説明

ネットワークのオンラインゲームのためのサービス品質を決定する方法

無線ゲームサービスのために感知されたサービス品質を決定する方法および装置において、測定可能な複数のゲームパラメータおよび複数の転送パラメータに基づき感知されたゲーム品質が決定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークのオンラインゲームのためのサービス品質を決定する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、カウンターストライクやWoW(World of Warcraft)のようなオンラインゲームが有線のインターネットの最も重要なサービスの1つになってきている。新しい高性能無線ネットワークの導入により、無線放送ネットワーク上でのオンラインゲームも行われる状況にある。
【0003】
無線および有線ネットワークにおいて、サービス品質(QoS)およびユーザ体感品質(QoE)、そしてどのようにエンドユーザがサービスを感知するかは、多年にわたりユーザからの意見により測られてきたが、マルチメディアの品質を測る新しい方法が出現している。通常、測定可能な入力パラメータを受け入れ、エンドユーザで感知された品質代表する意見スコアを計算する、客観的モデルにより測定が行われる。パケットレイテンシ(遅延)のようなネットワーク特性がいかにオンラインゲームの品質に影響するかを調査するために、かなりの研究が行われている。
【0004】
これについては、例えば、T.Langの「Haloのゲームをプレー中のネットワーク遅延や損失に伴うユーザの体験」(Centre for Advanced Internet Architectures, CAIA, Swinburne University of Technology, Tech.Rep. 031205A, December 2003)を参照するとよい。また、http://www.caia.swinburne.edu.au/(P. Branch and G. Armitage, Y.)では、”Measuring the auto-correlation of server to client traffic in First Person Shooter games," (Swinburne University, December 2003)も参照できる。更に、http://www.caia.swinburne.edu.au/ でも”the playing phase of on-line gaming”について扱っている。
【0005】
しかし、サービスプロバイダーには、無線または有線に接続されたオンラインゲームに対する感知された品質を測定する方法がない。
【0006】
従って、オンラインゲームサービスの加入者へ届けられた感知品質を測定することをサービスプロバイダーに可能にさせる方法およびシステムの必要性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上に述べた問題のいくつかを取り除くか、少なくとも軽減するのが本発明の目的である。
【0008】
オンラインゲームのセッションのための客観的品質測定を行える方法および装置を提供することが、本発明のもう一つの目的である。
【0009】
更に、オンラインゲームのための客観的品質測定を行うために使用可能なモデルを提供することが、本発明のもう一つの目的である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
これらの目的および他の事柄は、後に記載される請求項に記載された方法およびシステムにより獲得される。すなわち、本発明に従って、オンラインゲームに対してエンドユーザで感知された品質は、測定可能なゲームおよび転送パラメータに基づき評価される。これによって、進行中のオンラインゲームのセッションに対する正確な測定をサービスプロバイダーに提供することが可能となる。
【0011】
この評価される品質は、オンラインゲームの異なるフェーズ、すなわち、異なるデータ転送特性とか実時間の拘束を有するオンラインゲームセッション期間を考慮してもよい。例えば、これらのフェーズには、ゲームおよびゲームデータがロードされるロードフェーズ、およびゲームがオンラインでプレーされるプレーフェーズがある。本発明は、客観的品質測定をサービスプロバイダーに可能とさせ、この客観的品質測定は、異なるオンラインゲームフェーズを考慮し、これにより感知されるサービス品質をよりよく反映させた測定を提供する。
【0012】
一実施形態に従うと、評価される品質は、ロード時間などのゲームパラメータ、およびパケットロス(損失)、パケットレイテンシ(遅延)そしてパケットジッタなどのネットワーク転送パラメータに基づく。尚、入力パラメータは、直接測定されるか、または他の測定パラメータに基づき評価される。例えば、ゲームロード時間は、スループットのような転送パラメータに基づき評価され得る。
【0013】
オンラインゲームのモデルの出力は、エンドユーザが感知した品質スコアであり、通常、平均意見スコア(Mean Opinion Score、以下「MOS」という)を表す数値であって、特別な加入者へ届けられたサービス品質を決定するために用いられる。
【発明の効果】
【0014】
有利な点は、このモデルは主観テストの結果を用いて調節できることである。テストする人は、ゲームをずっとプレーし続け、品質スコアを与え続けており、この主観テストは、MOSスコアを計算するために使用される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明は、非限定的な例をあげ、添付の図面を参照してより詳細に記載される。
【0016】
【図1】オンラインゲームサービスのためのQoSを決定する装置の構成図を示す。
【図2】オンラインゲームサービスのためのQoSを決定するときに実行される種々のステップを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1に、オンラインゲームのセッションのためのQoSを決定する装置100が示されている。この装置は、モデリングユニット101を備える。モデリングユニット101は、複数の入力ポート103、105、107、109に接続されている。この入力ポートは、予測モデル内の入力データとして有用な入力データをモデリングユニット101へ供給する。例えば、入力ポート103はパケットレイテンシに関連付けられた値を、入力ポート105はマップロード(マップ負荷)に関連づけられた値を、また入力ポート107はパケットロスに関連づけられた値を、更に入力ポート109はパケットジッタに関連づけられた値を提供する。複数の入力ポート103−109を通じて供給された、異なる入力データを用いて、モデリングユニットは、エンドユーザの感知される品質をあらわすMOSスコアを計算する。これに使用されるモデルは、以下に記載するようなモデルならいかなるものもなり得るし、モデリングユニット101にロードされたコンピュータプログラム113を用いて実行できる。こうして、MOSは、出力ユニット111におけるエンドユーザに供給された品質を決定するための基本として用いられる。
【0018】
これらの入力パラメータは、以上に述べたものに限定されない。転送レイヤおよびそのゲームアプリケーションからの他の入力パラメータもまた、オンラインゲーム品質の良い予測を得るために用いることが可能である。
【0019】
この発明の一実施形態において、MOS出力は、線形モデルを用いて計算できる。他の実施形態では、非線形モデルが採用される。
【0020】
例えば、モデリングユニット101は、以下に示すゲーム品質インデックス(Game Quality Index, 以下「GQI」という)と名付けられるインデックスを生成するように構成してもよい。「GQI」の品質モデルは、レイテンシの「xiatency」およびマップロードの「ymaPioad」のような変数に依存する入力関数から予測されるMOSを評価する。レイテンシの「xiatency」およびマップロードの「ymaPioad」からの低下が生じない場合、パラメータ「GQIBASE」は、モデルの初期値、すなわち最大限度のモデル出力を導くように設定できる。もう一つのパラメータである「GQIMIN」は、最小限度のMOS値が1になるように、MOSへの出力を導く。この関数は、[0;1]の範囲にだけ存在するように設定可能である。ジッタおよびパケットロスのような他の変数に関連付けられた他の入力が用いられない場合、「GQIMOS」モデルは、次式で表される。
【0021】
GQIMOS = GQIMIN + GQIBASE * (Qxlatency ) * (Qymapioad ) (1)
ここで、
Qxlatency = a * xlatency + 1, 2 (または他の適切な定数) (2)
Qymapload = b * Vmapload + 1, 4 (または他の適切な定数) (3)
また、「a」の値は、ある実施形態では、0.0053、「b」の値は、0.0075である。「GQIMOS」のような線形モデルは、スケールの外側のMOS予測を避けるために境界条件を必要とする。「Qxlatency」に関し、予測の最大値および最小値を決定する。例えば、40ms以下および225ms以上という値がそれぞれ、モデルの最大値と最小値に設定可能である。「Qymapload」に関しても、予測される境界条件を有する。例えば、55秒以下および180秒以上の境界条件は、認可されたMOS値を保障するのに用いられる。
【0022】
ゲーム品質は、非線形関数を用いて計算することもできる。例えば、次の式を用いることができる。
GQIMOS = GQIMIN + GQIBASE * (Qxlatency ) * (Qymapload ) (4)
ここで、
Qxlatency = 1 / (1 + (alpha * Xlatency) <[Lambda]>3 )) (5)
Qymapload = 0.6 - beta * atan((1/gamma) * (ymaPload - TH)) (6)
【0023】
ここで、「alpha」、「beta」および「gamma」は、それぞれ、 110、2.3および165である。
2つの「Q」低下関数は、[0;1]の範囲にだけ存在し、境界条件は必要としない。このモデルは、線形モデルと比較してよりスムースなふるまいを呈し、データ設定によりよく適応する。ゲームに入り、ユーザからの待ち時間が長く、閾値パラメータTHが220になると、「beta」と「gamma」を伴う「Qymapioad」関数が品質低下を呈する。
【0024】
また、感知される品質を評価する場合に、ゲーミングモデルは、パケットロスおよびパケットジッタの影響を考慮できる。ある実施形態に従えば、「GQI」は、次のようにモデル化でき、また計算できる。
GQIMOS <=> GQIMIN + GQIBASE * (Qxlatency ) * (Qymapload ) * (Qzjitter ) * (Qwpacketloss ) (7)
ここで、
Qzjitter = -0.0022 * ZJitter + 1 (8)
Qwpacketloss = -0.24 * Wpacketloss + 1 (9)
【0025】
(8)式のジッタは、ミリセカンド(ms)で与えられ、またパケットロスは、パーセントで与えられる。ジッタの最大の境界値は、450msに設定され、またパケットロスの最大境界値は、4%に設定される。もちろん、(8)および(9)式のパラメータおよび定数は、特定のアプリケーションに合わせて調整される。
【0026】
ゲーム品質は、ネットワークの様々な場所で決定することができる。この決定は、無線ネットワークのドライブテストツールにおいて、またオンラインゲームを走らせるどんなコンピュータでも、更にネットワークの測定場所においても実行でき、これによりその測定場所を表すスコアを生成するが、それは、エンドユーザのターミナルやコンピュータではない。この実行は、ネットワークで行うことができるが、これらの複数の入力パラメータは、オンラインゲームを走らせるコンピュータから報告される。
【0027】
図2において、客観的オンラインQoSを決定するときに実施する各ステップが示されている。まずステップ201において、感知されるサービス品質に関連付けられた多数の異なるパラメータに関するデータが収集される。これら複数のパラメータには、上述のパラメータ、あるいはその他の関連パラメータならどれでも含めてよい。次に、ステップ203において、収集されたデータは測定可能なゲームパラメータおよび測定可能な転送パラメータの両方に基づく感知されるサービス品質をモデル化したモデルへの入力として用いられる。ステップ203で用いられるモデルは、有利な点は、テストグループの人々の経験に応じて調整が可能なことである。ステップ203において、このモデルに供給された入力データにより、この入力データの特定の設定に基づいたサービス品質に対して実際の人間が考えることを予測できる。
【0028】
最後に、ステップ205において、無線あるいは有線ネットワークの特定点でのサービス品質の現在レベルの決定値として、ステップ203で生成された予測値が用いられる。この特定点は、通常、サービスプロバイダーがサービス品質を知りたい、エンドユーザの装置あるいはネットワークのその他の場所である。ここで記載した方法および装置を用いることにより、複数の入力パラメータがオンラインゲームのための品質スコアの計算に用いられる。そして、加入者の期待に従ったサービスがその加入者に届けられていることをモニターし保証するために、この品質スコアがサービスプロバイダーにより使用されることが可能になる。この発明は、更に、ゲームのロードフェーズおよびゲームプレーフェーズのような異なるゲームフェーズの解析も提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オンラインゲームサービスで感知されるサービス品質を決定する方法であって、
測定可能な複数のゲームパラメータおよび複数の転送パラメータに基づき感知されたゲーム品質を決定するステップを備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記複数のゲームパラメータがロード時間を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数の転送パラメータが、パケットロス、パケットレイテンシ/遅延、パケットジッタおよびスループットのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記決定された、感知されたゲーム品質がオンライゲームの複数の異なるフェーズを考慮することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記複数の異なるフェーズが、ロードフェーズおよびプレーフェーズを含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
オンラインゲームサービスで感知されるサービス品質を決定する装置であって、
測定可能な複数のゲームパラメータおよび複数の転送パラメータに基づき感知されるゲーム品質を決定する手段を備えることを特徴とする装置。
【請求項7】
測定可能な複数のゲームパラメータに基づき感知されるゲーム品質を決定する前記手段が、ゲームパラメータの1つとしてロード時間を用いるよう構成されることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
測定可能な複数の転送パラメータに基づき感知されるゲーム品質を決定する前記手段が、パケットロス、パケットレイテンシ/遅延、パケットジッタおよびスループットのうちの少なくとも1つを転送パラメータとして用いるように構成されることを特徴とする請求項6または7に記載の装置。
【請求項9】
前記感知されたゲーム品質を決定するとき、オンライゲームの複数の異なるフェーズを考慮する手段を備えることを特徴とする請求項6から8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記複数の異なるフェーズが、ロードフェーズおよびプレーフェーズを含むことを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
請求項1から5のいずれか1項に記載の方法をコンピュータに実行させるプログラムの複数のセグメントを備えるコンピュータプログラム製品。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−505712(P2011−505712A)
【公表日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−527908(P2010−527908)
【出願日】平成20年7月1日(2008.7.1)
【国際出願番号】PCT/SE2008/050813
【国際公開番号】WO2009/045150
【国際公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(598036300)テレフオンアクチーボラゲット エル エム エリクソン(パブル) (2,266)
【Fターム(参考)】