説明

ナビゲーション装置及び方法

本発明は、プロセッサ(210)並びに、地図データを含むストア(230)を備えたナビゲーション装置(200)に関する。その場合、地図データは時間的に可変な特徴を有すると共に、プロセッサ(210)は経路計画の処理時に、時間情報に従って時間的に可変な特徴の状態を判定するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション情報を提供するためのナビゲーション装置、システム及び方法に関する。本発明の諸実施例は、ポータブルナビゲーション装置(いわゆるPND)に関し、特に、全地球測位システム(GPS)信号の受信及び処理機能を含むPNDに関する。さらに一般的に言えば、別の実施形態が、ナビゲーションソフトウェアを実行して、経路計画と、好適には、ナビゲーションや機能性も提供できるように構成された任意の種類の処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
GPS(全地球測位システム:Global Positioning System)信号の受信及び処理機能を含むポータブルナビゲーション装置(PND)が周知であり、車載用あるいは他の車両用ナビゲーションシステムとして広く採用されている。
【0003】
一般に、現代のPNDは、プロセッサ、メモリ(揮発性と不揮発性メモリのうちの少なくとも一方であり、通常これら双方のメモリ)と、当該メモリ内に格納された地図データとを備えている。これらのプロセッサ及びメモリは協働して、ソフトウェアオペレーティングシステムを確立できる実行環境を提供する。さらに、PNDの機能性を制御可能にするために、かつ、その他の種々の機能を提供するために1以上の追加のソフトウェアプログラムが提供されることが一般的である。
【0004】
通常、これらの装置は、ユーザが装置と対話を行い、かつ、装置の制御を可能にする1以上の入力インタフェースと、情報をユーザへ中継できるようにする1以上の出力インタフェースとをさらに備えている。出力インタフェースの実施例には、視覚表示装置と、可聴出力用スピーカとが含まれている。入力インタフェースの実施例には、装置のオン/オフ動作又は他の特徴を制御するための1以上の物理ボタン(これらのボタンは、必ずしも装置自体に存在する必要はなく、装置が車両内に組み込まれている場合にはステアリングホイール上に存在してもよい)と、ユーザの音声を検出するためのマイクとが含まれている。ある特定の好適な構成では、出力インタフェースディスプレイは、ユーザが接触により装置の動作を可能にする入力インタフェースを追加して提供できるように、(タッチパネル式オーバーレイによる、あるいは別様の)タッチパネル式ディスプレイとして構成されてもよい。
【0005】
また、この種の装置には、装置間で電力及びオプションとしてデータ信号の送受信を可能にする1以上の物理コネクタインタフェースと、オプションとして、セルラ通信、並びに他の信号ネットワーク及びデータネットワーク、例えば、Wi−Fi、Wi−Max、GSM等を介する通信を可能にする1以上の無線送信機/受信機が含まれる場合も多い。
【0006】
この種のPND装置にはGPSアンテナもさらに含まれ、このアンテナによって、位置データを含む衛星放送信号が受信され、その後この信号が処理されて装置の現在地の判定が可能となる。
【0007】
PND装置はまた、現在の角加速度及び直線加速度を判定するために、並びに、その後GPS信号から取得される場所情報と関連して装置及びこの装置を搭載している車両の速度及び相対変位を判定するために処理可能な信号を生成する電子ジャイロスコープ及び加速度計をさらに含んでもよい。通常、上記のような特徴は、車載搭載型ナビゲーションシステムに装備されるのが最も一般的ではあるが、PNDに装備する方が好都合な場合にはPND装置に装備されてもよい。
【0008】
このようなPNDの有用性は、第1の場所(通常出発地又は現在地)と第2の場所(通常目的地)との間の経路を決定するPNDの能力の中に主として示される。これらの場所は、例えば、郵便番号、街路名及び番地、事前に格納されている「周知の」目的地(名所、市営の場所(運動場又は水泳プール等)又は他の関心のある地点等)及びお気に入りの目的地又は最近訪問した目的地等であり、様々な異なる方法のうち任意の方法によって装置のユーザにより入力可能である。
【0009】
通常、PNDは地図データから得られる出発地及び目的地の住所間の「最善」又は「最適」経路を計算するためのソフトウェアによって作動可能にされる。「最善」又は「最適」経路が所定の基準に基づいて判定されるが、この経路は必ずしも最速又は最短の経路である必要はない。運転者をそれに沿って案内する経路の選択は非常に高度の選択であり、この選択された経路は、既存の交通道路情報、予測される交通道路情報、動的受信と無線による受信の少なくともいずれかで受信される交通道路情報、道路速度に関する履歴情報、並びに道路選択の判定要因に対応する運転者自身の選択(例えば運転者は、経路が高速自動車道路又は有料道路を含むべきではないと指定してもよい)を考慮に入れてもよい。
【0010】
さらに装置は、道路及び交通の状態を連続的に監視し、変化した状態に起因して、残りの行程の実行経路を変更するように提案又は選択してもよい。種々の技術(例えば、移動電話のデータ交換、固定カメラ、GPSによる集団のトラッキング)に基づくリアルタイムの交通監視システムが、交通の遅延を識別しかつ通知システムに情報を供給するために利用されている。
【0011】
この種のPNDは、通常車両のダッシュボード又はフロントガラスに搭載されるが、車両のラジオに搭載されたコンピュータの一部あるいは実際は車両自体の制御システムの一部として形成されてもよい。ナビゲーション装置は、PDA(ポータブル・デジタルアシスタント)、メディアプレーヤ又は移動電話等のハンドヘルドシステムの一部であってもよく、その場合、ハンドヘルドシステムの標準的な機能は、経路計算と、計算済みの経路に沿って進むナビゲーションとの双方を実行するためのソフトウェアを装置にインストールすることにより拡張される。
【0012】
経路計画とナビゲーション機能性は、適切なソフトウェアを実行するデスクトップの又は移動のコンピューティングリソースにより提供されてもよい。例えば、イギリス王立自動車クラブ(RAC)は、http://www.rac.co.ukにおいてオンライン経路計画とナビゲーション機能を提供している。この機能により、ユーザは出発点及び目的地を入力でき、その結果、ユーザのPCが接続されているサーバは経路(この経路の諸側面に関してはユーザが指定してもよい)を計算し、地図を生成し、選択された出発点から選択された目的地までユーザを案内するための包括的なナビゲーション指示の集合を生成する。この機能は、計算済み経路の擬似3次元レンダリングを提供すると共に、経路に沿って移動するユーザのシミュレーションを行い、次いで、このシミュレーションによって上記計算済み経路のプレビューをユーザに提供する経路プレビュー機能性をさらに提供する。
【0013】
PNDの場合、経路が計算されるとすぐに、ユーザはナビゲーション装置と対話を行い、オプションとして提案される経路のリストのなかから所望の計算済み経路を選択する。オプションとして、ユーザは、例えば、ある特定の行程に対して特定の経路、道路、場所又は基準を避けるべきであることを指定するか、あるいは、それらが必須のものであることを指定することにより、経路の選択処理に介入したり、経路の選択処理を案内したりしてもよい。PNDの経路計算の側面は1つの主要機能を形成するものであるが、このような経路に沿って進むナビゲーションはまた別の主要機能となる。
【0014】
計算済みの経路に沿って進むナビゲーション中、上記のようなPNDが、選択済みの経路に沿ってその経路の終点、すなわち所望の目的地までユーザを案内するための視覚指示と可聴指示の少なくともいずれかの指示を提供することは一般的である。また、PNDがナビゲーション中に地図情報を画面上に表示することも一般的であり、装置が車両搭載型ナビゲーション用として使用されている場合、このような情報は画面上で定期的に更新されて、表示される地図情報が装置の、従ってユーザ又はユーザ車両の現在地を示すようになっている。
【0015】
画面上に表示されるアイコンは、通常、装置の現在地を示し、装置の現在地の近辺にある現在の道路及び周辺道路の地図情報、並びに同様に表示されている他の地図の特徴と共に中央に配置される。さらにナビゲーション情報は、オプションとして、表示されている地図情報の上方、下方又は片側のステータスバーに表示されてもよく、このようなナビゲーション情報の例には、ユーザが選択すべき現在の道路から現在の道路で次の方向転換を行う必要のある地点までの距離が含まれ、上記方向転換の種類は、例えば左折又は右折のような特定の種類の方向転換を示すさらなるアイコンにより表すことも可能である。また、上記ナビゲーション機能は、ユーザを経路に沿って案内する可聴指示の内容、継続時間及びタイミングを判定する。理解されるように、「100m以内に左折」等の単純な指示が多大の処理及び解析を必要とすることになる。上述のように、ユーザによる装置との対話はタッチスクリーンにより行われてもよいし、あるいは、上記に加えて又はその代わりに、この対話はステアリングコラムに搭載された遠隔制御装置により、音声起動により、あるいは、他の任意の適切な方法により行われてもよい。
【0016】
装置により提供されるさらなる重要な機能として、ナビゲーション中に、事前に計算済みの経路からユーザが(誤って又は故意に)外れた場合や、別の経路の方が適切であるとリアルタイムの交通状態が示し、かつ、装置がそのような状態を適切に自動認識することが可能である場合、あるいは、ユーザが何らかの理由で積極的に経路の再計算を装置に実行させる場合に行われる経路の自動再計算がある。
【0017】
また、ユーザが定義した基準で経路計算が可能であることも知られている。例えば、ユーザは、装置が景色のよい経路の方を計算することを望んでもよいし、あるいは、交通渋滞の可能性が高いか、交通渋滞が予想されるか若しくは交通渋滞が現在発生しているいずれの道路も回避することを所望してもよい。その場合、装置のソフトウェアは種々の経路を計算し、例えば、景勝地としてタグ付けられた関心地点(Point of Interest:POI)が経路沿いに最も多く含まれている経路の方をより有利になるように重み付けたり、あるいは、特定の道路で発生しやすい交通状態を示す格納済み情報を利用したりすることによって、発生しやすい渋滞や、渋滞による遅延レベルに関して計算された経路の順序付けを行う。他のPOI及び交通情報を利用する経路計算及びナビゲーション基準も可能である。
【0018】
経路計算機能及びナビゲーション機能は、PNDの有用性全体の基本になるものではあるが、装置を単に情報表示用として、すなわち「フリードライビング」用として使用することも可能である。その場合、装置の現在地に関連する地図情報のみが表示され、経路は計算されず、装置によるナビゲーションはその時点では行われない。このような動作モードは、ユーザが移動の際に沿って進むべき望ましい経路を既に知っていて、ナビゲーションによる補助を必要としないときに適用可能である場合が多い。
【0019】
上述の種類の装置、例えば、TomTom International B.V.により製造及び供給される720Tモデルは、ユーザが1つの位置から別の位置へナビゲートできるようにする信頼性の高い手段を提供する。
【0020】
道路網に対して一時的に生じる変化に関して問題が生じる。例えば、スポーツイベントや文化イベントなどの結果、あるいは、道路に対して行われるか、道路に近接して行われるかのいずれかで行われる作業の結果、道路の閉鎖のような道路網に対する変更が生じることがある。しかし、このような変更は経路計画、ナビゲーション及びガイダンスが提供される地図データに反映されることはない。この結果、ナビゲーション装置のユーザが、閉鎖された道路や交通量の多い道路に沿って向かわされることになる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
この問題を解決すること、特に、経路決定、ナビゲーション及びガイダンス時に道路網に対する一時的変更を考慮できるように企図することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0022】
この目的を果たすために、本発明の現時点で好ましい実施形態によって、プロセッサと、地図データを含むストアを備えたナビゲーション装置とが提供される。その場合、上記地図データは時間的に可変(temporally−variable)な特徴(feature)を含み、かつ、プロセッサは、時間情報(temporal information)に従って時間的に可変な特徴の状態を経路計画の処理時に判定するように構成される。
【0023】
地図データの時間的に可変な特徴は、時間的に可変な属性又は時間的に可変な有効性(validity)を有する地図の特徴(map feature)であってもよい。好適には、この時間的に可変な属性が、少なくとも2つの時間の間すなわち地図データに定義された時間の間、異なる値を有するか、あるいは、時間的に可変な有効性は、地図データ内に定義された1以上の時間間隔の間は経路計画の処理をする時に地図の特徴が考慮され得るよう指示することが望ましい。
【0024】
上記時間的に可変な属性は、道路セグメントに関連付けられた経路計画の処理時に道路セグメントのコストの判定のために用いられる速度/重み付け情報であってもよい。上記時間的に可変な有効性は経路計画処理における考慮のために利用可能である地図の特徴が時間間隔を示してもよい。
【0025】
時間的に可変な特徴に関連付けられた情報は、該特徴が時間的に変化する時間を示してもよい。この時間は、開始時刻と継続時間と終了時刻とのうちの少なくともいずれかによって示されてもよいし、あるいは、時間の関数として示されてもよい。
【0026】
上記地図データは、地図の特徴情報を含む第1の地図データと、時間的に可変な特徴を含む第2の地図データとを含むものであってもよい。第1の地図データは時間的に可変なデータでなくてもよい。第2の地図データは外部のソースから受信したものであってもよいし、第1の地図データに続いてストアされたものであってもよい。
【0027】
ナビゲーション装置は、時間情報に従って上記時間的に可変な特徴の状態を判定するように構成された時間マッピング・モジュール(temporal mapping module)を備えてもよい。この地図データは複数の時間的に可変な特徴を含んでもよく、個々の特徴は、それぞれの特徴が時間的に可変な時間間隔を示す関連付けられた時間情報を有するものとなる。
【0028】
本発明の別の実施形態は、出発地から目的地までの経路をプロセッサにより決定する方法に関し、該方法は、時間的に可変な地図の特徴の1以上の状態を時間情報に従って判定し、かつ、1以上の時間的に可変な地図の特徴の状態に関して出発地から目的地までの経路を決定するステップを有する。上記プロセッサはナビゲーション装置のプロセッサであってもよい。
【0029】
本発明のさらに別の実施形態は、実行環境において実行される際に、1以上の時間的に可変な地図の特徴の状態を時間情報に従ってプロセッサに判定させ、かつ、1以上の時間的に可変な地図の特徴の状態に関して出発地から目的地までの経路をプロセッサに決定させるように動作可能な1以上のソフトウェアモジュールを含むコンピュータソフトウェアに関する。上記プロセッサはナビゲーション装置のプロセッサであってもよい。
【0030】
以下上記実施形態の利点について説明し、上記各実施形態のさらなる詳細及び特徴については、添付の従属請求項及び以下の詳細な説明において定義される。
【0031】
本発明の教示の種々の側面及び上記教示を実現する構成について、添付図面を参照しながら説明のための実施例を用いて以下説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】全地球測位システム(GPS)を示す概略図である。
【図2】ナビゲーション装置を提供するように構成された電子構成要素を示す概略図である。
【図3】ナビゲーション装置が無線通信チャネルを介して情報を受信できる方法を示す概略図である。
【図4A】ナビゲーション装置の例示の透視図である。
【図4B】ナビゲーション装置の例示の透視図である。
【図5】ナビゲーション装置により使用されるソフトウェアの代表図である。
【図6(a)】地図データの例示部分と、時間的に可変な値を有する地図データの属性とを示す例図である。
【図6(b)】地図データの例示部分と、時間的に可変な値を有する地図データの属性とを示す例図である。
【図7(a)】時間的に可変な有効性を有する特徴を含む地図データを示す例図である。
【図7(b)】時間的に可変な有効性を有する特徴を含む地図データを示す例図である。
【図8】時間的に可変な地図データを伝送するためのシステムを示す。
【図9(a)】属性値の判定処理を示す地図データである。
【図9(b)】属性値の判定処理を示す地図データである。
【図10】イベントの近辺にある道路に対する属性値の割当てを示す地図データである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、PNDを特に参照しながら本発明の推奨実施形態について説明する。しかし、本発明の教示はPNDに限定されるものではなく、ナビゲーションソフトウェアを実行することにより経路計画とナビゲーションの機能性を提供するように構成される任意の種類の処理装置に一般に適用可能であることに留意するべきである。したがって、本出願の説明においてナビゲーション装置は、PND、車両内に組み込まれたナビゲーション装置、あるいは経路計画とナビゲーションソフトウェアを実行する演算リソース(例えば、デスクトップコンピュータ又はポータブルパーソナルコンピュータ(PC)、移動電話又はポータブル・デジタルアシスタント(PDA))として実際に装置が実現されるかどうかに関わりなく、任意の種類の経路計画とナビゲーション装置を(制限なく)含むことを意図するものである。
【0034】
また、ユーザが1つの地点から別の地点へナビゲートする方法に関する指示を求めているのではなく、単に所定の場所のビューの提供を所望している状況においてさえ、本発明の教示が有用であることは以下の説明から明らかになるであろう。このような状況において、ユーザにより選択された「目的地」の場所は、ユーザがナビゲーションの開始を所望する対応する出発地の場所を有する必要はなく、従って、「目的地」の場所又は実際の「目的地」のビューに対する本明細書の参照は、経路の生成が不可欠であるとか、「目的地」への移動を実行する必要があるとか、実際に目的地の存在が対応する出発地の場所指定を必要とするとかを意味すると解釈されるべきではない。
【0035】
上記のことを念頭に、図1は、本願の実施形態のナビゲーション装置を含むナビゲーション装置により使用可能な全地球測位システム(GPS)の一例を示す図である。そのようなシステムは周知であり、種々の目的に使用される。一般に、GPSは、連続的な位置、速度、時間及びいくつかの例においては方向情報を無数のユーザに対して判定できる衛星無線ナビゲーションシステムである。以前はNAVSTARとして周知であったが、GPSは極めて正確な軌道で地球と共に動作する複数の衛星を使用する。これらの正確な軌道に基づいて、GPS衛星は、それらの場所を任意の数の受信装置に中継できる。
【0036】
GPSデータを受信する能力を特別に備える装置がGPS衛星信号に対する無線周波数の走査を開始する場合、GPSシステムは実現される。GPS衛星から無線信号を受信すると、装置は、複数の異なる従来の方法のうちの1つを用いて、その衛星の正確な場所を判定する。殆どの例において、装置は、少なくとも3つの異なる衛星信号を取得するまで信号の走査を継続する(尚、位置は、通常は2つの信号のみでは判定されないが、他の三角測量技術を使用して2つの信号から判定することもできる)。幾何学的三角測量を実現する場合、受信機は、3つの既知の位置を利用して、衛星に対する自身の2次元位置を判定する。これは、周知の方法で行われる。更に、第4の衛星信号を取得することにより、受信装置は、同一の幾何学計算によって周知の方法でその3次元位置を計算できる。位置及び速度データは、無数のユーザにより連続的にリアルタイムで更新可能である。
【0037】
図1に示すように、GPSシステム全体を参照番号100で示す。複数の衛星120は、地球124の周囲の軌道上にある。各衛星120の軌道は、他の衛星120の軌道と必ずしも同期せず、実際には非同期であることが多い。本願の一実施形態のナビゲーション装置において利用可能なGPS受信機140は、種々の衛星120からスペクトル拡散GPS衛星信号160を受信するように示される。
【0038】
各衛星120から連続的に送信されるスペクトル拡散信号160は、極めて正確な原子時計を用いて達成される非常に正確な周波数標準を利用する。各衛星120は、そのデータ信号送信160の一部として、その特定の衛星120を示すデータストリームを送信する。一般に、GPS受信機140が三角測量によりその2次元位置を計算するために、GPS受信機140は少なくとも3つの衛星120からスペクトル拡散GPS衛星信号160を取得することが当業者には理解される。更なる信号を取得すると、全部で4つの衛星120から信号160を取得する結果となり、これによってGPS受信機140は、その3次元位置を周知の方法で計算できる。
【0039】
図2は、本願の好ましい実施形態のナビゲーション装置200の電子構成要素の一例を、ブロック構成要素の形式で示す。尚、ナビゲーション装置200のブロック図は、ナビゲーション装置の全ての構成要素を含むものではなく、構成要素の多くの例を表すにすぎない。
【0040】
ナビゲーション装置200は、筐体(不図示)内に位置付けられる。筐体は、入力装置220及び表示画面240に接続されるプロセッサ210を含む。入力装置220は、キーボード装置、音声入力装置、タッチパネル、及び情報を入力するために利用される他の任意の周知の入力装置のうちの少なくとも1つを含むことができ、表示画面240は、例えばLCDディスプレイ等の任意の種類の表示画面を含むことができる。本願の好ましい構成において、入力装置220及び表示画面240は、タッチパッド又はタッチスクリーン入力を含む一体型入力表示装置に一体化され、その場合、ユーザは、複数の表示選択肢のうちの1つを選択するか又は複数の仮想ボタンのうちの1つを操作するために、表示画面240の一部分に接触するだけでよい。
【0041】
ナビゲーション装置は例えば可聴出力装置(スピーカ)のような出力装置260を含んでもよい。出力装置260がナビゲーション装置200のユーザに対して可聴情報を生成できるため、同様に、入力装置240は入力音声コマンドを受信するマイク及びソフトウェアを更に含むことができると理解される。
【0042】
ナビゲーション装置200において、プロセッサ210は、接続部225を介して入力装置220から入力情報を受信するように動作可能に接続され、かつ、該入力情報を受信するように設定されると共に、出力接続部245を介して表示画面240と出力装置260のうちの少なくとも一方と動作可能に接続され、そこへ情報が出力される。さらに、プロセッサ210は、接続部235を介してメモリリソース230と動作可能に結合され、接続部275を介して入出力(I/O)ポート270から/へ情報を送受信するようにさらに適合される。その場合、I/Oポート270は、ナビゲーション装置200の外部にあるI/O装置280に接続され得る。メモリリソース230は、例えばランダムアクセスメモリ(RAM)のような揮発性メモリと、不揮発性メモリ、例えばフラッシュメモリのようなデジタルメモリとを備える。外部I/O装置280は、例えばイヤホンのような外部聴音装置を含んでもよいが、これらのみに限定されるわけではない。さらに、I/O装置280への接続は、ハンズフリー操作と音声起動操作との少なくともいずれかの操作ができるカーステレオユニット等の他の任意の外部装置への有線又は無線による接続が可能であり、イヤホン又はヘッドフォンへの少なくともいずれか一つへ接続が可能であり、あるいは例えば移動電話への接続ができ、移動電話への接続は、ナビゲーション装置200とインターネット又は例えば他の任意のネットワークとの間のデータ接続を確立するためと、インターネット又は例えば他の任意のネットワークを介するサーバへの接続を確立するためとのうちの少なくともいずれかの確立のために使用されてもよい。
【0043】
図2は、接続部255を介するプロセッサ210とアンテナ/受信機250との間の動作可能な接続をさらに示す。この場合、アンテナ/受信機250は、例えばGPSアンテナ/受信機であってもよい。理解されるように、参照番号250で示されるアンテナ/受信機が例示のために概略的に組み合わされてはいるが、アンテナ/受信機は別個に配置された構成要素であってもよく、アンテナは、例えばGPSパッチアンテナ又はヘリカルアンテナであってもよい。
【0044】
さらに、図2に示す電子構成要素が従来の方法で電源(図示せず)により電力を供給されることは当業者により理解されよう。当業者により理解されるように、図2に示す構成要素の異なる構成が本願の範囲内に属するものとして考慮される。例えば、図2に示す構成要素は、有線と無線の少なくともいずれかによる接続等を介して互いと通信状態にしてもよい。したがって、本願のナビゲーション装置200の範囲はポータブル又はハンドヘルドナビゲーション装置200を含むことになる。
【0045】
さらに、図2のポータブル又はハンドヘルドナビゲーション装置200は、例えば自転車、バイク、車又はボートのような車両と周知の方法で接続されるかあるいは「ドッキング」され得る。その場合、このようなナビゲーション装置200はポータブル又はハンドヘルドナビゲーション用として使用するためにドッキングされた場所から取り外し可能である。
【0046】
次に図3を参照してわかるように、ナビゲーション装置200はサーバ302と移動装置(図示せず、移動電話、PDA、移動電話技術を用いる任意の装置のうちの少なくともいずれかなどの)のデジタル接続(例えば、周知のブルートゥース技術を介するデジタル接続)を介して移動無線接続又は電気通信ネットワーク接続を確立してもよい。その後、移動装置は、そのネットワークサービスプロバイダを通じて、サーバ302とのネットワーク接続を(例えばインターネットを通じて)確立することが可能になる。したがって、「移動」無線ネットワーク接続がナビゲーション装置200(単体型と車載型の少なくともいずれかとして頻繁に移動可能に使用される。)とサーバ302との間で確立されて、「リアルタイムの」又は少なくとも非常に「最新の」情報に対するゲートウェイが提供されることになる。。
【0047】
例えばインターネット410(World Wide Web)を使用して、移動装置(サービスプロバイダを介し)とサーバ302等の別の装置との間にネットワーク接続を確立することは、周知の方法で行われうる。これは、例えばTCP/IP層プロトコルの使用を含む。移動装置400は、CDMA、GSM、WAN等の任意の多数の通信規格を利用できる。
そのため、例えば移動電話又はナビゲーション装置200内の移動電話技術を介するデータ接続を介して達成されるインターネット接続が利用されてもよい。この接続の場合、サーバ302とナビゲーション装置200との間のインターネット接続が確立される。これは、例えば、移動電話又は他の移動装置及びGPRS接続(汎用パケット無線サービス、GPRS接続は、通信会社により提供される移動装置用高速データ接続であり、GPRSはインターネットへの接続方法である)を介して行われうる。
【0048】
更に、ナビゲーション装置200は、移動装置とのデータ接続を完成し、例えば既存のBluetooth技術を介して周知の方法でインターネット及びサーバ302とのデータ接続を最終的に完成する。この場合、例えばデータプロトコルは、GSM規格に対するデータプロトコル規格であるGSRM等の任意の数の規格を利用できる。
【0049】
ナビゲーション装置200は、ナビゲーション装置200自身の中に、自身の移動電話技術を含んでもよい(例えばアンテナを含み、又は選択肢としてナビゲーション装置200の内部アンテナが用いられてもよい)。ナビゲーション装置200内の移動電話技術は、上述のような内部構成要素を含むことができ、且つ/又は例えば必要な移動電話技術とアンテナとの少なくとも一方を備える挿入可能なカード(例えば、加入者識別モジュールやSIMカード)を含むことができる。そのため、ナビゲーション装置200内の移動電話技術は、任意の移動装置400の方法と同様の方法で、例えばインターネット410を介して、ナビゲーション装置200とサーバ302との間にネットワーク接続を同様に確立できる。
【0050】
GRPS電話設定の場合、移動電話の機種、製造業者等の多様な範囲に関して正しく動作するために、Bluetoothが動作するナビゲーション装置が使用されてもよく、機種/製造業者専用設定は、例えばナビゲーション装置200に格納されてもよい。この情報のために格納されたデータは更新されうる。
【0051】
図3は、異なる多数の形態で実施されうる汎用通信チャネル318を介する本願のサーバ302とナビゲーション装置200の通信を示す図である。通信チャネル318を介する接続が本発明のサーバ302とナビゲーション装置200との間に確立される場合、本願のサーバ302及びナビゲーション装置200は通信可能である(尚、そのような接続は、移動装置を介するデータ接続、インターネットを介するパーソナルコンピュータを介する直接接続等である)。
【0052】
サーバ302は、図示しない他の構成要素に加えて、メモリ306に動作可能に接続され且つ有線又は無線接続314を介して大容量データ記憶装置312に動作可能に更に接続されるプロセッサ304を含む。更に、プロセッサ304は、通信チャネル318を介してナビゲーション装置200と情報の送受信を行うために、送信機308及び受信機310に動作可能に接続される。送受信される信号は、データ信号、通信信号及び又は他の伝搬信号を含んでもよい。送信機308及び受信機310は、ナビゲーション装置200の通信設計において使用される通信条件及び通信技術に従って選択又は設計されてもよい。尚、送信機308及び受信機310の機能は、信号送受信機に組み合わされてもよい。
【0053】
サーバ302は、大容量記憶装置312に更に接続される(又は、大容量記憶装置312を含む)。尚、大容量記憶装置312は、通信リンク314を介してサーバ302に結合されてもよい。大容量記憶装置312は、ナビゲーションデータ及び地図情報のストアを含む。また、大容量記憶装置312は、サーバ302とは別個の装置であってもよく、サーバ302に組み込まれてもよい。
【0054】
ナビゲーション装置200は、通信チャネル318を介してサーバ302と通信するように構成され、図2に関して上述したように、プロセッサ、メモリ等を含み、更に、通信チャネル318を介して信号とデータとの少なくともいずれかひとつを送出する送信機320及び受信する受信機322を含む。尚、これらの装置は、サーバ302以外の装置と通信するためにも使用される。更に、送信機320及び受信機322は、ナビゲーション装置200の通信設計において使用される通信条件及び通信技術に従って選択又は設計され、送信機320及び受信機322の機能は、単一の送受信機に組み合わされてもよい。
【0055】
サーバメモリ306に格納されるソフトウェアは、プロセッサ304に命令を提供し、サーバ302がナビゲーション装置200にサービスを提供できるようにする。サーバ302により提供される1つのサービスは、ナビゲーション装置200からの要求の処理及び大容量データ記憶装置312からナビゲーション装置200へのナビゲーションデータの送信を含む。サーバ302により提供される別のサービスは、所望のアプリケーションに対する種々のアルゴリズムを使用したナビゲーションデータの処理及びナビゲーション装置200へのこれらの計算の結果の送出を含む。
【0056】
一般に、通信チャネル318は、ナビゲーション装置200とサーバ302とを接続する伝搬媒体又はパスを表す。サーバ302及びナビゲーション装置200の双方は、通信チャネルを介してデータを送信する送信機及び通信チャネルを介して送信されたデータを受信する受信機を含む。
【0057】
通信チャネル318は、特定の通信技術に限定されない。更に、通信チャネル318は、単一の通信技術に限定されない。すなわち、通信チャネル318は、種々の技術を使用する複数の通信リンクを含んでもよい。例えば、少なくとも1つの実施形態に従って、通信チャネル318は、電気通信、光通信、及び電磁通信のうちの少なくとも1つ等のためのパスを提供するように構成されることができる。そのため、通信チャネル318は、電気回路、ワイヤ及び同軸ケーブル等の電気導体、光ファイバケーブル、コンバータ、無線周波数波(RF)、大気、空間等のうちの1つ又はそれらの組み合わせを含むが、それらに限定されない。更に、少なくとも1つの様々な実施形態に従えば、通信チャネル318は例えば、ルータ、リピータ、バッファ、送信機及び受信機等の中間装置を含むことができる。
【0058】
実施形態によれば、例えば通信チャネル318は、電話及びコンピュータネットワークを含む。更に、通信チャネル318は、無線周波数、マイクロ波周波数、赤外線通信等の無線通信に適応できてもよい。更に、通信チャネル318は衛星通信に適応できる。
【0059】
通信チャネル318を介して送信される通信信号は、所定の通信技術に必要とされるか又は望まれる信号を含むが、それらに限定されない。例えば、信号は、時分割多元接続(TDMA)、周波数分割多元接続(FDMA)、符号分割多元接続(CDMA)、グローバル・システム・フォー・モバイル・コミュニケーションズ(Global System for Mobile Communications)(GSM)等のセルラ通信技術において使用されるように構成されてもよい。デジタル信号及びアナログ信号の双方が通信チャネル318を介して送信できる。本願の少なくとも1つの実施形態に従うと、これらの信号は、通信技術にとって望ましい変調信号、暗号化信号、及び圧縮信号のうちの少なくとも1つであってもよい。
【0060】
サーバ302は、無線チャネルを介してナビゲーション装置200によりアクセス可能なリモートサーバを含む。サーバ302は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、仮想プライベートネットワーク(VPN)等に位置するネットワークサーバを含んでもよい。
【0061】
サーバ302は、デスクトップ又はラップトップコンピュータ等のパーソナルコンピュータを含んでもよく、通信チャネル318は、パーソナルコンピュータとナビゲーション装置200との間に接続されるケーブルであってもよい。あるいは、パーソナルコンピュータは、ナビゲーション装置200とサーバ302との間に接続されて、サーバ302とナビゲーション装置200との間にインターネット接続を確立してもよい。あるいは、インターネットを介してナビゲーション装置200をサーバ302に接続するために、移動電話又は他のハンドヘルド装置がインターネットへの無線接続を確立してもよい。
【0062】
ナビゲーション装置200は、情報ダウンロードを介してサーバ302から情報を与えられてもよい。情報は自動で周期的に更新されてもよく、ユーザがナビゲーション装置200をサーバ302に接続する場合に更新されてもよく、無線移動接続装置とTCP/IP接続を介してサーバ302とナビゲーション装置200との間の接続がより継続して成立し又は頻繁に成立される場合に更に動的に更新されてもよい。多くの動的計算のために、サーバ302内のプロセッサ304が大量の処理要求を処理するために使用されてもよい。しかし、ナビゲーション装置200のプロセッサ210も同様に、多くの場合においてはサーバ302への接続に関係なく、多くの処理及び計算を処理できる。
【0063】
図2に示す様に、ナビゲーション装置200はプロセッサ210、入力装置220、表示画面240を含む。入力装置220及び表示画面240は、例えばタッチパネルスクリーンを介して情報(直接入力、メニュー選択など)を入力すること及び情報を表示することとの両方を可能にするために、一体型入力表示装置に統合される。このようなスクリーンは、当業者には周知のものであるように、例えばタッチ入力LCDスクリーンであってもよい。更に、ナビゲーション装置200は、例えばオーディオ入力/出力装置などの、更なる任意の入力装置220と更なる任意の出力装置240との少なくとも一方を有しても良い。
【0064】
図4A及び図4Bは、ナビゲーション装置200の斜視図を示している。図4Aに示すように、ナビゲーション装置200は、一体型入力表示装置290(例えばタッチパネル画面)と図2の他の構成要素(内蔵GPS受信機250、マイクロプロセッサ210、電源、メモリシステム220などを含むがこれに限定されない)を含むユニットであっても良い。
【0065】
ナビゲーション装置200は、アーム292上に備え付けられても良い。このアーム292は、大きな吸着カップ294を用いて、車両のダッシュボード/窓/等に固定されても良い。このアーム292は、ナビゲーション装置200がドッキング可能なドッキングステーションの一例である。
【0066】
図4Bに示すように、ナビゲーション装置200は、例えば、アーム292に対してナビゲーション装置292をスナップ接続することで、ドッキングステーションのアーム292にドッキング若しくは接続することができる。図4Bにおける矢印で示すように、ナビゲーション装置200は、アーム292上で回転可能である。ナビゲーション装置200とドッキングステーションとの間の接続を解除するためには、例えば、ナビゲーション装置200上のボタンを押下すればよい。他の接続したり接続を解除する同様な構成が知られている。
【0067】
次に添付図面の図5を参照すると、メモリリソース230は機能的ハードウェア構成要素460によって実行するためメモリリソース230からオペレーティングシステム470をロードするためのプロセッサ210により実行されるブートローダプログラム(図示せず)を格納する。上記メモリリソースはアプリケーションソフトウェア480が実行可能な環境を提供する。オペレーティングシステム470は、機能的ハードウェア構成要素460を制御する役割を果たし、アプリケーションソフトウェア480と機能的ハードウェア構成要素460との間に常駐する。アプリケーションソフトウェア480は、ナビゲーション装置200の基本機能、例えば、地図閲覧、経路計画、ナビゲーション機能及びこれらの機能に関連付けられた他の任意の機能をサポートするGUIを含む動作環境を提供する。本発明の好ましい実施形態によれば、上記機能性の一部は時間マッピング・モジュール490を備える。以下の図と関連して次にこのモジュールの機能性について詳述する。
【0068】
本発明の実施形態は時間的に可変な地図データに関するものである。時間的に可変な地図データとは、場所と道路の少なくともいずれかについての地図の特徴に関する情報を含むデータである。時間的に可変な地図データの1以上の側面は時間に依存する。すなわち、地図データの1以上の部分は時間と共に変化する。すなわち、時間的に可変な地図データにおいて定義された1以上の時間間隔の間変化する。変化が地図データ内の特徴の追加又は削除である場合もあれば、地図データの属性の変化である場合もある。例えば、時間的に可変な地図データは、ある指定された時間の間のみ有効である道路のような、地図の特徴を特定する特徴情報を含むものであってもよい。すなわち指定された時間の間だけ地図データの一部を形成する。時間的に可変な有効性を有する特徴の例として、仮設道路又は駐車場がある。これらはイベント用として開設されたり、オープンされたりする。これらのケースでは、2つの特定の日付/時刻の間のような予め指定した時間の間、連絡道路が開通したり、駐車場がオープンしたりする場合がある。このようにして、時間的に可変な地図データは交通情報とは異なるものとなり、道路が閉鎖されていることを示してもよく経路計画の処理時に考慮される。というのは、交通状態に起因する閉鎖を事前に知ることができないからである。これとは逆に、時間的に可変な地図データは地図データをストアする際に事前に知ることができたあらかじめ決められた時間的に可変な情報を含む。
【0069】
時間的に可変な地図データの例は:1以上の道路、地点情報(POI)、駐車場、などのような地図の特徴の追加、1以上の道路、POI、駐車場、などの地図の特徴の閉鎖又は制限;又は1以上の道路セグメントに関連付けられた速度/重み付け情報のような地図データにおける1以上の属性の変化である。さらに、時間的に可変な地図データの中に目的地の場所を別の場所へリダイレクトする一時的回り道が含まれるようにし、その場合、他の代わりの目的地を目的地として用いるように経路計画を処理する際に目的地の場所が選択されるようにしてもよい。
【0070】
時間的に可変な地図データは複数の方法で時間情報を含んでもよい。1つの実施形態では、時間的に可変な地図データには、地図データの変更が始まった時刻を示す開始時刻とその変更が効力を維持する継続時間とが含まれる。別の実施形態では、時間的に可変な地図データには、地図データの変更が始まった開始時刻と地図データに対する変更が終了(すなわち変更が逆になる)する終了時刻とを示す時刻が含まれる。別の実施形態では、時間的に可変な地図データには、開始時刻、終了時刻及び属性によって異なる値すなわち中間値をとる複数の中間時刻が含まれる。
【0071】
時間的に可変なこれらの地図データは、経路計画の処理中にナビゲーション装置200によって内部に格納され、かつ、利用され得る。経路計画の処理中に、経路を判定するために行程が計画されている時に関連して地図データは考慮される。すなわち、地図データに対する一時的変更が行われた時刻に関連して経路計画が立てられる場合、経路計画の処理中にこの変更が考慮される。いくつかの実施形態では、以下説明するように、時間的に可変な地図データを用いて既存の地図データが修正される。すなわち、時間的に可変な地図データは既存の地図データを修正するための「パッチ」として機能し、それによって、時間的に可変な地図データは、既存の地図データを時間的に可変な地図データに示される1以上の時間の間書き変えることになる。時間的に可変な地図データは、通信チャネル318を介してナビゲーション装置200へ伝送されてもよい。
【0072】
次に図6〜図10を参照しながら、時間的に可変な地図データについてさらに詳述する。
【0073】
図6を参照してわかるように、ノードとして示される4つの場所A−Dと、これらの場所をリンクする、辺として示される4つの道路601−604を含む地図データの一部が図6(a)に示されている。図6(b)は、場所B及びDをつなぐ道路602に対する時間的に可変な予想平均速度を示す。予想平均速度は、道路602を含む経路計画の処理時に考慮された道路602の属性である。しかし最高速度のような別の速度を考慮してもよい。道路602に対する予想平均速度は第1の所定時刻tまで所定値Sとなる。この予想平均速度は、時刻tと第2の所定時刻tとの間で0まで低下する。第2の所定時刻に予想平均速度は前回の予想平均速度Sに戻る。時刻tとtの間で道路602に対する平均速度が0まで低下したことによって、時刻tとt間の経路計画の処理中に道路602は実際上考慮の対象から外される。言い換えれば、道路602は時刻tとtの間閉鎖されていると見なされる。例えば、このような状況は、道路602において行われる予定されている保守作業や、時刻tとtの間で道路602近辺で行われるカーニバルのような行事に起因して生じることが考えられる。図6に図示の時間的に可変な地図データにおいて、経路計画の処理中に考慮される時刻tとt間での道路の閉鎖を示すために、道路602の予想平均速度が0まで低下している間、例えば、時刻tとtの間で道路602の最高速度の属性値を変更することにより異なる方法で同じ効果を実現してもよい。さらに、道路602に対する予想平均速度が0まで下げられている間、1以上の別の所定の予想平均速度を考慮してもよい。例えば、時刻tと、時刻tとtの中間にある所定時刻tとの間の予想平均速度を非ゼロ値sまで下げると共に、tとtとの間で0まで下げてもよい。これらは単に例示の値及び時刻であることを付記しておく。時間的に可変な地図データはまた、時間の関数として変化したり、アルゴリズムによって変化したりする値を持つ属性を含んでもよい。例えば、地図データ内の道路の平均速度は時間の関数として変化するように定義される。同様に、地図データ内の道路の重み付けは時間の関数として変化する場合がある。すなわち平均速度はf(t)に従って変化する。
【0074】
図6に図示の時間的に可変な地図データの例を引き続き参照すると、tとtとの間のある時刻に、図6に例示の地図データを中に格納しているナビゲーション装置200を利用するユーザが、出発地Aから目的地の場所Dまでの経路を決定するためにナビゲーション装置200を動作させる。ナビゲーション装置200に格納されたユーザの選択情報によれば、上記決定された経路はAからDへの最速の経路となるはずである。但し、ユーザの選択によって別の経路(例えば、最短経路、或る種の道路などを除外する経路など)が所望されていると示される場合があることは認識できよう。ナビゲーション装置により判定された経路には道路601及び602が含まれる。道路602は、道路603及び604に優先して判定された経路の中に含まれ、場所Cを経由して中間地点Bから場所Dに達することも可能であるが、場所Bから場所Dに達するには道路603及び604を用いる場合よりも(ユーザの選択によれば)高速になる。言い換えれば、道路602は、ある組み合わせ、すなわち、道路603及び604よりも大きな予想平均速度と短い距離の少なくともいずれかの経路判定のためにユーザが選択し設定されたものを有する。しかし、時刻tとtとの間で、同じユーザの基本設定に従って場所AとDの間でナビゲーション装置200により同じ経路が判定された場合、この判定された経路には、予想平均速度0を有する道路602に起因して道路601、603及び604が含まれることになる。このようにして、時間的に可変な地図データは、動的に受信される交通情報を利用する場合とは違って、事前に知られている地図データ内の或る特徴の一時的閉鎖や制限を実現するものとなる。
【0075】
別の時間的に可変な地図データの例では、地図データ内の1以上の頂点に関連付けられる重み付け/コスト属性があり、この属性は一時的に変動する可能性のあるものである。例えば、図6に示す道路602の重み付けやコストの属性は、時刻tとtとの間で、時刻tに先行し、かつ、tに後続する属性に対して異なる値に変えられる場合がある。出発地の場所と目的地の場所との間における可能な経路の重み付けやコストの合計を勘案することによって、経路を判定するために最小の重み付けやコストの発見を目的とする経路計画の処理の際に重み付けやコストの属性を考慮されてもよい。例えば、この経路計画の処理はダイクストラ(Dijkstra)のアルゴリズム又はその変形に基づく処理であってもよい。個々の道路セグメントの重み付けやコストの属性は道路セグメントの長さに対応するものであってもよい。その場合、最低の重み付けやコストを有する出発地と目的地の場所間の経路を判定することによって最短経路を発見することが可能となる。上記とは別に、重み付けやコストは、道路セグメントの長さと当該道路セグメントの予想平均速度又は最高速度との組み合わせに基づくものであってもよい。このケースでは、最低の重み付けやコストを有する出発地と目的地の場所間の経路を決定することによって、出発地と目的地の場所間の最速経路が発見される。時間的に可変な地図データの1つの実施例では、ある道路セグメントが決定済みの経路の中に含まれる可能性を低くするために当該道路セグメントの重み付けやコスト属性が大きくされる。例えば、時刻tとtとの間で、道路602の重み付けやコスト属性を当該時刻以外の道路602の重み付け/コスト値よりも大きな所定値まで大きくしてもよい。この所定の重み付けは無限大であってもよい。これによって実質的に道路セグメントが閉鎖されることになる。但し現実の道路セグメントから予想されるであろう値よりもずっと大きな所定値を選択してもよい。
【0076】
図7は別の時間的に可変な地図データの例を示す図である。図7を参照して説明する本例では、特徴が地図データの中へ一時的に導入される。図示の例では、一時的回り道がある時間の間地図データの中に含まれる。この回り道は例えばイベントが行われる場所などのPOIと駐車場エリアとの間に設けられる。しかし、別の時間的に可変な特徴が地図データの中に含まれる場合があることを理解されたい。図7(a)に示す地図データの図示部分はノードとして示される5つの場所E−I、及び、上記場所をつなぐ辺として表される6本の道路701−706を含む。POI707が地図データの図示部分に含まれている。このPOIは、1つのイベントが行われる場所(例えば、催し物広場、スポーツスタジアムなど)であってもよく、そのような場所ではイベントが行われる所定時間の間多数の訪問者の参加が予想される。この予想される訪問者数に対処するために当局は駐車場709を設ける。この駐車場は永続的な駐車場であってもよいし、あるいは、一時的(イベントの開催期間の間だけ設けられる)な駐車場であってもよい。しかし、図7(b)によって示されるように、POI707と駐車場709との間にある一時的回り道708を地図データの中に含めることによって、訪問者はPOI707自体へ向けられる代わりに、イベント中駐車場709へ向けられることになる。目的地としてPOI707を選択するナビゲーション装置のユーザはイベントの継続期間中駐車場709へ自動的に向けられる(すなわち駐車場709はPOI707の代わりに目的地として設定される)。このことは、回り道708に従って進むことによって駐車場709に自動的に目的地を設定する出力先変更情報をPOIの属性として格納することにより実現可能となる。さらに、訪問者が上記道路704、709を利用することを阻止するために、道路の属性、例えばそれぞれの予想平均速度属性又は最高速度属性などの属性又は重み付けがイベントの継続期間中変更される場合がある。例えば、出発地としての場所Fと、目的地としてのPOIとをイベントの継続期間外に設定したユーザは道路703及び705を含む経路を経由して目的地へ指示される。しかし、イベントの継続期間中は、道路704、705の予想平均速度の低下が優先して道路701、702経由で進む経路を判定することにより目的地は駐車場709へ自動的に切り替えられそして判定された経路は道路701、702と駐車場709への道路706の一部を含む。
【0077】
図8は時間的に変化する地図データがナビゲーション装置へ伝送されるシステムを示す図である。システム800はナビゲーション装置810を備え、このナビゲーション装置810には、例えば装置内のメモリ230などに地図データ815が格納されている。図8は場所A−D及び上記場所を接続する道路801−804を含む地図データ815を示す例図を提供する。地図データ815は個々の道路に対応する予想平均速度情報を地図データ815の中にさらに有する。この地図データは経路計画の処理時に利用される。地図データ815は、個々の道路に対する重み付け情報のような別の情報を含むものであってもよいことを理解されたい。この情報によって1以上の基準に従って経路のコスト決定が可能になる。ナビゲーション装置810はデータ通信チャネル830を介してサーバ820と通信可能に結合される。このデータ通信チャネル830は移動電話のような別の装置を介して直接的又は間接的につながるチャネルであってもよいし、あるいは、メモリカードのような取り外し可能な記憶媒体上に格納されたデータを含むものであってもよい。サーバ820は、時間的に可変な地図データ840を通信チャネル830を介してナビゲーション装置840へ送信するように構成される。時間的に可変な情報を含む地図データ815全体をナビゲーション装置810へ伝送することを避けるために、時間的に可変な地図データ840は、ナビゲーション装置810に格納された地図データ815と時間マッピング・モジュール490によって連携して使用すべきである。図8に示されているように、時間的に可変な地図データ840の中には、地図データ815に対する変更を示す個々の開始時刻を特定する開始時刻情報841と、地図データ815に対する変更を示す個々の終了時刻を特定する終了時刻情報842と、地図データ815のうちのどの特徴を変更すべきかを特定する特徴情報843と、例えば予想平均速度、最高速度、重み付けなどの変更すべき特徴の属性を特定する属性情報844と、属性に対する変更値845とが含まれている。時間的に可変な地図データ840がナビゲーション装置810によって受信され、メモリ230に格納されるとすぐに、時間マッピング・モジュールは、既存の地図データ815と連携して時間的に可変な地図データ840を利用し、地図データの属性(すなわち道路602の平均速度情報)が、地図データ815により指定された標準値ではなく、時間的に可変な地図データ840に指定された開始及び終了情報841、842によって指定された継続時間の間、変更値845を有するようにする。
【0078】
図9(a)は9個所の場所及び上記場所をつなぐ12本の道路を含む例示の地図データを示す図である。上述したように、図9(a)に例示の地図データをナビゲーション装置200のメモリ230に格納してもよい。図9(b)は、地図データ内の道路に対して時間的に変動する重み付けの決定処理を示す図である。図9(b)に示された地図データは図9(a)に図示の地図データに対応する。さらに、図9(b)に図示の地図データはイベント913の場所と、イベント913へのアクセスを提供する仮設道路914とを含む。本発明の1つの実施形態では、イベントの近辺にある道路に対する時間的に可変な重み付けがイベント913からの個々の道路までの距離に基づいて決定される。図示の例では、3段階の時間的に可変な重み付けがイベント913を囲む道路に対して適用される。図9(b)は、イベント913の周りにイベント913からの所定の半径でプロットされた3つの全周920、930、940を示す。これら3つの半径は第1、第2、第3の複数の同じ半径であってもよいし、あるいは、所定値であってもよい。例えば、第1、第2、第3の半径は5、10、15kmであってもよい。しかし、別の実施形態では、第1、第2、第3の半径は5、7、13kmであってもよい。別の距離が適切なものとして選択されてもよいことを理解されたい。上記とは別に、イベント913のような地図の特徴から得られる距離に基づいて連続関数として重み付けが決定されてもよい。少なくとも部分的に第1の全周920の範囲内にある道路901、903、904、913には第1の重み付け値が割り当てられ、少なくとも部分的に第2の全周930の範囲内にある道路902、905、906には第2の重み付け値が割り当てられ、少なくとも部分的に第3の全周940の範囲内にある道路908、909、910には第3の重み付け値が割り当てられる。これら割り当てられた重み付け値は、例えば、道路の初期の重み付けに追加された重み付けのペナルティを有することにより個々の道路の初期の重み付け値に基づいて決定されてもよい。上記とは別に、これらの割り当てられた重み付け値は、道路の初期の重み付け値を参照することなく、個々の道路が部分的に配置されている全周に基づいて決定されてもよい。例えば、道路901、903、904、913には道路902、905、906よりも大きな時間的に変動する重み付け値が割り当てられるが、上記道路902、905、906には道路908、909よりも大きな時間的に変動する重み付け値が割り当てられている。イベント913から道路までの距離に基づき道路に対して段階的重み付けの割当てをすることは、イベント913を目的地として到着するためにこれら道路を利用する必要がない場合には、経路の中へ当該道路を含めることを徐々にやめる。例えば、ナビゲーション装置200が出発地から目的地までの経路の一部が道路903上のイベントのそばを普通は走行するような、イベント913に部分的に普通は近接する経路を判定するために経路判定処理を実行するときに、第1の全周920の範囲内にあるという理由で道路903に対して相対的に高い関連付けられた重み付けが与えられている時間的に可変な地図データを考慮すれば、経路計画の処理はその高いコストに起因して道路903の利用を回避する経路を決定してもよい。イベント中の同じ経路は、さらに少ない関連コストを有する道路905、902又は別の道路を含んでもよい。このように、イベント913に近接する道路に対する重み付けの割当てはイベント913現場における通過交通量の減少を生じる。
【0079】
図9に関連付けられた説明では、少なくとも部分的に全周の中に入る道路に対して対応する重み付け値が割り当てられ、別の実施形態では、道路セグメントを細分化して、時間的に変動する重み付けのみを個々の全周920、930、940の範囲内に配置された道路の一部に割り当てるようにしてもよいことを説明した。例えば、第2の全周930の内部に配置された道路906の部分に対して第2の重み付け値が割り当てられるのに対して、第2の全周930の外側にあるが、第3の全周940の内部にある道路906の部分には第3の重み付け値が割り当てられる。第3の全周940の外側にある道路906の部分の重み付け値は変更されない。図8を参照して前述したように、時間的に変動する地図データ840は、ナビゲーション装置810に格納されている既存の地図データ815と組み合わせて利用するためにナビゲーション装置810へ伝送される。
【0080】
図10は、時間的に可変な地図データを利用して、他の道路に優先して前もって判定した道路の利用を車両に奨めることを示す。9つの場所及びこれらの場所をつなぐ12本の道路1001−1011を含む地図データが図10に示されている。イベントが行われる場所のような第10番目の場所と考えることも可能なPOI1013もこの地図データの中にやはり含まれている。道路1001、1002、1004、1005、1007、1009及び1012は、相対的に大きな車両容量(すなわち道路1003、1006、1008、1011に比べて時間当たりより多くの車両を運ぶことが可能な車両容量)を有する。より大きな容量を示すために、図10の道路1001、1002、1004、1005、1007、1009及び1012は太字で示されている。言うまでもなく、大気汚染や騒音、交通を静めるというような地図の特徴に含まれない理由、橋、緊急車両がさらに容易にアクセス可能にすることなどの理由から道路1001、1002、1004、1005、1007、1009及び1012がより多くの交通量を運ぶことが望まれる場合もある。図10に示す出発地にいるユーザは目的地としてPOIを設定する。POI1013の場所となる目的地の場所を設定する場合の標準的環境では、判定される経路は道路1001、1002、1003、1008を含むことになる。この経路は、出発地とPOI1013間の最も低い重み付け経路を判定することによってダイクストラ(Dijkstra)のアルゴリズムの変形に基づいて決定されてもよい。しかし、この経路には相対的に小さい車両容量の道路である道路1003、1008が含まれる。イベントの継続時間(すなわち第1の所定時刻と第2の所定時刻との間)の小さな車両容量の道路(すなわち道路1003、1008)を回避するように車両に奨めるために、一時的地図データ840は、小さな車両容量の道路1003、1006、1008、1011に比べて相対的に大きな車両容量の道路1001、1002、1004、1005、1007、1009及び1012の重み付けを下げる属性情報を含む。第1の時刻と第2の時刻の間に、出発地とPOI1013間の経路を決定するためにナビゲーション装置810が動作して、道路1001、1002、1005、1009、1010を含む経路を決定する。道路1003、1008と比べてより低い重み付けの道路1005、1009、1010は時間マッピング・モジュール490に、ナビゲーション装置がアクセス可能な既存の地図データと時間的に可変な地図データとの組み合わせをさせ、道路1003、1008よりも低い重み付けの組み合わせを有するものとして道路1005、1009、1010の選択を行わせる。したがって、イベント中ナビゲーション装置により決定された経路に従って移動する車両は、より大容量の道路に沿ってPOI1013の方へ向けられることになる。しかし、イベントの前及びイベントの後では、POI1013を囲む道路の重み付けは通常の状態に戻るため、道路1003、1008、1006、1011は上記決定された経路の中に含まれることになるだろう。
【0081】
本発明の教示は、経路決定に一時的な作用を与えるように、ナビゲーション装置によって所定の時間的に可変な地図データを利用できる構成を提供するものであることが上述のことから明らかである。時間的に可変な地図データは、一時的なイベントの開催中車両の交通に影響を与えるのに役立つものとなる。
【0082】
以上、本発明の種々の側面及び実施形態について説明したが、本発明の範囲は、本明細書に記載の特定の構成に限定されるのではなく、添付の請求の範囲の範囲内に含まれる全ての構成、並びに、これらの構成に対する変更及び変形を含むように拡張されることが理解されるであろう。
【0083】
例えば、前述の詳細な説明で説明した実施形態はGPSを参照したものではあるが、ナビゲーション装置は、GPSの代わりに(又は実際にGPSに追加して)任意の種類の位置判定技術を利用するものであってもよいことに留意されたい。例えば、ナビゲーション装置は欧州のガリレオシステム等の他の全地球的航法衛星システムを利用するものであってもよい。同様に、ナビゲーション装置は、衛星の利用に限定されず、地上ビーコン又は装置が地理上の位置を判定できるようになっている他の任意の種類のシステムを利用しても容易に機能することができる。
【0084】
これらの推奨実施形態はある特定の機能性をソフトウェアにより実現するものではあるが、その機能性はハードウェアにおいて(例えば1以上のASIC(特定用途向け集積回路)により)単独で同様に実現されてもよく、あるいは実際にハードウェアとソフトウェアとの組み合わせによって同様に実現されてもよいことも当業者には理解されるであろう。そのため、本発明の範囲はソフトウェアの形での実現のみに限定されると解釈されるべきではない。
【0085】
最後に、添付の請求の範囲は本明細書中で説明した特徴の特定の組み合わせを記載するものではあるが、本発明の範囲は、以下に特許請求される特定の組み合わせに限定されるのではなく、特定の組み合わせが添付の請求の範囲に現時点で特に記載されているか否かに関わりなく、本明細書中で開示された特徴又は実施形態の任意の組み合わせをも含むように拡張される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサ(210)と、
地図データを格納するストア(230)とを有するナビゲーション装置(200,810)であって、
前記地図データ(815)は時間的に可変な特徴を含み、
前記プロセッサ(210)は経路計画処理において、時間情報にしたがって前記時間的に可変な特徴の状態を判定するよう構成されていることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記地図データ(815)の前記時間的に可変な特徴は時間的に可変な属性又は時間的に可変な有効性であることを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置(200、810)。
【請求項3】
前記時間的に可変な属性は道路セグメントに関連した速度又は重み付けされた情報であることを特徴とする請求項2に記載のナビゲーション装置(200、810)。
【請求項4】
前記時間的に可変な有効性は前記経路計画処理における考慮のために利用可能である地図の特徴が時間間隔を示すことを特徴とする請求項2に記載のナビゲーション装置(200、810)。
【請求項5】
前記時間的に可変な特徴に関連付けられた情報は前記特徴が時間的に可変である時間間隔を示すことを特徴とする請求項1から4に記載のナビゲーション装置(200、810)。
【請求項6】
前記地図データ(815)が地図の特徴情報を含む第1地図データと前記時間的に可変な特徴を含む第2地図データ(840)とを含むことを特徴とする請求項1から5に記載のナビゲーション装置(200、810)。
【請求項7】
データ受信のためのデータ受信手段(322)を含み、
前記第2地図データ(840)は前記データ受信手段によって受信され、前記ストア(230)に格納されることを特徴とする請求項1から6に記載のナビゲーション装置(200、810)。
【請求項8】
前記時間情報にしたがって前記時間的に可変な特徴の状態を判定するよう構成された時間マッピングモジュール(490)を含むことを特徴とする請求項1から7に記載のナビゲーション装置(200、810)。
【請求項9】
前記地図データ(815)は複数の時間的に可変な特徴(840)を含み、各特徴はそれぞれの前記特徴が時間的に可変である時間間隔を示す時間情報に関連付けられていることを特徴とする請求項1から8に記載のナビゲーション装置(200、810)。
【請求項10】
出発地から目的地までの経路を判定するための方法であって、
プロセッサ(210)によって時間情報にしたがって1以上の時間的に可変な地図の特徴(840)の状態を判定する工程と、
前記1以上の時間的に可変な地図の特徴の状態に関して前記出発地から前記目的地への経路を判定する工程とを有することを特徴とする方法。
【請求項11】
時間的に可変な特徴の状態を判定する前記工程は、前記時間情報にしたがい、地図の特徴に関連付けられた属性の値を判定するか又は前記経路における考慮のために地図の特徴が利用可能かどうかを判定することを含む請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記1以上の時間的に可変な特徴に関する情報を含む第1の地図データ(840)を受信する工程と、
前記第1の地図データ(840)と地図の特徴情報を含む第2の地図データ(815)にしたがって経路を判定する工程とを含む請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の地図データ(840)と前記時間情報にしたがって前記第2の地図データ(815)に含まれる地図の特徴の状態を判定する工程を含む請求項10から12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の地図データ(840)と前記時間情報にしたがって前記第2の地図データ(815)に追加された地図の状態を判定する工程を含む請求項10から13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
ナビゲーション装置(200、810)と通信可能に接続されるサーバ(302)と第1の地図データ(815)を格納するデータ格納装置(230)とを含むシステムであって、
前記サーバ(302、820)は前記ナビゲーション装置(200、810)へ第2の地図データ(840)を伝送するよう構成され、前記第2の地図データ(840)は時間的に可変な地図の特徴情報を含み、
前記ナビゲーション装置(200、810)は前記第2の地図データ(840)を受信し前記第1と前記第2の地図データの組み合わせと時間情報にしたがって経路を判定するよう構成されることを特徴とするシステム。

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図5】
image rotate

【図1】
image rotate

【図6(a)】
image rotate

【図6(b)】
image rotate

【図7(a)】
image rotate

【図7(b)】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9(a)】
image rotate

【図9(b)】
image rotate

【図10】
image rotate


【公表番号】特表2011−525971(P2011−525971A)
【公表日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−515368(P2011−515368)
【出願日】平成21年6月24日(2009.6.24)
【国際出願番号】PCT/EP2009/057877
【国際公開番号】WO2009/156425
【国際公開日】平成21年12月30日(2009.12.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
2.Bluetooth
【出願人】(307043223)トムトム インターナショナル ベスローテン フエンノートシャップ (144)
【Fターム(参考)】