説明

ナビゲーション装置、表示制御方法、ナビゲーションプログラムおよび記録媒体

【課題】車両のエンジン始動から発進までの時間を短縮することができるナビゲーション装置を提供すること。
【解決手段】ナビゲーション装置100は、移動体に搭載され、起動時に所定の情報を表示する。撮影部110は、移動体の周辺を撮影する。表示部101は、ユーザに提供する情報を表示する。映像取得部102は、移動体の周辺を撮影する撮影部110によって撮影された映像を取得する。表示制御部103は、ナビゲーション装置100の起動時に、少なくともナビゲーション装置100の起動処理が終了するまで、映像取得部102によって取得された映像を表示部101に表示する。撮影制御部104は、撮影部110の撮影方向を制御する。記憶部105は、検出部106によって検出された移動体の移動状況を記憶する。検出部106は、移動体の停止直前の移動状況を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、移動体に搭載されるナビゲーション装置、表示制御方法、ナビゲーションプログラムおよび記録媒体に関する。ただし、この発明の利用は、ナビゲーション装置、表示制御方法、ナビゲーションプログラムおよび記録媒体に限らない。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車などの車両には、目的地までの経路を探索して、当該目的地まで誘導する
ナビゲーション装置が搭載されている。このようなナビゲーション装置として、車両のエンジン始動とともに起動処理を開始し、ディスプレイにオープニング画像や走行に関する安全確認メッセージ(PLコーション:Product Liability Caution)などを表示しながら、装置の各機能を初期化し起動の準備(以下、起動処理とする)をおこなう装置が公知である(たとえば、下記特許文献1参照。)。下記特許文献1では、ナビゲーション装置が起動処理をおこなう際に、ディスプレイにオープニング画像や生成した画像を表示させることで、ユーザに起動処理にかかる時間を意識させないようにしている。具体的には、累積走行距離情報や、燃費情報等を用いた画像を生成することが考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−145120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の従来技術では、ナビゲーション装置が起動処理を終了し、自車両の位置や地図データを読み込み終わるまで、ユーザは車両の発進に必要な情報を取得することができない。近年のナビゲーション装置では、多機能化により起動処理に要する時間が増している。このため、ナビゲーション装置が起動処理を終了してから発進に必要な情報を取得する場合、車両のエンジン始動から発進までの時間がさらに長くなってしまう。これにより、車両をアイドリング状態で待機させる時間が長くなってしまい、燃料消費率の増大や環境への負荷が懸念されるという問題が一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1の発明にかかるナビゲーション装置は、移動体に搭載されるナビゲーション装置であって、前記移動体の周辺を撮影する撮影手段によって撮影された映像を取得する映像取得手段と、ユーザに提供する情報を表示する表示手段と、前記ナビゲーション装置の起動時に、少なくとも前記ナビゲーション装置の起動処理が終了するまで、前記映像取得手段によって取得された前記映像を前記表示手段に表示する表示制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0006】
また、請求項9の発明にかかる表示制御方法は、移動体に搭載されるナビゲーション装置における表示制御方法であって前記移動体の周辺を撮影する撮影手段によって撮影された映像を取得する映像取得工程と、前記ナビゲーション装置の起動時に、少なくとも前記ナビゲーション装置の起動処理が終了するまで、前記映像取得工程によって取得された前記映像を、ユーザに提供する情報を表示する表示手段に表示する表示制御工程と、を含んだことを特徴とする。
【0007】
また、請求項10の発明にかかるナビゲーションプログラムは、請求項9に記載の表示制御方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0008】
また、請求項11の発明にかかる記録媒体は、請求項10に記載のナビゲーションプログラムをコンピュータに読み取り可能な状態で記録したことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施の形態にかかるナビゲーション装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図2】ナビゲーション装置による映像表示処理の手順を示すフローチャートである。
【図3】ナビゲーション装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図4】ナビゲーション装置の終了時における記憶処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】ナビゲーション装置の起動時における映像表示処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】ナビゲーション装置のディスプレイに表示される表示画面の一例を示す説明図である。
【図7】ナビゲーション装置のディスプレイに表示される表示画面の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、この発明に係るナビゲーション装置、表示制御方法、ナビゲーションプログラムおよび記録媒体の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0011】
(実施の形態)
図1は、実施の形態にかかるナビゲーション装置の機能的構成を示すブロック図である。実施の形態にかかるナビゲーション装置100は、移動体に搭載され、起動時に所定の情報を表示する。移動体とは、たとえば自動車などの車両である。所定の情報とは、たとえば、移動体の周辺の映像である。ナビゲーション装置100は、表示部101、映像取得部102、表示制御部103、撮影制御部104、記憶部105、検出部106によって構成される。
【0012】
表示部101は、ユーザに提供する情報を表示する。ユーザに提供する情報とは、たとえばユーザの利便性を向上する情報や、快適な走行を支援する情報である。ユーザの利便性を向上する情報とは、たとえば、GPS衛星から受信したGPS情報などを用いて算出した移動体の位置情報や、この位置情報周辺の地図データ、所定の無線局から受信した地上波によるテレビ放送の映像などである。表示部101は、具体的には、たとえばディスプレイなどである。
【0013】
撮影部110は、移動体の周辺を撮影する。移動体の周辺とは、たとえば、移動体の外部や内部の空間である。撮影部110は、具体的には、たとえばカメラなどである。撮影部110は、より具体的には、たとえば移動体の外部に取り付けられ後方や側方などを確認するためのミラー(Side Mirror)や、移動体の運転席などに取り付けられ後方などを確認するためのミラー(Rearview Mirror)、移動体の後方の窓(Rear Window)などに搭載されるカメラ(車外カメラ、車載カメラ)などである。撮影部110は、複数設置されてもよい。
【0014】
映像取得部102は、撮影部110によって撮影された映像を取得する。映像取得部102は、複数の撮影部110によって撮影された複数の映像を取得してもよい。また、映像取得部102は、ナビゲーション装置100の起動処理中にのみ映像を取得してもよいし、たとえば移動体の走行中においても映像を取得し続けてもよい。
【0015】
表示制御部103は、ナビゲーション装置100の起動時に、少なくともナビゲーション装置100の起動処理が終了するまで、映像取得部102によって取得された映像を表示部101に表示する。ナビゲーション装置100の起動処理とは、ナビゲーション装置100の各機能を初期化し、ユーザによるナビゲーション装置100の操作を可能にするための準備をおこなう処理である。ナビゲーション装置100の各機能とは、ユーザがナビゲーション装置100から提供される情報を確認することができるように、たとえば経路誘導機能、コンテンツ再生機能、施設検索機能などユーザを支援するための機能である。
【0016】
表示制御部103は、たとえば、少なくともナビゲーション装置100の起動処理が終了するまで、移動体の周辺の映像を表示部101に表示する。ナビゲーション装置100の起動処理が終了した後、表示制御部103は、移動体の周辺の映像を表示部101に継続して表示してもよいし、移動体の周辺の映像に替えて地図データなどを表示してもよい。
【0017】
また、表示制御部103は、撮影部110の撮影した複数の映像のうちの少なくとも一方向の映像を表示部101に表示するようにしてもよい。この場合、表示制御部103は、たとえば、表示部101の表示領域を分割し、移動体の両側の側方の映像を同時に表示部101に表示する。また、表示制御部103は、撮影部110の撮影した全方向の複数の映像を合成し、移動体の上空から撮影したような擬似的な映像を表示部101に表示してもよい。
【0018】
表示制御部103は、たとえば、移動体を発進させる際に、ユーザによる移動体周辺の安全確認を可能にする映像を表示部101に表示してもよい。移動体周辺の安全確認を可能にする映像とは、たとえば、ユーザの死角となる位置を確認することができる映像である。ユーザの死角となる位置とは、たとえば、移動体の足回りや、運転席から斜め後方の位置など、車体などに遮られることによって運転席から視認できない位置である。
【0019】
撮影制御部104は、撮影部110の撮影方向を制御する。また、撮影制御部104は、撮影方向の異なる複数の映像を複数の撮影部110に撮影させてもよい。
【0020】
撮影制御部104は、前回の移動体の停止時に記憶部105によって記憶された移動体の移動状況に関する情報(移動状況情報)に基づいて、撮影部110の撮影方向を制御する。移動体の移動状況情報とは、たとえば移動体の進行方向に関する情報(進行方向情報)や、移動体の位置を特定する情報(位置情報)である。移動体の進行方向情報とは、たとえば移動体が停止直前に前進していたか、後進していたかを特定する情報である。移動体の位置情報とは、たとえば停止直前の移動体が道路上に位置しているか、道路以外に位置しているかを特定する情報である。
【0021】
撮影制御部104は、記憶部105によって記憶された移動体の進行方向情報が「移動体が停止直前に前進していた」ことを示す情報である場合、移動体の後方の映像を撮影部110に撮影させる。また、撮影制御部104は、記憶部105によって記憶された移動体の進行方向情報が「移動体が停止直前に後進していた」ことを示す情報である場合、移動体の前方の映像を撮影部110に撮影させる。また、撮影制御部104は、移動体の形状などの他の要素に基づいて、ユーザから死角となる方向を撮影方向として撮影部110に撮影させてもよい。
【0022】
撮影制御部104は、記憶部105によって記憶された移動体の位置情報が「停止直前の移動体が道路上に位置している」ことを示す情報である場合、移動体の側方の映像を撮影部110に撮影させる。撮影制御部104は、たとえば、移動体が道路上の駐車区域に位置する場合、移動体の側方の映像を撮影部110に撮影させる。
【0023】
記憶部105は、検出部106によって検出された移動体の移動状況情報を記憶する。記憶部105は、具体的には、不揮発性メモリーや、移動体に搭載された蓄電池から電源を供給された揮発性メモリーなどである。記憶部105は、具体的には、たとえば移動体が後進して駐車場の駐車区域に停止した場合、移動体の進行方向情報として「移動体が後進して停止した」ことを示す変数を記憶する。また、記憶部105は、移動体の位置情報として、たとえば「移動体が道路に停止した」ことを示す変数を記憶する。また、記憶部105は、次回のナビゲーション装置100の起動時に撮影部110によって撮影させる撮影方向に関する情報を記憶してもよい。
【0024】
検出部106は、移動体の停止直前の移動状況を検出する。検出部106は、たとえば、停止直前の移動体の進行方向を移動状況として検出する。また、検出部106は、停止直前の移動体の位置を移動状況として検出する。検出部106は、たとえば停止直前の移動体のシフトギアの位置により進行方向を検出する。検出部106は、具体的には、たとえば停止直前の移動体のシフトギアが「バックギア」に位置している場合、移動体が後進して停止したという情報を検出する。
【0025】
つづいて、ナビゲーション装置100による映像表示処理について説明する。図2は、ナビゲーション装置による映像表示処理の手順を示すフローチャートである。図2のフローチャートにおいて、ナビゲーション装置100は、電源を供給されることによって起動処理を開始する(ステップS201)。つぎに、ナビゲーション装置100は、撮影制御部104によって記憶部105に記憶された移動体の移動状況情報を取得する(ステップS202)。
【0026】
つづいて、ナビゲーション装置100は、映像取得部102によって移動体の周辺の映像を取得する(ステップS203)。そして、ナビゲーション装置100は、表示制御部103によって映像取得部102が取得した映像を表示部101に表示する(ステップS204)。
【0027】
つづいて、ナビゲーション装置100は、ナビゲーション装置100の起動処理が終了したか否かを判断して(ステップS205)、少なくともナビゲーション装置100の起動処理が終了するまで、映像取得部102が取得した映像を表示部101に表示し続ける(ステップS205:Noのループ)。そして、ステップS205において、ナビゲーション装置100の起動処理が終了したと判断した場合(ステップS205:Yes)、ナビゲーション装置100は、経路誘導などをおこなうために地図情報などを表示部101に表示する(ステップS206)。ステップS206において、ナビゲーション装置100は、映像取得部102が取得した映像を表示部101に表示し続けてもよい。これにより、本フローチャートによる処理を終了する。
【0028】
以上説明したように、実施の形態にかかるナビゲーション装置100は、ナビゲーション装置100の電源が投入された後、少なくとも起動処理が終了するまで、前回の移動体の停止直前の移動状況情報に基づいて取得された映像を表示部101に表示する。このため、ユーザは、ナビゲーション装置100の起動処理の終了を待たずに移動体の発進に必要な情報を取得することができる。これにより、移動体のエンジン始動から発進までの時間を短縮することができ、移動体をアイドリング状態で待機させる時間を短縮することができる。したがって、燃料消費率を低減することができる。また、環境への負荷を減少させることができる。
【0029】
また、ナビゲーション装置100は、移動体が発進時に進行すると予想される方向の映像を表示部101に表示する。これにより、ユーザは、表示部101を確認することで、移動体の進行方向の確認をおこなうことができる。また、ナビゲーション装置100は、ユーザの死角となる方向の映像を表示部101に表示する。これにより、ユーザは、表示部101を確認することで、視認することができない部分の確認をおこなうことができる。これにより、ユーザは、移動体を安全に発進させることができる。
【実施例】
【0030】
以下に、本発明の実施例について説明する。本実施例では、車両に搭載されるナビゲー
ション装置によって、本発明のナビゲーション装置100を実施した場合の一例について説明する。
【0031】
(ナビゲーション装置300のハードウェア構成)
図3を用いて、ナビゲーション装置300のハードウェア構成について説明する。図3は、ナビゲーション装置300のハードウェア構成を示すブロック図である。図3において、ナビゲーション装置300は、CPU301、ROM302、RAM303、各種データを記録/再生する記録再生部304、各種データを記録する記録部305、音声I/F(インターフェース)306、マイク307、スピーカ308、入力デバイス309、映像I/F310、ディスプレイ311、カメラ312、通信I/F313、GPSユニット314、および車両情報入力部315を備えている。各構成部301〜315は、バス320によってそれぞれ接続されている。
【0032】
CPU301は、ナビゲーション装置300の全体の制御を司る。ROM302は、ブートプログラム、データ表示プログラムなどのプログラムを記録している。RAM303は、CPU301のワークエリアとして使用される。すなわち、CPU301は、RAM303をワークエリアとして使用しながら、ROM302に記録された各種プログラムを実行することによって、ナビゲーション装置300の全体の制御を司る。
【0033】
記録再生部304は、CPU301の制御に従って記録部305に対するデータの読み取り/書き込みを制御する。記録部305は、記録再生部304の制御で書き込まれたデータを記録する。記録再生部304としては、たとえば、磁気ディスクドライブや光ディスクドライブ、記録部305としては、たとえば、HD(ハードディスク)、FD(フレキシブルディスク)、フラッシュメモリ、MO、SSD(Solid State Disk)、メモリカードなどを用いることができる。
【0034】
記録部305に記録される情報の一例としては、地図データや、移動体の停止直前の移動状況に関する移動状況データが挙げられる。地図データは、ナビゲーション装置の起動処理の終了後においてユーザによる経路探索などに用いられ、建物、河川、地表面などの地物(フィーチャ)をあらわす背景データと、道路の形状をあらわす道路形状データとを含んでおり、地区ごとに分けられた複数のデータファイルによって構成されている。移動状況データは、移動体の停止直前の進行方向をあらわす進行方向データと、移動体が停止直前に道路上に位置していたかをあらわす位置データとを含んだデータファイルによって構成されている。なお、本実施例では地図データが記録部305に記録されているものとするが、通信I/F313などを介して必要な地図データを受信して各種処理に用いるようにしてもよい。
【0035】
音声I/F306は、音声入力用のマイク307および音声出力用のスピーカ308に接続される。音声I/F306は、再生が指示された音声データをD/A変換して、スピーカ308から音声として出力させる。
【0036】
入力デバイス309は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えたリモコン、キーボード、タッチパネルなどによって構成される。入力デバイス309は、リモコン、キーボード、タッチパネルのうちいずれか1つの形態によって実現されてもよいし、複数の形態によって実現することも可能である。
【0037】
映像I/F310は、ディスプレイ311およびカメラ312に接続される。映像I/F310は、具体的には、たとえば、ディスプレイ311を制御するグラフィックコントローラと、即時表示可能な画像情報を一時的に記録するVRAM(Video RAM)などのバッファメモリと、グラフィックコントローラから出力される画像データに基づいてディスプレイ311を制御する制御ICなどによって構成される。
【0038】
ディスプレイ311には、地図データやアイコン、カーソル、メニュー、ウインドウ、あるいは文字や画像などの各種データが表示される。ディスプレイ311としては、たとえば、TFT液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどを用いることができる。
【0039】
カメラ312は、ナビゲーション装置300が搭載された車両の内部あるいは外部の映像を撮影する。カメラ312で撮影する映像は静止画あるいは動画のどちらでもよい。カメラ312によって撮影された映像は、映像I/F310を介して記録部305などに記録されたり、ディスプレイ311に表示されたりする。
【0040】
通信I/F313は、無線を介してネットワークに接続され、ナビゲーション装置300およびCPU301のインターフェースとして機能する。ネットワークとして機能する通信網には、公衆回線網や携帯電話網、DSRC(Dedicated Short Range Communication)、LAN、WANなどがある。通信I/F313は、たとえば、公衆回線用接続モジュールやETC(ノンストップ自動料金支払いシステム)ユニット、FMチューナー、VICS(Vehicle Information and Communication System)/ビーコンレシーバなどである。
【0041】
GPSユニット314は、GPS衛星からの電波を受信し、ナビゲーション装置300が搭載された車両の現在地点を示す情報を出力する。また、GPSユニット314は、速度センサ、加速度センサ、角速度センサなどの各種センサを備え、車両の位置や挙動を判断するための情報を出力する。GPSユニット314の出力情報は、CPU301によるナビゲーション装置300の現在地点の算出や、速度や方位の変化量の算出に際して利用される。現在地点を示す情報とは、たとえば緯度・経度、高度などの、地図データ上の1点を特定する情報である。
【0042】
車両情報入力部315は、車両に搭載されたシフトギアや各種メーターと接続される。車両情報入力部315には、シフトギアの位置の情報や、車両の走行速度の情報が入力される。
【0043】
図1に示したナビゲーション装置100の表示部101、映像取得部102、表示制御部103、撮影制御部104、記憶部105、検出部106、および車両に取り付けられた撮影部110は、上述したナビゲーション装置300におけるROM302、RAM303、記録部305などに記録されたプログラムやデータを用いて、CPU301が所定のプログラムを実行し、ナビゲーション装置300における各部を制御することによってその機能を実現する。
【0044】
(ナビゲーション装置300における映像表示処理)
つづいて、ナビゲーション装置300における映像表示処理の詳細について説明する。上述のように、ナビゲーション装置300は、車両に搭載されたナビゲーション装置300において、ナビゲーション装置300に電源が投入された後、当該ナビゲーション装置300の起動処理の終了を待たずに車両を安全に発進させることができるように、当該車両のエンジン始動とともにナビゲーション装置300のディスプレイ311に、前回の停止時の車両の移動状況情報に基づいて、車両の周辺の映像を表示する。以下、前回の停止時の車両の移動状況情報に基づいた車両周辺の映像を表示する映像表示処理の詳細について説明する。
【0045】
図4は、ナビゲーション装置の終了時における記憶処理の手順を示すフローチャートである。図4に示す処理は、車両が稼動を開始してから車両のエンジンが停止するまでの間におこなわれる処理である。図4のフローチャートにおいて、ナビゲーション装置300は、まず、車両情報入力部315を介して、車両が停止直前であるか否かを、車両が停止する直前まで判断し続ける(ステップS401:Noのループ)。車両が停止直前であることの判断は、シフトギアの位置、走行速度の変化量、車両の位置などを特定するための情報、またこれらの組み合わせに基づいておこなってもよい。ステップS401における車両の位置には、たとえば車両が道路以外に位置するなど、車両が停止する確率の高い位置に車両が位置することがわかる情報が含まれる。
【0046】
つぎに、ステップS401において、車両が停止直前であると判断した場合(ステップS401:Yes)、ナビゲーション装置300は、車両情報入力部315またはGPSユニット314を介して、車両の移動状況を検出する(ステップS402)。車両の移動状況には、車両の位置、車両の進行方向などを特定するための情報が含まれる。ステップS402における車両の位置には、車両が停止直前に道路上に位置していたか否かを特定するための情報が含まれる。また、車両の進行方向には、車両が停止直前に前進または後進していたことを特定するための情報が含まれる。
【0047】
つぎに、ナビゲーション装置300は、ステップS402において検出した車両の移動状況に関する情報(移動状況情報)を、ナビゲーション装置300の記憶装置に記憶し(ステップS403)、本フローチャートによる処理を終了する。ステップS403において、ナビゲーション装置300は、車両のエンジンが停止する直前の車両の移動状況情報のみを記憶装置に記憶してもよいし、信号待ちなどにより車両が停止するたびに車両の移動状況情報を記憶装置に記憶して、前回の移動状況情報を書き換えてもよい。また、車両のエンジンキーがOFFになったことを検出した後に、予備電源等によって車両の移動状況情報を記憶装置に記憶してもよい。
【0048】
図5は、ナビゲーション装置の起動時における映像表示処理の手順を示すフローチャートである。図5に示す処理は、図2のステップS202,S203に示した処理においておこなわれる処理である。図5のフローチャートにおいて、ナビゲーション装置300は、まず、ナビゲーション装置300の記憶装置に記憶された車両の位置に関する情報(位置情報)を、車両の移動状況情報として取得する(ステップS501)。記憶装置に記憶された車両の位置情報は、前回の停止時における車両の位置情報である。
【0049】
つぎに、ナビゲーション装置300は、前回の停止時に車両が道路上に位置していたか否かを判断する(ステップS502)。ステップS502において、前回の停止時に車両が道路上に位置していないと判断した場合(ステップS502:No)、ナビゲーション装置300は、ナビゲーション装置300の記憶装置に記憶された車両の進行方向に関する情報(進行方向情報)を、車両の移動状況情報として取得する(ステップS503)。記憶装置に記憶された車両の進行方向情報は、前回の停止時における車両の進行方向情報である。
【0050】
つぎに、ナビゲーション装置300は、前回の停止時における車両の進行方向が後進であるか否かを判断する(ステップS504)。ステップS504において、前回の停止時における車両の進行方向は後進であると判断した場合(ステップS504:Yes)、カメラ312の撮影方向を車両の前方に設定する(ステップS505)。そして、ナビゲーション装置300は、映像I/F310を介して、カメラ312が撮影した車両の前方の映像を取得し(ステップS506)、この映像をディスプレイ311に表示する(ステップS507)。
【0051】
一方、ステップS504において、前回の停止時における車両の進行方向は後進ではないと判断した場合(ステップS504:No)、ナビゲーション装置300は、カメラ312の撮影方向を車両の後方に設定する(ステップS508)。そして、ナビゲーション装置300は、映像I/F310を介して、カメラ312が撮影した車両の後方の映像を取得し(ステップS509)、ステップS507へ進む。
【0052】
また、ステップS502において、前回の停止時に車両が道路上に位置していると判断した場合(ステップS502:Yes)、ナビゲーション装置300は、カメラ312の撮影方向を車両の側方に設定する(ステップS510)。そして、ナビゲーション装置300は、映像I/F310を介して、カメラ312が撮影した車両の側方の映像を取得し(ステップS511)、ステップS507へ進む。これにより、本フローチャートによる処理が終了する。
【0053】
なお、図5のフローチャートでは、カメラ312の撮影方向は車両の位置や進行方向に基づいて設定しているが、他の要素を考慮して映像表示をおこなってもよい。たとえば、ステップS505において、車両形状などによって特にユーザから死角となる箇所がある場合、カメラ312の撮影方向を車両の斜め前方などに設定するようにしてもよい。ステップS509,S511においても同様に、カメラ312の撮影方向を車両の斜め後方や、前方に近い方向の側方などに設定するようにしてもよい。
【0054】
つぎに、上述した映像表示処理により、ディスプレイに表示される情報について説明する。図6および図7は、ナビゲーション装置のディスプレイに表示される表示画面の一例を示す説明図である。図6に示すように、たとえば、ディスプレイ600には、車両の斜め前方の映像610、620が表示されている。これは、カメラ312の撮影方向が車両の前方(斜め前方を含む)に設定された場合に、ディスプレイに表示される情報の一例である。つまり、図5のステップS506に示した処理がおこなわれた状態である。また、図7に示すように、ディスプレイ700には、車両の現在位置が示された地図データが表示されている。これは、ナビゲーション装置300の起動処理が終了した後に、ディスプレイに表示される情報の一例である。
【0055】
具体的には、ナビゲーション装置300は、電源が投入された後、ディスプレイ600に示す映像610,620などを表示する。その後、ナビゲーション装置300の起動処理が終了した後、ナビゲーション装置300は、ディスプレイ600に示す映像610,620を継続して表示してもよいし、ディスプレイ700に示す映像710を表示してもよい。
【0056】
以上説明したように、実施の形態にかかるナビゲーション装置300は、ナビゲーション装置300の電源が投入された後、少なくとも起動処理が終了するまで、前回の車両の停止直前の移動状況情報に基づいて取得された映像をディスプレイ311に表示する。このため、ユーザは、ナビゲーション装置300の起動処理の終了を待たずに車両を発進するために必要な情報を取得することができる。これにより、安全に車両を発進できるとともに、車両のエンジン始動から発進までの時間を短縮することができ、車両をアイドリング状態で待機させる時間を短縮することができる。したがって、燃料消費率を低減することができる。また、環境への負荷を減少させることができる。
【0057】
また、ナビゲーション装置300は、車両の進行方向の映像を表示部101に表示する。これにより、ユーザは、ディスプレイ311を確認することで、車両の進行方向の確認をおこなうことができる。また、ナビゲーション装置300は、ユーザの死角となる方向の映像をディスプレイ311に表示する。これにより、ユーザは、ディスプレイ311を確認することで、視認することができない部分の確認をおこなうことができる。これにより、ユーザは、車両を安全に発進させることができる。
【0058】
なお、本実施の形態で説明した表示制御方法は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することにより実現することができる。このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。またこのプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することが可能な伝送媒体であってもよい。
【符号の説明】
【0059】
100 ナビゲーション装置
101 表示部
102 映像取得部
103 表示制御部
104 撮影制御部
105 記憶部
106 検出部
110 撮影部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に搭載されるナビゲーション装置であって、
前記移動体の周辺を撮影する撮影手段によって撮影された映像を取得する映像取得手段と、
ユーザに提供する情報を表示する表示手段と、
前記ナビゲーション装置の起動時に、少なくとも前記ナビゲーション装置の起動処理が終了するまで、前記映像取得手段によって取得された前記映像を前記表示手段に表示する表示制御手段と、
を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記撮影手段の撮影方向を制御する撮影制御手段と、
前記移動体の停止直前の移動状況を検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出された前記移動状況に関する情報を記憶する記憶手段と、をさらに備え、
前記撮影制御手段は、前回の移動体の停止時に前記記憶手段によって記憶された前記移動状況に関する情報に基づいて、前記撮影手段の撮影方向を制御することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記検出手段は、停止直前の前記移動体の進行方向を前記移動状況に関する情報として検出することを特徴とする請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記撮影制御手段は、前記記憶手段によって記憶された前記移動体の進行方向が前進である場合、前記移動体の後方の映像を前記撮影手段に撮影させることを特徴とする請求項3に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記撮影制御手段は、前記記憶手段によって記憶された前記移動体の進行方向が後進である場合、前記移動体の前方の映像を前記撮影手段に撮影させることを特徴とする請求項3に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記検出手段は、停止直前の前記移動体の位置を前記移動状況に関する情報として検出し、
前記撮影制御手段は、前記記憶手段によって記憶された前記移動体の位置が道路上である場合、前記移動体の側方の映像を前記撮影手段に撮影させることを特徴とする請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
前記撮影制御手段は、撮影方向の異なる複数の映像を前記撮影手段に撮影させ、
前記表示制御手段は、前記撮影手段の撮影した複数の前記映像のうちの少なくとも一方向の映像を前記表示手段に表示することを特徴とする請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
前記検出手段は、停止直前の前記移動体のシフトギアの位置により前記進行方向を検出することを特徴とする請求項3〜5のいずれか一つに記載のナビゲーション装置。
【請求項9】
移動体に搭載されるナビゲーション装置における表示制御方法であって、
前記移動体の周辺を撮影する撮影手段によって撮影された映像を取得する映像取得工程と、
前記ナビゲーション装置の起動時に、少なくとも前記ナビゲーション装置の起動処理が終了するまで、前記映像取得工程によって取得された前記映像を、ユーザに提供する情報を表示する表示手段に表示する表示制御工程と、
を含んだことを特徴とする表示制御方法。
【請求項10】
請求項9に記載の表示制御方法をコンピュータに実行させることを特徴とするナビゲーションプログラム。
【請求項11】
請求項10に記載のナビゲーションプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータに読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−95186(P2011−95186A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−251444(P2009−251444)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】