説明

ナビゲーション装置

【課題】ドライバの運転負担を低減することができるナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】ナビゲーション装置1は、車両に搭載され、道路情報を利用して目的地へのルートを案内するものであって、車両10のドライバの運転操作を支援する運転操作支援装置6における支援内容及び利用状況の少なくとも一方に応じて、目的地へのルートを検索するECU5を備えている。このようにナビゲーション装置1によれば、運転操作支援装置6の支援内容及び利用状況の少なくとも一方を考慮してルートを検索することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の車両に用いられるナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のナビゲーション装置としては、車両に搭載され、道路情報を利用して目的地へのルートを案内するものが知られている。例えば特許文献1には、渋滞を回避してルートを検索するナビゲーション装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−153693号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年の車両には、例えば車間距離制御装置(AdaptiveCruise Control,以下、「ACC」という)や停車時ブレーキホールド機能等のドライバの運転操作を支援する運転操作支援手段が搭載される場合があり、ドライバの運転負担(運転負荷)の低減が図られている。この場合において、上述したようなナビゲーション装置では、例えば運転操作支援手段が作動しているときにも渋滞を回避するようなルートが案内され、かえってドライバの運転負担が増加してしまうおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、ドライバの運転負担を低減することができるナビゲーション装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係るナビゲーション装置は、車両に搭載され、道路情報を利用して目的地へのルートを案内するナビゲーション装置であって、車両のドライバの運転操作を支援する運転操作支援手段における支援内容及び利用状況の少なくとも一方に応じて、目的地へのルートを検索する検索手段を備えたことを特徴とする。
【0007】
このナビゲーション装置では、運転操作支援手段の支援内容及び利用状況の少なくとも一方が考慮されてルートが検索されるため、運転操作支援手段によるドライバの運転負担を低減できるルート案内を実現することが可能となる。
【0008】
このとき、検索手段は、運転操作支援手段によるドライバの運転負担低減量に応じてルートを検索する場合がある。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ドライバの運転負担を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係るナビゲーション装置を示すブロック図である。
【図2】図1のナビゲーション装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係るナビゲーション装置を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態のナビゲーション装置1は、自動車等の車両10に搭載されており、道路情報を利用して目的地へのルートを案内するものである。このナビゲーション装置1は、道路情報取得部2、操作部3、ルート提示部4及びECU(検索手段)5を備えている。
【0013】
道路情報取得部2は、車両10の現在位置を検出すると共に、この現在位置に係る地図情報や道路事情(例えば、交通情報、混雑度、道路種別、道路状況、道路幅等)を道路情報として取得する。この道路情報取得部2は、GPS(GlobalPositioning System)等を利用するものが用いられている。
【0014】
操作部3は、目的地及び後述するドライバ重視項目を操作情報として入力するための入力インターフェイスである。ルート提示部4は、ドライバに対し目的地までのルートを提示するための出力インターフェイスである。ルート提示部4としては、例えばルート画像(映像)を表示するモニタや、ルート音声を出力するスピーカが用いられている。
【0015】
ECU5は、例えばCPU、ROM、及びRAM等から構成されている。このECU5は、道路情報取得部2で取得された道路情報と、操作部3に入力された操作情報と、運転操作支援装置(運転操作支援手段)6の支援内容及び利用状況と、に応じて目的地へのルートを検索する。そして、ECU5は、検索したルートをルート提示部4から出力させる(詳しくは後述)。
【0016】
運転操作支援装置6は、車両10のドライバの運転操作を支援するものである。ここでの運転操作支援装置6は、ACC装置が用いられており、全車速域において先行車両に追従走行するように車両10の運転操作を制御する全車速ACC(AdaptiveCruise Control)制御を行う。これにより、車両10において停止から発進までの運転操作が自動で制御され、渋滞時においてもドライバの運転負担が低減される。
【0017】
次に、上述したナビゲーション装置1の動作について、図2に示すフローチャートを参照しつつ説明する。
【0018】
まず、操作部3により、目的値が設定されると共にドライバ重視項目が選択される(S1)。ここでは、ドライバ重視項目として、目的地に到着するまでにかかる時間を優先させる時間優先モード、又はドライバの運転負担を低減させる運転負担低減モードの何れかが選択される。
【0019】
続いて、ECU5において、次の処理が実行される。すなわち、操作部3で運転負担低減モードが選択された場合(S2にてYes)、車両10に運転操作支援装置6が搭載されているか否かが判定される(S3)。そして、車両10に運転操作支援装置6が搭載されている場合、その運転操作支援装置6の利用頻度を判定する(S4)。この運転操作支援装置6の利用頻度は、これまでの運転の際に予め学習されてECU5内に記憶されている。
【0020】
続いて、運転操作支援装置6の利用頻度が所定度よりも高い場合、運転操作支援装置6による運転負担低減量に応じて、道路情報取得部2で取得された道路情報にリンクするコスト(重み)が算出される(S5)。具体的には、以下に例示するようにコスト算出される。
【0021】
例えば、運転操作支援装置6で行われる全車速ACC制御は先行車両との車間距離(車間時間)制御であることから、先行車両が存在する場合、加減速による運転負担が低減される。そのため、上記S5では、先行車両が存在する場合、直進ルート(あるいは、先行車両のルートを特定できるときには、先行車両ルート)のコストが小さくなるようコスト算出される。
【0022】
また、運転操作支援装置6が搭載されていると、渋滞時のペダル操作頻度が大幅に低減されることから、加減速による運転負担が大幅に低減されるため、積極的に渋滞を回避する必要性が低下する。そのため、上記S5では、渋滞部分(渋滞回避ルート)のコストが一層小さくなるようコスト算出される。
【0023】
他方、操作部3で運転負担低減モードが選択されない場合(上記S2でNo)、運転操作支援装置6が車両10に搭載されていない場合(上記S3でNo)、又は運転操作支援装置6の利用頻度が所定度以下の場合(上記S4でNo)には、通常通り、運転負担低減量が考慮されずにコストが算出される(S6)。
【0024】
そして、上記S5又は上記S6で算出されたコストと、道路情報取得部2で取得された道路情報と、操作部3に入力された目的地と、に基づいてルートが検索(生成)され、検索されたルートがルート提示部4により出力されてドライバに案内される(S7)。
【0025】
以上、本実施形態においては、ドライバの運転操作そのものを支援するような運転操作支援装置6の支援内容及び利用状況を考慮したルートを設定できるため、ドライバの運転負担を低減できるルート案内を実現することが可能となる。その結果、案内されたルートを車両10走行したときに、不本意にドライバの運転負担が増えてしまうのを防止することができる。
【0026】
特に、本実施形態では、上述したように、渋滞時の運転操作負担が軽減されるACC装置が運転操作支援装置6として搭載されており、渋滞回避ルートのコストが小さくされている。よって、運転負担が考慮されずに渋滞回避ルートが常に案内されてしまうのを抑制することができる。
【0027】
ちなみに、全車速ACC制御に代えて、低速域にてACC制御を行う低速ACC制御を行うACC装置を用いる場合にも、渋滞回避ルートが常に案内されてしまうのを抑制するという上記作用効果は勿論奏される。
【0028】
さらに、本実施形態では、上述したように、運転操作支援装置6の利用頻度が高いとその運転負担低減量が考慮されたコスト算出が行われ(上記S4→上記S5)、利用頻度が低いと通常のコスト算出が行われている(上記S4→上記S6)。これは、ドライバが運転操作支援装置6を使用しない場合等には運転負担の低減効果が発生しないことによるものである。
【0029】
ところで、運転中に一時的に運転負担を低減したい(例えば、休憩を取りたい)ドライバ状態の場合には、ACC装置が運転操作支援装置6として搭載されていると、積極的に渋滞を通るルートが案内されるのが好ましい。一方で、運転負担の低減を望まず、むしろ、早く目的地に到着することを望む場合もある。この点、本実施形態では、操作部3によってドライバ自身に条件(ドライバ重視項目)が選択され(上記S1)、かかる条件の上でルート案内が実施されるため、一時的なドライバ状態をも考慮して、ドライバの運転負担を低減することができる。
【0030】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明に係るナビゲーション装置は、実施形態に係る上記ナビゲーション装置1に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。
【0031】
例えば、上記実施形態では、運転操作支援装置6としてACC装置を適用しているが、ドライバの運転操作そのものを支援するものであれば、運転操作支援手段に種々の装置を適用することができる。例えば、運転操作支援手段としては、車両10の加減速支援を行う装置の他に、停車時ブレーキホールド機能を有する装置、及びVGRS(VariableGear Ratio Steering)制御を行うVGRS装置等が挙げられる。
【0032】
なお、停止又は発進支援を行わない通常ACC制御を行う運転操作支援手段でも、車両10の加減速が多少自動的に行われるため、渋滞の運転負担の低減効果が多少実現される。このように、運転操作支援手段が有する機能によっては、運転負担の低減効果の実現領域と非実現領域とが存在するため、上記S5においては、かかる低減効果の実現領域と非実現領域との存在を考慮してコスト算出してもよい。すなわち、例えば、渋滞量によって渋滞中の車両10の速度を予測し、例えば40km/h以下になるようであれば、通常ACC制御による運転負担低減効果を、全車速ACC制御による運転負担低減効果の半分としてコスト算出に反映してもよい。
【0033】
また、運転操作支援手段の利用頻度が低いドライバでも、運転操作支援手段を利用しながら渋滞経路を通ったほうが圧倒的に運転負担が低減される場合(例えば、迂回路が獣道等の場合)がある。この場合には、あえて利用頻度が高いドライバと同等なコスト算出を行ってルート案内し、且つ、運転操作支援手段の利用をドライバに積極的に報知(例えば、「渋滞時には運転操作支援手段を利用して下さい」等のアナウンス)することが好ましい。
【符号の説明】
【0034】
1…ナビゲーション装置、5…ECU(検索手段)、6…運転操作支援装置(運転操作支援手段)、10…車両。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、道路情報を利用して目的地へのルートを案内するナビゲーション装置であって、
前記車両のドライバの運転操作を支援する運転操作支援手段における支援内容及び利用状況の少なくとも一方に応じて、前記目的地への前記ルートを検索する検索手段を備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記検索手段は、前記運転操作支援手段による前記ドライバの運転負担低減量に応じて前記ルートを検索することを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−174742(P2011−174742A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−37460(P2010−37460)
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】