装置の引き抜き
・ バクテリア/たんぱく質の付着防止、又は、細胞成長のための生物学的活性表面の製造
・ 同素体ポーラス膜(iso-porous membrane)の製造
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子材料で形成される製品のためのモールドの形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高分子材料は、従来からある消費財(consumer goods)を製造するために広く用いられている。実際に、このような材料は、例えば、自動車、携帯電話、医療器具、新しいエネルギー分野等における部品や包装(packaging)分野において、多くの製品を大量に低コストで製造することを可能にする。通常、これらの物品は、プラスチックプロセス分野の簡便な製造方法を用いて製造される。特に、これらは、プラスチック押し出し(plastic injection)による、もしくは、引き抜き(drawing)による、モールディング(moulding)を用いて製造される。プラスチック押し出し法は、高分子材料をモールドの中で溶かすことも含まれ、一方、高分子材料の熱形成に対応する引き抜きは、高分子材料の溶融温度と比べて低い温度におけるモールド(型(die)と呼ばれる)を用いて行われる。
【0003】
高分子材料は、製造される製品は少量であって、しかしながら、製造方法、品質、機能に対する要求が、強くなっている、ニッチ市場において、ここ数年、
用いられている。これは、例えば、マイクロ流体装置(microfluidic device)、バイオチップ、ホログラム、のような物の製造分野の場合である。このような特定の種類の分野においては、形状や大きさに関して、非常に正確に、微小な製品を製造することが要求されている。特に、このような製品の表面には、通常、パターンが形成され、例えば、ランド及び隙間領域によって定められるパターンを備え、これらの領域(幅、高さ、ピッチ)のディメンションは、マイクロメートルの領域にあり、さらに、ナノメートルの領域にも及んでいる。ナノメートルの領域のディメンションを持つパターンの場合、その表面は、ナノパターニング(nanopatterned)された表面を呼ばれる。さらに、このような高い付加価値を持つ微細な製品は、大量製造と低コスト製造とを要求する、現在の消費財の市場において用いられはじめるようになった。
【0004】
従って、このような市場における従来からの課題は、プラスチックプロセス分野(押し出し、又は、引き抜きによるモールディング)において、簡便な製造方法を用いることを可能にすることであり、このような方法は、簡単に、工業化することができ、利益をあげることができ、同時に、製造される製品の持つ複雑なディメンションと表面状態を、簡単にマスター(master)する、ものである。特に、この課題は、これらの製造方法において用いられるモールドの表面の相補的な部分(complementary part)と完全に一致する、ナノパターニングされた表面を有する高分子の製品を得ることで、構成される。
【0005】
例として、CD−ROMのような光学データ記録ディスクは、例えば、ポリカーボネイトから形成された高分子基板に、マイクロメートル以下のサイズを持ったパターンを有するトラックを形成することによって、製造される。しかしながら、このようなディスクは、通常、マスターディスク、又は、スタンパー(stamper)と呼ばれるモールド、又は、ダイ・サポート(die support)を用いた押し出しモールドプロセスによって、大量に製造される。スタンパーの自由表面の1つは、ディスクに要求されている所定のパターンと相補する形状のものとしてパターニングされている。通常、押し出しモールドによって光学ディスクを製造する際には、モールドとして機能するように設計された金属スタンパーは、事前にパターニングされたオリジナルモデルから得られる。
【0006】
用いられるモールドの耐久性(durability)、品質保持性(upkeep)、メンテナンス性(maintenance)、経年劣化性(ageing)と、特に、その表面の特性は、製造された製品の持続的な品質を確保するために、重要なファクターである。しかしながら、マクロスケール、又は、マイクロスケールからナノスケールまでスケールダウンした場合、これらの特性に、さらに限界がある。モールド取り出しフェーズは、製造プロセスの重要な工程の1つであり、このフェーズは、製造された高分子の製品の製造性において、重要な役割を果している。実際に、モールド表面が低い再現性(reproducibility)を持つ場合や、モールド表面に傷がある場合には、このフェーズは、大量のスクラップ品を生み出すこととなる。例えば、モールドの中に、高分子に突き刺さる可能性がある付着物があるといった場合のように、このフェーズは、製造プロセスを乱す原因となる。
【0007】
現在、金属モールドのナノパターニングされた表面の形成は、電子銃リソグラフィー(electron beam lithography)によりナノ構造(nanostructure)の形成し、金属フィルムの表面にこのナノ構造を置くことによって、得ることができる。電子銃リソグラフィーによって形成されたナノ構造は、モールドを形成することとなる基板のナノパターンをエッチングするためのハードマスクとして機能する。しかしながら、電子銃リソグラフィーは、時間がかかり、コストもかかる。さらに、この方法は、パターンが編成されるような、特定の応用に対して適応したものであり、特に、光学や電子分野において、非常に重要である。他のアプローチとしては、低コストで、モールドをナノパターニングすることである。ポリオレフィンの製品のためのモールドとして用いるために、陽極酸化処理(anodizing)された、マイクロ、又は、ナノのパターンのアルミニウムシートが、提案されている。
【0008】
特許出願US2005/0084804には、網状の高分子材料を受けるために設計されたモールドを製造するために、ダイヤモンド・ライク・カーボンの非粘着性層を用いることが、書かれている。ダイヤモンド・ライク・カーボンの層は、DLCと呼ばれ、主要な支持体(support)に堆積され、パターニングされた表面を得るために、酸素中でのドライエッチング反応によってパターニングされる。この実施例においては、例えば、スズ添加インジウムオキサイド(ITO)といった、電気伝導材料の層を、主要な支持体とDLC層との間に堆積する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、簡単に使用ができ、低コストのモールドの製造方法を提供することであり、このモールドは、改善されたライフタイムを持ち、ナノパターニングされた製品を、信頼性があり、正確な方法によって、高分子材料から製造することを可能にする。本発明によれば、このような製造物は、以下のクレームによって得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明にかかる実施形態のモールドの断面を示す断面図。
【図2】図1に示されるモールドの製造方法の異なる工程を示す断面図。
【図3】図1に示されるモールドの製造方法の異なる工程を示す断面図。
【図4】図1に示されるモールドの製造方法の異なる工程を示す断面図。
【図5】図1に示されるモールドの製造方法の異なる工程を示す断面図。
【図6】図1に示されるモールドの製造方法の異なる工程を示す断面図。
【図7】図1に示されるモールドの製造方法の異なる工程を示す断面図。
【図8】図1に示されるモールドの製造方法の異なる工程を示す断面図。
【図9】図1に示されるモールドの製造方法の異なる工程を示す断面図。
【図10】モールドの製造方法によって得られたハードマスクの表面に堆積されるナノ粒子の集合体を、電子走査顕微鏡で写した写真。
【図11】モールドの製造方法によって得られたハードマスクの表面に堆積されるナノ粒子の集合体を、電子走査顕微鏡で写した写真。
【図12】モールドの製造方法によって得られたハードマスクの表面に堆積されるナノ粒子の集合体を、電子走査顕微鏡で写した写真。
【発明を実施するための形態】
【0011】
他の利点及び特徴は、本発明の特定の実施形態についての下記の説明により、さらに明らかにされる。本発明の特定の実施形態は、単なる例示であって、本発明を限定するものではない。本発明の特定の実施形態は、添付の図面により示される。
【0012】
図1は、高分子材料から形成され、モールディング(moulding)(例えば、プラスチック押し出し法、又は、引き抜き法である。)によって、ナノパターニングされた(nanopatterned)表面を有する、製品の製造に最適なモールド1の実施形態を示す。
【0013】
モールド1は、モールドの主な部分を形成し、特に、モールド1の強度を確保する、金属支持体(metal support)2を備える。金属支持体は、例えば、アルミニウム、鉄、真ちゅう等といった、金属材料、又は、合金から形成される。
【0014】
さらに、2つの積層(two superposed thin layer)で形成されたコーティング(coating)3は、少なくとも金属支持体2の表面を部分的に覆う。このようなコーティングは、製品が、高分子材料から製造される際、モールド1が、高分子材料と接するように配置されたナノパターニングされた表面を得ることを可能にする。
【0015】
コーティング3は、2層コーティング(bilayer coating)と呼ばれ、金属支持体2と接している保護膜(barrier thin layer)4と、その上に配置される、ナノパターニングされたダイヤモンド・ライク・カーボン(DLC、又は、アモルファス・ダイヤモンド・ライク・カーボン)薄膜5と、で形成される。さらに、このコーティングは、約100nmから約10μmの間である厚さを有する。
【0016】
保護膜4は、特に、DLC薄膜のナノパターニング(nanopatterning)が、モールド1を製造中に、金属支持体2にダメージを与えることなく、行うことを可能にするものである。例えば、保護膜は、水素化炭化シリコンから形成することができる。また、この材料は、最適な接着が、DLC薄膜とモールド1の無機材料との間で確保されることを可能にする。この場合、保護膜4は、有利には、50nmから500nmの間である厚さを有する。
【0017】
また、保護膜4は、窒化クロムから形成されることができる。この場合、保護膜は、有利には、50nmから約500nmの厚さを有する。従って、窒化クロムの薄膜4は、DLC薄膜5のナノパターニングが行われている際に、物理的な保護を行うだけでなく、窒化クロムは低い摩擦係数(a low coefficient of friction)を持つ材料であることから、モールドから取り出すことを容易にすることを助けることも行う。
【0018】
DLC膜5は、特に、モールド1のナノパターニングされた表面を形成する所定のパターンを持つものとして、ナノパターニングされる。このようなパターンは、特に、モールド1を用いて製造される高分子材料の製品に要求されるパターンの相補的な部分(complementary part)に対応するものである。このパターンの形成は、高分子材料の製品のパターンからの要求に従って決定されるのである。特に、図1においては、パターンは、DLC薄膜5に形成され、薄膜5を、自由表面5aから、薄膜5と保護膜4との界面7までを貫く、複数の開口部6によって、形成される。
【0019】
さらに、パターンは、ナノメートルのディメンション(nanometric dimension)を示し、例えば、DLC薄膜5の残りの部分における隙間の、高さと幅とは、ナノメートルのディメンションを持ち、従って、有利には、約5nmから約500nmの間である。特に、形状係数(form factor)、例えば、このパターンの隙間の高さと幅との間の割合は、少なくとも1よりも大きい。従って、このパターンは、幅よりも大きい高さ(深さ)を持つ隙間を有する。このような、1よりも大きい形状係数は、特に、例えば、新世代の携帯電話の分野における、自浄表面(self-cleaning)を有する高分子材料体から要求されている。
【0020】
従って、図1中の各開口部6において、開口部6の高さHと開口部6の幅Lとの間の比率は、1よりも大きい。図1において、Hは、DLC薄膜5の厚さに対応するものである。例えば、各開口部6は、50nmと等しい高さHと、20nmと等しい幅Lとを有することができ、50nmのピッチを持って、隣り合う開口部と隔離されることができる。
【0021】
このようなモールド1は、有利には、モールディングによって、製造される高分子材料の製品に対してネガに転写(transferred negatively)されるように、設計された、ナノパターニングされた表面を、結合する。高分子材料の製品よりはむしろ、ツールをナノパターングすることは、それによって、製品を、信頼性があり、且つ、正確な、方法によって製造されることを可能にする。
【0022】
さらに、ナノパターニングは、従来技術においてモールド1を形成している、金属支持体に、直接行うものではない。反対に、金属支持体を覆うマイクロメートルのディメンションのコーティングに対して、行うものである。特に、ナノパターニングは、DLCの薄膜に対して行われ、一方、保護膜は、ナノパターニングが行われている際に、金属支持体を保護するために、そのDLC薄膜と金属支持体との間に配置される。これは、製造される高分子材料の製品の信頼性と正確性とを改善することに、貢献するものである。
【0023】
さらに、金属支持体の上に配置された、ナノパターニングされた薄膜は、機能的、且つ、リサイクル可能な犠牲層(sacrificial layer)に対応するものである。従って、モールドのサイクル及びライフタイムによるストレスは、金属支持体から、この犠牲層に、伝えられる。この犠牲層は、金属支持体にナノパターニングした場合の金属支持体と比べて、低コストで製造することができる。
【0024】
最終的には、ナノパターニングがされた薄膜5を形成するために、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)を選択することは、DLCが、高分子材料の製品を製造する際の取り出し工程を容易にするような低い摩擦係数を持つ材料であるだけでなく、同時に、簡単に、且つ、経済的にナノパターニングされることが可能である限り、特に有利である。加えて、DLC薄膜に形成されたパターンは、様々な形状を持つことが可能である。このようなモールドによって、高分子材料からナノパターニングされた製品を製造することの技術的実現可能性(technical feasibility)と、経済的実施可能性(economic feasibility)との間のトレードオフを可能な限り良いものとすることができる。
【0025】
図2から図9は、図1にかかるモールド1の、特に、DLC薄膜のナノパターニングを、異なる製造ステップを示す。
【0026】
従って、保護膜4は、事前に、金属支持体2に堆積される。次に、図4に示されるように、DLC薄膜5は、保護膜4の自由表面に堆積される。工程中のこのステージにおいては、DLC薄膜5は、まだ、ナノパターニングは施されていない。従って、図4においては、DLC薄膜は、保護膜4の自由表面全体を均一な厚さの薄膜が覆うような形状をしている。薄膜4と5とは、例えば、物理気相成長法(PVD)、又は、化学気相成長法(CVD)によって堆積されることができ、少なくとも1つの有機金属前躯体(organometallic precursor)が用いることができる。
【0027】
薄膜4と5とは、例えば、低い周波数(40kHz)のプラズマエンハンスドCVD法によって堆積されることが可能である。
【0028】
アモルファス炭化シリコンの薄膜4は、C4H12Siとアルゴンとの混合(50%−50%)から形成され、200mmの内部電極空間(inter-electrode space)、0.10W/cm2のプラズマパワー密度、4Paのガス圧力、150℃以下の温度、が用いられる。DLC薄膜5は、C4H12と水素との混合ガス(80%−20%)から形成され、200mmの内部電極空間、0.32W/cm2のプラズマパワー密度、4Paのガス圧力、150℃以下の温度、が用いられる。さらに、薄膜4と5との厚さは、各層の堆積時間によって決定される。
【0029】
従って、図5から図9に示されるように、DLC薄膜5は、DLC薄膜5の自由表面の上に形成されたナノパターニングされたハードマスク8を用いて、ナノパターニングされる。
【0030】
ハードマスク8は、特に、このDLC薄膜5の自由表面全体の上に薄膜9を堆積することで得られる(図5)。薄膜9は、一定の膜厚を示し、好ましくは、10nmから50nmの間である。さらに、薄膜9は、DLC薄膜5をナノパターニングすることに適したハードマスクを形成することができる材料によって、形成される。このような材料は、有利には、酸化シリコン、水素化炭化シリコン、窒化シリコン、アルミニウム、銅、クロム、といった金属材料、窒化クロムといった窒化金属、から、選択される。薄膜9は、例えば、PVD、又は、CVDで堆積される。
【0031】
このようなハードマスク8は、有利には、DLC薄膜5に対してナノパターニングした時点で、化学的に除去することが可能な、犠牲層である。加えて、保護膜4を形成するために用いられる材料は、有利には、ハードマスク8の製造に用いることができる。このことは、ハードマスク8の除去ステップを簡単なものとすることができる。例えば、保護膜4を水素化炭化シリコンから形成した場合、この材料は、薄膜9と、言い換えると、ハードマスク8と、を形成する際に用いることもできる。
【0032】
ナノ粒子(nanoparticle)10は、例えば、ナノメートルのディメンションを持つ粒子であり、薄膜9の自由表面に堆積される(図6)。このようにして、ナノ粒子は、ボイド・ラティス(void lattice)11の輪郭を定める。ボイド・ラティス11は、組織化されたもの(organized)であっても、組織化されたものでなくても良い。ナノ粒子は、特に、200nm以下の平均サイズを有する。
【0033】
ナノ粒子は、ハードマスク8に要求されているパターンのタイプ(形状、デイメンション等)に従って、すなわち、DLC薄膜5に要求されているパターンのタイプに従って、その最適な方法によって、堆積することができる。例えば、ナノ粒子は、以下の方法によって、堆積することができる。
− 薄膜9の自由表面の上に堆積する前に、高圧力のステージにおいて、凝集体(aggregate)形状のガスの濃縮と、これらの凝集体を大量に取り出すことと、の両方を行う、マグネトロンスパッタリング技術。MANTIS社は、“Nanocluster Deposition”という名前で、このようなタイプの装置を販売している。
− 液体注入法でアシストされたCVD法。(このような方法は、例えば、国際特許出願WO−A−2006/070130に記載されている。)
− 液体相に浸漬し、次いで、そこから取り出すことを制御することによって、液体相から薄膜9の自由表面へナノ粒子の単一層(monolayer)を移すことが可能な、ラングミュラー・ブロジェット(Langmuir-Blodgett)型の堆積技術。NANOMETRIX社は、このようなタイプの装置を、”Driven Monolayer Assembly Process”、又は、“DMA“プロセスという名前で発売している。
【0034】
特に、使用される方法の選択は、特に、ハードマスクに要求されるパターンのタイプに応じて、行われる。実際には、使用される方法は、ナノ粒子10で形成された材料のタイプや、ナノ粒子の平均サイズや形成するボイド・ラティスのタイプによって、決定される。
【0035】
従って、マグネトロンスパッタリングによる堆積技術は、銀、金、パラジウム、白金、銅、チタン、ジルコニウム、等の金属、金属合金、酸化チタン、又は、酸化ジルコニウム、とった化合物、炭化シリコン、酸化シリコン、窒化シリコンといったシリコン化合物、等から選択した、ナノ粒子を堆積することができる。特に、ナノ粒子10は、特に、約1nmから約10nmの間の平均サイズを有し、低凝集レベルにあるボイド・ラティス11を有する。
【0036】
液体注入技術にアシストされたCVD法としては、酸化鉄や、銀、白金、銅、等の金属等のナノ粒子を堆積することを可能にする。ナノ粒子は、約1nmから約50nmの間の平均サイズを持ち、低凝集レベルにあるボイド・ラティス11を有する。
【0037】
最後に、ラングミュラー・ブロジェット法においては、堆積されるナノ粒子10は、炭化シリコン、酸化シリコン、窒化シリコン、高分子材料、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化シリコンが含まれる高分子、から選択された材料のナノ粒子であることができ、これらの平均サイズは、500nm以下であり、さらに、高凝集レベルに堆積される。
【0038】
例として、図10から12は、各々、先に説明した3つの方法によって堆積されたナノ粒子の走査型電子顕微鏡の写真である。従って、図10のナノ粒子は、金とパラジウムとの合金のナノ粒子であり、マグネトロンスパッタリングによって堆積され、1、3、又は、5nmの平均サイズを有する。図11においては、銀のナノ粒子10は、液体注入CVD法によって堆積された。これらは、50nmの平均サイズを有する。最後に、ラングミュラー・ブロジェット法によって堆積された、図12中のナノ粒子10は、酸化シリコンであり、50nmの平均サイズを有する。各写真10から12において、ボイド・ラティス11の存在は、ナノ粒子10によって輪郭が定められていることとして観察され、ハードマスク8の開口部が形成されることを可能にする。
【0039】
薄膜9の自由表面の上に、ナノ粒子10を堆積するとすぐに、ドライ・フェーズ(dry-phase)の選択的な化学エッチング操作が行われ、ボイド・ラティス11が形成される。この操作は、図7の矢印F1によって模式的に表わされる。このようにすることで、薄膜9は、ナノパターニングされることができ、従って、ハードマスク8を形成することを可能にする。特に、エッチングは、ナノ粒子10によって覆われていない薄膜9の部分を、除去することを可能にする。特に、これらの部分は、薄膜9の自由部分に対応するものである。
【0040】
特に、ドライ・フェーズの化学エッチングは、薄膜9を形成する材料に対して選択的に行われる。化学エッチング処理に用いられる化学薬品(chemical component)は、薄膜9を、DLC薄膜5と比べて、より簡単にエッチングすることを可能にする。例えば、フッ素化された化学薬品を用いたプラズマ化学エッチングは、(水素化)炭化シリコン、又は、酸化シリコンの薄膜9を、金属、合金又は高分子から形成されたナノ粒子10と比べて、より簡単にエッチングすることを可能にし(ナノ粒子10に対する薄膜9の選択的エッチングは、典型的には、10対1以上である。この場合、10:1と示す)、さらに、DLC薄膜5と比べて、より簡単にエッチングすることができる(DLCに対する薄膜9の選択的エッチングは、典型的には、10:1以上である。)
例として、ハードマスク8のナノパターニングは、NEXTRAL NE110型の工業装置において、2Ncm3/minのSF6と20Ncm3/minのCHF3とのスループットを持ち、20ワットのプラズマパワー、300Vの分極、50mTの圧力において、行われる。
【0041】
図8中の矢印F2として模式的に示される、ドライ・フェーズの選択的化学エッチング処理は、DLC薄膜5の開口部6が形成するために、ハードマスク8を用いて行われ、これによって、ナノパターニングされたDLC薄膜5に、所望のパターンが形成される。
【0042】
このステージにおいては、ダイヤモンド・ライク・カーボンは、ハードマスク8を形成する材料、又は、保護膜4を形成する材料をエッチングすることなしに、化学的にエッチングされることが可能であることから、化学エッチングは、選択的に行われる。特に、DLC薄膜5のエッチングは、ハードマスク8のエッチングよりも簡単である。従って、酸素プラズマは、DLCと、(水素化)炭化シリコン、又は、酸化シリコンから形成されたハードマスク8と、の間の選択性22対1(22:1)を有する。これによって、非常に硬いマスク(例えば、約10nmの厚さを持つ)を用いることによって、プラズマに晒されたパターンのライフタイムと両立させながら(イオン衝撃効果のもとでの、パターンの物理的エッチング)、ハードマスクのナノパターニングの実施を簡単に行うこと(例えば、ハードマスク8の開口部の形成時間を非常に短くすることができる)ができるという利点を得ることを、推測することが可能である。DLC薄膜5のエッチング時間は、マスク8の開口部の形成時間に比べて比較的長く、このことによって、ハードマスク8に覆われていないDLC薄膜の部分が、物理的に除去されることを可能にする。マスク8を用いた、DLC薄膜5のエッチングは、NEXTRAL NE110型の工業装置において、80Ncm3/minの酸素のスループットを持ち、10ワットのプラズマパワー、320Vの分極、20mTの圧力において、行われる。
【0043】
さらに、エッチングは、保護膜4によって停止される。従って、DLC薄膜5に形成された開口部6は、DLC薄膜5の自由表面から、薄膜4と5との間の界面7まで、貫く。次いで、モールド1は、ハードマスク8を除去した後に得られる(図9)。ハードマスク8の除去は、例えば、エッチング処理によって行うことができ、それは、薄膜9のエッチングと、ハードマスク8の開口部の形成と、で用いられたものと、同じものである。
【0044】
ナノ粒子10は小さいサイズで、且つ、小さい体積のものであり、これらは、薄膜9の自由表面と弱く接続していることに、留意する必要がある。ナノ粒子は、異なるドライ・フェーズの選択的化学エッチングに伴うイオン衝撃(ion bombardment)の影響の下で、ハードマスク8の表面から、徐々に、且つ、十分に、除去される。従って、このエッチング工程の間、ナノ粒子10を除去することのないように、ハードマスク8の開口部の形成のためのエッチング時間を制御することは、重要である。ハードマスク8のエッチング時間は、ハードマスクが非常に薄いことから、通常、非常に短い。従って、このことから、ナノ粒子10を、DLC薄膜5のナノパターニングのためのマスクとして直接用いることができないことが、説明される。DLC薄膜5が、その全体の厚さよりもナノパターニングされる前に、ナノ粒子は除去される。ナノ粒子10を用いることにより、DLC薄膜5に、ハードマスク8の開口部を形成するように設計された薄膜9のエッチング工程によって、しっかりと影響を与えることができる。ナノ粒子10は、DLC薄膜5のエッチング工程において、及び、必要に応じて、ハードマスク8の除去においても、完全に除去される。
【0045】
金属支持体2の上の積層コーティング3の形成は、金属支持体2の表面の部分のみに、限定される。この場合、モールド1の製造方法は、追加的な工程を備えることが可能であり、その追加的な工程は、積層コーティングの堆積とナノパターニングとを、限定して行うことを可能にする。
【0046】
薄膜4と5との堆積工程は、金属支持体の表面の上に、フォトレジスト層の堆積工程と、フォトリソグラフィー処理と、によって、行われる。このフォトリソグラフィー処理は、開口部を、薄膜4と5とが堆積されることとなる領域の輪郭を定めるように設計されたフォトレジスト層に形成する。このフォトレジスト層は、ハードマスク8を形成した後に、例えば、リフト・オフ(lift-off)と呼ばれる方法を用いて、除去される。
【0047】
モールド1の形成方法は、図2から図9によって示され、DLC薄膜の特徴あるナノパターニングは、低コストで簡単に使用できるという利点を有し、同時に、得られるモールドの品質を保証するという利点を有する。さらに、ナノパターニングされたDLC薄膜は、必要がある場合には、酸素プラズマによるDLC薄膜の洗浄によって、簡単に除去することができる。この新しいナノパターニングされたDLC薄膜は、図4から図9に示される方法の異なる工程を繰り返すことによって、繰り返し堆積することができる。
【0048】
このようなモールドは、有利には、以下の多くの分野において用いられる、高分子材料からのナノパターニングされた製品を形成に用いられることが可能である。太陽光発電分野の太陽電池や、自動車分野のナノ構造(nanotexture)を示す反射防止ダッシュボードや、ラベル分野のトレース性の改善や、模倣を防止するためのホログラムや、自浄性と、超撥水性(super-hydrophobic)とを有する表面を持つ商品、等である。さらに、以下の分野における、汚染源であるような製品や、化学モールドから取り出される製品や、消耗品の洗浄等において、高分子製品の欠陥率(defect rate)を、このようなモールドの持つ減らす能力を利用することができる。
・ 太陽光発電の応用のためのマイクロ/ナノパターニングされた光学的集積装置(optic concentrator)の引き抜き
・ 自動車分野(反射防止、又は、自浄)における応用のためのナノ構造の押し出し次世代型安全装置の引き抜き
・ バクテリア/たんぱく質の付着防止、又は、細胞成長のための生物学的活性表面の製造
・ 同素体ポーラス膜(iso-porous membrane)の製造
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高分子材料で形成される製品のためのモールドを製造する方法であって、
− 少なくとも、金属支持体(2)の部分の上に、保護薄膜(4)と、ダイヤモンド・ライク・カーボン薄膜(5)と、を連続的に堆積し、
− 少なくとも、前記高分子材料と接触するように設計されたナノパターニングされた表面を形成するために、前記ダイヤモンド・ライク・カーボン薄膜(5)をナノパターニングする、
ステップを備え、
前記ダイヤモンド・ライク・カーボン薄膜(5)は、1以上の形状係数を示す所定のパターンを持つように、連続的ステップである、
− あらかじめハードマスク(8)の自由表面に上に堆積されたナノ粒子(10)によって輪郭が定められたボイド・ラティス(11)を用いた、ドライ・フェーズの選択的化学エッチング処理により、前記ダイヤモンド・ライク・カーボン薄膜(5)の自由表面の上に、前記ハードマスク(8)を形成し、
− 前記ハードマスク(8)を用いて、第2のドライ・フェーズの選択的化学エッチング処理により、前記ダイヤモンド・ライク・カーボン薄膜(5)に所定のパターンを形成し、前記エッチングは、前記ダイヤモンド・ライク・カーボン薄膜(5)と前記保護膜(4)との間の界面(7)で停止する、
ステップによってナノパターニングされることを特徴とし、且つ、
保護コーティングは、前記保護膜(4)と、前記ナノパターニングされたダイヤモンド・ライク・カーボン薄膜(5)と、で、形成され、約100nmから約10μmの間である厚さを有する、ことを特徴とする、
モールドを製造する方法。
【請求項2】
前記ハードマスク(8)は、酸化シリコン、水素化炭化シリコン、窒化シリコン、アルミニウム、銅、クロム、窒化金属、から選択される材料によって形成される、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ハードマスク(8)は、約10nmから約50nmの間である厚さを有する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記ナノ粒子(10)は、銀、金、パラジウム、白金、銅、チタン、ジルコニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、シリコン、炭化シリコン、酸化シリコン、窒化シリコン、から選択される材料のナノ粒子であり、前記ナノ粒子は、マグネトロンスパッタリング法によって堆積される、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
前記ナノ粒子(10)は、酸化鉄、又は、銀、白金、銅、から選択される金属、のナノ粒子であり、前記ナノ粒子は、液体注入によりアシストされた化学気相成長法を用いて堆積される、ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
前記ナノ粒子(10)は、炭化シリコン、酸化シリコン、窒化シリコン、高分子材料、酸化チタン、酸化ジルコニウム、から選択される材料のナノ粒子であり、前記ナノ粒子は、ラングミュラー・ブロジェット法によって堆積される、ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
前記パターンは、複数の開口部(6)から形成され、前記開口部は、前記ダイヤモンド・ライク・カーボン薄膜(5)を、その自由表面(5a)から、前記ダイヤモンド・ライク・カーボン薄膜(5)と前記保護膜(4)との間の界面(7)まで、貫くものである、ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
前記保護膜(4)は、窒化クロムから形成される、ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
前記保護膜(4)は、水素化炭化シリコンから形成される、ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1つに記載の方法。
【請求項10】
前記保護膜(4)は、50nmから500nmの間である厚さを有する、ことを特徴とする請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記金属支持体(2)は、アルミニウム、鉄、真ちゅう、から選択される金属材料を備える、ことを特徴とする請求項1から10のいずれか1つに記載の方法。
【請求項1】
高分子材料で形成される製品のためのモールドを製造する方法であって、
− 少なくとも、金属支持体(2)の部分の上に、保護薄膜(4)と、ダイヤモンド・ライク・カーボン薄膜(5)と、を連続的に堆積し、
− 少なくとも、前記高分子材料と接触するように設計されたナノパターニングされた表面を形成するために、前記ダイヤモンド・ライク・カーボン薄膜(5)をナノパターニングする、
ステップを備え、
前記ダイヤモンド・ライク・カーボン薄膜(5)は、1以上の形状係数を示す所定のパターンを持つように、連続的ステップである、
− あらかじめハードマスク(8)の自由表面に上に堆積されたナノ粒子(10)によって輪郭が定められたボイド・ラティス(11)を用いた、ドライ・フェーズの選択的化学エッチング処理により、前記ダイヤモンド・ライク・カーボン薄膜(5)の自由表面の上に、前記ハードマスク(8)を形成し、
− 前記ハードマスク(8)を用いて、第2のドライ・フェーズの選択的化学エッチング処理により、前記ダイヤモンド・ライク・カーボン薄膜(5)に所定のパターンを形成し、前記エッチングは、前記ダイヤモンド・ライク・カーボン薄膜(5)と前記保護膜(4)との間の界面(7)で停止する、
ステップによってナノパターニングされることを特徴とし、且つ、
保護コーティングは、前記保護膜(4)と、前記ナノパターニングされたダイヤモンド・ライク・カーボン薄膜(5)と、で、形成され、約100nmから約10μmの間である厚さを有する、ことを特徴とする、
モールドを製造する方法。
【請求項2】
前記ハードマスク(8)は、酸化シリコン、水素化炭化シリコン、窒化シリコン、アルミニウム、銅、クロム、窒化金属、から選択される材料によって形成される、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ハードマスク(8)は、約10nmから約50nmの間である厚さを有する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記ナノ粒子(10)は、銀、金、パラジウム、白金、銅、チタン、ジルコニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、シリコン、炭化シリコン、酸化シリコン、窒化シリコン、から選択される材料のナノ粒子であり、前記ナノ粒子は、マグネトロンスパッタリング法によって堆積される、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
前記ナノ粒子(10)は、酸化鉄、又は、銀、白金、銅、から選択される金属、のナノ粒子であり、前記ナノ粒子は、液体注入によりアシストされた化学気相成長法を用いて堆積される、ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
前記ナノ粒子(10)は、炭化シリコン、酸化シリコン、窒化シリコン、高分子材料、酸化チタン、酸化ジルコニウム、から選択される材料のナノ粒子であり、前記ナノ粒子は、ラングミュラー・ブロジェット法によって堆積される、ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
前記パターンは、複数の開口部(6)から形成され、前記開口部は、前記ダイヤモンド・ライク・カーボン薄膜(5)を、その自由表面(5a)から、前記ダイヤモンド・ライク・カーボン薄膜(5)と前記保護膜(4)との間の界面(7)まで、貫くものである、ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
前記保護膜(4)は、窒化クロムから形成される、ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
前記保護膜(4)は、水素化炭化シリコンから形成される、ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1つに記載の方法。
【請求項10】
前記保護膜(4)は、50nmから500nmの間である厚さを有する、ことを特徴とする請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記金属支持体(2)は、アルミニウム、鉄、真ちゅう、から選択される金属材料を備える、ことを特徴とする請求項1から10のいずれか1つに記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−115922(P2010−115922A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−253066(P2009−253066)
【出願日】平成21年11月4日(2009.11.4)
【出願人】(502142323)コミサリア、ア、レネルジ、アトミク−セーエーアー (195)
【氏名又は名称原語表記】COMMISSARIAT A L’ENERGIE ATOMIQUE
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−253066(P2009−253066)
【出願日】平成21年11月4日(2009.11.4)
【出願人】(502142323)コミサリア、ア、レネルジ、アトミク−セーエーアー (195)
【氏名又は名称原語表記】COMMISSARIAT A L’ENERGIE ATOMIQUE
【Fターム(参考)】
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