ノズルプレートおよびその製造方法
【課題】微粒子が微細孔の内部に累積して微細孔を塞ぐのを回避可能なノズルプレートを提供する。
【解決手段】プレート12は、当該プレート12の頂部および底部を貫通するよう形成され、かつ内表面が平滑であり、内径がプレート12の底部から頂部へ向かうに従い大きくなるよう形成される複数の微細孔14を有する。
【解決手段】プレート12は、当該プレート12の頂部および底部を貫通するよう形成され、かつ内表面が平滑であり、内径がプレート12の底部から頂部へ向かうに従い大きくなるよう形成される複数の微細孔14を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒径別大気エアロゾル採取装置に関し、詳しくは多段階式インパクターに用いる複数の微細孔を有するノズルプレートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
米国MSP社により開発製造された、微細孔によって沈殿を均一に行なうインパクター(Micro-Orifice Uniform Deposit Impactor, MOUDI)は、大気エアロゾルの採取に汎用されている。微細孔によって沈殿を均一に行なうインパクターは数多くのノズルプレートおよび衝撃板を備え、ノズルプレートは数多くの微細孔を有する。気流が微細孔を通る際、気流中の微粒子は慣性によって下方の衝撃板上に採取される。かつ段階によってパラメーターが異なるため、採取できる微粒子の大きさが異なる。例えば、10段階式MOUDIは段階によって遮蔽する空気動力学的直径(cutoff aerodynamic diameter)が、それぞれ18μm、10.0μm、5.6μm、3.2μm、1.8μm、1.0μm、0.56μm、0.32μm、0.18μm、0.1μm、0.056μm、及び<0.056μmの順である。
【0003】
Ji氏らは、採取された後の8段階式MOUDIのうちの第7段階および第8段階のノズルプレートを電子顕微鏡で観察した。その研究結果は、非特許文献1により発表された。Ji氏らの研究結果によって、MOUDIが暫く使用された後、微粒子はノズルの微細孔を塞ぎ、それぞれの段階によって遮蔽する空気動力学的直径は本来の設定数値より小さくなり、それぞれの段階の圧力差は本来の設定数値より大きくなることが判明した。
【0004】
本発明者は、MOUDIのうちの第9段階のノズルプレートの微細孔を光学顕微鏡で観察した結果、微細孔は図11に示すように階段状かつ粗皮状を呈することが判明した。これは微粒子が微細孔を塞ぐという現象に繋がる可能性があると考えられる。また微細孔は底部の壁の厚さがわずか10μmであるため、構造が非常に脆い。従って超音波振動方式による洗浄を行なうことはできない。かつ洗浄の際、非常に手間がかかる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Ji, Jun-Ho, Bae, Gwi-Nam and Hwang, Jungho., 2006. Observation Evaluation of Nozzle Clogging in a Micro-orifice Impactor Used for Atmospheric Aerosol Sampling, Particulate Science and Technology 24:1, 85-96
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の主な目的は、微粒子が微細孔の内部に累積して微細孔を塞ぐのを回避可能なノズルプレートを提供することにある。
本発明のもう一つの目的は、清浄の際、超音波振動装置を使用することが可能なノズルプレートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するために、本発明による多段階式インパクターに用いるノズルプレートは、プレートを備え、当該プレートは複数の微細孔を有する。微細孔は、プレートの頂部および底部を貫通するようプレートに形成され、かつ内表面が平滑であり、内径がプレートの底部から頂部へ向かうに従い大きくなるよう形成されている。微細孔は数が50から10000の間であり、底部における内径が45μmから410μmの間である。複数の微細孔を有するノズルプレートは、微細孔を囲むようにプレートの底部に形成された複数の環状突出部を有する。
上記構成の、複数の微細孔を有するノズルプレートは、微細孔の周縁が平滑であるため、微粒子が微細孔の内部に累積して微細孔を塞いでしまうという現象を避けることが可能である。
また、上記構成の、複数の微細孔を有するノズルプレートは、微細孔の壁の厚さが均一であり、構造が丈夫であるため、清浄の際、超音波振動装置を使用することが可能である。
【0008】
本発明による多段階式インパクターに用いるノズルプレートの製造方法は次のステップを含む。ステップ(1)では、基材上にシード層を生成する。ステップ(2)では、シード層に第一フォトレジストをコーティングし、その後、第一マスクを介して第一フォトレジストにUV光を照射することによって第一フォトレジストに現像処理を行なう。ステップ(3)では、シード層のエッチングおよび第一フォトレジストの除去を進めることによってシード層上にシード層を貫通する多数の穿孔を生成する。ステップ(4)では、基材およびシード層に犠牲層を塗布する。ステップ(5)では、犠牲層に金属遮蔽層を生成する。ステップ(6)では、金属遮蔽層に第二フォトレジストをコーティングし、その後、第二マスクを介して第二フォトレジストにUV光を照射することによって第二フォトレジストに現像処理を行なう。ステップ(7)では、金属遮蔽層のエッチングおよび第二フォトレジストの除去を進めることによって金属遮蔽層上に犠牲層に位置する多数の突出部を生成する。ステップ(8)では、基材およびシード層を露出させるまで犠牲層をエッチングする。ステップ(9)では、金属材料でシード層を電気めっきすることによってガラス基材への被覆を進める。ステップ(10)では、基材、シード層および犠牲層を除去する。ステップ(9)で用いる金属材料としてはコバルトおよびニッケルの混合物を採用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態による多段階式インパクターに用いるノズルプレートの製造過程を示す模式図。
【図2】本発明の一実施形態による多段階式インパクターに用いるノズルプレートの製造過程を示す模式図。
【図3】本発明の一実施形態による多段階式インパクターに用いるノズルプレートの製造過程を示す模式図。
【図4】本発明の一実施形態による多段階式インパクターに用いるノズルプレートの製造過程を示す模式図である。
【図5】本発明の一実施形態による多段階式インパクターに用いるノズルプレートの製造過程を示す模式図。
【図6】本発明の一実施形態による多段階式インパクターに用いるノズルプレートの製造過程を示す模式図。
【図7】本発明の一実施形態による多段階式インパクターに用いるノズルプレートの製造過程を示す模式図。
【図8】本発明の一実施形態による多段階式インパクターに用いるノズルプレートの製造過程を示す模式図。
【図9】本発明の一実施形態による多段階式インパクターに用いるノズルプレートの製造過程を示す模式図。
【図10】本発明の一実施形態による多段階式インパクターに用いるノズルプレートの製造過程を示す模式図。
【図11】従来のノズルプレートを示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明による多段階式インパクターに用いるノズルプレートおよびその製造方法を図面に基づいて説明する。
(一実施形態)
図1から図10に示すように、本発明の一実施形態による多段階式インパクターに用いるノズルプレートの製造方法は次のステップを含む。
【0011】
ステップ(1)では、図1に示すようにガラス基材20上にシード層22を生成する。シード層22は、銅またはクロムなどの材料を採用することが可能であり、スパッタリング法、蒸着法または化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition, CVD)によって生成することが可能である。シード層22は、厚さD2が約3μmである。
【0012】
ステップ(2)では、図2に示すようにシード層22に第一フォトレジスト24をコーティングし、その後、第一マスク26を介して第一フォトレジスト24にUV光を照射することによって第一フォトレジスト24に現像処理を行なう。第一マスク26はUV光を透過させるため、多数の円形の透光区域261を有する。図面を簡潔にするために、図2では1つの透光区域261のみを示している。
【0013】
ステップ(3)では、図3に示すようにシード層22のエッチングおよび第一フォトレジスト24の除去を進めることによってシード層22上にシード層22を貫通する多数の穿孔221を生成する。
【0014】
ステップ(4)では、図4に示すようにガラス基材20およびシード層22に犠牲層28を塗布する。犠牲層28はポリイミドを採用することが可能であるが、これに限らない。
【0015】
ステップ(5)では、図5に示すように犠牲層28に金属遮蔽層30を生成する。金属遮蔽層30は、銅またはクロムなどの材質を採用することが可能であり、スパッタリング法、蒸着法または化学気相成長法によって生成することが可能である。
【0016】
ステップ(6)では、図6に示すように金属遮蔽層30に第二フォトレジスト32をコーティングし、その後、第二マスク34を介して第二フォトレジスト32にUV光を照射することによって第二フォトレジスト32に現像処理を行なう。第二マスク34は多数の不透明な遮蔽区域341を有する。遮蔽区域341は、シード層22上の第一穿孔221の位置に対応する。
【0017】
ステップ(7)では、図7に示すように金属遮蔽層30のエッチングおよび第二フォトレジスト32の除去を進めることによって金属遮蔽層30上に犠牲層28に位置する多数の突出部301を生成する。図面を簡潔にするため、図6および図7では、1つの遮蔽区域341と1つの突出部301のみを示している。
ステップ(8)では、図8に示すように、ガラス基材20およびシード層22を露出させるまで犠牲層28をエッチングする。
【0018】
ステップ(9)では、図9に示すように金属材料36でシード層22を電気めっきすることによってガラス基材20への被覆を進め、かつ所定の厚さD3に達するまで持続的に電気めっきする。金属材料36はニッケルおよびコバルトの混合物を採用することが可能であるが、これに限らない。厚さD3は150μmである。
【0019】
ステップ(10)では、図10に示すように基材20、シード層22および犠牲層28を除去することによって多段階式インパクターに用いる、多数の微細孔を有するノズルプレート10を完成させ、その後、多段階式インパクター内に容易に固定するため、ノズルプレート10を裁断し、その周りに孔を開ける。
【0020】
図10に示すように、本発明の実施形態による多段階式インパクターに用いる、多数の微細孔を有するノズルプレート10は、上述した石版製法、エッチング法および電気めっき法によって製作され、プレート12を備える。プレート12は、多数の微細孔14を備える。微細孔14はプレート12の頂部および底部を貫通するようプレート12に形成される。プレート12は電気めっき法によって製作されるため、微細孔14は内表面が平滑であり、内径がノズルプレート10の底部から頂部へ向かうに従い大きくなるよう形成されている。ノズルプレート10は、微細孔14を囲むようにプレート12の底部に形成される多数の環状突出部16を有する。
【0021】
微細孔14の内表面が平滑であるため、微粒子は微細孔14をスムーズに通過することが可能である。従って、微粒子はノズルプレート10を塞いでしまうという現象を確実に避けることが可能となる。また微細孔14は孔壁の厚さが均一であり、構造が丈夫であるため、洗浄の際、超音波振動装置を使用することが可能である。従って、使用上の利便性およびテストの品質を向上させることが可能となる。設計により、遮蔽する空気動力学的直径が異なるため、ノズルプレート10上の微細孔14の数および底部の直径を、それぞれ900個および140μm、900個および90μm、2000個および55μm、2000個および52μm、980個および49μm、1650個および45μm、または2000個および55μmに設計することが可能である。特に微細孔14の数が50から10000個の間、直径が45から410μmの間であることが好ましい。
以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
【符号の説明】
【0022】
10:ノズルプレート、12:プレート、14:微細孔、16:環状突出部、20:基材、22:シード層、221:穿孔、24:第一フォトレジスト、26:第一マスク、28:犠牲層、30:金属遮蔽層、301:突出部、32:第二フォトレジスト、34:第二マスク、36:金属材料、D2:シード層の厚さ、D3:ノズルプレートの厚さ
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒径別大気エアロゾル採取装置に関し、詳しくは多段階式インパクターに用いる複数の微細孔を有するノズルプレートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
米国MSP社により開発製造された、微細孔によって沈殿を均一に行なうインパクター(Micro-Orifice Uniform Deposit Impactor, MOUDI)は、大気エアロゾルの採取に汎用されている。微細孔によって沈殿を均一に行なうインパクターは数多くのノズルプレートおよび衝撃板を備え、ノズルプレートは数多くの微細孔を有する。気流が微細孔を通る際、気流中の微粒子は慣性によって下方の衝撃板上に採取される。かつ段階によってパラメーターが異なるため、採取できる微粒子の大きさが異なる。例えば、10段階式MOUDIは段階によって遮蔽する空気動力学的直径(cutoff aerodynamic diameter)が、それぞれ18μm、10.0μm、5.6μm、3.2μm、1.8μm、1.0μm、0.56μm、0.32μm、0.18μm、0.1μm、0.056μm、及び<0.056μmの順である。
【0003】
Ji氏らは、採取された後の8段階式MOUDIのうちの第7段階および第8段階のノズルプレートを電子顕微鏡で観察した。その研究結果は、非特許文献1により発表された。Ji氏らの研究結果によって、MOUDIが暫く使用された後、微粒子はノズルの微細孔を塞ぎ、それぞれの段階によって遮蔽する空気動力学的直径は本来の設定数値より小さくなり、それぞれの段階の圧力差は本来の設定数値より大きくなることが判明した。
【0004】
本発明者は、MOUDIのうちの第9段階のノズルプレートの微細孔を光学顕微鏡で観察した結果、微細孔は図11に示すように階段状かつ粗皮状を呈することが判明した。これは微粒子が微細孔を塞ぐという現象に繋がる可能性があると考えられる。また微細孔は底部の壁の厚さがわずか10μmであるため、構造が非常に脆い。従って超音波振動方式による洗浄を行なうことはできない。かつ洗浄の際、非常に手間がかかる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Ji, Jun-Ho, Bae, Gwi-Nam and Hwang, Jungho., 2006. Observation Evaluation of Nozzle Clogging in a Micro-orifice Impactor Used for Atmospheric Aerosol Sampling, Particulate Science and Technology 24:1, 85-96
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の主な目的は、微粒子が微細孔の内部に累積して微細孔を塞ぐのを回避可能なノズルプレートを提供することにある。
本発明のもう一つの目的は、清浄の際、超音波振動装置を使用することが可能なノズルプレートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するために、本発明による多段階式インパクターに用いるノズルプレートは、プレートを備え、当該プレートは複数の微細孔を有する。微細孔は、プレートの頂部および底部を貫通するようプレートに形成され、かつ内表面が平滑であり、内径がプレートの底部から頂部へ向かうに従い大きくなるよう形成されている。微細孔は数が50から10000の間であり、底部における内径が45μmから410μmの間である。複数の微細孔を有するノズルプレートは、微細孔を囲むようにプレートの底部に形成された複数の環状突出部を有する。
上記構成の、複数の微細孔を有するノズルプレートは、微細孔の周縁が平滑であるため、微粒子が微細孔の内部に累積して微細孔を塞いでしまうという現象を避けることが可能である。
また、上記構成の、複数の微細孔を有するノズルプレートは、微細孔の壁の厚さが均一であり、構造が丈夫であるため、清浄の際、超音波振動装置を使用することが可能である。
【0008】
本発明による多段階式インパクターに用いるノズルプレートの製造方法は次のステップを含む。ステップ(1)では、基材上にシード層を生成する。ステップ(2)では、シード層に第一フォトレジストをコーティングし、その後、第一マスクを介して第一フォトレジストにUV光を照射することによって第一フォトレジストに現像処理を行なう。ステップ(3)では、シード層のエッチングおよび第一フォトレジストの除去を進めることによってシード層上にシード層を貫通する多数の穿孔を生成する。ステップ(4)では、基材およびシード層に犠牲層を塗布する。ステップ(5)では、犠牲層に金属遮蔽層を生成する。ステップ(6)では、金属遮蔽層に第二フォトレジストをコーティングし、その後、第二マスクを介して第二フォトレジストにUV光を照射することによって第二フォトレジストに現像処理を行なう。ステップ(7)では、金属遮蔽層のエッチングおよび第二フォトレジストの除去を進めることによって金属遮蔽層上に犠牲層に位置する多数の突出部を生成する。ステップ(8)では、基材およびシード層を露出させるまで犠牲層をエッチングする。ステップ(9)では、金属材料でシード層を電気めっきすることによってガラス基材への被覆を進める。ステップ(10)では、基材、シード層および犠牲層を除去する。ステップ(9)で用いる金属材料としてはコバルトおよびニッケルの混合物を採用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態による多段階式インパクターに用いるノズルプレートの製造過程を示す模式図。
【図2】本発明の一実施形態による多段階式インパクターに用いるノズルプレートの製造過程を示す模式図。
【図3】本発明の一実施形態による多段階式インパクターに用いるノズルプレートの製造過程を示す模式図。
【図4】本発明の一実施形態による多段階式インパクターに用いるノズルプレートの製造過程を示す模式図である。
【図5】本発明の一実施形態による多段階式インパクターに用いるノズルプレートの製造過程を示す模式図。
【図6】本発明の一実施形態による多段階式インパクターに用いるノズルプレートの製造過程を示す模式図。
【図7】本発明の一実施形態による多段階式インパクターに用いるノズルプレートの製造過程を示す模式図。
【図8】本発明の一実施形態による多段階式インパクターに用いるノズルプレートの製造過程を示す模式図。
【図9】本発明の一実施形態による多段階式インパクターに用いるノズルプレートの製造過程を示す模式図。
【図10】本発明の一実施形態による多段階式インパクターに用いるノズルプレートの製造過程を示す模式図。
【図11】従来のノズルプレートを示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明による多段階式インパクターに用いるノズルプレートおよびその製造方法を図面に基づいて説明する。
(一実施形態)
図1から図10に示すように、本発明の一実施形態による多段階式インパクターに用いるノズルプレートの製造方法は次のステップを含む。
【0011】
ステップ(1)では、図1に示すようにガラス基材20上にシード層22を生成する。シード層22は、銅またはクロムなどの材料を採用することが可能であり、スパッタリング法、蒸着法または化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition, CVD)によって生成することが可能である。シード層22は、厚さD2が約3μmである。
【0012】
ステップ(2)では、図2に示すようにシード層22に第一フォトレジスト24をコーティングし、その後、第一マスク26を介して第一フォトレジスト24にUV光を照射することによって第一フォトレジスト24に現像処理を行なう。第一マスク26はUV光を透過させるため、多数の円形の透光区域261を有する。図面を簡潔にするために、図2では1つの透光区域261のみを示している。
【0013】
ステップ(3)では、図3に示すようにシード層22のエッチングおよび第一フォトレジスト24の除去を進めることによってシード層22上にシード層22を貫通する多数の穿孔221を生成する。
【0014】
ステップ(4)では、図4に示すようにガラス基材20およびシード層22に犠牲層28を塗布する。犠牲層28はポリイミドを採用することが可能であるが、これに限らない。
【0015】
ステップ(5)では、図5に示すように犠牲層28に金属遮蔽層30を生成する。金属遮蔽層30は、銅またはクロムなどの材質を採用することが可能であり、スパッタリング法、蒸着法または化学気相成長法によって生成することが可能である。
【0016】
ステップ(6)では、図6に示すように金属遮蔽層30に第二フォトレジスト32をコーティングし、その後、第二マスク34を介して第二フォトレジスト32にUV光を照射することによって第二フォトレジスト32に現像処理を行なう。第二マスク34は多数の不透明な遮蔽区域341を有する。遮蔽区域341は、シード層22上の第一穿孔221の位置に対応する。
【0017】
ステップ(7)では、図7に示すように金属遮蔽層30のエッチングおよび第二フォトレジスト32の除去を進めることによって金属遮蔽層30上に犠牲層28に位置する多数の突出部301を生成する。図面を簡潔にするため、図6および図7では、1つの遮蔽区域341と1つの突出部301のみを示している。
ステップ(8)では、図8に示すように、ガラス基材20およびシード層22を露出させるまで犠牲層28をエッチングする。
【0018】
ステップ(9)では、図9に示すように金属材料36でシード層22を電気めっきすることによってガラス基材20への被覆を進め、かつ所定の厚さD3に達するまで持続的に電気めっきする。金属材料36はニッケルおよびコバルトの混合物を採用することが可能であるが、これに限らない。厚さD3は150μmである。
【0019】
ステップ(10)では、図10に示すように基材20、シード層22および犠牲層28を除去することによって多段階式インパクターに用いる、多数の微細孔を有するノズルプレート10を完成させ、その後、多段階式インパクター内に容易に固定するため、ノズルプレート10を裁断し、その周りに孔を開ける。
【0020】
図10に示すように、本発明の実施形態による多段階式インパクターに用いる、多数の微細孔を有するノズルプレート10は、上述した石版製法、エッチング法および電気めっき法によって製作され、プレート12を備える。プレート12は、多数の微細孔14を備える。微細孔14はプレート12の頂部および底部を貫通するようプレート12に形成される。プレート12は電気めっき法によって製作されるため、微細孔14は内表面が平滑であり、内径がノズルプレート10の底部から頂部へ向かうに従い大きくなるよう形成されている。ノズルプレート10は、微細孔14を囲むようにプレート12の底部に形成される多数の環状突出部16を有する。
【0021】
微細孔14の内表面が平滑であるため、微粒子は微細孔14をスムーズに通過することが可能である。従って、微粒子はノズルプレート10を塞いでしまうという現象を確実に避けることが可能となる。また微細孔14は孔壁の厚さが均一であり、構造が丈夫であるため、洗浄の際、超音波振動装置を使用することが可能である。従って、使用上の利便性およびテストの品質を向上させることが可能となる。設計により、遮蔽する空気動力学的直径が異なるため、ノズルプレート10上の微細孔14の数および底部の直径を、それぞれ900個および140μm、900個および90μm、2000個および55μm、2000個および52μm、980個および49μm、1650個および45μm、または2000個および55μmに設計することが可能である。特に微細孔14の数が50から10000個の間、直径が45から410μmの間であることが好ましい。
以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
【符号の説明】
【0022】
10:ノズルプレート、12:プレート、14:微細孔、16:環状突出部、20:基材、22:シード層、221:穿孔、24:第一フォトレジスト、26:第一マスク、28:犠牲層、30:金属遮蔽層、301:突出部、32:第二フォトレジスト、34:第二マスク、36:金属材料、D2:シード層の厚さ、D3:ノズルプレートの厚さ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレートを備え、
前記プレートは、前記プレートの頂部および底部を貫通するよう形成され、かつ内表面が平滑であり、内径が前記プレートの底部から頂部へ向かうに従い大きくなるよう形成される複数の微細孔を有することを特徴とするノズルプレート。
【請求項2】
前記微細孔は、数が50から10000の間であることを特徴とする請求項1に記載のノズルプレート。
【請求項3】
前記微細孔は、数が900から2000の間であることを特徴とする請求項1に記載のノズルプレート。
【請求項4】
前記微細孔を囲むように前記プレートの底部に形成される複数の環状突出部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のノズルプレート。
【請求項5】
前記微細孔は、底部における内径が45μmから410μmの間であることを特徴とする請求項1に記載のノズルプレート。
【請求項6】
請求項1に記載のノズルプレートを製造する方法であって、
基材上にシード層を生成するステップ(1)と、
前記シード層に第一フォトレジストをコーティングし、その後、第一マスクを介して第一フォトレジストにUV光を照射することによって前記第一フォトレジストに現像処理を行なうステップ(2)と、
前記シード層のエッチングおよび前記第一フォトレジストの除去を進めることによって前記シード層に前記シード層を貫通する複数の穿孔を生成するステップ(3)と、
前記基材および前記シード層に犠牲層を塗布するステップ(4)と、
前記犠牲層に金属遮蔽層を生成するステップ(5)と、
前記金属遮蔽層に第二フォトレジストをコーティングし、その後、第二マスクを介して前記第二フォトレジストにUV光を照射することによって前記第二フォトレジストに現像処理を行なうステップ(6)と、
前記金属遮蔽層のエッチングおよび前記第二フォトレジストの除去を進めることによって前記金属遮蔽層に前記犠牲層に位置する複数の突出部を生成するステップ(7)と、
前記基材および前記シード層を露出させるまで前記犠牲層をエッチングするステップ(8)と、
金属材料で前記シード層を電気めっきすることによってガラス基材への被覆を進めるステップ(9)と、
前記基材、前記シード層および前記犠牲層を除去するステップ(10)と、
を含むことを特徴とするノズルプレートの製造方法。
【請求項7】
前記ステップ(9)で用いる前記金属材料は、コバルトおよびニッケルの混合物であることを特徴とする請求項6に記載のノズルプレートの製造方法。
【請求項1】
プレートを備え、
前記プレートは、前記プレートの頂部および底部を貫通するよう形成され、かつ内表面が平滑であり、内径が前記プレートの底部から頂部へ向かうに従い大きくなるよう形成される複数の微細孔を有することを特徴とするノズルプレート。
【請求項2】
前記微細孔は、数が50から10000の間であることを特徴とする請求項1に記載のノズルプレート。
【請求項3】
前記微細孔は、数が900から2000の間であることを特徴とする請求項1に記載のノズルプレート。
【請求項4】
前記微細孔を囲むように前記プレートの底部に形成される複数の環状突出部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のノズルプレート。
【請求項5】
前記微細孔は、底部における内径が45μmから410μmの間であることを特徴とする請求項1に記載のノズルプレート。
【請求項6】
請求項1に記載のノズルプレートを製造する方法であって、
基材上にシード層を生成するステップ(1)と、
前記シード層に第一フォトレジストをコーティングし、その後、第一マスクを介して第一フォトレジストにUV光を照射することによって前記第一フォトレジストに現像処理を行なうステップ(2)と、
前記シード層のエッチングおよび前記第一フォトレジストの除去を進めることによって前記シード層に前記シード層を貫通する複数の穿孔を生成するステップ(3)と、
前記基材および前記シード層に犠牲層を塗布するステップ(4)と、
前記犠牲層に金属遮蔽層を生成するステップ(5)と、
前記金属遮蔽層に第二フォトレジストをコーティングし、その後、第二マスクを介して前記第二フォトレジストにUV光を照射することによって前記第二フォトレジストに現像処理を行なうステップ(6)と、
前記金属遮蔽層のエッチングおよび前記第二フォトレジストの除去を進めることによって前記金属遮蔽層に前記犠牲層に位置する複数の突出部を生成するステップ(7)と、
前記基材および前記シード層を露出させるまで前記犠牲層をエッチングするステップ(8)と、
金属材料で前記シード層を電気めっきすることによってガラス基材への被覆を進めるステップ(9)と、
前記基材、前記シード層および前記犠牲層を除去するステップ(10)と、
を含むことを特徴とするノズルプレートの製造方法。
【請求項7】
前記ステップ(9)で用いる前記金属材料は、コバルトおよびニッケルの混合物であることを特徴とする請求項6に記載のノズルプレートの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−178154(P2011−178154A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−157866(P2010−157866)
【出願日】平成22年7月12日(2010.7.12)
【出願人】(598139748)國立交通大學 (92)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月12日(2010.7.12)
【出願人】(598139748)國立交通大學 (92)
【Fターム(参考)】
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