説明

ネットワーク・デバイス制御装置および方法

【課題】 ネットワーク管理ソフトウェアのサーバー・アプリケーションがクライアント・アプリケーションに対するデータの送信に失敗した場合にも、クライアント・アプリケーションの動作を停止しさせない。
【解決手段】 ネットワーク・デバイスと通信するクライアント・サーバー型のネットワーク・デバイス制御装置に、デバイス情報を表示する表示手段、デバイスの情報を取得設定するサーバー・アプリケーションと通信する通信手段、上記通信手段により送受信するデータを変換するデータ変換手段、上記通信手段をタイマにより管理するタイマ管理手段、および上記タイマ管理手段によって使用されるタイムアウト値の情報を管理するタイムアウト値管理手段とを設け、サーバー・アプリケーション側におけるエラー発生時に、クライアント・アプリケーションによるタイマ管理によってそれを検出し、クライアント・アプリケーション内部でエラー処理等の動作を行う。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンピュータ・ネットワークに関し、具体的にはネットワーク管理ソフトウェアを含むネットワーク・デバイス制御装置、ネットワーク・デバイス制御方法および、ネットワーク管理ソフトウェアのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】ネットワーク・デバイスを管理する方法として、SNMP/MIBを使用する方法がある。(SNMP/MIBの詳細に関しては「TCP/IP ネットワーク管理入門 実用的な管理をめざして」M.T.ローズ=著/西田竹志=訳 (株)トッパン発行 1992年8月20日初版を参照のこと)。
【0003】SNMP(Simple Network Management Protocol)ネットワーク管理技術によれば、ネットワーク管理システムには、少なくとも1つのネットワーク管理ステーション(NMS)、各々がエージェントを含むいくつかの管理対象ノード、および管理ステーションやエージェントが管理情報を交換するために使用するネットワーク管理プロトコルが含まれる。ユーザは、NMS上でネットワーク管理ソフトウェアを用いて管理対象ノード上のエージェント・ソフトウェアと通信することにより、ネットワーク上のデバイスに関するデータを得、またそのデバイス内のデータを変更することができる。
【0004】このようなネットワーク管理ソフトウェアを分散環境で使用する場合、SNMPネットワーク管理機能を持つサーバー・アプリケーションと各端末で起動されるGUI部分である複数のクライアント・アプリケーションによる構成をとることが一般的である。
【0005】異なる端末間でクライアント・アプリケーションとサーバー・アプリケーションでプロセス間通信を行う標準としてRFC1057 RPC(RemoteProcedure Call)が定義されている。RPCとは、ネットワーク・サービスを提供する関数群をサーバー側で用意し、その中の関数をローカル・マシン内の関数と同様に、ネットワーク上の別端末のクライアント・プロセスから呼び出せるようにしたものである。RPCにおけるプロセス間通信の流れは以下のようになる。クライアントは、サーバーに対するサービス要求として、サーバーに用意されているRPC関数を呼び出す。この時点で、関数の呼び出し情報を格納したデータ・パケットがサーバーに送られ、クライアントのプログラムは中断される。サーバーがパケットを受け取ると、呼び出された関数をディスパッチ(dispatch;サーバーがクライアントに計算結果を返すこと。ここでは、OSが動作の割り当てなどの制御を行うことを指す)し、関数の引数を取り出した後、その引数をもとにサービスを実行して、その結果をクライアントに返す。クライアントは関数の結果を受け取った後で、プログラムの実行を再開する。RPCにおけるクライアントとサーバーの接続形体には、コネクション型とコネクションレス型の2種類がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来例では、ネットワーク管理ソフトウェアのサーバー・アプリケーションが、クライアント・アプリケーションに対するデータの送信に失敗した場合、クライアント・アプリケーション側でサーバー・アプリケーション側の送信失敗を知ることができず、クライアント・アプリケーションの動作が停止してしまうという問題がある。
【0007】そこで本発明の目的は、ネットワーク・デバイス制御装置および方法において、上記のような問題を解決するネットワーク・デバイス制御装置および方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明にかかるネットワーク・デバイス制御装置は、ネットワーク・デバイスのデバイス情報を表示する表示手段と、ネットワーク・デバイスのデバイス情報を取得し、ネットワーク・デバイスにデバイス情報を設定するサーバー・アプリケーションと通信する通信手段と、上記通信手段により送受信するデータを変換するデータ変換手段と、上記通信手段をタイマーにより管理するタイマー管理手段と、上記タイマー管理手段によって使用されるタイムアウト値の情報を管理するタイムアウト値管理手段と、を設けることにより、サーバー・アプリケーションがクライアント・アプリケーションに対してデータ送信に失敗した場合、クライアント・アプリケーションによるタイマ管理によってクライアント・アプリケーション内部でエラー処理等の動作を行うことが可能となる。
【0009】請求項2の発明にかかるネットワーク・デバイス制御装置は、前記ネットワーク・デバイス制御方法の前記タイムアウト値管理手段において、各同期関数の特性に応じて定められたタイムアウト値を格納することにより、各同期関数毎に適切なタイムアウト値を使用してタイマ管理をしてクライアント・アプリケーション内部で適切なタイミングでエラー処理等の動作を行うことが可能となる。
【0010】請求項3の発明にかかるネットワーク・デバイス制御装置は、前記ネットワーク・デバイス制御方法の前記タイムアウト値管理手段において、各非同期関数の特性に応じてタイムアウト値を計算することにより、各非同期関数のコールバック毎に適切なタイムアウト値を使用してタイマ管理をしてクライアント・アプリケーション内部で適切なタイミングでエラー処理等の動作を行うことが可能となる。
【0011】請求項4の発明にかかるネットワーク・デバイス制御装置は、前記ネットワーク・デバイス制御方法の前記タイマ管理手段において、タイムアウト時に内部的にエラー情報を通知することにより、クライアント・アプリケーション内部でエラー処理等の動作を行うことが可能となる。
【0012】請求項5の発明にかかるネットワーク・デバイス制御装置は、前記ネットワーク・デバイス制御方法の前記タイマ管理手段において、タイムアウト後にサーバー・アプリケーションから受信したデータを無視することにより、タイムアウト後にエラー等処理を行ったクライアント・アプリケーションの誤動作を防ぐことが可能となる。
【0013】請求項6の発明にかかるネットワーク・デバイス制御方法は、ネットワーク・デバイスのデバイス情報を表示する表示ステップと、ネットワーク・デバイスのデバイス情報を取得し、ネットワーク・デバイスにデバイス情報を設定するサーバー・アプリケーションと通信する通信ステップと、上記通信ステップにより送受信するデータを変換するデータ変換ステップと、上記通信ステップをタイマにより管理するタイマ管理ステップと、上記タイマ管理ステップによって使用されるタイムアウト値の情報を管理するタイムアウト値管理ステップとを有したネットワーク・デバイス制御方法である。
【0014】請求項7の発明にかかるネットワーク・デバイス制御方法は、前記ネットワーク・デバイス制御方法の前記タイムアウト値管理ステップにおいて、各同期関数の特性に応じて定められたタイムアウト値を格納するステップを有したネットワーク・デバイス制御方法である。
【0015】請求項8の発明にかかるコンピュータで読み取り可能な記憶媒体は、前記ネットワーク・デバイス制御方法の前記タイムアウト値管理ステップにおいて、各非同期関数の特性に応じてタイムアウト値を計算するステップを有したネットワーク・デバイス制御方法である。
【0016】請求項9の発明にかかるネットワーク・デバイス制御方法は、前記ネットワーク・デバイス制御方法の前記タイマ管理ステップにおいて、タイムアウト時に内部的にエラー情報を通知するステップを有したネットワーク・デバイス制御方法である。
【0017】請求項10の発明にかかるネットワーク・デバイス制御方法は、前記ネットワーク・デバイス制御方法の前記タイマ管理ステップにおいて、タイムアウト後にサーバー・アプリケーションから受信したデータを無視するプログラムを有したネットワーク・デバイス制御方法である。
【0018】請求項11の発明にかかるコンピュータで読み取り可能な記憶媒体は、デバイス情報を表示する表示ステップと、デバイスの情報を取得設定するサーバー・アプリケーションと通信する通信ステップと、上記通信ステップにより送受信するデータを変換するデータ変換ステップと、上記通信ステップをタイマにより管理するタイマ管理ステップと、上記タイマ管理ステップによって使用されるタイムアウト値の情報を管理するタイムアウト値管理ステップと、から成るプログラムを有したコンピュータで読み取り可能な記憶媒体である。
【0019】請求項12の発明にかかるコンピュータで読み取り可能な記憶媒体は、前記ネットワーク・デバイス制御方法の前記タイムアウト値管理ステップにおいて、各同期関数の特性に応じて定められたタイムアウト値を格納するプログラムを有したコンピュータで読み取り可能な記憶媒体である。
【0020】請求項13の発明にかかるコンピュータで読み取り可能な記憶媒体は、前記ネットワーク・デバイス制御方法の前記タイムアウト値管理ステップにおいて、各非同期関数の特性に応じてタイムアウト値を計算するプログラムを有したコンピュータで読み取り可能な記憶媒体である。
【0021】請求項14の発明にかかるコンピュータで読み取り可能な記憶媒体は、前記ネットワーク・デバイス制御方法の前記タイマ管理ステップにおいて、タイムアウト時に内部的にエラー情報を通知するプログラムを有したコンピュータで読み取り可能な記憶媒体である。
【0022】請求項15の発明にかかるコンピュータで読み取り可能な記憶媒体は、前記ネットワーク・デバイス制御方法の前記タイマ管理ステップにおいて、タイムアウト後にサーバー・アプリケーションから受信したデータを無視するプログラムを有したコンピュータで読み取り可能な記憶媒体である。
【0023】
【発明の実施の形態】先ず、本発明が適用されるネットワークについて説明する。図1は、プリンタをネットワークに接続するためのネットワーク・ボード(NB)101を、開放型アーキテクチャを持つプリンタ102へつなげた場合を示す図である。NB101はローカル・エリア・ネットワーク(LAN)100へ、たとえば、同軸コネクタをもつEthernet(登録商標)インターフェース10Base−2や、RJ−45を持つ10Base−T等のLANインターフェースを介して接続されている。
【0024】PC103やPC104等の複数のパーソナル・コンピュータ(PC)もまた、LAN100に接続されており、ネットワークオペレーティングシステムの制御のもと、これらのPC103,104はNB101と通信することができる。またPC103に、PC104に接続されているプリンタ105のようなプリンタを接続してもよい。
【0025】また、LAN100にファイル・サーバー106が接続されており、これは大容量(たとえば100億バイト)のネットワーク・ディスク107に記憶されたファイルへのアクセスを管理する。プリント・サーバー108は、接続されたプリンタ109aおよび109b、または遠隔地にあるプリンタ105などのプリンタに印刷を行わせる。
【0026】さらに詳しくは、図1に示すネットワークは、様々なネットワーク・メンバ間で効率良く通信を行うために、NovellやUNIX(登録商標)のソフトウェアなどのネットワーク・ソフトウェアを使用することができる。どのネットワーク・ソフトウェアを使用することも可能であるが、たとえば、Novell社のNetWare(Novell社の登録商標。以下省略)ソフトウェアを使用することができる。このソフトウェアパッケージに関する詳細な説明は、NetWareパッケージに同梱されているオンラインドキュメンテーションを参照のこと。これは、Novell社からNetWareパッケージとともに購入可能である。
【0027】図1の構成について簡潔に説明すると、ファイル・サーバー106は、LANメンバ間でデータのファイルの受信または、記憶、キューイング、キャッシング、および送信を行うファイル管理部としての役割を果たす。たとえば、PC103およびPC104のそれぞれによって作られたデータファイルは、ファイル・サーバー106へ送られ、ファイル・サーバー106はこれらのデータファイルを順に並べ、そしてプリント・サーバー108からのコマンドにしたがって、並べられたデータファイルをプリンタ109aへ送信する。
【0028】またPC103とPC104はそれぞれ、データファイルの生成や、生成したデータファイルのLAN100への送信や、また、LAN100からのファイルの受信や、更にそのようなファイルの表示及び/又は処理を行うことのできる通常のPCで構成される。なお、図1ではパーソナル・コンピュータ機器が示されているが、ネットワーク・ソフトウェアを実行するのに適切であるような、他のコンピュータ機器を含んでもよい。たとえば、UNIXのソフトウェアを使用している場合に、UNIXワークステーションをネットワークに含んでもよく、これらのワークステーションは、適切な状況下で、図示されているPCと共に使用することができる。
【0029】通常、LAN100などのLANは、1つの建物内の1つの階または連続した複数の階でのユーザグループ等の、幾分ローカルなユーザグループにサービスを提供する。たとえば、ユーザが他の建物や他県にいるなど、あるユーザが他のユーザから離れるにしたがって、ワイドエリアネットワーク(WAN)を作ってもよい。WANは、基本的には、いくつかのLANを高速度サービス総合デジタルネットワーク(ISDN)電話線等の高速度デジタルラインで接続して形成された集合体である。したがって、図1に示すように、LAN100と、LAN110と、LAN120とは変調/復調(MODEM)/トランスポンダ130およびバックボーン140を介して接続されてWANを形成する。これらの接続は、数本のバスによる単純な電気的接続である。それぞれのLANは専用のPCを含み、また、必ずしも必要なわけではないが、通常はファイル・サーバーおよびプリント・サーバーを含む。
【0030】したがって図1に示すように、LAN110は、PC111と、PC112と、ファイル・サーバー113と、ネットワーク・ディスク114と、プリント・サーバー115と、プリンタ116およびプリンタ117とを含む。対照的に、LAN120はPC121とPC122のみを含む。LAN100と、LAN110と、LAN120とに接続されている機器は、WAN接続を介して、他のLANの機器の機能にアクセスすることができる。
【0031】前述したプリンタ102には、ネットワークに接続するためのネットワーク・ボードNBが実装され、このボード上にエージェントが実装されている。これにより、プリンタをネットワーク管理ソフトウェアによる管理の対象とすることができる。ユーザは、ネットワーク管理ソフトウェアを用いて制御対象のプリンタの情報を得、また状態を変更することができる。より具体的には、たとえばプリンタの液晶ディスプレイに表示されている文字列を取得したり、デフォルトの給紙カセットを変更したりすることができる。
【0032】ネットワーク管理ソフトウェアが稼動するPCについて、以下に説明する。図2において、200はネットワーク管理ソフトウェアが稼動するPCであり、図1における103と同等のものである。
【0033】本発明の実施形態によるネットワーク管理装置は、図2に示したような従来のネットワーク管理装置を実現可能なPC(パーソナル・コンピュータ)と同様の構成のPC上に、実現される。ハード・ディスク(HD)211には、後述のすべての説明で動作主体となる本願に係るネットワーク管理ソフトウェアのプログラムが格納される。後述のすべての説明において、とくに断りのない限り、実行の主体は、ハード上はCPU201である。一方、ソフトウェア上の制御の主体は、ハード・ディスク(HD)211に格納されたネットワーク管理ソフトウェアである。本実施例においては、OS(オペレイティング・システム)はたとえば、ウィンドウズ95(マイクロソフト社製)を想定しているが、これに限るものではない。
【0034】なお本願に係るネットワーク管理プログラムは、フロッピー(登録商標)ディスクやCD−ROMなどの記憶媒体に格納された形で供給されても良く、その場合には図2に示すフロッピーディスク・コントローラ(FD)212または不図示のCD−ROMドライブなどによって記憶媒体からプログラムが読み取られ、ハード・ディスク(HD)211にインストールされる。
【0035】以下の説明において、本願に係るネットワーク管理ソフトウェアのGUI部分のプロセスを「NetSpot GUI」、デバイスと通信する部分のプロセスを「VDC」と呼称する。
【0036】図3あるいは図1において、PC103上でNetSpot GUIのプロセス、PC121上でVDCのプロセスをそれぞれ起動してプリンタ102(SNMPエージェントが実装されている)を管理する。NetSpot GUIは、プロセス間通信の機能を使用してVDCと通信を行い、VDCはSNMPプロトコルを使用してデバイスと通信を行う。
【0037】デバイスから情報を取得するために、NetSpot GUIはプロキシを用いてプロセス間通信をし、VDCに取得したいデバイス情報を送信する。VDCはスタブから送信された情報を受け取り、SNMPプロトコルを用いてデバイスからMIB(Management Information Base;自分の状態に関するデータであり、ここではデバイスの状態に関するデータ・ベースを指す)情報を取得する。取得した情報は、VDCのスタブからプロセス間通信を使用してプロキシに送信され、プロキシからNetSpot GUIにコールバック通知される。NetSpot GUIは、VDCからコールバック通知された情報を基にビットマップ表示等を行ってデバイス情報を表示する。この例を図4に示す。この例では、管理対象範囲に6個のデバイスの存在と、それぞれのデバイスの製品名、ネットワーク・アドレス、そしてMACアドレスを表示し、そして最下段に表示されたデバイスの状態が、スリープモードであることを示している。
【0038】デバイスに情報を設定するために、NetSpot GUIはプロキシを用いてプロセス間通信をし、VDCに設定したいデバイス情報を送信する。VDCはスタブから送信された情報を受け取り、SNMPプロトコルを用いてデバイスにMIB情報を設定する。設定が成功したか失敗したかを示す情報は、VDCのスタブからプロセス間通信を使用してプロキシに送信され、プロキシからNetSpot GUIにコールバック通知される。NetSpot GUIは、VDCからコールバック通知された情報を基にビットマップ表示等を行って設定情報を表示する。この例を図5に示す。デバイスとしてのプリンタの状態(Status)シートの表示例を示している。この図は、ネットワーク周辺機器を管理・制御するためのウィンドウ、すなわちデバイス詳細ウィンドウであり、ユーザがNetSpotを管理者モードで起動したときに、ユーザの指示に応じてNetSpotが順次表示していくウィンドウの1つの表示状態を示す例である。ここでは、図4に表示されたデバイス(最下段のデバイス)であるLASER SHOT LBP−930の状態を示している。このウィンドウから、他にジョブ・シート、情報・シート、ネットワーク・シートを選択表示することが可能である。ここでは、プリンタの図の下方に表示されているエラーに関する表示エリアを示そうとしている。NetSpotはユーザからの指示がない場合でも、NetSpotの動作状況やネットワークから得られた情報に応じて、各種のウィンドウを自動的に表示するが、それらのウィンドウについては、ここでは説明しない。
【0039】図6は、NetSpot GUIの要求に従ってデバイスとの通信を行うウィンドウを示す。
【0040】このNetSpot GUIのプロキシについて、図7のフロー・チャートを用いて同期関数における動作、図8のフロー・チャートを用いて非同期関数における動作を説明する。
【0041】図7のS101において、呼び出されたAPIの特性に応じて適切なタイムアウト値を取得する。タイムアウト値に関しては、各モジュールの各API毎にデータ・ベースに登録しておく。S102において同期関数がVDC(スタブ)側で処理されマーシャリング(Marshaling;配列する)されたデータがNetSpot GUIのプロキシまで戻ってくる間の時間を監視するために、S101で計算したタイムアウト値を使用してタイマをかける。S103において、NetSpot GUIからプロキシに対して同期関数によるリクエストを行う。プロキシはリクエスト・データをマーシャリングして別プロセスであるVDCに送信する。プロキシはマーシャリングしたデータの送信後、NetSpot GUIに同期関数を提供するために、VDC(スタブ)からデータが返ってくるまで一時的にAPI呼び出しされたスレッドを停止する。S104において、VDCからレスポンス受信したか確認する。VDCからレスポンスを受信した場合、S105においてNetSpot GUIに対してすでに同期関数の戻り値および引数を通知したかを確認する。NetSpot GUIに対してすでに同期関数の戻り値および引数を通知している場合、VDCから受信した情報を無視して処理を終了する。NetSpot GUIに対して同期関数の戻り値および引数を通知していない場合、S106に進みVDCから受信したデータをアンマーシャリング(展開)して正常な戻り値および引数を通知する。そして、S107においてNetSpot GUIに対して同期関数の戻り値および引数を通知したことを記憶する。S104においてVDCからレスポンスを受信していない場合、S108に進みS102でかけたタイマがタイムアウトしているか確認する。タイムアウトしていない場合、S104に戻りVDCからレスポンスの受信を待つ。タイムアウトしている場合、S109に進みエラー情報の戻り値および引数をNetSpot GUIに対して通知する。そして、S107に進みNetSpot GUIに対して同期関数の戻り値および引数を通知したことを記憶する。
【0042】つぎに、非同期関数のコールバック呼び出しについて図8のフロー・チャートを用いて説明する。S201において、呼び出されたAPIに応じて適切なタイムアウト値を計算する。タイムアウト値の計算方法は図9のフロー・チャートを用いて後で説明する。S202において非同期関数のコールバックをVDCから受け付ける時間を監視するために、S201で計算したタイムアウト値を使用してタイマをかける。S203において、NetSpot GUIからプロキシに対して非同期関数によるリクエストを行う。プロキシはリクエスト・データをマーシャリングして別プロセスであるVDCに送信する。S204において、VDCから非同期関数に対するコールバックを受信したか確認する。VDCからコールバックを受信した場合、S205においてNetSpot GUIに対してコールバックをすでに通知したか確認する。NetSpot GUIに対してすでにコールバックを通知している場合、VDCから受信した情報を無視して処理を終了する。NetSpot GUIに対してコールバックを通知していない場合、S206に進みVDCから受信したデータをアンマーシャリングして正常なコールバックを通知する。そして、S207においてNetSpot GUIに対してコールバックを行ったことを記憶する。S204においてVDCからコールバックを受信していない場合、S208に進みS202でかけたタイマがタイムアウトしているか確認する。タイムアウトしていない場合、S204に戻りVDCからコールバックの受信を待つ。タイムアウトしている場合、S209に進みエラー情報を含むコールバックをNetSpot GUIに対して通知する。そして、S207に進みNetSpot GUIに対してコールバックを行ったことを記憶する。
【0043】図9のフロー・チャートを用いてデバイスの情報を取得する場合のタイムアウト値の計算方法について説明する。デバイス情報の取得のためには、デバイスの動作状況や様々な設定を表現する属性データを示すプロパティを使用する。このプロパティの集合をVDCにリクエストすることによって、デバイスから情報の取得が可能である。S301において、1つのプロパティの取得を待つ時間であるタイムアウト値Aをデータ・ベースから取得する。S302において、VDCの動作特性によるタイムアウト値Bをデータ・ベースから取得する。たとえば、デバイス情報の取得において、各プロパティ情報の取得に失敗した場合、3秒毎に3回再送するメカニズムを持っているので、この特性を考慮したタイムアウト値Bがデータ・ベース内に保持される。S303において、取得したタイムアウト値A,Bを使用して、実際にVDCからのコールバックの受信を待つ時間を計算する。デバイス情報の取得においては、(タイムアウト値A×プロパティ数)×タイムアウト値Bの計算式を用いる。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のネットワーク・デバイス制御装置および方法によれば、ネットワーク管理ソフトウェアの通信アプリケーションがGUIアプリケーションにデータの送信に失敗した場合、GUIアプリケーション側でタイマ処理を行うことによりGUIアプリケーションの動作の停止を防止することと、タイムアウト後に通知された情報をプロキシ内で削除することによりGUIアプリケーションの動作の妨害を防ぐことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】プリンタをネットワークに接続するためのネットワーク・ボードを、開放型アーキテクチャを持つプリンタへつなげた場合を示す図である。
【図2】ネットワーク管理ソフトウェアが稼動可能なPCの構成を示すブロック図である。
【図3】NetSpot GUIのプロセス、VDCのプロセスをそれぞれ起動してデバイスを管理するさいのそれぞれのPC、あるいはプロセス間通信の様子を示す図である。
【図4】VDCからコールバック通知された情報を基にビットマップ表示等を行ってデバイス情報を表示した例を示す図である。
【図5】管理対象デバイスの状態(Status)シートの表示例を示す図である。
【図6】管理対象デバイスと通信をおこなうVDCのウインドウを示す図である。
【図7】本発明の実施形態におけるNetSpot GUIのプロキシについて、同期関数における動作を示すフロー・チャートである。
【図8】本発明の実施形態におけるNetSpot GUIのプロキシについて、非同期関数における動作を示すフロー・チャートである。
【図9】本発明の実施形態におけるデバイスの情報を取得する場合のタイムアウト値の計算方法について説明するフロー・チャートである。
【符号の説明】
100 ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)
101 ネットワーク・ボード(NB)
102 開放型アーキテクチャを持つプリンタ
103 LAN100に接続されているパーソナル・コンピュータ(PC)
104 LAN100に接続されているパーソナル・コンピュータ(PC)
105 PC104に接続されているプリンタ
106 LAN100に接続されているファイル・サーバー
107 LAN100に含まれるネットワーク・ディスク
108 LAN100に含まれるプリント・サーバー
109a プリント・サーバー108に接続されたプリンタ
109b プリント・サーバー108に接続されたプリンタ
110 ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)
111 LAN110に接続されているパーソナル・コンピュータ(PC)
112 LAN110に接続されているパーソナル・コンピュータ(PC)
113 LAN110に接続されているファイル・サーバー
114 LAN110に含まれるネットワーク・ディスク
115 LAN110に含まれるプリント・サーバー
116 プリント・サーバー110に接続されたプリンタ
117 プリント・サーバー110に接続されたプリンタ
120 ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)
121 LAN100に接続されているパーソナル・コンピュータ(PC)
122 LAN120に接続されているパーソナル・コンピュータ(PC)
130 変調/復調(MODEM)/トランスポンダ
140 バックボーン
200 ネットワーク管理ソフトウェアが稼動するPC
201 FD212より供給されるネットワーク管理プログラムを実行するCPU
202 PC200のROM
203 PC200のRAM
204 PC200のシステム・バス
205 PC200のキーボード・コントローラ(KBC)
206 PC200のCRTコントローラ(CRTC)
207 PC200のディスク・コントローラ(DKC)
208 PC200のネットワーク・インタフェースカード(NIC)
209 PC200のキーボード(KB)
210 PC200のCRTディスプレイ(CRT)
211 PC200のハード・ディスク(HD)
212 フロッピー・ディスクドライブ(FD)

【特許請求の範囲】
【請求項1】 ネットワーク・デバイスと通信するクライアント・サーバー型のネットワーク・デバイス制御装置であって、前記ネットワーク・デバイスのデバイス情報を表示する表示手段と、前記ネットワーク・デバイスのデバイス情報を取得し、前記ネットワーク・デバイスにデバイス情報を設定するサーバー・アプリケーションと通信する通信手段と、前記通信手段により送受信するデータを変換するデータ変換手段と、前記通信手段をタイマにより管理するタイマ管理手段と、前記タイマ管理手段によって使用されるタイムアウト値の情報を管理するタイムアウト値管理手段と、を有することを特徴とするネットワーク・デバイス制御装置。
【請求項2】 前記ネットワーク・デバイス制御方法の前記タイムアウト値管理手段において、各同期関数の特性に応じて定められたタイムアウト値を格納することを特徴とする請求項1に記載のネットワーク・デバイス制御装置。
【請求項3】 前記ネットワーク・デバイス制御方法の前記タイムアウト値管理手段において、各非同期関数の特性に応じてタイムアウト値を計算することを特徴とする請求項1に記載のネットワーク・デバイス制御装置。
【請求項4】 前記ネットワーク・デバイス制御方法の前記タイマ管理手段において、タイムアウト時に内部的にエラー情報を通知することを特徴とする請求項1に記載のネットワーク・デバイス制御装置。
【請求項5】 前記ネットワーク・デバイス制御方法の前記タイマ管理手段において、タイムアウト後にサーバー・アプリケーションから受信したデータを無視することを特徴とする請求項1に記載のネットワーク・デバイス制御装置。
【請求項6】 ネットワーク・デバイス制御方法において、ネットワーク・デバイスのデバイス情報を表示する表示ステップと、前記ネットワーク・デバイスのデバイス情報を取得し、前記ネットワーク・デバイスにデバイス情報を設定するサーバー・アプリケーションと通信する通信ステップと、前記記通信ステップにより送受信するデータを変換するデータ変換ステップと、前記記通信ステップをタイマにより管理するタイマ管理ステップと、前記タイマ管理ステップによって使用されるタイムアウト値の情報を管理するタイムアウト値管理ステップと、を有することを特徴とするネットワーク・デバイス制御方法。
【請求項7】 前記ネットワーク・デバイス制御方法の前記タイムアウト値管理ステップにおいて、各同期関数の特性に応じて定められたタイムアウト値を格納することを特徴とする請求項6に記載のネットワーク・デバイス制御方法。
【請求項8】 前記ネットワーク・デバイス制御方法の前記タイムアウト値管理ステップにおいて、各非同期関数の特性に応じてタイムアウト値を計算することを特徴とする請求項6に記載のネットワーク・デバイス制御方法。
【請求項9】 前記ネットワーク・デバイス制御方法の前記タイマ管理ステップにおいて、タイムアウト時に内部的にエラー情報を通知することを特徴とする請求項6に記載のネットワーク・デバイス制御方法。
【請求項10】 前記ネットワーク・デバイス制御方法の前記タイマ管理ステップにおいて、タイムアウト後にサーバー・アプリケーションから受信したデータを無視することを特徴とする請求項6に記載のネットワーク・デバイス制御方法。
【請求項11】 コンピュータで読み取り可能な記憶媒体において、ネットワーク・デバイスのデバイス情報を表示する表示ステップと、前記ネットワーク・デバイスのデバイス情報を取得し、前記ネットワーク・デバイスにデバイス情報を設定するサーバー・アプリケーションと通信する通信ステップと、上記通信ステップにより送受信するデータを変換するデータ変換ステップと、上記通信ステップをタイマにより管理するタイマ管理ステップと、上記タイマ管理ステップによって使用されるタイムアウト値の情報を管理するタイムアウト値管理ステップとを実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項12】 前記コンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記録された前記プログラムの前記タイムアウト値管理ステップにおいて、各同期関数の特性に応じて定められたタイムアウト値を格納することを特徴とする請求項10に記載のコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項13】 前記コンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記録された前記プログラムの前記タイムアウト値管理ステップにおいて、各非同期関数の特性に応じてタイムアウト値を計算することを特徴とする請求項10に記載のコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項14】 前記ネットワーク・デバイス制御方法の前記タイマ管理ステップにおいて、タイムアウト時に内部的にエラー情報を通知することを特徴とする請求項10に記載のコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項15】 前記コンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記録された前記プログラムの前記タイマ管理ステップにおいて、タイムアウト後にサーバー・アプリケーションから受信したデータを無視することを特徴とする請求項10に記載のコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図2】
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【図3】
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【図1】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図9】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2001−282656(P2001−282656A)
【公開日】平成13年10月12日(2001.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−89656(P2000−89656)
【出願日】平成12年3月28日(2000.3.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】