説明

ニューロトロフィン模倣化合物およびこれらの塩の結晶形態

本発明は、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドの結晶形態ならびに2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドの塩および/または溶媒和物の結晶形態を含む。さらに、本発明は、該結晶形態を含む組成物および該結晶形態の治療的使用を提供する。一実施形態において、本発明は、本発明の結晶形態を含む組成物を提供する。一実施形態において、本発明は、p75を発現する細胞の退化または機能不全が関与する障害を処置する方法であって、かかる処置を必要とする患者に本発明の結晶形態を含む組成物を投与することを含む方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願のクロスリファレンス
本出願は、「THERAPEUTIC COMPOUNDS USEFUL FOR TREATING P75 RELATED CONDITIONS INCLUDING NEURODEGENERATIVE DISORDERS」のタイトルの、2009年11月12日に提出された米国仮特許出願第61/260,671号;「CRYSTALLINE FORM S OF NEUROTROPHIN MIMETIC COMPOUNDS AND THEIR SALTS」のタイトルの、2010年1月12日に提出された米国仮特許出願第61/294,279号;および「CRYSTALLINE FORM S OF NEUROTROPHIN MIMETIC COMPOUND S AND THEIR SALTS」のタイトルの、2010年6月2日に提出された米国仮特許出願第61/350,797号の利益を主張し;これらの内容は、全ての目的について全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、ニューロトロフィン模倣化合物の結晶形態、ならびにニューロトロフィン模倣化合物の塩および/または溶媒和物の結晶形態、該結晶形態を調製するプロセスおよびこれらの使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ニューロトロフィンは、ニューロン、乏突起膠細胞、シュワン細胞、毛嚢細胞、および他の細胞などの特定の細胞の発生、機能、および/または生存において役割を果たすポリペプチドである。ニューロンおよび他の細胞型の死滅または機能不全は、多数の神経変性障害に直接関与してきた。したがって、ニューロトロフィン局在性、ニューロトロフィンの発現レベル、および/またはニューロトロフィンに結合する受容体の発現レベルの変化は、ニューロンの退化に関連することが示唆されている。退化は、とりわけ、アルツハイマー病、パーキンソン病およびALSの神経変性障害において起こる。乏突起膠細胞の退化は、中枢神経系損傷、多発性硬化症、および他の病理状態において起こり得る。
【0004】
神経成長因子(NGF)、ニューロトロフィン−3(NT−3)、ニューロトロフィン−4/5(NT−4/5)、ニューロトロフィン6(NT−6)および脳由来ニューロトロフィン因子(BDNF)などの種々のニューロトロフィンが同定されている。ニューロトロフィンは、プロニューロトロフィンとして公知である前駆体形態と成熟形態との両方において見出される。成熟形態は、安定な非共有結合性の約25kDaのホモ二量体として生理学的状態において存在する約120の長さのアミノ酸のタンパク質である。それぞれのニューロトロフィン単量体として、ニューロトロフィンファミリーを超えて比較的高い程度のアミノ酸保存を示すループ1、2および4と称される3種の溶媒暴露β−ヘアピンループが挙げられる。
【0005】
成熟ニューロトロフィンは、受容体Trkおよびp75NTR(低親和性神経成長因子受容体またはLNGFRとも呼ばれるp75ニューロトロフィン受容体)に優先的に結合するが、プロニューロトロフィンは、成熟形態においてタンパク質分解により除去されるN末端ドメインを含有して、p75NTRと基本的に相互作用し、N末端ドメインを経て、選別受容体であるソルチリンと相互作用する(Fahnestock、M.ら(2001)Mol Cell Neurosci 18、210−220;Harrington、A.Wら(2004)Proc Natl Acad Sci USA 101、6226−6230;Nykiaer.A.ら(2004)Nature 427、843−848)。p75NTRは、Trksと相互作用して、Trkシグナル伝達を調節するが、生存促進シグナル、IRAK/TRAF6/NFκB、PI3/AKT、およびプロアポトーシスシグナル、NRAGE/JNK(Mamidipudi、V.ら(2002) J Biol Chem 277、28010−28018;Roux、P.P.ら(2001)J Biol Chem 276、23097−23104;Salehi、A.H.ら(2000)Neuron 27、279−288)などのいくつかのシグナル伝達系にも独立してカップリングされる。
【0006】
ニューロトロフィンは、治療的使用のために投与されるとき、低い血中半減期による乏しい安定度、恐らく乏しい経口バイオアベイラビリティ、および制限された中枢神経系浸透などの準最適な薬理学的特性を示す(Podulso、J.F.、Curran、G.L.(1996)Brain Res Mol Brain Res 36、280−286;Saltzman、W.Mら(1999)Pharm Res 16、232−240;Partridge、W.M.(2002)Adv Exp Med Bio 513、397−430)。さらに、二重受容体シグナル伝達ネットワークの作用を通して達成されるニューロトロフィンの高度多面発現効果は、悪影響の可能性を増大させる。
【0007】
非配位形態のp75NTRがプロアポトーシスであることおよびニューロトロフィン結合によって誘導されるホモ二量体化が該効果を排除すること(Wang、J.J.、ら(2000) J Neurosci Res 60、587−593)が示唆されており、これは、一価のFabs(Maliartchouk、S.、ら(2000)J Biol Chem 275、9946−9956)および単量体環状ペプチド(Longo、F.M.,(1997)J Neurosci Res 48、1−17)などの単量体p75NTR配位子の生存に対して効果を示さないという研究と一致しているが、関連する二価の形態は、各研究において細胞生存を促進する。しかし、これらの単量体配位子は、天然の配位子と同様に受容体と連結し得ない。活性NGFは、2個の潜在的なp75NTR結合部位を含有するホモ二量体であるが、最近の構造的な証拠は、唯1個のp75NTR分子と連結して、別の結合を可能にしないことを示唆している(He、X.L.、(2004)Science 304、870−875)。
【0008】
不都合なことに、今まで、技術的および倫理的な考慮が、ニューロトロフィンをベースとする治療剤の開発を大いに妨げてきた。例えば、組み換えDNA技術を用いて十分量の純粋なニューロトロフィンを産生することは技術的に困難である。さらに、ヒト胎児細胞を利用してニューロトロフィンを産生することが可能であるが、(典型的には中絶された胎児から得られた)かかる細胞の使用によって生じる倫理的な派生問題が、このアプローチの利用をほとんど阻んできた。したがって、障害または疾患の処置における使用のための特異的なニューロトロフィン受容体を標的化することが可能である、ニューロトロフィンをベースとした、好ましい薬剤様の特徴を有する小分子剤、すなわち、ニューロトロフィン模倣体の開発に関して、当該分野においてまだ満たされていない要求が存在する。特許文献1および特許文献2には、特定のニューロトロフィン模倣体が記載されており、これら2つの公開公報の内容は、全ての目的について全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願公開第2006/024072号
【特許文献2】米国特許出願公開第2007/0060526号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
薬剤分野における当業者は、活性な薬剤成分の結晶化が、重要な生理化学量、例えば安定度、溶解度、バイオアベイラビリティ、粒径、嵩密度、流動特性、多形含有量、および他の特性を制御するための最良の方法を付与することを理解している。したがって、ニューロトロフィン模倣体の結晶形態およびかかる形態を製造するプロセスが必要とされている。これらの結晶形態は、薬剤用途に好適であるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一実施形態において、本発明は、化合物またはその塩および/もしくは溶媒和物の結晶形態であって、化合物が2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドである結晶形態を提供する。一実施形態において、本発明は、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドの結晶形態を提供する。別の実施形態において、本発明は、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド一硫酸塩の結晶形態を提供する。別の実施形態において、本発明は、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド二硫酸塩の結晶形態を提供する。別の実施形態において、本発明は、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジグルコン酸塩の結晶形態を提供する。別の実施形態において、本発明は、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジメシル酸塩の結晶形態を提供する。別の実施形態において、本発明は、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジトシル酸塩の結晶形態を提供する。別の実施形態において、本発明は、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジナプシル酸塩の結晶形態を提供する。別の実施形態において、本発明は、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド一エジシル酸塩の結晶形態を提供する。別の実施形態において、本発明は、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド一シュウ酸塩の結晶形態を提供する。
【0012】
一実施形態において、本発明は、本発明の結晶形態を含む組成物を提供する。
【0013】
一実施形態において、本発明は、p75を発現する細胞の退化または機能不全が関与する障害を処置する方法であって、かかる処置を必要とする患者に本発明の結晶形態を含む組成物を投与することを含む方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドの非晶質2HCl塩のX線粉末回折(XRD)パターンのグラフである。
【図2】図2は、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドの非晶質2HCl塩のDSCおよびTGAサーモグラムのオーバーレイである。
【図3A】図3Aおよび3Bは、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドの非晶質2HCl塩のDVSプロットである。
【図3B】図3Aおよび3Bは、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドの非晶質2HCl塩のDVSプロットである。
【図4】図4は、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドの非晶質2HCl塩のH−NMR、すなわち、プロトンNMRスペクトルである。
【図5】図5は、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド(遊離塩基)のX線粉末回折(XRD)パターンのグラフである。
【図6】図6は、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド(遊離塩基)のDSCおよびTGAサーモグラムのオーバーレイである。
【図7】図7は、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド(遊離塩基)のH−NMRスペクトルである。
【図8A】図8Aおよび図8Bは、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド(遊離塩基)のラマンスペクトルである。
【図8B】図8Aおよび図8Bは、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド(遊離塩基)のラマンスペクトルである。
【図9A】図9Aおよび図9Bは、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド(遊離塩基)のDVSプロットである。
【図9B】図9Aおよび図9Bは、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド(遊離塩基)のDVSプロットである。
【図10】図10は、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド一硫酸塩のX線粉末回折(XRD)パターンのグラフである。
【図11】図11は、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド一硫酸塩のDSCサーモグラムである。
【図12A】図12Aおよび図12Bは、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド一硫酸塩のラマンスペクトルである。
【図12B】図12Aおよび図12Bは、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド一硫酸塩のラマンスペクトルである。
【図13】図13は、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド二硫酸塩のX線粉末回折(XRD)パターンのグラフである。
【図14】図14は、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド二硫酸塩のDSCサーモグラムである。
【図15】図15は、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド二硫酸塩のTGAサーモグラムである。
【図16A】図16Aおよび図16Bは、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド二硫酸塩のDVSプロットである。
【図16B】図16Aおよび図16Bは、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド二硫酸塩のDVSプロットである。
【図17】図17は、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド二硫酸塩のH−NMRスペクトルである。
【図18A】図18Aおよび図18Bは、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド二硫酸塩のラマンスペクトルである。
【図18B】図18Aおよび図18Bは、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド二硫酸塩のラマンスペクトルである。
【図19】図19は、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジグルコン酸塩のX線粉末回折(XRD)パターンのグラフである。
【図20】図20は、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジグルコン酸塩のDSCサーモグラムである。
【図21】図21は、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジグルコン酸塩のTGAサーモグラムである。
【図22A】図22Aおよび図22Bは、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジグルコン酸塩のDVSプロットである。
【図22B】図22Aおよび図22Bは、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジグルコン酸塩のDVSプロットである。
【図23】図23は、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジグルコン酸塩のH−NMRスペクトルである。
【図24A】図24Aおよび図24Bは、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジグルコン酸塩のラマンスペクトルである。
【図24B】図24Aおよび図24Bは、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジグルコン酸塩のラマンスペクトルである。
【図25】図25は、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジメシル酸塩のX線粉末回折(XRD)パターンのグラフである。
【図26A】図26Aは、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジメシル酸塩のDSCサーモグラムである。
【図26B】図26Bは、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジメシル酸塩のTGAサーモグラムである。
【図27A】図27Aおよび図27Bは、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジメシル酸塩のDVSプロットである。
【図27B】図27Aおよび図27Bは、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジメシル酸塩のDVSプロットである。
【図28】図28は、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジメシル酸塩のH−NMRスペクトルである。
【図29】図29は、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジメシル酸塩のラマンスペクトルである。
【図30】図30は、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジトシル酸塩のX線粉末回折(XRD)パターンのグラフである。
【図31A】図31Aは、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジトシル酸塩のDSCサーモグラムである。
【図31B】図31Bは、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジトシル酸塩のTGAサーモグラムである。
【図32A】図32Aおよび図32Bは、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジトシル酸塩のDVSプロットである。
【図32B】図32Aおよび図32Bは、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジトシル酸塩のDVSプロットである。
【図33】図33は、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジトシル酸塩のH−NMRスペクトルである。
【図34】図34は、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジトシル酸塩のラマンスペクトルである。
【図35】図35は、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジナプシル酸塩のX線粉末回折(XRD)パターンのグラフである。
【図36A】図36Aは、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジナプシル酸塩のDSCサーモグラムである。
【図36B】図36Bは、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジナプシル酸塩のTGAサーモグラムである。
【図37A】図37Aおよび図37Bは、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジナプシル酸塩のDVSプロットである。
【図37B】図37Aおよび図37Bは、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジナプシル酸塩のDVSプロットである。
【図38】図38は、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジナプシル酸塩のH−NMRスペクトルである。
【図39】図39は、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジナプシル酸塩のラマンスペクトルである。
【図40】図40は、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド一エジシル酸塩のX線粉末回折(XRD)パターンのグラフである。
【図41A】図41Aは、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド一エジシル酸塩のDSCサーモグラムである。
【図41B】図41Bは、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド一エジシル酸塩のTGAサーモグラムである。
【図42A】図42Aおよび図42Bは、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド一エジシル酸塩のDVSプロットである。
【図42B】図42Aおよび図42Bは、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド一エジシル酸塩のDVSプロットである。
【図43】図43は、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド一エジシル酸塩のH−NMRスペクトルである。
【図44】図44は、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド一エジシル酸塩のラマンスペクトルである。
【図45】図45は、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド一シュウ酸塩のX線粉末回折(XRD)パターンのグラフである。
【図46A】図46Aは、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド一シュウ酸塩のDSCサーモグラムである。
【図46B】図46Bは、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド一シュウ酸塩のTGAサーモグラムである。
【図47A】図47Aおよび47Bは、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド一シュウ酸塩のDVSプロットである。
【図47B】図47Aおよび47Bは、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド一シュウ酸塩のDVSプロットである。
【図48】図48は、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド一シュウ酸塩のH−NMRスペクトルである。
【図49】図49は、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド一シュウ酸塩のラマンスペクトルである。
【図50】図50は、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド遊離塩基の安定度研究のH−NMRスペクトルのグラフである。
【図51】図51は、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド二硫酸塩の安定度研究のH−NMRスペクトルのグラフである。
【図52】図52は、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジトシル酸塩の安定度研究のH−NMRスペクトルのグラフである。
【図53】図53は、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジナプシル酸塩の安定度研究のH−NMRスペクトルのグラフである。
【図54】図54は、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド一エジシル酸塩の安定度研究のH−NMRスペクトルのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
p75を発現する細胞の退化または機能不全に関係する障害、例えば神経変性障害を有する患者においては、ニューロトロフィン局在性、ニューロトロフィンの発現レベル、ニューロトロフィンに結合する受容体の発現レベルおよび/または受容体シグナル伝達の変化ならびに機能転帰が起こり得る。したがって、するために、かかる障害に罹患している患者にp75NTR機能またはプロNGF/NGF結合を調節する対応する神経栄養因子または模倣体を付与して細胞退化または機能不全を防止することによって、かかる神経退化が緩和または防止され得る。
【0016】
本発明は、ニューロトロフィン模倣化合物の結晶形態ならびにニューロトロフィン模倣化合物の塩および/または溶媒和物の結晶形態に関する。これらの結晶性材料は、医薬組成物に製剤化されて、p75を発現する細胞の退化または機能不全が関与する障害を処置するのに用いられ得る。
【0017】
定義
本明細書において用いられる専門用語は、単に特定の実施形態を記載することが目的であり、限定を意図しないことが理解されよう。
【0018】
別途定義されない限り、本明細書において用いられる全ての技術的および科学的用語は、本出願が属する分野における当業者に一般的に理解されているのと同じ意味を有する。本明細書に記載されているものと同様または等価のいずれの方法および材料も本出願の実施または試験において用いることができるが、代表的な方法および材料が本明細書に記載されている。
【0019】
長年にわたる特許法上の慣習に従って、用語「a」、「an」、および「the」は、特許請求の範囲などの本出願において用いられるとき、「1つ以上」を指す。したがって、例えば、「担体」に対する言及は、1種以上の担体の混合物、2種以上の担体の混合物などを含む。
【0020】
別途示さない限り、明細書および特許請求の範囲において用いられる成分の発現量、反応条件などの全ての数値は、全ての場合において用語「約」によって変更されると理解されよう。したがって、それとは反対の指示がない限り、本明細書および添付の特許請求の範囲に記載の数的パラメータは、本出願によって得ようとする所望の特性に応じて変動し得る近似値である。一般に、用語「約」は、本明細書において用いられるとき、測定可能な値、例えば、重量、時間、用量などの量を指す場合には、特定した量から、一例においては±20%または±10%、別の例においては±5%、別の例においては±1%、なお別の例において±0.1%の変動を、かかる変動が開示の方法を実施するのに適切である場合において包含することを意味する。
【0021】
用語「本発明の化合物」、「本化合物」、または「2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド」は、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドのいずれかの単一のエナンチオマー、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドのいずれか2種のエナンチオマーの混合物、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドのいずれか3種のエナンチオマーの混合物、および2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドのいずれか4種のエナンチオマーの混合物の結晶形態などの、本願を通して記載されている2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドの結晶形態を指す。
【0022】
多形は、化合物が、同じ化学式を維持しながら異なる結晶形態に結晶化する能力を特徴とし得る。所与の薬剤物質の結晶多形は、同様に互いに結合する同じ原子を含有するということにおいて該薬剤物質のいずれの他の結晶多形とも化学的に同一であるが、例えば安定度、溶解度、融点、嵩密度、流動特性、バイオアベイラビリティなどの1種以上の物理的特性に影響し得るその結晶形態が異なる。
【0023】
用語「組成物」は、固体、液体、気体、またはこれらの混合形態などの物理的形態における1種以上の物質を表す。組成物の一例は、医薬組成物、すなわち、医学的処置に関連する、該処置のために調製される、または該処置に用いられる組成物である。
【0024】
用語「カルボン酸」は、1個以上のカルボキシ基を特徴とする有機酸、例えば、酢酸およびシュウ酸を指す。「スルホン酸」は、一般式R−(S(O)−OH)を有する有機酸(式中、Rは、有機部分であり、nは、1、2および3などの0を超える整数である)を指す。用語「ポリヒドロキシ酸」は、2個以上のヒドロキシル基を含有するカルボン酸を指す。ポリヒドロキシ酸の例として、限定されないが、ラクトビオン酸、グルコン酸、およびガラクトースが挙げられる。
【0025】
「ニューロトロフィン模倣化合物」は、ニューロトロフィンの生物学的機能または活性に類似する有機化合物を表す。
【0026】
「薬学的に許容される」は、本明細書において用いられるとき、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などを有することなくヒトおよび動物の組織と接触した使用に好適であり、合理的な利益/リスク比に相応し、健全な医学的判断の範囲内での意図する使用に有効であることを意味する。
【0027】
「塩」としては、活性剤の誘導体が挙げられ、ここで、活性剤は、その酸または塩基付加塩を作製することによって修飾される。好ましくは、塩は、薬学的に許容される塩である。かかる塩として、限定されないが、薬学的に許容される酸付加塩、薬学的に許容される塩基付加塩、薬学的に許容される金属塩、アンモニウム塩およびアルキル化アンモニウム塩が挙げられる。酸付加塩として、無機酸ならびに有機酸の塩が挙げられる。好適な無機酸の代表例として、塩化水素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸、硫酸、硝酸などが挙げられる。好適な有機酸の代表例としては、ギ酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、安息香酸、桂皮酸、クエン酸、フマル酸、グリコール酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、シュウ酸、ピクリン酸、ピルビン酸、サリチル酸、コハク酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、酒石酸、アスコルビン酸、パモン酸、ビスメチレンサリチル酸、エタンジスルホン酸、グルコン酸、シトラコン酸、アスパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、EDTA、グリコール酸、p−アミノ安息香酸、グルタミン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、過塩素酸塩、ホウ酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、グリセロリン酸塩、ケトグルタル酸などが挙げられる。塩基付加塩としては、限定されないが、エチレンジアミン、N−メチル−グルカミン、リジン、アルギニン、オルチニン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、ジエタノールアミン、プロカイン、N−ベンジルフェネチルアミン、ジエチルアミン、ピペラジン、トリス−(ヒドロキシメチル)−アミノメタン、水酸化テトラメチルアンモニウム、トリエチルアミン、ジベンジルアミン、エフェナミン、デヒドロアビエチルアミン、N−エチルピペリジン、ベンジルアミン、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、塩基性アミノ酸、例えば、リジンおよびアルギニンジシクロヘキシルアミンなどが挙げられる。金属塩の例として、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩などが挙げられる。アンモニウム塩およびアルキル化アンモニウム塩の例として、アンモニウム塩、メチルアンモニウム塩、ジメチルアンモニウム塩、トリメチルアンモニウム塩、エチルアンモニウム塩、ヒドロキシエチルアンモニウム塩、ジエチルアンモニウム塩、ブチルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩などが挙げられる。有機塩基の例としては、リジン、アルギニン、グアニジン、ジエタノールアミン、コリンなどが挙げられる。薬学的に許容される塩およびこれらの製剤の調製のための標準的な方法は当該分野において周知であり、例えば、「Remington:The Science and Practice of Pharmacy」、A.Gennaro、ed.、20th edition、Lippincott、Williams & Wilkins、Philadelphia、PAなどの種々の参照文献に開示されている。
【0028】
本明細書において用いられるとき、「溶媒和物」は、溶媒和(溶媒分子と本発明の活性剤の分子またはイオンとの組み合わせ)によって形成された錯体、または溶質イオンもしくは分子(本発明の活性剤)と1種以上の溶媒分子とからなる凝集体を意味する。本発明において、好ましい溶媒和物は水和物である。水和物の例としては、限定されないが、ヘミ水和物、一水和物、二水和物、三水和物、六水和物などが挙げられる。本化合物の薬学的に許容される塩は溶媒和物形態で存在することもできることが当業者によって理解されるべきである。溶媒和物は、本化合物の調製の一環としてまたは本発明の無水化合物による水分の自然な吸収を経てのいずれかである水和を介して典型的には形成される。水和物などの溶媒和物は、溶媒和物分子または水和物分子あたり例えば2、3、4個の塩分子の化学量論比にあってよい。例えば、2個の塩分子が3、4、7個の溶媒分子または水和物分子に関して化学量論量であるという別の可能性。結晶化に用いられる溶媒、例えば、アルコール、特にメタノールおよびエタノール;アルデヒド;ケトン、特にアセトン;エステル、例えば酢酸エチル;は、結晶格子に組み込まれていてよい。好ましくは、薬学的に許容される溶媒である。
【0029】
用語「実質的に類似する」は、本明細書において用いられるとき、分析スペクトル、例えば、XRDパターン、ラマン分光法などが、参照スペクトルにピーク位置およびこれらの強度の両方において高い程度で類似することを意味する。
【0030】
用語「賦形剤」、「担体」、および「ビヒクル」は、本出願を通して互換的に用いられ、本発明の化合物と共に投与される物質を表す。
【0031】
「治療有効量」は、疾患または他の望ましくない病状を処置するために患者に投与されるとき、疾患または状態に関して有益な効果を有するのに十分である結晶形態の量を意味する。治療有効量は、結晶形態、疾患または状態およびその重症度、ならびに処置される患者の年齢、体重などに応じて変動する。所与の結晶形態の治療有効量の決定は、当業者の範囲内であり、常套的な実験を必要とするに過ぎない。
【0032】
本明細書において用いられるとき、語句「p75を発現する細胞の退化または機能不全が関与する障害」は、限定されないが、p75の上方調節に関係する障害を含む。かかる障害として、神経変性障害、ならびにp75NTR発現細胞の退化が関与する状態、例えば脱毛が挙げられる。神経系内において、p75受容体は、ニューロン、乏突起膠細胞、星状膠細胞などの種々の細胞型によって発現される。ニューロンによって発現されるp75受容体を標的化する化合物は、(限定されないが)アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、脳卒中、外傷性脳損傷、脊髄損傷、てんかん、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、ニューロパシー、ミオパシーおよび種々の形態の網膜退化などの多くの神経系障害におけるニューロンの機能損失、退化および/または死滅を防止するのに用いられ得る。これらの障害のそれぞれにおいて、p75を発現するニューロンが影響を受ける。
【0033】
結晶性材料
一実施形態において、本発明は、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド(遊離塩基)の結晶形態を提供する。別の実施形態において、本発明は、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドの塩および/または溶媒和物の結晶形態を提供する。一実施形態において、塩は硫酸付加塩である。一実施形態において、塩はスルホン酸付加塩である。一実施形態において、塩はカルボン酸付加塩である。一実施形態において、塩はポリヒドロキシ酸付加塩である。結晶性塩の例として、限定されないが、一硫酸塩、二硫酸塩、ジグルコン酸塩、ジメシル酸塩、ジトシル酸塩、ジナプシル酸塩、一エジシル酸塩、および一シュウ酸塩が挙げられる。2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドと共にジナプシル酸塩を形成するナフタレンスルホン酸は、1−ナフタレンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、または3−ナフタレンスルホン酸であってよい。一実施形態において、ナフタレンスルホン酸は2−ナフタレンスルホン酸である。2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドの化合物は:(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド;(2R,3R)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド;(2R,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド;(2S,3R)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド;およびこれらの混合物からなる群から選択される。スキームAは、本化合物の化学構造を示す。
【0034】
スキームA:
【0035】
【化1】

一実施形態において、結晶形態は、X線粉末回折パターン(XRDP)によって決定される格子間平面間隔によって特徴付けられる。XRDPのスペクトルは、ピークの強度対ピークの位置、すなわち、度での回折角2θ(2θ)をプロットする図によって典型的には表される。強度は、以下の略語:非常に強い=vst;強い=st;中程度=m;弱い=w;および非常に弱い=vwによって括弧内にしばしば付与される。所与のXRDPの特性ピークをピーク位置およびこれらの相対強度に従って選択して、この結晶構造を他のものと好都合に区別することができる。
【0036】
当業者は、同じ化合物の所与の結晶形態についてのXRDPのピーク位置および/または強度の測定値が、誤差の範囲内で変動することを認識している。2θ度の値は、適当な誤差範囲を許容する。典型的には、誤差範囲は、「±」によって表される。例えば、約「8.716±0.3」の2θ度は、約8.716+0.3、すなわち、約9.016〜約8.716−0.3、すなわち、約8.416の範囲を表す。サンプル調製技術、機器に適用される較正技術、ヒトの操作変動などに応じて、当業者は、XRDPについての適切な誤差範囲が、±0.5;±0.4;±0.3;±0.2;±0.1;±0.05;またはこれら以下であり得ることを認識している。
【0037】
XRDP分析に用いられる方法および装置のさらなる詳細は、実施例の節に記載されている。
【0038】
一実施形態において、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドの結晶形態は、約±0.5;約±0.4;約±0.3;約±0.2;約±0.1;約±0.05;またはこれ以下の誤差範囲内で約8.716;15.438;および19.198°の2θのピークを含むXRDPを示す。別の実施形態において、結晶形態のXRDPは、約±0.5;約±0.4;約±0.3;約±0.2;約±0.1;約±0.05;またはこれ以下の誤差範囲内で約20.912および20.599°の2θのピークをさらに含む。なお別の実施形態においいて、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドの結晶形態は、以下の表に示すピークを含むXRDPを示す:
表1
2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドのXRDP表
【0039】
【表1】

1つの特定の実施形態において、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドの結晶形態は、図5に実質的に類似するXRDPを示す。別の特定の実施形態において、上記実施形態に記載されている化合物2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドは、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドである。
【0040】
一実施形態において、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド一硫酸塩の結晶形態は、約±0.5;約±0.4;約±0.3;約±0.2;約±0.1;約±0.05;またはこれ以下の誤差範囲内で約25.306および約27.027°の2θのピークを含むXRDPを示す。別の実施形態において、結晶形態のXRDPは、約±0.5;約±0.4;約±0.3;約±0.2;約±0.1;約±0.05;またはこれ以下の誤差範囲内で約17.449°の2θのピークをさらに含む。なお別の実施形態において、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド一硫酸塩の結晶形態は、以下の表に示すピークを含むXRDPを示す:
表2
2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド一硫酸塩のXRDP表
【0041】
【表2】

1つの特定の実施形態において、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド一硫酸塩の結晶形態は、図10に実質的に類似するXRDPを示す。別の特定の実施形態において、上記実施形態に記載されている化合物2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド一硫酸塩は、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド一硫酸塩である。
【0042】
一実施形態において、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド二硫酸塩の結晶形態は、約±0.5;約±0.4;約±0.3;約±0.2;約±0.1;約±0.05;またはこれ以下の誤差範囲内で約21.784;22.468;および19.277°の2θのピークを含むXRDPを示す。別の実施形態において、結晶形態のXRDPは、約±0.5;約±0.4;約±0.3;約±0.2;約±0.1;約±0.05;またはこれ以下の誤差範囲内で約24.618および15.499°の2θのピークをさらに含む。なお別の実施形態において、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド二硫酸塩の結晶形態は、以下の表に示すピークを含むXRDPを示す:
表3
2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド二硫酸塩のXRDP表
【0043】
【表3】

1つの特定の実施形態において、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド二硫酸塩の結晶形態は、図13に実質的に類似するXRDPを示す。別の特定の実施形態において、上記実施形態に記載されている化合物2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド二硫酸塩は、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド二硫酸塩である。
【0044】
一実施形態において、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジグルコン酸塩の結晶形態は、約±0.5;約±0.4;約±0.3;約±0.2;約±0.1;約±0.05;またはこれ以下の誤差範囲内で約19.447;24.377;および22.637°の2θのピークを含むXRDPを示す。別の実施形態において、結晶形態のXRDPは、約±0.5;約±0.4;約±0.3;約±0.2;約±0.1;約±0.05;またはこれ以下の誤差範囲内で約15.730および7.768°の2θのピークをさらに含む。なお別の実施形態において、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジグルコン酸塩の結晶形態は、以下の表に示すピークを含むXRDPを示す:
表4
2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジグルコン酸塩のXRDP表
【0045】
【表4】

1つの特定の実施形態において、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジグルコン酸塩の結晶形態は、図19に実質的に類似するXRDPを示す。別の特定の実施形態において、上記実施形態に記載されている化合物2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジグルコン酸塩は、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジグルコン酸塩である。
【0046】
一実施形態において、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジメシル酸塩の結晶形態は、約±0.5;約±0.4;約±0.3;約±0.2;約±0.1;約±0.05;またはこれ以下の誤差範囲内で約8.499、21.162、および22.292°の2θのピークを含むXRDPを示す。別の実施形態において、結晶形態のXRDPは、約±0.5;約±0.4;約±0.3;約±0.2;約±0.1;約±0.05;またはこれ以下の誤差範囲内で約9.421、16.543、および18.912°の2θのピークをさらに含む。なお別の実施形態において、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジメシル酸塩の結晶形態は、以下の表に示すピークを含むXRDPを示す:
表5
2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジメシル酸塩のXRDP表
【0047】
【表5】

1つの特定の実施形態において、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジメシル酸塩の結晶形態は、図25に実質的に類似するXRDPを示す。別の特定の実施形態において、上記実施形態に記載されている化合物2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジメシル酸塩は、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジメシル酸塩である。
【0048】
一実施形態において、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジトシル酸塩の結晶形態は、約±0.5;約±0.4;約±0.3;約±0.2;約±0.1;約±0.05;またはこれ以下の誤差範囲内で約6.021および18.078°の2θのピークを含むXRDPを示す。別の実施形態において、結晶形態のXRDPは、約±0.5;約±0.4;約±0.3;約±0.2;約±0.1;約±0.05;またはこれ以下の誤差範囲内で約17.557、20.475、および11.029°の2θのピークをさらに含む。なお別の実施形態において、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジトシル酸塩の結晶形態は、以下の表に示すピークを含むXRDPを示す:
表6
2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジトシル酸塩のXRDP表
【0049】
【表6】

1つの特定の実施形態において、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジトシル酸塩の結晶形態は、図30に実質的に類似するXRDPを示す。別の特定の実施形態において、上記実施形態に記載されている化合物2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジトシル酸塩は、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジトシル酸塩である。
【0050】
一実施形態において、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジナプシル酸塩の結晶形態は、約±0.5;約±0.4;約±0.3;約±0.2;約±0.1;約±0.05;またはこれ以下の誤差範囲内で約5.943、15.872、および18.515°の2θのピークを含むXRDPを示す。別の実施形態において、結晶形態のXRDPは、約±0.5;約±0.4;約±0.3;約±0.2;約±0.1;約±0.05;またはこれ以下の誤差範囲内で約22.046の2θ度のピークをさらに含む。なお別の実施形態において、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジナプシル酸塩の結晶形態は、以下の表に示すピークを含むXRDPを示す:
表7
2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジナプシル酸塩のXRDP表
【0051】
【表7】

1つの特定の実施形態において、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジナプシル酸塩の結晶形態は、図35に実質的に類似するXRDPを示す。別の特定の実施形態において、上記実施形態に記載されている化合物2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジナプシル酸塩は、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジナプシル酸塩である。
【0052】
一実施形態において、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド一エジシル酸塩の結晶形態は、約±0.5;約±0.4;約±0.3;約±0.2;約±0.1;約±0.05;またはこれ以下の誤差範囲内で約7.447および20.406°の2θのピークを含むXRDPを示す。別の実施形態において、結晶形態のXRDPは、約±0.5;約±0.4;約±0.3;約±0.2;約±0.1;約±0.05;またはこれ以下の誤差範囲内で約23.443および22.244°の2θのピークをさらに含む。なお別の実施形態において、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド一エジシル酸塩の結晶形態は、以下の表に示すピークを含むXRDPを示す:
表8
2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド一エジシル酸塩のXRDP表
【0053】
【表8】

1つの特定の実施形態において、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド一エジシル酸塩の結晶形態は、図40に実質的に類似するXRDPを示す。別の特定の実施形態において、上記実施形態に記載されている化合物2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド一エジシル酸塩は、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド一エジシル酸塩である。
【0054】
一実施形態において、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド一シュウ酸塩の結晶形態は、約±0.5;約±0.4;約±0.3;約±0.2;約±0.1;約±0.05;またはこれ以下の誤差範囲内で約7.260および19.671°の2θのピークを含むXRDPを示す。別の実施形態において、結晶形態のXRDPは、約±0.5;約±0.4;約±0.3;約±0.2;約±0.1;約±0.05;またはこれ以下の誤差範囲内で約18.917および16.024°の2θのピークをさらに含む。なお別の実施形態において、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド一シュウ酸塩の結晶形態は、以下の表に示すピークを含むXRDPを示す:
表9
2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド一シュウ酸塩のXRDP表
【0055】
【表9】

1つの特定の実施形態において、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド一シュウ酸塩の結晶形態は、図45に実質的に類似するXRDPを示す。別の特定の実施形態において、上記実施形態に記載されている化合物2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド一シュウ酸塩は、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド一シュウ酸塩である。
【0056】
一実施形態において、結晶形態は、ラマン分光法によって特性決定される。ラマンスペクトルは、ピークのラマン強度対ピークのラマンシフトをプロットする図によって典型的には表される。ラマン分光法の「ピーク」はまた、「吸収帯」としても知られている。強度は、以下の略語:強い=st;中程度=m;および弱い=wによって括弧内にしばしば付与される。所与のラマンスペクトルの特性ピークをピーク位置およびこれらの相対強度に従って選択して、この結晶構造を他のものと好都合に区別することができる。
【0057】
当業者は、同じ化合物の所与の結晶形態についてのラマンピークシフトおよび/または強度の測定値が、誤差範囲内で変動することを認識している。波数の逆数(cm−1)で表現されるピークシフトの値は、適当な誤差範囲を許容する。典型的には、誤差範囲は、「±」によって表される。例えば、約「1310±10」のラマンシフトは、約1310+10、すなわち、約1320から約1310−10、すなわち、約1300までの範囲を表す。サンプル調製技術、機器に適用される較正技術、ヒトの操作変動などに応じて、当業者は、±12;±10;±8;±5;±3;±1;またはこれ以下であり得ることを認識している。
【0058】
ラマン分光法分析に用いられる方法および装置のさらなる詳細は、実施例の節に記載されている。
【0059】
一実施形態において、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドの結晶形態は、約±12;約±10;約±8;約±5;約±3;約±1;またはこれ以下の誤差範囲内で約2964(s);約2873(s);および約1451(s)cm−1のピークを示すラマンスペクトルを示す。別の実施形態において、ラマンスペクトルは、約±12;約±10;約±8;約±5;約±3;約±1;またはこれ以下の誤差範囲内で約1310(m)および約805(m)cm−1のピークをさらに含む。1つの特定の実施形態において、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドの結晶形態は、図8Aおよび8Bに実質的に類似するラマンスペクトルを示す。別の特定の実施形態において、上記実施形態に記載されている化合物2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドは、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドである。
【0060】
一実施形態において、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド一硫酸塩の結晶形態は、約±12;約±10;約±8;約±5;約±3;約±1;またはこれ以下の誤差範囲内で約2964(s);約2880(s);および約972(s)cm−1のピークを含むラマンスペクトルを示す。別の実施形態において、ラマンスペクトルは、約±12;約±10;約±8;約±5;約±3;約±1;またはこれ以下の誤差範囲内で約1448(m)および約1310(m)cm−1のピークをさらに含む。1つの特定の実施形態において、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド一硫酸塩の結晶形態は、図12Aおよび12Bに実質的に類似するラマンスペクトルを示す。別の特定の実施形態において、上記実施形態に記載されている化合物2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド一硫酸塩は、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド一硫酸塩である。
【0061】
一実施形態において、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド二硫酸塩の結晶形態は、約±12;約±10;約±8;約±5;約±3;約±1;またはこれ以下の誤差範囲内で約2980(s);約2943(s);約2889(s);および約1033(s)cm−1のピークを含むラマンスペクトルを示す。別の実施形態において、ラマンスペクトルは、約±12;約±10;約±8;約±5;約±3;約±1;またはこれ以下の誤差範囲内で約975(m)および約851(m)cm−1のピークをさらに含む。1つの特定の実施形態において、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド二硫酸塩の結晶形態は、図18Aおよび18Bに実質的に類似するラマンスペクトルを示す。別の特定の実施形態において、上記実施形態に記載されている化合物2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド二硫酸塩は、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド二硫酸塩である。
【0062】
一実施形態において、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジグルコン酸塩の結晶形態は、約±12;約±10;約±8;約±5;約±3;約±1;またはこれ以下の誤差範囲内で約2957(s);約2928(s);および約910(s)cm−1のピークを含むラマンスペクトルを示す。別の実施形態において、ラマンスペクトルは、約±12;約±10;約±8;約±5;約±3;約±1;またはこれ以下の誤差範囲内で約1450(m);約1139(m);および約883(m)cm−1のピークをさらに含む。1つの特定の実施形態において、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジグルコン酸塩の結晶形態は、図24Aおよび24Bに実質的に類似するラマンスペクトルを示す。別の特定の実施形態において、上記実施形態に記載されている化合物2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジグルコン酸塩は、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジグルコン酸塩である。
【0063】
一実施形態において、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジメシル酸塩の結晶形態は、約±12;約±10;約±8;約±5;約±3;約±1;またはこれ以下の誤差範囲内で約2935(s);約1040(s);および約778(s)cm−1のピークを含むラマンスペクトルを示す。別の実施形態において、ラマンスペクトルは、約±12;約±10;約±8;約±5;約±3;約±1;またはこれ以下の誤差範囲内で約1444(m)および約557(m)cm−1のピークをさらに含む。1つの特定の実施形態において、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジメシル酸塩の結晶形態は、図29に実質的に類似するラマンスペクトルを示す。別の特定の実施形態において、上記実施形態に記載されている化合物2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジメシル酸塩は、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジメシル酸塩である。
【0064】
一実施形態において、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジトシル酸塩の結晶形態は、約±12;約±10;約±8;約±5;約±3;約±1;またはこれ以下の誤差範囲内で約2980(s);約1123(s);および約800(s)cm−1のピークを含むラマンスペクトルを示す。別の実施形態において、ラマンスペクトルは、約±12;約±10;約±8;約±5;約±3;約±1;またはこれ以下の誤差範囲内で約2922(m)、約1599(m)、および約637(m)cm−1のピークをさらに含む。1つの特定の実施形態において、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジトシル酸塩の結晶形態は、図34に実質的に類似するラマンスペクトルを示す。別の特定の実施形態において、上記実施形態に記載されている化合物2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジトシル酸塩は、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジトシル酸塩である。
【0065】
一実施形態において、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジナプシル酸塩の結晶形態は、約±12;約±10;約±8;約±5;約±3;約±1;またはこれ以下の誤差範囲内で約3053(w);約1380(s);および約766(s)cm−1のピークを含むラマンスペクトルを示す。別の実施形態において、ラマンスペクトルは、約±12;約±10;約±8;約±5;約±3;約±1;またはこれ以下の誤差範囲内で約2974(w)および約514(m)cm−1のピークをさらに含む。1つの特定の実施形態において、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジナプシル酸塩の結晶形態は、図39に実質的に類似するラマンスペクトルを示す。別の特定の実施形態において、上記実施形態に記載されている化合物2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジナプシル酸塩は、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジナプシル酸塩である。
【0066】
一実施形態において、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド一エジシル酸塩の結晶形態は、約±12;約±10;約±8;約±5;約±3;約±1;またはこれ以下の誤差範囲内で約2954(s);約1058(s);および約825(s)cm−1のピークを含むラマンスペクトルを示す。別の実施形態において、ラマンスペクトルは、約±12;約±10;約±8;約±5;約±3;約±1;またはこれ以下の誤差範囲内で約3003(s)および約521(s)cm−1のピークをさらに含む。1つの特定の実施形態において、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド一エジシル酸塩の結晶形態は、図44に実質的に類似するラマンスペクトルを示す。別の特定の実施形態において、上記実施形態に記載されている化合物2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド一エジシル酸塩は、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド一エジシル酸塩である。
【0067】
一実施形態において、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド一シュウ酸塩の結晶形態は、約±12;約±10;約±8;約±5;約±3;約±1;またはこれ以下の誤差範囲内で約2897(s);約1692(s);および約491(m)cm−1のピークを含むラマンスペクトルを示す。別の実施形態において、ラマンスペクトルは、約±12;約±10;約±8;約±5;約±3;約±1;またはこれ以下の誤差範囲内で約2955(s)、約1443(s)、および約1252(s)cm−1のピークをさらに含む。1つの特定の実施形態において、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド一シュウ酸塩の結晶形態は、図49に実質的に類似するラマンスペクトルを示す。別の特定の実施形態において、上記実施形態に記載されている化合物2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド一シュウ酸塩は、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド一シュウ酸塩である。
【0068】
一実施形態において、結晶形態は、示差スキャン熱量測定(DSC)によって特性決定される。DSCサーモグラムは、ワット/グラム(「W/g」)の単位の規格化された熱流量対測定されたサンプル温度(℃)をプロットする図によって典型的には表される。DSCサーモグラムは、外挿された開始および終了(開始)温度、ピーク温度、および融解熱について通常は評価される。DSVサーモグラムの単一の最大値をしばしば特性ピークとして用いて、この結晶構造を他のものと区別する。
【0069】
当業者は、同じ化合物の所与の結晶形態についてのDSCサーモグラム測定値が、誤差範囲内で変動することを認識している。℃で表される単一の最大値の値は、適当な誤差範囲を許容する。典型的には、誤差範囲は、「±」によって表される。例えば、約「53.09±2.0」の単一の最大値は、約53.09+2、すなわち、約55.09から約53.09−2、すなわち、約51.09の範囲を表す。サンプル調製技術、機器に適用される較正技術、ヒトの操作変動などに応じて、当業者は、単一の最大値についての適切な範囲誤差が、±2.5;±2;±1.5;±1;±0.5;またはこれ以下であり得ることを認識している。
【0070】
DSCサーモグラム分析に用いられる方法および装置のさらなる詳細は、実施例の節に記載されている。
【0071】
一実施形態において、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドの結晶形態は、約±2.5;約±2;約±1.5;約±1;約±0.5;またはこれ以下の誤差範囲内で約53.09±2.0℃の単一の最大値を含むDSCサーモグラムを示す。1つの特定の実施形態において、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドの結晶形態は、図6に実質的に類似するDSCサーモグラムを示す。別の特定の実施形態において、上記実施形態に記載されている化合物2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドは、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドである。
【0072】
一実施形態において、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド一硫酸塩の結晶形態は、約±2.5;約±2;約±1.5;約±1;約±0.5;またはこれ以下の誤差範囲内で約176.49±2.0℃の単一の最大値を含むDSCサーモグラムを示す。1つの特定の実施形態において、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド一硫酸塩の結晶形態は、図11に実質的に類似するDSCサーモグラムを示す。別の特定の実施形態において、上記実施形態に記載されている化合物2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド一硫酸塩は、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド一硫酸塩である。
【0073】
一実施形態において、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド二硫酸塩の結晶形態は、約±2.5;約±2;約±1.5;約±1;約±0.5;またはこれ以下の誤差範囲内で約228.03±2.0℃の単一の最大値を含むDSCサーモグラムを示す。1つの特定の実施形態において、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド二硫酸塩の結晶形態は、図14に実質的に類似するDSCサーモグラムを示す。別の特定の実施形態において、上記実施形態に記載されている化合物2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド二硫酸塩は、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド二硫酸塩である。
【0074】
一実施形態において、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジグルコン酸塩の結晶形態は、約±2.5;約±2;約±1.5;約±1;約±0.5;またはこれ以下の誤差範囲内で約182.33±2.0℃の単一の最大値を含むDSCサーモグラムを示す。1つの特定の実施形態において、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジグルコン酸塩の結晶形態は、図20に実質的に類似するDSCサーモグラムを示す。別の特定の実施形態において、上記実施形態に記載されている化合物2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジグルコン酸塩は、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジグルコン酸塩である。
【0075】
一実施形態において、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジメシル酸塩の結晶形態は、約±2.5;約±2;約±1.5;約±1;約±0.5;またはこれ以下の誤差範囲内で約180.77±2.0℃の単一の最大値を含むDSCサーモグラムを示す。1つの特定の実施形態において、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジメシル酸塩の結晶形態は、図26Aに実質的に類似するDSCサーモグラムを示す。別の特定の実施形態において、上記実施形態に記載されている化合物2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジメシル酸塩は、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジメシル酸塩である。
【0076】
一実施形態において、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジトシル酸塩の結晶形態は、約±2.5;約±2;約±1.5;約±1;約±0.5;またはこれ以下の誤差範囲内で約191.85±2.0℃の単一の最大値を含むDSCサーモグラムを示す。1つの特定の実施形態において、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジトシル酸塩の結晶形態は、図31Aに実質的に類似するDSCサーモグラムを示す。別の特定の実施形態において、上記実施形態に記載されている化合物2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジトシル酸塩は、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジトシル酸塩である。
【0077】
一実施形態において、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジナプシル酸塩の結晶形態は、約±2.5;約±2;約±1.5;約±1;約±0.5;またはこれ以下の誤差範囲内で約185.56±2.0℃の単一の最大値を含むDSCサーモグラムを示す。1つの特定の実施形態において、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジナプシル酸塩の結晶形態は、図36Aに実質的に類似するDSCサーモグラムを示す。別の特定の実施形態において、上記実施形態に記載されている化合物2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジナプシル酸塩は、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジナプシル酸塩である。
【0078】
一実施形態において、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド一エジシル酸塩の結晶形態は、約±2.5;約±2;約±1.5;約±1;約±0.5;またはこれ以下の誤差範囲内で約317.25±2.0℃の単一の最大値を含むDSCサーモグラムを示す。1つの特定の実施形態において、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド一エジシル酸塩の結晶形態は、図41Aに実質的に類似するDSCサーモグラムを示す。別の特定の実施形態において、上記実施形態に記載されている化合物2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド一エジシル酸塩は、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド一エジシル酸塩である。
【0079】
一実施形態において、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド一シュウ酸塩の結晶形態は、約±2.5;約±2;約±1.5;約±1;約±0.5;またはこれ以下の誤差範囲内で約234.32±2.0℃の単一の最大値を含むDSCサーモグラムを示す。1つの特定の実施形態において、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド一シュウ酸塩の結晶形態は、図46Aに実質的に類似するDSCサーモグラムを示す。別の特定の実施形態において、上記実施形態に記載されている化合物2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド一シュウ酸塩は、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド一シュウ酸塩である。
【0080】
本結晶形態を特性決定するさらなる方法は、本出願の実施例の節に記載されている。
【0081】
医薬製剤
別の実施形態において、本発明は、活性成分としての治療有効量の本発明の結晶形態を、薬学的に許容される賦形剤または担体と組み合わせて含む医薬組成物を提供する。賦形剤は、種々の目的で製剤に添加される。
【0082】
希釈剤は、本発明の製剤に添加され得る。希釈剤は、固体医薬組成物の容積を増大させて、組成物を含有する医薬製剤を患者および介護者がより容易に取り扱えるようにすることができる。固体組成物のための希釈剤として、例えば、微結晶性セルロース(例えば、AVICEL)、微細セルロース、ラクトース、デンプン、アルファデンプン、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、糖、デキストレート、デキストリン、デキストロース、第2リン酸カルシウム二水和物、第3リン酸カルシウム、カオリン、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、マルトデキストリン、マンニトール、ポリメタクリレート(例えば、EUDRAGIT)、塩化カリウム、粉末セルロース、塩化ナトリウム、ソルビトール、およびタルクが挙げられる。
【0083】
錠剤などの剤形に成型される固体医薬組成物は、賦形剤を含んでいてよく、賦形剤の機能として成型後に活性成分と他の賦形剤とを一緒に結合するのを助けることが挙げられる。固体医薬組成物用の結合剤として、アカシア、アルギン酸、カルボマー(例えば、カーボポール)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストリン、エチルセルロース、ゼラチン、グアーガム、水添植物油、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(例えば、KLUCEL)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、METHOCEL)、液体グルコース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、マルトデキストリン、メチルセルロース、ポリメタクリレート、ポビドン(例えば、KOLLIDON、PLASDONE)、アルファデンプン、アルギン酸ナトリウム、およびデンプンが挙げられる。
【0084】
患者の胃における、成型された固体医薬組成物の溶解速度は、組成物に崩壊剤を添加することによって増加され得る。崩壊剤として、アルギン酸、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム(例えば、AC−DI−SOLおよびPRIMELLOSE)、コロイド状二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン(例えば、KOLLIDONおよびPOLYPLASDONE)、グアーガム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、メチルセルロース、微結晶性セルロース、ポラクリリンカリウム、粉末セルロース、アルファデンプン、アルギン酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム(例えば、EXPLOTAB)、およびデンプンが挙げられる。
【0085】
流動促進剤を添加することで、成型されていない固体組成物の流動性を改善し、投薬の精度を改善することができる。流動促進剤として機能し得る賦形剤として、コロイド状二酸化ケイ素、三ケイ酸マグネシウム、粉末セルロース、デンプン、タルク、および第3リン酸カルシウムが挙げられる。
【0086】
錠剤などの剤形が粉末状組成物の成型によって作製されるとき、組成物は、パンチおよび染料からの圧力に供される。いくつかの賦形剤および活性成分は、生成物に孔および他の表面むらを引き起こし得るパンチおよび染料の表面に接着する傾向にある。潤滑剤を組成物に添加することで、接着を低減し、染料からの生成物の放出を容易にすることができる。潤滑剤として、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸グリセリル、パルミチン酸ステアリン酸グリセリル、水添ヒマシ油、水添植物油、鉱油、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸、タルク、およびステアリン酸亜鉛などが挙げられる。
【0087】
香味剤および香味向上剤は、患者が剤形をより気に入るようにする。本発明の組成物に含まれ得る、医薬製品に一般的な香味剤および香味向上剤として、マルトール、バニリン、エチルバニリン、メントール、クエン酸、フマル酸、エチルマルトール、および酒石酸が挙げられる。
【0088】
固体および液体組成物はまた、任意の薬学的に許容される着色剤を用いることで染色されて、その外観を改善し、ならびに/または製品および単位投薬量レベルについての患者の識別を容易にすることもできる。
【0089】
本発明は、新規の結晶形態の結晶構造と、本発明のアトモキセチン塩酸塩の新規の結晶形態を特徴付ける特性とが失われている、アトモキセチン塩酸塩の真の溶液を包含することは意図していない。しかし、(例えば、液体医薬製剤中のアトモキセチン塩酸塩を送達するように)新規の形態を使用してかかる溶液を調製することは、本発明の企図の範囲内である。
【0090】
本発明の結晶形態を用いて調製された液体医薬組成物において、アトモキセチン塩酸塩および任意の他の固体賦形剤は、液体担体、例えば水、植物油、アルコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、またはグリセリン中に溶解または懸濁される。
【0091】
液体医薬組成物は、乳化剤を含有することで、液体担体に可溶性でない活性成分または他の賦形剤を組成物全体に均一に分散させることができる。本発明の液体組成物に有用であり得る乳化剤として、例えば、ゼラチン、卵黄、カゼイン、コレステロール、アカシア、トラガカント、ツノマタ属、ペクチン、メチルセルロース、カルボマー、セトステアリルアルコール、およびセチルアルコールが挙げられる。
【0092】
液体医薬組成物はまた、粘度向上剤を含有することで、製品の口当たりを改善し、および/または消化管のライニングをコーティングすることもできる。かかる剤として、アカシア、アルギン酸ベントナイト、カルボマー、カルボキシメチルセルロースカルシウムまたはナトリウム、セトステアリルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ゼラチングアーガム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、ポリビニルアルコール、ポビドン、プロピレンカーボネート、アルギン酸プロピレングリコール、アルギン酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプントラガカント、およびキサンタンガムが挙げられる。
【0093】
甘味剤、例えばソルビトール、サッカリン、サッカリンナトリウム、スクロース、アスパルテーム、フルクトース、マンニトール、および転化糖が添加されることで、味感を改善することができる。
【0094】
防腐剤およびキレート剤、例えば、アルコール、安息香酸ナトリウム、ブチル化ヒドロキシルトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール、およびエチレンジアミンテトラ酢酸が、消化に安全なレベルで添加されることで、貯蔵安定度を改善することができる。
【0095】
液体組成物は、緩衝剤、例えばグルコン酸、乳酸、クエン酸もしくは酢酸、グルコン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、または酢酸ナトリウムを含有していてもよい。賦形剤および使用量の選択は、該分野における標準的な手順の実験および考察ならびに参照文献に基づいて製剤の科学者によって容易に決定され得る。
【0096】
本発明の固体組成物として、粉末、顆粒、凝集体および成型された組成物が挙げられる。投薬量として、経口、口腔、直腸、非経口(皮下、筋肉内、および静脈内を含む)、吸入および点眼投与に好適な投薬量が挙げられる。任意の所与の場合における最も好適な投与は、処置される状態の性質および重症度により得るが、本発明の最も好ましい経路は経口である。投薬量は、単位剤形で好都合には提示され得、薬剤分野において周知の任意の方法によって調製され得る。
【0097】
剤形として、錠剤、粉末、カプセル、坐剤、サシェ剤、トローチおよび舐剤のような固体剤形、ならびに液体シロップ、懸濁液およびエリキシルが挙げられる。
【0098】
STRATTERAの投薬量はガイドラインとして用いられ得る。本発明の経口剤形は、活性成分および他の賦形剤などの合計重量で好ましくは約5mg〜約160mg、より好ましくは約20mg〜約80mgの投薬量を有する経口カプセルまたは錠剤の形態であり、最も好ましくは10、18、20、25、40、60および80mgのカプセルまたは錠剤である。1日投薬量として、1日あたり1、2、またはこれを超えるカプセルを挙げることができる。
【0099】
本発明の剤形は、ハードまたはソフトシェルのいずれかの中に本発明の組成物、好ましくは粉末状または顆粒状の固体組成物を含有するカプセルであってよい。シェルは、ゼラチンから作製されていてよく、グリセリンおよびソルビトールなどの可塑剤、ならびに乳白剤または着色剤を場合により含有していてよい。
【0100】
錠剤化またはカプセル充填のための組成物は、湿式顆粒化によって調製することができる。湿式顆粒化において、粉末形態にある活性成分および賦形剤のいくつかまたは全てを混合し、次いで、液体、典型的には水の存在下にさらに混合して、粉末を凝集させて顆粒とする。顆粒をスクリーニングおよび/またはミリングし、乾燥し、次いで所望の粒径にスクリーニングおよび/またはミリングする。次いで顆粒を錠剤化してよく、他の賦形剤、例えば流動促進剤および/または潤滑剤を錠剤化の前に添加してよい。
【0101】
錠剤化組成物は、乾式混合によって常套的に調製することができる。例えば、活性剤および賦形剤が混合された組成物をスラッグまたはシートに成型し、次いで、粉砕して、成型された顆粒にしてよい。成型された顆粒を続いて圧縮して錠剤にしてよい。
【0102】
乾式顆粒化の代替として、混和された組成物を、直接圧縮技術を用いて圧縮して、成型された剤形にしてよい。直接圧縮により、顆粒を有さないより均一な錠剤を生成する。直接圧縮錠剤化に特にかなり適している賦形剤として、微結晶性セルロース、噴霧乾燥ラクトース、リン酸二カルシウム二水和物およびコロイダルシリカが挙げられる。直接圧縮錠剤化におけるこれらおよび他の賦形剤の適した使用は、直接圧縮錠剤化の特定の製剤の課題において経験および能力を有する当業者に公知である。
【0103】
本発明のカプセル充填は、錠剤化に関して記載された上記の混合および顆粒のいずれかを含んでよいが、これらは最終の錠剤化工程には供されない。
【0104】
活性成分および賦形剤は、当該分野において公知の方法に従って組成物および剤形に製剤化されてよい。
【0105】
本発明の製剤は、アトモキセチン塩酸塩の唯1つの結晶形態を含有する必要はない。本発明の結晶形態は、単一成分として、またはアトモキセチン塩酸塩の他の結晶形態もしくは非晶質アトモキセチン塩酸塩と一緒に混合物として、医薬製剤または組成物において用いられてよい。しかし、本発明の医薬製剤または組成物は、製剤または組成物中のアトモキセチン塩酸塩の合計量を基準として、新規の形態の少なくとも1種の25〜100重量%、特に50〜100重量%を含有することが好ましい。好ましくは、かかる量のアトモキセチン塩酸塩の結晶形態は、75〜100重量%、特に90〜100重量%である。95〜100重量%がかなり好ましい。
【0106】
治療的使用
本発明は、p75を発現する細胞の分解または機能不全が関与する障害の処置も提供する。
【0107】
一態様において、p75受容体を活性化させる方法であって、p75受容体を含む細胞を本結晶形態と接触させることを含む方法が提供される。本発明の結晶形態が、ニューロンによって発現されるp75受容体を標的化する能力に基づいて、(限定されないが)アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、脳卒中、外傷性脳損傷、脊髄損傷、てんかん、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、ニューロパシー、ミオパシーおよび種々の網膜退化形態などの神経系障害を処置する方法がさらに開示される。
【0108】
本出願の結晶形態が乏突起膠細胞によって発現されるp75受容体を標的化する能力に基づいて、(限定されないが)多発性硬化症、脊髄損傷および周産期無酸素症などの神経系障害を処置するための方法がさらに開示される。
【0109】
さらに、神経系の疾患以外の疾患を処置する方法、特に、毛嚢細胞の損失を防止することによって脱毛を防止する方法;肝硬変を防止して肝再生を促進する方法;糖尿病性創傷の状況または他の虚血性状況において、血管形成を調節して新血管形成を促進する方法;虚血の状況においてまたは心筋梗塞の後のいずれかにおいて、心筋細胞の損失を防止することによってまたは新しい心筋細胞の成長を刺激することによって心筋ミオパシーを防止する方法;ならびに腫瘍細胞成長を阻害する方法が開示される。加えて、p75は、幹細胞によって発現され、また、幹細胞成長を調節することが公知であり;したがって、p75配位子は、ストラテジーの一環として肝細胞の成長を促進して組織および器官の再生を促進するのに用いられ得る。
【0110】
本発明は、対象における神経変性および他の障害または状態を処置する方法も提供する。より特定的には、本発明の方法は、対象に結晶形態を投与して神経変性障害または他の障害もしくは状態を処置することを含む。結晶形態は、神経変性および他の障害と関連させて決定されてきた、生存シグナル伝達を誘発しかつ/またはプロNGF誘発細胞死滅を阻害するのに有効な量で投与され得る。用語「対象」および「患者」は、本出願を通して互換的に用いられる。
【0111】
処置される状態は、ニューロトロフィンをp75NTRに結合させることによって少なくとも部分的に媒介されるいずれの状態であってもよい。かかる状態として、限定されないが、アルツハイマー病、ハンチントン病、ピック病、筋萎縮性側索硬化症、てんかん、パーキンソン病、脊髄損傷、脳卒中、低酸素症、虚血、脳損傷、糖尿病性ニューロパシー、末梢性ニューロパシー、神経移植、多発性硬化症、末梢神経損傷、および脱毛が挙げられる。
【0112】
本結晶形態は、例えば、化学的治療および/または神経変性障害によって引き起こされる神経退化ならびに他の状態を防止すること、ならびに、例えば化学的治療によって引き起こされる毛嚢細胞生存を誘発することなどの、神経退化を処置するのに用いられ得る。
【0113】
本発明は、細胞生存を容易にする新規の方法をさらに提供する。代表的な細胞として、限定されないが、中隔細胞、海馬細胞、皮質細胞、感覚細胞、交感神経細胞、運動ニューロン、毛嚢細胞、前駆細胞、および幹細胞が挙げられる。一般に、かかる細胞として、ニューロン、乏突起膠細胞および毛嚢細胞が挙げられる。具体的には、該方法は、本結晶形態によって細胞を処置することを含み、ここで、化合物は、生存シグナル伝達を誘発し、プロNGF−誘発細胞死滅を阻害する。
【0114】
本発明はまた、対象におけるp75NTR結合によって媒介される状態を寛解するために、本結晶形態を投与する方法も開示する。該方法は、有効量の本発明の結晶形態を対象に投与する工程を含むことができる。
【0115】
投与は、本明細書において用いられるとき、当業者に公知の種々の方法のいずれかを用いて行われまたは実施され得る。結晶形態は、常套的な非毒性の生理的に許容される担体またはビヒクルを含有する投薬製剤において、例えば、皮下に、静脈内に、非経口で、腹腔内に、皮内に、筋肉内に、局所的に、腸内に(例えば、経口で)、直腸に、経鼻で、口腔で、舌下に、膣内に、吸入噴霧により、薬剤ポンプによりまたは埋込リザーバを介して投与され得る。
【0116】
さらに、本出願で開示された化合物は、処置を必要とする局所的領域に投与され得る。これは、例えば、限定されないが、シアラスチックメンブレンまたは繊維などの膜も含めた、手術の間の局所輸液、局所的適用、経皮パッチ、注射、カテーテル、座剤、埋込(埋込は、場合により、多孔性、非多孔性、またはゼラチン性の材料である)によって達成され得る。
【0117】
結晶形態が投与される形態(例えば、シロップ、エリキシル、カプセル、錠剤、発泡体、乳濁液、ゲル、ゾル)は、結晶が投与される経路に部分的に依存する。例えば、粘膜(例えば、口内粘膜、直腸、小腸粘膜、気管粘膜)投与のために、鼻ドロップ、エアロゾル、吸入物、ネブライザー、点眼または座剤が用いられ得る。結晶形態は、生体埋込可能な材料をコーティングするのに用いられて、神経突起の伸張、神経生存、または埋込表面との細胞相互作用を向上させることもできる。本明細書に開示されている結晶形態および剤は、他の生物学的に活性な剤、例えば、鎮痛剤、抗炎症剤、麻酔剤、およびp75NTR媒介状態の1種以上の症状または原因を制御することができる他の剤と一緒に投与され得る。
【0118】
さらに、投与は、好適な期間にわたって複数種の投薬量を対象に投与することを含み得る。かかる投与レジメンは、本開示内容の検討の際に常套的な方法に従って決定され得る。
【0119】
本出願の結晶形態は、医薬において単一の活性剤として使用され得、または、限定されないが、アミロイド・阻害剤、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、ブチリルコリンエステラーゼ阻害剤、およびN−メチル−D−アスパラギン酸塩のサブタイプのグルタミン酸受容体拮抗薬などの、神経変性疾患において神経生存もしくは軸索成長を容易にすることができる他の活性成分、例えば、ニューロトロフィン、または、他の因子もしくは薬剤との組み合わせで用いられ得る(例えば、互いに近似した時間で、または同じ製剤において投与される)。
【0120】
本発明の結晶形態は、約0.01mg/kg/用量〜約100mg/kg/用量の用量で一般に投与される。代替では、用量は、約0.1mg/kg/用量〜約10mg/kg/用量;または約1mg/kg/用量〜10mg/kg/用量であってよい。一部の投薬量において、本明細書に開示されている結晶形態は、約5mg/kg/用量で投与される。持続放出型の調製物が使用されてよく、用量は、便宜に応じて多分割用量で投与されてよい。他の方法が用いられるとき(例えば、静脈内投与)、結晶形態は、約0.05〜約10mg/kg/時間、代替には約0.1〜約1mg/kg/時間の速度で罹患組織に投与される。かかる速度は、これらの結晶形態が本明細書において議論されているように静脈内に投与されるとき容易に維持される。一般に、局所投与される製剤は、約0.5mg/kg/用量〜約10mg/kg/用量の範囲の用量で投与される。代替には、局所製剤は、約1mg/kg/用量〜約7.5mg/kg/用量または約1mg/kg/用量〜約5mg/kg/用量の用量で投与される。
【0121】
単回投与には約0.1〜約100mg/kgの範囲が適切である。連続投与には約0.05〜約10mg/kgの範囲が適切である。脱毛または創傷の血管再建などの状態には局所投与が適切である。
【0122】
薬剤用量は、この方法が特定の代謝および排出機能と良好な相関関係を達成するときの、体重よりもむしろ体表面積の平方メートルあたりのミリグラムで予め決定されてもよい。さらに、体表面積は、成人および子供ならびに種々の動物種における薬剤投与量に関して共通の基準として用いられ得る(Freireichら、(1966)Cancer Chemother Rep.50、219−244)。簡単には、任意の所与の種におけるmg/kgの用量を等価のmg/sq m用量として表現するには、投薬量は、適切なkm因子によって乗算される。ヒトの成人において、100mg/kgは、100mg/kg×37kg/sq m=3700mg/mと等価である。
【0123】
本明細書に開示されている結晶形態が模倣体またはそのフラグメントの形態を取り得る限り、当然ながら、効能、したがって投薬の有効量が変動し得る。しかし、当業者は、本出願によってここで想定される種類の結晶形態の効能を容易に評価することができる。
【0124】
徐々に進行する神経系障害の状況において、本出願の結晶形態は、一般には継続的に投与される。特定の状況において、本明細書に開示されている結晶形態の投与は、ストラテジーの一環として疾患症状の発生の前に開始して、疾患を遅延または防止することができる。他の状況において、本明細書に開示されている結晶形態は、疾患のプロセスを遅くするもしくは逆行させるストラテジーの一環としておよび/または細胞機能を改善して症状を低減させるストラテジーの一環として、疾患症状の発症の後に投与される。血液脳関門を横断することにより経口投与によってまたは他の周辺経路によって送達され得る結晶形態を開発した。血液脳関門を横断しない結晶形態は、中枢神経系の外側の標的に適用される。神経系の外側の標的および組織には、結晶形態が、急性または慢性のいずれかの状況において、他の経口または指向された標的投与によって、例えば局所適用によって適用される。
【0125】
投薬量の範囲は、特定の結晶形態、およびその効能に依存することが当業者によって認識される。投薬量の範囲は、神経変性またはこれに関連する他の障害および症状が寛解され、および/または細胞の生存が達成されるという所望の効果をもたらすのに十分に広いが、管理できない副作用を引き起こすほどには広くないことが理解される。しかし、当業者によってよく理解されているように、任意の特定の患者についての具体的な用量レベルは、使用される特定の結晶形態の活性;処置される個体の年齢、体重、全体の健康、性別および食事;投与の時間および経路;排泄速度;先に投与された他の薬剤;治療を経た特定の疾患の重症度などの種々の因子に依存することが理解される。投薬量はまた、任意の合併症の事象において個々の医師によって調整されてもよい。本明細書に開示されている結晶形態が本出願に従って用いられるときには、許容されない毒性学的影響がないことが予期される。
【0126】
有効量の本明細書に開示されている結晶形態は、測定可能な生物学的応答をもたらすのに十分な量を含む。本出願の治療的結晶形態中の活性成分の実際の投薬量レベルは、特定の対象および/または適用に望ましい治療的応答を達成するのに有効な量の活性結晶形態を投与するように変動され得る。好ましくは、最小用量が投与され、該用量は、用量制限性毒性の非存在下に最小有効量まで段階的に上昇する。治療有効用量の決定および調整、ならびにかかる調整をいつどのように行うかの評価は、当業者に公知である。
【0127】
さらに、本出願の方法に関して、好ましい対象は、脊椎動物対象である。好ましい脊椎動物は温血であり;好ましい温血脊椎動物は哺乳動物である。ここに開示されている方法によって処置される対象は、望ましくはヒトであるが、本出願の原理は、用語「対象」に含まれる全ての脊椎動物種に対して有効性を示すことが理解されよう。本文脈において、脊椎動物は、神経変性障害の処置が望ましいあらゆる脊椎動物種であることが理解される。本明細書において用いられるとき、用語「対象」は、ヒトおよび動物の両方の対象を含む。したがって、獣医による治療的使用が本出願に従って提供される。
【0128】
このように、本出願は、ヒトなどの哺乳動物、ならびにシベリアトラなどの危機にあるゆえに重要な哺乳動物、経済的に重要な哺乳動物、例えばヒトによる消費のために農場で育つ動物および/またはヒトに対して社会的に重要な哺乳動物、例えば、ペットまたは動物園もしくは農場で維持される動物の処置のために提供される。かかる動物の例として、限定されないが:ネコおよびイヌなどの肉食動物;ブタ、雄ブタおよびイノシシなどのスワイン;畜牛、雄牛、羊、キリン、シカ、ヤギ、バイソン、およびラクダなどの反芻動物ならびに/または有蹄動物;ならびにウマが挙げられる。また、危機にあるおよび/または動物園において飼われている種のトリ、ならびにニワトリおよびさらに特定的には家禽、すなわち、七面鳥、ひな鳥、アヒル、ガチョウ、ホロホロチョウなどの処置などのトリの処置もまた、これらがヒトにとっても経済的に重要であるため提供される。したがって、限定されないが、家畜スワイン、反芻動物、有蹄動物、ウマ(競走馬を含む)、家禽などの家畜の処置も提供される。
【0129】
以下の実施例は、本発明をさらに説明するが、その範囲を限定するとして決して解釈されるべきではない。
【実施例】
【0130】
実施例
分析方法−種々の分析方法を、以下に記載のように、本結晶形態およびこれらの前駆体に適用して、これらの生理化学特性を特性決定した。
【0131】
顕微鏡検査:
偏光可視光源および偏光分析器によって構成されたZeiss Universal顕微鏡を用いて、サンプルの光学的特性を評価した。典型的には、試料を1滴の液浸油およびカバーガラスと共に顕微鏡スライドに設置した。倍率は典型的には100Xであった。粒子/結晶のサイズおよび形状の観察を記録した。複屈折の存在も記述した。
【0132】
分子分光法−H−NMR:
サンプルを、0.05%(v/v)テトラメチルシラン(TMS)を含む1〜10mgのジメチルスルホキシド(DMSO)−dに溶解させることによって調製した。スペクトルをBruker Avance III 400MHzのFT−NMR分光計およびBruker Topspinソフトウエア(バージョン2.1)において周囲温度で収集した。各サンプル分析の前に、サンプルの周囲の磁界を自動化された磁場均一度調整プログラムによって最適化した。
【0133】
示差スキャン熱量測定(DSC):
DSCデータをTA Instruments DSCにおいて収集した。概して、1〜10mgの質量範囲のサンプルをアルミニウムサンプルパンにおいてクリンプし、50mL/分の窒素パージを用いて10℃/分で25℃から約250℃または300℃までスキャンした。
【0134】
熱重量分析(TGA):
TGAデータをTA Instruments 2950 TGAにおいて収集した。概して、2〜10mgの質量範囲のサンプルを、予め風袋計量した白金製のオープンサンプルパンに配置し、100mL/分の窒素パージを用いて10℃/分で25から約150℃までスキャンした。
【0135】
ホットステージ顕微鏡検査(HSM):
偏光可視光源およびLinkamホットステージ付属品によって構成されたZeiss Universal顕微鏡を用いた。試料をカバーガラスと共に顕微鏡スライドに設置した。倍率は、典型的には6.3Xであった。サンプルを10または2℃/分で25℃から約250℃まで加熱した。Linksys32温度制御・データ保存ソフトウエアシステム(Linkam Scientific Instruments Ltd、Waterfield、Tadworth、Surrey KT20 5LR、UK)。相変化、再結晶化、気泡の発生などの観察を記録した。
【0136】
ラマン分光法:
ラマンスペクトルを780nmにおけるレーザー励起を用いてThermo DXR分散ラマン分光計によって得た。スペクトルを400ライン/mmの広範囲の分散回折格子を用いて3300から300cm−1(ラマンシフト)まで、および830ライン/mmの高分解の分散回折格子を用いて1850から300cm−1(ラマンシフト)まで取得した。各スキャンは5秒であり、64のスキャンを各分析について収集した。サンプルを、バルク粉末として96−ウエルプレートの実験から分析した。
【0137】
X線粉末回折(XRD):
X線粉末回折パターンを、XYZステージ、位置決めのためのレーザービデオ顕微鏡、および二次元HiStarエリア検出器を備えたBruker D8 Discovery回折計を用いて得た。収集時間は名目上60秒であった。40kVおよび40mAにおいて作動する1.5406ÅのCuKα放射線源を用いてサンプルを照射した。X線光学は、0.5mmのピンホールコリメータと一体化されたGobel鏡からなる。θ−θ連続スキャンを、4〜40℃の有効2θ範囲を与える約15cmのサンプル−検出器距離で使用した。サンプルを低バックグラウンドの水晶板に設置した。
【0138】
溶解度:
ミリグラムサイズの量の各サンプルをバイアル内に投入した。水を添加しバイアルを数分間撹拌した後、残りの固体について目視観察した。溶媒を固体が溶解するまで付加的に添加するか、または最大体積の溶媒を添加して実験を終了させた。試験した全ての塩がかなり水溶性であったことが分かった。
【0139】
吸湿性−動的蒸気収着(DVS):
サンプルを自動化動的蒸気収着分析器を用いて分析した。サンプル(約1〜10mg)を機器において0%RHで6時間乾燥した。サンプルを0から95%RHに供し、25℃において5%RHのステップで5%RHに戻した。
【0140】
安定度:
塩および遊離塩基のスケールアップを加熱(25および60℃において1週間貯蔵した固体)、酸化(酸素ヘッドスペース中25℃で1週間貯蔵した固体)、光(≧1×ICHのUV確認条件にて暴露した固体)、および溶液(HPLC希釈剤)(25および40℃において1週間)によって試みた。これらのサンプルを、応力をかけていない対照と共にHPLCによって分析して、安定度を特性決定した。
【0141】
HPLC分析:
本発明の結晶形態(すなわち、塩および遊離塩基)を総面積規格化(TAN)によって分析した。サンプルを0.5mg/mLの濃度で1:1のアセトニトリル(ACN):水(HO)に溶解した。
【0142】
HPLC条件:
HPLCカラム:XBridge Shield RP18、3.5um、4.6×100mm
カラム温度:30℃
オートサンプラフラッシュ:水:CAN(1:1)
流量:1mL/分
注入体積:15mL
UV検出:205nm w/スペクトル取得
移動相:A−HO(pH10)(NHOHを含む)
B−ACN
勾配ポンププログラム
【0143】
【化2】

実施例1.2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドの非晶質二塩酸塩の特性決定:
2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドの遊離塩基化合物は、当業者に公知である合成方法によってイソロイシンから調製することができる。標準的な手順ならびに化学変換および関連する方法は、当業者に周知であり、かかる方法および手順は、例えば、標準的な参考文献、例えば、Fiesers’ Reagents for Organic Synthesis、John Wiley and Sons、New York、NY、2002;Organic Reactions、vols.1−83、John WileyおよびSons、New York、NY、2006;March J. and Smith M.、Advanced Organic Chemistry、6th ed.、John Wiley and Sons、New York、NY;ならびにLarock R.C.、Comprehensive Organic Transformations、Wiley−VCH Publishers、New York、1999に記載されている。本明細書において列挙されている全てのテキストおよび参照文献は、これらの全体が参照により組み込まれる。他の関連する合成方法は、米国特許出願公開第2006/024072号および同第2007/0060526号において見出され得、これらの内容は、全ての目的で全体が参照により本明細書に組み込まれる。2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドの非晶質二塩酸塩(2HCl)塩は、2モル当量のHClを1モル当量の2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドと適切な溶媒中で混合し、次いで、2HCl塩を溶媒混合物から分離することによって調製することができる。
【0144】
2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドの非晶質2HCl塩を上記の方法によって分析した。XRD分析は、該塩が図1に示すように非晶質/低配向であったことを示した。DSCサーモグラムは、開始温度37℃およびピーク温度74℃における幅広の吸熱ならびにΔH=80J/gのエンタルピー値を示した。TGAサーモグラムは、2HCl塩が無水であり、約200℃の後に分解することを示した。DSCおよびTGAサーモグラムのオーバーレイを図2に示す。2HCl塩の水分収着−脱着等温線(図3Aおよび3B)を動的蒸気収着(DVS)分析を用いて収集した。該材料は、0%〜20%RHで水分をあまり吸着せず、ひいては、(潮解液のように)95%RHにて最大で140重量%の水分の安定した収着を示した。このサンプルは、95%から70%RHまで迅速な脱着を示し、ひいては、0%RHにおける元の値よりも多量の約5重量%を超えるまで比較的遅いペースにて脱着を継続した。このサンプルは、収着および脱着相の間の小さなヒステリシスを示す。全体としてこの材料は、かなり吸湿性であった。2HCl塩の水への粗溶解度は>30mg/mLであった。非晶質2HCl塩のプロトンNMRスペクトルを図4に示す。
【0145】
実施例2.2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド(遊離塩基)の調製:
5gの2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド2HCl塩を150mLのエタノールに溶解した。100mLのHPLC水に溶解した重炭酸ナトリウム(5.3g)をこの溶液に添加した。混合溶液を約10分間超音波処理した。この溶液をロータリーエバポレータを用いて濃縮し、残渣を300mLの塩化メチレンに溶解した。この溶液をカーボネート結合シリカゲルの短い栓に通過させた。この溶液をロータリーエバポレータを用いて濃縮し、残渣を凍結乾燥により乾燥し、3.6gの遊離塩基を白色固体として得た。プロトンNMR、C−13NMRおよびLC/MSにより、2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドの遊離塩基としてこの材料の構造を確認した。
【0146】
2HCl塩を遊離塩基に転換するプロセスにおいて、サンプルを凍結乾燥して油分の形成を回避した。凍結乾燥した遊離塩基のXRD分析は、該塩基が図5に示すように結晶性であることを驚くべきことに明らかにした。DSCサーモグラムは、外挿された開始温度51℃およびピーク温度53℃ならびにΔHf=104J/gのエンタルピー値により吸熱を示した。TGAサーモグラムは、105℃において0.6重量%未満の損失を示し、これは、溶媒を含有しないことを示唆した。DSCおよびTGAサーモグラムのオーバーレイを図6に見ることができる。遊離塩基の水への粗溶解度は>30mg/mLであった。プロトンNMRは、遊離塩基と一致した。NMRおよびラマンスペクトルを図7ならびにAおよび8Bにそれぞれ示す。水分収着−脱着等温線(図9Aおよび9B)を動的蒸気収着(DVS)分析を用いて収集した。サンプルは、実験条件下に0%から45%RHまでと、あまり水分含量を吸着しなかった。45%RHを超えると、サンプルは、45%から50%RHまで約10重量%の水分の吸着を示し、続いて95%RHにおいて最大で96重量%の水分の迅速な収着を示した。脱着相において、遊離塩基は、95%から80%RHまでの迅速な脱着を示し、次いで、サンプルは、0%RHにおける元の重量まで比較的遅いペースで脱着すると見られる。サンプルは、およそ45%RHの水和物を形成することができる。推定上の水和物は、潮解して、スキャンの最後に非晶質ガラスを生じたと見られる。
【0147】
実施例3.2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド一硫酸塩の調製:
実施例2において調製した遊離塩基をエタノールに溶解し、この溶液の一部を移して、2mg当量の遊離塩基を生成した。硫酸をTHFまたはメタノールに溶解した。等モル部の遊離塩基および酸溶液を混合し、得られた混合物溶液を窒素パージ下に周囲温度で乾燥させ、所望の一硫酸塩を乾燥固体として得た。生成物を2−プロパノール中でスラリー化して、結晶化度を増加させた。
【0148】
XRDは、固体が結晶性であることを示し(図10)、遊離塩基とは異なるパターンを示した。DSC(図11)は、ピーク温度76℃で小さな幅広の吸熱を示し、次いでピーク温度176℃で幅広の発熱を示す。ホットステージ顕微鏡検査データは、165℃付近で分解することを示唆する。このサンプルのラマンスペクトルを図12Aおよび12Bに示す。
【0149】
実施例4.2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド二硫酸塩の調製:
実施例2において調製した遊離塩基をメタノールに溶解し、この溶液の一部を移して、25mg当量の遊離塩基を得た。硫酸を水、メタノール、またはアセトニトリルに溶解または懸濁した。遊離塩基および硫酸溶液/懸濁液(遊離塩基および硫酸の1:2モル比を付与する)を混合した。得られた混合物溶液/懸濁液を周囲温度にて2−プロパノール中でスラリー化し、透明な溶液を得た。透明な溶液を窒素下に約1.5psiで蒸発させて懸濁液を付与し、これを続いて濾過して二硫酸塩を固体として得た。
【0150】
XRDは、二硫酸塩材料が図13に示すように結晶性であり、遊離塩基と異なることを示した。DSC(図14)は、外挿された210℃の開始温度、228℃のピーク温度によって幅広の吸熱を示し、これは、分解に伴われると見られる。TGA(図15)は、105℃で0.7重量%未満の二硫酸塩材料を示し、これは、単離されたサンプルが乾燥したことを示した。ホットステージ顕微鏡検査データは、材料が220℃付近において完全に溶解し、その後、直ちに脱色し、気泡が発生したことが明らかになり、これにより、材料が溶融時に分解することが確認された。水分収着−脱着等温線(図16Aおよび16B)を動的蒸気収着(DVS)分析を用いて収集した。二硫酸塩は、実験条件下に0%から60%RHまであまり水を吸着せず、ひいては、95%RHにおいて最大で140重量%の水の迅速な収着を示した。脱着相において、二硫酸塩材料は、95%から80%RHまでの迅速な脱着を示し、次いで、サンプルは、0%RHにおける元の重量に対して多量の約5重量%を超えるまで比較的遅いペースで脱着した。このサンプルの挙動は、全ての他のサンプルと同様であった。高湿度において見かけの潮解、その後、蒸発の際にガラス形成。水和物はまた、60%RH付近でも形成し得る。潮解の前に種々の湿度におけるいくつかの追加のスキャンを停止することで、推定上の水和物の挙動に対するあるさらなる見識を生じさせ得る。このサンプルのプロトンNMRおよびラマンスペクトルを図17ならびに18Aおよび18Bにそれぞれ付与する。二硫酸塩は、周囲温度において水への溶解度が高い(>3M/mL)ことが見出された。
【0151】
実施例5.2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジグルコン酸塩の調製:
硫酸をグルコン酸に置き換え、遊離塩基対グルコン酸のモル比が1:2であったことを除いて実施例3における記載と同じ手順を用いることによってジグルコン酸塩を調製した。
【0152】
代替的には、実施例2において調製した遊離塩基をメタノールに溶解し、この溶液の一部を移して、2mg当量の遊離塩基を生成した。グルコン酸をEtOH/ヘプタンまたはTHF/ヘプタンに溶解または懸濁した。遊離塩基およびグルコン酸溶液/懸濁液(遊離塩基およびグルコン酸の1:2のモル比を付与する)を混合し、得られた混合物溶液を窒素パージ下に周囲温度で乾燥させ、所望のジグルコン酸塩を乾燥粉末固体として得た。
【0153】
XRDは、材料が結晶性であることを示し、図19に示すように遊離塩基とは異なるパターンを示す。DSC(図20)は、外挿された50℃の開始による小さいが鋭い吸熱、その後、外挿された180℃の開始による鋭い溶融吸熱を示し、続いて分解した。TGA(図21)は、約105℃において0.5重量%未満の損失を示し、これは、塩試料が比較的乾燥していたことを示唆した。ホットステージ顕微鏡検査データは、約50℃で起こり得る相変態を示唆する。材料は、約178℃で溶解することが観察された。さらなる研究により、50℃の吸熱が固体変換であることが確認され、残存する遊離塩基の単なる溶融ではないことが考えられるはずである。水分収着−脱着等温線(図22Aおよび22B)を動的蒸気収着(DVS)分析を用いて収集した。ジグルコン酸塩は、実験条件下に0%から45%RHと、水分をあまり吸着せず、ひいては、95%RHにて最大で110重量%の水分の迅速な収着挙動を示した。脱着相において、ジグルコン酸塩は、2つの区別可能な相:95%から65%RHまでの迅速な吸着を示し、ひいては、サンプルは、0%RHにおける元の値よりも多量の約4重量%を超えるまで比較的遅いペースで脱着した。この材料は、潮解し、次いで蒸発して、脱着セグメントの際にガラス状の物質となったと見られる。ジグルコン酸塩サンプルのプロトンNMRおよびラマンスペクトルを図23ならびに24Aおよび24Bにそれぞれ示す。ジグルコン酸塩は、かかる研究の間に調査された全ての試料と同様に水への溶解度が高い(>3M/mL)ことが見出された。
【0154】
実施例6.2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジメシル酸塩の調製:
硫酸をメタンスルホン酸に置き換え、遊離塩基対メタンスルホン酸のモル比が1:2であったことを除いて実施例3における記載と同じ手順を用いることによってジメシル酸塩を調製した。
【0155】
代替的には、実施例2において調製した遊離塩基をメタノールに溶解し、この溶液の一部を移して、2mg当量の遊離塩基を得た。メタンスルホン酸をEtOH/ヘプタンまたはTHF/ヘプタンに溶解または懸濁した。遊離塩基およびメタンスルホン酸溶液/懸濁液(遊離塩基およびメタンスルホン酸の1:2のモル比を付与する)を混合し、得られた混合物溶液を窒素パージ下に周囲温度で乾燥させ、所望のジメシル酸塩を乾燥粉末固体として得た。
【0156】
XRDは、材料が精密な結晶であることを示し、図25に示すように遊離塩基とは異なるパターンを示す。DSC(図26A)は、外挿された180℃の開始による鋭い溶融吸熱を示し、続いて約250℃で分解した。TGA(図26B)は、約105℃において0.5重量%未満の損失を示し、これは、塩試料が比較的乾燥していたことを示唆した。ホットステージ顕微鏡検査データは、約178℃で溶解することが観察されたことを示唆する。水分収着−脱着等温線(図27Aおよび27B)を、動的蒸気収着分析を用いて収集した。ジメシル酸塩は、実験条件下に0%から55%RHと、水分をあまり吸着せず、ひいては、95%RHにて最大で110重量%の水分の迅速な収着挙動を示した。脱着相において、ジメシル酸塩は、2つの区別可能な相:95%から65%RHまでの迅速な吸着を示し、ひいてはサンプルは、0%RHにおける元の値よりも多量の約3重量%を超えるまで比較的遅いペースで脱着した。ジメシル酸塩のサンプルプロトンNMRおよびラマンスペクトルを図28および29にそれぞれ示す。ジメシル酸塩は、水への溶解度が高い(≧28mg/mL)ことが見出された。
【0157】
実施例7.2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジトシル酸塩の調製:
硫酸をp−トルエンスルホン酸に置き換え、遊離塩基対p−トルエンスルホン酸のモル比が1:2であることを除いて実施例3における記載と同じ手順を用いることによってジトシル酸塩を調製した。
【0158】
代替的には、実施例2において調製した遊離塩基をメタノールに溶解し、この溶液の一部を移して、2mg当量の遊離塩基を得た。メタンスルホン酸をEtOH/ヘプタンまたはTHF/ヘプタンに溶解または懸濁した。遊離塩基およびp−トルエンスルホン酸溶液/懸濁液(遊離塩基およびp−トルエンスルホン酸の1:2のモル比を付与する)を混合し、得られた混合物溶液を窒素パージ下に周囲温度で乾燥させ、所望のジトシル酸塩を乾燥粉末固体として得た。
【0159】
XRDは、材料が精密な結晶であることを示し、図30に示すように遊離塩基とは異なるパターンを示す。DSC(図31A)は、安定なベースラインによって、外挿された191℃の開始による鋭い溶融吸熱を示す。TGA(図31B)は、約105℃において0.2重量%未満の損失を示し、これは、塩試料が比較的乾燥していたことを示唆した。ホットステージ顕微鏡検査データは、材料が約189℃で溶融したことを明らかにした。水分収着−脱着等温線(図32Aおよび32B)を、動的蒸気収着(DVS)分析を用いて収集し、実験条件下に0%から80%RHまでと、あまり水分を吸着せず、続いて90%RHにおいて最大で30重量%の水分の迅速な収着挙動を示した。脱着相において、この塩は、最初に水を迅速に損失し、次いで70から20%RHの範囲にわたって遅くなった。このサンプルは、高湿度で水和物を形成することができる。さらなる研究がなされてこの塩形態を調査するべきである。ジトシル酸塩サンプルのプロトンNMRおよびラマンスペクトルを図33および34にそれぞれ示す。ジトシル酸塩は、遊離塩基と比較して、水への溶解度が低い(0.5〜0.7mg/mL)ことが見出された。
【0160】
実施例8.2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジナプシル酸塩の調製:
硫酸を2−ナフタレンスルホン酸に置き換え、遊離塩基対2−ナフタレンスルホン酸のモル比が1:2であったことを除いて実施例3における記載と同じ手順を用いることによってジナプシル酸塩を調製した。
【0161】
代替的には、実施例2において調製した遊離塩基をメタノールに溶解し、この溶液の一部を移して、2mg当量の遊離塩基を得た。2−ナフタレンスルホン酸をEtOH/ヘプタンまたはTHF/ヘプタンに溶解または懸濁した。遊離塩基および2−ナフタレンスルホン酸溶液/懸濁液(遊離塩基および2−ナフタレンスルホン酸の1:2のモル比を付与する)を混合し、得られた混合物溶液を窒素パージ下に周囲温度で乾燥させ、所望のジナプシル酸塩を乾燥粉末固体として得た。
【0162】
XRDは、材料が精密な結晶であることを示し、図35に示すように遊離塩基とは異なるパターンを示す。DSC(図36A)は、外挿された180℃の開始による鋭い吸熱を示し、続いて約225℃で分解した。約105℃において0.5重量%未満の損失を示し、これは、塩試料が比較的乾燥していたことを示唆した。DVS等温線を図37Aおよび37Bに示す。この塩形態は、高湿度で約3〜4重量%のみの水を取り出した。サンプルは、迅速な取込が始まる約80%RHまで表面の水を吸着した。サンプルは、最大湿度において平衡に達しなかった。ヒステリシスが実験の収着セグメントと脱着セグメントとの間に観察された。このサンプルは、潮解しなかったと見られたが、高い水活性レベルで安定な水和物を形成することができる。この塩形態の水和プロファイルを理解するにはさらなる作業がなされる必要がある。プロトンNMRスペクトル(図38)により、材料がジナプシル酸塩であったことが確認された。ジナプシル酸塩サンプルのラマンスペクトルを図39に示す。ジナプシル酸塩は、遊離塩基と比較して水への溶解度が低い(0.2〜0.4mg/mL)ことが見出された。
【0163】
実施例9.2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド一エジシル酸塩の調製の調製:
硫酸を1,2−エタンジスルホン酸に置き換え、遊離塩基対1,2−エタンジスルホン酸のモル比が1:1であったことを除いて実施例3における記載と同じ手順を用いることによって一エジシル酸塩を調製した。
【0164】
代替的には、実施例2において調製した遊離塩基をメタノールに溶解し、この溶液の一部を移して、2mg当量の遊離塩基を得た。1,2−エタンジスルホン酸をEtOH/ヘプタンまたはTHF/ヘプタンに溶解または懸濁した。遊離塩基および1,2−エタンジスルホン酸溶液/懸濁液(遊離塩基および1,2−エタンジスルホン酸の1:1のモル比を付与する)を混合し、得られた混合物溶液を窒素パージ下に周囲温度で乾燥させ、望ましい一エジシル酸塩を乾燥粉末固体として得た。
【0165】
XRDは、材料が精密な結晶であることを示し、図40に示すように遊離塩基とは異なるパターンを示す。DSC(図41A)は、溶融しながら分解する、外挿された317℃の開始による溶融吸熱を示す。TGA(図41B)は、約105℃において0.5重量%未満の損失を示し、これは、塩試料が比較的乾燥していたことを示唆した。ホットステージ顕微鏡検査データは、材料が約315℃で溶融および分解したことを示唆した。水分収着−脱着等温線(図42Aおよび42B)を動的蒸気収着分析を用いて収集した。一エジシル酸塩は、実験条件下に最大で80%RHまでと、あまり多くの水の取込を示さず、ひいては、90%RHにおいて最大で85重量%の水分の迅速な収着挙動を示した。脱着相において、一エジシル酸塩は、約70%のRHが素早く乾燥し、このとき、続いて収着曲線が0%RHまで戻った。この等温線は、材料が高湿度で水和物を形成しかつ潮解することができることを示す。水和物は、材料が脱着セグメントにおいて70%RHが容易に乾燥するという観察を考慮すると、高湿度でのみ安定であり得る。プロトンNMRスペクトル(図43)により、材料が一エジシル酸塩であったということが確認された。一エジシル酸塩サンプルのラマンスペクトルを図44に示す。一エジシル酸塩は、水への溶解度が中程度である(≦14mg/mL)ことが見出された。
【0166】
実施例10.2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド一シュウ酸塩の調製:
硫酸をグルコン酸に置き換え、遊離塩基対シュウ酸のモル比が1:2であったことを除いて実施例3における記載と同じ手順を用いることによって一シュウ酸塩を調製した。
【0167】
代替的には、実施例2において調製した遊離塩基をメタノールに溶解し、この溶液の一部を移して、2mg当量の遊離塩基を得た。シュウ酸をEtOH/ヘプタンまたはTHF/ヘプタンに溶解または懸濁した。遊離塩基およびグルコン酸溶液/懸濁液(遊離塩基およびグルコン酸の1:2のモル比を付与する)を混合し、得られた混合物溶液を窒素パージ下に周囲温度で乾燥させ、望ましい一シュウ酸塩を乾燥粉末固体として得た。
【0168】
XRDは、材料が結晶性であることを示し、図45に示すように遊離塩基とは異なるパターンを示す。DSC(図46A)は、207℃の開始による小さいが鋭い吸熱、続いて、外挿された233℃の開始による鋭い溶融吸熱を示す。TGA(図46B)は、約105℃において0.5重量%未満の損失を示し、これは、塩試料が乾燥していたことを示唆した。水分収着−脱着等温線(図47Aおよび47B)を動的蒸気収着分析を用いて収集した。一シュウ酸塩サンプルは、スキャンの大部分にわたってあまり水を吸着しなかった。サンプルは、50%RHを超えてより迅速に水を取り込み始めるが、95%RHでは、サンプルは、1.5重量%の水しか取り込まなかった。脱着相において、塩はヒステリシスを殆ど示さず、脱着曲線が収着曲線に非常に類似する。全体として、収着特性は、この塩形態が水をあまり取り込まなかったことを示す。一シュウ酸塩サンプルのプロトンNMRおよびラマンスペクトルを図48および49にそれぞれ示す。
【0169】
実施例11.2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド(遊離塩基)の大規模な調製:
5LのフラスコにLM11A31の2HCl塩(148g、0.468mol)およびDCM(3L、20vol)を投入した。水酸化ナトリウム(35.6g、0.889mol、1.9当量)の脱イオン水(148mL、1vol)溶液を不均一な混合物にゆっくりと添加し、透明な溶液を最終的に形成した。混合物を分離漏斗に移し、下側の有機層を取り出した。上側の水層をDCM(3×100mL)で抽出し、有機層を合わせて硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶液を油状に濃縮し、放置の際に、ろう状の白色固体に結晶化した。固体を高真空下に乾燥し、105g(95%の収率)の2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド遊離塩基を得た。H NMR、LC−MSにより同一性を確認し、XRDパターンがサンプルパターンに一致した。
【0170】
実施例12.2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド二硫酸塩の大規模な調製:
氷水浴中で冷却した無水エタノール(250mL、10vol)に溶解した2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド遊離塩基(25g、0.103mol)の溶液に、濃硫酸(4mL、75mmol)を滴加によりゆっくりと添加した。直ちに沈澱が生じ、撹拌を停止させた。氷水浴を除去し、撹拌を再び開始するにはエタノール(200mL)およびイソプロパノール(225mL)の添加が必要であった。必要とされる残りの硫酸(7mL、131mmol)をエタノール:イソプロパノール溶液(2:1、75mL)にゆっくりと添加した。発熱(20.8℃〜24.0℃)を観察した。白色スラリーを窒素陽圧下に一晩中撹拌させた。次いで混合物をイソプロパノール(150mL)で洗浄しながら濾過し、高真空下に乾燥して(35℃〜40℃)、33.6g(75%の収率)の2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド二硫酸塩を白色固体として得た。H NMR、LC−MSにより同一性を確認し、XRDパターンが小規模のスクリーンサンプルのパターンに一致した。
【0171】
実施例13.2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジトシル酸塩の大規模な調製:
無水テトラヒドロフラン(300mL、20vol)に溶解した2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド遊離塩基(15g、0.062mol)の溶液にトルエンスルホン酸一水和物(23.4g、0.123mol、2当量)を一部ずつ添加した。最初の透明の混合物は混濁し、穏やかな発熱をもたらした。約15分後、結晶が溶液から沈澱し始め、混合物を1.5時間撹拌し続けた。固体を真空濾過によって収集し、湿ったケークを40℃の真空オーブンにおいて乾燥し、32.5g(90%の収率)の2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジトシル酸塩を白色固体として得た。H NMRにより同一性を確認し、XRDパターンが小規模のスクリーンサンプルのパターンに一致した。
【0172】
実施例14.2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジナプシル酸塩の大規模な調製:
無水テトラヒドロフラン(300mL、20vol)に溶解した2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド遊離塩基(15g、0.062mol)の溶液に2−ナフタレンスルホン酸水和物(25.7g、0.123mol、2当量)を一部ずつ添加した。固体は最初の混濁混合物から迅速に沈澱した。混合物を周囲温度で約30分撹拌し、次いで固体を真空濾過によって収集した。湿ったケークを40℃の真空オーブンにおいて乾燥し、33.9g(83%の収率)の2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジナプシル酸塩を白色固体として得た。H NMRにより同一性を確認し、XRDパターンが小規模のスクリーンサンプルのパターンに一致した。
【0173】
実施例15.2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド一エジシル酸塩の大規模な調製:
メタノール(400mL、20vol)に溶解した2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド遊離塩基(20g、0.082mol)の溶液に1,2−エタンジスルホン酸二水和物(18.6g、0.082mol、1当量)を一部ずつ添加した。均一な混合物は素早く混濁し、約5分後、固体が沈澱した。振鐙が困難になり、さらに200mLのメタノールを添加して撹拌を容易にした。混合物を周囲温度で約30分間撹拌し、次いで固体を真空濾過によって収集した。湿ったケークを40℃の真空オーブンにおいて乾燥し、33.4g(93%の収率)の2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドエジシル酸塩を白色固体として得た。H NMRにより同一性を確認し、XRDパターンは小規模のサンプルのパターンに一致した。
【0174】
実施例16.代表的な塩の安定度の研究:
4種の代表的な塩、すなわち、一エジシル酸塩、ジトシル酸塩、ジナプシル酸塩および二硫酸塩を30グラム程度のスケールで調製することを、加熱(25および60℃において1週間貯蔵した固体)、酸化(酸素ヘッドスペース中25℃で1週間貯蔵した固体)、光(ICH確認条件:>200Whr/m;下にUV源)、および溶液(HPLC希釈剤)(25および40℃において1週間)によって試みた。応力をかけたサンプルをHPLCを用いて分析し、不純物プロファイルを決定した。
【0175】
表10
代表的な塩におけるHPLC安定度データの概要
【0176】
【表10】

*水およびアセトニトリルの溶液(1:1).
**N/a=該当データなし。
【0177】
表10に示す安定度の結果は、種のサンプル調製物の2回の注射の平均を表す。HPLC安定度データは、用いた条件によって殆どまたは全く分解しなかったことを示した。
【0178】
HPLC安定度研究において殆どまたは全く分解しなかったことを確認するために、4種の塩および遊離塩基のいくつかのサンプル(60℃で固体を貯蔵し、酸化)をプロトンNMR(すなわち、HNMR)によってさらに分析した。分析は定量的であった。
【0179】
図50〜54は、研究の安定度の部分の間に分析したサンプルについてのプロトンNMRオーバーレイスペクトルを示した。NMRの安定度データは、塩が応力下に殆どまたは全く分解しなかったことを示した。NMRの安定度データはまた、塩が遊離塩基よりも僅かに安定であることも示した。具体的には、熱応力後の遊離塩基の僅かな分解をNMRスペクトルにおいて見ることができる。
【0180】
実施例17.代表的な塩の薬理動態研究:
この研究の目的は、経口強制飼養によって服用させたとき、ラット血漿および脳におけるLM11A−31の異なる塩形態の暴露に関する予備的な薬理動態情報を提供することであった。9匹の雌性ラットからなる群に、経口強制飼養による25mg/kgの遊離塩基の単回投与を行った。血漿サンプルを、投与後の時点(0.5、1、2、3、4、および8時間)につき3匹のラットから得、脳サンプルを、1−、3−、および8時間終了時(時点につき3匹のラット)に収集した。
【0181】
サンプルをLC−MS/MSによって分析し、試験対象の血漿および脳内濃度を測定した。血漿濃度データの薬物動態分析を、WinNonlinバージョン4.1によるノンコンパートメント分析を用いて行った。血漿の薬物動態パラメータを以下の表11および表12にまとめた:
表11
【0182】
【表1】

表12
【0183】
【表12】

概して、遊離塩基およびジナプシル酸塩よりも高い暴露(AUCおよびC最大)をもたらした二硫酸塩は、遊離塩基よりも長い最終血漿半減期およびより高い脳内−血漿比を有する。全体として二硫酸塩およびジナプシル酸塩は、遊離塩基よりも良好なPK特性を実証する。
【0184】
本明細書に列挙した特許および公開公報は当該分野における一般的な技能を記載しており、これらは、全ての目的で、それぞれがあたかも参照により具体的および個々に組み込まれることを示すのと同じ程度まで全体が参照により本明細書に組み込まれる。列挙した参照文献と本明細書との間で何らかの矛盾が生ずる場合には、本明細書が支配すべきである。本出願の実施形態を記載するにあたり、具体的な術語は、明確化のために使用される。しかし、本発明は、こうして選択される具体的な術語に限定されることは意図されない。本明細書においていずれもが本発明の範囲を限定するとみなされるべきではない。提示した全ての実施例は代表的なものであり非限定的である。上記の実施形態は、上記の教示に照らして当業者によって認識されるように、本発明から逸脱することなく修飾されても変更されてもよい。したがって、本発明は、特許請求の範囲およびこれらの等価物の範囲内で、具体的に記載されているもの以外で実施されてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物またはその塩および/もしくは溶媒和物の結晶形態であって、化合物が2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドである結晶形態。
【請求項2】
前記化合物が:(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド;(2R,3R)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド;(2R,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド;(2S,3R)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド;およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の結晶形態。
【請求項3】
2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドの結晶形態である、請求項1に記載の結晶形態。
【請求項4】
約8.716±0.3;15.438±0.3;および19.198±0.3度の2θにピークを含むX線粉末回折パターンを示す、請求項3に記載の結晶形態。
【請求項5】
前記X線粉末回折パターンが、約20.912±0.3および20.599±0.3度の2θのピークをさらに含む、請求項4に記載の結晶形態。
【請求項6】
約2964±10;2873±10;および1451±10cm−1にピークを含むラマンスペクトルを示す、請求項3、4または5に記載の結晶形態。
【請求項7】
前記ラマンスペクトルが、約1310±10および805±10cm−1にピークをさらに含む、請求項6に記載の結晶形態。
【請求項8】
約53.09±2.0に単一の最大値を有する示差スキャン熱量測定(DSC)サーモグラムを示す、請求項3〜7のいずれか一項に記載の結晶形態。
【請求項9】
2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドの塩および/または溶媒和物の結晶形態である、請求項1に記載の結晶形態。
【請求項10】
前記塩が硫酸付加塩である、請求項1に記載の結晶形態。
【請求項11】
結晶形態の2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド一硫酸塩の結晶形態である、請求項10に記載の結晶形態。
【請求項12】
約25.306±0.3および27.027±0.3度の2θにピークを含むX線粉末回折パターンを示す、請求項11に記載の結晶形態。
【請求項13】
前記X線粉末回折パターンが、約17.449±0.3度の2θにピークをさらに含む、請求項12に記載の結晶形態。
【請求項14】
約2964±10;2880±10;および972±10cm−1にピークを含むラマンスペクトルを示す、請求項11、12または13に記載の結晶形態。
【請求項15】
前記ラマンスペクトルが、約1448±10および1310±10cm−1にピークをさらに含む、請求項14に記載の結晶形態。
【請求項16】
約176.49±2.0に単一の最大値を有する示差スキャン熱量測定(DSC)サーモグラムを示す、請求項11〜15のいずれか一項に記載の結晶形態。
【請求項17】
2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド二硫酸塩の結晶形態である、請求項10に記載の結晶形態。
【請求項18】
約21.784±0.3;22.468±0.3;および19.277±0.3度の2θにピークを含むX線粉末回折パターンを示す、請求項17に記載の結晶形態。
【請求項19】
前記X線粉末回折パターンが、約24.618±0.3および15.499±0.3度の2θにピークをさらに含む、請求項18に記載の結晶形態。
【請求項20】
約2980±10;2943±10;2889±10;および1033±10cm−1にピークを含むラマンスペクトルを示す、請求項17、18または19に記載の結晶形態。
【請求項21】
前記ラマンスペクトルが、約975±10および851±10cm−1にピークをさらに含む、請求項20に記載の結晶形態。
【請求項22】
約228.03±2.0に単一の最大値を有する示差スキャン熱量測定(DSC)サーモグラムを示す、請求項17〜21のいずれか一項に記載の結晶形態。
【請求項23】
前記塩が、スルホン酸付加塩である、請求項1に記載の結晶形態。
【請求項24】
2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジメシル酸塩の結晶形態である、請求項23に記載の結晶形態。
【請求項25】
約8.499±0.3、21.162±0.3、および22.292±0.3度の2θにピークを含むX線粉末回折パターンを示す、請求項24に記載の結晶形態。
【請求項26】
前記X線粉末回折パターンが、約9.421±0.3、16.543±0.3、および18.912±0.3度の2θにピークをさらに含む、請求項25に記載の結晶形態。
【請求項27】
約2935±10;1040±10;および778±10cm−1にピークを含むラマンスペクトルを示す、請求項24、25または26に記載の結晶形態。
【請求項28】
前記ラマンスペクトルが、約1444±10および557±10cm−1にピークを含む、請求項27に記載の結晶形態。
【請求項29】
約180.77±2.0に単一の最大値を有する示差スキャン熱量測定(DSC)サーモグラムを示す、請求項24〜28のいずれか一項に記載の結晶形態。
【請求項30】
2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジトシル酸塩の結晶形態である、請求項23に記載の結晶形態。
【請求項31】
約6.021±0.3および18.078±0.3度の2θにピークを含むX線粉末回折パターンを示す、請求項30に記載の結晶形態。
【請求項32】
前記X線粉末回折パターンが、約17.557±0.3、20.475±0.3、および11.029±0.3度の2θにピークを含む、請求項31に記載の結晶形態。
【請求項33】
約2980±10;1123±10;および800±10cm−1にピークを含むラマンスペクトルを示す、請求項30、31または32に記載の結晶形態。
【請求項34】
前記ラマンスペクトルが、約2922±10、1599±10、および637±10cm−1にピークを含む、請求項33に記載の結晶形態。
【請求項35】
約191.85±2.0に単一の最大値を有する示差スキャン熱量測定(DSC)サーモグラムを示す、請求項30〜34のいずれか一項に記載の結晶形態。
【請求項36】
2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジナプシル酸塩の結晶形態である、請求項23に記載の結晶形態。
【請求項37】
約5.943±0.3、15.872±0.3、および18.515±0.3度の2θにピークを含むX線粉末回折パターンを示す、請求項36に記載の結晶形態。
【請求項38】
前記X線粉末回折パターンが、約22.046±0.3度の2θにピークをさらに含む、請求項37に記載の結晶形態。
【請求項39】
約3053±10;1380±10;および766±10cm−1にピークを含むラマンスペクトルを示す、請求項36、37または38に記載の結晶形態。
【請求項40】
前記ラマンスペクトルが、約2974±10および514±10cm−1にピークをさらに含む、請求項39に記載の結晶形態。
【請求項41】
約185.56±2.0に単一の最大値を有する示差スキャン熱量測定(DSC)サーモグラムを示す、請求項36〜40のいずれか一項に記載の結晶形態。
【請求項42】
2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド一エジシル酸塩の結晶形態である、請求項23に記載の結晶形態。
【請求項43】
約7.447±0.3および20.406±0.3度の2θにピークを含むX線粉末回折パターンを示す、請求項42に記載の結晶形態。
【請求項44】
前記X線粉末回折パターンが、約23.443±0.3および22.244±0.3度の2θにピークをさらに含む、請求項43に記載の結晶形態。
【請求項45】
約2954±10;1058±10;および825±10cm−1にピークを含むラマンスペクトルを示す、請求項42、43または44に記載の結晶形態。
【請求項46】
前記ラマンスペクトルが、約3003±10および521±10cm−1にピークをさらに含む、請求項45に記載の結晶形態。
【請求項47】
約317.25±2.0に単一の最大値を有する示差スキャン熱量測定(DSC)サーモグラムを示す、請求項42〜46のいずれか一項に記載の結晶形態。
【請求項48】
前記塩が、カルボン酸付加塩である、請求項1に記載の結晶形態。
【請求項49】
2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミド一シュウ酸塩の結晶形態である、請求項48に記載の結晶形態。
【請求項50】
約7.260±0.3および19.671±0.3度の2θにピークを含むX線粉末回折パターンを示す、請求項11に記載の結晶形態。
【請求項51】
前記X線粉末回折パターンが、約18.917±0.3および16.024±0.3度の2θにピークをさらに含む、請求項12に記載の結晶形態。
【請求項52】
約2897±10;1692±10;および491±10cm−1にピークを含むラマンスペクトルを示す、請求項11、12または13に記載の結晶形態。
【請求項53】
前記ラマンスペクトルが、約2955±10、1443±10、および1252cm−1にピークをさらに含む、請求項14に記載の結晶形態。
【請求項54】
約233.07±2.0に単一の最大値を有する示差スキャン熱量測定(DSC)サーモグラムを示す、請求項11〜15のいずれか一項に記載の結晶形態。
【請求項55】
前記塩が、ポリヒドロキシ酸付加塩である、請求項1に記載の結晶形態。
【請求項56】
2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドジグルコン酸塩の結晶形態である、請求項55に記載の結晶形態。
【請求項57】
約19.447±0.3;24.377±0.3;および22.637±0.3度の2θにピークを含むX線粉末回折パターンを示す、請求項56に記載の結晶形態。
【請求項58】
前記X線粉末回折パターンが、約15.730±0.3および7.768±0.3度の2θにピークをさらに含む、請求項57に記載の結晶形態。
【請求項59】
約2957±10;2928±10;および910±10cm−1にピークを含むラマンスペクトルを示す、請求項56、57または58に記載の結晶形態。
【請求項60】
前記ラマンスペクトルが、約1450±10;1139±10;および883±10cm−1にピークをさらに含む、請求項59に記載の結晶形態。
【請求項61】
約182.33±2.0に単一の最大値を有する示差スキャン熱量測定(DSC)サーモグラムを示す、請求項56〜60のいずれか一項に記載の結晶形態。
【請求項62】
化合物が、(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−N−(2−モルホリノエチル)−ペンタンアミドである、請求項3〜61のいずれか一項に記載の結晶形態。
【請求項63】
請求項1〜62のいずれか一項に記載の結晶形態を含む組成物。
【請求項64】
p75を発現する細胞の退化または機能不全が関与する障害を処置する方法であって、かかる処置を必要とする患者に、治療有効量の、請求項1〜29のいずれか一項に記載の結晶形態を含む医薬組成物を投与することを含む方法。
【請求項65】
前記障害が、神経変性障害である、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記障害が、アルツハイマー病、ハンチントン病、ピック病、筋萎縮性側索硬化症、てんかん、パーキンソン病、脊髄損傷、脳卒中、低酸素症、虚血、脳損傷、糖尿病性ニューロパシー、末梢性ニューロパシー、神経移植、多発性硬化症、末梢神経損傷、および脱毛からなる群から選択される、請求項64に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17】
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【図18A】
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【図18B】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22A】
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【図22B】
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【図23】
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【図24A】
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【図24B】
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【図25】
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【図26A】
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【図26B】
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【図27A】
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【図27B】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31A】
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【図31B】
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【図32A】
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【図32B】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36A】
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【図36B】
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【図37A】
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【図37B】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41A】
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【図41B】
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【図42A】
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【図42B】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46A】
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【図46B】
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【図47A】
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【図47B】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【公表番号】特表2013−510874(P2013−510874A)
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−539022(P2012−539022)
【出願日】平成22年11月12日(2010.11.12)
【国際出願番号】PCT/US2010/056537
【国際公開番号】WO2011/060262
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(512123628)ファーマトロフィックス, インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】