説明

ナノ粒子プライマーを含む接着物品およびその製造方法

ナノ粒子から実質的になるプライマーを含む接着物品と、およびそのような接着物品の製造方法とを提供する。本発明の接着物品は、ポリマーフォーム基材、および/または5重量%未満のアクリル酸単位を含む接着剤を含むことができる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材と接着剤層との間にナノ粒子プライマー層を有する接着物品、およびそのような物品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、接着物品は、基材を含み、その少なくとも1つの表面の少なくとも一部に適用された接着剤を有する。このような接着物品の例としては、フォームテープなどの片面接着テープおよび両面接着テープが挙げられる。
【0003】
熱可塑性ポリマーは、接着物品の基材として一般に使用される材料の広い部類の1つを構成している。熱可塑性基材としては、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリイミド、およびポリエステルが挙げられる。発泡材料は、接着物品の基材の別の広い部類を構成している。発泡材料としては、たとえば、熱可塑性ポリマー、アクリル、およびゴムが挙げられる。
【0004】
基材への接着剤の接着を改善するために基材表面を処理する方法は多数存在し、そのようは方法としては、たとえば、化学エッチング、電子ビーム照射、コロナ処理、プラズマエッチング、接着促進層の同時押出、および接着促進プライマーコーティングによる基材のコーティングが挙げられ、これらの一部は後に架橋させることができる。これらの接着促進方法にとって望ましい結果とは、基材の接着剤に対する受容性を高めること、および基材と接着剤との間の強い界面接合を促進することである。
【0005】
基材に対する接着を改善する別の方法は、基材表面の表面エネルギーを増加させることであり、これはプライマーコートを適用することによって行われるか、または特殊な加工によって行われ、たとえば、コロナ処理が行われ、すなわち、空気中または窒素中で基材表面に放電し、それによってヒドロキシルまたはカルボキシルなどの極性官能基が酸化反応によって表面上にグラフトされる。これらの処理は、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、およびポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステルなどのたいていの熱可塑性材料の表面エネルギーを増加させるが、この表面エネルギーの増加では、接着剤、特に低表面エネルギーを有する接着剤の接合または接着を向上させるには条件が不十分である。
【0006】
基材と接着剤との間の接着力を増加させるために改善された材料および方法を見出すことが引き続き必要とされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
簡潔に述べると、一態様において、本発明は、基材と、接着剤と、プライマーとを含む接着物品を提供する。このプライマーはナノ粒子から実質的になり、基材と接着剤との間にある。
【0008】
別の態様においては、本発明は、接着剤に基材に接合する方法を提供する。この方法は、ナノ粒子から実質的になるプライマーを、基材の第1の主面と接着剤層の第1の主面との間に配置するステップと、フォーム基材の第1の主面の少なくとも一部をプライマーに接着するステップと、接着剤層の第1の主面の少なくとも一部をプライマーに接着するステップとを含む。
【0009】
本発明の1つ以上の実施態様の詳細を、以下の説明に記載する。本発明の他の特徴、目的、および利点は、この説明および請求項から明らかとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の接着物品は、基材であって、基材の少なくとも1つの表面の少なくとも一部に適用された接着剤と、基材表面と接着剤との間にあるプライマーとを有する基材である。このプライマーは、ナノ粒子から実質的になる。ナノ粒子は、個別の粒子であってもよいし、粒子の凝集体であってもよい。一般に、ナノ粒子は、20ナノメートル(nm)未満(たとえば、10nm未満、または8nm未満)の最大断面寸法を有する。ある実施態様においては、これらの粒子は凝集していない。粒子が凝集している場合、その凝集体の最大断面寸法が20nm未満(たとえば、10nm未満、または8nm未満)となるべきである。本明細書において言及されるナノ粒子の寸法は、プライマーを形成するために表面に適用される前のナノ粒子の寸法である(たとえば、プライマー溶液中のナノ粒子またはナノ粒子凝集体の寸法)。ナノ粒子が表面に適用された後(たとえば、プライマー溶液の基材上へのコーティングによって)、これらは凝集することによって、より大きな構造を形成する場合がある。
【0011】
図1は、接着物品10の断面を示している。接着物品10は、第1の表面24を有する基材14と、第1の表面22を有する接着剤層12とを含む。接着剤層12と基材14との間にプライマー16が配置されるように、接着剤層12の第1の表面22が、基材14の第1の表面24と接合される。
【0012】
ある実施態様においては、第2の接着剤層(図示せず)を基材14の第2の表面34に接合させることができる。第2の接着剤層と基材14との間に第2のプライマー層(図示せず)を配置することができる。
【0013】
ある実施態様においては、プライマー16は、基材14の第1の表面24の実質的にすべてを覆う。ある実施態様においては、プライマー16は、第1の表面24の一部のみを覆う。ある実施態様においては、プライマー16は、第1の表面24の不規則に選択された部分を覆う。ある実施態様においては、第1の表面24のプライマー16で覆われた部分が所定のパターンを形成する。
【0014】
ある実施態様においては、プライマー16は、接着剤12の第1の表面22の実質的にすべてを覆う。ある実施態様においては、プライマー16は第1の表面22の一部のみを覆う。ある実施態様においては、プライマー16は、第1の表面22の不規則に選択された部分を覆う。ある実施態様においては、第1の表面22のプライマー16で覆われた部分が所定のパターンを形成する。
【0015】
図1においては、プライマー16が、単層のナノ粒子として示されている。ある実施態様においては、プライマー16が、2層以上のナノ粒子を含むことができる。
【0016】
本発明の接着物品は、実質的にあらゆるポリマー材料であってよい基材を含む。基材は、透明、半透明、または不透明であってよく、発泡していてもしていなくてもよく、1つ以上の層を含むことができる。
【0017】
本発明の基材は、ポリマーフィルムを含むことができる。このポリマーフィルムは、たとえば、ポリオレフィン(たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニルコポリマー、エチレンアクリル酸コポリマー、エチレンのアイオノマー、およびそれらの混合物)、ポリエステル(たとえば、テレフタレート、イソフタレート、および/またはナフタレートのコモノマー単位を有するポリマー(たとえば、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリプロピレンナフタレート(PPN)、およびポリブチレンテレフタレート(PBT)))、ポリイミド、ポリスチレン、アクリル、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリウレタン、ウレタンアクリレートポリマー、エポキシアクリレートポリマー、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリスルホン、酢酪酸セルロース、ポリ塩化ビニル、およびそれらのブレンドを含むことができる。
【0018】
ポリマーフィルムは、添加剤を含むことができ、たとえば、潤滑剤および他の溶融加工助剤、顔料、染料、および他の着色剤、紫外光吸収剤(すなわちUVA)補助的紫外光安定剤(たとえば、ヒンダードアミン光安定剤(すなわちHALS))、酸化防止剤、核剤、充填剤、繊維、可塑剤、増白剤、難燃剤、帯電防止剤およびスリップ剤、熱伝導性粒子、導電性粒子、連続マイクロファイバーなど、およびそれらの組み合わせなどを含むことができる。
【0019】
ポリマーフィルムは、流塩または溶融押出などのあらゆる公知の技術によって作製することができる。ポリマーフィルムは、あらゆる公知の技術によってエンボス加工することができる。
【0020】
本発明の基材はフォームを含むことができる。フォームは、連続気泡フォーム、独立気泡フォーム、またはそれらの組み合わせであってよい。フォームは、たとえば、アクリル、ポリオレフィン(たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニルコポリマー、エチレンアクリル酸コポリマー、エチレンのアイオノマーおよびそれらの混合物)、ポリウレタン、ゴム、シリコーン、またはそれらのブレンドを含むことができる。アクリルフォームの例は、米国特許第4,415,615号明細書(エスメイ(Esmay)ら)および米国特許第6,103,152号明細書(ゲールセン(Gehlsen)ら)に開示されている。フォームは添加剤を含むことができ、たとえば、粘着付与剤、可塑剤、顔料、染料、発泡性および非発泡性微小球、物理発泡剤、化学発泡剤、気泡安定剤、界面活性剤、補強剤、疎水性または親水性の金属酸化物、炭酸カルシウム、強化剤、熱伝導性粒子、導電性粒子、難燃剤、酸化防止剤、微粉砕ポリマー粒子、安定剤、連続マイクロファイバー、およびそれらの組み合わせなどを含むことができる。
【0021】
フォームは、たとえば、機械的機構、化学的機構、およびそれらの組み合わせなどの種々の機構を使用して組成物中に気体の空隙を形成することによって作製することができる。
【0022】
有用な機械的発泡機構としては、たとえば、かき混ぜ(たとえば、組成物の振盪、撹拌、または泡立て、およびそれらの組み合わせ)、組成物中への気体の注入(たとえば、組成物表面の下にノズルを挿入し、組成物中に気体を吹き込む)、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0023】
有用な化学的発泡機構としては、たとえば、化学反応によるその場での気体の発生、熱分解によって気体を遊離する成分などの組成物の成分の分解、液化ガスなどの組成物の成分の蒸発、組成物に対する圧力を低下させることによる組成物中の気体の揮発、または組成物の加熱、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0024】
原則的には、たとえば、化学発泡剤および物理発泡剤、たとえば無機および有機の発泡剤などの組成物を発泡させるあらゆる発泡剤を使用することができる。
【0025】
化学発泡剤の例としては、水、ならびにアゾ系、カーボネート系、およびヒドラジド系の分子、たとえば、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニル)ヒドラジド、4,4’−オキシベンゼンスルホニルセミカルバジド、アゾジカルボンアミド、p−トルエンスルホニルセミカルバジド、アゾジカルボン酸バリウム、アゾジイソブチロニトリル、ベンゼンスルホンヒドラジド、トリヒドラジノトリアジン、アゾジカルボン酸金属塩、シュウ酸ヒドラジド、ヒドラジノカルボキシレート、ジフェニルオキシド−4,4’−ジスルホヒドラジド、テトラゾール化合物、重炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、カーボネート化合物およびポリ炭酸の配合物、ならびにクエン酸および重炭酸ナトリウムの混合物、N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソ−テレフタルアミド、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0026】
好適な無機の物理発泡剤としては、たとえば、窒素、アルゴン、酸素、水、空気、ヘリウム、六フッ化硫黄、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0027】
有用な有機の物理発泡剤としては、たとえば、二酸化炭素、脂肪族炭化水素、脂肪族アルコール、全ハロゲン化および部分ハロゲン化脂肪族炭化水素、たとえば塩化メチレン、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。好適な脂肪族炭化水素発泡剤の例としては、たとえば、アルカン系炭化水素、たとえば、メタン、エタン、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、およびそれらの混合物が挙げられる。有用な脂肪族アルコールとしては、たとえば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、およびイソプロパノール、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。好適な全ハロゲン化および部分ハロゲン化脂肪族炭化水素としては、たとえば、フルオロカーボン、クロロカーボン、およびクロロフルオロカーボン、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0028】
フルオロカーボン発泡剤の例としては、たとえば、フッ化メチル、パーフルオロメタン、フッ化エチル、1,1−ジフルオロエタン(HFC−152a)、フルオロエタン(HFC−161)、1,1,1−トリフルオロエタン(HFC−143a)、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)、1,1,2,2テトラフルオロエタン(HFC−134)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン、ペンタフルオロエタン(HFC−125)、ジフルオロメタン(HFC−32)、パーフルオロエタン、2,2−ジフルオロプロパン、1,1,1−トリフルオロプロパン、パーフルオロプロパン、ジクロロプロパン、ジフルオロプロパン、パーフルオロブタン、パーフルオロシクロブタン、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0029】
有用な部分ハロゲン化クロロカーボンおよびクロロフルオロカーボンの発泡剤としては、たとえば、塩化メチル、塩化メチレン、塩化エチル、1,1,1−トリクロロエタン、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン(HCFC−141b)、1−クロロ−1,1−ジフルオロエタン(HCFC−142b)、クロロジフルオロメタン(HCFC−22)、1,1−ジクロロ−2,2,2−トリフルオロエタン(HCFC−123)、および1−クロロ−1,2,2,2−テトラフルオロエタン(HCFC−124)、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0030】
有用な全ハロゲン化クロロフルオロカーボンの例としては、たとえば、トリクロロモノフルオロメタン(CFC−11)、ジクロロジフルオロメタン(CFC−12)、トリクロロ−トリフルオロエタン(CFC−113)、ジクロロテトラフルオロエタン(CFC−114)、クロロヘプタフルオロプロパン、およびジクロロヘキサフルオロプロパン、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0031】
発泡剤は、1種類の成分として、混合物およびそれらの組み合わせとして、ならびに他の共発泡剤との混合物として使用することができる。発泡剤は、所望のフォーム密度を実現するのに十分な量で組成物に加えられる。
【0032】
ある実施態様においては、核剤が存在してもよい。核剤はあらゆる従来の核剤であってよい。加えられる核剤の量は、所望の気泡の大きさ、選択された発泡剤、および発泡する組成物の密度に依存する。小さな粒子の形態である無機核剤の例としては、クレー、タルク、シリカ、および珪藻土が挙げられる。有機核剤は、所与の温度において分解または反応することができる。
【0033】
有機核剤の一例は、ポリカルボン酸アルカリ金属塩と、炭酸塩または重炭酸塩との組み合わせである。有用なポリカルボン酸アルカリ金属塩の例としては、2,3−ジヒドロキシ−ブタン二酸の一ナトリウム塩(すなわち酒石酸水素ナトリウム)、ブタン二酸の一カリウム塩(すなわちコハク酸水素カリウム)、2−ヒドロキシ−1,2,3−プロパントリカルボン酸の三ナトリウム塩および三カリウム塩(すなわち、それぞれクエン酸ナトリウムおよびクエン酸カリウム)、ならびにエタン二酸の二ナトリウム塩(すなわちシュウ酸ナトリウム)および2−ヒドロキシ−1,2,3−プロパントリカルボン酸などのポリカルボン酸の二ナトリウム塩、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。炭酸塩および重炭酸塩の例としては、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、炭酸カリウム、および炭酸カルシウム、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。考慮される組み合わせの1つは、クエン酸一ナトリウムまたは酒石酸一ナトリウムなどのポリカルボン酸の一アルカリ金属塩と、炭酸塩または重炭酸塩との組み合わせである。異なる核剤の混合物を加えることが可能なことも考慮される。他の有用な核剤としては、クエン酸と重炭酸ナトリウムとの化学量論的混合物が挙げられる。
【0034】
ある実施態様においては、発泡微小球を組成物に混入することによってフォームを形成することができる。ある実施態様においては、発泡性微小球を組成物に混入しその微小球を発泡させることによってフォームを形成することができる。
【0035】
発泡性ポリマー微小球は、ポリマーシェルと、気体、液体、またはそれらの組み合わせの形態のコア材料とを含む。ポリマーシェルの溶融温度または流動温度以下の温度に加熱すると、ポリマーシェルが膨張する。好適なコア材料の例としては、プロパン、ブタン、ペンタン、イソブタン、ネオペンタン、イソペンタン、または類似の材料、およびそれらの組み合わせが挙げられる。ポリマー微小球シェルに使用される熱可塑性樹脂の種類が、フォームの機械的性質に影響を与える場合があり、フォームの性質は、微小球の選択によって、または異なる種類の微小球の混合物の使用によって調整することができる。たとえば、低密度フォーム物品に高い引張強度および凝集強度が望まれる場合に、アクリロニトリル含有樹脂が有用となる。アクリロニトリル含有率が、ポリマーシェル中に使用される樹脂の少なくとも50重量%、一般に少なくとも60重量%、典型的には少なくとも70重量%となる場合に特にこのことが言える。
【0036】
発泡性微小球シェルとして使用することができる好適な熱可塑性樹脂の例としては、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、たとえばポリアクリレート;アクリレート−アクリロニトリルコポリマー;およびメタクリレート−アクリル酸コポリマーが挙げられる。塩化ビニリデン含有ポリマー、たとえば塩化ビニリデン−メタクリレートコポリマー、塩化ビニリデン−アクリロニトリルコポリマー、アクリロニトリル−塩化ビニリデン−メタクリロニトリル−アクリル酸メチルコポリマー、およびアクリロニトリル−塩化ビニリデン−メタクリロニトリル−メタクリル酸メチルコポリマーも使用することができるが、高強度が要求される場合には望ましくない場合もある。一般に、高強度が望ましい場合、微小球シェルは、20重量%以下の塩化ビニリデン、典型的には15重量%以下の塩化ビニリデンを有する。高強度用途では、塩化ビニリデンを実質的に有さないことが必要となる場合もある。ハロゲンを含有しない微小球も、本発明のフォーム中に使用することができる。
【0037】
市販の発泡性微小球の例としては、ニューヨーク州バッファロー(Buffalo,New York)にあるピアス・スティーブンス(Pierce Stevens)より入手可能な商品名F30D、F80SD、およびF100、ならびにジョージア州ダルース(Duluth,Georgia)にあるエクスパンセル・インコーポレイテッド(Expancel,Inc.)より入手可能なエクスパンセル551(EXPANCEL 551)、エクスパンセル461(EXPANCEL 461)、およびエクスパンセル091(EXPANCEL 091)が挙げられる。
【0038】
本発明の接着物品は接着剤層を含む。種々の異なるポリマー樹脂、およびそれらのブレンドが、接着剤層中に使用するのに適している。ある実施態様においては、接着剤層が感圧接着剤(PSA)であってもよい。ある実施態様においては、接着剤層は、たとえば、熱活性化接着剤などの非PSAであってもよい。
【0039】
ある実施態様においては、異なる化学組成を有する2種類以上のアクリレートポリマーをブレンドすることが望ましい場合がある。ブレンド成分の種類および濃度を操作することによって、広範な物理的性質を得ることができる。
【0040】
接着剤層に有用なポリマーの部類の1つとして、アクリレートおよびメタクリレートポリマーおよびコポリマーが挙げられる。このようなポリマーはたとえば、1〜約20個の炭素原子(たとえば3〜18個の炭素原子)を有するアルキル基を有する第3級ではないアルキルアルコールの1種類以上のモノマー性アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルを重合させることによって形成される。好適なアクリレートモノマーとしては、たとえば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシルアクリル酸、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸オクタデシル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、およびアクリル酸ドデシルが挙げられる。対応するメタクリレートも有用である。アクリル酸ベンジルおよびアクリル酸シクロベンジルなどの芳香族アクリレートおよびメタクリレートも有用である。
【0041】
場合によっては、1種類以上のモノエチレン系不飽和コモノマーを、アクリレートモノマーまたはメタクリレートモノマーと重合させることができる。コモノマーの個々の種類および量は、ポリマーに望まれる性質に基づいて選択される。有用なコモノマーのグループの1つとしては、(メタ)アクリレート(すなわち、アクリレートまたはメタクリレート)ホモポリマーのガラス転移温度よりも高いホモポリマーガラス転移温度を有するコモノマーが挙げられる。このグループに含まれる好適なコモノマーの例としては、アクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、置換アクリルアミド(たとえばN,N−ジメチルアクリルアミド)、イタコン酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸シアノエチル、N−ビニルカプロラクタム、無水マレイン酸、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、N,N−ジエチルアクリルアミド、アクリル酸β−カルボキシエチル、ネオデカン酸のビニルエステル、ネオノナン酸のビニルエステル、ネオペンタン酸のビニルエステル、2−エチルヘキサン酸のビニルエステル、またはプロピオン酸のビニルエステル(たとえば、コネチカット州ダンベリー(Danbury,Connecticut)のユニオン・カーバイド・コーポレーション(Union Carbide Corp.)より商品名バイネーツ(VYNATES)で入手可能なもの)、塩化ビニリデン、スチレン、ビニルトルエン、およびアルキルビニルエーテルが挙げられる。
【0042】
アクリレートモノマーまたはメタクリレートモノマーと重合させることができるモノエチレン系不飽和コモノマーの第2のグループとしては、アクリレートホモポリマーのガラス転移温度より低いホモポリマーガラス転移温度(Tg)を有するコモノマーが挙げられる。この部類に含まれる好適なコモノマーとしては、アクリル酸エトキシエトキシエチル(Tg=−71℃)、およびメトキシポリエチレングリコール400アクリレート(Tg=−65℃;日本の新中村化学工業株式会社(Shin Nakamura Chemical Co.,Ltd.)より商品名「NKエステルAM−90G」(NK Ester AM−90G)で入手可能)が挙げられる。
【0043】
接着剤層中に有用な第2の部類のポリマーとしては、半結晶質ポリマー樹脂、たとえばポリオレフィンおよびポリオレフィンコポリマー(たとえば、約2〜約8個の間の炭素原子を有するモノマーを主成分とするポリマー樹脂、たとえば低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンコポリマーなど)、ポリエステルおよびコポリエステル、ポリアミドおよびコポリアミド、フッ素化ホモポリマーおよびコポリマー、ポリアルキレンオキシド(たとえば、ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシド)、ポリビニルアルコール、アイオノマー(たとえば、塩基で中和したエチレン−メタクリル酸コポリマー)、ならびに酢酸セルロースが挙げられる。この部類のポリマーの他の例としては、非晶質ポリマー、たとえばポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、熱可塑性ポリウレタン、芳香族エポキシ、ポリカーボネート、非晶質ポリエステル、非晶質ポリアミド、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)ブロックコポリマー、ポリフェニレンオキシドアロイ、アイオノマー(たとえば、塩で中和したエチレン−メタクリル酸コポリマー)、フッ素化エラストマー、およびポリジメチルシロキサンが挙げられる。
【0044】
接着剤層中に有用な第3の部類のポリマーとしては、紫外線で活性化可能な基を含有するエラストマーが挙げられる。例としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、スチレンとジエンとのランダムコポリマーおよびブロックコポリマー(たとえば、SBR)、ならびにエチレン−プロピレン−ジエンモノマーゴムが挙げられる。この部類のポリマーは典型的には粘着付与樹脂と併用される。
【0045】
接着剤層中に有用な第4の部類のポリマーとしては、非光重合性モノマーから調製される感圧接着剤およびホットメルト適用接着剤が挙げられる。このようなポリマーは、接着性ポリマー(すなわち本来接着性であるポリマー)であってもよいし、または、本来接着性ではないが、可塑剤、または粘着付与剤などの成分を配合すると接着剤組成物を形成することができるポリマーであってもよい。具体例としては、ポリ−α−オレフィン(たとえば、ポリオクテン、ポリヘキセン、およびアタクチックポリプロピレン)、ブロックコポリマー、天然ゴムおよび合成ゴム、シリコーン、エチレン−酢酸ビニル、ならびにエポキシ含有構造ポリマーブレンド(たとえば、エポキシ−アクリレートおよびエポキシ−ポリエステルのブレンド)が挙げられる。
【0046】
ある実施態様においては、シリコーン感圧接着剤を使用することが望ましい場合がある。有用なシリコーン感圧接着剤材料としては、粘着技術ハンドブック、第2版、1989年、第18章(Handbook of Pressure Sensitive Technology,2nd Ed.,1989,Chapter 18)、508〜517ページに記載される材料が挙げられる。一般的には、シリコーン接着剤は、(i)ポリジオルガノシロキサン(シリコーンゴムとも呼ばれ、典型的には数平均分子量が約5000〜約10,000,000、好ましくは約50,000〜約1,000,000である)と、(ii)トリオルガノシロキシ単位とSiO4/2単位とを含むコポリマーのシリコーン樹脂(MQ樹脂とも呼ばれ、典型的には数平均分子量が約100〜約1,000,000、好ましくは約500〜約50,000である)とのブレンドである。好ましくは、シリコーン接着剤は、約20〜約60重量部のシリコーンゴムと、これと対応して約40重量部〜約80重量部のMQ樹脂とを含む。コポリマーのシリコーン樹脂をポリジオルガノシロキサンと反応させる化学的手段を提供することが、接着特性を改善することに関しては好都合である。このような反応を実現するためには、縮合反応および付加硬化反応の両方が使用されている。
【0047】
ある実施態様においては、米国特許第6,730,397号明細書に記載されるシリコーン感圧接着剤のように、ポリジオルガノシロキサンポリ尿素コポリマーと、シラノール(Si−OH)官能性をほとんどまたは全く有さないシリコーン粘着付与樹脂とを含むシリコーン感圧接着剤の使用が望ましい場合がある。
【0048】
別の実施態様においては、米国特許第5,708,110号明細書に開示される接着剤などのように、低エネルギー表面(たとえば、ポリオレフィン)に対する良好の接着性を接着剤が有することが望ましい場合がある。ある実施態様においては、約5重量%未満(たとえば、約3重量%未満、または約1重量%未満、または実質的に0重量%)の極性エチレン系不飽和モノマーを含むモノマー混合物を重合させることによって接着剤を調製することができる。このような極性モノマーの例としては、アクリル酸、イタコン酸、N,Nジメチルアクリルアミドなどの一部の置換アクリルアミド、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、アクリロニトリル、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸グリシジル、2−フェノキシエチルアクリレート、およびベンジルアクリレート、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0049】
ある実施態様においては、約5重量%以下(たとえば、約3重量%以下、または約1重量%以下、または実質的に0重量%)のアクリル酸繰り返し単位を含む接着剤を使用することが望ましい場合がある。
【0050】
接着剤層は、場合により他の成分を内部に有することもできる。充填剤、酸化防止剤、粘度調整剤、顔料、粘着付与樹脂、繊維、難燃剤、帯電防止剤およびスリップ剤、熱伝導性粒子、導電性粒子、連続マイクロファイバー、スクリム、ウェブ、フィラメントなどの通常の添加剤を、最終製品に望まれる性質を変化させない程度で、接着剤層に加えることもできる。
【0051】
接着剤層の厚さは、製品の用途に応じて変動する。ある実施態様においては、接着剤層の厚さは約250μmを超える(たとえば約500μmを超える)。
【0052】
本発明のプライマーは、ナノ粒子から実質的になる。本明細書において使用される場合、用語「から実質的になる」とは、接着剤または基材と反応する成分(すなわち、両官能性(ambifunctional)シラン)、および/または接着剤の基材への接着性を増加させる機能を果たすポリマーバインダーの有効量を含有しないことを意味する。
【0053】
本発明のナノ粒子は、最大断面寸法が20nm未満(たとえば10nm未満、または8nm未満)である実質的にあらゆる無機粒子であってよい。粒度は、透過型電子顕微鏡検査または光散乱技術を使用して所与の直径の粒子数を計数することで求めることができる。ある実施態様においては、粒子は凝集していない。一次粒子が凝集体を形成する場合、凝集体の最大断面寸法が20nm未満(たとえば10nm未満、または8nm未満)に制限されることが望ましいことがある。
【0054】
ある実施態様においては、粉末ではなくゾルからプライマーの無機粒子が誘導されることが望ましい場合がある。粉末は、プライマーに適していない加工が困難な塊状体となる場合がある。一般にゾルは、液体媒体中で無機粒子が実質的に凝集していないコロイド分散体である。
【0055】
代表的なナノ粒子ゾルとしては、アルミナ、チタニア、ジルコニア、セリア、シリカ、鉄、および酸化アンチモンのゾル、ならびに硫化鉄ゾルが挙げられる。
【0056】
プライマー組成物の調製に有用なシリカゾルは、当技術分野で公知の方法によって調製することができる。水溶液中にゾルとして分散させたコロイダルシリカは、ルドックス(LUDOX)(E.I.デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I.DuPont de Nemours and Co.)、デラウェア州ウィルミントン(Wilmington,Delaware))、ナイアコル(NYACOL)(ナイアコル・カンパニー(Nyacol Co.)、マサチューセッツ州アシュランド(Ashland,Massachusetts))、ならびにナルコ(NALCO)2326および2327(オンデオ・ナルコ・ケミカル・カンパニー(Ondeo Nalco Chemical Co.),イリノイ州オークブルック(Oak Brook,Illinois))などの商品名で市販もされている。非水性シリカゾル(シリカオルガノゾルとも呼ばれる)も商品名ナルコ(NALCO)1057(2−プロポキシエタノール中のシリカゾル、オンデオ・ナルコ・ケミカル・カンパニー(Ondeo Nalco Chemical Co.))、MA−ST、IP−ST、およびEG−ST(日産化学工業(Nissan Chemical Ind.)、東京)、およびハイリンク・OGシリカ・オルガノゾル(HIGHLINK OG Silica Organosols)(クラリアント・コーポレーション(Clariant Corporation)、ノースカロライナ州シャーロット(Charlotte,North Carolina))で市販されている。好適なコロイダルシリカのさらに別の例が、米国特許第5,126,394号明細書(ビルカディ(Bilkadi))に記載されている。
【0057】
アルミナ、チタニア、ジルコニア、セリア、および酸化アンチモンのゾルのすべては、ナイアコル・カンパニー(Nyacol Co.)およびオンデオ・ナルコ・ケミカル・カンパニー(Ondeo Nalco Chemical Co.)などの供給元から市販されている。
【0058】
本発明において使用されるナノ粒子は、酸で安定化したり、ナトリウムで安定化したり、またはアンモニアで安定化したりすることができる。ある実施態様においては、ゾルのpHを調製することが望ましい場合もある。
【0059】
ある実施態様においては、ナノ粒子の表面改質を行うことができる。表面改質されたナノ粒子は、粒子の表面に結合した表面基を含む粒子である。これらの表面基によって、粒子の性質が変化する。ある実施態様においては、表面基によってナノ粒子を疎水性にすることができる。ある実施態様においては、表面基によってナノ粒子を親水性にすることができる。表面基は、統計的に平均化された不規則な表面改質粒子が得られるように選択することができる。ある実施態様においては、表面基は、粒子表面上に単層、好ましくは連続単層を形成するのに十分な量で存在する。
【0060】
表面改質基は、表面改質剤から誘導することができる。概略的に、表面改質剤は、式A−Bで表すことができ、式中、A基は粒子表面に結合することができ、B基は、系中の他の成分(たとえば、接着剤および/または基材)とは反応しない相溶化基である。相溶化基は、粒子の極性を比較的高めたり、極性を比較的低下させたり、または比較的非極性にしたりするように選択することができる。
【0061】
表面改質剤の好適な部類としては、たとえば、シラン類、有機酸、有機塩基、およびアルコールが挙げられる。
【0062】
特に有用な表面改質剤としてはシラン類が挙げられる。有用なシラン類の例としては、オルガノシラン類、たとえば、アルキルクロロシラン;アルコキシシラン、たとえば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ポリトリエトキシシラン;トリアルコキシアリールシラン;イソオクチルトリメトキシ−シラン;カルバミン酸N−(3−トリエトキシシリルプロピル)メトキシエトキシエトキシエチル;カルバミン酸N−(3−トリエトキシシリルプロピル)メトキシエトキシエトキシエチル;ポリジアルキルシロキサン、たとえば、ポリジメチルシロキサン;アリールシラン、たとえば、置換および未置換のアリールシラン;アルキルシラン、たとえば、置換および未置換のアルキルシラン、たとえば、メトキシおよびヒドロキシで置換されたアルキルシラン;ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0063】
有用な有機酸表面改質剤としては、たとえば、炭素(たとえば、カルボン酸)、硫黄、およびリンのオキシ酸、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0064】
カルボン酸官能性を有する極性表面改質剤の代表例としては、CHO(CHCHO)CHCOOH(以下MEEAAと記載)、および化学構造CHOCHCHOCHCOOHを有する2−(2−メトキシエトキシ)酢酸(以下MEAAと記載)、およびモノ(ポリエチレングリコール)スクシネートが挙げられる。
【0065】
カルボン酸官能性を有する非極性表面改質剤の代表例としては、オクタン酸、ドデカン酸、およびステアリン酸が挙げられる。
【0066】
好適なリン含有酸の例としては、たとえば、オクチルホスホン酸、ラウリルホスホン酸、デシルホスホン酸、ドデシルホスホン酸、およびオクタデシルホスホン酸などのホスホン酸が挙げられる。
【0067】
有用な有機塩基表面改質剤としては、たとえば、オクチルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、およびオクタデシルアミンなどのアルキルアミンなどが挙げられる。
【0068】
好適な表面改質アルコールの例としては、たとえば、オクタデシルアルコール、ドデシルアルコール、ラウリルアルコール、およびフルフリルアルコールなどの脂肪族アルコール、シクロヘキサノールなどの脂環式アルコール、ならびにフェノールおよびベンジルアルコールなどの芳香族アルコール、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0069】
有用な表面改質基としては、米国特許第5,648,407号明細書(ゲッツ(Goetz)ら)に開示される表面改質基などの芳香環を挙げることができる。
【0070】
たとえば、表面改質剤をナノ粒子(たとえば、粉末またはコロイド分散体の形態)に加えて、表面改質剤をナノ粒子と反応させるなど、ナノ粒子表面を改質するために種々の方法を使用することができる。他の有用な表面改質方法は、たとえば、米国特許第2,801,185号明細書(アイラー(Iler))および米国特許第4,522,958号明細書(ダース(Das)ら)に記載されている。
【0071】
ある実施態様においては、20nm未満(たとえば、15nm未満、または10nm未満、または8nm未満)の最大断面寸法を有するナノ粒子を含むプライマー溶液として、本発明のプライマーを提供することができる。たとえば、水、アルコール(たとえば、メタノール、エタノール、イソプロパノール)、有機溶媒(たとえばトルエン)、またはそれらの組み合わせなどのあらゆる好適な溶媒中にナノ粒子を分散させることができる。
【0072】
ある実施態様においては、本発明のプライマー溶液は、少なくとも0.1(たとえば、少なくとも0.5)重量%のナノ粒子を含有する。ある実施態様においては、プライマー溶液は5重量%未満(たとえば、2重量%未満、または1.5重量%未満)のナノ粒子を含有する。プライマー溶液は、1種類以上のナノ粒子を含有することができる。
【0073】
本発明のプライマー溶液は、添加剤を場合により含むことができるが、但しこのような添加剤は、接着剤または基材と実質的に反応しない。さらに、プライマーは、接着剤または基材と反応するポリマーバインダーを実質的に含有しない。
【0074】
本発明のプライマー溶液は、基材に対する溶液の塗れ性を改善する界面活性剤を場合により含有することができるが、過剰量の界面活性剤が含まれると、プライマーの接着性を低下させる場合がある。有用な界面活性剤としては、たとえば、タージトール(TERGITOL)TMN−6)(ミシガン州ミッドランド(Midland,Michigan)にあるダウ・ケミカル(Dow Chemical)より入手可能)、ならびにフルオラド(FLUORAD)FC−4430およびFC−4432(ミネソタ州セントポール(St.Paul,Minnesota)にある3Mカンパニー(3M Company)より入手可能)が挙げられる。
【0075】
この溶液は、バーコーティング、ロールコーティング、カーテンコーティング、輪転グラビアコーティング、パターンコーティング、スクリーン印刷、吹き付け、噴射、はけ塗り、および浸漬などの標準的技術によって適用することができる。基材は、プライマー溶液を適用する前に処理を行うことができる。種々の公知の処理技術として、たとえば、コロナ放電、火炎処理、および電子ビームが挙げられる。一般に、前処理は不要である。
【0076】
ある実施態様においては、接着剤を接触させる基材表面に、ナノ粒子含有溶液を適用することができる。ある実施態様においては、基材を接触させる接着剤表面に、ナノ粒子含有溶液を適用することができる。この溶液は、適度な低温、一般に約90℃未満、好ましくは約60℃〜80℃の間で乾燥させて、水、有機溶媒、希釈剤などを除去することができる。このコーティングは室温で乾燥させることもできる。ある実施態様においては、乾燥温度が90℃を超えてもよい。一般に、乾燥時間における乾燥温度は、プライマー溶液が適用された表面が実質的に劣化しないように選択すべきである。
【0077】
適用したプライマー溶液の未乾燥時厚さは、ナノ粒子の濃度およびプライマー層の所望の乾燥時厚さに依存する。ある実施態様においては、プライマー層は、単層のナノ粒子を含む。一般に、プライマー層は可能な限り薄くなるべきであり、ナノ粒子層がより厚い場合には、十分な凝集強度が得られなかったり、分裂して、接着物品が除去されるときに分裂して接着剤の基材への望ましくない移行が起こったりすることがある。ある実施態様においては、接着物品が除去される場合に接着剤の基材への移行が実質的に防止されるのに十分な凝集強度をナノ粒子層が有するのであれば、より厚いナノ粒子層(たとえば、2層、または3層、または4層以上)を使用することができる。
【0078】
プライマー層が基材上に形成された後、たとえば、バーコーティング、ロールコーティング、カーテンコーティング、輪転グラビアコーティング、パターンコーティング、スクリーン印刷、吹き付け、はけ塗り、積層、および押出成形などのあらゆる適用可能な従来方法によって、接着剤層をこの基材に適用することができる。
【0079】
乾燥したプライマー層が接着剤層上に形成される場合、積層などのあらゆる適用可能な従来方法によって、この接着剤層を基材に適用することができる。ある実施態様においては、たとえば、バーコーティング、ロールコーティング、カーテンコーティング、輪転グラビアコーティング、パターンコーティング、スクリーン印刷、吹き付け、はけ塗り、および押出成形によって、基材をプライマー処理した接着剤層に適用することができる。
【0080】
本発明の接着物品は、たとえば、スクリム、フィルム、薄織物、およびそれらの組み合わせなどの他の成分を、基材中に分散させたり、または、たとえば交互層、相互侵入層、およびそれらの組み合わせの形態で基材との層状構造中に配置することができる。他の有用な構造としては、フォームまたはフィルムまたは接着剤の層を含む多層構造であって、密度および組成などの少なくとも1つの性質がこれらの層で異なる多層構造が挙げられる。
【0081】
本発明の接着物品は、たとえば、打ち抜き、架橋、および滅菌などの後工程を実施することもできる。
【0082】
本発明の接着物品は、たとえば、2つの基材の接合、フック、ハンガー、再閉可能なファスナー、トリム物品およびホルダーなどの装飾物品などの物品を使用する取り付け用途、後に分離できるように箱などの2つ以上の容器を接着するなどの接合用途、壁、床、天井、およびカウンターなどの表面への物品の接合、ならびに機械的ファスナー、マスチック、または液状接着剤の代替などの種々の有用な用途を有する。本発明の物品は、シーラー、ガスケット、スペーサー、振動減衰材、ノイズダンパー、および緩衝器などの自動車、エレクトロニクス、および/または建築の用途においても有用である。
【0083】
以下の具体的であるが非限定的な実施例で本発明を説明する。他に明記しない限り、これらの実施例においてすべてのパーセント値は重量部である。
【実施例】
【0084】
試験方法
90度剥離
51mm(幅2インチ(in.))×長さ約127mm(5インチ)のポリプロピレンパネル(ミネソタ州バーンズビル(Burnsville,Minnesota)にあるエアロマット・プラスチックス(Aeromat Plastics)より入手可能)を、50:50の体積比のイソプロピルアルコール:水の溶液で溶媒洗浄し、乾燥させた。試験片の出発端にタブを形成するために、パネルの一端の約12.7mm(0.5インチ)を覆うように、ポリプロピレンパネル上に厚さ0.025mm(0.001インチ)×幅31.8mm(1.25インチ)のポリエステルフィルムを載せた。
【0085】
試験する物品から幅12.7mm(0.5インチ)×長さ約115mm(4.5インチ)のサンプルを切り取り、試験パネルの一方の面の長さに沿って配置した。このサンプルをポリエステルフィルムと約12.7mm(0.5インチ)だけ重ね、パネルの端部を越えないようにした。同様にして、試験パネルの反対の面に沿って第1の試験片と平行に、同じ物品の第2の試験片を試験パネルに積層した。厚さ0.051mm(0.002インチ)×15.9mm(0.625インチ)のポリエステルフィルム、または厚さ0.13mm(0.005インチ)×幅約28.6mm(1.125インチ)×長さ約200mm(8インチ)のアルミニウム箔のつやのない面のいずれかを、各試験片の露出面上に配置した。6.8kg(15ポンド)の鋼製ローラーを使用して、各方向に1回通すことで、この積層体をパネル上にロールがけした。パネルと積層体との間に気泡が取り込まれないように注意した。
【0086】
こうして作製した接合試験パネルを、室温(約22℃)で約72時間静置した。次に各サンプルについて、インストロン・モデル4465試験機(Instron Model 4465 tester)(マサチューセッツ州カントン(Canton,Massachusetts)にあるインストロン(Instron)より入手可能)を使用して305mm/分(12インチ/分)のクロスヘッド速度で、室温(約22℃)における90度剥離接着試験を行った。各サンプルについて、平均剥離値を記録し、最初および最後の25.4mm(1インチ)長さの剥離で得られた剥離値は無視した。本明細書において報告される値は、2回の試験の平均剥離接着値である。
【0087】
180度T型剥離
幅約15.9mm(0.625インチ)×長さ127mm(5インチ)×厚さ0.051mm(0.002インチ)のプライマー処理したポリエステル(PET)フィルムの2枚のストリップの間に、幅12.7mm(0.5インチ)×長さ約51mm(2インチ)のサンプルを配置し、PETストリップの一端で接着剤を有さない76mm(3インチ)のタブが残るようにした。こうして得られた組立体に、6.8kg(15ポンド)の鋼製ローラーを前方に1回、後方に1回通すことでロールがけした。この組立体を室温(約22℃)で24時間コンディショニングした。互いに反対方向に90°にタブを反らし、インストロン・モデル4465試験機(Instron Model 4465 testing machine)の上部ジョーに一方のタブを固定し、下部ジョーに他方のタブを固定した。これらのジョーを2.54mm/分(0.1インチ/分)で引き離した。タブを引き離すために要した力をポンド/インチ幅の単位で記録し、これをニュートン/センチメートル幅(N/cm)に変換した。各サンプルについて、平均剥離値を記録し、最初および最後の25.4mm(1インチ)長さの剥離で得られた剥離値は無視した。本明細書において報告される値は、2回の試験の平均剥離接着値である。
【0088】
70℃剪断
幅51mm(2インチ)×長さ76mm(3インチ)の302または304型ステンレス鋼(SS)パネル、および幅13mm(0.5インチ)×長さ51mm(2インチ)×厚さ1.6mm(0.0625インチ)の302または304型SSストラップとを、溶媒洗浄し(メチルエチルケトンで1回洗浄した後、50:50のイソプロピルアルコール:水で1回洗浄、およびアセトンで3回洗浄)、乾燥させた。このストラップは一端の中央に孔を有した。
【0089】
試験する物品からサンプルを切り取り、孔を有する端部とは反対側のSSストラップの端部上に配置した。このサンプルはストラップの長さ方向25mm(1インチ)と重なるように配置した。13mm(0.5インチ)×25mm(1インチ)の適用領域が得られるように、サンプルの側端およびストラップ端部を切り取った。サンプルとストラップとの間の接合を良好にするため、中程度の親指の圧力でサンプルをこすりつけ、続いてライナーを除去した。
【0090】
次に、サンプルを取り付けたストラップを、SSパネルに適用して、サンプルがストラップとパネルとの間に挟まれ、孔を有する端部がパネルを越えて延在し、ストラップの長さ方向に沿った端部が、パネル端部の長さ方向に沿った端部と平行になるようにした。ストラップの幅方向に沿った孔を有さない端部と、パネル幅方向の最も近い端部との間の距離は31.8mm(1.25インチ)であった。
【0091】
上記のように作製した試験片を水平面上に置き、サンプルによるパネルおよびストラップの濡れを最大限にするため、1000gの重りを接合領域上にのせて接合領域に圧力を加えた。この条件下で、試験片を室温(約22℃)で約15分間静置した。次に、重りを除去し、サンプルを室温でさらに24時間静置した。
【0092】
次に、試験片を静的剪断スタンド(Static Shear stand)(モデルDL433L(Model DL 433L)、ミネソタ州マトメディのクレックス・リサーチ・システムズ(Crex Research Systems,Mahtomedi,Minnesota)より入手可能)内に取り付けた。次に、この固定具および試験片を70℃(158°F)に設定した強制空気オーブンに10分間入れた後、ストラップの孔に500gの重りを取り付けた。試験片が剥落するまで、または約10,000分経過するまで、70℃で試験を行った。剥落時間および剥落形態を記録した。
【0093】
材料

【0094】
酸化第二鉄粒子
1000ミリリットル(mL)の1.875M重炭酸アンモニウム溶液を、2000mLの0.375M硝酸鉄九水和物溶液に撹拌しながら滴下した。酸性硝酸鉄溶液が重炭酸イオンを加水分解するにつれて気体が発生した。添加中にこの溶液は、黄色がかったオレンジ色から非常に濃い赤紫色に変化した。添加終了後、加水分解した硝酸第二鉄の撹拌溶液に浸漬した透析管(長さ約1m、1000MWCOスペクトラ/Por(1000 MWCO Spectra/Por)(スペクトラム・ラボラトリーズ・インコーポレイテッド(Spectrum Laboratories、Inc.)、ジョージア州サバナ(Savannah,Georgia))に脱イオン水をゆっくりと通すことによって、脱イオン水に対して上記溶液を透析した。約5倍の体積の脱イオン水で透析した後、残りの統制機の間、加水分解した酸化鉄ナノ粒子の溶液を約65℃まで加熱した。さらに7倍の体積の脱イオン水を使用して透析を続けた。この時点でのpHは約2.5〜3.0であった。
【0095】
シリカナノ粒子の表面改質
シリカ−1
トリアルコキシシランカップリング剤を使用して粒子表面を疎水性に改質した表面改質シリカナノ粒子を以下のように調製した:
【0096】
機械的撹拌装置および還流冷却器を取り付けた500mLの丸底三口フラスコ中に75グラム(g)のナルコ(NALCO)2326をはかり取った。これとは別に、4.61gのイソオクチルトリメトキシシランと50gの1−メトキシ−2−プロパノールとの溶液をビーカー中で調製した。
【0097】
上記のイソオクチルトリメトキシシラン/メトキシプロパノール溶液を、ナルコ(NALCO)2326を含有するフラスコに開放口から加えながら、同時にナルコ(NALCO)2326ゾルを撹拌した。次にビーカーを追加の34.4gの1−メトキシ−2−プロパノールで洗浄し、この洗液を撹拌混合物に加えた。添加終了後、フラスコの開放口をふさぎ、フラスコを油浴中に入れた。次に油浴を80℃まで加熱し、反応を約20時間進行させた。得られたゾルを、150℃の流動オーブン(flow−through oven)中で乾燥させた。13.14gの粉末状白色固体を回収した。
【0098】
シリカ−2
143.86gのトリス(2−メトキシエトキシ)ビニルシランおよび76.14gのペンタメチルジシロキサンを、145gのヘプタン中で混合した。1滴の触媒(白金(0)ジビニルテトラメチルジシロキサン(米国特許第3,814,730号明細書の実施例1のように調製した)を0.3gのヘプタンに加え、0.1gのこの溶液を上記反応混合物に加え、続いて加熱せずに終夜撹拌した。1H NMRにより測定されるSi−Hが消えるまで反応を続けた。減圧下でヘプタンを蒸発除去して、シランカップリング剤Aを得た。
【0099】
機械的撹拌装置および還流冷却器を取り付けた500mLの丸底三口フラスコ中に75グラム(g)のナルコ(NALCO)2326をはかり取った。これとは別に、3.26gのイソオクチルトリメトキシシラン、5.98gのシランカップリング剤A、および100gの1−メトキシ−2−プロパノールの溶液をビーカーで調製した。このシラン/メトキシプロパノール溶液を、上記フラスコに開放口から加えながら、同時にナルコ(NALCO)2326ゾルを撹拌した。次にビーカーを追加の45.5gの1−メトキシ−2−プロパノールで洗浄し、この洗液を撹拌混合物に加えた。添加終了後、フラスコの開放口をふさぎ、フラスコを油浴中に入れた。次に油浴を80℃まで加熱し、反応を約20時間進行させた。次に、得られたゾルを、150℃の流動オーブン(flow−through oven)中で乾燥させた。14.24gの粉末状白色固体を回収した。
【0100】
プライマーの概要

【0101】
接着剤
接着剤I(A−I)
98部の数平均分子量約32,300のポリジメチルシロキサンジアミン(米国特許第5、461,134号明細書の実施例2に記載されるように調製した)、0.35部の2−メチル−1,5−ペンタンジアミン(デラウェア州ウィルミントン(Wilmington,Delaware)にあるE.I.デュポン・ドゥ・ヌムール(E.I.duPont de Nemours)より商品名ダイテックA(DYTEK A)で入手可能)、209.7部のトルエン、および89.9部の2−プロパノールを、機械的撹拌装置、マントルヒーター、温度計、還流冷却器、および窒素雰囲気を取り付けた反応容器に投入することによってシリコーンポリ尿素ポリマー溶液調製した。反応容器を封止し、110℃で30分加熱した後、80℃まで冷却し、容器温度が50℃に到達するまで窒素ガス流を反応容器ヘッドスペースに流すことで脱気し、この後、反応器を再び封止した。
【0102】
反応容器を50℃に維持しながら、1.48部のメチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)(ペンシルバニア州ピッツバーグ(Pittsburgh,Pennsylvania)にあるバイエル(Bayer)より商品名デスモジュールW(DESMODUR W)で入手可能)を反応容器に投入し、2時間反応させた。0.039部のメチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)を投入して反応を停止させ、固形分25重量%のシリコーンポリ尿素ポリマー溶液を得た。
【0103】
上記で調製した61部のシリコーンポリ尿素ポリマーと、39.1部のMQ樹脂F溶液(米国特許第6,730,397号明細書に記載されている)と、1.5部の鉱油(ペンシルバニア州ペトロリア(Petrolia,Pennsylvania)にあるCKウィトコ(CK Witco Corp.)より商品名ブリトール(BRITOL)20で入手可能)とを、80部のトルエンおよび20部の2−プロパノール(IPA)の混合部中に25%固形分に希釈して混合することによって、感圧接着剤(PSA)組成物を調製した。この溶液を室温(約22℃)で十分に混合して接着剤溶液を得た。この接着剤溶液をナイフコーティングし、70℃の強制空気オーブンで3分間乾燥させた。こうして完成した接着剤転写テープは厚さ51μm(2ミル)であり、これを接着剤「A−I」と名付けた。
【0104】
接着剤II(A−II)
接着剤IIは、3Mカンパニー(3M Company)より商品名9671LEで入手可能な0.051mm(厚さ2ミル)のアクリル接着剤転写テープである。
【0105】
フォーム
フォームI(F−I)
60部のIOA、40部のIBOA、および0.24%のイルガキュア(IRGACURE)651(ニューヨーク州タリータウン(Tarrytown,New York)にあるチバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)より入手可能)をガラス瓶に入れた。このビンを約1時間振盪してイルガキュア(IRGACURE)651を溶解させた。
【0106】
溶液をパージするために30分間溶液に窒素ガスを激しくバブリングした。窒素流を減少させてバブリングを遅らせ、UV光源(シルバニア350ブラックライト(Sylvania 350 Blacklight)、F15T8/350BL、15ワット電球)を点灯した。溶液の粘度が180〜2600cpの間になるまで、数秒間電球から約10〜20cm(4〜8インチ)で瓶をゆっくりと回した。
【0107】
窒素供給を停止し、瓶のふたを外した。溶液の上に空間に空気が入るように10〜15秒間瓶を開放した。瓶にふたを戻して、10〜15秒間瓶を激しく振盪し、溶液を再酸素化させた。次にこの溶液を30分間冷却した。
【0108】
上記溶液を冷却した後、0.13%のHDDAを加え、瓶を30分間振盪した。合計2重量%のエアロジル(AEROSIL)972(ニュージャージー州リッジフィールドパーク(Ridgefield Park,New Jersey)にあるデグサ・コーポレーション(Degussa Corporation)より入手可能)を、各添加後に混合しながら3回に分けて溶液に加えた。合計8重量%のガラスバブル(3Mカンパニー(3M Company)商品名スコッチライトK15(SCOTCHLITE K15)で入手可能)を、各添加後に混合しながら3回に分けて加えた。エアロジル(AEROSIL)972およびガラスバブルを完全に溶液中に混合させるため、溶液を終夜混合した。
【0109】
この溶液に、1.3重量%のF−50D微小球を加えた。この溶液を空気混合機で混合して、脱気した。
【0110】
この溶液を、0.038mm(1.5ミル)UV透過性PETライナー上にナイフコーティングし、続いて別の0.038mm(1.5ミル)UV透過性PETライナーを重ねた。このナイフコーティングの間隙は0.86ミリメートル(34ミル)であった。片面当たり平均強度3.72mW/cm、片面当たりの全平均エネルギー625mJ/cmでUV光をこの両面ライナー系の両面に同時に曝露して硬化させた。このUV光は、300〜400nmの間に90%の発光スペクトルを有し、351nmで最大ピーク強度となった。
【0111】
フォームII(F−II)
イリノイ州エルクグローブビレッジ(Elk Grove Village,Illinois)にあるロジャーズ・コーポレーション(Rogers Corporation)より商品名T−セル(T−CELL)で入手可能な、厚さが0.787mm(0.031インチ)で、密度が0.1g/cm(6ポンド/立方フィート(pcf))である白色ポリエチレンフォーム。
【0112】
フォームIII(F−III)
ロジャーズ・コーポレーション(Rogers Corporation)より商品名T−セル(T−CELL)で入手可能な、厚さが0.787mm(0.031インチ)で、密度が0.1g/cm(6pcf)である白色ポリエチレン/エチレン酢酸ビニルフォーム。
【0113】
フォームIV(F−IV)
ロジャーズ・コーポレーション(Rogers Corporation)より商品名T−セル(T−CELL)で入手可能な、厚さが0.787mm(0.031インチ)で、密度が0.1g/cm(6pcf)である黒色ポリエチレンフォーム。
【0114】
フォームV(F−V)
ロジャーズ・コーポレーション(Rogers Corporation)より商品名T−セル(T−CELL)で入手可能な、厚さが0.787mm(0.031インチ)で、密度が0.1g/cm(6pcf)である黒色ポリエチレン/エチレン酢酸ビニルフォーム。
【0115】
サンプル作製手順
実施例および比較例の作製に使用した基材、接着剤、およびプライマーを以下の表に示す。
【0116】
はけを使用してプライマー溶液を基材表面に適用した。キャリア溶媒を70℃の空気循環オーブン中で3分間蒸発させた。プライマーの未乾燥時コーティング重量は約21g/mであった。
【0117】
接着剤層をフォームの一方の面上に配置し、ゴムローラーを手で使用して接着剤層にロールがけし、得られた積層体を次に、1m/分の速度、110℃(230°F)の温度設定、および0.138MPa(20ポンド/平方インチ(psi))の圧力設定でラミネーター(ホット・ロール・ラミネーター・モデルHL−1000(Hot Roll Laminator Model HL−1000)、オハイオ州メンター(Mentor,Ohio)にあるケムサルタンツ・インターナショナル・インコーポレイテッド(Chemsultants International,Inc.)より入手可能)に通すことによって、接着剤と、プライマーと、フォームとの積層体を作製した。
【0118】
フォームF−Iのプライマー処理していない面上に接着剤A−Iを配置し、ゴムローラーを手で使用して接着剤層にロールがけし、得られた積層体を、1m/分の速度、110℃(230°F)の温度設定、および0.138MPa(20ポンド/平方インチ(psi))の圧力設定でモデルHL−1000ホット・ロール・ラミネーター(Model HL−1000 Hot Roll Laminator)に通すことによって、比較例C1を作製した。
【0119】
接着剤A−I、フォームF−I、および表1に記載のプライマーを使用し、サンプル作製手順に従って、実施例1および比較例C2〜C4を作製した。
【0120】
実施例1および比較例C1〜C4について、90度剥離接着試験、180度T型剥離試験、および70℃剪断試験を使用して試験を行った。結果を表1に報告する。90度剥離接着試験の場合、比較例C1および実施例1のバッキング材料はアルミニウム箔であり、比較例C2〜C4のバッキング材料はポリエステルフィルムであった。
【0121】
表1

【0122】
比較例C1と同じ方法で比較例C5を作製した。
【0123】
接着剤A−I、フォームF−I、および表2に記載のプライマーを使用し、サンプル作製手順に従って、実施例2〜9を作製した。
【0124】
比較例C5および実施例2〜9について、90度剥離接着試験(バッキングとしてポリエステルを使用)、180度T型剥離試験、および70℃剪断試験を使用して試験を行った。結果を表2に報告する。
【0125】
表2

【0126】
フォームF−IIを使用したことを除けば比較例C1と同じ方法で比較例C6を作製した。
【0127】
フォームF−IIIを使用したことを除けば比較例C1と同じ方法で比較例C7を作製した。
【0128】
接着剤A−I、プライマーP−I、および表3に記載のフォームを使用し、サンプル作製手順に従って、実施例10および11を作製した。
【0129】
比較例C6およびC7、ならびに実施例10および11について、90度剥離接着試験(バッキングとしてポリエステルを使用)、180度T型剥離試験、および70℃剪断試験を使用して試験を行った。結果を表3に報告する。
【0130】
表3

【0131】
接着剤A−I、ならびに表4に記載のプライマーおよびフォームを使用し、サンプル作製手順に従って、実施例12〜15を作製した。
【0132】
実施例12〜15について、90度剥離接着試験(バッキングとしてポリエステルを使用)、および180度T型剥離試験を使用して試験を行った。実施例14および15については、70℃剪断試験を使用した試験も行った。結果を表4に報告する。
【0133】
表4

サンプルの試験を行わなかった。
【0134】
接着剤A−IIを使用したことを除けば比較例C1と同じ方法で比較例C8およびC9を作製した。
【0135】
接着剤A−II、フォームF−I、および表5に記載のプライマーを使用し、サンプル作製手順に従って、実施例16〜21を作製した。
【0136】
比較例C8およびC9、ならびに実施例16〜21について、90度剥離接着試験(バッキングとしてポリエステルを使用)、180度T型剥離試験、および70℃剪断試験を使用して試験を行った。結果を表5に報告する。
【0137】
表5

【0138】
接着剤A−I、フォームF−I、および表6に記載のプライマーを使用し、サンプル作製手順に従って、実施例22〜25を作製した。
【0139】
実施例22〜25について、90度剥離接着試験(バッキングとしてアルミニウム箔を使用)、180度T型剥離試験、および70℃剪断試験を使用して試験を行った。結果を表6に報告する。
【0140】
表6

【0141】
本発明の範囲および意図を逸脱しない本発明の種々の修正および変更は当業者によって明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0142】
【図1】本発明の一実施態様による接着物品の断面の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)第1の主面を含む第1の基材と、
(b)5重量%以下のアクリル酸繰り返し単位を含む第1の接着剤と、
(c)前記基材の前記第1の主面の少なくとも一部と、前記接着剤の少なくとも一部との間にあり、ナノ粒子から実質的になる第1のプライマーと、を含む接着物品。
【請求項2】
前記第1の基材が処理されていない、請求項1に記載の接着物品。
【請求項3】
前記第1の基材がポリマーフィルムを含む、請求項1に記載の接着物品。
【請求項4】
前記第1の基材がフォームを含む、請求項1に記載の接着物品。
【請求項5】
前記フォームが、アクリル、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル、およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるポリマーを含む、請求項4に記載の接着物品。
【請求項6】
前記第1の接着剤が、シリコーンポリ尿素およびアクリレートの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の接着物品。
【請求項7】
前記ナノ粒子が20nm以下の最大断面寸法を有する、請求項1に記載の接着物品。
【請求項8】
前記ナノ粒子が、シリカ、セリア、酸化鉄、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の接着物品。
【請求項9】
前記ナノ粒子が表面改質されている、請求項1に記載の接着物品。
【請求項10】
前記第1の基材の第2の主面の少なくとも一部と、第2の接着剤の少なくとも一部との間にある第2のプライマーをさらに含む、請求項1に記載の接着物品。
【請求項11】
第2の基材の第1の主面の少なくとも一部と、前記第1の接着剤の少なくとも一部との間にある第2のプライマーをさらに含む、請求項1に記載の接着物品。
【請求項12】
(a)フォーム基材と、
(b)第1の接着剤と、
(c)前記フォーム基材と、前記第1の接着剤との間にあり、ナノ粒子から実質的になる第1のプライマーと、を含む接着物品。
【請求項13】
前記フォーム基材が、アクリル、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル、およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるポリマーを含む、請求項12に記載の接着物品。
【請求項14】
前記第1の接着剤が、シリコーンポリ尿素およびアクリレートの少なくとも1つを含む、請求項12に記載の接着物品。
【請求項15】
前記ナノ粒子が20nm以下の最大断面寸法を有する、請求項12に記載の接着物品。
【請求項16】
前記ナノ粒子が、シリカ、セリア、酸化鉄、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項12に記載の接着物品。
【請求項17】
前記ナノ粒子が表面改質されている、請求項12に記載の接着物品。
【請求項18】
前記フォーム基材の第2の主面の少なくとも一部と、第2の接着剤の少なくとも一部との間にある第2のプライマーをさらに含む、請求項12に記載の接着物品。
【請求項19】
基材の第1の主面の少なくとも一部と、前記第1の接着剤の少なくとも一部との間にある第2のプライマーをさらに含む、請求項12に記載の接着物品。
【請求項20】
接着剤層をフォーム基材に接合する方法であって、
(a)前記フォーム基材の第1の主面と、前記接着剤層の第1の主面との間に、ナノ粒子から実質的になるプライマーを配置するステップと、
(b)前記フォーム基材の前記第1の主面の少なくとも一部を前記プライマーに接着するステップと、
(c)前記接着剤層の前記第1の主面の少なくとも一部を前記プライマーに接着するステップと、を含む方法。
【請求項21】
前記フォーム基材が、アクリル、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル、およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるポリマーを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記接着剤が5重量%以下のアクリル酸繰り返し単位を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記接着剤が、シリコーンポリ尿素およびアクリレートの少なくとも1つを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記ナノ粒子が20nm以下の最大断面寸法を有する、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記ナノ粒子が、シリカ、セリア、酸化鉄、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
前記ナノ粒子が表面改質されている、請求項20に記載の方法。
【請求項27】
(b)が、前記ナノ粒子を含むプライマー溶液を提供するステップと、前記プライマー溶液を前記フォーム基材の前記第1の主面の少なくとも一部に適用するステップとを含み、(c)が、前記フォーム基材の前記第1の主面のプライマーが適用された部分の少なくとも一部を、前記接着剤層の前記第1の主面の少なくとも一部と接触させるステップを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項28】
(c)が、前記ナノ粒子を含むプライマー溶液を提供するステップと、前記プライマー溶液を前記接着剤層の前記第1の主面の少なくとも一部に適用するステップとを含み、(b)が、前記接着剤層の前記第1の主面のプライマーが適用された部分の少なくとも一部を、前記フォーム基材の前記第1の主面の少なくとも一部と接触させるステップを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項29】
接着剤層を基材に接合する方法であって、
(a)前記基材の第1の主面と、前記接着剤層の第1の主面との間に、ナノ粒子から実質的になるプライマーを配置するステップであって、前記接着剤層が5重量%以下のアクリル酸繰り返し単位を含むステップと、
(b)前記基材の前記第1の主面の少なくとも一部を前記プライマーに接着するステップと、
(c)前記接着剤層の前記第1の主面の少なくとも一部を前記プライマーに接着するステップとを含む方法。
【請求項30】
前記基材がポリマーフィルムである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記基材が、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、ポリスチレン、アクリル、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリウレタン、ウレタンアクリレートポリマー、エポキシアクリレートポリマー、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリスルホン、酢酪酸セルロース、ポリ塩化ビニル、およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるポリマーを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項32】
前記接着剤が、シリコーンポリ尿素およびアクリレートの少なくとも1つを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記ナノ粒子が20nm以下の最大断面寸法を有する、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
前記ナノ粒子が、シリカ、セリア、酸化鉄、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項35】
前記ナノ粒子が表面改質されている、請求項29に記載の方法。
【請求項36】
(b)が、前記ナノ粒子を含むプライマー溶液を提供するステップと、前記プライマー溶液を前記基材の前記第1の主面の少なくとも一部に適用するステップとを含み、(c)が、前記基材の前記第1の主面のプライマーが適用された部分の少なくとも一部を、前記接着剤層の前記第1の主面の少なくとも一部と接触させるステップを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項37】
(d)が、前記ナノ粒子を含むプライマー溶液を提供するステップと、前記プライマー溶液を前記接着剤層の前記第1の主面の少なくとも一部に適用するステップとを含み、(c)が、前記接着剤層の前記第1の主面のプライマーが適用された部分の少なくとも一部を、前記基材の前記第1の主面の少なくとも一部と接触させるステップを含む、請求項29に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2007−505773(P2007−505773A)
【公表日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−527983(P2006−527983)
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【国際出願番号】PCT/US2004/024968
【国際公開番号】WO2005/035680
【国際公開日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】