ハイブリッドメカニズム及びこれを備えた工作機械
【課題】コストの低廉化を図ることができるとともに、作業者の操作負担を軽減することができるハイブリッドメカニズムを提供する。
【解決手段】絶対座標系で与えられるリンクヘッド301の回動位置及び移動位置に対応する指令値を、パラレルメカニズム300及びシリアルメカニズム400を含む機構全体の構成を規定する機構パラメータに基づいてヘッド駆動機構302,リンク駆動機構304,305(第1駆動機構)及びレール駆動機構(第2駆動機構)に対する指令値に変換し、第1駆動機構及び第2駆動機構を駆動制御する制御部を備え、制御部は、リンクヘッド301の回動位置及び移動位置に対応する指令値を第1駆動機構及び第2駆動機構に対する指令値に変換するにあたり、リンクヘッド301の回動位置及び移動位置から特定の演算式に基づいて第1駆動機構及び第2駆動機構の駆動量を演算する。
【解決手段】絶対座標系で与えられるリンクヘッド301の回動位置及び移動位置に対応する指令値を、パラレルメカニズム300及びシリアルメカニズム400を含む機構全体の構成を規定する機構パラメータに基づいてヘッド駆動機構302,リンク駆動機構304,305(第1駆動機構)及びレール駆動機構(第2駆動機構)に対する指令値に変換し、第1駆動機構及び第2駆動機構を駆動制御する制御部を備え、制御部は、リンクヘッド301の回動位置及び移動位置に対応する指令値を第1駆動機構及び第2駆動機構に対する指令値に変換するにあたり、リンクヘッド301の回動位置及び移動位置から特定の演算式に基づいて第1駆動機構及び第2駆動機構の駆動量を演算する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば被加工物(ワーク)を加工するための工具(加工ツール)を変位させる場合に駆動力伝達機構として用いるハイブリッドメカニズム及びこれを備えた工作機械に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、工作機械には研削盤及び旋盤・フライス盤等があり、これら各種の工作機械はその加工内容に応じて選択的に用いられる。
【0003】
このような工作機械においては、砥石,切削工具等の加工ツールを支持する主軸ヘッドや、ワークを支持するテーブル等を所望の位置に移動させたり、所望の角度で回動させたりすることにより、ワークと加工ツールとを相対的に変位させて研削や切削等の加工が行われる。
【0004】
近年、この種の工作機械には、高剛性・高精度・高速性を実現する機構として有効であることから、ベースからリンクヘッドまでが並列に連結されたリンクを有するパラレルメカニズムを備えたものが注目されてきており、またパラレルメカニズム及びシリアルメカニズムを併用したハイブリッドメカニズムを備えた工作機械も知られている。
【0005】
従来のハイブリッドメカニズムとして、第1〜第3リンク手段を有するパラレルメカニズム、及び回転軸を有するシリアルメカニズムを備えたものがある(特許文献1)。
【0006】
パラレルメカニズムは、第1〜第3リンク手段の各一方側端部が固定ベースに制御腕を介して揺動可能に、またその各他方側端部が可動部材に揺動可能にそれぞれ連結されている。
【0007】
シリアルメカニズムは、回転軸が可動部材に挿通され、かつ軸受を介して回転可能に支持されている。また、回転軸は、一方側端部が固定ベース上のモータに伸縮用の伝達部材を介して、他方側端部が作業部材にそれぞれ連結されている。
【0008】
以上の構成により、制御腕及び回転軸を駆動制御すると、作業部材を回転軸回りに回転させるとともに、回転軸と平行な軸線に沿って、またこの軸線と直交する平面上を移動させることが可能となる。
【0009】
ところで、この種のハイブリッドメカニズムにおいては、制御腕及び回転軸がそれぞれ独立して制御される。
【0010】
通常、ハイブリッドメカニズムは、その構成を規定する機構パラメータが必ずしもその設計値と一致しない。このため、作業部材の位置精度を高めるには、機構パラメータを補正し、アクチュエータ(モータ)を駆動制御することが重要である。
【特許文献1】特公平4−45310号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、パラレルメカニズム及びシリアルメカニズムが別々に制御される従来のハイブリッドメカニズムによると、パラレルメカニズム及びシリアルメカニズムの構成をそれぞれ規定する機構パラメータを別個に補正して各構成部品の加工誤差や組付誤差を修正することになる。この結果、各構成部品の加工精度及び組付精度が厳しくなり、コスト高になるという問題があった。
【0012】
また、機構パラメータの補正がメカニズム毎になることは、それだけ作業者の操作負担が重くなるという問題もあった。
【0013】
従って、本発明の目的は、ハイブリッドメカニズム全体の構成を規定する機構パラメータを補正して各構成部品の加工誤差や組付誤差の修正を行うことができ、もってコストの低廉化を図ることができるとともに、作業者の操作負担を軽減することができるハイブリッドメカニズム及びこれを備えた工作機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
(1)本発明は、上記目的を達成するために、ワークを加工する加工ツール、及び前記ワークのうち一方を支持するリンクヘッドを第1軸線の回りに回動させるとともに、前記第1軸線と直交する第2軸線に沿って移動させるパラレルメカニズムと、前記パラレルメカニズムを作動させるための第1駆動機構と、前記第1軸線と直交する平面内で前記第2軸線と交差する第3軸線に沿って前記パラレルメカニズムを移動させるシリアルメカニズムと、前記シリアルメカニズムを作動させるための第2駆動機構と、絶対座標系で与えられる前記リンクヘッドの回動位置及び移動位置に対応する指令値を、前記パラレルメカニズム及び前記シリアルメカニズムを含む機構全体の構成を規定する機構パラメータに基づいて前記第1駆動機構及び前記第2駆動機構に対する指令値に変換し、前記第1駆動機構及び前記第2駆動機構を駆動制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記リンクヘッドの回動位置及び移動位置に対応する指令値を前記第1駆動機構及び前記第2駆動機構に対する指令値に変換するにあたり、前記リンクヘッドの回動位置及び移動位置から特定の演算式に基づいて前記第1駆動機構及び前記第2駆動機構の駆動量を演算するハイブリッドメカニズムを提供する。
【0015】
(2)本発明は、上記目的を達成するために、ワークを加工する加工ツール、及び前記ワークのうち一方を支持するベッドと、前記ベッドに対して動作可能なハイブリッドメカニズムとを備えた工作機械であって、前記ハイブリッドメカニズムは、前記加工ツール及び前記ワークのうち他方を支持するリンクヘッドを第1軸線の回りに回動させるとともに、前記第1軸線と直交する第2軸線に沿って移動させるパラレルメカニズムと、前記パラレルメカニズムを作動させるための第1駆動機構と、前記第1軸線と直交する平面内で前記第2軸線と交差する第3軸線に沿って前記パラレルメカニズムを移動させるシリアルメカニズムと、前記シリアルメカニズムを作動させるための第2駆動機構と、絶対座標系で与えられる前記リンクヘッドの回動位置及び移動位置に対応する指令値を、前記パラレルメカニズム及び前記シリアルメカニズムを含む機構全体の構成を規定する機構パラメータに基づいて前記第1駆動機構及び前記第2駆動機構に対する指令値に変換し、前記第1駆動機構及び前記第2駆動機構を駆動制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記リンクヘッドの回動位置及び移動位置に対応する指令値を前記第1駆動機構及び前記第2駆動機構に対する指令値に変換するにあたり、前記リンクヘッドの回動位置及び移動位置から特定の演算式に基づいて前記第1駆動機構及び前記第2駆動機構の駆動量を演算する工作機械を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、ハイブリッドメカニズム全体の構成を規定する機構パラメータを補正して各構成部品の加工誤差や組付誤差の修正を行うことができ、コストの低廉化を図ることができるとともに、作業者の負担を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
[実施の形態]
図1は、本発明の実施の形態に係る工作機械の全体を説明するために示す平面図である。図2は、本発明の実施の形態に係る工作機械の制御装置を説明するために示すブロック図である。図3は、本発明の実施の形態に係る工作機械の要部を説明するために示す斜視図である。図4は、本発明の実施の形態に係る工作機械の要部を説明するために示す平面図である。なお、以下の説明においては、互いに直交する3つの方向をそれぞれZ軸方向(図1における主軸方向)及びX軸方向(図1における紙面内でZ軸に直交する方向)・Y軸方向(X軸及びZ軸に直交する方向)とする。
【0018】
〔工作機械の全体構成〕
図1及び図2において、符号1で示す工作機械は、例えば円筒研削盤からなり、工作機械本体2及び制御装置3・付属装置(図示せず)から大略構成されている。
【0019】
(工作機械本体2の構成)
工作機械本体2は、図1に示すように、ワークWを回転駆動可能に支持するワーク支持駆動ユニット100と、砥石等の加工ツール501が着脱可能に装着されるホイール回転主軸ユニット200と、パラレルメカニズム300及びシリアルメカニズム400を有するハイブリッドメカニズム500とを備えている。
【0020】
<ワーク支持駆動ユニット100の構成>
ワーク支持駆動ユニット100は、図1に示すように、主軸台ベース101及び左右2つの主軸台103,103を有し、ベッド(ベース)10上の前方端部(図1では下側)に載置されている。
【0021】
主軸台ベース101の背面部(図1では上側)には、左右(Z軸)方向に所定の間隔をもって互いに並列し、かつZ軸方向に延在する2つの主軸台スライドガイド102,102が配設されている。
【0022】
主軸台103,103は、それぞれが対応する主軸台スライドガイド102,102上にZ軸方向に沿って移動自在に配設されている。そして、それぞれが各主軸台スライドガイド102,102上における所定の位置に位置決めされ、その両中心部間でワークWを挟持するように構成されている。主軸台103,103には、それぞれ主軸105,105を所定の回転数で回転駆動する主軸駆動モータ104,104が搭載されている。
【0023】
<ホイール回転主軸ユニット200の構成>
ホイール回転主軸ユニット200は、図1に示すように、加工ツール501の被把持部を把持可能なホイール回転主軸201、及びこのホイール回転主軸201を回転駆動するホイール回転主軸駆動モータ(図示せず)を有し、リンクヘッド301に搭載されている。そして、ホイール回転主軸駆動モータの回転駆動力をホイール回転主軸201に伝達し、さらにホイール回転主軸201上の加工ツール501を所定の回転数で回転駆動するように構成されている。
【0024】
<ハイブリッドメカニズム500の構成>
ハイブリッドメカニズム500は、図3及び図4に示すように、前述したパラレルメカニズム300及びシリアルメカニズム400を含み、ベッド10(図1に示す)上に配置されている。そして、パラレルメカニズム300を作動させるための第1駆動機構(ヘッド駆動機構302及びリンク駆動機構304,305)及びシリアルメカニズム400を作動させるための第2駆動機構(レール駆動機構)から駆動力を受けてY軸と直交する平面内で動作し得るように構成されている。
【0025】
パラレルメカニズム300は、図3及び図4に示すように、リンクヘッド301をX軸方向に沿って移動させるためのヘッド駆動機構302と、一端(ヘッド側端部)がX軸及びZ軸と平行な水平面内でY軸と平行な軸線の回りに回動可能に互いに接続された1対のリンク303A,303Bからなるリンク機構303と、このリンク機構303のリンク303A,303Bの他端(レール側端部)をX軸方向に沿ってそれぞれ移動させるための1対のリンク駆動機構304,305とを備え、ベッド10(図1に示す)上に配置されている。
【0026】
リンクヘッド301は、ヘッド回転ジョイント3010及び直動ジョイント3011を有し、ヘッド回転ジョイント3010がベッド10上のスライダ案内用のレール306,306にスライダ3012を介して移動可能に配置され、かつ直動ジョイント3011がリンク機構303(リンク303A,303B)のヘッド取付側端部(リンク自由端部)にリンク連結用回転ジョイント3030を介して回動可能に支持されている。そして、レール306,306上でスライダ3012を介してX軸(第2軸線)方向に沿って移動し、かつヘッド回転ジョイント3010でY軸と平行な軸線(第1軸線:B軸)の回りに回動し得るように構成されている。
【0027】
リンク連結用回転ジョイント3030は、Y軸と平行な軸線の回りに回動する1自由度のジョイントして機能するように構成されている。
【0028】
リンクヘッド301の上面部には、加工ツール501の回転軸線T(図4に示す)と平行な方向に延在し、かつ直動ジョイント3011をY軸と直交する一軸線方向に案内するジョイント案内用のレール3013(図3に示す)が配置されている。
【0029】
リンクヘッド301の下面部には、ヘッド回転ジョイント3010の回転量(回転角度)を検出するエンコーダ等の角度センサ380(図2に示す)が配設されている。
【0030】
ヘッド回転ジョイント3010は、第1軸線の回りに回転する1自由度のジョイントして機能し、リンクヘッド301の下面部に配設され、かつリンク連結用回転ジョイント3030の配設位置とは直動ジョイント3011の移動方向にオフセットされた位置で移動不能に配置されている。
【0031】
直動ジョイント3011は、レール3013上に移動可能に配置されている。これにより、リンク連結用回転ジョイント3030が直動ジョイント3011と共にレール3013に沿って移動案内される。
【0032】
ヘッド駆動機構302は、スライダ3012を移動させる送りねじ3020、及びこの送りねじ3020を駆動するサーボモータ3021からなり、制御装置3(インターフェース73)にサーボモータユニット80を介して接続されている。そして、スライダ3012を介してリンクヘッド301をX軸方向に沿って移動させ、リンク駆動機構304,305及びレール駆動機構(図示せず)と共にリンクヘッド301の位置及び姿勢を変更し得るように構成されている。ヘッド駆動機構302には、サーボモータ3021の回転量を検出するモータ回転検出用エンコーダ3022が取り付けられている。
【0033】
リンク機構303は、リンクヘッド301の移動・回動平面と同一の仮想平面内で揺動可能な1対のリンク303A,303Bを有し、ワーク支持駆動ユニット100の後方に配置されている。そして、ツール取付部(リンク自由端部)側にリンクヘッド301の上方部を保持するように構成されている。
【0034】
一方のリンク303Aは、一方側のリンク端部がベッド10上方におけるスライダ案内用のレール3030Aを移動するスライダ3031Aにリンク回転ジョイント3032Aを介して回動可能に連結され、他方側のリンク端部がリンクヘッド301にリンク連結用回転ジョイント3030を介して回動可能に連結されている。
【0035】
レール3030Aは、X軸方向に沿って延在するガイド部材によって形成され、一方のリンク303Aにおける一方側のリンク端部を案内するように構成されている。なお、本実施の形態に示すレール3030Aは、X軸(レール306,306)と平行である場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、Y軸と直交する平面内であれば、X軸に対して傾斜してもよい。リンク回転ジョイント3032Aは、Y軸と平行な軸線の回りに回転する1自由度のジョイントとして機能するように構成されている。
【0036】
他方のリンク303Bは、一方側のリンク端部がベッド10上方におけるスライダ案内用のレール3030Bを移動するスライダ3031Bにリンク回転ジョイント3032Bを介して回動可能に連結され、他方側のリンク端部がリンクヘッド301にリンク連結用回転ジョイント3030を介して回動可能に連結されている。リンク303Bのリンク長は、リンク303Aのリンク長と同一の寸法に設定されている。
【0037】
レール3030Bは、レール3030AとZ軸方向に所定の間隔をもって並列し、かつX軸方向に沿って延在するガイド部材によって形成されている。そして、他方のリンク303Bにおける一方側のリンク端部を案内するように構成されている。なお、本実施の形態に示すレール3030Bは、X軸(レール306,306)と平行である場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、Y軸と直交する平面内であれば、X軸に対して傾斜してもよい。リンク回転ジョイント3032Bは、Y軸と平行な軸線の回りに回転する1自由度のジョイントとして機能するように構成されている。
【0038】
一方のリンク駆動機構304は、スライダ3031Aを移動させる送りねじ3040、及びこの送りねじ3040を駆動するサーボモータ3041からなり、制御装置3(インターフェース73)にサーボモータユニット80を介して接続されている。そして、スライダ3031Aを介してリンク303Aの一方側のリンク端部をX軸方向に沿って移動させ、リンクヘッド301をY軸と平行な軸線の回りに回動させるように構成されている。リンク駆動機構304には、サーボモータ3041の回転量を検出するモータ回転検出用エンコーダ3042が取り付けられている。
【0039】
他方のリンク駆動機構305は、スライダ3031Bを移動させる送りねじ3050、及びこの送りねじ3050を駆動するサーボモータ3051からなり、制御装置3(インターフェース73)にサーボモータユニット80を介して接続されている。そして、スライダ3031Bを介してリンク303Bの一方側のリンク端部をX軸方向に沿って移動させ、リンクヘッド301をY軸と平行な軸線の回りに回動させるように構成されている。リンク駆動機構305には、サーボモータ3051の回転量を検出するモータ回転検出用エンコーダ3052が取り付けられている。
【0040】
一方、シリアルメカニズム400は、図3及び図4に示すように、Z軸方向に所定の間隔をもって並列するスライダ案内用のレール3030A,3030Bと、これらレール3030A,3030Bを第1軸線(Y軸)と直交する平面内で第2軸線と交差する第3軸線(本実施の形態ではZ軸と平行な軸線)に沿って移動させるためのレール駆動機構(図示せず)とを備え、ベッド10上にスライダ案内用のレール3032,3032を介して配置されている。そして、第3軸線に沿ってパラレルメカニズム300を移動させるように構成されている。
【0041】
レール3030A,3030Bは、X軸方向に所定の間隔をもって並列する1対のスライダ3031,3031を有し、これらスライダ3031,3031を介してベッド10上のレール3032,3032に移動可能に配置されている。そして、レール駆動機構によってZ軸方向に沿って移動し得るように構成されている。
【0042】
レール駆動機構は、レール3030A,3030Bを移動させる送りねじ(図示せず)、及びこの送りねじを駆動するサーボモータ6001(図2に示す)からなり、制御装置3(インターフェース73)にサーボモータユニット80を介して接続されている。そして、レール3030A,3030Bに移動力を付与してパラレルメカニズム300をZ軸方向に沿って移動させ、ヘッド駆動機構302及びリンク駆動機構304,305と共にリンクヘッド301の位置及び姿勢を変更し得るように構成されている。ヘッド駆動機構には、サーボモータ6001の回転量を検出するモータ回転検出用エンコーダ6002(図2に示す)が取り付けられている。
【0043】
(制御装置3の構成)
制御装置3は、図2に示すように、CPU(中央演算処理装置)71及びメモリ72・インターフェイス(I/F)73〜75を備え、直交座標系(プラットフォーム絶対座標系)で与えられるリンクヘッド301の移動位置情報に対応する指令値(XPA,ZPA,BPA,dPA)を機構パラメータP(スライド原点位置:SLOXU1,SLOZU1,SLOXU2,SLOZU2,SLOXU3,SLOZU3,SLOXU4,SLOZU4、スライド角度:SLAU1,SLAU2,SLAU3,SLAU4)に基づいてヘッド駆動機構302及びリンク駆動機構304,305・レール駆動機構の指令値(出力値)に変換してアクチュエータ座標(U1,U2,U3,U4)を求め、これらヘッド駆動機構302及びリンク駆動機構304,305・レール駆動機構を駆動制御するように構成されている。
【0044】
機構パラメータPは、パラレルメカニズム300及びシリアルメカニズム400を含む機構全体(ハイブリッドメカニズム500)の構成を規定し、リンク長の他、プラットフォーム絶対座標系のX軸に対するヘッド回転ジョイント3010(スライダ3012)の移動方向の傾き(スライド角SLAU3)、及びプラットフォーム絶対座標系のZ軸に対するパラレルメカニズム300の移動方向の傾き(スライド角SLAU4)等を含む。
【0045】
制御装置3(カスタマーボード)では、ヘッド駆動機構302及びリンク駆動機構304,305・レール駆動機構の出力値に変換するにあたり、次に示す座標変換が行われる。図5は、本発明の実施の形態に係る工作機械の基準座標系を機械座標系に変換する場合について説明するために示す平面図である。図6は、本発明の実施の形態に係る工作機械のアクチュエータ座標を求めるために示す平面図である。図7は、本発明の実施の形態に係る工作機械におけるアクチュエータの駆動量及び加工ツールの位置座標を求めるために示す図である。
【0046】
先ず、図5に示すように、主軸台103,103(主軸105,105)によって挟持されたワークWを含む基準座標系(ワーク座標系)OWに平行でリンクヘッド301のツール支持側端面を含む機械座標系OMを、リンクヘッド301の支持側端面及びそのヘッド回転ジョイント3010を含む相対座標系(プラットフォーム座標系)OPに変換する。図5において、プラットフォーム座標系の原点は(ZM−POZ,XM−POX,BM−POB)である。プラットフォーム座標系原点のオフセット量はZOfs,XOfs,BOfsである。このため、プラットフォーム座標系におけるリンクヘッド301のツール支持側端面の座標(ZP,XP,BP)は次式により求められる。
【0047】
【数1】
【0048】
次に、リンクヘッド301のヘッド回転ジョイント3010及びシリアルメカニズム400を含むプラットフォーム絶対座標系OPAにプラットフォーム座標系OPを変換する。図5において、プラットフォーム絶対座標系におけるリンクヘッド301のヘッド回転ジョイント3010のツール支持側端面からのオフセット量はTPJOz,TPJOxである。このため、プラットフォーム絶対座標系におけるリンクヘッド301のヘッド回転ジョイント3010の座標(ZPA,XPA,BPA)は次式により求められる。
【0049】
【数2】
【0050】
そして、プラットフォーム絶対座標系OPAにおけるリンクヘッド301の回動位置及び移動位置(ヘッド回転ジョイント3010の位置座標:ZPA,XPA,BPA,dPA)から次の演算式(逆変換式)に基づいてヘッド駆動機構302及びリンク駆動機構304,305・レール駆動機構600の駆動量が演算される。これにより、アクチュエータ座標(U1,U2,U3,U4)を求めることができる。
【0051】
【数3】
【0052】
この場合、図6に示すプラットフォーム絶対座標系において、ヘッド回転ジョイント3010の位置座標及び加工ツール501の回転軸線Tの傾きをそれぞれ(XPA,ZPA)とBPAとすると、リンク303Aのレール側端部の位置座標(X1,Z1)及びリンク連結用回転ジョイント3030の位置座標(X0,Z0)は次に示すように表わすことができる。
【0053】
【数4】
【0054】
上式を整理して次式のように表わすことができる。
【0055】
【数5】
【0056】
これにより、リンク303Aのレール側端部の移動量(リンク駆動機構304の駆動量)U1が次に示すように求められる。
【0057】
【数6】
【0058】
同様にして、リンク303Bのレール側端部の移動量(リンク駆動機構305の駆動量)U2が次に示すように求められる。
【0059】
【数7】
【0060】
また、図6に示すプラットフォーム絶対座標系において、スライダ3012の移動方向の傾きをそれぞれSLAU3とすると、ヘッド回転ジョイント3010の移動量(ヘッド駆動機構302の駆動量)U3が次に示すように求められる。
【0061】
【数8】
【0062】
同様にして、プラットフォーム絶対座標系のZPA軸に対するパラレルメカニズム300の移動方向の傾きをSLAU4とすると、レール3030A,3030Bの移動量(レール駆動機構600の駆動量)U4が次に示すように求められる。
【0063】
【数9】
【0064】
この後、アクチュエータ座標(U1G,U2G,U3G,U4G)が次に示す演算式に基づいて演算された後、画像表示装置(CRT)77に画面表示される。
【0065】
【数10】
【0066】
このように、本実施の形態においては、ワーク座標系OWに平行な機械座標系OMをプラットフォーム座標系OPに変換し、次にこのプラットフォーム座標系OPをプラットフォーム絶対座標系OPAに変換した後、このプラットフォーム絶対座標系OPAにおけるリンクヘッド301の回動位置及び移動位置(ヘッド回転ジョイント3010の位置座標)から特定の演算式(逆変換式)に基づいてヘッド駆動機構302,リンク駆動機構304,305及びレール駆動機構の駆動量を演算する場合について説明したが、これら一連のフローは図7に示す通りである。
【0067】
図7において、ヘッド駆動機構302,リンク駆動機構304,305及びレール駆動機構の駆動量から機械座標系OMにおけるリンクヘッド301のツール支持側端面の位置座標を求めるには、上記の場合と逆のフローに従って実施される。すなわち、ヘッド駆動機構302,リンク駆動機構304,305及びレール駆動機構の駆動量から特定の演算式(順変換式)に基づいてプラットフォーム絶対座標系OPAにおけるリンクヘッド301の回動位置及び移動位置(ヘッド回転ジョイント3010の位置座標)を演算し、次にこのリンクヘッド301の回動位置及び移動位置を含むプラットフォーム座標系OPにプラットフォーム絶対座標系OPAを変換した後、このプラットフォーム座標系OPにおけるリンクヘッド301のツール支持側端面を含む機械座標系OMにプラットフォーム座標系OPを変換して機械座標系OMにおけるリンクヘッド301のツール支持側端面の位置座標を求める。
【0068】
<CPU71の構成>
CPU71は、メモリ72あるいは外部記憶装置78に記憶された加工プログラムを読み出し解析し、プラットフォーム絶対座標系で与えられるリンクヘッド301の移動位置・姿勢情報を機構パラメータPに基づきヘッド駆動機構302及びリンク駆動機構304,305・レール駆動機構への駆動指令値に変換してサーボモータユニット80へ出力する。
【0069】
<メモリ72の構成>
メモリ72には、加工ツール501による実加工処理を実行するための加工プログラムや機構パラメータP等の各種情報が記憶されている。
【0070】
<インターフェース73〜75の構成>
インターフェース73には、ヘッド駆動機構302(サーボモータ3021)及びリンク駆動機構304,305(サーボモータ3041,3051)・レール駆動機構(サーボモータ6001)を駆動するサーボモータユニット80(81〜84)が接続されている。サーボモータユニット81〜84は、CPU71からの指令値に基づいてヘッド駆動機構302及びリンク駆動機構304,305・レール駆動機構をそれぞれ駆動し、これらヘッド駆動機構302のモータ回転検出用エンコーダ3022及びリンク駆動機構304,305のモータ回転検出用エンコーダ3042,3052・レール駆動機構のモータ回転検出用エンコーダ6002からの出力によってフィードバック制御を実行する。インターフェース74には、加工データ等を入力するためのキーボード(KB)76及び加工データや工作機械1の状態等を表示する画像表示装置(CRT)77・加工データを記憶する外部記憶装置78が接続されている。インターフェース75には角度センサ380が接続されている。
【0071】
(付属装置の構成)
付属装置は、オイル供給装置・冷却装置・エア供給装置・クーラント供給装置と、これら装置を工作機械本体2に接続するダクト装置等とから構成されている。
【0072】
〔工作機械1の動作〕
次に、本実施の形態に係る工作機械の動作につき、図8〜図11を用いて説明する。図8は、本発明の実施の形態に係る工作機械におけるリンクヘッドのX−Z軸平行動作を説明するために示す平面図である。図9は、本発明の実施の形態に係る工作機械におけるリンクヘッドの回動動作を説明するために示す平面図である。図10は、本発明の実施の形態に係る工作機械にヘッド駆動機構を備えた場合の利点について説明するために示す平面図である。図11は、本発明の実施の形態に係る工作機械におけるリンクヘッドのX−Z軸平行・回動動作を説明するために示す平面図である。なお、図8〜図11においては、直動ジョイント等が省略されている。
【0073】
「X−Z軸平行動作」
ヘッド回転ジョイント3010(スライダ3012)をレール306,306に沿って、またリンク回転ジョイント3032A,3032B(スライダ3031,3031)をレール3030A,3030Bに沿って同一の方向及び同一の移動量X1でそれぞれ移動させるとともに、レール3030A,3030Bをレール3032,3032に沿って移動量Z1で移動させると、加工ツール501の回転軸線Tを基準線Oに合致させた状態でリンクヘッド301が図8に2点鎖線で示す初期位置からX軸及びZ軸方向に移動して図8に実線で示す位置に配置される。
【0074】
「回動動作」
リンク回転ジョイント3032A,3032B(スライダ3031A,3031B)をレール3030A,3030Bに沿って互いに異なる移動量X1,X2(X1>X2)で同方向に移動させると、リンクヘッド301が図9に2点鎖線で示す初期位置からY軸と平行な軸線を中心に反時計方向に回動して例えば加工ツール501の回転軸線Tを基準線Oと交差させた状態で図9に実線で示す位置に配置される。
【0075】
ここで、図10に示すように、ワーク加工時にリンクヘッド301が加工ツール501の回転軸線Tを基準線Oと直交させた状態で配置されると、ヘッド回転ジョイント3010(スライダ3012)をレール306,306に沿ってワーク側(図10では下方)に移動させることができ、すなわちX軸方向の作用力f1,f2に対するリンクヘッド301に反力Fを発生させることができる。このため、X軸方向の作用力f1,f2に対するリンクヘッド301に反力Fを発生させることができない特異点を無くすことができる。
【0076】
「X−Z軸平行・回動動作」
リンク回転ジョイント3032A,3032B(スライダ3031A,3031B)をレール3030A,3030Bに沿って互いに異なる移動量X1,X2(X1>X2)で同方向に移動させた後、レール3030A,3030Bをレール3032,3032に沿って移動量Z1で移動させるとともに、ヘッド回転ジョイント3010(スライダ3012)をレール306,306に沿って、またリンク回転ジョイント3032A,3032B(スライダ3031A,3031B)をレール3030A,3030Bに沿って同一の方向及び同一の移動量X3でそれぞれ移動させると、リンクヘッド301が図11に2点鎖線で示す初期位置からY軸と平行な軸線を中心に反時計方向に回動して加工ツール501の回転軸線Tを基準線Oと交差させた状態で図11に1点鎖線で示す位置に配置され、さらにX軸方向に移動して図11に実線で示す位置に配置される。
【0077】
このように、本実施の形態においては、リンクヘッド301をX軸及びZ軸のうち少なくともいずれが一方の軸に沿って移動させるとともに、Y軸と平行な軸線の回りに回動させることによりリンクヘッド301の位置及び姿勢を制御し、さらに主軸台103,103をZ軸方向に沿って移動させることによりワークWの位置を制御し、主軸台103,103によって挟持されたワークWに対する加工を行うことができる。
【0078】
この場合、プラットフォーム絶対座標系OPAにおいてスライダ3012,3031A,3031B,3031,3031を位置決めすると、リンクヘッド301上のリンク連結用回転ジョイント3030及びヘッド回転ジョイント3010の位置が決定されるため、リンクヘッド301の移動・回動位置(加工ツール501の先端位置)が決定される。このため、リンクヘッド301を所望の移動・回動位置に位置決めするには、これら移動・回動位置から特定の演算式(逆変換式)に基づいてスライダ3012,3031A,3031B,3031,3031の位置を演算し、これら演算値に対応する位置にスライダ3012,3031A,3031B、3031,3031を移動させる。
【0079】
本実施の形態においては、パラレルメカニズム300がリンクヘッド301,リンク303A,リンク303Bをそれぞれ駆動するヘッド駆動機構302,リンク駆動機構304,リンク駆動機構305を備えている。これには、冗長な駆動機構としてヘッド駆動機構302が存在するが、この冗長なヘッド駆動機構302及び他のリンク駆動機構304,305の存在により直動ジョイント3011は直接変位しないのである。ところが、現実にはパラレルメカニズム300を構成する各構成部品の製造誤差,組付誤差あるいは温度変化等の使用環境や長期使用による経年変化により機構パラメータPは理論通りではなく誤差を含むため、直動ジョイント3011は変位してこれら誤差を吸収する。
【0080】
[実施の形態の効果]
以上説明した実施の形態によれば、次に示す効果が得られる。
【0081】
(1)ハイブリッドメカニズム全体の構成を規定する機構パラメータを補正して各構成部品の加工誤差や組付誤差の修正を行うことができる。これにより、各構成部品の加工誤差や組付誤差の修正時においてメカニズム毎に機構パラメータを補正する必要がなくなるため、各構成部品の加工精度及び組付精度を緩和することができ、コストの低廉化を図ることができる。
【0082】
(2)各メカニズムの機構パラメータを別個に補正する必要がなくなることは、それだけ作業者の操作負担を軽減することができる。
【0083】
(3)ヘッド駆動機構302によってリンクヘッド301を移動させることができるため、従来存在した特異点を無くすことができ、リンクヘッド301の可動範囲を広げることができる。
【0084】
(4)リンク連結用回転ジョイント3030が直動ジョイント3011を介してリンクヘッド301上で移動可能であるため、各構成部品の加工精度や構成部品同士の組付精度が悪い場合や、またリンク303A,303Bが使用時等の熱変化によって伸縮する場合等の機構パラメータの誤差に起因する各種誤差を吸収することができ、これら誤差に起因する構成部品及びヘッド駆動機構302・リンク駆動機構304,305への過負荷発生を防止することができる。
【0085】
以上、本発明の工作機械を上記の実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能であり、例えば次に示すような変形も可能である。
【0086】
(1)本実施の形態では、制御対象としての加工ツール501がリンクヘッド301に保持されるパラレルメカニズム300を備えた場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、リンクヘッドにワークを保持するパラレルメカニズムを備えたものであってもよい。
【0087】
(2)本実施の形態では、砥石を加工ツール501とする工作機械1に適用する場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば旋削用電着ホイール等の旋削工具あるいは表面仕上げ工具等を加工ツールとする他の工作機械に適用し得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の実施の形態に係る工作機械の全体を説明するために示す平面図。
【図2】本発明の実施の形態に係る工作機械の制御装置を説明するために示すブロック図。
【図3】本発明の実施の形態に係る工作機械の要部を説明するために示す斜視図。
【図4】本発明の実施の形態に係る工作機械の要部を説明するために示す平面図。
【図5】本発明の実施の形態に係る工作機械の基準座標系を機械座標系に変換する場合について説明するために示す平面図。
【図6】本発明の実施の形態に係る工作機械のアクチュエータ座標を求めるために示す平面図。
【図7】本発明の実施の形態に係る工作機械におけるアクチュエータの駆動量及び加工ツールの位置座標を求めるために示す図。
【図8】本発明の実施の形態に係る工作機械におけるリンクヘッドのX−Z軸平行動作を説明するために示す平面図。
【図9】本発明の実施の形態に係る工作機械におけるリンクヘッドの回動動作を説明するために示す平面図。
【図10】本発明の実施の形態に係る工作機械にヘッド駆動機構を備えた場合の利点について説明するために示す平面図。
【図11】本発明の実施の形態に係る工作機械におけるリンクヘッドのX−Z軸平行・回動動作を説明するために示す平面図。
【符号の説明】
【0089】
1…工作機械
2…工作機械本体
3…制御装置
10…ベッド
71…CPU
72…メモリ
73〜75…インターフェース
76…キーボード
77…画像表示装置
78…外部記憶装置
80〜83…サーボモータユニット
100…ワーク支持駆動ユニット、101…主軸台ベース、102…主軸台スライドガイド、103…主軸台、104…主軸駆動モータ、105…主軸
300…パラレルメカニズム
301…リンクヘッド、3010…ヘッド回転ジョイント、3011…直動ジョイント、3012…スライダ、3013…ジョイント案内用のレール、3014…連結部
302…ヘッド駆動機構、3020…送りねじ、3021…サーボモータ、3022…モータ回転検出用エンコーダ
303…リンク機構、3030…リンク連結用回転ジョイント
303A…リンク、3030A…スライダ案内用のレール、3031A…スライダ、3032A…リンク回転用ジョイント、3033A…リンク分岐部,3034A…基台
303B…リンク、3030B…スライダ案内用のレール、3031B…スライダ、3032B…リンク回転用ジョイント、3033B…リンク分岐部、3034B…基台
304…リンク駆動機構、3040…送りねじ、3041…サーボモータ、3042…モータ回転検出用エンコーダ
305…リンク駆動機構、3050…送りねじ、3051…サーボモータ、3052…モータ回転検出用エンコーダ
306…スライダ案内用のレール
380…角度センサ
400…シリアルメカニズム
500…ハイブリッドメカニズム
6001…サーボモータ、6002…モータ回転検出用エンコーダ
501…加工ツール
3031…スライダ、3032…スライダ案内用のレール
O…基準線
T…回転軸線
W…ワーク
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば被加工物(ワーク)を加工するための工具(加工ツール)を変位させる場合に駆動力伝達機構として用いるハイブリッドメカニズム及びこれを備えた工作機械に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、工作機械には研削盤及び旋盤・フライス盤等があり、これら各種の工作機械はその加工内容に応じて選択的に用いられる。
【0003】
このような工作機械においては、砥石,切削工具等の加工ツールを支持する主軸ヘッドや、ワークを支持するテーブル等を所望の位置に移動させたり、所望の角度で回動させたりすることにより、ワークと加工ツールとを相対的に変位させて研削や切削等の加工が行われる。
【0004】
近年、この種の工作機械には、高剛性・高精度・高速性を実現する機構として有効であることから、ベースからリンクヘッドまでが並列に連結されたリンクを有するパラレルメカニズムを備えたものが注目されてきており、またパラレルメカニズム及びシリアルメカニズムを併用したハイブリッドメカニズムを備えた工作機械も知られている。
【0005】
従来のハイブリッドメカニズムとして、第1〜第3リンク手段を有するパラレルメカニズム、及び回転軸を有するシリアルメカニズムを備えたものがある(特許文献1)。
【0006】
パラレルメカニズムは、第1〜第3リンク手段の各一方側端部が固定ベースに制御腕を介して揺動可能に、またその各他方側端部が可動部材に揺動可能にそれぞれ連結されている。
【0007】
シリアルメカニズムは、回転軸が可動部材に挿通され、かつ軸受を介して回転可能に支持されている。また、回転軸は、一方側端部が固定ベース上のモータに伸縮用の伝達部材を介して、他方側端部が作業部材にそれぞれ連結されている。
【0008】
以上の構成により、制御腕及び回転軸を駆動制御すると、作業部材を回転軸回りに回転させるとともに、回転軸と平行な軸線に沿って、またこの軸線と直交する平面上を移動させることが可能となる。
【0009】
ところで、この種のハイブリッドメカニズムにおいては、制御腕及び回転軸がそれぞれ独立して制御される。
【0010】
通常、ハイブリッドメカニズムは、その構成を規定する機構パラメータが必ずしもその設計値と一致しない。このため、作業部材の位置精度を高めるには、機構パラメータを補正し、アクチュエータ(モータ)を駆動制御することが重要である。
【特許文献1】特公平4−45310号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、パラレルメカニズム及びシリアルメカニズムが別々に制御される従来のハイブリッドメカニズムによると、パラレルメカニズム及びシリアルメカニズムの構成をそれぞれ規定する機構パラメータを別個に補正して各構成部品の加工誤差や組付誤差を修正することになる。この結果、各構成部品の加工精度及び組付精度が厳しくなり、コスト高になるという問題があった。
【0012】
また、機構パラメータの補正がメカニズム毎になることは、それだけ作業者の操作負担が重くなるという問題もあった。
【0013】
従って、本発明の目的は、ハイブリッドメカニズム全体の構成を規定する機構パラメータを補正して各構成部品の加工誤差や組付誤差の修正を行うことができ、もってコストの低廉化を図ることができるとともに、作業者の操作負担を軽減することができるハイブリッドメカニズム及びこれを備えた工作機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
(1)本発明は、上記目的を達成するために、ワークを加工する加工ツール、及び前記ワークのうち一方を支持するリンクヘッドを第1軸線の回りに回動させるとともに、前記第1軸線と直交する第2軸線に沿って移動させるパラレルメカニズムと、前記パラレルメカニズムを作動させるための第1駆動機構と、前記第1軸線と直交する平面内で前記第2軸線と交差する第3軸線に沿って前記パラレルメカニズムを移動させるシリアルメカニズムと、前記シリアルメカニズムを作動させるための第2駆動機構と、絶対座標系で与えられる前記リンクヘッドの回動位置及び移動位置に対応する指令値を、前記パラレルメカニズム及び前記シリアルメカニズムを含む機構全体の構成を規定する機構パラメータに基づいて前記第1駆動機構及び前記第2駆動機構に対する指令値に変換し、前記第1駆動機構及び前記第2駆動機構を駆動制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記リンクヘッドの回動位置及び移動位置に対応する指令値を前記第1駆動機構及び前記第2駆動機構に対する指令値に変換するにあたり、前記リンクヘッドの回動位置及び移動位置から特定の演算式に基づいて前記第1駆動機構及び前記第2駆動機構の駆動量を演算するハイブリッドメカニズムを提供する。
【0015】
(2)本発明は、上記目的を達成するために、ワークを加工する加工ツール、及び前記ワークのうち一方を支持するベッドと、前記ベッドに対して動作可能なハイブリッドメカニズムとを備えた工作機械であって、前記ハイブリッドメカニズムは、前記加工ツール及び前記ワークのうち他方を支持するリンクヘッドを第1軸線の回りに回動させるとともに、前記第1軸線と直交する第2軸線に沿って移動させるパラレルメカニズムと、前記パラレルメカニズムを作動させるための第1駆動機構と、前記第1軸線と直交する平面内で前記第2軸線と交差する第3軸線に沿って前記パラレルメカニズムを移動させるシリアルメカニズムと、前記シリアルメカニズムを作動させるための第2駆動機構と、絶対座標系で与えられる前記リンクヘッドの回動位置及び移動位置に対応する指令値を、前記パラレルメカニズム及び前記シリアルメカニズムを含む機構全体の構成を規定する機構パラメータに基づいて前記第1駆動機構及び前記第2駆動機構に対する指令値に変換し、前記第1駆動機構及び前記第2駆動機構を駆動制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記リンクヘッドの回動位置及び移動位置に対応する指令値を前記第1駆動機構及び前記第2駆動機構に対する指令値に変換するにあたり、前記リンクヘッドの回動位置及び移動位置から特定の演算式に基づいて前記第1駆動機構及び前記第2駆動機構の駆動量を演算する工作機械を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、ハイブリッドメカニズム全体の構成を規定する機構パラメータを補正して各構成部品の加工誤差や組付誤差の修正を行うことができ、コストの低廉化を図ることができるとともに、作業者の負担を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
[実施の形態]
図1は、本発明の実施の形態に係る工作機械の全体を説明するために示す平面図である。図2は、本発明の実施の形態に係る工作機械の制御装置を説明するために示すブロック図である。図3は、本発明の実施の形態に係る工作機械の要部を説明するために示す斜視図である。図4は、本発明の実施の形態に係る工作機械の要部を説明するために示す平面図である。なお、以下の説明においては、互いに直交する3つの方向をそれぞれZ軸方向(図1における主軸方向)及びX軸方向(図1における紙面内でZ軸に直交する方向)・Y軸方向(X軸及びZ軸に直交する方向)とする。
【0018】
〔工作機械の全体構成〕
図1及び図2において、符号1で示す工作機械は、例えば円筒研削盤からなり、工作機械本体2及び制御装置3・付属装置(図示せず)から大略構成されている。
【0019】
(工作機械本体2の構成)
工作機械本体2は、図1に示すように、ワークWを回転駆動可能に支持するワーク支持駆動ユニット100と、砥石等の加工ツール501が着脱可能に装着されるホイール回転主軸ユニット200と、パラレルメカニズム300及びシリアルメカニズム400を有するハイブリッドメカニズム500とを備えている。
【0020】
<ワーク支持駆動ユニット100の構成>
ワーク支持駆動ユニット100は、図1に示すように、主軸台ベース101及び左右2つの主軸台103,103を有し、ベッド(ベース)10上の前方端部(図1では下側)に載置されている。
【0021】
主軸台ベース101の背面部(図1では上側)には、左右(Z軸)方向に所定の間隔をもって互いに並列し、かつZ軸方向に延在する2つの主軸台スライドガイド102,102が配設されている。
【0022】
主軸台103,103は、それぞれが対応する主軸台スライドガイド102,102上にZ軸方向に沿って移動自在に配設されている。そして、それぞれが各主軸台スライドガイド102,102上における所定の位置に位置決めされ、その両中心部間でワークWを挟持するように構成されている。主軸台103,103には、それぞれ主軸105,105を所定の回転数で回転駆動する主軸駆動モータ104,104が搭載されている。
【0023】
<ホイール回転主軸ユニット200の構成>
ホイール回転主軸ユニット200は、図1に示すように、加工ツール501の被把持部を把持可能なホイール回転主軸201、及びこのホイール回転主軸201を回転駆動するホイール回転主軸駆動モータ(図示せず)を有し、リンクヘッド301に搭載されている。そして、ホイール回転主軸駆動モータの回転駆動力をホイール回転主軸201に伝達し、さらにホイール回転主軸201上の加工ツール501を所定の回転数で回転駆動するように構成されている。
【0024】
<ハイブリッドメカニズム500の構成>
ハイブリッドメカニズム500は、図3及び図4に示すように、前述したパラレルメカニズム300及びシリアルメカニズム400を含み、ベッド10(図1に示す)上に配置されている。そして、パラレルメカニズム300を作動させるための第1駆動機構(ヘッド駆動機構302及びリンク駆動機構304,305)及びシリアルメカニズム400を作動させるための第2駆動機構(レール駆動機構)から駆動力を受けてY軸と直交する平面内で動作し得るように構成されている。
【0025】
パラレルメカニズム300は、図3及び図4に示すように、リンクヘッド301をX軸方向に沿って移動させるためのヘッド駆動機構302と、一端(ヘッド側端部)がX軸及びZ軸と平行な水平面内でY軸と平行な軸線の回りに回動可能に互いに接続された1対のリンク303A,303Bからなるリンク機構303と、このリンク機構303のリンク303A,303Bの他端(レール側端部)をX軸方向に沿ってそれぞれ移動させるための1対のリンク駆動機構304,305とを備え、ベッド10(図1に示す)上に配置されている。
【0026】
リンクヘッド301は、ヘッド回転ジョイント3010及び直動ジョイント3011を有し、ヘッド回転ジョイント3010がベッド10上のスライダ案内用のレール306,306にスライダ3012を介して移動可能に配置され、かつ直動ジョイント3011がリンク機構303(リンク303A,303B)のヘッド取付側端部(リンク自由端部)にリンク連結用回転ジョイント3030を介して回動可能に支持されている。そして、レール306,306上でスライダ3012を介してX軸(第2軸線)方向に沿って移動し、かつヘッド回転ジョイント3010でY軸と平行な軸線(第1軸線:B軸)の回りに回動し得るように構成されている。
【0027】
リンク連結用回転ジョイント3030は、Y軸と平行な軸線の回りに回動する1自由度のジョイントして機能するように構成されている。
【0028】
リンクヘッド301の上面部には、加工ツール501の回転軸線T(図4に示す)と平行な方向に延在し、かつ直動ジョイント3011をY軸と直交する一軸線方向に案内するジョイント案内用のレール3013(図3に示す)が配置されている。
【0029】
リンクヘッド301の下面部には、ヘッド回転ジョイント3010の回転量(回転角度)を検出するエンコーダ等の角度センサ380(図2に示す)が配設されている。
【0030】
ヘッド回転ジョイント3010は、第1軸線の回りに回転する1自由度のジョイントして機能し、リンクヘッド301の下面部に配設され、かつリンク連結用回転ジョイント3030の配設位置とは直動ジョイント3011の移動方向にオフセットされた位置で移動不能に配置されている。
【0031】
直動ジョイント3011は、レール3013上に移動可能に配置されている。これにより、リンク連結用回転ジョイント3030が直動ジョイント3011と共にレール3013に沿って移動案内される。
【0032】
ヘッド駆動機構302は、スライダ3012を移動させる送りねじ3020、及びこの送りねじ3020を駆動するサーボモータ3021からなり、制御装置3(インターフェース73)にサーボモータユニット80を介して接続されている。そして、スライダ3012を介してリンクヘッド301をX軸方向に沿って移動させ、リンク駆動機構304,305及びレール駆動機構(図示せず)と共にリンクヘッド301の位置及び姿勢を変更し得るように構成されている。ヘッド駆動機構302には、サーボモータ3021の回転量を検出するモータ回転検出用エンコーダ3022が取り付けられている。
【0033】
リンク機構303は、リンクヘッド301の移動・回動平面と同一の仮想平面内で揺動可能な1対のリンク303A,303Bを有し、ワーク支持駆動ユニット100の後方に配置されている。そして、ツール取付部(リンク自由端部)側にリンクヘッド301の上方部を保持するように構成されている。
【0034】
一方のリンク303Aは、一方側のリンク端部がベッド10上方におけるスライダ案内用のレール3030Aを移動するスライダ3031Aにリンク回転ジョイント3032Aを介して回動可能に連結され、他方側のリンク端部がリンクヘッド301にリンク連結用回転ジョイント3030を介して回動可能に連結されている。
【0035】
レール3030Aは、X軸方向に沿って延在するガイド部材によって形成され、一方のリンク303Aにおける一方側のリンク端部を案内するように構成されている。なお、本実施の形態に示すレール3030Aは、X軸(レール306,306)と平行である場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、Y軸と直交する平面内であれば、X軸に対して傾斜してもよい。リンク回転ジョイント3032Aは、Y軸と平行な軸線の回りに回転する1自由度のジョイントとして機能するように構成されている。
【0036】
他方のリンク303Bは、一方側のリンク端部がベッド10上方におけるスライダ案内用のレール3030Bを移動するスライダ3031Bにリンク回転ジョイント3032Bを介して回動可能に連結され、他方側のリンク端部がリンクヘッド301にリンク連結用回転ジョイント3030を介して回動可能に連結されている。リンク303Bのリンク長は、リンク303Aのリンク長と同一の寸法に設定されている。
【0037】
レール3030Bは、レール3030AとZ軸方向に所定の間隔をもって並列し、かつX軸方向に沿って延在するガイド部材によって形成されている。そして、他方のリンク303Bにおける一方側のリンク端部を案内するように構成されている。なお、本実施の形態に示すレール3030Bは、X軸(レール306,306)と平行である場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、Y軸と直交する平面内であれば、X軸に対して傾斜してもよい。リンク回転ジョイント3032Bは、Y軸と平行な軸線の回りに回転する1自由度のジョイントとして機能するように構成されている。
【0038】
一方のリンク駆動機構304は、スライダ3031Aを移動させる送りねじ3040、及びこの送りねじ3040を駆動するサーボモータ3041からなり、制御装置3(インターフェース73)にサーボモータユニット80を介して接続されている。そして、スライダ3031Aを介してリンク303Aの一方側のリンク端部をX軸方向に沿って移動させ、リンクヘッド301をY軸と平行な軸線の回りに回動させるように構成されている。リンク駆動機構304には、サーボモータ3041の回転量を検出するモータ回転検出用エンコーダ3042が取り付けられている。
【0039】
他方のリンク駆動機構305は、スライダ3031Bを移動させる送りねじ3050、及びこの送りねじ3050を駆動するサーボモータ3051からなり、制御装置3(インターフェース73)にサーボモータユニット80を介して接続されている。そして、スライダ3031Bを介してリンク303Bの一方側のリンク端部をX軸方向に沿って移動させ、リンクヘッド301をY軸と平行な軸線の回りに回動させるように構成されている。リンク駆動機構305には、サーボモータ3051の回転量を検出するモータ回転検出用エンコーダ3052が取り付けられている。
【0040】
一方、シリアルメカニズム400は、図3及び図4に示すように、Z軸方向に所定の間隔をもって並列するスライダ案内用のレール3030A,3030Bと、これらレール3030A,3030Bを第1軸線(Y軸)と直交する平面内で第2軸線と交差する第3軸線(本実施の形態ではZ軸と平行な軸線)に沿って移動させるためのレール駆動機構(図示せず)とを備え、ベッド10上にスライダ案内用のレール3032,3032を介して配置されている。そして、第3軸線に沿ってパラレルメカニズム300を移動させるように構成されている。
【0041】
レール3030A,3030Bは、X軸方向に所定の間隔をもって並列する1対のスライダ3031,3031を有し、これらスライダ3031,3031を介してベッド10上のレール3032,3032に移動可能に配置されている。そして、レール駆動機構によってZ軸方向に沿って移動し得るように構成されている。
【0042】
レール駆動機構は、レール3030A,3030Bを移動させる送りねじ(図示せず)、及びこの送りねじを駆動するサーボモータ6001(図2に示す)からなり、制御装置3(インターフェース73)にサーボモータユニット80を介して接続されている。そして、レール3030A,3030Bに移動力を付与してパラレルメカニズム300をZ軸方向に沿って移動させ、ヘッド駆動機構302及びリンク駆動機構304,305と共にリンクヘッド301の位置及び姿勢を変更し得るように構成されている。ヘッド駆動機構には、サーボモータ6001の回転量を検出するモータ回転検出用エンコーダ6002(図2に示す)が取り付けられている。
【0043】
(制御装置3の構成)
制御装置3は、図2に示すように、CPU(中央演算処理装置)71及びメモリ72・インターフェイス(I/F)73〜75を備え、直交座標系(プラットフォーム絶対座標系)で与えられるリンクヘッド301の移動位置情報に対応する指令値(XPA,ZPA,BPA,dPA)を機構パラメータP(スライド原点位置:SLOXU1,SLOZU1,SLOXU2,SLOZU2,SLOXU3,SLOZU3,SLOXU4,SLOZU4、スライド角度:SLAU1,SLAU2,SLAU3,SLAU4)に基づいてヘッド駆動機構302及びリンク駆動機構304,305・レール駆動機構の指令値(出力値)に変換してアクチュエータ座標(U1,U2,U3,U4)を求め、これらヘッド駆動機構302及びリンク駆動機構304,305・レール駆動機構を駆動制御するように構成されている。
【0044】
機構パラメータPは、パラレルメカニズム300及びシリアルメカニズム400を含む機構全体(ハイブリッドメカニズム500)の構成を規定し、リンク長の他、プラットフォーム絶対座標系のX軸に対するヘッド回転ジョイント3010(スライダ3012)の移動方向の傾き(スライド角SLAU3)、及びプラットフォーム絶対座標系のZ軸に対するパラレルメカニズム300の移動方向の傾き(スライド角SLAU4)等を含む。
【0045】
制御装置3(カスタマーボード)では、ヘッド駆動機構302及びリンク駆動機構304,305・レール駆動機構の出力値に変換するにあたり、次に示す座標変換が行われる。図5は、本発明の実施の形態に係る工作機械の基準座標系を機械座標系に変換する場合について説明するために示す平面図である。図6は、本発明の実施の形態に係る工作機械のアクチュエータ座標を求めるために示す平面図である。図7は、本発明の実施の形態に係る工作機械におけるアクチュエータの駆動量及び加工ツールの位置座標を求めるために示す図である。
【0046】
先ず、図5に示すように、主軸台103,103(主軸105,105)によって挟持されたワークWを含む基準座標系(ワーク座標系)OWに平行でリンクヘッド301のツール支持側端面を含む機械座標系OMを、リンクヘッド301の支持側端面及びそのヘッド回転ジョイント3010を含む相対座標系(プラットフォーム座標系)OPに変換する。図5において、プラットフォーム座標系の原点は(ZM−POZ,XM−POX,BM−POB)である。プラットフォーム座標系原点のオフセット量はZOfs,XOfs,BOfsである。このため、プラットフォーム座標系におけるリンクヘッド301のツール支持側端面の座標(ZP,XP,BP)は次式により求められる。
【0047】
【数1】
【0048】
次に、リンクヘッド301のヘッド回転ジョイント3010及びシリアルメカニズム400を含むプラットフォーム絶対座標系OPAにプラットフォーム座標系OPを変換する。図5において、プラットフォーム絶対座標系におけるリンクヘッド301のヘッド回転ジョイント3010のツール支持側端面からのオフセット量はTPJOz,TPJOxである。このため、プラットフォーム絶対座標系におけるリンクヘッド301のヘッド回転ジョイント3010の座標(ZPA,XPA,BPA)は次式により求められる。
【0049】
【数2】
【0050】
そして、プラットフォーム絶対座標系OPAにおけるリンクヘッド301の回動位置及び移動位置(ヘッド回転ジョイント3010の位置座標:ZPA,XPA,BPA,dPA)から次の演算式(逆変換式)に基づいてヘッド駆動機構302及びリンク駆動機構304,305・レール駆動機構600の駆動量が演算される。これにより、アクチュエータ座標(U1,U2,U3,U4)を求めることができる。
【0051】
【数3】
【0052】
この場合、図6に示すプラットフォーム絶対座標系において、ヘッド回転ジョイント3010の位置座標及び加工ツール501の回転軸線Tの傾きをそれぞれ(XPA,ZPA)とBPAとすると、リンク303Aのレール側端部の位置座標(X1,Z1)及びリンク連結用回転ジョイント3030の位置座標(X0,Z0)は次に示すように表わすことができる。
【0053】
【数4】
【0054】
上式を整理して次式のように表わすことができる。
【0055】
【数5】
【0056】
これにより、リンク303Aのレール側端部の移動量(リンク駆動機構304の駆動量)U1が次に示すように求められる。
【0057】
【数6】
【0058】
同様にして、リンク303Bのレール側端部の移動量(リンク駆動機構305の駆動量)U2が次に示すように求められる。
【0059】
【数7】
【0060】
また、図6に示すプラットフォーム絶対座標系において、スライダ3012の移動方向の傾きをそれぞれSLAU3とすると、ヘッド回転ジョイント3010の移動量(ヘッド駆動機構302の駆動量)U3が次に示すように求められる。
【0061】
【数8】
【0062】
同様にして、プラットフォーム絶対座標系のZPA軸に対するパラレルメカニズム300の移動方向の傾きをSLAU4とすると、レール3030A,3030Bの移動量(レール駆動機構600の駆動量)U4が次に示すように求められる。
【0063】
【数9】
【0064】
この後、アクチュエータ座標(U1G,U2G,U3G,U4G)が次に示す演算式に基づいて演算された後、画像表示装置(CRT)77に画面表示される。
【0065】
【数10】
【0066】
このように、本実施の形態においては、ワーク座標系OWに平行な機械座標系OMをプラットフォーム座標系OPに変換し、次にこのプラットフォーム座標系OPをプラットフォーム絶対座標系OPAに変換した後、このプラットフォーム絶対座標系OPAにおけるリンクヘッド301の回動位置及び移動位置(ヘッド回転ジョイント3010の位置座標)から特定の演算式(逆変換式)に基づいてヘッド駆動機構302,リンク駆動機構304,305及びレール駆動機構の駆動量を演算する場合について説明したが、これら一連のフローは図7に示す通りである。
【0067】
図7において、ヘッド駆動機構302,リンク駆動機構304,305及びレール駆動機構の駆動量から機械座標系OMにおけるリンクヘッド301のツール支持側端面の位置座標を求めるには、上記の場合と逆のフローに従って実施される。すなわち、ヘッド駆動機構302,リンク駆動機構304,305及びレール駆動機構の駆動量から特定の演算式(順変換式)に基づいてプラットフォーム絶対座標系OPAにおけるリンクヘッド301の回動位置及び移動位置(ヘッド回転ジョイント3010の位置座標)を演算し、次にこのリンクヘッド301の回動位置及び移動位置を含むプラットフォーム座標系OPにプラットフォーム絶対座標系OPAを変換した後、このプラットフォーム座標系OPにおけるリンクヘッド301のツール支持側端面を含む機械座標系OMにプラットフォーム座標系OPを変換して機械座標系OMにおけるリンクヘッド301のツール支持側端面の位置座標を求める。
【0068】
<CPU71の構成>
CPU71は、メモリ72あるいは外部記憶装置78に記憶された加工プログラムを読み出し解析し、プラットフォーム絶対座標系で与えられるリンクヘッド301の移動位置・姿勢情報を機構パラメータPに基づきヘッド駆動機構302及びリンク駆動機構304,305・レール駆動機構への駆動指令値に変換してサーボモータユニット80へ出力する。
【0069】
<メモリ72の構成>
メモリ72には、加工ツール501による実加工処理を実行するための加工プログラムや機構パラメータP等の各種情報が記憶されている。
【0070】
<インターフェース73〜75の構成>
インターフェース73には、ヘッド駆動機構302(サーボモータ3021)及びリンク駆動機構304,305(サーボモータ3041,3051)・レール駆動機構(サーボモータ6001)を駆動するサーボモータユニット80(81〜84)が接続されている。サーボモータユニット81〜84は、CPU71からの指令値に基づいてヘッド駆動機構302及びリンク駆動機構304,305・レール駆動機構をそれぞれ駆動し、これらヘッド駆動機構302のモータ回転検出用エンコーダ3022及びリンク駆動機構304,305のモータ回転検出用エンコーダ3042,3052・レール駆動機構のモータ回転検出用エンコーダ6002からの出力によってフィードバック制御を実行する。インターフェース74には、加工データ等を入力するためのキーボード(KB)76及び加工データや工作機械1の状態等を表示する画像表示装置(CRT)77・加工データを記憶する外部記憶装置78が接続されている。インターフェース75には角度センサ380が接続されている。
【0071】
(付属装置の構成)
付属装置は、オイル供給装置・冷却装置・エア供給装置・クーラント供給装置と、これら装置を工作機械本体2に接続するダクト装置等とから構成されている。
【0072】
〔工作機械1の動作〕
次に、本実施の形態に係る工作機械の動作につき、図8〜図11を用いて説明する。図8は、本発明の実施の形態に係る工作機械におけるリンクヘッドのX−Z軸平行動作を説明するために示す平面図である。図9は、本発明の実施の形態に係る工作機械におけるリンクヘッドの回動動作を説明するために示す平面図である。図10は、本発明の実施の形態に係る工作機械にヘッド駆動機構を備えた場合の利点について説明するために示す平面図である。図11は、本発明の実施の形態に係る工作機械におけるリンクヘッドのX−Z軸平行・回動動作を説明するために示す平面図である。なお、図8〜図11においては、直動ジョイント等が省略されている。
【0073】
「X−Z軸平行動作」
ヘッド回転ジョイント3010(スライダ3012)をレール306,306に沿って、またリンク回転ジョイント3032A,3032B(スライダ3031,3031)をレール3030A,3030Bに沿って同一の方向及び同一の移動量X1でそれぞれ移動させるとともに、レール3030A,3030Bをレール3032,3032に沿って移動量Z1で移動させると、加工ツール501の回転軸線Tを基準線Oに合致させた状態でリンクヘッド301が図8に2点鎖線で示す初期位置からX軸及びZ軸方向に移動して図8に実線で示す位置に配置される。
【0074】
「回動動作」
リンク回転ジョイント3032A,3032B(スライダ3031A,3031B)をレール3030A,3030Bに沿って互いに異なる移動量X1,X2(X1>X2)で同方向に移動させると、リンクヘッド301が図9に2点鎖線で示す初期位置からY軸と平行な軸線を中心に反時計方向に回動して例えば加工ツール501の回転軸線Tを基準線Oと交差させた状態で図9に実線で示す位置に配置される。
【0075】
ここで、図10に示すように、ワーク加工時にリンクヘッド301が加工ツール501の回転軸線Tを基準線Oと直交させた状態で配置されると、ヘッド回転ジョイント3010(スライダ3012)をレール306,306に沿ってワーク側(図10では下方)に移動させることができ、すなわちX軸方向の作用力f1,f2に対するリンクヘッド301に反力Fを発生させることができる。このため、X軸方向の作用力f1,f2に対するリンクヘッド301に反力Fを発生させることができない特異点を無くすことができる。
【0076】
「X−Z軸平行・回動動作」
リンク回転ジョイント3032A,3032B(スライダ3031A,3031B)をレール3030A,3030Bに沿って互いに異なる移動量X1,X2(X1>X2)で同方向に移動させた後、レール3030A,3030Bをレール3032,3032に沿って移動量Z1で移動させるとともに、ヘッド回転ジョイント3010(スライダ3012)をレール306,306に沿って、またリンク回転ジョイント3032A,3032B(スライダ3031A,3031B)をレール3030A,3030Bに沿って同一の方向及び同一の移動量X3でそれぞれ移動させると、リンクヘッド301が図11に2点鎖線で示す初期位置からY軸と平行な軸線を中心に反時計方向に回動して加工ツール501の回転軸線Tを基準線Oと交差させた状態で図11に1点鎖線で示す位置に配置され、さらにX軸方向に移動して図11に実線で示す位置に配置される。
【0077】
このように、本実施の形態においては、リンクヘッド301をX軸及びZ軸のうち少なくともいずれが一方の軸に沿って移動させるとともに、Y軸と平行な軸線の回りに回動させることによりリンクヘッド301の位置及び姿勢を制御し、さらに主軸台103,103をZ軸方向に沿って移動させることによりワークWの位置を制御し、主軸台103,103によって挟持されたワークWに対する加工を行うことができる。
【0078】
この場合、プラットフォーム絶対座標系OPAにおいてスライダ3012,3031A,3031B,3031,3031を位置決めすると、リンクヘッド301上のリンク連結用回転ジョイント3030及びヘッド回転ジョイント3010の位置が決定されるため、リンクヘッド301の移動・回動位置(加工ツール501の先端位置)が決定される。このため、リンクヘッド301を所望の移動・回動位置に位置決めするには、これら移動・回動位置から特定の演算式(逆変換式)に基づいてスライダ3012,3031A,3031B,3031,3031の位置を演算し、これら演算値に対応する位置にスライダ3012,3031A,3031B、3031,3031を移動させる。
【0079】
本実施の形態においては、パラレルメカニズム300がリンクヘッド301,リンク303A,リンク303Bをそれぞれ駆動するヘッド駆動機構302,リンク駆動機構304,リンク駆動機構305を備えている。これには、冗長な駆動機構としてヘッド駆動機構302が存在するが、この冗長なヘッド駆動機構302及び他のリンク駆動機構304,305の存在により直動ジョイント3011は直接変位しないのである。ところが、現実にはパラレルメカニズム300を構成する各構成部品の製造誤差,組付誤差あるいは温度変化等の使用環境や長期使用による経年変化により機構パラメータPは理論通りではなく誤差を含むため、直動ジョイント3011は変位してこれら誤差を吸収する。
【0080】
[実施の形態の効果]
以上説明した実施の形態によれば、次に示す効果が得られる。
【0081】
(1)ハイブリッドメカニズム全体の構成を規定する機構パラメータを補正して各構成部品の加工誤差や組付誤差の修正を行うことができる。これにより、各構成部品の加工誤差や組付誤差の修正時においてメカニズム毎に機構パラメータを補正する必要がなくなるため、各構成部品の加工精度及び組付精度を緩和することができ、コストの低廉化を図ることができる。
【0082】
(2)各メカニズムの機構パラメータを別個に補正する必要がなくなることは、それだけ作業者の操作負担を軽減することができる。
【0083】
(3)ヘッド駆動機構302によってリンクヘッド301を移動させることができるため、従来存在した特異点を無くすことができ、リンクヘッド301の可動範囲を広げることができる。
【0084】
(4)リンク連結用回転ジョイント3030が直動ジョイント3011を介してリンクヘッド301上で移動可能であるため、各構成部品の加工精度や構成部品同士の組付精度が悪い場合や、またリンク303A,303Bが使用時等の熱変化によって伸縮する場合等の機構パラメータの誤差に起因する各種誤差を吸収することができ、これら誤差に起因する構成部品及びヘッド駆動機構302・リンク駆動機構304,305への過負荷発生を防止することができる。
【0085】
以上、本発明の工作機械を上記の実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能であり、例えば次に示すような変形も可能である。
【0086】
(1)本実施の形態では、制御対象としての加工ツール501がリンクヘッド301に保持されるパラレルメカニズム300を備えた場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、リンクヘッドにワークを保持するパラレルメカニズムを備えたものであってもよい。
【0087】
(2)本実施の形態では、砥石を加工ツール501とする工作機械1に適用する場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば旋削用電着ホイール等の旋削工具あるいは表面仕上げ工具等を加工ツールとする他の工作機械に適用し得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の実施の形態に係る工作機械の全体を説明するために示す平面図。
【図2】本発明の実施の形態に係る工作機械の制御装置を説明するために示すブロック図。
【図3】本発明の実施の形態に係る工作機械の要部を説明するために示す斜視図。
【図4】本発明の実施の形態に係る工作機械の要部を説明するために示す平面図。
【図5】本発明の実施の形態に係る工作機械の基準座標系を機械座標系に変換する場合について説明するために示す平面図。
【図6】本発明の実施の形態に係る工作機械のアクチュエータ座標を求めるために示す平面図。
【図7】本発明の実施の形態に係る工作機械におけるアクチュエータの駆動量及び加工ツールの位置座標を求めるために示す図。
【図8】本発明の実施の形態に係る工作機械におけるリンクヘッドのX−Z軸平行動作を説明するために示す平面図。
【図9】本発明の実施の形態に係る工作機械におけるリンクヘッドの回動動作を説明するために示す平面図。
【図10】本発明の実施の形態に係る工作機械にヘッド駆動機構を備えた場合の利点について説明するために示す平面図。
【図11】本発明の実施の形態に係る工作機械におけるリンクヘッドのX−Z軸平行・回動動作を説明するために示す平面図。
【符号の説明】
【0089】
1…工作機械
2…工作機械本体
3…制御装置
10…ベッド
71…CPU
72…メモリ
73〜75…インターフェース
76…キーボード
77…画像表示装置
78…外部記憶装置
80〜83…サーボモータユニット
100…ワーク支持駆動ユニット、101…主軸台ベース、102…主軸台スライドガイド、103…主軸台、104…主軸駆動モータ、105…主軸
300…パラレルメカニズム
301…リンクヘッド、3010…ヘッド回転ジョイント、3011…直動ジョイント、3012…スライダ、3013…ジョイント案内用のレール、3014…連結部
302…ヘッド駆動機構、3020…送りねじ、3021…サーボモータ、3022…モータ回転検出用エンコーダ
303…リンク機構、3030…リンク連結用回転ジョイント
303A…リンク、3030A…スライダ案内用のレール、3031A…スライダ、3032A…リンク回転用ジョイント、3033A…リンク分岐部,3034A…基台
303B…リンク、3030B…スライダ案内用のレール、3031B…スライダ、3032B…リンク回転用ジョイント、3033B…リンク分岐部、3034B…基台
304…リンク駆動機構、3040…送りねじ、3041…サーボモータ、3042…モータ回転検出用エンコーダ
305…リンク駆動機構、3050…送りねじ、3051…サーボモータ、3052…モータ回転検出用エンコーダ
306…スライダ案内用のレール
380…角度センサ
400…シリアルメカニズム
500…ハイブリッドメカニズム
6001…サーボモータ、6002…モータ回転検出用エンコーダ
501…加工ツール
3031…スライダ、3032…スライダ案内用のレール
O…基準線
T…回転軸線
W…ワーク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを加工する加工ツール、及び前記ワークのうち一方を支持するリンクヘッドを第1軸線の回りに回動させるとともに、前記第1軸線と直交する第2軸線に沿って移動させるパラレルメカニズムと、
前記パラレルメカニズムを作動させるための第1駆動機構と、
前記第1軸線と直交する平面内で前記第2軸線と交差する第3軸線に沿って前記パラレルメカニズムを移動させるシリアルメカニズムと、
前記シリアルメカニズムを作動させるための第2駆動機構と、
絶対座標系で与えられる前記リンクヘッドの回動位置及び移動位置に対応する指令値を、前記パラレルメカニズム及び前記シリアルメカニズムを含む機構全体の構成を規定する機構パラメータに基づいて前記第1駆動機構及び前記第2駆動機構に対する指令値に変換し、前記第1駆動機構及び前記第2駆動機構を駆動制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記リンクヘッドの回動位置及び移動位置に対応する指令値を前記第1駆動機構及び前記第2駆動機構に対する指令値に変換するにあたり、前記リンクヘッドの回動位置及び移動位置から特定の演算式に基づいて前記第1駆動機構及び前記第2駆動機構の駆動量を演算する
ハイブリッドメカニズム。
【請求項2】
前記制御部は、
前記加工ツール及び前記ワークのうち他方を支持するベースを含む基準座標系に平行で前記リンクヘッドの支持側端面を含む機械座標系を、前記リンクヘッドの支持側端面及びそのヘッド回動部を含む相対座標系に変換し、
次に前記リンクヘッドのヘッド回動部及び前記シリアルメカニズムを含む前記絶対座標系に前記相対座標系を変換した後、
前記絶対座標系における前記リンクヘッドの回動位置及び移動位置から前記第1駆動機構及び前記第2駆動機構の駆動量を演算する請求項1に記載のハイブリッドメカニズム。
【請求項3】
前記制御部は、前記絶対座標系で互いに直交する2軸のうち一方の軸に対する前記リンクヘッドの移動方向の傾き、及び前記2軸のうち他方の軸に対する前記パラレルメカニズムの移動方向の傾きを前記機構パラメータに含ませて前記指令値の変換を実行する請求項1に記載のハイブリッドメカニズム。
【請求項4】
前記パラレルメカニズムは、一端が前記リンクヘッドに前記第1軸線と直交する平面内で互いに回動可能に接続され、他端が前記第1軸線と平行な軸線回りに回動可能にかつ前記第2軸線に沿って移動可能に支持された1対のリンクからなるリンク機構を含み、前記1対のリンクの一端が前記リンクヘッドに前記第1軸線と直交する一軸線方向に相対移動可能に配置されている請求項1に記載のハイブリッドメカニズム。
【請求項5】
ワークを加工する加工ツール、及び前記ワークのうち一方を支持するベッドと、
前記ベッドに対して動作可能なハイブリッドメカニズムと
を備えた工作機械であって、
前記ハイブリッドメカニズムは、
前記加工ツール及び前記ワークのうち他方を支持するリンクヘッドを第1軸線の回りに回動させるとともに、前記第1軸線と直交する第2軸線に沿って移動させるパラレルメカニズムと、
前記パラレルメカニズムを作動させるための第1駆動機構と、
前記第1軸線と直交する平面内で前記第2軸線と交差する第3軸線に沿って前記パラレルメカニズムを移動させるシリアルメカニズムと、
前記シリアルメカニズムを作動させるための第2駆動機構と、
絶対座標系で与えられる前記リンクヘッドの回動位置及び移動位置に対応する指令値を、前記パラレルメカニズム及び前記シリアルメカニズムを含む機構全体の構成を規定する機構パラメータに基づいて前記第1駆動機構及び前記第2駆動機構に対する指令値に変換し、前記第1駆動機構及び前記第2駆動機構を駆動制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記リンクヘッドの回動位置及び移動位置に対応する指令値を前記第1駆動機構及び前記第2駆動機構に対する指令値に変換するにあたり、前記リンクヘッドの回動位置及び移動位置から特定の演算式に基づいて前記第1駆動機構及び前記第2駆動機構の駆動量を演算する
工作機械。
【請求項1】
ワークを加工する加工ツール、及び前記ワークのうち一方を支持するリンクヘッドを第1軸線の回りに回動させるとともに、前記第1軸線と直交する第2軸線に沿って移動させるパラレルメカニズムと、
前記パラレルメカニズムを作動させるための第1駆動機構と、
前記第1軸線と直交する平面内で前記第2軸線と交差する第3軸線に沿って前記パラレルメカニズムを移動させるシリアルメカニズムと、
前記シリアルメカニズムを作動させるための第2駆動機構と、
絶対座標系で与えられる前記リンクヘッドの回動位置及び移動位置に対応する指令値を、前記パラレルメカニズム及び前記シリアルメカニズムを含む機構全体の構成を規定する機構パラメータに基づいて前記第1駆動機構及び前記第2駆動機構に対する指令値に変換し、前記第1駆動機構及び前記第2駆動機構を駆動制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記リンクヘッドの回動位置及び移動位置に対応する指令値を前記第1駆動機構及び前記第2駆動機構に対する指令値に変換するにあたり、前記リンクヘッドの回動位置及び移動位置から特定の演算式に基づいて前記第1駆動機構及び前記第2駆動機構の駆動量を演算する
ハイブリッドメカニズム。
【請求項2】
前記制御部は、
前記加工ツール及び前記ワークのうち他方を支持するベースを含む基準座標系に平行で前記リンクヘッドの支持側端面を含む機械座標系を、前記リンクヘッドの支持側端面及びそのヘッド回動部を含む相対座標系に変換し、
次に前記リンクヘッドのヘッド回動部及び前記シリアルメカニズムを含む前記絶対座標系に前記相対座標系を変換した後、
前記絶対座標系における前記リンクヘッドの回動位置及び移動位置から前記第1駆動機構及び前記第2駆動機構の駆動量を演算する請求項1に記載のハイブリッドメカニズム。
【請求項3】
前記制御部は、前記絶対座標系で互いに直交する2軸のうち一方の軸に対する前記リンクヘッドの移動方向の傾き、及び前記2軸のうち他方の軸に対する前記パラレルメカニズムの移動方向の傾きを前記機構パラメータに含ませて前記指令値の変換を実行する請求項1に記載のハイブリッドメカニズム。
【請求項4】
前記パラレルメカニズムは、一端が前記リンクヘッドに前記第1軸線と直交する平面内で互いに回動可能に接続され、他端が前記第1軸線と平行な軸線回りに回動可能にかつ前記第2軸線に沿って移動可能に支持された1対のリンクからなるリンク機構を含み、前記1対のリンクの一端が前記リンクヘッドに前記第1軸線と直交する一軸線方向に相対移動可能に配置されている請求項1に記載のハイブリッドメカニズム。
【請求項5】
ワークを加工する加工ツール、及び前記ワークのうち一方を支持するベッドと、
前記ベッドに対して動作可能なハイブリッドメカニズムと
を備えた工作機械であって、
前記ハイブリッドメカニズムは、
前記加工ツール及び前記ワークのうち他方を支持するリンクヘッドを第1軸線の回りに回動させるとともに、前記第1軸線と直交する第2軸線に沿って移動させるパラレルメカニズムと、
前記パラレルメカニズムを作動させるための第1駆動機構と、
前記第1軸線と直交する平面内で前記第2軸線と交差する第3軸線に沿って前記パラレルメカニズムを移動させるシリアルメカニズムと、
前記シリアルメカニズムを作動させるための第2駆動機構と、
絶対座標系で与えられる前記リンクヘッドの回動位置及び移動位置に対応する指令値を、前記パラレルメカニズム及び前記シリアルメカニズムを含む機構全体の構成を規定する機構パラメータに基づいて前記第1駆動機構及び前記第2駆動機構に対する指令値に変換し、前記第1駆動機構及び前記第2駆動機構を駆動制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記リンクヘッドの回動位置及び移動位置に対応する指令値を前記第1駆動機構及び前記第2駆動機構に対する指令値に変換するにあたり、前記リンクヘッドの回動位置及び移動位置から特定の演算式に基づいて前記第1駆動機構及び前記第2駆動機構の駆動量を演算する
工作機械。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−29960(P2010−29960A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−192555(P2008−192555)
【出願日】平成20年7月25日(2008.7.25)
【出願人】(000001247)株式会社ジェイテクト (7,053)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月25日(2008.7.25)
【出願人】(000001247)株式会社ジェイテクト (7,053)
【Fターム(参考)】
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