説明

ハット型鋼矢板継手の爪曲げ方法および爪曲げ装置

【課題】左右で形状が異なる継手部を有するハット型鋼矢板の継手部を爪曲げ用の孔型を必要とせずに成形する方法および装置を提供する。
【解決手段】仕上げ圧延機出側の下流方向に沿って配置した少なくとも2群のローラ群を有し、前記ローラ群の各々は、中央ウエブの上面側で前記中央ウエブの変形を拘束するように配置される水平ロールと、継手部の一部を含む腕部端部の上下で対向するように配置され、上下方向の姿勢を維持する水平ロールと腕部の水平方向の姿勢を維持するように配置される竪ロールと、前記竪ロールに対向し、継手部に外側から加圧力を付与するように配置される竪ロールを有し、仕上げ圧延機出側に少なくとも2群を配置する前記ローラ群は仕上げ圧延機出側の下流方向に、前記加圧力を付与する竪ロールにおける加圧力を漸次増大させ、最下流となるローラ群において継手部に所望の形状を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、左右で形状が異なる継手部を有するハット型鋼矢板の継手部を仕上げ圧延機出側に配置したローラ群により熱間で成形する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鋼矢板は河川護岸やビル建設などの土木工事に大量に使用される部材で、用途に応じて種々の断面形状のものが開発されている。左右の継手部の形状が異なる鋼矢板は、壁体を形成する際に隣り合う鋼矢板を逆転させることなく打設することができるので施工時に必要とされる空間を小さくし、非回転打設による自動打設化を可能とするもので主に中低層ビルの建設に用いられている。
【0003】
鋼矢板の製造において、継手部の形状が左右で同じ場合、U形、直線形などの主要部を圧延後、左右の継手部の形状が刻設された左右対称な1〜2組のロール孔型を用いて1〜2パスで仕上げる方法が一般的であるが、左右で異なる形状の場合、上下1組のロール孔型を用いて1パスで仕上げる方法の他に幾つかの成形方法が提案されている。
【0004】
図5はハット型鋼矢板に左右で異なる形状の継手部を水平ロール孔型で成形する方法を模式的に示す図で、ハット型鋼矢板390は成形ウエブ80Aと両側のフランジ40からなるU字型とその左右に、先端部に継手部50A、50Bを有する腕部60を配し、継手部50A、50Bは水平ロール孔型で1〜2パスで爪曲げ成形する。
【0005】
水平ロール孔型による成形方法の場合、ハット型鋼矢板390は、水平ロール孔型による拘束が十分でない状態で、一方の継手部50Aで爪70Aが、水平ロール孔型の上ロール340の傾斜部510Aと最初に接触し、同時に他方の継手部50Bで爪70Bが水平ロール孔型の下ロール350の傾斜部510Bと最初に接触するので、水平ロール孔型による圧下力(図中矢印で示す)がハット型鋼矢板390に偶力として作用し、噛み込み不良や捩れが発生することが指摘されている。
【0006】
図6は継手部55が水平ロール孔型の圧下により変形する様子を示し、圧下開始時点でのロール側壁51は、圧下量56の圧下により新たにロール側壁52を形成するので、爪部には内側に曲げる力50が働き、圧下開始時点で外側に開いた爪部53は、圧下終了後、内側に曲げられ爪部54を形成する。
【0007】
上述した問題点を解決するため、特許文献1は、上下1組の水平ロール孔型により左右で形状が異なる継手部を成形する際、鋼矢板と水平ロール孔型の圧延開始点が左右対称となるように、左右の継手部の爪に先立って左右のフランジ部の下部を水平ロール孔型に接触させることを提案している。
【0008】
また、特許文献2は、左右で形状が異なる継手部を成形する際、左右の形状が片側ずつそれぞれに刻設された2組の孔型ロールを用いて、順次、左右の継手を成形することにより、両端部の継手部の成形を1本の水平ロール孔型により同時に行った場合に発生する圧下力による偶力を抑制することを提案している。
【0009】
更に、特許文献3は、上下1組の水平ロール孔型を有する仕上げ圧延機による継手部の屈曲成形において、仕上げ圧延の開始時点における被圧延材の全幅を仕上げ孔型幅以下、且つ継手部先端外側面の傾斜角度を仕上げ孔型の継手曲げ傾斜部の傾斜角度より大きくし、仕上げ孔型に継手部を継手先端基部から外側面へと順次接触させ、本来の曲げ方向と反対方向に圧下力が作用することを防止して安定した曲げ成形を行うことを提案している。
【0010】
【特許文献1】特開平8−117801号公報
【特許文献2】特開平10−71401号公報
【特許文献3】特開2001−105002号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、水平ロール孔型と被圧延材の寸法関係を調整して、継手部の曲げ成形を開始する時点において被圧延材を拘束状態とする方法や左右の継手部に懸る圧下力を偶力でなく本来の爪曲げ方向に作用させる方法は、水平ロール孔型に刻設する継手部の形状や、フランジ幅角度を高精度に維持する必要があり操業上の負担が大きく、被圧延材で継手部以外の個所が大きく形状変化することが必要で割れなどの発生も懸念される。
【0012】
また、左右の継手部を、その形状を片側ずつ刻設した2組の水平ロール孔型により順次成形する方法でも、被圧延材に対して圧下力は非対称に発生し、ねじれを十分防止することはできない。
【0013】
そこで本発明は、構造上爪曲げ用の孔型を必要とせず、水平方向の力の効率が高くねじれが生じにくい、水平ローラと竪ローラによるローラ群を複数用いて左右異なる形状の継手部を成形する方法および装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、以下の手段により課題を達成する。
1 仕上げ圧延前に、仕上げ圧延前の姿勢を維持しながら熱間で継手部の爪曲げを行い、継手部を所望の形状とする、腕部の左右両端に異なる形状の継手部を有するハット型鋼矢板の爪曲げ方法であって、爪を内側に曲げつつ、継手部を所望の形状に成形することを特徴とする腕部の左右両端に異なる形状の継手部を有するハット型鋼矢板の爪曲げ方法。
【0015】
2 仕上げ圧延機の出側近傍に配置して、熱間で継手部の爪曲げを行う、腕部の左右両端に異なる形状の継手部を有するハット型鋼矢板の爪曲げ装置であって、
前記爪曲げ装置が、仕上げ圧延機出側の下流方向に沿って配置した少なくとも2群のローラ群を有し、これらローラ群により継手部の爪曲げを行いつつ、継手部を所望の形状とすることを特徴とする腕部の左右両端に異なる形状の継手部を有するハット型鋼矢板の爪曲げ装置。
【0016】
3 前記ローラ群の各々は、ハット型鋼矢板の中央ウエブの上面側で前記中央ウエブの変形を拘束するように配置される水平ロールと、継手部の一部を含む腕部端部の上下で対向するように配置され、上下方向の姿勢を維持する水平ロールと腕部の水平方向の姿勢を維持するように配置される竪ロールと、前記竪ロールに対向し、継手部に外側から加圧力を付与するように配置される竪ロールを有し、
仕上げ圧延機出側に少なくとも2群を配置する前記ローラ群は仕上げ圧延機出側の下流方向に、前記加圧力を付与する竪ロールにおける加圧力を漸次増大させ、最下流となるローラ群において継手部に所望の形状を形成することを特徴とする2記載の腕部の左右両端に異なる形状の継手部を有するハット型鋼矢板の爪曲げ装置。
【0017】
4 仕上げ圧延機出側に少なくとも2群を配置する前記ローラ群は仕上げ圧延機出側の下流方向に、前記加圧力を付与する竪ロールの径方向断面を漸次増大させて、継手部への加圧力を増大させることを特徴とする3記載の腕部の左右両端に異なる形状の継手部を有するハット型鋼矢板の爪曲げ装置。
【0018】
5 仕上げ圧延機出側に少なくとも2群を配置する前記ローラ群は仕上げ圧延機出側の下流方向に、前記加圧力を付与する竪ロールと対向する竪ロールの中心軸間距離を漸次短くして、継手部への加圧力を増大させることを特徴とする3記載の腕部の左右両端に異なる形状の継手部を有するハット型鋼矢板の爪曲げ装置。
【0019】
6 前記少なくとも2群のローラ群の連続配置において仕上げ圧延機出側に対して最下流に配置されるローラ群のロール中心が仕上げ圧延機の圧延ロール中心から1.5m以内に配置されることを特徴とする4または5記載の腕部の左右両端に異なる形状の継手部を有するハット型鋼矢板の爪曲げ装置。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば仕上げ圧延機出側の下流側に、被圧延材の姿勢を維持するローラと爪曲げを行うローラを有するローラ群を間隔を設けて複数配置するので、継手部の形状精度とねじれの熱間矯正に優れた左右で異なる形状を有する継手部の成形が可能となる。
【0021】
また、仕上げ圧延機出口近傍の、被圧延材が比較的高温な状態で継手部の成形が行われるので、割れなどの発生防止に優れる。また、1パスで継手部の整形と爪曲げが行えるので生産能率が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明は左右で異なる形状の継手部を有するハット型鋼矢板の継手部を、仕上げ圧延機出側で、下流方向に少なくとも2群を配置した複数のローラ群により成形する。本発明で左右で異なる形状の継手部とはその形状が左右で点対称となる継手部を意味し、ローラ群とは左右両方の継手部の成形に必要な複数のローラ全てを総称する。
【0023】
複数に配置したローラ群は、仕上げ圧延機出側の下流方向に、継手部の爪を内側に曲げつつ成形を行い、左右の継手部での成形開始、終了時間は同時とする。尚、本発明で仕上げ圧延機とはハット型鋼矢板のウエブおよびフランジの仕上げ圧延機を指す。
【0024】
図1は本発明の実施に用いる爪曲げ装置の一例を示す正面図で、図において1は継手部5A(5B)の爪7A(7B)を外側から曲げる竪ロール、2は竪ロール1に対向して配置される、被圧延材(ハット型鋼矢板)39の腕部6のフランジ4側端部の下面を拘束する竪ロール、3は継手部5A(5B)の一部と腕部6を上下面から拘束する水平ロールで、上面側に配置される場合は、ロール軸が架台11に弾性体13を介して取り付けられ、腕部6の上下方向の厚みに追従する水平ロール、4は被圧延材39のフランジ、8は被圧延材39のウエブ8Aの上面を拘束する上押さえロール、9はウエブガイド、10は継手部成形装置本体、12は爪7A(7B)を所望の形状に外側から内側に向けて曲げる際、曲げ量を調整すべく、竪ロール1の中心軸を移動させる移動機構を示す。
【0025】
継手部成形装置本体10は継手部成形機能と姿勢維持機能を有し、継手部を成形中に、被圧延材39の姿勢を維持するため、ウエブ8A、フランジ4から腕部6にかけての屈曲部および継手部5A(5B)を水平ロールや竪ロールにより拘束する。
【0026】
本発明においてローラ群は、被圧延材39の姿勢維持と左右の継手部の成形に必要な2個の竪ロール1、竪ロール2、4個の水平ロール3および1個の上押さえロール8を備えた複数ローラにより構成される。
【0027】
ローラ群において、ウエブ8Aの拘束は、ウエブ8Aの上面側となる位置に水平ロール8をウエブガイド9に対向して配置して行い、フランジ4から腕部6にかけての屈曲部の拘束は、屈曲部の下面側に該屈曲部の形状を刻設した竪ロール2を配置して行う。
【0028】
ローラ群では、継手部5A(5B)の拘束は、継手部5A(5B)の一部と腕部6の先端を下面から拘束する水平ロール3と上面から拘束する水平ロール3により行う。
【0029】
上方に配置される水平ロール3のロール軸は、腕部6の上下方向の厚みが変化した際、上面の拘束が可能なように架台11に弾性体13を介して取り付けられる。
【0030】
上下に配置される水平ロール3のローラ面には継手部側に、継手部の成形に必要な形状を刻設するが、継手部5A側に配置する上下の水平ロール3には継手部5Aの形状を、継手部5B側に配置する上下の水平ロール3には継手部5Bの形状を刻設する。
【0031】
継手部の成形において、爪7A(7B)を外側から内側に曲げる加工は、竪ローラ2に対向し、爪7A(7B)の外側に、中心軸が位置し、継手部に外側から加圧力を付与するように配置される竪ローラ1により行い、竪ローラ1はそのローラ面に爪を所望の形状に曲げるのに必要な形状を刻設する。
【0032】
図2は、継手部5Aの爪7Aを内側に曲げる状況を説明する図で、腕部6の屈曲部を拘束する竪ロール2と、腕部6の水平部の上下を拘束する水平ロール3により腕部6の姿勢を維持した状態で、竪ロール1により爪7Aを外側から内側に曲げ加工する。
【0033】
また、腕部6の水平部の上下を拘束する水平ロール3のロール面には、継手部5Aの成形に必要な形状を刻設する。
【0034】
竪ロール1、竪ロール2および水平ロール3は腕部6と継手部5Aが水平となるように配置し、腕部6の上下の水平ロール3のローラ間隔は腕部6の上下方向の厚みとする。竪ロール1は、爪に所望する曲げ加工を施せるように中心軸を水平方向に移動可能とする。
【0035】
尚、継手部5Bの爪7Bを内側に曲げる竪ロール1のロール面には、図2に示した竪ロール1のロール面形状の上下を逆にして刻設する。
【0036】
爪7Bを内側に曲げる際、継手部5Bに対しては上方に曲げる力が働くため、継手部5Bに配置される上下の水平ロール3のロール面には、継手部5Aの成形に必要な形状の上下を逆にして刻設する。
【0037】
本発明では上流から下流側にかけて少なくとも2群配置されるローラ群において、継手部に対して外側から加圧力を付与する竪ロール1の加圧力を下流方向に漸次増大させ、継手部5A(5B)を最終形状に成形する。加圧力の調整は、竪ロール1と竪ロール2の中心軸間距離を漸次短くしたり、竪ロール1のロール径を漸次増大して行う。
【0038】
各ローラ群を構成する複数のローラはいずれも自由回転状態に支持され、被圧延材39は仕上げ圧延機で後端部を圧延中にその先端がローラ群に進入し、後端部が仕上げ圧延された後は、慣性エネルギーとテーブルローラの搬送力によりローラ群を通材する。
【0039】
図3に継手部成形装置10の平面図を示す。継手部成形装置10は仕上げ圧延機の仕上げ圧延ロール20において、継手部成形を最後に行う形状が刻設されたロール面の下流側に配置し、少なくとも2つのローラ群を下流方向に順次配置する(図は2群のローラ群が配置されている状態を示す)。
【0040】
継手部は爪部の温度が600℃以上の状態において成形されることが望ましく、最上流に配置されるローラ群と仕上げ圧延ロール20の中心軸間の距離L1を750mm以内、最下流に配置されるローラ群と仕上げ圧延ロール20の中心軸間の距離L2を1500mm以内とすることが望ましい。
【0041】
また、継手部の成形中にねじれなどが発生した場合、下流側のローラ群による熱間矯正が可能なように各ローラ群は間隔を設けて配置することが望ましく、L1、L2の中心軸間距離で500mm程度とすることが望ましい。尚、通材性を重視する場合は、複数のローラ群を間隔を設けずに連続して配置する。
【0042】
各ローラ群は、種々の寸法形状の被圧延材39について姿勢の維持が可能なように、それぞれのロールのロール軸は、取り付け位置調整可能な機構(図では省略)を用いて架台11に取り付ける。
【0043】
尚、本発明で姿勢の維持とは架台11に対してウエブ、フランジ等被圧延材各部の座標軸上の位置が変化しないことを指し、例えば図1(a)(b)の架台11の正面図における被圧延材断面の位置および形状自体(継手部を除く)が変化しないことを指し、拘束とは、被圧延材の板厚やフランジから腕部にかかる屈曲部などの形状がローラ通過前後において変化しない状態を指す。
【実施例】
【0044】
扁平スラブを粗圧延、中間圧延、仕上げ圧延後、仕上げ圧延機出側に配置した継手部製造装置を用いて継手部を成形し、有効幅900mmの左右で異なる形状の継手部を有するハット型鋼矢板を製造した。
【0045】
図4に本実施例に用いた製造ラインと各圧延機による圧延形状を示す。10は爪曲げ装置、30は粗圧延機、31、32は中間圧延機、33は仕上げ圧延機、36は加熱炉を示す。
【0046】
扁平スラブは厚み:220mm、幅:1000mmで、1250〜1300℃に加熱後、粗圧延機30のBOX孔型で幅調整した後、K8、K7の形状の孔型で各々4〜5パスの圧延を施し、ハット型の粗形断面に成形した。
【0047】
その後、タンデム配置した中間圧延機31、32により第1パスは孔型K5、K6の順に、第2パスは孔型K6、K5の順に圧延した後、第3パスを圧延するために被圧延材を孔型K4の入り側に移動させ、孔型K4、K3により圧延した。
【0048】
被圧延材は、中間圧延機31、32による中間圧延後、比較的高温な状態で仕上げ圧延機33の孔型K2により仕上げ圧延され、仕上げ圧延機33の孔型K2の出側に配置された爪曲げ装置10により継手部の爪曲げを行う。
【0049】
仕上げ圧延機33の孔型K2による圧延速度は、被圧延材の先端が爪曲げ装置10の第2ロール群を通過するまでは1.0〜2.0m/sとし、4.0〜6.0m/sに加速後、仕上げ圧延機33からの蹴りだしを3.0〜5.0m/sとして、被圧延材の尾端が爪曲げ装置10内において詰まって残ることを防止する。
【0050】
爪曲げ装置10は2群のロール群を備え、仕上げ圧延機の孔型K2が刻設された圧延ロールの中心軸から第一のロール群の中心軸までを750mm、圧延ロール中心から第二のロール群の中心軸までを1250mmとし、3.0m/sで圧延して爪曲げ装置10内において尾端を詰まらせることなく継手部の爪曲げを完了した。
【0051】
尚、この際、爪部温度は600℃以上であり、第一のロール群にたいして第二のロール群を中心軸間距離で500mm離すことによる、ねじれに対する熱間矯正機能が認められた。
【0052】
また、圧延ロールの中心軸から第一のロール群の中心軸までを1000mm以内、圧延ロール中心から第二のロール群の中心軸までを1500mm以内とすれば、3.0m/sで圧延して爪曲げ装置10内において尾端を詰まらせることなく継手部の爪曲げが可能なことを確認した。内側への爪曲げを殆ど完了した圧延材は最終の孔型K1で仕上げ圧延され、所定の寸法形状の精度とされる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の一実施形態にかかる爪曲げ装置の正面図。
【図2】本発明による爪曲げ加工の要部を示す図。
【図3】本発明の一実施形態にかかる爪曲げ装置の上面図。
【図4】実施例に用いた製造ラインを示す図。
【図5】従来例。
【図6】従来例。
【符号の説明】
【0054】
1、2 竪ロール
3 水平ロール
4 フランジ
5A、5B 継手部
6 腕部
7A、7B 爪
8 上押さえロール
8A ウエブ
9 ウエブガイド
10 爪曲げ装置本体
11 架台
12 移動機構
13 弾性体
30 粗圧延機
31、32 中間圧延機
33 仕上げ圧延機
36 加熱炉
39 被圧延材
40 フランジ
50 曲げ力
50A、50B 継手部
51、52 ロール側壁
53、54 爪部
55 継手部
56 圧下量
60 腕部
80A 成形ウエブ
340 上ロール
350 下ロール
390 ハット型鋼矢板
510A、510B 傾斜部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
仕上げ圧延前に、仕上げ圧延前の姿勢を維持しながら熱間で継手部の爪曲げを行い、継手部を所望の形状とする、腕部の左右両端に異なる形状の継手部を有するハット型鋼矢板の爪曲げ方法であって、爪を内側に曲げつつ、継手部を所望の形状に成形することを特徴とする腕部の左右両端に異なる形状の継手部を有するハット型鋼矢板の爪曲げ方法。
【請求項2】
仕上げ圧延機の出側近傍に配置して、熱間で継手部の爪曲げを行う、腕部の左右両端に異なる形状の継手部を有するハット型鋼矢板の爪曲げ装置であって、
前記爪曲げ装置が、仕上げ圧延機出側の下流方向に沿って配置した少なくとも2群のローラ群を有し、これらローラ群により継手部の爪曲げを行いつつ、継手部を所望の形状とすることを特徴とする腕部の左右両端に異なる形状の継手部を有するハット型鋼矢板の爪曲げ装置。
【請求項3】
前記ローラ群の各々は、ハット型鋼矢板の中央ウエブの上面側で前記中央ウエブの変形を拘束するように配置される水平ロールと、継手部の一部を含む腕部端部の上下で対向するように配置され、上下方向の姿勢を維持する水平ロールと腕部の水平方向の姿勢を維持するように配置される竪ロールと、前記竪ロールに対向し、継手部に外側から加圧力を付与するように配置される竪ロールを有し、
仕上げ圧延機出側に少なくとも2群を配置する前記ローラ群は仕上げ圧延機出側の下流方向に、前記加圧力を付与する竪ロールにおける加圧力を漸次増大させ、最下流となるローラ群において継手部に所望の形状を形成することを特徴とする請求項2記載の腕部の左右両端に異なる形状の継手部を有するハット型鋼矢板の爪曲げ装置。
【請求項4】
仕上げ圧延機出側に少なくとも2群を配置する前記ローラ群は仕上げ圧延機出側の下流方向に、前記加圧力を付与する竪ロールの径方向断面を漸次増大させて、継手部への加圧力を増大させることを特徴とする請求項3記載の腕部の左右両端に異なる形状の継手部を有するハット型鋼矢板の爪曲げ装置。
【請求項5】
仕上げ圧延機出側に少なくとも2群を配置する前記ローラ群は仕上げ圧延機出側の下流方向に、前記加圧力を付与する竪ロールと対向する竪ロールの中心軸間距離を漸次短くして、継手部への加圧力を増大させることを特徴とする請求項3記載の腕部の左右両端に異なる形状の継手部を有するハット型鋼矢板の爪曲げ装置。
【請求項6】
前記少なくとも2群のローラ群の連続配置において仕上げ圧延機出側に対して最下流に配置されるローラ群のロール中心が仕上げ圧延機の圧延ロール中心から1.5m以内に配置されることを特徴とする請求項4または5記載の腕部の左右両端に異なる形状の継手部を有するハット型鋼矢板の爪曲げ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2006−272342(P2006−272342A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−90544(P2005−90544)
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】