説明

ノイズフィルタ

【課題】ノーマルモードチョークコイルを除去して、フィルタの小型化を図る。
【解決手段】EMIノイズを構成するコモンモードノイズが電源側に伝搬することを抑制するための第1、第2のコモンモードチョークコイルにおける第1のコモンモードチョークコイル34に両端に突起部が形成された一対の磁脚を有する第1の磁性体コア38を形成し、第2のコモンモードチョークコイル35に、第1の磁性体コア38と同一構成を有し、両端の突起部が第1の磁性体コアの両端の突起部に空隙42を介して対向するように配設された第2の磁性体コア39を形成している。
さらに、第1、第2の磁性体コアの空隙を介して対向する各磁脚に巻回された同一相の巻線の巻回方向を逆向きとし、この同一相の巻線で形成される磁気回路の磁束で、ノーマルモードノイズに対する高インピーダンスを得ている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源と負荷側装置とを結ぶ電路に設けられ、負荷側装置で生じる電磁妨害雑音(electro-magnetic interference noise 以下、EMIノイズと略記する)の電源側への伝搬を抑制するノイズフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば交流で駆動される負荷としてのモータの回転動作を高い精度で制御するためには、交流電源からモータへ直接交流を印加するのではなく、交流電源から出力された交流をコンバータ(整流器)で一旦直流に変換して、この直流をインバータで交流に再度変換してモータに供給する。そして、インバータを構成する各スイッチング素子をPWM(パルス幅変調)信号で高速スイッチング制御することにより、モータに印加する交流の周波数、電圧を変化させてモータの回転制御を行う。
【0003】
このようなコンバータやインバータを含む電力変換装置においては、インバータに高速スイッチング動作に伴うEMIノイズが発生する。このEMIノイズのうち、電源ラインやアースを流れる伝導ノイズは例えば電源を共通とする他の機器に伝わって誤動作を起こすなど悪影響を及ぼす可能性がある。
【0004】
この伝導ノイズには、例えば、交流電源が単相交流電源の場合、交流電源と電力変換装置とを接続するR相とS相とからなる電路とアース間を伝搬するコモンモードノイズと、電路のR相・S相間を伝搬するノーマルモードノイズとの2種類のノイズが含まれており、これらの対策には一般的にノイズフィルタが用いられる(例えば、非特許文献1参照)。
【0005】
図13の電力供給システムに示すように、例えば相間の定格電圧200Vの単相交流電源1とモータ等の負荷2が接続された電力変換装置3とを結ぶR相とS相とからなる電路4に、EMIノイズを抑制するノイズフィルタ5が設けられている。電力変換装置3においては、前述したように、ノイズフィルタ5を経由した交流をコンバータ6一旦直流に変換して、平滑コンデンサ7でリップル成分を除去し、この直流をインバータ8で交流に変換して負荷2に供給する。
【0006】
図14はノイズフィルタ5の回路構成図である。R相、S相の電源側端子10a、10bとR相、S相の負荷側端子11a、11bを接続する線12a、12bには、2つのコモンモードチョークコイル13、14が直列介挿されている。各コモンモードチョークコイル13、14においては、図15に示すように、環状コア15、16に、R相、S相の各巻線17a、18a、17b、18bが巻回されている。
【0007】
さらに、コモンモードチョークコイル13の電源側の線12a、12bにはノーマルモードチョークコイル19a、19bが介挿されている。電源側端子10a、10b間には相間コンデンサ20が設けられ、負荷側端子11a、11b間にも相間コンデンサ21が設けられている。各相間コンデンサ20、21は、相間の定格電圧200Vに対して耐電圧、耐電流の安全規格を満足する仕様を有した相間コンデンサである。
【0008】
さらに、コモンモードチョークコイル13、14の接続点のR相の線12aとアース22間に接地コンデンサ23aが設けられ、接続点のS相の線12bとアース22間に接地コンデンサ23bが設けられている。また、R相、S相の負荷側端子11a、11bとアース22間に接地コンデンサ24a、24bが設けられている。各接地コンデンサ23a、23b、23a、23bは、定格電圧200Vに対して相−アース間に対して耐電圧、耐電流の安全規格を満足する仕様を有した接地コンデンサである。
【0009】
なお、アース22は負荷2、電力変換装置3の筐体、中性点、グランド(地中)の電位である。
【0010】
このようなノイズフィルタ5において、コモンモードチョークコイル13、14はコモンモードノイズに対して高インピーダンスを、また、接地コンデンサ23a、23b、24a、24bは低インピーダンスを示す。このため、電力変換装置3から単相交流電源1へ流れようとするEMIノイズの線12a、12bとアース22間を伝搬するコモンモードノイズは、高インピーダンスとなる単相交流電源1側に伝わらず、低インピーダンスの接地コンデンサ23a、23b、24a、24bをバイパスして電力変換装置3側へ還流する。
【0011】
一方、電力変換装置3から単相交流電源1へ流れようとするEMIノイズのノーマルモードノイズに対しては、ノーマルモードチョークコイル19a、19bが高インピーダンスに、また相間コンデンサ21、20が低インピーダンスとなって、この相間コンデンサ21、20をバイパスして、コモンモードノイズの場合と同様、単相交流電源1に伝わらず、電力変換装置3側へ還流する。
【0012】
なお、特許文献1には、コモンモードノイズ及びノーマルモードノイズの各ノイズ対策を可能とするハイブリッドチョークコイルの技術が開示されている。
【特許文献1】特開2001―230120号公報
【非特許文献1】「電気学会技術報告 第545号 パワーエレクトロニクス」P22、2.34図 電気学会 半導体電力変換器の電磁波障害協同研究委員会 1995年5月
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、図14、図15に示すノイズフィルタ5においても、まだ解消すべき次のような課題があった。
【0014】
すなわち、電力変換装置3から発生するEMIノイズのコモンモードノイズとノーマルモードノイズとの2種類のノイズを抑えるためには、それぞれに対応するコモンモードチョークコイル14、13と、ノーマルモードチョークコイル19a、19bとが必要となる。したがって、ノイズフィルタが大型化したり、部品点数が増大化する懸念がある。
【0015】
このような事態を回避する手法として、コモンモードチョークコイル13の漏れインダクタンスをノーマルモードチョークコイル19a、19bとして代用し、部品点数の削減を図る方法も利用されているが、ノーマルモードノイズに対して十分高いインピーダンスとなる必要な漏れインダクタンスを確保するためには、コモンモードチョークコイル13のインダクタンスをコモンモードノイズに対して必要なインダクタンス以上に高くしなければならない。したがって、コモンモードチョークコイル14、13が大型化し、ノイズフィルタ5を効果的に小型化できない。
【0016】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、コモンモードチョークコイルを大型化することなくノーマルモードチョークコイルを除去でき、部品点数を削減でき、かつ小型化を実現できるノイズフィルタを提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解消するために、本発明は、単相交流電源と負荷側装置とを結ぶ電路に設けられ、負荷側装置で生じる電磁妨害雑音(EMIノイズ)の単相交流電源への伝搬を抑制するノイズフィルタにおいて、両端に突起部が形成された一対の磁脚を有する第1の磁性体コアにおける一対の磁脚に第1相の巻線及び第2相の巻線が互いに逆向に巻回された電源側の第1のコモンモードチョークコイルと、第1の磁性体コアと同一構成を有し、両端の突起部が第1の磁性体コアの両端の突起部に空隙を介して対向するように配設された第2の磁性体コアの一対の磁脚に、第1相の巻線及び第2相の巻線が互いに逆向に、かつ前記第1のコモンモードチョークコイルの同一相の巻線に対しても逆向になるように巻回された負荷側の第2のコモンモードチョークコイルと、第1、第2のコモンモードチョークコイルにおける少なくとも1つのコモンモードチョークコイルを挟むように電源側端子間及び負荷側端子間に設けられた一対の相間コンデンサと、第2のコモンモードチョークコイルの負荷側端子の各相とアースとの間に設けられた一対の接地コンデンサと、第1のコモンモードチョークコイルと第2のコモンモードチョークコイルとの接続点における各相とアースとの間に設けられた一対の接地コンデンサとを備えている。
【0018】
このように構成されたノイズフィルタにおいては、第1のコモンモードチョークコイルの一対の磁脚には第1相、第2相の各巻線が互いに逆向に巻回されているので、第1の磁性体コアと第1相、第2相の各巻線とで磁気回路が形成され、負荷側装置で生じるEMIノイズにおける電路とアース間を伝搬するコモンモードノイズに対して高インピーダンスとなる。同様に、第2のコモンモードチョークコイルにおいても第2の磁性体コアと第1相、第2相の各巻線とで磁気回路が形成され、負荷側装置で生じるEMIノイズにおける電路とアース間を伝搬するコモンモードノイズに対して高インピーダンスとなる。また、各接地コンデンサは低インピーダンスを示す。このため、コモンモードノイズは、高インピーダンスとなる単相交流電源側に伝わらず、低インピーダンスの接地コンデンサをバイパスして負荷側装置へ還流する。
【0019】
また、第1のコモンモードチョークコイルの第1の磁性体コアの第1相の巻線が巻回された磁脚の両端の突起部と第2のコモンモードチョークコイルの第2の磁性体コアの第1相の巻線が巻回された磁脚の両端の突起部とは空隙を介して対向している。空隙を介して対向する各磁脚は互いに逆方向に磁化されるので、対向する突起部は互いに異なる磁極となる。その結果、第1の磁性体コアと第2の磁性体コアと第1相の各巻線とで磁気回路が形成され、この磁気回路における磁束によるインダクタンスが、負荷側装置で生じるEMIノイズにおける第1相・第2相間を伝搬するノーマルモードノードに対して高インピーダンスとなる。
【0020】
同様に、第1、第2のコモンモードチョークコイルの第2相の各巻線と、第1の磁性体コアと第2の磁性体コアとで、磁気回路が形成され、この磁気回路における磁束によるインダクタンスが、負荷側装置で生じるEMIノイズにおける第1相・第2相間を伝搬するノーマルモードノイズに対して高インピーダンスとなる。このため、ノーマルモードノイズは、高インピーダンスとなる単相交流電源側に伝わらず、低インピーダンスの相間コンデンサを介して負荷側装置へ還流する。
【0021】
このように、コモンモードチョークコイルに、本来のコモンモードノイズを抑制する機能の他に、ノーマルモードノイズを抑制する機能を持たせているので、別途、ノーマルモードノイズを抑制するためノーマルモードチョークコイルを設ける必要はない。
【0022】
また、別の発明は、上述したノイズフィルタにおいて、上記発明における第1のコモンモードチョークコイル、第2のコモンモードチョークコイル、及び一対の相間コンデンサを設けている。
【0023】
さらに、第2のコモンモードチョークコイルの負荷側端の一方の相とアースとの間に設けられた接地コンデンサと、第1のコモンモードチョークコイルと第2のコモンモードチョークコイルとの接続点における他方の相とアースとの間に設けられた接地コンデンサとを備えている。
【0024】
このように構成されたノイズフィルタにおいては、各相とアース間に設ける接地コンデンサをそれぞれ1つにしている。この場合、各接地コンデンサの容量を先の発明の接地コンデンサの倍に設定すればよい。
【0025】
また、別の発明は、上述したノイズフィルタにおいて、上記発明における第1のコモンモードチョークコイル、第2のコモンモードチョークコイル、及び一対の相間コンデンサを設けている。さらに、第2のコモンモードチョークコイルの負荷側端子の一方の相とアースとの間に設けられた接地コンデンサと、第1のコモンモードチョークコイルと第2のコモンモードチョークコイルとの接続点における前記負荷側端子と同一相とアースとの間に設けられた接地コンデンサとを備えている。
【0026】
このような構成においても、上述した発明と同様の作用効果を得ることが可能である。
【0027】
また、別の発明は、上述した発明のノイズフィルタにおいて、各接地コンデンサの各接地側端子とアースとの間に介挿された耐圧付加コンデンサとを備えている。
【0028】
また、別の発明は、上述したノイズフィルタにおいて、上記発明における第1のコモンモードチョークコイル、第2のコモンモードチョークコイル、及び一対の相間コンデンサを設けている。
【0029】
さらに、第2のコモンモードチョークコイルの負荷側端子の一方の相に一端が接続された相間コンデンサと、第1のコモンモードチョークコイルと第2のコモンモードチョークコイルとの接続点における他方の相に一端が接続された相間コンデンサと、一端が各相に接続された各相間コンデンサの各他端とアースとの間に介挿された相間コンデンサとを備えている。
【0030】
また、別の発明は、上述したノイズフィルタにおいて、上記発明における第1のコモンモードチョークコイル、第2のコモンモードチョークコイル、及び一対の相間コンデンサを設けている。さらに、第2のコモンモードチョークコイルの負荷側端子の一方の相に一端が接続された相間コンデンサと、第1のコモンモードチョークコイルと第2のコモンモードチョークコイルとの接続点における負荷側端子と同一相に一端が接続された相間コンデンサと、一端が各相に接続された各相間コンデンサの各他端とアースとの間に介挿された接地コンデンサとを設けている。
【0031】
また、別の発明は、直流電源と負荷側装置とを結ぶ電路に設けられ、負荷側装置で生じる電磁妨害雑音の直流電源への伝搬を抑制するノイズフィルタにおいて、両端に突起部が形成された一対の磁脚を有する第1の磁性体コアにおける一対の磁脚に第1相の巻線及び第2相の巻線が互いに逆向に巻回された電源側の第1のコモンモードチョークコイルと、第1の磁性体コアと同一構成を有し、両端の突起部が前記第1の磁性体コアの両端の突起部に空隙を介して対向するように配設された第2の磁性体コアの一対の磁脚に、第1相の巻線及び第2相の巻線が互いに逆向に、かつ第1のコモンモードチョークコイルの同一相の巻線に対しても逆向になるように巻回された負荷側の第2のコモンモードチョークコイルと、第1の磁性体コアと第2の磁性体コアとの空隙に介挿された強磁性体と、第1、第2のコモンモードチョークコイルにおける少なくとも1つのコモンモードチョークコイルを挟むように電源側端子間及び負荷側端子間に設けられた一対の相間コンデンサと、第2のコモンモードチョークコイルの負荷側端子の一方の相とアースとの間に設けられた接地コンデンサと、負荷側端子と同一相に一端が接続された第1のコモンモードチョークコイルと第2のコモンモードチョークコイルとの接続点における一方の相とアースとの間に設けられた接地コンデンサとを備えている。
【0032】
このように構成されたノイズフィルタにおいては、第1、第2のコモンモードチョークコイルには直流が流れるので、第1、第2のコモンモードチョークコイルで形成される各磁気回路の磁束には大きな直流磁束成分が重畳するので、各磁性体コアが磁気的飽和を来す可能性がある。そのため、ノーマルモードノイズに対する十分高いインピーダンスを得ることができない。
【0033】
そこで、第1の磁性体コアと第2の磁性体コアとの空隙に例えば磁石等の強磁性体を介挿することによって、逆方向の直流磁界を印加して、磁気回路の磁束の飽和を抑制している。
【発明の効果】
【0034】
本発明においては、コモンモードチョークコイルを大型化することなくノーマルモードチョークコイルを除去でき、部品点数を削減でき、かつ小型化を実現できる。
【0035】
さらに、相間コンデンサ、接地コンデンサを適宜組合せることにより、部品点数をさらに削減でき、かつより一層の小型化を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明の各実施形態を図面を用いて説明する。
【0037】
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態に係わるノイズフィルタの概略構成を示す回路図である。図13、図14に示す従来のノイズフィルタと同一部分には同一符号を付して重複する部分の詳細説明を省略する。
【0038】
図1において、例えば相間の定格電圧200Vの単相交流電源1と、モータ等の負荷2と電力変換装置3とからなる負荷側装置33を結ぶ第1相としてのR相線31aと第2相としてのS相線31bに、電力変換装置3で発生して単相交流電源1側へ伝搬するEMIノイズを抑制する第1実施形態のノイズフィルタ32が設けられている。
【0039】
この第1実施形態のノイズフィルタ32内において、R相線31aとS相線31bとに第1のコモンモードチョークコイル34と第2のコモンモードチョークコイル35とが直列に介挿されている。電源側の第1のコモンモードチョークコイル34はR相巻線36aとS相巻線36bとで構成され、負荷側の第2のコモンモードチョークコイル35はR相巻線37aとS相巻線37bとで構成されている。
【0040】
第1のコモンモードチョークコイル34の電源側端子36aa、36bb間には相間コンデンサ20が接続される。第2のコモンモードチョークコイル35の負荷側端子37aa、37bb間にも相間コンデンサ21が接続されている。さらに、第1のコモンモードチョークコイル34と第2のコモンモードチョークコイル35のR相の接続点43aとアース22とに接地コンデンサ23aが設けられ、S相の接続点43bとアース22間に接地コンデンサ23bが設けられている。
【0041】
また、各接地コンデンサ23a、24a、24bは、定格電圧200Vに対して相−アース間に対して250〜270Vの耐電圧、耐電流の安全規格を満足する仕様を有した、同一構成、同一仕様の接地コンデンサである。
【0042】
各相間コンデンサ20、21は相間の定格電圧200Vに対して250〜270Vの耐電圧、耐電流の安全規格を満足する仕様を有した、同一構成、同一仕様の相間コンデンサである。
【0043】
第1のコモンモードチョークコイル34と第2のコモンモードチョークコイル35の具体的構成を図2、図3を用いて説明する。図2は第1のコモンモードチョークコイル34に組込まれた第1の磁性体コア38と、第2のコモンモードチョークコイル35に組込まれた第2の磁性体コア39とを示す組立斜視図である。
【0044】
図2(a)に示すように、第1の磁性体コア38には、平行する2本の磁脚38a、38bが形成されており、各磁脚38a、38bの両端には、この磁脚38a、38bと直角方向へ突出する共通の突起部40a、40bが形成されている。同等に、第2の磁性体コア39には、平行する2本の磁脚39a、39bが形成されており、各磁脚39a、39bの両端には、磁脚39a、39bと直角方向へ突出する共通の突起部41a、41bが形成されている。
【0045】
そして、図3に示すように、各磁脚38a、38b、39a、39bにR相巻線36a、S相巻線36b、R相巻線37a、S相巻線37bが巻回された状態で、図2(b)に示すように、第1の磁性体コア38と第2の磁性体コア38とは、互いの各突起部40a、40b、41a、41bが空隙42を介して対向するように配設される。
【0046】
図3(b)は第1、第2のコモンモードチョークコイル34、35の正面図であり、図3(c)は側面図であり、図3(a)は、図3(b)の第1、第2のコモンモードチョークコイル34、35のA―A’線における断面図である。
【0047】
図示するように、第1の磁性体コア38の磁脚38a、38bにはR相巻線36a、S相巻線36bが互いに逆向きに巻回されている。同様に、第2の磁性体コア39の磁脚39a、39bにはR相巻線37a、S相巻線37bが互いに逆向きに巻回されている。さらに、接続点43aで接続されているR相巻線36aとR相巻線37aとは互いに逆向きに巻回されている。同様に、接続点43bで接続されているS相巻線36bとS相巻線37bとは互いに逆向きに巻回されている。
【0048】
このように組合わされた第1、第2のコモンモードチョークコイル34、35においては、第1の磁性体コア38とR相巻線36a、S相巻線36bとで磁気回路(44)が形成され、第2の磁性体コア39とR相巻線37a、S相巻線37bとで図3(c)に破線で示す磁気回路44が形成される。そして、この磁気回路44にて磁束φCが生じる。
【0049】
このように、R相巻線36aとS相巻線36b、及びR相巻線37aとS相巻線37bとで形成される磁気回路44における磁束によるインダクタンスが、負荷側装置30で生じるEMIノイズにおけるR相線31a、S相線31bとアース22間を伝搬するコモンモードノイズに対して高インピーダンスとなる。
【0050】
さらに、第1の磁性体コア38のR相巻線36aが巻回された磁脚38aの両端の突起部40a、40bと第2の磁性体コア39の相巻線37aが巻回された磁脚39aの両端の突起部41a、41bとは空隙42を介して対向している。空隙42を介して対向する各磁脚38a、39aは互いに逆方向に磁化されるので、対向する突起部40a、40bと突起部41a、41bとはは互いに異なる磁極となる。その結果、第1の磁性体コア38の磁脚38aと第2の磁性体コア39の磁脚39aとR相巻線36a、37aとで磁気回路(45)が形成される。
【0051】
同様に、第1の磁性体コア38の磁脚38bと第2の磁性体コア39の磁脚39bとS相巻線36b、37bとで図3(b)に実線で示す磁気回路45が形成される。そして、この磁気回路45にて磁束φnが生じる。
【0052】
このように、第1、第2の磁性体コア38、39に跨る磁気回路45における磁束φnによるインダクタンスが、負荷側装置30で生じるEMIノイズにおけるR相線31a、S相線31b間を伝搬するノーマルモードノイズに対して高インピーダンスとなる。
【0053】
このように構成された第1実施形態のノイズフィルタ32においては、負荷側装置30で生じるEMIノイズにおけるR相線31a、S相線31bとアース22間を単相交流電源1側へ伝搬するコモンモードノイズは、第1、第2のコモンモードチョークコイル34、35にそれぞれR相巻線とS相巻線に跨って形成される磁気回路44の磁束φCによるインダクタンスの高インピーダンスのため、高インピーダンスとなる単相交流電源1側に伝わらず、低インピーダンスの各接地コンデンサ23a、23b、24a、24bをバイパスして負荷側装置30へ還流する。
【0054】
また、負荷側装置30で生じるEMIノイズにおけるR相線31a、S相線31b間を単相交流電源1側へ伝搬するノーマルモードノイズは、第1、第2の磁性体コア38、39に跨って形成された同一相の2つの巻線で形成された磁気回路45の磁束φnによるインダクタンスの高インピーダンスのため、高インピーダンスとなる単相交流電源1側に伝わらず、低インピーダンスの各相間コンデンサ21、20をバイパスして負荷側装置30へ還流する。
【0055】
このように、第1、第2のコモンモードチョークコイル34、35に、本来のコモンモードノイズを抑制する機能の他に、ノーマルモードノイズを抑制する機能を持たせているので、別途、ノーマルモードノイズを抑制するためにノーマルモードチョークコイルを設ける必要はない。
【0056】
なお、本発明は上述した第1実施形態のノイズフィルタ32に限定されるものではない。例えば、電源側端子36aa、36bb間に接続された相間コンデンサ20、又は負荷側端子37aa、37bb間に接続された相間コンデンサ21を、第1、第2のコモンモードチョークコイル34、35の接続点43a、43b間に移動することも可能である。
【0057】
(第2実施形態)
図4は本発明の第2実施形態に係わるノイズフィルタの概略構成を示す回路図である。図1に示す第1実施形態のノイズフィルタ32と同一部分には同一符号を付して重複する部分の詳細説明を省略する。
【0058】
この第2実施形態のノイズフィルタ32aにおいては、図1の第1実施形態のノイズフィルタ32におけるS相の中間点43bとアース22間に設けた接地コンデンサ23b、及び負荷端子37aaとアース22間に設けた接地コンデンサ24aとを除去している。
【0059】
さらに、第1実施形態のノイズフィルタ32におけるR相の中間点43aとアース22間に設けた接地コンデンサ23aを容量(コンデンサ容量)が2倍に設定された接地コンデンサ24Aに変更している。また、第1実施形態のノイズフィルタ32における負荷端子37bbとアース22間に設けた接地コンデンサ24bを、容量(コンデンサ容量)が2倍に設定された接地コンデンサ24Bに変更している。
【0060】
その他の構成は、図1に示す第1実施形態のノイズフィルタ32の構成とほぼ同一である。
【0061】
このように構成された第2実施形態のノイズフィルタ32aにおいては、第1、第2のコモンモードチョークコイル34、35は、図1に示す第1実施形態のノイズフィルタ32における第1、第2のコモンモードチョークコイル34、35と同一構成であり、各相間コンデンサ20、21も同一構成であるので、負荷側装置30で生じたMEIノイズのコモンモードノイズ、ノーマルモードノイズは、前述した磁気回路44、45の磁束φC、φnによる高インピーダンス化、接地コンデンサ23A、24B、相間コンデンサ20、21の存在によって、単相交流電源1側への伝搬が抑制される。
【0062】
さらに、この第2実施形態のノイズフィルタ32aにおいては、負荷側装置30で生じたMEIノイズのうちのコモンモードノイズにおけるS相線31bを伝搬するノイズ成分はそのまま接地コンデンサ24Bを経由してアース22へ流れ、負荷側装置30へ還流する。
【0063】
また、負荷側装置30で生じたMEIノイズのうちのコモンモードノイズにおけるR相線31aを伝搬するノイズ成分は相間コンデンサ21をバイパスして同じく接地コンデンサ24Bへと流れ、単相交流電源1側へのコモンモードノイズの伝搬は抑制される。また、コモンモードノイズにおけるR相線31aを伝搬するノイズ成分のうちの第2のコモンモードチョークコイル35のR相巻線37aを通過した微少のノイズ成分は接続点43aから接地コンデンサ23Aへと流れる。
【0064】
このように、接地コンデンサの設置数を図1の第1実施形態のノイズフィルタ32の半分に減らすことができ、ノイズフィルタ32aの部品点数を削減でき、ノイズフィルタ全体を小型軽量にかつ低価格で製造できる。
【0065】
なお、接地コンデンサ23A、24Bの容量(コンデンサ容量)を第1実施形態の接地コンデンサ23a、23b、24a、24bの2倍に設定しているので、ノイズ抑制の能力が低下することはない。
【0066】
(第3実施形態)
図5は本発明の第3実施形態に係わるノイズフィルタの回路構成図である。図4に示す第2実施形態のノイズフィルタ32aと同一部分には同一符号を付して重複する部分の詳細説明を省略する。
【0067】
この第3実施形態のノイズフィルタ32bにおいては、第1、第2のコモンモードチョークコイル34、35のR相の接続点43aとアース22間の接地コンデンサ23Aを除去して、第1、第2のコモンモードチョークコイル34、35のS相の接続点43bとアース22間に、第1実施形態のノイズフィルタ32における接地コンデンサ23bの倍の容量を有する接地コンデンサ23Bを設けている。すなわち、この第3実施形態のノイズフィルタ32bにおいては、S相線31bのみに接地コンデンサ23B、24Bが接続されている。
【0068】
その他の構成は、図4に示す第2実施形態のノイズフィルタ32aとほぼ同一である。
【0069】
このように構成された第3実施形態のノイズフィルタ32bにおいては、負荷側装置30で生じたMEIノイズのうちのコモンモードノイズにおけるS相線31bを伝搬するノイズ成分はそのまま接地コンデンサ24Bを経由してアース22へ流れ、負荷側装置30へ還流する。また、負荷側装置30で生じたMEIノイズのうちのコモンモードノイズにおけるR相線31aを伝搬するノイズ成分は相間コンデンサ21をバイパスして同じく接地コンデンサ24Bへと流れ、単相交流電源1側へのコモンモードノイズの伝搬は抑制される。また、R相線31aを伝搬するノイズ成分のうちの第2のコモンモードチョークコイル35のR相巻線37aを通過した微少のノイズ成分は、第1のコモンモードチョークコイル34のR相巻線36a、相間コンデンサ20、第1のコモンモードチョークコイル34のS相巻線36b、接続点43bから接地コンデンサ23Bへと流れる。
【0070】
このように、第3実施形態のノイズフィルタ32bにおいても、第2実施形態のノイズフィルタ32aと同様に、接地コンデンサの設置数を半分に減らすことができ、ノイズフィルタ32bの部品点数を削減でき、ノイズフィルタ全体を小型軽量にかつ低価格で製造できる。
【0071】
(第4実施形態)
図6は本発明の第4実施形態に係わるノイズフィルタの回路構成図である。図4に示す第2実施形態のノイズフィルタ32bと同一部分には同一符号を付して重複する部分の詳細説明を省略する。
【0072】
この第4実施形態に係わるノイズフィルタ32cには、定格電圧400Vの単相交流電源1aから400Vの単相交流が入力される。したがって、第1のコモンモードチョークコイル34の電源側端子36aa、36bb間には、前述した定格電圧200Vに対して耐電圧、耐電流の安全規格を満足する仕様を有した2個の相間コンデンサ20が直列介挿されている。同様に、第2のコモンモードチョークコイル35の負荷側端子37aa、37bb間には、前述した定格電圧200Vに対して耐電圧、耐電流の安全規格を満足する仕様を有した2個の相間コンデンサ21が直列介挿されている。
【0073】
さらに、第1、第2のコモンモードチョークコイル34、35のR相の接続点43aには、前述した倍の容量を有した接地コンデンサ23Aの一端が接続され、第2のコモンモードチョークコイル35のS相の負荷側端子37bbには、前述した2倍の容量を有した接地コンデンサ24Bの一端が接続されている。そして、各接地コンデンサ23A、24Bの他端とアース22間には、耐圧付加コンデンサ46が介挿されている。
【0074】
このように構成された第4実施形態のノイズフィルタ32cにおいても、第1、第2のコモンモードチョークコイル34、35のR相の接続点43a、第2のコモンモードチョークコイル35の負荷側端子37bbは、それぞれ接地コンデンサ23A、24B、耐圧付加コンデンサ46を介してアース22に接続されているので、図4に示す第2実施形態のノイズフィルタ32aとほぼ同様の効果を奏する。
【0075】
この場合、図6に示す第4実施形態のノイズフィルタ32cにおいては、接地コンデンサ23A、24Bは耐電圧の安全規格を満たすので、耐圧付加コンデンサ46は、安全規格を満たす必要はない。さらに、一つの耐圧付加コンデンサ46を接地コンデンサ23A、24Bの下側端子とアース22間に介挿している。
【0076】
これは、安全規格を満たす接地コンデンサ23A、24Bを別々のコンデンサを介してアース22に独立に接続すると、この別々のコンデンサを耐電圧が等しいコンデンサにする必要があるので、結果的に安全規格を満たす交換高価な接地コンデンサを採用する必要があるからである。
【0077】
しかし、図6に示す第4実施形態のノイズフィルタ32cにおいては、一つの耐圧付加コンデンサ46のみを採用しているので、耐圧付加コンデンサ46と、安全規格を満たす接地コンデンサ23A、24Bとの接続点電位は1つであるので、耐圧付加コンデンサ46の容量を、前述した、接地コンデンサ23a、23b、24a、24bの2倍以上の任意の値でよい。
【0078】
したがって、耐圧付加コンデンサ46として、安全規格を満たす交換高価な接地コンデンサを採用する必要がないので、たとえ、通常の200vの定格電圧の2倍の定格電圧400Vの単相交流電源1aに対するノイズフィルタ32cにおいても、通常の定格電圧200Vの単相交流電源1に対するノイズフィルタの構成部品を採用して、製造費の大幅上昇を抑制できる。
【0079】
(第5実施形態)
図7は本発明の第5実施形態に係わるノイズフィルタの概略構成を示す回路図である。図6に示す第4実施形態のノイズフィルタ32cと同一部分には同一符号を付して重複する部分の詳細説明を省略する。
【0080】
この第5実施形態に係わるノイズフィルタ32dには、定格電圧400Vの単相交流電源1aから400Vの単相交流が入力される。したがって、図6の第4実施形態と同様に、第1のコモンモードチョークコイル34の電源側端子36aa、36bb間には、前述した定格電圧200Vに対して耐電圧、耐電流の安全規格を満足する仕様を有した2個の相間コンデンサ20が直列介挿されている。
【0081】
同様に、第2のコモンモードチョークコイル35の負荷側端子37aa、37bb間には、前述した定格電圧200Vに対して耐電圧、耐電流の安全規格を満足する仕様を有した2個の相間コンデンサ21が直列介挿されている。
【0082】
さらに、第1、第2のコモンモードチョークコイル34、35のR相の接続点43aには、相間コンデンサ20の倍の容量を有した相間コンデンサ20Aの一端が接続され、第2のコモンモードチョークコイル35のS相の負荷側端子37bbには、相間コンデンサ21の倍の容量を有した相間コンデンサ21Bの一端が接続されている。そして、各相間コンデンサ20A、21Bの他端とアース22間には、接地コンデンサ23aの容量の2倍の容量を有した接地コンデンサ23Cが接続されている。
【0083】
このように構成された第5実施形態に係わるノイズフィルタdにおいても、R相の接続点43aとアース22間、S相の負荷側端子37bbとアース22間に、接地コンデンサ23Cを含むコンデンサの直列回路が介挿されているので、先に説明した図6に示す第4実施形態のノイズフィルタ32cとほぼ同一の作用効果を奏することが可能である。
【0084】
なお、各相間コンデンサ20A、21Bの他端とアース22間に、接地コンデンサ23Cに代えて、相間コンデンサ20、21の倍の容量を有した相間コンデンサ21Cを接続することも可能である。
【0085】
(第6実施形態)
図8は本発明の第6実施形態に係わるノイズフィルタが組込まれた電力供給システムの模式図であり、図9は同第6実施形態のノイズフィルタの概略構成を示す回路図である。図13の電力供給システムの全体構成図、図4の第2実施形態のノイズフィルタ32aと同一部分には同一符号を付して重複する部分の詳細説明を省略する。
【0086】
図8において、相間の定格電圧200Vの単相交流電源1から出力された交流は、電力変換装置3内で、コンバータ6で一旦直流に変換され、平滑コンデンサ7でリップル成分が除去された後に、本発明の第6実施形態に係わるノイズフィルタ32eへ入力される。ノイズフィルタ32eを通過した直流はインバータ8で交流に変換されて電力変換装置3外の負荷2に供給される。そして、インバータ8と負荷2からなる負荷側装置30aで発生して、平滑コンデンサ7とコンバータ6とからなる直流電源47側方向へ伝搬するEMIノイズは、ノイズフィルタ32eにて抑制される。
【0087】
この第6実施形態のノイズフィルタ32eにおいては、図9に示すように、第1のコモンモードチョークコイル34の電源側端子36aa、36bb間に平滑コンデンサ7とコンバータ6とからなる直流電源47が接続されている。第2のコモンモードチョークコイル35の負荷側端子37aa、37bb間にはインバータ8と負荷2からなる負荷側装置30aが接続されている。
【0088】
さらに、この第6実施形態のノイズフィルタ32eにおいては、図10に示すように、第1のコモンモードチョークコイル34の第1の磁性体コア38の突起部40a、40bと、第2のコモンモードチョークコイル35の第2の磁性体コア39の突起部41a、4bとの空隙42に、矩形板の中央部分を除去した枠形状の例えば永久磁石等からなる強磁性体48が介挿されている。
【0089】
その他の構成は、図4に示した第2実施形態のノイズフィルタ32aと同じである。
【0090】
このような構成の第6実施形態のノイズフィルタ32eにおいては、平滑コンデンサ7とコンバータ6とからなる直流電源47から、直流がノイズフィルタ32eの第1、第2のコモンモードチョークコイル34、35に印加されるので、R相巻線36a、37a、S相巻線36b、37bには、図12(b)、(c)に示すように定常的な直流電流Idcが流れる。
【0091】
この定常的な直流電流Idcは、強磁性体48が存在しない場合、図12(b)に示す、第1、第2の磁性体コア38、39に跨って形成された同一相の2つの巻線で形成された磁気回路45の磁束φn45のノーマルモードノードに対する高インピーダンスを得るための磁気回路45の磁束φnを一定方向へ移動(零点移動)させる直流磁束φdcを生起する。
【0092】
したがって、図11の第1、第2の磁性体コア38、39の磁化特性に示すように、第1、第2の磁性体コア38、39が磁気飽和を生じて、磁束φnが直ぐに、飽和磁束(飽和磁界Hmax)に達して、ノーマルモードノイズに対する十分高いインピーダンスを得ることができない。
【0093】
そこで、この第6実施形態のノイズフィルタ32eにおいては、第1の磁性体コア38と第2の磁性体コア39との空隙43に例えば磁石等の強磁性体48を介挿することによって、直流電源47から供給される直流に起因する直流磁束φdcの方向に対して逆方向の直流磁界(直流磁束)[―φdc]を印加して、磁気回路45の磁束φnが飽和することを抑制している。
【0094】
したがって、この第6実施形態のノイズフィルタ32eにおいては、負荷側装置30aで発生して、直流電源47側方向へ伝搬するEMIノイズのコモンモードノイズ、及びノーマルモードノイズを十分抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の第1実施形態に係わるノイズフィルタの概略構成を示す回路図
【図2】同実施形態のノイズフィルタに組込まれた第1、第2のコモンモードチョークコイルの構成を説明するための組立斜視図
【図3】同実施形態のノイズフィルタに組込まれた第1、第2のコモンモードチョークコイルの各巻線の配置及び巻回方向を示す図
【図4】本発明の第2実施形態に係わるノイズフィルタの概略構成を示す回路図
【図5】本発明の第3実施形態に係わるノイズフィルタの概略構成を示す回路図
【図6】本発明の第4実施形態に係わるノイズフィルタの概略構成を示す回路図
【図7】本発明の第5実施形態に係わるノイズフィルタの概略構成を示す回路図
【図8】本発明の第6実施形態に係わるノイズフィルタが組込まれた電力供給システムを示す模式図
【図9】同実施形態のノイズフィルタの概略構成を示す回路図
【図10】同実施形態のノイズフィルタが組込まれた第1、第2のコモンモードチョークコイルの構成を説明するための組立斜視図
【図11】同実施形態のノイズフィルタの効果を説明するための各磁性体コアの磁化特性を示す図
【図12】同実施形態のノイズフィルタに組込まれた第1、第2のコモンモードチョークコイルの各巻線の配置及び巻回方向を示す図
【図13】従来のノイズフィルタが組込まれた電力供給システムを示す模式図
【図14】同従来のノイズフィルタの概略構成を示す回路図
【図15】同従来のノイズフィルタに組込まれた各コモンモードチョークコイルの構成図
【符号の説明】
【0096】
1…単相交流電源、2…負荷、3…電力変換装置、6…コンバータ、8…インバータ、20,21…相間コンデンサ、22…アース、23a,23A,23b,23B,23C,24a,24A,24b,24B…接地コンデンサ、30,30a…負荷側装置、32,32a,32b,32c.32d,32e…ノイズフィルタ、34…第1のコモンモードチョークコイル、35…第2のコモンモードチョークコイル、36a,37a…R相巻線、36b,37b…S相巻線、38…第1の磁性体コア、39…第2の磁性体コア、40a,40b,41a,41b…突起部、42…空隙、43a,43b…接続点、44,45…磁気回路、46…耐圧付加コンデンサ、47…直流電源、48…強磁性体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単相交流電源と負荷側装置とを結ぶ電路に設けられ、前記負荷側装置で生じる電磁妨害雑音の前記単相交流電源への伝搬を抑制するノイズフィルタにおいて、
両端に突起部が形成された一対の磁脚を有する第1の磁性体コアにおける前記一対の磁脚に第1相の巻線及び第2相の巻線が互いに逆向に巻回された電源側の第1のコモンモードチョークコイルと、
前記第1の磁性体コアと同一構成を有し、両端の突起部が前記第1の磁性体コアの両端の突起部に空隙を介して対向するように配設された第2の磁性体コアの一対の磁脚に、第1相の巻線及び第2相の巻線が互いに逆向に、かつ前記第1のコモンモードチョークコイルの同一相の巻線に対しても逆向になるように巻回された負荷側の第2のコモンモードチョークコイルと、
前記第1、第2のコモンモードチョークコイルにおける少なくとも1つのコモンモードチョークコイルを挟むように電源側端子間及び負荷側端子間に設けられた一対の相間コンデンサと、
前記第2のコモンモードチョークコイルの負荷側端子の各相とアースとの間に設けられた一対の接地コンデンサと、
第1のコモンモードチョークコイルと第2のコモンモードチョークコイルとの接続点における各相とアースとの間に設けられた一対の接地コンデンサと
を備えたことを特徴とするノイズフィルタ。
【請求項2】
単相交流電源と負荷側装置とを結ぶ電路に設けられ、前記負荷側装置で生じる電磁妨害雑音の前記単相交流電源への伝搬を抑制するノイズフィルタにおいて、
両端に突起部が形成された一対の磁脚を有する第1の磁性体コアにおける前記一対の磁脚に第1相の巻線及び第2相の巻線が互いに逆向に巻回された電源側の第1のコモンモードチョークコイルと、
前記第1の磁性体コアと同一構成を有し、両端の突起部が前記第1の磁性体コアの両端の突起部に空隙を介して対向するように配設された第2の磁性体コアの一対の磁脚に、第1相の巻線及び第2相の巻線が互いに逆向に、かつ前記第1のコモンモードチョークコイルの同一相の巻線に対しても逆向になるように巻回された負荷側の第2のコモンモードチョークコイルと、
前記第1、第2のコモンモードチョークコイルにおける少なくとも1つのコモンモードチョークコイルを挟むように電源側端子間及び負荷側端子間に設けられた一対の相間コンデンサと、
前記第2のコモンモードチョークコイルの負荷側端子の一方の相とアースとの間に設けられた接地コンデンサと、
第1のコモンモードチョークコイルと第2のコモンモードチョークコイルとの接続点における他方の相とアースとの間に設けられた接地コンデンサと
を備えたことを特徴とするノイズフィルタ。
【請求項3】
単相交流電源と負荷側装置とを結ぶ電路に設けられ、前記負荷側装置で生じる電磁妨害雑音の前記単相交流電源への伝搬を抑制するノイズフィルタにおいて、
両端に突起部が形成された一対の磁脚を有する第1の磁性体コアにおける前記一対の磁脚に第1相の巻線及び第2相の巻線が互いに逆向に巻回された電源側の第1のコモンモードチョークコイルと、
前記第1の磁性体コアと同一構成を有し、両端の突起部が前記第1の磁性体コアの両端の突起部に空隙を介して対向するように配設された第2の磁性体コアの一対の磁脚に、第1相の巻線及び第2相の巻線が互いに逆向に、かつ前記第1のコモンモードチョークコイルの同一相の巻線に対しても逆向になるように巻回された負荷側の第2のコモンモードチョークコイルと、
前記第1、第2のコモンモードチョークコイルにおける少なくとも1つのコモンモードチョークコイルを挟むように電源側端子間及び負荷側端子間に設けられた一対の相間コンデンサと、
前記第2のコモンモードチョークコイルの負荷側端子の一方の相とアースとの間に設けられた接地コンデンサと、
第1のコモンモードチョークコイルと第2のコモンモードチョークコイルとの接続点における前記負荷側端子と同一相とアースとの間に設けられた接地コンデンサと
を備えたことを特徴とするノイズフィルタ。
【請求項4】
前記各接地コンデンサの各接地側端子と前記アースとの間に介挿された耐圧付加コンデンサとを備えたことを特徴とする請求項2又は3記載のノイズフィルタ。
【請求項5】
単相交流電源と負荷側装置とを結ぶ電路に設けられ、前記負荷側装置で生じる電磁妨害雑音の前記単相交流電源への伝搬を抑制するノイズフィルタにおいて、
両端に突起部が形成された一対の磁脚を有する第1の磁性体コアにおける前記一対の磁脚に第1相の巻線及び第2相の巻線が互いに逆向に巻回された電源側の第1のコモンモードチョークコイルと、
前記第1の磁性体コアと同一構成を有し、両端の突起部が前記第1の磁性体コアの両端の突起部に空隙を介して対向するように配設された第2の磁性体コアの一対の磁脚に、第1相の巻線及び第2相の巻線が互いに逆向に、かつ前記第1のコモンモードチョークコイルの同一相の巻線に対しても逆向になるように巻回された負荷側の第2のコモンモードチョークコイルと、
前記第1、第2のコモンモードチョークコイルにおける少なくとも1つのコモンモードチョークコイルを挟むように電源側端子間及び負荷側端子間に設けられた一対の相間コンデンサと、
前記第2のコモンモードチョークコイルの負荷側端子の一方の相に一端が接続された相間コンデンサと、
第1のコモンモードチョークコイルと第2のコモンモードチョークコイルとの接続点における他方の相に一端が接続された相間コンデンサと、
前記一端が各相に接続された各相間コンデンサの各他端と前記アースとの間に介挿された相間コンデンサと
を備えたことを特徴とするノイズフィルタ。
【請求項6】
単相交流電源と負荷側装置とを結ぶ電路に設けられ、前記負荷側装置で生じる電磁妨害雑音の前記単相交流電源への伝搬を抑制するノイズフィルタにおいて、
両端に突起部が形成された一対の磁脚を有する第1の磁性体コアにおける前記一対の磁脚に第1相の巻線及び第2相の巻線が互いに逆向に巻回された電源側の第1のコモンモードチョークコイルと、
前記第1の磁性体コアと同一構成を有し、両端の突起部が前記第1の磁性体コアの両端の突起部に空隙を介して対向するように配設された第2の磁性体コアの一対の磁脚に、第1相の巻線及び第2相の巻線が互いに逆向に、かつ前記第1のコモンモードチョークコイルの同一相の巻線に対しても逆向になるように巻回された負荷側の第2のコモンモードチョークコイルと、
前記第1、第2のコモンモードチョークコイルにおける少なくとも1つのコモンモードチョークコイルを挟むように電源側端子間及び負荷側端子間に設けられた一対の相間コンデンサと、
前記第2のコモンモードチョークコイルの負荷側端子の一方の相に一端が接続された相間コンデンサと、
第1のコモンモードチョークコイルと第2のコモンモードチョークコイルとの接続点における前記負荷側端子と同一相に一端が接続された相間コンデンサと、
前記一端が各相に接続された各相間コンデンサの各他端と前記アースとの間に介挿された接地コンデンサと
を備えたことを特徴とするノイズフィルタ。
【請求項7】
直流電源と負荷側装置とを結ぶ電路に設けられ、前記負荷側装置で生じる電磁妨害雑音の前記直流電源への伝搬を抑制するノイズフィルタにおいて、
両端に突起部が形成された一対の磁脚を有する第1の磁性体コアにおける前記一対の磁脚に第1相の巻線及び第2相の巻線が互いに逆向に巻回された電源側の第1のコモンモードチョークコイルと、
前記第1の磁性体コアと同一構成を有し、両端の突起部が前記第1の磁性体コアの両端の突起部に空隙を介して対向するように配設された第2の磁性体コアの一対の磁脚に、第1相の巻線及び第2相の巻線が互いに逆向に、かつ前記第1のコモンモードチョークコイルの同一相の巻線に対しても逆向になるように巻回された負荷側の第2のコモンモードチョークコイルと、
前記第1の磁性体コアと前記第2の磁性体コアとの空隙に介挿された強磁性体と、
前記第1、第2のコモンモードチョークコイルにおける少なくとも1つのコモンモードチョークコイルを挟むように電源側端子間及び負荷側端子間に設けられた一対の相間コンデンサと、
前記第2のコモンモードチョークコイルの負荷側端子の一方の相とアースとの間に設けられた接地コンデンサと、
前記負荷側端子と同一相に一端が接続された第1のコモンモードチョークコイルと第2のコモンモードチョークコイルとの接続点における一方の相とアースとの間に設けられた接地コンデンサと
を備えたことを特徴とするノイズフィルタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−235580(P2007−235580A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−55038(P2006−55038)
【出願日】平成18年3月1日(2006.3.1)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(302038844)東芝シュネデール・インバータ株式会社 (78)
【Fターム(参考)】