説明

ナビゲーションシステム

【課題】情報配信センタは、ナビゲーション装置が渋滞区間を通過する前に、渋滞区間旅行時間を算出して、このナビゲーション装置や他のナビゲーション装置に当該渋滞区間旅行時間を配信することが可能となるナビゲーションシステムを提供する。
【解決手段】ナビゲーション装置2のCPU41は、所定の一定時間毎に(例えば、約30秒毎である。)RAM42に記憶した最新の自車位置を表す座標データ、通過時刻データ、自車が位置する道路リンクIDと道路種別データ等を、当該ナビゲーション装置を識別するナビ識別IDと共に「自車位置情報」として情報配信センタ3に送信する(S11〜S14)。そして、情報配信センタ3は、一定時間の間隔(例えば、約30秒間隔である。)で取得した「前回自車位置情報」と「今回自車位置情報」とから渋滞区間X1を通過するのに必要な渋滞区間旅行時間を算出して配信する(S111〜S114)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーションシステムに関し、特に、渋滞区間を通過するのに必要に渋滞区間旅行時間を情報配信センタからナビゲーション装置に配信するナビゲーションシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の走行案内を行い、運転者が所望の目的地に容易に到着できるようにしたナビゲーション装置が車両に搭載されていることが多い。このナビゲーション装置とは、GPS受信機などにより車両の現在位置を検出し、その現在位置に対応する地図データをDVD−ROMやHDDなどの記録媒体、又はネットワークを通じて取得して液晶モニタに表示することが可能な装置である。そして、車両の現在位置を含む地図データを記録媒体等から読み出し、地図データに基づいて車両の現在位置の周囲における地図画像を描画して表示装置に表示するとともに、車両位置マークを地図画像に重ね合わせて表示し、車両の移動に応じて地図画像をスクロールしたり、地図画像を画面に固定し車両位置マークを移動させることによって、車両が現在どの地点を走行しているのかを一目でわかるようにしている。
【0003】
ここで、渋滞区間を通過するのに必要に渋滞区間旅行時間を情報配信センタからナビゲーション装置に配信するナビゲーションシステムが種々提案されている。
例えば、車両の位置を検出して位置情報を出力する位置検出手段と、道路上に予め設定された道路区間を示す情報を含む地図情報を格納している地図情報データベースと、前記道路区間を通過する毎にその所要時間を計測して情報配信センタへ報告する所要時間報告手段と、走行予定の道路区間の最新の所要時間を前記情報配信センタに照会する所要時間照会手段と、前記情報配信センタから入手した前記走行予定の道路区間の最新の所要時間情報に基づき目的地への到着時刻を予測する到着時刻予測手段と、前記情報配信センタとの通信を行う送受信手段とを備えたナビゲーション装置と、前記車両から報告される区間所要時間情報を受信する受信部と、道路上の各道路区間の所要時間を格納する区間所要時間データベースと、前記受信部により受信された前記車両からの区間所要時間情報を統計処理して前記区間所要時間データベースに更新登録すると共に前記車両から照会された道路区間に対応する区間所要時間を前記区間所要時間データベースから抽出する区間所要時間処理部と、抽出された区間所要時間情報を該当車両に送信する送信部とを備えた情報配信センタと、から構成されるナビゲーションシステムがある(例えば、特許文献1参照。)。
このナビゲーションシステムによれば、情報配信センタは各車両から報告される各道路区間の最新の所要時間をデータベースに格納し、車両側で目的地への到着時刻を予測するときには、走行予定の道路区間の最新の所要時間を情報配信センタに照会して入手し、最新の道路区間の所要時間に基づき目的地への到着時刻を予測することにより、交通量を計測する機器を設置していない道路区間についても、その渋滞状況の実態に合わせて、目的地への到着時刻を高精度に予測することができる。
【特許文献1】特開平2004−20288号公報(段落(0011)〜(0039)、図1〜図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記した特許文献1に記載されたナビゲーションシステムでは、ナビゲーション装置は、道路区間を通過する毎にその所要時間を計測して情報配信センタへ報告するため、渋滞区間を通過するのに長時間(例えば、約30分〜3時間である。)要した場合には、その間、情報配信センタは、渋滞区間を通過するのに必要な所要時間(渋滞区間旅行時間)を入手することができないため、当該渋滞区間旅行時間を渋滞区間を走行していない他のナビゲーション装置に配信することができないという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、ナビゲーション装置が一定時間毎に(例えば、約30秒毎である。)自車位置を情報配信センタに送信することによって、情報配信センタは、ナビゲーション装置が渋滞区間を通過する前に、当該渋滞区間を通過するのに必要な所要時間(渋滞区間旅行時間)を算出して、このナビゲーション装置や渋滞区間を走行していない他のナビゲーション装置に当該渋滞区間旅行時間を配信することが可能となるナビゲーションシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため請求項1に係るナビゲーションシステムは、ナビゲーション装置(2)と、道路区間を通過するのに必要な区間旅行時間を配信する配信手段(17)を有する情報配信センタ(3)と、を備えたナビゲーションシステム(1)において、前記ナビゲーション装置(2)は、自車位置と前記自車位置を通過した通過時刻とを含む自車位置情報を所定の第1時間毎に前記情報配信センタに送信する自車位置情報送信手段(23、21、27)を有し、前記情報配信センタ(3)は、前記自車位置情報を受信する自車位置情報受信手段(17)と、受信した自車位置情報を順次記憶する自車位置情報記憶手段(12)と、渋滞情報を含む交通情報を受信する交通情報受信手段(17)と、前記渋滞情報に基づいて渋滞区間を特定する渋滞区間特定手段(10)と、前記ナビゲーション装置から受信した2つの自車位置情報に基づいて算出した該渋滞区間内の第1走行距離に該渋滞区間の渋滞情報に対応する重み付けを行った後、該第1走行距離に対応する第1走行時間を算出する第1算出手段(10)と、前記第1走行時間に基づいて該渋滞区間を通過するのに必要な渋滞区間旅行時間を算出する旅行時間算出手段(10)と、を有し、該情報配信センタ(3)は、前記配信手段を介して前記渋滞区間旅行時間を配信することを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に係るナビゲーションシステムは、請求項1に記載のナビゲーションシステム(1)において、前記2つの自車位置情報は、前記渋滞区間に入る前のナビゲーション装置から受信した自車位置情報と該渋滞区間内の該ナビゲーション装置から受信した自車位置情報であることを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に係るナビゲーションシステムは、請求項2に記載のナビゲーションシステム(1)において、前記第1算出手段(10)は、更に前記ナビゲーション装置から前記渋滞区間内の自車位置情報を受信した場合には、該自車位置情報を受信する毎に、前記第1走行時間に前記所定の第1時間を加算して第2走行時間を算出し、前記旅行時間算出手段(10)は、前記第2走行時間に基づいて該渋滞区間を通過するのに必要な渋滞区間旅行時間を算出することを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に係るナビゲーションシステムは、請求項3に記載のナビゲーションシシステム(1)において、前記情報配信センタ(3)は、前記ナビゲーション装置から前記渋滞区間通過後に自車位置情報を受信した場合には、該渋滞区間内の該ナビゲーション装置から最後に受信した自車位置情報と前記渋滞区間通過後に受信した自車位置置情報とに基づいて算出した、前記最後に受信した自車位置情報の自車位置から該渋滞区間を通過するまでの第2走行距離に該渋滞区間の渋滞情報に対応する重み付けを行った後、該第2走行距離に対応する第3走行時間を算出する第2算出手段(10)を有し、前記旅行時間算出手段(10)は、前記第2走行時間に前記第3走行時間を加算した第4走行時間を前記渋滞区間旅行時間とすることを特徴とする。
【0010】
また、請求項5に係るナビゲーションシステムは、請求項1に記載のナビゲーションシシステム(1)において、前記2つの自車位置情報は、前記渋滞区間に入る前のナビゲーション装置から受信した自車位置情報と該渋滞区間通過後の該ナビゲーション装置から受信した自車位置情報であることを特徴とする。
【0011】
また、請求項6に係るナビゲーションシステムは、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のナビゲーションシシステム(1)において、前記情報配信センタ(3)は、前記ナビゲーション装置から前記渋滞区間旅行時間の配信要求を受信した場合に、前記配信手段を介して該渋滞区間旅行時間を該ナビゲーション装置に配信することを特徴とする。
【0012】
また、請求項7に係るナビゲーションシステムは、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のナビゲーションシステム(1)において、前記情報配信センタ(3)は、所定の第2時間経過毎に、前記配信手段を介して前記渋滞区間旅行時間を前記ナビゲーション装置に配信することを特徴とする。
【0013】
更に、請求項8に係るナビゲーションシステムは、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のナビゲーションシステム(1)において、前記情報配信センタ(3)は、前記旅行時間算出手段が前記渋滞区間旅行時間を算出する毎に、前記配信手段を介して該渋滞区間旅行時間を前記ナビゲーション装置に配信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
前記構成を有する請求項1に係るナビゲーションシステムでは、ナビゲーション装置は、自車位置とその自車位置を通過した通過時刻とを含む自車位置情報を所定の第1時間毎に情報配信センタに送信する。また、情報配信センタは、ナビゲーション装置から受信した2つの自車位置情報に基づいて該渋滞区間内の第1走行距離を算出する。続いて、情報配信センタは、この第1走行距離に該渋滞区間の渋滞情報に対応する重み付けを行った後、該第1走行距離に対応する第1走行時間を算出する。そして、情報配信センタは、この第1走行時間に基づいて該渋滞区間を通過するのに必要な渋滞区間旅行時間を算出して、ナビゲーション装置に配信する。
これにより、ナビゲーション装置から所定の第1時間毎に(例えば、約30秒毎である。)情報配信センタに自車位置情報を送信することによって、情報配信センタは、所定の第1時間の間隔で取得した2つ自車位置情報から渋滞区間を通過するのに必要な渋滞区間旅行時間を算出して、渋滞区間を走行していない他のナビゲーション装置に当該渋滞区間旅行時間を配信することが可能となる。また、渋滞区間を走行しているナビゲーション装置は、渋滞区間内でこの渋滞区間を通過するのに必要な渋滞区間旅行時間を情報配信センタから入手することが可能となり、渋滞区間を通過するのに必要な最新の予測時間に基づいて目的地への到着時刻を高精度に予測することが可能となる。
【0015】
また、請求項2に係るナビゲーションシステムでは、情報配信センタは、渋滞区間に入る前のナビゲーション装置から受信した自車位置情報と該渋滞区間内の該ナビゲーション装置から受信した自車位置情報とに基づいて該渋滞区間内の第1走行距離を算出する。続いて、情報配信センタは、この第1走行距離に該渋滞区間の渋滞情報に対応する重み付けを行った後、該第1走行距離に対応する第1走行時間を算出する。そして、情報配信センタは、この第1走行時間に基づいて該渋滞区間を通過するのに必要な渋滞区間旅行時間を算出して、ナビゲーション装置に配信する。
これにより、情報配信センタは、所定の第1時間の間隔で、渋滞区間に入る前のナビゲーション装置から受信した自車位置情報と該渋滞区間内の該ナビゲーション装置から受信した自車位置情報とに基づいて、渋滞区間を通過するのに必要な渋滞区間旅行時間を算出して、渋滞区間を走行していない他のナビゲーション装置に当該渋滞区間旅行時間を配信することが可能となる。また、渋滞区間を走行しているナビゲーション装置は、渋滞区間内でこの渋滞区間を通過するのに必要な渋滞区間旅行時間を情報配信センタから入手することが可能となり、渋滞区間を通過するのに必要な最新の予測時間に基づいて目的地への到着時刻を高精度に予測することが可能となる。
【0016】
また、請求項3に係るナビゲーションシステムでは、情報配信センタは、更に渋滞区間内のナビゲーション装置から自車位置情報を受信した場合には、該自車位置情報を受信する毎に、渋滞区間内の第1走行距離を走行するのに要した第1走行時間に所定の第1時間を加算して第2走行時間を算出し、この第2走行時間に基づいて該渋滞区間を通過するのに必要な渋滞区間旅行時間を算出する。
これにより、情報配信センタは、更にナビゲーション装置から渋滞区間内の自車位置情報を取得した場合には、渋滞区間旅行時間を再度、算出することが可能となり、該渋滞区間を通過するのに必要な渋滞区間旅行時間を更新して、渋滞区間を走行していない他のナビゲーション装置に更に精度の高い渋滞区間旅行時間を配信することが可能となる。また、渋滞区間を走行しているナビゲーション装置は、所定の第1時間毎に更新される渋滞区間旅行時間を情報配信センタから入手することが可能となり、渋滞区間を通過するのに必要な最新の予測時間に基づいて目的地への到着時刻を更に高精度に予測することが可能となる。
【0017】
また、請求項4に係るナビゲーションシステムでは、情報配信センタは、ナビゲーション装置から渋滞区間通過後に自車位置情報を受信した場合には、該渋滞区間内で最後に受信した自車位置情報と渋滞区間通過後に受信した自車位置置情報とに基づいて算出した、該渋滞区間内で最後に受信した自車位置情報の自車位置から該渋滞区間を通過するまでの第2走行距離を算出する。続いて、情報配信センタは、この第2走行距離に該渋滞区間の渋滞情報に対応する重み付けを行った後、該第2走行距離に対応する第3走行時間を算出する。そして、情報配信センタは、第2走行時間に第3走行時間を加算した第4走行時間を該渋滞区間を通過するのに必要な渋滞区間旅行時間として、ナビゲーション装置に配信する。
これにより、情報配信センタは、渋滞区間内のナビゲーション装置から渋滞区間内で最後に受信した自車位置情報と該渋滞区間を通過後に受信した自車位置情報とから、渋滞区間を通過するのに必要な渋滞区間旅行時間を更新して、渋滞区間を走行していない他のナビゲーション装置に更に精度の高い渋滞区間旅行時間を配信することが可能となる。
【0018】
また、請求項5に係るナビゲーションシステムでは、情報配信センタは、渋滞区間に入る前のナビゲーション装置から受信した自車位置情報と該渋滞区間通過後の該ナビゲーション装置から受信した自車位置情報とに基づいて、該渋滞区間内の第1走行距離を算出する。続いて、情報配信センタは、この第1走行距離に該渋滞区間の渋滞情報に対応する重み付けを行った後、この2つの自車位置情報を受信した時間間隔の所定の第1時間から該第1走行距離に対応する第1走行時間を算出して、即ち、該渋滞区間を通過するのに必要な渋滞区間旅行時間を算出して、ナビゲーション装置に配信する。
これにより、情報配信センタは、所定の第1時間の間隔で、渋滞区間に入る前のナビゲーション装置から受信した自車位置情報と該渋滞区間通過後の該ナビゲーション装置から受信した自車位置情報とに基づいて、渋滞区間を通過するのに必要な渋滞区間旅行時間を算出して、渋滞区間を走行していない他のナビゲーション装置に当該渋滞区間旅行時間を配信することが可能となる。
【0019】
また、請求項6に係るナビゲーションシステムでは、情報配信センタは、ナビゲーション装置から渋滞区間旅行時間の配信要求を受信した場合に、該渋滞区間旅行時間を該ナビゲーション装置に配信するため、ナビゲーション装置は、最新の渋滞区間旅行時間を情報配信センタから必要なときに入手して、目的地への到着時刻を高精度に予測することが可能となる。
【0020】
また、請求項7に係るナビゲーションシステムでは、情報配信センタは、所定の第2時間経過毎に(例えば、約5分〜10分毎である。)渋滞区間旅行時間をナビゲーション装置に配信するため、ナビゲーション装置は、所定の第2時間経過毎に最新の渋滞区間旅行時間を情報配信センタから入手して、目的地への到着時刻を高精度に予測することが可能となる。
【0021】
更に、請求項8に係るナビゲーションシステムでは、情報配信センタは、渋滞区間旅行時間を更新する毎に、該渋滞区間旅行時間をナビゲーション装置に配信するため、ナビゲーション装置は、所定の第1時間毎に最新の渋滞区間旅行時間を情報配信センタから入手して、目的地への到着時刻を高精度に予測することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明に係るナビゲーションシステムについて具体化した一実施例に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。
【実施例】
【0023】
先ず、本実施例に係るナビゲーションシステム1の概略構成について図1を用いて説明する。図1は本実施例に係るナビゲーションシステム1を示したブロック図である。
【0024】
図1に示すように本実施例に係るナビゲーションシステム1は、ナビゲーション装置2と、ナビゲーション装置2に対して地図情報を更新する為の更新情報や後述の渋滞区間を通過するのに必要な所要時間である渋滞区間旅行時間等を配信する情報配信センタ3と、ネットワーク4から基本的に構成されている。そして、ナビゲーション装置2と情報配信センタ3は、ネットワーク4を介して各種の情報の送受信が可能となるように構成されている。
【0025】
また、このネットワーク4には、道路交通情報センタ(VICS(登録商標):Vehicle Information and Communication System)5が接続され、ナビゲーション装置2と情報配信センタ3とは、ネットワーク4を介して、警察、日本道路公団等の交通管制システムの情報を収集して作成した道路の渋滞等に関する情報や交通規制情報等の交通情報を所定時間毎に受信することが可能に構成されている。また、この交通情報は、例えば、道路の渋滞等に関する道路渋滞情報、道路工事、建築工事等による交通規制情報等の道路交通情報に関する詳細情報である。該詳細情報は、道路渋滞情報の場合、後述のVICSリンクID、渋滞の実際の長さ、渋滞度(渋滞無し/混雑/渋滞の別等)、渋滞中の車速、渋滞車線の進行方向、渋滞解消の見込まれる時刻等であり、交通規制情報の場合、後述のVICSリンクID、道路工事、建築工事等の継続期間、通行止め、片側交互通行、車線規制等の交通規制の種類、交通規制の時間帯等である。
尚、ナビゲーション装置2の構成に関しては後に図2を用いて詳細に説明する。
【0026】
情報配信センタ3は、図1に示すようにサーバ10と、サーバ10に接続された地図情報記録部としてのセンタ側地図情報DB14と、ナビ更新履歴情報DB15と、センタ側交通情報DB16と、センタ側通信装置17と、各道路区間(道路リンク)を通過するのに必要な旅行時間が格納される区間旅行時間DB20とを備える。また、サーバ10は、サーバ10の全体の制御を行う演算装置及び制御装置としてのCPU11、並びにCPU11が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるRAM12、ナビゲーション装置2からの要求に基づいてナビゲーション装置2に記憶された地図情報の内、所定エリアの地図情報を新たなバージョンの地図情報に更新する為の更新情報をセンタ側地図情報DB14から抽出し、ナビゲーション装置2に対して配信する地図情報更新処理や、後述の渋滞区間を通過するのに必要な所要時間である渋滞区間旅行時間を更新して区間旅行時間DB20に記憶し、ナビゲーション装置2からの要求に基づいて該渋滞区間旅行時間を区間旅行時間DB20から読み出して、ナビゲーション装置2に対して配信する渋滞区間の旅行時間配信処理等を行うための各種の制御プログラム(図3参照)が記録されたROM13等の内部記憶装置を備えている。尚、CPU11に代えてMPU等を使用することができる。
【0027】
また、センタ側地図情報DB14には、情報配信センタ3で作成され、ナビゲーション装置2に記憶された地図情報を更新する際の基本となる地図情報である更新用地図情報18がバージョン毎に区分されて記憶されている。更に、現在のナビゲーション装置2に記憶される地図情報の一部又は全部を更新用地図情報18に更新する為の更新情報についても記憶されている。ここで、バージョンとは地図情報が作成された時期を特定する為の作成時期情報であり、バージョンを参照することによって地図情報が作成された時期を特定することが可能となっている。
【0028】
また、センタ側地図情報DB14に記憶された更新用地図情報18には、ナビゲーション装置2で経路案内及び地図表示を行うのに必要な各種情報が記録されており、例えば、地図を表示するための地図表示データ、各交差点に関する交差点データ、ノード点に関するノードデータ、施設の一種である道路(道路リンク)に関するリンクデータ、経路を探索するための探索データ、施設の一種である店舗等のPOI(Point of Interest)に関する店舗データ、地点を検索するための検索データ等から構成されている。
【0029】
ここで、特に地図表示データとしては、10km×10kmで区画された2次メッシュをベースに4分割(長さ1/2)、16分割(1/4)、64分割(1/8)されたユニットで構成されており、各ユニットのデータ量が略同レベルになるように、各地のユニットが設定されている。最も小さい64分割サイズのユニットは、約1.25km四方の大きさである。
【0030】
また、ノードデータとしては、実際の道路の分岐点(交差点、T字路等も含む)、各道路に曲率半径等に応じて所定の距離ごとに設定されたノード点の座標(位置)、ノードが交差点に対応するノードであるか等を表すノード属性、ノードに接続するリンクの識別番号であるリンクIDのリストである接続リンク番号リスト、ノードにリンクを介して隣接するノードのノード番号のリストである隣接ノード番号リスト、各ノード点の高さ(高度)等に関するデータ等が記録される。
【0031】
また、リンクデータとしては、道路を構成する各道路リンク(以下、「リンク」という。)に関してリンクの属する道路の幅員、勾(こう)配、カント、バンク、路面の状態、道路の車線数、車線数の減少する箇所、幅員の狭くなる箇所、踏切り等を表すデータが、コーナに関して、曲率半径、交差点、T字路、コーナの入口及び出口等を表すデータが、道路属性に関して、降坂路、登坂路等を表すデータが、道路種別に関して、国道、県道、細街路等の一般道のほか、高速自動車国道、都市高速道路、一般有料道路、有料橋等の有料道路を表すデータがそれぞれ記録される。更に、有料道路に関して、有料道路の入口及び出口の取付道(ランプウェイ)、料金所(インターチェンジ)等に関するデータが記録される。
【0032】
また、探索データとしては、設定された目的地までの経路を探索及び表示する際に使用されるデータについて記録されており、ノードを通過する際の右左折や道路を構成するリンクの距離、道幅、道路種別等によって決定される各ノードの重み付け(以下、「コスト」という。)を算出する為に使用するコストデータ、経路探索により選択された経路を液晶ディスプレイ25の地図上に表示するための経路表示データ等から構成されている。
【0033】
また、店舗データとしては、各地域のホテル、病院、ガソリンスタンド、駐車場、観光施設等のPOIに関するデータがPOIを特定するIDとともに記録される。なお、前記センタ側地図情報DB14には、所定の情報をナビゲーション装置2のスピーカ26によって出力するための音声出力データも記録される。
【0034】
そして、情報配信センタ3は、ナビゲーション装置2からの要求があったタイミングで、センタ側地図情報DB14に格納された更新用地図情報18の内、最もバージョンの新しい更新用地図情報18によってナビゲーション装置2に記憶された地図情報の更新を行う。具体的には、本実施例に係るナビゲーションシステム1では、ナビゲーション装置2から更新用地図情報18の配信要求があった場合には、最もバージョンの新しい更新用地図情報18に更新する為の更新情報をナビゲーション装置2に対して配信することにより更新が行われる。ここで、ナビゲーション装置2に対して送信される更新情報としては、最もバージョンの新しい更新用地図情報18の新設道路を特定するための新設道路情報を含む全情報を送信することとしても良いし、現在のナビゲーション装置に記憶される地図情報から最もバージョンの新しい更新用地図情報18に更新する為の必要最小限の情報(新設道路を特定するための新設道路情報を含む更新部分の情報のみ)を送信することとしても良い。
【0035】
一方、ナビ更新履歴情報DB15には、ナビゲーション装置2に記憶されている地図情報について現在までに更新を行った更新履歴に関する情報が、ナビゲーション装置2を特定するナビ識別IDとともに記憶される。更新履歴としては、具体的に地図情報を構成するリンクデータやノードデータ毎にどのバージョンの地図情報が用いられているかが記憶されており、ナビゲーション装置2の地図情報の更新を行う毎に新たな更新履歴に書き換えられる。
【0036】
また、センタ側交通情報DB16には、道路交通情報センタ(VICS)5から受信した交通情報を収集して作成した現況の道路の渋滞等に関する情報である現況交通情報19Aが格納されている。また、このセンタ側交通情報DB16には、過去に作成された道路の渋滞等に関する統計的交通情報である統計交通情報19Bが格納されている。この統計交通情報19Bは、祭り、パレード、花火大会等のイベントの開催予定場所、予定日時等のイベント予定情報、例えば、駅周辺や大型商業施設周辺の道路には週末を除く毎日の特定時刻に渋滞が発生するとか、海水浴場周辺の道路には夏季休暇時期に渋滞が発生する等の統計的渋滞情報や渋滞予測情報を含んでもよい。更に、センタ側交通情報DB16には、現況交通情報19A及び統計交通情報19Bに基づいて作成された現況の各渋滞に対する将来における所定時刻毎(例えば、現在時刻から約30分間毎、約1時間毎、約2時間毎等である。)の渋滞予測情報等である予測交通情報19Cが格納されている。
そして、情報配信センタ3は、ナビゲーション装置2からの要求があったタイミングで、センタ側交通情報DB16に格納された現況交通情報19A、統計交通情報19B、及び予測交通情報19Cに基づいて各交差点間の交通情報等を選択して配信する(図7参照)。
【0037】
また、道路交通情報センタ(VICS)5から受信した交通情報には、種別情報、位置、渋滞区間の距離、渋滞度等の情報とともに、VICSリンクIDが含まれる。該VICSリンクIDは、道路を所定の交差点毎に分割して規格化された走行案内用リンクとしてのVICSリンクに付与された識別番号である。なお、前記交通情報には、各VICSリンクにおける始点及び終点の座標、始点から終点までの距離等の情報も含まれている。
【0038】
ここで、センタ側地図情報DB14に記憶される道路(リンク)とVICSリンクとは同一のものではない(一般的には、道路(リンク)の方がVICSリンクよりも細分化されている。)。そこで、各道路(リンク)に識別番号として付与される道路リンクIDとVICSリンクIDとの間の変換テーブル(対照表)を有し、VICSリンクIDに基づいて、対応する道路リンクIDを特定することができるようになっている。そのため、ナビゲーション装置2のように変換テーブルを有するものである場合には、情報配信センタ3や道路交通情報センタ(VICS)5からVICSリンクIDを受信すると、該VICSリンクIDに基づいて渋滞情報等の交通情報を表示すべき道路の区間を特定することができる。
ところが、ナビゲーション装置2が変換テーブルを有するものでない場合には、VICSリンクIDに基づいて道路の区間を特定することができなくなってしまう。そこで、センタ側交通情報DB16には、この変換テーブルも格納されている。これにより、VICSリンクIDをナビゲーション装置2において使用されている道路リンクIDに変換して、交通情報を送信することができる。
【0039】
尚、情報配信センタ3は、個人、企業、団体、地方自治体、政府関係機関等のいずれが運営していてもよく、道路交通情報センタ(VICS)5が運営していてもよい。
【0040】
また、ネットワーク4としては、例えばLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、イントラネット、携帯電話回線網、電話回線網、公衆通信回線網、専用通信回線網、インターネット等の通信回線網等の通信系を使用することができる。そして、放送衛星によるCS放送、BS放送、地上波ディジタルテレビ放送、FM多重放送等を利用する通信系を使用することもできる。更に、高度道路交通システム(ITS)において利用されるノンストップ自動料金支払いシステム(ETC)、狭域通信システム(DSRC)等の通信系を使用することもできる。
【0041】
次に、本実施例に係るナビゲーションシステム1を構成するナビゲーション装置2の概略構成について図2を用いて説明する。図2は本実施例に係るナビゲーション装置2を示したブロック図である。
【0042】
図2に示すように本実施例に係るナビゲーション装置2は、自車の現在位置を検出する現在地検出処理部21と、各種のデータが記録されたデータ記録部22と、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うナビゲーション制御部23と、操作者からの操作を受け付ける操作部24と、操作者に対して地図等の情報を表示する液晶ディスプレイ25と、経路案内に関する音声ガイダンスを出力するスピーカ26と、道路交通情報センタ(VICS)5や情報配信センタ3等との間で通信を行う通信装置27と、から構成されている。また、ナビゲーション制御部23には自車の走行速度を検出する車速センサ28が接続される。
【0043】
以下に、ナビゲーション装置2を構成する各構成要素について説明すると、現在地検出処理部21は、GPS31、地磁気センサ32、距離センサ33、ステアリングセンサ34、方位検出部としてのジャイロセンサ35、高度計(図示せず)等からなり、現在の自車の位置、方位、目標物(例えば、交差点)までの距離等を検出することが可能となっている。
【0044】
具体的には、GPS31は、人工衛星によって発生させられた電波を受信することにより、地球上における自車の現在地及び現在時刻を検出し、地磁気センサ32は、地磁気を測定することによって自車方位を検出し、距離センサ33は、道路上の所定の位置間の距離等を検出する。ここで、距離センサ33としては、例えば、自車の車輪(図示せず)の回転速度を測定し、測定した回転速度に基づいて距離を検出するセンサ、加速度を測定し、測定した加速度を2回積分して距離を検出するセンサ等を使用することができる。
【0045】
また、ステアリングセンサ34は自車の舵(だ)角を検出する。ここで、ステアリングセンサ34としては、例えば、ステアリングホイール(図示せず)の回転部に取り付けられた光学的な回転センサ、回転抵抗センサ、車輪に取り付けられた角度センサ等が使用される。
【0046】
そして、ジャイロセンサ35は自車の旋回角を検出する。ここで、ジャイロセンサ35としては、例えば、ガスレートジャイロ、振動ジャイロ等が使用される。また、ジャイロセンサ35によって検出された旋回角を積分することにより、自車方位を検出することができる。
【0047】
また、データ記録部22は、外部記憶装置及び記憶媒体としてのハードディスク(図示せず)と、ハードディスクに記憶されたナビ側交通情報DB36、ナビ側地図情報DB38、及び所定のプログラム等を読み出すとともにハードディスクに所定のデータを書き込む為のドライバである記録ヘッド(図示せず)とを備えている。尚、本実施例においては、データ記録部22の外部記憶装置及び記憶媒体としてハードディスクが使用されるが、ハードディスクのほかに、フレキシブルディスク等の磁気ディスクを外部記憶装置として使用することができる。また、メモリーカード、磁気テープ、磁気ドラム、CD、MD、DVD、光ディスク、MO、ICカード、光カード等を外部記憶装置として使用することもできる。
【0048】
ここで、ナビ側交通情報DB36には、道路交通情報センタ(VICS)5から受信した渋滞の実際の長さ、渋滞の原因、渋滞解消の見込まれる時刻等から構成される現況の道路の渋滞等に関する道路渋滞情報や、道路工事、建築工事等による交通規制情報等の交通情報から作成した現況交通情報37Aが格納される。また、ナビ側交通情報DB36には、過去に作成された道路の渋滞等に関する統計的交通情報である統計交通情報37Bが格納されている。この統計渋滞情報37は、祭り、パレード、花火大会等のイベントの開催予定場所、予定日時等のイベント予定情報、例えば、駅周辺や大型商業施設周辺の道路には週末を除く毎日の特定時刻に渋滞が発生するとか、海水浴場周辺の道路には夏季休暇時期に渋滞が発生する等の統計的渋滞情報や渋滞予測情報を含んでもよい。更に、ナビ側交通情報DB36には、現況交通情報37A及び統計交通情報37Bに基づいて作成された現況の各渋滞に対する将来における所定時刻毎(例えば、現在時刻から約30分間毎、約1時間毎、約2時間毎等である。)の渋滞予測情報等である予測交通情報37Cが格納されている。
【0049】
また、ナビ側地図情報DB38には、ナビゲーション装置2の走行案内や経路探索に使用されるとともに情報配信センタ3による更新対象となるナビ地図情報39が格納されている。ここで、ナビ地図情報39には、更新用地図情報18と同様に経路案内及び地図表示に必要な各種情報から構成されており、例えば、各新設道路を特定するための新設道路情報、地図を表示するための地図表示データ、各交差点に関する交差点データ、ノード点に関するノードデータ、施設の一種である道路(リンク)に関するリンクデータ、経路を探索するための探索データ、施設の一種である店舗等のPOIに関する店舗データ、地点を検索するための検索データ等から構成されている。尚、各データの詳細については既に説明したので、ここではその詳細は省略する。
そして、ナビ側地図情報DB38の内容は、情報配信センタ3から通信装置27を介して配信された更新情報をダウンロードすることによって更新される。
【0050】
また、図2に示すように、ナビゲーション装置2を構成するナビゲーション制御部23は、ナビゲーション装置2の全体の制御を行う演算装置及び制御装置としてのCPU41、並びにCPU41が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるとともに、経路が探索されたときの経路データや情報配信センタ3から受信した渋滞区間旅行時間等が記憶されるRAM42、制御用のプログラムのほか、後述の自車の現在位置等を所定時間毎に(本実施例では、約30秒毎である。)に情報配信センタ3に送信する自車位置情報送信処理プログラム(図3参照)が記憶されたROM43、ROM43から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ44等の内部記憶装置や、時間を計測するタイマ45等を備えている。尚、前記RAM42、ROM43、フラッシュメモリ44等としては半導体メモリ、磁気コア等が使用される。そして、演算装置及び制御装置としては、CPU41に代えてMPU等を使用することも可能である。
【0051】
また、本実施例においては、前記ROM43に各種のプログラムが記憶され、前記データ記録部22に各種のデータが記憶されるようになっているが、プログラム、データ等を同じ外部記憶装置、メモリーカード等からプログラム、データ等を読み出して前記フラッシュメモリ44に書き込むこともできる。更に、メモリーカード等を交換することによって前記プログラム、データ等を更新することができる。
【0052】
更に、前記ナビゲーション制御部23には、操作部24、液晶ディスプレイ25、スピーカ26、通信装置27の各周辺装置(アクチュエータ)が電気的に接続されている。
【0053】
操作部24は、走行開始時の現在地を修正し、案内開始地点としての出発地及び案内終了地点としての目的地を入力する際や施設に関する情報の検索を行う場合等に操作され、各種のキーや複数の操作スイッチから構成される。そして、ナビゲーション制御部23は、各スイッチの押下等により出力されるスイッチ信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。尚、操作部24としては、キーボード、マウス、バーコードリーダ、遠隔操作用のリモートコントロール装置、ジョイスティック、ライトペン、スタイラスペン等を使用することもできる。更に、液晶ディスプレイ25の前面に設けたタッチパネルによって構成することもできる。
【0054】
また、液晶ディスプレイ25には、ナビ地図情報39に基づく地図が表示されて各リンク上の交通情報が表示される経路案内画面の他、操作案内、操作メニュー、キーの案内、現在地から目的地までの誘導経路、誘導経路に沿った案内情報、交通情報、ニュース、天気予報、時刻、メール、テレビ番組等が表示される。尚、液晶ディスプレイ25の代わりに、CRTディスプレイ、プラズマディスプレイ等を使用したり、車両のフロントガラスにホログラムを投影するホログラム装置等を使用することも可能である。
【0055】
また、スピーカ26は、ナビゲーション制御部23からの指示に基づいて、誘導経路に沿った走行を案内する音声ガイダンス等を出力する。ここで、案内される音声ガイダンスとしては、例えば、「200m先、○○交差点を右方向です。」や「この先の国道○○号線が渋滞しています。」等がある。なお、スピーカ26より出力される音声としては、合成された音声のほかに、各種効果音、予めテープやメモリ等に録音された各種の案内情報を出力することもできる。
【0056】
そして、通信装置27は、情報配信センタ3と通信を行う通信手段であり、情報配信センタ3との間で最もバージョンの新しい更新地図情報等の送受信を行う。また、通信装置27は、情報配信センタ3に加えて、道路交通情報センタ(VICS)等から送信された渋滞情報、規制情報、駐車場情報、交通事故情報、サービスエリアの混雑状況等の各情報から成る交通情報を受信する。
【0057】
次に、前記構成を有するナビゲーションシステム1において、ナビゲーション装置2のCPU41が、自車位置等から構成される自車位置情報を情報配信センタ3に所定時間毎に(例えば、約30秒毎である。)送信する「自車位置情報送信処理」と、情報配信センタ3のCPU11がナビゲーション装置2から自車位置情報を受信した場合に実行する「渋滞区間の旅行時間配信処理」とについて図3乃至図6に基づいて説明する。
図3はナビゲーションシステム1のナビゲーション装置2が実行する「自車位置情報送信処理」と、情報配信センタ3が実行する「渋滞区間の旅行時間配信処理」とを示すフローチャートである。
【0058】
先ず、図3に基づいてナビゲーション装置2のCPU41が実行する「自車位置情報送信処理」について説明する。尚、図3に、S11〜S14のフローチャートで示されるプログラムは、ナビゲーション装置2が備えているRAM42やROM43に記憶されており、CPU41により所定時間毎(例えば、約100ミリ秒〜1秒毎である。)に実行される。
【0059】
図3に示すように、先ず、ステップ(以下、Sと略記する)11において、CPU41は、現在地検出処理部21により自車の現在位置(以下、「自車位置」という。)を検出して、自車位置を表す座標データ(例えば、緯度と経度のデータである。)をRAM42に記憶する。また、CPU41は、この自車位置を通過する通過時刻をタイマ45から読み出し通過時刻データとしてRAM42に記憶する。また、自車が位置する道路リンクIDと道路種別データ(例えば、高速自動車国道、都市高速道路、一般有料道路、国道、県道等を表すデータである。)をナビ地図情報39から読み出し、RAM42に記憶する。
【0060】
続いて、S12において、CPU41は、自車位置情報を情報配信センタ3に送信した前回の送信時刻を表す送信時刻データをRAM42から読み出し、この前回の時刻から所定の一定時間(所定の第1時間)(例えば、約30秒である。)が経過したか否かを判定する判定処理を実行する。
そして、自車位置情報を情報配信センタ3に送信した前回の時刻から所定の一定時間が経過していない場合には(S12:NO)、CPU41は、当該処理を終了する。
【0061】
一方、自車位置情報を情報配信センタ3に送信した前回の時刻から所定の一定時間が経過した場合には(S12:YES)、CPU41は、S13の処理に移行する。
S13において、CPU41は、RAM42に記憶した最新の自車位置を表す座標データ、通過時刻データ、自車が位置する道路リンクIDと道路種別データ等を読み出し、当該ナビゲーション装置2を識別するナビ識別IDと共に「自車位置情報」として情報配信センタ3に送信する。
続いて、S14において、CPU41は、タイマ45から現在の時刻データを読み出し、自車位置情報を情報配信センタ3に送信した送信時刻データとしてRAM42に記憶後、当該処理を終了する。
【0062】
次に、図3に基づいて情報配信センタ3のCPU11が実行する「渋滞区間の旅行時間配信処理」について説明する。尚、図3に、S111〜S114のフローチャートで示されるプログラムは、情報配信センタ3が備えているRAM12やROM13に記憶されており、CPU11により所定時間毎(例えば、約10ミリ秒〜100ミリ秒毎である。)に実行される。
【0063】
先ず、S111において、CPU11は、上記S13でナビゲーション装置2から送信された「自車位置情報」を受信したか否かを判定する判定処理を実行する。
そして、自車位置情報を受信していない場合には(S111:NO)、CPU11は、当該処理を終了する。
一方、自車位置情報を受信した場合には(S111:YES)、CPU11は、受信した「自車位置情報」を「今回自車位置情報」としてRAM12に記憶後、S112の処理に移行する。
S112において、CPU11は、RAM12から「今回自車位置情報」を再度読み出し、該自車位置情報のナビ識別IDを読み出し、当該「自車位置情報」を送信したナビゲーション装置2を特定する。そして、CPU11は、このナビゲーション装置2から所定時間前(例えば、約30秒前である。)に受信した前回の「自車位置情報」をRAM12から読み出し、「前回自車位置情報」として再度RAM12に記憶する。
そして、CPU11は、2つの自車位置情報としての「前回自車位置情報」と「今回自車位置情報」からそれぞれの道路リンクIDを読み出した後、当該各道路リンクIDに対応する渋滞情報を現況交通情報19Aから読み出す。そして、CPU11は、この各渋滞情報の渋滞度に対応する渋滞係数をROM13から読み出し、今回の渋滞区間旅行時間を算出する渋滞係数としてRAM12に記憶する。その後、CPU11は、この「前回自車位置情報」、「今回自車位置情報」及び渋滞情報の渋滞度に対応する渋滞係数に基づいて、後述の渋滞区間を通過するのに必要な旅行時間である渋滞区間旅行時間を算出し(図4乃至図6参照)、この渋滞区間旅行時間を当該ナビゲーション装置2が走行した渋滞区間に対応させて区間旅行時間DB20に記憶する。
【0064】
例えば、現況交通情報19Aから読み出した渋滞情報の渋滞度が「渋滞なし」の場合には、CPU11は、ROM13から該「渋滞なし」に対応する渋滞係数「1」をROM13から読み出し、今回の渋滞区間旅行時間を算出する渋滞係数としてRAM12に記憶する。また、現況交通情報19Aから読み出した渋滞情報の渋滞度が「混雑」の場合には、CPU11は、ROM13から該「混雑」に対応する渋滞係数「2」をROM13から読み出し、今回の渋滞区間旅行時間を算出する渋滞係数としてRAM12に記憶する。また、現況交通情報19Aから読み出した渋滞情報の渋滞度が「渋滞」の場合には、CPU11は、ROM13から該「渋滞」に対応する渋滞係数「3」をROM13から読み出し、今回の渋滞区間旅行時間を算出する渋滞係数としてRAM12に記憶する。
【0065】
ここで、CPU11がS112で実行する、渋滞区間を通過するのに必要な旅行時間である渋滞区間旅行時間の算出方法について、図4乃至図6に基づいて説明する。図4はステップ112の処理内容を説明する図で、渋滞区間X1に入る前のA地点と該渋滞区間X1に入ったB地点でナビゲーション装置2から受信した各自車位置情報に基づいて渋滞区間X1の旅行時間を算出する算出方法の説明図である。図5は図4の続きで、渋滞区間X1内のC地点でナビゲーション装置2から受信した該渋滞区間X1内の2回目の自車位置情報に基づいて渋滞区間の旅行時間を算出する算出方法の説明図である。図6は図5の続きで、渋滞区間を出たD地点でナビゲーション装置2から受信した自車位置情報に基づいて渋滞区間X1の旅行時間を算出する算出方法の説明図である。
【0066】
先ず、渋滞区間に入る前の地点と該渋滞区間に入った地点でナビゲーション装置2から自車位置情報を受信した場合に、CPU11が実行する渋滞区間旅行時間の算出方法について図4に基づいて説明する。
図4に示すように、各ノードN1、N2間のリンクR1に対応する渋滞情報の渋滞度は、「渋滞なし」である。また、各ノードN2、N3間のリンクR2(渋滞区間X1)に対応する渋滞情報の渋滞度は、「渋滞」である。そして、この渋滞区間X1における渋滞長さが矢印Qで示されている。また、各ノードN3、N4間のリンクR3に対応する渋滞情報の渋滞度は、「渋滞なし」である。
また、ナビゲーション装置2のCPU41は、渋滞区間X1に入る前のリンクR1のA地点と該渋滞区間X1に入ったリンクR2のB地点で、それぞれ自車位置情報を約30秒間隔で情報配信センタ3に送信している。
【0067】
これにより、情報配信センタ3のCPU11は、先ず、前回自車位置情報と今回自車位置情報とからナビゲーション装置2を識別するナビ識別IDを読み出し、ナビ更新履歴情報DB15から当該ナビゲーション装置2に記憶されている地図情報のバージョンを特定する。また、このナビゲーション装置2に記憶されている地図情報のバージョンに合わせて渋滞区間X1の渋滞区間旅行時間を算出するための更新用地図情報18を特定する。そして、前回自車位置情報と今回自車位置情報とから各A、B地点の座標データを読み出すと共に、各リンクR1、R2及びノードN2のデータを、この特定した更新用地図情報18から読み出し、A地点とノードN2との間の走行距離aと、ノードN2とB地点との間の走行距離b(第1走行距離)とを算出してRAM12に記憶する。また、今回自車位置情報からリンクR2の道路リンクIDを読み出し、当該道路リンクIDに対応する渋滞情報を現況交通情報19Aから読み出す。そして、現況交通情報19Aから読み出した渋滞情報の渋滞度が「渋滞」の場合には、CPU11は、ROM13から該「渋滞」に対応する渋滞係数「3」をROM13から読み出し、当該渋滞区間X1の渋滞区間旅行時間を算出する渋滞係数としてRAM12に記憶する。また、前回自車位置情報と今回自車位置情報から各地点A、Bの各通過時刻データを読み出し、A地点からB地点までの走行時間である「30秒」を算出してRAM12に記憶する。
【0068】
そして、図4に示すように、CPU11は、走行距離bに渋滞係数「3」を積算して、重み付を行う。続いて、CPU11は、走行距離aに、この重み付を行った走行距離(b×3)を加算した数値で、A地点からB地点までの走行時間である「30秒」を除算した値に、この重み付を行った走行距離(b×3)を積算して、ノードN2からB地点までの走行距離bを走行した走行時間(第1走行時間)を算出してRAM12に記憶する。
その後、CPU11は、リンクR2の長さデータ、即ち渋滞区間X1の距離データを更新用地図情報18から読み出し、渋滞区間X1の距離(b+f1)をリンクR2内の走行距離bで除算した数値に、このノードN2からB地点までの走行時間(第1走行時間)を積算して、当該渋滞区間X1の渋滞区間旅行時間(予測旅行時間)として区間旅行時間DB20に記憶する。
【0069】
次に、渋滞区間X1内のC地点でナビゲーション装置2から受信した該渋滞区間X1内の2回目の自車位置情報に基づいて渋滞区間X1の旅行時間を算出する算出方法について図5に基づいて説明する。尚、図5において、図4と同一符号は、この図4の構成と同一あるいは相当部分を示すものである。
図5に示すように、CPU11は、前回自車位置情報と今回自車位置情報とから各B、C地点の座標データを読み出すと共に、リンクR2及び各ノードN2、N3のデータを更新用地図情報18から読み出し、ノードN2とB地点との間の走行距離b(第1走行距離)と、B地点とC地点との間の走行距離cを算出してRAM12に記憶する。また、前回自車位置情報と今回自車位置情報から各地点B、Cの各通過時刻データを読み出し、B地点からC地点までの走行時間である「30秒」を算出してRAM12に記憶する。
【0070】
そして、図5に示すようにCPU11は、RAM12から走行距離bを走行した走行時間(第1走行時間)を読み出し、この走行時間(第1走行時間)にB地点からC地点までの走行時間である「30秒」を加算して、ノードN2からC地点までの走行時間(第2走行時間)を算出してRAM12に記憶する。即ち、CPU11は、渋滞係数「3」を積算して重み付を行った走行距離(b×3)に走行距離aを加算した数値で、A地点からB地点までの走行時間である「30秒」を除算した値に、この重み付を行った走行距離(b×3)を積算して、走行距離bを走行した走行時間(第1走行時間)を算出後、更に、この算出値にB地点からC地点までの走行時間である「30秒」を加算して、ノードN2からC地点までの走行時間(第2走行時間)を算出してRAM12に記憶する。
その後、CPU11は、リンクR2の長さデータ、即ち渋滞区間X1の距離データを更新用地図情報18から読み出し、渋滞区間X1の距離(b+c+f2)をノードN2からC地点までの走行距離(b+c)で除算した数値に、このノードN2からC地点までの走行時間(第2走行時間)を積算して、渋滞区間X1の渋滞区間旅行時間として区間旅行時間DB20に記憶し、当該渋滞区間X1の渋滞区間旅行時間を更新する。
【0071】
次に、渋滞区間X1を出たD地点でナビゲーション装置2から受信した自車位置情報に基づいて渋滞区間X1の旅行時間を算出する算出方法について図6に基づいて説明する。尚、図6において、図4及び図5と同一符号は、この図4及び図5の構成と同一あるいは相当部分を示すものである。
図6に示すように、CPU11は、前回自車位置情報と今回自車位置情報とから各C、D地点の座標データを読み出すと共に、各リンクR2、R3及びノードN3のデータを更新用地図情報18から読み出し、C地点とノードN3との間の走行距離f2(第2走行距離)と、ノードN3とD地点との間の走行距離dとを算出してRAM12に記憶する。また、前回自車位置情報と今回自車位置情報から各地点C、Dの各通過時刻データを読み出し、C地点からD地点までの走行時間である「30秒」を算出してRAM12に記憶する。
【0072】
そして、CPU11は、RAM12から渋滞区間X1の渋滞係数「3」と走行距離f2(第2走行距離)とを読み出し、この走行距離f2(第2走行距離)に渋滞係数「3」を積算して、重み付を行う。続いて、CPU11は、走行距離dに、この重み付を行った走行距離(f2×3)を加算した数値で、C地点からD地点までの走行時間である「30秒」を除算した値に、この重み付を行った走行距離(f2×3)を積算して、C地点からノードN3までの走行距離f2(第2走行距離)を走行した走行時間(第3走行時間)を算出してRAM12に記憶する。
【0073】
その後、CPU11は、ノードN2からC地点までの走行時間(第2走行時間)を読み出し、この走行時間(第2走行時間)にC地点からノードN3までの走行時間(第3走行時間)を加算して、渋滞区間X1の渋滞区間旅行時間として区間旅行時間DB20に記憶して、当該渋滞区間X1の渋滞区間旅行時間を更新する。即ち、CPU11は、渋滞係数「3」を積算して重み付を行った走行距離(b×3)に走行距離aを加算した数値で、A地点からB地点までの走行時間である「30秒」を除算した値に、この重み付を行った走行距離(b×3)を積算して、走行距離bを走行した走行時間(第1走行時間)を算出後、更に、この算出値にB地点からC地点までの走行時間である「30秒」を加算し、更に、C地点からノードN3までの走行時間(第3走行時間)を加算して、渋滞区間X1の渋滞区間旅行時間として区間旅行時間DB20に記憶して、当該渋滞区間X1の渋滞区間旅行時間を更新する。
【0074】
そしてまた、図3に示すように、S113において、CPU11は、ナビゲーション装置2から当該ナビゲーション装置2を識別するナビ識別IDと共に、区間旅行時間DB20に記憶される各渋滞区間旅行時間の配信要求を受信したか否かを判定する判定処理を実行する。そして、ナビゲーション装置2から区間旅行時間DB20に記憶される各渋滞区間旅行時間の配信要求を受信していない場合には(S113:NO)、CPU11は、当該処理を終了する。
一方、ナビゲーション装置2から当該ナビゲーション装置2を識別するナビ識別IDと共に、区間旅行時間DB20に記憶される各渋滞区間旅行時間の配信要求を受信した場合には(S113:YES)、CPU11は、S114の処理に移行する。S114において、CPU11は、当該ナビ識別IDによって特定されるナビゲーション装置2に対して区間旅行時間DB20に記憶される各渋滞区間の渋滞区間旅行時間を配信後、当該処理を終了する。
【0075】
以上詳細に説明した通り、本実施例に係るナビゲーションシステム1では、ナビゲーション装置2のCPU41は、所定の一定時間毎に(例えば、約30秒毎である。)RAM42に記憶した最新の自車位置を表す座標データ、通過時刻データ、自車が位置する道路リンクIDと道路種別データ等を、当該ナビゲーション装置を識別するナビ識別IDと共に「自車位置情報」として情報配信センタ3に送信する(S11〜S14)。そして、情報配信センタ3のCPU11は、ナビゲーション装置2から自車位置情報を受信した場合には、「今回自車位置情報」としてRAM12に記憶後、該自車位置情報のナビ識別IDを読み出し、当該「自車位置情報」を送信したナビゲーション装置2を特定する。そして、このナビゲーション装置2から所定時間前(例えば、約30秒前である。)に受信した前回の「自車位置情報」をRAM12から読み出し、「前回自車位置情報」として再度RAM12に記憶する。そして、CPU11は、「前回自車位置情報」と「今回自車位置情報」からそれぞれの道路リンクIDを読み出した後、当該各道路リンクIDに対応する渋滞情報を現況交通情報19Aから読み出す。そして、CPU11は、この「前回自車位置情報」、「今回自車位置情報」及び渋滞情報から当該ナビゲーション装置2が走行した渋滞区間X1の渋滞区間旅行時間を算出して、該渋滞区間X1に対応させて区間旅行時間DB20に記憶する。その後、ナビゲーション装置2から渋滞区間旅行時間の配信要求があった場合には、CPU11は、このナビゲーション装置2に対して区間旅行時間DB20に記憶される各渋滞区間の渋滞区間旅行時間を配信する(S111〜S114)。
【0076】
これにより、ナビゲーション装置2から一定時間毎に(例えば、約30秒毎である。)情報配信センタ3に自車位置情報を送信することによって、情報配信センタ3は、少なくとも一定時間の間隔(例えば、約30秒間隔である。)で取得した「前回自車位置情報」と「今回自車位置情報」とから渋滞区間X1を通過するのに必要な渋滞区間旅行時間を算出して、渋滞区間X1を走行していない他のナビゲーション装置2に当該渋滞区間旅行時間を配信することが可能となる。また、渋滞区間X1を走行しているナビゲーション装置2は、渋滞区間X1内でこの渋滞区間X1を通過するのに必要な渋滞区間旅行時間を情報配信センタ3から入手することが可能となり、渋滞区間X1を通過するのに必要な最新の予測時間に基づいて目的地への到着時刻を高精度に予測することが可能となる。
【0077】
また、情報配信センタ3は、渋滞区間X1内のナビゲーション装置2から自車位置情報を一定時間毎に(例えば、約30秒毎である。)取得した場合には、渋滞区間旅行時間を再度、算出することが可能となり、該渋滞区間X1を通過するのに必要な渋滞区間旅行時間を更新して、渋滞区間X1を走行していない他のナビゲーション装置2に更に精度の高い渋滞区間旅行時間を配信することが可能となる。また、渋滞区間X1を走行しているナビゲーション装置2は、一定時間毎に更新される渋滞区間旅行時間を情報配信センタ3から入手することが可能となり、渋滞区間X1を通過するのに必要な最新の予測時間に基づいて目的地への到着時刻を更に高精度に予測することが可能となる。
更に、情報配信センタ3は、渋滞区間X1内のナビゲーション装置から最後に受信した前回自車位置情報と該渋滞区間X1を通過後に受信した今回自車位置情報とから、渋滞区間X1を通過するのに必要な渋滞区間旅行時間を更新して、渋滞区間X1を走行していない他のナビゲーション装置2に更に精度の高い渋滞区間旅行時間を配信することが可能となる。
【0078】
尚、本発明は前記本実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。例えば、以下のようにしてもよい。
【0079】
(A)上記S113及びS114の処理に替えて、情報配信センタ3のCPU11は、一定時間毎に(例えば、約5分〜10分毎である。)、この情報配信センタ3に登録されている各ナビゲーション装置2に対して区間旅行時間DB20に記憶されている各渋滞区間の渋滞区間旅行時間を配信するようにしてもよい。これにより、各ナビゲーション装置2は、一定時間経過毎に区間旅行時間DB20に記憶された最新の渋滞区間旅行時間を情報配信センタ3から入手して、目的地への到着時刻を高精度に予測することが可能となる。
【0080】
(B)上記S113及びS114の処理に替えて、情報配信センタ3のCPU11は、ナビゲーション装置2から自車位置情報を受信して、区間旅行時間DB20に記憶されている渋滞区間の渋滞区間旅行時間を更新する毎に、この情報配信センタ3に登録されている各ナビゲーション装置2に対して区間旅行時間DB20に記憶されている各渋滞区間の渋滞区間旅行時間を配信するようにしてもよい。これにより、各ナビゲーション装置2は、これにより、各ナビゲーション装置2は、区間旅行時間DB20に記憶された最新の渋滞区間旅行時間を情報配信センタ3から入手して、目的地への到着時刻を高精度に予測することが可能となる。
【0081】
(C)上記S12の処理に替えて、ナビゲーション装置2のCPU41は、自車位置情報を情報配信センタ3に送信してから一定距離(例えば、約500m走行である。)走行したか否かを判定し、この一定距離走行していない場合には当該処理を終了し、一方、この一定距離走行した場合には、S13の処理に移行するように構成してもよい。これにより、ナビゲーション装置2は、渋滞区間内における自車位置情報を取得して、情報配信センタ3へ該自車位置情報を送信することが可能となる。
【0082】
(D)上記S13の処理に替えて、ナビゲーション装置2のCPU41は、「自車位置情報」として自車位置が位置するリンクIDと道路種別データを送信せず、座標データ、通過時刻データを情報配信センタ3に送信するようにしてもよい。この場合、情報配信センタ3は、S112において、ナビゲーション装置2から送信された座標データと更新用地図情報18とに基づいて、リンクIDを特定し、特定されたリンクIDに対応する渋滞情報を現況交通情報19Aから読み出す。これにより、ナビゲーション装置2から情報配信センタ3に送信するデータ量を削減することができる。
【0083】
(E)上記実施例では、図4乃至図6に示すように、情報配信センタ3のCPU11は、各A、B、C、D地点からナビゲーション装置2の自車位置情報を受信して、順次渋滞区間X1の渋滞区間旅行時間を算出したが、図7に示すように、渋滞区間X1に入る前のリンクR1のA地点と該渋滞区間X1通過後のリンクR3のD地点からナビゲーション装置2の自車位置情報を約30秒間隔で受信した場合にも、渋滞区間X1の渋滞区間旅行時間(予測旅行時間)を算出して、区間旅行時間DB20に記憶することができる。
【0084】
具体的には、情報配信センタ3のCPU11は、A地点からの前回自車位置情報とD地点からの今回自車位置情報とから各A、D地点の座標データを読み出すと共に、各リンクR1、R2、R3及び各ノードN2、N3のデータを、特定した更新用地図情報18から読み出す。そして、CPU11は、A地点とノードN2との間の走行距離aと、ノードN2とノードN3との間の渋滞区間X1における走行距離f3(第1走行距離)と、ノードN3とD地点との間の走行距離dとを算出してRAM12に記憶する。また、前回自車位置情報と今回自車位置情報から各地点A、Dの各通過時刻データを読み出し、A地点からD地点までの走行時間である「30秒」を算出してRAM12に記憶する。
【0085】
そして、図7に示すように、CPU11は、走行距離f3に渋滞係数「3」を積算して、重み付を行う。続いて、CPU11は、走行距離aに、この重み付を行った走行距離(f3×3)と走行距離dとを加算した数値で、A地点からD地点までの走行時間である「30秒」を除算した値に、この重み付を行った走行距離(f3×3)を積算して、ノードN2からノードN3までの渋滞区間X1の走行距離f3を走行した走行時間(第1走行時間)を算出して、当該渋滞区間X1の渋滞区間旅行時間(予測旅行時間)として区間旅行時間DB20に記憶する。
これにより、情報配信センタ3は、渋滞区間X1に入る前のナビゲーション装置から受信した前回自車位置情報と該渋滞区間X1を通過後に受信した今回自車位置情報とから、渋滞区間X1を通過するのに必要な渋滞区間旅行時間を更新して、渋滞区間X1を走行していない他のナビゲーション装置2に精度の高い渋滞区間旅行時間を配信することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本実施例に係るナビゲーションシステムを示したブロック図である。
【図2】ナビゲーションシステムのナビゲーション装置を示したブロック図である。
【図3】ナビゲーションシステムのナビゲーション装置が実行する「自車位置情報送信処理」と、情報配信センタが実行する「渋滞区間の旅行時間配信処理」とを示すフローチャートである。
【図4】図3のステップ112の処理内容を説明する図で、渋滞区間に入る前のA地点と該渋滞区間に入ったB地点でナビゲーション装置から受信した各自車位置情報に基づいて渋滞区間の旅行時間を算出する算出方法の説明図である。
【図5】図4の続きで、渋滞区間内のC地点でナビゲーション装置から受信した該渋滞区間内の2回目の自車位置情報に基づいて渋滞区間の旅行時間を算出する算出方法の説明図である。
【図6】図5の続きで、渋滞区間を出たD地点でナビゲーション装置から受信した自車位置情報に基づいて渋滞区間の旅行時間を算出する算出方法の説明図である。
【図7】図3のステップ112の処理内容を説明する図で、渋滞区間に入る前のA地点と該渋滞区間通過後のD地点でナビゲーション装置から受信した各自車位置情報に基づいて渋滞区間の旅行時間を算出する算出方法の説明図である。
【符号の説明】
【0087】
1 ナビゲーションシステム
2 ナビゲーション装置
3 情報配信センタ
4 ネットワーク
5 道路交通情報センタ(VICS)
10 サーバ
11、41 CPU
12、42 RAM
13、43 ROM
14 センタ側地図情報DB
16 センタ側交通情報DB
17 センタ側通信装置
18 更新用地図情報
19A、37A 現況交通情報
19B、37B 統計交通情報
19C、37C 予測交通情報
20 区間旅行時間DB
23 ナビゲーション制御部
27 通信装置
38 ナビ側地図情報DB
39 ナビ地図情報
X1 渋滞区間
N1〜N4 ノード
R1〜R3 リンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナビゲーション装置と、
道路区間を通過するのに必要な区間旅行時間を配信する配信手段を有する情報配信センタと、を備えたナビゲーションシステムにおいて、
前記ナビゲーション装置は、
自車位置と前記自車位置を通過した通過時刻とを含む自車位置情報を所定の第1時間毎に前記情報配信センタに送信する自車位置情報送信手段
を有し、
前記情報配信センタは、
前記自車位置情報を受信する自車位置情報受信手段と、
受信した自車位置情報を順次記憶する自車位置情報記憶手段と、
渋滞情報を含む交通情報を受信する交通情報受信手段と、
前記渋滞情報に基づいて渋滞区間を特定する渋滞区間特定手段と、
前記ナビゲーション装置から受信した2つの自車位置情報に基づいて算出した該渋滞区間内の第1走行距離に該渋滞区間の渋滞情報に対応する重み付けを行った後、該第1走行距離に対応する第1走行時間を算出する第1算出手段と、
前記第1走行時間に基づいて該渋滞区間を通過するのに必要な渋滞区間旅行時間を算出する旅行時間算出手段と、
を有し、
該情報配信センタは、前記配信手段を介して前記渋滞区間旅行時間を配信することを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項2】
前記2つの自車位置情報は、前記渋滞区間に入る前のナビゲーション装置から受信した自車位置情報と該渋滞区間内の該ナビゲーション装置から受信した自車位置情報であることを特徴とする請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項3】
前記第1算出手段は、更に前記ナビゲーション装置から前記渋滞区間内の自車位置情報を受信した場合には、該自車位置情報を受信する毎に、前記第1走行時間に前記所定の第1時間を加算して第2走行時間を算出し、
前記旅行時間算出手段は、前記第2走行時間に基づいて該渋滞区間を通過するのに必要な渋滞区間旅行時間を算出することを特徴とする請求項2に記載のナビゲーションシステム。
【請求項4】
前記情報配信センタは、
前記ナビゲーション装置から前記渋滞区間通過後に自車位置情報を受信した場合には、該渋滞区間内の該ナビゲーション装置から最後に受信した自車位置情報と前記渋滞区間通過後に受信した自車位置置情報とに基づいて算出した、前記最後に受信した自車位置情報の自車位置から該渋滞区間を通過するまでの第2走行距離に該渋滞区間の渋滞情報に対応する重み付けを行った後、該第2走行距離に対応する第3走行時間を算出する第2算出手段を有し、
前記旅行時間算出手段は、前記第2走行時間に前記第3走行時間を加算した第4走行時間を前記渋滞区間旅行時間とすることを特徴とする請求項3に記載のナビゲーションシステム。
【請求項5】
前記2つの自車位置情報は、前記渋滞区間に入る前のナビゲーション装置から受信した自車位置情報と該渋滞区間通過後の該ナビゲーション装置から受信した自車位置情報であることを特徴とする請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項6】
前記情報配信センタは、前記ナビゲーション装置から前記渋滞区間旅行時間の配信要求を受信した場合に、前記配信手段を介して該渋滞区間旅行時間を該ナビゲーション装置に配信することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のナビゲーションシステム。
【請求項7】
前記情報配信センタは、所定の第2時間経過毎に、前記配信手段を介して前記渋滞区間旅行時間を前記ナビゲーション装置に配信することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のナビゲーションシステム。
【請求項8】
前記情報配信センタは、前記旅行時間算出手段が前記渋滞区間旅行時間を算出する毎に、前記配信手段を介して該渋滞区間旅行時間を前記ナビゲーション装置に配信することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のナビゲーションシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−272606(P2007−272606A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−98038(P2006−98038)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】