説明

ナビゲーションシステム、プログラム、記録媒体及びナビゲーション方法

【課題】ユーザー個人の病気に気象変動が与える影響を考慮して、ユーザーに移動経路を提供すること。
【解決手段】本ナビゲーションシステム1は、ユーザーが移動するエリアに分散して配置された複数の気象計測装置2が計測した気象データを取得する気象データ取得部20と、ユーザーの健康情報を含む個人データを取得する個人データ取得部32と、目的地及び出発地にかんする位置情報を生成する位置情報生成部33と、地図情報に基づき、前記出発地から前記目的地までの経路を探索して推奨移動経路に関する情報を提供する推奨移動経路情報提供部34と、推奨移動経路に従って経路案内を行う経路案内処理部39と、を含み、前記推奨移動経路情報提供部34は、前記気象データ及び前記個人データに基づいて、前記出発地から前記目的地までの複数の経路を評価し、評価結果に基づき、推奨移動経路の候補選出または推奨移動経路の候補の順位付けを行うナビゲーションシステムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーションシステム、プログラム、記録媒体及びナビゲーション方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、「インターネットを介して気象情報をユーザーに提供する気象情報の提供方法であって、WWWサーバーもしくはクライアント端末は、ユーザー固有のソフトウェアプロセスを備え、上記ユーザー固有のソフトウェアプロセスは、ユーザーの要求に応じて、ユーザー属性に基づいて気象情報を収集・監視・加工しユーザーに提供することを特徴とする気象情報の提供方法」が提案されている。
【0003】
特許文献2では「利用者個人についての医学気象予報情報を配信する医学気象予報配信システムであって、入力される気象情報及び入力される医学情報並びに前記利用者についての健康状態等の身体的特徴を示す個人データに基づいた、個人ごとの医学気象予報情報を配信することを特徴とする医学気象予報配信システム」について提案されている。
【0004】
特許文献3では、「目的地までの経路の情報を表示する経路誘導装置であって、外部から情報の入力を受ける入力手段を備え、前記情報は、前記経路誘導装置の位置を表わす位置情報と、前記経路誘導装置の目的地を表わす目的地情報と、前記経路誘導装置の使用者の状態を表わすための健康情報とを含み、複数の経路が含まれる地図情報と、予め準備された複数の健康情報と、複数の健康度と、複数の環境変化影響度とを格納する記憶手段を備え、各前記健康情報は、前記経路誘導装置の使用者の状態を表わすための情報であり、各前記健康度は、各前記健康情報に基づいて予め定められた定量化基準に従って作成されたデータであり、各前記環境変化影響度は、各前記経路の2地点間における環境の変化が身体に及ぼす影響の度合いを表わすために予め定められた定量化基準に従って作成されたデータであり、各前記健康度は、各前記健康情報に関連付けられており、前記位置情報と前記目的地情報とに基づいて、前記位置から前記目的地までの経路を前記地図情報から検索する第1の経路検索手段と、前記位置情報と前記目的地情報とに基づいて、前記第1の経路検索手段により検索された経路における環境の変化を算出する算出手段と、前記記憶手段に格納されている環境変化影響度から、前記算出手段により算出された環境の変化に対応する環境変化影響度を検索する影響度検索手段と、前記記憶手段に格納されている健康度から、前記入力手段を介して入力された健康情報に関連付けられる健康度を検索する健康度検索手段と、検索された前記環境変化影響度と前記健康度とに基づいて、予め定められた閾値を下回る環境変化影響度が関連付けられる経路を検索する第2の経路検索手段と、前記第2の経路検索手段により検索された経路を出力する出力手段と、を備える、経路誘導装置」が提案されている。
【0005】
特許文献4は、「ユーザーによる操作に基づいて、前記ユーザーの状態を検出する状態検出手段と、前記ユーザーの目的地を取得する情報取得手段と、前記状態検出手段による検出結果に応じて、順位付けして前記目的地までの移動経路を検出する移動経路検出手段と、前記移動経路を前記ユーザーに通知する通知手段とを備えることを特徴とするナビゲーション装置」が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−251484号公報
【特許文献2】特開2002−311158号公報
【特許文献3】特開2007−051872号公報
【特許文献4】特開2003−075175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
片頭痛、乾燥肌、うつ病、リュウマチ、脳梗塞、脳出血、心筋梗塞などの健康および精神的な病気の原因は様々な要因が重なり合って発生するものであり、それら病気の原因の一つとして気象条件が挙げられている。
【0008】
しかしながら、特許文献1乃至4に記載された発明は、ユーザー個人の病気に気象変動が与える影響を考慮して、ユーザーに対して快適な移動経路を提供することはできないとい問題があった。
【0009】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明のいくつかの態様によれば、ユーザー個人の病気に気象変動が与える影響を考慮して、ユーザーに移動経路を提供することができるナビゲーションシステム、プログラム、情報記憶媒体及びナビゲーション方法を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本発明は、ナビゲーションシステムであって、ユーザーが移動するエリアに分散して配置された複数の気象計測装置が計測した気象データを取得する気象データ取得部と、ユーザーの健康情報を含む個人データを取得する個人データ取得部と、目的地及び出発地にかんする位置情報を生成する位置情報生成部と、地図情報に基づき、前記出発地から前記目的地までの経路を探索して推奨移動経路に関する情報を提供する推奨移動経路情報提供部と、推奨移動経路に従って経路案内を行う経路案内処理部と、を含み、前記推奨移動経路情報提供部は、前記気象データ及び前記個人データに基づいて、前記出発地から前記目的地までの複数の経路を評価し、評価結果に基づき、推奨移動経路の候補選出または推奨移動経路の候補の順位付けを行うナビゲーションシステムに関する。
【0011】
ナビゲーションシステムは、ユーザーが形態可能な電子機器として構成されてもよいし、車載のカーナビゲーション装置として実現されていてもよい。またナビゲーションシステムは、ユーザーが携帯する通信機器や車載の通信機器から位置情報等をネットワークを介して取得して受信し、処理結果をユーザーが携帯する通信機器や車載の通信機器にネットワークを介して送信するサーバー装置として実現されてもよい。
【0012】
気象データは、例えば複数の観測点の地点の気温、湿度、気圧等に関するデータでもよい。ユーザーの健康情報とは既往症、病気、病的な体質、気になる症状等でもよい。目的地に関する情報はユーザーからの入力情報により生成してもよい。また出発地に関する情報は、ユーザーの現在位置に関するGPS情報により生成してもよいし、ユーザーからの入力情報により生成してもよい。地図情報は、自機の記憶部に記憶されている構成でもよいし、サーバー等から受信する構成でもよい。
【0013】
推奨移動経路情報提供部は、ユーザーの個人データが示すユーザーの病気にたいして、気象データが及ぼす影響を評価して、推奨移動経路の候補選出または推奨移動経路の候補の順位付けを行ってもよい。
【0014】
本発明によれば、ユーザー個人の病気に気象変動が与える影響を考慮して、ユーザーに対して快適な移動経路を提供することができるナビゲーションシステム、プログラム、情報記憶媒体及びナビゲーション方法を提供することができる。
【0015】
(2)このナビゲーションシステムにおいて、ユーザーが移動するエリアに分散して配置された複数の気象計測装置を含んでもよい。複数の観測ポイントに分散配置された複数の気象計測装置は、各観測ポイントの気圧、温度及び湿度等の気象データを計測してもよい。またさらに各観測ポイントの空気質を計測してもよい。
【0016】
前記気象計測装置は、少なくとも気圧を計測する気圧センサーを含み、前記気圧センサーは、気圧に応じて共振周波数を変化させる感圧素子を有し、当該感圧素子の振動周波数に応じた気圧データを出力してもよい。
【0017】
一般に気象観測に用いられる気圧計の分解能はhPaオーダーであるのに対して、周波数変化型の気圧センサーは、感圧素子の振動周波数を高い周波数のクロック信号で計測することで比較的容易にPaオーダーの測定分解能を得ることができる。また、周波数変化型の気圧センサーは、気圧がゆっくり変化しているのか、あるいは急激に変化しているのか、気圧の変動量(気圧の変化具合)を高精度に検出することができる。本発明によれば、高分解能な周波数変化型の気圧センサーを用いることで短時間におけるわずかな気圧の変化を捉えて、局所的に発生して短時間に消滅する気象変動を予測するための情報を提供することができる。この情報を解析することで、気象変動を精度よく予測することができる。
【0018】
また前記感圧素子は、双音叉圧電振動子でもよい。双音叉圧電振動子を用いることで、より高い分解能の気圧センサーを実現することができる。
【0019】
(3)このナビゲーションシステムにおいて、前記気象データに基づきユーザーの現在位置の気象変動を予測し、予測結果とユーザーの個人データに基づいて、ユーザーが現在位置にいる場合の負荷予測を行う第1の負荷予測処理部を含んでもよい。
【0020】
ユーザーの現在位置は、ユーザーの携帯する電子機器又はカーナビゲーション装置に搭載されたGPS(Global Positioning System)機能により取得してもよい。
【0021】
前記負荷予測に基づき、負荷が所定の基準を超えると判断した場合には、警告メッセージを生成して出力してもよい。
【0022】
例えば、現在位置の気象変動として、今後気温が上昇して湿度が高くなることが予想される場合や低気圧が通過する可能性がある場合には、偏頭痛持ちのユーザーは現在位置にいると偏頭痛の症状が発生する可能性がある。従ってこのような場合には「現在位置に長くいると偏頭痛の症状がでる可能性があります」等のアドバイスを出力してもよい。
【0023】
(4)このナビゲーションシステムにおいて、前記個人データ取得部は、前記個人データとして、ユーザーの年齢、性別、身長、体重の少なくとも1つを含む身体情報を取得し、前記推奨移動経路情報提供部は、ユーザーの前記身体情報に基づいて、前記推奨移動経路の候補選出または前記推奨移動経路の候補の順位付けを補正してもよい。
【0024】
ユーザーの年齢や体型や性別によって気象が病気持ちのユーザーに与える影響が異なる場合がある。しかす本形態によれば、ユーザーの年齢や体型や性別に応じて気象の病気に与える影響度を補正することができるので、より適切な前記推奨移動経路の候補選出または前記推奨移動経路の候補の順位付けを行うことができる。
【0025】
(5)このナビゲーションシステムにおいて、所与の日時に前記推奨移動経路を移動したユーザーから、当該推奨移動経路に関する感想データ(移動の快適度にかんするデータ)を取得して、所与の時刻の当該推奨移動経路に関連した気象データに関連づけて記憶させる感想データ取得部をさらに含み、前記推奨移動経路情報提供部は、前記感想データに基づいて、推奨移動経路の候補選出または推奨移動経路の候補の順位付けを補正してもよい。
【0026】
推奨移動経路に関する感想データとは、経路移動時に感じた快、不快の適度にかんするデータでもよく、操作部からの入力情報として取得してもよい。
【0027】
ユーザーの病気の種類と気象条件に基づき推奨移動経路の候補を選択するアルゴリズムは、同じ病気で同じ気象条件であれば同じ経路を選択する。しかし同じ病気で同じ気象条件でも人間が感じる快、不快は人により異なる場合や強弱がある場合がある。ここではユーザー個人の過去の移動経験に基づく感想データを用いて推奨移動経路の候補選出または推奨移動経路の候補の順位付けを補正する。従ってユーザー個人の感覚を反映させて移動経路の候補を選択する学習機能を持たせることができ、より個人的な体質や嗜好を反映させた推奨移動経路の候補選出または前記推奨移動経路の候補の順位付けを行うことができる。
【0028】
(6)このナビゲーションシステムにおいて、ユーザーの心拍数データを取得する心拍数データ取得部をさらに含み、前記推奨移動経路情報提供部は、前記心拍数データに基づいて、推奨移動経路の変更または推奨移動経路の候補の順位付けの変更を行ってもよい。
【0029】
このようにすると、ユーザーの疲れ具合に応じて、気象の病気に対する影響の度合いを変化させて推奨移動経路の候補選出または前記推奨移動経路の候補の順位付けを行うことができる。
【0030】
(7)このナビゲーションシステムにおいて、ユーザーの心拍数データを取得する心拍数データ取得部をさらに含み、前記心拍数データと、前記個人データと、前記推奨移動経路に基づいて予測される予想移動経路における気象データに基づき、当該ユーザーが予想移動経路を移動した場合の負荷予測を行う第2の負荷予測処理部を含んでもよい。
【0031】
負荷予測処理部は、疲労予測に基づいてユーザーに対する所定のアドバイスを作成して出力するようにしてもよい。
【0032】
所定のアドバイスとして、例えば現在ユーザーの心拍数が高く、この先の移動経路もユーザーに対する負荷が高くなるような場合には「そろそろ休憩してください」等のアドバイスを出力してもよい。
【0033】
また、例えば乾燥肌のユーザーの場合、この先の移動経路が温度が低く湿度が低い場合には、「そろそろお肌に水分補給してください」等のアドバイスを出力してもよい。
【0034】
(8)このナビゲーションシステムにおいて、前記個人データ取得部は、前記個人データとして、ユーザーの病気の種類と程度に関する情報を取得してもよい。
【0035】
この様にすると病気の種類と程度に応じて気象条件の影響を評価することができるので、病気の種類のみに応じて気象条件の影響を評価する場合にくらべ、より正確に評価することができる。
【0036】
(9)このナビゲーションシステムにおいて、前記個人データ取得部は、前記個人データとして、ユーザーの性別、年齢、身長、体重の少なくとも1つに関する情報を取得してもよい。
【0037】
前記推奨移動経路情報提供部は、ユーザーの性別、年齢、身長、体重の少なくとも1つに関する情報に基づいて、気象がユーザーに与える影響を補正して、推奨移動経路の候補選出または推奨移動経路の候補の順位付けを行ってもよい。
【0038】
(10)本発明は、ナビゲーションを行うためのプログラムであって、ユーザーが移動するエリアに分散して配置された複数の気象計測装置が計測した気象データを取得する気象データ取得部と、ユーザーの健康情報を含む個人データを取得する個人データ取得部と、目的地及び出発地にかんする位置情報を生成する位置情報生成部と、地図情報に基づき、前記出発地から前記目的地までの経路を探索して推奨移動経路に関する情報を提供する推奨移動経路情報提供部と、推奨移動経路に従って経路案内を行う経路案内処理部と、してコンピューターを機能させ、前記推奨移動経路情報提供部は、前記気象データ及び前記個人データに基づいて、前記出発地から前記目的地までの複数の経路を評価し、評価結果に基づき、推奨移動経路の候補選出または推奨移動経路の候補の順位付けを行うプログラムに関する。
【0039】
(11)本発明は、上記に記載のプログラムを記録した、コンピューター読み取り可能な記録媒体に関する。
【0040】
(12)本発明は、ナビゲーション方法であって、ユーザーが移動するエリアに分散して配置された複数の気象計測装置が計測した気象データを取得する気象データステップと、ユーザーの健康情報を含む個人データを取得する個人データ取得ステップと、目的地及び出発地にかんする位置情報を生成する位置情報生成ステップと、地図情報に基づき、前記出発地から前記目的地までの経路を探索して推奨移動経路に関する情報を提供する推奨移動経路情報提供ステップと、推奨移動経路に従って経路案内を行う経路案内処理ステップと、を含み、前記推奨移動経路情報提供ステップにおいて、前記気象データ及び前記個人データに基づいて、前記出発地から前記目的地までの複数の経路を評価し、評価結果に基づき、推奨移動経路の候補選出または推奨移動経路の候補の順位付けを行うナビゲーション方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】第1実施形態のナビゲーションシステムの概要についての説明図。
【図2】ナビゲーション装置の外観の一例を示す図。
【図3】第1実施形態のナビゲーションシステムの構成例を示す図。
【図4】ナビゲーション装置の処理部による全体処理のフローチャートの一例を示す図。
【図5】ナビゲーション装置の処理部による初期設定処理のフローチャートの一例を示す図。
【図6】初期設定の入力画面の一例を示す図。
【図7】初期設定の他の入力画面の一例を示す図。
【図8】ナビゲーション装置の処理部による推奨移動経路情報提供処理のフローチャートの一例を示す図。
【図9】推奨移動経路候補の選出についての説明図。
【図10】経路選択画面の一例を示す図。
【図11】ナビゲーション装置の処理部による第1の負荷予測処理のフローチャートの一例を示す図。
【図12】ナビゲーション装置の処理部による第2の負荷予測処理のフローチャートの一例を示す図。
【図13】感想データ入力画面の一例を示す図。
【図14】第2実施形態のナビゲーションシステムの構成例を示す図。
【図15】ナビゲーション表示装置の構成例を示す図。
【図16】ナビゲーション装置の構成例を示す図。
【図17】記憶部に記憶されているユーザー情報の一例を示す図。
【図18】病気の種類と注意すべき気象条件を示した図。
【図19】移動履歴データの一例を示す図。
【図20】変形例2における気象計測装置の構成例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0043】
1.第1実施形態
1−1.ナビゲーションシステムの概要
片頭痛、乾燥肌、うつ病、リュウマチ、脳梗塞、脳出血、心筋梗塞などの健康および精神的な病気の原因は様々な要因が重なり合って発生するものであり、それら病気の原因の一つとして気象条件が挙げられている。
【0044】
気象要素には、気温、気圧、湿度、降水量、前日との気圧差、気温差、湿度差、雲量差、海面平均気圧、蒸気圧、相対湿度、雲量、蒸気圧、全天日射量、風速などがある。
【0045】
本実施の形態では、歩行型(PND)、車載型、または、スマートフォン等に機能化された、ナビゲーションシステムのマップとナビゲーション機能に、リアルタイムに計測された気象データを反映させて、気象環境が病気の原因の一つと考えられる事象に対して、病気の低減の可能性がある移動経路を提供するものである。
【0046】
図1は、第1実施形態のナビゲーションシステムの概要について説明するための図である。ここでは、ユーザーがナビゲーション装置(例えば形態電話やスマートフォンや携帯用ゲーム機等の携帯用電子機器に搭載されている場合でもよい)を携帯して歩行して目的地に向かう場合を例に取り説明するが、車載用ナビゲーション装置を有する車でユーザーが目的地に向かう場合も本発明の範囲内である。
【0047】
本実施の形態の本実施の形態の狭義のナビゲーションシステムは、ユーザーに推奨移動経路の提示や道案内を行うための情報を生成するナビゲーション装置である。なお第2の実施形態で説明するようにナビゲーション装置とナビゲーション表示装置が異なる機器で実現させる場合には、ナビゲーション表示装置を含まない場合を狭義のナビゲーションシステムとしてもよい。広義のナビゲーションシステムは、ナビゲーション装置と、気象データを計測する気象計測装置を含む。
【0048】
図1に示すように、第1実施形態のナビゲーションシステムでは、ユーザー7が移動するエリアに、複数の気象計測装置2(白抜きの丸で表示)が分散配置されている。ユーザー7は、ナビゲーション装置4に目的地を指定(入力)すると、ナビゲーション装置は目的地までの経路を探索する。ユーザーが健康に配慮した経路選択を行うことを指示すると、ナビゲーション装置は、病気の低減の可能性がある推奨移動経路を提供する。推奨移動経路は、道路でもよいし、交通機関(電車やバス等)による経路でもよい。ユーザーが推奨移動経路を選択すると、ナビゲーション装置は推奨移動経路に従った経路案内を開始する。
【0049】
図1では、気象計測装置2は、道路6に沿ってほぼ一定の間隔(例えば約100m間隔)で配置されているが、気象計測装置2は分散して配置されていればよく、その一部又は全部は、必ずしも経路(道路6)に沿って配置されていなくてもよい。
【0050】
気象計測装置2を、ユーザーの移動するエリアを含む直径数km〜数十kmの円に収まる程度の特定地域(市町村程度の大きさの地域)に配置し、当該特定地域において気圧の変化に起因して発生する気象変動(局所的な気象変動でもよい)を予測するための情報(以下、「気象予測情報」という)を提供する気象ネットワークを設け、気象ネットワークから取得した気象データを用いてもよい。
【0051】
なお広域的な気象情報が必要な場合には、アメダス(AMeDAS)等の既存のシステムから取得してもよい。アメダス(AMeDAS)とは「Automated Meteorological Data Acquisition System」の略で、「地域気象観測システム」のことを言う。雨、風、雪などの気象状況を時間的、地域的に細かく監視するために、降水量、風向・風速、気温、日照時間の観測を自動的に行い、気象災害の防止・軽減に重要な役割を果たしている。アメダスは1974年11月1日から運用を開始し、現在、降水量を観測する観測所は全国に約1300か所存在する。このうち、約850か所(約21km間隔)では降水量に加えて、風向・風速、気温、日照時間を観測しているほか、雪の多い地方の約290か所では積雪の深さも観測している。
【0052】
気象庁は、全国に網羅した気象観測地点の広範な気象情報或いは人工衛星から送られてくる雲の動き等による広範な地域の気象情報等から天気予報を出しているので、これを利用してもよい。
【0053】
しかしこのような気象庁の天気予報の場合には、観測メッシュが大きく、かつ、時間メッシュも大きく、天気予報から広域な地域の降雨予測は可能であるが、ある限られた地点ないし地域,例えば屋外設置のプラント設備をもつ工場などのごとく極小地域の降雨を予測することは非常に難しい。何となれば、その工場近くの地形等の不特定要因が多いと、天気予報とは全く異なる気象状況,例えば夕立等を降らす場合がしばしば発生するためである。従ってユーザーの移動するエリアのある地域に密着したきめの細かい気象情報を用いる場合には、本実施の形態の気象ネットワークから気象データを取得してもよい。
【0054】
本実施形態のナビゲーション装置4は、予めユーザーの病気に関するデータ(ユーザーの持病や既往症等の病気の種類と程度に関するデータを含む)を取得している。また複数の気象計測装置2の少なくとも一部から気象データを受信する。そして病気データと気象データに基づいて、推奨移動経路を演算して選出する。
【0055】
またナビゲーション装置4は、ユーザー7の心拍数を計測する心拍数計測機能を備えて、移動中のユーザーの心拍数を計測して、推奨移動経路の変更やメッセージの出力をおこなうようにしてもよい。
【0056】
図2(A)及び図2(B)は、ナビゲーション装置4の外観の一例を示す図である。ナビゲーション装置4は、図2(A)に示すように携帯型の情報通信機器(例えば携帯電話やスマートフォンやマルチメディアプレーヤーや形態型ゲーム機や電子ブック等)でもよい。また例えば、図2(B)に示すような車載型のカーナビゲーション装置でもよい。
【0057】
ユーザー7は、ナビゲーション装置4の操作部40を操作することで初期設定や画面の切り替えなどを行う。入力画面や推奨移動経路情報はナビゲーション装置4の表示部(表示画面)70に表示される。これにより、ユーザー7は、目的地までの移動経路の案内を受けることができる。
【0058】
1−2.ナビゲーションシステムの構成
図3は、第1実施形態のナビゲーションシステムの構成例を示す図である。本実施形態のナビゲーションシステムは、図3の構成要素(各部)の一部を省略したり、他の構成要素を付加した構成としてもよい。
【0059】
図3に示すように、第1実施形態のナビゲーションシステム1は、複数の気象計測装置2とナビゲーション装置4を含む。
【0060】
本実施形態では、複数の気象計測装置2の各々は、気圧センサー10、温度センサー11、湿度センサー12を備え、分散して配置される。ただし、気象計測装置2は、気圧センサー10、温度センサー11、湿度センサー12の一部を備えていなくてもよいし、逆に、他のセンサー(例えば、風速センサー等)を備えていてもよい。
【0061】
気象計測装置2は、秒オーダーの周期でリアルタイムに気象を計測し、気圧センサー10、温度センサー11、湿度センサー12により計測された気象データ(気圧データ、温度データ、湿度データ)は、送信部14により、例えば、気象計測装置2毎に割り当てられた周波数の電波で送信される。各気象計測装置2には互いに異なる送信周波数が割り当てられる。
【0062】
ナビゲーション装置4は、気象データ受信部20、処理部(CPU:Central Processing Unit)30、操作部40、記憶部50、記録媒体60、表示部70、通信部80、心拍数計測装置90、GPSデータ受信部92等を含んで構成されている。
【0063】
心拍数計測装置90は、ナビゲーション装置4を使用するユーザーの心拍数を測定するもので、心拍計で実現することができる。
【0064】
GPSデータ受信部92は、GPS衛星から送信される電波信号を受信し、当該電波信号に重畳されているGPS衛星の軌道情報や時刻情報などを含む航法メッセージを復調する処理を行う。
【0065】
気象データ受信部20は、受信周波数が順番に気象計測装置2毎に割り当てられた送信周波数になるように所定の周期で切り替えながら各気象計測装置2からの送信データを受信し、気象データを復調する。気象データ受信部20が復調した気象データは、処理部(CPU)30に送られる。
【0066】
推奨移動経路の演算時は、経路の始点と終点を含み、経路上の気象予想が必要な範囲のリアルタイムな気象データが得られればよいので、気象データ受信部20は、それに必要な範囲内の気象計測装置2からの送信データを受信すればよく、すべての気象計測装置2からの送信データを受信する必要はない。またユーザーの移動時には、気象データ受信部20は、ユーザーが移動する推奨移動経路に沿って、ユーザーの前方に配置された所定数(N個)の気象計測装置2からの送信データのみを受信するようにしてもよい。
【0067】
なお、各気象計測装置2の送信部14が、同一の送信周波数の電波を用いて、あらかじめ決められた互いに異なる周期的なタイミングで時分割に気象データを送信し、データ処理装置4の気象データ受信部20が、各気象計測装置2の送信タイミングと同期して、時分割に気象データを受信するようにしてもよい。
【0068】
操作部40は、操作キーやボタンスイッチ等により構成される入力装置であり、ユーザーによる操作に応じた操作信号を処理部(CPU)30に出力する。
【0069】
記憶部50は、処理部(CPU)30が各種の計算処理や制御処理を行うためのプログラムやデータ等を記憶している。また、記憶部50は、処理部(CPU)30の作業領域として用いられ、操作部40から入力されたデータ、情報記憶媒体60から読み出されたプログラムやデータ、処理部(CPU)30が各種プログラムに従って実行した演算結果等を一時的に記憶するためにも使用される。
【0070】
処理部(CPU)30は、記憶部50や記録媒体60に記憶されているプログラムに従って、各種の計算処理や制御処理を行う。具体的には、処理部(CPU)30は、気象データ受信部20、心拍数計測部90、GPSデータ受信部92等からデータを受け取って各種の計算処理を行う。また、処理部(CPU)30は、操作部40からの操作信号に応じた各種の処理、表示部70に各種の情報を表示させる処理、通信部80を介した外部装置とのデータ通信を制御する処理等を行う。
【0071】
特に、本実施形態では、処理部(CPU)30は、以下に説明する気象データ取得部31、個人データ取得部32、位置情報生成部33、推奨移動経路情報提供部34、感想データ取得部35、通信制御部36、表示制御部37、負荷予測処理部38、経路案内処理部39を含む。ただし、本実施形態の処理部(CPU)30は、これらの一部の構成(要素)を省略したり、他の構成(要素)を追加した構成としてもよい。
【0072】
気象データ取得部31は、気象データ受信部20から送られてくる気象データ(複数の気象計測装置2の少なくとも一部が計測した気象データ)を、気象計測装置2の識別IDと対応づけて継続して取得する処理を行う。具体的には、気象データ取得部31は、各気象データを受け取り、受け取った各気象データを気象計測装置2毎に割り当てられた識別IDと対応づけて順番に記憶部50に保存する。
【0073】
位置情報生成部33は、GPSデータ受信部92が復調した航法メッセージに含まれる軌道情報や時刻情報を用いて測位計算を行い、ナビゲーション装置4の位置情報を生成する処理を行う。
【0074】
推奨移動経路情報提供部34は、始点(GPSデータ受信部が受信した航法メッセージに基づき算出されたナビゲーション装置4の現在位置)と終点(ユーザーが指定した目的位置)を含む所定のエリアの地図情報に基づいて、始点から終点に至る複数の経路候補を選出する。そして、選出した複数の経路から、ユーザーの個人データと気象データに基づき、推奨移動経路を判定する。
【0075】
個人データ取得部32は、ユーザーの健康情報を含む個人データを取得し、位置情報生成部33は、目的地及び出発地にかんする位置情報を生成し、推奨移動経路情報提供部34は、地図情報に基づき、前記出発地から前記目的地までの経路を探索して推奨移動経路に関する情報を提供し、経路案内処理部39は、推奨移動経路に従って経路案内を行う陽光性され、推奨移動経路情報提供部34は、前記気象データ及び前記個人データに基づいて、前記出発地から前記目的地までの複数の経路を評価し、評価結果に基づき、推奨移動経路の候補選出または推奨移動経路の候補の順位付けを行う。
【0076】
また負荷予測処理部38は、前記気象データに基づきユーザーの現在位置の気象変動を予測し、予測結果とユーザーの個人データに基づいて、ユーザーが現在位置にいる場合の負荷予測を行う第1の負荷予測処理部として機能してもよい。
【0077】
また個人データ取得部32は、前記個人データとして、ユーザーの年齢、性別、身長、体重の少なくとも1つを含む身体情報を取得し、記推奨移動経路情報提供部34は、ユーザーの前記身体情報に基づいて、前記推奨移動経路の候補選出または前記推奨移動経路の候補の順位付けを補正してもよい。
【0078】
また感想データ取得部35は、所与の日時に前記推奨移動経路を移動したユーザーから、当該推奨移動経路に関する感想データ(移動の快適度にかんするデータ)を取得して、所与の時刻の当該推奨移動経路に関連した気象データに関連づけて記憶させ、前記推奨移動経路情報提供部34は、前記感想データに基づいて、推奨移動経路の候補選出または推奨移動経路の候補の順位付けを補正してもよい。
【0079】
また推奨移動経路情報提供部34は、前記心拍数データに基づいて、推奨移動経路の変更または推奨移動経路の候補の順位付けの変更を行ってもよい。
【0080】
また負荷予測処理部38は、前記心拍数データと、前記個人データと、前記推奨移動経路に基づいて予測される予想移動経路における気象データに基づき、当該ユーザーが予想移動経路を移動した場合の負荷予測を行う第2の負荷予測処理部として機能してもよい。
【0081】
また個人データ取得部32は、前記個人データとして、ユーザーの病気の種類と程度に関する情報を取得してもよい。
【0082】
また個人データ取得部34は、前記個人データとして、ユーザーの性別、年齢、身長、体重の少なくとも1つに関する情報を取得してもよい。
【0083】
通信制御部36は、通信部80を介して所定の通信ネットワークに接続されたサーバー等とのデータ通信を制御する処理を行う。特に、本実施形態では、通信制御部36は、通信部80を介して、サーバーに位置情報を送信し、サーバーから当該位置情報に対応する地図情報(ユーザーが運動するエリアの地図情報)を受信し、記憶部50に保存する。
【0084】
表示制御部37は、表示部70の表示を制御する処理を行う。特に、本実施形態では、表示制御部37は、地図情報、目的地までの経路候補情報などを、操作部40からの操作信号に応じて選択して表示部70に表示する処理を行う。
【0085】
記録媒体60は、コンピューター読み取り可能な記録媒体であり、特に本実施形態では、コンピューターを上記の各部として機能させるための移動経路判定プログラムが記憶されている。そして、本実施形態の処理部(CPU)30は、記録媒体60に記憶されている移動経路判定プログラムを実行することで、気象データ取得部31、個人データ取得部32、位置情報生成部33、推奨移動経路情報提供部34、感想データ取得部35、通信制御部36、表示制御部37、第1の負荷予測処理部38、第2の負荷予測処理部39として機能する。あるいは、通信部80等を介して有線又は無線の通信ネットワークに接続されたサーバーからナビゲーションプログラムを受信し、受信したナビゲーションプログラムを記憶部50や記録媒体60に記憶して当該ナビゲーションプログラムを実行するようにしてもよい。ただし、気象データ取得部31、個人データ取得部32、位置情報生成部33、推奨移動経路情報提供部34、感想データ取得部35、通信制御部36、表示制御部37、負荷予測処理部38、経路案内処理部39の少なくとも一部をハードウェア(専用回路)で実現してもよい。
【0086】
なお、記録媒体60は、例えば、光ディスク(CD、DVD)、光磁気ディスク(MO)、磁気ディスク、ハードディスク、磁気テープ、メモリー(ROM、フラッシュメモリーなど)により実現することができる。
【0087】
表示部70は、LCD(Liquid Crystal Display)等により構成される表示装置であり、処理部(CPU)30から入力される表示信号に基づいて各種の情報を表示する。表示部70には、例えば、地図上の現在位置などの情報がリアルタイムに表示される。
【0088】
1−3.ナビゲーションシステムの処理
[全体処理]
図4は、ナビゲーション装置4の処理部(CPU)30による全体処理のフローチャートの一例を示す図である。
【0089】
ナビゲーション装置4の起動後、処理部(CPU)30は、最初に、ユーザーに関するデータを設定登録する初期設定処理を行う(S10)。
【0090】
次に、処理部(CPU)30は、地図情報に基づき、前記出発地から前記目的地までの経路を探索して推奨移動経路に関する情報を提供する推奨移動経路情報提供処理を行う(S12)。
そして、ユーザーが推奨移動経路を選択して移動経路が設定されると(S14でY)、処理部(CPU)30は、目的地に到着するまで、移動経路にしたがって目的地まで案内する処理(いわゆるナビゲーション処理)(S16)、第1の負荷予測処理(S18)、第2の負荷予測処理(S20)を所定間隔で繰り返し行う。
【0091】
そして目的地に到着すると、感想データ取得処理(S24)を行う。
【0092】
[初期設定処理]
図5は、ナビゲーション装置4の処理部(CPU)30による初期設定処理(図4のS10の処理)のフローチャートの一例を示す図である。
【0093】
まず、処理部(CPU)30は、表示部70に、図6に示すようなユーザーの年齢、性別、身長、体重の入力画面100を表示する(S110)。ユーザーはこの入力画面100に対して、アップボタン、ダウンボタン、切替/決定ボタン等を操作し、年齢、性別、身長、体重を入力する。なおその他、血圧等を入力するようにしてもよい。
【0094】
入力画面100が表示された直後は選択モードになっており、選択モードでは、アップボタンを押下する毎にカーソルが下方向に移動し、アップボタンを押下する毎にカーソルが上方向に移動する。カーソルの位置の入力欄は、数字が白黒反転表示されており、切替/決定ボタン46を押下することで入力モードに切り替わり、カーソルの位置の入力欄に数字を入力することができる。入力モードでは、アップボタンを押下する毎に、カーソルがある入力欄の数字が1だけ増加し、ダウンボタンを押下する毎に、カーソルがある入力欄の数字が1だけ減少する。ただし、カーソルが性別の入力欄にある状態では、アップボタン又はダウンボタンを押下する毎に、「男」と「女」が交互に表示される。入力モードで切替/決定ボタンを押下することで、入力内容が決定されるとともに、選択モードに戻る。ユーザーは、アップボタン、ダウンボタン、切替/決定ボタンを操作して年齢、性別、身長、体重を入力した後、「OK」ボタンの位置にカーソルを移動して切替/決定ボタン46を押下すると、入力された年齢、性別、身長、体重が確定する。
【0095】
ユーザーによる年齢、性別、身長、体重の入力が完了すると(S112のY)、処理部(CPU)30は、入力内容に従い、ユーザーの年齢、性別、身長、体重をユーザー識別情報に関連づけたユーザー情報として記憶部50に保存する(S114)。
【0096】
次に、処理部(CPU)30は、表示部70に病気の種類と程度を入力するための病気情報入力画面110を表示する(S116)。例えば、図7に示すように、病気情報入力画面110には、「病気の種類」の一覧112が表示され、各病気に対して病気の程度の選択肢114が表示されるので、ユーザーは、ダウンボタンを押下して該当する病気にカーソルを位置づけ、切り替え/決定ボタンを押すと病気の程度欄にカーソルが移動するので、該当する病気の程度を選択して切り替え/決定ボタンを押す。病気は複数選択可能なので、上記処理を切り返し、ユーザーの有する1又は複数の病気の種類と程度を選択した後、「OK」ボタンの位置にカーソルを移動して切替/決定ボタンを押下すると、入力された1又は複数の病気の種類と程度が確定する。
【0097】
ユーザーによる病気の種類と程度の入力が完了すると(S118のY)、処理部(CPU)30は、入力内容に従ってユーザーの病気の種類と程度を、ユーザー識別情報に関連づけたユーザー情報として記憶部50に保存する(S120)。
【0098】
図17は、記憶部に記憶されているユーザー情報の一例を示している。
【0099】
ユーザー情報410として、ユーザー識別情報400に関連づけてユーザーの年齢412,性別414、身長416、体重418、血圧420、病気の種類422とその程度424等が記憶されている。
【0100】
[推奨移動経路情報提供処理]
図8は、ナビゲーション装置4の処理部(CPU)30による推奨移動経路情報提供処理(図4のS12の処理)のフローチャートの一例を示す図である。
【0101】
まず、処理部(CPU)30は、ナビゲーション装置4の位置情報を生成し、通信部80を介して当該位置情報をサーバーに送信する(S210)。
【0102】
次に、処理部(CPU)30は、通信部80を介してサーバーから地図情報を取得する(S212)。当該地図情報には、道路の位置や傾斜の情報、各気象計測装置2の位置や識別IDの情報などが含まれている。
【0103】
次に、処理部(CPU)30は、表示部に目的地入力画面を表示して、操作部から目的地の入力を受け付ける(S214)。そして、地図情報を用いて、ナビゲーション装置の現在位置を出発地とし、入力された目的地までの複数の経路候補を選定する(S216)。
【0104】
次に、処理部(CPU)30は、気象計測装置2から気象データを取得し、現在の気象条件(気圧、気温、湿度、風速など)を解析する(S218)。例えば、処理部(CPU)30は、ナビゲーション装置4に最も近い気象計測装置2のみから気象データを取得し、現在の気象条件を解析するようにしてもよい。また、例えば、処理部(CPU)30は、ナビゲーション装置4から所定範囲の距離にあるすべてのナビゲーション装置4から気象データを取得し、気象データの平均値などから現在の気象条件を解析するようにしてもよい。
【0105】
次に、処理部(CPU)30は、記憶部からユーザーの病気の種類と程度を読み出す(S220)。そして現在の気象条件とユーザーの病気の種類と程度に基づき経路候補の快適度を評価する(S222)。
【0106】
次に評価結果に基づき、推奨移動経路の候補選出を行う(S224)。推奨移動経路の候補は、1つ選出してもよいし、複数の候補を順位付けして選出してもよい。
【0107】
そして選出した推奨移動経路を提示した移動経路の選択画面を表示する(S226)。具体的には、処理部(CPU)30は、ステップS220で選出した推奨移動経路のリストを含む選択画面を表示する。例えば、図10に示すように、経路の選択画面120は、「経路A」、「経路B」、「その他の経路」のいずれか経路の選択が可能な画面が表示されてもよい。ユーザーは、「経路A」にカーソルを位置づけて切替/決定ボタンを押下することで、例えば、図9(A)のような経路Aの経路(点線矢印の始点から終点までの経路)を示す画面が表示され、経路Aを確認することができる。同様に、ユーザーは、「経路B」にカーソルを移動して切替/決定ボタンを押下することで、例えば、図9(B)のような経路Bの経路(点線矢印の始点から終点までの経路)を示す画面が表示され、経路Bを確認することができる。経路A又は経路Bの表示画面において、ユーザーが切替/決定ボタンを押下すれば、経路の選択画面120に戻る。その他の経路を選択したい場合には、「その他経路」を選択する。
【0108】
経路の選択画面120には、「経路A」、「経路B」、「その他の経路」の各右側にチェックボックスが設けられており、ユーザーがいずれかのチェックボックスにカーソルを移動して切替/決定ボタンを押下した後、「OK」ボタンにカーソルを移動して切替/決定ボタン46を押下することで、チェックされた経路が選択される。
【0109】
ユーザーによる経路の選択が完了すると(S228のY)、処理部(CPU)30は、入力内容に従って選択された経路を設定(記憶部50に保存)する(S230)。
【0110】
経路候補の快適度の評価の一例について説明する。
【0111】
例えば処理部(CPU)30は、図9(A)において点線で示される経路Aと図9(B)において点線で示される経路Bを経路候補として選出したとする。経路Aと経路Bはいずれも出発地がSP、目的地がEPであるが途中通る道が異なる経路である。これらの経路から複数のサンプリング点Pnをとり、各サンプリング点Pnの予想通過時刻Ptを求め、その予想通過時刻Ptにおける各サンプリング点における気象予測を行う。そして、気象予測により得られた気象条件とユーザーの病気の種類と程度に基づき、サンプリング点Pt毎に不快度を算出して、それらを合計して経路の不快度を求め、不快度が低いほど快適度が高いと評価してもよい。
【0112】
出発地と目的地が同じ経路についてはサンプリング点の数も同じに設定する。またサンプリング点の数は、出発値と目的地の距離に応じて設定してもよい。出発値と目的地の距離が離れるほどサンプリング点の数を多くするようにしてもよい。
【0113】
図18は病気の種類410と注意すべき気象条件420の対応関係を定義するテーブル400の一例である。
【0114】
病気の種類410が偏頭痛(A1)の場合、気象条件と片頭痛患者さんの片頭痛発症記録との統計解析結果があり、注意すべき気象条件420としては、気温が上昇した後、湿度が高くなったとき(B1)、また低気圧の通過に伴い天気がくずれたとき(B2)に、痛みを訴える人数が多くなる傾向がある。
【0115】
病気の種類410が乾燥肌(A2)では、症状の悪化に大きな影響を与える気象として、気温や湿度に応じて変化する肌水分の増減が原因であり、注意すべき気象条件420としては、気温が低く湿度が低い(B3)ほど肌水分は減少し、乾燥肌の症状が現れやすくなる傾向がある。同じ気温であれば湿度が低いほど、また、同じ湿度であれば気温が低いほど症状は悪化しやすくなります。また、一般に風が強い(B4)ほど、肌水分量は減少する傾向がある。
【0116】
関節痛の原因となる病気はリウマチ以外に変形性関節症や痛風など色々あるが、関節痛全般について、痛み度合が気象条件に関係する傾向がある。脳卒中(脳出血・脳梗塞)は、気象が発症に関係があるといわれている。
【0117】
身体の健康は自律神経系によって支配されている。自律神経系は、時間や天候、季節によって影響を受ける。その結果、最終的には免疫系にも影響が出てくる。
【0118】
夏の低温(B7)は急激な血管の収縮を引き起こすために、心臓などの循環器系の病気(例えば心筋梗塞(A7))の原因になっている。
【0119】
また高温は花粉やダニ、カビの増加によってアレルギーを増加させる。従って病気の種類410がアレルギー体質(A9)の場合、高温(B9)は注意すべき気象条件420である。
【0120】
秋の気温の変化(B5)は体内の血流に影響を与える。気温が高くなると皮膚など末梢の血管が拡大して血流が増加し、熱を体外に逃そうとするが、逆に気温を低下した場合には皮膚の血管が収縮して熱が逃げるのを防ぐようになる。皮膚の血流が減った分だけ体の内部の血流が増加することになり、気管支周辺でも通常より血流が多くなり、炎症を悪化させ、喘息の発作に繋がることになる。従って病気の種類410がぜんそく(A6)等の気管支系の病気の場合、気温の変化(B6)は注意すべき気象条件420である。
【0121】
冬は気温の低下により手足などの末梢部分の血量が減少し、逆に身体内部の血量増加に繋がるという変化が急激に起きることによって、心筋梗塞(A7)や狭心症、脳溢血や脳梗塞など循環器の病気が多い。従って病気の種類410が心筋梗塞(A7)や狭心症、脳溢血や脳梗塞など循環器の病気の場合、冬の気温の変化(B8)は注意すべき気象条件420である。
【0122】
例えば気温が下がると皮膚表面や末梢の血管が収縮し、その分、体の内部の血管が拡大するが、関節痛などの持病があると、もともと関節周辺の血流が悪いため、増大した血流が関節周辺で滞留し、炎症部分を圧迫してしまう。従って病気の種類410がリュウマチ(A4)や関節炎(A5)の場合、気温の低下(B5)は注意すべき気象条件420である。
【0123】
図18のテーブル病気の種類410と注意すべき気象条件420の関係を示しているが、注意すべき気象条件420の病気に与える影響を評価するための重み付け係数k1、k2、・・・を合わせて定義してもよい。例えば偏頭痛持ちのユーザーに対する経路の不快度Hを計算する際に、注意すべき気象条件B1を満たす場合には重み付け係数k1を加算するようにしてもよい。このとき、病気の程度(1,2,3)も加味して加算するようにしてもよい。例えば病気の程度が1(軽い)、2(中程度)、3(重い)場合に、それぞれ、1倍、2倍、3倍して加算するようにしてもよい。すなわち病気の程度が「2」であれば2×k1が加算されることになる。
【0124】
サンプリング地点Snの気象が注意すべき気象条件に該当するか否かは取得した気象データに基づき行う。従って気象データに基づき、サンプリング点が注意すべき気象条件に当てはまるか否か判定するためのアルゴリズムをプログラムに組み込んでモジュール化しておいてもよい。
【0125】
不快度はユーザーが経路上のサンプリング点を通過する予想時刻における気象条件にもとづいて判断する。従って、サンプリング点Pnを通過する予想時刻tnを求め、現時点t0で取得した気象データに基づき、サンプリング点Pnにおける気温、気圧、湿度を予測する。そしてこの予測データに基づき注意すべき気象条件420をみたすか否か判断する。注意すべき気象条件を満たす場合には、これに対応した重み付け係数を病気の程度に対応した倍率でかけ算した値(v)を不快度に加算して不快度をもとめてもよい。
【0126】
注意すべき気象条件420は、病気の種類410によっては複数存在し、複数の病気を持っている場合にはその数も増える。注意すべき気象条件がm個ある場合には、各サンプリング点についてm個の気象条件を満たすか否か判断する。みたす場合には各サンプリング点の不快度hnに評価値vを加算する。そして各サンプリング点の評価値hnを合計して経路の不快度Hをもとめる。
【0127】
H=h1+h2+・・・
図9(A)の経路Aには、サンプリング点Pa1、Pa2、Pa3,Pa4の4つのサンプリング点が設定されており、図9(B)の経路Bには、サンプリング点Pb1、Pb2、Pb3,Pb4の4つのサンプリング点が設定されている。
【0128】
経路Aと経路Bは、出発地と目的地が同じなので、それぞれの経路上に同じ数のサンプリング点が設定されている。
【0129】
ユーザーの有する病気が偏頭痛(A1)とリュウマチ(A4)である場合には、注意すべき気象条件はB1,B2、B5である。経路Aの各サンプリング点Pa1、Pa2、Pa3,Pa4について気象条件はB1,B2、B5を満たすか否か判定する。例えばサンプリング点Pa1については、ユーザーがサンプリング点Pa1を通過する通過予想時刻ta1をもとめ、現在の気象データに基づき通過予想時刻ta1の気象予測を行う(例えばサンプリング点Pa1の通過予想時刻ta1における温度、湿度、気圧をもとめてもよい)。そしてサンプリング点Pa1が注意すべき気象条件B1、B2、B5を満たすか否か判断し、満たす場合には、注意すべき気象条件に対応した重み付け係数を病気の程度に対応した倍率でかけ算した評価値(v)をサンプリング点Pa1の不快度値h1に加算する。この様な処理を経路Aのすべてのサンプリング点について行い経路Aの不快度Haを演算する。
【0130】
Ha=ha1+ha2+・・・、
同様にこの様な処理を経路Bのすべてのサンプリング点について行い経路Bの不快度Hbを演算する。
【0131】
Hb=hb1+hb2+・・・、
そして不快度の高いほうが快適度が低いと評価してもよい。
【0132】
なお、感想データ取得処理により取得した感想データがある場合には、感想データに基づいて、推奨移動経路の候補選出または推奨移動経路の候補の順位付けを補正してもよい。例えば不快度を演算する際に、今回と同じ気象条件下における移動経験に対する感想データがある場合には、このときの感想データに基づいて、今回の経路の不快度を補正してもよい。
【0133】
具体的には、当該ユーザーの過去の移動履歴データ(図19参照)を参照して、気象条件の欄に今回予測される気象条件が登録されている移動履歴データ500について、その移動履歴データ500の感想データ560の値を取得して、感想データの値に基づき補正係数を求める。該当する移動履歴データが複数ある場合には複数の移動履歴データの感想データの平均値や、最多値を求めて補正係数としてもよい。感想データは、不快の場合「1」、やや不快の場合「2」、普通の場合「3」、やや快適の場合「4」、快適の場合「5」が格納されているとした場合、感想データの平均値又は最多値が4以上である場合には、当該気象条件についてはユーザーは不快に感じないものと判断して、不快度の評価値を算出しない(加算しない)で経路の不快度を演算するようにしてもよい。
【0134】
病気と気象に基づき推奨移動経路の候補を選択するアルゴリズムは、同じ病気であれば同じ経路を選択する。しかし同じ病気でも気象に対する快不快感は人により異なる場合や強弱がある場合がある。ここではユーザー個人の感想データを用いて推奨移動経路の候補選出または推奨移動経路の候補の順位付けを補正するので、ユーザー個人の情報として蓄積された感想データを反映させて移動経路の候補を選択する学習機能を持たせることができ、より個人的な体質や嗜好を反映させた経路の選択を行うことができる。
【0135】
またこのように、ユーザーが過去に運動を行った際のナビゲーションに関する実績情報を用いることで、ユーザーの体力に応じた適切な経路を提示することができる。
【0136】
またユーザーの心拍数データを取得する場合には、前記心拍数データに基づいて、推奨移動経路の変更または推奨移動経路の候補の順位付けの変更を行うようにしてもよい。
【0137】
このようにすると、ユーザーの疲れ具合に応じて、気象の病気に対する影響の度合いを変化させて推奨移動経路の候補選出または前記推奨移動経路の候補の順位付けを行うことができる。
【0138】
また例えば、経路選択時点でユーザーの心拍数が基準(ユーザーの平均心拍値から設定した基準値)より高い場合には、距離や高低差等を考慮して、より疲れにくいコースについて、快適度の評価値を加算する等の補正をおこなってもよい。
【0139】
[第1の負荷予測処理]
図11は、ナビゲーション装置4の処理部(CPU)30による第1の負荷予測定処理(図4のS18の処理)のフローチャートの一例を示す図である。
【0140】
まず、処理部(CPU)30は、現在位置付近の所定範囲に配置されたN個の気象計測装置2から気象データを取得する(S310)。取得した気象データに基づき気象予測を行う(S320)。次にユーザーの個人データの病気の種類を参照して、病気の種類に対応する注意すべき気象条件を求める(ステップS330)。そして、気象データに基づき、注意すべき気象条件が現在位置に発生する可能性を予測する。(ステップS340)。
【0141】
可能性が所定の基準より高いと判断した場合には(S350でY)、警告メッセージを生成して出力する(S360)
例えば、現在位置の気象変動として、今後気温が上昇して湿度が高くなることが予想される場合や低気圧が通過する可能性がある場合には、偏頭痛持ちのユーザーに対して、現在位置にいると偏頭痛の症状が発生する可能性があるので、このような場合には「現在位置に長くいると偏頭痛の症状がでる可能性があります」等のアドバイスを出力してもよい。
【0142】
[第2の負荷予測処理]
図12は、ナビゲーション装置の処理部(CPU)による第2の負荷予測定処理(図4のS20の処理)のフローチャートの一例を示す図である。
【0143】
まず心拍数計測部が計測したユーザーの心拍数データを取得する(S410)。そしてユーザーの心拍数データが所定の基準以上である場合には(S420でY)、以下の処理を行う。
【0144】
処理部(CPU)30は、現在位置と目的地を含む所定の範囲に配置された気象計測装置から気象データを取得する(S430)。次に、処理部(CPU)30は、取得した気象データに基づき現在位置から目的地までの予想移動経路の気象予測を行う(S440)。次に、処理部(CPU)30は、ユーザーの病気の種類と程度を読み出す(S450)。次に、処理部(CPU)30は、気象予測とユーザーの病気の種類と程度にデータに基づき、予想移動経路の快適度を再評価する(S460)。次に、処理部(CPU)30は、快適度の評価と、予想移動経路の距離や歩行難易度に基づき、ユーザーが予想移動経路を移動した場合の疲労度を演算する(S470)。予想移動経路の距離とは、現在位置から目的地までの予想移動経路の距離であり、予想移動経路の歩行難易度とは、ユーザーは歩行で移動する場合の移動難易度であり、例えば道の歩き安や高低差等により判断してもよい。
【0145】
そして、疲労度が所定の基準以上である場合には(S480でY)、警告メッセージを生成して出力する。
【0146】
負荷予測処理部は、疲労予測に基づいてユーザーに対する所定のアドバイスを作成して出力するようにしてもよい。
【0147】
所定のアドバイスとは、例えば現在ユーザーの心拍数が高く、この先の移動経路もユーザーに対する負荷が高くなるような場合には「そろそろ休憩してください」等のアドバイスを出力してもよい。
【0148】
また、例えば乾燥肌のユーザーの場合、この先の移動経路が温度が低く湿度が低い場合には、「そろそろお肌に水分補給してください」等のアドバイスを出力してもよい。
【0149】
上記実施の形態では、新たに取得した気象データに基づき予想移動経路の再評価を行ってから再評価の結果を用いてユーザーが予想移動経路を移動した場合の疲労度を演算する場合を説明したが、これに限られず、例えば推奨移動経路の候補選出を行った際に求めた快適度の評価の結果を用いてユーザーが予想移動経路を移動した場合の疲労度を演算してもよい。
【0150】
[感想データ取得処理]
図13は感想データ入力画面の一例である。
【0151】
感想データ入力画面は、ユーザーが目的地に到達した以降、ユーザーの指示により随時表示することができる。
【0152】
例えば今回の移動経路についての感想を「1」(不快)、「2」(やや不快)、「3」(普通)、「4」(やや快適)、「5」(不快)の複数段階に分けて入力できるようにしてもよい。
【0153】
入力された感想データは、移動履歴データの一部としてとして記憶部に保存される。
【0154】
図19は、移動履歴データの一例を示す図である。
【0155】
移動履歴データ500は、1つの経路案内(出発値から目的地までの経路の案内)について1レコード作成される。
【0156】
移動履歴データ500は、経路案内番号510、ユーザー識別番号520、経路特定情報530(出発地532と目的地534の情報を含む)、移動日時540、気象条件550、乾燥データ560、サンプリング点情報(n)770(気温672,湿度574、気圧576の情報を含む)を含む。
【0157】
経路案内番号510は、1の経路案内が行われると付される通し番号である。ユーザー識別番号520は、当該経路案内を受けたユーザーの識別番号である。経路特定情報530は、ユーザーの移動経路を特定する情報であり例えば移動経路の出発地532と目的地534に関する情報でもよい。また推奨移動経路を作成した時に負荷した推奨移動経路識別番号等でもよい。移動日時540は、移動開始時と移動終了時が特定できる情報であり、例えば移動開始日時(分秒までふくんでもよい)と移動終了日時(分秒までふくんでもよい)でもよいし、移動開始日時と移動時間でもよい。気象条件は、移動時に移動経路上で観測された気象条件で、注意すべき気象条件(図18の420参照)に該当するものがあった場合に、当該気象条件を特定可能な情報が記録される。
【0158】
感想データ560は、当該移動に関して、ユーザーが入力した感想データの値が記録される。例えば図13の感想データ入力画面において、「3」(普通)が選択された場合には、「3」と記録される。感想データの値と感想の内容との関係は適宜設定してもよいし、途中で設定変更できるようにしてもよい。
【0159】
サンプリング点情報(n)570は、移動経路に設定されたサンプリング点において、ユーザー通過時に取得された気温572、湿度574,気圧576等のデータが記録されている。
【0160】
移動履歴データ500は、感想データが移動終了時から所定期間内に入力された場合に作成して保存するようにしてもよいし、感想データの入力の有無にかかわらず作成して保存し、感想データは随時受け付けるようにしてもよい。
【0161】
2.第2実施形態
2−1.ナビゲーションシステムの概要
第2実施形態のナビゲーションシステムでは、第1実施形態と同様に、ユーザーが移動するエリアに複数の気象計測装置が分散配置され、ユーザーは、推奨移動経路を提供され、推奨移動経路に従った目的地までの案内を受けることができる。ただし、第2実施形態のナビゲーションシステムでは、第1実施形態と異なり、所定の通信ネットワークに接続されたナビゲーション装置(サーバー)がユーザーのナビゲーションを計測し、ナビゲーションのデータをユーザーが携帯するナビゲーション表示装置に送信する。
【0162】
ナビゲーション表示装置は、第1実施形態におけるナビゲーション装置と同様に、例えば、図2(A)に示したような形態型の電子機器タイプのものであってもよいし、図2(B)に示したような、車載型のカーナビゲーション装置タイプのものであってもよい。ユーザーは、第1実施形態におけるナビゲーション装置の操作と同様の操作で、初期設定や画面の切り替えなどを行い、ユーザーのナビゲーションなどの情報はナビゲーション表示装置の表示部(表示画面)に表示される。これにより、ユーザーは、運動開始後のナビゲーションを知ることができる。
【0163】
2−2.ナビゲーションシステムの構成
図14(A)及び図14(B)は、第2実施形態のナビゲーションシステムの構成例を示す図である。第2実施形態のナビゲーションシステム1は、複数の気象計測装置2、ナビゲーション表示装置5、ナビゲーション装置4を含む。気象計測装置2とナビゲーション表示装置5は無線通信を行う。図14(A)に示すように、ナビゲーション表示装置5とナビゲーション装置4が無線通信を行うようにしてもよいし、図14(B)に示すように、ナビゲーション表示装置5がアクセスポイント(基地局)8と無線通信を行い、アクセスポイント(基地局)8とナビゲーション装置4が通信ネットワーク3(インターネットやLAN等)を介して通信を行うようにしてもよい。
【0164】
図15は、ナビゲーション表示装置5の構成例を示す図である。ナビゲーション表示装置5は、図15に示すように、気象データ受信部220、処理部(CPU)230、操作部240、記憶部250、記録媒体260、表示部270、通信部280、心拍数計測部290、GPSデータ受信部292を含んで構成されている。本実施形態のナビゲーション表示装置5は、図15の構成要素(各部)の一部を省略したり、他の構成要素を付加した構成としてもよい。気象データ受信部220、操作部240、記憶部250、記録媒体260、表示部270、通信部280、心拍数計測部290、GPSデータ受信部292の各機能は、第1実施形態における気象データ受信部20、操作部40、記憶部50、記録媒体60、表示部70、通信部80、心拍数計測部90、GPSデータ受信部92の各機能と同様であるので、その説明を省略する。
【0165】
処理部(CPU)230は、記憶部250や記録媒体260に記憶されているプログラムに従って、各種の計算処理や制御処理を行う。具体的には、処理部(CPU)230は、気象データ受信部220、心拍数測定部290、GPSデータ受信部292等からデータを受け取って各種の計算処理を行う。また、処理部(CPU)230は、操作部240からの操作信号に応じた各種の処理、表示部270に各種の情報を表示させる処理、通信部280を介した外部装置とのデータ通信を制御する処理等を行う。
【0166】
また処理部(CPU)230は、位置情報生成部233、表示制御部237、通信制御部236を含む。ただし、本実施形態の処理部(CPU)230は、これらの一部の構成(要素)を省略したり、他の構成(要素)を追加した構成としてもよい。
【0167】
位置情報生成部233は、GPSデータ受信部292が復調した航法メッセージに含まれる軌道情報や時刻情報を用いて測位計算を行い、ナビゲーション表示装置5の位置情報を生成する処理を行う。
【0168】
通信制御部236は、通信部80を介してナビゲーション装置4との間で行うデータ通信を制御する処理を行う。特に、本実施形態では、通信制御部236は、気象データ受信部220が受信した気象データ、心拍数計測部290が計測したユーザーの心拍数に関連するデータ、位置情報生成部233が生成した位置情報、操作部から入力された個人データや感想データなどを、通信部280を介して送信する処理を行う。
【0169】
表示制御部237は、表示部270の表示を制御する処理を行う。
【0170】
図16は、第2実施形態におけるナビゲーション装置4の構成例を示す図である。ナビゲーション装置(サーバー)4は、図16に示すように、処理部(CPU:Central Processing Unit)30、記憶部50、記録媒体60、通信部80を含んで構成されている。本実施形態のナビゲーション装置4は、図16の構成要素(各部)の一部を省略したり、他の構成要素を付加した構成としてもよい。記憶部50、記録媒体60、通信部80の各機能は、第1実施形態における記憶部50、記録媒体60、通信部80の各機能と同様であるので、その説明を省略する。
【0171】
処理部(CPU)30は、記憶部50や記録媒体60に記憶されているプログラムに従って、各種の計算処理や制御処理を行う。具体的には、処理部(CPU)30は、通信部80を介して、気象データ、ユーザーの心拍数に関連するデータ、位置情報、個人データや感想データなどを受け取って各種の計算処理を行う。また、処理部(CPU)30は、通信部80を介した外部装置とのデータ通信を制御する処理等を行う。
【0172】
処理部(CPU)30は、気象データ取得部31、個人データ取得部32、推奨移動経路提供部34、感想データ取得部35、通信制御部36、負荷予測処理部38、経路案内処理部39を含む。ただし、本実施形態の処理部(CPU)30は、これらの一部の構成(要素)を省略したり、他の構成(要素)を追加した構成としてもよい。
【0173】
気象データ取得部31は、通信部80を介してナビゲーション表示装置5から受け取った気象データを、気象計測装置2の識別IDと対応づけて取得する処理を行う。具体的には、気象データ取得部31は、各気象データを受け取り、受け取った各気象データを気象計測装置2毎に割り当てられた識別IDと対応づけて順番に記憶部50に保存する。
【0174】
個人データ取得部32、推奨移動経路提供部34、感想データ取得部35、負荷予測処理部38、経路案内処理部39の機能は、第1実施形態と同じであるので、その説明を省略する。
【0175】
通信制御部36は、通信部80を介してナビゲーション表示装置5との間で行うデータ通信を制御する処理を行う。特に、本実施形態では、通信制御部36は、気象データ、ユーザーの心拍数に関連するデータ、位置情報、個人データや感想データなどを、通信部280を介して受信する処理を行う。また、通信制御部36は、推奨移動経路に関するデータ(地図情報を含む)や経路案内に関するデータ(地図情報を含む)や感想データ入力画面や個人データ入力画面に関するデータなどを、通信部280を介して送信する処理を行う。
【0176】
本実施形態の処理部(CPU)30は、記録媒体60に記憶されているナビゲーションプログラムを実行することで、気象データ取得部31、個人データ取得部32、推奨移動経路提供部34、感想データ取得部35、通信制御部36、負荷予測処理部38、経路案内処理部39として機能する。ただし、気象データ取得部31、個人データ取得部32、推奨移動経路提供部34、感想データ取得部35、通信制御部36、負荷予測処理部38、経路案内処理部39の少なくとも一部をハードウェア(専用回路)で実現してもよい。
【0177】
[変形例1]
例えば、図20に示すように、各気象計測装置2は、気圧センサー10、温度センサー11、湿度センサー12に加えて、空気質センサー13を備えるようにしてもよい。空気質センサー13は、空気中の微粒子(煙、砂、花粉等)や窒素酸化物(NO)等に反応するセンサーである。空気中に存在する微粒子等の濃度が高いほど酸素濃度が低くなるので、同じ移動をした場合でも疲労度が大きくなる。従って、空気質を計測して気象条件に含めることで、推奨移動経路候補の選出の補正計算をより精度よく行うことができる。
【0178】
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0179】
1 ナビゲーションシステム、2 気象計測装置、3 通信ネットワーク、4 ナビゲーション装置、5 ナビゲーション表示装置、6 道路、7 ユーザー、8 アクセスポイント、10 気圧センサー、11 温度センサー、12 湿度センサー、13 空気質センサー、14 送信部、20 気象データ受信部、30 処理部(CPU)、31 気象データ取得部、32 個人データ取得部、33 位置情報生成部、34 推奨移動経路情報提供部、35 感想データ取得部、36 通信制御部、37 表示制御部、38 負荷予測処理部、39 経路案内処理部、40 操作部、50 記憶部、60 記録媒体、70 表示部、80 通信部、90 心拍数計測装置、92 GPSデータ受信部、100,110,120,130 表示画面、220 気象データ受信部、230 処理部(CPU)、233 位置情報生成部、236 通信制御部、237 表示制御部、240 操作部、250 記憶部、260 記録媒体、270 表示部、280 通信部、290 心拍数計測部、292 GPSデータ受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナビゲーションシステムであって、
ユーザーが移動するエリアに分散して配置された複数の気象計測装置が計測した気象データを取得する気象データ取得部と、
ユーザーの健康情報を含む個人データを取得する個人データ取得部と、
目的地及び出発地にかんする位置情報を生成する位置情報生成部と、
地図情報に基づき、前記出発地から前記目的地までの経路を探索して推奨移動経路に関する情報を提供する推奨移動経路情報提供部と、
推奨移動経路に従って経路案内を行う経路案内処理部と、を含み、
前記推奨移動経路情報提供部は、
前記気象データ及び前記個人データに基づいて、前記出発地から前記目的地までの複数の経路を評価し、評価結果に基づき、推奨移動経路の候補選出または推奨移動経路の候補の順位付けを行うナビゲーションシステム。
【請求項2】
請求項1において、
ユーザーが移動するエリアに分散して配置された複数の気象計測装置を含むナビゲーションシステム。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記気象データに基づきユーザーの現在位置の気象変動を予測し、予測結果とユーザーの個人データに基づいて、ユーザーが現在位置にいる場合の負荷予測を行う第1の負荷予測処理部を含むナビゲーションシステム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかにおいて、
前記個人データ取得部は、
前記個人データとして、ユーザーの年齢、性別、身長、体重の少なくとも1つを含む身体情報を取得し、
前記推奨移動経路情報提供部は、
ユーザーの前記身体情報に基づいて、前記推奨移動経路の候補選出または前記推奨移動経路の候補の順位付けを補正するナビゲーションシステム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかにおいて、
所与の日時に前記推奨移動経路を移動したユーザーから、当該推奨移動経路に関する感想データを取得して、所与の時刻の当該推奨移動経路に関連した気象データに関連づけて記憶させる感想データ取得部をさらに含み、
前記推奨移動経路情報提供部は、
前記感想データに基づいて、推奨移動経路の候補選出または推奨移動経路の候補の順位付けを補正するナビゲーションシステム。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかにおいて、
ユーザーの心拍数データを取得する心拍数データ取得部をさらに含み、
前記推奨移動経路情報提供部は、
前記心拍数データに基づいて、推奨移動経路の変更または推奨移動経路の候補の順位付けの変更を行うナビゲーションシステム。
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれかにおいて、
ユーザーの心拍数データを取得する心拍数データ取得部をさらに含み、
前記心拍数データと、前記個人データと、前記推奨移動経路に基づいて予測される予想移動経路における気象データに基づき、当該ユーザーが予想移動経路を移動した場合の負荷予測を行う第2の負荷予測処理部を含むナビゲーションシステム。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかにおいて、
前記個人データ取得部は、
前記個人データとして、ユーザーの病気の種類と程度に関する情報を取得するナビゲーションシステム。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかにおいて、
前記個人データ取得部は、
前記個人データとして、ユーザーの性別、年齢、身長、体重の少なくとも1つに関する情報を取得するナビゲーションシステム。
【請求項10】
ナビゲーションを行うためのプログラムであって、
ユーザーが移動するエリアに分散して配置された複数の気象計測装置が計測した気象データを取得する気象データ取得部と、
ユーザーの健康情報を含む個人データを取得する個人データ取得部と、
目的地及び出発地に関する位置情報を生成する位置情報生成部と、
地図情報に基づき、前記出発地から前記目的地までの経路を探索して推奨移動経路に関する情報を提供する推奨移動経路情報提供部と、
推奨移動経路に従って経路案内を行う経路案内処理部と、してコンピューターを機能させ、
前記推奨移動経路情報提供部は、
前記気象データ及び前記個人データに基づいて、前記出発地から前記目的地までの複数の経路を評価し、評価結果に基づき、推奨移動経路の候補選出または推奨移動経路の候補の順位付けを行うプログラム。
【請求項11】
請求項10に記載のプログラムを記録した、コンピューター読み取り可能な記録媒体。
【請求項12】
ナビゲーション方法であって、
ユーザーが移動するエリアに分散して配置された複数の気象計測装置が計測した気象データを取得する気象データステップと、
ユーザーの健康情報を含む個人データを取得する個人データ取得ステップと、
目的地及び出発地にかんする位置情報を生成する位置情報生成ステップと、
地図情報に基づき、前記出発地から前記目的地までの経路を探索して推奨移動経路に関する情報を提供する推奨移動経路情報提供ステップと、
推奨移動経路に従って経路案内を行う経路案内処理ステップと、を含み、
前記推奨移動経路情報提供ステップにおいて、
前記気象データ及び前記個人データに基づいて、前記出発地から前記目的地までの複数の経路を評価し、評価結果に基づき、推奨移動経路の候補選出または推奨移動経路の候補の順位付けを行うナビゲーション方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2013−53879(P2013−53879A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191002(P2011−191002)
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】