説明

ナビゲーション装置、ルート検索方法及びコンピュータプログラム

【課題】安全なルートをユーザに提示するナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】ルート検索サーバ1は、地図データを記憶した地図データ記憶部11と、事故発生地点に係る道路リンクである事故発生リンクを記憶した事故発生リンク記憶部15と、出発地点と目的地点とを指定したルート検索要求を受け付けて、地図データに基づいて出発地点から目的地点までの一以上のルートのうち、旅行時間が最短となるルートを検索するルート検索部19と、を備える。ルート検索部19は、事故発生リンクが含まれるルートの旅行時間を算出するときは、事故発生リンクで事故に遭遇するリスクをリンク旅行時間に換算したリスク時間を、事故発生リンクのリンク旅行時間に加算して、事故発生リンクが含まれるルートの旅行時間を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両などに対するナビゲーション技術に関する。
【背景技術】
【0002】
交通事故が多発する事故多発地帯(地点)なるものが存在する。従来のカーナビゲーションシステムに係る技術において、事故多発地帯を含むルートを提示するときは、ユーザが事故多発地帯を含むことを認識できるように表示を行うものがある(例えば、特許文献1)。さらに、走行中に事故多発地帯に近づくと、画面表示と音声案内でドライバーに知らせるカーナビゲーション装置が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−283395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来のカーナビゲーション装置が、ルート検索要求を受けて提示するルートは、多くの場合、「最も早く着くルート」あるいは「最短距離ルート」である。しかしながら、現実にユーザが欲するルートは、ユーザによっても異なるし、同一ユーザであってもその時々で異なる。例えば、安全を重視するために、事故多発地帯を回避したいと思うユーザもいれば、多少のリスクを承知で最短ルートを選びたいユーザもいる。
【0005】
従来のカーナビゲーション装置では、そのようなユーザの多様なニーズに十分に応えるものが存在しなかった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、安全なルートをユーザに提示するためのナビゲーション技術を提供することである。
【0007】
本発明の別の目的は、ユーザが選択した安全度に応じたルートをユーザに提示するためのナビゲーション技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一つの実施態様に従うナビゲーション装置は、交差点を示すノードに関するノードデータと、前記ノード間を結ぶ道路リンクに関するリンクデータとを含む地図データを記憶した地図記憶部と、事故発生地点に係る道路リンクである事故発生リンクを記憶した事故リンク記憶部と、出発地点と目的地点とを指定したルート検索要求を受け付けて、前記地図データに基づいて前記出発地点から前記目的地点までの一以上のルートのうち、旅行時間が最短となるルートを検索するルート検索部と、を備え、前記ルート検索部は、前記事故発生リンクが含まれるルートの旅行時間を算出するときは、前記事故発生リンクで事故に遭遇するリスクをリンク旅行時間に換算したリスク時間を、前記事故発生リンクのリンク旅行時間に加算して、前記事故発生リンクが含まれるルートの旅行時間を算出することを特徴とする。
【0009】
好適な実施態様では、前記ルート検索要求において、安全性の高いルートを所望する度合いを示す安全優先度の指定を受け付けると、前記ルート検索部は、前記受け付けた安全優先度が高いほど、前記リスク時間を長く設定して、前記事故発生リンクが含まれるルートの旅行時間を算出するようにしてもよい。
【0010】
好適な実施態様では、前記事故リンク記憶部は、事故発生リンク別の事故頻度をさらに記憶していて、前記ルート検索部は、前記事故発生頻度が高いほどリスク時間を長く設定して、前記事故発生リンクが含まれるルートの旅行時間を算出するようにしてもよい。
【0011】
好適な実施態様では、事故発生地点及び事故状況をテキストで記述した事故データを受け付けると、前記事故データのテキスト解析を行って、前記事故発生リンクを特定し、前記事故リンク記憶部へ格納する事故発生リンク特定手段をさらに備えてもよい。
【0012】
好適な実施態様では、事故発生リンク特定手段は、前記事故発生地点に対応するノードを特定し、前記事故状況を記述したテキストを解析して、事故車が前記ノードへ進入した際の道路リンクを特定して、前記特定された道路リンクを前記発生リンクとしてもよい。
【0013】
好適な実施態様では、事故発生リンク特定手段は、前記事故状況を記述したテキストを解析して、事故車の進入方向を示すベクトルを導出し、前記ノードにつながる道路リンクのベクトルとから進入リンクを特定してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係るルート検索システムの全体構成を示す図である。
【図2】事故発生リンク記憶部15のデータ構造の一例を示す。
【図3】事故データ30の一例を示す。
【図4】事故の状況を説明する図である。
【図5】ルート検索サーバ1が行うルート検索処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】出発地点から目的地点までの道路地図を模式的に示す図である。
【図7】図6の地図内に存在する道路リンクに係るルックアップテーブルである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態に係るナビゲーション装置を含むルート検索システムについて、図面を参照して説明する。
【0016】
図1は、本実施形態に係るルート検索システムの全体構成を示す図である。本システムは、同図に示すように、ナビゲーション装置であるルート検索サーバ1と、ユーザ端末装置3と、道路交通情報提供サーバ5とが、ネットワーク9を介して互いに接続されている。ルート検索サーバ1には、入力装置6及び表示装置7が接続されている。
【0017】
ルート検索サーバ1および道路交通情報提供サーバ5は、いずれも例えば汎用的なコンピュータシステムにより構成され、以下に説明するルート検索サーバ1および道路交通情報提供サーバ5内の個々の構成要素または機能は、例えば、コンピュータプログラムを実行することにより実現される。このコンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納可能である。
【0018】
ユーザ端末装置3は、通信機能を有する端末装置であればよく、例えば、携帯電話機、携帯情報端末、あるいは汎用的なパーソナルコンピュータなどでもよい。ユーザ端末装置3,3は、液晶パネルなどの表示装置、及びプッシュボタンあるいはポインティングデバイスなどの入力装置を有する。ユーザ端末装置3が携帯電話機などの場合は、無線基地局8との間で無線通信を行う。
【0019】
ルート検索サーバ1は、地図データ記憶部11と、事故発生リンク特定処理部13と、事故発生リンク記憶部15と、標準リンク旅行時間記憶部17と、ルート検索部19とを有する。
【0020】
地図データ記憶部11は、交差点などを示すノードに関するノードデータと、ノード間を結ぶ道路リンクに関するリンクデータとを含む地図データを記憶する。
【0021】
標準リンク旅行時間記憶部17は、各道路リンクに対して予め定められている標準のリンク旅行時間を記憶する。
【0022】
事故発生リンク記憶部15は、事故発生地点に係る道路リンクである事故発生リンクを記憶する。事故発生リンク記憶部15のデータ構造の一例を図2に示す。すなわち、事故発生リンク記憶部15は、データ項目として、事故発生リンクNo151と、事故頻度を示す月間事故件数153とを有する。事故発生リンクNo151は、例えば、事故が発生した地点の道路リンクでもよいし、または、事故が発生した交差点と接続している道路リンクでもよい。月間事故件数153は1カ月の事故件数を示すが、月間事故件数の代わりに、事故頻度を示す他の数値であってもよい。事故発生リンクNo151及び月間事故件数153の事故発生リンク記憶部15への登録は、例えば、オペレータが入力装置6から行ってもよいし、次に説明する事故発生リンク特定処理部13が行ってもよい。
【0023】
事故発生リンク特定処理部13は、事故発生地点及び事故状況をテキストで記述した事故データを受け付けると、事故データのテキスト解析を行う。事故発生リンク特定処理部13は、このテキスト解析の結果に従って事故発生リンクを特定し、事故発生リンク記憶部15へ格納する。
【0024】
例えば、事故発生リンク記憶部15が図2のデータ構造を有する場合、事故発生リンク特定処理部13は、事故データから事故発生リンクNo151を特定して、事故発生リンク別の月間事故件数153をカウントする。
【0025】
図3に事故データ30の一例を示す。同図に示すように、事故データ30は、データ項目として事故発生地点31と、事故状況33とを含む。事故発生地点31には、事故発生地点の住所を示すテキストが含まれている。事故状況33には、事故状況を説明するテキストが含まれている。事故データ30は、1カ月の間に起こった事故に関するデータを含む。
【0026】
事故発生リンク特定処理部13は、事故発生地点に対応するノードを特定し、事故状況を記述したテキストを解析して、事故車がそのノードへ進入した際の道路リンクを特定し、この特定された道路リンクを事故発生リンクとする。
【0027】
例えば、まず、事故発生リンク特定処理部13は、事故発生地点31のテキスト解析(例えば形態素解析など)を行って、事故発生地点の住所を特定し、この住所に基づいて事故発生地点の緯度及び経度を特定する。事故発生リンク特定処理部13は、地図データ記憶部11を参照して、この事故発生地点の緯度及び経度の地点に存在する道路リンクまたはノード(交差点)を特定する。緯度及び経度で特定される事故発生地点が一つの道路リンクと対応する場合は、その道路リンクが事故発生リンクとなる。一方、緯度及び経度で特定される事故発生地点がノードと対応する場合は、事故発生リンク特定処理部13は、そのノードに接続している道路リンクのうちのいずれかを、事故発生リンクとして特定する。
【0028】
次に、事故発生地点がノードと対応する場合の事故発生リンクの特定方法をさらに詳細に説明する。
【0029】
事故発生リンク特定処理部13は、事故状況を記述したテキスト(事故状況33)を解析して、事故車の進入方向を示すベクトルを導出し、事故発生地点のノードにつながる道路リンクのベクトルとから進入リンクを特定する。
【0030】
例えば、事故発生リンク特定処理部13は、事故状況33のテキスト解析を行って単語を切り出す。そして、事故発生リンク特定処理部13は、その切り出した単語の中から、事故を起こした車両が事故地点の交差点に進入した道路を特定するための単語を抽出する。例えば、事故発生リンク特定処理部13は、例えば地名を含む単語を抽出する。そして、交差点(ノード)の位置と抽出した地名などの単語とから、車両が進入した方向を示す進入方向ベクトルを導出する。さらに、事故発生リンク特定処理部13は、例えば、地図データ記憶部11から交差点のノードと接続する道路リンクの方向を示すベクトルを取得し、これらと進入方向ベクトルとの内積を算出する。そして、この内積が最も大きい道路リンクを、その交差点(ノード)へ進入した道路リンクと推定するようにしてもよい。事故発生リンク特定処理部13は、ここで推定した道路リンクを事故発生リンクとする。事故車両が複数あるときは、事故発生リンク特定処理部13は、それぞれの事故車両について上記の処理を行う。これにより、事故発生リンク特定処理部13は、事故地点のノードに多数の道路リンクが接続されていても、事故車両がそのノードへ進入したときの道路リンクのみを事故発生リンクとするようにしてもよい。
【0031】
例えば、図4に示すような交差点Cで、同図に示すように2台の車両M1,M2が衝突事故を起こした場合を想定する。このとき、上述した事故データ30のテキスト解析処理により、2台の車両M1,M2がノードNに進入したときのそれぞれの進入リンクとしてL4及びL8が特定される。その結果、事故発生リンクもまた、L4及びL8となる。つまり、ノードNと接続されていても、他の道路リンク(L1〜L3,L5〜L7)は、事故発生リンクとしては扱われない。これらの他のリンクは、その事故とは直接の関係がないからである。
【0032】
再び図1に戻ると、ルート検索部19は、出発地点と目的地点とを指定したルート検索要求を受け付けて、地図データに基づいて出発地点から目的地点までの一以上複数のルートのうち、旅行時間が最短となるルートを検索する。ルート検索部19は、旅行時間が最短であるルートを、ルート検索要求の応答として出力する。例えば、ルート検索部19は、道路交通情報に渋滞情報などが含まれていると、その渋滞情報に応じたリンク旅行時間を加算して、ルート全体の旅行時間を算出する。
【0033】
ルート検索部19は、事故発生リンクが含まれるルートの旅行時間を算出するときは、事故発生リンクで事故に遭遇するリスクをリンク旅行時間に換算したリスク時間を、その事故発生リンクのリンク旅行時間に加算して、事故発生リンクが含まれるルートの旅行時間を算出する。
【0034】
例えば、ルート検索部19は、事故発生リンク記憶部15を参照して、出発地点から目的地点までのルート内に、事故発生リンクが存在するか否かを判定する。そのルート内に事故発生リンクが存在する場合、ルート検索部19は、事故発生リンク記憶部15からその事故発生リンクの月間事故件数153を取得する。そして、ルート検索部19は、標準リンク旅行時間記憶部17の標準リンク旅行時間に、月間事故件数153に応じた重み付けを行う。例えば、月間事故件数153は、その道路リンクを通過する際に事故に遭遇するリスクの程度を示していると考えられる。つまり、事故件数が多ければ事故に遭遇するリスクが高く、少なければ事故に遭遇するリスクは低い。そこで、ルート検索部19は、事故発生リンクで事故に遭遇するリスクをリンク旅行時間に換算したリスク時間を、標準リンク旅行時間に加算する。なお、この処理は事故発生リンクのうち、月間事故件数153が所定数以上のいわゆる事故多発リンクのみを対象としてもよい。
【0035】
例えば、ルート検索部19は、事故発生頻度が高いほどリスク時間を長く設定して、事故発生リンクが含まれるルートの旅行時間を算出するようにしてもよい。
【0036】
また、ルート検索部19は、上記のように事故発生件数をリスク時間に換算する際、安全優先度に応じた重み付けを行ってもよい。例えば、ルート検索部19は、ルート検索要求において、安全性の高いルートを所望する度合いを示す安全優先度の指定を受け付けると、受け付けた安全優先度が高いほど、事故発生リンクのリスク時間を長く設定して、事故発生リンクが含まれるルートの旅行時間を算出する。
【0037】
なお、安全優先度は、例えば、「低」「標準」及び「高」の3段階でよい。安全優先度は、ユーザがルート検索要求を行うときに指定する。
【0038】
次に、上記の構成を備えたルート検索システムにおける処理手順について説明する。
【0039】
図5は、ルート検索サーバ1が行うルート検索処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0040】
ユーザが自らのユーザ端末装置3に出発地点及び目的地点を入力すると、ユーザ端末装置3からルート検索要求が1へ送られる。
【0041】
ルート検索部19は、出発地点と目的地点とを設定したルート検索要求を受け付ける(S11)。
【0042】
ルート検索部19は、このルート検索要求に安全優先度が設定されているか否かを判定する(S13)。安全優先度が設定されていないときは(S13:No)、ユーザ端末装置3に対して安全優先度の設定を促す通知を行って、安全優先度を設定させる(S15)。
【0043】
ルート検索部19は、安全優先度が設定されたルート検索要求に従って、出発地点から目的地点までの一つのルートを抽出する(S17)。ルート検索部19は、標準リンク旅行時間記憶部17を参照して、この抽出されたルートに含まれる各道路リンクの標準リンク旅行時間を特定する(S19)。ルート検索部19は、この抽出されたルートに、月間事故発生数153が所定数以上である事故多発リンクが含まれているか否かを判定する(S21)。事故多発リンクが含まれているときは、ルート検索部19は、安全優先度に応じた、その事故発生リンクに対するリスク時間を決定する(S23)。例えば、安全優先度が「低」のときは、リスク時間を0としてもよい。安全優先度が「標準」のときは、リスク時間をその道路リンクの標準リンク旅行時間と同じ時間としてもよい。つまり、この場合は、その事故発生リンクのリンク旅行時間は標準リンク旅行時間の2倍となる。安全優先度が「高」のときは、リスク時間をその道路リンクの標準リンク旅行時間の2倍の時間としてもよい。つまり、この場合は、その事故発生リンクのリンク旅行時間は標準リンク旅行時間の3倍となる。
【0044】
ルート検索部19は、対象ルートの旅行時間を算出する(S25)。このとき、道路交通情報提供サーバ5から取得した道路交通情報に含まれる渋滞情報などに応じて、各リンクのリンク旅行時間を調節してから、対象ルートの旅行時間を算出してもよい。
【0045】
一つのルート検索要求に対して所定数のルートを抽出するまで、ステップS17以降の処理を繰り返す(S27)。
【0046】
ルート検索部19は、上記所定数のルートの旅行時間を比較して、旅行時間が最短のルートを選択する(S29)。
【0047】
これにより、安全性を考慮したルート選定を行うことができる。
【0048】
次に、本実施形態に係るルート検索の具体例を説明する。
【0049】
図6は、出発地点及び目的地点が設定されたとき、その出発地点から目的地点までの道路地図を模式的に示す図である。図7は、図6の地図内に存在する道路リンクに係るルックアップテーブルである。
【0050】
図6の例では、道路リンク#7が事故多発点を含む事故発生リンクである。そこで、ルート検索部19は、図7のようなルックアップテーブル(以下、LUT)を予め作成してから、各ルートの旅行時間を算出するようにしてもよい。
【0051】
図7に示すLUT100は、道路リンクNo110と、標準リンク旅行時間120と、標準リスク時間130と、安全優先度140と、安全リンク旅行時間150とをデータ項目として有する。
【0052】
ルート検索部19は、道路リンクNo110に対応する標準リンク旅行時間を標準リンク旅行時間記憶部17から取得して標準リンク旅行時間120に設定する。標準リスク時間130は、事故に遭遇するリスクを旅行時間(コスト)に換算した時間である。ここでは、標準リスク時間130は、安全優先度が「標準」の場合に加算する旅行時間であり、標準リンク旅行時間120と同時間に設定する。安全優先度140はユーザが指定した安全優先度に対応して設定される。ここでは、ユーザが指定した安全優先度が「低」のときは“0”、「標準」のときは“1”、「高」のときは“2”がセットされる。
【0053】
安全リンク旅行時間150は、各リンクの安全性を考慮したときのリンク旅行時間である。ここでは、標準リンク旅行時間120に標準リスク時間130と安全優先度140の積を加算した時間とする。従って、リンク#7は、100+100×1=200で、安全リンク旅行時間150が200秒となる。
【0054】
ルート検索部19は、図5のフローチャートに従って処理を行う際に、このLUT100を参照して各ルートの旅行時間を算出するようにしてもよい。その結果、図6及び図7の例では、安全性を考慮しない場合は、#1−#4−#7−#8−#11−#14のルートAの旅行時間が360秒で最短である。これに対して、安全性を考慮した場合(安全優先度「標準」)には、ルートAの旅行時間は460秒となり、#1−#2−#3−#6−#11−#14のルートBの旅行時間400秒よりも長くなる。従って、安全性を考慮した場合は、上記のルートBが選択されることになる。
【0055】
本実施形態によれば、ユーザが安全性を重視する場合には、その程度に応じて事故リスクの少ないルートを提示することができる。
【0056】
上述した本発明の実施形態は、本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をそれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。当業者は、本発明の要旨を逸脱することなしに、他の様々な態様で本発明を実施することができる。
【0057】
例えば、上述したルート検索サーバ1の機能の一部または全部をユーザ端末装置3で実現してもよい。例えば、少なくともルート検索部19の機能をユーザ端末装置3で実現してもよい。
【符号の説明】
【0058】
1 ルート検索サーバ
3 ユーザ端末装置
5 道路交通情報提供サーバ
11 地図データ記憶部
13 事故発生リンク特定処理部
15 事故発生リンク記憶部
17 標準リンク旅行時間記憶部
19 ルート検索部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
交差点を示すノードに関するノードデータと、前記ノード間を結ぶ道路リンクに関するリンクデータとを含む地図データを記憶した地図記憶部と、
事故発生地点に係る道路リンクである事故発生リンクを記憶した事故リンク記憶部と、
出発地点と目的地点とを指定したルート検索要求を受け付けて、前記地図データに基づいて前記出発地点から前記目的地点までの一以上のルートのうち、旅行時間が最短となるルートを検索するルート検索部と、を備え、
前記ルート検索部は、前記事故発生リンクが含まれるルートの旅行時間を算出するときは、前記事故発生リンクで事故に遭遇するリスクをリンク旅行時間に換算したリスク時間を、前記事故発生リンクのリンク旅行時間に加算して、前記事故発生リンクが含まれるルートの旅行時間を算出することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記ルート検索要求において、安全性の高いルートを所望する度合いを示す安全優先度の指定を受け付けると、
前記ルート検索部は、前記受け付けた安全優先度が高いほど、前記リスク時間を長く設定して、前記事故発生リンクが含まれるルートの旅行時間を算出する、請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記事故リンク記憶部は、事故発生リンク別の事故頻度をさらに記憶していて、
前記ルート検索部は、前記事故発生頻度が高いほどリスク時間を長く設定して、前記事故発生リンクが含まれるルートの旅行時間を算出する、請求項1または2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
事故発生地点及び事故状況をテキストで記述した事故データを受け付けると、前記事故データのテキスト解析を行って、前記事故発生リンクを特定し、前記事故リンク記憶部へ格納する事故発生リンク特定手段をさらに備える請求項1または2に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
事故発生リンク特定手段は、前記事故発生地点に対応するノードを特定し、前記事故状況を記述したテキストを解析して、事故車が前記ノードへ進入した際の道路リンクを特定して、前記特定された道路リンクを前記発生リンクとする、請求項4に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
事故発生リンク特定手段は、前記事故状況を記述したテキストを解析して、事故車の進入方向を示すベクトルを導出し、前記ノードにつながる道路リンクのベクトルとから進入リンクを特定する、請求項5に記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
交差点を示すノードに関するノードデータと、前記ノード間を結ぶ道路リンクに関するリンクデータとを含む地図データを記憶した地図記憶部と、事故発生地点に係る道路リンクである事故発生リンクを記憶した事故リンク記憶部とを備えたナビゲーション装置が、
出発地点と目的地点とを指定したルート検索要求を受け付けるステップと、
前記地図データに基づいて前記出発地点から前記目的地点までの一以上のルートのうち、旅行時間が最短となるルートを検索するステップであって、前記事故発生リンクが含まれるルートの旅行時間を算出するときは、前記事故発生リンクで事故に遭遇するリスクをリンク旅行時間に換算したリスク時間を、前記事故発生リンクのリンク旅行時間に加算して、前記事故発生リンクが含まれるルートの旅行時間を算出するステップと、を行うルート検索方法。
【請求項8】
交差点を示すノードに関するノードデータと、前記ノード間を結ぶ道路リンクに関するリンクデータとを含む地図データを記憶した地図記憶部と、事故発生地点に係る道路リンクである事故発生リンクを記憶した事故リンク記憶部とを備えたナビゲーション装置のためのコンピュータプログラムであって、
前記ナビゲーション装置に、
出発地点と目的地点とを指定したルート検索要求を受け付けるステップと、
前記地図データに基づいて前記出発地点から前記目的地点までの一以上のルートのうち、旅行時間が最短となるルートを検索するステップであって、前記事故発生リンクが含まれるルートの旅行時間を算出するときは、前記事故発生リンクで事故に遭遇するリスクをリンク旅行時間に換算したリスク時間を、前記事故発生リンクのリンク旅行時間に加算して、前記事故発生リンクが含まれるルートの旅行時間を算出するステップと、を実行させるためのコンピュータプログラム。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−185804(P2011−185804A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−52550(P2010−52550)
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【出願人】(000155469)株式会社野村総合研究所 (1,067)
【Fターム(参考)】