説明

ニューロキニン受容体拮抗薬としてのキノリン誘導体

本発明は、式(I)(式中、hal、n、A、式(a)、R、R、R、R、R、およびRは、本明細書中で定義される。)の置換キノリン誘導体、それらを含む医薬組成物、およびニューロキニン−2および/またはニューロキニン−3(NK−3)受容体介在疾患の治療におけるそれらの使用に関する。従って、これらの化合物は、そのような障害を抑制および治療するための治療方法において用いられ得る。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、置換キノリン−4−カルボキサミド誘導体、それらを含む医薬組成物、およびそれらのニューロキニン−2(NK−2)および/またはニューロキニン−3(NK−3)受容体介在疾患の治療における使用に関する。従って、これらの化合物は、そのような障害を抑制および治療するための治療方法において用いられ得る。
【背景技術】
【0002】
NK−3受容体拮抗薬に関する背景技術情報は、GiardinaおよびRaveglia、”Exp.Opin.Ther.Patents(1997)(4):307−323”、およびGiardinaら、”Exp.Opin.Ther.Patents(2000)10(6):939−960”などの文献レビュー中に見出され得る。これらの参考文献は、NK−3拮抗薬で治療され得る治療の前臨床実証に関する適切な情報も含む。
【0003】
一定のキノリン誘導体は、NK−3受容体拮抗薬として既に開示されている。例えば、国際特許出願公開WO2005/014575、WO2005/000247、WO2004/066951、WO2004/066950、WO2004/050627、WO2004/050626(ここまでは全て、SmithKline Beecham Corporation)、WO02/083664、WO02/083663、WO02/083645、WO02/44165、WO02/44154、WO02/43734、WO02/38548、WO02/38547(ここまでは全て、GlaxoSmithKline S.P.A.)、WO00/64877、WO00/58307(両者はNeurogen Corporation)、WO00/31038、WO00/31037、WO98/52942、WO97/21680、WO97/19928、WO97/19926、WO96/02509、およびWO95/32948(ここまでは全て、SmithKline Beecham S.P.A.)は、NK−3受容体拮抗薬としてのキノリン−4−カルボキサミド誘導体を開示している。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
従って、本発明は、式(I):
【0005】
【化13】

(式中、
halは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素である;
nは、0、1または2であり、nが2である場合、2つのhal原子は同じであるかまたは異なり得る;
Aは、場合により1から3のハロゲン原子で置換されている、フェニルまたはチオフェニルである;
【0006】
【化14】

は、C1−3アルキレン基により場合により架橋され、およびフェニルに場合により融合する、C結合アゼチジニル、ピロリジニルまたはピペリジニル環である;
は、水素、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−8シクロアルキル、C(O)C1−6アルキル、C(O)OC1−6アルキル、C(O)O(CH0−3アリール、S(O)1−6アルキル、ヘテロアリールまたはHetであり、ここでC3−8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびHetは、C1−6アルキルで場合により置換されており、およびHetは、N、OおよびSから選択される1もしくは2のヘテロ原子またはS(O)基、S(O)基、NH基もしくはNC1−4アルキル基を含む4から6環原子のヘテロ脂肪族環である;
は、水素、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニルまたはC3−8シクロアルキルである;
は、場合により1から3のハロゲン原子で置換されている、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、(CH0−33−8シクロアルキルまたは(CH0−3フェニルである;
は、水素、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニルまたはC3−8シクロアルキルである;
または、RおよびRは、一緒に結合して前記で定義したようなC3−8シクロアルキルまたはHet基を形成する;
は、水素、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−8シクロアルキル、またはオキソである;
は、水素、ヒドロキシまたはオキソであり、但しRがヒドロキシである場合は、それは環N原子に隣接する炭素原子には結合しない;
または、RおよびRは一緒になって、1つの更なるNまたはO原子を場合により含み、C1−6アルキルで場合により置換されている、窒素含有へテロ脂肪族環を形成する。)
の化合物またはその薬学的に許容できる塩を提供する。
【0007】
本発明の1つの実施形態において、式(I):
【0008】
【化15】

(式中、
halは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素である;
nは、0、1または2であり、nが2である場合、2つのhal原子は同じであるかまたは異なり得る;
Aは、1から3のハロゲン原子で場合により置換されている、フェニルまたはチオフェニルである;
【0009】
【化16】

は、C1−3アルキレン基により場合により架橋され、およびフェニルに場合により融合する、C結合アゼチジニル、ピロリジニルまたはピペリジニル環である;
は、水素、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−8シクロアルキルまたはHetであり、ここでC3−8シクロアルキルおよびHetは、C1−6アルキルで場合により置換されており、およびHetはN、OおよびSから選択される1もしくは2のヘテロ原子またはS(O)基、S(O)基、NH基もしくはNC1−4アルキル基を含む4から6環原子のヘテロ脂肪族環である;
は、水素、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニルまたはC3−8シクロアルキルである;
は、1から3のハロゲン原子で場合により置換されている、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、(CH0−33−8シクロアルキルまたは(CH0−3フェニルである;
は、水素、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニルまたはC3−8シクロアルキルである;
または、RおよびRは、一緒に結合して前記で定義したようなC3−8シクロアルキルまたはHet基を形成する;
は、水素、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、またはC3−8シクロアルキルである;
または、RおよびRは一緒になって、1つの更なるNまたはO原子を場合により含み、およびC1−6アルキルで場合により置換されている、窒素含有へテロ脂肪族環を形成する。)
の化合物またはこの薬学的に許容できる塩が提供される。
【0010】
本発明のもう1つの実施形態において、halは、フッ素、塩素または臭素である。好ましくは、halはフッ素である。
【0011】
本発明のもう1つの実施形態において、nは1または2である。好ましくは、nは1である。
【0012】
nが1または2である場合、好ましくは、1つのhal基は、キノリニル環系の5−、7−または8−位に位置する。より好ましくは、1つのhal基は、キノリニル環系の8−位に位置する。
【0013】
本発明のもう1つの実施形態において、Aは、1または2のハロゲン原子で場合により置換されているフェニルである。好ましくは、Aは、フェニルである。
【0014】
本発明のもう1つの実施形態において、
【0015】
【化17】

は、C結合ピロリジニル(即ち、2−または3−ピロリジニル)またはピペリジニル(即ち、2−、3−または4−ピペリジニル)環である。好ましくは、
【0016】
【化18】

は、C結合ピペリジニル環である。より好ましくは、
【0017】
【化19】

は、4−ピペリジニルである。
【0018】
本発明のもう1つの実施形態において、Rは、水素、C1−6アルキル、C(O)C1−4アルキル、C(O)OC1−4アルキル、C(O)O(CH0−1フェニル、S(O)1−4アルキル、ヘテロアリールまたはHetであり、ここでHetは前記で定義した通りでありおよびC1−6アルキルで場合により置換されている。好ましくは、Rは、水素、C1−4アルキル、C(O)C3−4アルキル、C(O)OC3−4アルキル、C(O)O(CH0−1フェニル、S(O)1−2アルキル、ピリミジル、またはOもしくはS原子またはS(O)基、S(O)基、NH基もしくはNC1−4アルキル基のいずれかを含み、C1−6アルキルで場合により置換されている5または6環原子のヘテロ脂肪族環である。より好ましくは、Rは、C1−6アルキルで場合により置換されている、3−テトラヒドロフラニルまたは3−もしくは4−テトラヒドロピラニルである。最も好ましくは、Rは、3−または4−テトラヒドロピラニルである。特にRは、4−テトラヒドロピラニルである。
【0019】
本発明のもう1つの実施形態において、RはC1−6アルキルである。好ましくは、Rは、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチルまたはt−ブチルである。より好ましくは、Rはエチルである。
【0020】
本発明のもう1つの実施形態において、RはC1−6アルキル、C3−8シクロアルキルまたは(CH0−3フェニルである。好ましくは、Rは、C1−6アルキル、フェニルまたはCHフェニルである。より好ましくは、Rはフェニルである。
【0021】
本発明のもう1つの実施形態において、Rは、水素またはC1−6アルキルである。好ましくは、Rは水素である。
【0022】
本発明のもう1つの実施形態において、Rは、水素またはC1−6アルキルである。好ましくは、Rは水素である。
【0023】
本発明の1つの更なる実施形態において、式(Ia):
【0024】
【化20】

(式中、hal、
【0025】
【化21】

、RおよびRは、式(I)に関して定義したとおりである。
【0026】
好ましくは、halは、フッ素、塩素または臭素である。より好ましくは、halはフッ素である。
【0027】
好ましくは、halは、キノリニル環系の7−または8−位に位置する。より好ましくは、halは、キノリニル環系の8−位に位置する。
【0028】
好ましくは、
【0029】
【化22】

は、C結合ピペリジニル環、より好ましくは3−または4−ピペリジニル、最も好ましくは4−ピペリジニルである。
【0030】
好ましくは、Rは、C1−6アルキルまたはHetであり、Hetは式(I)に関して定義したとおりであり、C1−6アルキルで場合により置換されている。より好ましくは、Rは、C1−6アルキルで場合により置換されている、テトラヒドロピラニルまたはチエニル環である。最も好ましくは、Rは、3−または4−テトラヒドロピラニルである。特に、Rは、4−テトラヒドロピラニルである。)
の化合物またはその薬学的に許容できる塩が提供される。
【0031】
本発明の1つの更なる実施形態において、式(Ib):
【0032】
【化23】

(式中、hal、n、
【0033】
【化24】

、R、RおよびRは、式(I)に関して定義したとおりである。
【0034】
好ましくは、halは、フッ素、塩素または臭素である。より好ましくは、halはフッ素である。
【0035】
好ましくは、nは0または1である。より好ましくは、nは1である。
【0036】
nが1である場合、好ましくはhal基は、キノリニル環系の8−位に位置する。
【0037】
好ましくは、
【0038】
【化25】

は、C結合ピペリジニル環である。より好ましくは
【0039】
【化26】

は、3−または4−ピペリジニルである。
【0040】
好ましくは、Rは、水素、C1−6アルキル、C(O)C1−6アルキル、C(O)OC1−6アルキル、C(O)O(CH0−3アリール、S(O)1−6アルキル、ヘテロアリールまたはHetである。より好ましくは、Rは、水素、C1−4アルキル、C(O)C1−4アルキル、C(O)OC1−4アルキル、C(O)O(CH0−3フェニル、S(O)1−4アルキル、ピリジニルまたはテトラヒドロピラニルである。最も好ましくは、Rは、水素、C3−4アルキル、C(O)C3−4アルキル、C(O)OC3−4アルキル、C(O)O(CH0−1フェニル、S(O)1−2アルキル、ピリジニルまたはテトラヒドロピラニルである。特に、Rは、水素、プロピル、C(O)プロピル、C(O)Oブチル、C(O)OCHフェニル、S(O)CH、2−、3−もしくは4−ピリジニルまたは2−、3−もしくは4−テトラヒドロピラニルである。より特に、Rは、水素、i−プロピル、C(O)−i−プロピル、C(O)Ot−ブチル、C(O)OCHフェニル、S(O)CH、3−ピリジニルまたは4−テトラヒドロピラニルである。
【0041】
好ましくは、Rは、水素、C1−6アルキルまたはオキソである。より好ましくは、Rは、水素またはオキソである。最も好ましくは、Rは、水素である。
【0042】
好ましくは、Rは、水素である。)
の化合物またはその薬学的に許容できる塩が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
本発明は、その範囲内に式(I)の化合物の溶媒和物、例えば水和物、およびこの塩を含む。
【0044】
本発明はまた、その範囲内に式(I)の化合物のいずれかの鏡像異性体、ジアステレオマー、幾何異性体および互変異性体も含む。それら全ての異性体およびそれらの混合物が本発明の範囲内に含まれることを理解されたい。
【0045】
本明細書においては、用語「C1−6アルキル」は、1から6個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキル基を意味し、ヘキシルおよびペンチルアルキル異性体の全て、並びにn−、イソ−、sec−およびt−ブチル、n−およびイソ−プロピル、エチルおよびメチルを含む。
【0046】
用語「C2−6アルケニル」は、2から6個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルケニル基を意味し、ヘキセニルおよびペンテニル異性体の全て、並びに1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、イソブテニル、1−プロペニル、2−プロペニルおよびエテニル(またはビニル)を含む。
【0047】
用語「C2−6アルキニル」は、2から6個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキニル基を意味し、ヘキシニルおよびペンチニル異性体の全て、並びに1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−プロピニル、2−プロピニルおよびエチニル(またはアセチレニル)を含む。
【0048】
用語「アルキレン」は、アルキル基が2つの別々の基を結合し、直鎖または分岐鎖であり得ることを意味する。適したアルキレン基の例としては、エチレン(−CH−CH−)およびプロピレン(−CH−CH−CH−、−CH(CH)−CH−、または−CH−CH(CH)−)が挙げられる。
【0049】
用語「C3−8シクロアルキル」は、3から8個の総炭素原子数を有するアルカン環(即ち、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルまたはシクロオクチル)を意味する。
【0050】
本発明の化合物の例としては、下記実施例中に名を挙げられるものおよびそれらの薬学的に許容できる塩が挙げられる。
【0051】
これらの化合物および直前の定義により定義されたものは、治療において、特にNK−2および/またはNK−3拮抗薬として、より詳細にはNK−3拮抗薬として有用である。
【0052】
用語化合物の「投与」および/または化合物を「投与すること」は、本発明の化合物を治療が必要な個体に提供することを意味すると理解されたい。
【0053】
用語「対象」(代替的に、本明細書中では「患者」と称する)は、本明細書においては、治療、観察または実験の対象である動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを指す。
【0054】
本発明の化合物は、薬学的に許容できる塩の形態で投与され得る。用語「薬学的に許容できる塩」は、溶解度特性または加水分解特性を調節するための剤形として用いられ得るまたは、徐放性調合物またはプロドラッグ調合物において用いられ得る、例えば酢酸塩、ラクトビオン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、ラウリン酸塩、安息香酸塩、リンゴ酸塩、重炭酸塩、マレイン酸塩、重硫酸塩、マンデル酸塩、重酒石酸塩、メシル酸塩、ホウ酸塩、メチル臭化物塩、臭化物塩、メチル硝酸塩、エデト酸カルシウム、メチル硫酸塩、カンシル酸塩、ムコ酸塩(mucate)、炭酸塩、ナプシル酸塩、塩化物塩、硝酸塩、クラブラン酸塩、N−メチルグルカミン、クエン酸塩、アンモニウム塩、二塩酸塩、オレイン酸塩、エデト酸塩、シュウ酸塩、エジシル酸塩、パルモエート(palmoate)(エンボネート)、エストレート、パルミチン酸塩、エシレート、パントテン酸塩、フマル酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、グルセプテート、ポリガラクツロン酸塩、グルコン酸塩、サリチル酸塩、グルタミン酸塩、ステアリン酸塩、グリコリルアルサニレート、硫酸塩、ヘキシルレゾルシネート(hexylresorcinate)、塩基性酢酸塩、ヒドラバミン、コハク酸塩、臭化水素酸塩、タンニン酸塩、塩化水素酸塩、酒石酸塩、ヒドロキシナフトエート、ヨウ化物、トシル酸塩、イソチオン酸塩、トリエトヨウ化物(triethiodide)、乳酸塩、パノエート(panoate)、吉草酸塩などの全ての許容できる塩を含むことを意図する。本発明の化合物の特定の官能基により、本発明の化合物の薬学的に許容できる塩は、ナトリウム、カリウム、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、亜鉛などの陽イオンから、およびアンモニア、エチレンジアミン、N−メチル−グルタミン、リシン、アルギニン、オルニチン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレン−ジアミン、クロロプロカイン、ジエタノールアミン、プロカイン、N−ベンジルフェネチル−アミン、ジエチルアミン、ピペラジン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンおよび水酸化テトラメチルアンモニウムなどの塩基から生成するものを含む。これらの塩は、例えば遊離酸を適した有機または無機の塩基と反応させることによるなどの標準手順により調製され得る。アミノなどの塩基性基が存在する場合、酸性塩、即ち塩化水素酸塩、臭化水素酸塩、酢酸塩などは、剤形として用いられ得る。
【0055】
本発明の化合物は、経口的に、非経口的に(例えば、筋肉内、腹腔内、静脈内、脳室内(ICV)、大槽内注射または点滴、皮下注射、または埋め込み)、吸入スプレーにより、投与の経鼻の、経膣の、経直腸の、舌下のまたは局所的な経路により投与され得、および単独でまたは組み合わせで、各投与経路に適切な、従来の無毒で薬学的に許容できる担体、助剤およびビヒクルを含む、適した投与単位剤形に製剤され得る。マウス、ラット、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌ、ネコ、サルなどの温血動物の治療に加えて、本発明の化合物はヒトにおける使用に有効である。
【0056】
本発明の化合物の投与のための医薬組成物は、投与単位剤形中に好都合に存在し得、医薬業界でよく知られている方法のいずれかにより調製され得る。全ての方法は、1つ以上の副成分を構成する担体と有効成分を混合する段階を含む。一般に、医薬組成物は、液体担体または微粉末固形担体またはその両方と有効成分を均一および十分に混合することにより、およびその上で、必要であればその生成物を望ましい剤形に造形することにより調製される。有効対象化合物は、医薬組成物中に、疾患の経過または症状に望ましい効果を生じるのに十分な量において含まれる。本明細書においては、用語「組成物」は、特定の成分を特定の量で含む生成物、並びに特定の量における特定の成分の組み合わせから直接または間接的に生成するいずれかの生成物を包含するものとする。
【0057】
有効成分を含む医薬組成物は、例えば錠剤、トローチ剤、ロゼンジ剤、水性もしくは油性懸濁剤、分散性散剤もしくは顆粒剤、乳剤、硬質もしくは軟質カプセル剤、またはシロップ剤もしくはエリキシル剤として経口用途に適した形態であり得る。経口用途用に意図された組成物は、医薬組成物製造に関する分野で公知のいずれかの方法により調製され得、そのような組成物は、医薬的に洗練された美味な製剤を提供するために、甘味剤、香味剤、着色剤および防腐剤からなる群より選択される1つ以上の薬剤を含み得る。錠剤は、有効成分を、錠剤の製造に適した無毒で薬学的に許容できる賦形剤との混合物において含む。これらの賦形剤は、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウムなどの不活性希釈剤;例えば、コーンスターチまたはアルギン酸などの造粒剤および崩壊剤;例えば、デンプン、ゼラチンまたはアラビアゴムなどの結着剤;および例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルクなどの滑剤であり得る。該錠剤は、非被覆であり得るか、または公知の方法により被覆して胃腸管における崩壊および吸収を遅延させ、それにより長期間にわたる徐放性作用を提供し得る。例えば、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルなどの時間遅延材料が、用いられ得る。それらはまた、米国特許第4,256,108号、第4,166,452号および第4,265,874号に記載の方法により被覆して、放出制御のための浸透性治療用錠剤をも形成し得る。
【0058】
経口用途のための調合物はまた、該有効成分を例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウムもしくはカオリンなどの不活性固形希釈剤と混合した硬質ゼラチンカプセル剤として、または該有効成分を水もしくは油性媒体(例えば、ピーナッツ油、液体パラフィンまたはオリーブ油など)と混合した軟質ゼラチンカプセル剤としても提供され得る。
【0059】
水性懸濁剤は、有効成分を、水性懸濁剤の製造に適した賦形剤との混合物として含む。このような賦形剤は、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴムおよびアラビアゴムなどの懸濁化剤;天然に存在するホスファチド(例えば、レシチンなど)、または酸化アルキレンと脂肪酸との縮合生成物(例えば、ステアリン酸ポリオキシエチレンなど)、または酸化エチレンと長鎖脂肪アルコールとの縮合生成物(例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノールなど)、または酸化エチレンと、脂肪酸およびヘキシトールとから誘導される部分エステルとの縮合生成物(例えば、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトールなど)、または酸化エチレンと、脂肪酸および無水ヘキシトールとから誘導される部分エステルとの縮合生成物(例えば、モノオレイン酸ポリエチレンソルビタンなど)、などであり得る分散剤または湿潤剤である。水性懸濁剤はまた、1つ以上の防腐剤(例えば、p−ヒドロキシ安息香酸エチルまたはp−ヒドロキシ安息香酸n−プロピル)、1つ以上の着色剤、1つ以上の香味剤および1つ以上の甘味剤(例えば、ショ糖またはサッカリンなど)をも含み得る。
【0060】
油性懸濁剤は、上記有効成分を植物油(例えば、ラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油またはヤシ油など)中にまたは鉱油(液体パラフィンなど)中に懸濁することにより製剤され得る。油性懸濁剤は、例えば蜜ろう、硬質パラフィンまたはセチルアルコールなどの増粘剤を含み得る。上記したような甘味剤および香味剤を加えて美味な経口製剤を提供し得る。これらの組成物は、アスコルビン酸などの酸化防止剤を添加することにより保存され得る。
【0061】
水の添加による水性懸濁剤の調製に適した分散性散剤および顆粒剤は、有効成分を分散剤または湿潤剤、懸濁化剤および1つ以上の防腐剤との混合物において提供する。適した分散剤または湿潤剤および懸濁化剤は、既に上記したようなもので例示される。例えば、甘味剤、香味剤および着色剤などの追加の賦形剤もまた、含め得る。
【0062】
本発明の医薬組成物はまた、水中油型乳剤の形態でもあり得る。その油相は、植物油(例えば、オリーブ油またはラッカセイ油など)もしくは鉱油(例えば、液体パラフィンなど)またはそれらの混合物であり得る。適した乳化剤は、天然に存在するゴム(例えば、アラビアゴムまたはトラガカントゴムなど)、天然に存在するホスファチド(例えば、大豆レシチンなど)、脂肪酸および無水ヘキシトールとから誘導されるエステルまたは部分エステル(例えば、モノオレイン酸ソルビタンなど)、および前記部分エステルと酸化エチレンとの縮合生成物(例えば、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン)などであり得る。該乳剤はまた、甘味剤および香味剤も含み得る。
【0063】
シロップ剤およびエキシル剤は、例えばグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトールまたはショ糖などの甘味剤と共に製剤され得る。そのような調合物はまた、粘滑剤、防腐剤、および香味剤および着色剤も含み得る。
【0064】
医薬組成物は、無菌の注射可能な水性または油性懸濁剤の形態であり得る。この懸濁剤は、上述した、適した分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を用い公知技術に従って製剤され得る。この無菌の注射可能な製剤はまた、無毒の非経口的に許容できる希釈剤または溶媒中の無菌の注射可能な液剤または懸濁剤(例えば、1,3−ブタンジオール中の液剤)であり得る。用いられ得る、許容できるビヒクルおよび溶媒には、水、リンゲル液および等張性塩化ナトリウム溶液などがある。加えて、無菌の不揮発油が、溶媒または懸濁媒体として従来から用いられている。この目的のために、合成のモノグリセリドまたはジグリセリドも含めていずれかの無刺激性不揮発油を用い得る。加えて、オレイン酸などの脂肪酸が、注射可能製剤の調製において用いられる。
【0065】
本発明の化合物はまた、該薬物の直腸内投与のための坐薬の形態でも投与され得る。これらの組成物は、該薬物を通常の温度では固体であるが直腸内温度では液体であり従って直腸内で融解して該薬物を放出するような適した無刺激性賦形剤と混合することにより調製され得る。そのような材料は、ココアバターおよびポリエチレングリコールである。
【0066】
局所用途には、本発明の化合物を含む、クリーム剤、軟膏剤、ゼリー剤、液剤または懸濁剤を用いる(この適用のために、局所投与は、洗口剤およびうがい薬を含むものとする。)。
【0067】
本発明の医薬組成物および方法は、上記の病理学的症状の治療において通常適用される本明細書中に記載のその他の治療的有効化合物を更に含み得る。
【0068】
NK−2および/またはNK−3受容体調節が必要な症状の治療または予防において、適切な投与濃度は一般に、約0.01から500mg/kg患者体重/日であり、これを単一投与量または多数回投与量において投与し得る。好ましくは、投与濃度は、約0.1から約250mg/kg/日、より好ましくは約0.5から約100mg/kg/日である。適した投与濃度は、約0.01から250mg/kg/日、約0.05から100mg/kg/日、約0.1から50mg/kg/日であり得る。この範囲内で、投与量は、0.05から0.5、0.5から5または5から50mg/kg/日であり得る。経口投与用には、治療する患者に投与する量を症候により調節するために、組成物を、好ましくは有効成分の1.0から1000mgを含む、特に有効成分の1.0、5.0、10.0、15.0、20.0、25.0、50.0、75.0、100.0、150.0、200.0、250.0、300.0、400.0、500.0、600.0、750.0、800.0、900.0および1000.0mgを含む錠剤の形態で提供する。化合物は、1日当たり1から4回の、好ましくは1日当たり1回または2回の投与計画で投与され得る。
【0069】
しかしながら、いずれかの特定の患者に対する投与量の特定の濃度および頻度は変動し得、用いる特定の化合物の活性、該化合物の代謝安定性および作用持続時間、年齢、体重、全般的健康状態、性別、食事、投与の様式と時間、排泄速度、薬物の組み合わせ、特定の症状の重症度、および宿主の受けている治療などを含む因子の多様性に依存する。
【0070】
本発明はまた、式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる塩および薬学的に許容できる賦形剤を含む医薬組成物も提供する。
【0071】
従って、治療における使用のための式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる塩が提供される。
【0072】
同様に、ニューロキニン−2および/またはニューロキニン−3介在疾患を治療するための薬物の製造のための、式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる塩の使用が提供される。
ニューロキニン−2および/またはニューロキニン−3介在疾患を患う患者の治療の方法であり、その患者に式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる塩の治療有効量を投与することを含む前記方法も開示される。
【0073】
ニューロキニン−2および/またはニューロキニン−3介在疾患の例としては、うつ病[この用語は、双極性うつ病(躁うつ病)(型Iおよび型IIを含む)、単極性うつ病、精神病特性、緊張病特性、うつ病特性、非定型特性(例えば、嗜眠、過食/肥満、過眠)または産後発症を伴うまたは伴わない単一または反復大うつ病エピソード、季節性情動障害および情緒異常、うつ病関連不安症、精神病的憂うつ、および心筋梗塞、糖尿病、流産または堕胎を含むがこれらに限定されない一般的な医学症状から生じるうつ病性障害を含む];不安障害[全般性不安障害(GAD)、社会不安障害(SAD)、動揺、緊張、精神病患者における社会的または感情的離脱症状、恐慌性障害および強迫性障害を含む];恐怖症(広場恐怖および対人恐怖を含む);精神障害および精神異常障害[分裂病、統合失調性感情障害、統合失調症様障害、急性精神病、アルコール性精神病、自閉症、せん妄、躁病(急性躁病を含む)、躁うつ病、幻覚、内因性精神病、器質性精神症候群、パラノイド障害および妄想性障害、産褥期精神障害およびアルツハイマー病などの神経変性障害関連の精神病を含む];心的外傷後ストレス障害;注意欠陥過活動性障害(ADHD);認知障害[例えば、注意機能、適応機能、記憶機能(記憶障害、記憶喪失、記憶喪失障害および加齢記憶障害)および言語機能を含む認知機能の障害、および脳卒中、アルツハイマー病、エイズ関連痴呆またはその他の痴呆症状、並びにせん妄またはうつ病などの認知機能低下(仮性痴呆症状)を引き起こし得るその他の急性または亜急性症状の結果としての認知障害を含む認知機能の障害の治療];てんかん[単純部分発作、複雑部分発作、二次全身発作、全身発作(欠神発作、ミオクローヌス発作、間代性発作、強直性発作、強直・間代性発作および無緊張発作を含む)を含む]などの痙攣性障害;精神性的機能不全[性的関心欠損症(性欲低下)、抑制された性的喚起または性的興奮、オルガズム機能障害、抑制された女性オルガズムおよび抑制された男性オルガズム、性的欲求低下障害(HSDD)、女性性的欲求障害(FSDD)、およびSSRI−分類の抗うつ薬を用いる治療により誘発される性的機能障害副作用を含む];睡眠障害(概日リズムの混乱、睡眠異常、不眠症、睡眠時無呼吸およびナルコレプシーを含む);食事挙動の障害(拒食症および神経性過食症を含む);神経変性病[アルツハイマー病、ALS、運動ニューロン疾患およびパーキンソン病(目的運動における徐々に増加する障害、身震い、動作緩慢、(中等度および重度の)運動亢進、無動、硬直、平衡および協調の障害、ならびに姿勢の障害を含む歩行運動欠陥および/または運動器官障害からの解放を含む)などのその他の運動障害、パーキンソン病における痴呆、ハンチントン病における痴呆、神経遮断誘発のパーキンソン病ジスキネジーおよび遅発性ジスキネジー、脳卒中後の神経変性、心停止、肺バイパス、外傷性脳損傷、脊髄損傷など、ならびに多発性硬化症および筋萎縮性側索硬化症などの脱髄疾患など];喫煙の停止またはそのような行動の程度または頻度の低減を含む薬物乱用(コカイン、エタノール、ニコチン、ベンゾジアゼピン、アルコール、カフェイン、フェンシクリジンおよびフェンシクリジン様化合物、大麻などのアヘン剤、ヘロイン、モルヒネ、鎮静剤、睡眠薬、アンフェタミンまたはデキストロアンフェタミン、メチルアンフェタミンまたはそれらの組み合わせなどのアンフェタミン系薬物の乱用など)からの離脱症;疼痛[神経因性疼痛(糖尿病性神経障害;坐骨神経痛;非特定腰痛;多発性硬化症疼痛;線維筋痛または癌関連の疼痛;AIDS関連およびHIV関連の神経障害;化学療法誘発神経障害;ヘルペス後神経痛および三叉神経痛などの神経痛;交感神経持続性疼痛および身体外傷、切断術、癌、毒素、または関節リウマチおよび変形性関節症などの慢性炎症症状から生じる疼痛;肩手症候群などの反射性交換神経性ジストロフィを含む)、急性疼痛(例えば、筋骨格系疼痛、手術後疼痛および外科疼痛など)、炎症疼痛および慢性疼痛、「しびれてピリピリする感覚」などの通常は無痛の感覚に関連する疼痛(錯感覚および感覚不全)、接触に対する感受性の増加(感覚過敏)、無害の刺激に伴う痛い感覚(動的、静的または熱的異痛)、侵害刺激に対する感受性の増加(温熱性、寒冷性、摩擦性痛覚過敏)、刺激除去後の持続性痛覚(痛覚過敏)または選択的感覚系伝導路の不在または不足(疼痛鈍麻)、偏頭痛関連の疼痛、および非心臓性胸痛を含む];嘔吐、過敏性腸症候群および非潰瘍性消化不良などの一定のCNS介在障害;COPD、喘息、咳、胃食道逆流誘発の咳、および悪化した喘息;尿失禁;高血圧;および組織潰瘍、ネフローゼ症候群、糖尿病、偏頭痛、冠動脈疾患、子癇前症、早期陣痛および脳卒中などの血小板凝集能関連の症状;などのCNS障害が挙げられる。好ましくは、本発明の化合物は、うつ病;不安障害;恐怖症;精神障害および精神異常障害;心的外傷後ストレス障害;注意欠陥過活動性障害(ADHD);喫煙の停止またはそのような行動の程度または頻度の低減を含む薬物乱用からの離脱症;および過敏性腸症候群の治療のために有用である。より好ましくは、本発明の化合物は、うつ病;不安障害;恐怖症;および精神障害および精神異常障害(特に、分裂病、統合失調症感情障害および統合失調症様障害)の治療に有用である。最も好ましくは、本発明の化合物は、分裂病の治療に有用である。
【0074】
本発明における使用のための化合物は一般に、以下の試験において活性である。それらは通常、1μM未満の、および好ましくは100nM未満のIC50を有する。
【0075】
NK−2受容体およびそのヘテロ発現の詳細は、Gerardら、”J.Biol.Chem.,265:20455−20462,1990”およびHuangら、”Biochem.,33:3007−3013,1994”中に見出され得る。後者の文献はまた、変異体の走査の詳細も含む。
【0076】
NK−3受容体およびそのヘテロ発現の詳細は、Huangら、”BBRC,1992,184:966−972”およびSadowskiら、”Neuropeptides,1993,24:317−319”中に見出され得る。
【0077】
膜製剤は以下のようにして調製する。10層セルファクトリー(cell factory)を、NK−3受容体を安定して発現するCHO細胞と共に播種する。CHO細胞を、10ml/lの200mML−グルタミン、10ml/lのペニシリン−ストレプトマイシン、ヒポキサンチン−チミジン500×/lの1バイアル、1mg/mlゲネテシンおよび10%(不活性化)ウシ胎児血清を備えるIscoreダルベッコ変法培地を含む11の成長培地中のT175三重フラスコ中で調製する。細胞を3日間インキュベーター中で成長させる。培地を洗い流し、該ファクトリーを400mLPBS(Ca、Mg不含)で2度リンスする。400ml酵素不含解離溶液(EFDS)を加え、ファクトリーを10分間室温に維持する。細胞を除去し、懸濁液を500ml遠心分離ビン中に注ぐ。この過程を200mlEFDSで繰り返し、混合物を全部で6つのビンに貯留し、それらを2200rpmで10分間遠心分離する。
【0078】
上澄みを吸引し、残留する細胞ペレットを−80℃で30分間冷凍して細胞溶解を向上させ、次いでそれを40ml阻害剤含有トリス緩衝液(Tris)/セルファクトリー中に再懸濁する。細胞を、ガラス−テフロン(登録商標)破砕機(glass−teflon grinder)の8ストロークを用い設定40で40ml分取量中に均質化する。ホモジネートを50ml遠心分離管に移し入れ、遠心分離機上に室温で15分間載置する。ホモジネートを再均質化し、必要であれば上記のように再び遠心分離する前に氷上に維持する。
【0079】
上澄みをSS−34ローター用のSorvall管に移し入れ氷上に維持する。
【0080】
冷40ml阻害剤含有トリス緩衝液を用いて再懸濁させ細胞ペレットを混合し、それを上記のように再び遠心分離する。上澄みを再びSorvall管に移し入れ、上記の上澄みと一緒に18000rpmで20分間遠心分離する。
【0081】
上澄みを廃棄し、細胞ペレットを、2.50mlの1Mトリス緩衝液(pH7.4)および50μL1000×プロテアーゼ阻害剤(4mg/mlロイペプチン(Sigma社製)、40mg/mlバシトラシン(Sigma社製)および10mMホスフォラニドン(Peninsula社製)の全てを水に溶解したもの)に0.5ml0.5MMnClを加え、Hddで50mlにメスアップして調製した緩衝液原液に再懸濁した。20−、23−および25−ゲージ針を有する10mlシリンジを順次用いる。
【0082】
500−1000μlの分取量を−80℃で貯蔵するために液体窒素中で素早く冷凍する前に、Bradfordタンパク質試験を、標準物質としてBSAを用いて2−10μlについて行う。
【0083】
膜結合アッセイを以下のように行う。125I−ニューロキニンBの10%以下の特異的結合に必要な膜の量を予め決定する。次に、冷凍した原液を50μlまで希釈する。
【0084】
試験化合物をDMSO中に溶解する。自動装置(Tecan社製)をプログラムして、化合物またはDMSOの5μl;50μMトリス緩衝液(pH7.5)、150μMNaCl、0.02%までのウシ胎児血清、および0.5M原液となるように調製する、緩衝液原液中のプロテアーゼ阻害剤、から調製した緩衝液20μl中の同位体の約100,000cpm;および175μlアッセイ緩衝液(緩衝液原液であり5μMのMnClは含むがNaClは含まない)を96−穴形式の深穴Marsh box(Marsh Biomedical Products社製)中に添加する。余剰の非標識競合ペプチドを、以下に示すような非特異的結合のために手動で添加する。結合反応を細胞膜の50μlを加えることにより開始させる。チューブを室温で1時間振とうしながら温置し、MachIII filtermat(Tomtec社製)を用いて、Tomtec96穴セルハーベスター上で、またはUnifilter GF/C(Packard社製)を用いてPackard96穴ハーベスター上でもしくはTomtec9600上でろ過する(filterは、いずれも0.25%ポリエチレンイミン中に前浸漬し1X洗浄緩衝液(0.1Mトリス緩衝液(pH7.4)および1MNaCl、10X原液の1X=100ml/L冷蒸留水、を含む)で5回洗浄しておく。)。Unifilterプレートを用いる場合、60μLMicroscint20(Packard社製)を各穴に加え、次にプレートをヒートシールした後Packard Topcount中で計数する。あるいは、filtermatからのフィルターを75×100mmプラスチックチューブ中に入れ、Cobra gamma counterで計数する。
【0085】
アッセイ用に、一般に膜の10μgを25,000cpmで用い、それを0.5%BSA中に前浸漬したUnifilter GF/Cでろ過する。
【0086】
ニューロキニン−2における結合に対するアッセイは、類似の方法で実施され得る。
【0087】
本発明の化合物は、以下の反応模式図および実施例またはそれらの変法に従って迅速に調製され得る。出発物質は、当分野に公知のまたは例示されるような手順から製造され得る。これらの反応において、それら自身が当業者には公知であるが、更に詳細には記述されていない種々の変法を利用することもまた、可能である。更に、本発明の化合物を調製するためのその他の方法は、以下の反応模式図および実施例を考慮に入れると当業者には容易に判る。
【0088】
本発明の化合物は、スキーム1に示す一般的方法に従って調製可能である。
【0089】
【化27】

【0090】
環状アミン出発物質を適した保護基(例えば、t−ブチルオキシカルボニル)で保護し、次に一級アルコール基を温和な条件下で酸化して(例えば、Swern酸化)対応するアルデヒドを形成する。次に、アルデヒドをアセチル誘導体と脱プロトン剤(LHMDSなど)の存在下、低温で反応させる。反応を弱酸(例えば、クエン酸)の添加により停止させる。次に、β−ヒドロキシケトンを含む粗製の反応材料を脱離条件に供し(例えば、塩化メタンスルホニルを用いて)、α,β−不飽和ケトンを得る。次に、ケトンを適した触媒(例えば、炭素上のパラジウム)の存在下で水素化し、その後高温で塩基条件下(例えば、KOHを用いて)で適切なイサチン誘導体と反応させて、4−カルボン酸キノリン誘導体を生成する。次に、カルボン酸を塩化オキサリルなどの適切な試薬とDMFの存在下で反応させて反応性カルボン酸誘導体を生成する。
【0091】
1つの更なる態様において、本発明は、式(II)の化合物と、式(III):
【0092】
【化28】

との反応、およびその後の
【0093】
【化29】

から保護基を除去すること、および
【0094】
【化30】

(式中、Rは水素以外である。)に変換することを含む、式(I)(式中、Rは水素である。)の化合物の調製のための方法を提供する。
【0095】
式(II)の化合物の反応は、例えばジクロロメタンなどのハロアルカンなどの非反応性溶媒中で−20℃から150℃の、好ましくは−10℃から50℃の極端でない温度において好都合に起こる。
【0096】
式(I)の化合物は、当分野で公知の合成方法を用いて式(I)の他の化合物に変換し得る。例えば、式(I)(式中、Rは水素である。)の化合物は、この化合物をテトラヒドロ−4H−ピラン−4−オンと、弱い還元剤(トリアセトキシホウ水化ナトリウムなど)および弱酸(酢酸など)の存在下、適した溶媒(例えば、1,2−ジクロロエタンなどのハロアルカンなど)中で反応させることにより、式(I)(式中、Rは4−テトラヒドロピラニルである。)の化合物に変換され得る。
【0097】
また、式(I)(式中、Rは水素である。)の化合物は、この化合物を酢酸エチルなどの適した溶媒中でベンジルクロロギ酸塩と反応させることにより、式(I)(式中、Rはベンジルカルボン酸塩である。)の化合物に変換され得る。
【0098】
更に、式(I)(式中、Rは4−テトラヒドロピラニルである。)の化合物は、この化合物をO=C(C1−6アルキル)と、弱い還元剤(トリオキシホウ水化ナトリウムなど)および弱酸(酢酸など)の存在下、適した溶媒(例えば、1,2−ジクロロエタンなどのハロアルカンなど)中で反応させることにより、式(I)(式中、RはC1−6アルキルである。)の化合物に変換され得る。
【0099】
代わりに、式(I)(式中、Rは4−テトラヒドロピラニルである。)の化合物は、この化合物を塩化C1−6アルキルスルホニルと、塩基(トリエチルアミンなど)の存在下適した溶媒(例えば、ジクロロメタンなどのハロアルカンなど)中で反応させることにより、式(I)(式中、RはC1−6アルキルスルホニルである。)の化合物に変換され得る。
【0100】
加えて、式(I)(式中、Rは4−テトラヒドロピラニルである。)の化合物は、この化合物をピリジンホウ酸と、触媒(酢酸銅(II)など)の存在下で反応させることにより、式(I)(式中、RはC−結合ピリジニルである。)の化合物に変換され得る。
【0101】
また、式(I)(式中、Rは4−テトラヒドロピラニルである。)の化合物は、この化合物を塩化C1−6アルカノイルと、塩基(トリエタノールアミンなど)の存在下、適した溶媒(例えば、ジクロロメタンなどのハロアルカンなど)中で反応させることにより、式(I)(式中、RはC1−6アルカノイルである。)の化合物に変換され得る。
【0102】
更に、式(I)(式中、
【0103】
【化31】

である。)の化合物は、この化合物を酸化剤(KMnOなど)と、適した溶媒(例えば、ジクロロメタンなどのハロアルカンなど)中で反応させることにより、式(I)(式中、
【0104】
【化32】

である。)の化合物に変換され得る。
【0105】
代わりに、式(I)(式中、
【0106】
【化33】

である。)の化合物は、この化合物を酸化剤(過ヨウ素酸ナトリウムなど)と、好ましくは適した触媒(二酸化ルテニウムなど)の存在下適した溶媒(酢酸エチルなど)中で反応させることにより、式(I)(式中、
【0107】
【化34】

である。)の化合物に変換され得る。得られた式(I)の化合物は、この化合物を還元剤(ホウ水化ナトリウムなど)と、適した溶媒(メタノールなど)中で反応させることにより、式(I)(式中、
【0108】
【化35】

である。)の化合物に更に変換され得る。
【0109】
HNMRスペクトルを、300MHzと600MHzとの間の(記録された)周波数で作動するBrukerAMシリーズ分光計で記録した。非交換性プロトン(および可視であれば交換性プロトン)に対応する信号に対する化学シフト(δ)をテトラメチルシランに対して百万分率(ppm)で記録し、対照として残りの溶媒ピークを用いて測定する。信号を次の順序で記録する。即ち、プロトン数、多重度(s:シングレット、d:ダブレット、t:トリプレット、q:カルテット、m:マルチプレット、br:ブロード、およびそれらの組み合わせ)、カップリング定数(単数または複数)(単位:ヘルツ)。質量スペクトル(MS)データを、陰イオン(ES)または陽イオン(ES)イオン化方式で作動するWaters Micromass ZQまたはWaters Micromass ZMD上で得、その結果を親イオンだけに対する質量電荷比(m/z)として記録する。実験規模HPLC分離を、実験的Agilent100分離モジュール上で、質量分析法を用いるHPLCを用いて実施した。化合物を、アセトニトリル/0.1%TFAおよび水/0.1%TFAの直線勾配を用いるかまたはアセトニトリルおよび水(炭酸アンモニウムを含めてpHを10にしてある)を用いるかのいずれかにより溶離した。いずれの場合においても、15mL/分と25mL/分との間の流量を用いた。
【0110】
本明細書中、特に模式図および実施例中に用いた略語は、以下のものを含む。
DCM:ジクロロメタン、DMF:ジメチルホルムアミド、DMSO:ジメチルスルホキシド、EtN:トリエチルアミン、EtOAc:酢酸エチル、EtO:ジエチルエーテル、ES:エレクトロスプレー、h:時間(単数または複数)、LHMDS:リチウムヘキサメチルジシラジド、MeOH:メタノール、min:分(単数または複数)、RT:室温、TFA:トリフルオロ酢酸、THF:テトラヒドロフラン。
【0111】
以下の記述および実施例は、本発明を例示する。
記述1:tert−ブチル4−[(1E)−3−オキソ−3−フェニルプロプ−1−エン−1−イル]ピペリジン−1−カルボキシレート
4−ピペリジンメタノール(11.5g、0.1mol)のDCM(200mL)溶液にジ−t−ブチルジカーボネート(23.98g、0.11mol)を加え、混合物を室温で16時間攪拌した。溶媒を蒸発により除去して、得られた固体を真空下で3時間乾燥させた。
【0112】
DMSO(17.2mL)の冷(−60℃)DCM(55mL)溶液に、塩化オキサリル(10.2mL)のDCM(140mL)溶液をゆっくりと加えた。濁った溶液を−60℃で20分間攪拌した後、1−(t−ブトキシカルボニル)−4−ピペリジンメタノール(上記で調製した)のDCM(55mL)溶液を20分かけて加え、次に混合物を−60℃で更に20分間攪拌した。EtN(70mL)を加え、溶液を放置して室温まで温めた。水(100mL)を加え、有機相を1Mクエン酸水溶液(2×100mL)、水、飽和食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO)させた。溶媒を蒸発により除去して、1−(t−ブトキシカルボニル)−4−ピペリジンカルボキシアルデヒドを油(23.9g)として得た。
【0113】
THF(100mL)中の1M−LHMDS冷(−78℃)THF(87mL、87mmol)溶液にアセトフェノン(10.44g、87mmol)のTMF(30mL)溶液を加えた。溶液を−78℃で1時間攪拌した後、1−(t−ブトキシカルボニル)−4−ピペリジンカルボキシアルデヒド(18.6g、87mmol)のTHF(50mL)溶液を加え、−78℃で30分攪拌した後、放置して−30℃に温めた。1Mクエン酸(200mL)を加え、混合物を室温に温めた。EtOAc(400mL)を加え、有機相を水、飽和食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO)させた。溶媒を減圧下で除去し、残渣油をDCM(200mL)中に溶解し氷浴中で冷却してEtN(24.2mL、174mmol)を加えた。塩化メタンスルホニル(8mL)をゆっくり加え、溶液を0℃で60分間攪拌した後、30分間還流下で加熱した。冷却した溶液にDCM(200mL)および飽和NaHCO溶液を加え、溶液を室温で30分間攪拌した後、分離した。有機相を乾燥させ(MgSO)、溶媒を真空下で除去した。残渣を、イソヘキサン中のEtOAcの量を増加させながら(10から30%)溶離するシリカゲル・クロマトグラフィーにより精製した。表題化合物を蒸発により油として得た(21.6g、78%)。HNMR(500MHz,CDCl)δ7.92(2H,t,J7.1),7.58−7.46(3H,m),6.99(1H,dd,J6.5,15.6),6.87(1H,dd,J1.0,15.5),4.14−4.10(2H,m),2.80(2H,m),2.44−2.38(1H,m),1.80(2H,d,J12.3),1.46(9H,s),1.46−1.40(2H,m)。
記述2:tert−ブチル4−(3−オキソ−3−フェニルプロピル)ピペリジン−1−カルボキシレート
記述1の生成物(21.1g、67mmol)およびEtOAc(300mL)中に溶解した10%C担持Pd(1.9g)との混合物を、Hの30psiで6時間水素化した。溶液をろ過し、蒸発させて表題化合物を油(20.9g)として得た。HNMR(500MHz,CDCl)δ7.97−7.91(2H,d,J7.8),7.58−7.52(1H,t),7.46(2H,t,J7.6),4.12(2H,m),3.00(2H,t,J7.5),2.68(2H,m),1.70(4H,m),1.42(10H,m),1.26(2H,t,J7.1)。
記述3:3−{[1−(tert−ブトキシカルボニル)ピペリジン−4−イル]メチル}−8−フルオロ−2−フェニルキノリン−4−カルボン酸
7−フルオロイサチン(8.84g、53.6mmol)のエタノール(55mL)−KOH水溶液(12g、214mmolを水(55mL)中に溶解した)中の溶液に、記述2の生成物(17g、53.6mmol)を加えた。溶液を100℃で5日間N雰囲気下で加熱した後、室温に冷却し水(300mL)で希釈した。水相をEtO(2×100mL)で洗浄し、酢酸(8mL)を加えて中和し、生成物をEtOAc(5×100mL)で繰り返し抽出した。合わせたEtOAc層を、乾燥させて(MgSO)蒸発させ発泡させた(11.9g)。この粗製生成物を、1%AcOHを含むEtOAc/イソヘキサン(1:1)に続き1%AcOH−EtOAc溶液で溶離するシリカのクロマトグラフィーにより精製して、表題化合物(5.7g)を得た。HNMR(360MHz,DMSO d,330K)δ14.0(1H,broad s),7.68−7.48(8H,m),3.69(2H,dm,J13.3),2.87(2H,d,J7.0),2.37(2H,broad t,J12),1.4(1H,m),1.33(9H,s),1.20(2H,broad d,J12.9),0.86−0.72(2H,m);m/z(ES+)465(MH)。
【0114】
(実施例1):(S)−tert−ブチル4−[(8−フルオロ−2−フェニル−4−{[(1−フェニルプロピル)アミノ]カルボニル}キノリン−3−イル)メチル]ピペリジン−1−カルボキシレート
DMF(10mL)の冷(0℃)DCM(100mL)溶液に塩化オキサリル(0.776mL、8.9mmol)をゆっくり加えた。溶液をこの温度で、記述3の生成物(2.0g、4.34mmol)を加えてあわ立ちがおさまった後更に30分間攪拌し、溶液を0℃で2時間攪拌した。この溶液にEtN(2mL、14.4mmol)および(S)−(−)−1−フェニルプロピルアミン(0.586mg、4.34mmol)の溶液を加えた。溶液を室温で16時間攪拌し、蒸発乾固させて残渣をEtOAcおよび飽和NaHCOに分配した。有機相を水(4回)、飽和食塩水で洗浄し、乾燥させた(MgSO)。溶媒を蒸発させた後、残渣を、EtOAcのイソヘキサン中の濃度を増加させながら(0%から20%まで)溶離するシリカのクロマトグラフィーにより精製して、表題化合物1.54gを得た。HNMR(500MHz,CDCl):δ7.49−7.30(13H,m),6.15(1H,d,J8.3),5.22(1H,m),4.00−3.5(2H,broad m),3.14−2.12(4H,broad m),2.11−1.90(2H,m),1.40(10H,m),1.1−0.8(6H,m),0.71−0.37(1H,m);m/z(ES+)582(MH)。
【0115】
(実施例2):(S)−8−フルオロ−2−フェニル−N−(1−フェニルプロピル)−3−(ピペリジン−4−イルメチル)キノリン−4−カルボキサミド
実施例1の生成物(1.54g、2.65mmol)を無水のTFA(10mL)に溶解した。30分後、溶媒を蒸発により除去し、残渣をEtOAcおよび5%NaHCO水溶液に分配した。有機相を乾燥させ(MgSO)、蒸発させて表題化合物を発泡体として得た。HNMR(500MHz、MeOHd4)δ7.77(0.6H,d,J8.4),7.69−7.29(12H,m),7.15(0.4H,d,J8.4),5.15(0.6H,t,J7.3),5.09(0.4H,t,J7.6),3.15(1H,m),2.94(1.6H,m),2.81(0.6H,m),2.68(0.4H,td),2.61(0.4H,td),2.5(0.6H,m),2.4(1.4H,m),2.05−1.88(2.4H,m),1.71−1.58(0.6H,m),1.49(0.4H,d),1.37(0.6H,m),1.18−0.95(4.4H,m),0.8−0.71(1.6H,m),0.8−0.71(1.6H,m).m/z(ES+)482(MH)。
【0116】
(実施例3):(S)−8−フルオロ−2−フェニル−N−(1−フェニルプロピル)−3−{[1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)ピペリジン−4−イル]メチル}キノリン−4−カルボキサミド
実施例2の生成物(1.30g、2.65mmol)、テトラヒドロ−4H−ピラン−4−オン(1.22mL、13.25mmol)および酢酸(0.16mL)の1,2−ジクロロエタン(10mL)溶液にトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(2.81g、13.25mmol)を加えた。溶液を室温で16時間攪拌した後、1MHCl(30mL)水溶液を加え、30分間攪拌し続けた。溶液を固形NaHCOの添加により中和し、生成物をEtOAc(2×50mL)で抽出した。合わせた有機相を、乾燥させて(MgSO)蒸発乾固させ、残渣を、20%、50%、100%EtOAcイソヘキサン溶液に続き2%および10%MeOH−EtOAc溶液で溶離するシリカのクロマトグラフィーにより精製した。生成物を、0%、1%および5%の、MeOHのDCM溶液で溶離するシリカのクロマトグラフィーにより更に精製した。溶媒を蒸発させた後、残渣のEtOAc溶液に1MHCl−EtO(1.88mL)溶液を加え、蒸発させ真空中で乾燥させて表題化合物を得た。HNMR(700MHz、MeOHd)(回転異性体)δ7.76(0.66H,d,J8.4),7.67(0.74H,m),7.6−7.3(11.34H,m),7.16(0.3H,d,J8.3),5.14(0.64H,t,J7.5),5.09(0.36H,t,J7.4),4.0(2H,m),3.46−3.18(5H,m),2.92−2.83(1H,m),2.75−2.43(3H,m),2.00−1.83(4H,m),1.75−1.57(3H,m),1.34(2H,m),1.21−1.04(4H,m),0.91(0.55H,m),0.79(0.45H,m).m/z(ES+)566(MH)。
記述4:3−{[1−(tert−ブトキシカルボニル)ピペリジン−4−イル]メチル}−2−フェニルキノリン−4−カルボン酸
表題化合物を、記述3に記載した方法に類似の方法によりイサチンおよび記述2の生成物を用いて調製した。
【0117】
(実施例4):(S)−tert−ブチル4−[(2−フェニル−4−{[(1−フェニルプロピル)アミノ]カルボニル}キノリン−3−イル)メチル]ピペリジン−1−カルボキシレート
DCM(5mL)およびDMF(0.5mL)の冷(0℃)溶液に塩化オキサリル(0.038mL)を加えた。30分後、記述4の生成物(100mg、0.224mmol)のDCM(5mL)溶液を加えた。溶液を0℃で1.5時間攪拌した後、溶液を少量まで蒸発させ、残渣を素早くEtOAcおよびNaHCO溶液に分配し、有機相を乾燥させ(MgSO)、蒸発乾固させた。残渣を(S)(−)−1−フェニルプロピルアミン(81.5mg、0.602mmol)と共にTHF(20mL)に溶解し、溶液を室温で16時間攪拌した。溶液を蒸発乾固させ、残渣をEtOAcおよびクエン酸水溶液に分配した。有機相を、順にNaHCO、水、食塩水で洗浄し、乾燥させた(MgSO)。蒸発後、残渣を、10−40%EtOAcのヘキサン溶液により溶離するシリカのクロマトグラフィーにより精製して、表題化合物を発泡体として得た(m/z(ES+)564(MH))。
【0118】
(実施例5):(S)−4−[(2−フェニル−4−{[(1−フェニルプロピル)アミノ]カルボニル}キノリン−3−イル)メチル]ピペリジン
実施例4の生成物(113mg)をTFA(5mL)に溶解し、30分後溶媒を真空中で除去し、残渣をEtOAcおよびNaHCO間に分配した。有機相を乾燥させ(MgSO)、表題化合物を発泡体96mgとして得た(m/z(ES+)464(MH))。
【0119】
(実施例6):(R)−4−[(2−フェニル−4−{[(1−フェニルプロピル)アミノ]カルボニル}キノリン−3−イル)メチル]ピペリジン
表題化合物を、(R)1−フェニルプロピルアミンを記述4の生成物とカップリングさせ、その後実施例4および実施例5に記載した手順と類似の手順で脱保護することにより調製した。
【0120】
(実施例7):(S)−ベンジル−4−[(2−フェニル−4−{[(1−フェニルプロピル)アミノ]カルボニル}キノリン−3−イル)メチル]ピペリジン−1−カルボキシレート
実施例5の生成物(39mg)をクロロギ酸ベンジル(0.017mL)と共に、EtOAc(2mL)と飽和NaHCO(2mL)との混合物中に溶解した。溶液を室温で4時間攪拌した後、EtOAc(20mL)を加え、有機相を乾燥させた(MgSO)。蒸発させた後、残渣を、10%−40%EtOAcヘキサン溶液により溶離するシリカのクロマトグラフィーにより精製して、表題化合物を得た(m/z(ES+)598(MH))。
【0121】
(実施例8):(S)−4−[(2−フェニル−4−{[(1−フェニルプロピル)アミノ]カルボニル}キノリン−3−イル)メチル]−1−(テトラヒドロピラン−4−イル)ピペリジン
実施例5の生成物(37mg、0.0799mmol)のジクロロエタン(2mL)溶液に、テトラヒドロ−4H−ピラン−4−オン(0.15mL)、酢酸(0.004mL)、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(0.15g)を加え、溶液を室温で20時間攪拌した。溶液に2M−HCl(2mL)を加え、その30分後に水を、溶液のpHを7にするのに十分な量の固形NaHCOと共に加えた。DCMを加え生成物を抽出した。有機相を乾燥させ(MgSO)、蒸発させて残渣を、DCMで4%MeOH−DCM溶液に溶離するシリカゲルのクロマトグラフィーにより精製して、表題化合物(26mg);(m/z(ES+)548(MH))を得た。
【0122】
(実施例9):(R)−4−[(2−フェニル−4−{[(1−フェニルプロピル)アミノ]カルボニル}キノリン−3−イル)メチル]−1−(テトラヒドロピラン−4−イル)ピペリジン
表題化合物を実施例8に記載した手順と類似の手順により実施例6の生成物から調製した(m/z(ES+)548(MH))。
記述5:ラセミ体tert−ブチル3−[(1E)−3−オキソ−3−フェニルプロプ−1−エン−1−イル]ピペリジン−1−カルボキシレート
3−ピペリジンメタノール(11.5g、0.1mol)のDCM(200mL)溶液に二炭酸ジ−t−ブチルジカーボネート(23.98g、0.11mol)を加え、混合物を室温で16時間攪拌した。溶媒を蒸発により除去し、得られた固形物を真空下で3時間乾燥させ、1−t−ブチルオキシカルボニル−3−ピペリジンメタノール(23.1g)を得た。
【0123】
DMSO(17.2mL)の冷(−60℃)DCM(55mL)溶液に塩化オキサリル(10.2mL)のDCM(140mL)溶液をゆっくり加えた。濁った溶液を−60℃で20分間攪拌した後、1−t−ブトキシカルボニル−3−ピペリジンメタノール(上記で調製した)のDCM(55mL)溶液を20分かけて加え、その後混合物を−60℃で更に20分間攪拌した。EtN(70mL)を加え、溶液を放置して室温まで温めた。水(100mL)を加え、有機相を1Mクエン酸水溶液(2×100mL)、水および飽和塩水で洗浄し、乾燥させた(MgSO)。溶媒を蒸発により除去して、1−(t−ブチルオキシカルボニル)−3−ピペリジンカルボキシアルデヒドを油(22.2g)として得た。
【0124】
THF(50mL)中の1M−LHMDS冷(−78℃)THF(100mL、100mmol)溶液にアセトフェノン(12g、100mmol)のTMF(50mL)溶液を加えた。溶液を−78℃で0.5時間攪拌した後、1−(t−ブトキシカルボニル)−3−ピペリジンカルボキシアルデヒド(22g、98mmol)のTHF(50mL)溶液を加え、−78℃で30分攪拌した後、放置して−30℃に温めた。1Mクエン酸(200mL)を加え、混合物を室温に温めた。EtOAc(400mL)を加え、有機相を水、食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO)させた。溶媒を減圧下で除去し、残渣油をDCM(100mL)中に溶解し氷浴中で冷却してEtN(27.8mL、200mmol)を加えた。塩化メタンスルホニル(7.7mL)をゆっくり加え、溶液を0℃で120分間攪拌した。冷却した溶液にDCM(100mL)および飽和NaHCO水溶液(100mL)を加え、溶液を室温で30分間攪拌した後、分離した。有機相を乾燥させ(MgSO)、溶媒を真空下で除去した。残渣を、イソヘキサン中のEtOAcの量を増加させながら(10から15%)溶離するシリカゲル・クロマトグラフィーにより精製した。表題化合物を蒸発により油として得た(15.3g、50%)。HNMR(500MHz,CDCl)δ7.93(2H,t,J8.4),7.58(1H,t,J7.7),7.47(2H,t,J7.7),6.94(2H,m),4.05−3.85(2H,m),2.85(2H,m),2.45(1H,m),1.95(1H,m),1.7(1H,m),1.55−1.4(11H,m)。
記述6:ラセミ体tert−ブチル3−(3−オキソ−3−フェニルプロピル)ピペリジン−1−カルボキシレート
記述5の生成物(3.4g、10.8mmol)およびEtOAc(100mL)中に溶解した10%C担持Pd(0.37g)との混合物を、Hの30psiで4時間水素化した。溶液をろ過し、蒸発させて表題化合物を油(3.5g)として得た。HNMR(500MHz,CDCl)δ7.95(2H,d,J8.5),7.58−7.52(1H,t,J7.4),7.46(2H,t,J7.6),3.9(1H,dm),3.03(2H,m),2.8(1H,tm),2.5(1H,broad m),1.87(1H,m),1.67(4H,m),1.46(11H,m),1.15(1H,m)。
記述7:ラセミ体3−{[1−(tert−ブトキシカルボニル)ピペリジン−4−イル]メチル}−8−フルオロ−2−フェニルキノリン−3−カルボン酸
7−フルオロイサチン(1.81g、11.0mmol)のエタノール(11mL)−KOH水溶液(1.45g、43.8mmolを水(11mL)中に溶解した)中の溶液に、記述6の生成物(3.47g、11mmol)を加えた。溶液を100℃で3日間N雰囲気下で加熱した後、室温に冷却し水(30mL)で希釈した。水相をEtO(2×30mL)で洗浄し、酢酸(2.6mL)を加えて中和し、生成物をEtOAc(5×20mL)で繰り返し抽出した。合わせたEtOAc層を、乾燥させて(MgSO)蒸発させ発泡させた(1.66g)。HNMR(400MHz,DMSO d,299K)δ分析hplcによる非常に広いスペクトル単一ピーク;m/z(ES+)465(mH)。
【0125】
(実施例10):tert−ブチル3−[(8−フルオロ−2−フェニル−4−{[((S)−1−フェニルプロピル)アミノ]カルボニル}キノリン−3−イル)メチル]ピペリジン−1−カルボキシレート
DMF(5mL)およびDCM(50mL)の冷(0℃)溶液に塩化オキサリル(0.413mL、4.74mmol)を加えた。0℃で30分後、記述7の生成物(1.1g、2.11mmol)のDCM(30mL)溶液を更に45分間かけて加えた。TEA(1.32mL,9.48mmol)に続きDCM(5mL)に溶解した(S)(−)−1−フェニルプロピルアミン(0.61g、4.52mmol)を加えた。溶液を0℃で1時間攪拌した後、溶液を蒸発させ、残渣にEtOAcおよび10%クエン酸水溶液を加えた。有機相を水(×3)および塩水(×1)で洗浄し、乾燥させた(MgSO)。溶液を蒸発乾固させ、残渣を、5−20%EtOAcヘキサン溶液により溶離するシリカのクロマトグラフィーにより精製して、表題化合物1.32gをhplcおよびtlcによっても分離不可能なジアステレオマーの混合物として得た(m/z(ES+)583(MH))。
【0126】
(実施例11):3−[(8−フルオロ−2−フェニル−4−{[((S)−1−フェニルプロピル)アミノ]カルボニル}キノリン−3−イル)メチル]ピペリジン
実施例10の生成物(1.22g)をTFA(20mL)で処理し、20分後溶液を蒸発乾固させ、残渣をEtOAcおよび飽和NaHCOに分配した。有機相を乾燥させた(MgSO)後、発泡させて表題化合物1.28gをジアステレオマーの混合物として得た(m/z(ES+)482(MH))。
【0127】
(実施例12)および(実施例13):3−(RまたはS)[(8−フルオロ−2−フェニル−4−{[((S)−1−フェニルプロピル)アミノ]カルボニル}キノリン−3−イル)メチル]−1−(テトラヒドロピラン−4−イル)ピペリジン、および3−(SまたはR)−[(8−フルオロ−2−フェニル−4−{[((S)−1−フェニルプロピル)アミノ]カルボニル}キノリン−3−イル)メチル]−1−(テトラヒドロピラン−4−イル)ピペリジン
実施例11の生成物(0.173g、0.360mmol)のDCM(5mL)溶液に、テトラヒドロ−4H−ピラン−4−オン(0.166mL、1.798mmol)、酢酸(0.022mL)、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(0.381g、1.80mmol)を加え、溶液を室温で16時間攪拌した。溶液に2M−HCl(5mL)を加え、その30分後に水の添加と共に固形NaHCOをpH7まで加え、DCMを加えて生成物を抽出した。有機相を乾燥させ(MgSO)、蒸発させて残渣を、EtOAcに続き2%MeOH−EtOAc溶液で溶離するシリカゲルのクロマトグラフィーにより精製して、表題化合物をジアステレオマーの混合物(134mg)(m/z(ES+)567(MH))として得た。ジアステレオマー混合物を超臨界流体(SFC)クロマトグラフィーにより個々のジアステレオマーに分離して、ジアステレオマーA(初期溶離物)(m/z(ES+)567(MH))、ジアステレオマーB(後期溶離物)(m/z(ES+)567(MH))を得た。
【0128】
(実施例14):4−[(2−フェニル−4−{[((S)−1−フェニルプロピル)アミノ]カルボニル}キノリン−3−イル)メチル]−1−(テトラヒドロピラン−4−イル)ピペリジン−2−オン
実施例8の生成物(89mg)および塩化ベンジルトリアンモニウム(100mg)とのDCM(4mL)溶液にKMnO(100mg)を加えた。溶液を室温で、水(10mL)および固形メタ亜硫酸水素ナトリウムを加えて溶液が透明になるまで10分間攪拌した。溶液をEtOAcおよび水の添加により希釈して、有機相を乾燥させた(MgSO)。溶液を蒸発乾固させた後、残渣を分取hplcにより精製して表題化合物22mgを得た(m/z(ES+)563(MH))。
【0129】
(実施例15):4−[(2−フェニル−4−{[((S)−1−フェニルプロピル)アミノ]カルボニル}−8−フルオロ−キノリン−3−イル)メチル]−1−(テトラヒドロピラン−4−イル)ピペリジン−2−オン
表題化合物を実施例14に記載した方法と類似の方法により実施例3の生成物を出発物質として用いて調製し、表題化合物を得た(m/z(ES+)580(MH))。
【0130】
(実施例16):4−[(2−フェニル−4−{[((S)−1−フェニルプロピル)アミノ]カルボニル}キノリン−3−イル)メチル]−1−(テトラヒドロピラン−4−イル)ピペリジン−2,3−ジオン
実施例8の生成物(114mg、0.21mmol)および過ヨウ素酸ナトリウム(260mg、1.22mmol)をEtOAc(9mL)および水(9mL)に溶解し、その溶液を攪拌しながらその中に二酸化ルテニウム一水和物触媒(0.05mg)を加えた。溶液を室温で3時間攪拌した(反応を質量分析で確認した後)。溶液を分離し、有機相を水(×3)、5%メタ亜硫酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、乾燥させた(MgSO)。溶媒を蒸発により除去した後、残渣を分取hplcにより精製して表題化合物23mgを得た(m/z(ES+)577(MH))。HNMRは、ケトおよびエノール互変異性体の混合物として存在する。
【0131】
(実施例17):4−[(2−フェニル−4−{[((S)−1−フェニルプロピル)アミノ]カルボニル}−8−フルオロ−キノリン−3−イル)メチル]−1−(テトラヒドロピラン−4−イル)ピペリジン−2,3−ジオン
表題化合物を、実施例16に記載した方法と類似の方法により実施例3の生成物を出発物質として用いて調製した(m/z(ES+)594(MH))。
【0132】
(実施例18):S−4−[(2−フェニル−4−{[(1−フェニルプロピル)アミノ]カルボニル}−8−フルオロ−キノリン−3−イル)メチル]−(1メチルエチル)−ピペリジン
実施例3の生成物(0.1g、0.21mmol)のDCE(5mL)/酢酸(0.012mL)/アセトン(0.076mL)溶液に、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(0.218g、1.03mmol)を加えた。溶液を室温で72時間攪拌した後、DCM(15mL)および飽和NaHCO溶液(15mL)を加え、有機相を乾燥させた(MgSO)。蒸発後、表題化合物を分取hplcにより単離した((m/z(ES+)524(MH)))。
【0133】
(実施例19):S−4−[(2−フェニル−4−{[(1−フェニルプロピル)アミノ]カルボニル}−8−フルオロ−キノリン−3−イル)メチル]−1−(メチルスルホニル)−ピペリジン
実施例3の生成物(0.2g、0.42mmol)およびTEA(1.25mmol)のDCM(5mL)冷(0℃)溶液に、塩化メタンスルホニル(0.065mL)を加えた。1時間後、NaHCO溶液を加え、有機相を1M−HCl、塩水で洗浄し、乾燥させた(MgSO)。蒸発後、残渣を20−35%EtOAcヘキサン溶液で溶離するシリカクロマトグラフィーにより精製し、表題化合物を得た((m/z(ES+)558(MH)))。
【0134】
(実施例20):S−4−[(2−フェニル−4−{[(1−フェニルプロピル)アミノ]カルボニル}−8−フルオロ−キノリン−3−イル)メチル]−1−(ピリジン−3−イル)−ピペリジン
ピリジン−3−ホウ酸(0.051g、0.416mmol)、酢酸銅(II)(0.0083g、0.0416mmol)および粉末A4分子ふるい(0.155g)の懸濁液に実施例3の生成物(0.1g、0.21mmol)を加え、混合物を40℃に16時間加熱した。溶液を冷却し、DCMおよび水で希釈し、有機相を分取hplcにより精製して表題化合物を得た(m/z(ES+)559(MH))。
【0135】
(実施例21):S−4−[(2−フェニル−4−{[(1−フェニルプロピル)アミノ]カルボニル}−8−フルオロ−キノリン−3−イル)メチル]−1−(2−メチルプロパノイル)−ピペリジン
実施例3の生成物(0.1g、0.21mmol)およびTEA(0.02g)のDCM(2mL)溶液に、塩化イソブチリルを加えた。溶液を室温で16時間攪拌した後、水を加えて有機相を水、食塩水で洗浄し、乾燥させた(MgSO)。蒸発後、生成物をシリカゲルのクロマトグラフィーにより精製し表題化合物を得た((m/z(ES+)522(MH)))。
【0136】
(実施例22):4−[(2−フェニル−4−{[((S)−1−フェニルプロピル)アミノ]カルボニル}−8−フルオロ−キノリン−3−イル)メチル]−3−(RまたはS)−ヒドロキシ−1−(テトラヒドロピラン−4−イル)ピペリジン−2−オン;および(実施例23):4−[(2−フェニル−4−{[((S)−1−フェニルプロピル)アミノ]カルボニル}−8−フルオロ−キノリン−3−イル)メチル]−3−(SまたはR)−ヒドロキシ−1−(テトラヒドロピラン−4−イル)ピペリジン−2−オン
実施例17の平衡生成物(40mg)のMeOH(5mL)溶液に固形NaBH(約50mg)を、hplcによる測定で出発物質が消失するまで少しずつ加えた。1M−HCl(2mL)を加え、あわ立ちが停止した時、EtOAcおよび水を加えた。有機相を分離し、乾燥させた(MgSO)。溶媒を蒸発させた後、残渣をDMSO(1mL)中に溶解し、質量誘発hplcを用いて2つの分離したジアステレオマーに精製し、ジアステレオマー1(19mg)(m/z(ES+)596(MH))およびジアステレオマー2(8.1mg)(m/z(ES+)596(MH))を得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

(式中、
halは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素である;
nは、0、1または2であり、nが2である場合、2つのhal原子は同じであるかまたは異なり得る;
Aは、1から3のハロゲン原子で場合により置換されている、フェニルまたはチオフェニルである;
【化2】

は、C1−3アルキレン基により場合により架橋され、およびフェニルに場合により融合する、C結合アゼチジニル、ピロリジニルまたはピペリジニル環である;
は、水素、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−8シクロアルキル、C(O)C1−6アルキル、C(O)OC1−6アルキル、C(O)O(CH0−3アリール、S(O)1−6アルキル、ヘテロアリールまたはHetであり、ここでC3−8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびHetは、C1−6アルキルで場合により置換されており、およびHetは、N、OおよびSから選択される1もしくは2のヘテロ原子またはS(O)基、S(O)基、NH基もしくはNC1−4アルキル基を含む4から6環原子のヘテロ脂肪族環である;
は、水素、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニルまたはC3−8シクロアルキルである;
は、1から3のハロゲン原子で場合により置換されている、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、(CH0−33−8シクロアルキルまたは(CH0−3フェニルである;
は、水素、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニルまたはC3−8シクロアルキルである;
または、RおよびRは、一緒に結合されて前記で定義したようなC3−8シクロアルキルまたはHet基を形成する;
は、水素、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−8シクロアルキル、またはオキソである;
は、水素、ヒドロキシまたはオキソであり、但しRがヒドロキシである場合は、それは環N原子に隣接する炭素原子には結合しない;
または、RおよびRは一緒になって、1つの更なるNまたはO原子を場合により含み、およびC1−6アルキルで場合により置換されている窒素含有へテロ脂肪族環を形成する。)
の化合物またはこの薬学的に許容できる塩。
【請求項2】
式(I):
【化3】

(式中、
halは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素である;
nは、0、1または2であり、nが2である場合、2つのhal原子は同じであるかまたは異なり得る;
Aは、1から3のハロゲン原子で場合により置換されている、フェニルまたはチオフェニルである;
【化4】

は、C1−3アルキレン基により場合により架橋され、およびフェニルに場合により融合する、C結合アゼチジニル、ピロリジニルまたはピペリジニル環である;
は、水素、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−8シクロアルキルまたはHetであり、ここでC3−8シクロアルキルおよびHetは、C1−6アルキルで場合により置換されており、およびHetは、N、OおよびSから選択される1もしくは2のヘテロ原子またはS(O)基、S(O)基、NH基もしくはNC1−4アルキル基を含む4から6環原子のヘテロ脂肪族環である;
は、水素、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニルまたはC3−8シクロアルキルである;
は、1から3のハロゲン原子で場合により置換されている、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、(CH0−33−8シクロアルキルまたは(CH0−3フェニルである;
は、水素、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニルまたはC3−8シクロアルキルである;
または、RおよびRは、一緒に結合して前記で定義したようなC3−8シクロアルキルまたはHet基を形成する;
は、水素、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、またはC3−8シクロアルキルである;
または、RおよびRは一緒になって、1つの更なるNまたはO原子を場合により含み、およびC1−6アルキルで場合により置換されている窒素含有へテロ脂肪族環を形成する。)
の請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容できる塩。
【請求項2】
halが、フッ素、塩素または臭素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
nが、1または2である、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
Aが、1または2のハロゲン原子で場合により置換されているフェニルである、請求項1から3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
【化5】

が、C結合ピロリジニル(即ち、2−または3−ピロリジニル)またはピペリジニル(即ち、2−、3−または4−ピペリジニル)環である、請求項1から4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
が、C1−6アルキルまたはHetであり、ここでHetは請求項1に定義した通りであり、およびC1−6アルキルで場合により置換されている、請求項1から5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
が、C1−6アルキルである、請求項1から6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
が、C1−6アルキル、C3−8シクロアルキルまたは(CH0−3フェニルである、請求項1から7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
が、水素またはC1−6アルキルである、請求項1から8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
が、水素またはC1−6アルキルである、請求項1から9のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
式(Ia):
【化6】

(式中、hal、
【化7】

、RおよびRは、請求項1に定義したとおりである。)
の請求項1に記載の化合物またはこの薬学的に許容できる塩。
【請求項12】
式(Ib):
【化8】

(式中、hal、n、
【化9】

、R、RおよびRは、請求項1に定義したとおりである。)
の請求項1に記載の化合物またはこの薬学的に許容できる塩。
【請求項13】
(S)−8−フルオロ−2−フェニル−N−(1−フェニルプロピル)−3−(ピペリジン−4−イルメチル)キノリン−4−カルボキサミド、
(S)−8−フルオロ−2−フェニル−N−(1−フェニルプロピル)−3−{[1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)ピペリジン−4−イル]メチル}キノリン−4−カルボキサミド
から選択される請求項1に記載の化合物、およびこれらの薬学的に許容できる塩。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか1項に記載の化合物またはこの薬学的に許容できる塩および薬学的に許容できる賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項15】
治療における使用のための請求項1から13のいずれか1項に記載の化合物またはこの薬学的に許容できる塩。
【請求項16】
ニューロキニン−2および/またはニューロキニン−3介在疾患を治療するための医薬の製造のための、請求項1から13のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容できる塩の使用。
【請求項17】
ニューロキニン−2および/またはニューロキニン−3介在疾患を患う患者の治療の方法であり、その患者に請求項1から13のいずれか1項に記載の化合物またはこの薬学的に許容できる塩の治療有効量を投与することを含む、前記方法。
【請求項18】
ニューロキニン−2および/またはニューロキニン−3介在疾患が、不安障害;恐怖症;精神障害および精神異常障害;心的外傷後ストレス障害;注意欠陥過活動性障害(ADHD);喫煙の停止またはそのような行動の程度または頻度における低減を含む薬物乱用からの離脱症;および過敏性腸症候群から選択される、請求項16に記載の使用または請求項17に記載の方法。
【請求項19】
式(II)の化合物と式(III):
【化10】

のアミンとの反応、およびその後の
【化11】

から保護基を除去することおよび
【化12】

(式中、Rは水素以外である。)に変換することを含む、請求項1から13のいずれか1項に記載の化合物(ここで、Rは、水素である。)の調製のための方法。

【公表番号】特表2009−502899(P2009−502899A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−523468(P2008−523468)
【出願日】平成18年7月25日(2006.7.25)
【国際出願番号】PCT/GB2006/050221
【国際公開番号】WO2007/012900
【国際公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【出願人】(390035482)メルク シャープ エンド ドーム リミテッド (81)
【Fターム(参考)】