説明

ナビゲーション装置

【課題】複雑な操作をして経路探索条件をディスプレイ画面に表示させなくても、経路探索後に探索条件を報知して探索経路に対する使用者の不安感を解消する。
【解決手段】車両の現在位置を測位する測位手段21と、地図情報を記憶した地図情報記憶手段22から地図情報を取得する地図情報取得手段23と、目的地を入力する入力手段24と、目的地までの経路探索の条件を設定する経路探索条件設定手段25と、設定した経路探索条件を記憶する経路探索条件記憶手段26と、記憶した経路探索条件に基づいて経路を探索する経路探索手段27と、測位手段21が測位した現在位置の情報と地図情報取得手段23が取得した地図情報と経路探索手段27が探索した経路情報とに基づいて経路案内情報を生成する経路案内手段28と、記憶した経路探索条件を報知する報知手段29とを備え、経路探索後に設定した経路探索条件を使用者に通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経路探索条件を設定して経路の探索を行い経路案内を行なう、車両等の移動体に搭載されるナビゲーション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両等に搭載されるナビゲーション装置は、一般的に測位手段、経路案内手段およびディスプレイなどの表示手段を有していて、測位手段により自車位置および進行方位を測定して、自車位置を表すシンボルと周辺の地図を表示手段で表示するとともに、目的地が設定されている場合には種々の経路案内情報をディスプレイ画面に表示するようになっている。
【0003】
従来のナビゲーション装置では、経路を探索した経路探索条件は、経路探索条件設定画面に探索条件選択肢を表示させて使用者が表示された選択肢から所望する条件を選択することによって決定され、その後、決定した条件を確認するには、各条件の設定時毎に使用者がこの経路探索条件設定画面をディスプレイ画面に表示させて確認をおこなっていた(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8−201087号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のナビゲーション装置では、経路を探索した経路探索条件は、経路探索後には使用者に通知されない欠点があった。例えば走行中に何らかの理由で当初の探索経路を逸脱した時に実行される再探索の場合、再探索経路がどのような経路探索条件に基づいて探索されたかを確認するためには、複雑な操作を行い経路探索条件設定画面をディスプレイ画面に表示させていた、このため車両等の運転中の確認は困難で、車両を安全な場所に一時停車させるなどして確認していた。
【0005】
本発明は、上記従来の問題を解決するためになされたもので、複雑な操作をして経路探索条件をディスプレイ画面に表示させなくても、経路探索後に使用者の必要性に応じて経路探索条件を報知して、探索経路に対する使用者の不安感を解消し、運転に専念できるナビゲーション装置を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のナビゲーション装置は、車両の現在位置を測位する測位手段と、地図情報を記憶した地図情報記憶手段から地図情報を取得する地図情報取得手段と、目的地を入力する入力手段と、目的地までの経路探索の条件を設定する経路探索条件設定手段と、設定した経路探索条件を記憶する経路探索条件記憶手段と、記憶した経路探索条件に基づいて経路探索を行なう経路探索手段と、測位手段が測位した現在位置の情報と地図情報取得手段が取得した地図情報と経路探索手段が探索した経路情報とに基づいて経路案内情報を生成する経路案内手段と、記憶した経路探索条件を報知する報知手段とを備えた構成を有する。
【0007】
この構成により、経路探索後に、複雑な操作をして経路を探索した経路探索条件をディスプレイ画面に表示させなくても、経路探索条件を使用者に通知することができる。
【0008】
また、本発明のナビゲーション装置は、報知手段は、経路探索条件記憶手段に記憶した経路探索条件のうち、経路探索時の経路選択に関与した経路探索条件を報知する構成を有する。
【0009】
この構成により、経路探索時に有効に用いられた経路探索条件を使用者に通知することができる。
【0010】
また、本発明のナビゲーション装置は、報知手段は、音声出力手段からなる構成を有する。
【0011】
この構成により、目的地までの経路案内および設定した経路探索条件を音声で使用者に通知することができる。
【0012】
また、本発明のナビゲーション装置は、経路探索条件設定手段は、優先する道路種別に関する条件、優先する走行方法に関する条件、経由地または通過地に関する条件、交通情報に関する条件のうち、少なくともいずれかの条件を含む構成を有する。
【0013】
この構成により、優先する道路種別、優先する走行方法、経由地または通過地、および交通情報の経路探索に用いた経路探索条件を使用者に通知することができる。
【0014】
また、本発明のナビゲーション装置は、経路探索条件設定手段で設定される優先する道路種別に関する条件は、有料道路優先の有無、高速道路優先の有無、自動車専用道路優先の有無のうち、少なくともいずれかの条件を含む構成を有する。
【0015】
この構成により、経路探索時に少なくとも有料道路を優先したか、高速道路を優先したか、自動車専用道路を優先したか、一般道路を優先したかの経路探索条件を使用者に通知することができる。
【0016】
また、本発明のナビゲーション装置は、経路探索条件設定手段で設定される優先する走行方法に関する条件は、走行距離優先の有無、所要時間優先の有無、目的地へ左付け優先の有無、直進経路探索優先の有無のうち、少なくともいずれかの条件を含む構成を有する。
【0017】
この構成により、経路探索時に少なくとも走行距離を優先したか、所要時間を優先したか、目的地へ左付けすることを優先したか、直進経路の探索を優先したかの経路探索条件を使用者に通知することができる。
【0018】
また、本発明のナビゲーション装置は、経路探索条件設定手段で設定される経由地または通過地に関する条件は、交差点、道路、インターチェンジ、フェリー航路、細街路、推奨経路のうち、少なくともいずれかの条件を含む構成を有する。
【0019】
この構成により、経路探索時に少なくとも交差点、道路、インターチェンジを通過することを優先したか、フェリー航路の経由を優先したか、細街路を通過することを優先したか、推奨経路を通過することを優先したかの経路探索条件を使用者に通知することができる。
【0020】
また、本発明のナビゲーション装置は、経路探索条件設定手段で設定される交通情報に関する条件は、渋滞情報、事故情報、走行規制情報のうち、少なくともいずれかの情報の有無の条件を含む構成を有する。
【0021】
この構成により、経路探索時に取得した少なくとも渋滞情報、事故情報、走行規制情報を考慮して経路を探索したかについての経路探索条件を使用者に通知することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明のナビゲーション装置は、車両の現在位置を測位する測位手段と、地図情報を記憶した地図情報記憶手段から地図情報を取得する地図情報取得手段と、目的地を入力する入力手段と、目的地までの経路探索の条件を設定する経路探索条件設定手段と、設定した経路探索条件を記憶する経路探索条件記憶手段と、記憶した経路探索条件に基づいて経路探索を行なう経路探索手段と、測位手段が測位した現在位置の情報と地図情報取得手段が取得した地図情報と経路探索手段が探索した経路情報とに基づいて経路案内情報を生成する経路案内手段と、記憶した経路探索条件を報知する報知手段とを備えたことにより、経路探索条件を音声で使用者に通知することができる効果を有するので、これによりディスプレイ画面に経路探索条件を表示するための複雑な操作およびディスプレイ画面を注視することは不要となり、運転に専念できる効果を有す。
【0023】
また、経路探索後においてもすでに探索した経路の経路探索条件や、何らかの理由で当初の探索経路を逸脱した時に実行される再探索の場合もどのような経路探索条件に基づいて経路探索されたかを使用者が知ることができるため、探索された経路に対する不安を解消することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を、図面を用いて説明する。
【0025】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるナビゲーション装置の外観構成を示す斜視図である。
【0026】
図1において、本実施の形態のナビゲーション装置はディスプレイなどの表示部を備えてなく、音声によって経路案内を行なう構成になっている。このような音声ナビゲーション装置の本体1には、前面部分にCDやメモリーカードなどの地図データ記憶媒体を挿入するスロット11と、リモコン受信部12とが設けられ、上面部分にスピーカ13と案内ボタン14が設けられ、側面部分に電源ケーブル15とを備えている。
【0027】
図2は、本発明の実施の形態1におけるナビゲーション装置の機能を示すブロック図である。
【0028】
図2において、本発明の実施の形態のナビゲーション装置は、車両の現在位置を測位する測位手段21と、地図情報を記憶した地図情報記憶手段22と、地図情報記憶手段22から地図情報を取得する地図情報取得手段23と、目的地や経由地などを操作者が入力する入力手段24と、経路探索条件を設定する経路探索条件設定手段25と、設定した経路探索条件を記憶する経路探索条件記憶手段26と、経路探索条件記憶手段26に記憶した経路探索条件に基づいて経路を探索する経路探索手段27と、測位手段21が測位した現在位置情報と地図情報取得手段23が取得した地図情報と経路探索手段27が探索した経路情報とに基づいて経路案内情報を生成する経路案内手段28と、経路案内手段28で生成された経路案内などを音声で報知する音声出力手段29とを備えている。
【0029】
図3は、本発明の実施の形態1のナビゲーション装置のハードウェア構成を示すブロック図であって、図2で説明したナビゲーション装置の機能との対応関係について説明する。
【0030】
車両の現在位置を測位する測位手段21は、現在位置を特定するための複数のGPS(Global Positioning System)衛星からの電波を受信して演算を行なって、緯度、経度、高度、進行方位などのデータおよび受信しているGPS衛星の
個数などの受信状況を生成するGPS受信部31と、車両の角速度を検出する角速度センサにより構成された方位センサおよび車両の移動距離を検出する車速センサからの信号を処理する自立航法センサなどで構成される自立航法センサ部32とによって構成されている。なおGPS受信部31と自律航法センサ部32は両方を備えていても良いが、何れか一方だけを備えていても良い。
【0031】
入力手段24は、操作者が指示を入力するために操作するキーボードやリモコンなどの操作部33で構成され、操作者がキーボードやリモコンなどの機械的なボタンを押すことで信号が入力される。
【0032】
地図情報記憶手段22はCDやメモリーカードなどの地図データ記憶媒体34と、地図データ記憶媒体34から地図情報を読み出すためのデータ読取部35とで構成されるが、装置内部にHDDなどの別の記憶手段を備え、その中に記憶させる構成であっても良い。
【0033】
経路探索条件を設定する経路探索条件設定手段25と、記憶した経路探索条件に基づいて経路を探索する経路探索手段27と、経路案内情報を生成する経路案内手段28とは、CPU、RAM、ROMなどで構成され経路案内に必要な演算や制御などの装置全体の制御を行なう処理制御部37内に構成され、処理制御部37内のCPUがROMなどに記憶された各種制御プログラムを実行することによって実現される。
【0034】
設定した経路探索条件を記憶する経路探索条件記憶手段26は処理制御部37内のRAMで構成される。なお経路探索条件記憶手段26に記憶する経路探索条件は装置の電源をOFFしてもデータが消去されないSRAMに記憶するのが好ましい。
【0035】
探索した経路や経路探索条件を音声で報知する音声出力手段29は、処理制御部37内で音声データをアナログ変換したり、増幅したりした後の音声信号を音声で出力するスピーカ36から構成される。
【0036】
以上のように構成された本実施の形態のナビゲーション装置について、図4の経路探索条件の案内処理を示すフローチャートを用いてその動作を説明する。
【0037】
図4において、ナビゲーション装置の電源がONされると、処理制御部37が起動し、その制御動作により地図情報取得手段23は地図情報を記憶した地図情報記憶手段22から地図情報を取得する。一方、自立航法センサ部32からは自立航法演算に必要な信号を取得し、GPS受信部31からはGPS衛星からの受信データを取得する。
【0038】
測位手段21は、自立航法センサ部32からのデータをもとに所定の演算を行って自車位置と進行方向を算出し、その算出した情報とGPS受信部31からの情報とを比較して互いの誤差を調整して車両の現在地を検出する(S401)。
【0039】
次に、使用者によりスタート地点の設定が行われる(S402)。スタート地点の設定は、測位手段21で測位された現在地がスタート地点として設定される場合と、入力手段24により入力された地点がスタート地点に設定される場合がある。
【0040】
次に、使用者により目的地の設定が入力手段24により行われる(S403)。目的地を設定する一例として、図5に示すようなリモコンを使用した設定について説明する。
【0041】
図5において、本発明の実施の形態1におけるナビゲーション装置のリモコンは、メニュを選択するメニュボタン51と、選択したメニュを表示する表示部52と、入力する数字キー53やカーソルキー54と、入力結果を確定するOKボタン55と、本体のリモコ
ン受光部12に入力データを送信する送信ボタン56などにより構成されている。
【0042】
以上のように構成されたリモコンのメニュボタン51より、目的地を設定する画面を表示部52に表示し、数字キー53とカーソルキー54により、目的地の経度と緯度を入力し、入力が確定したら送信ボタン56を押すことにより、目的地の経度データと緯度データがナビゲーション装置本体に送信され、目的地が設定される。
【0043】
目的地が設定されると、経路探索手段27は、予め経路探索条件記憶手段26に記憶されている経路探索条件を加味して、スタート地点から目的地までの経路を探索する(S404)。
【0044】
経路探索条件を設定する一例として、図6に示すようなリモコンを使用した設定について説明する。
【0045】
図6において、メニューボタン51より、経路探索条件を設定する画面を表示部52に表示し、表示された各種経路探索条件を経路探索の計算に加味するかしないかをカーソルキー54やOKボタン55で選択し、選択が終了したら送信ボタン56を押すことにより、経路探索条件データがナビゲーション装置本体に送信され、設定した経路探索条件が経路探索条件記憶手段26に記憶される。経路探索方法としては、従来よく用いられている横型探索法、ダイクストラ法などにより計算することができる。
【0046】
次に、処理制御部37は設定した経路探索条件を音声で通知するための音声案内情報を生成して経路探索条件案内信号として出力する(S405)。
【0047】
次に、処理制御部37は測位手段21により車両の現在地の位置情報を再度取得し(S406)、通常の経路誘導案内を行なうための条件が満たされた場合に経路誘導案内を継続的に実行する(S407)、例えば「次の交差点を右に曲がってください」などのメッセージが、音声出力手段29から音声で出力される。
【0048】
次に、入力された目的地に到着したかが判断される(S408)。目的地に到着した場合(S408のYES)は処理が終了する。何らかの理由で当初の探索経路を逸脱し、目的地に到着していない場合(S408のNO)は、再探索条件が満たされているかどうかを判断する(S409)。
【0049】
再探索条件としては、現在地が経路から所定の距離以上離れたかを判断する方法が一般的に使用されている。この方法は、現在地から元の経路に対して下ろした垂線が経路と交差する点と現在地との間の直線距離を算出し、その距離が所定値を超えたかどうかを再探索条件とするものである。経路を逸脱したか否かについては、例えば、測位誤差を越え、且つできる限り短い距離を閾値として、現在地と経路間の直線距離がこの閾値を超えたか否かで判断する。このようにして再探索条件が満たされたかを判断することにより、現在地が経路からはずれて走行していることを確実に判断できる。
【0050】
再探索条件が満たされない場合(S409のNO)は、車両の現在地の位置情報取得(S406)に戻る。再探索条件が満たされた場合(S409のYES)は、経路探索手段27は、既に経路探索条件記憶手段26に記憶されている経路探索条件を加味して、当初経路から逸脱した現在地から目的地までの経路を再探索する(S410)。
【0051】
次に処理制御部37は設定した経路探索条件を音声で通知するための音声案内情報を生成して経路探索条件案内信号として出力し(S411)、車両の現在地の位置情報取得(S406)に戻る。
【0052】
このルーチンを繰りかえす過程において車両が目的地に到着した場合(S408のYES)は処理を終了する。
【0053】
なお、S408で入力された目的地に到着したか否かを判断する代わりに「経路案内の中断指示があったか否か」をチェックするようにしてもよく、或いは両方の処理を相前後させて実行してもよい。
【0054】
以上のように本実施の形態1のナビゲーション装置は、経路探索後や誘導中に何らかの理由で経路逸脱した時に実行される再探索後においても、経路を探索した経路探索条件が音声で使用者に通知されるので、ディスプレイ画面に経路探索条件を表示するための複雑な操作およびディスプレイ画面を注視することは不要となり運転に専念できる。
【0055】
さらに、どのような経路探索条件で経路が探索されたのか容易に確認することでき、特に再探索後の経路に対する使用者の不安を解消することができる。
【0056】
(実施の形態2)
図7は、本発明の実施の形態2におけるナビゲーション装置の機能を示すブロック図である。
【0057】
図7において、図2に示す実施の形態1と同様の構成には同一番号を付して説明を省略する。
【0058】
本実施の形態においては経路案内手段30が、実施の形態1の経路案内手段28の機能に加えて経路探索の計算に有効に加味された経路探索条件を抽出し、音声案内情報を生成する。
【0059】
以上のように構成されたナビゲーション装置について、図8のフローチャートを用いて経路探索の処理を説明する。
【0060】
図8において、ナビゲーション装置の電源がONされると、処理制御部37が起動し、処理制御部37は先ず、全ての経路探索条件フラグを“0”に初期化設定(S801)し、以降の各経路探索条件ごとに、夫々の条件に一致すればフラグに“1”を設定する。
【0061】
まず、第1の経路探索条件である有料道路優先案内の設定がされているかどうかを確認する(S802)。有料道路優先案内の設定がされていない場合(S802のNO)は、次の時間規制利用案内の設定確認に進む。有料道路優先案内の設定がされている場合(S802のYES)は、図9に示す有料道路優先設定の有無に関する経路探索条件案内表の条件に従って、ルート周辺またはルート上に有料道路が存在するか否かを確認する。
【0062】
すなわち、ルート周辺またはルート上に有料道路が存在する場合は、有料道路優先案内フラグに“1”が設定される(S803)。有料道路優先案内フラグに“1”が設定されたことは、経路探索を行なう場合に有料道路を優先的に使用することを意味する。
【0063】
次に、第2の経路探索条件である時間帯による走行規制の利用の設定がされているかどうかを確認する(S804)。時間帯による走行規制の利用の設定がされていない場合(S804のNO)は、次の渋滞情報利用案内の設定確認に進む。時間帯による走行規制を利用する設定がされている場合(S804のYES)は、図10に示す時間帯による走行規制を利用する設定の有無に関する経路探索条件案内表の条件に従って、ルート周辺またはルート上に時間帯による走行規制道路が存在するか否かを確認する。
【0064】
すなわち、ルート周辺またはルート上に時間帯による走行規制道路が存在する場合は、走行規制利用案内フラグに“1”が設定される(S805)。時間規制利用案内フラグに“1”が設定されたことは、経路探索を行なう場合に現在の時刻を加味し地図データ上の走行規制データを利用し走行規制情報に従って使用する道路を選択したことを意味する。
【0065】
次に、第3の経路探索条件である渋滞情報を利用する設定がされているかどうかを確認する(S806)。渋滞情報を利用する設定がされていない場合(S806のNO)は、次の直進経路優先の設定確認に進む。渋滞情報を利用する設定がされている場合(S806のYES)は、図11に示す渋滞情報を利用する設定の有無に関する経路探索条件案内表の条件に従って、ルート周辺またはルート上に渋滞道路が存在するか否かを確認する。
【0066】
すなわち、ルート周辺またはルート上に渋滞道路が存在する場合は、渋滞情報利用案内フラグに“1”が設定される(S807)。渋滞情報利用案内フラグに“1”が設定されたことは、経路探索を行なう場合に渋滞情報に従って使用する道路を選択したことを意味する。
【0067】
次に、第4の経路探索条件である直進経路優先が設定されているかどうかを確認する(S808)。直進経路優先の設定がされていない場合(S808のNO)は、次の経路探索条件の案内情報生成に進む(S810)。直進経路優先が設定されている場合(S808のYES)は、図12に示す直進経路優先の設定の有無に関する経路探索条件案内表の条件に従って、右左折回数がN回以上かを確認する。
【0068】
なお、この右左折回数に関しては後に説明するが、目的地までのルートの右左折回数がN回以上の場合は、直進経路優先案内フラグに“1”が設定される(S809)。直進路優先フラグが“1”の場合は、「有料道路を優先して経路が探索されました」のような情報を生成し、音声により通知する。
【0069】
また、有料道路を優先する設定がなされていた場合に、実際の経路探索でルート周辺またはルート上に有料道路が存在しない場合に「有料道路を優先して探索した」という探索条件のアナウンスは意味がない。この場合の探索経路の案内は、例えば「ルート周辺またはルート上に有料道路はありません」のようなアナウンスが実用的である。その他の条件設定についても同様である。
【0070】
さらに、以上のように構成されたナビゲーション装置について、ルート周辺またはルート上の有料道路の存在を確認する動作について図13のフローチャートを用いて説明する。
【0071】
図13において、まず、ルートの出発地から目的地までの道路を復元する(S1301)。次に、復元した道路の一定距離毎の地点データをN個取り出し(S1302)、地点番号カウンタPnと有料道路の存在を示す有料道路フラグをともに“0”にする(S1303)。
【0072】
次に、地点番号カウンタPnをインデックスとして地点データを取り出し(S1304)、取り出した地点を円の中心として半径Rkmの範囲内から全ての道路M本を取り出し(S1305)、道路番号カウンタRmを“0”にする(S1306)。
【0073】
次に、道路番号カウンタRmをインデックスとして道路データを取り出し(S1307)、有料道路かどうかの判断をする(S1308)。取り出した道路データが有料道路の場合(S1308のYES)は、目的地までのルート周辺またはルート上に有料道路が存
在することになり有料道路フラグに“1”が設定され(S1313)、処理を終了する。取り出した道路が有料道路でない場合(S1308のNO)は、道路番号カウンタRmに“1”を加算する(S1309)。
【0074】
次に、全ての道路M本を確認し終わったかどうかの判断をする(S1310)。全ての道路M本を確認し終わっていない場合(S1310のYES)は、道路データの取り出し(S1307)に戻る。全ての道路M本を確認し終わっている場合(S1310のNO)は、地点番号カウンタPnに“1”を加算する(S1311)。
【0075】
次に、全ての地点について確認し終わったかどうかの判断をする(S1312)。全ての地点について確認が終わっていない場合(S1312のYES)は、地点データの取り出し(S1304)に戻る。全ての地点について確認が終わっている場合(S1312のNO)は、処理を終了する。
【0076】
他の道路条件についても同様に存在を確認することができる。その場合対照とする道路の条件を変えることにより、前述の図10では走行規制道路の存在を確認することができる。また図11では渋滞道路の存在を確認することができる。即ち、図13のステップS1303とステップS1313の有料道路フラグを走行規制道路フラグに変更し、ステップS1308の経路探索条件の有料道路を走行規制道路に置き換えれば走行規制道路の存在を確認する処理となる。
【0077】
図14は、右左折回数カウントの処理を示すフローチャートであり、図12に示す直進経路優先の設定の有無に関する経路探索条件案内表の条件を判定するために実行され、ルートの右左折回数をカウントする処理を説明するものである。
【0078】
図14において、まず探索された経路における出発地から目的地まで全ての交差点を復元して、総交差点数を把握する(S1401)。次に、交差点カウンタQnを“1”にセット(S1402)し、右左折カウンタを“0”に初期化する(S1403)。
【0079】
交差点カウンタQnをインデックスとして取り出した交差点の進入方向と脱出方向を取得する(S1404)。進入方向と脱出方向の情報を取得することによってその交差点を直進するのか進入方向より何度右左折するのかが判定できる。インデックスとして取り出した交差点で進入方向よりX度以上右に曲がっているなどの判断により「次の交差点を右折します」のような経路案内情報が必要かどうかを判断する(S1405)。
【0080】
右折に関する経路案内情報が必要な場合(S1405のYES)は右左折カウンタに“1”を加算する(S1409)。右折に関する経路案内情報が必要でない場合(S1405のNO)は、右折の場合と同様にして左折に関する経路案内情報が必要かどうかを判断する(S1406)。左折に関する経路案内情報が必要な場合(S1406のYES)は右左折カウンタに“1”を加算する(S1409)。左折に関する経路案内情報が必要でない場合(S1406のNO)、交差点カウンタQnに“1”を加算する(S1407)。
【0081】
次に、出発地から目的地まで全ての交差点を復元した時点で把握した全ての交差点で直進するのか右左折するのかを確認したかを判断する(S1408)。すべての交差点での確認が終わっていない場合(S1408のYES)は、インデックスとして取り出した交差点の進入方向と脱出方向を取得する(S1404)に戻る。すべての交差点での確認が終わっている場合(S1408のNO)は、処理を終了する。
【0082】
以上のように本実施の形態2のナビゲーション装置は、経路探索後や誘導中に何らかの
理由で経路逸脱した時に実行される再探索後においても、経路探索の計算に有効に用いられた経路探索条件、すなわち、経路探索時の経路選択に関与した経路探索条件が、音声で使用者に通知されるので、どのような経路探索条件で経路が探索されたのかをより効果的に確認することでき、特に再探索後の経路に対する使用者の不安感を払拭することができる。
【0083】
なお、以上の実施の形態では、経路検索条件として有料道路の優先利用、時間帯による走行規制の利用、渋滞情報を利用および直進経路の優先利用について説明したが、本発明はこれに限ることなく、例えば以下のような各種条件にも適用できる。
【0084】
経路探索条件として、優先する道路種別に関する条件、優先する走行方法に関する条件、経由地および通過地に関する条件、交通情報に関する条件などが挙げられ、優先する道路種別に関する条件としては、実施の形態のような有料道路優先の有無以外に、高速道路優先の有無、自動車専用道路優先の有無などがある。
【0085】
また、経路探索条件が優先する走行方法に関する条件としては、走行距離優先の有無、所要時間優先の有無、目的地へ左付け(目的地が進行方向に対して左になるように案内)優先の有無、直進経路探索優先の有無などがある。
【0086】
また、経路探索条件が経由地または通過地に関する条件としては、交差点、道路、インターチェンジ、フェリー航路、細街路、推奨経路など、あるいはこれらの特定のものがある。
【0087】
さらに、経路探索条件が交通情報に関する条件としては、渋滞情報、事故情報、走行規制情報などの情報を考慮するか否かの条件が考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
以上のように、本発明は経路探索をおこなった経路探索条件が探索後に使用者に通知されるので、経路案内情報を通知するナビゲーション装置等に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の実施の形態1におけるナビゲーション装置の外観斜視図
【図2】本発明の実施の形態1におけるナビゲーション装置の機能を示すブロック図
【図3】本発明の実施の形態1におけるナビゲーション装置のハードウェア構成を示すブロック図
【図4】本発明の実施の形態1におけるナビゲーション装置の経路探索条件の案内処理を示すフローチャート
【図5】本発明の実施の形態1におけるナビゲーション装置のリモコン操作の一例を示す図
【図6】本発明の実施の形態1におけるナビゲーション装置のリモコン操作の他の例を示す図
【図7】本発明の実施の形態2におけるナビゲーション装置の機能を示すブロック図
【図8】本発明の実施の形態2におけるナビゲーション装置の経路探索の処理を示すフローチャート
【図9】本発明の実施の形態2におけるナビゲーション装置の有料道路優先設定の有無に関する経路探索条件案内を示す図
【図10】本発明の実施の形態2におけるナビゲーション装置の時間帯による走行規制を利用する設定の有無に関する経路探索条件案内を示す図
【図11】本発明の実施の形態2におけるナビゲーション装置の渋滞情報を利用する設定の有無に関する経路探索条件案内を示す図
【図12】本発明の実施の形態2におけるナビゲーション装置の直進経路優先の設定の有無に関する経路探索条件案内を示す図
【図13】本発明の実施の形態2におけるナビゲーション装置のルート周辺またはルート上の有料道路の存在を確認する動作を示すフローチャート
【図14】本発明の実施の形態2におけるナビゲーション装置の右左折回数カウントの処理を示すフローチャート
【符号の説明】
【0090】
1 装置本体
11 スロット
12 リモコン受信部
13 スピーカ
14 案内ボタン
15 電源ケーブル
21 測位手段
22 地図情報記憶手段
23 地図情報取得手段
24 入力手段
25 経路探索条件設定手段
26 経路探索条件記憶手段
27 経路探索手段
28 経路案内手段
29 音声出力手段
30 経路案内手段
31 GPS受信部
32 自律航法センサ部
33 操作部
34 地図データ記憶媒体
35 データ読取部
36 スピーカ
37 処理制御部





【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の現在位置を測位する測位手段と、地図情報を記憶した地図情報記憶手段から前記地図情報を取得する地図情報取得手段と、目的地を入力する入力手段と、前記目的地までの経路探索の条件を設定する経路探索条件設定手段と、前記設定した経路探索条件を記憶する経路探索条件記憶手段と、前記記憶した経路探索条件に基づいて前記経路探索を行なう経路探索手段と、前記測位手段が測位した前記現在位置の情報と前記地図情報取得手段が取得した前記地図情報と前記経路探索手段が探索した前記経路情報とに基づいて経路案内情報を生成する経路案内手段と、前記記憶した経路探索条件を報知する報知手段とを備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記報知手段は、前記経路探索条件記憶手段に記憶した経路探索条件のうち、前記経路探索時の経路選択に関与した前記経路探索条件を報知することを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記報知手段が、音声出力手段からなることを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記経路探索条件設定手段は、優先する道路種別に関する条件、優先する走行方法に関する条件、経由地または通過地に関する条件、交通情報に関する条件のうち、少なくともいずれかの条件を含むことを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記経路探索条件設定手段で設定される優先する道路種別に関する条件は、有料道路優先の有無、高速道路優先の有無、自動車専用道路優先の有無のうち、少なくともいずれかの条件を含むことを特徴とする請求項3記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記経路探索条件設定手段で設定される優先する走行方法に関する条件は、走行距離優先の有無、所要時間優先の有無、目的地へ左付け優先の有無、直進経路探索優先の有無のうち、少なくともいずれかの条件を含むことを特徴とする請求項3記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
前記経路探索条件設定手段で設定される経由地または通過地に関する条件は、交差点、道路、インターチェンジ、フェリー航路、細街路、推奨経路のうち、少なくともいずれかを経由または通過するか否かの条件を含むことを特徴とする請求項3記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
前記経路探索条件設定手段で設定される交通情報に関する条件は、渋滞情報、事故情報、走行規制情報のうち、少なくともいずれかの情報の有無の条件を含むことを特徴とする請求項3記載のナビゲーション装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−17507(P2006−17507A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−193676(P2004−193676)
【出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】